行財政改革基本問題特別委員会速記録第三十七号

平成十三年二月六日(火曜日)
 午後一時五分開議
 出席委員 二十二名
委員長大山  均君
副委員長森田 安孝君
副委員長松本 文明君
副委員長渡辺 康信君
理事中嶋 義雄君
理事三原 將嗣君
理事和田 宗春君
理事曽根はじめ君
織田 拓郎君
いなば真一君
大河原雅子君
浅川 修一君
高島なおき君
大西 英男君
寺山 智雄君
大山とも子君
石井 義修君
野村 有信君
尾崎 正一君
山崎 孝明君
三浦 政勝君
木村 陽治君

 欠席委員 一名

 出席説明員
政策報道室室長安樂  進君
理事赤星 經昭君
政策調整部長岡田 重信君
計画部長関谷 保夫君
調査部長松田 曉史君
総務局局長大関東支夫君
総務部長高橋  功君
行政改革推進室長組織担当部長兼務山内 隆夫君
参事荒川  満君
参事中田 清己君
人事部長三宅 広人君
行政部長松澤 敏夫君
地方分権推進担当部長脇  憲一君
勤労部長尾井 幹男君
財務局局長木内 征司君
経理部長碇山 幸夫君
主計部長成田  浩君

本日の会議に付した事件
 行財政改革の基本的事項についての調査・検討
  報告事項(質疑)
  ・東京構想二〇〇〇について
  ・都政改革ビジョンⅠについて

○大山(均)委員長 ただいまから行財政改革基本問題特別委員会を開会いたします。
 初めに、今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の日程表のとおり申し合わせをいたしましたので、ご了承願います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項、東京構想二〇〇〇及び都政改革ビジョンⅠに対する質疑を行います。
 報告事項二件につきましては、既に説明を聴取してあります。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○岡田政策報道室政策調整部長 去る一月二十九日の当委員会におきまして要求がございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております行財政改革基本問題特別委員会要求資料の目次をごらんください。要求がありました資料は、目次に掲げました二件でございます。
 一ページをお開きください。歴代知事の基本構想、計画でございます。
 このページから次の二ページにかけまして、初代の安井知事から現在の石原知事まで、歴代知事が策定いたしました基本構想、計画について、それぞれの時代背景、主要課題及び都の取り組みを掲載してございます。
 三ページをお開きください。センター・コア・エリア内における市街地再開発事業、土地区画整理事業一覧でございます。
 平成十二年度当初事業進行中のものについて、事業が行われている地区ごとの面積、総事業費等について掲載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求がございました資料の説明とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○大山(均)委員長 説明は終わりました。
 報告事項二件及び要求資料を一括して、これより質疑を行います。
 ご発言願います。

○松本委員 本日の委員会は、昨年末に発表されました東京構想二〇〇〇と都庁改革アクションプランについての質疑のために招集されました。私は、都議会自由民主党を代表して、以下質問いたします。
 まず、東京構想二〇〇〇について伺います。
 西暦でいうところの二〇〇一年、いわゆる二十一世紀がスタートしました。百年後、この国が引き続いて世界に貢献し得る国であり続けるためには、首都東京がハード、ソフト両面にわたって世界の都市間競争に勝ち抜いて、世界を代表する都市であり続けることが必要であります。このことは、都市の進化を見守るだけ、時の流れに身を任せるだけで自然に達成できるほど甘くはありません。
 このたび、石原知事が勇気を持って、五十年後の世界都市東京のあるべき姿を想定して東京構想二〇〇〇として都民に示され、将来に向かって都政の歩むべき方向を大筋で明らかにされたことに敬意を表するものであります。
 しかし、都民の前には、関東大震災の折、時の東京市長でありました後藤新平氏が発表された東京の復興計画を初め、知事がかわるたびに、いまだに達成されていない数多くの構想が発表されてきました。一体どれほどの構想が発表されたのか、それらはどのような時代背景の中でつくられ、どのような役割を果たしたのか、果たさなかったのか、政策報道室長のご所見を伺います。

○安樂政策報道室長 ただいま、いみじくもご指摘がありましたが、これまで知事がかわるたびに構想や計画、知事の数ほどの計画がつくられておりますが、これは、知事の抱負といいますか、知事が目指す東京の理想像を具体的な形であらわしたいという強い思いに促された結果だというふうに思います。したがいまして、策定された構想や計画には、知事の時代認識、あるいは行政への思い、あるいは都民への公約などが反映されておりまして、それはその時代の都民の期待や要望のあらわれでもあると思います。
 これまでの時代背景を若干概括してみますと、終戦直後の安井都政では、戦災復興、戦後の新首都の建設などが中心課題でありました。高度経済成長期の東都政におきましては、高度成長に伴う深刻な過密問題やオリンピックの開催などがテーマでありました。高度成長期から低成長期に移行する時期の美濃部都政は、高度成長による公害などのひずみへの対応や福祉の充実などが主要なテーマになっておりました。また、安定成長からバブル経済に移行する時期の鈴木都政は、前の知事から引き継いだ財政の再建や東京一点集中への対応など、また、バブル崩壊による景気後退期の青島都政は、生活者の視点の重視や深刻化する環境問題への対応などが大きなテーマとなっております。そして、長引く経済不況と日本全体を覆うこの閉塞感の中で誕生いたしました石原都政は、破綻に瀕した都財政の再建、首都東京の再生、東京から新たな社会システムを構築していくということなどを都政運営の基本的な課題としております。
 それぞれの構想や計画は、その時代時代の要請にそれなりにこたえて、一定の成果を果たして、役割を果たしてきたというふうに思いますが、一方では、時代の流れに対応できない、あるいは、法律や制度の制約のもとで所期の目的を達成できない、そのまま終わってしまったものもあったかと思っております。

○松本委員 おっしゃられるとおり、時代の中で生まれ、時代の中に消えていった多くの構想が、今回の東京構想二〇〇〇の中にどのように生かされて継承されているのか、いないのか、意識的に排除された考え方があるのか、あるとすればそれはどのような考えなのか、そこら辺のことについてお述べいただきたいと思います。

○安樂政策報道室長 近年、我が国を覆っております閉塞感、すなわち、社会にさまざまな深刻な問題が起きているという、そのことも重要でありますが、そのこと自体に加えまして、そのような問題にいつまでたっても有効な手が打てない、あるいは改善や改革を進める方向が一向にはっきりしてこない、こういう閉塞状況が社会に蔓延しております。そういう状況を打ち破って、東京から日本を変えるということが東京構想の根底に流れている考え方であります。こういう観点からさまざまな施策を打ち出しまして、構想として今回まとめたものであります。
 この構想を策定するために、目の前にあるこの現状、現実というものを分析することは当然行っておりますが、現状をつくり出すことに影響があったかもしれないその過去の構想とか計画にさかのぼって、それを分析、検討して今回の構想をつくるというような手法は今回とっておりません。したがいまして、意識的に取り入れたとか排除したということには必ずしも当たらないとは思いますが、結果として、明確に方向転換したというものが幾つかございます。
 例えば、これまでの東京の都市づくりというものは、人口と産業の集中から生じる住宅問題、交通問題、あるいは公害問題などさまざまな都市問題に事後的に対応する、結果的にいえば、いわば需要対応型の都市づくりであったという側面があります。これに対しまして、今回の構想では、都市づくりは、やはり先を見て、五十年、百年先を展望した上で進められるべきものである、そういう考え方に立ちまして、あらかじめ、二十一世紀の東京圏の骨格的な都市構造として、従来の多心型都市構造、この成果を発展させた形での環状メガロポリス構造など、都市づくりのビジョンを示した上で民間の取り組みを適切に誘導していくという、いわば政策誘導型の都市づくりを行っていくことを明らかにしております。
 それから、もう一点といたしましては、福祉改革の推進ということが挙げられるかと存じます。従来の行政による一方的、画一的な福祉サービスの提供方式から、受け手である都民がみずから市場を通じて契約という形でサービスを選択し提供を受ける、こういう方式に改めていく必要があるということを明らかにしております。こうした点は、従来の構想からの重要な方向変換であるというふうに認識しております。

