行財政改革基本問題特別委員会速記録第三号

平成十三年十一月七日(水曜日)
 午後一時五分開議
 出席委員 二十名
委員長川島 忠一君
副委員長大木田 守君
副委員長古賀 俊昭君
副委員長和田 宗春君
理事鈴木貫太郎君
理事吉田 信夫君
理事内田  茂君
山下 太郎君
長橋 桂一君
真鍋よしゆき君
松原 忠義君
相川  博君
遠藤  衛君
河西のぶみ君
新藤 義彦君
田島 和明君
大河原雅子君
渡辺 康信君
石井 義修君
木村 陽治君

 欠席委員 三名

 出席説明員
知事本部本部長田原 和道君
企画調整部長渡辺日佐夫君
企画調整担当部長荒川  満君
自治制度改革担当部長幡本  裕君
総務局局長大関東支夫君
総務部長高橋 和志君
行政改革推進室長島田 健一君
IT推進室長木谷 正道君
人事部長山内 隆夫君
行政部長反町 信夫君
勤労部長尾井 幹男君
財務局局長安樂  進君
経理部長佐藤 兼信君
主計部長松澤 敏夫君

本日の会議に付した事件
 行財政改革の基本的事項についての調査・検討
  報告事項(質疑)
  ・東京及び首都圏における地方自治の問題・課題等について

○川島委員長 ただいまから行財政改革基本問題特別委員会を開会いたします。
 これより行財政改革の基本的事項について調査・検討を行います。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 知事本部の三宅次長、南雲特命担当部長、熊野参事は、公務の都合によりまして本日の委員会に出席できない旨、申し出がございました。ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項に対する質疑を行います。
 報告事項につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布いたしてあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○渡辺知事本部企画調整部長 去る十月二十五日の当委員会において要求がございました資料につきまして、私の方から一括してご説明申し上げます。
 恐縮ですが、表紙から二枚おめくりいただきまして、一ページをごらんいただきたいと存じます。初めに、センター・コア内の主な大規模開発でございます。
 平成十三年三月末現在事業中のものにつきまして、事業手法、適用制度、敷地面積等を掲載してございます。
 二ページをお開き願います。生活環境に関する各種指標に見る首都圏と他県との比較でございます。
 一人当たり県民所得のほか、九つの指標につきまして、それぞれの比較をお示ししてございます。
 三ページをごらんください。日本の独立行政法人の概要及び英国エージェンシーとの比較表でございます。
 法的な位置づけ、職員の身分、人事等につきまして、それぞれの比較を掲載してございます。
 四ページをお開きいただきたいと存じます。都政への要望経年変化でございます。
 都民生活に関する世論調査における都政への要望のうち、上位十項目について、過去五年間の推移をお示ししてございます。
 五ページをごらんください。臨海関係第三セクターの経営状況でございます。
 株式会社東京テレポートセンター外二社につきまして、過去三カ年の営業損益等をお示ししてございます。
 六ページをお開きください。都区制度改革に関する報告書等とそのポイントでございます。
 平成十二年の都区制度改革に関する主な報告書や答申等のポイントをそれぞれお示ししてございます。
 七ページをごらんください。市町村振興交付金・調整交付金の推移でございます。
 (1)の市町村振興交付金につきましては事業区分別に、(2)の市町村調整交付金につきましては配分項目別に、それぞれ交付金額の推移を掲げてございます。
 八ページをお開きいただきたいと存じます。都道府県別人口一人当たりの租税の還元の状況でございます。
 負担額、還元額、還元率につきまして、平成十一年度決算ベースでお示ししてございます。
 九ページをごらんください。国及び地方における長期債務年度末残高合計の推移でございます。十年間の推移を国、地方の別にお示ししてございます。
 一〇ページをお開き願います。直轄事業負担金の決算額の推移でございます。
 道路、河川、港湾の別に、十年間の推移を掲載してございます。
 一一ページをごらんください。首都高速道路公団に対する出資金・貸付金の決算額の推移でございます。
 同じく十年間の推移をそれぞれ掲載してございます。
 一二ページをお開きください。都債発行額及び年度末都債残高の推移でございます。
 一般会計における過去の推移をそれぞれ掲載してございます。
 最後に、一三ページをごらんいただきたいと存じます。都債実償還額及び年度末都債残高見込みの推移でございます。
 一般会計における向こう五年間の見込みをそれぞれ掲載してございます。
 以上をもちまして、要求がございました資料の説明とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○川島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○古賀委員 この行財政改革基本問題特別委員会は、東京の将来像を展望し、都政百年の計を構想するため、前期に引き続き設置された委員会であります。
 我が党は、従前から、これからの世界は都市の時代であり、本格的な都市間競争の時代が到来する。このような時代の到来を見越し、これからの東京のあり方を明確に打ち出していくことが国民の期待であり、東京の責務であると主張してまいりました。また、三千万人を超える人口を有する、世界に類を見ない大都市東京圏の問題は、まさに創造の世界で考えていかなくてはならないとも常々申し上げてまいりました。
 前回、この委員会の場でも改めて我が党の意見を述べましたが、非常に大切なことですので重ねていわせていただきますと、東京という大都市は、我が国にとどまらず、世界の経済をも牽引する重要な役割を果たしている。しかしながら、東京の都市経営という点では、これまで必ずしも十分な議論がなされてこなかった。これからの東京が世界都市としてその力を発揮するためには、東京という枠にとどまらず、一都三県を含めた首都圏全体の地域経営のあり方を考える必要がある。そのためにも、東京みずからが、中長期的視点に立って新しい大都市行政のあり方を示すべきであると主張いたしました。
 我が党は、大衆迎合でみずから墓穴を掘って退散したあの青島知事の時代から、一貫してこのように主張してきたわけですが、いよいよ我々議会側と執行機関とが一体となって、東京を中心とした首都圏行政のあり方について議論、検討を深める時期が来ていると判断しています。
 国においても、地方分権推進委員会の後継機関である地方分権改革推進会議が七月に設置され、さらなる地方分権の進展に向けた議論を開始しています。また、昭和二十七年八月に設置されて以来、内閣総理大臣の諮問に応じ、地方自治制度全般に関する重要事項を調査・審議してきた地方制度調査会も、その第二十七次の審議の場では、地方分権の時代に応じた都道府県や市町村のあり方を取り上げるとも聞いております。
 このように、国においても新たな地方自治のあり方について議論を本格化させているわけですから、今こそ東京都もその考え方を打ち出すときであり、都政改革ビジョンⅢの策定は、今後の都政の進むべき道、ひいては将来の地方自治のあり方を示す極めて重要な取り組みであると考えるものであります。
 そこで伺いますが、このような重要な取り組みに着手するわけですから、最初に、今なぜ都政改革ビジョンⅢの策定に取り組む必要があるのか、これは確認の意味を含めて、改めてその視点をお聞かせください。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 人々の生活圏が都道府県の範囲を超えて広がっており、交通渋滞や大気汚染など、単独の自治体では解決できないさまざまな問題が山積していますが、このような変化に自治制度が十分に対応できなくなっている状況にございます。また、自治体がみずからの責任と判断によって主体的に施策を展開する地方主権を実現するため、一層の地方分権を推進することが必要になっています。
 また、先生ご指摘のように、国においても地方分権改革推進会議が七月に発足し、税財源配分のあり方などについて調査・審議を開始したところであり、地方制度調査会においても、都道府県や市町村という地方自治の基礎的枠組みにまで踏み込んだ議論がなされる予定になっております。
 このような状況の中、都としても、中長期的視点に立った制度改革の提言として、都政改革ビジョンⅢを策定する必要があると考えております。

○古賀委員 今お答えにもありましたが、首都圏にはさまざまな課題が山積しています。このような状況の中、東京の国際競争力の低下が盛んに重ねて指摘されています。人も金も東京に集まらず、素通りしていくともいわれているわけです。まさに東京は、日本を牽引する大都市として危機的な状況にあるといえるのであります。
 冒頭にも述べましたが、今や都市の時代が幕をあけました。人口は六十億人を超え、今後、そのうちの五〇%に当たる三十億人が、百万人を超える都市に集中するであろうといわれています。そこでは、今まで以上に国益をかけた激しい都市間競争が繰り広げられることは、当然に予想されるところであります。
 このような時代に、日本の頭脳あるいは心臓である大都市東京の危機は、国家の危機そのものであるといっても過言ではありません。都政改革ビジョンⅢは、このような状況を十分に踏まえた上で提言していかなくてはなりません。
 では、東京の国際競争力をここまで低下させた原因を端的にいうとすれば何なのか、お考えをお聞かせください。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 東京の国際競争力の低下の原因は、例えば道路の激しい渋滞や空港容量の不足、通勤電車の混雑などに見られるように、交通基盤整備がおくれていることが挙げられます。さらに、今後ますます重要性が高まるIT分野についても、高速インターネットアクセス網の整備の面では、アメリカや韓国などにおくれをとっております。
 このような東京のIT基盤を含めた社会基盤整備のおくれや、環境、安全対策上の問題、コストの高さなど、すなわち、東京の魅力の低減が国際競争力の低下を招いているものと考えます。

○古賀委員 東京の魅力が低減しているというふうに答弁がありました。まさに私もそのとおりだと思います。東京の魅力、首都圏の魅力を向上させ、東京及び首都圏を再生させることが、我が国の再生にとって最も重要なことの一つであるといえるのであります。
 しからば、首都圏再生の意義についてどのように考えているのか、お尋ねいたします。いかがでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 首都圏は、日本の産業、経済の牽引役であり、また、すべての人に活動の舞台として開かれております。首都圏における人々の活発な交流から新しい産業、文化が生まれ、我が国の国際競争力を高めることになります。また、首都圏における交通渋滞や大気汚染などの問題解決が、他の地域の問題解決の先例にもなると考えます。
 このように、首都圏の再生は一地域の問題ではなく、日本再生の早道であり、首都圏の再生は、我が国の再生にとっても欠かすことのできないことだと考えております。

○古賀委員 首都圏再生の意義については私も同様の認識を持っております。問題は、いかに早急に首都圏を再生させるかということであります。
 バブル崩壊以降、経済は低迷し云々などといういい回しをよく聞くわけですけれども、これはもう飽きるほど我々は重ねて聞いております。
 現在、国においても聖域なき構造改革に取り組んでおり、その一環として都市再生本部を設置し、首都圏を初めとした都市再生にも着手しております。
 このような状況の中、都は、首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトを国に対して提案するなど、その積極的な取り組みは肯定的に評価できるものであります。まさに首都東京の活性化を図るためには、依然として不十分である東京を中心とした首都圏の社会資本整備を進めることが不可欠であって、環状道路や放射道路、多摩の南北道路の整備、臨海高速鉄道や成田空港、羽田空港への新しい鉄道路線の整備などは、産業の活性化を促し、国際競争力の向上に直結するものであります。
 しかし、さらにいわせていただければ、このような大規模な事業を成功させ、首都圏を再生させるためには、首都圏全体の発展を目指す、そういう視点を持って、国はもちろん、都を初めとした首都圏の自治体が広域的に連携を深めることが不可欠であります。
 九月には、国の主導で、首都圏再生のための課題の解決を目的とした首都圏再生会議が創設されましたが、このような国の取り組みに頼るだけでなく、首都圏の自治体が協力して、みずから首都圏再生に取り組んでいかなくてはなりません。
 首都圏の自治体の連携の仕組みとしては、七都県市首脳会議が昭和五十四年に設置され、さまざまな取り組みを行ってきたことは私も承知しております。しかしながら、その成果については、必ずしも十分とはいいがたいものがあります。七都県市がそれぞれの行政責任で別個のまちづくりをしている、これが偽らざる現実ではないでしょうか。
 今や、首都圏域内での役割分担、機能の再配置などを行いながらまちづくりを考えていくべきであります。そのためには、七都県市の自治体がもっと密に情報交換をすべきですし、職員の人事交流なども積極的に行うべきであります。さらに、現在、関係自治体が持ち回りで担当している七都県市首脳会議の事務局を常設化することも必要ではないかと思います。首都圏の再生が叫ばれている今こそ、七都県市首脳会議の真の力量が問われているときであります。いかに実効性ある連携、共同の取り組みが行えるかが求められているのです。
 我が党は、これまでも主張しておりますように、まずは現実的な取り組みを通じて広域的な連携を深めていくべきだと考えます。その点について東京都は現在どのように考えているのか、お考えをお聞かせください。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 首都圏再生のためには、首都圏の自治体による広域的な連携が不可欠であり、長期的には道州制論なども視野に入れながら、新たな広域的自治体のあり方を検討していく必要があると考えております。
 しかしながら、お話のように、まずは現行のさまざまな仕組みを生かし、具体的な政策を実施する中で、制度面の不備や欠陥を克服して、最終的にあるべき広域的自治体を模索していくことが重要であると考えております。

○古賀委員 新たな広域的自治制度のあり方を今検討するというお答えですが、今から二週間前の十月二十六日、石原都知事は、地方道路譲与税等の道路特定財源の見直しと、大型ディーゼル車高速道路利用税及び産業廃棄物税の七都県市による共同実施を打ち出し、明日十一月八日、横浜で開かれます七都県市首脳会議で提案すると述べております。このような共同の取り組みが、首都圏自治体の連携強化の契機となることはいうまでもありません。これからも、東京都が率先して、首都圏共通の課題に対する広域政策を提案し、実現に向けた調整等を行っていく必要があります。
 しかしながら、現在の都、県の制度的枠組みの中だけで施策展開を図っていくことは、やはり限界があるといわざるを得ません。統一的、総合的かつ法的な権限と責任を持って施策を立案、実施していくには、各都県の連携強化を図るというだけにとどまらないで、もっと緊密な関係、すなわち、広域連合の活用という次の段階についても具体的な戦略を持って検討していくべきであることは、言をまちません。
 大型ディーゼル車高速道路利用税のような新たな施策が今後も出てくるのに合わせて、都としては、首都圏の将来あるべき姿、広域的な自治制度についての考え方を早急に取りまとめ、世に問うていくべきであります。
 そこで、東京都としては、首都圏における広域施策を効果的に推進していくため、広域的自治体のあり方についてどのような検討を現在しているのか、また、検討結果をまとめたものをいつ発表する予定か、現時点での予定などをお聞かせください。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 首都圏の広域的自治体のあり方につきましては、昨年十二月の東京構想二〇〇〇及び都庁改革アクションプランで述べられていますように、道州制論をも視野に入れた検討の必要性や、ことし四月の首都圏メガロポリス構想における広域連携戦略の提唱なども踏まえまして、今後策定する都政改革ビジョンⅢの検討に先立ち、取りまとめを行っているところでございます。
 発表の時期につきましては、関係自治体の理解と協力を得るためにも、なるべく早い時期に行いたいと考えているところでございます。

