行財政改革基本問題特別委員会速記録第十号

平成十四年五月二十日(月曜日)
 第四委員会室
 午後一時四分開議
 出席委員 二十名
委員長川島 忠一君
副委員長大木田 守君
副委員長古賀 俊昭君
副委員長和田 宗春君
理事富田 俊正君
理事鈴木貫太郎君
理事吉田 信夫君
理事樺山 卓司君
長橋 桂一君
真鍋よしゆき君
松原 忠義君
相川  博君
遠藤  衛君
河西のぶみ君
新藤 義彦君
山崎 孝明君
大河原雅子君
渡辺 康信君
石井 義修君
木村 陽治君

 欠席委員 三名

 出席説明員
知事本部本部長田原 和道君
次長三宅 広人君
企画調整部長渡辺日佐夫君
特命担当部長高島 茂樹君
企画調整担当部長中田 清己君
国政広域連携担当部長熊野 順祥君
自治制度改革担当部長幡本  裕君
総務局局長大関東支夫君
総務部長高橋 和志君
行政改革推進室長島田 健一君
IT推進室長木谷 正道君
人事部長山内 隆夫君
行政部長反町 信夫君
勤労部長大塚 孝一君
財務局局長安樂  進君
経理部長佐藤 兼信君
主計部長松澤 敏夫君

本日の会議に付した事件
 行財政改革の基本的事項についての調査・検討
  報告事項(質疑)
  ・自治制度改革の論点整理
  (1)今後の大都市自治体のあり方(理念)について

○川島委員長 ただいまから行財政改革基本問題特別委員会を開会いたします。
 これより、東京の将来像を展望し、社会・経済情勢の変化に柔軟に対応する都政を実現するため、行財政改革の基本的事項について調査・検討を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、自治制度改革の論点整理の中から、今後の大都市自治体のあり方についての質疑を行います。
 資料の要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○山崎委員 それでは、お許しをいただきまして、質問に入らせていただきます。
 新しい年度を迎え、新たな審議事項に基づき行財政改革基本問題特別委員会での質疑を始めるに当たりまして、まず一言申し上げておきたいと思います。
 これからの世界は、東京を初めとする大都市が、我が国、そして世界経済を牽引していく都市の時代であります。今後、世界の人々の半数以上は、百万人を超える都市に集中するであろうといわれております。激しい都市間競争の時代を迎え、大都市経営の向上を図り、大都市自治の活性化を図ることが重要であります。このため、都として、今後の大都市経営のあり方、大都市における新たな自治の姿を積極的に提案していかなければなりません。
 中長期的視点から国と地方のあり方を見直し、自治制度改革を進めていくことが真の行政改革であり、国と地方を通じた真の構造改革であることは、我が党がかねてから主張してまいったところであります。このため、車の両輪として都政を担う都議会と本委員会における議論を通じて、積極的に首都圏自治体のあるべき姿について、意見の発信をしてまいりたいと考えております。
 さて、この行財政改革基本問題特別委員会では、昨年来、数回の審議を重ねてまいりましたが、いま一つ踏み込んだ議論に欠けるうらみがありました。そのため、このたび、委員会として、お手元に皆さんにも前回お配りしてあるように、審議事項を決めまして、本格的審議を行うこととしたわけであります。
 あわせて、今後の審議の参考とするため、執行機関側からは、論点整理、非常に読んでも重みのある、かなりの論点整理の資料も出されておりますが、これも参考に質疑を重ね、今後のビジョン取りまとめに向け、さらに具体的な方向性を打ち出していけるよう審議を行ってまいりたいと考えております。
 それでは、本題に入ります。
 東京や首都圏の自治制度を考えるに当たっては、まず、東京が日本の首都であるということが制度のあり方に深くかかわっていることを、我々認識しなければならないと思います。これからも首都であり続けることが自治制度の議論の前提であり、この意味で、昨今の首都移転の動きは、見過ごせない問題であります。今、首都移転問題は大きな山場を迎えておりまして、衆議院の特別委員会では、平成十二年五月に、今後二年をめどに首都移転先候補地を一つに絞り込むとの決議を行っておりますが、今月、その時期が来たわけであります。
 首都移転の一つの理由として、東京の一極集中の是正が挙げられています。国土の均衡ある発展や多極分散型の国土形成、そして第五次全総である二十一世紀の国土のグランドデザインにおける多軸型国土構造など、戦後の国の国土政策は、一貫して都市への集中の抑制策でありました。しかし、このような国の政策もさして効果を上げることができなかったのは、皆さんご承知のとおりであります。我が国の成長と繁栄を支えてきたのは、終始一貫して東京を初めとする大都市であり続けました。国による都市への集中抑制策は、結果として失敗に終わったと私は思うんです。
 ところで、首都移転に要する費用は、国の試算では十三兆円程度、しかしながら、都が行った試算では二十兆円以上の巨費を投じることになることが判明しておりまして、大変な財政上の負担を後世に残すものであります。しかも、我が国の牽引役である東京の活力を弱体化させ、現在危機的状況にある我が国の活力をそぐという、全く国民にとって百害あって一利なしの計画であります。
 我が党の内田理事も、かつて本委員会の場で、首都移転は東京の過密に対する政治の責任を放棄するものであると、いち早くこの首都移転の本質的な問題点を指摘しております。もちろん都議会としても、幾度にもわたり首都移転反対の意思表示を行ってまいりました。首都移転は、断固として阻止していかなければなりません。
 石原知事は、急展開の可能性のある首都移転に反対する立場から、四月に首都移転反対全国行脚などさまざまな取り組みを進め、東京は引き続き首都機能を担っていくとの姿勢を明確に出しております。
 また、あす二十一日には、私たち議会が中心となって、首都移転断固反対総決起集会を開催することとしております。引き続き首都移転阻止に一層努力していただくことを期待いたします。
 そこで、本部長に伺いますが、首都移転反対の決意を改めてお聞かせいただきたいと思います。

○田原知事本部長 現在進められております首都移転論議につきましては、今、山崎委員からご指摘のとおり、どこから考えても合理的な論拠がないものと考えております。
 都議会と協力をいたしながら、都は、これまでも、あらゆる機会をとらえまして断固反対を表明してまいりましたけれども、今月十五日でございますが、知事が参考人といたしまして参議院の特別委員会に出席をいたしまして、改めて移転反対を強力に主張してまいったところでございます。
 衆議院の特別委員会におきましては、議論が余り進んでいないというようなところも見受けられますけれども、今月末の移転候補地絞り込みにつきましては、予定を変えておりませんで、予断を許さない状況にございます。さらに気を引き締めまして、都民、国民に首都移転の不当性を訴えまして、日本の首都として東京がいかにふさわしいかについて理解を深めていただき、白紙撤回を目指していくつもりでございます。
 都議会の皆様の一層のご支援をお願いいたします。

○山崎委員 首都移転反対については、執行機関も我々議会も、全力を挙げて闘い続けていきたいと思っておりますが、ただ、ここで申し上げておきたいのは、議会とか執行機関だけの反対運動であってはならない。しっかりと都民を巻き込んだ、そうした意味で、あすも我々は地域の人を十人、二十人動員して参加をしていただくわけですけれども、ぜひその点は、都民のみならず国民にも広くこのことを理解させるということが大切だと思います。
 我が国にとって何よりも必要なことは、首都移転どころではなくて、まず地方分権であると思います。これまでの中央集権体制こそが、中央官庁の所在地東京への過度な集中をもたらす一つの原因となっており、一方で国は、東京の問題に対する取り組みを行ってきたと思うんです。地方分権については、平成十二年四月の地方分権一括法により、一定の成果が見られたとされております。確かに機関委任事務制度が廃止されるなど、国と地方の関係が明確になったという点はあるものの、権限移譲はわずかにとどまり、かつ肝心の税財源の移譲がなされないなど、一言でいって、これは全く不十分であるといわざるを得ません。
 また、国から地方への関与についても、自治事務について所管大臣の同意を要する協議や必置規則などがいまだ多数残されており、地方の自立にとって重要な起債制限の撤廃もなされていません。
 そこで、都として分権改革に臨む考え方を改めてお伺いいたします。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 分権改革の考え方でございますが、今後、国は、地方でできることは地方に任せ、国として本来果たすべき役割、機能の強化を図り、地方が行政の中心的地位を占めるようにするべきであります。
 このため、権限、財源の移譲はもとより、地方の自主性、自立性を確立するため、起債制限を含む国の関与の縮減、法令による自治体の事務の義務づけや、行政の執行体制の枠づけの緩和などを進めていかなければなりません。
 現在、国においては、地方分権改革推進会議や地方制度調査会で議論を進めていますが、都の目指すべき分権改革、自治制度改革のあり方について、さまざまな機会をとらえて国にも働きかけ、実現を図ってまいります。
 分権改革こそが、地域の多様な発展をもたらすと考えるものでございます。

○山崎委員 首都移転や全総のような分散型国土政策ではなく、分権こそが、都市、農村を通じて地域の多様な発展を可能にする唯一の道であります。
 分権と並んで今最も必要とされているのは、いうまでもなく都市再生による首都圏再生であります。首都移転論議は、先ほども述べたように、我が国の牽引役である大都市東京のあり方をないがしろにした、的外れな論議であります。大都市から逃げ出すのではなく、大都市にとどまって、その持つ力を十分に引き出すようつくり上げていくことが重要であります。
 我が国の経済は、バブル崩壊後、長引く不況から抜け出すことのできないまま、国際競争力を低下させております。先日も、IMD国際競争力ランキング、これはスイスの研究機関が毎年さまざまな角度から世界各国の競争力を分析し、順位をつけたものであります。それによると、我が国は、九〇年代当初には一位だったものが、昨年度は二十六位から、ことしはついに三十位へと後退する結果となってしまいました。
 我々がそのランキングを見ても、ぱっと見て、何でこの国が日本より上にいるんだろうと思うような国が出ております。例えばチリだとかエストニアあるいはチェコ、こういった--国の名前を挙げるとまずいかな。

○川島委員長 何でも挙げてください。(「何でチリを挙げたんだ」「具体的な事実ならいいよ」と呼ぶ者あり)

○山崎委員 事実この資料に出ていますので申し上げて、その国々には失礼かと思うんですが、そうした国よりも日本は競争力が低い、こういわれておりまして、愕然とします。
 こうした日本の状況を克服するためには、我が国の発展を支えてきた東京など大都市の経済活力の回復に取り組むことこそが、何よりも重要となっております。すなわち、首都移転ではなく、都市再生こそが緊急の課題なのであります。このことが最近になってようやく認識されつつあるのは、多少の救いであります。
 例えば、昨年、国には都市再生本部が設置され、取り組みが始まりました。そして本年は法制化もなされております。また、四十年前、東京都区部への産業や人口の集中を抑制する目的で制定された工業等制限法、所期の目的を果たし終えたばかりか、東京の活力の維持発展に障害となることから、都がかねてからこの廃止を強く要望してまいりましたが、これもようやく廃止されることになったわけであります。
 政治と経済の管理中枢機能が、また多種多様の産業経済活動の立地が一緒になって、大都市東京が大きな求心力を持ち、我が国発展の原動力になったのであります。情報が瞬時に日本じゅうを駆けめぐる現在においても、いや、そういう時代であっても、政治と経済の中枢機能が近接することのメリットはますます大きく、首都移転は、この点からも不合理な考え方だといわざるを得ません。
 都市の集積と過密というのは、明らかに異なるものであります。集積は是とするとの視点に立って、これからの都市のあり方を考えていかなければなりません。過密はいろいろな問題はあるでしょうが、集積は、都市にとっては必要なものだと思います。
 大都市の集積を生かしつつ、その持てる力を十分に発揮させることが必要だと思いますが、首都再生、日本再生のためには、東京の集積のメリットを生かす都市づくりが重要と考えますが、いかがでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 都市の魅力や活力は、多様な機能が集積することによって生み出されるものと考えられます。したがいまして、我が国再生のためには、首都圏三千三百万人の集積のメリットを最大限に生かす都市づくりを行っていくことが有効でございます。
 そのためには、環状メガロポリス構造を首都圏における骨格的な都市構造として、広域連携による都市基盤整備や環境改善などの取り組みを通じ、活力と魅力あふれる世界都市東京及び首都圏の実現を目指していくことが重要でございます。
 また、広域行政及び大都市経営を効果的に推進することができる自治制度の構築も必要となると考えます。

○山崎委員 東京の集積を生かした都市づくりについて、大都市経営を担う都として、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 一方、国においても、先ほど申し上げたように、都市再生の具体的な取り組みの一環として、この四月に都市再生特別措置法が成立いたしました。この法律は、ご存じのように、都市再生の拠点となるべき都市再生緊急整備地域を政令で定めることとし、この地域内においては、民間の都市開発事業に対し、国土交通大臣が認定したものに無利子貸し付け等の支援を行うことや、既存の用途地域等の規制が適用除外となる都市再生特別地区を設けること、また民間事業者等による都市計画の提案制度を創設することなどを主な内容としております。国も、ようやく都市再生に本腰を入れたということがいえると思います。
 また、この法律の内容からもわかるとおり、都市再生は、行政だけですべて対応することには限界があるのではないか。すなわち、都市づくりの担い手とはだれか、また、都市づくりにおける官民の役割分担はどうあるべきかということが重要となってまいります。
 例えば都市計画は、これまでは行政が、都市工学などの専門的立場からの調査検討を踏まえるとはいえ、主として行政の立場から所定の手続を経て定めることになっております。しかし、行政が考えるような美しく秩序ある町並みというものは、なかなか実現はできません。また、再開発や区画整理事業、都市計画道路整備などの事業も、これまたなかなか進みません。これにはさまざまな要因が存在しておりますけれども、一つには、行政だけが都市づくりを担おうとしていた部分があるからではないかと考えられるのであります。
 行政都市ではなく、機能都市という都市の新しいとらえ方が重要となると思うのであります。その一環としてこの都市再生特別措置法を踏まえ、国、地方と民間との協働、規制緩和に基づく都市づくりを進めていく必要があると考えますが、そこで伺いますが、このような都市再生特別措置法施行など、都市再生を進める上で、地方分権の観点から、国や民間の役割についてどのように考えるか、お聞かせいただきたいと思います。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 都市づくりは、それぞれの都市の実情を踏まえ、各自治体が主体的に取り組むことが、地方分権の観点からは望ましいと考えます。
 しかし、都市再生の課題の緊急性からは、国が都市再生に必要な法制度の整備などに速やかに取り組むことが必要でございます。
 また、都市再生には、再開発などにおいて民間の役割が重要ですので、都市再生特別措置法の活用を含め、民間との協働に基づく都市づくりを一層積極的に進めていく必要があると考えられます。

