行財政改革基本問題特別委員会速記録第十三号

平成十四年九月十日(火曜日)
 第四委員会室
 午後一時四分開議
 出席委員 二十一名
委員長川島 忠一君
副委員長大木田 守君
副委員長古賀 俊昭君
副委員長和田 宗春君
理事富田 俊正君
理事鈴木貫太郎君
理事吉田 信夫君
理事内田  茂君
山下 太郎君
長橋 桂一君
真鍋よしゆき君
松原 忠義君
相川  博君
遠藤  衛君
河西のぶみ君
新藤 義彦君
山崎 孝明君
大河原雅子君
渡辺 康信君
石井 義修君
木村 陽治君

 欠席委員 二名

 出席説明員
知事本部本部長前川 燿男君
次長森澤 正範君
企画調整部長渡辺日佐夫君
特命担当部長高島 茂樹君
企画調整担当部長中田 清己君
国政広域連携担当部長熊野 順祥君
自治制度改革担当部長幡本  裕君
総務局局長赤星 經昭君
総務部長高橋 和志君
行政改革推進室長島田 健一君
IT推進室情報企画担当部長木谷 正道君
IT推進室電子都庁推進担当部長遠藤 秀和君
人事部長山内 隆夫君
行政部長反町 信夫君
勤労部長大塚 孝一君
財務局局長田原 和道君
経理部長佐藤 兼信君
主計部長松澤 敏夫君

本日の会議に付した事件
 行財政改革の基本的事項についての調査・検討
  報告事項(質疑)
  ・自治制度改革の論点整理
  (3)新しい時代にふさわしい税財源のあり方について

○川島委員長 ただいまから行財政改革基本問題特別委員会を開会いたします。
 先般の人事異動に伴い、所管局長及び幹部職員に交代がありましたので、紹介いたします。
 まず、知事本部長に前川燿男君が就任いたしましたので、あいさつ並びに交代のありました幹部職員の紹介があります。

○前川知事本部長 さきの七月十六日付で知事本部長を命ぜられました前川燿男でございます。
 委員長初め委員の皆様方のご指導を賜りながら、地方自治制度改革を初めとする所管事業に鋭意取り組んでまいりたいと存じます。ご指導、ご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。
 ここで、さきの人事異動により交代のありました当本部の幹部職員を紹介させていただきます。
 次長の森澤正範でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
〔理事者あいさつ〕

○川島委員長 次に、総務局長に赤星經昭君が就任いたしましたので、あいさつ並びに交代のありました幹部職員の紹介があります。

○赤星総務局長 七月十六日付で総務局長に就任いたしました赤星經昭でございます。
 川島委員長初め委員の皆様方のご指導を賜り、行財政改革のさらなる推進に取り組んでまいる所存でございます。今後とも一層のご指導、ご鞭撻のほどをお願い申し上げます。
 それでは、ここで、さきの人事異動に伴いまして異動のございました当局幹部職員を紹介させていただきます。
 IT推進室情報企画担当部長の木谷正道君でございます。IT推進室電子都庁推進担当部長の遠藤秀和君でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者あいさつ〕

○川島委員長 次に、財務局長に田原和道君が就任いたしましたので、あいさつがあります。

○田原財務局長 先般の人事異動で財務局長となりました田原和道でございます。
 川島委員長を初め委員の皆様方のご指導をいただきながら、財政構造改革に全力を尽くしてまいります。
 今後ともご指導、ご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。
〔理事者あいさつ〕

○川島委員長 あいさつ並びに紹介は終わりました。

○川島委員長 これより、東京の将来像を展望し、社会・経済情勢の変化に柔軟に対応する都政を実現するため、行財政改革の基本的事項について調査・検討を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、自治制度改革の論点整理の中から、新しい時代にふさわしい税財源のあり方についての質疑を行います。
 資料の要求は出しておりませんので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○真鍋委員 東京及び首都圏における自治制度の改革については、昨年十月に本特別委員会が改めて設置されて以来、調査検討を重ねてまいりました。また、本年度は、委員会の審議事項に沿って、これまで、新しい時代の行政の役割、首都圏自治体のあり方、住民自治の拡充、民間との協働、そして大都市行政制度のあり方などについて質疑を重ねてまいったわけであります。
 繰り返し申し上げますが、これからの時代は都市の時代であります。我が国を代表する大都市である東京は、世界的な都市間競争に勝ち抜き、首都圏再生、ひいては日本の再生を図るために、都市の機能を一層強化し、世界じゅうから人、物、金、情報を引きつける魅力ある世界都市東京をつくる必要があります。
 また、そこに住む都民にとっても暮らしやすい都市とするため、生活環境や安全性の強化を図る必要があります。このような産業と生活の両面から都市再生を図るため、さまざまな都市基盤や生活基盤の整備を図る必要があります。
 このような都市再生の取り組みは、大都市における行政主体である都と特別区が協力して、主体的かつ総合的に実施していくことが必要であることはいうまでもありません。
 都市計画などの権限も、分権改革によって自治体の自治事務となりました。これは、いうまでもなく都市づくりは地方自治体が行うべきであることを意味しております。そのためには、都市づくりを地方自治体が一元的に行えるよう、分権によるさらなる権限拡充が必要であります。
 しかし、都市づくりを進めるに当たって今最も重要なのは、事業を行うための財源であります。都市再生のためには、国費を重点的に投入することも重要でありますが、それと同時に、自治体が自主的、主体的に都市づくりを進めていくことも一層重要となります。そのためには、国からの税源移譲など、地方税財源の充実強化が不可欠であります。
 この税財政の問題は、さきの分権改革の残された課題であり、抜本的改革に向けて最優先で取り組まなければならないものであることはいうまでもありません。
 都においては、税財政制度については、みずから発信すべく都税調を立ち上げ、税財源移譲や法定外税の提案など、これまで三回の答申をまとめてきました。取りまとめに当たりましては、我が党の内田理事が都税調の副会長として尽力されたものであります。
 本日は、何よりも重要な地方税財政制度のあり方について質疑を行ってまいりたいと思います。
 そこでまず伺います。都として、中長期的視野で自治制度の見直しを進める上で、税財政の問題についてどのように考えるべきか、まずお伺いをいたします。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 自治体が自主的、主体的に施策を展開する地方主権を確立するためには、みずからの責任、みずからの財源で行財政運営を行うことが基本であり、その観点から地方税財源の充実確保、すなわち、税源移譲を実現していく必要があります。
 また、あわせて国庫支出金、地方交付税の抜本的見直しも不可欠と考えます。

○真鍋委員 この地方税財政の問題については、国の動きはこれまで鈍く、これといった進展は見られませんでした。しかし、ことしの五月に、経済財政諮問会議で片山総務大臣が「地方財政の構造改革と税源移譲について」という試案を提出したのを契機に、ここに来てようやく国も議論を本格的に進めつつあるように思います。
 そこで、確認の意味で伺いますが、片山試案以後の最近の国における主な動き、議論についてお尋ねします。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 経済財政諮問会議に提出されたいわゆる片山試案は、国庫補助負担金の整理合理化で生み出された約五・五兆円を地方税に振りかえるという案でございます。その後六月に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二」では、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で検討し、改革案を今後一年以内を目途に取りまとめることとしております。
 これを受けまして、内閣総理大臣指示により地方分権改革推進会議において議論を進め、三位一体の改革につながる国と地方の事務事業のあり方、国庫補助負担金の廃止等に関する原案を、十月を目途に作成することとなっております。
 また、第二十七次地方制度調査会でも、地方分権時代にふさわしい税財政基盤の確立を含めて審議を開始しておりますが、同調査会の諸井会長は、来春を目途に中間報告をまとめたい意向とのことでございます。

○真鍋委員 今のお答えのように、片山試案以降、さまざまな動きがあるわけでありますが、基本方針二〇〇二を読みますと、片山試案とはかなり基本的なスタンスが異なるようにも思います。
 そこで伺いますが、片山試案と基本方針二〇〇二とはどのような関係にあるのでしょうか。また、国の税財政制度をめぐる議論の特徴はどこにあるのでしょうか、お尋ねします。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 片山試案が税源移譲をもっぱら国庫補助負担金の整理縮小によって行おうとし、地方交付税の改革を先送りしているのに対し、その後閣議決定されました基本方針二〇〇二では、税源移譲、国庫支出金、地方交付税制度をあわせて三位一体の改革を行うことが明確になっております。また、国の税財政制度の議論に一貫しておりますのは、国、地方を通じた全体としての歳入中立が前提となっているという点でございます。

○真鍋委員 国の議論の方向はわかりました。
 税源移譲というと、地方の税収がふえ、地方の財源が豊かになるかのような印象がありますが、歳入中立ということですから、その分、国庫補助金などが削減されるわけであり、直ちに地方総体での財政状況が好転するわけではないのであります。財政再建の取り組みは依然続けていかなければならないことはいうまでもありません。
 さて、こうした国の議論も踏まえ、都としても、地方主権確立の観点から、税源移譲、地方交付税、国庫支出金をあわせた三位一体で地方税財政制度の改革を考えていく必要があると思います。中でも税源移譲は特に重要であります。しかし、単純に進むとも思えません。財務省は基本的に反対の立場であります。国、地方ともに大幅な赤字を抱えている中で税源移譲は無理ということでありますが、思い切って財政構造改革を進めなければ、税源移譲はいつまでたっても実現しないことになります。都としても積極的に国に働きかけるとともに、みずから改革の提案を行っていくことが重要であります。
 その点について東京都では、平成十二年の都税調答申で、税源移譲シミュレーションを行い、これに基づき税源移譲案を出しております。その内容はご存じのとおりだと思いますが、国庫補助負担金の削減で三兆七千億円、地方交付税の抜本的見直しで三兆五千億円、合計七兆二千億円を捻出し、その分の所得税、消費税、国たばこ税を、個人住民税と地方消費税、地方たばこ税として地方に移譲するというもので、現実的な三段階に分けて行うということであります。この結果、国税と地方税の比率はほぼ一対一になるとしています。
 都税調の提案は、国庫補助負担金や地方交付税の問題点を含めて総合的に検討した、当時としては先駆的な試みであり、先ほどから取り上げてきた国の改革議論を先導しているものと思います。現在でも、都として税源移譲を考えていく上で、一つの指標、指針となり得るものであると思います。このように、税源移譲については、国の動向も注視しながら考えていく必要があります。
 そこでまず、国から地方への税源移譲を進める上では、地方交付税についても見直しが不可欠であります。地方交付税は、地方自治体の財源の均衡化を図り、地方交付税の交付の基準の設定を通じて地方行政の計画的な運営を保障するため設けられた制度であります。地域の自立、地方の個性ある発展を目指すためには、ある程度の財政力均衡化は必要であり、その手段として財政調整は必要となると考えられます。
 この財政調整の仕組みとして地方交付税制度があるわけですが、しかし、この地方交付税制度にしても、財政需要のとらえ方や、政府予算における地方交付税総額の確保など、さまざまな問題があることがかねてから指摘されております。
 このため、まず、現在の地方税財政制度の大きな柱である地方交付税制度に内在する根本的な問題を明らかにしていく必要があるわけです。
 そこで伺いますが、現行の地方交付税制度の問題点について都はどのように認識しているんでしょうか、お尋ねします。

○松澤財務局主計部長 お話のありました地方交付税制度は、昭和二十九年度の制度創設以降、全国の地方自治体に対しまして、財源保障によるナショナルミニマムの確保と財政力格差の均衡化を図るという一定の役割を果たしてきたわけでございますが、既に半世紀近くが経過しておりまして、その仕組みには制度疲労ともいうべきひずみが生じてきております。
 地方交付税制度における現在の問題点としましては、まず一つには、交付税は、本来の目的を超えて財政支出を拡大させてきたため、地方が国に依存する姿勢が助長される一方で、地方自治体の自立的な財政運営が阻害されていること、二つには、財政調整機能あるいは財源保障機能という本来の役割を超え、国による景気対策や政策誘導の性格が強まってきておりまして、いわば補助金化しつつあること、さらには、地方交付税の総額を確保するため、これまで多額の借り入れを行ってきたため、交付税特別会計には四十六兆円にも上る巨額の借入金残高が存在しておりまして、しかも、その三分の二は地方負担となってきていることなどが主に挙げられるところでございます。

○真鍋委員 ただいまの答弁のように、地方交付税制度にはさまざまな問題があり、抜本的な改革をしていかなければならないと思います。
 そこでさらに伺いますが、地方交付税改革の今後の方向性についてどのように考えているのか、お尋ねいたします。

○松澤財務局主計部長 地方交付税制度の改革に当たりましては、現在、全国で三千二百六十五の地方自治体のうち、ことしの算定結果でも、不交付団体はわずか百五ということで、ほとんどすべての団体が交付税に依存している現状を改めまして、何よりも地方の自主財源を強化していくことが必要でございます。
 また、交付税を通じまして国が経済あるいは景気対策などにより地方を誘導する方式を早急に是正していくことが強く求められております。そのためには、税源移譲などにより地方税の拡充を図るとともに、それにあわせまして、地方交付税が本来果たすべき役割や交付税総額の真に必要な水準までの縮減など、抜本的な見直しを行う必要があると考えてございます。

○真鍋委員 都道府県では唯一の地方交付税不交付団体である都と他の道府県とでは、利害も対立します。しかし、都は都として交付税制度の問題点を整理し、本来的な財政調整のあり方を提起することが重要であると思います。
 なお、こうした地方交付税の将来的な見直しを求めることと並んで、個々の問題についても取り組んでいかなければなりません。こうした視点から、我が党の山崎幹事長も、ことしの予算特別委員会において、特別交付税の問題点を指摘したところであります。
 ご存じのように、特別交付税は、普通交付税の算定で捕捉されない特別の財政需要や、災害等により財政需要の生じる団体に交付されるもので、一般の市町村においては、交付団体、不交付団体の別にかかわらず交付されるものであります。ところが、特別区の区域を一つの市とみなして行う東京都大都市分の算定に当たっては、道府県分との合算規定が適用され、しかも、道府県分と大都市分の財源超過額を控除するという特別な算定方法がとられております。このため、都区を合わせて巨額の財源超過額があるとみなされる現状では、事実上特別交付税は受けられない仕組みとなっているのであります。
 引き続き国に対して速やかに改善を求めていくべきであります。
 続いて、国庫支出金の問題についてお尋ねします。
 国庫支出金には、義務教育費など国が義務的に支出する国庫負担金、新規事業の奨励や財政援助の目的で交付される国庫補助金、国会議員選挙など国の行うべき事務を地方が行う場合に交付される国庫委託金の三つの類型があるわけでありますが、今回取り上げられるのは、国庫負担金と国庫補助金であります。国の税源移譲案でも都の案でも、税源移譲を行う場合に、まず国庫補助負担金の整理縮減が必要とされているわけであります。
 そこで伺いますが、税源移譲に伴う国庫補助負担金の削減について都はどのようにお考えなのでしょうか、お尋ねします。

○松澤財務局主計部長 国庫補助負担金の総額は、平成十二年度決算ベースで約十四兆円にも上っておりまして、地方交付税と並び、国からの移転財源の柱となっているところでございます。こうした財源配分を通じまして、国の各省庁の縦割り行政により、地方に対し過度に関与することになりまして、地方の自主的な行財政運営が阻害されることになっております。
 このため、都としましては、都税調の答申にもございますように、国庫補助負担金を縮減して地方への税源移譲の原資とする見直しを、今後積極的に進めるべきものと考えております。
 ただし、国庫補助金と国庫負担金とは、ご案内のとおり性格が異なっておりますので、見直しに当たりましては、国庫補助金は基本的に廃止し、国庫負担金は、事業のあり方を十分検討した上で、真に国が義務的に負担を負うべき分野に限定するなど、その区分に応じまして積極的に整理合理化を図ることが必要、このように考えております。

○真鍋委員 今ご答弁の中にもありましたけれども、国庫補助負担金については、地方分権の観点からもさまざまな問題が提起、指摘されております。特に国庫補助金は、いわばお仕着せの仕事を地方が行うこととなり、地方の企画立案能力を阻害し、地方自治体の主体性や自主性を損なう場合が多いと思われます。また、補助金の使途に縛りがあること、手続が煩雑であることなどの問題もあります。
 国においても根本的な見直しには至っておりませんが、一つの取り組みとして、統合補助金の創設が打ち出されております。統合補助金とは、従来、個別の事業箇所ごとに補助金を申請し、採択してきたものを改め、そのような箇所づけは都道府県などにゆだね、まとめて申請するようにしたものであります。つまり、自治体の補助申請に要する手続の軽減、自治体の裁量の拡大などを目的にしている制度ということであります。
 しかし、この統合補助金の創設で自治体の裁量の幅が大幅に拡大したかというと、余りそういう話は聞かないのであります。例えば、国による箇所づけは廃止されたものの、それ以外の手続は従来のままで、膨大な資料を要求されたり、相変わらず複数の部局と調整が必要となる例があるなど、補助金事務の煩雑さは解消されていないと聞きます。
 そこで伺いますが、地方分権の観点から、統合補助金はまだ改善の余地があると思いますが、見解をお尋ねします。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 統合補助金につきましては、地方六団体のアンケート結果などを見ましても、いまだ手続が煩雑であるなど、従来の個別補助金と大差ないとの回答が半数を占めております。地方の裁量の拡大と手続の簡素化という制度本来の趣旨に基づき、より使いやすいものにしていく工夫がこれからも必要と考えます。

○真鍋委員 今の答弁のように、分権の観点からいっても、統合補助金の一層の改善が求められるものでありますが、統合補助金で国庫補助負担金の問題を終わりにしてはならないと思います。やはり税源移譲をにらんで、抜本的な見直しが必要であると思います。
 そこで伺いますが、国庫補助負担金については、地方分権を進めるという観点で見直しをしていくべきと考えますが、都の見解をお尋ねします。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 国庫補助負担金につきましては、全国一定水準の行政を行う上で一定の効果があるとは思います。しかし、国庫補助負担金の対象となる事業は補助条件が詳細に取り決められているため、地方自治体が施策の内容を工夫することや、政策立案能力を高めることを妨げているなどの弊害が指摘されております。
 また、国の縦割り行政が地方行政に持ち込まれることや、国と地方の責任分担が不明確になるなどの弊害があり、中長期的には、国と地方の役割分担のあり方の見直しに合わせ、廃止、縮減について検討していく必要があると考えております。