○松本委員 知事がかわるたんびに構想が出てくる、知事の趣味で構想がいろいろやられるというのは、どうも--やっぱり都政の永続性という観点にも配慮する必要があると、こう思うわけでありますが、いずれにしましても、石原都政は永遠ではありません。この構想が五十年先あるいは百年先まで時代を超えて都民から支持されるためには、しっかりした時代感覚と歴史観というものに裏打ちされたものでなければならないと思います。本構想を骨太に貫いている時代感覚と歴史感覚について、室長、都民にわかりやすく解説をしてみてください。

○安樂政策報道室長 この東京構想を貫いている時代観といいますか歴史観についてでありますが、日本は、明治以来、先進欧米諸国に追いつくということを目標としてまいりました。しかし、戦後の長い努力の中で、今日やっと繁栄と平和を得たまさにこの時点におきまして、国家も国民も危機意識や責任感を失って、国全体がよって立つべき座標軸を失っていると現状をとらえております。
 また、成熟社会を迎える中で、これまで維持されてきた終身雇用とか年功序列、護送船団方式といった社会システムが機能不全に陥り、今や時代の転換点に当たって新たな発展の足かせになっていると、こういう認識をしております。
 東京を見ましても、長時間の通勤ラッシュであるとか交通渋滞、これは一向に改善されておりません。自動車の排ガスによる大気汚染は都民の健康を損ねております。また、雇用や老後の不安であるとか、あるいは最近見られます青少年の非行、あるいは非常に凶悪な犯罪の増加、それから検挙率の非常な低下というようなことが、都民生活の安寧を根底から脅かしております。
 このような危機的な状況を招いた根底には国の無為無策があるという認識のもとに、二十一世紀を迎えて、国がよって立つべき座標軸を失った今こそ、東京が、本格的なこれからの人口減少社会の到来を見通した活力と魅力にあふれた将来展望を築くことが必要である、再生に向けた長期戦略を打ち出して東京から変革の波を起こしていくことが、ひいては混迷の中にある日本を再生することにつながるという認識であります。
 こうした認識のもとに、本構想では、個人の選択と責任原則、こういうものに基づいた多様な生き方が可能な社会の実現、結果の平等ではなくて、積極的な挑戦を可能とする機会の平等の徹底、公と私、私と公のバランスのとれた社会の構築、また、それを支える公正で公平な社会システムの構築、こういうことを目指すこととしたものであります。

○松本委員 政策報道室長から国の無為無策という言葉をはっきり表明していただいたというのは、地方分権を進める我が党としては大変心強く思う次第であります。
 ところで、東京構想二〇〇〇は、都政全般にわたる石原知事の都政展開のあり方を総合的、体系的に示されたものであります。今回の構想と、都民の記憶に新しい鈴木知事のマイタウン東京構想、青島知事の生活都市東京構想との違いは何なのか。今や、たいまつは新しい世代へと引き継がれた、困難ではあっても、希望に満ちた石原都政がスタートしたとはっきりと都民が確信できるような本構想の特色について、室長、いい答えがあったら、お願いをします。

○関谷政策報道室計画部長 本構想では、東京の再生を強く意識いたしまして、新たな発展の足かせになっている日本型社会システムの変革も視野に入れながら、活力と魅力にあふれる千客万来の世界都市東京を実現していくことを目標に、石原都政の施策展開の方向性を示したというところに大きな特徴がございます。
 先ほど室長からも発言がございましたけれども、例えば、従来の多心型都市構造を発展させ、東京圏を視野に入れた環状メガロポリス構造の実現を目指すことを示したことや、都民が生き生きと暮らせる東京を実現していくために、安心、安全の仕組みを整備していくとともに、持てる力を最大限発揮できるような場と機会を確保していくことに取り組むことが重要であることを示したところなどにございます。
 さらに、東京都政策指標を各政策目標にわたって全般的に導入いたしまして、成果の重視と説明責任の視点を基本に、今後の都政を展開していくことを明確にいたしました。加えて、構想実現に向け三十五の戦略的な取り組みを提示するとともに、構想の実施計画である三カ年の推進プランをあわせてお示しした点などが挙げられると考えます。

○松本委員 日本の再生のために、力強い東京、活力と魅力にあふれる千客万来の世界都市東京を掲げ、その実現に向け、具体的な道筋を示されたということであります。これは知事の新しい時代への意気込みを感じさせるものであって、まことにさわやかであります。
 ところで、千客万来の世界都市東京、この言葉の意義、意味するところ、心置きなく都民にご説明をいただきたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 東京は、千二百万都民が生き生きと暮らせる生活の場であるとともに、我が国の首都として、活発な経済、文化活動が営まれる活力と魅力にあふれた都市になっていく必要がございます。バブル崩壊後、我が国の国際競争力が急速に低下する中で、首都東京は、高度の都市機能の集積を生かし、激化する都市間競争に勝ち抜き、日本経済を強く牽引していくことが求められております。国境を越えた経済活動が活発化する中、東京は、世界じゅうの人、物、情報等が行き交い、活発な経済、文化活動が行われ、新たな価値が次々に生み出される、世界に冠たる国際都市となる必要があると考えているわけでございます。
 本構想では、そうした認識に立ちまして、個人や企業等が持てる力を最大限に発揮できる場と機会を有するなど活動の場としての魅力と、快適な居住環境や良好な治安、災害への備えなど生活の場としての魅力をあわせ有することにより、東京が世界じゅうの人々を魅了し、引きつける都市となることを目指し、それを千客万来の世界都市東京と名づけたものでございます。

○松本委員 五十年、百年の先を見据えてということでありますから、この構想をつくるに当たって、都民の意見というのがどのような手法でどのように反映をされているのか、ちょっと教えておいていただきたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 今回構想を策定するに当たりましては、最初に東京都の広報を通じまして、この策定をしていくということを都民にお知らせいたしまして、種々のご意見をいただいております。また、専門家、さらにはインターネット等を通じての都民意見を集める等種々の取り組みを行う中で、昨年、中間のまとめということで、検討段階の中間案をお示しいたしました。その中間案の段階を、また東京都の広報、さらには東京都のホームページ等で提示いたしまして、都民の皆さん、さらには区市町村、関係団体等、さまざまなチャンネルからご意見をいただきまして、最終的な構想として取りまとめたところでございます。

○松本委員 お話の中間のまとめですけれども、やや具体性に欠けていて、いま一つわかりにくい点があったと、こう思いましたが、今回は、三十五の戦略的取り組み、そして、政策指標の具体的な数値目標を示し、さらに三カ年の推進プラン、これにおいて構想実現のための具体的な実施計画を明らかにされておりまして、我が党としては高く評価をするところであります。
 まず、戦略的取り組みについてでありますが、今回提示された意義といいましょうか、その認識というのでしょうか、そこら辺についてご説明をいただきたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 ただいまお話にございましたように、中間のまとめでは、具体的な施策展開については方向性を記述するにとどめたわけでございますが、今回は、構想で掲げた十六の政策目標を実現していくための具体的な取り組みをお示ししたわけであります。そうした取り組みの中でも、従来の局面を打開するための新たな施策や取り組み、さらには国への提案要求などを示したものを、戦略的に重点的に取り組むものとして、戦略的取り組みとしてお示ししたところでございます。

○松本委員 我が党は、大変に厳しい東京都の財政状況の中で、財政構造改革を引き続き推進していく、その一方で、東京の再生、東京の活性化に資する施策には重点的、集中的に取り組んでいくことが重要である、こう主張してまいりました。今回は、そうした状況の中で、どんな点に留意をして実施計画である推進プランを策定されたのか、伺いたい。