○古賀委員 我が党も、新たな広域的自治体のあり方については、大いに今後も力を込めて意見をいわせていただきたいというふうに考えております。
 ところで、東京都は、二十三区の区域に限りましても八百万人を超える人口を擁する巨大な都市であります。JRの一日の乗車人員は約八百六十万人、一日のごみの収集量は約一万三千五百トン、一一〇番の一日の受理件数が三千三百件、さらにこれに三多摩を加えますと、その数字だけでも膨大なものとなるわけです。
 このように、よきにつけあしきにつけ、東京はけた違いに大きな大都市であるわけです。首都圏の他の自治体と広域的な連携を深めると同時に、大都市東京の自治制度の仕組みをどうするのか、これは、今後の東京の行く末を左右する非常に大きな問題であります。
 確かに、現在の特別区制度は、政令指定都市制度と並び、大都市特有の制度として導入されたものであります。昭和二十二年に地方自治法が制定されて以来、幾たびかの大改正を経て、平成十二年四月には清掃事業など三十三事業が東京都から区に移管され、基礎的自治体としての位置づけがなされております。しかしながら、行政能力や財政規模が一つの府県に匹敵するような自治体や、爆発的に昼間人口が流入する自治体もあります。大都市特有のさまざまな問題に直面している特別区制度は、これからも現行のまま維持すべきなのか、より時代に合った制度に見直す必要があるのか、中長期的視点を持ちながら、今まさにその点を慎重に議論、検討する必要があると考えます。
 それでは、都としては、特別区制度など東京都の自治制度の仕組みを今後どのようにすべきと考えているのか、お考えをお聞かせください。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 ご指摘のとおり、膨大な昼間人口の流入や、それに伴う大都市需要への対応などの問題がある東京のような巨大な都市には、それに見合った大都市制度を構築していく必要があると考えております。
 都庁改革アクションプランにおいては、将来的には特別区の再編なども視野に入れつつ、そのあり方を再検討することも必要であると述べておりますが、大都市行政のあり方につきましては、具体的には、今後、議会の皆様を初め関係者のご意見も伺いながら検討していく課題であると考えております。

○古賀委員 現時点ではそのようなお答えであろうというふうに思います。特別区のあり方につきましては今後議論を深めていくということでありますので、その点に関しましては、私どもも全く異論はございません。特別区の問題については、枝葉末節にとらわれることなく、東京の将来像をしっかりと見据え、骨太に議論をしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。
 しかし、忘れてならないと思いますのは、多摩の市町村のあり方についてであります。社会経済環境が大きく変化している中で、市町村におきましても、新たな行政需要への対応や、行政基盤、財政基盤の強化が大きな課題となっております。
 平成十一年には、地方分権一括法の一環として合併特例法も改正され、合併に向けた環境も整備されました。もちろん、市町村合併は、当該市町村みずからが住民意思を尊重しながら主体的に取り組む問題であります。東京都も、広域的自治体として都民や市町村に情報を提供するなど、合併に取り組む市町村を積極的に支援していくべきと私は考えます。
 前回示されました資料、東京及び首都圏における地方自治の問題・課題では、今後、住民に身近な課題に的確に対応できるよう、地域の経営主体としての基礎的自治体の役割や機能を強化していくことが必要であると書かれておりますが、ぜひその考え方に基づいて市町村のあり方を議論していきたいと願っております。
 最後の質問となります。最後にお伺いいたしますが、都市再生プロジェクトのような政策を打ち出し実行するにしろ、新たな広域的自治体のあり方など制度改革を提言するにしろ、首都再生を進めていく上で重要なのは、やはり東京ひとり勝ちという印象を与えないことが肝要であります。例えば地方交付税制度一つとってみましても、大都市と地方とでは考え方に大きな隔たりがあることも事実であります。そのあたりの実情も踏まえながら策定していかないと、現実味の薄い机上の空論になりかねません。全国自治体の雄である東京都が、他の自治体の先頭に立ち、新しい時代にふさわしい地方自治のあり方を提言していく重要な責任を負っているのです。
 そこで、他の自治体も巻き込んだ自治制度改革につなげるため、都政改革ビジョンⅢを策定していく都の決意をここで伺いたいと思います。

○田原知事本部長 都政改革ビジョンⅢにおきましては、現在の社会状況のもとに十分に機能しておりません地方自治制度の抜本的な改革を視野に入れまして、中長期的視点を持って新たな自治体像を東京から発信いたしまして、国に対しても強く働きかけてまいります。これを目指しております。
 策定に当たりましては、古賀副委員長のお話にもございましたように、まずは関係の七都県市、それから自治体との連携の強化のための具体的な戦略を盛り込むなど、実効性のあるものとしてまいります。
 いずれにいたしましても、本委員会を初め都議会での議論を十分にいただきながら、都政改革ビジョンⅢをまとめてまいります。

○古賀委員 まさに今お答えがありましたように、全国三千三百自治体の代表として、東京都みずからが国家と地域のあり方について積極的に提言する、国に対しても強く働きかけることが重要であると思います。
 この行財政改革基本問題特別委員会の場を初め、我々議会側と執行機関とで実のある議論を行い、新しい時代にふさわしい新たな地方自治のあり方を一日も早く打ち出していくべきであるということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。

○和田委員 本委員会は、東京及び首都圏における地方自治の問題あるいは課題等について審査をする委員会であります。
 私は、大きく二点にわたって質問をさせていただきます。その二点とは、都区制度改革、そして大都市行政としての首都圏メガロポリス構想であります。
 まず、都区制度、とりわけ都区財調も含めた議論をさせていただきたいと思うんです。
 平成十二年の四月から、都区制度、大きく七点にわたって改革がなされております。すなわち、第一は、都区間の財源配分の変更であります。それまでの調整率、特別区四四%、都が五六%であったものを、特別区五二%、東京都四八%というふうに大きく改変いたしました。
 その二は、大規模臨時特例交付金を普通交付金化したということであります。大規模で臨時的な事業という性格はほとんど平準化されてきたということを受けて、普通交付金化いたしたわけであります。
 その第三点目は、清掃費という費目を新設したことであります。平成十二年四月から清掃事業が都から特別区に移管をされました。これに伴って、都区財調においても新たに清掃費を入れるということが大きな三点目の変更であります。
 そして四点目は、国民健康保険事業の助成費を新設したということであります。これも、財源不足額を実額をもとに把握して基準財政需要額に加算するという算定から、単位費用による標準算定方式に改定いたしたというところであります。
 五点目は、介護保険事業開始に伴う算定内容の見直しということであります。ご承知のとおり、特別区が負担することとなる介護給付費負担金、あるいは介護保険制度を運営する上での必要な管理事務費を新たに算定したということであります。
 六番目は、基準財政収入額の標準算定化ということであります。これは二つあるわけでありますけれども、決算額等をベースに一つ算定するという方法や、ゴルフ場利用税交付金及び航空機燃料譲与税などを加えるということで、この六点目の改革がなされました。
 そして最後は、国による恒久減税への対応です。このところ国は毎年のように恒久減税、まさに恒久減税でありますけれども、それが都区財調にどのように影響を与えるのか、それを特例的な算定というような手法を用いながら行おうということで、特別区の自立・自助に大きな改革が、以上七点によって平成十二年の四月からなされたわけであります。
 このような改革が、まだ一年しかたっておりませんけれども、一年たって、翌年、すなわち平成十四年度の都区財調あるいは都区制度にどのような影響を与えてくるのか、一年間の運営経過がどのように十四年度に反映されるのかということを中心にして、以下質問をさせていただくわけであります。
 それは、都区間の配分の変更をどういうふうにするのかという点であります。都区間配分のあり方を中期的に安定的なものにしなければ、特別区の財政というのは大変不安定なものに当然なるわけでありますから、安定的な財源の確保の要請が特別区側から出てくることは当たり前のことであります。しかし、東京都の立場からの施策の変更あるいは国の法制度の変更が、特別区財政に大きな影響を与えてくる。例えば、固定資産税の政策減税、あるいは外形標準課税の影響、あるいは平成十四年度における児童扶養手当事務費の区への移管、この経費というようなものがあるわけでありますけれども、この配分理由に該当しないという形で今まで蓄積され累積されてきているおそれがある、そういう事態があるわけでありますけれども、十三年度財調協議において、これもまた懸念されているところでありますが、このような事態を一定期間置いて見直すというようなことを東京都側は今お考えかどうか、このことをまずお伺いいたします。

○反町総務局行政部長 ご指摘がございましたように、現在の都区間配分は、平成十二年度の都区制度改革を踏まえまして、中期安定的なものとされております。一方、平成十七年度までは清掃職員の都からの派遣制度という特例的な取り扱いを行っておりまして、この取り扱いが終わるまでの間に都区双方が想定できない事態が発生した場合には、都区間配分の変更について協議を行うこともあるということを確認してございます。このため、今後、個々の課題につきましては、必要に応じて都区間で協議をしていきたいと考えております。

○和田委員 都、区という関係は、都が兄貴で弟が区だという、そういう上下関係ではなくて、まさに地方分権の時代であり、対等、互恵関係にあるということをぜひ理事者の皆さん持っていただきたいと思うんです。国が長男で都が次男で区が三男だというような見方ではなくて、同じ、三つ子というか、一遍に生まれた、そういう人格を持つというような、そういう認識をぜひ持っていただきたい。
 都区協議などでは、往々にして都の方がぐっと力で押し切っちゃうような事例を、区議会議員時代、私よく経験しましたけれども、もう時代も変わってきて、地方自治法も改正され、十二年の四月から大きく特別区の立場が変わってきているわけでありますから、そのことを具体的に話し合い、協議の中でも生かしていってほしいということは要望させていただきたいと思うんです。
 次は清掃事業についてなんです。
 さきに紹介申し上げた第三番目の改革の中に、清掃事業費の新設というのがありました。これは、今特別区においても、相当難儀をしているところもあるし、立派にこなしているところもある、まだら模様の状態だということを承知しております。とりわけ、平成十二年度に導入して一年間やってみた結果を、今この十三年度検証しているところだと思うのでありますが、例えば事務手数料の算定にかかわってくる特別区相互間の修正を東京都はどういうふうに手直ししてくれるのかなというようなこともあります。また、清掃施設の整備費の償還経費の適切な算定などもしなければならない。
 具体的な問題が内在をしているわけでありますが、まだ一年しかたっていないというのか、もう一年たったという立場、いろいろ分かれると思いますけれども、当局は、このような清掃事業、今申し上げたことも含めて、将来的にどのような手法、手段を用いていこうとされているのか、お答えいただきたいと思います。

○反町総務局行政部長 昨年度の都区財政調整協議におきまして、清掃事業に係る平成十二年度の各区の事業実績と都区財政調整における基準財政需要額との比較、検証を十三年度に行うということにいたしました。現在、都区共同で清掃費の検証を行っているところでございますが、現段階で申し上げられる見通しといたしましては、清掃費総体として実績をおおむね満たす結果となるのではないかと考えております。
 今後、詳細な結果を見まして、必要があれば、都区間で協議を行った上で改善を図っていきたいと考えております。

○和田委員 平成十二年二月十日に都区協議が開かれまして、五項目の確認事項というのを都区で交わしています。その中の五番目に、清掃事業の特例的な対応が終了する平成十七年度の時点で配分割合の見直しを行うことは当然として--当然としてですよ、それまでの間、大きな制度改正やどうしても対応できない事態が発生した場合には、配分割合の変更についても協議する、こういう一項が入っているわけでありますから、今のご答弁はまさにこれを確認していただいたものと思うのでありまして、十七年まで待つことなく、その間に大きな制度改正やどうしても対応できない事態というのを都区間で認知した場合には、配分割合の変更も協議するとなっているわけでありますから、十七年度、十七年度だけじゃなくて、その間の過程でも、勇気ある協議ということも大胆に取り入れるということもあり得るということだと思うんですが、そのことについてはもう一回答弁をお願いします。

○反町総務局行政部長 繰り返しになりますが、現在都区間で清掃費の検証を行っておりまして、その結果の詳細を見まして、必要があれば、都区間で協議を行った上で改善を図ってまいりたいということでございます。

○和田委員 要するに、この五項目めはこの文言どおり理解していいというふうに、私は、これ以上でもなくこれ以下でもないというふうに確認をさせていただきたいと思うんです。
 次に、都市計画交付金についてお尋ねいたします。
 平成十二年度及び十三年度とも百三十億円の都の予算措置に保たれているというか、とどまっているというか、表現は別にしまして、あるわけです。都区の都市計画事業の実態との間の乖離が二年間改善されなかった数字が百三十億にとどまっているということで、証左だと私は思っているんです。
 都市計画交付金の適切な措置は、特別区における着実なまちづくり事業の進展のためにはぜひとも欠かせないものだという認識は都も区も持っていると思うんです。これについては、都市計画交付金が百三十億で十二年度、十三年度とどまってしまったという経緯も含めて、どのようにお考えになっているのか、お尋ねいたします。

○反町総務局行政部長 都市計画交付金につきましては、都区双方の都市計画事業の実施状況に見合った配分が行われるよう検討する課題とするということを、都区間で確認しているところでございます。
 このため、都市計画交付金の原資である都市計画税の性格を十分に踏まえつつ、特別区における都市計画事業の実施状況も勘案いたしまして、都市計画交付金のあり方を検討する中で、今後都区間で協議をしてまいりたいと考えております。

○和田委員 今まさに答弁されたとおり、都市計画税そのものの性格に正直にというか、正しくといいましょうか、それに沿った交付がなされなければならないと思うんです。したがって、都市計画を行う大きな部分というのは、区の方が今大きな都市計画事業を抱えているわけでありますから、東京都のような大規模なものとは違って、特別区に合致するような形での都市計画、こういうものを起こしていくときの原資という形になるわけでありますから、この都市計画税そのものの持っている性格を再度認識していただきながら、都区協議及び区の要望についてもぜひとも耳を傾けていただきたいということを強く要望いたしておきます。
 都区制度の最後の問題に入りたいと思うんですが、これは教育費にかかわって、小中学校の改築需要の問題です。
 財政事情が厳しいといいながらも、特別区に建てられた小中学校は、おおむねその改築等が余儀なくされている年次に達してきています。この中で各区がそれぞれアイデアを出しています。例えば私の北区のようなところは、学校改築基金というようなものをつくって、みずから、改築に先立って、十年、二十年後に向けて蓄えをしておこうというようなこともやっています。
 これらの情熱なり熱意は別にしましても、特別区の今後の改築需要というものを適切に見積もって都区間で算定をしていくという、そういう土俵づくりはぜひやっていただかなければならないと思うのでありますが、いかがでありましょうか。