○真鍋委員 さて、以上のとおり、都としては、税源移譲と地方交付税、国庫補助負担金の見直しによる地方税財政制度の抜本的改革を実現するため、取り組んでいくべきであると考えます。しかし、地方税財政制度、特に税源配分のあり方を考える上で、ここに一つの大きな課題が存在しております。それは、全国的に見れば税源が偏在しているということであります。
 報道によれば、最近、全国知事会でも、税源移譲シミュレーションを行ったようであります。それによると、国と地方の税収比率を一対一にすると、他の道府県がそれほど増収が見込まれず、減収となる団体も多い中で、都だけは約一一%、国と地方の税収比率を四対六にすると、約一九%増と、東京ひとり勝ちの結果になるとされております。地域的偏在がなるべく少なくなるよう税目や税率を設定したとしても、格差をなくすことは難しいのが現実であると思われます。このため、税源移譲などについて、他の道府県は、もろ手を挙げて推進するという姿勢がないように見受けられるのであります。
 片山試案が地方交付税の問題に踏み込まないのも、日本全国同じように発展させなければならないという認識で、税源移譲を行うと拡大する地域間の税収格差を是正するため、地方交付税は極力残すという姿勢であるからだと思います。確かに東京だけが突出して財政的に改善されることは、東京都の孤立を招き、現実的な改革の動きに障害となるおそれもないわけではありません。しかし、地方が本気で自立するなら、ある程度の格差は受け入れて、地域みずからが困難を克服する努力を行うことが必要ではないでしょうか。
 この点で小泉首相は、地域間格差は出て当然との考えで、半分は不交付団体とすべきとの意見を表明しております。また、これからの社会経済状況を思うと、全国的に見て最も効率的な資源配分を行うということがもっと重視されるべきであり、そうであれば、大都市に財源を配分することは、十分合理的であると思います。しかし、現在の国における議論を見ると、そのような方向とは正反対の主張がされていることに、深い憂慮の念を覚えるものであります。
 第二十七次地方制度調査会専門小委員会の議事録を見ますと、税源移譲で生じる地域間税収格差を埋めるため、国庫補助金見直しを行うときに東京都への補助金を減らし、財源調整をしていくなどという考え方が総務省の側から示されております。現在でも都を富裕団体視し、義務教育費国庫負担金の調整など不当な財源調整が都に対しては行われております。こうした考えが今後税源移譲の実施においても適用されるおそれがあります。このような東京たたき的な発想は、断固排除する必要があると思います。
 そこで伺いますが、三位一体の改革ということから、交付税をもらっていない都だけが歳入増になるとして、都に対する何らかの財源調整が必要という議論が出てくることも懸念されますが、どのように反論していくべきとお考えでしょうか、お尋ねいたします。

○松澤財務局主計部長 地方交付税や国庫支出金といった移転財源を通じまして国が地方の行財政運営をコントロールする現行の制度は、東京都など大都市圏から上がった税収をもとに地方圏に傾斜した財源配分が行われる、このような図式になっているわけでございます。
 一方、大都市特有の財政需要に対する財源の配分は極めて不十分なものとなっており、また都は、お話もございましたように、地方交付税の算定上、巨額の財源超過額があるとされ、国庫支出金などについて減額措置を受けるなど不合理な状況となっているところでございます。
 こうしたことから、国から地方への税源移譲に当たりましては、首都圏の再生や環境対策など膨大な大都市特有の財政需要に的確に対応するため、東京を初めとする大都市への税源配分に十分配慮することが不可欠でございます。このため、今年度の国への提案要求においては、こうした主張を新たに盛り込んだところでございますが、今後とも都議会の応援をいただきながら、あらゆる機会を通じて強く訴えていく決意でございます。
 また、共通する課題を抱える大都市圏の他団体とも十分連携を図りながら、この点について強く反論していく考えでございます。

○真鍋委員 税源移譲が実現しても、大都市部への調整措置により都の収入がふえないのでは、意味がありません。大きな制度改革の流れを通じて実をとる努力も必要であります。これからも、国の動向を注視し、不当な財源措置がなされないよう、都の主張をこれからも粘り強く行っていく必要があります。
 これまで、国から地方への税源移譲など、地方税財政制度の改革の動きを明らかにしてまいりましたが、国と地方間の関係だけではなく、地方自治体みずからが知恵と工夫で財源を確保していくことも、同時に進めていかなければならないことはいうまでもありません。このため、法定外税など自主課税の取り組みも重要であります。都は既に都税調などで提案し、実行に移しております。しかし、課税自主権の行使といっても、地方税の税目や税率は地方税法で事細かに定められており、地方の主体性は極めて乏しいのが現状であります。
 そこで伺いますが、地方の実情に応じて税のあり方の多様性を認めることも必要であり、地方税法では大枠だけを定め、条例に大幅に委任するような形態に改めるべきではないでしょうか。都の見解を伺います。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 現在の地方税制では、法令によって課税標準や税率などの課税要件が厳密に規定されておりますので、各団体は、地域の実情に応じ、自主的に課税を実施することが難しい状況にあります。このため、国による全国一律の詳細な規定のあり方を見直して、地方の行政需要に合わせ、自治体が責任を持ってより一層独自に課税のできる仕組みとしていくことが望ましいと考えられます。

○真鍋委員 中長期的にはそのような方針で制度改正を目指していくとしても、現行制度における現実的な取り組みを積み重ねていくことも重要であります。自主課税の取り組みとしては、超過課税や法定外税などがあります。特に法定外税については、分権一括法で目的税が創設されたこともあり、注目されております。
 そこで伺いますが、全国的にさまざまな法定外税の取り組みが行われていると思いますが、実例と、問題点はどうなっているのか、お尋ねいたします。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 法定外税としましては、都の宿泊税、山梨県河口湖町などの遊漁税、三重県の産廃税などさまざまなものが提案され、実施されております。
 問題点としましては、法定外税では大きな税収が期待できないこと、また選挙権のない企業や他の地域の住民を対象としているものも多いなど、当該地域の住民がひとしく分担するという地方税本来のあり方からは問題があるとの指摘もあることなどが挙げられます。

○真鍋委員 今の答弁を伺いましても、法定外税はあくまで補助的なものにとどめていかざるを得ないように思います。また、地域住民が広く負担を分かち合い、自治体経営を行うという観点からは、選挙権を持たない法人を対象とした法定外税のあり方も今後さらに考えていく必要があると思います。
 民主主義の社会にあって、住民に負担を求めていくということは、非常に覚悟が要ることであります。サービスが変わらないのに、税負担だけがふえることに住民が納得するかということにもなります。しかし、そのような困難を逆にばねにするという考え方もあると思います。税負担が高まれば、それだけ都の行政改革への取り組みやサービスに対する住民の関心も高まり、監視の目もなお厳しくなります。そして、今まで以上に都政の効率的な運営を実現するという効果もあると思います。もちろん、税の問題は社会経済に対する影響も極めて大きく、大きな政治の課題ともなります。地方税制度のあり方については、中長期的な視点からさらに深く検討すべき課題と考えるものであります。
 次に、地方債の問題に入りたいと思います。地方債は、一会計年度を超える地方自治体の債務であり、支出と負担との年度間調整を行って計画的、効率的な財政運営に資すること、住民負担の世代間の公平を図るなどの機能を持っており、地方債の重要性は今後も大きいものがあると考えます。
 地方債をめぐる環境は大きく変化しようとしております。例えば地域住民から調達するミニ公募債など、形態も多様化しつつあります。また、地方債に関する国の関与についても見直しをしていく必要があります。
 従来地方債は、国の許可制のもとで、国の定める地方債計画に基づき自治体の資金調達の大枠を取り決めるなど、自治体みずからの判断と責任による起債はできませんでした。この起債許可制は当分の間とされながら、半世紀余りも存続しており、中央集権の象徴のような制度でありました。さきの分権一括法により起債の許可制度が廃止され、平成十八年度から協議制が施行されることとなったのは一歩前進であります。しかし、許可が廃止されたとはいえ、総務大臣との協議という関与の手続は残ったわけであり、そのために要する書類や事務手続の煩雑さが懸念されるところであります。
 また、そもそも地方分権一括法が施行された平成十二年ではなく、十八年まで先送りされたことは大変遺憾であります。起債許可の完全撤廃が確実に実現されるよう監視していく必要があります。
 さらに、許可制が廃止された後も、依然、地方債計画や地方交付税制度による国の関与と保護のもとの暗黙の保障により、債務不履行を回避する仕組みが設けられています。総務省の地方債課では、日本がある限り、絶対に地方債は破綻させないといっていると報道されています。このことは、自治体にとっては国に頼る意識を温存する結果ともなると思います。
 そこで伺いますが、我が国経済は、自由化、グローバル化の方向で変化しています。国の暗黙の保障にいつまでも頼るのではなく、自治体の自己責任に基づき、みずからの信用力を高めることによって資金調達を行う仕組みをつくり上げることが重要ではないかと考えますが、見解をお伺いします。

○松澤財務局主計部長 これまで各地方自治体は、ただいま委員のご指摘のとおり、地方債許可制度のもとで、償還財源の交付税措置あるいは政府資金の供給など、国の保護に依存しながら資金調達を行ってきたわけでございます。しかし、金融再編、あるいは債券市場の自由化、競争化の中で、十八年度からの協議制の移行に伴いまして、これからは、地方自治体が民間資金から調達する起債発行に当たりましては、国の財源補てんなどの保障的な枠組みから脱却しまして、自己責任を基本とする方向に進むことが必要となってきております。
 その場合、各地方自治体の発行は、市場、いわゆるマーケットからの評価がポイントとなりますので、財政の健全化やIR活動、いわゆる投資家向けの広報活動でございますが、こういうものの充実など、自己責任に基づいて信用力を高める努力を重ねながら、安定的かつ有利な資金調達を行うことが極めて重要であると、このように考えております。
 なお、東京都におきましては、これまで、いち早く流動性を確保しながら、市場公募債に重点を置いた資金調達を行ってきたところでございまして、今後とも、今回の東京再生都債の発行のように、より一層自立的な起債発行に取り組んでいきたいと考えているところでございます。

○真鍋委員 自治体の財務能力強化も重要でありますが、そのほか資金調達の多様化に対応して自治体として取り組まなければならない課題も多いと思います。都のような団体は、基本的には市場を通じて資金調達していくべきであります。先ほどもお答えがございました。そのため、みずからの財務状況について情報公開を進め、説明責任を果たしていくことが必要であります。
 また、財政投融資の原資自体に大きな伸びが見込めない中、地方債の償還年限を多様化するなど、債券の商品性を向上させることや、プロジェクトファイナンスの仕組みの導入など、多様な資金調達手段を開発することが期待されます。
 このように、都のような団体は、国の関与も排し、独自に市場から資金を調達する個別発行の方向に進むことも可能でありますが、基礎的自治体など規模の小さい団体にとっては困難であることも事実であります。小規模な自治体でも安定的な資金調達が可能となるような仕組みが必要であると思います。
 資金調達の話だけではなく、調達した資金をどのように管理するか、また、どのように運用するかという資金管理、資金運用の仕組みも考えていく必要があります。これからは、お金の流れを総合的にとらえて自治体運営を行っていくことが重要であります。
 これに関しては、既に都は、東京都におけるポートフォリオとこれに基づく今年度の資金計画をまとめたところであります。ポートフォリオについては、都の歳計現金と基金を安全に効率よく運用していくためにどのような投資対象を組み合わせて分散投資していくか、その具体的な資金配分基準をまとめております。都が先導的にこのような取り組みを行ったことは、高く評価できるものであります。
 さて、これまでの質疑を積み重ねてきて、首都圏自治体のあり方を中長期的にとらえ、描くことが重要であることがわかりました。これからは、これまでの資金調査検討を踏まえ、国の制度改革に影響力を行使できるよう、広域的自治体や大都市制度を含めた首都圏自治体のあり方とそのための制度改革の提案をしていかなければならないのであります。国の動きは思いのほか急であります。分権改革を初めとした改革の流れは、とめようもない大きな時代の流れであります。都の自治制度改革の取り組みも、こうした国や社会の動きを的確にとらえ、取り組んでいかなければなりません。都議会としても、政治の立場から、関係者とも協議して真剣に取り組んでまいりますが、執行機関の側も、全力で改革の実現に向けて取り組んでいただくことが必要であります。
 そこで、最後になりますが、これまでの議論を踏まえ、税財政の課題について、都としてどのように国に働きかけ、動かしていくのか、総合的な取組方針と決意について、知事本部長及び財政担当の財務局長に伺い、私の質問を終わります。

○前川知事本部長 ただいまご議論いただきましたとおり、自治体がみずからの財源と責任で行財政を運営するためには、地方税源の充実確保が不可欠でありますが、さきの分権改革では、ご承知のとおり先送りになっているわけであります。
 また、国でもようやく議論が始まりはしましたけれども、これもご指摘がありましたとおり、東京ひとり勝ち論が依然として根強く、税源移譲とあわせた不合理な財源調整などが東京都に対してなされるおそれがあるわけであります。これはまことに問題でありまして、東京には一方で、都市基盤整備や環境、防災、福祉など、大都市特有のさまざまな課題が山積しております。しかしながら、他方で東京には多彩な人材、あるいは力のある産業、多様な産業、こうした集積があるのも事実でありまして、都としては、こうした東京のポテンシャルを生かしながら、大都市特有の行財政需要に対応するとともに、東京にふさわしい施策展開を図る必要があると考えております。
 そのためには、大都市の財政需要が的確に反映をされた、また自主的な施策展開が可能となる地方財政制度を確立する必要があり、税源移譲につきましても、こうした考えに立って改革を実現されるよう、七都県市など他団体とも連携をしながら、あらゆる機会を通じて国に強力に働きかけていく考えでございます。

○田原財務局長 真の地方主権を確立するためには、地方税財政制度の抜本的な改革が不可欠であります。また同時に、地方の側におきましても、これまで以上に責任のある財政運営が求められると考えております。現在、国から地方への税源移譲、地方交付税の見直し、それと国庫補助負担金の削減をあわせました三位一体の改革の議論がようやく本格化してきたところでありますが、国の省庁間には意見の不一致が見られます。
 また一方、地方交付税の見直しをめぐっては、地方自治体間の足並みが必ずしもそろっておりません。このままでは実現までになお時間を要する状況になっております。
 都といたしましては、まず地方への税源移譲を進めるという基本的な姿勢に立ちまして、改革の早期実現を求めるとともに、東京を初めといたします大都市が抱える膨大な財政需要に的確に対応する税財源の充実の必要性につきまして、七都県市などとの連携も図りながら積極的に発言をいたしまして、国に対し強く働きかけてまいります。

○鈴木委員 私の方から何点か、きょうの議題は、これからの税財源のあり方というテーマでありますから、最も重要な一つの論になると私は思います。
 真鍋委員からも基本的な問題が既にもう出ていますので、ダブる、ダブらないはともかく、その他の部類について何点か、確認の意味を含めてお伺いをさせていただきたいと思うのであります。
 私は、民主主義の根本は税制であると思っています。古来、どう為政者が住民からこれをとるかという、これでいつも論議があったわけですね。タックスペイヤー、納税者の立場から、国民一人一人に視点を置いた分権化論、これを私はきちっとすべきだと思います。その証拠に、ちょうど今、分権論議と同時並行で進んできた介護保険制度、問題は多々ありますけれども、これは、地方分権を進めていく私は一つのレッスン場だと思っていますし、これをどう成功させていくか、これが一つのキーポイントに私はなるとずっと見て、分析をしながら考えてまいりました。
 そういうこともあって、まず基本認識について都の見解を、先ほども若干出ておりましたけれども、より具体的に伺いたいのでありますけれども、第一番目でありますが、現在の地方分権というこの大きな流れ、地方税財政制度の改革が強く求められている根源的な理由、これをやはりもう一度都の方でえぐり取ったお答えが私はまず必要ではないのかなと思っております。お答えいただきたいと思います。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 平成十二年四月に地方分権一括法が施行されましたが、肝心な地方税源の充実確保は依然として先送りされております。分権型社会を実現するためには、地方自治体がみずからの財源とみずからの責任に基づいて行財政運営を行う地方主権を確立することが必要でございます。そのため、国から地方への税源移譲を推し進め、国からの移転財源である地方交付税や国庫支出金に大きく依存する現行の地方税財政制度を根本的に見直していくことが必要となっております。

