議会運営委員会速記録第四十号

平成十二年五月十日(水曜日)
午後二時四十四分開議
 出席委員 二十一名
委員長川島 忠一君
副委員長藤沢 志光君
副委員長木村 陽治君
副委員長中山 秀雄君
理事松本 文明君
理事大西 英男君
理事渡辺 康信君
理事土持 正豊君
理事河合秀二郎君
山崎  泰君
大西由紀子君
鈴木 一光君
三原 將嗣君
小礒  明君
近藤やよい君
植木こうじ君
村松みえ子君
古館 和憲君
木内 良明君
田中  良君
和田 宗春君

 欠席委員 二名

議長渋谷 守生君
副議長五十嵐 正君

本日の会議に付した事件
 議場における国旗の掲揚について

○川島委員長 ただいまから議会運営委員会を開会いたします。
 議場における国旗の掲揚についてご協議願います。
 なお、先ほどの理事会におきまして、都旗の掲揚につきましてもあわせてご協議いただくことを申し合わせましたので、ご了承願います。
 本件につきまして、何か発言がございましたら発言を願います。

○植木委員 日の丸掲揚について我々何も聞いていないんで、提案者の自民党から、まず提案理由をきちっとお聞かせ願いたい。

○川島委員長 今、植木委員から、日の丸掲揚について、提案者の自民党から・・提案の理由ですか。(植木委員「そうですね。提案の理由がなければ……」と呼ぶ)理由をお聞きしたいと。

○大西(英)委員 国旗、日の丸掲揚問題については、きょうの議運の場で初めて議題に供されたわけではなくて、昨年の秋から議運の理事会において延々と論議がされてきたことです。その場において、我が党はなぜ国旗を掲揚しなければならないかということについては、るるお話を申し上げたところです。
 そして議運の理事会の位置づけというのは、各会派の代表として出席をしているわけですから、もし植木議員が我が党の提案を聞いていないということであれば、共産党選出の議運の理事の方の報告が十分でなかったということになるのではないかと思います。
 以上でございます。

○植木委員 それはちょっとおかしいと思うんですね。前回の議運の委員長の仕切りは、議会運営委員会で正式に協議をしていただくと、こういうふうになっているわけですから、協議をするに当たってきちっと提案するというのは提案者の責任ですから、藤沢さんか、松本さんか、大西さんか、わかりませんけれども、きちっと説明していただきたい。

○大西(英)委員 議事進行についてですけれども、これは議会運営委員会のあり方というのを十分ご承知だと思うんですけれども、議運の理事会等で論議を積み重ね、そしてそういった経過に基づいてこの全体の委員会においては結論を導き出してきているわけですね。議運の理事会において、あらゆる角度から・・私どもの立場ですよ・・提案の理由についてもご説明を申し上げたし、そして、それに対して共産党さんからの反論もあったし、十分論議が尽くされているわけでございまして、あえてここでもう一度屋上屋を重ねるような発言というのは、議会進行上いかがかと思う次第です。

○植木委員 理事会でどんな論議をしたかという点は、一切議事録には残っておりませんので、やはりこれだけ都民の関心のある問題について、議事録にきちっと残す意味でも、提案者が提案説明する場を私はぜひ持っていただきたいというふうに思うし、提案者としても提案理由をきちっと述べたいと思うんだよね。やはりそれは議事録にきちっと残す責任があるというふうに思いますので、ぜひ提案理由を説明していただきたい。

○松本委員 私たちの国日本は、ずっとずっと古い昔から、日の丸を国旗としてやってきた、こういうふうに考えております。いつの時代も常に国旗は日の丸であった、国旗が東京都議会議場に掲げられないということの方が不自然だ、こう考えております。
 国も、国旗が日の丸ということを、法制化がなりました。新しい二十一世紀という時代を迎えるに当たって、我々は、都旗とともに日の丸を議場に掲げて、都民の負託にこたえて新しい時代を開きたい、こう考えて提案をしたわけでございます。