○反町総務局行政部長 小中学校の改築需要急増につきましては、実施状況を踏まえて対応していくことを都区間で確認しておりまして、今後、各区の改築需要の実態を踏まえまして、必要に応じて都区で協議をしていくことになると考えております。
 なお、既に教育費において、義務教育施設の改築経費などに係る将来需要として、今後の児童生徒数の推移を見込んで、現行算定を補完する形で、約三十七億円を平成十二年度から加算して算定してございます。

○和田委員 これまた十二年二月十日の五項目確認事項の中の二番目に、今ご答弁のとおり、今後の小中学校の改築需要急増への対応については、実施状況を踏まえて協議するということでありますから、三十七億円の教育費に対してとりあえず配慮されたということを含めて、建物全体にもしっかり意を用いていただきたいというふうに、これもまた強く要望いたしておきます。
 次に、大都市行政としての首都圏メガロポリス構想について伺います。さきに古賀委員の方からも少しく質問がありましたが、重複を避けて続けたいと思うんです。
 よく七都県市というと、人口が三千三百万で、イギリスと匹敵する人口だというようなことをいわれておりますし、この首都圏メガロポリス構想の中にも、そのように、石原さんの、知事のメッセージとして書かれています。それほどまでに大規模だという認識を持ちながらも、しかし、それほどしっかり機能しているのかなという不安も正直あるわけであります。
 首都圏メガロポリス構想でも、首都圏における環境汚染、特に大気などは、東京にとどまらず、川崎の方に行ったり千葉県の方に行ったり、動くわけであります。そういうような、まさに広域行政になじみやすい環境汚染、それは水の問題もそうです。特に東京湾というのは回流しておりますから、千葉、神奈川、東京という一都二県には大変関心のある問題であります。
 このように、地域を越えて動いていく環境汚染あるいは環境という問題を中心にして首都圏メガロポリス構想というものを位置づけていくと、急いでこの手だてをしなければならないということが認識できると思うのでありますけれども、当局は、環境の改善に向けた取り組み、どのようなものを現在行っているのか、まずお尋ねいたします。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 ご指摘のありました東京湾の水質汚濁につきましては、改善傾向になく、窒素、燐の負荷量を減らすため、三都県、東京、千葉、神奈川で窒素、燐の上乗せ排出基準を条例化するなどしているところです。
 また、首都圏の大気汚染につきましても、窒素酸化物や粒子状物質等の環境基準の達成状況が低く、深刻な状況になっております。そのため、七都県市では、自動車からの窒素酸化物等の排出量の削減に向け、低公害車の指定などの取り組みを行っております。

○和田委員 報ぜられるところによりますと、二〇〇五年度には産廃処分量を半減しようということで、国と七都県市が五年前倒しして取り組もうというようなことが伝わってきています。このように、産業廃棄物処分を含めて、可及的速やかに首都圏が取り組まなければならない問題というのが目の前にあるわけでありますので、今お答えいただいた空気や水、すなわち、海というような、東京湾というようなところに限らずに、幅広く七都県市で連携がとれる問題を摘出しながら努力をしていただきたいというふうに思います。
 さて、続けて環境の改善なんでありますけれども、今は二つの事例をお伺いしました。それでは、これから将来に向かってどのような取り組みを必要と考えていらっしゃるのか、お伺いいたしたいと思います。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 水質改善に向けましては、窒素や燐の削減指導や下水道整備など、また大気汚染を防止するためには、排出ガスの統一基準の策定や規制の強化等、さまざまな施策を進めておりますが、今後も、首都圏の自治体が連携し、一体的な取り組みを進めていくことが重要であると考えているところでございます。

○和田委員 模範的な回答で、まあまあそういうことなんでしょうけれども、もう少し意欲的に答弁もお願いしたいし、取り組み方も、目に見える形で、都議会をあっといわせるような取り組みをぜひ考えていただきたいと思うんです。知事が先頭で大号令を発して、後から皆さん方がついていくのではなくて、知事のその大号令を補完し、なおかつそれを生かしていくような形で、石原知事と皆様方が両輪のように、都民の目、都議会に具体的に具示できるような形でぜひお願いいたしたいと思うんです。
 次は、情報ネットワークについてお伺いいたしたいと思うんです。
 空気や東京湾というように、一都二県に共通して起こる問題と同じように、さらにもっと広く、情報ネットワークというのは、区境なく、境目なく飛び回り、動き回る、そういうような性格を持っているわけでありますから、まさに大都市行政に積極的になじみやすい問題だというふうに思っています。
 この情報ネットワークをしっかり張ることによって、私どもの生活がより簡便になり、なおかつ快適になるというようなことを目指すわけでありますけれども、今このような理想に向かって考えるときに、どのような課題をご認識しているのか、抱えているのか、また、今後の取り組みの方向などについてどのように考えているのか、お尋ねいたしたいと思います。

○木谷総務局IT推進室長 ご指摘のとおり、都市再生及び我が国経済の活性化の観点からしますと、首都圏三千三百万人の集積を生かした情報通信ネットワークの構築は極めて重要な課題だと考えています。この構築に向けては、基幹的な光ファイバー網の整備、ラストワンマイルと呼ばれる加入者系の超高速インターネットの普及などの課題があります。このため、学識経験者で構成される電子都市構築に関する懇談会を設置して、これらの課題について検討していきたいと考えています。

○和田委員 私ども都議会民主党も、電子都庁ということを強く前々から訴えてまいりましたが、今答弁では、電子都市構築に関する懇談会ということで、都庁に限らず、電子都市、七都県市も含め、またそれにこだわらない、日本じゅうあるいは国際的にもそれをつなげていこうというふうな意欲を感じ取ったわけでありますが、ぜひともこのような懇談会を早急に設置して、一日も早く、今不況だ不況だといって嘆き悲しんでいる我が国産業界、東京都産業界に大きな光を与えてもらいたいと思うんです。
 次の質問にもこれは関係するんですが、産業政策と情報ネットワーク、これは不即不離の関係になっていると思うんです。したがって、情報ネットワークをうまく利用した産業や企業が生き延びていく、あるいは成長していく、そういうようなネットワークこそが望まれるのでありまして、それが、沈滞を余儀なくされている東京都のあらゆる産業に光明を照らすということになるだろうと思うのでありますが、この情報ネットワークと産業政策をつなげていくどのような方策を今お考えなのか、お尋ねいたしたいと思います。

○木谷総務局IT推進室長 産業活動もまた行政区域の枠を超えて展開されておりまして、情報ネットワークを構築し、産業政策の広域連携を積極的に進め、産業活動を支援することが大変重要な課題だと考えています。
 産業労働局では、既に、産業技術データベースとして、公設試験研究機関が保有する技術や設備に関する情報をネット上から検索できる関東甲信越静バーチャル公設試を構築し、ホームページに公開していると聞いています。情報のネットワーク化は、データの標準化などの解決すべき課題もありますけれども、今後とも、産業振興ネットワークの構築に当たって、関係局に対し必要な協力をし、取り組んでいきます。

○和田委員 総務局答弁では、産労局ではこういうことをやっている、すなわち、関東甲信越静バーチャル公設試というようなことで、間接話法でお話しになったんだけれども、いわゆる総務局と産労局そのものが、もっと、私どもと一緒になってやっていますよという直接話法で答えられるように、同じ都庁の中で、と聞いているなどという情けない答弁ではなく、しっかり私たちは産労局と手を握ってやっていますよということが答えられるような、そういう自覚といいましょうか、そういうものをぜひお願いしたい。そういう積極的なかかわり方をこの際求めておきたいと思うんです。
 それから、情報ネットワークが産業にまで大きな影響を与え、その帰趨を握っている総務局なり産労局だと思うわけでありますが、もう一方では、行政サービスにもこの情報ネットワークは大きくかかわっていることはご承知のとおりです。例えばワンストップ化、電子入札の実施、こういうことでの、目に見えてもうほかの自治体ではやろう、あるいはやっているところもあるというようなことを聞いているわけでありますが、東京都はどのように現状認識をされて、どのようにそのおくれを、もしもあるとすれば、取り返されようとしているのか、お答えいただきたいと思います。

○木谷総務局IT推進室長 情報ネットワークを活用し、行政サービスを向上させるために、電子都庁推進計画では、自宅や会社からインターネット等を利用して申請、届け出等ができる電子申請や、入札、契約を電子的に行う電子調達を導入することとし、現在開発を進めております。人々の生活圏が広域化していますので、首都圏においても、自治体の枠を超えて、ワンストップサービスや統一的な電子調達方法などが実現されることが期待されています。
 今後、首都圏の自治体が連携して、総合行政ネットワークを活用するなどの方策について電子都市に関する懇談会で検討するとともに、七都県市首脳会議の場などを活用しまして、実現に向けて努力していきたいと考えています。

○和田委員 そのまさにワンストップ化や電子入札という、業界も含め、産業界全体がスピードアップ化されるし、透明度が増してくるというようなことでありますから、一日も早くこの種の情報ネットワークの諸施策の実現というのは待たれるものでありますので、またそれが産業振興にもつながるというふうに私は思っておりますから、強くこれの早期実現を求めておきたいと思うんです。
 その次には、情報ネットワークから離れますが、都市基盤整備の問題などです。
 かつてのこの行特委の中でも、産業を活性化していくために、もっと規制をなくしていくべきではないのか、例えば都市型産業の再生を図るために、四十年以上も続いていた工業等制限法をなくすべきだということを議論したことがありますけれども、そのような撤廃実現に向けてどのような具体的な動きがなされているのか、また、客観的にそういう動きがあるのかということについてのご報告をお願いいたしたいと思います。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 首都圏が日本の経済を活性化し、牽引していくためには、圏域の企業や大学等の集積を生かし、産業の活力を維持発展させていくことが重要でございます。
 ご指摘の工業等制限法は、新たな産業の創出や産・学の連携を図る上での阻害要因となっておりまして、都は、先日、埼玉、神奈川、横浜、川崎と連携して、国に対しまして工業等制限法の廃止について要望したところでございます。
 今後とも、廃止に向けて、関係自治体と連携をして取り組んでまいります。

○和田委員 工業等制限法という四十年前のこの法律というのは極めて奇異な法律でありまして、工業等の「等」の中に大学も入っているんですね。大学と工業を一緒にして制限しちゃおうという、こんな法律をつくった時代があったわけでありますけれども、都市化が進み、そして快適ないわゆるアメニティー状態が出てきているわけでありますから、四十年続いたこのような法律は即刻廃止をして、本当の意味で今息づいている、都民がどのように生きていったらいいのか、生活していったらいいのか、あるいは産業にかかわっていったらいいのかというようなことをまともに受けとめた法律をつくるなり、あるいはこのような制限法などは撤廃していく必要があるというふうに私ども都議会民主党も考えているところであります。
 さて、メガロポリス構想の中では、首都機能を維持して集積メリットを発揮する圏域づくりの必要性をうたっています。そのために、首都機能のバックアップ、それがどのように機能していかなければならないのか、また、そのためのどのような課題があるのか、お伺いいたしたいと思います。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 地震等の災害や同時多発テロなどが発生いたしましても国家の中枢機能が麻痺することのないよう、バックアップ体制の整備を進めることは極めて重要です。そのため、国と七都県市が連携をして、危機管理体制の強化や、災害時等における臨時施設の確保などの課題に取り組むことが必要であると考えております。

○和田委員 ニューヨークの例を見るまでもなく、危機管理をどのような場面でも、それは財政的な危機管理、生命の危機管理も含め、町を守る、都市を守るという危機管理をやるのには、東京都一つだけでは、一都だけではとても務まるものではありません。また、千葉だけでも神奈川だけでもだめでありまして、共通なメガロポリスという、そういう認識を持つ七都県市が共通項で結ばれる、そういう危機管理体制をぜひ一日も早くつくってもらいたいと思うんです。
 そのための一つの結果として、災害時におけるお互いの補完あるいはお互いの助け合いということになると思うんですが、災害があってもなくても、首都機能のバックアップ体制というものをいつでもそこに用意しておかなければ、三千三百万の七都県市の生活者に対する配慮が欠けてくるのかなというふうに思いますものですから、一番発言力が大きい東京都、そしてまた一番発言する声の大きい石原知事を背景にしながら、東京都はリーダーシップをとってこの問題をぜひ進めていきたい、いかなければならないというふうに思いますので、当局の方にもよろしくこれらの検討についてはお願いいたしたいと思うんです。
 そして、これは最後になりますが、今申し上げたバックアップ機能、体制というものを充実強化していくためには、どのような方策を当局は考えていらっしゃるのか、お伺いいたしたいと思います。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 ご指摘のありましたように、首都圏の再編整備によるリスク分散はもとより、都県単位では対応が難しい激甚災害等への対応など、危機管理体制の強化が重要な課題になっております。これらの課題にも対応できるよう、一都三県の自治体の広域連携の仕組みについて今後検討してまいります。

○和田委員 私、今まで、行特委でも重要な問題だと我々都議会民主党が考えてきている都区制度改革の問題、あるいは大都市行政としての首都圏の主たるいろいろな課題について触れてまいりました。これから折を得て、同僚議員がそれぞれの課題を当局に問いただすことになると思いますが、よろしく研さん方を強く要望して、私の質問を終わります。

○石井委員 国においても構造改革論議がなされておりますが、その中核は、特殊法人を民営化するか、または廃止するかという議論に収れんされております。
 私は、必ずしも民営化し廃止することが正しいとは思いません。例えば、政府系の金融機関を民営化すれば、中小企業の大きな資金的なバックグラウンドになっている金融機関が民営化されますと、非常に中小企業、困ってしまうということ一つをとってみても、必ずしも何でも民営化し廃止すればいいとは思いませんが、やはり特殊法人改革は大きな課題だと思います。
 それに対応するのは、東京都の監理団体ではないかと思います。東京都の監理団体について、私たち公明党は、今日まで、具体的な提案を含め、この統廃合を推進してまいりました。そうした立場から、二、三お尋ねいたします。
 まず初めに、外郭団体、監理団体の今日までの統廃合の現状、外郭団体の数、それから東京都の税金の投入、または派遣職員を含めた職員の推移をお尋ねいたします。