○鈴木委員 ですから、今のお答えの中に、ややもすると地方というのは--これは過日私も宮城県の浅野知事ともゆっくり懇談をする機会がありましたが、浅野知事もいっておりました。知事は、この地方という、みずからの知恵と工夫で地域を活性化させようというそういうエネルギーが、地方交付税という制度がちりばめられていると、どうしても活力をそがれてしまうんだと、こういっておりました。
 やはり地方分権になって、地域住民が幸せになれるんだというあかしが、私は最も今大事ではないのかなと思います。地方分権という四文字だけが踊りまくっているのではなくて、その根底にある、地域住民がどう幸せな生活を営んでいけるのか、中央政府とのしがらみを乗り越えて、どうあるべき地方の姿をつくっていくのか、クリエートしていくのか、そういう論議にやはり帰着していかないと、どうしても言葉だけが上ずってしまう、そういうふうに思わざるを得ないと思って、いつも危惧をいたしておりました。
 そういうことで、ですから、私は、地方財政の分権、地方の分権化というのは、いまひとつ--地方分権一括法が片一方にできて、走った。しかし、お答えの中にあったように、財源が伴ってこない。だから、地方財政の分権化という、私はいつもこの言葉に置きかえて、いつも問題点をえぐり取っていきたいなと、私はずっと思い悩んでまいりました。私自身の論点であります。
 そういう観点から、地方財政の改革こそが今求められているというこの問題に大きく帰着をするのでないのかなと私は思っております。これは私見であります。
 そしてもう一つ、違った意味で論点を進めていきますと、よく東京と地方の租税の負担と還元についてという論議になるんですね、実は。地方交付税や国庫支出金の制度は、国税の一部を税源の不足する自治体の支援に活用するというものであります。ちょうど私たちのこの国家にとってみれば、ナショナルミニマムの確保を図るために、確かにこれは一応整理を--各四十七都道府県、ナショナルミニマムの確保というものは大体そろったと思います。
 このような財政調整の仕組み、これはドイツ連邦でも州都、こういう制度の分配、財政調整というものは、確かに各国でも行われています。確かにナショナルミニマムを維持することは重要だとしても、住民の負担の重さ、そして、先ほどもありましたけれども、行政サービスを享受する度合いとが余りにもかけ離れているという、そこに私は仕組みのそもそものボタンのかけ違いがあるのではないのかなと思っています。
 特定の地域の方々は、多くの税金を納めております。卑近な例、東京都民。それに見合った行政サービスの提供がない、こういう不満が噴き出ている。ある地域では、税金はそれほど納めていないにもかかわらず、一定水準のサービスを享受している、ここの格差ですよね。もしこうした状況があるとすると、これは、国民の公平性の面から大きな問題点があると私はいわざるを得ないと思います。
 さきに知事本部が本委員会に提出をしてくれた「自治制度改革の論点整理」の中にも、この租税の負担と還元の状況を、一都三県でしたか、資料として提出をしていただきました。埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、この問題、首都圏の自治体の租税の負担と還元の状況、実質的な配分の額は、比べてみるとえらく低いという指摘がなされておりますね。一目瞭然だと思います。負担額と実質的配分、この資料。
 そこで、二番目にお伺いしたいのでありますけれども、実質的な配分額の高い自治体の状況について、同時に配分額の低い首都圏の自治体とを比較しながら、率直に説明をしていただきたいと思います、わかりやすく。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 平成十年度決算で大都市部の東京都につきましては、都民一人当たりの負担額が百九十四万三千円であるのに対しまして、実質的な配分額は六十二万八千円でございます。また、埼玉県では四十三万九千円の負担額に対して、配分額が三十六万円となっております。
 他方、同様の計算によりますと、住民一人当たり約四十万円の負担に対して、配分額が九十万円を超える県もあり、財政調整の結果、実質的な配分額において逆転現象が生じております。

○鈴木委員 今のお答えは平成十年度の決算ベースでございますね。じゃ、十一年度決算はどうなんだと資料を分析いたしますと、冗談じゃありません、最後の方で今部長が述べられた、住民一人当たり四十万円の負担に対して配分額は九十万円という県、これはおのずからわかりますように島根県ですよね。いつも取り上げられています。
 島根県、十一年度決算、四十万円に対して百万円ですよ。そのとき東京は、百八十七万円に対して五十八万円、下がっていますよね。平成十一年度決算では、ぐっとデータ的に下がってくる。何なんだと、こう都民が怒る理由は、この公平性の問題。こういう問題をとらえて、このあり方についての不公平、不満、先ほどから答弁いただいている、大都市特有の需要があるにもかかわらず偏在しているというこういう制度に対して、怒り心頭に達しているのは、私一人だけではないと思っています。
 いつも、だれでもこの問題は指摘をしているわけであります。先ほど松澤主計部長、確かに地方債の問題にしても、これからはテーブル方式やいろんなものが出てくるでしょうけれども、やはりいろんな問題を総合的に勘案をしていかなければいけない時代に入ったのではないのかなと、これは指摘をさせていただきたいと思います。
 それでは、今私は、地方との--いいたいのはもっと山ほどありますが、時間が限られていますから、還元額と実質的な配分、もう百万円に近い九十万円台還元される県なんていうのは随分ありますよね。挙げたら切りがない。八十万円台、七十万円台、まあまあ随分あることあること、いってたら切りがないほどの格差というものを私たちは指摘をさせていただきたいと思うのであります。
 そんなことを述べながら、それでは速やかな税源移譲の実現をするために、じゃ、どうしたらいいのだろうかという論点に次はなってくるのではないのかなと私は思います。今申し上げたとおり、大都市部の自治体では、税負担に見合うだけの受益、還元がないといっていいと。大都市部以外の地域では税金の負担を大きく上回る受益があるというこの偏在、このことを私は再度指摘をしながら、この首都圏の税収が首都圏において十分に活用されない、そのことを一方で危惧をしながら、こういう問題意識を持って私たちは去る六月二十一日に、実は五・五兆円の試案を出した片山総務大臣のところへ乗り込んでいったわけです。
 第二回定例会のときに、代表質問の中に入れさせていただきました。あのときに片山総務大臣は、東京が、石原知事がこのテーマでぐっと力を押し込んでくれれば、これほどうれしいことはないとまでいい切ってくれ、そしてその後私どもも、若手のあの総務省の並みいる官僚のメンバーとミーティングの機会を何度か何度か、これからも持って、過去持たせていただいておりますし、そういうことで呼吸を合わせながら私たちも進んでいっている。
 ですから、理事者の皆さん方も、どんどん国のお役人の方々と胸襟を開いて接触をしていただいても私は結構だと思いますよ。東京については一目も二目も置いておりましたし、我々が乗り込んでいって、そこでああだこうだいっておるわけですから、これはバックアップします。遠慮なくやっていただきたいと思います。
 そして三点目に伺うのでありますけれども、今私が申し上げた自治体間の還元率の高低、高いところと低いところの格差、そして東京にとってみれば、都市の再生、ひいては日本の再生を図るためにも、地方への権限と財源を思い切って移譲、地域が自主的、自発的に活性化に向けた取り組みを前進させていくために伺うのでありますけれども、国から地方への税源移譲に当たって、大都市への税源配分のあり方に対して、東京都としては基本的にどう考え、そしてまた今後どのように都として働きかけをなさっていこうとしているのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。

○松澤財務局主計部長 国から地方への税源移譲につきましては、現在の動きで見ますと、国と地方という縦の関係が中心となっておりまして、今後、地方自治体間における横の配分のあり方についても十分議論していくことが重要でございます。
 その意味から、理事ご指摘のとおり、東京を初めとする大都市は、首都圏の再生や環境対策など膨大な財政需要を抱えている一方で、ただいまお話ございましたように、租税の負担と還元の状況などを見ますと、大都市への実質的な配分は極めて低くなっておりまして、不公平が生じている状況がございます。
 このため、税源移譲に当たりましては、東京を初め大都市への税源配分に十分配慮すべきでございまして、今年度の都の国への提案要求におきましては、こうした主張、また考えを新たに盛り込んだところでございます。
 国は、来年六月までに税源配分のあり方の改革案を取りまとめることとしておりますが、こうした動きに合わせまして、今後とも大都市の財政需要を踏まえた税源配分の実現に向けて、都議会のご支援をいただきながら、大都市圏の他団体とも十分連携を図りつつ、国に対しまして強く働きかけていく考えでございます。

○鈴木委員 今、非常に新しい角度が主計部長の答弁の中にあったと思いますよ。今までは、ややもすると国と地方との縦の関係、今主計部長は、それはともかく、それも大事だけれども、横の自治体、これが団結をして国に対してどんどんどんどんいおうじゃないかと。横軸の関係ですよね。これがなければ私はいけないと思います。そうでなければ、東京ひとり勝ち論、地方がみんな東京をバッシングしてくる。しかし、東京は、私たちは大都市特有の財政需要がある。それを防ぐためにも、やはり横軸の関係をどうパイプを太くしていくかという、これは私は極めて、きょうは大変大事な答弁だったと評価をしたいと思います。
 そういう中にあっても、この間のちょっと気になる全国知事会での問題がやはり出てまいります。一つ伺っておきたいのですけれども、七月にたしか発表されている、国から地方への税源シミュレーション、これは都は、先ほども出ておりました、一千五百億円にも上る増収になるとのデータがシミュレーション的に出ています。その一方で、地方県の他の道府県は軒並みダウンをしてしまう、マイナスになる、減収となる。こうした知事会のシミュレーションについて、じゃ都としてどのようにこれは分析をなさっているのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。

○松澤財務局主計部長 ただいまお話がありましたように、全国知事会では、片山総務大臣の税源移譲の配分試案に基づきまして、各都道府県の税収の増減額について三つのパターンでシミュレーションを行っておりますが、いずれのシミュレーションでも、東京都は実質的な増収になるように結果が出ております。
 しかしながら、このシミュレーションのもとになっております片山試案では、税源移譲について地方自治体間の配分には触れておらず、また、税源移譲の前提となります国庫支出金の削減についても、具体的に明らかにしないものとなっております。したがいまして、これらのシミュレーションについて、都としましては、ある一定の仮定のもとに行われた一つの試算にすぎないと、このように考えております。

○鈴木委員 そういっていただければありがたいと思います。地方がこれでぴりぴりして、東京ひとり勝ち論にさらにくみされても困ります。あの五・五兆円というのは、まだまだ具体的な裏データといいますか、具体的なものはないわけでありますから、それは今後の課題にさせていただきます。
 税源移譲については、地方の税源を充実させて地方分権を確立するという大きな目的のために不可欠なものであることはいうまでもありません。そして、今後この点をより明確にしていくべきだと私は思います。
 税源を初め地方税財政制度改革は地方自治体の総意として取り組む必要があると、私は先ほどから申し上げたとおりであります。そして、税源の偏在など地方自治体間の足並みが、これはへたすると、足並みの乱れをかもし出すような、そういう要素も片方ではありますよね。
 五問目、そこで伺うのですけれども、こうした状況を踏まえて、東京都として、地方税財政制度の改革にこれから具体的に、よりどのように取り組んでいくのか、この辺をいま一度お答えをいただきたいと思います。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 地方自治体が、地域の実情に応じて、みずからの責任と判断により主体的に施策を展開するためには、税源移譲を含めた地方税財政制度の改革がとりわけ重要でございます。都としましては、都市基盤整備や環境、防災対策など大都市が抱えるさまざまな課題に対応し、大都市としてのポテンシャルを最大限に発揮させる自主的な施策展開が可能となるような税財政制度とすることが必要と考えております。
 今後、関係各方面の意見も取り入れながら、自治制度改革の検討を進める中で、東京都としての立場から地方税財政制度のあり方についても発信をしていきたいと考えております。

○鈴木委員 ぜひ、その点の発信も、私たちもやってまいりたいし、それぞれ東京都の税制調査会等々でもきちっと発信をいたすと思います。ともどもにやっていきたいと思います。そして、地方の自治体の動きも十分にこれを見ながら、税源移譲に取り組んでいってもらいたいし、私たちもいきたい。
 さりとて、この税源移譲については、国が六百兆円を上回る膨大な債務を抱えている中ではありますけれども、借金返済の原資である国税を安易に手放すことは考えにくいという指摘も確かにあります。
 先ほど真鍋議員の論議の中にもありました。地方として幾ら要望活動を展開しても、国の財政状況を考えますと、税源移譲の実現には多くの課題があることも、私は確かだと思っています。国が本気で税源移譲に取り組むのであれば、今が、あの五・五兆円をまず突破口にして、新しい観点で出した案でありますから、東京都の七・二兆円とは乖離はありますけれども、まず隗より始めよという観点であれば、それを突破口にしていっても私はいいのではないのかなと思います。
 そして、国の歳出の中で大きな比重を占めている国庫補助負担金、そして地方交付税、この二つを積極的に見直させる、そして税源移譲とあわせながら、国庫補助負担金、地方交付税を見直していくという、あの小泉総理の三位一体の改革の意味は、私はまさにここにあると思います。評価をしております。早くやろうと、十月までと小泉総理もおっしゃっているわけでありますから、大変に私たちは注目をしながら進んでいかなければいけないと思います。
 そして、中でも、とりわけ国から地方への関与の原因となっている国庫補助負担金の改革については、地方の側からも積極的に考え方を示していくことが重要ではないでしょうか。
 そこで、重ねて伺いたいのでありますけれども、国庫補助負担金の改革について、これまで国ではさまざまな論議が行われてまいりました。一連の議論の内容などを踏まえて、都として国庫補助負担金の仕組みを今後どのように改革するべきだと考えているのでしょうか。都としてどのように改革をすべきだと考えていますか、この辺もより具体的にお答えをいただきたいと思います。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 国庫補助負担金につきましては、全国一定水準の行政を行う上で一定の効果があるとは思います。しかし、地方分権推進委員会の最終報告にもございますように、国庫補助負担金は、自治体としてのコスト意識が希薄になったり、事業の実施に係る責任の所在が不明確になること、さらには、地域ごとの受益と負担の関係が不明確になるなどの課題があります。こうした点を踏まえまして、中長期的に国と地方の役割分担のあり方の見直しに合わせて、廃止、縮減について検討していく必要があると考えております。

○鈴木委員 ぜひそうすべきだと私も思います。
 ここで、がらっと論点を変えまして、今、政府税調でもテーマの一つになっている外形標準課税、この問題について一点だけお伺いをしておきたいと思います。
 七月十八日の日には、実は中小企業団体連合会、商工会議所などでは、この動きに対していかがなものかという大きな大会も開かれ、我が党も、冬柴幹事長を先頭に多くの国会のメンバーの方々も出席をさせていただいております。
 私、個人的にも、今の社会経済状況の中でこれを導入することは、塗炭の苦しみに遭う中小零細企業、商工者の皆さん方に大きな負担をさせるということで、これは時期尚早である、こういう私は立場に立たざるを得ません。
 確かに自治体にとってみれば、安定した税収の確保という、そういうこともわからないでもありませんけれども、しかし、導入する時期を誤れば、これは雇用の安定化どころか、雇用の不安などなど、いろんなところに悪影響をもたらしかねないという、私はそういう懸念を最も強く持っている一人でもあります。
 しかし、今、総務省で検討しているこれをひとつやはり検証しておくことも大事ではないのかな、こう思います。産業界から実際に外形標準課税の反対の声が声高に出ている中、お伺いするのでありますけれども、総務省が考えているこの案の中で、中小企業への配慮はどうなって、具体的にどのような形でどのような配慮という案が一応出ているのか、この一点だけを聞かせていただきたいと思います。検証する上からも。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 総務省案では、小規模法人への配慮としまして、資本金が一千万円未満の法人につきましては、付加価値割額及び資本割額、これが外形基準の部分でございますが、この合計額にかえまして、年四・八万円の定額を選択できる仕組みとしております。
 また、資本金が一億円以下の中小法人につきましては、大法人よりも適用時期を二年おくらせることとしております。
 また、付加価値割と資本割のいわゆる外形基準による税収割合を、制度的には二分の一として見込んでおりますが、実施当初の三年間は、この外形基準の導入割合を四分の一程度に抑えるなど、さまざまな形で中小企業への配慮がなされているとされております。

○鈴木委員 それでも、やはりこういう先行き不透明な社会経済情勢の中で、中小零細企業者の中、いろんなデータ、全国のこういう業態の調査のデータの中でも、やはり不安感を醸し出しているという現実を私は忘れてはいけないと思って、私はこれは、導入を、今この場で、幾ら片山総務大臣がテレビの中でああだこうだとたとえおっしゃったとしても、これは待ったをかける今時期だと思っております。そのことは申し上げておきたい、こう思っております。そのことが外形課税の問題の一つであります。このことは、これだけで論議にさせていただきたい。
 次に、その税制改革とか税源移譲を含めた地方税財政制度を改革するに当たっても、今外形標準課税一つとってみましたけれども、どんな理由で制度改正を必要とするのか。これは、先ほど税は民主主義の根本だと私は指摘をいたしました。住民にどう説明をし、合意と納得を得るかが私は重要ではないのかなと考えます。
 もちろん、タックスペイヤー、納税者の側からすれば、取られないことにこしたことはありませんけれども、地域をつくっている上において、今、地域の住民がいっているのは、徹底した行政改革をまずやりなさいと。むだを廃しなさいと。それがなされていないで、ただただやみくもに頭からかぶせてくるのはおかしいのではないですかという、こういう私は論議だと思います。そのことを踏まえながら、私は、我が党が、続元副知事、総務庁長官のときに、この大変大事な実は予算の使い方について提言をした、そのことを実は思い出します。
 行政機関が行う政策の評価に関する法律、これがことしの四月から実は施行されているのであります。国の行政運営においては、税金の使い道の透明度を高め、むだのない予算の執行に向けた動きがより具体化をしています。何としてもこれは成功していただきたい、こう思います。
 翻って、地方自治体においても、こうしたシステムと同様の発想のもとに、行財政運営のあり方の透明度を高めていく効果的、効率的な事業展開に努めていくべきだと私は思います。地方自治体の行政運営に関する監視の仕組みとしては、現在、私も監査委員をやっておりますけれども、監査委員監査の制度のより充実、確度の高い調査能力、東京都の場合は全国のモデルに私はなっていると思います。外部監査のあわせて導入、これなんかもやはり評価をされてしかるべきではないのかなと思います。
 こんなことをして、東京都においても行政評価制度も導入をして、私たちはこのことをきちっと要求をし、実際に行政評価制度も導入をされています。しかし、まだまだ不十分だと私は思います。
 そういうことを検証していかなければ、今後のこの税財政制度、これを改革をしていくその根っこにある、コアにある部分を、富士山のこのすそ野のように広くしていかなければ、ただただ地方分権だ分権だと、この四文字だけが踊っていたのでは何の意味もありませんから、そういうことで、ありとあらゆる角度からやはり検証していく、そういう私は立場に立つがゆえに、この項についても質問をさせていただいているわけであります。
 そして、八番目でありますけれども、監査委員監査などのこの制度のほかに、東京都においては行政評価制度を導入し、実施に入っているわけでありますけれども、この評価結果を、今後どのようにフォローアップをしていくのか、そのフォローアップをしていく、これがやはり私は大事ではないのかな、こう思います。この点についてお答えをいただきたいと思います。

