行財政改革基本問題特別委員会速記録第六号

平成十三年十二月二十一日(金曜日)
 午後一時四分開議
 出席委員 二十二名
委員長川島 忠一君
副委員長大木田 守君
副委員長古賀 俊昭君
副委員長和田 宗春君
理事富田 俊正君
理事鈴木貫太郎君
理事吉田 信夫君
理事樺山 卓司君
理事内田  茂君
山下 太郎君
長橋 桂一君
真鍋よしゆき君
松原 忠義君
相川  博君
河西のぶみ君
新藤 義彦君
田島 和明君
山崎 孝明君
大河原雅子君
渡辺 康信君
石井 義修君
木村 陽治君

 欠席委員 一名

 出席説明員
知事本部知事本部長事務代理次長三宅 広人君
企画調整部長渡辺日佐夫君
特命担当部長南雲 栄一君
企画調整担当部長荒川  満君
参事熊野 順祥君
自治制度改革担当部長幡本  裕君
総務局局長大関東支夫君
総務部長高橋 和志君
行政改革推進室長島田 健一君
IT推進室長木谷 正道君
人事部長山内 隆夫君
行政部長反町 信夫君
勤労部長尾井 幹男君
財務局局長安樂  進君
経理部長佐藤 兼信君
主計部長松澤 敏夫君

本日の会議に付した事件
 行財政改革の基本的事項についての調査・検討
  報告事項(説明)
  ・自治制度改革をめぐる状況について

○川島委員長 ただいまから行財政改革基本問題特別委員会を開会いたします。
 これより、東京の将来像を展望し、社会・経済情勢の変化に柔軟に対応する都政を実現するため、行財政改革の基本的事項について調査・検討を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項の説明を聴取いたします。
 本日は、説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は後日に行いたいと思いますが、ご了承願います。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 知事本部の田原本部長は、病気療養のため、本日の委員会に出席できない旨申し出がございました。次長の三宅広人君が本部長の事務代理とのことです。
 過日の委員会で三宅次長は紹介できませんでしたので、あわせてご紹介いたします。
 三宅次長。
〔理事者あいさつ〕

