委員長 | 川島 忠一君 |
副委員長 | 大木田 守君 |
副委員長 | 古賀 俊昭君 |
副委員長 | 和田 宗春君 |
理事 | 富田 俊正君 |
理事 | 鈴木貫太郎君 |
理事 | 吉田 信夫君 |
理事 | 樺山 卓司君 |
理事 | 内田 茂君 |
山下 太郎君 | |
長橋 桂一君 | |
真鍋よしゆき君 | |
松原 忠義君 | |
相川 博君 | |
遠藤 衛君 | |
河西のぶみ君 | |
新藤 義彦君 | |
山崎 孝明君 | |
渡辺 康信君 | |
石井 義修君 | |
木村 陽治君 |
欠席委員 二名
出席説明員知事本部 | 本部長 | 田原 和道君 |
次長 | 三宅 広人君 | |
企画調整部長 | 渡辺日佐夫君 | |
特命担当部長 | 高島 茂樹君 | |
企画調整担当部長 | 中田 清己君 | |
国政広域連携担当部長 | 熊野 順祥君 | |
自治制度改革担当部長 | 幡本 裕君 | |
総務局 | 局長 | 大関東支夫君 |
総務部長 | 高橋 和志君 | |
行政改革推進室長 | 島田 健一君 | |
IT推進室長 | 木谷 正道君 | |
人事部長 | 山内 隆夫君 | |
行政部長 | 反町 信夫君 | |
勤労部長 | 大塚 孝一君 | |
財務局 | 局長 | 安樂 進君 |
経理部長 | 佐藤 兼信君 | |
主計部長 | 松澤 敏夫君 |
本日の会議に付した事件
行財政改革の基本的事項についての調査・検討
報告事項(質疑)
・自治制度改革の論点整理
(2)今後の首都圏における広域自治体制度と基礎的自治体制度のあり方について
○古賀副委員長 ただいまから行財政改革基本問題特別委員会を開会いたします。
委員長が所用により本日の委員会におくれるとのことでありますので、委員会条例第十条に基づき、私が委員長の職務を代行いたしますので、よろしくご協力のほどお願いいたします。
これより、東京の将来像を展望し、社会・経済情勢の変化に柔軟に対応する都政を実現するため、行財政改革の基本的事項について調査・検討を行います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、自治制度改革の論点整理の中から、今後の首都圏における広域自治体制度と基礎的自治体制度のあり方についての質疑を行います。
資料の要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○松原委員 過日の新聞で、政府の方の動きがあるのですけれども、政府の第二十七次地方制度調査会、一日行われたようですが、都内で総会を開き、都道府県の再編や小規模町村の権限縮小など、現行の都道府県市町村体制の抜本見直しを今後の議題とすることを正式に決めたということでございまして、来年の春までに中間報告を取りまとめるというふうな方針を出したようでございまして、その動向が極めて注目されるところでございますが、本日は、我々都議会におきまして、特に自民党の中でお話を私の方でさせていただきたいと思いますが、大都市制度のあり方について議論をしてまいりたいというふうに思っております。
我が国を代表する首都東京の大都市制度は、明治以来、幾多の変遷を経てきました。戦後については、五十数年間、基本的には都区制度、特別区制度という枠組みが維持されてきましたが、長年にわたる特別区の自治権拡充の取り組みなどにより、大都市における自治の実績と経験が積み重ねられてきたわけであります。そして、今、変化の大変激しい時代状況の中で、この国の形、この国のあり方そのものが問われております。今後の基本的な方向としては、地方自治、地方分権の一層の推進が求められ、それを実現することが、国の命運をも左右する重要な課題となっていると思っております。
このような時代認識からして、我が東京における大都市制度のあり方については、従来の枠組みにとらわれることなく、真剣に論じていかなければならないと思います。
さて、これからの都市の時代というものは、世界的な都市間競争に勝ち抜き、首都圏再生、ひいては日本の再生を図るために、都市の機能を一層強化し、世界中から人、物、金、情報を引きつける魅力ある世界都市東京をつくる必要があります。そのためには、東京及び首都圏への集中的投資を行っていくことが不可欠であると思います。これは、従来から我が党が繰り返し主張してまいったところであります。
都市を再生するには、世界の主要空港に比べておくれている空港や、三環状道路などの都市基盤整備が必要であることはいうまでもありません。また、魅力ある東京の都市づくりを進めるためには、そこに住む人にとって必要な生活基盤が整備され、暮らしやすさが確保されることが必要であります。都市生活者の視点を忘れて都市再生を論じてはならないのは、当然のことであります。
そうした都市の暮らしの中において大切なものの一つに、環境問題があると思います。環境には、自然環境の保全はもとより、自動車排ガスなどの公害や、公園、水辺環境などのアメニティー、さらに町並み整備などの都市景観まで、さまざまな側面があります。そのいずれもが取り組むべき重要な課題と思います。大規模な都市基盤整備や民間の事業活動などと都民の健康で快適な生活との調整を図るものとして、環境影響評価の制度が設けられているわけであります。
この際、誤解のないように重ねていっておきたいと思いますが、このたびの第二回定例会で環境影響評価条例の改正が行われました。今回の改正の意義の一つは、計画段階での環境影響評価を実施することとしたこと、もう一つは、東京の全地域ということではなくて、地域の特性に応じて今後の東京の都市づくりの課題に積極的にこたえていくために、都市計画との連携を一層強化する観点から、環境影響評価の手続、対象を見直したことであります。
今回の環境影響評価制度の見直しは、都が二十数年間にわたるまちづくりにおいて、都市計画と環境影響評価との共同作業を通じて得た経験と知見の集約が反映されたものであると思います。
このように、都市の生活を環境の側面から向上させていく取り組みを初めとして、大都市における生活の快適性、利便性、安全性を確保することが不可欠であります。前回、我が党の山崎委員が述べたように、都心回帰の流れにも対応し、教育、福祉なども含めた都心居住の総合的な施策を実施することなど、都市づくりを進めていく上での課題は多いのであります。
そのために、環境影響評価制度の見直しにとどまらず、社会経済状況の変化に応じつつ、大都市の特性を踏まえ、絶えず新たな政策運営を実現していくことが求められているのであります。
そこでお伺いいたしますけれども、このように、東京という大都市の特性を踏まえた都市づくりが重要であり、それを支える大都市制度を、社会経済状況の変化に応じて見直していく必要があると思いますが、ご見解をお伺いしたいと思います。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 東京は首都であり、他の指定都市の規模をはるかに上回る、高度に人口が集中している大都市でございます。これらの特性を踏まえまして、今後も世界都市として発展していくために不可欠な都市基盤や生活基盤などの社会基盤整備を進めるなど、効率的、効果的な大都市経営を行っていく必要があります。
そのためには、複数の基礎的自治体が一体となって大都市を形成している東京の特殊性を踏まえ、都県を超える広域行政の進展や、特別区の自治権拡充の動きなども考慮して、中長期的な視点から大都市制度のあり方を検討していく必要があると考えております。
○松原委員 首都であり大都市である東京の制度を中長期的な視点から検討していくということですが、制度の見直しに当たっては、大都市行政の効率性を確保することはもちろん、絶えず変化する社会経済状況に合わせ、行政需要への的確な対応を図っていくことが必要であります。
都市再生にしろ都心回帰にしろ、新たな課題が発生したときに、都も区も、単にみずからの役割を果たすということではなくて、お互いに協力して課題に当たっていくことも必要であります。なぜならば、東京の大都市行政は、都区が共同して責任を持っているからであります。今後とも、複数の基礎的自治体で一つの大都市東京を構成するという形態を保ち続ける限り、広域的自治体である都と基礎的自治体である区が、対等の立場で協力することが重要であると思います。
そこで伺いますけれども、地方分権の流れと、効率的な大都市行政の視点を踏まえた広域的自治体と基礎的自治体の関係、すなわち、都区の関係のあり方とはどういうものと考えるのか、お尋ねいたしたいと思います。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 広域的自治体はより広域の行政を重点的に担い、基礎的自治体は地域の行政を主体的に担っていくことで、両者あわせまして、効果的、効率的に住民福祉の向上を図っていく必要があります。
その際、広域的自治体である都と基礎的自治体である区は、対等、協力の関係を基本に、共同して大都市の課題への対応を図っていくことが重要と考えます。
○松原委員 東京の大都市行政を、広域的自治体である都と基礎的自治体である特別区が共同で責任を担っていくということですが、当然、それぞれの役割には性質の相違があることはいうまでもありません。
それでは、どのような相違があるのか。すなわち、広域的自治体と基礎的自治体がどのように都市の行政を担っていくのかという役割分担の議論をまず行わなければならないと思います。
繰り返しになりますが、東京は首都であります。また、我が国最大の大都市であり、極めて膨大な行政需要が発生する特別の地域でもあります。したがって、ここを包括する広域的自治体の役割というものも、特別なものとならざるを得ません。都区制度という特別な制度がつくられた理由は、膨大な行政需要にいかに対応するかということであったと思います。
政令指定都市の規模をはるかに超えるこの大都市の行政需要に的確に対応することは、基礎的自治体では困難であり、大規模な都市基盤整備や上下水道などの大規模供給事業は、府県が一体的、統一的に行う必要があったのであります。東京のような巨大都市においては、広域的自治体でなければできない事務事業が多くあるといえましょう。このことは、これからも変わることはない広域的自治体の独自の役割と考えられます。
ところで、これまで都が行うべき大都市行政は、いわゆる大都市事務という概念で整理されてきました。上下水道、消防などがその代表的な例であります。この大都市事務にどのような事業が含まれるのか、個々の具体的な事業の範囲については後ほど述べますが、都区間の財源配分を定める根拠となることから、都区間でその範囲を協議していくことになっております。
しかしながら、これまでの都区協議の経緯などを見ますと、府県事務か大都市事務か、区別が難しいところがあります。東京という大都市の行政は、実際には自動車公害対策や環状道路整備など、基礎的自治体、さらには大都市地域を超える課題について、広域行政であり、かつ大都市行政として行う部分があると考えられます。
ですから、現行上の市の事務、府県事務の区別にかかわりなく、東京の実態に合わせ、広域的自治体としての役割を明確にしていくことが、まず必要ではないかと思います。
しかし、都も区もお互いに財源配分の上で相違する立場から協議するのでありますから、最終的には政治の場で決着ということになるかもしれません。そのときは、我々都議会としても、しかるべく役割を果たすことを今後求められてくると思うのであります。
それはそれとしまして、都の今後の役割をさらに具体的に申し上げれば、例えば先ほどの消防、上下水道、交通など、巨大な需要に対応して一体的にサービス供給を行うべき事業を初めとして、そのほかにも、骨格的な都市基盤整備や都市の総合的なビジョンづくり、住宅や福祉など、都市生活にかかわる総合的な施策の企画、立案、さらには国際都市にふさわしいシンボルとなるべき施設の設置などがあると考えられます。今後も大都市の総合性、一体性確保の観点から行うべき行政分野は多いと思います。
そこでお尋ねをいたしますが、大都市の総合性、一体性を確保するためには、都が今後も広域的自治体としてその責任と役割を果たしていくことが重要と考えますが、ご見解をお尋ねいたしたいと思います。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 大都市地域としての東京は、中心部が主として業務・商業地区、周辺は住宅地などというように、各地域で都市の機能を分担しておりますが、このような都市にとって必要な機能を総合的に確保していく必要がございます。また、区部だけで八百万を超える人口が生み出す膨大な行政需要に一体的に対応しなければ、事業が成り立たないか、極めて非効率となります。
こうしたことから、ご指摘のように、大都市の総合性、一体性を確保することは、広域的自治体である都の重要な役割であると考えます。
○松原委員 今の答弁にもありましたとおり、大都市の総合性、一体性を確保することが、広域的自治体である都としての最も重要な役割に挙げられるべきであると、私も同感であります。
広域的自治体である都には、複雑多様な大都市を一体として機能させることが求められております。そのために必要な事務、権限、財源を都はこれからも持ち、責任を持って大都市行政を担っていくべきであります。今後、都の役割をさらに明確にしていくためには、財源も含め、さらに具体的な検討を行っていかなければなりませんが、その際には、都の大都市行政に対する意気込みがうかがえるような提案を期待しておきます。
役割分担の問題に関連して、もう一つ首都の問題があります。
東京に都制度がしかれたのも、その大きな理由は首都であったからであります。国の五月末の首都機能移転候補地選定は先送りとなり、当面の危機は去った模様に感じられますが、首都機能移転問題は完全に息の根をとめられたわけではなく、今後の新たな動きに対応していくためにも、都として首都機能強化の役割を明確にする必要があります。現に、七都県市首脳会議では、この五月に、ともに連携して首都機能のバックアップを行っていくことを表明しております。大都市制度を検討していく上で、この首都としての視点も必要であると考えます。