○高島知事本部特命担当部長 行政評価制度についてのお尋ねでございます。
 行政評価制度につきましては、ただいま理事ご指摘ございましたように、住民に対する説明責任を、政策決定過程を透明化することにより確保する、それから、より効率的な行政運営の手段を追求することによって、限られた財源を有効に活用する、それから、とかく事業実施に重きを置きがちな行政運営につきまして、成果重視の行政運営手法を導入し、職員、組織の意識改革を図っていく、そういう観点から大事な政策手段であろうというふうに認識しております。
 今ご指摘ございましたように、本格実施いたしまして二年目に到達しておりますが、評価も、評価しっ放しということでなく、実は本年の五月、既に公表させていただいておりますが、平成十一年度、十二年度に行いました事務事業評価につきましてもそのフォローアップを行いまして、例えば具体的な成果としまして、写真美術館等々の各種文化施設におきます利用料金制度の導入等々の改革が図られているところでございます。
 今後とも、ご指摘ございました、この行政改革手法としての行政評価制度の円滑かつ充実した導入を推進することによりまして、限りある税源を重点的かつ効率的に配分し、都民の福祉の向上に努めてまいりたい、かように考えております。
 以上でございます。

○鈴木委員 今のお答え、随分前向きで結構だと私は思います。費用対効果の問題、写真美術館等々にこれはどんどん適用していくべきだと私は思います。
 それと同時に、もう一つ、時間の関係でお聞きをしておきたいんですけれども、さきに財務局がいわゆる事業別バランスシートを作成、マニュアルをつくっておりますね。貸借対照表だとかキャッシュフロー計算書だとか行政コスト計算書のつくり方、これは大変すばらしいと思います。
 そして、このことについて若干ちょっと伺っておきたいんですけれども、行政評価制度の実施に当たって、財務局はこのマニュアルをつくっています。事業別バランスシートを取り込んでいくことは、私は大変重要な考え方だと思いますけれども、この辺についての見解をより具体的にお示しをいただきたい。

○高島知事本部特命担当部長 事業別バランスシートと行政評価との関連についての尋ねでございます。
 事業別バランスシートにつきましては、この行政評価制度の実施に当たりまして、有効な手段として活用できるんじゃなかろうかというふうに思っております。
 それは、一つは、とかく官庁会計方式ですと、行政コストを計算する際に、人件費を除き通常の事業費で全体のコストを考えるということになりがちでございますが、この事業別バランスシートの作成を通じまして、人件費そのものを含めました、いわゆるトータルの行政コストを測定することにより、人件費等々のありようも含めまして、経費全体のありようを見直すことができるんじゃなかろうかと思っております。
 それから、二つ目としましては、このバランスシートを導入することによりまして、企業会計原則がよって立っております時価主義ですとか発生主義ですとか連結主義、そういう民間の企業会計原則、官庁会計が持っていないような企業会計原則の考え方を私どもの行政運営に導入することにより、今までの行政が持っておりますむだな点を排除する、そして、より効率的な行政運営を確保していくということができるんじゃなかろうかと思っております。
 いずれにしましても、こういう新しいバランスシートという手法につきましても、行政評価制度の中で十二分に活用し、その適用に努めてまいりたい、かように考えております。
 以上でございます。

○鈴木委員 できるならば、自画自賛に終わることなく、しっかりと実は取り組んでいただきたいと、私はこれはお願いをするよりも、きつい言葉でありますけれども、がっちりとこれをやり切っていただきたい、こう思っております。
 最後の項に入ってまいります。
 きょうは、ずっといろんな観点に、総花的といいませんけれども、絞って、実は私なりに構成をしながらやってまいりました。その中で、結論の方に入るんですけれども、先ほど主計部長から、今までの国と自治体だけのその縦軸の物の発想だけでは、どうしても物足りない。これにとどまることなく、自治体間、自治体、東京都を先頭に横の連携、横軸のこの確立をすべきではないかという、新しい答弁を私はいただいたわけであります。これは、再度申し上げますけれども、本当にいいご答弁だと私は思っております。大事にしていきたい。
 そして、そのことをさらにもう少しいいますと、今まで七都県市、首都圏のこういう中で、石原知事を先頭に、七都県市のいろんな問題点が、その中でもいろいろえぐり出されてまいりました。当然、そういう中での問題を、さらに大阪、各いろんな地域との連携、大阪の太田知事なんかとも、連携をしたいという向こうからのメッセージも届いているやに私も仄聞はいたしてございます。大都市の道路整備問題等々について、こういうメッセージもあるやに仄聞しています。
 そういうことを踏まえて、最後に知事本部長に伺いたいのでありますけれども、この税財政制度の改革を含めた地方分権改革における大都市圏の自治体との連携を強化しつつも、いいですか、大都市の自治体としての連携を強化しつつも、先ほどずっと論議が出てまいりました、今までの縦軸から横軸へのこの新しい発想に立った考え方、この横軸の発想、そういうものも生かしながら、今後東京都としてどうあるべきなのかを、最後、決意を承りたいと思います。

○前川知事本部長 理事から種々ご指摘をいただきましたが、これから地方分権改革を本当の意味で実のあるものにしていく、また、具体的な成果を上げると。そのためには、今お話がありました横軸の考え方、横軸の発想というのはまさにそのとおりであります。既に東京都では、昨年、七都県市首脳会議におきまして、国から地方への税源移譲が必要であるとの意見を表明いたしましたが、ことしの六月には、石原知事から提案を行った道路特定財源の配分拡大について国に対して要望を行うなど、大都市における税財源の充実確保に向けた取り組みを、七都県市首脳会議としての取り組みを強化いたしております。
 今後とも、こうした七都県市首脳会議での協力に加えまして、知事からお話があり、また理事からご指摘があった大阪府との連携等も含め、さまざまな機会と場を活用しながら、大都市特有の行政需要に対応できる税財源の確保に努めてまいる考えでございます。

○鈴木委員 大変、ご答弁いただきましてありがとうございました。
 都市再生の問題についても、国の方は、東京はどうですか、じゃ大阪はどうですかと、必ず比較相対をするわけですね。そういうことを考えますと、東京ひとり勝ち論をさせないためにも、やはり横軸の関係をがっちりと踏まえながら、これから都政の運営、税財政制度のこの問題をがっちりととらまえながら、この新しい角度での行政改革、制度改革のこの委員会の論点整理の一つにしていきたい、このように思ってきょうは質疑をさせていただきました。
 このことが将来にわたって着実に進むであろうことを期待をいたしまして、いろんな各理事の方にご答弁をいただいたことを感謝し、質問を終わります。
〔委員長退席、大木田副委員長着席〕

○和田委員 私は、新しい時代にふさわしい税財源のあり方という与えられた審議項目の中から、まず都債の問題と、次に外形標準課税、この二問についてお伺いいたしたいと思います。
 地方分権改革がご承知のとおり進んでまいりまして、地方債の発行条件というものも、極めて国の規制が緩和をされてきているところは、ご承知のとおりです。
 地方債を発行するものが、発行体である自治体、すなわち、東京都のようなところが着実な自己責任による財政運営、こういうものを行って、その累積によって信用力が高まって、そして、その債券を求められる方々の信用が、その自治体の信用によって、その求める力が惹起されてくるということであります。したがって、そこには、かつてから長い間、官僚支配といわれてきている国と地方の護送船団方式というものは姿を消すはずであります。
 さて、この地方分権一括法の平成十二年の施行以降、起債発行の規制が撤廃をされてきたわけでありますけれども、都民本意の柔軟な財政運営がその過程でなされているかどうか、こういう問題は、また別の視点で検討しなければならないと思っています。
 そこで、公債というか、都債といっていいと思いますが、そこに至る今日までの自由化の流れというものをもう一回振り返ってみたいと思うのでありますが、どのような形で当局は総括をされているのでしょうか。

○松澤財務局主計部長 地方自治体が地方債を発行するに当たりましては、先ほども議論になりましたが、当分の間という名のもとに、戦後長い間、国の許可が必要であったわけでございますが、ご案内のとおり、地方分権の流れの中で、平成十二年四月の地方分権一括法によりまして、この許可制度が廃止されたわけでございます。
 平成十八年度以降は、協議を行えば、国の同意が得られなくても地方債を発行することができる、いわゆる事前協議制に移行することになったところでございますが、ただし、十八年度までの間は、国の経過措置ということで、現行の許可制度のままで現在維持されている状況でございます。

○和田委員 法改正は十二年、そして、協議制というか、それが十八年から実質スタートということは、六年間そこに猶予期間というか、自治体にとっては不利な期間が温存する。国にとっては、それは六年間シフトしないわけですから、今の現行のままでいくという形態は残る。ここのあいまいさというのは、具体的に地方分権だ分権だといいながら、一括法ができたぞといいながら、財源の問題、先ほど各委員ご指摘ありましたけれども、それとは別に、仕組みの中でもまだ地方の側が完全に自由化されていないというのが、この六年の経過的な措置という中に残っているように私どもは思うんです。
 したがって、このことをできるだけ短くしていくという運動も具体的にはしなければならないというふうに私どもは思っておりますし、それから、協議制という形に移行したにしても、やはりそこには、先ほど来出ている総務省や大臣の関与が歴然とうたわれているわけでありますから、完全自由化ではない、ここもやはり突破していかなければならない次の峠だろうというふうに思いますから、十八年をもっと短縮させるということと同時に、協議制ではなくて、もっと完全自由化に向けて自治体相互の関係を密にしていくということが大事だというふうに私は思っているわけです。
 こういうふうに、都債、公債の発行の基準が十二年以降規制緩和になったわけでありますが、それを受けて東京都は、この九月四日に、十七日まで東京再生都債というこういうきれいなパンフレットをつくって、二百億円、期間は三年、利率は〇・一二でしたか、そういうものを募集したわけです。これも今私が議論している公債、都債の一環でありますが、従来と違っている発行のされ方をしているんです。すなわち、この都債は、この中で東京都債、再生都債を、交通問題の解決に役立てます、それにしか使いませんと約束をしながら二百億を募集したという経緯があるわけです。
 これは東京都が嚆矢というわけではありませんで、初めというわけではありませんで、既に各自治体がいろいろスタートしている経緯があるわけでありますけれども、まず初めに、この東京再生都債というこの発行に踏み切った目的は何なのか、それをお伺いいたしたいと思います。

○松澤財務局主計部長 今回発行しました東京再生都債は、従来の機関投資家向けの都債ではなく、初めて都民などを対象とする個人向けの都債として発行したものでございまして、その使途についても、ただいまお話ございましたが、東京再生のための道路や公共交通網の整備事業などに限定しまして、明確にしたものとなっているところでございます。
 こうしたことから、今回の東京再生都債の発行は、一つには、都債を都民に身近なものにしていただくこと、また二つ目には、都債の購入を通じまして、都民の皆さんが東京の都市づくりに対する理解と参加意欲を高めていただくことを目指すものでございます。

○和田委員 実はこの東京再生都債は、漢字ばかりの横並びの六文字でかたいイメージなんですが、我が党がかねてから個人向け都民ボンドということで政策主張してきたところなんです。これが名前を東京再生都債という形で、今説明いただいたとおりの発行目的で都民に強く支持をされてきているということなわけです。
 私も調査させていただきましたけれども、各自治体、既にことしの三月になりますか、群馬県も同じようなスタイルでスタートしている。それから札幌市もそうですし、兵庫県も同じような形でスタートしています。ですから、さきに申し上げたとおり、東京都が一番初めではないけれども、二百億というスケールの点ではこれほど大きなものはないと思っています。
 ちなみに群馬県では、発行額が十億でありました。それから発売開始約十八分で売り切れたという報告もありますし、兵庫県は、県でありますから、少し発行額が多くて五十億、これは三時間、札幌市では二十億で数日を要して完売しているということであります。
 額だとか販売時間を競うわけではないんですけれども、今回東京都が発行した再生都債は、さきにも申し上げたとおり、四日に発売をして十七日まで募集期間を用意していたんでありますけれども、その初日の数時間、一時間二十分と報道されておりますが、一時間足らずで、一時間少々で二百億円が完売されたというようなデータが報告されています。これは予想外の数字だったと思うんです。それは、九月四日から十七日まで募集期間を用意していたということが示すとおり、東京都の方は、前者のそれぞれの自治体の発行の仕方や、あるいは関心の分析もされたと思うんでありますけれども、これほどまでに、一時間半足らずで完売する、二百億円ということは予想だにしなかったと思うんでありますが、なぜゆえにこのように二百億という再生都債が一時間半足らずで完売してしまったのかという分析を、当局はどのような形でされているんでしょうか。

○松澤財務局主計部長 今回の都債につきましては、先生今お話ございましたけれども、他の自治体のミニボンドと若干違いまして、公社債市場にもかなり影響を与えていると我々は思っておりますが、今回人気が高かった理由としましては、一つには、ご案内のとおり、株価の低迷を含め、経済の先行きが不透明であるということや、またペイオフ問題などがありまして、都民の方がより安全性を重視した資金運用先を今回の都債に求めていたこと、二つ目には、現在進められている東京都による東京再生への積極的な取り組みが都民から理解と共感が得られたんじゃないかということでございます。三つ目には、ちょっとテクニカルな話になりますが、今回の都債の償還期限が三年ということで、手ごろで買いやすかったことなどが考えられるところでございます。

○和田委員 今ご答弁のとおり、いろいろな要件が、終わったばかりでありますけれども、もう当局の方に上がってきているということであります。私ども政党レベルでも、いろいろ関係の金融機関とかそういうところにも調査をしたわけでありますが、今答弁いただいたとおり、おおむねそういう顧客のアンサーをとっているところでありますので、これは大きなヒットなのかなというふうに思っております。
 資金の集め方はこれでいいんですけれども、あと使い方の中で特定した交通問題解決だということに、しっかりこの信頼を裏切らないような形での使い道と、その成果をどういうふうにディスクローズしていくか、オープンにしていき、公開していくかという問題は、次に課せられた問題だと思いますけれども、ボンドの集め方については成功だったというふうに私も評価をいたしたいと思うんです。
 さらに、都民の見学会を、抽せんなんですけれども、希望される場所にぜひ一度行って、あなたの投資した債券がこういうふうに使われますよということを一緒にウオッチングするというか、見に行くというようなことも考えられているということでありますから、まさに自分たちの買った都債がここに使われる、そしてそれが三年間で償還されるという具体的な絵図がかかれているだけに、二百億が一時間二十分で完売したという理由もそこにあるかなというふうに思っているんです。
 今回は、交通問題の解決だということだったんですけれども、しからば、将来については、例えばこの年度は別にしても、次年度以降ですけれども、多摩の方の里山の構築の問題だとか、あるいは森林保全、農山漁村の振興だとか、そういう形に、都市の交通問題に限らず、東京の掲げている政策なり、都民が希望している政策課題にしっかりこの再生都債を打ち込んでいくというようなことが求められると思うんでありますが、今後の発行計画についてとりあえずお伺いいたしたいと思います。

○松澤財務局主計部長 ただいま先生からお話ございましたように、九月四日に発売しまして、わずか一時間二十分で完売ということで、おかげさまで非常に好評だったわけでございますが、一方で、希望したにもかかわらず購入できなかった都民の方が多数おられる状況がございますので、十一月には第二回目の都債の募集を予定しておりまして、現在その準備を鋭意進めているところでございます。

○和田委員 額は二百億になるか、またその使途が交通問題解決になるかどうかはまた別にしても、今私がちょっとヒントというか申し上げた、森林ですとか里山とか、自然の保護という点にも、関心のある方は、じゃ、そこに使われるならば、我々の、区部に住んでいる方でも、三多摩の方のそういう施策にこの都債を買ってみようかというふうに具体的に目の前に想像できるだけに、またそれは別な人気が出てくるのかなというふうに思いますから、交通問題で成功したから、もう一回交通問題でいくのではなくて、別な幅広い都債の使われ方の中から模索をして、集中的に都債政策をつくってほしいというふうに思います。
 一方でこういうことを進めながら、さきに九月六日ですか、普通会計の決算が出てまいりました。そのときには七兆六千億の都債残高があるんですね。これは相当な額でありますから、節減をしたとしても、平成十二年、十三年度それぞれ一〇・九から一一・三%というふうに、十二年度から十三年度、公債費の負担比率が上ってきているわけです。ですから、このように目に見えて納得できる都債はどんどん出していただくんだけれども、トータルとしての都債というのは、七兆六千億も累積があるわけでありますから、この問題も解決しなければならないというので、そこで、財政委員会じゃありませんから、ここはフレームだけで申し上げますけれども、従前の都債というものと、今出し始めている目に見える形での再生都債というものの枠を別にすべきではないのかと。
 今までのものに盛り込んで、都債の中に七兆六千億円の残高の中にこの二百億を入れるのではなくて、これは三年間で償還するわけでありますから、やはり別の再生都債という形でのくくり方をして、これは明らかに使途が明確になり、都民が、二百になるか三百になるかわかりませんけれども、十一月以降出されてくる東京都の都債の募集にしっかりこたえてきた枠だよという形で、仕切りを別にしておく必要があるんではないかと私は思っているんです。
 これは財政委員会ではありませんから、公債費そのものの基本的な問題だけ提起しておりますけれども、私どもの同志から財政委員会でこの問題については細かく触れていきたいと思いますが、別枠で従前の都債と仕切っていくべきだということだけを申し上げておきたいと思います。
 そのときには、なぜ期間が三年なのか、そしてまた利率が〇・一二%なのかとか、発行条件、償還計画、それぞれこれなりに問題はまだ内在していると思いますけれども、表面的に都民が歓迎した久方ぶりの財源確保の情報公開されたクリーンヒットだということだけ申し上げて、この公債問題、都債問題については終わりたいと思います。
 次は、外形標準課税に触れたいと思うんです。鈴木理事から短い質疑がございましたが、私は少しこの問題に触れたいと思うんです。
 十二年の四月に地方分権一括法ができて、それで施行されて、地方税財源の充実確保もそれに伴うのかなと思ったら、どっこいそうじゃなくて、財布は別だよという形で、制度だけが先送りをして、それを動かすエンジンといいましょうか、財源は後回しというのが、今日国の政策であります。私たちは、地方自治体をみずからの財源と責任に基づいて行財政運営をしていくという意味での真の地方分権を確立するためには、本当に真の地方税財政制度の改革に取り組む必要があるということを長い間訴えてきたところです。
 よくいわれるとおり、地方財政の現状を見ると、歳出の規模が地方税収入を大幅に上回っていて、こうした状況を生み出しているのは、税源が国税に偏って配分されているということは、もうだれもが認めるところになってしまっています。現行の地方税財政制度のもとでは、国と地方の歳出の割合は四対六であるのに対して、税収ベースでは国と地方の比率が入れかわって六対四ということで、税源の配分の少ない地方が国よりも多くの支出をするという仕組みになっているわけであります。
 このため、地方自治体は、国からの地方交付税や、先ほど出ました国庫補助負担金など移転財源にどうしても頼らざるを得ないということで、自主的自発的な、また自立的な行財政運営を行うことはとてもできない、不可能だということで、地方自治の理念からほど遠いことになっておりますし、そのことをまず速やかに改革していく必要があるというふうに思っています。
 そういう中で、地方税源の充実確保については、税法の改正など国のレベルでの大きな動きがなければなりません。十分に時間をかけて検討するべき税法改正ではあるんでありますけれども、私たちが外形標準課税を考えるときに、まずその淵源として、昭和二十四年に出されたシャウプ博士のシャウプ勧告というものに立ち返る必要があるだろうと思っておりますが、当局は、この地方税法の、地方税のあり方について、シャウプ勧告は、どういう視点で従来の日本の税制のあり方を改革しようとしていたのかという認識を持っていらっしゃるのか、お伺いいたしたいと思います。
〔大木田副委員長退席、委員長着席〕