○島田総務局行政改革推進室長 監理団体の数でございますが、平成九年度七十団体、平成十三年度現在五十八団体、監理団体改革実施計画の最終年度となります平成十五年度末で四十七団体を目指してございます。
 次に、監理団体への財政支出でございますが、平成十三年現在、十三年度予算額二千二百十八億円でございます。監理団体改革実施計画によりますと、平成十一年度予算額二千七百四十一億円を、平成十五年度七百二十億円削減いたしまして、二千二十一億円とする目標としてございます。
 次に、監理団体の常勤職員数でございます。平成九年度七千九百十五人、平成十一年度九千五百四十七人、平成十五年度八千六百人。都の派遣職員は、平成九年度三千百七十二人、平成十一年度四千五百八十五人、平成十五年度で三千六百五十人、おおむね、十一年度に比較いたしまして、十五年度で九百四十人削減を目標としております。
 以上でございます。

○石井委員 先日の新聞報道によりますと、これは国の特殊法人の統廃合の話なんですが、その数が少なくなったというだけに目を奪われてはならない、中身を吟味しなきゃいけないということがいわれておりました。確かに監理団体の数は、七十から、最終的に平成十五年四十七ですか、数は減る、それはわかりますけれども、例えば今お話のあった派遣職員とか常勤職員は、平成十一年に比べれば少なくなっているかもしれないけれども、平成九年度に比べれば--九年と十三年を比べただけでも九百九名ふえている、常勤職員数も九百八十四人ふえている。これは、障害者福祉施設の委託職員を東京都が持っていったということはあるかもしれないけれども、それにしても、東京都がその分全部委託費で金を払っているわけだから、本当の削減にはならない。今後、職員、派遣職員を数の上でも削減していって本当の統廃合になるんじゃないかと思います。この点は指摘をしておきます。
 ところで、この間の第三回定例会で、多摩ニュータウン開発センターが経営破綻して、民事再生手続で都の債権を放棄し、私たち議会が承認をしたということがありましたけれども、この問題について東京都の行政責任をどう感じているか、または、この問題を都としてどう総括しているのか、お尋ねいたします。

○島田総務局行政改革推進室長 ご案内のとおり、多摩ニュータウン開発センターの民事再生手続は、そごう百貨店など相次ぐ各テナントの退去により経営状況が悪化し、このまま放置すれば破産という最悪の事態も想定されるぎりぎりの状況の中で選択したものでございますが、都の債権放棄額は約八十五億円という多額に及んだことの重大性は、十分に痛感しているところでございます。
 しかしながら、債権回収がほとんど期待できない破産を回避し、地域住民の生活利便性を確保するという目的に照らし合わせ、やむを得ない選択であったとも考えており、今後は、早期に会社の再建を図ることが、多摩ニュータウン西部地区のさらなる発展に全力で取り組んでいくことが、都の責任のとり方ではないかというふうに考えております。

○石井委員 日本全体がバブルに踊っていましたから、この多摩ニュータウン開発センターの経営者、またその担当部局だけを責めてもしようのないことでありますけれども、やはり都民の税金を放棄したということですから、その痛みを感じていかなきゃいけないと思います。
 ところで、今後そうした多摩ニュータウン開発センターのような事例が東京都の監理団体で起こるのかどうか、お尋ねします。

○島田総務局行政改革推進室長 監理団体各団体は、現在さまざまな経営改善に取り組んでいるところでございます。多摩ニュータウン開発センターと同様な事態が生ずる団体はないものと現時点で認識しております。

○石井委員 東京都の監理団体経営評価一覧の中で、平成九年、東京都の当時の七十の団体を評価したそのときに、株式会社多摩ニュータウン開発センターと同様、大変厳しいと評価した団体が、株式会社東京テレポートセンター、それから竹芝地域開発株式会社、そして東京臨海副都心建設株式会社。多摩ニュータウン開発センターを含めた四団体が非常に厳しいとこの時点で評価をしていた。
 ところで、それを裏書きするように、先日の新聞報道によりますと、市民団体が、この臨海三セク三社について、早期に抜本処理を、また三社は解散すべきだ、このような記事が出ていましたけれども、どう考えますでしょうか、お尋ねします。

○島田総務局行政改革推進室長 ご指摘の臨海三セクは、経営安定化策に沿って着実に経営改善を進めてきており、既に安定化策の目標の一つでございました減価償却前黒字は平成十年度に達成し、また平成十一年度には営業黒字も達成してきております。こうしたことから、目標としております平成二十三年度の単年度黒字の達成は可能と考えており、現時点で早計な評価を行うべきでないというふうに考えております。

○石井委員 それでは、この十二年度の、さっき十二年度決算の数字が出てまいりましたけれども、確かに単年度では、それぞれ、東京テレポートセンター二十六億、臨海副都心はマイナス一億、竹芝地域開発は十三億の単年度の営業損益、利益が出ているけれども、それをはるかに超える借入金があるために、大変な累積損益が出ているわけです。こうした問題をどう解決しようとしているのか、お尋ねいたします。

○島田総務局行政改革推進室長 現在進めております経営安定化策ですが、一つには、三社の事業を東京テレポートセンターに集約化していること、さらに、会社の内部努力といたしまして、賃料収入の増収対策並びに人件費、諸経費の削減、さらに東京都からの、一例を挙げますと、地代を七五%減免、三社に対し総額百七億円を無利子貸し付け、こういったご支援もいただいております。並びに金融機関でございますが、適用金利の引き下げ、変動金利から固定金利への変更など、金融機関の協力もいただいているところでございます。

○石井委員 例えば、累積債務のある会社は統廃合できないから、法律上、平成十年に形の上では東京テレポートセンターに集約をしたわけですけれども、実際はそれぞれの長期債務がはるかに膨大になっている。この一覧表に出ている累積損益、三社で八百二十七億円、さらに、この表には出ていませんけれども、債務超過額二百八十一億円というもうどうしようもない状況にあるわけですが、これまでの議論でもあったようでありますが、今までの対応だけでは乗り切れないという現実がある。どうしようとしているのか、重ねてお尋ねします。

○島田総務局行政改革推進室長 ご指摘のとおり、債務超過、大きいものがございます。しかしながら、先ほど申しましたさらに徹底した内部努力、そうしたものが求められているというふうに痛感しております。さらに、りんかい線の大崎延伸、さらに、現在の低金利による返済額の減少、こういった有利な材料も加わっております。監理団体所管の港湾局ともども努力をしてまいりたいと考えております。

○石井委員 後ろの方で港湾局の津島総務部長が心配そうに見ています。先ほどいろいろお話を聞きました。確かに、金利の圧縮をする、またさまざまな経費の圧縮をする、これも一つの乗り切り策だと思います。
 そこで、これは監理団体総体にいえることですが、経営改善計画、こんなふうに出ていますけれども、非常に甘いですよね。甘い。もっともっと経営者そのものが経営責任--経営評価制度をつくるべきだといったのは私ですけれども、そのときに、会社だけの経営評価じゃなくて、経営者の評価制度もつくるべきだと私は申し上げたんです。失礼ないい方ですけれども、名局長必ずしも名社長とは限らないわけだから、そういうことも含めて、経営改善計画、もっとより実効性のあるものをつくるべきだと思いますが、いかがですか。

○島田総務局行政改革推進室長 ご指摘のありました、平成九年度に導入いたしました経営評価制度は、各団体の財務指標の分析を中心としたものであり、今回見直しの中で、目標による管理の視点が不十分であったというふうに認識しております。
 そのため、先般の監理団体総点検においては、評価制度の抜本的な見直しを行うものとしております。従前の制度に基づく評価は当面実施せず、十三年度から新たな数値目標を各団体に与えまして、そういった経営目標をつくって経営評価を実施しております。

○石井委員 それから、経営者の資質も問うようなきちんとした評価制度を、数値目標を入れてやるべきだと思いますが、いかがですか。

○島田総務局行政改革推進室長 役員の経営評価をすべきであるというご指摘でございますが、既に平成十三年度から、各監理団体の業績評価を経営者の評価にいたしましてスタートしております。十三年度の評価を、十四年度に経営者の報酬という形で反映させてまいります。

○石井委員 それから、三セクについての外部監査はどんなふうになっているか。

○島田総務局行政改革推進室長 平成十一年度から、公認会計士の方によります外郭団体の包括外部監査をスタートしてございます。平成十一年度では、例えば臨海熱供給株式会社、財団法人東京都新都市建設公社など十件、平成十二年度には「ゆりかもめ」など四件、十三年度現在四件進めてございます。

○石井委員 最後に、大関局長に総括してお尋ねいたします。
 東京都も一生懸命努力していることはわかりますけれども、現実に非常に大きな課題があるわけですよね。しかも、東京都の足を引っ張っている。監理団体の経営については、もっともっと民間の創意工夫を入れるべきじゃないかと一つは思います。例えば、いろいろな箱物をつくるのに、PFIを導入して、民間の創意工夫、金を投入して、そしてなるべく税金投入を少なくして行政目的を達するというぐあいに、こんな方法でいろいろやっております。こうした監理団体の経営についても、もっともっと民間の創意工夫、人も金も入れてやるべきではないか。
 私も、これはどうしたらいいのかといろいろ真剣に考えているわけでありますが、例えばリース会社なんかは、リース会社には金が余っている、優秀な人もいる。リース会社の金を使い、人を使い、こうした監理団体を、アメリカでやっているような証券化して、金を使ってこの難局を乗り切る、こんなことも大事じゃないかと思うし、また臨海の、これは港湾局なのかもしれないけれども、にぎわいをもっともっと創出していく。
 神奈川県の金沢区に八景島というのがあるんだけれども、この間行ってみたんですけれども、大勢の人が来て、臨海もかなりにぎわいがしてきたけれども、それをはるかに超えるようなにぎわい、若者が非常に集まっているということもありますから、そういう臨海のにぎわいをつくって人を集める、そうした民間の創意工夫を入れながらやっていかないと、これは大変なことになりますので、そういうことをひっくるめて、この監理団体の今後の対応について、局長に最後にお尋ねいたします。

○大関総務局長 監理団体の改革、これはもういうまでもないことなんですが、各団体がみずから計画をつくって積極的に取り組んでいくということは当たり前のことなんですが、これがなかなか、つくった段階では、これでよかろうと思ってつくるんですが、一年たちますと、それが陳腐化してしまう、社会状況が変わってしまうということで、大変状況が合わなくなってきております。
 特に今その状況が激しいのが、貸しビル業みたいな部分でそういう兆候が出ていまして、何年後にはこれだけ家賃が上げられるであろうという例えば計画をつくりましても、逆に今度は、その段階に行くと下がってしまうというようなこと、その営業努力の中でどういう努力ができるかといいますと、残念ながら、先生おっしゃるように、なかなか貸しビル業になじまないといいますか、余り得意じゃない人たちが外交をやっている部分がたくさんあると思います。そういう点で大変殿様商売といいますか、いわばダンピングしてでも入れてしまうというような、そうしなければ満杯にならないというようなことの繰り返しになっているんじゃないか、こう思っております。
 何かそういう中にもう少し、そういうことの駆け引きといいますか、それから情報も張りめぐらされた、そういうところのノウハウ、こういうものを入れた経営のやり方ということが今後必要になってくるのかなと思っております。
 当然、そういうためには、民間のそういう人材あるいはそういうシステム、こういうものを活用して、これからも一番いい方法を取り入れながら改革していきたい、このように考えております。

○渡辺委員 石原都政が誕生してから二年半がたちました。石原都政の目指す方向、施策の骨格というものがおおむね明らかにされてきたというふうに思います。その上に立って申し上げて、質問をしていきたいというふうに思います。
 都政の基本的方向の点では、危機突破・戦略プランが一昨年の十一月に発表され、その後、この構想に沿って東京構想二〇〇〇や首都圏メガロポリス構想が打ち出されました。
 行政改革では、都政改革ビジョンⅠが昨年十二月に発表され、この委員会でも論議された成東児童保健院の廃止や都立病院の統廃合など、長く都民生活を支えてきた行政制度や仕組みの見直しが行われてきたわけであります。
 施策の見直しでは、財政再建推進プランによって福祉の大規模な切り捨て計画が青島知事のもとで発表され、このときは、都民世論、運動と議会の一致した声で否定されました。石原知事になってから、石原知事は、全国に誇れる福祉十事業を中心に、かつてない規模での福祉の切り捨てを強行いたしました。
 一方、国政においては、小泉政権の誕生があり、不良債権の早期処理や社会保障の連続的改悪など、国民に激痛を押しつける改革が進められています。
 二十一世紀を迎えた今日の時点で、この石原都政の進めてきた施策とこれから進めようとしている方向について真剣に考えるときに来ているというふうに思います。都政を憲法が定める地方自治体の本来の姿に立ち戻らせることが今強く求められているのではないか、そのことが都民の負託を受けた私たち都議会議員の責務ではないか、こういうふうに思っているところです。
 そこで、まず、最も早く実行に移された財政再建推進プランに基づく福祉の見直しについてですが、都は、老人医療費助成やシルバーパスなどの高齢者福祉の見直しに当たって、高齢者裕福論、現金給付的事業の時代おくれ論などを制度の見直しの論拠に挙げました。
 この間の論議で、大多数の高齢者はぎりぎりの生活を強いられており、むしろ所得格差が広がっていることは明らかです。現金給付的事業は、本格的な少子高齢化社会のもとで必要性を増していることが一層明らかになりました。都側の切り捨て論の根拠のなさを示すものとなっただけだと思います。このことはこの委員会でも取り上げてきましたけれども、改めて今日の時点で考えてみたいと思います。
 この切り捨てによって、高齢者福祉では、東京都は全国の大都市の中で一番立ちおくれた都市となってしまったということを申し上げたいというふうに思います。
 福祉局の事務事業概要質疑の委員会資料、この十月に出されたものですが、これを見ますと、今年度、政令指定都市の中でマル福を実施していないのは横浜市だけで、十二政令都市のうち十一市がマル福を存続させています。シルバーパスも、十二市のうち、無料パスがないのは千葉市と広島だけであります。東京でこのままマル福が廃止されれば、マル福と無料のシルバーパスの両方とも制度がなくなるのは、大都市では東京だけになってしまうのです。
 現金給付的事業が時代おくれといいますけれども、一体どこが時代おくれといえるんでしょうか。ヨーロッパでは、現金給付的事業は今でも福祉の原点になっているということ、都民の願いにも本当に逆行する問題でしかないということは明らかだというふうに思っています。
 そこでお聞きしますが、都民生活に関する世論調査、これは二〇〇〇年十一月に発表されたものです。この中で、都政全体について考えた場合、ここに挙げていることのどれに力を入れてほしいと思いますか、特に東京都に力を入れて取り組んでもらいたいものを三つまで選んでください、こういう質問がありますが、その第一位から三位まで、三つ答えていただきたいと思います。