○関谷政策報道室計画部長 今年度は税収の伸びが見込まれるものの、都財政は依然として厳しい状況にあることには変わりございません。引き続き財政構造改革を進め、財政再建を図っていかなくてはならないと受けとめております。一方で、東京を再生、活性化する施策に重点的、集中的に取り組んでいく必要があることについては、先生のご指摘のとおりでございます。
 こうした視点から、三カ年の推進プランでは、平成十三年度からの三カ年で重点的に事業を進めていくものを厳選いたしまして、計画事業費を計上しております。真に必要な事業を進めていくという考え方に立って推進プランを策定いたしました。

○松本委員 東京の再生、東京の活性化のためには、どんなに財政状況が厳しくあっても、必要な都市基盤の整備は着実に行って、構想に掲げた環状メガロポリス構造を早期に実現することが必要だと、こう考えております。どのように取り組んでいくのか、具体的な答弁を求めます。

○関谷政策報道室計画部長 東京構想二〇〇〇では、東京圏が引き続き首都機能を担い、二十一世紀の国際競争を勝ち抜ける活力と魅力にあふれた大都市としていくため、長期的な視点も踏まえ、東京圏の望ましい都市像として環状メガロポリス構造をお示ししたわけでございますが、この環状メガロポリス構造の実現を図るため、一つは東京外郭環状道路など広域幹線道路ネットワークを形成していくこと、多摩地域における自立性の高い都市圏を形成していくこと、さらには、臨海部でございますけれども、国際航空機能の強化、東京湾内の主要港の間での役割分担と連携強化、臨海地域における再編整備の推進などを進めてまいります。また、日本経済を成長させる中心核である首都心しんの形成を図るとともに、木造住宅密集地域におきましては、公民連携によるまちづくりにより、防災性、不燃性の向上などに取り組んでまいります。

○松本委員 東京の再生に向けては都市基盤整備のための投資も必要ですが、一方でまた、都民が生き生きと暮らせるような生活、福祉の基盤を整えることも必要です。構想では、生活、福祉の基盤整備に向けてどう取り組もうとされているのか、お伺いをします。

○関谷政策報道室計画部長 都民が生き生きと暮らせる東京を実現するためには、都民が安心して生活できるようにしていくとともに、個人が自己の責任に基づき多様な生き方が選択できる社会を実現していくことが必要でございます。
 そのため、構想では、安全で暮らしやすいまちにすること、持てる意欲と能力が最大限発揮できる場や機会を確保すること、雇用や福祉などについてセーフティーネットを整備することなど、多様な取り組みを行っていくこととしております。
 快適な居住環境の整備や良好な治安の確保、災害への備えの充実などを推進していくとともに、高齢者や障害者も地域の中で可能な限り自立して生活できる福祉の構築、保育や救急医療などの充実などを図ってまいります。また、雇用の面でも、再就職や転職が円滑にできる社会の実現に努めてまいります。

○松本委員 もうちょっと目に見えるような形で、イメージを都民の前に説明をしていただきたいと思うわけでございますけれども、東京都内を走っている車の平均時速が大体十六、七キロだと、こういわれております。掲げている三十キロで走れるような道路が、十五年後にはそういう社会になりますよ、電柱は十五年後には東京では見かけることが難しくなりますよ、養護老人ホームに入るのに待ち時間がゼロになるまで、あと十年で何とか達成したいんですよ、あるいは、病院に行って三十分待って三分間の診療というようなことは十年後には絶対にありませんよ、幼稚園、ゼロ歳児保育を含めて、お申込書をいただいたらすぐお預かりする、待ち時間なしと、こういう社会が大体十年か十五年後には実現しますよと、こういうことなのかどうなのか。そこら辺、ちょっと具体的にお示しをいただきたい。

○関谷政策報道室計画部長 大変多岐にわたるご指摘ですので、一つ、最初に例示されました平均旅行速度ということを考えてまいりますと、今回の構想の中で考えておりますのは、環状メガロポリス構造ということで、例えば外環等の幹線道路の整備をしていく、そのことによって、いわば都心に特に用のない車、いわゆる通過交通について排除していきましょう、さらには、TDM施策等によって自動車交通量を抑制していきましょう、そういうことをやることによって、例えば環状七号線だとか環状八号線等については、将来は緑豊かな空間にしていきましょうと。それから、現在の公共交通網、そういうものが充実している条件を大切にして、余り過度に自動車に依存しないような都市空間をつくっていこうとか、そのような形で構想を立てているところでございます。

○松本委員 話としては、理屈としては非常によくわかるのでありますけれども、鈴木都知事のマイタウン東京構想が実現をしていれば、職住は近接して、世界で最も住みやすい、暮らしやすい東京になっていたはずなのであります。青島知事が出された構想が実現をしていれば、これもまた、住みやすく暮らしやすい、すばらしい東京になっていたはずであります。それがそうではなくて、今度は石原さんの東京構想二〇〇〇という形で出てきましたよということであれば、今までのと違いますよというような、まちのイメージがどう変わるのか、変わるためにどうするのかというのは、もうちょっとわかりやすくご説明をいただいた方がいいのではないだろうかと、こう思っております。きょうは、時間の関係で、先に進めさせていただきます。
 政策指標について伺いますが、構想に導入する意義、また、今後、どのようにこの政策指標を活用されようとしているのか。これも、できるだけ具体的にお示しをいただきたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 東京都政策指標は、都政が目指すべき政策の目標水準を、都民の生活実感に即して、わかりやすく数値化して示すものでございまして、説明責任の観点から、都政に関して都民との共通認識の土台をつくり、都庁内外での政策論議を高めていくこと、さらには、都民生活をいかに改善できたかという観点から施策、事業の見直しを図るなど、成果重視の都政運営の流れを確立していくことに導入の意義がございます。
 東京構想二〇〇〇では、十六の政策目標ごとに合計六十の政策指標を掲げたところでございまして、今後、適宜モニタリングを行いまして、構想で示した将来像の実現に生かしていくとともに、来年度から本格導入を予定しております行政評価にも活用し、施策、事業の見直しに役立ててまいりたいと考えております。

○松本委員 東京構想というのは、知事が個別分野で打ち出された政策の苗を、長期的な視点から東京の再生に向け総合的に再構築しようと、首都東京のみならず、日本の国を変えるという知事の大変な意気込みが感じられるものとなっております。我が党が強く主張してまいりました、東京を再生させ、東京の活力を高めていくことが都政の緊急の課題であるという趣旨とも軌を一にするものであって、その点高く評価をするものであります。
 ただし、構想に盛り込まれた施策を実行していくためには、都民はもちろん、国や民間事業者などの協力が不可欠であります。厳しいやりとりも予想されるわけであります。構想実現に向けてさまざまな困難も伴う、こう思うわけでありますが、不退転の決意で臨まれるよう強く要望して、政策報道室長のご決意を伺います。