そこで伺いますが、首都であることを前提に、大都市制度のあり方をどのように検討していくべきか、お尋ねいたしたいと思います。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 首都行政の内容としましては、要人警護や外国からの賓客の接待などのほか、首都としての都市の安全、防災の強化、風格ある町並み整備などが挙げられます。
また、首都機能を果たしていく上で、行政としてどのような機能を確保し、国や関係県市等とどのように役割分担をしていくべきか、首都独自の制度のあり方も検討する必要があると考えております。
○松原委員 首都独自の制度というように、東京が首都であるという事実は、目に見える以上にこの大都市の制度のあり方に深い影響を与えているようにも思われますが、十分に明確ではありません。今後さらなる調査検討を進めていってほしいと思います。
また、大都市地域における広域的自治体である都の役割は、このように大きなものであるということがわかるのですが、一方で、基礎的自治体である特別区の役割も一層重要となると思っています。特別区も、基礎的自治体として、地域の行政を主体的に担っていく必要があります。
思えば、大都市の基礎的自治体のあり方も変遷を重ねてきました。過去の東京市の区は、一応法人格は有していたものの、実態は、財産や施設の管理が主な仕事で、現在の市町村とは性格が異なるものであったともいわれております。
その後、今日までの長い歴史の中で次第に行政能力をつけ、制度的にも基礎的自治体に位置づけられるまでになったのであります。そして現在、世論調査などを見ると、特別区も、自治体として住民意識も定着してきているのであります。
私の住んでおります大田区はもちろんのこと、各区で、都民であると感じることが多いと答える住民よりも、区民であると感じることが多いと答える住民の方が上回っていることは、その一つの証拠であると思います。
これまでの都区制度、都区財調制度の根本には、大都市を構成する基礎的自治体として、一定レベルの行政水準の確保ということがあり、同質な行政サービスを行うことが前提とされてまいりましたが、これからは、地域の自治の担い手として、特別区には、地区計画などを活用した特色のある商店街づくりや景観づくりなど、地域の特性を生かした特色のあるまちづくりを行っていくことが一層期待されていると思います。
そこでお伺いいたします。特別区も、今後は基礎的自治体として、これまで以上に多様な行政運営を行っていくべきと考えますが、いかがなものでしょうか。また、今後どのような役割を期待していくのか、お尋ねいたします。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 複数の基礎的自治体が大都市を構成していることから、大都市の総合性、一体性を確保することは、都の役割でございます。そして、特別区には、大都市地域における基礎的自治体として、地域の多様なニーズに応じた自主的、自立的な取り組みが求められます。
今後とも、特別区においては、地域の特色あるまちづくり、そして介護や地域保健など、住民に身近な課題について創意と工夫を生かすことにより、大都市行政の一翼を担っていくことが重要と考えます。
○松原委員 特別区は、基礎的自治体として、多様性を生かして大都市行政の一翼を担っていく必要があるとの答弁でございますが、結局、広域的自治体も基礎的自治体も、それぞれの役割を果たし、かつ協力して大都市行政を行うことが重要であるということになると思います。
都区がそれぞれの役割の殻に閉じこもり、過度のすみ分けによってばらばらに行政を行っていたのでは、大都市行政の効果は上がっていきません。今話題になっている江東区のマンション規制なども、そういう側面があることは否定できないと思います。
このようなことを述べますと、では、二重行政になっても構わないのかという声が出るかもしれませんけれども、そうではありません。確かに、大阪や京都では、府と市の二重行政が問題となっており、その解消のための協議会を立ち上げていると聞いております。しかし、広域的自治体と基礎的自治体がそれぞれ勝手に行政を行うから二重行政になったり非効率を招くのでありまして、相互の意思疎通を図り、十分に調整を行えば、そのような弊害は防げるはずであります。大都市行政の効率性を高めるためにも、お互いの協力体制を整えることが必要なのであります。
都区間では、ご承知のとおり、法定の協議会として都区協議会が設けられております。また、任意の連絡調整の仕組みも数多く存在しておりますので、このような協議の場を活用するなど、相互の意思疎通を図り、大都市の課題に迅速に対応する体制をつくっていくべきと考えます。このことについては、ご検討をお願いしておきたいと思います。
次に、特別区の再編問題についてお尋ねいたします。
特別区が今後さらに大きな役割を果たしていくのだとすれば、大都市行政需要に適切にこたえるために、行財政基盤の強化が不可欠となります。現在の特別区においても、今のままでいいのか、あるいはそこに住む住民の意思を踏まえ、必要なサービスを提供していく上で、自治体の適正な規模から考えれば見直しが必要なのか、こうした点を検討することが求められているのだと思います。
「論点整理」には三つの統合・再編の類型が示されております。その中で、二十三区全部を合併するというのは、さすがにこれは非現実的であり、とり得ないと思いますが、いずれにしても、それぞれ一長一短があり、どれにするのか決めるのは難しいのではないかと思われます。
そこでお伺いいたしますが、大都市地域の基礎的自治体、すなわち、特別区の再編・統合の必要性について、改めてお伺いいたしたいと思います。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 特別区の再編・統合の必要性についてということでございますが、まず、グローバル化などといわれる経済社会環境の変化や都市間競争の中で、東京の活力を高めるために、特別区はどの程度の区域でどのような事務内容を行うことが効果的で適切なのか、根本的な検討が必要となっていること、また、住民の生活圏が行政区域を超えて広がる中で、住民意思の反映と効率性の観点から、課題に応じて適正な意思決定が行われるとともに、受益と負担の関係ができるだけ明確になる範囲、区域を考える必要があること、さらに、基礎的自治体として個性あるまちづくりを進めるため、事務権限の拡大を図っていく上で行財政基盤の強化が必要となることなど、これらのことから、大都市地域の基礎的自治体の再編について、今後検討していくことが必要となっていると考えます。
○松原委員 ただいまの答弁のように、特別区については、一般の市町村合併とは異なる視点も含めて、中長期的な観点から合併を考えていかなければならないと思います。
ところで、そのような中長期的な検討とあわせ、当面の問題として、現在、国を挙げて進められている市町村合併の動きにも呼応して、特別区の合併を都においても検討しているとのことです。
そこでお伺いいたしたいのですけれども、特別区の再編案は、今年度なるべく早く出すとの答弁もあったようでありますけれども、これは本委員会の議論を踏まえて検討を進めるべきではないかと思うのですが、都の考え方をお伺いいたします。
○反町総務局行政部長 特別区の合併につきましては、一般の市町村合併とは異なりまして、大都市行政の一体性、統一性の確保や、昼夜間人口の著しい格差、税源の偏在など、特別区特有の状況に十分留意し、検討を行う必要がございます。
現在、こうした点を踏まえて、特別区の合併について具体的な調査検討を行っております。引き続き、本委員会における議論も十分に踏まえながら、検討を進めてまいります。
○松原委員 合併には基礎的自治体の自主性が大切であり、二十三区みずからの取り組みが重要であります。しかし、これは行政だけではなく、政治がかかわらないと、なかなかうまく進まないという部分もあると思うのです。
都議会としては、政治の立場から知事とも議論していく必要があると考えていますし、また、区側の意見もよく聞いて、尊重することも大切であると考えております。このため、関係者間で真摯な議論をこれから重ねてまいりたいと思っております。
次に、大都市地域の周辺部である多摩の問題についてお尋ねしたいと思います。
東京の市街地が連檐し、武蔵野、三鷹など多摩地域東部なども大都市地域に含めるべきとの意見は昔からありました。また、都の区域を大都市地域内だけに限るべきとの意見も、一部にはあるように聞いております。
確かにそうだとすれば、制度的にはすっきりするようにも思われますが、多摩には既に四百万の人口集積があり、区部と密接な関係があるという実情を考慮しなければなりません。東京都制が施行されたときも、多摩地域を都に含めるかどうかは議論になったのであります。結局、三多摩は、東京府に移管されてからこの半世紀の間に、東京市部との関係が分かちがたくなるほど深まっていたことなどから、東京都の一部となり、現在に至っているのであります。
首都圏全体を視野に入れて大都市行政をどうするかという議論の一方で、特別区と多摩という、都の区域の内部の問題についても検討する時期が来ていると思います。
すなわち、同じ基礎的自治体でありながら、片や特別地方公共団体、片や普通地方公共団体と、行財政制度上大きく異なる特別区と多摩の市町村が都の内部には併存しているのであります。今後、広域的自治体としてこの併存状態をどうしていくべきか、今後も続けていくのか、あるいはどちらか一方に収れんさせていくのか、これもまた議論を重ねていかなければならない、結論は簡単に出ない問題であると思います。
いずれにしましても、大都市行政のあり方とあわせて、多摩のあり方、都の果たすべき役割、この議論を忘れてはならないと考えます。
そこでお伺いいたしますけれども、大都市の周辺地域である多摩において、広域的自治体としての都は、中長期的にどのような役割を果たしていくべきと考えているのか、お尋ねいたしたいと思います。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 多摩地域は、居住地域としてだけでなく、大都市に必要な物流機能や大学等の研究機能などの一部を担っております。また、水道、消防など、多摩と区部を通じて事業を行った方が効率的かつ効果的な事業につきましては、都が一部を除いて一元的に行っております。
都は、今後、こうした多摩地域において広域的自治体としてどのような役割を果たすべきか、検討していく必要があると考えております。
○松原委員 特別区との関係において多摩の位置づけをどうするかは、現実には難しい問題と考えます。水道事業など、区部と多摩を通じて一元的に行う方が効率的な部分もありますが、一方で、都が大都市地域と同様の行政を多摩において行う場合には、財源をどうするかという問題があるからであります。多摩における都の役割について、今後、都も十分に検討していただきたいと思います。
続きまして、財政調整制度についてお伺いいたします。
区部においては、現在、国の地方交付税に類似した制度として、都区財政調整制度が設けられております。皆様ご承知のとおりでございますが、この都区財調というものは、東京という大都市の事務を都と区がそれぞれ適切に執行できるよう、都と特別区間の財源配分と特別区相互間の財源調整を行うものであります。
その財源は、固定資産税、市町村民税の法人分、特別土地保有税であり、これをまず都区間で大都市事務の分担割合に応じて配分し、次に、区の財源について都が特別区間の財源調整を行うという仕組みとなっております。
このうち、都区間の配分については、大都市事務をどのように分担しているのか、具体的な事業について検討し、その分担割合を基礎に配分率を決めることになっております。先般の都区制度改革に際しての協議においては、皆さんご承知のとおり、都が行う大都市事務の範囲をめぐって論争が繰り広げられたわけであります。すなわち、都側は、都が行っている事務のうち、五大市並みの大都市なら通常行っている事務、例えば交通事業などが挙げられますが、それらは大都市事務に含まれるとしたのに対し、区側は、一般市が行う事務で都が行っている事務のみが大都市事務であるということを主張し、最後まで意見が一致しなかったのであります。
こうした議論なども踏まえ、現行の都区財政調整制度を、今後の新しい大都市制度のあり方にあわせて見直していく必要があるわけであります。
さて一方、特別区相互間で財源配分を行うのは、いうまでもなく、都心区と周辺区とで著しい財源の偏在があるからであります。特別区がある程度同質という前提のもとで、特別区の区域内においてあまねく一定レベルの行政水準を確保していくためには、このような税源偏在を調整することもやむを得ないことだと思います。
しかし、今後、特別区も基礎的自治体として個性ある行財政運営を行っていく必要があることや、今後、特別区の再編・統合によっては、ある程度の財源強化が図られることなど、今後の大都市制度のあり方いかんで、財政調整の内容も大きく変わるように思います。
そこでお尋ねしたいと思いますが、中長期的に見た基礎的自治体間の財政調整のあり方についてはどのように考えているのか、お伺いいたしたいと思います。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 大都市地域において複数の基礎的自治体がある場合には、基礎的自治体の間に財政力格差が生じることが考えられます。
このことから、基礎的自治体間のある程度の財政力均衡化は必要であるとしますと、今後も何らかの財政調整は必要と考えられます。その際には、財政調整は、基礎的自治体の事務事業のあり方を踏まえ、できる限り簡素な仕組みとして検討する必要があると考えます。
○松原委員 今のご答弁で、何らかの財政調整は今後も必要ということでありますが、地方交付税において顕著なように、財政調整には、地域における受益と負担の乖離という問題があることも事実であります。