○植木委員 今の提案理由を聞いておりましても、日の丸がずっと日本の国旗であったということ自体が、まず認識としても、事実としても違う・・事実として違うと。これは、過去においても、国旗として法制化されていた事実はないですし、それから一八七〇年に日の丸を陸海軍の掲げる旗として定めたという事実はありますけれども、国の旗として決めた事実は全く私はないと思うんですね。そういう意味で、まず事実が全く違う。だからそこのところがどうなのかということを私はまず確かめたいと思うんですけれども、事実と違うんですか。

○大西(英)委員 そういう論議は、これはもう今まで議運の理事会で行われてきているんですよ。

○植木委員 協議というから・・事実と違うものだから、意見をこれから述べますけれども、まず事実と違う問題について、確かめておきたい。
〔「認識の違いだよ」と呼ぶ者あり〕

○川島委員長 日の丸がいつからとか、日の丸が国旗でない、国旗かという認識が、それぞれちょっと理事会の議論の中でも違うわけですよね。自民党さんと共産党さんが違うわけですよ、認識が。それは、それぞれの主観があると思うんですよ。ですから、私は違うといったって、こっちはそうだという、真実はどれが正しいかもはっきりしないわけですよ。(「そうしたら法制化する必要もなかったんじゃないか」と呼ぶ者あり)いやいや、だから一つ一つそれをやっていくと、議事進行上大いなる支障が出て、それぞれの立場をきちっと明確に発言することの方が筋論じゃないかなと思うんですね。
 ふだん議運の平場というのは、国旗に限らずあらゆる案件のときに平場を開きますよね。きょうみたいな議論というのは、平場で、議運の理事会の協議結果、中身について・・また、きょうみたいな発言というのは、今までの例でいいますと意外と異例なんです。それだけ理事会の役割というのをみんな尊重していただいて、重く受けとめていただいて、その協議内容をここで報告して、それに対して賛否をここで諮るというのが今までの経緯で来ているわけですから、一々これが違う、例えば、いやあれは赤だと、いやこっちは白だ、あれはピンクにしか見えないという議論と同じような今、議論じゃないかと思うんですよ。(「そういう次元の問題じゃない」と呼ぶ者あり)いやいや、そうなると思うんですよ。もうもとが違うんですから、根っこから。ですからもう少し……。
 どうですかといっても、わからないこともあるかわからないし、逆に、自民党から共産党さんへ質問してわからないことがあるかわからないし、その場合は答弁する義務もないわけですよね。わからないから答弁できない。(発言する者あり)いや、わからないものは答弁できないじゃないですか。わからないものはできないですよ。だからわかりませんと、こうなるわけですから。これは、議運の理事会で、九月二十九日、十二月三日、十二月十五日、一月二十日、二月七日、二月十六日、五月十日と、もう七回も議運の理事会でこの問題で議論しているんです。

○木村委員 何か共産党の理事がちゃんと報告していなかったかのようにいわれましたんで、お話をさせてもらいます。
 確かに理事会では、この問題は何回も議論してきたという、その回数の問題についてはそのとおりであります。しかし、平場で議論する、協議するというのは、きょうが初めてであります。ですから、私は、さっきの理事会でも、議論のルールを先に決めた上で論議をした方がいいよということをあえて提案を申し上げたんです。と申しますのは、この問題は、非常に大事な問題、非常に重要な問題ですから、この密室の中で結論を出すんじゃなくて、都民にも参加してもらって議論するぐらいの重要な問題だと思うんです。
 なぜ本会議場に日の丸を掲揚する必要があるのかということについては、再三私からお尋ねしましたけれども、自民党から説明があったのは、まず法で決まったから。それから、我々の側から学校に掲揚するようにというふうにお願いをしているのに、この議会にかからない、かかっていないというのは、お願いする立場からいかがかという理由もあると。具体的にはその二つぐらいで、あとは日本の国民として、あるべき自治体として当然だという、ごくごく心情的、一般的なご議論であったわけです。
 国旗というのは、国の識別をする旗印でありますから、ここが日本の国であるということを識別する場合に必要だというのが説明です。この都議会でも玄関に毎日かかっているわけですね。玄関にかかっているのを、なぜ本会議場にかけなければならないのか。しかも、満場一致ならともかく、いろんな反対、都民の中にもいろんな意見があるのに、なぜ議場の中にそういう反対もあることを承知でかけなきゃならないのかということを、再三にわたって私、お尋ねしたけれども、この点についてはお答えはないんです。ですから、いま一つわからない。きょうも理事会でいいましたが、いま一つわからないということは、我が党の議会運営委員の皆さんにもご報告をしました。したがって、こういう質問になったということなんですね。
 問題の重要性にかんがみて、本当に各会派が、これは各会派の歴史の認識にかかわる基本の問題ですから、真摯にこの議論をするということであれば、まず反対があるのを承知でどうしてもかけたいという側が、なぜかけたいのか、それも本会議場になぜなきゃいけないのかということを説明し、それについて質問をして議論をするということは、それは当然のことだと私は思うんです。あえて、共産党選出の理事がろくすっぽ報告しなかったかのようにいわれましたからいいましたけれども、そういう経過なんです。