○山崎委員 民間との協働による都市づくりを本格化させることが求められているわけでありますが、一方、都市への集積が進むことは、反面で、弊害をも伴うものであります。すなわち、都市問題の発生であります。具体的には、交通混雑や大気汚染、環境悪化、都市防災の立ちおくれなどであり、これらの問題については、昨年度においても、委員会での審議も行われ、首都圏における広域的課題の現状としてまとめられております。
 我が国の都市の中でも、東京圏は、都市圏域が都の区域をはるかに超え、首都圏全体で三千三百万人と、けた違いに大きな規模を持っております。三千三百万人の国家というものはそう多くないと思うんですが、いろいろ小さな国から大きな国までありますけれども、大変大きな規模を持つ首都圏、東京圏であります。このため、課題の解決も、東京都だけでなく、一都三県のレベルで考えていかなければなりません。
 例えば、過密から生じる交通渋滞は、個人や企業の活動の妨げとなり、数兆円規模の経済損失を生んでいるといわれております。しかし、この交通渋滞を都だけで解消することは不可能であり、外環道や圏央道の整備などはもちろん、物流対策や、必要に応じロードプライシングなど広域的な視点から解決を図っていかなければならないと考えます。このことから、七都県市の連携がますます重要になってくるわけであります。連携を強めるためには、共同でさまざまな事業を行うことが必要であります。
 昨年、都は、大型ディーゼル車高速道路利用税や産業廃棄物税などの提案を行いました。これらの提案は、各県市それぞれの置かれた状況や立場もあり、実現までにはなお幾多の調整も必要であるとは思いますが、ぜひとも、これも実現に向けて、今後とも努力を重ねていただきたいと思います。
 しかしながら、これも以前から指摘されているところでありますが、七都県市の取り組みにも限界があるといわれております。それは、法律上の裏づけのない任意組織であること、これが一つ、それから、常設の事務局を、きちんとしたものを持っていないこと、さらには、七都県市としての意思統一に、なかなか時間が、何一つするにしても時間がかかってしまうということ、こうした大きな三点が問題点だと思います。
 幸いことしは東京が七都県市の事務局になりました。この機会を生かして、七都県市の新たな発展に寄与するような新しい取り組みや提案を、中長期的視点に立って行っていくことが期待されております。
 そこで伺いますが、都県の区域を超えて広がる大都市問題、今申し上げましたが、いろいろな問題がありますが、大都市問題に対処するため、今後どのような広域的自治体の仕組みや制度の整備が必要と考えているのでしょうか、お聞かせください。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 中長期的には道州制を視野に入れるとしましても、その実現はすぐには困難でございます。このため、七都県市首脳会議事務局の常設化や広域連合制度の活用など、段階的に取り組んでいくことが重要と考えております。

○山崎委員 段階的にであれ、首都圏のほかの自治体と広域的な連携を深めていく取り組みを続けると同時に、さらに将来を見据えて、より強力に問題対応を図っていくことが可能となるような広域的自治体のあり方を考えていかなくてはなりません。
 答弁にもあったように、自治法上の広域連合の活用なども検討していく必要がありますが、行く行くは、首都圏において一体的に都市経営を行うという壮大なプロジェクトの実現を目指していく必要があると私は思うのであります。そのようにして広域連携を図っていく上で、国との役割分担の整理も改めて必要になると考えられます。
 例えば、先ほどの外環や圏央道などは、国の出先機関である関東地方整備局が担当しておりますが、その他、国の地方出先機関は農林水産省や経済産業省など数多く、七都県市や広域連合が連携して首都圏の総合的な広域施策を展開していく上で、これらの国の機関の持つ権限や財源を移譲することも検討していく必要があります。
 そこで伺いますが、中長期的に見た首都圏における国との役割分担の考え方については、どのように考えているのでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 首都圏の広域的自治体が、広域連合など首都圏の広域的課題の解決のために有効な体制を整え、現在国が行っている都市基盤整備などにつきまして、事業、権限、財源をあわせてできる限りの移譲を受けることが、首都圏の広域的課題を総合的に解決するために必要と考えられます。

○山崎委員 今の答弁のような、国との役割分担や自治体のあり方を論じていくについても、財源が必要であります。先ほども申し上げたように、今までの国の分権改革がいま一つ盛り上がりに欠けていることは、事実であります。都民や国民の間にも、日々の生活において分権の実感が伴っていないことは、世論調査の結果からも明らかであります。先ほどの首都移転反対の運動にしても、また分権にしても、住民や国民や都民が肌でそれを感じているかというと、ほとんど感じていない。そういう状態は、もう皆さんもご承知のとおりであります。
 このようなことになる最大の原因は、国から自治体へ、権限はもとより、税財源の移譲がほとんど進んでいないことにあるというほかありません。かつて地方分権推進委員会が、第五次勧告において、道路や河川などの国の直轄事業の縮減を提案しようとしたところ、国はもちろん、東京を除く地方の道府県などから反対の大合唱が起こったことは、記憶に新しいところであります。
 そのときの地方のいい分は、財源を伴わずに事業を移管されても困るというものだったといわれております。税財源の問題については、後の本委員会で取り扱う予定ですが、国との役割分担を明確にした上で、それに必要な財源は、地方税などの自主財源で賄われるべきであります。国も、財政危機で膨大な負債を抱えている状況であり、たとえ国からの補助金等の削減に見合った分の税源移譲といっても、簡単にはまいらないということは承知しております。しかし、それをいえば、地方も深刻な財政危機にありますから、それぞれが知恵と工夫を出し合って、国からの税財源移譲を実現していくことが必要だと思います。
 そこで伺いますが、昨今の国、地方を通じた財政状況も踏まえ、税源移譲について具体的にどのように考えるか、お聞かせいただきたいと思います。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 税源移譲につきましては、国、地方を通じた深刻な財政状況を踏まえて検討していく必要があることは、ご指摘のとおりでございます。
 そのため、地方も、それぞれの事情に合わせて法定外税などを検討することが必要でありますし、また、固定資産税や住民税などの基幹税目において、課税自主権の観点から、税制度を見直していくことも必要と考えます。国のいわゆる骨太の方針におきましても、地方税の充実確保を図るとしておりまして、税財源の配分を含めた地方税のあり方についても検討していくとされております。
 いずれにいたしましても、税財源のあり方については、国と地方の役割分担のあり方とあわせまして検討していく必要があると考えます。

○山崎委員 広域的自治体が、今後、都県を超えた問題を連携して解決していく一方で、身近な地域で解決できるような問題までも都県が担い続けるのも、明らかに非効率であります。広域的自治体は、今後は広域行政に重点を移していくことが求められておりまして、それが基本的方向となると考えるわけであります。
 分権の方向性は、これまでも述べてきているように、総合行政主体としての自治体の権限強化ということであります。このことを前提にすれば、基礎的自治体もこれまで以上に能力や財政基盤を高めていかなければなりません。また、地域に身近な課題はなるべくその地域内で解決できるよう、総合行政の実現を図る必要があります。
 こうした観点から、基礎的自治体の基盤強化が不可欠であり、市町村合併を積極的に推進していく必要があります。合併特例法の期限である平成十七年までに合併する動きは、西東京市以後、都内においては見られないようでありますが、都において、市町村合併をいつごろまでに、どのようにしていく考えでいるのか、お聞かせください。

○反町総務局行政部長 本格的な地方分権が進展する中で、基礎的な自治体においても、行財政基盤の強化や広域的課題への対応能力の向上などを図る必要がございます。そのための方策として、市町村合併は、有効かつ重要な選択肢の一つでございます。各市町村においては、こうした時代状況を踏まえて、合併についても積極的に検討する必要がございます。
 加えまして、合併した市町村に対する支援措置等を定めた合併特例法の期限は、お話のとおり平成十七年三月でございます。市町村においては、こうしたことも踏まえつつ、住民と問題意識を共有しながら、自主的、主体的に検討していくことが重要であると存じます。
 都といたしましては、住民と市町村の間で合併に関する議論が高まるよう、あらゆる機会をとらえて、状況に応じた工夫をしながら、必要となる普及啓発活動や支援を積極的に行っていく考えでございます。

○山崎委員 いずれにしろ、市町村合併を進めていくこと--他県では、全国的に見ると、かなりの合併のための話し合いというか組織というか、あちこちに国じゅうで起きている。ところで、東京では、西東京以来、具体的な協議というか、進んでいるところは私は聞いていないんですが、それでいいですね。(「はい」と呼ぶ者あり)
 いずれにしろ、市町村合併を進めていくと、今度は都道府県の存在意義が改めて問われることになります。
 例えば、広域的自治体をめぐる議論の中には、都道府県を廃止して、国と三百余りの基礎的自治体のみの地方制度とするなどの意見があります。
 また、古くは、第四次地方制度調査会では、都道府県を廃止し、国の総合出先機関である地方を置くという答申が出されております。その後も、国の機関としての道州制の主張が経済団体からなされるなど、都道府県不要論の流れは確実に存在しているように見受けられると思うんです。これらの主張や意見は、一見荒唐無稽のようでありますが、その背景には、一つには、人々の活動や社会経済の広域化によって、現状の府県の区域が現実にそぐわなくなってきていることがあります。
 またもう一つ、分権や市町村合併によって基礎的自治体の規模、権限が大きくなっていくことは、反面で、都道府県の空洞化を招くことになるのではないかとの認識が持たれるようになっていることもあります。
 このように、現在、広域的自治体としての都道府県の役割は、わかりにくくなっているのであります。改めて指摘しておく必要があると思いますが、広域的自治体というものは、決して無条件でその存在を保障されているものではありません。憲法上も地方自治体を置かなければならないことは明らかでありますが、広域的自治体と基礎的自治体の二層であることが必要かどうかは、議論が分かれます。
 そこで伺いますが、分権の流れの中で、市町村合併を進め、基礎的自治体に権限移譲を進めようとしている現在、広域的自治体である都道府県が空洞化するとの指摘もありますが、広域的自治体の存在意義についてお聞かせいただきたい。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 広域的自治体の存在意義についてでございますが、人々の活動の広域化に伴いまして、基礎的自治体の区域を超える問題が多く存在し、広域行政需要は今後も大きいと見込まれます。
 また、広域的自治体は、基礎的自治体の規模、能力が今後さらに拡大していった場合においても、基礎的自治体と適切に役割を分担し、総合的に住民福祉の充実を図っていくことが、地方自治の実現にとって重要でございます。
 このように、広域的課題への対応や地方自治の実現などにおいて、広域的自治体の役割や意義は、依然として大きいと考えられます。

○山崎委員 広域的自治体の役割がこれからも大きいということは事実だと思いますが、そのことは、だからといって現行のままでよいということにはなりません。
 市町村合併や都県を超えた広域連携の進展などを踏まえ、広域的自治体のあり方を考えていくと、道州制論をどうしても視野に入れることにつながっていくと考えられます。現に九州や北東北などにおいて、連邦制や府県合併などを検討する動きがあります。国も、第二十七次地方制度調査会において道州制を検討課題とする意向があるといわれております。
 また、それぞれの地域によって、道州制の意味する内容も目的も違うと思われます。市町村の規模、能力拡大による府県の空洞化に対応するための道州制論もあれば、首都圏のような都圏域を超える問題解決を目的とした道州制論もあります。
 このことに関連して関西に目を転じますと、関西経済同友会などは、大阪府と大阪市を合併し、さらに国の出先機関などの権限も統合した大阪州をつくるべきとの提言を行っています。これは、地盤沈下の激しい関西経済圏の活性化を図るため、府と市の二重行政の弊害を解消することなどを目的としております。そして、将来的には、近畿地方の各府県を統合し、関西州となることを視野に入れることとしておるようであります。
 関西では、ほかに大阪市長の磯村隆文さんが、大阪都市圏の府県合併により近畿州を創設することを提唱されています。この場合、大阪市は、京都、神戸とともに、三大市としてより権限を強めていくべきとしております。
 このように、道州制のあり方も、地域によってさまざまであります。特に大都市における広域的な行政需要は、他の地域には見られない特別なものであることを考えれば、東京や大阪などの地域では、広域的自治体のあり方として、道州制を含めて、他の地域とは異なる独自の制度の導入も検討すべきではないでしょうか。すなわち、一国多制度も視野に入れ、場合によっては二層制ではない地方制度も含め、検討すべきであります。
 しかし、そのためには、現行の一都三県三政令指定都市が、首都圏を担う自治体として、お互いの領域を乗り越えながら、日本の代表的な地域として、それらを統合して機能的につくり上げていくことが必要だと思います。すなわち、現行制度の役割を十分に果たしていくという実践と経験を積み重ねた上での議論であることは、いうまでもありません。
 なお、この大阪市の磯村市長は、今の東京都の仕組みについて、戦後、都の内部団体であった二十三区が、基礎的自治体としての機能を担うこととなったため、それぞれの区が公選市長を設け、公選市長を選び、なおかつ議会を持つ、非常に非効率的だ、こう磯村市長は評しておりました。このような見方は一面的であり、失礼ないい方であるとはいえ、二十三区のそれぞれの区の行革の進捗状況の検討は必要でありますし、都区制度改革による清掃事業移管後の廃棄物処理に関する今日における課題や、上下水道事業、交通事業、消防の今後の取り扱いなどの検証も必要だと思います。
 そして、都区財政調整制度のあり方も含め、執行機関はもちろん、都議会、そして特別区においても、将来の首都東京の自治体像を描く努力をしていかなければならないと、この際申し上げておきます。
 都議会あるいは行政機関が、こうした特別委員会をつくって、将来のこの東京を含む自治体像をどうつくり上げていくか、それは、とりもなおさず、かつて内部団体であった二十三区が、それぞれも一緒になってこの議論に加わっていかないといけない、そのように思います。
 次に、以上のような一国多制度を前提にした場合、広域的自治体と基礎的自治体の役割分担のあり方も、地域によって変わってくると思います。国の地方分権推進委員会が、基礎的自治体を優先し、基礎的自治体で担い得ないもの、できないものを広域自治体が、広域自治体でも担い得ないものを国が、基礎的自治体はこれまでしかできません、これは広域自治体でやってください、広域自治体は広域自治体で一生懸命やるけれども、これはもうできないから国でやってください、このように、補完性の原理または基礎的自治体優先の原則という考え方を示しておられました。
 補完性の原理の考え方を用いると、役割分担の整理が非常に整然と行われるような印象もありますが、実際には、基礎的自治体でも担うことが適当でない仕事とはどのようなものであるかについては、個々の事務事業について検討し、決定していかなければならないと思います。
 また、それぞれの自治体の規模、能力の実情に応じて、分担すべき事務も変わってこざるを得ません。小さな自治体から大きな自治体まで、基礎的自治体といってもたくさんあるわけで、税収が違う、財源が違う、環境が違う、そうなれば、同じ事務であっても、この市は、この自治体はできるけれども、あの自治体はできない、そんなことも起きてこようと思います。
 また、東京のような大都市地域においては、大都市行政の一体性、統一性を確保する観点から、一般の広域的自治体と基礎的自治体の役割分担とは異なる役割分担が行われています。広域自治体と基礎的自治体の役割分担は、将来においても、それぞれの地域性に応じ検討していかなければなりません。
 そこで伺いますが、特に大都市地域においては、都市の総合性、一体性を確保するためには、地方と異なり、基礎的自治体優先の原則による役割分担では、行政課題に必ずしもうまく対応できないのではないかと思われますが、どのように考えておられるのでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 東京の大都市部においては、市街地が連檐し、複数の基礎的自治体が一体として一つの大都市を形成していることから、一つの基礎的自治体では完結し得ない事務や、著しく非効率になる事務などにつきましては、広域的自治体が担う必要があります。
 また、大都市における一体的、総合的な都市づくりを進めるための計画ビジョンの策定なども、広域的自治体が主体的に担う必要があります。
 このように、先生ご指摘の補完性の原理による役割分担も、大都市とそれ以外の地域とでは、内容がおのずから異なると考えられます。