その端的な例としまして、千代田区などは、財調を廃止し、みずからの財源を区内で使いたいとの意向を表明しております。これは、区内で生じる固定資産税などの税金が、高地価による重税感とともに、自分で使えないという不満をもたらしていることが背景にあります。また、最近千代田区では、昼間区民税を検討するとも聞いておりますが、これなども、受益と負担の一致ということを重視した考え方のようであります。
しかしながら、都心に集中する税の多くは法人が納める税で、これは、集積のメリットを求めて都心部に法人が立地し、活動を行っている結果、都心区に税源が集中するのだと思います。そして、その集積は、都心区の努力はもちろんですが、周辺の住宅地や商業地、工業地など、大都市の各部分が機能を分担して支えているものであり、都心区だけで受益と負担の関係が完結するものではないということも、考慮せざるを得ないのではないかと思います。
このようなことを踏まえ、大都市の実態に合った税財政制度を構築していくことが必要であると考えるわけであります。また、財政調整に当たっては、広域的自治体と基礎的自治体の間の配分について、より安定的な方式を検討することが望ましいことはいうまでもありません。この点に関して、「論点整理」では、税目別、税率別に都区間で分けるという案が例として挙げられております。
そこでお尋ねいたしたいと思いますが、税目ごとに配分する方式によった場合に想定される問題としてどのようなものが考えられるのか、お尋ねいたします。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 税目ごとに配分する場合、社会経済の変動や都区の今後の役割分担の変更に必ずしも迅速に対応できない面がございます。また、例えば固定資産税などを各区ごとの収入としますと、自治体間の税収格差が避けられません。
広域的自治体と基礎的自治体との間の財源配分につきましては、どのような方式が最も望ましいか、国の税制改正、税源移譲の動向ともあわせまして、さらに検討が必要となると考えております。
○松原委員 都区間の財源配分を安定させることは必要でありますが、新たな方式を導入しようとすると、さまざまな困難な面もあろうかと思いますので、なお引き続き検討をお願いしておきたいと思います。
次に、今お話しした広域的自治体と基礎的自治体間の配分、すなわち、垂直調整の問題と並んで、先ほどの答弁にもありましたが、基礎的自治体間の配分、水平調整についても、さらに検討すべき問題があります。
今から二十年くらい前になりますが、特別区が出した特例市構想では、水平調整は都が行うのではなく、各特例市を構成員とする公的組織が行うという案が出されております。しかし、同一レベルで利害が対立するもの同士が協議してもまとまるものかという疑問もあります。
広域的自治体が、客観的立場から、専門性とこれまでのノウハウを生かして財政調整を行うことは、有意義な面があります。ただし、配分の基準を極めて簡素で客観的なものにすれば、特別区が自主的に行うということは可能かもしれません。
いずれにしましても、この問題については、特別区の側も改めてみずからの問題として考え、提起していかなければならないことだと思っております。
次に、政令指定都市制度についてお伺いいたします。
今設置されている第二十七次地方制度調査会では、特別市制度についても検討するとのことであります。特別市とは、いうまでもなく、戦後、大阪、京都などの五大市を対象に、府県から独立し、市の権能と府県の権能とをあわせ持った市として一度は制度化されたものの、実現することなく、政令指定都市制度にとってかわられた大都市制度であります。
特別市制度とは、現在の政令指定都市を府県から独立させるということを検討するのだと思います。確かに、現在の政令指定都市は、その処理する事務、権限ともに、府県事務のかなりの部分が含まれ、府県の存在意義に疑問も投げかけられているところであります。しかし、首都圏における政令指定都市は、仙台や広島といったそれぞれの地方の中核都市とは異なり、昼間人口が夜間人口を下回るなど、独立した都市というよりも、首都圏という大都市圏の一部であるという性格が強い面があります。このため、横浜や川崎といった指定都市の区域だけを県から独立させた場合、問題はないのか、疑問も感じるところであります。
政令指定都市については、他県の話だから検討が不要ということにはなりません。今後、都県域を超える広域行政が展開されるようになりますと、東京の大都市制度と指定都市制度との関係を整理する必要も生じてくると思います。
また、東京でも、多摩の市では、大規模な合併が実現すれば、政令指定都市になる場合も想定されます。政令指定都市の人口要件が緩和されたことなどを受けて、神奈川の湘南市を初め、静岡、新潟、熊本など、中小都市が合併することによって政令指定都市を目指そうとする動きが各地で起こっております。我が国を代表する大都市という従来のイメージとは異なる形態の政令指定都市が誕生しようとしております。多摩の市町村も政令指定都市となる可能性が大いにあるわけであります。まさに指定都市の問題は、都の問題になる可能性もあるわけであります。
そこでお伺いいたしたいと思います。東京における大都市制度と指定都市制度との関係をどのように考えたらよいのか、お尋ねいたしたいと思います。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 東京の大都市制度のあり方を検討するに当たりましては、現行の大都市制度である都区制度及び政令指定都市制度のそれぞれの仕組みの相違や長短を検討し、よりふさわしい制度のあり方を検討する必要がございます。
また、将来、道州のような新しい広域的自治体を設ける場合には、都や県がなくなるということでもありますので、当然、これら大都市制度との関係を整理していかなければならないこととなります。
○松原委員 よりふさわしい制度のあり方を検討するということでございますが、例えば政令指定都市と特別区制度を比較すると、政令指定都市は、基礎的自治体として規模が大き過ぎ、住民との距離が遠いなどの問題も指摘されております。それに比べ特別区制度は、区における自治の長い歴史を持ち、大都市行政を効率的、効果的に進めることと住民自治を充実することとの両立が可能な、すぐれた制度であります。もちろん、特別区が区長公選や議会を持ち、基礎的自治体として活動するということは、政令指定都市における行政区と比べて大がかりな組織が必要となるわけであります。
民主主義にコストがかかるのは宿命であるとはいえ、都とともに効率的な大都市行政を担うために、特別区も、行財政運営の不断の効率化を求めていくことが必要と思います。
大都市制度については、この七月一日に開かれた第二十七次地方制度調査会でも検討していくとのことでありますが、さきに述べた特別市制度のほかにも、都区制度の他府県への適用なども検討内容に含まれるとのことであり、目が離せないところであります。
こうした国の議論の動向を踏まえ、大都市行政のあり方についてビジョンをまとめていく必要があります。しかし、大都市行政のあり方については、都自身が主体的に取り組んでいかなければならないことはいうまでもありません。このビジョンⅢの検討内容を、逆に、地方制度調査会などの国の議論に反映させていく取り組みも必要であると思います。
そして、本日取り上げたテーマについては、政治の果たすべき部分も大きいことから、我々都議会としましても、今後相応の役割を果たしていくことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○和田委員 本日は、地方自治制度改革の論点整理ということで、広域自治体制度、それから基礎的自治体制度のあり方を中心にして論議をするわけでありますが、具体的には都区制度の大都市事務あるいは都区財調に関連をしてお伺いいたしたいと思います。
ここにありますけれども、この「論点整理」の中にも、一般の府県、市町村制と違って、都区制度の中には、特に特殊な歴史的あるいは地理的な役割分担が設けられているというふうに書かれておりますし、現にそういうふうになっています。
そこで、まず冒頭に伺うのでありますけれども、大都市事務を都と区が分担して処理しているわけですけれども、どのような考え方に基づいて実行されているのか、お答えいただきたいと思います。
○反町総務局行政部長 地方自治法では、特別区の区域においては、人口が高度に集中する大都市地域における行政の一体性、統一性を確保する観点から、都が一般の市の事務の一部を処理することとなっております。このために、都は、法令に基づき消防や上下水道の事務を処理するとともに、都区間の協議に基づいて、都市交通や港湾等の事務を処理しております。
一方、特別区は、住民に第一義的に責任を負う基礎的地方公共団体として、都が処理することとされている事務を除きまして、一般的に市町村が処理するとされている事務を処理しております。
○和田委員 確かに今、行政部長お答えのとおり、統一性とか一体性という、先ほどの松原委員の質問にもありましたが、しばしば使われる文言で、都区の地域的な、あるいは行政的な一体性、統一性を説明する言葉が多く用いられています。
確かに、そのように行政の統一性とか一体性を確保することは大事なんですが、一方において、地方分権という視点から、一体性や統一性とは異なった、基礎的自治体がそれぞれ特色あるまちづくりをしていく、また、そのために東京都が持っている権限、権能を移譲していく、そういう働きかけも、いわゆる都区役割分担の中では必要なんだろうというように思っているのです。
そこで、短期的にはともかく、現在、もう既に特別区に保健所があるのと同じように、中長期的にどのような形で都区間の役割分担を考えようとしているのか、お答えをいただきたいと思います。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 大都市地域における基礎的自治体は、将来的には地域における事務を広く担うため、一層大きな役割を期待されます。
しかし、特別区の区域は複数の基礎的自治体により大都市を構成していることから、広域的自治体としての都が、大都市の総合性、一体性を確保するための役割を担っていく必要があると考えます。
○和田委員 しからば、東京都は、大都市制度というのですか、大都市制の持っている性格上、統一性だとか一体性を確保するために、どこに力点を置いて東京都が役割を担い、市区町村も含めて仕事分けをするのか、役割分けをしていくのか、具体的に構想をお持ちなんでしょうか。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 まず、東京の特別区の区域は、人口八百万という通常の政令指定都市の規模をはるかに上回る規模の大都市であるため、広域的自治体が一体的に行うことが効率的な事務がございます。例えば消防、上下水道や公営交通などが挙げられます。
また、骨格的な都市基盤整備や都市の総合的なビジョンづくり、環境、産業など、さまざまな分野において大都市全域にかかわる事業、さらにビジョンや計画の策定を行うことも、広域的自治体の役割であると考えております。
○和田委員 都政新報社の都財政用語事典など持って開いたり、その他ほかの文献を見ましても、今ご答弁いただいたような仕事が大都市事務として好ましいとか、現にやっているよという記録なり見解があります。ですから、それはいうならば教科書どおりの答弁でありまして、今私が求めているのは、何か次の時代に向かって模索している、あるいは検討している、そういうものがあるのかどうかということをお聞きしたかったわけでありますが、今のところは、まだ具体的なその種の中長期的な文献の材料についてはおっしゃらなかったわけでありますが、それほど時間もないわけでありますので、具体的なプログラムの中に、ぜひ中長期的なものも含め、どんなものが役割分担の中に、来た場合の仕事分けの意味で出てくるのかということを、精査しておいていただきたいと思うのです。
さてそこで、次のテーマに移りたいのですが、特別区の統合や再編に関係してお伺いいたしたいと思うのです。
これは、私も過般質問いたしましたが、都議会民主党といたしましては、市町村合併を積極的に推進していくべきだという立場も明確にいたしております。その意味では特別区も例外ではない。特別区間の人口や税源に格差があることも十分知っておりますし、市町村間の格差をも上回っている、こういう点などを踏まえた各区の統合や再編をしていく必要があるというふうに考えているわけです。
この種の統合・再編という形について、自治体の適正規模などの考え方も含めてですけれども、どのような見解をお持ちか、お尋ねいたしたいと思います。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 一般の市町村の適正規模については、統計的手法により費用が最少となる人口規模を推計し、おおむね二十万程度が適正との研究も発表されております。しかし、都区制度のように、大都市地域に複数の基礎的自治体があるというのは他に例がなく、そのような手法をとることは難しい状況です。
また、単に人口だけで適正規模を論じることが適当かとの指摘もあり、面積やその他の地理的形状など、多様な観点も入れた検討が必要であると考えております。
○和田委員 私どもに配られました知事本部の「論点整理」の中にも、三つのモデルというのでしょうか、類型があるよというふうにいわれておりますが、これ以外、第四、第五の類型パターンは考えられないのでしょうか。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 基礎的自治体の統合・再編につきましては、生活圏や行動圏の状況によって分ける考え方や、歴史的な経緯あるいは地理的状況などによる考え方など、さまざまな統合・再編の考え方があり得ます。
そのような考え方による統合・再編案も、二、三の区が部分的に合併するような案を別にいたしますと、結局は、おおむね「論点整理」で示したような三つの類型のいずれか、またはそれに近い形に整理されるのではないかというふうに考えられます。