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 シャウプ勧告では、地方税制のあり方としまして基本的な考え方を提示しておりますが、一つは税制簡素化、それから自治体の税収の十分性、それから国税の付加税ではなく、独立税主義、さらに自治体の税率の自己決定という基本的な考え方を示しております。このような基本的な考え方に基づき、昭和二十五年の税制改正で、住民税や固定資産税、さらには付加価値税などの税目が地方税として設けられ、国と地方との間の租税制度の基本がつくり上げられたわけでございます。

○和田委員 二十四年のシャウプ勧告の報告というか、答申といいましょうか、それはいまだにきちっと今の日本の税制の中に根づいております。すなわち、住民税だとか、あるいは固定資産税、これは当時のシャウプ勧告どおり今も残っておりますし、それが、同じくシャウプ博士が目指した地方自治という、そういう理念的なものを支える税源として住民税や固定資産税が残っているわけです。
 このことは博士の卓見だったかなと思うのでありますけれども、同時に、そのときに勧告された付加価値税というのは、残念なことにこれは日の目を見ることなく、昭和二十九年に廃止されて今日に至っています。しかし、その精神的といいましょうか、それにほぼ見合った形で、法人事業税が付加価値税にかわる形で今なお地方、とりわけ都道府県の重要な税源として残ってきているということであります。
 こういうシャウプ税制の動きの中で、新しい観点から地方分権推進委員会の第二次勧告が行われました。そこでは、所得や消費や資産、この三つの中の均衡あるバランスのとれた税体系を示そうということで、税源が偏ることのないように、税収が安定的に確保できるようにというようなことでこの第二次勧告は行われているわけでありますけれども、具体的な税務に着目をした場合に、現行の地方税制度の現状には、地方から見た場合に、どのような問題点が指摘されて、その問題が内在しているのかということについてお伺いいたします。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 現行の地方税制度につきましては、道府県税が法人所得課税に偏り、税収が不安定となっていること、法人関係税が国税の付加税的なものとなっており、自治体がみずからの判断と責任で課税自主権を行使できる自由度が狭くなっていることなどの問題点が指摘されております。

○和田委員 税収に一番大事なのは安定性だといわれています。東京都も、景気の動向によって税収が大きく伸びたり減ったりというような、そういう局面にしばしば遭遇するわけでありますけれども、法人関係税が都税収入の多くを占めている東京都にとっても、税収の構造が今のままでいくと、行財政の安定性を損なうという危険性があります。
 ちなみに、都税収入における法人二税の推移を見ますと、平成元年は、法人都民税、法人事業税、いわゆる法人二税合わせて二兆六千八百億円ほどありました。しかし、平成十一年度は、同じく都民税や事業税、それぞれ法人分でありますけれども、一兆三千九百五十数億ということで、平成元年から平成十一年で、実に法人二税は五二%に激減しています。直近の十四年度にいたしましても、平成元年から比べてみて五六%というふうになっているわけでありますから、大きくいえば半減をしているというのが、法人都民税と法人事業税の推移だというふうに見ることができるわけです。
 こういう税収のアップダウンの多い中で、主税局も含め財政当局は財政運営あるいは徴税活動をしているわけでありますから、いかに不安定であるかということがこの数字からも明らかに読みとれるものだと思うんです。
 そういう中で、税収の安定性を求めていくということの中から見ると、さきに、二十四年、シャウプ博士が出された付加価値税というものが、この不安定さを安定性に変えていく一つの特効薬として考えられるということであります。したがって、常に、景気が悪くなってきたり税収が低くなってくると、付加価値税、すなわち、外形標準課税も含め、シャウプ勧告に立ち返って、新しい税制をどうしようかということが、朝野問わずに、国、地方問わずに再燃をしてくるという、戦後の税制の歴史がそういうようなことをつくってきているわけであります。
 そこで、賛否両論この問題が出てくるわけでありますけれども、最近の地方の意見としては、全国知事会が昭和五十二年に法人事業税の外形課税の実施に関する報告というのを行っています。その際に、外形標準課税の導入に必要な条例案のモデルまで、五十二年でありますけれども、全国知事会が公表しています。読みましたけれども、極めて精緻に条例案ができておりました。ここまで全国知事会は、五十二年当時、外形課税の導入の準備までしてきた。それが実現しなかった背景はいろいろあるわけでありますけれども、少なくとも地方自治体が外形課税の導入の準備にまで入ったという事実は消せないわけでありまして、いかに税収の安定性を求めている地方自治体が多かったかということであります。
 平成八年度の政府税制調査会では、地方の法人課税の小委員会というのが税調の中に設けられまして、本格的な検討が繰り広げられて、平成十一年、十二年、政府税調の答申で外形基準の具体的な考え方が示されるということであります。
 こうした流れを受けて、国においても、本格的に制度改正を目指す動きが出てまいりまして、平成十二年の十二月には、旧自治省が、所得による課税と事業規模額による課税とを組み合わせた外形課税のあり方を示しました。十三年度には、同じく総務省案が十一月に出されまして、今日、旧自治省案と総務省案というのがよく議論されるところであります。
 今回は旧自治省案は置いておくとして、平成十三年十一月の外形標準課税の導入に関する総務省案の特徴というのは、昭和五十二年の全国知事会の法人事業税の外形課税の実施に関する報告という具体的な地方の流れを受けて、どのような形で総務省案は特徴づけられるのでありましょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 外形標準課税に関する総務省案は、法人事業税額の算定に当たって、課税の割合を、所得割三、付加価値割二、資本割一として併用するものでございます。このうち付加価値割と資本割の部分が、課税標準に外形基準を採用しております。これまでと同様に、法人の所得に係る所得割の部分につきましては、税率を、これまでの九・六%から、二分の一の四・八%に引き下げることとしております。これらを平成十四年度税制改正で制度化し、平成十五年四月一日以降に開始する事業年度から適用するという案でございました。

○和田委員 今、総務省案は、基幹税としての法人事業税の税収を安定させようと。しばしば私が安定安定といっているんですが、そのことを実現したいということで、申し上げた五十二年の全国知事会の、長く続いてきている税収の安定化という路線と総務省案は全く軌を一にするものだということになるわけです。いうならば、国が考えたというよりも、地方自治体の経営者が自分たちで編み出した五十二年当時の外形標準課税そのものの長所というか、それを丸のみというか、採用するというのが国の総務省の案だというふうになるわけでありますから、地方の声がその意味では国を動かす形で総務省案が出てきたというふうに思うわけであります。
 五十二年から平成、ほんの今日まで、全国知事会の動きが国を動かしたということは今の説明でわかったのでありますが、それでは、五十二年当時と違って、都道府県の今の意見、今の見解はどういうふうに当局は確認をしているんでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 例えば平成十三年九月の全国知事会の要望では、このように述べております。都道府県の基幹税である法人事業税について、税負担の公平性の確保、応益課税としての税の性格の明確化、基幹税としての収入の安定化、経済の活性化、経済構造改革の促進等の観点から、中小法人等の税負担に配慮しつつ、全国的な制度として外形標準課税を導入することということでございます。

○和田委員 昭和五十二年当時の全国知事会のみずからの条例案もひっくるめ、国を動かしてきたという経緯の中で、国も自治体も、国はそれで外形標準課税の導入の見方はいいのでありますが、それを納税する側の企業団といいましょうか、あるいは個人といってもいいかもしれませんが、そういう方々の反対意見も当然あってしかるべきだろうと思います。税を喜ぶ人はだれもいません。したがって、例えば長引く景気低迷の中で、中小企業、先ほど答弁もありましたけれども、産業界、それから外形標準課税の導入に反対する声があると思うのでありますが、それは具体的にどんなものを特徴的に当局はつかんでいるんでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 経団連などの経済団体、日本商工会議所等の中小企業関係団体など、産業界から反対意見が表明されております。例えば、平成十四年四月の東京商工会議所の今後の税制改革に関する意見では、総務省が提案している賃金等の付加価値等を課税標準とする外形標準課税は、企業の雇用や投資に抑制的に作用し、経済活力をそぐおそれがあるとともに、収益性の低い中小企業への課税強化となるなどの理由を挙げ、反対をしております。

○和田委員 政府税調の資料を見ますと、第五次については、所得課税が平成十六年、二〇〇四年からの導入と、四分の一でありますけれども、外形課税は導入というふうに一応チャートにはなっているんですね。したがいまして、これに向けて具体的な、反対も賛成も、これからますます議論が熱っぽくなってくると思うのでありますけれども、政府は、現在、今説明いただいた反対、賛成、知事会だとか商工会議所などの特徴的な賛否の意見を受けて、どういうふうな方針をとろうとしているのでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 本年一月に閣議決定された構造改革と経済財政の中期展望においては、今後各方面の意見を聞きながら検討を深め、具体案を得た上で、景気の状況等も勘案しつつ、平成十五年度税制改正を目途にその導入を図ることとされました。また、本年六月の経済財政諮問会議の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇二」において、この改革と展望に示した考え方に沿って検討することとされております。

○和田委員 今、基本方針二〇〇二ということが出ましたけれども、今の答弁ですと、先ほど私が紹介した旧自治省案よりも二年、総務省案より一年おくれているというのが実態だろうと思うのです。増税といいましょうか、税制の新しい導入ですから、平らにいえば反対が多分多いだろうと思うのですが、しかし、好況のときに税の問題は出てきません。不況のときに当然出てくるわけでありまして、不況になると、納税者のことを考えると先送りだという形になって、トレードオフというものしか、二者択一の意見じゃなくて、先送り、先送りで税制というものが今日まで来てしまっているのが、日本の財政、税制の一つの不幸ではなかったのかなと思うのです。
 議論をするときに、しっかり長短相議論しながら、完全な税制というものはないわけでありますから、今置かれている国や地方自治体の財源の問題について冷静に議論しながら、結論をしっかりとつけていくべきだというふうに思っております。
 税金そのものの性質から、しばしば申し上げるとおり、万人から歓迎されている税金はありません。都民の生活に密着した行政サービスの提供に資する経費を賄うために、その税源として税金は必要でありまして、真剣に考えていかなければならないと思うのです。
 そこで、法人事業税に外形標準課税を導入する場合、地方自治体の財政に対してどのように寄与するんだろうか、東京都政にとって、東京都の財政にどのような寄与が考えられるのか、お伺いいたしたいと思います。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 法人事業税の外形標準課税の導入は、景気変動に左右されることの少ない安定的な税収の確保が可能となり、都道府県にとって自主的、自立的な行財政運営の確立に資する税制度であると考えております。

○和田委員 今の答弁の最後は、自主的、自発的な行財政運営の確立に資すると認識しているとのことでありますから、当局は歓迎しているのかなというふうに思います。それは全国知事会の昭和五十二年の具体的な条例案の作成に至るまでの姿勢と全く変わらないものだろうと思います。
 問題は、この制度導入によって、税の被害といいましょうか、それを受けると思われる方々に対して、さきにも資本金一千万円未満の法人については、定額で四万八千円の選択も可能にするという道を開いているというようなこともありましたけれども、このように、具体的な数字がどんどん税論議の中に出てくることによって、外形標準課税に対するアレルギーといいましょうか、根っかもう税金の話は乗りませんよという形ではなく、税のあり方に都民にぜひ目覚めていただきたいと思うのです。
 それは、冒頭申し上げた、東京再生都債などのように、積極的に自分たちが負担をしても、自分の預貯金を切りかえてでも貢献しようよという気持ちと軌を一にするものだと私は思うものでありますから、ただ単に税は避けるもの、忌避するものということではなくて、前向きに税を納めるという気持ちも都民の中にはあるということで、再生都債、外形標準課税含めて、税をアレルギー化しないで、直視していくという風潮を都民に訴えていくべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。

○川島委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
午後三時九分休憩

午後三時二十一分開議

○川島委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○渡辺委員 きょうの質疑のテーマは、新しい時代にふさわしい税財源制度の検討ということですけれども、骨太方針二〇〇二の中での税財政のあり方は、自治体合併の促進の検討と広域自治体、すなわち、道州制を視野に入れた検討もその前提に論議されているということであります。合併を前提に税財源措置で誘導するなどというものは許されるものではないというふうに思います。自治体合併というのは、住民の意思を基本にして、自治体間の総意のもとで進められるものでありまして、上からの押しつけで促進すべきものではありません。
 石原知事は、東京構想二〇〇〇などで、首都圏規模の広域的行政の必要を繰り返し表明し、道州制を視野に入れた行政改革を打ち出しております。この問題については、我が党が繰り返し指摘してきたように、広域的自治体制度、道州制を既定の目標とすること自体が大きな誤りといわなければなりません。
 これまでの当委員会で我が党の木村委員も指摘したように、あなた方が強調するスケールメリットと同時に、スケールデメリットも生まれる。場合によってはデメリットの方がメリットを上回るかもしれない。都道府県のさらなる広域自治体化は、同時に市町村の広域化を求めることにならざるを得ないことは明らかである、こういうふうにしてきたところであります。
 そこでまず、税財政問題の入り口として、自治体のスケールの問題でお聞きいたします。
 今、政府の旗ふりで市町村合併の大風が吹いておりますが、ここでもスケールメリットだけが先行して、デメリットというものは問題とされない傾向がある。そこで、まず国の合併指針以降の全国の合併の動きを紹介していただきたいと思います。

○反町総務局行政部長 国の指針が平成十一年の八月に出されておりますが、この指針が出されて以降、全国で合計七例の合併がございました。この結果、七市九町二村が六市一町となっております。

○渡辺委員 七市ということでありますが、新潟市は中核都市を目指している、さいたま市は政令市を目指した合併。そこで疑問になるのは、合併の規模の基準です。西東京市を除いた三市を見るとわかりますが、合併後の人口は、潮来市で三万二千人、大船渡市で四万五千人、さぬき市が五万八千人、そういうところを見ると、東京の小さな自治体規模ということで同じくなっているわけですね。
 県からすれば、村や町が市に昇格する、そうすれば福祉事務所などの仕事が県から市におろされるということで、その分身軽になりますが、住民からすれば、行政がますます遠い存在になっていく、これも否定できないものであります。だから、指針が出て、国が期間限定までお金をまいても、乗ってくる自治体はなかなか出てこないというのが現実ではないでしょうか。
 東京の合併では、地方の合併の規模を大きく上回る市の合併が押しつけられようとしておりますが、一体合併のゴールというのはどこにあるのか。首都圏規模の広域行政についても、千葉や神奈川、埼玉などは、個別のディーゼル規制とか共同は生まれているようですけれども、本音は、東京の顔を立ててしぶしぶおつき合いをしているというのが現状ではないかというふうにも思います。ましてや道州制を前提にした広域自治体など論外だといわなければならないと思うんです。そうした現実を踏まえることなく、税財政だけを取り出して論議すること自体にも無理があるのではないかとも私は思うんです。
 今、国の経済財政諮問会議において地方財政の構造改革と税財源移譲制度問題が検討されておりますけれども、その概要についてお聞かせいただきたいと思うんです。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 本年六月に閣議決定されました経済財政運営と構造改革の基本方針二〇〇二の第4部、3、国と地方の部分におきまして、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で検討し、それらの望ましい姿と、そこに至る具体的な改革工程を含む改革案を、今後一年以内を目途に取りまとめるとしております。

○渡辺委員 今お話のあったとおりですが、既に小泉政権の骨太方針の二〇〇二でも、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で検討するとされているわけです。その上で、今お話がありましたけれども、国庫補助負担金は、改革と展望、これは二〇〇二年から二〇〇六年ですけれども、この期間中に数兆円規模の削減を目指すこと、そして地方交付税は、九割以上の自治体が交付団体となっている現状を大胆に是正していく必要があるとしております。
 この改革の中で、交付税の財源保障機能全般について見直し、改革の期間中に縮小していくことを掲げております。また、廃止する国庫補助負担金の対象事業の中で、引き続き地方が主体となって実現する必要のあるものについては、移譲の所要額を精査の上、地方の自主財源として移譲する、こういうふうにしておるわけであります。
 問題の一つは、小泉政権のこの問題での基本的スタンスが、国、地方を通じた歳入の中立にあることであります。現在、国税と地方税を合わせますと八十三兆五千億円の税源があり、この比率を、現在の国五八%、地方四二%から、国五二%、地方四八%に変えることで、わずかではありますが、六%地方税の比率を高めようというものでもあります。
 しかし、問題は、地方税に移される分のうち、五・五兆円、これは片山総務大臣の試案とされておりますけれども、国庫支出金からの振りかえということで、小泉内閣全体としても、このような立場で、国庫支出金を税の移譲と引きかえに削ってしまうというのであります。
 そこで伺いますが、五・五兆円も国庫支出金が削られたら、地方にどういう影響が生まれるのかということを考えるわけですけれども、どうでしょうか。