○安樂政策報道室長 東京構想、ここで示している東京の将来像を実現していくためには、ご指摘がありましたけれども、都民や国、あるいは区市町村、民間事業者などのさまざまな協力が不可欠であります。時には、それぞれの利害に反する場合もあるかと思いますが、最終的には、都民全体、国全体の利益にとって、何が最終的な利益であるかということを念頭にして、構想の実現に粘り強く取り組んでいきたいと思います。
 また、国の法制度、あるいは税財政制度が施策展開の障害になっているような場合も多々ございます。こういうものにつきましては、国に改善を強く求めていきたいと思います。もし国がやらないなら、知事がいっておりますが、都がやるという、そういう独立自尊の姿勢というもの、気概というものが大事だというふうに思っております。
 先ほど、これまでの構想との違いは何なのか、都民が確信を持てるその特色を述べよというお尋ねがございましたが、この構想、いろいろな夢を描いておりますが、そこに至るためには、今ご指摘がありましたが、やはり各界の協力、あるいは、場合によっては都民や国民がみずから変わらなければならないというようなこと、こういうこともこの中で書き込んでおります。
 例えば、これまでのように結果の平等だけに甘えるのではなくて、機会の平等ということも徹底的に行っていくと。これは、一面で大変厳しい競争とか努力を要請することでもあります。また、公と私のバランス、こういうものもどちらかに傾くことなく均衡を保っていかなければならない、こういう問題提起もございます。
 また、最近に見られるようなモラルの低下、あるいは、人のことに構っていない、人のことを構わないような、こういう状況もあります。また、郷土や国への誇り、こういうものも非常に失われてきていると思います。こういうものを、この中で、我々いろいろな問題提起をしているつもりであります。ここに手をつけなければやはり日本は変わっていけない、そういう我々の決意をこの中にあらわしております。これが我々の今回の構想の一つの特色といいますか、努力すべき行き先であるというふうに思っております。

○松本委員 国がやらないんなら東京都がやるぞ、独立自尊と、この言葉に強い勇気というのでしょうか、そういうものをお与えをいただいたようで、大変ありがとうございました。
 次に、都庁改革アクションプランについて伺います。
 東京構想二〇〇〇では、五十年後の東京のあるべき姿が提示をされました。これの実現に責任を持つのは、東京都の組織そのものであります。しかし、これは容易なことではない。多くの試練と困難が予想されます。今の都庁の能力では、これはできない。そこで、東京構想二〇〇〇が十分に実現できる、効率的で力強い都庁に改革しなきゃならぬ。そのプランが都庁改革アクションプランであると、こう認識をしておりますが、私の認識が間違っているかどうか、総務局長の答弁を求めたい。

○大関総務局長 全くご指摘のとおりでございまして、お話のありました都庁改革アクションプラン、これは東京構想二〇〇〇で示しました東京の望ましい将来像を実現するための取り組みや施策につきまして、着実かつ効果的に実施できる都庁へ行政体質を転換しようということで、さまざまな政策を明らかにしたものでございます。その意味では、東京構想二〇〇〇と都庁改革アクションプランというのは表裏一体のものである、このように理解しております。

○松本委員 現下の財政危機の克服、急激に変化をする社会経済環境、これへの的確な対応、こうした課題が山積する都政にあって、都庁における仕事のスピード感やコスト意識の希薄さ、これは石原知事の指摘をまつまでもなく大きな問題であると、こういう認識を我が党は示してきたところであります。
 これまで、東京が今後の我が国を牽引する首都の役割を果たしていくためには、都みずからが時代を先取りした行政運営を行っていくことが不可欠であり、時代の変化に機敏に対応できるような行政体質の転換に直ちに取り組むべきだと、こう主張してまいりました。まさに現下の緊急課題であります財政再建をなし遂げ、地方自治体の仕事が基礎的自治体である区市町村にシフトする中で、広域的自治体としての都の役割を都民に明らかにしていくためにも、都政改革は重要な課題であります。
 このような状況の中、これからの行政改革の基本の書となる都庁改革アクションプランを取りまとめられたことは、評価するところであります。ぜひとも実のある改革を強力に推し進めていただきたい、こう考えているわけでありますが、都は、鈴木知事時代以降、その時々に応じて行政改革に取り組んできています。今回の新たな行政改革のねらいと特徴は何か、お伺いをいたします。

○荒川総務局参事 ただいまお話しのように、都は、これまで数次の行政改革に取り組んでまいりました。それらは主としまして、現行制度を前提に、組織や定数の見直しといった効率的な執行体制の確保を中心として行ってきたものであります。
 今回お示ししました新たな行政改革は、こうしたこれまでの取り組みを継続しつつ、東京の将来像を見据えた都政のあるべき姿を示し、それにふさわしい質の高いサービスを効率的に都民に提供できる都政をつくり上げることをねらいとしております。
 また、特徴でございますけれども、改革の進め方といたしまして、直ちに取り組むべき当面の改革と、制度改革を視野に入れた中長期的視点での改革とに区分いたしまして、段階的に取り組んでいくことといたしております。

○松本委員 おっしゃられるとおり、質の高いサービスを効率的に都民に提供するというのが目的でありまして、単に都庁内部の効率化にとどまるというような改革であってはならないと、こう思うわけであります。
 また、行政改革の取り組みについては、我が党はかねてから、今日的緊急課題と中長期的課題に分けて二段階で行うべきであって、財政再建を含む今日的な改革には速やかに対応し、一方、東京の将来像を見据えた中長期的視点での改革については、腰を据えて十分に論議を積み重ねて取り組むべきである、こう主張してきたところであります。今回、その点を整理していただいたことには高く評価を表したいと思うわけであります。
 直ちに取り組むべき改革として、都庁改革アクションプランで掲げた二百十五項目の改革については、執行機関側での責任で着実に進めていただきたい、こう考えておりますが、幾つかの項目について具体的な内容を伺います。
 まず、ITを活用した改革についてであります。
 都庁改革アクションプランの中では、電子都庁を実現し、質の高い都民サービスを提供する、効率的で迅速な仕事の進め方を確立すると、こう書かれています。しかし、ITを活用した都民サービスを行うにしても、単にITを導入するだけでは、効果は半減します。単にワープロがパソコンに置きかわっただけ、これでは何の意味もない。これまでの行政に何が欠けていたのか、民間企業と比較した場合どこがおくれていたのか、こういった観点から厳しく見直す視点が必要だと考えております。
 今年度末には電子都庁推進計画、これが発表される予定と聞いております。電子都庁の目指す具体的かつ明確な目標を設定し、強力に推進していくことが重要だ、こう考えておりますけれども、所見を伺います。

○高橋総務局総務部長 電子都庁推進計画でございますが、今年度末を目途に策定を予定しているところでございますけれども、この計画におきましては、都民や事業者が実感できるサービス向上の実現など四つの目標を定めまして、平成十五年度までの、年次ごとに実施をしていく具体的な施策を明らかにするものでございまして、わかりやすく使いやすい電子都庁としての基盤構築を目指しております。
 また、電子都庁の推進に当たりましては、この四月から総務局に部相当のIT推進室を設けるなど、その推進体制を強化いたしますとともに、職員の意識改革を図りながら、全庁一丸となって、従来の慣習やルールにとらわれず、仕事を根本から変えるという姿勢で取り組んでいくつもりでおります。

○松本委員 組織について伺います。
 都政改革ビジョンⅠの中間のまとめによりますと、機能的、戦略的な行政運営を行うことのできる執行体制の整備を目指してトップマネジメント補佐機能を強化すると、こうありました。緊急に対応すべき重要課題が山積する状況においては、都政の重要施策について基本的な方向を速やかに決定し、具体的な各局事業につなげていくための機能を強化していくことは大変重要なことであります。
 しかし、このことについては、昨年の秋の行特委で我が会派は、予算を含めた諸機能を一局に集めるという形で権限の集中を図るべきではない、都庁という組織の中でトップマネジメント補佐機能の強化を図る際には、組織全体の中で適正なチェック・アンド・バランスが働くことが重要だと、こう主張したところであります。総務局からは、政策立案、調整、組織、人事、予算などの諸機能について、一つの局に集中させるというかつての経営局構想のようなことは難しいのではないか、チェック・アンド・バランスを図り、都庁全体の組織として有効に機能することで、適切にトップを支えられるような体制にしていきたいという答えをちょうだいいたしております。
 そこで、このたび発表された都庁改革アクションプランの中では、トップマネジメント補佐機能についてどのように整理されたのか、伺います。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 政策立案や、さまざまな施策の総合調整機能は、引き続き政策報道室が所管することといたします。組織、人事、予算につきましては、これまでどおり総務局と財務局で所管する体制といたします。今後とも、三局のチェック・アンド・バランスのもとに、適切な都政運営を進めていきたいというふうに考えております。