○和田委員 三つに収れんされるということになれば、その三つのうちのどれを採用するかということが、当該自治体の中の一つの判断の大きな材料になるだろうと思うのです。
そこで、私どもが考えるのは、すべて早くやればいいというわけじゃないのですけれども、その類型の長短も含め、自治体に丁寧に説明をするときには説明していく、理解を得ていただくときには理解をいただくようなチャンス、機会をぜひ持っていただきたいというふうに思うのです。
都心区はともかく、北区もそうですが、周辺区などを含めて、人口五十万を超えるような区は幾つもあります。その自治体が合併すると、もうすぐに、その瞬間に政令指定都市並みの規模になっちゃう自治体も誕生するわけであります。都区制度のもとでは、一般のいわゆる政令指定都市と全く同じ位置づけには決してならないだろうというふうに思います。ですから、都からの事務とか権限の大幅な移譲がそこで必要になってくると思うわけですが、では、特別区が今後合併して政令指定都市並みの規模の新たな基礎的自治体となった場合に、大幅に都の事務あるいは事業、権限というものが移譲されることは可能になるわけでありますけれども、例えば具体的にどんな事務が移譲されると今想定されるのでしょうか。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 仮に、政令指定都市並みの規模の新たな基礎的自治体となれば、政令指定都市が行っている福祉、保健行政にかかわる多くの事務は、移譲の対象とすることが考えられます。そのほか、法令上の役割分担の定めはありませんが、高等学校などの設置も可能です。
もちろん、広域的自治体が大都市の総合性、一体性を確保する役割を担うことは必要であり、この観点から役割分担を検討する必要がございます。
○和田委員 高等学校の設置ということが、一定規模の特別区であっても可能になる時代が来るという今答弁でありました。いろいろ条件や場面、場合があると思いますけれども、そのように、今持っている高等学校の設置権能が、合併された、規模の大きくなった特別区に付与される、これは一つの大きな自治権の拡充、地方分権の具体的な事例ということになるわけでありますから、このような話を聞いた特別区は、一つ判断の材料にはなるのかなというふうに思うわけであります。
次に、都区財調制度についてお伺いいたしたいと思うのです。
昨年十一月のこの委員会と記憶をいたしますけれども、私は、清掃事業に関する財調制度の、特に財調の算定について、清掃事業にかかわって質問をいたしておりました。そのときに、十二年度の実績に基づく検証を行っているというふうに答弁をいただいているわけでありますが、清掃費の検証の結果、どういうものになったのか、またその結果を受けてどのような改正が具体的に行われてきたのか、十四年度に向けてですね、そのことについてお答えいただきたいと思います。
○反町総務局行政部長 平成十二年度の清掃事業の決算分析を踏まえまして清掃費の算定内容を検証した結果、事業実績に比べ、清掃費総額として財調の算定に不足はなかったことが検証されました。
しかし、ごみの収集、運搬に係る経費については、実際には清掃工場から離れているとか、大型の車が入れない狭い道路が多いといった各区の実情に応じて、所要経費に差が生じているということが明らかになりました。また、人口に応じて算定していた事業系ごみの収集手数料についても、実際の収入は、人口よりも各区の事業所数に連動していることなどが明らかになりました。
このため、各区の実情に応じた算定となるよう、平成十四年度の財調算定においては、これらの経費について算定を見直し、改善を図っております。
○和田委員 確かにごみの収集、運搬については、この町の道路の広さと長さと、あの町の道路の長さと広さというのは全然違うわけで、一律それを机上で算定するというのはなかなか難しい。ですから、この種の問題は、実際やってみて、それを特別区の方からの注文なり提言を受けて、都区財調の協議の中で実現していく、まさにこれは当然のことなんですけれども、こういう手直しを加えながら、自治体の、特別区でありますけれども、特別区側の仕事のやりやすい環境をつくっていく、そうことが大事だというふうに思うのです。
それから、これも明らかになったことですが、人口に応じて算定していった事業系ごみの収集手数料、実際の収入は、人口よりも各区の事業所の数に連動しているということが明らかになった。当時、私も人口に連動するのかなと思っていたわけですが、今の報告のとおり、結果としては事業所の数に連動して実際の収入は比例してきているよということでありますから、これなども、さきに申し上げたように、やってみて初めてわかる、人口か事業所数かというそういう具体的な修正を行ったということが十四年度実際ありますけれども、極めて現場主義といいましょうか、検証を積んで、それを次年度に生かしていく、次々年度じゃなくて、その翌年に生かしていくというような、十二年度の結果を十四年度に生かすというような、そういう形のスピーディーさが評価されるだろうというふうに思うのです。
特別区にとって、財調算定の適正化は、いわゆる財政というか収入、歳入にとって極めて重要な課題であることはご承知のとおりです。したがって、今後も、今二点、具体的に清掃事業の改善のことでお話しになりましたけれども、区の清掃事業の動向や現場の声をしっかり把握して、それは都独断でやるのじゃなくて、特別区と協議をして算定していく精密さ、精度を高めていってもらいたいというようなことを、強くこれは要望しておきたいと思うのです。
次に、都区財調制度下の特別区の財政調整交付金の財源に関連をしてお伺いしたいと思うのです。
都区制度改革によって、都区財政調整制度も大きく、年々、改正のたびですけれども、変わってまいりました。特別区の財政調整交付金の財源に関する考え方も、大きく変更されたと私自身は考えてきております。
現在行われている都区財調制度下の特別区の財政調整交付金の財源の基本的な性格、どのように考えていらっしゃるか、お尋ねをいたします。
○反町総務局行政部長 都区財政調整制度は、都と特別区間の財源配分、それから特別区相互間の財源の均衡化を図り、特別区の行政の自主的、計画的な運営に資することを目的とした制度でございます。
今回の都区制度改革によりまして、特別区財政調整交付金の財源につきましては、特別区の区域において東京都が賦課徴収する固定資産税、市町村民税法人分、特別土地保有税の三税の一定割合とすることが、地方自治法に明記されました。
こうしたことから、交付金の財源となる調整三税の一定割合につきましては、特別区の固有財源的性格を有するものと考えております。
○和田委員 今、部長お答えのとおり、交付金の財源となる調整三税の一定割合については、特別区の固有財源的性格とおっしゃる、固有財源的な性格を持っているという認識をいただいたわけです。
そこで具体的にお伺いするのですが、調整三税の一定割合は区の固有財源的性格を有するという今の答弁を確認すると同時に、例の特別区の区域における固定資産税の減免措置、これが十四年度行われました。個々の事業所にとっては、非住宅用の用地でありますけれども、これは減税になります。しかし、一方、自治体にとっては、これは税源の不足というか、今まで予定した税源の減収につながるということになるわけで、調整財源の減税につながる。
しかも、この経緯を見ますと、固定資産税の減免措置が発表されたのは、二月のたしか上旬に、都と区の財調フレームが決定をして、それで十四年度スタートするぞという、二月の中旬だと思いますけれども、それから月をまたいで三月になって突然、固定資産税の減免の二〇%ですけれども、飛び出してきた。それを受けて、余り具体的な都区間の話し合いもなく、もう月日がありませんから、四月にスタートしたというふうに私は承知をしているのです。
この十四年度、二月のフレーム合意の後、三月に飛び込んできた固定資産税の減免措置について、当局は、特別区についてどのような具体的な説明と納得を得る努力をされたのか、お伺いいたしたいと思います。
○反町総務局行政部長 今回の固定資産税の減免につきましては、特別区在住の都民からの要望などを踏まえまして、不況にあえぐ個人や中小零細企業を支援するため、第一回定例会直前に決まったものであります。
このため、直ちに区長会事務局に情報提供を行うとともに、区長会の三月定例会において、今回の減免措置の概要の説明を行ったところでございます。また、区長会からは、三月末に、都区合意を前提として対応すべきとの要望を受けております。
現在、二月の都区協議会における決定に基づいて、区別の算定作業を進めているところでございます。
○和田委員 確かに力関係というか、権力関係からすると、財調制度の交付を受ける自治体は、東京都よりも残念ながら下位というか、平等ではないような力関係に今まであったように思うのです。調整率が徐々に改正されて上がってきているというのがその証拠でありまして、それは、彼我の関係が、徐々に上がることによって調整されてきたという、その数字を具体的に物語るのが調整率のアップだというふうに私は思っているのです。
その意味で、二月の合意から三月に飛び込んできた固定資産税の減免措置ということで、一般受けはするのだけれども、二十三区、きょうは二十三区の問題をやっていますから、二十三区の財政課長や財政担当者からすると、ちょっと待てよ、寝耳に水じゃないのかという声もあって当たり前だと思うのですよ。その額実に、聞こえるところによると二百十億円ですから。四百平米未満で二百平米までの範囲の非住宅用の用地の固定資産税は、二〇%オフにするというわけでしょう。
ですから、そうなってくると、当然それは、東京都にもはね返るかもしれないけれども、特別区にきちっとはね返ってきてしまうということから、今のご説明で、当局が当局がというのは、二十三区の区長及び財政当局も含めて納得をされたという感想をお持ちですか。
○反町総務局行政部長 三月に区長会で説明をした状況を伺っているところでは、さまざまな反対のご意見等あったというふうに理解をしております。
ただ、私どもといたしましては、今後、財調上の問題として、各区と、その影響が明らかになった時点で十分に協議をしてまいりたいと考えております。
○和田委員 そこで、財調上の影響が明らかになるというのはいつなのかということです。これは、来年を待たずとも、今の制度の仕組みでいけば、八月十五日の当初算定、八月十六日以降の再算定という仕組みがありますよね。具体的には、今から一ヵ月くらい後ですけれども、八月十五日の算定に何らかの形でその影響が、特別区に向かって東京都の方から発信できるのでしょうか。
○反町総務局行政部長 一般的には、当該年度の特別区財政調整交付金の財源である固定資産税、市町村民税法人分、特別土地保有税の三税の額が最終的に確定するのは、その年の東京都の最終補正予算案が固まる時期でございます。
○和田委員 今ちょうど特別区は、都もそうですけれども、新しい職員人事の改正があって、まだぶれてはいると思うのです。新しい財政課長とか、その担当の人たちが決まってくれば、当然この問題、積み残しというか、中途半端な問題ですから、都に向かって、何とか話し合いしてくださいという話は来ると思うのです。
私は、八月の十五とか十六とかという日限を切った問題を含めて申し上げましたけれども、そこで間に合わないにしても、再調整をするチャンスは幾らでもあるわけでありますから、はっきり固まる前に、二百十億という巨額な予定外の税収減という、二十三区に向かっての東京都の誠意の見せ方、それははっきりすべきだというように思うのでありますが、今後どのようにその影響に対して特別に対応していくのか、お答えをいただきたいと思います。
○反町総務局行政部長 現段階では、都区財政調整への実際の影響額は明らかになっておりませんが、今後その影響が明らかとなった段階で、今回の固定資産税減免の基本的な考え方を踏まえまして、その対応について特別区と十分協議してまいる考えでございます。
○和田委員 具体的な問題でありますし、我が都議会民主党も、この問題を区部選出、多摩選出の選出母体にかかわらず、自治体の税収にかかわる問題、しかし都民にとってはプラスだという、そういうトレードオフの問題ではありますけれども、ここの場は特別区の財政を語る場でありますから、一遍、きちっと私は論議をさせていただいたということであります。
最後になりますが、特別区の統合や再編のあり方について、税源の偏在も、さきの松原質問でも明らかになったように、出てまいりました。これも含めて、将来的な財政調整制度の必要性、新時代に向かってのあり方、どのような所感をお持ちか、お伺いいたしたいと思います。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 ご指摘のありましたように、特別区の統合・再編のあり方によりましては、税源の偏在が緩和される可能性もあります。しかし、大都市地域におきまして複数の基礎的自治体がある場合には、基礎的自治体間にある程度の財政力格差が生じることから、今後も何らかの財政調整は必要と考えられます。
その際には、財政調整は、基礎的自治体の事務事業のあり方を踏まえ、できる限り簡素な仕組みとして検討する必要があると考えます。
○和田委員 終わります。
○大木田委員 私も、具体的な点でいろいろと論議を展開してまいりたいと思います。
まず、二十一世紀に入りまして二年目になったわけでありますけれども、こういう新しいステージの上に立ってみて思うことは、今までのさまざまな制度が余りにも制度疲労を起こしている、新しい制度の構築を急がなければならないなということを痛感しております。
私は、最初にこの委員会がスタートするときに、これからの時代のキーワードは五つあるということで話をいたしました。一つは危機意識、二つは成熟社会に立ったいろいろな発想でとらえていく、三つ目は情報化時代、四つ目は対話の時代、それから五つ目は、おもしろい、楽しい、うれしい、美しい、健康、こういう発想に立っていろいろなものをとらえていくことが大事だろうということを指摘してまいりました。