○山崎委員 地域によって事情が異なることは、そのとおりでありましょう。地方自治の分野においては、このことを踏まえて制度を考えていくことが大切だということを、改めて認識させていただきます。
 さて、東京には、現在一つの明確な流れとして、都心回帰現象が存在しております。これは、住宅地の地価下落や再開発の進展等に支えられていると考えられます。都心から流出する一方であった定住人口が、今再び都心へと流入しつつあります。この結果、東京の人口は過去最高を更新し、都心三区の人口も六年連続で増加を続けております。例えば中央区は、最少人口となった平成八年からの六年間で、一万三千人も増加しております。
 一方で、人口増加に伴って、小学校や保育園の受け入れなどの行政ニーズに対応できないなどの報道も行われております。これは、江東区がちょっと騒がせておりますが、都心回帰に伴う負の側面も存在しているわけであります。東京をめぐる状況については、このように刻々と変化をしておりまして、都市の過密の弊害を取り除き、集積のメリットを生かせるような、これからの東京の都市経営を進めていくことが重要だと思います。
 なお、大都市制度については、次回に詳しく質疑を行う予定でおります。
 さて、大都市の急速な拡大に伴い、多摩の--余りにも二十三区のことばかりいっていまして申しわけないんですが、これから多摩に少し振らせてもらいます。
 多摩の市町村をどう扱うかも重要なテーマであります。多摩の市町村は、都区制度が適用されている二十三区の区域とは、制度的には分けて考える必要があります。とはいえ、多摩地域も、特に東部においては市街地が連檐しており、大都市地域の中に含まれてしまうともいえる実態が存在しており、広域的自治体としてどのようにこの地域を考えていくかは、極めて難しい問題といえます。市町村部においては、都は府県行政だけを行うと割り切るならば、特別区の区域と多摩とで都の行政に差があっても、ある意味で当然であるということになります。
 しかし、多摩の市町村において、戦後人口が急速に増加したのは、ひとえに東京のベッドタウンとなったからであり、多摩地域独自の要因によるものではありませんでした。このため、公営住宅の建設やニュータウン関連の都市基盤整備など、本来、基礎的自治体も行うことができるものであっても、広域的自治体である都が多くを担わざるを得なかったなどの経緯があったわけであります。現在も、受託消防や水道統合など、多くの市において都が一元的に実施しております。このような大都市の周辺地域としての特殊性を踏まえれば、広域的自治体の役割として、区部と多摩とを通じ、基礎的自治体のある程度の行政水準の確保の役割も果たしていく必要があると思われます。
 また、首都圏というと、大都市行政に関心が集中しがちですが、委員長のいらっしゃる島しょ、東京にも離島振興や山村振興の対象となる地域が存在しております。首都圏の他の三県においても同様であります。千葉、埼玉、神奈川も、東京と同じような状況にあります。地域特性に応じた役割分担の考え方として、山間島しょ地域をどのように考えていくかも重要であります。
 これらの地域においては、集中合併によっても、その地域だけで財政的に自立することが困難であることが予想されます。このような地域における自治体のあり方も踏まえておかなければ、将来の自治体像の全貌を明らかにすることはできないはずであります。
 国では、合併を推進する一方で、残された小規模な町村については、都道府県による事務の代行制度なども含め、地方制度調査会において検討するとも聞いております。こうした国の検討なども踏まえ、都としてこれらの地域の自治のあり方について、方向性を打ち出していく必要があります。
 そこで伺いますが、集中合併などが進んでも、なお行財政基盤が脆弱な自治体について、広域的自治体として中長期的にどのように対応を進めるべきかについて、考え方をお示しください。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 山間島しょ地域におきましては、都が、道路、港湾などの基盤整備や福祉行政などの多くを担ってきました。今後も、広域的自治体として、基礎的自治体の補完や支援を行っていくことが重要であると考えます。
 一方で、基礎的自治体として、できる限りの自立性向上の取り組みや、住民自治の振興に努めていただくことも必要と考えております。

○山崎委員 最後に、今後、中間段階案をこの秋を目途に策定するとのことですが、都議会における一連の議論が、今後の首都圏自治体の改革構想ともいうべき首都圏自治体の将来像を描く取り組みに的確に反映されることを注文しておきます。
 自治制度改革は中長期的な取り組みであり、案を策定して終わりというものではなく、実現に向けて継続的に内部改革や国や世論への働きかけなどを続けていく必要があります。そのためにも、ぜひ骨太な、時代の変化に的確に対応できるビジョンをつくっていかなければならないと思います。
 そこで最後に伺いますが、首都圏における自治制度改革の意義について、改めてお伺いいたします。

○田原知事本部長 首都圏は、我が国最大の大都市圏でありまして、将来の我が国の命運を左右する地域であると考えております。首都圏が活力のある地域として再生することが、日本の再生にもつながるものと考えます。
 そのためには、個別の政策につきまして広域的連携を進めることはもちろんでありますけれども、お話に出ました集積のメリットを最大限に発揮させるような自治制度の改革、さらには広域行政、それから大都市経営を効果的に進めることができる制度改革を提案いたしまして、実現を目指していくことが重要であると考えます。
 今後、都議会の議論を踏まえまして、この課題に積極的に取り組んでまいります。

○山崎委員 首都圏再生のため、東京をめぐる自治のあり方を、現行の制度にとらわれずに、議論をこの場で、都議会でして、できるだけ激しい議論をしながら提案をし、全国にそれを発信していくこと、それが、この国の形、日本のこの国の形を考えることであると私は思います。
 このため、自治制度改革について、我々都議会としても積極的にこの場で議論をし、論議を闘わせながら、執行機関とともに積極的に取り組んでいくことを最後に申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

○和田委員 私は、いわゆる首都圏サミット、七都県市首脳会議などを含めて、六点にわたって質問いたしたいと思うのであります。
 まず、七都県市首脳会議でありますが、これは、もともと昭和五十四年に六都県市ということでスタートした制度であります。平成四年に千葉が一市加わりまして、現在の七都県市という形態を整えたという歴史的経過があるわけであります。そして、その七都県市が今日まで目指してきた共同の取り組み課題というのは、東京一極集中問題の解決に向ける、あるいは東京湾のバランスある発展に向けて努力をする、さらに、ごみの減量化、再資源化などの促進に向けてこれも努力する等々を含めて、六課題に向けて具体的に七都県市が共同で取り組もうという確認をして、昭和五十四年から今日まで来ているわけでございます。
 私は、この、正式には平成四年からスタートした七都県市ですけれども、この七都県市が、従来の昭和五十四年から今日まで来る過程の中の大きな節目というのは、昨年のサミットではないかという位置づけをしているわけであります。すなわち、昨年の十一月にどんなことが確認をされたのか、どのように七都県市が政策課題の中に具体的なテーマを盛り込んだのかということなのであります。
 例えば、昨年の十一月に七都県市、いわゆるサミットが確認した一つの基本的なコンセプトというのは、首都圏としての広域的な取り組みが求められる政策課題の解決に当たるために、七都県市が共同して事業を行う、また、その財源確保のために法定外目的税の導入を図り、より大きな政策効果を上げようというようなことを、具体的に法定外目的税という形でそこに記入をしながら、具体的に進めようということであります。
 しからば、その法定外目的税というのは何かといえば、もうご承知のとおり、産業廃棄物税の共同実施、あるいは大型ディーゼル車高速道路利用税の共同実施というようなことを具体的に掲げてスタートして、十一月からほぼ六カ月過ぎた形で、半年を経過しているわけでございます。
 この産業廃棄物の税収配分にいたしましても、具体的にトータルでは百二十億だ、東京都は四十八億、神奈川、横浜、川崎はそれぞれ三十億、埼玉県は十七億、千葉県と千葉市は二十五億というようなことで、税収の二分の一を乗ずることによって、百二十億が税収として上がるというようなことも具体的に書いてありますし、大型ディーゼル車高速道路利用税の共同実施につきましても、一回の通行について、東京線では二百円、また神奈川、埼玉線では百円、それぞれダブった場合にはそれを加算するというようなルールもつくっているわけであります。
 特に、そこでも数字が挙げられておりますけれども、この大型ディーゼル車高速道路利用税の税収配分の考え方として、トータルで税収額五十億になりました。東京線では四十一億だ、神奈川線で八億、そして埼玉線では一億、都合五十億が税収来るんですよというような形になり、東京都の配分も、そのうちの二十五億円、五二・一%、埼玉は六億円、一二・五%、千葉県は七億円、一四・六%、神奈川県は十億円、二〇・八%というような形で、五十億の案分の数字まで掲げて昨年は確認をして、一年間スタートしているわけでございます。
 そこで私は、あえて半年が過ぎた中で、このように具体的に昨年のサミットで掲げられた政策目標というものが、どのように今時点検討されているのか、また、どのような成果が上がっているのかというようなことを、冒頭お伺いいたしたいと思います。

○熊野知事本部国政広域連携担当部長 ご質問にございました昨年十一月のサミットにおきまして都から提案した事項につきましては、まず検討の進め方といたしまして、最初に共同事業について議論をいたしましょうと。その後、法定外目的税を含め、事業実施のための財源について検討を行うということにいたしました。
 現在、まず大気汚染につきましては、ほぼ共同事業につきまして合意に至りつつございます。今後、財源問題を本格的に議論したいと考えているところでございます。
 また、産業廃棄物対策につきましては、残念ながら、いまだ現在も共同事業の検討を行っている段階でございます。今回の提案につきましては、各県市の地域事情あるいは考え方などがかなり異なっておりまして、合意に至るまでには、今後もさまざまな課題が存在していると認識してございます。
 しかしながら、首都圏を取り巻く広域的課題について共同で取り組むことの必要性につきましては、理解が得られているところでございまして、今後も各県市と十分協議しながら、提案の実現に向けて努力していきたいと考えております。

○和田委員 二つの法定外目的税のうち、一つは順調に船出をしたような今ご報告がありましたが、もう一つについては、これから協議の段階に入っている最中だということであります。
 それは、今まで余り他の自治体がやってこなかった法定外目的税の一斉導入というようなことなどについて、七都県市が足並みをそろえること自体、私は大変な難事業だと思うんですけれども、それでも少しずつでも前進をさせていくその努力を、お互いこの大都市に住んでいる住民のために責任を持つ自治体が、大小それはあったにしても、共通認識でスタートするということは大変大事なことだろうと思いますし、それが年を重ねるごとに、それまで懐疑的であったり消極的であった自治体も徐々に従ってきて、それぞれスピードアップされ、加速されて、都市圏に生活する人々の健康上の問題や利便性の問題に大きな貢献をしていくだろう、こういうふうに思っているわけであります。
 でありますから、まだ十一月まで努力目標は十分あるわけでありますし、十一月を越してもまだまだ新しい課題を背負って頑張らなきゃならないわけでありますから、ここで馬力をかけていただいて、次の機会に、私の質問あるいはうちの会派の質問のときには積極的な答弁ができるような努力をぜひ要請しておきたいと思います。
 次に、我が会派がしばしば指摘をしていることでありますけれども、このように七都県市のアイデア、理念、理想はいいんだけれども、問題となる財源がないことによって、どうしても理念がまさってしまって、実動が伴わない。今申し上げた法定外目的税についても、工夫に工夫を重ねて出してきたアイデアなんだけれども、なかなか、それぞれの自治体の内部事情や体質によって、考えはわかるけれども、踏み込めないということで、躊躇している自治体もあるやに聞いております。
 しかしながら、車体はつくったけれども--そこにガソリンを入れて、エンジンを動かして前進させるという意味では、その税をしっかり捕捉して、新しい税をつくりながら、それで進めていくということがないと、それこそ絵にかいたもち、張り子のトラとなってしまうというふうに私は思っているんです。その意味で、例えば軽油引取税を、広域的に共通認識の上で取り締まりといいましょうか、そういうことを展開させていく中で、共通の税にしたり、そういったようなことも考えてしかるべきだというふうに思っているわけであります。
 したがって、いろんな意味での税の組み合わせ、新しい税の創出もそうでありますけれども、今まである税を七都県市がお互いに了解し合うことによって進めていくというような、このような実態的な税収確保の道というのをどのように考えていらっしゃるのか、お伺いいたします。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 七都県市が共同で税を徴収し、それを共同事業に活用するというアイデアでございますが、今後の共同事業として検討に値するものと考えます。
 しかし、現行制度のもとでは、税は各自治体が個別に徴収し、その上で拠出するという方法をとらざるを得ないため、共通財源としてしっかり活用していくには、工夫が必要であるということでございます。

○和田委員 今、具体的に、軽油引取税の広域的な取り締まりの展開というようなことも含め、新税にしていくことの可能性に期待を持たせるような答弁がありました。
 私どもは、ペナルティー的な要素のある税だから、あるいはインセンティブを涵養する税だからということを差別をせずに、やっぱり税というものについての目的を達成するためには、あらゆる方途を使って税収の道を図っていくべきだというふうに考えますから、軽油引取税のただいまの答弁などについても、これから関心を持って注目させていただきたいと思いますし、具体的にこの秋のサミットなどに提案をするというような意向が今おありなのかどうなのか、それも含めて再答弁をお願いいたしたいと思います。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 先ほどの問題につきましては、私どもの自治制度の制度的な改革あるいは制度的な視点での可能性ということで申し上げたところでございますけれども、制度的には、現在は個別に徴収をして予算に計上して、共同の取り組みを行うということでございます。
 いずれにしましても、七都県市が共同で事業を行うという中で工夫をしていくべき問題ではなかろうかと考えます。

○和田委員 大いに期待をして、成果を待ちたいというふうに思います。
 次に、道州制に関連してお伺いいたしたいと思うんです。
 私ども都議会民主党は、しばしばこのような公の場を利用し、あるいは研修の場を利用しながら、将来的には道州制を、我が国は国の大きな一つの仕組みとして導入すべきだということを訴えてまいりました。そこで、また重ねた質問になるかもしれませんけれども、同じようにお伺いしたいと思うんです。
 既に自治法上公認されている広域連合などを使って、幅広く七都県市が事業を実施していくことも、今までの状態を打開していく上では大変重要なことだろうと私は思っているんです。しかし、まだ、この広域連合にいたしましても、しばしば指摘がありますとおり、課税自主権が欠落をしている。課税をする権利を、自主権がないというようなことなどから、制度そのものにまだまだ限界があり、また補完しなければならない要素があるということは、我々も指摘をし、論者もいっているところなんです。
 そこで、私たちは、そういういろんな障害がありながらも、さきに申し上げた道州制を導入しながら、新たな広域自治体の創設を目指していくべきだと思っています。道州制という言葉が、経済人の語る道州制があり、また学者が語る道州制があり、いろいろ道州制にも受けとめ方があるわけであります。石原さんのいう道州制も道州制内にあるということから、都としては、しばしば使われるこの道州制という言葉をどういうような形でとらえているのか、まずお伺いいたしたいと思います。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 道州制論につきましては、古くは昭和三十二年の第四次地方制度調査会において、広域行政事務の能率的処理等を目的に、府県を廃し、国の機関としての地方を置くという、そういう地方制の提案がなされました。その後、昭和四十年の第十次地方制度調査会では、府県合併についての答申が出され、府県合併の手続を整備することが提案されたこともありました。その後、国では、道州制にかかわるような議論は余り行われてきませんでしたが、現在に至っているということでございます。
 都としましては、今後、一都三県が主体的に責任を持って首都圏の広域的行政課題に取り組んでいくために、道州制論も視野に入れ、広域的自治体のあり方を検討していくことは重要な課題であると考えております。