○松本委員 トップマネジメント補佐機能の強化は、経営局構想のように、一つの局に権限を集中させるということではない、こういう答弁であったと確認をさせていただきます。
 その上で、それでは、現在の政策報道室を具体的にどういう形で強化し、再編整備されようとしているのか、お伺いをいたします。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 今回の組織改正では、具体的に申しますと、政策報道室につきましては、都市外交や行政評価の機能を加えまして、それからまた、都政改革ビジョンⅢ、今後策定する予定の都政改革ビジョンでございますが、それを策定する体制を整備いたします。また、現在の政策報道室の政策調整部、計画部、調査部といった機能別の部立てを改めまして、政策立案、調整、それから計画策定、調査、こういった各機能が一体となって弾力的に対応できる体制を整備するとともに、新たな政策部を設置したいというふうに考えております。
 なお、これに伴いまして、政策報道室の名称は、専ら知事のトップマネジメント補佐機能を担う組織ということになりますので、知事本部という名前に改める予定でございます。

○松本委員 昨年一年間は、外形標準課税の導入やディーゼル車の排ガス規制など、知事から新たな施策が次々と提案され、知事は常々、東京から日本を変えていこうと、こういう積極的な姿勢を示されています。知事のモットーであるスピードを重視した行政運営を行っていくためには、現状の組織の見直せるところはしっかりと見直し、いわゆるトップマネジメント補佐機能を充実させて、しっかりと機能させていくことは大変重要なことであります。
 しかし、幾らスピードの重視といっても、都政を支える中枢というべき諸機能を一つの局に集中して、急いで事を進めてしまおうなどという考えはとるべきではない、こう思います。二十一世紀は、ますます不透明な状況が続き、都政のかじ取りもますます困難になります。都庁の職員がいかに優秀であっても、都民の意思に合わない方向に進もうとしたとき、これを正しい方向に修正する、こうしたチェック・アンド・バランス、庁内民主主義の都の内部組織においての重要性、このことは忘れてはならないことだと思いますので、重ねて申し上げておきたいと思います。
 次に、監理団体改革についてお聞きをいたします。
 都は、昨年十一月に監理団体改革実施計画、監理団体総点検結果を発表されました。この計画では、団体の統廃合等の計画ではなくて、団体別に経営改善計画を策定し、都民の前に明らかにされたところであります。これは従来の改革案では見られなかったことでありまして、この改革に対する関係者の取り組む姿勢を高く評価するものであります。しかし、大切なのは、この計画をいかに確実に実施するかでありまして、絵にかいたもちとなってしまったのでは意味がありません。
 そこで伺います。今回の改革の実効性を担保するため、進行管理する組織を立ち上げると聞きました。この組織の設置時期、構成メンバー、また進行管理する具体的な内容はどのようなものなのか、お示しをいただきたいと思います。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 監理団体改革を確実に進めていくため、本年四月、改革への取り組み状況を進行管理する組織を立ち上がらせることとしております。この組織は、副知事を筆頭に、総務局、財務局及び所管局を構成員といたしまして、必要に応じて外部専門家の助言を得るものとしております。
 進行管理する内容でございますが、経営評価制度の見直しなど都における取り組み状況と、各団体が策定いたしました経営改善計画の具体的な実施状況などでございます。これらの取り組みが確実に実行されますよう、進行管理していくつもりでございます。

○松本委員 ぜひ適切な進行管理をお願いをしておきたいと思います。団体によっては、今後、計画どおり改革が進まないところが出てくることも考えられます。改革を着実に進めるためには、団体のインセンティブを高めるとともに、経営責任を明確にする必要があります。そのためには、団体改革の実施状況を都民に明らかにすることが有効であると、こう考えております。
 そこで伺いますが、進行管理した結果は都民に公表すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 団体改革の実効性を高めるためには、定期的に進行管理するだけではなくて、その結果を都民に公表する必要があると考えております。公表に当たっては、各団体の経営改善計画の進ちょく状況など、それから進行管理の結果を、団体の予算・決算時期に合わせるなど、適切な時期に公表していきたいと考えております。このことによりまして、団体の改革意欲を高め、改革を確実に進めていきたいというふうに考えております。

○松本委員 今回の団体改革は、これまでのものと比べて、規模、内容ともスケールの違う、大幅な見直しとなっています。知事も就任以来、団体改革については積極的な姿勢を貫いていらっしゃいました。我が党としても、団体改革は石原行革のいわば試金石であると認識をいたしております。ぜひ確実に実行されるよう強く要望しておきます。
 次に、行政評価制度についてお伺いします。
 行政評価制度は、二年の試行を経て、来年度から本格実施となりますが、今回のアクションプランでは、これとは別に、自己検証システムを来年度から実施するとなっております。これらは両方とも、成果重視の都政への転換、施策、事業の不断の見直しを目的とするものと考えておりますが、この二つの違いについてご説明をいただきたいと思います。

○中田総務局参事 副委員長ご指摘のとおり、行政評価制度と自己検証システムはともに、成果重視の観点から施策、事業の不断の見直しを目的とするものでございます。
 両者の相違についてでございますが、行政評価制度は、都の重要課題の中から評価対象を選定し、事業を所管する立場から第一次評価を行い、全庁的な立場から第二次評価を加えるものでございます。これに対しまして、自己検証システムは、原則として都のすべての事業を対象に、事業所管部署がみずからの事業を自主的に検証するものでございます。これら両者を実施し、連携させることによりまして、全庁を挙げて、施策、事業の実効ある不断の見直しに取り組んでまいりたいというふうに思っております。

○松本委員 行政評価と自己検証システムを組み合わせて、効率的に全庁を挙げた不断の見直しを進める、このことは大変よい取り組みだと評価をいたします。
 そこで、来年度から自己検証システムをどのように進めていこうとされているのか、もう少し具体的にお示しをいただきたいと思います。

○中田総務局参事 自己検証システムは、来年度から、制度を所管します政策報道室が示します標準的な検証方法によりまして、各局ごとに、主要な事業を検証対象として実施していきます。その上で、各局ごとの事業特性を加味しながら、検証方法を改善いたしまして、二ないし三年度のうちに段階的にすべての事業へ拡大していくことによりまして、効果的かつ自主的な検証が可能なシステムとしていきたいというふうに思っております。

○松本委員 次に、自治制度の改革を視野に入れた、中長期的視点での改革であります都政改革ビジョンⅢについてお尋ねします。
 ビジョンⅢは、区市町村や他県も巻き込んだ非常に壮大な構想になるのではないかと期待をいたしております。策定に当たっては、都議会を初め関係者と十分に協議を重ね、慎重に検討していくべきものと考えております。今後、ビジョンⅢについてはどのような手順、方法で進められるのか、お示しをいただきたいと思います。

○荒川総務局参事 ビジョンⅢの策定でございますけれども、東京及び東京圏の現状、地方分権など自治制度を取り巻く問題などを整理しまして、この四月には専管組織を設けまして、早急に具体的な検討に入りたいと考えております。
 今後、都議会や区市町村など各方面のご意見も取り入れながら、広範かつ真摯な議論を重ね、今回のアクションプランで掲げました、東京圏の自治体のあり方、大都市行政のあり方、国との関係の整理、税財政制度のあり方などの課題につきまして検討を深めてまいります。