○三原委員 ちょっと話がもとへ戻って申しわけないんですけれども、どうして国旗を掲揚するのかということについて、提案理由を聞いていないというお話が突然出ましたけれども、それは、私なんかも普通の委員ですから、この場で提案理由を聞いてないというふうにいえば、それはそうだという理屈になるのかもしれませんけれども、それは理事会の経過報告を、再三にわたって我々委員が理事から受けていますから、どういう理由で自由民主党が提案したか。さかのぼれば本会議場で我が党の議員が、そうあるべきだという意見も開陳しておるわけですし、したがって提案理由をここで議論しなきゃいけないという話は、むしろ話を最初に戻してしまうということになってしまって、今まで、じゃ何のために理事会をやってこられたんですか、しかも何度も何度も。そういうことを踏まえて我々は議事進行していかなきゃいけないと思うんですね。じゃそれ以外のことだったら、今までどおりでいいのかって、そういうことをいっちゃいけないんで、今までは皆さん方のご提案だって、理事会でちゃんと話をして、そして委員会に諮っているじゃないですか。今回に限り理事会で議論したことは全部なしにして、平場の委員会の最初から議論すべきだというのは、自分の都合のいいことだけ使っちゃうということになってしまうんですよ。
 我々自民党の委員は、今までの何度か行われた理事会の状況報告を全部受けていますから、したがってこの平場では、そういった経過報告を受けた上で、委員長が提案されたことを粛々と審議、決定していけばいいんであって、国旗の法的根拠並びに歴史的経過についてまでこの委員会で議論をするんであるならば、委員長の権限でこの委員会は理事会にもう一遍差し戻していただきたい、こう思います。
〔発言する者あり〕

○川島委員長 ちょっと待ってくださいね。日の丸については、過去、きょうを含めて理事会で七回、各会派の意見をそれぞれ述べていただいて、そういう中で民主党さんが、かねては、国会の動向を見て都議会も決めたらいかがという発言で、それまでは自民、公明、無所属、この三会派は、東京都議会の議場に国旗を掲げることは賛成だという、そういう推移で流れてきたわけですけれども、きょう理事会で民主党さんの方から、議場に国旗を掲揚するに当たっては、東京都旗とともに議長席後方に三脚を立てて設置する、そのようなことでしたら結構ですという、こういう発言がございました。そういう中で理事会の大勢は、共産党を除いて各会派が掲げることに賛成という結論が出たわけです。そういう流れをくんで、そこで共産党さんだけが終始一貫して国旗を掲げるべきではないというスタンスが変わらず今日まで来て、しかも七割を超える賛成が得られたものですから、議会のルールに従って平場で採決をする以外、これは方法がないわけです、議会ルール、委員会ルールからいって。そしてきょうの平場で採決するということが理事会で決定して、そしてきょうの平場に実は臨んだわけです。これは委員長として、報告だけ皆さんにしておきます。