○松澤財務局主計部長 今、先生お話ございましたように、片山試案では、まず国庫支出金の整理合理化を推進しまして、地方税の振りかえを先行実施するとしております。その規模は、国庫支出金の縮減、地方税の拡充ともに五・五兆円程度となっているところでございます。十四年度の地方財政計画における国庫支出金は約十二兆七千億円でございますので、五・五兆円はそのおよそ四割に当たることになります。
 ただし、今回の片山試案では、国庫支出金の縮減につきまして、個々の国庫支出金を積み上げて試算したものではなく、マクロベースのものでございまして、それから、その具体的な内容についても明らかにされておりません。また、地方税の拡充との見合いで縮減することになっておりまして、単純に国庫支出金だけが削られるということにはならないわけでございまして、これはセットでございますので、現時点では、そういう意味で東京都及び全国地方自治体への影響を、国庫だけで影響をお示しすることは困難でございます。

○渡辺委員 三位一体、そして具体的な内容がまだ明らかでないということは重々承知しているところであります。
 経済諮問会議に出された塩川議員、今度は塩川議員ですけれども、塩川議員の資料では、この点に関連して、国、地方を通じて歳出をスリム化するために、特に奨励的、財政援助的な国庫補助金については原則廃止、縮減を進めるとともに、国庫負担金についても、制度そのものの見直しを進めることも必要だというふうに述べておるわけです。
 そこで、奨励的国庫補助金とは何なのか、財政援助的国庫補助金とはどういうものなのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。

○松澤財務局主計部長 国庫補助金につきましては、今、先生からお話がございましたように、地方財政法の規定から、奨励的補助金と財政援助的補助金に大別されるわけでございます。このうち奨励的補助金につきましては、国が一定の政策を推進するために地方自治体に補助するものとされておりまして、また財政援助的補助金は、地方自治体の財政上特別の必要があるときに補助するもの、このように規定されております。ただし、国は、実際の補助金の交付に当たっては、両者を明確に区別して交付しているわけではございません。
 これらの両補助金に当たるものとしましては、例えば都道府県の警察費補助金あるいは社会福祉施設整備費補助金、在宅福祉事業費補助金、農業経営対策事業費補助金などがございます。

○渡辺委員 今、答弁にありましたけれども、零細なものなどの見直しが必要なものもあるようだと思います。しかし、警察費国庫補助金となると、原則廃止、縮小となると、これはまた重大な問題だというふうに思うんですね。例えば、現在、東京都には、百四億円の警察費の国庫補助金が入ってきております。これが原則廃止ということになったら、大変な歳入不足になる。しかも東京は、本来国が責任を負うべき首都警察としての役割を負わされており、現在の補助金すら少な過ぎるのに、これをもっと削ろうという話では、やはり納得できるものではないというふうに思います。
 国庫負担金についても、制度そのものの見直しといっておりますが、この国庫負担金ということでは、普通国庫負担金、例えば義務教育費、生活保護、児童保護、あるいは建設事業費国庫負担金、例えば道路、河川、港湾、社会福祉施設など、さらに災害国庫負担金、これは災害救助活動、公共土木施設などなどがあるわけであります。これらの制度そのものの見直しということが行われたらどうなるのかということについてもお聞きしたいと思います。

○松澤財務局主計部長 国庫補助負担金の国の見直しにつきましては、単純に国庫負担金を削減するということではなくて、先ほど申し上げましたように、これは三位一体ということで、税源移譲とあわせてという考え方でございます。そういう中で、この国庫負担金につきましては、国庫補助金とは違いまして、国と地方自治体とに密接な関連を持つ事務について国が義務的に支出すべき経費でございます。
 具体的に、先生今ご指摘の負担金についてそれぞれ申し上げますと、まず、いわゆる普通国庫負担金につきましては、地方自治体が法令に基づいて実施しなければならない事務に対する負担金でございまして、いわゆる義務教育費、職員の給与費あるいは生活保護費などがこれに当たります。次に、建設事業費国庫負担金とは、国の計画、例えば道路整備五カ年計画であるとか住宅建設五カ年計画などに基づいて地方自治体が実施する建設事業に対しまして、国がその経費の全部または一部を負担するものでございます。また、災害国庫負担金は、地方自治体が行う災害救助事業あるいは道路、河川、公営住宅や学校の災害復旧事業に対して、国がその経費の一部を負担するものでございます。
 これについての影響というご質問がございましたが、こうした国庫負担金の見直しにつきましては、片山試案では、経常的なものを五割を削減、また骨太方針第二弾では、国庫補助負担金の区別はなく、単に国庫補助負担金を数兆円規模で削減する、このようにされているところでございますが、いずれもその詳細が明らかになっておりません。現時点は、そういう意味でその影響をお示しすることは、これも困難でございます。

○渡辺委員 これらの負担金、国庫負担金、こういうものは、今答弁もありましたけれども、いわゆる国が責任を持ってこういうものについては地方自治体に負担金として支出するということ、これはもう法令で義務づけられているものですよね。ですから、いろいろ三位一体で云々といっていますけれども、しかし、三位一体といっても、補助金ということだけ先に前倒しして切るという話だって、今全然ないわけではないわけですから、そういう点では、三位一体で本当にどうやって進んでいくのかというのは全く先が見えないということを申し上げなければならないと思うんですね。
 そして、今申し上げたように、これらの国の法令に基づく負担金、こういうものにはやはり私は基本的には手をつけるべきじゃないというふうに考えています。
 今度は片山総務大臣の問題でちょっとお聞きしますが、片山総務大臣が同じく経済財政諮問会議に提出した試案では、経常的国庫負担金は、真に国が義務的に負担すべきものに限定する、総合計画に基づく建設事業にかかわる国庫負担金は、根幹的な事業に限定としております。同時に示されている整理合理化の手法というのも、五点にわたって出されておるわけですね。この五点で示されているとおりでいけば、これは東京都の行政改革大綱や財政健全化計画あるいは財政再建推進プランなどとの、その手法と全く同じものということも見逃すわけにはいかないというふうに私どもは思っています。
 もう一つ指摘しておかなければならないのが、地方交付税制度の改革がうたわれていることです。
 これについては、塩川議員提出資料ではどういっているかというと、地方交付税による地方歳出の財源保障を通じ、国に財政的に依存している状況から脱するために、地方交付税の持つ財源保障機能を廃止し、地方財政における受益と負担の関係を明確化することが必要だ、こういうふうにいっているんですね。
 このいわゆる地方交付税の持つ財源保障機能を廃止する、このことは一体どういうことをいっているのかということをお聞きしたい。

○松澤財務局主計部長 たとえば財源機能を廃止するという塩川大臣の発言の関係でございますが、この五月二十一日に塩川大臣から出された考え方とあわせて、経済財政諮問会議には、同時に、先ほどもいろいろ議論がございます総務省からの片山試案が出されているわけでございます。総務省の案が、まず国庫補助負担金の縮減に見合う税源移譲を先行させまして、地方交付税の見直しを先送りしているのに対しまして、一方で、この塩川大臣による財務省の案は、地方歳出の徹底した見直しを前提にしまして、税源移譲と地方交付税の抜本的な改革と同時進行で行うべきとするということで、国の減収につながる税源移譲の実施は困難であることを主張しているものでございます。
 そういうことで、国から地方への税源移譲に関する議論につきましては、このように省庁間でまだかなり足並みがそろっていないこともございまして、このままでは改革にかなり時間を要するおそれもございますが、都としましては、地方交付税の見直しが税源移譲と一体的なものとして速やかに行われるべきものと、このように考えております。

○渡辺委員 両方とも先が見えないような議論がされているということなので、私も、こうだというふうにはいい切れませんが、いずれにしても、塩川財務大臣ですからね、この方がそういうことをおっしゃっているということで、すなわち、自治体間の財政格差の是正というものはもうやらないということでしょう、このことでいえばね。税源移譲だって、結局国だけが楽になるという話ではないかというふうに思うんです。もっといえば、税収の少ない自治体は、その範囲内でいろいろと我慢してやってくださいよということにもなりかねないような、これはそういう内容ですよ。
 ですから、どういうことになるかわかりませんが、そういうことは私たちは絶対に認めるわけにはいかない、これは共通した認識だというふうに思いますけれども、そういうことであります。
 しかも、地方財政の受益と負担の明確化、こういうことまでいっているんですよ。そういうものは、これまでは全国的な水平調整で賄ってきたものを、先ほどもちょっといいましたけれども、自分ですべて賄いなさいということですから、そういう点では本当に認めるわけにはいかないというふうに思います。
 東京でも、交付税の交付団体というのは三十九市町村、率からいえば市町村の八五%になる。影響は非常に大きい。東京が不交付団体だからそれでよいなどといっていると、日本経済はますます後退して、東京もその影響を受けることになりかねない。そしてまた、この論でいけば、都区財調だって同じ理屈に巻き込まれないとも限らないということになるわけであります。結局、問題の根本的解決の一つは、前々からいわれていた三割自治という構造をどう変えていくかということにあると思うんです。
 二〇〇〇年度の決算で見てみたいと思いますが、収入では、国と地方の税というのは、国が五九・七%、これに対して地方が四〇・三%、すなわち地方が四割です。これに対して歳出は、国が四三・七%、地方が五六・三%で、逆転しておるわけです。しかも、最近は、国の支出のうち社会保障基金が急増しており、それを除いて国庫支出金の比較では、国が二五・八%、地方が七四・二%、そういう点では、もう八〇年代から変わっていないということも指摘しておきたいというふうに思います。
 骨太方針二〇〇二の方向というのは、三位一体で進めると、先ほどからもいわれておりますが、今申し上げたこの構造にメスを入れることなく、国の歳出をどう減らすかだけを考えられているとしたら、大間違いといわなければなりません。地方分権で、住民に身近な地方自治体がこれまで以上に住民サービスに責任を負うことは当然であり、歓迎するものですけれども、仕事はふえるが財源は保障の限りではないというのでは、これまた大問題だというふうに思っています。
 行政部からいただいた資料では、地方分権一括法に基づいて都から市町村に移譲された事務のうち、個別法による権限移譲では、その財源措置は地方交付税参入とされております。多摩地域のような交付団体の場合には、交付金として財源が補てんされますけれども、二十三区や多摩の立川、三鷹、武蔵野などの不交付団体は一円もお金がこない、そういう仕組みになっているわけですね。こういう制度そのものを不公平と私たち思いますけれども、行政はどういうふうにお考えでしょうか。

○反町総務局行政部長 法令によります権限移譲の財源措置問題でございますけれども、これにつきましては、国が交付税で財源措置をすることとなっております。しかし、これにつきましては、交付税措置のみでは、ご指摘のとおり不交付団体にとっては事実上財源措置となり得ないということもございまして、従来より財源移譲等を求めているところでございます。今後も区市町村とともに国に働きかけてまいります。

○渡辺委員 この点についていうと、やはり、私は、東京都も余り国に対して文句をいえる立場ではないんではないかというふうにも思っているんです。どうしてかというと、東京都の一括法以前から事務移譲しているものでは、例えばですけれども、建築基準行政の移管、それから地域保健所の再編、これに伴った事務事業、これについては、移譲はしたものの、事務費はサンセットということで、大体五年間ということに限ってしか出さないということですから、国とあんまり変わらないというふうにいわざるを得ないし、そういう立場からしてみると、なかなか国に文句をいうという立場には立ち切れないのかなという感じもしないわけではありません。
 ところで、税源の問題では、また塩川資料ということになりますけれども、地方税は、地域社会の費用を住民が広く負担する、また受益と負担の対応関係を住民が明確に意識できる、そしてみずからの責任、判断で地域の実情に合った課税を自主的に行う、こういうことをいいながら、具体例としては、個人住民税の均等割、所得割の充実、さらに固定資産税の充実、そして法人事業税の外形標準化、こういうものの導入を挙げています。それぞれ私は大問題だというふうに思っております。
 例えば個人住民税のことについていえば、住民税の低い人の負担を引き上げる、そして逆に住民税の高い人の負担を引き下げる、こういうフラット化を打ち出した都税調ですが、打ち出し、その充実を図るというのは許されるものではありません。
 また、中小企業の七割が赤字だといわれている中で、この赤字企業にも課税するという外形標準課税を私は認めることはできないというふうに思うわけであります。
 どれをとってみても都税調で提案されたもので、国にうまくこれは使われているような感じさえもしているところでもあります。
 幾ら新たな税の仕組みを考えても、その地域経済圏の所得が大幅に増加することでもない限り、パイは同じなのですから、受益と負担で対応させることにしかならない、地域社会の負担を住民が広く負担ということになれば、住民に重税を課する方法しか手段は残されていないというふうに思うんですね。だから今申し上げたような発想しか出てこないということは明白なことではないでしょうか。
 もう一つ、税金の使い方の問題についてちょっとお伺いをしたいと思います。
 幾ら税財政制度の改革といっても、入り口を改革したとしても、税金の使い方を改めていかなければ、ざるですくっているようなものでしかありません。我々は、繰り返し公共事業に五十兆円、社会福祉には二十兆円という逆立ちした財政運営を批判してきました。国は、地方に対して、地方交付税制度を使ってこの公共事業優先の仕組みを押しつけてきたものにほかならなかったのであります。地方交付税頼みと経済財政諮問会議などはいうが、そもそも東京一極集中を進め、地方を疲弊させてきたのはだれなのか、地方交付税にとっぷりつからざるを得ないようにしてきたのはだれなのかと、その責任をあいまいにして、今さらはしごを外すようなやり方というのは、全国の自治体が認めることはしないだろうと私は思っています。税金の使い方の問題でいえば、東京も同じ状況です。
 そこでまず、知事本部が七月に出した重要施策についての基本方針についてお伺いします。今年度の方針と昨年度の方針の違い、これは何なのかということを教えてください。

○中田知事本部企画調整担当部長 七月十六日に知事から重要施策についての基本方針が示されたわけですけれども、その中で、今回、重要施策は、中長期的視点に立ち、来年度における効果も見据えつつ、首都東京を再生し、都民の安心、安全を確保するための都政の課題と取り組むべき方向を明らかにした施策として策定するものと位置づけられております。
 昨年度との主な相違点でございますが、具体的には、中長期的視点に立って策定すること、また、重点事業ですが、重要施策を実現するために、特に十五年度に重点的に実施すべき事業として厳選して選定することとしたという点でございます。

○渡辺委員 もう一つ、今答弁された中長期的視点とは具体的に何を指しているのかということについてもお聞きしたいと思います。

○中田知事本部企画調整担当部長 今回の重要施策は、先ほど申し上げましたように、首都東京を再生し、都民の安心、安全を確保するための都政の課題と取り組むべき方向を明らかにするというものでございます。したがいまして、来年度だけでなく、それを超えた中長期的視点に立って策定することが不可欠であると考えております。

○渡辺委員 もう一つお聞きします。次に、この中で制度疲労が生じている仕組み、こういうことを指摘しているんですが、これは具体的に何を指しておられるのですか。

○中田知事本部企画調整担当部長 都政をめぐりますさまざまな分野におきまして、従来の制度の枠組みでは解決できない事柄が生じております。基本方針におきます制度疲労とは、そのような現実をとらえたものでございます。

○渡辺委員 簡単な答弁ですけれども、私どもも、いろいろとお聞きしている中では、長期にわたって依然としてそのままになっているというようなものも含めていろいろと見直しというか、そういうものになっているんではないかというような話もいろいろとお聞きしているんですが、仮にそういうことであるとするならば、見直しの必要なものも確かにないわけじゃない、これは否定しない。しかし、長期にわたって続いているからといって、すべて見直し対象にするとか、あるいは時代おくれなどといって、制度疲労が生じているかのような扱い方で、住民との深いかかわりを持っている施策、こういうものを廃止とか削減とかという方法で見直しをするということなどは許されないというふうに私は思っておるんです。
 また、今後の基本方針という中で、重点事業については、新規事業あるいは既存の事業を抜本的に再構築した事業とされておるわけですけれども、なぜ新規事業でなければならないのか、既存事業では、抜本的に再構築しなければなぜ認められないのかということで、ちょっとお尋ねしたい。

○中田知事本部企画調整担当部長 先ほど来いっておりますけれども、重要施策といいますのは、今回首都東京を再生し、都民の安心、安全を確保するための都政の課題と取り組みの方向を明らかにするものと位置づけております。したがいまして、これを支えます、実現します重点事業というのは、重点的に実施すべき事業であって、既存の枠組みを超えて取り組むべき事業と、こういったものが基本となるということで、委員ご指摘のとおり、既存事業ということではなく、新規事業であるとか、あるいは既存事業を抜本的に再構築した事業、こういったものが基本となるというふうに考えております。

○渡辺委員 私はちょっと違うんですが、この新規事業--新規事業というのはわかりますよね。それから再構築しなければ認めないという事業、そういうことでなくても、私は既存の事業であっても、都民にとって重要な施策というのは幾らでもあると。
 例えば都立社会福祉施設あるいは民間社会福祉施設人件費補助、こういうものはその代表的な例だというふうにも思いますし、市民の数を超える署名が集められた清瀬小児病院や八王子小児病院、あるいは区ぐるみで存続を求めている母子保健院など、こういうものはみんな都民にとっても重要な施策だというふうに私は思いますよ。都営住宅を新規に建てることや、あるいは障害児学校を建て直すことや、片道一時間半もかかるスクールバスの改善も重要な施策だ、私学助成や市町村補助、こういうものも守り抜かなければならない重要な施策だ、こういうふうに私は思うんです。
 こうしたことを考えずに、とにかく形だけは新しくなければならない、事業の衣がえをしなければ認めないというのは、自治体として余りにも発想としては情けないというしかないんじゃないかというふうに思うんです。
 先日知事選挙があった長野県、この田中知事のもとではどうなっているか(「共産党、応援したんだ」と呼ぶ者あり)そうですよ、応援しましたよ。住民との深いかかわりを持つ事業、これは積極的に支援するとして、高齢者施策や教育などに重点を置いた予算編成がされてきました。福祉医療分野では、前年度比で一三〇%も大幅に伸ばしている。教育では県単独で三十人学級の実施に踏み出した。住民との深いかかわりのある事業というのは重点施策なのだ、こういうふうな立場から取り組んでいるんです。
 私は、重要施策、重点事業というのならば、長野県を見習って、都民のための福祉や三十人学級を初めとする教育、住宅、中小企業など、公共事業の住宅や福祉施策など、都民の生活に役立ち、しかも、地域の中小建設業者が潤うような公共事業にこそ重点を置くべきだと、こういうことをあえて強調したいというふうに思います。
 最後になりますけれども、財務局が依命通達と同時に発表した財政再建の取組状況と平成十五年度予算編成について伺います。
 まず、この文書を出した目的についてお伺いをしたいと思います。