○和田委員 私も、道州制が、簡単に今の都道府県制から一挙に変わると、魔術師のハンカチをあけたら白いハトが飛び出すような、そんな手管でいくとは思っていません。
 しかしながら、現在の都道府県制のあり方そのものの制度的な一つの反省点がちらほら出てきているときに、新しい二十一世紀に向けて、私たちは道州制のよいところをしっかり認めながらつくっていくべきだという立場に立っているわけです。
 かつて石原知事も、この道州制については、いうならば百年河清をまつような政策でもあるなというようなことを答弁されたのを私は覚えておりますけれども、この百年河清をまつ道州制であっても、だれかが取り組まなければならない、そして、それが広域行政の、今たたき台となっている七都県市であればこそ、実験的に、試験的に、冒険的に踏み込むことができる壮大な計画だというふうに考えるわけでありますが、先ほど申し上げた都道府県制から一遍に道州制に行けないとするならば、どのような段階を踏んで、新しい国、地方制度のあり方に向かって東京都は取り組もうと考えていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 首都圏を取り巻くさまざまな課題に対応して、首都圏を魅力あふれる大都市としてこれからさらに発展させていくためには、都市基盤や環境、防災などの分野で共同で取り組む仕組みをつくる必要がございます。
 当面は、七都県市で共同事業を実施していくことを通じまして連携を深めていくことが重要ですが、広域行政体制をさらに強化するために、段階的にということで、広域連合の設置なども活用していく必要があると考えます。

○和田委員 広域連合が、課税自主権がないといっても、過渡的な制度としては有用性があるという今の答弁でありますから、それも駆使していただいていいと思うんです。
 しかし、新たな広域的な自治体の役割を模索する過程では、今までの都道府県制ではもう限界があると再三繰り返しているような、そういう時代の要請というようなことから、国と地方自治体、とりわけ東京都との関係などにおいても、役割分担を、もう革命的、抜本的に変える時代が来ているというふうに思うんです。
 例えば具体的な例として、今、国の仕事とされている三環状道路のような基幹的な都市基盤整備などについて、今までは国でありましたけれども、新たな広域的自治体の役割として、自治体が責任を持って実行するというふうに切りかえていくべきだと考えるのでありますが、具体的に三環状道路のような問題について、どのように当局はお考えでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 中長期的に道州制など新たな広域的自治体を創設する場合には、ご指摘のありましたような、三環状道路のような現在国が行っている都市基盤整備などにつきましても、事業、権限、財源を合わせて、できる限りの移譲を受けることが、首都圏の広域的課題の総合的解決のために必要と考えられます。
 移譲を受けるべき具体的な事業項目につきましては、国や基礎的自治体との役割分担のあり方などとあわせ、検討していく必要があると考えます。

○和田委員 確かに、具体的に三環状道路の例を挙げましたけれども、国から地方へという地方分権一括法のそういう制定もあり、仏に魂を入れるという意味でも、具体的な三環状道路の移譲というようなことについて、積極的に私たちは国に働きかけをしなきゃならぬと思いますし、当局もそんなふうにやっていただきたいと思うわけであります。
 今申し上げた広域的自治体の都道府県制的なそういう体質のあり方を見直すと同時に、基礎的自治体の側のあり方についても、同様に検討していかなければならないだろうというふうに思っております。
 特に、基礎的自治体としての市町村、市区町村といってもいいと思いますが、行財政基盤を強化するために有力な選択肢として、市町村合併というのが話題になっています。しかし、都内には、さきの山崎委員の質問にもありましたとおり、もう一つ、西東京市の後、次のバッターが出てこないというふうなところで、機運の盛り上がりに欠けているところであります。
 私は、さきの予特でも申し上げましたけれども、たまたま来年は統一地方選挙であり、十七年三月末が特例法の期限でもありますから、そこまでにしっかりと市区町村の市長さんや議員さんが、選挙テーマとして、我がまちの合併問題についてはこういう姿勢をとりますとか、私はこういう政策を構えますというような政策を掲げることによって、二十一世紀初めての統一地方選挙でありますから、そこにふさわしい重要テーマになるのではないかというふうに思っているわけであります。
 今回は、市区町村にかかわる課題の設定ですから、特別区の合併には触れませんけれども、市町村合併といっても、いろんなパターンがあります。行政部の作成した市町村合併に関する検討指針を読みましたけれども、そこでは、市町村の中での合併を前提としている、あるいは特別区再編の指針も今作業中だというふうに聞いているわけでありますけれども、市町村合併について、市町村同士の組み合わせ、区と市町村の組み合わせ、さまざまな合併が、隣接する形で、あるいは飛び越えての形であるかもしれないわけですが、どのような形でも、何でもありの形での合併が制度的に可能だというふうに理解をしてよろしいんでしょうか。

○反町総務局行政部長 合併の組み合わせについてでございますが、合併により特別区の区域が縮小する組み合わせにつきましては、都区制度の趣旨に基づき、現行制度上、不可能でございます。
 それ以外の組み合わせにつきましては、基本的に可能でございます。

○和田委員 これは最後の質問になると思うんですが、そういうような基礎的自治体のあり方を検討していく中で地方分権が一層進められることによって、住民に身近な行政サービスが、基礎的自治体の果たすべき役割として浮上していくわけであります。したがって、広域的な自治体のありようと同時に、基礎的自治体のあり方も問われるべきだというふうに思っておりますし、これからも当局は中長期的な視点でこの問題に取り組んでいただきたいと思うんです。
 これについて、基礎的自治体のあるべき姿をどのようにお考えになっているのか、最後にお尋ねいたします。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 中長期的観点に立った場合の基礎的自治体のあるべき姿ということでございますが、基礎的自治体は、地域住民の意思に基づき、みずからの責任と判断で住民に身近な課題の解決を図り、住民福祉の実現を目指していくことが重要であります。
 そのためにも、今後とも一層の地方分権を推進していくとともに、市町村合併などを通じ、基礎的自治体の行財政基盤を強化していくことが重要であると考えます。
〔委員長退席、大木田副委員長着席〕

○石井委員 市町村合併について、まずお伺いいたします。
 国の行政改革大綱の閣議決定に基づいて、現在、市町村合併が進められておりますが、まず、国の対応についてお尋ねいたします。

○反町総務局行政部長 国は、平成十二年十二月、市町村合併後の自治体数を千を目標とするという与党の方針を踏まえまして、自主的な市町村合併を積極的に推進する、行財政基盤を強化するという行政改革大綱を閣議決定いたしました。
 その後、昨年三月、都道府県において、市町村合併支援本部の設置、合併重点支援地域の指定などの取り組みを行うよう要請した指針を通知しております。
 同じく三月に、総務大臣を長とする市町村合併支援本部を内閣に設置し、八月には、関係省庁の連携による合併支援策などを含む市町村合併支援プランを策定し、合併特例法の期限である平成十七年三月までに、自主的な市町村の合併を強力に促進する必要性を打ち出しております。
 さらに、ことしの三月には、法律の期限が平成十七年三月であることを踏まえまして、都道府県と市町村に対しまして、合併推進のための一層の取り組みを要請しております。

○石井委員 三千ある自治体を千にしていこうと、これも大事なことであります。
 その国の取り組みに対して、東京都としては、知事を本部長として市町村合併支援本部を設置して、現在取り組んでいるところでありますけれども、現時点での状況をお尋ねいたします。

○反町総務局行政部長 地方分権が進展する中で、行財政基盤の強化や広域的行政需要に対応していくための方策といたしまして、合併は重要かつ有効な選択肢の一つでございます。そのため、都として、昨年十二月に知事を本部長といたします東京都市町村合併支援本部を設置いたしまして、全庁的な立場から支援の体制を整えております。
 市町村合併につきましては、住民意思の尊重のもと、市町村が自主的、主体的に取り組むことが重要でありまして、都としては、住民や市町村の間で合併に関する議論が高まるよう、必要な普及啓発活動や支援を積極的に行っております。

○石井委員 昨年、東京都では、保谷市と田無市が西東京になり、この十二月に選挙があるわけでありますが、都内においては、羽村、福生、また日の出、あきる野の合併等々のさまざまな話がありますが、その辺の合併の動きはどうなっているか。

○反町総務局行政部長 現状では、多くの市町村で内部的な検討は行われておりますが、合併へのステップとなる法定協議会、任意協議会とも設置されておりません。
 しかし、福生、羽村の両市長が、平成十四年の第一回定例会におきまして、市町村合併について、市民の意向を踏まえつつ検討していきたい旨の発言をするなど、地域によっては、市議会において合併に関する議論も徐々に出てきております。

○石井委員 そこで、市の方ではさまざまな動きがあるんですけれども、東京都として、東京都の積極的な動きとして、こうした市町村合併について何かアクションを起こしているのかどうか。

○反町総務局行政部長 繰り返しになりますが、本格的な地方分権が進展する中で、行財政基盤の強化や広域的行政需要に対応していくためには、市町村合併が重要かつ有効な選択肢の一つであることは私ども十分認識しておりまして、各市町村におきましては、こうした時代状況を踏まえるとともに、お話の合併特例法の期限も考慮の上、住民の意思を尊重しながら、自主的、主体的に検討していくことが重要でございます。
 都といたしましては、住民と市町村の間で合併に関する議論が高まるように、状況に応じた工夫をしながら、普及啓発活動や支援を今後とも積極的に行ってまいります。

○石井委員 同じことの繰り返しなんですが、東京都が、せっかく知事を本部長としてこの体制をつくったわけですから、合併をすることが重要なんだということで、もっと積極的に働きかけをしていくべきだと思います。
 それで、自治体制度の改革ということに関連して、官民の役割分担、また行政の責任論という視点から、今回起こりました神藤元高齢者施策推進室長の逮捕に絡んで、組織論として、補助金行政のあり方という観点から、この事件について一つだけお尋ねしたいと思います。
 現在、国においても、国会議員だとか秘書が同様の事件で逮捕されたり、非常に社会的な事件を起こしております。東京都でも、三宅島の河川整備に絡んで逮捕者が出たり、また住宅局からも処分者が出たり、しばらくこうした不祥事がなかったわけでございますが、非常にこの不祥事が最近多いように思います。したがって、やはり都としても、再発防止という観点からこの事件について取り組むべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○山内総務局人事部長 補助金関係事務の点検につきましては、昨年十一月以降取り組んできた汚職等防止委員会の活動の一環として、全庁で実施してきたところでございますけれども、今回の事件を契機に、いま一度徹底した総点検を行う必要があるというふうに考えております。このため、去る五月十七日に、各局に対しまして、補助金関係事務に関する事故監察の実施を指示したところでございます。
 また、総務局の行政監察室では、補助金関係事務を対象とした特別監察を近々に開始することとしております。
 なお、監査委員においても、特別養護老人ホームにかかわる補助金の随時監査を行うとともに、その他の国庫補助金にかかわる事務を定例監査の重点監査事項にすると聞いております。

○石井委員 今回の事件は、西東京の社会福祉法人の特別養護老人ホーム建設に伴って、補助金適正化法違反容疑ということで、神藤さんが逮捕された。それは、にせの預貯金残高証明書を都に提出し、虚偽の借用書や、また事業計画書で自己資金があたかもあるように装い、国庫補助金を三億六千万交付を受けた。その決定に、神藤さんは、この法人から提出された書類が不正と知りながら、国に補助金交付の申請をしたという容疑で逮捕されたわけですが、これは現在、福祉局としても調査委員会を立ち上げ、司直の手によって調べられているところですから、詳細はまだわからないところでありますが、たくさんの補助金を扱うセクションがあるわけでありますから、一般論として、再発防止という観点からお伺いするわけですが、例えば、多くの担当者が判こを押して、その補助金決定については判こを押してかかわっていると。かかわっていながら、結果としてその不正を見抜けなかったというところに、問題のこの一点があるわけですけれども、こうしたチェック体制論といいますか、同じようなセクションはたくさんあるわけだけれども、そうした点から、今回の問題はどうとらえているのか、お聞かせ願います。

○山内総務局人事部長 今回の事件がご質問の例に当たるかどうか、明らかではないわけですけれども、今捜査中ということでございますので、明らかではないわけでございますが、地方公務員である職員は、職務命令が当然に無効であるとき、すなわち、職務命令に重大かつ明白な瑕疵があることが客観的に明らかである場合には、これに従う義務が生じないということになっております。したがって、このような重大かつ明白な瑕疵がある場合には、職員は、上司の命令ではなくて、法令等に従った行動をとればよいということでございます。
 こうした法的関係につきましては、研修等で職員に周知しているところでありますけれども、今後は職員の法令遵守義務などにも一層周知徹底を図っていきたいというふうに思っております。
 また、総務局の行政監察室では、職員が違法、不当な誘惑や働きかけを受けた場合の相談窓口として、サポートダイヤルといったものを設置しているところでございます。

○石井委員 今人事部長からお話がありましたけれども、これはあくまでも新聞報道とか仄聞するところによるわけですけれども、担当職員は補助金交付に問題があると反対したにもかかわらず、室長が出せと主張したと。これは新聞報道ですからね、私は、神藤さんはそんな人だと思わないんだけれども。もちろん本人は否定をされていると。
 職員が不正を認識した、しかしながら、上司が出せといったと。今お話があったように、職員は法律を守らなきゃいけない、一方では上司の命令も従わなきゃいけないという、この二つの項目に従わなければいけないわけだけれども、上司が、何が何でも出せ、こういったときに、その職員が非常に困ってしまう。そういう職員を、今ご答弁ありましたけれども、そうしたまじめな職員を保護するというか、守る体制、チェック、どうお考えですか。

○山内総務局人事部長 先ほどもお答えさせていただきましたけれども、職員が違法、不当な誘惑、働きかけを受けた場合、相談窓口として、サポートダイヤルを総務局の行政監察室で設けているということで対応しております。

○石井委員 それから、我々議員にもかかわる、いわゆる議員の口ききという問題ですね。私は口ききだとは思っていないんだけれども、陳情だと思っておりますけれども、議員からさまざまな陳情がある、私たちもいろいろお願いをする。そのときに、いいものはいい、だめなものはだめとはっきりいうことが大事だと思うんですよね。これは無理ですよと。無理だから僕らもお願いするわけだけれどもね。無理なものは無理だという勇気を公務員は持つべきだと思うんですけれども、いかがでしょうかね。