○大西(由)委員 生活者ネットワークも反対しております。

○川島委員長 それはよくわかっています。交渉会派としてというご意見でございますから。

○植木委員 僕は、きちっと我が党の見解を述べた上で、しかも理事会でのいろいろな討論を聞いた上で、さらに不明の点があるという思いから、共産党としての基本的な見解を述べ、そして幾つか疑問点はただしたいと思っています。
 先ほどは、別に議事を妨害するつもりではなくて、事実としてちょっと違うということを改めて問いただしたわけですけれども、まず私ども日本共産党の日の丸についての基本的な見解、議運ですから、改めて申し上げたいと思います。
 日の丸は、今のお話のように国旗として日本の政治の中であらわれていたというわけではないと思うのです。一八七〇年の決定というのも、陸海軍が掲げる旗として認められたという範囲内でありますから、しかもそれが太平洋戦争を初めとして侵略戦争の旗印、侵略戦争のシンボルとして扱われてきたということは、国民の中で非常に拒絶反応があることから見ても明らかであります。そういう意味で、国民の合意が基本的にあるとは私たちは考えておりません。
 それから、当時日本と一緒に同盟を結んだドイツやイタリアでも、戦前のそういう国旗については、現在使用していないという事実もございます。
 そうした上で、国旗・国歌が法制化されたということが、先ほどの松本委員のお話にありましたけれども、法制化を理由にしてというんですが、国民の中でこれだけ大きく意見が分かれて、しかも国民的論議が十分行われていないというふうに私は思うのです。国会でも、審議時間衆参合わせてもわずか二十八時間ですよ。これしか論議していないのに強行したという点では、全く国民的な論議をないがしろにしているし、幾ら法制化したからといって、むしろ国民的な論議はこれから大いに始まって論議が闘わされるというふうに私は考えています。
 国会の審議を通じても、その中身に、政府のいい分には全く道理がないということもこの間の議会の中で明らかになったにもかかわらず、都議会に押しつけてくるという点についても、私は非常に疑問であります。
 まず、政府の法制化する大義名分は、国民の間に定着しているということだったわけですけれども、参議院の論議のところに至っては、政府答弁では、定着していないから法制化するんだというふうに明らかに変わってきているわけです。そういうふうに政府の答弁も、法制化の大義名分がなくなってきている。そういう意味では、本来であれば撤回すべきだった、そういう性格のものです。
 それから、法制化によって、憲法第十九条にうたわれている「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」この問題についても論議がされてきたと思うのです。第十九条にうたわれている、思想及び良心の自由はこれを侵してはならないというのは非常に大事で、内心の自由は侵してはならないということが当然のことだとして、国会でも政府も答弁せざるを得なかったわけです。そういうことに照らしても、全会一致制のこの議運で無理やり強行するというのは、私はやはりやってはならないことだと思うのです。
 それから、法制化によって教育現場へ日の丸・君が代を強制する道具になっているということも、その後の経過を見ても非常に鮮明になってきているんです。結果として法制化されましたけれども、それは条文そのものを見ても、例えば国旗は日章旗とするというように、国旗・国歌のどういうものかということを示しただけで、政府も強制はしないと再三確認せざるを得ない、そういう性質のものであります。ですから、義務規定も罰則規定も設けられなかった。そういう国会審議の経過を見ても、意見一致を見ないものを無理やり押しつけてくるということは、やるべきでないと思います。
 こうした国会の審議が全く道理がなかったにもかかわらず、議会においてなぜ日の丸を掲揚するのかという理由が私はよくわかりません。提案者あるいは賛成する方々にも幾つか私も疑問の点を出しますので、答えていただきたいと思うのです。