○荒川知事本部企画調整担当部長 東京都が毎年実施しております都民生活に関する世論調査の中で、都政の要望の上位三位ということで、平成十二年度の場合を申し上げますと、一位が高齢者対策で四四・七%、二位が医療、衛生対策で三六・五%、三位はごみ産業廃棄物対策で、二五・三%というふうになっております。

○渡辺委員 ちなみに申し上げておきますが、道路交通網の整備というのは、第十位で八・七%であります。
 もう一つ伺いますが、都政の逆立ちぶりを示すものが、介護基盤整備の問題だというふうに思います。東京都の介護基盤の水準は、全国最低水準にまで落ち込んでいるといってもいい過ぎじゃありません。
 例えば、老人保健施設定員ですけれども、全国四十七都道府県のうち四十七位、在宅介護支援センター、これも四十七位、デイサービスのセンター四十四位、特別養護老人ホームの定員で、これは二十五位、こういう状況になっています。東京都が手厚く高齢者福祉をやってきたということではないということは、これを見ても明らかだというふうに思います。
 これに加えて、福祉の切り捨てを行ったのだから、東京は今や福祉後進県、こういうふうにいわれても仕方がない。福祉の後進県といわれて、東京都はどのようにこれらを受けとめるんでしょうか。

○荒川知事本部企画調整担当部長 ただいま福祉施設整備のおくれについてのお話がございましたけれども、東京都は地方と比べまして地価が高く、施設整備のための土地も少ないといったことで、施設用地の確保が大変困難でございます。こういった大都市特有の問題がございまして、施設の建設が進まなかったという実情がございます。
 この問題に対しましては、東京都独自の施策としまして、例えば特別養護老人ホームの用地取得費の助成をするなどしまして、施設整備の推進に最大限の努力をしているところでございます。
 今後とも、東京構想二〇〇〇や、現在福祉局でまとめております福祉改革推進プランにもございますけれども、引き続き、特別養護老人ホームを初めとする福祉サービス基盤の整備を計画的に進めていきますとともに、ケアリビングの重点整備など、高齢者が地域の中で必要なサービスを自由に選択できるよう、在宅施設サービスの充実を図っていくこととしております。
〔「東京の福祉はおくれていないよ。誇りを持っていわなきゃだめだよ」と呼ぶ者あり〕

○渡辺委員 事実は事実ですから。そういう点を指摘されて--この数字は事実だからね。
 そういう点で、今答弁がありましたけれども、これについては積極的に、やはり介護基盤整備、こういう点では取り組んでいただいて都民にこたえていただきたいというふうに思います。
 いずれにしましても、高齢化の進行も財政難ということも、どの大都市も同じ条件だと。東京だけ高齢化が突出しているわけでも、あるいは財政がとりわけ厳しいというわけでもない。財政でいえば、大都市の中では、まだ東京はよい方だというふうにいわれている。そもそもすぐれた福祉の発信地となった東京都が、今や逆に廃止の発信地となることは許されるものではありませんので、そういう点は心にとめて取り組んでいただきたいというふうに思うんです。
 こういうことをいいますと、すぐに高齢者のニーズは多様化しているというだろうけれども、だったらパイを、先ほどいいましたけれども、大きくすべきであって、あっちを切ってこっちに回せというようなスクラップ・アンド・ビルドというものではないというふうに思うんです。
 マル福やシルバーパス、あるいは老人福祉手当などの現金給付的事業施策というのは、本格的高齢社会を迎える上での土台となる施策であって、福祉改革ビジョンなどで提案された施策はこの土台の上に花咲くものではないか、こういうふうに私は思うんですけれども、間違いでしょうか。
 私たちはこれまで、繰り返して、税金の使い方を変えれば、福祉を継続し、さらには拡充する財源は十分にあるということを示してまいりました。大型開発に偏った公共事業を見直せば、財政立て直しと都民施策の充実というのは両立できるんだということも示してきたところであります。
 さらに、先月開かれた各会計決算特別委員会の分科会で我が党委員が明らかにしたように、二〇〇〇年度に東京都は福祉予算を三百十六億円も使い残し、いわゆる執行残を出したわけです。切り捨てられた福祉というのは十事業、二百九億円台、そういう点でいえば、この福祉そのものを無理やり切り捨てる必要はなかったのではないか、こういうふうに私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

○松澤財務局主計部長 福祉局の予算についてでございますが、この間の福祉費の充実によりまして、十二年度では五千五百五十七億円に上りまして、これは土木費を上回って、知事部局では最も大きな予算となっているわけでございます。
 この予算の執行につきましては、所管局も各種福祉施策の充実に全力を挙げて取り組んできたわけでございますが、対象者の規模の減による実績減などから、結果的に不用額を生じたものというふうに理解しておりまして、今お話のありましたような不用額の大小のみをもって事業執行の内容を論じるのは適切ではない、このように考えております。

○渡辺委員 私たちが具体的な事実を示して福祉が後退させられていることを指摘したのに対して、今の答弁ですけれども、東京都は、二〇〇〇年度の当初予算の説明で、保健費と福祉費の一般会計に占める割合が一〇%を超したと、また、福祉費が八・四五まで前年を上回った、だから福祉切り捨ては当たらないと、こういうふうに開き直ったわけですよ。
 ところが、決算で見れば、福祉費というのは八・二%になり、前年度よりも〇・二%後退した、これが事実ですよ。数字が物語っている。何も私たちがここで曲がったことをいっているわけじゃないんです。ちゃんと受けとめていただきたいというふうに思います。
 次に、東京構想二〇〇〇と同時に発表された都政改革ビジョンⅠについてであります。都政改革ビジョンⅠに基づく冷たい仕打ちは、この委員会で昨年、成東児童保健院や伊豆山老人ホームの廃止など取り上げてきました。
 今新たな問題となっているのが、都立病院の改革問題です。中でも都民の批判の的になっているのが、八王子、清瀬などの小児病院の統廃合、この問題のひどさは、本格的な少子化時代を迎えて、小児医療の拡充が新たな行政課題となろうとしているときに施策を後退させること、さらには、医療の立ちおくれている多摩地域で、身近な医療機関として定着している小児病院の統廃合でなくそうとしていることであり、その道理のなさに今住民が怒っているんです。だから八王子や清瀬などで、市を挙げて、市長も先頭に立っているから反対運動も大きく広がり、衛生局の各会計決算委員会の質疑でも、各会派から計画に対して疑問や反対の声がそろって上げられたのであります。
 板橋の老人医療センターと豊島病院の統廃合も、都民の反対の声が上げられている。昨年四月に政策報道室が実施した都立病院についてという世論調査では、民間病院を含む都内の医療機関において今後どの医療分野を充実させるべきと思いますか、三つまで選んでください、こういうアンケート調査を行いました。
 そこで伺いますが、これも上位三つ、ちょっと述べてください。

○荒川知事本部企画調整担当部長 ただいま世論調査というお話がありましたけれども、たしか十二年度の都立病院に関する調査は、都政モニターアンケートかと思います。それによってお答えしますと、一位が生活習慣病医療で六五・五%、二位が救急医療で六二・九%、三位が高齢者医療で四五・三%でございます。

○渡辺委員 また、選んだ医療分野を充実させるためにはどこが主体となるべきだと思いますかという設問に対して、都立病院を選んだ割合は、生活習慣病医療では二三%、救急医療では三八・七%、高齢者医療では三五・七%となっています。高齢者医療について今後とも都立病院で取り組むことについては四八・三%が必要と答え、どちらかといえば必要と合わせると、七一・四%が必要だと答えておるわけです。
 そこで伺いますが、都政改革ビジョンを作成した総務局は、こうした都民の声をどうとらえていたんでしょうか。

○島田総務局行政改革推進室長 都庁改革アクションプランの策定に当たりましては、平成十二年九月に中間のまとめを明らかにいたしまして、これに対する都議会での議論や、都民の皆さん、有識者の方々、職員から寄せられた意見、要望などを踏まえ、十二月に都庁改革アクションプランを策定しております。

○渡辺委員 また、伊豆山老人ホームについてですけれども、これを廃止することについて批判の声が上がりましたが、これに対して当局は、施設が老朽化していることとあわせて、山の傾斜地にあることから、施設の維持管理費がかさむとか、あるいは落石等の防災上の問題点も抱えているということで、廃止の理由を説明しました。これは間違いないですよね、確認いたしますけれども。

○島田総務局行政改革推進室長 伊豆山老人ホームの廃止につきましては、昭和五十年建設であり老朽化していること、維持管理経費が高額であること、それから落石の危険など、こういったものを総合勘案いたしまして廃止とすることといたしております。

○渡辺委員 今の説明が事実と大きく相違するということが、その後の動きの中で明らかになったのではないかと思っています。
 地元の熱海新聞のコピー、私もらいました。これですけれどね。この中で、川口熱海市長が、市議会の六月定例会で、昨年十二月、東京都から、施設の老朽化等、都内にも施設があるなどから今年度限りで廃止という話があったと。それで、特別養護老人ホームなどの福祉の拠点として熱海市として活用したい旨の答弁がされているということなんです。どこにも--市長の答弁にも、この新聞報道にも、傾斜地の問題や落石の危険などの指摘はない。これは、直接私もいろいろ電話でお聞きいたしましたけれども、何もそういうことはいわれませんでした。
 事実、私もこの伊豆山老人ホームというのは以前に行ったことがありますが、がけっ縁に建っていて落石が非常に危険であるかのような話ですけれども、そういう状況には全くないということですよ。
 そういうことで、都がいっているような、山の傾斜地で施設に向かないとか、落石などの危険などの理由が当たらないということは明らかではないかというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。

○島田総務局行政改革推進室長 繰り返しになりますが、昭和五十年建設でございますので老朽化していること、それから維持管理経費がほかの施設より高額であること、並びに斜面落石の危険があること、こういったものを総合的に判断いたしまして廃止としてございます。

○渡辺委員 斜面の落石の問題を私もう一回いいますけれども、そういう状況にあるということですか。何回も繰り返して聞きますけれども。

○島田総務局行政改革推進室長 可能性としてはあるというふうにお答えいたします。

○渡辺委員 可能性としてと、部長は見てこられたわけですか。
 それで、その危険があるようなところに、熱海市がその跡にいわゆる特別養護老人ホームを建てたいという話もあるし、あるいは当面の間は財政問題があるから、介護保険関連の施設として今のまま使えば使えるというようなことも話をされている。そういう、落石が、今いわれたような危険があるというんだったら、そういうところにそういう建物を建てられるとか、活用できないじゃない。あなた、見てきたんですか。

○島田総務局行政改革推進室長 現在、潮見老人ホームの方に十一月から七十七名の方に順次引っ越しをしていただいております。そういったこともありまして、本年五月、前室長ともども職員が現地を確認してまいりました。何度も申し上げて申しわけございませんが、維持管理経費の増、老朽化、斜面落石の危険など、こういったものを総合的に勘案しております。

○渡辺委員 老朽化とか維持費の問題については、それは説明わかりますよ。落石の問題で改めて、ここだけでこの問題をやっているわけにいかないから、もう一回違う場所で、委員会もありますから、そういうことではっきりさせていきたいと思います。部長は答弁していないんだから、見てきたか見てきていないか。いずれにしても、結局、直営施設はすべて廃止、民間委託先にありきだったのではないですか。
 一方、都政改革ビジョンが見直しを求めたものの一つに、外郭団体の見直しがありました。その中心は、臨海副都心開発などの第三セクターの見直しだった。港湾局所管の竹芝地域開発株式会社あるいは東京テレポートセンターなどの三セクの経営悪化は、九月に発表された昨年度の決算でも明らかであります。臨海副都心建設株式会社に至っては、共同溝などの基盤整備の借金で身動きがとれなくなっている。
 産業労働局所管のタイム二十四とファッションタウンも債務超過状態で、都のさまざまな救済措置と、多額の資産を持つ国際貿易センターに経営統合してやっと延命している状態ですね。これらのつけが、早晩、都財政の大きな負担となって襲いかかってくるということは明らかだというふうに思うんです。
 都政改革ビジョンⅠに沿って多摩ニュータウン開発センターの破綻処理が行われましたけれども、結局民事再生法の手続をとって、三セクは延命されました。しかし、再び破綻しないという保証はどこにもない。そういう点では、一方では救済している。都立病院いじめといってもいいでしょう問答無用の直営施設の廃止、こういうものとは、全く今申し上げた三セク問題は対照的だということを申し上げておきたいというふうに思います。
 もう一つ、財政再建推進プランで都民にとって見逃せない問題は、達成率が低いとされている受益者負担の適正化、すなわち公共料金の見直し問題です。三年ごとの見直し対象となる使用料、手数料というのは幾つになるのか、これまた教えていただきたいと思います。

○松澤財務局主計部長 使用料、手数料につきましては、ご案内のとおり、住民間の負担の公平を図る観点から、原則として三年以上改定を行っていないものを対象にしまして、現行料額と原価との乖離を調査し、見直しを行っているところでございます。
 平成十四年度におきましては、このルールに基づきまして対象となる条例、規則は、今のところ三十五でございます。

○渡辺委員 これは、条例と規則と分けてみると、どうなるんでしょうか。

○松澤財務局主計部長 今、各局に対しまして、見直しの対象も含めて検討しているところでございまして、現在のところ、条例、規則、詳しく具体的に幾つということは申し上げられない状況でございます。

○渡辺委員 前回値上げのときには、不況に苦しむ都民に追い打ちをかけるべきではないと、提案のほとんどが否決された経過がありますね。その後改めて値上げされた経過もあると。
 今日の都民生活の状況というのは、失業率が五%を突破しているという状況のもとで、しかも、前回と比較にならないくらいの深刻な状況、物価もデフレ状況、値上げ提案などはもうとんでもないと、こういうふうに都民がいうのも予測されるわけですね。そういうことで、どうでしょうか、その提案の、提案するとすればですよ、そういう都民の心情というんでしょうか、そういうものはどういうふうに受けとめますか。

○松澤財務局主計部長 先生、値上げ、値上げというお話がございましたが、見直しをこれからやるところでございます。
 都が行うサービスのうち、受益が特定の方に限られるものについては、そのサービスの提供に直接必要な経費を利用者に負担していただくことが原則でございます。そうでなければ、利益を受ける人以外の人が、都民の税金でこれを負担しなきゃいけないということになりますので、そこら辺を十分に考えながら、住民間の負担の公平を図るということで、使用料、手数料の改定という問題が出てくるわけでございます。
 したがいまして、今回もそういう考え方に基づいて、具体的な料額の設定に当たりましては、都自身の内部努力も踏まえ、適正な料額とするとともに、必要があれば、激変緩和というようなことも含めましてこれから検討していきたいと、このように考えております。