○川島委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 お手元に配布させていただきました資料につきましてご説明させていただきます。
 表紙と目次を二枚おめくりいただきたいと存じます。一ページの資料、第二十七次地方制度調査会及び地方分権改革推進会議についてをごらんください。
 本年十一月にスタートしました第二十七次地方制度調査会と、地方分権推進委員会の後継機関として七月にスタートしました地方分権改革推進会議について、その審議事項や日程、委員名等について整理したものでございます。
 まず、表の左側の地方制度調査会につきまして、その概要をご説明させていただきます。
 地方制度調査会は法律に設置根拠を置く機関でありまして、今回の第二十七次におきましては、小泉内閣総理大臣から、社会経済情勢の変化に対応した地方行財政制度の構造改革について、地方自治の一層の推進を図る観点から調査審議を求めるとの諮問を受けております。平成十五年十一月まで二年間かけまして、市町村合併の進展に伴う基礎的地方公共団体及び都道府県のあり方、地方の財政面での自立を図るための地方税財政のあり方などについて審議していく予定になっております。
 これまでの開催実績につきましては二ページに記載しておりますが、十二月十一日の第二回総会におきまして、平成十四年度の地方財政対策に当たっては、国及び地方の施策の見直しにより地方の歳出抑制に努めるとする平成十四年度地方財政対策に関する意見を内閣総理大臣に提出しております。
 続きまして、一ページに戻っていただきまして、表の右側に記載してございます地方分権改革推進会議につきましてご説明させていただきます。
 地方分権改革推進会議は政令により設置された機関でございまして、設置期間は、平成十六年七月までの三年間となっております。
 地方制度調査会と同様、内閣総理大臣から諮問を受けておりますが、その内容は、国と地方公共団体との役割分担に応じた事務及び事業のあり方並びに税財源配分のあり方、地方公共団体の行財政改革の推進等、行政体制の整備その他の地方制度に関する重要事項について、地方分権の一層の推進を図る観点から調査審議を求めるということでございます。
 審議事項といたしましては、諮問事項のほかに、地方分権推進委員会の勧告、意見や、地方分権推進計画の実施状況の監視などとなってございます。
 二ページにこれまでの開催実績を記載しておりますが、七月以降、総務省や財務省、全国知事会などからのヒアリングや意見交換を行い、さらに小委員会を設置し、厚生労働省など各省からのヒアリングを実施しております。
 これらの活動を踏まえ、十二月十二日に中間論点整理を公表いたしました。この中間論点整理につきましては四ページと五ページをごらんいただきたいと思いますが、そのポイントをつけさせていただきました。
 ポイントについて簡単にご説明させていただきますと、まず、中間論点整理の位置づけですが、国民の理解を得ながら改革を進めるべきとの考えから、調査審議のスタートラインとして、重点的に審議を行ってきた事務事業見直しの基本的な認識や論点等を整理し、公表したものであるとされております。
 Ⅰの事務事業見直しに当たっての基本的考え方といたしましては、国と地方の役割分担の明確化、生活者である国民の視点を踏まえた地方分権改革など五つが挙げられております。
 また、Ⅲの事務事業の分野別の論点整理では、社会保障、教育・文化、公共事業など、地方行政の主要五分野に沿って論点整理がなされております。
 さらに、Ⅲの事務事業の見直しに当たっての当面の指針といたしまして、地方における総合行政化の一層の推進、創意工夫が発揮できる環境整備、財政事情を踏まえた事務事業の見直しの三点が掲げられております。
 続きまして、六ページ及び七ページの資料、政令指定都市、中核市、特例市の比較についてをごらんください。
 政令指定都市、中核市、特例市のそれぞれの要件、指定の手続、都道府県からの権限移譲項目等について概要を整理したものでございます。
 続きまして、恐れ入りますが、八ページ及び九ページをごらんください。大都市制度の沿革についてでございます。
 まず、八ページにおきまして、地方自治法施行以前の大都市制度の変遷についてご説明させていただきます。
 明治十一年に、我が国初の近代的地方制度を定めた法律といわれております郡区町村編制法が制定されましたが、その当時から、東京や大阪のような大都市は、他の地域とは違った制度が導入されておりました。
 明治二十一年には市制町村制が制定され、翌明治二十二年には東京市が設置されましたが、東京、大阪、京都の三大都市につきましては、市制町村制の特例といたしまして、府知事が市長を兼務しておりました。
 その後、明治三十一年にはこの特例が廃止され、東京市にも兼務ではなく独自の市長が置かれるなど、時代に応じて制度も変遷いたしましたが、昭和十八年には、従来の東京府の区域をもって東京都が置かれるとともに、東京市が廃止され、東京都制が施行されました。
 九ページにおきましては、地方自治法施行以降の大都市制度の沿革について説明しております。
 昭和二十二年の地方自治法施行時には、人口五十万人以上の市の中から法律で指定する特別地方公共団体として、特別市制度が設けられておりました。特別市に指定されますと、都道府県の区域外とされるというものでしたが、制度導入をめぐり、大都市とそれを含む府県との対立が激しく、実際に指定されることはございませんでした。
 このような経緯を経て、昭和三十一年に政令指定都市制度が導入されたわけでございます。さらに平成七年には中核市制度、平成十二年には特例市制度が導入され、今日に至っております。
 続きまして、一〇ページ及び一一ページの資料、特別区制度の沿革についてをごらんください。
 ここでは、特別区制度にかかわる制度改革等の歴史を整理してございます。大都市制度の沿革に関する資料についての説明と少々重なる部分もございますが、簡単にご説明させていただきます。
 先ほどご説明いたしましたように、明治十一年に郡区町村編制法が制定された当時から、東京や大阪のような大都市には他の地域とは違った制度が導入されましたが、その際、東京には、郡とは別に区が、この区は法人格を持っておりませんでしたが、十五区置かれました。その後、市制町村制の施行により東京市が設置された際には、この十五区の区域をもって東京市の区域とされました。