○松澤財務局主計部長 都はこれまで、財政再建推進プランに基づきまして財政再建の取り組みを進め、着実に成果を上げてきているわけでございますが、一方で、都財政をめぐる環境につきましては、ご案内のとおり大変厳しい状況となっているわけでございます。十五年度予算編成がこれから本格的に始まる中で、都税収入が引き続き低い水準にとどまると予想されておりまして、このまま手をこまねいておりますと、三千六百億円もの巨額の財源不足が見込まれることから、都政の重点課題に適切に対応しながら、全体として歳出総額の抑制にさらに厳しく取り組むことが不可欠となっているわけでございます。
 こうしたことから、今回の冊子では、これまでの財政再建の取り組みと十五年度予算編成をめぐる状況を明らかにし、これを予算の見積もり方針とあわせまして各局等に配布することにより、十五年度予算についてのより理解を深めるため、作成したものでございます。

○渡辺委員 今答弁がありましたけれども、来年度の税収、これはさらに大きく落ち込むことが見込まれております。景気の状況は深刻であって、税収減は避けられない、こういうふうに思うのは共通していると思うんですね。だとしたら、改めて問われる問題というのは、お金の使い方はどうだったのかということではないでしょうか。
 この冊子の二ページに、都税収入の推移というグラフがある。この平成十二年度と平成十三年度、つまり、二〇〇〇年度と二〇〇一年度の税収、財政再建推進プランの見込みを大きく上回っている。例えば二〇〇〇年度は三千九百九十億円、二〇〇一年度は四千六百九十三億円もこのプランよりも上回っておるわけですね。特に二〇〇二年度は、当初見込みより大幅に税収がふえて、大型の最終補正予算が組まれました。このときに我々は厳しく指摘しましたけれども、この補正予算では、首都高速道路公団への無利子貸付金や道路、街路の建設、区画整理、市街地再開発などの投資経費に現金が大盤振る舞いされたということです。羽田沖埋立会計からの借入金の返済も前倒しでやられました。このときの補正予算は五千二百九十五億円、うち三千八百四十八億円、この増収分の七三%の現金がつぎ込まれたんです。このお金があったら、来年度二〇〇三年度税収見込みで不足するという二千八百八十億円というのは十分賄えたのではないかと、こういうふうに思います。
 また財政再建のハードルといっているものもよく検討する必要があると思います。まずプランの策定時には想定していなかった経費として介護保険給付金が挙げられておりますが、プランの策定時には、介護保険の導入とその負担問題が大問題になっていたものであります。想定できなかったのではなくて、想定しなければならなかったのではなかったのかと。
 次に、来年度の収支見込みですけれども、財務局は三千六百億円の財源不足という計算をして、これまた大々的にその不足を宣伝していると、これもいつものとおりですけれども、財政状況が厳しいというのはわかりますけれども、財務局の発表数字をうのみにするわけにはいかない。なぜかといえば、歳出ですけれども、税収が厳しいときにまず抑制すべき臨時的経費、それは投資的経費でもあるんです。それが財政運営のイロハではないでしょうか。
 その投資的経費は今年度予算規模を維持しており、大体来年度予算の問題としてだけでなく、都債を三千七百億円発行するということは、これは三十年後の将来世代に依然として七兆円近い借金のツケを回すことになるわけであります。また、経常経費でいえば、この中に含まれている首都高速道路公団への無利子貸付を初めとする投資型経費、これは毎年四千億円近い経常経費増大の要因の大きな一つになっていて、大きな問題となっているわけです。首都高速道路公団への無利子貸付の利息、これを負担させるだけでも百億円の財源が新たに生まれる。国の直轄事業負担金も大変な金額です。
 あわせていえば、公債費が五百億円ふえるけれども、これこそ私たちがいつも指摘しておりますが、大規模開発の公共事業のツケにほかならないし、また、減債基金の積み立ての利息分のうちの約七百億円、これもやっぱり過大に見ているということをいわざるを得ない。
 さらに、中央卸売市場からの借入金、この返済も、豊洲移転を押しつけたために生じる問題でもあり、市場から見ても一般会計の借り入れの方が利率も高く、繰り延べは可能だというふうにも私たちは見ています。
 基金でいえば、財政調整基金に一千三百億円、減債基金に九千六百八十六億円、社会資本整備基金に六百九十八億円など、全部合わせてまとめると、一兆三千七百二十億円も積み立てられているという、これは現に事実であります。
 確かに税収の見通しは厳しい。しかし、だからといって、三千六百億円の財源不足だけをいい回して、そして都民にただ我慢してくださいということだけでは、無責任ではないかというふうに私は思います。
 今年度予算でも、都市再生には大盤振る舞いです。そんなに来年度厳しいというのならば、この都市再生を抑えて来年に備えるべきだというのは当然のことだと思いませんか。ことしは都市再生に大盤振る舞い、来年度は厳しいのですと。これでは、だれも信用する人はいなくなるのじゃないかというふうにも思います。
 そういうことで、今財務局から出されている高どまりという問題、この高どまりを続ける経常的な経費と、こういうふうにいわれているわけですけれども、その高どまりの経常経費として、区市町村に対する補助金とか、あるいは私学助成ですね、私立学校経常費補助、こういうものを挙げておりますけれども、理由は何なんでしょうか。

○松澤財務局主計部長 ただいま財政運営についていろいろとご意見をいただきましたが、特に財務局の方が宣伝しているというお話もございましたが、私どもは、財政運営として現実の正しい姿を見込みを含めて都民にお伝えしている、そういうつもりでやっているところでございますし、また、施策につきましては、厳しい中でも必要なものには財源を重点的に効率的に配分して、不要なものは削減していくと、こういう考え方で財政健全化に取り組んでいるところでございます。
 税収につきましても、一時的に十二、十三年度に増収があったわけでございますが、これにつきましては、補正予算というお話ございましたが、景気対策も含めて経済の活性化、あるいは都民福祉の向上ということでやることと同時に、一方で、将来に備えた基金の積み立て、あるいは減債基金の積み残し等もございましたので、こういうものに対してある程度カバーしていくとか、こういう形で増収の部分を留保して、それが現実の今の姿の中で財源的にも使えると、こういうような状況も出ているわけでございます。
 そういう中で、今お話のありました、高どまりというお話でございますが、経常経費につきましては、財政再建推進プランに基づく内部努力と施策の見直しの柱に沿いましてこれまで見直しを行い、その削減を進めてまいりましたが、高どまりをしている経常経費がなお多く存在しておりまして、今後、その見直しに一層の取り組みが求められているわけでございます。
 ご指摘の区市町村に対する補助金や私学助成については、こうした経費のうち、特に金額が大きいものを例示として今回取り上げたものでございます。今後とも、こうした経費を初め、すべての施策につきまして聖域のない見直しを徹底し、財政再建推進プランの目標達成に向けて不断の努力を続けていく考えでございます。

○渡辺委員 最後になりますが、財政運営そのものについても、先ほど私が指摘しましたけれども、今答弁がありましたけれども、先ほど私が指摘した内容で、あるいはまた財政運営ということについては、これまでの取り組みを転換するという立場でひとつ取り組んでいただきたい、これは強く求めておきたいと思います。
 今の話ですけれども、いわゆる区市町村に対する補助金、それから私立学校の経常費補助、こういうものを挙げているわけですけれども、大体こういうところに挙がると、もう次の段階には見直しの対象ということは、常識的に考えてそうなってきているのですよね。それは、もう前からこれらは掲げられているという問題は、私学助成なんかはありますけれども、それにしたって、いろいろ経過はありますけれども、減らされているというのが実態。
 しかも、この高どまりということになれば、私学助成というのは一千三百億ある、これについては何とかしなきゃというのが、やはり当局の考え方だというふうに私は思いますよ。ですから、これを、いやそんなことはない、これは守りますというのだったら、そういう答弁をしていただきたいなと思うわけですけれども、いずれにしても、これを削るということになったら、とんでもない話だ。ここで例示したということは、先ほどもいいましたけれども、来年度予算で何らかの切り込みを行うということを表明したものと私たちは受けとめざるを得ない。
 いずれも都民施策として長年にわたって定着してきた制度であって、形式的に高どまりしているという理由だけで切り捨ての対象とすることは、断じて許されるものではありません。高どまりを続ける私学助成などのほか、区市町村に対する各種補助金、例えば先ほどもいいましたけれども、市町村調整交付金、あるいは市町村振興交付金、特別区の都市計画交付金などありますけれども、これらはいつも削減の対象にされてきたものであります。これら私学助成など都民の身近な施策や、都民の生活水準を本当に守る、あるいは住み続けられるまちづくりを進めていくためにも、区市町村への交付金の削減などは絶対に認められるものではありません。
 私たちは、広範な都民や関係団体や関係市町村などと力を合わせて、この削減や切り捨てには反対していきたい、そして、引き続きこういう身近なものについては守っていくという立場で全力をこれからも尽くしていきたい、こういうことを申し上げて、私の質問を終わります。
 以上です。

○大河原委員 分権改革の大きな柱といいますのは、機関委任事務を廃止して、国と自治体が対等の立場になる大変大きな改革だったと思います。しかし、この大きな改革ではあるわけですけれども、財源移譲の問題と、それから国と地方をめぐる公共事業の改革が課題として残っております。しばらく議論が浮上しなかったのですけれども、内容の評価は別としても、今回の小泉内閣のもとで俎上に上ってきたということは、評価をしたいと思います。
 自治体財政をめぐる状況からは、自治体財政の危機というのが不況のたびに叫ばれているというふうに感じられます。しかし、端的にいえば、これまでの右肩上がりの経済成長がさらに見込めないというところは、しっかり実は認識されていないのじゃないかなと。今回の危機は、これまでのものとは違うのじゃないかというふうに私は強く今思っております。
 それは、経済が右肩上がりでどんどん成長していく、そういう中進国型の経済から、先進国型の成熟した社会を支える経済になっていくという、こういう歴史的な転換期に対応できていない。むしろその構造的な危機が今目の前にあるのだという状況認識です。口では右肩上がりを否定しながら、自治体財源の自然増収は望めませんし、さらに自然減すらあるという、こういう認識を本当に持っているかどうか、これがまず第一のポイントであろうかと思います。
 そして、もう一つは、迎えている高齢少子化という社会、このことをどういうふうにとらえていくのか。まず、少子高齢社会が大変な脅威であるということ、高齢者の方々はふえていくわけですよね。現役でばりばり働いていた人たちが年金生活に入っていく、所得は減りますし、それが如実に税収にはね返ると。そしてまた少子化ですから、若い世代、納税をして社会を支えていく人が少なくなっていく。これまでに経験のない事態を迎えているわけです。こうした中で、これまで予想していないことがこれから先もやってくる、こういう構造的な条況を踏まえた議論でなければ、今後の改革議論もきちんと進まないのではないかという認識を持っております。
 さて、この分権改革における残された課題の一つが税財源の移譲であることは、だれも一致するところですけれども、きょうもいろいろ議論がありましたが、その税財源の移譲の中身、これについて本当に一致した議論がされているのかどうか、その検証が必要であると思います。
 そこで、まず伺いたいと思いますが、現在議論されている税財源移譲、これは、地方の歳入総額を拡大する、このことを前提とした議論なのかどうか、そのところはどのようにお考えでしょうか。

○松澤財務局主計部長 本年六月に閣議決定されましたいわゆる骨太方針第二弾の中で、地方行財政改革につきましては、国から地方への税源移譲に当たり、国庫補助負担金の削減や地方交付税の縮小とあわせ、三位一体的に検討していくという形になっているところでございます。これは、つまり国民の税負担を全体としてふやすことなく、現行の国税と地方税の割合を変更することによりまして税源移譲を行う、こういう考え方でございます。
 したがいまして、国、地方を通じたいわゆる歳入中立を前提としたものとなっておりまして、全体的に見ますと、地方の歳入拡大を目指すものではないと受けとめております。

○大河原委員 今のご答弁は、国、地方を通じた歳入中立ということで、この点については私も賛成です。ひるがえって東京都を考えてみますと、国からペナルティーを受けている東京都特有の財政問題がありますし、それを除くとしても、この財源移譲について余りバラ色の夢は持たない方がいいのじゃないかと、そういう思いもしております。税の大幅な自然増収が見込まれない中で、国民の租税負担を増大せずに税財源を移譲するというのですから、国、地方を通じた歳入中立が前提となるのは当然というところと思います。
 しかし、そうなりますと、地方にとって、それじゃ歳入拡大のない税源の移譲というのはメリットがあるものになるのでしょうか。その点はどうでしょう。

○松澤財務局主計部長 国から地方への税源移譲が行われまして、自主財源である地方税が増加あるいは充実しまして、一方で国庫支出金あるいは地方交付税といった、これまで国に依存し、コントロールされてきた移転財源が縮小されることになれば、たとえ歳入の総額が変わらなくても、地方自治体の歳入構造が変わり、ひいては歳入の資質が向上するということになるわけでございます。
 地方主権を確立するためには、各地方自治体が、みずからの財源とみずからの責任に基づいて行財政運営を行い得る条件整備が不可欠でございまして、そうした意味で、仮に歳入拡大がなくとも、税源移譲は真の地方自治の実現に向けて大いに意義あるものと認識しております。

○大河原委員 ご答弁にありました、歳入の構造と質の転換ということが本質的な内容であると、私もこの点賛成です。そして、歳出の規模と地方の税収入の乖離、これを解消すること、こういう課題が見られるわけです。
 小泉首相は、国庫補助負担金、また地方交付税、税財源移譲を三位一体で見直すという考えを骨太の方針第二弾に盛り込み、閣議決定されました。現状ではこれが、三位一体の改革が政府の基本方針というふうになっているわけですが、国庫補助負担金や交付税の見直しというのは、そうそう簡単には進まないだろう、そういう危惧を持っております。
 三位一体の改革について、東京都はどのように考えておられるでしょうか。各省庁や地方団体の反応、こうしたものもどのようにとらえておられるでしょうか。そしてまた、今後東京都として主張していくべき点、これについてお聞かせいただきたいと思います。

○松澤財務局主計部長 今、先生からお話しございました国の三位一体の改革は、これから進められる地方行財政改革の方向としまして、地方の権限と責任を拡大することを基本にして、国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を一体的に検討し、その実現化を目指すものでございます。
 しかしながら、一方で国の各省庁では、こうした考え方に対しまして、新聞報道等によりますと、いまださまざまな意見の相違があるようでございまして、例えば、総務省は地方交付税の縮減に、国土交通省など事業官庁は国庫補助負担金の見直しにそれぞれ消極的でありまして、また、財務省は国の財政負担を軽減することを改革の前提としているというようなことでございます。
 それから、さらに地方自治体の中では、地方交付税の現状維持を求めているところが多いなど、全体として見ますと、まだ足並みは必ずしもそろっていない状況にございます。
 このままでは、改革の実現までになお時間を要するおそれもあるわけでございますが、都としましては、この三位一体の考え方、方向に沿って、地方交付税や国庫支出金に大きく依存する現行の地方税財政制度を改めまして、早期に地方への税源移譲を図るべく、大都市への税源配分への主張も加味しながら、国に対して引き続き強く働きかけていく考えでございます。

○大河原委員 国庫補助金については、各事業官庁の縄張り意識が非常に強いと。交付税の削減には、旧自治省、総務省の縄張り意識が見え隠れしております。そしてまた、大蔵、財務は無論、国の財政危機の中で財源移譲に難色を示しているというところだと思います。その意味では、この三位一体論がどのように具体化されるのか、まだまだ先が見えないわけですが、ここのところがポイントかと思います。
 税源移転論の中では、現行の税体系の問題も当然浮上してくるわけですが、七月二十五日に片山総務大臣は、十八年度から法人事業税の四分の三を現行どおりの収益とし、残る四分の一を外形に、そして、これを三年続けて平成二十一年からは半分にするというような案を説明しておられます。
 税源移譲については、税体系の検討は不可欠だと思いますけれども、この観点、東京都はどのようにお考えでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 税体系ということで、地方税の望ましいあり方としましては、資産、所得、消費のバランスのとれた課税であること、また税収が安定し、受益に応じた負担であること、税源が偏在しないことであるといわれております。
 しかし、現状は、道府県税につきましては、法人所得課税に偏り、税収が不安定であること、地方税といいながら、法人住民税や法人事業税は、国税である法人税の付加税的なものとなっていることなどの問題が指摘されております。法人事業税への外形標準課税の導入も、このような観点から提起されているものと理解をしております。
 税源移譲に当たりましては、このような地方税のあり方や問題点も踏まえた税体系としていかなければならないと考えます。