○山内総務局人事部長 都民の代表である、先生お話しありましたけれども、議員の方々の要請や紹介等に対しましては、我々職員は真摯に対応すべきだということは当然なことでございます。
 しかし、委員ご指摘のようなケースが仮にあった場合には、法令等に照らしまして公正に判断しまして、おっしゃられるように、できないものはできないという毅然とした対応をしなければならないことは論をまたないというふうに考えております。
 今後とも、研修等を通じて職員の法令遵守の徹底を図りまして、適正な行政運営に努めてまいりたいというふうに考えています。

○石井委員 最後に総務局長にお尋ねいたします。
 私たちもさまざまな陳情をするわけですが、我々も議員として襟を正していかなきゃいけない、これも我々の反省点であります。
 総務局長として、職員の服務規程にかかわる、今回のこうした事件の教訓を生かして、再発防止のシステム、こういうものをしっかりつくっていくことが重要ではないかと思いますが、総務局長の決意のほどをお伺いいたします。

○大関総務局長 今回の事件の真相というのはまだ十分に明らかになっていないわけでございますけれども、少なくとも局長経験者が逮捕されたということ自体は、私どもとしては、現段階におきましても重く受けとめざるを得ない、このように思っております。
 それで、今回疑われておりますのが、補助金の手続面といいますか、この過程の中での局長のあり方といいますか、あるいは職員のあり方、こういうものもあわせて問われているんだと思います。
 したがいまして、これからのそういう流れの中で、仮に相手方から全く虚偽の申請が出されたもの、こういうものについては、正確にチェックできる体制、それから、その中において、多少危なっかしいなというようなことがあった場合は、そのことが何らかの形でガラス張りの中で議論できるような、そういうシステムといいますか、こういうことを検討していかなきゃならないだろう、このように思っています。
 そういう意味で、今、福祉局が早々と補助金の事務の適正化のあり方ということで取り組みを開始いたしましたので、こういう中で、一番都民の方にも理解を得られるような、そんなことを早急に組み立ててもらって、これが普遍的に全庁に適用できるのであれば、これを全庁の中で同じように活用していきたい、このように思っております。

○大木田副委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後二時四十三分休憩

午後二時五十八分開議

○大木田副委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○吉田委員 私は、大都市自治体のあり方を議論するに当たりまして、きょうは主に二つの点について意見を述べ、質疑をさせていただきます。
 第一点は広域的自治体としての東京都固有の役割について、二つ目に区市町村への補完と支援について、さらに、これに関連して区市町村との基本的な関係について、現実の問題に触れつつ議論をしたいと思います。
 まず、この議論に先立ちまして、今話題となりました、行財政の根幹を揺るがすような問題となっております、前福祉局長による、補助金適正化法違反の容疑で逮捕されるという問題について、若干基本点についてただしたいと思います。
 今回の逮捕事件は、局長経験者が、福祉施設、特別養護老人ホームの補助金の不正受給に関与をした補助金適正化法違反が問われている問題であります。都の補助金にかかわる問題であり、しかも、担当局長が関与した容疑という点では、都政の信頼を揺るがす重大問題だといわざるを得ないと思うんです。直接福祉局自身もいろいろな調査、解明等の努力をすることはもちろんですけれども、それにとどまらず、東京都として、いわば行政姿勢の根本が問われる問題としてこの問題に対応していくことが問われているのではないでしょうか。
 既に議論がありましたけれども、局長経験者の逮捕というのは多分かつてないことではないかと思うんですが、その事実経過と、この問題をどのように現時点で受けとめているのか、まず基本的なご答弁をお願いいたします。

○山内総務局人事部長 記録が残っている昭和四十年以降でございますが、現職局長が逮捕されたことは今まではありません。また、局長経験者が逮捕されたことも初めてでございます。
 今回の事件でございますが、仮に職員に不正があったということになりますと、まことに遺憾なことであります。とりわけ局長経験者が逮捕されたことについては、非常に重く受けとめております。
 本事件は、現在地検が捜査を進めている段階でありまして、今後の捜査の状況を見守っていきますけれども、都として行えることは速やかに行っていきたいというふうに思っております。

○吉田委員 地検が行っていることだけれども、都として行うべきことは速やかに行っていきたいというご答弁がありました。
 ただ、私も、福祉局からこの逮捕の当日事情を聞きましたけれども、皆さんも既にご承知と思いますけれども、さいたま地検からの、任意ではありますけれども、この問題に対する調査協力の依頼があって、書類等の提出が任意で行われたのは昨年十一月だというふうに聞いております。調査依頼があったのは十一月十五日である。
 そうしますと、逮捕ということで初めて表には出ましたけれども、事実上は、補助金の執行について容疑がかけられて調査が始まったということは、もう昨年末の時点で確認されるわけですよね。それから既にもう半年がたったわけですから、一体その間どのような対応をとられてきたのか。今回明らかになって初めて調査をするというのでは、これは都民納得できないと思うんですが、いかがでしょうか。

○山内総務局人事部長 今回の事件につきましては、さいたま地検の方から、捜査の支障になるおそれがあるということで、事情聴取をされた者から内容を聞くことや、都独自の調査をすることなどについては控えてほしいという旨の要請がございました。これまでのところ、明確な、そういうことで事実関係は把握できない状況でございます。
 もう少し細かく申しますと、先ほど先生おっしゃられた十一月十五日、昨年の十一月十五日に関係書類を任意提出されたわけですが、その時点では、捜査の動向ははっきりいって全然わからない、こちらの今回のような事件の形になるということは予測がついていなかったわけです。十二月に事情聴取が開始されておりますので、その時点で、さいたま地検の方から、捜査の支障になるおそれがあるので、事情聴取された者から内容を聞くこと、それから都独自の調査をすることは控えてほしいという旨の要請があったわけでございます。
 都としては、まだ事実がはっきりしないわけでございますが、把握できていない状況でございますが、今後事実の解明に努めることはもちろんでございますけれども、捜査に協力することも、また都として重要な責務であるというふうに考えております。
 こうしたことから、西原樹林会の事件につきましては、捜査の推移を見つつ、都として調査できるところは調査し、事実の解明に努めていくという考えでございます。

○吉田委員 調査できるところは調査していくというご答弁でありましたけれども、改めて私いわせていただきたいわけですけれども、検察の対応というのは、あくまでも補助金適正化法に照らして違法というふうにみなされるのか否かということが問題になるわけですよね。しかし、東京都の責任においては、東京都が執行する補助金の交付あるいはその使い方が適正であったのかどうか、金額的にも億単位の補助金に当たるわけですね。
 しかも、それに、本来ならば適正な補助金の執行を監督する立場にある最高責任者がかかわっていたということになれば大変な問題なわけですけれども、そういう点では、法的な問題という点での検察の対応と同時に、東京都としての行政としての責任が問われるという点では、改めて都の責任において、もちろん検察に対する協力という必要な対応はあるでしょうけれども、それと調整しつつも、補助金の執行が、どのように交付、執行が行われてきたのか等の、また、その際に、福祉局の中においてどのような判断とチェックがあったのか、局長がどのように対応していたのかなどについて、必要な範囲で徹底的な調査をし、それを都民と議会に示すということは当然の責務だと思うんですが、この点、改めていかがでしょうか。

○山内総務局人事部長 先ほどお答えしましたところとちょっとダブるところがあるかと思いますが、現在さいたま地検が捜査中であるということと、それから、関係書類が押収されている、また、地検の要請から関係職員の事情聴取については控えてほしい、そういう難しい状況にあるということでございまして、調査するにもなかなかきついわけでございますが、ただし、こうしたことから、現職というか前の局長経験者が逮捕されたということでございますので、非常に重い事実でございますので、地検の捜査状況によるところが非常に大きいわけでございますけれども、都として調査できるところは調査して、真相の解明に努めていきたいというふうに思っております。

○吉田委員 それで、先ほど福祉局が委員会を立ち上げたという旨の話もありましたし、また各局に対して事故監察--事故監察というのは、事故があったから監察するという側面もあるでしょうけれども、これはみずからを正すという意味だと思うんですが、そういう通知が出されたというふうに聞いておりますけれども、私、この調査に当たって二点要望しておきたいわけですが、一つは、直接的な問題についても、局長経験者がかかわるわけですから、そうすると、福祉局内部での調査だけではなく、本来監督責任は知事にあるわけですよね、局長の監督責任という点では。したがって、だれがやれということはいいませんけれども、福祉局任せにしないで、全庁的な、いささかもあいまいさのないような厳正な調査というものが求められる、こういう全庁的な体制をとるべきであるというのが一点。
 もう一つは、特別監察も行う旨のお話がありましたけれども、多くは適切に執行されているというふうに私も信じますけれども、また、多くの法人が努力をしているというふうに信じますけれども、この当該の事件だけではなくて、特養ホームにかかわる補助金の執行について、改めて全面的な再調査を行うというような必要があるかと思うんですが、改めてこの点でご答弁をお願いします。

○山内総務局人事部長 補助金の関係事務は、多数の局で広範に行われております。総点検の進行管理や改善策の検討に当たっては、関係局の調整、それから統括を行うことが必要だ、そういう意味では組織的な対応が必要であろう、今回の事件に対して、というふうに思っています。
 このため、現在、補助金業務にかかわる局などをメンバーとした合議体、会議体を設置する方向で、検討、調整を進めているところでございます。(吉田委員「ちょっとよく聞こえなかったんですけれども」と呼ぶ)会議体、補助金業務にかかわる関係局などをメンバーとした会議体を設置したい。そこで検討、調整を進めて、検討する方向で検討、調整を進めているということでございます。

○吉田委員 先ほどからもお話がありましたけれども、三宅島にかかわる問題や水道局の入札にかかわる問題など、多々この間、それが実際行われた時点と逮捕という時点ではタイムラグがありますけれども、この間、非常ににわかにこうした問題が浮き彫りになってきましたし、また、福祉局の幹部の関与、あるいは特養ホームをめぐっては、予算特別委員会で我が党の木村委員が松寿園の具体的な例を挙げて取り上げましたし、これはマスコミでも報道された大きな問題であります。そういう点では、同様の事件が続いているという意味からも、真相の解明と、きちんとした、この際、再発防止の確立ということを強く求めて、自治体の具体的な議論に移っていきたいと思うんです。
 それで、きょう私、大きく議論したいのは、広域的自治体の役割についてなんですけれども、この「論点整理」でもいろいろな論点が紹介をされています。しかし、より具体的な切り口でいうならば、広域行政、とりわけ大都市としての東京の役割を考えたときに、私は、大きくいえば、第一に、まさに広域的自治体として広く都民全体を対象とした直接的な施策、都民サービスを提供するという仕事にまとめることができると思うんです。第二に、区市町村に対する補完的な施策、また区市町村に対する支援をするというふうにまとめることもできると思うんです。こうした点は、地方分権の流れの中で、ますます私は重視していく必要があるというふうに考えます。
 ただ、現実に東京構想二〇〇〇や都庁改革アクションプラン、いわゆるビジョンⅠに基づいて、分権や役割分担ということで行われてきた状況の実態はどうか。例えば、先ほども議論がありましたけれども、多摩地域、市町村を例にすれば非常にはっきり浮き彫りにされますけれども、現実的には都の施策やサービスあるいは施設の廃止縮小という傾向がにわかに浮き彫りになってきたというのが、この間の経過ではないでしょうか。
 例えば福祉、衛生で見れば、都立病院の廃止ということが大きな問題になっていますし、その理由として、地域医療からの撤退、保健所は後で詳しく議論しますけれども、東京都の十二保健所から五保健所への再編縮小という問題があります。社会教育をめぐっては、これも後で議論しますが、高尾自然科学博物館の廃止ということが打ち出されましたし、多摩図書館の分館化と、その本の処分、整理という問題がありますし、社会教育会館市民サービスコーナーの廃止だとか、労働行政でいえば、三鷹、立川の労政事務所、勤労福祉会館、経済事務所の移管、統廃合というふうなことが次々と引き起こされ、進められようとしているわけです。
 こうした事態は、都が、広域行政としての固有の都民サービスの責任、さらに市町村支援という広域的自治体としての責務を果たしているのか、いこうとしているのかという自治体としての原点が私は問われているんじゃないのか。
 まず第一に、広域的自治体としての直接的な都民サービスの責任の問題について、都立高尾自然科学博物館の廃止提案について質疑をさせていただきます。
 広域行政固有の事務としてはさまざまあるわけですけれども、先日示された「論点整理」では、基礎的自治体の枠を超えて対応すべき事務の例として、盲学校や聾学校、さらに職業訓練所などを挙げているわけですね。広域自治体固有の例えば資料、東京都の固有の歴史的な資料を収集し展示する、しかも、それを一地域の固有な人たちだけを対象とするのではなくて、都民だれもが広くそれを閲覧し学習することができる、そういう博物館行政というものも、基本的には、もちろん中には区市町村でやられる場合もありますけれども、広域的自治体の仕事の範疇に入るものだと思うんです。
 高尾自然科学博物館は、東京固有の自然史系の資料を収集、展示している唯一の施設です。また、利用者という点でも、高尾山登山者はもちろんのこと、都内各地の小学生などの学習の場としても、都民から広く利用されている施設です。
 ところが、都庁アクションプランは、組織の簡素効率化などの見直しという理由から、あり方の抜本的見直しを示し、さらに平成十二年度の行政評価で、総務局は、今は知事本部にこの仕事は移管されましたけれども、廃止が適当というふうに打ち出しているわけですよね。
 それで、この行政評価の第二次評価で、当時、どのような理由から廃止が適当という結論を打ち出されたのか、二次評価について簡単に結論のご説明をお願いいたします。

○高島知事本部特命担当部長 お答え申し上げます。
 ただいま委員ご質問になりました高尾の自然科学博物館につきましては、平成十二年度の行政評価、第二次評価で、結果だけ読みますと、地域性の強い小規模な博物館であり、都が所有し続ける意義が薄く、廃止が適当であるということで評価しております。
 この評価につきましては、ほかの事務事業評価も同じでございますが、当該事業についての達成度、投入費用の妥当性による実績評価等々を行った後に、必要性、効率性、公平性の各項目においてそれぞれ評価を行った結果、総合的に評価を行ったものでございます。
 この高尾の自然科学博物館につきましては、展示物の内容、資料収集の対象等々が、高尾山に極めて密接に関連した地域性の強い地学、植物、動物となっていること、それから、実際に利活用されている方、自然観察会などの参加者の方々が、地元の八王子市民を中心にする方々であるということ、極めて地域性の高い施設であるということで、このような結論に至ったものでございます。
 よろしくお願いいたします。

○吉田委員 これは、事業所管局、すなわち教育庁になりますけれども、この一次評価は、今のお話とは全く違うわけですよね。都立の自然史系博物館としては唯一のものであり、生涯学習及び学校教育などの幅広い年代層全般において、その必要性は今後も増大していくものと思われるということであるにもかかわらず、全くそれに相反する結論を下されました。
 それで、今説明されたことについて若干ただしておきたいと思うんですけれども、例えば、利用者が何か極めて地域的に狭いという旨のお話がありましたけれども、実際の来館者は、八王子市民が大多数ということではなくて、都内全域から来館されている方がいるというのが実際ではないかと思うんですが、どのように認識されていますか。