○渡辺委員 いろいろ理由はつけるでしょうけれども、やはり何といっても今の経済情勢、都民の置かれている生活実態、こういうものを踏まえて考えてみていただきたいと思うし、そういう立場から考えれば、今回は、前回とはやっぱり違うんですから、そういう大きな社会情勢変化、経済情勢の変化、こういうことも、やはり都民の生活という立場から考えてみて、ひとつ提案は差し控えるようにしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 その一方で、石原都政の二年半、際立っているのが、東京構想二〇〇〇に代表される都市開発への傾斜ぶりです。きのうの総務委員会の知事本部の事務事業質疑で、我が党の木村議員がこの問題をただしましたけれども、結局、東京構想二〇〇〇が目指す方向というのは、政策誘導への転換といいながら、実際に提起されている方向というのは、都市集中に対応する行政機関のいわゆる需要対応型になっているということをいわざるを得ないという問題です。
 本日いただきました資料の中に、現在事業中のセンター・コア内の主な大規模開発が載っておりますけれども、これを見ても、ものすごい開発が進められているということがおわかりだと思うんです。その上、東京構想二〇〇〇は、これらの事業中の、すなわち着手済みの開発にとどまらず、センター・コア内は地区計画を立てることを原則とすることや、開発を進めるための誘導策として、街区再編プロジェクトの誘導や日影規制の緩和なども求めているんです。
 このような石原知事の目指す方向というのは、首都圏メガロポリス構想に象徴されるように、都心部構想でいうセンター・コアへの集中的投資による再開発と、それを支える都市基盤の整備にほかならない。このことは、構想二〇〇〇で出された三カ年の推進プランによくあらわれているというふうに思うんです。
 お尋ねしますが、今申し上げた三カ年推進プランのこの計画事業費は幾らになるんでしょうか。

○荒川知事本部企画調整担当部長 今年度から三カ年で重点的に取り組む事業を三カ年推進プランとしてまとめておりますけれども、その事業費は、三カ年合計で一兆二千五百六十一億円でございます。

○渡辺委員 一兆二千五百六十一億円、そのうち、都心再生やそのためのセンター・コアの活性化、三環状道路などの大型開発の中心となった公共事業費に七割、八千八百二十億円分がここに注ぎ込まれようとしているわけです。福祉、医療は、施設整備費を含めても一八%、二千二百九十九億円、教育費は三%、三百八十億円、環境に至っては一・四%、百七十九億円、こういうような状況になっています。
〔委員長退席、古賀副委員長着席〕
 さらに、今、知事本部が取りまとめている重要施策も同じようなことがいえる。建設局、都市計画局、港湾局の三つのハード局だけで、合わせると、五千四百四十四億円のうち三千五百五十億円、約六割が、今申し上げた建設、都市計、港湾、この三局が占めている。同じ公共事業でも、住宅局は百六十五億円、三%です。
 そして、この上記三局に上下水道を合わせると三千八百十八億円、七割に達するわけであります。あわせていっておきますけれども、福祉局は三百三十三億円、六・一%、衛生局が百五十三億円、二・八%、産労局二百十一億円、教育庁百十二億円、こんな状況なんですよ。
 このような方向を進めたらどうなっていくのかというのは、火を見るよりも明らかです。新たな東京への一極集中を進めるだけでなく、これまで築いてきた都民のためのすぐれた施策を軒並み後退させて、都財政をさらなる破綻に追い込むことになりかねない。
 石原知事は、国の金を引っ張ってくる、都の資金は使わない、こういうことをいってまいりましたけれども、実際には、知事が国に売り込んだ都市再生十兆円プロジェクトは国の資金はほとんどつかない。明らかにアドバルーンにしかすぎなかった。もう過去のものという声も聞こえてくる。だとすれば、投資的経費が大幅にふえ、都債の発行が避けられなくなるのではないですか。こういうものをどんどんどんどん進めていくということになれば、今申し上げたように、都債のさらなる増額は避けられない、こういうことがいえると思います。
 資料として出されましたけれども、二〇〇六年までの都債残高の見込みが示されていますが、問題は、これにとどまらないということです。私どもで計算したところ、今後十年間に都債発行額を財政再建推進プランの三千五百億円に抑えたとしても、借金は減らない。ここには一般会計で若干減るみたいなことが書いてありますけれど、普通会計ということで考えたら、絶対に減らない。都債残高が八兆円を超すというところまで進むことは明らかだというふうに思います。
 そこでお聞きします。この知事のいうような公の指導で開発を進めたとしたらどうなってしまうのか、そういうことを少しは考えて知事に物申すのが、この委員会の対象となっている三局、いわゆる建設、都市計、港湾、ここにはいらっしゃらないけれども、だれが答弁していただけるかわかりませんが、三局の仕事ではないかというふうに私は思うんです。
 ここに参加しておられる局は、本当にトップマネジメントのそういう人たちの局ですから、今申し上げたような立場で都知事に物申すという点で、だれが答えていただけるかわかりませんが、いう必要があると思いますけれども、どうでしょうか。

○松澤財務局主計部長 投資的経費はふえて、また都債もふえるんじゃないかと、こういうお話がございましたから、そういう角度から私の方からご答弁させていただきます。
 ご案内のとおり、非常に経済環境が悪化しまして、都財政を取り巻く環境、今後ますます財政環境は厳しくなるわけでございますが、そういう中で、今お話のありましたことも含め、都の行うすべての施策をこれまで以上に徹底して見直し、再構築していくことが必要でございまして、特に投資的経費についても、都の財政力で対応可能な範囲を十分見きわめながら、これから必要なものは十分投資し、不要不急なものは見直すという考え方で事業を実施していくことが必要というふうに考えてございます。
 また、都債についても、ご案内のとおり、これから大量の償還が見込まれるわけでございますので、財政健全化の観点から、当分の間、その発行を極力抑制しまして、将来の財政負担を軽減すべき状況ということも十分認識しなきゃいけない、このように思っているわけでございます。
 こうした考え方を踏まえながら、財政再建を積極的に進めつつ、首都圏の再生や都民生活の不安解消のため、やはり真に必要な事業については、財政が厳しい中でも限りある財源を効果の高い事業に重点的に配分して、今後とも着実に推進していくことが必要というふうに考えてございます。

○渡辺委員 石原知事の大型開発中心で、それを、それ行けどんどんでやっていたら、今申し上げたように財政はもうどうにもならない。そういう点で物申せということで私はいったんですが、今主計部長が答えられた。知事本部長、総務局長、それから財務局長、どうですか、一言ずつ答えてください。

○田原知事本部長 今のお話の中には幾つかの、例えば十兆円プロジェクトのお話ですとか、いろんな話が入っていようかと思いますけれども、特に重要施策の問題につきましてお話がありましたので、その辺を中心にしてお答えさせていただきます。
 重要施策につきましては、百八十八事業、それから五千億余円の金額、今、各局からの提案としてこれだけ上がってまいりましたということでお示ししております。これを全部やるとは一つも決まっておりませんで、これから、ちょっと趣旨を申し上げますと、首都圏の再生と都民生活の不安の解消、それから首都圏の自治体との連携をどうしていくか、それから局間でこれまでやれませんでした、なかなか各局の枠の中で仕事をしておりましたので、局間の垣根を超えた課題が解決できないか、それから、少ない費用で大きな事業効果が上がるものはないか、それから、税金を使うだけじゃありません、民間活力を大きくどうやって導入をしていけるか、こういう観点でこれから事業を選定していくわけでありまして、特に、先ほど主計部長からお話もありましたけれども、一段と厳しい財政状況の中でありますので、本当に必要な事業、それから東京都民にとって、あるいは首都圏全体にとって役に立つのはどういう事業かと、こういう観点で絞り込んでまいります。
 その結果をひとつごらんいただきたいと思っております。

○大関総務局長 基本的には今知事本部長がお答えしたとおりだと思いますけれども、行け行けどんどんといえるほど財政が豊かであれば、私らは全然心配しておりませんで、どちらかといいますと、私たちの職員の給料も二年間四%カットしておりまして、ことしこそ戻してやれるからと思って私どもは期待しておったんですけれども、大分それも厳しいような状況に今は立ち至っておりまして、何とか知恵を出して乗り切りたいというぐらいに、今、身を削って財源を編み出している状況でございます。
 そういう意味で、限られた財源を、やはりその中でめり張りをつけて都政運営をしていかなきゃならないわけですから、ご心配されるような一方だけの方向に行け行けどんどんというのはあり得ないと考えております。今後とも、優先順位をつけまして、都民に喜ばれる施策を打ち出していきたい、このように考えております。

○安樂財務局長 余り委員の論旨を勝手にねじ曲げても失礼とは思いますけれども、質問の要旨は、福祉を切り捨てて大型開発に傾斜しているような、そういうことについて知事にきちんと意見を述べるべきじゃないか、そういうご趣旨かというふうに思いますけれども、ここ数年、福祉局のいろいろなアイデアを中心に進められている福祉改革は、この時代の変化に対応して、やはり都民ニーズ、そういうものに応じた福祉施策をつくろうということだというふうに我々は理解しているんですね。いわゆる福祉切り捨てだというふうに概括できるような話ではない。その中で、非常に福祉局も努力する中で、汗水流しながら、各種の団体のいろいろな理解を得ながら、こういう新しい構築というものをやっているんだというふうに思うんです。
 また、知事が、これは再三議会でも述べられておりますけれども、大型開発事業といわれているような空港とか鉄道とか道路、こういう都市の根幹をつくっていくような都市整備の事業というものは、やはり産業の活性化とか都民の生活向上を基本的に支えているものだというふうに私たち思っております。これが都民の生活基盤の質を高める上では、やはりそれなりの大きな役割を果たすというふうに思っております。ですから、大型開発のゆえをもって、これを一律に排除するというようなことではないというように思うんです。
 ただ、こういうものについては、やはり非常に大きな財源を必要といたしますし、委員もご指摘されておりましたけれども、その裏としての起債なんかがどうしてもふえていくという問題もあるわけですので、やっぱり都民の観点から見て不要不急のものは、投資的経費であっても、きちんとそれは整理していくということを基本としながら、これから予算あるいは財政運営をしていくわけであります。そういう点では、非常に難しい問題を私たちも課せられているとは思いますけれども、基本的な考え方は、そういうことでございます。

○渡辺委員 今、三局長から、本部長からお聞きいたしましたけれども、何か認識が違うんじゃないかという感じを持ちました。(「全然違うよ、共産党とは」と呼ぶ者あり)まあ黙って聞きなさいよ。
 やっぱり大型開発を中心として財政運営がやられているこのことは、事実、数字をとって見れば、もうはっきりしているんですよ。だから、私たちはこれまでも何度も具体的なそういう事例を挙げて、裏づけとなる財源も含めて問題を指摘して、それを是正するように繰り返し繰り返しいってきているんです。
 だって、臨海の問題だって、先ほど幾つかの例をいいましたけれども、そういうものについて、三セクについて、全く見直しをしないでしょう。それは、てこ入れする、救済する、そういうことで積極的にやるけれども、全く見直しをしない。一方、都民の身近な施策ということになると、容赦なくそれはもう切り捨てる。こういうところに最大の問題がある。財政運営が逆さまだと私たちは指摘しているんですよ。
 ですから、それ行けどんどんじゃないというけれども、これまでいろんな事業あるいはまた施策、そういうものを次から次へと発表されますけれども、その中身というのは、本当にこれは大型開発中心なんですよ。先ほどからも幾つか具体的な数字をお聞きしながら質問しましたけれども、そうでしょう。そういう認識に立ってくださいというんですよ。そういうことを指摘しておきたいと思います。
 いずれにいたしましても、来年は都税収入というものはまだ落ち込む、こういうことが予想されているわけですね。ところが、石原知事はこうしたことにはお構いなしと。国の都市再生本部が発表した都市再生プロジェクトに対するコメントで何といっているか。こういっているんですよ。首都圏を再生することは日本再生への早道であるというかねてからの私の主張は、それなりに受けとめてもらったと考えるとした上で、しかしながら、都市再生の決め手は、民間だけでなく公共投資も含めた大都市への短期集中的な投資であり、その視点が脆弱である。今我々が最優先で取り組むべき課題は日本国の浮上であり、その牽引役としての首都圏の活力を復権させることである。このためには、国を挙げて首都圏に集中的、重点的な投資を断行することが不可欠であることを改めて強調したい、こういうことをいっているんですよ。
 これを裏返せば、先ほどいったように、これは大型開発を積極的に推進するということになっているんですよ。ここには、不況だとか、国の社会保障の連続的な改悪に苦しむ都民生活への配慮は見られない。深刻な国や地方自治体の財政難も考慮されているとは思えない。
 そこでお聞きしますけれども、東京構想二〇〇〇で示されている東京圏メガロポリス構想を実行した場合、お金が幾らかかるのか、計算がされているんでしょうか。

○荒川知事本部企画調整担当部長 首都圏メガロポリス構想でございますけれども、これは、首都圏の再生を目指しまして七都県市が共同して取り組むべき将来ビジョンということで提唱したものでございます。したがいまして、都の事業だけでなくて、他県市が取り組む事業も中で想定してございます。
 今後、七都県市が共同で具体的な内容を詰めていくことになりますけれども、そういう中で事業の規模、事業費が詰まってまいりますものですから、現段階では事業費の計算は行っておりません。

○渡辺委員 いわせてもらえば、無責任な話ではないかというふうに思うんです。
 しかも、重大なことは、最優先で取り組むべき課題が日本国の浮上とされていることなんですから、本当にそうなんだろうかと私は思います。これは、やはり第一義的には国の仕事ではないのか。また、活力という点でも、市場経済の動向や社会資本の水準だけで活力ということがいえるのか。私は、活力と活力の源泉というのは、やはり首都だというふうに思います。一千二百万都民のだれもが生き生きと働いて安心して生活できることが、活力を生み出す源泉だというふうに思います。
 しかし、石原知事のさまざまな構想の示すものは、自動車排ガス対策や物づくりなど歓迎すべきものもありますけれども、大きな流れは、今申し上げたような開発優先といわざるを得ない。これについては、本当に立ちどまって、落ちついて考えてみる必要があるのではないかということを申し上げたいと思います。
 日本国浮上の牽引役として首都圏の活力を復元させる、そのために首都圏に集中的、重点的な投資を断行する、これを理由にした都民施策のさらなる切り込みというのは許されるものではありません。
 これまでいろんな施策、事業が次々と発表されておりますが、共通していえることは、都民が中心となっていないこと。ことし七月に発表された「財政再建推進プラン」今後の取組の方向では何といっているか。推進プランにちゃんと書いてありますけれども、経常経費で施策の見直し、再構築を徹底して行い、重要施策実施のための財源を捻出すると書かれているんです。また、来年度予算編成にかかわる副知事の依命通達では、重要施策以外の施策については一律一〇%マイナスシーリングが求められている。既に発表されている各局の予算要求では、この方向に沿って都民施策の予算額の削減が相次いでいるではありませんか。
 先ほど、重要施策の各局要求では、ハード局だけで六五%を占めているということが答弁にありましたけれども、この財源捻出のために福祉や教育などの経常経費を抑制するなどは、全くの逆立ちではないですか。都民不在だ。まさに税金の使い方が問われているんです。今立ちどまって、石原知事のこれらの構想というものを勇断を持って見直しをすること、住民の福祉を守るという自治体の本来の立場に立ち返ることこそが、今最も強く求められているのではないか。その立場に立って、行政機関としても事に当たっていただきたいということを最後に申し述べて、質問を終わります。