 まず、議会の役割そのものが、都民のさまざまな意見を代表して議論をするという場、何ら政治的な拘束を受けることなく自由に論議をする場であります。まさにそういう意味では政党政治の根幹にかかわる問題ですから、そこに意見の分かれる日の丸を押しつけるということが、本当に矛盾を感じないのかどうか、議会の役割と日の丸の掲揚というのは相反すると私は考えていますが、どういう関係があるのかを明らかにしていただきたいというのが第一点です。
 それから、そもそも都議会の議場に掲げるということは、全議員が日の丸を、目の前にするのか、背にするのか、わかりませんけれども、質疑をするたびに、議長にあいさつをしたりするときには、日の丸に敬礼したのと同じことになっていく。で、日の丸を背に質疑をする。こういうことになれば、私はまさにそのことは日の丸を認めていない立場から見て反対だし、自民党は賛成しているからというかもしれませんけれども、自分の意思に反して日の丸に敬礼をする、礼をする、それで日の丸を背に質疑をする、このこと自体は、まさに内心の自由が否定されるものだと私は思います。都議会自民党は、内心の自由を認めないのか、なぜ内心の自由を否定するのか、この点も私ははっきりわかりません。
 それから、新聞報道によりますと、教育庁を批判して、学校教育の現場へ日の丸掲揚をやらせているのだから、都議会でも掲揚しないと示しがつかない、こういうのもいっているそうですけれども、それは全くの筋違いであり、二重の意味で問題だと思います。大体法制化される前から、処分をちらつかせて、教育現場へ日の丸を強要してきた。さらに法制化後は、校長先生を呼びつけて、処分をちらつかせるとか、退職をほのめかすなど、一層激しく実施率をあおってきていることもこの間の事実で明らかであります。
 そういう問題がある上に、都議会の日の丸掲揚を学校現場へ強制することを正当化する理由にするということは、さらなる問題でありますし、強制を行うということには私は絶対反対であります。そういう強制のために都議会に日の丸を掲揚するという理由だとすれば、そんな理由を主張すること自体が都民のひんしゅくを買うものだというふうに思うのです。改めてその点をご説明をいただきたい。
 それから、国会では、議場の掲揚について日本共産党や社民党が反対して、民主党も慎重な立場をとるなど、各党の意見が分かれて、決まらずに見送られた経過があります。法制化した国会でも掲げないのに、都議会で強行してはならないというふうに思います。これは地方分権とかということとは縁もゆかりもないものだと思います。もし逆に地方分権というのなら、意見が分かれている問題だからこそ、国がどうであれ、そういう正しくないものは間違いとして、むしろ掲揚すべきでない、そういう立場に、見識ある立場に立つべきだ。一致しないものを押しつけるというのは、私は不見識だと思います。
 それから、これは私自身の経験ですけれども、私自身の身内にも、日の丸に送られて戦争に行った、戦地で亡くなる、そういう点では、我が家では日の丸については非常にタブーになって、私自身も反対してきた理由の一つでありますけれども、そういう個人個人の意思が議会の中で、やはりさまざまな議論を闘わすという議場の場で、そういう自由も認めないのかどうかということも改めて問いただしたい。そういう点で、先ほどの理事会の、私もいろいろ説明を聞いたり、新聞報道によるものも聞いております、その上で見解と疑問点を呈しましたので、お答えいただきたい。
〔「答える必要ない」「質問しているじゃな いか」と呼ぶ者あり〕
〇松本委員 私たちの認識は、日の丸が日本の国旗である、こういう認識であります。国旗を議場に掲げてはいけないという理由そのものが私たちにはわからないわけであります。だから、国旗を都議会の本会議場に掲げたらああだこうだという理屈は要らない。日の丸、日本の国旗を議場に掲げて、日の丸の前できちっと都民の代表としての議論を交わす、そういう議会でありたい。日の丸は国旗じゃないとか、日の丸にはああだこうだ、こういったような、国旗についてああだこうだというような議論をするということは余り建設的なものでない、こう思っております。