ことしに入って約半年が経過をいたしましたけれども、私は、アメリカ経済の動向なんかを見ていても、この四カ月くらいが非常に大きな焦点に入ってきているなというようなことで、まさに今、経済の再生、東京の再生が急がれているわけですけれども、大変な事態ということで、ことし私は天下大乱、崩壊と創造の年といっておりますけれども、まさにそういう時代に入っているのだろうなという認識を一つ持っております。
特に今三つのバブルが崩壊をして、一つは経済金融のバブルの崩壊ですけれども、これが日本の格づけの問題だけではなくして、どこまでの深さと広がりがあるのかということが、いろいろと懸念をされているわけであります。
二つ目のバブルの崩壊は政治のバブルの崩壊で、政治と金の問題、これは連日報道されておりますので、多くを語る必要はありませんけれども、こういう問題。
三つ目のバブルの崩壊は、モラルの低下を含めた社会のバブルの崩壊というような中で、あらゆる分野が制度疲労を起こしているということで、単なる延命策だけではこの難局は乗り越えられないというふうに私は思っております。
私は、物事をとらえるときは、一つは時間軸を通してこれを見ていく、要するに歴史の流れを通してこれをどう見るか。それから、面の点で、面の広がりはどういう展開を持っているか。それから、一九九〇年代くらいに入ってから、縦軸と横軸だけの展開ではなくて、曲線の展開を見なければいけないというような発想を持ってずっと今日まで見てまいりましたけれども、今のこの難局にぶつかったときに、これだけでももうだめだなという発想を今持っておりまして、新しいもう一歩の展開から見て、あらゆる分野の、制度疲労を起こした再構築のものを打ち上げていかなければならないというふうに思っております。
この大都市制度の問題もそうですけれども、例えば時間軸を通して見ますと、明治初年には自治体としては七万あったわけでありますけれども、それが一万になり、三千三百と、この百年足らずでこれだけの変遷をしているわけです。また、区の制度も、三十五区から現在二十三区になっておりますけれども、こういう変遷をしているということでありますので、我々は固定した今の体制から物を見るのではなくして、歴史も踏まえますけれども、今度は新しい展開の中でこれをどうとらえていくかということが大事だと思うのです。
それで、七万から三千三百になった経過と、三十五区から二十三区になった経過を簡単に伺っておきたいと思います。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 市町村の数の変遷についてでございますが、いわゆる明治の大合併前には七万一千を超えていた市町村の数が、明治二十二年の市制町村制の施行により、一万五千余りになりました。その後、戦後の昭和の大合併の前には約一万であったものが、昭和二十八年の町村合併促進法、昭和三十一年の新市町村建設促進法の施行を経て、昭和三十六年には三千五百弱とまでなりました。そして、平成十四年四月現在の市町村の数は、三千二百十八でございます。
それから特別区の数の変遷についてでございますが、明治十一年の郡区町村編成法の制定時には十五区であったものが、昭和七年には東京市に隣接する町村を編入しまして、新たに二十区を新設し、三十五区となりました。
戦後、昭和二十二年の地方自治法制定時には二十二区となり、同年八月、練馬区が板橋区から分かれまして、現在の二十三区となったわけでございます。
○大木田委員 歴史の流れから見ると、こういう変遷があるわけであります。特に今、NHKの大河ドラマで「利家とまつ」をやっておりますけれども、あの時代は、一番人口が多かったのは石川県なんです。二番目が新潟県、東京の二十三区はほとんど余りいなかったという、寒村であったわけでありますけれども、そういう意味において、大きな時代の変遷があるわけです。
したがって、そういう歴史も踏まえながら、これだけ今情報化が進んでおりまして、例えば東京の顔が四つあると今までいわれてきました。例えば一千二百万生活都市東京と、一千二百万の人が生活している東京ですよね。ただし、先ほどちょっと出ておりましたが、千代田区の丸の内署管内を見ますと、夜の人口は五世帯七人、しかし、昼間の人口は今四十万いるわけです。そのくらい昼と夜の格差、千代田区全体でも昼間は百二十万という、そういうこともありますから、生活都市東京というひとつの……。
そういうことを考えると、首都圏三千三百万の中心である東京、これは鈴木知事時代、ずっと中心という形で東京ということをとらえてきたわけですけれども、石原知事になって大きな展開をしたのは、首都圏との三千三百万の連携を図りながら、ともに連携していくということで、大きな政策転換がそこであったわけであります。
三つ目は、首都東京の顔であると。四つ目は世界都市東京として、世界都市の中でこれから東京はどう繁栄し、世界と伍していくかということがあるわけでありますけれども、こうした点を踏まえて、東京の描く像をどういう形で今後持っていくことが大事であるかということであります。
そういう中で、私が次に確認したいのは、先ほども地方制度調査会の話が出ておりました。私も、いろいろと三千三百のこの自治体をこれからどうするかということとしては、次の段階としては一千、その次の段階としては、小選挙区三百、四十万から五十万ということでありますけれども、これは大きな展開になると思いますけれども、一千ということは地方制度調査会でも課題にしていると思いますが、この辺は今どんな状況でございますでしょうか。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 合併後の市町村数を一千を目標とするという点につきましては、平成十二年十二月に閣議決定をした政府の行政改革大綱におきまして、与党の方針を引用しまして、与党の方針というのは、市町村合併後の自治体数を千を目標とするというものでございます。この与党の方針を踏まえて、自主的な市町村合併を積極的に推進し、行財政基盤を強化するというふうになっております。そして、市町村合併特例法の期限である平成十七年三月までに十分な成果が上げられるよう、合併を強力に推進することとされております。
○大木田委員 平成十七年というのは、地方分権一括法が通って、次の段階で十七年ということでありますけれども、今いろいろと調べてみますと、かなり合併を促進しておりまして、進んではおりますけれども、その割には、とても千という段階にはまだ至らないというような状況であります。
国が地方分権一括法を通したときには、財源まで踏み込まなかったわけですね。その踏み込まなかった理由は、青ヶ島の二百人から東京のような一千二百万という大きな偏差がありまして、財源等の移譲ができる事態にないというような認識のもとにおいて、もう少し合併を推進して、一市四十万から五十万、人材の面においても体制の面においても、それができるという体制ができた段階でということで、我々東京にとっての者としては、この財源問題が非常に--この前の片山総務大臣ではありませんけれども、踏み込んでいただいた発言もありますけれども、まだまだこれが全体的には広がりが弱いということを考えますと、こういう点があるわけであります。
そういう意味においては、この三千三百ある、東京の場合も、二百人の青ヶ島、それから東京全体として一千二百万というこの象徴的な部分、これをどうするかということも大きな課題でありますけれども、昔、いわゆる廃藩置県がありましたけれども、廃県置藩というような発想で三百という小選挙区ができたわけで、これも四、五十万という一つの規模が今後ふさわしいだろうというような方向に持っていけないかという、あのとき選挙制度ではありましたけれども、これからの自治体のあり方ということも相当念頭に置いていろいろと議論をしてこういう形になったわけでありますけれども、この三百程度という考えについてはどういうふうに認識しておりますでしょうか。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 合併後の市町村、基礎的自治体の規模あるいは数ということになりますが、地方分権を一層推進するためには、市町村合併により行財政基盤の強化を図ることが必要でございます。
その場合、合併後の市町村がどのくらいの役割を担うかによりまして、自治体としての適正な規模も異なることとなります。一市の人口規模を四十万から五十万にそろえるということはなかなか困難な面があると思いますが、全国を三百程度の市に統合するということになりますと、これは、市町村にとどまらず、現在の都道府県制度そのものも見直すことになると思われますので、我が国全体の行政体制のあり方を根本から見直す議論が必要となるというふうに考えます。
○大木田委員 先ほどもちょっと話をいたしましたけれども、いわゆる二百人というような青ヶ島村、象徴的な例として取り上げますけれども、基礎的な自治体としては自立困難であるというようなところ、先ほども地方制度調査会の中で特別市ということがありましたけれども、直轄地域というような発想を持って、もちろんいろんな今までの経過は踏まえますけれども、行政の効率という面からその他のことを考えまして、都道府県の中における直轄地域--特別区、特別区という表現がまだ残っておりますけれども、ちょっとその前にその認識について伺っておきますが、二十三区が東京都の内部団体であるということで特別区という表現をしているという認識に立っているんですけれども、基礎的自治体を受けた段階の二十三区というのは、まだ特別区というのは残るんでしょうか。それをちょっと参考までに伺っておきます。
○反町総務局行政部長 基礎的な地方公共団体であるという位置づけは自治法に定められましたが、同時に、特別な事務の特例、税財政の特例があるという意味で、政令市で定める区というものとまた区別する意味の特別区という名称は残っているわけでございます。また、そういう性格も普通の市とは違うということでございます。
○大木田委員 今それは参考までにちょっと伺ったわけでありまして、例えば、なぜ特別区が残るかというと、私は、青ヶ島のようなものは特別区域なりそういう表現にしたらどうかという発想をずっと持っておりましたものですから、特別区と特別地域ということだと紛らわしくなるなと。いわゆるワシントンDCの構想じゃないけれども、これから後でちょっと触れますけれども、千代田区が市になった場合、国は、都心三区を日本政府直轄地にしたいという動きがあることはあるんです。それは私は大反対でありますけれども、都道府県においては、特別地域というのを持って行政の効率を図るということはすごく大事だ。したがって、今までの市町村もそういうところをきちっと特別地域なり等でやって直轄地域をつくっていくと、自主的な合併では千までは来れませんけれども、全国の都道府県がそういう配慮をいたしますと、行政の効率も非常によくなりますし、県の存在も、県の特別地域という制度にこれをしていけば、まず千ぐらいの段階として集約できるのではないかと思っているわけでありますけれども、こういう地域は、そういう意味からいうと、都がもっと事務の代行をして効率的な行政運営を図る必要があると。そういう小規模な地域、このことについてはいかがでしょうか。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 先生からご指摘のありましたような小規模な自治体ということにつきましては、地方制度調査会では、いわゆる小規模市町村としてこれから議論をしようとしております。この小規模市町村につきましては、広域的自治体である都として、事務の補完や代行の仕組みなども検討していく必要があると考えております。
そして、現在設置されております国の第二十七次地方制度調査会でも、小規模市町村につきましては、その担うべき事務のあり方や都道府県あるいは他の市町村による補完の方式などを今後検討していくこととしておりまして、その議論も踏まえて、都としても検討してまいります。
○大木田委員 今の話もそうなんですけれども、それを進めるに当たっては、やはり地方自治制度の改正をしなければならないと思うんですよね。
その前に、石原知事も国のやり方は非常に遅いといつもいっておりますけれども、一括法四百七十五条例を通しても、例えば、起債制限を撤廃するといって、起債制限を撤廃するということを決めながら、平成十七年まで延ばしているわけですよね。したがって、国のやり方は、当分の間と決めて五十年、撤廃を決めて五年をもってさらに延ばしているというような、まさに今の時代に合わないこのいろんな対応のおくれ、これが日本がすべてのところにおいて国際競争に今打ち勝てないという要素があるわけでありまして、これをどう打ち破っていくか、そういう意味においては石原知事に期待をしているところでもありますけれども、要するに、小規模市町村を特別な制度において特別地域にして、住民の意思が反映されるという自治体としての規模は確保しなければいけませんけれども、そのために簡素な対応をしながら効率のよい行政を図るということにおいては、地方自治法の改正が必要なんだろうと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 小規模な市町村がどのような形態となるにせよ、住民意思を反映していくということは必要です。そのことを前提にしまして、小規模市町村では住民と自治体との関係がより身近であるということも生かしまして、地域の実情に応じて簡素な組織形態もとれるようにすることが重要であると考えます。
そのためには、ご指摘のありましたように、自治体の組織及び運営について定める全国一律の地方自治法の規定を見直す必要がございます。
○大木田委員 私は、先ほど二百人から一千二百万という、これを束ねている全国の地方自治法、一律のこれは早く見直しをして改正しなければならないと。今は、多様化といえば多様化なんですけれども、どちらかという二極化と個別化が進んでいるんですよね。ですから、一律のこの地方自治制度の体制では対応できない現象が起きて、都市再生の特別措置法なんかも二極化の一つの対応として便宜的につくっておりますけれども、そういう部分的な対応でなくして、これだけの変化が起きているわけですから、地方自治制度そのものも、それにふさわしい制度改正を早くしなければならないと私は思っております。