○高島知事本部特命担当部長 お答え申し上げます。
 この施設の利活用状況につきましては、当該博物館の方におきましてアンケート等をとっておりますが、例えば平成十二年度の企画展の際にアンケートをとりました際には、多摩地域等の方が半分余りの約四〇%を占めているということがございます。それから、平成十年度になりますが、企画展の実施状況を見てまいりますと、これにつきましても、企画展の参加者等々につきまして、多摩地区の方が約四〇%ということで、利用者の方々の地域的な偏在があるのではなかろうかと認識いたしております。
 よろしくお願いいたします。

○吉田委員 私も改めて調べてみましたけれども、もっと正確にいえば、平成十二年度の秋の来館者のアンケート調査、半分余りというふうにいいましたけれども、多摩地域からの来館者四一%、推定ではそのうちの半分が八王子であるというふうに教育庁は説明していますから、八王子は二割程度、二十三区からの来館者が約三割、二九%、他県からの来館者が二八%。したがって、多摩と多摩以外で区分けをしても、多摩以外の方が六割近く、しかも、多摩の中でも、八王子はその大半ではなくて、約半分程度ではないかというふうにいわれているわけですから、やはりこれは広域的に利用されている施設である。何ら、地域的に特定の人しか利用しない、都立にはそぐわないというような性格のものでは、私は明らかに事実が違うじゃないかということを指摘しておきたいと思うんですね。
 それで、展示内容云々のことは、質問しようと思ったけれども、いいますけれども、そもそも展示内容が明らかに偏っているとか何かという話がありますけれども、高尾の山というのは東京の宝ともいえるものなんですよね。そこを中心とする展示物があって何ら問題はない。ましてやそれだけじゃない、広域的な東京全体にかかわる展示を行っているんだということで、専門家あるいは来館者からも大変喜ばれているというのが現状なんですよ。
 それで、改めてこういう評価をするに当たって、都道府県行政として必要か否かということを議論するからには、例えば他県における博物館行政あるいは自然史系の博物館行政がどのような形で行われているのかということを当然調査するのは大前提だと思うんですが、それはどのようにされたのか、その結果はどうだったのか、ご説明をお願いします。

○高島知事本部特命担当部長 お答え申し上げます。
 廃止の結論を出す際に他県の例等を調べたかということでございます。これにつきましては、具体的に、県立を問わず、公立、民間、それぞれの自治体等々が持っております博物館の内容、それから機能、そういうものについて十分調べた結果、東京都の今持っております高尾自然科学博物館につきましては、規模、その展示内容、また利用者等々の観点から見て、都の施設としてこのまま存置することは適当でないという結論に達したというふうに認識いたしております。
 よろしくお願いいたします。

○吉田委員 具体的にどこを調べてそういう結論が出せたのか、ちょっと説明してください、簡潔に。

○高島知事本部特命担当部長 お答え申し上げます。
 何か特定の施設に着目し、それと同様の結論に達したということではございません。あくまで他県における類似施設、それから他県の施設、市町村の施設、特に近年、市町村行政におきまして、この博物館行政がかなり大きな広がりを持ってきております。三多摩等をとりましても、郷土史の歴史館等々、いろいろな施設ができてまいりました。そういう状況を総合的に勘案した結果、こういう結論に到達したということでございます。
 よろしくお願いいたします。

○吉田委員 答弁になっていませんけれども、(「なっているじゃない」と呼ぶ者あり)なっていないよ。例えば埼玉に自然史系の博物館がありますよね、現実に。これは県立ですよ。入館者の数などは、廃止が適当であるというふうに打ち出した高尾のこの博物館の方がはるかに多いんですよ。平成十二年、十万人を高尾は突破いたしました。平成十二年の埼玉の県立博物館は六万台なんですよ、入館者は。したがって、他県ではそういう施設であってもきちんと県立としてやっている。
 また、私は千葉の県立博物館行政というものを改めて調べてみましたよ、広域行政という立場から。千葉には何と十一の県立博物館があるんです。それは、中央県立博物館があり、各地域にはまたそれぞれの個性的な博物館がある。それは、若干の委託運営等もありますけれども、すべて県立ですよ。小規模だということも理由として挙げられたわけですけれども、高尾の場合には、例えば千葉の十一の県立博物館を調べてみても、その中には床面積が千平米台あるいは二千平米台というものも現実的にあるんですよ。
 直接的にこの場で何か決着をつける議論をする気はありませんけれども、こうした一つ一つの見直しに当たっては、本当に広域行政、都民サービス、都民の利便性というものがきちんと検討される必要があるんだと。
 しかも、もし小規模だということならば、例えば事業評価の場合には幾つかの選択肢があるわけですけれども、例えばCの場合には、事業の規模と内容の見直しが必要であるという選択だってあったわけですよ。さらに抜本的な見直しが必要である--例えば小規模だとか内容上の問題があるんだったら、もっとそういう前向きの方向での判断だってあったんじゃないかということを指摘しておきたいわけですね。
 この間、広域行政のあり方を議論するに当たって、東京構想の場合でもビジョンⅠでもそうですけれども、首都圏メガロポリス構想の実現というものを進めていく上で広域行政がどうあるべきかという議論がその軸に据えられているわけですよね。私は、自治体本来の任務である住民福祉の増進という立場に立って広域行政がどうあるべきかという点で議論すべきであるというのを、この問題の結論として強調しておきたいわけです。
 二つ目の広域行政の役割で、市町村に対する補完、支援の問題について話を進めていきたいと思うんです。
 区市町村を包括する広域的自治体の役割として、市町村を支援し、必要な場合には補完をするということは当然だと思いますし、また、これまでもそういう立場に立った努力がされてきたというふうに私は思うんですよね。
 そこで、例えば市町村調整交付金という事業がありますけれども、その目的について簡潔に説明をお願いいたします。

○反町総務局行政部長 市町村調整交付金制度の目的等についてでございますが、市町村間の行政水準の均衡及び市町村と特別区との行政格差の解消を図るとともに、市町村における地域特性について、個別特殊事情に応じた弾力的、効率的な対応を図り、あわせて圏域行政の推進に要する経費を財政補完することによりまして、市町村の行財政運営の健全性と効率性に資することを目的といたしております。

○吉田委員 具体例として、市町村交付金の趣旨、目的は何かということで聞かせてもらいましたけれども、今いわれたこの交付金の目的であります、例えば同じ市町村の中でも、先ほどもお話がありました、アンバランスがかなりあるじゃないかと、そういう行政水準を均衡に保つ努力をすること、また特別区との格差を解消すること、さらに個別的な事情に対応することなどが今理由として挙げられました。これは、単に市町村調整交付金という目的だけではなくて、広域自治体としての東京都の市町村に対する対応の一つのあり方を定めているものではないのかというふうに思うんです。
 ところが、先ほども紹介しましたけれども、今多摩地域で、市民と自治体挙げて大きな問題になっている都立小児病院二つの廃止と。この問題は、小児救急体制だとかNICU、周産期医療体制などが区部と比べておくれている地域で、東京都がその補完的役割を果たしてきたし、またこれからも果たしてほしいという要望の反映であり、いわば当然だと思うんですね。それを、小児救急あるいは地域医療は都本来の仕事ではないということで機械的に切ってしまうということで、大きな問題になっていると思うんです。
 さらに、市民と自治体にとって今大きな問題になっているのが保健所の再編です。これから具体的に質疑いたしますけれども。
 第二次東京都地方分権計画に基づく再編計画なわけですけれども、昨年都が発表したこの再編計画というものは、現在多摩にある都立の十二保健所を半分以下の五保健所に半減する、八王子と町田については独自の保健所をそれぞれつくるようにというものなんですね。しかも、当該のご出身の方がいらっしゃる前で恐縮ですけれども、経過的には、つい五年前までは、この多摩地域には都立十七保健所、都立十四保健相談所があったわけですよ。それが十二に減らされて、さらにあっという間に今度五つに減らしてしまう。
 私も調べてみてびっくりしたんですけれども、例えば西多摩地域、いわゆる青梅市、秋川市、福生市あるいは奥多摩、檜原などにかかわるわけですけれども、ここには今二つの都立保健所があったわけですけれども、これを青梅市に一カ所しか置かないということに発表された内容ではなっています。
 ところが、この西多摩地域、四市三町一村で、面積は約五百七十三平方キロメートルというものですけれども、具体的にいいますと、区部の面積に匹敵するといいますか、それに近い広さなんですよね。そこに、区部では二十三の保健所があるわけですけれども、わずか保健所というものは一カ所にする。しかも、こうした地域が、いや、それは市や村、町でやればいいじゃないかといったって、そういう力が一番弱いというのが現実の姿ではないでしょうか。そういう極めて機械的なやり方というのはこういう結果を招くということを、私は改めて痛感いたしました。
 それで、ちょっとお聞きしたいわけですけれども、これは、具体的に二次医療圏に一カ所ということで、五カ所の再編が進められているというふうに聞いていますけれども、この二次医療圏で一カ所というのは原則、これ以外に独自の判断で例えば柔軟な対応をしちゃいけないのかというふうになっているのかどうかをちょっと行政部にただしたいんですけれども、いかがですか。

○島田総務局行政改革推進室長 平成十二年の三月に、厚生労働省におきまして、地域保健法第四条に基づく地域保健対策に関する基本的な指針を出しております。これによりますと、都道府県の設置する保健所の所管区域は、原則として二次医療圏に規定する区域とおおむね一致した区域とすることを定めることが必要である。ただし、二次医療圏の人口または面積が平均的な二次医療圏の人口または面積を著しく超える場合には、地域の特性を踏まえつつ、複数の保健所を設置できることを考慮するとしております。

○吉田委員 今もありましたけれども、絶対二次医療圏で一カ所でなきゃだめだという縛りじゃないわけですよ。例えば面積的に著しく超える、人口は必ずしもそうでないにしても、それならば一カ所にとどまらない設置だってできるんですよということがわざわざ国の指針に書かれていながら、しかも、現実にはこれだけの広大な地域を一カ所で持つというものになっていながら、機械的に二次医療圏に一カ所という対応をとったわけですよね。
 先ほどの他の会派のご発言でも、役割分担ということを考えるときには地域性を考慮すべきだという当然のご発言がありましたけれども、こういう考慮もなくて、極めて機械的に行われているんだということを、私は問題点として指摘しておきたいと思うんです。
 しかも、そもそも現在の十二保健所ということを設定するに当たっては、このときから既に、二次医療圏ごとに一カ所ではあるけれども、東京都としては独自の判断で十二保健所にするんだというふうに、当時の衛生局長は判断をしてきたわけです。そういう判断の実情に即した柔軟な対応という点から見ても、極めて機械的で後退であるということを指摘せざるを得ません。
 しかも、保健所の五カ所だけではなくて、この間、例えば保健所が行ってきたさまざまな事業についての事務移譲というものが行われてきました。そういうことに当たって、本当に市町村に対する支援策がとられて、その事務移譲を受けるだけの力を確保するという支援の努力がされてきたのかということもあわせて、広域行政のあり方の問題として問いたいと思うんですね。
 一つの例として、例えば事務移譲の大きな分野でありました母子保健事業です。妊産婦健診だとか乳幼児健診、三歳児健診、訪問指導などがあります。また、栄養指導、栄養相談などがあるわけですけれども、これが、平成でいいますと九年度から市町村に事務移譲になりました。その事務移譲に伴って、東京都としてその支援のための財政支援策をとってきたと思うんですが、これは現状ではどうなっているでしょうか。

○反町総務局行政部長 母子保健事業等に関する市町村への補助制度を設けまして、補助をしてまいりました。平成九年度から十三年度までの五カ年間の時限補助として実施いたしまして、現在は終了しております。

○吉田委員 この補助は、人的配置のための補助なんですよね。ですから、五カ年だけやれば後は大丈夫だろうというものじゃなくて、職員を確保するとなれば、それは将来にわたって、もちろん恒常的にサービス水準を維持しようとすれば続くわけです。したがって、五カ年でもういいじゃないかというものではないわけですね。
 しかも、こうした補助の打ち切りというのは、この東京都の母子保健にかかわる経過的な補助だけではありません。例えば、十一年度乳幼児健診に対する国庫補助が半減され、十二年度には全廃される、十年度には妊産婦健診、訪問指導事業の国庫補助が廃止される、また老人保健法によるがん検診事業の国庫補助も打ち切られる。このように、保健所は減らされるわ、支援策は次から次へと事務移譲はされるけれども、これも削られてくるという事態が今起きているということだと思うんですね。
 それで、改めて私は非常に疑問に思い、この場で確認しておきたいわけですけれども、何のためのそれだったら役割分担であり、何のための事務移譲なのかということが問われると思うんです。
 それで、役割分担や事務の移譲を検討する場合、自治体の役割である住民福祉の増進に資する、具体的には、そうした移譲や分権の結果が、現実に住民サービスの低下は招かない、向上に役立つ、そういうことが大前提として検討されるべきだと思うんですが、この点ではいかがでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 自治制度改革を担当している立場でお答え申し上げたいと思いますが、地方自治体の役割は、いうまでもなく、住民の福祉の増進を図ることが基本でございます。広域的自治体と基礎的自治体の役割分担を検討する際は、住民福祉を効果的、効率的に実現する視点が重要でございまして、住民に身近な行政はできる限り基礎的自治体の役割とすることが基本的な考え方となります。

○吉田委員 基本的考え方の大前提として、今お答えになりましたけれども、住民福祉の増進が前提である、そういう立場で私はこの問題に臨む必要がありますし、そういう立場に立つならば、第一に、機械的な形での分担論ではなくて、場合によっては重層的に協力し合って、また市町村が自力で賄うことが困難な場合には、補完また代行的にも場合によっては対応していく。第二に、事務移譲などの場合には、そのためにもこれまで以上に市町村に対する支援を強化する、そういう努力というものが改めて今求められているんではないかということを述べておきます。
 次に、いろいろなご発言がありましたけれども、保健所問題にしても都立病院問題にしても、市町村から、かつてない、東京都のやり方に対して厳しい批判と異論が出ているというのは、冷厳な事実です。内容と同時にやり方が余りにもトップダウン的で、上から押しつけるというやり方をとっている、やり方も含めて批判があるというふうに私は理解しております。ましてや地方分権の時代です。
 そこで改めて、基本的な点なんですけれども、地方分権一括法では都道府県と市町村との関係をどのように規定しているのか、確認をしておきます。

○反町総務局行政部長 地方分権一括法によりまして、機関委任事務制度の廃止や国の関与の縮減、廃止が行われまして、国と地方公共団体が、上下主従の関係から対等、協力の関係に改められました。都と区市町村の関係につきましても、機関委任事務制度が廃止されたことなどによりまして、対等、協力の関係になっております。