○植木委員 むしろ私は、都議会というのは日本を代表する議会でありますから、意見の一致を見ないのを議運で決定する、そういうことをやるべきでないし、十分見識を発揮すべきだ。
 それから、今自民党にお答えいただきましたけれども、私は、公明党にも民主党にも無所属クラブの方にも生活者ネットの方にも、賛成の趣旨をお聞きしたいと思います。一通りきちっとお話しいただきたい。
〔「ネットの人は反対」「ごめんなさい、失礼」と呼ぶ者あり〕
〔「提案者じゃないんだよ、条例じゃないんだから」「でも、賛成、反対はあるわけでしょう」と呼び、その他発言する者あり〕

○川島委員長 何かほかの会派の方、意見のある方いらっしゃいますか。
〔「なし」と呼び、その他発言する者あり〕

○植木委員 現在まだ自民党と生活者ネットの意見しか私は聞いておりませんから、その賛否というよりも、なぜなのかというのが、やはり議運の報告を聞いても、私は、さっき五つの点述べましたけれども、わかりませんので、ぜひそれぞれ会派の方々に、責任ある態度をお願いしたいと思います。意見表明をお願いしたいと思います。

○大西(由)委員 生活者ネットワークの意見とおっしゃいましたけれども、はっきりちゃんといっておりませんので、一ついわせていただきたいと思います。
 法制化自体は認めております。しかし、今回の問題は、都議会の議場へ日の丸を持ち込むかどうかということに焦点を絞らせていただければ、私どもは、都議会の議場は多様な議論を闘わせる場で、多様な意見を持った議員が、抵抗感や圧迫感を持つことなく議場にいることができる場、それを保証するべきだと考えます。(発言する者あり)そういう意味では都議会も・・政策でも何でもなくて、これは主義信条にかかわる問題ですから、都議会では多様な意見を持つ価値観を尊重する意味では、価値観の押しつけにつながるシンボルは避けるべきだと考えております。
 もう一つ、外国人の雇用や地位等で、都を含めた自治体は、国とは異なった独自な施策をとることもできる場所です。そして国際化の視点からも、やはり議場での国旗は避けるべきだと考えております。(発言する者あり)
 もう一つ、都議会の議場のデザインは一言でいえば簡素で、儀式性や権威主義を排したものであります。そしてそれが活発な議論をこれまで促してきたと考えておりますので、その伝統をぜひ尊重すべきだと考えております。
 これが生活者ネットワークの意見です。

○植木委員 先ほど藤沢さんがちょっと、不規則発言の中だったので聞き取れなかったんですけれども、嫌ならば何とかすればいいといったんだけれども、嫌ならば例えば出ていけばいいなんという、そういうことだとすると重大問題だと思うので、どんなことを……。
〔「不規則発言を取り上げて正式な論議に持ち込むなんてことはあり得ないことですよ」「委員長、議事進行」と呼び、その他発言する者あり〕

○川島委員長 議事を進めます。
〔「会派意見いってないじゃないですか」と呼び、その他発言する者あり〕

○川島委員長 ちょっと待ってください。各会派の意見はありますかと委員長がいったわけですけれども、意見がないものを、意見をいえといっても、これは越権行為になりますから。

○木村委員 おれにも一度くらいやらせてくれよ。早く各会派やってくれよ、それでないと番が回ってこないじゃないか。

○川島委員長 各会派は、各会派意見ございますかと聞いて、意見が出てこないので……。
〔「先ほど議運で十分論議をしましたから」「ちゃんと都民の前ではっきりさせないと」と呼び、その他発言する者あり〕

○川島委員長 植木委員、簡潔に。

○植木委員 やはり正式な議運ですから、議事録に各会派の意見が載っていないということは、後ほどわからないと思うのです。どういう意見なのか、明確に発言していただきたい。