○古賀副委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時二十分休憩

午後三時三十三分開議

○古賀副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○大河原委員 私からは、まず広域自治体の必要性の前提から質問を始めたいと思います。
 地方分権改革の中心課題は、まず第一に、機関委任事務の廃止といわれてまいりました。そして二番目に、税源の移譲、このことが求められてきたわけです。こうした税財源移譲の課題の中では、特に国庫補助負担金の削減と地方交付税の抜本的な見直しが基本であることはいうまでもありません。
 こうした分権改革を東京都はどのように評価して、その上で広域自治体の改革を提言しようとしているのか、その点についてまず伺います。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 これまでの分権改革は、自治体に対する国の関与の縮小廃止方策に主眼が置かれて進められてまいりました。改革の結果、機関委任事務制度が全面的に廃止されたことには、大きな意義があったと考えております。
 しかしながら、税源移譲など地方税財政制度の抜本的改革が中長期的課題として先送りされるなど、多くの残された課題があります。こうした課題を踏まえつつ、国と地方との役割分担の抜本的見直しや、基礎的自治体のあり方、地方税財政制度のあり方とあわせて、広域的自治体のあり方についても提案をしてまいります。

○大河原委員 中長期的な課題として先送りされたものの大きさというのはもちろん大きいわけですけれども、税源の移譲や公共事業をめぐる国と地方との関係、ここのところがやはり最大、早急に解決したい問題であるというふうに思います。
 こうした中で広域自治体の話が出てきているわけなんですが、一九八九年の行革審では、国と地方の関係による小委員会というところがありまして、そこが都道府県連合の制度化を提言しています。東京都として、この提言の内容をどのように評価しているんでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 第二次行革審の国と地方の関係等に関する答申で提言されました都道府県連合といいますのは、地域振興や社会資本の整備等に関し総合的な計画を策定し、その計画に基づき関係都道府県の事務事業の共同実施を行うため設けるものでありまして、特別地方公共団体として位置づけられるものであります。
 これは、平成六年の地方自治法改正による広域連合制度の創設へとつながっていったものとして評価をするものであります。

○大河原委員 今ご答弁にありましたように、広域連合制度に議論がつながっていったわけですけれども、その議論の過程では注目すべき点があったというふうに思います。
 一つは、道州制、地方庁について議論されているわけなんです。そこでは、首都圏については一都三県でEC方式を活用すべきだということとか、また道州制や地方庁というのは、分権や中央集権の是正にはならない、二重行政の弊害が起こるから問題である、あるいは地方庁は住民自治が考慮されていない、だから広域行政の種類ごとに最善の方法、方式を積み上げていくべきだ、いろいろ議論が出てきております。
 こうした点では、地方庁については、最近のイギリスの例がさまざま取り上げられているわけなんですけれども、サッチャー政権のもとで、ロンドン自治体体制の改革がいろいろ進められたというふうに聞いておりますけれども、このロンドン自治体体制の改革というのはどんな内容で、そしてこのこともまた東京都がどのような評価をしているのか、この点について伺いたいと思います。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 サッチャー政権下におきまして、一九八六年、それまでロンドンの広域的自治体でありました大ロンドン庁、いわゆるGLCが廃止されました。これによりロンドン地域は三十二のロンドンバラ自治区と、シティーという基礎的自治体のみから成る一層制の地方制度となったわけでございます。しかし、ロンドン全体の利益を代表し、複数のバラ等にまたがる事項について調整する機関が存在しなくなり、交通や土地利用など大都市におけるさまざまな広域的課題に十分に対応できなかったという指摘もあります。
 こうした問題を背景として、ブレア政権のもとで、二〇〇〇年にロンドン全体を統括する新たな広域的地方自治体である新しい大ロンドン庁、いわゆるGLAが設立されたといわれております。

○大河原委員 サッチャーの一九八三年の選挙で、この大ロンドンの廃止、それから六つのメトロポリタン県の廃止というのを公約に掲げて、そして政権につくや、かなり強引な改革をしたというふうに聞いております。そして、その後、大変地域が揺れた。やはり住民の意向や実態を無視した改革というのは、大変な混乱を巻き起こすというふうに見えるわけです。
 東京都は、道州制の導入を前提としたような議論も今進めていると思うんですけれども、その展開に見えるところでは、大変こうした点を私は危惧いたします。今、こうやって進めている議論の根拠といいますか、またどんなイメージを持って議論を先へ進めるのか、その点についてはいかがでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 社会が、時間的、空間的にますます狭小となる中、交通混雑や都市環境の悪化など、さまざまな都市問題が都県の区域を超えて広がっております。さらに、住民は、行政区域を意識することなく広範に活動するようになっております。こうした状況を踏まえ、新しい広域的自治体のあり方について、現行の都道府県制度にとらわれることなく、いわゆる道州制論も視野に入れて議論を行うことが必要であると考えます。
 その際には、自治体がみずからの責任と判断により、地域の課題を主体的に解決のできる権限や財源を有し、地方主権の理念を実現するような形態を目指していくことが重要であると考えております。

○大河原委員 道州制の議論には、何を基本に、つまり、何をポイントに置いて議論するかということをまずやらなきゃいけないと思うんですね。それで、現行行われております議論の中でも、合併論ですとか道州制の論には、住民自治よりもむしろ団体自治を先行させている、そういう嫌いがあります。団体自治は住民自治の手段ではないかというふうに私は思うわけなんですけれども、東京都の見解はいかがでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 住民自治は、団体自治とともに、地方自治の根幹をなす理念でございます。しかし、本年六月に出された地方分権推進委員会最終報告でも述べられておりますように、これまでの分権改革におきましては、団体自治を拡充することが、住民自治を拡充するための先決要件であると考えられて進められてきた結果、住民自治の拡充につきましては、今後の課題として残されております。
 今後、地方分権の一層の推進を図る中で、住民自治の拡充についても重要な検討課題と考えております。

○大河原委員 考え方といいますか、立場の違いは明らかなわけですけれども、私は、やはり先ほどのロンドンの例もあるんですけれども、イギリスでは、自治組織としてのパリッシュという教区をベースとしたコミュニティがありまして、ロンドン庁廃止の問題でも、この自治組織との関係、またこうしたパリッシュの意向というものを無視できなかったというふうに聞いております。そこでは、やはりその地域の政府は、役人がつくるのではなくて住民がつくるということが基本なんだというか、そのように受けとめざるを得ません。
 九四年の自治法の改正によって、広域連合の制度が導入されております。この制度が導入された経緯として、また実例としてどのような成果があったと東京都は評価をしているんでしょうか。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 広域連合は、多様化した広域行政需要に適切かつ効率的に対応するとともに、国からの権限移譲の受け入れ体制を整備するために導入され、介護保険制度の実施などを目的に、各地の自治体で活用が進んでおります。平成十三年九月現在で、二十九道府県で七十四団体が設立という状況でございます。
 しかし、構成自治体の合議によって事務が処理されること、課税権に基づく独自の財源を持つことができないことなど、広域行政体として自立性が低いといった問題もあります。
 こうしたさまざまな問題を解決し、広域行政をみずからの判断と責任により主体的に実施することのできる仕組みのあり方についても議論していくことが必要であると考えます。

○大河原委員 地方分権を阻害してきた要因として、国からの補助金や負担金の問題、それから交付税制度もあると思います。交付税制度の基本というのは、財政調整機能、それから財源保障が基本であるにもかかわらず、この中では、先日も意見開陳で述べましたように、算定方法が官僚の秘技とされて、市民には大変わかりにくいという欠点がありました。そして、いわゆる公共事業の裏負担分を保障するということなど、景気対策や政策誘導という側面を持っています。こうした、いわばゆがんだ垂直的な財政調整制度の性格というのは、まず変革されなければならないというふうに思います。
 そしてまたもう一方で、ヨーロッパの自治憲章にもあります水平財政調整機能、これはもっとわかりやすく、より機能強化すべきだというふうに思っています。
 ことしに入って小泉内閣が発足した時点では、大臣の中には、こうしたことをごっちゃにして、地方税への展望を示さず、交付税全体を縮減しようとしていた傾向がありました。その後は、ともかくも内閣は長年の聖域ともいえる地方交付税制度を含む地方税制度の改革に取り組むようになったわけですけれども、分権の基盤である地方税の展望を含めて、政府に対する東京都としての見解はいかがでしょうか。

○松澤財務局主計部長 先ほどお話ございましたように、地方分権の流れの中で、地方への税財源の移譲が残された大きな課題になっているわけでございますが、今回の一連の小泉改革の中で、総務省の方から八月に提出されました政策推進プラン、いわゆるかながわプランというふうにいわれておりますが、この中では、地方交付税制度の改革とともに、国からの税源移譲により、個人住民税や地方消費税の充実を通じまして、国税と地方税の比率を現在の六対四から五対五にすることを目指すことが打ち出されているわけでございます。
 そういうことで、地方財政制度の改革がこのように具体的に国から今回提起されたことは、長年の課題でもございますし、意義あると申しますか、前進であるのではないかというふうに受けとめております。
 都としましては、これまでも、地方への税源移譲とあわせて、地方交付税制度は抜本的に見直すべきであることを強く主張してきたところでございますが、こうした税財政制度の改革が地方主権の強化と地方自治体の財政基盤の充実強化につながるよう、今後議論を前向きに展開させ、実現化させることが重要であると考えております。
 また、あわせまして、都が抱える膨大な財政需要に応じた大都市財源の充実などについても、この地方税財政制度の改革の中で積極的に取り組んでいくことが不可欠というふうに考えてございます。

○大河原委員 確かに東京都は不交付団体ですし、さまざまな制限を受けたり、そしてまた大都市の財政需要というものをきちんと評価してもらえないということは、承知しております。
 しかし、また一方では、先ほどもどなたかの質問の中にもありましたけれども、やはり東京のひとり勝ち、地方からそういう視線で東京が見られるということも、私たちは意識をきちんと持たなければいけないというふうに思います。偏在の少ない税財源を移譲しても、それでもなお残る税の偏在、これに対応すべき課題があるというふうに思うわけです。
 さきに発表されました千代田区の千代田市構想ですが、この構想を税財源の視点から見ますと、法人税を大量に、多額に納入する事業者の偏在という意味では、国と都の関係の問題と等質のものが、都と特別区の関係として、いわば入れ子になった、そういう問題として突きつけられているというふうに考えます。
 水平財政調整機能については、東京都においても早急に積極的な検討が迫られている、そのように思うわけなんですが、その点についてはいかがでしょうか。

○反町総務局行政部長 特別区の区域におきましては、人口が高度に集中するとともに、特別区間には昼夜間人口の格差や税源の著しい偏在といった実態がございます。それぞれの特別区の地域は、その役割を担いながら一つの大都市を形づくっております。
 このため、大都市行政の一体性、統一性を確保しつつ、各特別区は等しくその行政需要に対応した事務を遂行することができるよう、都区財政調整制度を設けまして、特別区相互間の財源の均衡化を図ることとしております。
 この財政調整制度につきましては、毎年都区間で協議の上、その改善を図っているところでありますけれども、今後、国の税財政制度の動向も踏まえまして検討していく必要があると考えております。

○大河原委員 都区制度改革は、今、一段落したかのように見えますが、この財調の改革なくして都区制度改革は完成したとはいえません。この広域自治体の展望も、これなくしてはできないというふうに思うわけです。
 都区の財政調整制度の改革の再出発をすべきというふうに考えるわけなんですが、その点についてはいかがでしょうか。

○反町総務局行政部長 都区制度に関しましては、特別区の区域の大都市としての実態を踏まえまして、これまでも幾多の改正が行われておりますが、今回の都区制度改革は、特別区を基礎的な地方公共団体と位置づけ、住民に身近な事務を移管するとともに、特別区の自主性、自立性を強化するため行われたものでございます。
 今後も、特別区の区域の大都市としての実態や、国の税財政制度の動向などを踏まえまして、それにふさわしい制度となるよう改善に努めていくことが基本であると考えております。

○鈴木委員 私が、きょうは最後の質問者になろうかと思いますが、それぞれご質問をなされた委員との重複を避ける意味で質問をしていきたいと思います。
 また、私も当委員会に初めて所属するわけですが、理念としてのこの改革論議、それとまた、一つのテーマを掘り下げた論がなされていることもよくわかったと、自分の中でまとめています。きょうは、理念としての側からの質問を若干行わせていただいて、自分の頭の中を整理して次へ結びつけていきたいなと、こんなふうに思って質問をいたします。
 平成十二年の四月が、分権一括法の施行で新しい時代の到来になったのかなと、自分自身に、問題点を整理していたわけなんですけれども、どうもそうではなさそうだと。登山にたとえれば、ようやくベースキャンプができ上がってきたという段階になったのかなという、そんなふうに自分自身にまとめ上げているんですね。高い山に登るためのベースキャンプがようやくできたという、そんな印象を自分自身に持っております。
 先ほど大河原委員、和田委員、それから古賀委員の方からも、いろんな方途で質問がありましたので、地方分権改革のこの成果は一体何だったんだろうかと。確かにいろんな答弁がその中にありまして、機関委任事務制度が全面的に廃止されたこと、それから権限の移譲、特例市制度の創設、都道府県条例による事務処理の特例制度の創設など、私たちの住んでいる自治体の自主性、自立性をより向上させるための諸制度の改正が行われたんだという、それは私の頭の中によくたたき込まれたと思っておりますが、では税源はどうなったんだろうと、こういう論になるわけですよね。この辺について一遍検証をして、次の論議にまたなければならないのかなと私は思っております。
 それで、一点だけ検証させていただきたいんでありますけれども、今回の分権改革で残された課題、どんなものがあったのか、それに対して都は具体的にその課題に対してどうアプローチ、対応をしてきたのか、これをわかりやすくご説明いただきたいのであります。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 今回の分権改革におきましては、税源移譲など地方税財源の問題は、中長期的課題として先送りされました。この点に関し、都では、国に対する提案要求等において、国と地方の税源配分を抜本的に見直し、税源移譲を図ることを求めております。
 さらに、昨年十一月に出された東京都税制調査会答申におきましても、税源移譲を段階的に行うことを提案しております。
 また、税財源以外の問題としましては、国からの事務、権限の一層の移譲と、国の関与の一層の縮減、さらに進んで地方自治体の事務に対する法令による義務づけの緩和など、自治体の自主性、自立性をさらに高めるための法制度の改革が必要であると考えております。