○大河原委員 法人事業税の外形標準課税の導入ということもいわれておりますけれども、まだまだ一般的に広げるというような姿勢はなかなか見えてまいりません。東京都は、銀行税でこれで戦っているわけですし、国の動向についても積極的にとらえた発言を重ねていただきたいというふうに思います。
 ちょっと話が戻りますけれども、税源の移譲は、総額としての税は変わらないということから出発しているということなわけです。さきにも触れましたけれども、補助金、負担金の改革にとって、国土開発計画など、国の各種公共事業にかかわる上位計画の改革が不可欠です。
 これら改革されるべき上位計画にはどのようなものがあり、そして、その抱えております問題点はどのようなものでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 国土関係の計画については、国土総合開発計画及び国土利用計画とがありますが、地方の計画機能を阻害しているなどの問題点があり、抜本的に見直すこととされております。
 一方、公共事業にかかわる長期計画につきましては、道路整備五カ年計画を初めとして、現在十五本の計画がございます。これについては、地方も事業主体となっていることから、地方分権改革推進会議の中間報告でも、地方単独事業や補助事業の位置づけについて見直しすべきではないかということが提起をされております。

○大河原委員 私も、この地方分権改革推進会議の中間のまとめを、公共事業の部分など頼もしく読んでいるわけですけれども、この財源の分権ということを考えますときには、こうした上位計画も、基本的に抜本的な見直し、廃止を含めた見直しというものが必要になってきます。
 七月にドイツに行ってきました。この中で地域の自治の制度なども見聞きしてきましたけれども、フランスやドイツなどヨーロッパでは、こうした基本的な改革を行って方向性をはっきりと示している。東京都としても、こうした税財源の移譲という課題の中で提言していくべきことがあると思いますけれども、その点についてはどんな見解をお持ちでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 現在、国土交通省においては、所管する十本の公共事業関係の長期計画につきまして、事業分野別の計画から、社会資本整備の重点化、集中化のための計画に転換するなど抜本的な見直しに着手するとしておりますが、このような国の動向にも注視していく必要がございます。
 自治体が主体的に計画を策定し、事業も執行できるよう、財源を伴った一層の事務権限の移譲を提言してまいります。

○大河原委員 税財源の偏在というものは、そのまま自治体の財政力の問題となります。実際に、地域的には深刻な状況があるわけです。この点で、制度の差はありますけれども、イギリスのSRB、シングル・リジェネレーション・バジェット、それからアメリカのCDPG、これはコミュニティ再生のための包括的な補助金制度ですけれども、単純な縦割り解消ではない、もっと市民の力に依拠した地域の再生、地域経済を再生するということをはっきりと示したものであって、市民への第三の分権を目指したものとして、私は注目をしております。
 分権改革の提案として、さきの公共事業計画の改革とともに、東京都としても提案をしていくべきではないかと考えるわけですが、この点いかがでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 分権改革におきましては、自治体が住民と協力して、みずからの財源で主体的にまちづくりを進めることが必要であり、補助金については、そのあり方を抜本的に見直すこととしております。
 ご指摘の点につきましては、まちづくりの支援のあり方の問題であるというふうに思いますが、そのような問題として検討されるべきものと考えます。

○大河原委員 交付税や補助金への依存から脱却することが地方財政の自立の条件だというふうに考えれば、税財源の移譲に加えて、新たな財政調整制度の創設も必要であるのじゃないかなというふうに感じます。この論点整理の中にもそうした意見が列挙してあるわけですけれども、実際に地方分権改革を進めて、目指すべき分権社会という中では、地域で大事なことは地域住民が決められる、そういう制度改革まで持っていかなくてはならない。その中では、提供される行政サービスについても、市民の合意でつくる、特にそのコスト、そこへも合意を高めていく、そういうことが必要じゃないかと思います。
 東京都が大変危機的な財政の状態の中にある。東京都が行っている施策も、まだまだ都民にとって透明性の高いものとはいえないのではないかというふうに思っております。
 きょうは、新しい時代にふさわしい税財源のあり方ということで、この委員会で議論が進んでおりますけれども、そういった意味でも、もっと市民へ、都民への分権、このことをぜひとも検討していただきたいというふうに思います。
 終わります。

○大木田委員 最後でございますので、できるだけ簡潔にしたいと思っておりますが、まず、今回は税財政が一つのテーマでございまして、今日の経済情勢を見ますと、まさにこの税財政を討議して深化をすることは非常に重要だと思っております。
 世界を震撼させた九・一一、間もなく一年でありますけれども、世界は変わったと。この一年の激動の変化を見ておりますと、やはり百年に一度の大変革期に今あるんだなということを改めて感じておりますが、株価も九千円前後を低迷するという、まさに十八年、二十年前に戻るというような状況の中で、都財政も大変な影響を今後受けてくるのではないか、こう思っているわけであります。
 先ほども、十五年度予算、三千六百億の不足というようなこともありますけれども、それで済むのかなと。もっと激しい変化が、世界同時株安のような状況になってきて、私は前からいっているんですけれども、国債が暴落をするようなことなら大変な事態になるというような中で、長いさよならに入ったというような、こういう状況でありますけれども、先ほどの三千六百億の不足ということでありますが、これは、こういう状況で済むのかなということで、今の景気の状況も含めて、編成に当たってどんな感想を持っているか、どなたでも結構ですから、伺っておきたいと思います。

○松澤財務局主計部長 ただいま先生の方から、大変厳しい経済環境といいますか、そういう中で、これから非常に財政運営も厳しくなるし、財源不足も三千六百億を超えるんじゃないかというようなお話もございましたが、ご案内のとおり、この三千六百億円という数字は、都税収入については、ことしの十四年度予算をベースにしまして、昨年からかなり国税が落ちてきておりますので、それのタイムラグで地方税が一年おくれになりますので、八百億円ぐらい落ちるんじゃないかということを前提にしまして、あと歳出につきましては、当然出てくる増経費あるいは減経費、そんなものを計算して、差し引きで三千六百億円という財源不足の数字を出しているわけでございます。
 そういうことで、これから私どもも一番気がかりなことなんですが、景気の関係で、どれだけまた税収が落ちてくるのか、また現状維持にとどまるのか、そこら辺が一番憂慮する点でございまして、いずれにしても、もう右肩上がりの時代は終わって、非常に低成長の中で財政運営もしていかなきゃいけない状況でございますので、そういうことを十分に肝に命じながら、これから十五年度の予算編成あるいは財政運営について心していきたい、このように思っております。

○大木田委員 今、国政の話が出ましたけれども、国政の方も、八十兆、八十一兆の予算の中でも、交付税で十七兆、補助金で十三兆、国債返還で十七兆、これで四十七兆と。税収が四十七兆ですから、それで国債を三十兆出して事業をやっているということでありまして、財政出動も大変厳しい状況ですね。
 したがって、次の一手をどうするかということで、デフレ対策も含めて、このままでいいのかという思いを私は強く持っております。
 これは国の方でございますのであれですけれども、東京都政は、今日まで、常に国に先駆けていろんなことを行ってきました。したがって、東京都税制調査会をつくって七兆円を地方にという、これは、大きな起爆剤として各方面にも影響を与えましたし、片山試案も五兆五千億でしたけれども、こういう内容を出して具体的に出してきたのは、都税調の大きな私は成果だと思っております。
 福祉の問題にしても、介護保険制度は今日こうなってきましたけれども、それを先行的にずっと東京都が福祉の展開をしながら来たことが、これが集約されてそういう制度になっていったわけでありますけれども、今後とも、国を先導する東京都政という形で、意欲的な政策提言を都から行ってもらいたい、こういうふうに思っているわけです。
 その意味においては、ここでいろいろ議論を重ねていくことは大変いいことではないかと思いますが、先ほど和田副委員長は、東京再生都債、大変よかったということで、私も非常にこれはいいと思いますが、私は前に、予算委員会でも財政委員会でも、都債が十年だったのを五年、三年債を出しなさいよ、社債で三年債を出していますよと、これを何回も私は予算委員会でも提起したけれども、それは出せないんだというような答弁で来て、今回出して大成功したんですけれども、市場で〇・〇六を〇・一二にして、安心だということで都民の皆さんも参加していただいて、私は評価しているんですけれども、何で、三年ものをあれだけ出しなさい、出したらどうかという提案をしたんですけれども、そのときは実現できないとかといって、今はやって結構なんですけれども、どういう、そのいきさつをちょっと教えていただけますか。

○松澤財務局主計部長 ただいま先生おっしゃいましたように、地方公共団体が起債を発行するに当たりましては、先ほども議論がございましたように、地方債許可制度という中で、総務省、旧自治省の縛りが非常に厳しくて、いろんな形で地方団体が自主的、自立的に発行するということが、なかなかきつい状況がございました。
 そういう中で基本になるのは、もう先生ご案内のとおり、十年物ということで、十年債を基本にして、これは起債がそもそも公共施設に対する財源でございますので、耐用年数との関係で、大体三十年耐用年数があるとすれば、十年で発行して二回借りかえをやって三十年で償還する、こういうことがございましたので、十年ということが基本だったわけでございます。
 ところが、起債もだんだんと弾力的なものになってきて、また先生のご指摘のとおり、経済、金融情勢がここ数年の間にがらっと変わってきて、特にボンドについては、やはり民間に近いものにどんどん状況が変わってきておりますので、そういうことも含めまして、かなり多様化する起債といいますか、いろんな短いものとか長いもの、いろんなものをあわせてやっていく、こういう状況が出てきております。
 そういう中で、今回、東京再生都債につきましても、群馬県の愛県債から始まったミニボンドの中で、総務省の方も、ここら辺については弾力的にやっていいという、そういうこともございまして、今回、こういう形で発行させていただいた、こういう経緯でございます。

○大木田委員 今、多様化したということですけれども、二極化と個別化が今どんどん進んでいるわけですね。それで十年物というような、十年一昔というのは、今、一年一昔、こういわれているわけですから、ですから、そういう要するに社会全体のスピード化の中で物差しは変わっていますので、そういう状況を踏まえていろいろと対応していきませんと、いろんなものが膠着して、制度疲労のまま対応できなくなってしまうということでは大変困るのでありまして、ぜひこれからも意欲的に取り組んでもらいたいと思いますが、例えば、このボンドを今後どのくらいまで拡大しようと思っているんですか。
 七兆六千億の今の都債の償還が、今平均で四・二ですか、ですから、これがいろんな、あるいは平均でその程度だと思いますけれども、それから公営企業債を入れると、これが五兆ちょっとあるから、十三兆ぐらいあるわけですけれども、この償還だけだって、今、国だって十七兆償還で充てられているわけですね。
 都も最大で八千億ぐらいの償還になるんでしょうけれども、ですから、そういうことを考えてみますと、今の低金利の、いわゆる航空母艦だけではなくて、掃海艇の小回りのきく対応をして、そして、高い都債の方はそれで返していくと。そういうことになると、都債暴落でも起きたら困るんですけれども、しかし、そのくらいの対応で、これはどのくらいまで出せるんですか。ちょっと伺っておきますけれども。

○松澤財務局主計部長 都債の発行につきましては、先生から都債残高、七兆以上あるというお話もございましたが、基本的には、新規の都債を発行していく中で、特に今回では都市再生事業ということで、わかりやすい道路あるいは公共交通の整備といった充当事業に充てていくという前提もございますので、基本的には、一般会計でいいますと、今年度でいきますと約三千七百億ぐらいが新発債ということになっておりますので、そういう中で限られているわけでございます。
 また一方で、今回のは個人向けの都債でございますけれども、従来から、民間公募債といいますか、機関投資家向けの起債ということが主力になって発行してきておりますので、またこれについても、やっぱり地方債の公募計画の中で全体的に市場に出していかないという状況もございますので、必ずしも、発行した額が、そのまますべて個人的な今回のような都債を発行するということは、なかなか不可能でございます。
 そういうことも含めまして、今回、二百億でございますが、来年度以降、今回の実績も踏まえて、可能な限り拡大していきたい、このように思っております。

○大木田委員 これは、都民のニーズにこたえたから、あれだけ反応がよかったんだろうと思うんですね。したがって、これからもいろんな政策を行っていく場合、都民のニーズがどこにあるのかと、常にそれを吸収する必要があると思っているんですね。
 そういう意味で、具体的にちょっと質問したいと思いますけれども、一つの試案として、納税者投票制というのがあります。納税をしたときに、この税金をどう使ってほしいのかということを投票する、そういう一つの制度ですけれども、これについてはいろいろとクリアしなければならない課題もあります。意欲的に納税をしていただいて、要するに、納税したけれども、その税がどう使われているかわからない。また、自分たちはこういう方向にこの税は使ってほしい、そういう世論の意見を吸収できるような、この制度というのは、私は一つの試みとして、特に地方自治体の場合は、住民に密着している一つの制度でありますから、そういうような形でいろいろと住民の意見を吸収するということで、一つのことではないかと思っているんですけれども、これについての認識を伺っておきます。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 納税者投票制度ということでのご提案といいますか、ご提起がございましたが、自治体が効率的で住民本位の自治体行政を実現していく上で、これからは、住民が自治体の行財政運営について関心を持って主体的に参加し、また監視をしていくということが重要になってくるというふうに思います。そのためには、自治体運営の情報公開であるとか、提案型広報の一層の充実なども図っていく必要があると思います。
 納税者投票制度につきましては、技術的な問題であるとか、納税者が一部に限られるという点もございます。いろいろな問題がありますので、検討すべき課題が多いというふうに思いますが、先ほど申し上げましたように、住民が主体的に参加し、住民意思を反映させるという方法として検討すべき課題であるというふうに思います。

○大木田委員 今、さまざまな事件や出来事が起きたときに、各マスコミが世論調査というのをいたします。世論調査でいろいろな一つの世論の動向というのがそこにあらわれるわけでありますけれども、非常に激しくいろいろと変化しておりますし、また、人々の考え方もいろいろと変わっているわけです。
 これだけ世界が狭くなって、マスコミの社会になって、そのマスコミとともに世論の、人々の心も変化している、こういう中にあって、都政でも世論調査なりをして、それなりの都民の意向は把握はしていると思うんですけれども、私は、そういう一つの自治体として、納税をしたときに、例えば第一段階として、アンケートのようなものを、テレビ番組なんかでもいろんなことを報道して、これについてファクスで送ってくださいというと、随分いろいろな今ファクスやインターネットなりでいろいろなものが反応が返ってきますよね。いわゆる双方向の時代に入っているわけですけれども、そういうことを考えますと、納税者投票制度ということになると、いろいろと難しい形もあるかもしれないんですけれども、その前段階として、いわゆるアンケートのようなものをつくりまして、そこに下に個人で意見がある方はそれも書いていただくということで、やりやすいような形にして、試みとして私はちょっと提案しますけれども、やって、そして自分たちも地方自治のいろいろな面に選挙という一つの手続以外に、いわゆる間接民主主義の一つの限界を、直接民主主義、要するにそういう意味においては、今の時代に合った双方向のことも意見も踏まえて対応できるような、そして納税する人もさらに誇りを持って納税をするというような形で、それは一つのまたまとまればいろいろなデータも参考にしながら、例えば先ほど出た重点政策なら重点政策の中にも、そういうような意見も反映をしながら、そういうことをやっていくというような一つの制度としてこれを提案したいと思うんですけれども、アンケートのような形を第一段階と考えますけれども、これについてはどうでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 納税者アンケートという形で、納税者投票はいろいろ難しい問題があるということで、納税者アンケートという提案でございますけれども、先ほども申し上げましたように、行財政改革を進め、効率的で住民本位の自治体行政を実現する上で、住民が自治体に関心を持って主体的に参加し、監視をしていくということは、重要な意義を有するというふうに思います。
 そこで、情報公開を進めることとか、住民意思の反映を図るために、提案型広報の一層の充実に取り組んでいくこととか必要であり、それを進めているわけでございますけれども、これからの分権改革において、住民がみずから負担しながら行政サービスを選択し、監視できるようにすることが一層重要になるというふうに思います。
 ご提案の納税者アンケートにつきましては、個別の要求を並べたものとなるような心配も一つございます。住民意思の反映方法として実効性あるものとする上では、いろいろ課題も多いというふうに思います。研究すべきというふうに考えております。

○大木田委員 だんだん最後の方がちょっと腰砕けになってまいりましたけれども、要するに、これだけの変化の中で、都議会の選挙四年に一回ですけれども、四年間の中ですごく変わるんですよ。一年でも変わるんですよ。したがって、そういう中で皆さんの思いがどこにあるのかということを常に把握しながら行政を行っていくということは大事で、見直しもしながら、だから昔つくった計画をそのままやるんじゃなくて、常にそういう、リアルタイムじゃありませんけれども、私新聞社にいたときに、破けば血の出る生きた新聞を書くということをモットーにしてやってきましたけれども、そういう現実に生きたという、生きているそういう一つの対応をしていくことが大事だなということでちょっと申し上げておきますけれども、ぜひ、いろいろと課題は確かにあると思います。しかし、研究をしていただいて、そういう住民の声が反映する体制ですね。
 それから、この際ですから最後に申し上げておきますけれども、今税制改革がいろいろ議論になっております。私は毎回いっているんですけれども、今はもうウナギの寝床のようなつけ足しの改革ではだめなんですね。特別措置法をつくって、特別税制で、特別特別でやってきて、ずうっとやって、要するにその場に立ち会った人がいなければわからない税制になっているわけです。
 したがって、いろいろと税制の関係者から見ますと、本当にそのときに立ち会った人がみんな今そろっていて、それはそのときそのときのいきさつでやってきたことは、今日までの歴史の中なんですけれども、これからしかし、丸の内から新宿に庁舎を移したように、きちっとわかりやすい、簡素で公平、中立、また活力ということで今検討されておりますけれども、機会があれば、都税調というところもあるわけですから、私はそういうところで税制のあるべき姿、地方自治の立場だけじゃなくて、東京都がそういう一つの提言を発信して、要するにその中においては、新しい税制を構築する一つの中において、地方自治の役割ももう一回明確にすると。
 今のままでいきますと、ずうっといろいろないきさつの中で、本当にそのときの立ち会った人に意見を聞かないとわからない。住民の皆さんもなかなかわからない税制というものが今日ありますので、できればそういう国に対することでもありますけれども、地方自治ということを一つのてこにして国を変えていくという立場から、またこれもご検討いただきたいと。意見は結構でございます。
 以上でございます。

○川島委員長 ほかに発言がなければ、以上をもちまして本日の質疑を終了いたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時五十八分散会