○松本委員 東京及び東京圏の現状を踏まえる、こういうことでありますけれども、東京圏の人口は三千万人を超えており、世界でも類を見ないほどの規模であります。昼間都民という言葉があるように、東京を中心としたこの圏域の結びつきは非常に強く、東京が抱えるさまざまな問題も、圏域全体として考えていかなければなりません。また、実際このような地域の都市運営をどのような方法で行い、問題を解決するかについては、これまでの発想ではとても対応できません。その点からも、都政改革ビジョンⅢは、広範な意見を求め、検討を重ねていただきたい。
 その際、特別区のあり方についても検討を深めるべきであると考えております。昨年四月には清掃事業の移管などの制度改革が行われて、特別区も基礎的自治体に位置づけられました。しかしながら、本来基礎的自治体が担う交通、消防、水道などは、広域的行政として都が実施しておるところであります。このままこれらの事務について特例として行っていくことがよいのか、法律改正を求めて都の事務とすることの方がよいのかなどの検証も必要だと考えます。
 東京のような巨大な都市では、他の都市と比べて、サービスの需要、供給ともにけた違いに大きいのが現状です。効率性や経済性などの面からも、都が広域的自治体として、引き続きさまざまなサービスを提供していくべきなのか、住民に身近な特別区にすべてを任せた方がよいのか。その場合には、今のまま、二十三区の特別区を設置しておくべきなのか、そうでないのか。いずれにしろ、相手と法律に規定があることですので、真摯な論議を重ね、方向性を示すべきであります。そのためにも、先ほども述べたように、我々都議会ともじっくり議論を重ねていただきたいということを重ねてお願いをいたします。
 最後に、都庁改革アクションプランでは、組織改革、団体改革も含め、多くの改革策が示されております。今後は、これをいかに実行していくか、大変重要、都民の注目するところであります。行政改革にかける局長のご決意を伺って、私の質問を終わります。

○大関総務局長 これからの行政改革のねらい、これは、一言で申し上げますと時間とコストと質の向上だと、このように考えております。そういう意味で、職員定数の見直しや人件費の抑制、あるいは都民への情報公開の推進など、これまでの取り組みを継続しつつ、東京の将来像を見据えた都政のあるべき姿を示し、それにふさわしい質の高いサービスを提供できる都政をつくり上げていくことが大事であろうと考えております。
 今回発表いたしました都庁改革アクションプランは、こうした改革を行うために欠かせない、当面取り組むべき行財政システムの改革の内容を示したものでありますけれども、行政改革は、計画を発表すれば終わりということではなくて、実行してこそ意味があるわけでございます。これは私の決意というよりは、都庁全体、職員全体の決意ということで、この改革を断固やり抜くという強い姿勢が大事だと思っております。今日の都庁の改革を、危機を乗り越えていくために都庁全体で改革に取り組んでいきたいと、このように考えております。

○曽根委員 私からは、東京構想二〇〇〇について質問をいたします。
 二十一世紀を迎えて、都政には取り組むべき課題が山積をしています。そして、新しい世紀は、東京都がまず軍事施設のない、核兵器のない平和な都市に発展すること、また、乳幼児からお年寄りまでだれもが健康に安心して暮らせる政治、そして、自然環境と人間の暮らしがともに成り立つような都市を実現したい、これはだれしも共通の願いだと思います。
 しかし、新年になって私があちこち回ってみましても、都民の皆さん共通して、生活も家計も、商売もまだ不況の真っただ中で、今後に明るい見通しなど持てないというふうにいわれました。失業者もふえております。特に高齢者、障害者が、医療費の値上げ、介護保険料の徴収、年金改悪などで、国政にも、東京都政にも根深い不信感を持っているという現実に私たちは直面していると思うんです。
 長期構想を策定する場合、こうした都民の暮らしや営業など、生活実態を正確につかんで、それをいかに解決して展望を切り開くのか、これが厳しく問われているのは当然です。そういうときに、東京都の役割、都民の安心できる暮らしや福祉を守る点でますます重要だと思います。
 そうした観点から、昨年の九月の中間まとめ、今回の最終報告を見させていただきましたが、これは中間まとめの質疑のときに渡辺副委員長からも指摘しましたけれども、東京構想二〇〇〇には、こうした都民の苦しみ、痛みを受けとめる姿勢が果たしてあるのかと首をかしげざるを得ない点や、また、首都圏規模の都市改造計画などに莫大な費用を計画しているという点では、旧態依然の大型公共事業優先路線に反省がないんじゃないか、また、新たな一極集中さえ招きかねないんじゃないかと懸念を持たざるを得ません。以上の問題意識を持ちながら、質問をしていきたいと思います。
 まず、都民の都政に対する最大の願い、要望は何かという点で、この構想を担当しています政策報道室が毎年行っております都民の生活世論調査の最新のデータでは、都政への要望という点で、上位はどういう要望でしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 平成十二年の調査では、都政への要望の上位五位は、一、高齢者、二、医療、衛生、三、ごみ、廃棄物、四、環境、五、消費生活でございます。

○曽根委員 この上位のトップにあります高齢者対策、それから二位の医療、衛生、この要望というのは、この間何年ぐらい上位を占めているのでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 高齢者につきましては、平成七年から平成十二年まで、毎年の調査ですべて一位になってございます。また、医療、衛生につきましては、平成八年、九年、十年は二位、平成十一年は三位、それで、先ほど申し上げましたとおり、平成十二年は二位でございます。

○曽根委員 九五年もしくは九六年以来ずっと、一位は高齢者対策、二位は医療、衛生ということが続いているわけで、これは、たまたま昨年の調査でこうなったのではなく、都民がこの間ずっと、福祉や医療、高齢者対策の充実を都政に最大の要望として求めていることは明らかであります。
 しかし、この構想を読んだ限りでは、都民の最大の要望、とりわけ高齢者対策といっても、その中身は、細かい調査で、高齢者福祉の基盤整備だという具体的な要望も報告に書かれてありましたが、そういう拡充の要望にこたえたものになっていないんじゃないかと思うんです。この中には、今後の福祉の方向として、サービスの提供者は、民間企業が大きなサービスを提供し、東京都--むしろ、基礎的な自治体である地方自治体が小さな行政としてわきから支えるというような図まで出ている。東京都が今まで直接担ってきた都民への福祉から、大きく手を引こうとしているんじゃないかという危惧の念を持たざるを得ません。
 局にお聞きしますけれども、この東京構想二〇〇〇で、この都民の要望、特に高齢者対策、なかんずく福祉の施設整備などの拡充に正面からこたえるものになっていないと思うんですが、いかがでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 東京構想の基本目標の一つでございます、都民が安心して生活できる東京をつくっていくためには、福祉の基盤を整備していくことが重要であると認識してございます。
 社会経済状況の変化に対応した福祉改革の推進は本構想の特色の一つでもございまして、本構想では、病気や障害などにより支援が必要なときは適切なサービスが利用できるように地域のケアシステムを整備していくことや、利用者が生活実態に即して必要なサービスを選択できる体制を整備していくことなど、さまざまな福祉に関する取り組みを掲げているところでございます。