○鈴木委員 ご答弁、その内容はよくわかっておるんですね。
 先ほども主計部長の方から、若干、国とのかかわりの中で、大河原委員の質問の中で、今まで国の税収六、地方が四、これが五対五になりつつあるような、そのご答弁をいただいておりましたものですから、それはさておいて、やはり税財源の問題は、私たちにとって一番関心のあるテーマでもあります。だからこそ、都の税調に一つはゆだねていることも私たちもよく承知しておりますし、また、税財源以外の問題の関与のさまざまなテーマも、やはり私たち、残された課題の一つとして中央に対して風穴をあけていく一つの運動になっているのかなと、自分で整理をしながらおりますけれども、その中で一つだけ、地方の歳出と地方税収の乖離をこのまま放置するわけにはいかないだろうと。いろんな物の本を読んでいると、地方税源を多くする中で、国民においてサービスの負担の意識がだんだん高まってくる。その結果、自治体の基盤の充実強化になることも私たちもよくわかっていますが、だからさっき、いろんなきょうの論議の中で、だからといって東京のひとり勝ちになってはいけないよという論議はありますけれども、私はそうは思わない。
 東京が元気になる、この東京圏が元気になるということが、日本の経済のインパクトにもなるし、大都市固有のいろんな問題を抱えている東京でありますから、やはりある程度地方と東京、大都市の差はあって私はしかるべきだと思います。
 宮城県の浅野知事も、いわゆるシビルミニマムがある程度完璧に全国自治体整った、そういう中からまた考え直そうじゃないかといい出しているわけでありますから、この辺をやはり私は踏まえていかなければいけないのかなと思っておりますし、同時に、都市の競争でありますから、自治体間の競争がどんどんどんどん積み上がってこなければいけないし、地方交付税制度があるから、そこで安閑としている自治体は脱落していかなければならないんでありますし、それは都市競争の原理でありますから、だから、その中から合併論議もどんどんどんどん出てしかるべきだと私は思います。冷たいようですけれども、そのぐらいの意気込みで取り組んでいかなければいけないのかなと、こんなふうに実は考えてもおります。
 そんなことは論議の一つの中にありますけれども、それはそれとして、これからの、一つ承っておきたいのは、我々がこれから論議をしていく都政改革ビジョンⅢにおいて、地方分権、それから地方主権の問題は、具体的にそれぞれの、きょう三局、出席なされているわけであります、皆さんがいわゆる知恵袋でありますから、その中でどう具体的に扱っていこうとなさるのか、その参考になるようなことがあれば、お示しいただきたいと思います。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 都政改革ビジョンにおきましては、中長期的視点に立ちまして、国と地方の役割分担の抜本的見直しを前提にしまして、課税自主権の強化を含めた地方税財源の充実強化や、自治体が創造性や主体性を十分発揮できるようにするための法制度のあり方、さらには、分権によって権限を受けるその受け皿としての自治体のあり方など、現行制度にとらわれない見直しを行い、その結果の地方主権実現のための提案を行っていく考えでございます。

○鈴木委員 ぜひ、がっちりとした骨格、骨組み、東京からそれを打ち上げていくという、そのエネルギーというものをお互いに満々とたたえようではありませんか。私はそう思うんですね。そういう中にあって、当然地方自治をめぐる問題というものは、今ずっとこれまでいってきた税財源の問題だけに矮小化されるわけではありません。
 例えば、これからの少子高齢化社会の到来を目指して、具体的には介護サービスや保育サービス、こういう需要もさらにどんどんどんどん高まってきますよね。地方分権が進めば進むほど、自治体がこの福祉サービスをどれだけ創意工夫してやっていくのか。介護保険の問題だって、五段階を六段階に分けたり、いろんな考え方が地方の中で、すべからく幅広く日本列島の中で住民を守るための施策が今行われていることも、我々もよく存じております。
 ですから、私たち公明党は、少子高齢福祉対策が絶対に後退してはならない。今まで積み上げてきたんですから、皆様のお力と我々議会のこの歯車で日本一の福祉をやってきたわけでありますから、それを後退させてはならないという立場を私たちはとっております。
 そういう中にあって、私たちは、もう一度申し上げますと、創意と工夫、夢と希望、これを都民に持たせていく制度をどう構築していくか、クリエイトしていくか、そういうものをつくり上げていく、こういうことを、国も含めた役割分担とか関与、先ほど答弁いただきましたが、そういう国や都道府県、区市町村相互の、リンクした、こういうものをどう見直しをしていくのか、そういうことをやはり我々はもう一度お互いに整理をしていきたいと思っております。
 そこで、さらに具体的に伺っておきたいんですけれども、今私が述べた中から、都政改革ビジョンⅢの中で、それでは都と国、それから先ほど都区制度の改革もずっとなされてきたといいますけれども、この区市町村との役割分担について、今後どのような考え方に具体的に基づいて、検討をより深く、より高く、よりあまねく都民にわかりやすくそれを説明していく基盤をつくることができるか、これを具体的にお答えいただきたいと思うのであります。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 分権の時代におきましては、住民に身近な行政は、役割分担としまして、基本的には基礎的自治体である区市町村が担う。また、都は、広域行政の分野に重心を移していくというふうに考えます。そのためにも、都は、区市町村の自主性、自立性を高める方向で役割分担を考えていく必要があります。
 この役割分担につきましては、都政改革ビジョンにおきまして、国と地方との役割分担、また都県の枠を超えた広域的な行政需要に総合的対応を図るという観点から、地方同士、また民間も含めた役割分担を検討いたしまして、現行制度にとらわれることなく整理をして検討していきたいというふうに考えております。
 また、検討に当たりましては、幅広くご意見を伺いながら、都民にもわかりやすく説明をしていきたいというふうに考えております。

○鈴木委員 それで、一つだけちょっと伺っておきたいんですけれども、役割分担、役割分担と、随分答弁の中に出てきましたよね。非常にこの分野になるとこれはまた難しい、よくわかっております。個々の事務、具体的に役割分担をやりますと、今度はハレーションを起こす場合も恐らくあるのかなと思っております。しかし、議会と行政とは車の両輪で、いろんなことを提言しながらビジョンⅢをつくり上げていくという恐らく約束事ではないのかなと私も思いますので、それはそれとして追求していかざるを得ない、そのことを考えながら、私、あえて踏み込んだことをいいました。
 もう一つ、過日、意見開陳のときに、我が党の大木田副委員長から、ものすごくでっかい夢のような膨らんだ話が出ましたよね。十兆円プラン、都市計画道路ですか、それを債券化してやれば、東京の都市のいろんな課題が一気に解決するだろうと。後藤新平にも負けず劣らずの話がありましたけれども、私も、うん、いい提案だなと思いながら実は聞いてもおりました。
 こういう、過去にどうのこうのではなくて、これからの論議として、そのぐらいの気宇壮大なプランも、この首都再生、都市再生の論議の中に入れても私はいいのではないかと思いますよ。
 ちまちまとした論議ではなくて、もう少しでかい論議をもう少し重ねても私はいいと思いますし、道路を初めとした都市基盤整備や、相変わらず東京都民として、自動車の走行距離にしても、一体これはこのままでいいんだろうか、これに対する経済損失はどうなんだろうかと、そう考えれば、当然出てくるテーマだと思っておりますし、環境の悪化、いろんなものをやはり多角的、重層的に織りまぜながら、皆様方とともにつくり上げていく、その視点だけは私たちは忘れてはならないと思いますし、そこに暮らす我々都民が、安全で安心して暮らせる都市生活が営々と営まれてくる二十一世紀の都市の世紀を私たちはつくり上げていきたいと、こんなふうに決意はいたしてございます。
 そこで、一つ具体的に伺いたいんでありますけれども、この首都圏における、先ほどからも話題に出ておりましたけれども、都市の安全を阻害する要因、私たちの生活を阻害する要因、取り上げるとするならば、何と何と何のテーマがあるのか、これをちょっと具体的にお答えいただきたい。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 安全の要素といたしましては、いろいろあるというふうに思いますが、特に首都圏におきましては、震災の危険性であるとか、最近いわれておりますのは、犯罪の増加などでございます。そのほかにも水であるとかエネルギーであるとか、食糧の問題などもあるかと思います。
 これらの防災や治安などの面で、住民の暮らしに重大な影響を及ぼす問題が山積しているというふうに考えております。

○鈴木委員 そのとおりですよね、部長。
 私たち、ことしも利根川の水の渇水、あわやというところまで実は危惧いたしましたけれども、これも東京だけで解決するわけでもありません。もちろん自然との闘いもその中に取り組まれているわけであることもよく存じておりますけれども、そういうものをやはり私たちは考えながら取り組んでいかなければなりませんし、交通問題一つ考えてみても、私は、先ほど申し上げたとおりのテーマがあると思います。
 先ほど和田委員からも、世界を震撼させた九月十一日の同時多発テロに伴うリセッション、この景気後退から始まるさまざまな問題、それから狂牛病問題から得るいろんな教訓の問題、やはり危機管理の問題、私たち首都圏東京としての危機管理能力、ひいては、これは国全体の問題かもしれませんけれども、しかし、首都圏としてできる問題、東京としてとれる課題というものは、私はあると思っております。
 ですから、第三回定例会の代表質問の中に、我が党として東京版FEMAですか、あのアメリカで採用したそういうものも提案をしたところ、知事からも、非常に高く評価をし、それを将来的には採用していきたいというニュアンスの答弁までいただいているわけですよね。そういうことを考えていきますと、この都政改革ビジョンⅢを検討していく中で、伺うんですが、この危機管理体制の整備については、待ったなしのテーマに繰り込まれるべきではないのかと。防災面にしても、いろんな問題にしてもそう思っておりますけれども、この課題について具体的にお答えいただければありがたいんですが。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 首都圏三千三百万人の生命と財産を守るためには、国において総合的な危機管理体制や支援体制を一層強化充実することはもちろんですが、首都圏の自治体におきましても、これまでの七都県市の取り組みの実績などを踏まえ、危機管理体制の充実を図っていくことは、重要な課題でございます。
 都政改革ビジョンにおきましては、制度改革をしていくという考え方でございますが、より効果的な危機管理体制がしけるような首都圏における広域連携や広域的自治体のあり方を提言してまいります。

○鈴木委員 よろしく頼みますよ。それはもう広域的な連携しかないわけでありますから。
 それと同時に、こういう問題のほかにも、やはり後はハード分野の施策だけでなく、さっきもちょっと述べましたけれども、ソフト分野の施策、これは十分な配慮をすべきテーマだと私は思います。不可欠でありますから。
 そういう中にあって、私たち一生懸命やってきました、このDPF装置、浮遊粒子状物質、このテーマにおけるDPF装置の問題だとか、いろんなものに私たちもかかわってまいりました。これは進んできたと私たちは自負いたしてございます。
 また、住宅問題にしても、都営住宅への若年ファミリー向け入居制度、これなんかも特定の東京都独自で建てた住宅にそれを応用展開するという、それはそれとして私はよかったのではないかと思います。特に若い世代が東京に住み続けることのできる、首都圏に住み続けることのできる基盤をつくってあげる、そういうことをやはり夢として私たちはかなえてあげなければいけないという立場から、この都政改革ビジョンⅢの中に、ソフトの分野である福祉、住宅、それからさまざまなハードの面にない重要な政策、課題について、この位置づけをがっちりとしてほしい、していくべきだという思いがございますけれども、皆様の方のご意見を承っておきたいと思っております。

○幡本知事本部自治制度改革担当部長 福祉や住宅などの問題は、都民生活に密着した問題であり、都民が安心して暮らせるためにも、的確な対応をしていかなくてはならない重要な課題でございます。
 これらの課題につきましては、現在、区市町村などの基礎的自治体も大きな役割を果たしております。都政改革ビジョンにおきましては、これらの課題を含め、広域的自治体と基礎的自治体、民間などとの新たな役割分担を検討した上で、広域的自治体が果たすべき役割について考え方を示していきたいと考えております。

○鈴木委員 最後になりますけれども、きょうは、いわゆるハード面、ソフト面などが、ビジョンⅢの中へどういう視点でそれをさまざまな形で織りなしていくかという理念的なことを聞いただけであります。個々の課題については、これからまたできた段階で論議を進めなければならないでありましょうし、何もないわけですから、それができた中で、いわゆるツーウエーでやりとりをしながらいきたいと私は思っております。
 そういう中にあって、最後承っておきたいんですけれども、こういう二十一世紀の都市の世紀、都市競争の時代、やはり首都圏三千三百の自治体、世界にもその例を見ないほどの人口を有する、また物の生産高、物の流通、人の動き、文化、教育、こういうところは私はないと思います。世界で、この日本の三千三百というところは、私はあるわけじゃないと思います。ですから、それだけに、やはり私たちがきちっとした枠組みをどうこれから国に対してぶつけていくか、そしてまたそれをつくり上げていくか、くどいようでありますけれども、ともどもにそれをつくり上げていく時代に、私たちはその中にちょうどい合わせたという私自身の自負心もありますから、その辺の首都圏再生に取り組んでいく局としての力強い決意を最後承って、きょうの理念としての質問を終わらせていただきたいと思います。

○田原知事本部長 首都圏につきましては、今後も、国際的に人、物、金、情報が行き交う魅力のある都市として、我が国の社会経済活動を支えていかなければならないものと考えております。
 また、現在の首都圏についてみますと、交通混雑、それから大気汚染、防災などの問題、これは首都圏住民の暮らしにとって深刻な影響を及ぼしております。また、それは同時に首都圏の魅力、ひいては我が国の国際競争力を大きく損ねていると考えております。
 これら課題の解決をしなければ次へ進まない、明るい二十一世紀に進めないというふうに考えておりますので、首都圏再生に向けました具体的な施策を都として打ち出していく、実現をしていくことはもちろんでありますけれども、首都圏再生に向けた施策の強力な展開ができるような制度改革、これにつきましても、首都圏を構成する六県市とともに全力で取り組んでまいりたいと考えております。よろしくどうぞ、ご支援をお願いいたします。
〔古賀副委員長退席、委員長着席〕

○川島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○川島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時十八分散会