○吉田委員 対等、協力の関係なわけですよね。しかも、この保健所の再編という問題は、単なる五つの保健所にしますよというだけではなくて、多摩地域の公衆衛生活動全体はどうあるべきかという、まさに市町村に直接かかわるような問題にまで及ぶ計画、方針を東京都が出したわけです。
 そこで伺うわけですけれども、当然そういう内容ですから、私は、計画の策定過程において、市町村からのヒアリング、市町村に意見照会を求める、あるいはそれをまとめた段階でさらに意見交換を行うということは当然必要なことだと思うんですが、聞いたところは、全くそういうことがされていない。ただ記者発表の十月二十五日の日に、記者発表と同時に市長会にただ説明をしただけ、その前後何もないというふうに聞いております。
 それは衛生局にも確かめましたけれども、こういうやり方は、私は、今日の地方分権の対等、協力という関係からしても、事柄の影響性の大きさからしても、不適当ではなかったのかというふうに思うんですけれども、その辺の事実経過をどのように認識しているのか、また、それが妥当だというふうに、そういうこと全体を総括する行政部としては判断されているのか、ご答弁をお願いします。

○反町総務局行政部長 健康局におきまして、今後の多摩地域の保健サービスを向上させるために保健所が果たしていくべき役割を、地方分権の趣旨を踏まえまして十分に検討し、その上に立って今回の保健所再編を都の方針として掲げたというふうに理解をしております。

○吉田委員 ですから、市町村に対して何らヒアリングなり意見聴取を求めてこなかったわけでしょう。そういうやり方が当然なのかと聞いているわけですよ。

○反町総務局行政部長 一応健康局におきまして、今後の多摩地域の保健サービスを向上させるため、保健所の役割を都として検討いたしまして、都の方針として保健所再編案を策定いたしまして、それに基づきまして、案が固まった段階で市町村に説明をするということは当然だと思います。
 その前に、それぞれの意見をどういう形で聞くかという問題はございますけれども、今回、市長会に説明して、そこで、保健所再編の問題だけではなくて、今後の保健サービスのあり方についてもあわせて説明しておりまして、その点についても協議をしていくということになってございますので、事前の協議ということで、どこから事前というのか、その問題はございますけれども、一応案が固まった段階で説明をし、協議すべきものは協議したんだという点は、私どもそういうふうに理解をしております。

○吉田委員 そうすると、二十一世紀の東京都保健所~多摩地域の保健サービスの再構築についてというものは、あくまでも案だということですね。

○反町総務局行政部長 東京都の方針としてあるということでございます。

○吉田委員 ですから、案ではなくて東京都の方針なわけですよ。方針を決めてから、例えば中間的な案を出して--何も案なしで議論せよとは私もいっていませんよ。しかし、一般的な例でもあるわけですから、中間的な案を出して、そしてその意見を求めるんじゃなくて、いきなり、案ではなくて--案ならば妥当だというようなお話がありましたけれども、案ではなくて東京都の方針なんですよ。
 しかも、それは私がただ個人的に述べているわけではなくて、そういうやり方に対して市長会あるいは市議会から非常に強い批判が上がっているわけですよ。四月二十六日ですか、市長会からこの問題についての要請があったというふうに聞いていますし、また、市議会からも多数この問題で意見書が上げられているというふうに聞いていますが、その趣旨や、どれだけの市議会からどんな主な内容かをちょっと説明してください。

○反町総務局行政部長 四月二十六日、市長会から知事への要望書がございました。健康局に出されておりますが、第一に、地域保健法における保健所の設置趣旨や特別区の区域における保健所数と照らし合わせて、多摩地域の現行十二保健所は適正配置であり、都の保健所再編整備案について再検討すべきこと、第二に、保健所再編は基本的には都の組織上の問題であるが、保健医療サービスという市民生活に直接関連する問題であることにかんがみ、市町村の意見を十分聴取の上策定すべきこと、以上の二点の要望が出されております。
 また、多摩地域の市議会からの意見書の内容でございますが、二十一市の議会において意見書の議決等が行われたと聞いております。内容としては、現在の保健所の存続を求めるもの、それから、市町村の意見を十分聴取の上再編案を策定すべきとして、撤回を求めるものなどであると承知しております。

○吉田委員 今の説明にもあるように、この要請なるものは、ただ部分的な再検討ではなくて、再編計画そのものの再検討であり、また、進め方においても市町村との十分な協議、話し合い、しかも、二十一の市議会から上げられている意見書というものは、断固反対、撤回という根本的な異論が提起されているわけですよね。
 しかも、私は、そういう意見が出るのは、先ほどの、これだけ影響の広い問題であるにもかかわらず、何ら一定の方向性などについての事前の意見聴取なども進めないで、一方的に方針を結論として説明するだけというやり方をとったことに対して、当然の意見だと思うんです。
 それで、あわせてお聞きしますけれども、この十月二十五日の市長会で、具体的に市長さんたちからどんな意見が出たというふうに把握していらっしゃいますか。
〔「それは厚生委員会でやる問題じゃないか」「いや、そんなことないよ、自治制度の基本だよ」と呼び、その他発言する者あり〕

○大木田副委員長 静かにしてください。

○反町総務局行政部長 お答えいたします。
 幾つかの市から、これまでの経緯から見て、提案が一方的で乱暴であるという意見や、地域保健の後退につながるのではないかなどの保健サービスの確保に関する強い懸念が示されておりました。これら各種の意見や懸念については、真摯に受けとめなければならないと認識しております。

○吉田委員 簡潔な説明でしたけれども、私も当日の市長さんの方々の発言を一つ一つ調べさせていただきました。これは、個々の局じゃなくて、まさに東京都と市町村との関係の基本にかかわる問題なんですよ、改めていわせてもらいますけれども。
 例えば、ある市長さんがどういう発言をしていたかといえば、こういう発言なんですよ。(「力入れていうことないだろう」と呼ぶ者あり)いや、いう必要あるんですよ。まさしく地方分権の時代であるとか都と市町村との役割分担であるとか、言葉は確かに時代の流れをとらえた表現の仕方ではありますが、いってみれば、非常に、私たちをパートナーとは思っていない、自分たちで決め、自分たちの行政機構の問題だ、縮小して逃げて、あとは市町村にやれば、それが一番身近なところで保健福祉、こういったものはみんなやればいいという一点に集約せんがために、何から何まで市町村に押しつけちゃって、保健衛生業務から逃げ出さんばかりのいい方です、そうとしか受け取れない、非常に高圧的であり乱暴です、乱暴と。これはある市長さんの発言を紹介したものですけれども、同趣旨のご発言がされているわけですよ。
 これは、私は……(発言する者あり)ちょっと済みません、発言中ですから。
 ですから、ここまでの意見が出ているわけですよ。パートナーシップに欠けているじゃないか、乱暴ではないか、こういう意見を局長どう考えますかね。
 先ほど冒頭確認した、地方分権一括法において協力、対等の関係である、お互いに力を合わせて協力し合ってやっていきましょうよという精神が感じられないというふうに、幾らいろいろなことをいわれる方がいらっしゃるけれども、当該の市長さんたちがいっているわけですよ。
 先ほど、案を出して検討するならいいじゃないかという部長の答弁がありましたけれども、これを、では案としてきちんと協議するというぐらいの指導性が発揮されるべきだと思うんですけれども、私が読み上げました市長さんの発言と、こういう問題についてどう対応していくべきか、できればお答え願えませんか。

○反町総務局行政部長 保健所の再編案に対しまして、昨年十一月の都予算要望時及び本年四月と二度にわたって市長会から要望が行われておりまして、その要望についてどのように対応するか、現在健康局で検討しております。
 行政部といたしましても、市町村の要望を踏まえまして調整に努めてまいりたいと存じます。

○吉田委員 幾つかの事例を挙げながら、具体的に広域行政としての本来の仕事を果たすという点でどうかという点と、区市町村に対する支援、補完という点でどうかということを述べてまいりましたけれども、私は、地方自治法の住民福祉の増進に資するという原点に立ち返って、こうした広域行政のあり方が引き続き議論されていくべきだということを述べまして、私の質疑を終わらせていただきます。

○大河原委員 いろいろ熱い議論が盛り上がってきていますけれども、今の議論にあるように、非常に温度差があるわけですよね。大きな自治体と(「温度差じゃなくて誤解があるんだよ」と呼ぶ者あり)そうですね。地域の基礎自治体との間に、やはりそこには溝があります。今ここで「論点整理」という形で整理はされておりますけれども、東京都と区市町村との大きな変更がまないたの上に乗っているわけで、これを進めていくときには、今みたいな保健の問題もありますし、内容のことについていえば、その進展ぐあいですけれども、市長さんたち、首長さんたちとのオープンな議論というのも実は緊急に必要なんじゃないかと。また、都道府県制度というのがなかなか改革されておりませんけれども、この点についても、他府県の議員との意見交換、議論もするということが私は必要だというふうに思っていますけれども、オープンな議論についてはどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 都政改革ビジョンⅢは、首都圏の広域的自治体のあり方や税財政制度のあり方など、我が国の自治制度改革全般にわたる内容となっており、その実現のためには、東京都にとどまらず、ご指摘のありましたような、国や他の府県をも含めて広範な議論を巻き起こすことが必要でございます。
 そのためには、まず、本委員会における今後の議論を踏まえまして、中間段階の案を取りまとめ公表することによりまして、各方面から意見をいただき、その上で最終案を取りまとめていきたいと考えております。
 また、ビジョンⅢは、それ自体が議論を巻き起こすための問題提起であり、策定後も引き続き検討、議論を行っていく必要があると考えております。

○大河原委員 先ほどどなたかの委員の方のご発言にありましたけれども、例えば東京都が市町村合併のパンフレットを一つ出せば、東京都が勝手に、議会で議論もするわけだけれども、都の主導で市町村合併が決まっていくんじゃないか、ゾーン分けって一体何なんだ、非常に不信感ばかりが地域に募っていくということが恐らくあるんだと思います。
 市町村合併もそうですけれども、同じように、都区制度改革についての議論も手がなかなかつけられない課題ではないかなと。そして、元気な区長さん、世田谷ももちろん大きな区ですから、独立したい、その思いはずっと長年持ち続けてきているわけですけれども、他の都道府県と、都区制度改革について、思いとレベル、そういったものが大いに違ってくると思います。大阪市と府の関係、議論が出てきましたけれども、思惑の違いが明らかです。
 そうしたときにも、今伺いましたようなオープン、思い切った議論の展開、こうしたものが必要だと思いますけれども、都区制度改革、こうした大都市行政の問題について、このことについてはどうでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 都区制度は、特別区はもちろん、都民にとってもみずからに直接かかわる問題であり、議論への関心も高いと思われます。中間案公表後、関係自治体や都民からの意見もいただき、広範な議論を巻き起こしていきたいと考えております。

○大河原委員 自治制度改革について議論する場合には、国と自治体との役割分担から議論するのが当然の順番かなとも思います。基礎自治体優先で補完性の原理はあるというふうに私は考えるわけですけれども、つまり、このことは、国の仕事を制限していくのが基本だ、もう一つは、都と区や市の関係を考えれば、都の仕事を制限していくのも当然のことではないかというふうに思います。
 同時に、議論だけではなくて、この場合、実際に変えていくとなれば、国では法制度の改正が必要になってくるわけなので、実際にどんな議論をしていくのか、そしてまた、一方では実際にさまざまな実践を並行して行っていかなくてはならないというふうに思います。
 七都県市にとどまらず、全国知事会あるいは学者グループ、学者の皆さんもさまざま自治制度に関して見解をお持ちで、学説など広げていらっしゃいますけれども、こうしたところもぜひ働きかけをして意見を広げる、議論を広げるということをしていきたいというふうに思いますけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 ビジョンⅢは、自治制度改革について、都内や首都圏だけでなく、全国的にも議論を巻き起こすことを目的に策定するものですが、単なる議論で終わらせないためには、国の地方分権改革推進会議や地方制度調査会への意見反映など国への働きかけはもちろん、全国知事会への提起や学識経験者などとの議論、意見交換も行い、さらに検討を深めていくことが必要と考えております。

○大河原委員 国と自治体の役割分担については補完性の原理がありますけれども、そこには基礎自治体の優先ということを前提としたいというふうに先ほどから申し上げております。それには、地域の事情もさまざまなので、一律に同じ役割というのは考えられない時代になってきているのではないか、そういうふうにも考えるわけです。
 その意味では、この「論点整理」の中にも、一国多制度も視野に入れるべきだというようなご意見も入っておりますし、私はその点について非常に触発されましたし、非常に入れるべきだというふうに思っています。
 こうした課題を議論しクリアしていくためには、今どういう条件が必要であるのか、そうした点についてはどうでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 補完性の原理による役割分担の内容も、東京のような大都市とそれ以外の地域とでは異なることから、一国多制度を視野に入れて役割分担を検討していくことが必要であると考えます。
 そのためには、地方自治法など、現在法令で一律に決められている現行制度の枠組みを抜本的に見直す必要がございます。また、一国多制度とする上では、地域により制度上の差が出るので、広く住民の間で理解が深まることも必要であると考えます。

○大河原委員 この東京では、石原知事の一挙手一投足、非常に全国的に注目を集めていますし、知事が道州制というふうな思いを持っていることは、かなり多くの人の気持ちを揺さぶっているんだというふうに思いますけれども、広域的な自治体をめぐる議論を聞いていましても、先ほども道州制のことが出ましたけれども、制度論の議論としては、することはもちろんしなくてはならないと思いますけれども、率直にいって、将来的な課題かなというふうな印象はぬぐえません。
 そうした場合に、では何を優先させていけばいいのかということでは、七都県市を活性化させること、また広域的な連合、連携を深めていくこと、こういったことを進めていくべきだというふうに私は考えます。
 そして、こうした機運を盛り上げていくためにも、自治体間の連携で特定な課題を先行させていくべきだというふうに考え、今東京都が行おうとしていることにも理解を示し、推し進めていきたいというふうにも思うわけです。
 首長や公務員のお役人の皆さんだけで議論した場合には、差別化、違いだけを強調する、あるいは、もちろん今あるシステムを守るといった論調になってしまうことも免れませんので、むしろNGOとか、地方自治の根本である住民、市民の自治といった、そうした人たちとの協働、こういったことに議論を発展させていかなければならないというふうに私は考えるわけです。この点についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 中長期的には道州制を視野に入れるとしましても、その実現はすぐには困難でございます。このため、ご指摘のとおり、共通の課題について共同事業を拡充しつつ、七都県市首脳会議事務局の常設化や広域連合制度の活用など、段階的に取り組んでいくことが重要と考えております。また、行政内部だけでなく、住民や民間団体とも協働、連携していくことが重要と考えます。

○大河原委員 七都県市の会議においても、東京が何を発言するのか、石原知事が何をいうのかというのは非常に注目を浴び、ほかの自治体の職員の皆さんも何かどきどきしてそれを見守っているというふうに、私も千葉や神奈川の職員の方から聞いております。
 その点でも、今東京から発信している課題、これが本当に七都県市共有のものになるのかというところでは、それぞれの自治体でも問題としていらっしゃるところがあると思いますし、七都県市の共通の、共同の課題も含めて、広域連携の個別課題、これには見直しが必要じゃないかというふうに思うわけなんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○熊野知事本部国政広域連携担当部長 お答えいたします。
 先生おっしゃるとおり、制度論は中長期的な課題でございますので、自治体の連携につきましては、特定課題を先行させ、可能なものから連携を深めていくことが重要であると考えております。
 こうした観点から、七都県市首脳会議におきましても、これまで、環境問題、廃棄物問題、防災問題、首都圏問題など、首都圏におきます共通課題を協議、検討してまいりましたけれども、首都圏におきます広域的な行政需要の拡大によりまして、共同、連携して取り組むべき行政課題も増大しているものと認識してございます。
 ただ、ご案内のとおり、七都県市の運営につきましては、各団体の全員一致が原則でございますので、今後、七都県市首脳会議の中で、他県市の賛同を得ながら、新たな取り組みにつきましても検討してまいりたいと思います。