○川島委員長 発言がないようでございます。

○木村委員 ほかに発言がないんなら……。
 日の丸・君が代について平場で私の意見を申し上げるのは初めてでございますので、いわせてもらいたいと思います。
 君が代という歌そのものには罪はないと思うのです。あれは相手の長寿をお祝いする宴席の歌ですから。だけど、あれが天皇だというのは、その後明治政府がそういうふうにねじ曲げたから話はおかしくなった。
 日の丸もそう。日の丸も、デザインそのものはなかなかいいという意見もありますよね。それそのものは別に罪はない。しかし、その日の丸が背負っている歴史が問題です。そこが問題なんだと思うのです。(発言する者あり)ちょっと待ってください。日の丸は、戦争のシンボルなんです。戦争のシンボルとして使われてきた。私は、国民学校三年のときの修身で教わっているんですよ。日本の軍隊が攻めていって、占領したところに真っ先に立つのが、翻るのが日の丸です。それは学校の修身で教わってきた。国会の議論でも、戦争のシンボルとして日の丸が使われたということについては、野中官房長官も認めているんです。ですから、これが戦争のシンボルであったということは、少なくとも戦時中から生きてきた者については共通の認識なんです、自民党も共産党も。
 それであえてこの旗を掲げるということであれば、そのシンボルとされた戦争が正しかったのかどうかという歴史認識に到達せざるを得ない。だから、あの戦争が正しかったという立場の人はいるかもしれないけれども、その方は日の丸を堂々と掲げるということであろうと思うのですが、あの戦争が正しくなかったと思っている人は、日本の国民の多数なんです。東京都民の多数なんです。ですから、いまだに、法的には国旗として定められましたけれども、あの日の丸に抵抗感を持つという人が、都民の多数いるんです。その多数いるという現実のもとで、都民のすべてを代表する議場に日の丸を掲揚するということは、本当に多くの都民の内心のそうした抵抗感を、いわば圧するといいますか、強制するといいますか、そういうことにつながる。だから、私たちは反対なんです。
 戦争を正しかったと考えている方はいらっしゃると思いますけれども、都民全体からは少数ですから、その現実はご承知おきいただきたい。その上で、この都議会がどこの国の議会かわからぬと困る、外国のお客さんも来るということになれば、玄関に掲げてあるということで私は十分だと。なぜこの本会議場にかけなければならないのか、これは再三お聞きした。議場にかけなければこの東京都議会がどこの国の議会かわからないなんて考える都議会議員は一人もいないはずです。ですから、そういう意味で改めてご説明を求めたわけなんです。
 私は、そういう議論を徹底的に闘わすというのがこの場である。そして、きょうは平場ですから、多くの方々が聞いている。そしてここの議論が都民に発信されるということが大事だと思うのです。
 ところが、それぞれ党を代表しての意見もいわない。質問にも答えない。それで国旗を掲揚するというようなことを数で決めるとしたら、これは都議会としては自殺行為ですよ。(「そんなことないよ」と呼び、その他発言する者あり)本当ですよ。ここは議会運営委員会です。議会運営委員会は、平成九年にできた。いいですか。そのときに議会運営委員会の申し合わせが行われた。それは、会議規則と同等に扱われるように記録されています。そこの第一に何と書いてあるか。「委員会の運営は、議会の円滑なる運営の確保を目的として、各会派間の協議を尽くすことを基本とする。」これがこの委員会の第一の目的なんです。それが、質問されても答えない。何事ですか。そんなことで議会運営委員会といえるか。そういう意味で、きちっと議論してもらいたい。

○木内委員 私は、これまで行われました議論の経過の中で、共産党の委員から発言があって、各党答えろということに対応して申し上げるのではないことを、まず明言をしておきます。
 今回議論になっているテーマは、条例案でもなければ予算案でもない。いわば政治は結果責任であるとするならば、各政党がその賛否の姿勢に至るまで相当な議論を重ね、そして結論に至るまでの論議の積み重ねを行ってきて結論を得てこの場に臨んでいるわけであります。したがって、あたかも各政党が意見を述べないから、それが議会運営のあり方にもとるものであるというような発言は許しがたい。私どもは、党内の議論を経てここへ来ているわけでありまして(「党内で議論してればそれでいいのか」と呼ぶ者あり)当然不規則発言について私は議会においては答えるべきではないと思っておりますから、発言を続けますけれども、我が党がこの賛成をする理由については、明快に携えておりますけれども、しかし委員長、共産党の委員からの提案によって、その要請によって各党がその考えを明らかにする必要は、今断じて認めるわけにはいきません。委員長の決裁のもとに、この理事会において何がこれまで協議されて、この委員会が何のために開かれたかということは、既に明らかになっているわけでありますから、委員長のこの采配のもとに、委員会の運営をされることをまず申し上げておきます。
〔「異議なし」「議事進行」と呼び、その他発言する者多し〕

○植木委員 前回の委員会で協議をするというふうに取り仕切った委員長ですから、委員長の方から、再度各会派に意見の表明を求めていただきたい。
〔「必要なし」と呼ぶ者あり〕