特に、小規模市町村の弊害の一つの例として申し上げておきますけれども、私があるところで調査したところ、六十万の調査費をつけていただくために陳情に来るのに、村長以下全部いろいろと来て、その費用が百二十万かかるわけですね。六十万の陳情のためにこういうことをやっている。調査費ですから、それがつけばもっとお金もつくんですけれども、それを毎年同じように繰り返し、だれも疑問を持たないでこういうことが繰り返し行われているという状況は、もう変えなければならないというふうに思っております。
それから、自治体が財政規律を高め、効率的な行政運営を行っていくためには、国庫補助金の廃止、私は、東京都の補助金がどのくらい出ているのかということも前に調べましたけれども、財務局が把握しているのは五億以上のところの数と、それから各局が出しているところで大体五万ぐらいのところに出ているんだろうと思いますけれども、国の方も十七兆の国庫補助等があるわけでありますけれども、これも地方交付税制度の見直しによって財源の移譲を図り、地方みずからが主体的に行財政の運営を行えるような仕組みを行っていかなければならないと思っているわけです。
それがある限り、要するに、国と地方というのが、上下関係じゃなくて対等関係になったといっても、まだこの制度のために、形はなっても実態はそれに伴っていないということでありまして、今のこの仕組みを変えなければならないというふうに私は思っておりますが、見解を伺います。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 国、地方を通じた行政改革を進め、効率的な行政運営を確保するためには、国庫補助金を縮減し、税源移譲を行うことにより、地域における受益と負担の関係を明確にすることが何よりも重要でございます。
また、税源移譲を行っても、地域間の財政力の格差解消は困難であるため、地方交付税のような財政調整制度は必要ではありますが、自治体の行財政上の努力を促すような仕組みとしていく必要があります。
さらに、自治体としましては、税源移譲を求めることとあわせて、みずからの効率的な行政体制の整備と課税努力による一層の行財政改革が求められると考えます。
○大木田委員 次に、行財政改革のことについて一言伺っておきますけれども、今まではずっと右肩上がりの中で組織も来ましたよね。バブルが平成二年に崩壊して十年ちょっとたちました。それに伴って都も都庁改革アクションプランで相当踏み込んでまいりましたけれども、石原知事になってさらに踏み込んで、大変結構だと思いますけれども、私の認識からはまだ決して十分とはいえない。
もっと少子化も進んで、右肩上がりが崩壊をして、さらにこれが、要するにどれだけの対応が行われるかにもよりますけれども、こういう中に合った組織体制を都もさらに図らなければいけない、そのためにもう一回総点検をすべきであるということを私は前からいっておりますけれども、二十三区におきましても、私が見ている限りだと、まだまだ対応すべきことはいっぱいあるんじゃないかというふうに思いますが、例えば、大都市行政を担う特別区の体制として、この行革の取り組みについてはどんな認識を持っておりますでしょうか。
○反町総務局行政部長 特別区におきましては、厳しい財政状況の中で、住民の多様な行政需要に対応していくために、すべての区が定員の適正化や財政の健全化などを目標とする行政改革大綱を策定し、積極的に行政改革に取り組んでおります。
さらに、行政改革を実施する上で有効な手法であります行政評価制度の導入、それからバランスシートの作成など、新たな取り組みも行っているところでございます。
○大木田委員 それから、千代田区が一区として独立して市となるということを発言して話題を呼んだり注目をされたりしております。都心三区においてはそれだけの税収がありますから、周辺区とは違った、一つの財源の面からいっても対応はできるということで、国はそこをねらって、特別市になったら直轄市にしようという国の動き等もあるわけですけれども、それは私は反対でありますが、例えば、一区が一つの市となる、要するに基礎的な自治体を踏まえたからということで、さっきの特別というものはまだとれていないということなんですけれども、そういうふうなことが今いわれておりますけれども、この点についてはどんな見解を持っておりますでしょうか。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 東京におきましては、業務、商業、居住など、さまざまな機能を各地域が分担して都市が成り立っておりますので、そのうちの一区が独立して市となることは、大都市の総合性、一体性を確保する必要があることから難しいものと考えます。
○大木田委員 ただ、私も北区に住んでおりまして、北区のイメージをもう少しいいイメージにしたいということでずっと前から考えておりまして、ここで初めて披露するんですけれども、飛鳥区にしたらどうかという一つの構想を持っている。
それから、要するに千代田区のような一つの市というような、それぞれ基礎的な自治体を踏まえていろんな意見が出てくること自体は、行政改革といいますか、さまざまな制度の見直しのときに来ているからこそいろんな発想が出てくるのでありまして、それをうまくとらえて、どうしたらいいかという前向きな中で対応していくことも大事ではないかなと私は思っております。
ちょっと外国の話に入りますけれども、私、かつて随分前ですけれども、カイロに行きましたときに、昔の古いカイロ市内をスモールカイロ、その後人口が集中してふえたところをラージカイロということでいろんな対応をやっているという話も聞いたことがあるんですけれども、ロンドンにおいてもいろんな対応を行って今日まで来て、ロンドンの行政のあり方が注目されておりますが、ロンドンにおける新しい広域自治体である組織が設立されておりますけれども、その経過と背景、現時点での評価について伺いたいと思います。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 ロンドンにおける広域的自治体の経緯などについてでございますが、一九八六年、それまでロンドンの広域的自治体でありましたGLCが廃止されたことにより、ロンドン地域は三十二のバラとシティーという基礎的自治体のみから成る一層制の地方制度となりました。この結果、ロンドン全体の利益を代表し、複数のバラ等にまたがる事項について調整する機関が存在しなくなり、交通や土地利用など広域的課題に十分に対応できなかったという指摘もございます。
こうした問題を背景として、二〇〇〇年、ロンドン全体を包括する新たな広域的自治体であるGLAが設立されたといわれております。大都市内に多数の基礎的自治体が存在していることは、東京の大都市地域と共通しており、GLAのような広域的自治体が必要とされた理由も、大都市の総合性、一体性を確保するためであったと考えております。
GLAが設立されて間もないことから、評価はまだ早いと考えますが、ロンドンの新しいタイプの広域的自治体として、今後も引き続きその動向に注目してまいります。
○大木田委員 今のGLAでございますけれども、ロンドンの人口が約七百七万四千人、東京二十三区の九割ですね。面積からいきますと千五百七十九平方キロメートルですか、東京の二・五倍あるんですね。ロンドンのGLA、二〇〇〇年の設立ですから、私もロンドンのごみのときにいろいろと研究をしてみましたけれども、広域行政と基礎的な自治体のあれがちょっと不自然だなという形で、そういう問題点があってこういうような形になったんだろうと思うんですけれども、今後、こういう三十三の基礎的自治体を包括するGLAのような概念が東京としては参考になるのかどうか、現時点ではなかなか評価しにくいということでありますので、ぜひ今後研究をしていただきたいと思います。
そこで、将来における大都市の基礎的自治体の統合・再編について、都市づくりや都市再生の観点から伺っていきたいと思いますけれども、特別区再編について、森記念財団が六特別市+自主区というパンフレットを送っていただいて見たりしましたけれども、要するに、私、何回もいっているんですけれども、石原知事も昨年、二十三区ではできないから、都が具体的に一回示してたたき台をつくるよということをいわれているんですけれども、その後、その状況はどうでしょうか。参考までに。
○反町総務局行政部長 特別区の合併でございますけれども、特別区の合併は、一般の市町村とは異なりまして、特別区の区域における特有の現状の分析を行うとともに、一般の市町村とは異なる事務権限を有する特別区において、どのような合併パターンが合理性を有するかという点について検討する必要がございます。
また、特別区の合併の検討に当たりましては、本委員会において大都市行政についても議論が行われておりまして、これらの議論を踏まえていく必要がございます。現在、これらの点を踏まえて検討を進めてまいりたいと考えております。
○大木田委員 臨海を開発して、あそこで世界都市博覧会をしようというときに、いろいろと話題になって検討もされたんですけれども、あそこは江東区あるいは中央区、品川区、それから港区も一部入るんですかね、四区が携わっている地域がありまして、東京であそこを特別区にしたらどうかという構想が一時ありました。しかし、結果的にはそれが実現しなくて今の体制で来たわけでありますけれども、これから都市再生も含めて、まだこの十年ぐらいで東京もさらに大きく構造的な変化もしていくと思いますけれども、こういう基礎的自治体の統合・再編、それから都市づくりや都市再生の視点も踏まえて、私は、いろんな角度からこれを総合的に検討していくことは大事だろうと思いますけれども、この見解を伺います。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 都市づくり、都市再生の視点ということですが、都市づくり、都市再生のためには、広域的自治体が都市全体のビジョンづくりや大規模な都市基盤整備を担い、基礎的自治体が身近な地域のまちづくりを行うことが、役割分担の基本的方向と考えられます。今後、大都市の基礎的自治体がまちづくりにおいてより大きな役割を果たしていくためには、それに応じた規模、能力の拡大が必要であり、そのために統合・再編も必要になってくると考えられます。
○大木田委員 いろいろと議論してまいりましたけれども、あらゆる角度から検討して、先ほど冒頭にも話しましたけれども、要するに、今までの歴史的な経過、それから面の広がりや曲線の展開等を踏まえながら、その発想には立つんですけれども、それだけでは今の大変革の時代では延命策にすぎないのかなと。新たなる視点、新たなる発想からもう一歩これを突き崩して--この制度疲労がもう限界を超えているような状況に今来ているわけですね。だから、この制度疲労をどう改革して変えていくかということが今最大の焦点でありますので、その意味においては、あらゆる角度から議論をして、いろんな角度から議論しながら方策を私は探るべきであるという認識であります。
最後に、合併を進め、効率的な行政運営を確保することは極めて重要です。しかし、自治体運営において、民主主義と住民意思の反映をどうしていくかということもまたこれは大事なわけでありまして、これからの生活レベルのコミュニティの充実や住民組織の活性化などを図りながら、合併後の大都市の住民自治の振興策、これもそこに住んでいる住民が大事でありますので、四階から上の議論は非常に話がわかるんですけれども、一階から三階の足の根のついた議論も大事でありますし、そこに住んでいる人の意見も非常に大事でありますので、住民自治の振興策について今どう考えているか、伺います。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 自治体の規模が大きくなりますと、それだけ住民の直接参政ということが難しくなります。そのため、議会の機能、役割は一層重要なものとなると考えます。
それとあわせまして、地域の自治的なコミュニティを育成し、政策形成過程への住民参加の手法を拡充するなど、大都市地域内での住民意思を反映するさまざまな仕組みを検討していく必要があると考えております。
○大木田委員 私も、二十三区、大都市行政のあり方をどうしたらいいかということをいろいろと今考えている途中でありますので、もう一回整理して、次の財源の議論をするときに、財源とあわせて私なりの一つの方向性の意見をまとめられれば、そこで皆さんにご披露して、またご意見も伺いたいと思います。
以上で終わりにします。
○古賀副委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時五十三分休憩
午後三時七分開議
○川島委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○木村委員 私も、「論点整理」に従いまして、今後の首都圏における広域自治体制度と基礎的自治体制度のあり方についてお尋ねしたいと思いますが、これは、石原都政の三年、つまり、現実の都政の動きと切り離して論ずるわけにもいかないというふうに思うんです。
危機突破プラン、東京構想二〇〇〇、都庁改革アクションプラン等々進められてきた石原都政を振り返りますと、一つは、首都再生、首都圏の活性化から首都圏メガロポリス構想、そして都市再生十兆円プロジェクトというふうに政策が発展しています。これを都みずからが発信しようとする新しい自治制度、広域自治体論とかそういうものとどういう関係に考えたらいいのか。
あるいはまた、もう一つこの三年で貫かれている政策というのは、小さな政府という考えのもとに、役割分担論、都と区市町村との役割分担、民間との役割分担、こういうことに基づいてさまざまな政策が発展しているわけです。例えば福祉改革論などという形で行われているわけであります。これと基礎的自治体のあり方との関係はいかにということで、こういう立場から若干質問をさせていただきます。