○大河原委員 今ご答弁にありましたように、本当にできるところから手をつけていく、そして議論と実践を並行していく、すごく大事なことだと思うんです。大きな規模の改革を目指すならば、本当になおさらそのようなことを同時進行し、そしてより多くの人たちが関心を持つような、そういう空気をつくっていかなきゃいけないというふうに思います。
 その意味では、都民の合意形成というものをもちろん十分把握していかなければならない、合意形成を図っていかなければならないということですけれども、合意形成の手法を先行して整備していくべきではないかというふうに思います。
 知事は、首都機能移転問題について国民投票をしてほしいというようなご発言もあったようですけれども、住民投票制度、そしてまたパブリックコメントなどを含めて早急に整備すべきじゃないかというふうに思いますが、どうでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 政策の立案等を行おうとする際に、案を公表し、都民の意見等を聞き、反映させることは、重要なことでございます。そのための手法としましては、ご指摘のような住民投票条例、パブリックコメントなどの手法もありますが、大規模な自治体である東京都ではどのような手法が有効か、検討する必要があると考えます。

○大河原委員 この特別委員会の中で論点整理がされて、審議の順番が決められていった、こう整理されてきたことは非常に評価をしたいと思いますし、そこに沿って、本当に住民の人たち、私たち、住民のためになる、そうした改革を進めていきたいというふうに本当に思います。
 繰り返し述べているわけですけれども、自治体は住民がつくるという、自己決定が基本だということをまず強調し、そして、そのためにどんなことがサポート機能としてつくっていけるのか、こういうことが重要だと思うんですけれども、議会の中でも自治基本条例をつくるというような提案をしてきておりますが、この自治基本条例、一つの集約点であるというふうに思います。
 現在、他の自治体では、この自治基本条例をつくる、そういう方向性を打ち出して、それを進めている、そういうふうにも伺っておりますが、どのようなもので、都としてこうした動きについてどのような感想を持っておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 自治体の目指すべき理念や住民参加などについて定めるいわゆる自治基本条例につきましては、平成十三年四月に北海道ニセコ町がニセコ町まちづくり基本条例を制定したのを初め、各地で多様な試みが行われております。
 都内では、杉並区、多摩市、東久留米市、清瀬市で検討が進められております。都道府県では、高知県が自治基本条例の案を公表しておりますが、現在、議会の議決を経て条例となったものはございません。
 法令で自治体の事務について詳細に規定している現行法制度のもとでは、自治体が独自に基本的な事項を定める余地は少ないとの意見もあり、将来の抜本的な制度改革とあわせて検討していくべきものと考えております。

○大河原委員 自治制度の改革については、団体自治、ここの部分での改革とその議論は大分行われてきました。きょうもその部分についてのことになってしまいましたけれども、本来、自治体は市民が決める、住民が決めるということを考えれば、こうした自治基本条例を中心にして、議会のあり方も、また行政の仕組みのあり方も有権者が決めていく、市民が決めていく時代が来ているんだというふうに私は認識をしております。
 ただ、今こうした首都機能の移転問題も、あるいは都区制度改革についても、道州制があるというような議論が出ても、なかなか市民の関心あるいは住民の関心がわかない、そのことの根本の原因というのは、まず、何がどう変わっても、自分がその決定にかかわる、そうしたことがないんだというあきらめじゃないかというふうに思います。もし地域のルール、地域で何を、このまちをどうしていくのか、そういったことを市民自身が決めることができる、住民が発意してそうしたまちづくりが真摯に行われる、そういう保障がされていれば、こうした関心はおのずと高まっていく、そういうものだというふうに思います。
 今回の「論点整理」の中で、住民自治の部分にイギリスのパリッシュの例が出ておりますけれども、先日、日本都市センターが自主研究として出しました「自治的コミュニティの構築と近隣政府の選択」という論文を見つけました。寄本勝美先生が座長でいらっしゃったわけですけれども、これは、小中学校区に住民が選んだ議会を置き、専門の事務局も置く、この議会の設置や、そうした近隣政府、ネイバーフッド・ガバメントというふうにいっていましたが、ドイツなどでも、一定規模以上の大きさの基礎自治体には、こうした近隣政府制度、こうしたものもできてきているようです。
 そこが、地域の住んでいる人たちの思いを実現するための仕組みとして発展し、もう既にこうした制度を使っている、そうした地域が出てきていること、この「論点整理」の中でも、この住民自治の部分をどうやって膨らませていくのか、そうしたことが今後の議論になっていくんだと思います。
 きょうは理事者の方にお願いしてお答えをもらっているような形でこの委員会は進んでおりますけれども、実は私たち委員それぞれが、対面でやっていますが、この中で自由な議論をしていく、まさに住民自治をどういうふうに構築していくかは、住民から選ばれた私たち議員がやらなければならない制度としても議論をし、そしてそのことを住民にフィードバックしていく、そういうことが今求められているというふうに思います。
 ぜひこの委員会でも、委員長にお願いしたいし、また、ほかの委員の皆さんにもご賛同いただきたいんですが、参考人として、こうした新しい住民自治の動きを研究していらっしゃる学者、あるいは実際に自治基本条例づくりをしている人たち、そういう人たちからも話を聞く機会をつくっていただきたいというふうにお願いいたしまして、質疑を終わらせていただきます。

○大木田副委員長 理事会で十分検討させていただきます。

○長橋委員 では最後でございます。
 私の方からは、角度を変えまして、行政と民間との役割分担についてお伺いしたいと思います。
 いわゆる福祉を初めとしたあらゆる公共サービス、急速なテンポで進んでいる少子高齢化、また飛躍的に大きく広がっている情報化、そしてまた住民のニーズの多様化という時代状況の中で、その内容はきめ細かく、また複雑になってきているわけでございます。これは、いわゆる行政の力だけではもう限界が来ている、こういうふうに思うわけであります。行政サービスが、民間に任せられるものは民間に任せるという時代の流れになってきていることを認識するわけであります。
 一方で、こうした行政サービスに関する議論をする場合、住民に密着した福祉、医療などのサービスがきちっと確保されるかという議論もあると思います。
 そこで、公共サービスの提供に関する行政と民間との役割分担についてお伺いいたします。
 まず、「論点整理」の第2章に書かれておりますけれども、従来行政のみが公共性を担うと考えられた時代から、さまざまな民間主体、いわゆるボランティア、民間企業が参加するようになってきているといわれています。行政と民間との役割分担の見直しの必要が生じてきているわけであります。
 公共性は、本来市民が共同して担うべきであって、今後の社会にふさわしい公共性の担い方の新しい考え方について明らかにしていく必要があるということが書いてありますので、まず、この公共性の担い方の新しい考え方とはどのようなことか、お伺いいたします。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 これまで、公共的なサービスの提供は、専ら行政の役割であると認識されてきました。しかし、公共的なサービスのすべてを行政が担っていくことは、多様化する住民ニーズへのきめ細かな対応が求められていることや、行政の肥大化、財政的な制約などの点から困難となっております。一方、住民のNPO、ボランティア活動への参加、活動意欲が高まっております。
 このような社会状況のもと、住民、NPO、民間企業などが、それぞれの立場から公共的な課題についての意思形成過程に参加したり、公共的なサービスの提供主体となることによって、行政と協働して公共性を担っていくことが必要であるとの考え方でございます。

○長橋委員 今お話しのように、今後は、行政のみならず、住民、NPO、ボランティア、民間企業などのさまざまな民間が公共性を担っていくということでありますけれども、これまで行政が実施してきた公共的なサービスがすぐに民間主体の提供になじむというのは、難しいものもあると思います。そこで、行政と民間との役割分担の整理が必要になってくるわけであります。
 そこで、公共的なサービスの提供に関する、まず行政と民間の役割分担のあり方についての基本的な考え方をお伺いいたします。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 公共的なサービスにつきましては、行政がみずから手がけるよりも、NPO、ボランティア、民間企業などの民間主体が提供した方がより効率的で、より住民ニーズに即したサービスの実現が期待される場合には、できるだけ民間にゆだねていくことが基本となります。ただし、民間にゆだねるに当たりましても、公共的なサービスの提供に求められる公平性が確保されることが必要となります。
 なお、具体的な役割分担のあり方につきましては、このような考え方を基本として、個別の分野ごとに検討を深めていくことが必要と考えます。

○長橋委員 公共的なサービスが、民間企業などが提供した方が効率的で住民ニーズに即したサービスの実現が期待できる、こういう場合には、できるだけ民間にゆだねるということでありますけれども、民営化の方式にも、民設民営とか公設民営などがありますけれども、今まで具体的にはどのような事業を民営化してきたのか、また今後の予定についてもお伺いいたします。

○島田総務局行政改革推進室長 民営化の具体例でございます。
 まず、民設民営方式とは、都が土地を提供いたしまして、民間事業者がその上に施設を建設し、管理運営を行うものでございます。該当する施設といたしましては、平成十四年五月に開設をいたしました江東区新砂の特別養護老人ホーム三井陽光苑がございます。
 次に公設民営方式でございます。都が建設いたしました施設の運営を、民間事業者が独立採算を基本に運営を行うものでございます。該当する施設として、平成十四年六月、江東区新砂開設予定となっております東京都江東高齢者医療センターがございます。
 さらに、PFI方式というのがございます。公共施設などの設計、建設、維持管理及び運営に民間の資金とノウハウを活用するものでございます。該当する事業といたしましては、平成十二年十月に運営開始しております金町浄水場常用発電設備整備事業がございます。
 今後でございますが、都庁改革アクションプランでは、現在都が直営で行っております老人ホームなどについて民営化を目指し、運営方法を見直すこととしております。また、朝霞、三園浄水場の発電設備などにつきましてもPFIを活用していくこととしております。

○長橋委員 一方で、これまで行政が単独で行ってきたサービスの分野に、行政以外の多様な民間主体が参加するということで、サービスの受益者である住民にとって、逆に不安を招くことがあってはならないと思うわけであります。公共的なサービスについては、さまざまな民間主体が担い手になることで責任の所在があいまいになってはいけないと思うわけであります。
 そこで、行政の責任についてはどのように考えているのか、お伺いいたします。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 公共的なサービスの提供につきまして、民間主体が担い手となる場合にあっても、行政がサービスの提供についてガイドラインを示したり、適切な指導、評価を行うことなどによりまして、サービスの適正な提供の確保に努めていかなければならないと考えます。

○長橋委員 また、公共的なサービスの中であっても、住民生活の安心を保障する基幹部分である福祉または医療などの分野については、ほかのサービスと同類に扱っていくというわけにもいかないと思うわけです。
 例えば福祉サービスについては、介護保険制度の導入を初めとして、民間企業やNPOの参入が積極的にされているわけでありますけれども、適正なサービス提供を確保する上で、行政の責任はさらに重いと思うわけであります。
〔大木田副委員長退席、委員長着席〕
 そこで、福祉、医療サービスのような住民生活に密着した分野については、行政が責任を持っていかなければいけない。民間が事業者として参入していくに当たって、特にサービスの公平性を確保していくということについてはどのように考えるか、お伺いいたします。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 NPO、ボランティア、民間企業等が提供主体となることによって、行政が直接手がけるよりも、効率的なサービスやきめ細かで質の高いサービスの提供が期待されます。
 しかし、ご指摘のとおり、住民生活に密着した福祉、医療サービス等につきましては、当該事業の実施に適した民間主体を選定するとともに、サービスの提供について適切な指導、評価を行うことなどによりまして、サービスの公平性を確保していくことが必要であると考えます。

○長橋委員 民間が主体で、持ち味である効率的できめ細かなサービスが提供できるようになる、これは時代の要請であり、そのためには行政の適切なバックアップというのは必要であると思いますし、利用者にとってより安心して満足のいくサービスが実現されることを望むものであります。
 昨年度からスタートした都の認証保育所制度においても、多くの民間企業が参入してきておりますし、介護の分野においても、民間企業やNPOが介護保険サービスの担い手として広がってきているわけです。
 しかしながら、一口に民間主体といっても、その能力、規模などは千差万別であり、また、民間企業のように営利を目的としたものから、NPO、ボランティアという非営利までを含めますと、その形はさまざまであるわけであります。
 そこで、さまざまな形で行われる事業、民間主体にゆだねることで公共的なサービスの継続性や安定性を不安視する意見もあるわけであります。このような意見に行政はどのように取り組んでいくんでしょうか、お伺いいたします。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 ご指摘のとおり、民間主体にはさまざまなものがあり、民間主体にゆだねた後も、実施状況に応じて適切な指導、評価を行うことなどにより、確実なサービスの提供の確保に努めていかなければならないと考えます。

○長橋委員 最後に、身近な地域に対する住民の関心が高まる中で、今までいった、単に公共的なサービスの一翼を民間が担っていくというだけではなくて、いわゆるまちづくりを初めとする公共的な課題に関する決定プロセスに主体的に参加していこうという意識も高まってきているわけであります。このような中で、自治体が政策決定を行うに当たって、市民等の参加の機会を確保して、行政の運営に市民等の意見を適切に反映させていくことが今後ますます重要であると考えます。
 そこで伺いますが、行政の意見、意思形成への市民参加の手法として、いわゆるPI的手法やパブリックコメントなどが紹介されていますけれども、都としての取り組みをお伺いいたします。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 ご指摘のありましたPI的手法、パブリックコメント等は、いずれも行政の意思形成過程に住民等からの意見を反映させていく手法でございます。
 このうちPI的手法とは、計画の策定に際して、早い段階から広く意見を調査する時間を確保し、かつ情報提供を行い、市民の意見を十分に反映しながら計画を決定していく方法でございます。
 都では、昨年十月に策定した東京の新しい都市づくりビジョンにおいて、今後、計画決定プロセスの透明性向上を図るための手法の一つとして、このようなPI的手法の導入が必要であるとしております。
 なお、都は、これまでも、PI的手法といたしまして、東京外郭環状道路について、国土交通省と共同でありますが、地元団体との話し合い、説明会、アンケート調査、ホームページの開設などを実施しております。

○長橋委員 以上、行政と民間との役割分担について伺ってきました。
 公共的サービスを提供するときは、広く都民の意見を聞くということでありますけれども、そしてまた任せていくということでありますけれども、あわせて、その事業に対して常に都は責任を持って評価して、時代状況や都民のニーズに当たって、場合によっては事業の見直しができるような仕組み、体制づくりを、適切な運用とともにつくっていかなければいけないと思います。
 適切な運用を行うことが大事であるということを述べまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○川島委員長 ほかに発言がなければ、以上をもちまして本日の質疑を終了いたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時二十四分散会