○川島委員長 先ほどの発言で、委員長の方から、どなたか発言のある方は発言願いますというふうに私の方から申し上げました。

○植木委員 求めたときに答えなかったでしょう、木内さん、先ほど委員長が求めたら答えるといったのに、答えなかったんだから……。

○木内委員 私は、先ほど植木委員の発言をとらえて申し上げました。そうしたところ、今委員長に各会派の意見を聞くようにもう一回要請があった。それは、先ほどの植木委員の発言は議会運営上間違いだった、こういうことですか。
〔発言する者あり〕

○川島委員長 ちょっと待ってくださいよ。発言を求めて、発言者がいないのを発言しろというわけには、委員長はいきません。それ以上委員長の方から、発言をしたくないのに、いいから発言しろというような行為は、これはいかがなものか、こういうふうに思っていますので、これ以上委員長からは、あなたしなさい、あなたしなさいというわけにはいきません。

○植木委員 間違っているっていったから・・間違っているわけじゃなくて、私は、議運の多くのメンバーに求めたわけですよ。そういう意味では、別に求めることが間違っているということはありませんので、それは訂正していただきたい。

○村松委員 先ほど自民党さんの方から、今度の日の丸の掲揚の理由として、学校の方にもお願いした、そういうふうにいわれましたよね。日の丸・君が代、これは多分入学式、卒業式だと思うんですが、その学校の現場で今どうなっているか、そういうことをご存じですか。お聞かせください、自民党の人。

○川島委員長 きょうは議場への国旗の掲揚の問題で、学校への掲揚の問題をここで議論しているわけじゃないですから、それは教育庁の管轄の委員会か何かで、ひとつできたらお願いしたいと思います。

○村松委員 だって、今議場に日の丸を掲げるという中で、学校にもお願いしている、そういう話がありました。学校にお願いしているというのは、皆さんが委員会の中とか本会議場で、日の丸を掲げない、君が代を歌わないと、そういうふうにいって、今学校の現場というのは本当に混乱しているんですよ。(「してないよ」と呼ぶ者あり)それはあなた方知らないからなんですよ。(発言する者あり)日の丸・君が代を強制したために処分が起きているんですよ。そういう問題を知っているんですか。そういう問題があってやっぱり混乱をさせている、そのくらいこの問題は議論が二分している、そういうことなんですよ。
 憲法の第十九条にあるんですけれども、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」というふうになっているんですよ。日の丸を議場に一方的に掲げるということは、私たち議員一人一人が大勢の人の支持を得て来ているんです、そういう人の中には、本当に(「日の丸を掲げるぐらいでびくつく先生でもないでしょう」と呼ぶ者あり)そうじゃないんです。一人一人の心の中まで侵すという話になるんですよ。(発言する者あり)私たちは、あくまでやっぱり反対せざるを得ないということなんです。これはもう本当に・・それから、こんな議論で、こんな短期間の議論で、歴史的なこういう問題を処理すべきではない、そういうふうに思うんですけれども。

○川島委員長 ただいま意見のある方からはそれぞれ意見を伺いましたが、残念ながら全会派の一致には至りません。
 議場における都旗と国旗掲揚をあわせて採決を行います。(「そんなのおかしいよ。もっと議論すべきじゃないですか」「横暴じゃないか」と呼び、その他発言する者多し)
 本件は、起立により採決を行います。
 平成十二年第二回定例会から、議場に国旗及び都旗を掲揚することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕
〔発言する者多し〕

○川島委員長 起立多数と認めます。よって、本件は、掲揚することに決定いたしました。
 これは、委員長は、議運の理事会等々の経緯を見た中で、多くの都議会の議員の方々の賛成が多いということで、委員長の判断によって決定、決断をいたしました。(発言する者あり)
 なお、重ねて申し上げますが、国旗の掲揚方法につきましては、議場に国旗を掲揚するに当たっては、東京都旗とともに議長席後方に三脚を用いて設置するということでご了承願います。
〔「異議なし」と呼び、その他発言する者あり〕

○川島委員長 以上をもちまして本日の委員会を閉会いたします。
  午後三時三十分散会

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