○曽根委員 今のお答えで、最初に福祉の基盤整備は重要だというお答えがありましたけれども、では具体的にどうかということで、例えば、この間の高齢者の介護基盤整備で東京はどういうレベルにあるのかということで、私たち、最新のデータを調べてきました。
 ちょっとパネルを使わせていただきますが、一番新しい九九年版という厚生省の発表したデータ、これは実際には九八年度のトータルということになりますが、これでは、その前年に、四十七都道府県の中で残念ながら最下位にあります老人保健施設の定員数、相変わらず最下位を低迷状態のままと。ショートステイの定員数も、四十七位、最下位のまま。中位に位置しておりました特養ホームの定員数は、二十五位から、九八年度は二十六位に下がってしまった。デイサービスの定員数も、中位にあったんですが、二十三位から二十六位に転落という状況で、下位を低迷している分野と、それから、中位にありながら、ずるずる後退をしている、これが介護サービス、特に在宅サービスと施設サービスの中心的な施設基盤整備ですよね。(「こっちにも見せて」と呼ぶ者あり)こういう状態なんですよ。
 ですから、今後の将来の計画を立てる場合は、ほかの県だって頑張っているわけですから、その中で、やはり重要だというのであれば、現状をどう打開していくのかということが書かれてしかるべきなんですが、この中には、現状がこういう下位に低迷しているということについての反省もないし、それから、特養ホームなんかの基盤整備の計画を見ても、これは介護保険実施前に決めた支援計画の数のままなんですよね。その数を出ていないわけなんですよ。そういう点では、最大の要望である高齢者の福祉、介護基盤整備の要望にこたえているとはいえないというふうにいわざるを得ないと思います。
 もう一つ、私が非常に驚いたといいますか、注目をしましたのは、三カ年推進計画というのが今回、中間まとめに加えて具体的な事業名が出されました。この内訳を見ますと、例えば、今いった高齢者対策の事業について重点事業で挙がっているのは、介護基盤整備と、それから高齢者の福祉医療複合施設整備ぐらいなんですね。つまり、施設整備しか重点事業に入っていないんです。ソフトの事業がない。両方合わせても、事業総額の一一・三%程度です。これにほかの福祉医療関係の事業を全部足しても、この三カ年計画の中では、福祉医療関係は一八%ぐらい。これは、細かい事業の内訳は出ていませんので、大ざっぱにハードとかソフトに分けて私が計算したものなんですが、そういう割合になっています。
 これに対して、例えば臨海開発続行、ベイエリア21に拡大するとか、それから幹線道路計画などの大型公共事業は事業費総額の約三〇%を占めておりますし、公共事業全体では、福祉や医療の施設を除いても、約七〇%を占めるんです。
 これを図にしてみました。こういうふうになるんですね、三カ年計画を分類しますと。白くなって抜き出しているその他一一%というのが、いわゆるソフトの事業なんです。それ以外の約九割近くが大体ハードの事業で、つまり公共事業です。公共事業の中にも、もちろん我が党は、福祉、教育施設などの建設は当然必要で、もっとふやさなきゃならないと思っています。それから、鉄道の立体交差などの公共事業もあります。しかし、この赤い部分を見ていただきたいんですが、大型公共事業がまだ三割を占めている。ここに非常に押し出されて、全体としてはハード重視の三カ年計画になってしまっているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 三カ年の推進プランを策定するに当たりましては、厳しい財政状況下においても、東京の再生に真に必要な重点事業に限って事業費を計上したところでございます。都市基盤の整備等につきましては、経済活動の維持向上のみならず、生活環境の改善にも資するものであり、東京を再生していく上で不可欠であるとの認識に立ち、真に必要な事業を選定したところでございます。
 事業の選定に当たりましては、都市基盤整備のみならず、福祉、教育なども含めたさまざまな行政分野において、三カ年で重点的に整備すべき事業を絞り込んでお示ししたところでございまして、特にハードを重視して策定したものというふうには受けとめてございません。

○曽根委員 そういうふうに定めてやっていない、ハード重視と決めてやったわけじゃないといっても、結果としては九割近くが公共事業、ハードになっている。しかし、もちろん、これだからといって、公共事業優先でとんでもないといっているわけじゃないんです。この中には福祉施設もあれば、教育施設もある。それから、緑、公園、それから鉄道立体交差など、必要な事業もありますよ。しかし、問題は、ずばりメスを入れるべきはこの大型公共事業です。中はそんなに数多くないんですよ。臨海開発とか高速道路関連の事業とか、そういうものです。これがいまだに三割の割合を占めているために、公共事業全体が九割近くなっちゃっている。財政が厳しい、厳しいというのであれば、この大型公共事業にずばりメスを入れるべきだというのは、これは別に東京だけじゃなくて、全国で既に大きな国民世論になっているわけです。
 なぜかといえば、この十年間、国も、それから東京都も、大型公共事業、物すごい金をつぎ込んできた。十年間やってきましたよ。景気対策だということでやってきたけれども、結局、景気は回復もしないし、大きな借金も抱えてしまった。東京都の場合には、一般会計だけで七兆円以上の借金があるわけです。そのことが財政を極めて困難に陥れているということは、かつて東京都も財政分析でみずから認めているところですから、この時代、二十一世紀の長期構想というからには、臨海開発のように財政的にも破綻している事業や、それから高速道路のように、出さなくてもいい貸付金までどんどん東京都が出してやっている事業については、きっぱりとメスを入れて見直すと。その分を是正して、ソフトの事業にもっと力を入れるということは十分可能だと思いますが、いかがですか。

○関谷政策報道室計画部長 現在、財政状況が非常に厳しい中で、投資的経費については基本的には抑制方向で、この間東京都は取り組んでいるわけでございまして、今回の推進プランを策定するに当たっても、投資的経費につきましては、十分重点的に選択をした上、真に必要なものについて選び取ったものでございます。幹線道路の整備ですとか臨海部の開発等につきましては、東京が再生していく上で真に必要な事業であろうということで事業化したものでございまして、そのようなご指摘は決して当たらないというふうに考えております。
 また、今回の推進プランの中での目的別の事業費を見てまいりますと、従来の実施計画に比べれば、はるかに土木費の占める割合は下がっているわけでございまして、民生費等の割合は高まっております。福祉を軽視しているということは決してないというふうに考えております。

○曽根委員 前の実施計画に比べて、福祉などがふえているんだというようなお話ですけれども、この重点計画というのは、いってみれば、すべての事業を集めたものじゃなくて、今後伸ばしていく事業について入れたものですよ。青島知事のときのあの生活都市構想の重点計画の中には、介護保険事業に今入っているヘルパー事業なんかは全部入っていたんです。これには入っていないんですよ。あのときの重点計画の中に入っていたヘルパーや何かは介護保険事業に移って、東京都のいわば負担分というのが大きくなっているわけですよね。義務的経費というのが、この施設基盤の整備も含めてその後膨らんでいるわけで、東京都が熱心だから福祉の事業部分が膨らんだわけじゃなくて、国の施設計画に基づいて東京都の出し分を出したということが原因だというふうに思うんです。
 それから、幹線道路が必要だということを盛んにおっしゃいましたけれども、その根拠として、例えば都市白書二〇〇〇なんかには、東京の道路率がまだ低いんだというようなことが盛んに書かれていますよ。しかし、こういうものを使って、道路の整備がまだ重点課題だというのは、私は、やっぱり正確なデータに基づく行政を進める必要があると思うんです。
 というのは、ここで出されている東京の全体の道路率が七・六%だが、ヨーロッパの各都市は二〇%台だというのは、ベースが違うんですよね。東京の場合は、その道路の面積割ることの東京都の総面積が入っているわけですよ。だから、極端にいえば、硫黄島まで面積に入っているんです。多摩の山林も、全部入っている。しかし、ヨーロッパの各都市の道路率には、既成市街地しか入っていないんです。したがって、分母が違うわけですよね。建設省のデータを使ったようなんですが、建設省と東京都のデータの分母の違いを無視して、こういう表を一つでつくってしまう。これだけでも、倍ぐらい違いますよ、道路率は。
 さらに、都心からのどれぐらいの範囲を道路率で見るのかという点でも、ロンドンであれ、パリであれ、ニューヨークであれ、東京であれ、それぞれ都市の大きさは違うわけです。例えば都心からの、今、センター・コア・エリアですか、その範囲ぐらいのところというと大体六キロから七キロ圏で、この範囲で見ますと都心八区ぐらい入るんですが、この都心八区程度の広さの道路率でいうと、ヨーロッパの各都市、ニューヨークも含めて、それと日本の東京、二二%程度で、ほとんど並んでいます。
 ですから、センター・コア・エリアを設定して、その中で渋滞解消だと、そのために中央環状線だというのなら、そのもとになるデータとして、もう少し正確なものを使う必要がある。その上で、きちんと科学的な議論をする必要があると思うんですよ。恣意的なデータの使い方はよくないということを、この際指摘したいと思います。
 それで、先ほど臨海開発の話もありましたが、臨海開発も含めてこの十数年、東京都が進めてきた事業のあり方というのは、私はやはりバブルのやり方が残っていると。二十一世紀にふさわしく、根本的に見直して、この充てている投資の財源を、都民が最も求めている高齢者福祉や医療、保健などに振り向けるべきだと思います。そうすれば、今計画されている高齢者介護基盤施設を初め福祉施設ももっと拡充できるし、それから、今年度から残念ながら切り捨てられてしまった事業についても、復活も十分にできると思うんです。
 私は、三カ年事業であえていいますと、やっぱり切られた福祉をもとへ戻すと。これは都民の願いとして、切々と私たち訴えられているんですね、まちを歩けば。特に高齢者は、マル福も、それから寝たきりの手当も、これは廃止ですから、何とかしてほしいという声を聞いています。こういう声にどうしてこたえないのかなと。東京都に当然聞こえていると思うんですよ。長期計画をつくるといっても、当面の三カ年計画、ここにこうした都民の声を反映させるべきじゃないですか。