それで、都庁改革アクションプランは、都政改革ビジョンⅠと都政改革ビジョンⅢによって完成するということになっておりますが、都政改革ビジョンⅢの取りまとめが今日まで行われておりません。なぜおくれているんでしょうか。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 自治制度改革につきましては、四月に「論点整理」を取りまとめまして、現在、本委員会においてこれを参考にご議論いただいているところでございます。
ご指摘のありました都政改革ビジョンⅢにつきましては、年内を目途に取りまとめを行いたいと考えておりますが、今後の本委員会の議論の状況も踏まえながら、公表の時期、方法については検討をしていきたいと考えております。
○木村委員 本委員会で議論してもらっているからというふうにいわれましたけれども、都政改革ビジョンⅢに先立って、首都圏における新たな広域自治体制度の創設を提言するということで、昨年末の本委員会でも資料が出ておりましたし、私もその点で質問をしたわけですね。あれからもう何カ月、半年以上たっているわけですけれども、この首都圏における新たな広域的自治体の創設を提言するという仕事は、その後いかがなっているんでしょうか。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 首都圏における広域的な自治体のあり方につきましては、当初の予定では、ビジョンⅢに先立ちまして、先にお示しをするという考えでもございました。ただ、これにつきましては、関係県市へのさらなる提案ということにもなりますので、今後、その広域的自治体のあり方については、ビジョンⅢの作成の中で検討してまいりたいと考えております。
○木村委員 つまり、方針変更ですな。難渋しているというのはわかります。この都庁改革アクションプランの二六ページには、危機突破・戦略プランから都政改革ビジョンに至るフローチャートがページで入っていまして、ここには、都政改革ビジョンというのは、自治体改革東京構想というふうにサブタイトルが入っております。
中長期的視点からの新たな自治制度の検討ということが述べられているわけですが、いろいろ今難渋しているようですけれども、なぜ東京都が自治制度そのものの改革について提言しなきゃならないというふうに考えているんでしょうか。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 なぜ都が自治制度改革について出す必要があるかということでございますが、中長期的に広域的自治体である都のあり方を考える場合に、単に広域的自治体のあり方ということだけではなくて、全体の広域化、分権化という状況がございますし、また国や基礎的自治体との役割分担ということもございますので、基礎的自治体のあり方も含めて、広く自治制度全般について検討する必要がございます。
基礎的自治体のあり方については、基礎的自治体みずからが考えるということはもちろんでございますが、区市町村を包括する広域の自治体として、都が関係者の意見等も聞きながら、特別区や市町村のあり方について検討し提案していくことは、都としての重要な取り組みと考えております。
○木村委員 今の説明を聞いても、現実にはその提言が難渋しているわけですよ。やろうと思うけれども、関係市との関係だとかそういうことでずっとずっと延びてきているわけですね。自治体のあり方、制度のあり方というのは、将来にわたってその区域の住民生活や産業、それから都市づくりなどを規定するものであって、より普遍的なものだと思うんですね。
ところが、一方、東京構想二〇〇〇、都庁アクションプラン、この世界は石原知事の戦略に沿って展開されているものであって、鈴木都政やその前の都政から見てもかなり異質なといいますか、変わった路線が展開しているわけなんですね。東京構想二〇〇〇というのは、東京ひとり勝ちという批判もある、関東全体が人口がずっと減っていくという中で、首都東京、コアだけは人口がふえるという計画ですから、そういう構想を前提にして広域自治体といっても、いろいろな他県とのあつれきその他が出てくるというのが容易に予測されることだと思うんですね。
自治体論の議論というのは大いにあってしかるべきだと私は思いますけれども、このような時々の政治の側の戦略、石原路線、東京構想二〇〇〇という中に、わざわざフローチャートの中に普遍的な性格を持つ制度を定めようということは、都政をある意味ではミスリードするということにつながりかねないと私は思います。
自治制度について論じるのであれば、現実に区市町村が直面している困難を取り除く方向で議論するということが私は必要だと思うんですね。お配りいただいています「論点整理」では、そういう差し迫って区市町村が直面している諸困難について、どのような整理がされているでしょうか。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 区市町村が直面する問題につきまして、「論点整理」では、基礎的自治体は住民にとって最も身近な自治体であり、地域の行政の主たる担い手であるが、自主的、自立的に地域の課題に取り組んでいくためには、行財政基盤の弱さや不十分な権限移譲、事務の画一性などが課題であるとしております。
基礎的自治体の行財政基盤強化を図るためには、合併なども有力な選択肢の一つであり、そのような取り組みを都が側面から支援していく必要があるとしております。
また、みずからの課題についてはみずから解決するという住民自治の重要性についても述べております。
○木村委員 やっぱり私は、今の答弁を聞いていますと、基礎的自治体に対するとらえ方は極めて一般的、基盤の弱さとかそういう範囲でしか論点が整理されていない。しかし、財政一つとってみれば、三割自治といわれる現実がありますし、それから、先ほども出ましたように、国からの補助金、これがひもつきの補助金という性格が非常に強いということや、東京都もそうですけれども、上から公共事業を押しつけられる、補正予算を組まなきゃならないというような問題、こういう問題をどう打開していくのかということをまず論じていくことが、新しい自治制度の道を探る上で必要なんじゃなかろうか。こうした問題での共通の課題を一緒に取り除く、そういう方向でお互いに共通する自治制度上の問題について対等のテーブルに着いて議論をする、そういうテーブルを用意するのが東京都の仕事、こういうふうにいえるのじゃなかろうかと思うんですね。
都政改革ビジョンⅢで都が勝手に決めて、これに従えというようなやり方はやっぱり通用しないし、そういう立場でビジョンⅢをまとめようとすること自体が非常に難しい話じゃないかというふうに思うんです。
島根大学の保母武彦教授は、都道府県制度を含む行政機構の改革は、そこに盛り込む政策理念と政策課題にこそかかわっており、改革の実現は国民諸階層の運動抜きにはあり得ないというふうに指摘されていますが、果たして政策理念と政策課題について、東京都と基礎的な自治体、さらには都民との間に都民的な合意が形成されているのか。
最初に述べましたように、都は、石原知事の戦略的な課題である東京構想二〇〇〇、都政改革ビジョン、さらにその具体化である福祉改革、都民の前には明らかにはされていますけれども、これらが都民的な合意が形成されているとは到底いえない。そのことの解決なしに制度を切り離して議論するということ自体、極めて危険な手法だと私は指摘するものであります。
そこで、東京構想二〇〇〇の具体化である都市再生と都政改革ビジョンの具体化ともいうべき福祉改革についてお伺いしていきたいと思うんです。
首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトというのがありますね。これの進捗状況はどうなっているかということです。これが発表された後に国の都市再生本部が設置されて、都市再生特別措置法がその後成立をして、都は、六月に七カ所の都市再生緊急整備地域を国に提案するというふうに進んだわけであります。
そこで、十兆円プロジェクトのうち、都市再生プロジェクトと連動する、例えば快適な居住空間の創造というプロジェクト、十兆円のうち一兆円がここに充てられる。条件は、職場からおおむね三十分以内の都市部に、約八十平方メートルで家賃は月十万円程度、これを五十万戸つくるというプロジェクトが掲げられておりますが、これはその後どうなったでしょう。
○中田知事本部企画調整担当部長 今、木村委員からご質問ありました、快適な居住環境の創造につきましては、先般施行されました都市再生特別措置法に基づきまして指定されます緊急整備地域におきまして、優良な民間プロジェクトを支援することによりまして、良好な居住環境の確保に資するということが可能と考えております。
○木村委員 後からまた聞きますけれども、この七カ所のところの優良な民間プロジェクトを支援すると、月十万円の家賃の住宅ができると考えているというけれども、そんなこと本当にだれが信用できるだろうかと思いますよね。都心から三十分以内のところで八十平米以上の住宅で月十万円以下、そういう住宅がもしあるとすれば、都営住宅か都民住宅じゃないですか。東京都は都民住宅をもう建てないといっている。都営住宅なんというのは、石原都政になって三年間、一戸も建っていないじゃないですか、新規は。
それじゃ、火災による二次災害の防止というプロジェクトがありますよね。木造密集地域においては、大規模公園の整備、幹線道路のグリーンベルト化を進めて大火災の発生、延焼を防ぐ、あるいは防災拠点の整備、有明地区、六本木地区など備蓄倉庫、ヘリポートなどに備えて広域的な防災拠点を整備する、こういうプロジェクトについてはその後どうなっていますか。
○中田知事本部企画調整担当部長 まず、火災によります二次災害の防止につきましては、密集市街地の緊急整備ということで、国の都市再生本部におきまして、都市再生第三次プロジェクトに位置づけられております。
また、防災拠点の整備につきましては、東京湾臨海部におけます基幹的広域防災拠点の整備につきまして、都市再生第一次プロジェクトに位置づけられております。その後、都市再生本部のもとに位置づけられました首都圏広域防災拠点協議会において検討が進められておりまして、昨年十二月の同協議会におきまして、東京都臨海部及び川崎市臨海部において適切な機能分担を行い、相互に補完することにより、全体として一つの機能を発揮できるよう整備するという旨が位置づけられております。
○木村委員 国の事業だとかあっちの事業だとかにそれぞれ位置づけられましたという話ですけれども、どれも具体化されてはいないわけですよね。
私は、都市の再生という場合、急がれているのは防災であり、それから都市の居住の確保、環境との共生、こういったことがやっぱり都市再生だと思うんですね。どれもがそういう大事なプロジェクトは具体化されていないか、実際は全く空想的な位置づけ。都心の優秀な民間プロジェクトを支援すれば、庶民の十万円以下の住宅が五十万戸できるというようなことになっていて、都市再生といえば、本当に都民にとって大事な主要な問題というのは取り残されている。そのまま都市再生緊急整備地域が決められて国に提案されたということになると思うんです。
私は、都民が求めている都市再生とは非常にかけ離れた流れ、ヨーロッパなどの先進国の都市再生の方向とはやっぱり違う。この間、アセス問題が大問題になりましたが、環境との共生にも逆行しているというふうに考えざるを得ませんけれども、特に私は、この流れでは、都の財政難にさらに拍車をかけるということになるんじゃないだろうかと思います。
この七つの緊急整備地域を国に申し入れた、プロジェクトが行われるわけですが、これは民間の開発がいろいろ書かれていますけれども、さっきいいましたように、それを支援することによって都民居住も確保するんだということになれば、公共負担も当然考えなければならない。都市再生プロジェクトに伴うこうした財政負担について、試算はしているんでしょうか。
○中田知事本部企画調整担当部長 都市再生緊急整備地域は、都市再生特別措置法に基づきまして国が指定する地域でございまして、地域の指定に当たりましては、首都の顔づくりに資する優良な民間プロジェクトの促進にねらいを絞っております。緊急かつ重点的に市街地の整備を図って、国際競争力の強化や都市の魅力づくり、こういったもので都市の再生を目指すということになっております。
これにつきましては、各関連区市と意見調整もいたしましたし、またパブリックコメントもやっております。したがいまして、おのおのの整備地域におきましては、個々の具体のプロジェクトを通して民間の力を生かすことが基本でございます。したがいまして、東京都の財政負担は試算をしておりません。
○木村委員 民間のプロジェクトが主体だとか、それを支援するとかいうけれども、これだけの開発を進めれば相当な財政負担が当然予測されなきゃならない。財務局は試算はしたんですか。
○松澤財務局主計部長 ただいま知事本部から答弁いたしましたように、今回、緊急整備地域にまだ指定されたばかりでございますし、また民間主導のプロジェクトということで、これから具体的に明らかになっていく状況でございますので、現時点では、事業費あるいは財政負担については試算するような状況にはございません。
○木村委員 結局どこも試算はしていないんですよ。(「できないよ」と呼ぶ者あり)いや、できないで済む話じゃないです。国も都市再生特別措置法によるプロジェクトにかかわる公共負担については明らかにしていないです。それなのに七つの緊急整備地域を提案して推し進めるというのは、これはもう数字を書き込まない手形を、白地手形というのかな、相手に渡しちゃっているようなものですよ、国に。そういう意味では非常に大変な話ではないかというふうに思います。これは、これからだんだん都政の主要な論戦のテーマになっていくだろうというふうに思います。
環境との共生に逆行するというのは、二定で私どもが大いに論じました。本来、これだけの都市再開発をやるのであれば、環境、都市構造、産業構造、就業構造あるいは居住形態、さらには財政的裏づけ、計画への都民参加の保障、多面的な角度からの検討がまず先にあって、そのことが都民に示されて初めてゴーサインが出されるというのが筋だと私は思うんです。