 明治四十四年には市制改正法が施行され、区は法人格を持つこととされ、自治区的性格も付与されることとなりました。昭和七年には、東京市に隣接する五郡八十二町村を市に編入して新たに二十区を新設し、三十五区となりました。昭和十八年に東京都制が施行され、東京市が廃止されると、区は東京都の直近下級組織となりました。
 戦後、昭和二十一年に改正東京都制が施行され、区長は公選とされましたが、区が都の内部的団体であり、都が基礎的団体であるという性格の変更はなされませんでした。翌昭和二十二年、地方自治法が制定されますと、区は、法律上特別区とされ、原則として市と同一の機能を認め、区長は公選となりました。一方、東京都は、基礎的団体ではなく、道府県と同様、市町村を包括する団体とされました。昭和二十七年には区長公選制が廃止され、特別区が東京都の内部的な部分団体であることが明確にされました。
 その後、昭和四十年以降、特別区の自治権は順次拡大していくこととなりますが、まず、昭和四十年には福祉事務所等が区に移管され、さらに昭和五十年には区長公選制が復活し、都配属職員制度の廃止などの制度改正が行われました。その後、特別区政調査会答申、都制度調査会報告、第二十二次地方制度調査会答申等を経まして、平成六年には、特別区を基礎的な地方公共団体に位置づけ、清掃事業を初めとする住民に身近な事務をできるだけ特別区に移管すること等を内容とする都区制度改革に関するまとめ(協議案)が合意されました。そして、平成十二年、改正地方自治法が施行され、都区制度改革が実現されたわけでございます。
 続きまして、一二ページの資料、海外大都市における自治制度についてをごらんください。一七ページまでにわたり、ロンドン、パリ、ベルリン、ニューヨーク、ワシントンDC、ソウル、それぞれの自治制度についてまとめてございます。
 まことに恐縮ですが、このうち、ロンドンとニューヨークの自治制度についてご説明させていただきます。
 まず、一二ページのロンドンをごらんください。ロンドンには、基礎的自治体である三十二のバラ自治区とシティー、そしてそれらを包括するGLA大ロンドン庁が置かれております。広域的自治体であるこのGLAは、基本的に行政サービスを提供する団体ではなく、計画等を行う団体でありまして、職員数も四百名程度でございます。ただし、外局的な実施組織として、首都警察局、ロンドン開発局、ロンドン交通局、ロンドン消防緊急事態計画局があり、これら外局四組織の職員は約四万七千名ほどでございます。基礎的自治体であるバラ自治区は、地方税徴収、福祉、住宅、教育などの地域のサービスを提供しております。
 恐れ入りますが、一五ページをごらんください。ニューヨークについてでございます。
 ニューヨーク市は、ニューヨーク州に属する地方自治体でございまして、内部に五つのバラ、これは自治区ではなく、日本でいえば政令指定都市の中にある区のような行政区でございますが、そのようなバラが設けられております。
 ニューヨーク市は、一般的な市の事務に加え、カウンティーの事務である保健、福祉、道路管理等、また学校区の事務である学校運営も執行しております。一方、バラの区長は、市の公共サービス提供についての監視、公聴会の開催などを行っております。また、住民参加促進のため、市内五十九地区にコミュニティ委員会が設けられており、この委員は区長によって任命されることになっております。
 続きまして、一八ページに参りまして、海外における特色のある大都市制度等の事例についてをごらんください。ここで二つの事例を取り上げておりますが、まず、一八ページのカナダ・トロント地域の事例についてご説明させていただきます。
 トロントはカナダ最大の都市圏でございますが、一九一〇年ごろから、トロント周辺の自治体は、急速な都市化に対し、財政力、行政能力の点で単体により事務を行うことが困難となったため、トロント市とさまざまな協定を結び、各種の行政事務を共同で処理する方式を採用しました。一九五四年には、都市圏の拡大に対応した広域的行政サービスを提供するため、トロント市を含む十三自治体によるメトロ政府、メトロポリタン・トロントが設立されました。これにより、基礎的自治体であるトロント市と広域連合政府であるメトロポリタン・トロントの大都市における二層制の自治制度がしかれたわけでございます。しかしながら、一九九八年には、メトロポリタン・トロントを構成する自治体間の合併により新トロント市が誕生し、同時にメトロポリタン・トロントが解消されました。
 この背景としましては、メトロポリタン・トロント地域ばかりでなく、さらに周辺の四つの広域行政府までを含めて、トロント大都市圏における広域行政のあり方の検討が必要とされていたことも指摘されております。
 続きまして、最後の二〇ページの資料、オーストラリア・シドニーの選挙制度をごらんください。
 シドニー市では、選挙資格が居住者に限られておらず、不動産所有者等にも認められているという特徴がございますので、資料としてまとめさせていただきました。
 その選挙資格でございますが、表の選挙人名簿登録資格の欄の2にありますように、非居住者のうち、課税対象不動産を所有する者、共同所有の場合は全所有者から指名された一名、法人の場合は法人から指名された一名が、選挙人名簿への登録資格があるとされております。
 この背景としましては、旧シドニー市がシドニー市と南シドニー市に分割された際に、分割直後のシドニー市の人口は約七千五百人と少なかったため、選挙による合理的な意思形成が困難になるとの懸念があったこと、オーストラリア最大の人口を擁するシドニー大都市圏の中心に位置するシドニー市において、その社会的、経済的活動は居住者のみでは成立しない状況があったことなどが挙げられております。
 以上、大変長くなりましたが、資料の説明を終わらせていただきます。

○川島委員長 報告は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○川島委員長 それでは、資料要求はなしと確認させていただきます。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
 午後一時二十分散会