都として都市再生を進めた場合のシミュレーションを行ったのか。こういう開発を進めていってこの東京がどうなるのか、これであらゆる角度から大丈夫だということを都民に約束できるんでしょうか。どうでしょう。
○中田知事本部企画調整担当部長 先ほど述べましたが、今回の緊急整備地域の指定は、民間事業者のプロジェクト動向といったものを踏まえるとともに、地元区や市との意見調整あるいはパブリックコメント、こういったものを参考に決定したところでございます。
この仕組みを通しまして、今後出てきます具体的な民間プロジェクトによりまして、都市の魅力の向上、国際競争力を高める、こういった都市の再生、最終的には国の再生が実現されるというふうに考えております。
○木村委員 私は、鈴木都政のマイタウン構想からずっとつき合ってきたわけですけれども、鈴木都政の最後の部分、一九九四年、平成六年、東京都が出した東京都二〇一五年長期展望というのがありますよね。これは二十年スパンの東京の将来展望を示したものです。
これは、当時の鈴木都政のマイタウン構想の色をまだ反映していますけれども、バブル崩壊後、随所に一極集中の弊害を指摘して、二十一世紀に行政が優先すべき課題については、土地の高度利用の誘導、規制、低未利用地の活用に当たっては、住宅や道路の建設、公園などの公共の施設整備を優先することが必要だということを、マイタウン構想で、バブル崩壊の後、苦い一つの反省として東京の将来について書かれています。
昼間就業者の減少は、他方で東京への集中圧力の緩和をもたらし、混雑現象を解消する上で望ましいととらえることもできる、これを契機に、住宅と住環境の整備など定住人口を確保し、職と住のバランスのとれた都市づくりを一層進め、都市としての活力を維持向上させ、都民生活をより豊かでゆとりのあるものにしていくことが必要であるというふうに、将来、二〇一五年に対する展望として語っています。
で、そういう今の都政に先行するところでの長期展望からいっても、都市再生緊急整備事業を、シミュレーションもせずに一気に七カ所指定するということは、やっぱり今までの流れ、教訓を得ていない、教訓を生かしていないというふうにいわざるを得ないんじゃないだろうかというふうに思います。
一定では、都市再生が大手ゼネコンや開発ディベロッパーに利便を提供するシステムになりかねないということを論じました。秋葉原のITセンターについては、鹿島の利権であるということも取り上げました。
この七カ所の緊急整備地域を見て非常に気になるんですけれども、なぜ新宿の富久町、西富久町というのがぽつんと整備地域として指定されて提案されているのか、その点はいかがでしょうか。
○中田知事本部企画調整担当部長 環状四号線沿道富久町の指定の理由でございますが、富久町におきましては、確かに虫食い地が広範に存在しております。ただ、これによりまして、この地域の住民の方々が、治安の悪化あるいは生活利便施設の不足、こういったことに非常に多くの不安を抱えております。このような状況を改善するため、現在、地元の住民が主体的に将来のまちづくりについて検討を進めているところでございます。
このため、都として重要な都市基盤である環状四号線の整備とあわせて、沿道の土地の有効利用を図るとともに、幹線道路と一体となった安全で快適な市街地を形成しようと、そういった考えで指定されたものでございます。
○木村委員 虫食いのところというのは、富久町だけじゃなくて、都内それぞれたくさんあるんですよね。きのうかおとといかの新聞記事で見ましたけれども、先日の改定されたアセス条例の施行、七月三日を受けて、早速ここが計画変更をして、ビルの延べ床面積、十万平米だったのが十五万平米ぎりぎりまで広げるということになったという記事がありました。あのアセス改正が急がれたのは、ああ、なるほどこのことかというふうに私は思いました。しかも、この西富久町の計画地域内の大地権者はやっぱり鹿島なんですよ。コリンズの地上げ地域と隣接した土地を鹿島が買って、バブル崩壊で民間都市開発機構に預けていたものがあるわけなんですね。
東京構想二〇〇〇では、東京圏が直面する危機の打開が一応理念として掲げられていましたけれども、緊急整備地域というふうになると、そうした理念は雲散霧消して、結局これを見ますとわかりますが、先ほどからよく答弁が出ますが、もう民間単発プロジェクト、オンパレードですよね。結局そういうものに首都再生、都市再生というものが収れんされて、この三年間とうとうここへ来たという感じが私はします。理念も何も吹き飛んで、あるのは当面の景気対策と経済対策、民間に看板だけ書きかえた開発事業。
これを、基礎的自治体との関係でいえば、例えば、現在区市町村で検討が進められている土地利用計画がありますね。これは都が事実上の上位計画という姿勢を変えていない。区市とは本来、対等、平等の関係であるべきなのに、都の土地利用計画に沿って立案するように、現に区市を指導しています。ですから、そういう形で区市町村との関係で都市再生路線が進みながら、同時にこういう緊急整備地域が発表され、そしてアセスが改正になったらすぐ計画の内容も大規模に変わるというふうになっているわけです。
結局、都政改革ビジョンⅢというものの目指す方向というのは、東京構想二〇〇〇が示す首都圏規模におけるスケールメリット、開発のしやすいスケールメリットに合わせた自治体改革論にならざるを得ないんじゃないかというふうに思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 都政改革ビジョンⅢは、首都圏で発生しているさまざまな問題を解決できるよう、広域的な課題あるいは大都市の問題、そういった自治制度の抜本的な改革を視野に入れた制度改革の提言を行うものと位置づけられております。都市再生の視点は、自治制度改革が必要とされる背景の一つとして重要と考えております。
ビジョンⅢにおきましては、東京及び首都圏が抱える現実の課題を十分に踏まえる必要があるというふうに考えておりまして、今後検討を進めてまいります。
○木村委員 すれ違いになっているんですけれども、去年私が指摘したことが、その後、法ができて、緊急整備地域ができて、首都再生、首都圏メガロポリス構想、十兆円プロジェクト、そして緊急整備地域の指定というこの流れを見ますと、東京構想二〇〇〇が示す方向での、その中で自治制度を新たに東京から発信するということになれば、東京構想二〇〇〇の示す方向で新たな自治制度が具体化される。
結局、昨年いいましたように、強大な首都圏規模の大自治体、それを支えるために、基礎的な自治体も大県並みの、つまり、人口何十万という区や市が合併していくと、そういう基礎的な自治体をつくらざるを得ないという方向に行かざるを得ないんじゃないか。そのことが、ますますこの間の流れの中で鮮明になってきたというふうにいわざるを得ないと思います。
じゃ、都市再生と対をなすのが行政改革、とりわけ福祉改革ですね。これも東京構想二〇〇〇で基本的な方向が打ち出されているわけですが、サービス提供のイメージ図というのは、東京構想二〇〇〇によれば、地方自治体が小さな政府として登場して、その性格づけとして、サービスを安心して利用できる仕組みを整備するということが述べられていて、その一方で、サービスの提供の中心は民間事業者、企業とされています。サービス提供の主体を民間に、民間が引き受けられないサービスはNPOやボランティアに、その上で市場原理や地域の自主的な活動だけで提供できない分野を公共が担う、それが小さい政府だ、こういう説明に、これに書かれている行政論はなっています。
しかも、残された公共が担うべきサービスも、基本的には区市町村に役割分担ということでやってもらうということが--押しつけるとは書いていないけれども、やってもらうとは書いてある。これが福祉改革の根本を支える論理なんですね。
この方向でこの三年間を見ますと、例えば、採算性、効率性という点では、都立病院の統廃合の計画が既に出ました。保健所の統廃合も問題になっています。その中では、不採算の医療分野で都立病院はまず市場原理に委ねなきゃなりませんから、一番不採算部門というので真っ先に母子保健院が廃止される。市場原理とは一番かけ離れている医療現場だということになるわけですね。
役割分担ということになって、民間に任せられるものは民間へということになってこの三年間を見ますと、認証保育所の開始ということが行われたし、この間の議会が終わった翌日に、都立社会福祉施設の入所施設の廃止というのが打ち出されて大問題になりました。そのまたすぐ後に、今度は民間福祉施設の人件費補助の廃止というのが出た。これなんか、公私格差是正制度を廃止するのどうのという大きな東京都との闘いがあって、福祉施設に働く人々や福祉施設を経営している社会福祉法人の経営者たちとさまざまな話し合いを積み重ねて、従来の公私格差是正事業にかわる新たな補助事業としての、いわゆるB経費という制度が一応話がまとまって妥結をして、その本則が今年度四月から始まった。まだ何ヵ月もたたないときに廃止の方向が出るということですよね。これは、あこぎな人と約束を違えたというのでけんかになったという話と違いますよ。行政の話ですから、もう本当にひどい話だと思うんですね。
保育園なんか、私の区では、公立の保育園と民間の保育園とほぼ五分五分で、長い間の措置制度の中で区民に親しまれてきましたから、全く同じように扱われていますから、人件費補助の廃止というふうにいわれても、関係者も大変ですけれども、当該の区も大変な当惑になりますよね。
問題は、こういう役割分担論に基づいての石原都政の三年間の政策の進展というのが、さまざまな制度変更がトップダウンで決められて、区市や関係団体との協議と合意がはなから無視されているというところに問題があると思うんですね。結局、役割分担と称して一方的に方向を決めて既成事実を積み上げようとする。だから、自治制度についての新たな提言、基礎自治体のあり方についての提言を出すというけれども、こういうふうに区市町村との信義を踏みにじって、人の庭先に土足でどかどか入っていくようなやり方で、果たして、基礎的な自治体との合意の上での新たな制度の提言なんというものはできるのかどうか。この点はどうお考えでしょうか。
○幡本知事本部自治制度改革担当部長 都政改革ビジョンⅢにおきまして、基礎的自治体のあり方を含めまして、現在問題になっております自治制度改革の全般について提言をするということで今検討をしているわけでございますが、特に区市町村との関係、基礎的自治体との関係ということでございますが、これは、広域的自治体と基礎的自治体、相互の関係、役割分担ということが今回の検討の中心的な部分であろうと思いますので、まず東京都が積極的に提言をするということで議論を巻き起こしていくことが、ビジョンⅢの重要な役割であるというふうに考えております。
また、区市町村においては、都の提案に対しまして積極的な提案がなされることを期待しております。
○木村委員 私がいいたいのは、提言をする、するというけれども、その前に、区市町村にとっては抜き差しならないことが、どんどん事実の問題として、制度変更として提案されている。それで、地方分権に基づいた自治制度の改革、基礎的な自治体と対等、平等の立場に立って、心穏やかに新しい制度についてお話し合いをする、合意をするなどということができるかということなんです。
さっき和田先生がいわれました都区財調と固定資産税の減税の話だって、あれだって都と区の二月の合意ができてその後でしょう。区長にとっては寝耳に水ですよ。しかも、これはことし一回じゃないんだ。去年も同じことがあったんですよ。去年は新築の住宅の減税ですよ。そのときに、区長会と東京都は、来年はこんなことないようにしてくださいよと話し合って、総務局は、今度はちゃんと情報を提供しますと約束したのが、二年続いたんですよ。
保健所だってそうでしょう。保健所だって、保健所一所当たりの住民の人口に格差がある。これが総務局の多摩格差八課題のうちの一つだったんです。そして、多摩は保健所一人当たりの住民の人口が二十三区よりも多い、これが格差だというので、ずっとその格差是正のために東京都は努力していることになっていて、平成九年に法律が変わって、それぞれの市の保健センターも勘定に入れていいよということになったから逆転した。それでもう格差是正になったということで、十二の保健所を五つに統廃合するということになって、多摩の市長さん全員が怒ったわけでしょう。二十一の市議会で意見書が上がったわけですよ。
つまり、東京都が新たな自治制度を提言したい、そして広域自治体のあり方と基礎的な自治体のあり方について提言したいということをアクションプランⅢに掲げて、フローチャートの中に入れておきながら、いまだにできない。しかも、一方では次から次へとそういうことばっかりやる。だからいまだにできないんですよ。
保健所の問題についていえば、多摩市長会、それから多摩の二十一の市議会が意見書を上げて、東京都民として住民に責任を負う基礎的な自治体の立場としてはっきり物をいって、とうとう都と区が再協議をするということになりました。私はこれが王道だと思うんですよ。こういうことをやって初めて新たな自治制度を東京都として検討していくということになるんだと思うんです。
そういう意味で、ここはもう事実の問題で明らかでありますから、ただ本当は、次から次へとこういうことがあれば、総務局はもう少ししっかりしてもらわなきゃいけないですね。そのことは答弁もらいたいと思ったけれども、きょうはやめておきますけれども、本当に知事本部も総務局も、そういう点ではしっかりと対等、平等の立場に立って、区市町村がテーブルに着けるように、そういうことをやっていって初めて新たな自治制度の改革に向かうんだと、このことを強く主張して、私は終わります。
○川島委員長 ほかに発言がなければ、以上をもちまして本日の質疑を終了いたします。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時五十五分散会
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