○関谷政策報道室計画部長 経済給付的事業の見直しにつきましては、社会経済状況の変化への対応ですとか、社会保障制度や福祉サービスの充実の度合い、介護保険制度等との整合性、負担の公平性の確保などの観点から見直す一方、今回推進プラン等でお示ししていますとおり、新たなニーズに対応した福祉サービスの量的、質的な充実に向け、施策の転換を図り、真に都民が安心できる福祉施策を展開していくために行ったものでございます。
 東京構想では、このことを踏まえまして、推進プランの中で、高齢者や障害者の自立生活を支援するためのサービス基盤の整備促進、心身障害者施設の緊急整備や良質な保育サービスの提供など、多様な取り組みを取り上げているところでございますので、ただいまご指摘のあったように、もとの制度に経済的給付を戻すということは考えてございません。

○曽根委員 私は、たくさんの相談を受けているんですけれども、その中で、昨年九月からマル障の適用を除外された七十六歳の町工場の経営者の方からの相談が非常に切実なので……。
 この方は、今、異議申し立てをやっているんですけれども、長くレール溶接などの工場を切り盛りして働き続けて、九七年に脳内出血で倒れました。左半身麻痺が残って、仕事もままならず、通院費がかさんできたときに、それまでのマル福から、障害者の適用を受けて、マル障の適用になったわけです。どんなに助かったかわからないと--マル福は有料ですけれども、マル障は全額無償でしたからね、そういうふうにおっしゃっていました。それが突然、昨年の八月いっぱいで打ち切りの通告が来たと。不況で仕事もなく、体もきかない状態で、所得税さえ納められないほどの低収入なのに、地方税の均等割を払っているから外されるというんです。しかも、おろされたマル福制度、これはことしの一月から一割負担になってしまった。この方は、昨年春までに、ついに工場も廃業に追い込まれて年金以外は無収入になっているんですが、そこに打ち切りの通知が来ているんですね。つまり、去年の収入でことしの税金を払うという形ですから。
 今、高齢者が経済的に豊かになったとか、他の世代との不公平があるとか、先ほどのお話の中にもちょっと出ましたけれども、大多数のお年寄りは、実態はそんなものじゃありませんよ。ごく一部の方の高額所得のために平均額が上がったように見えますけれども、高齢者の過半数は、国民年金しか受けておらず、所得税が非課税であり、預金も二百万円以下なんです。そういう、いわば大半はつましい、厳しい暮らしを余儀なくされております。それに対して、マル福も老人福祉手当も、所得制限もつけないでいきなり廃止したわけですから、これはやっぱり制度を戻してほしいという声が起きるのは当然だと思います。そういう点で、私は率直にいって、財源もあるじゃないかと思うんですよ。今年度三千六百億円、来年度五千億円近く、合計すれば八千億円以上の増収があると。この財源を大いに活用すべきだ。やはりやる気の問題だと思います。
 それから、経済給付云々というようなお話がありましたが、経済給付制度というのであれば、乳幼児医療費も同じなんですよ。乳幼児医療費助成は拡充をしていって、お年寄りの方は廃止だと。これはやっぱり公平性は保てないと思います。そういう点でも、切り捨てをもとに戻さない理由はないと思います。このことを強く要求して、これは第一回定例会でも引き続き議論をすることを申し上げて、質問を終わります。

○大山(と)委員 私は、都庁改革アクションプランについて質問いたします。
 二十一世紀を迎えた今日ですけれども、どういう行政改革が求められているのかということですけれども、それは、大型公共事業に偏った税金の使い方を改めるとか、それから不効率で不明朗な第三セクターにメスを入れるなどとともに、少子対策、それから高齢化対策や教育などの必要な分野には重点的に予算を配分するという、これが自治体本来の姿ですから、この自治体本来の姿を取り戻すこと、そのための行政改革が求められているんだと思います。
 しかし、東京都が発表したビジョン、これを見ますと、中間まとめ以来、本委員会を初めとした論戦の中で明らかにされてきたように、第一に、東京構想二〇〇〇が示す方向に合った行政をつくっていく、それから第二は、そのために都の仕事をできる限り民間に任せていく、残った仕事も、区市町村だとかボランティアが引き受けないものだけを東京都が仕方なくやろうと、そういう方向が露骨に示されているといえます。
 そのことは、今回つけ加えられた実施計画を見るとよくわかります。一番改革のメスが必要な大型開発の仕組みや第三セクターについては現状追認というふうになっている一方で、女性財団の廃止、それから、これまでは手がつけられずにいました労働研究所や商工指導所などの直営施設の統廃合、障害者福祉会館や勤労福祉会館などについて、運営だとか存立そのものについても見直しを迫るものとなっています。
 私は、時間の関係もありますので、きょうは、実施計画の3、事業のあり方で打ち出された成東児童保健院の廃止について、まずお聞きします。
 この成東児童保健院というところは、児童養護施設であると同時に、病院が併設された施設で、医療も福祉も同時に必要な子どもたちが入所します。全国でも、この成東児童保健院と、岩手県にありますみちのくみどり学園の二カ所しかないという施設です。この成東児童保健院を廃止する理由をまず述べてください。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 成東児童保健院の廃止の理由でございますが、まず一つとして、結核の減少など、疾病構造の変化や医療技術の進歩によりまして転地療養が必要な児童が減少し、全体の入所児童数が減少してきていること、二番目として、都内から遠隔地にあり、保護者と児童との関係を疎遠にする一因となること、三番目として、家庭の事情により入所を必要とする児童の割合が多く、虚弱児施設としての割合が減っていることという状況がございまして、現在入所している児童につきましては、児童養護施設等への入所や都立病院等で対応できることから、平成十四年度末を目途に廃止することといたしました。
 なお、既に平成十二年度から新規入所の受け付けを停止しているところでございます。

○大山(と)委員 このアクションプランの中にも記述があるんですけれども、その中にも児童福祉法の改正というふうにありますけれども、この児童福祉法の改正というのは廃止の理由にはなりません。というのは、厚生省は、実態のある施設は優先的に残すということで、措置費も虚弱児施設のときと同様に出しているからです。そのほかいろいろと廃止の理由を今答弁されたわけですけれども、全然実態がわかっていません。
 私は、成東児童保健院に昨年の十一月に伺いました。児童福祉法を改正する前にも私伺っていますから、二度目の訪問です。我が党の曽根委員だとか、それから池田議員も伺って、いろいろと話を聞いてまいりました。
 未熟児で生まれた中学生の女の子は、一歳十カ月で膠原病と診断されて、入退院を繰り返し、薬の副作用で身長が伸びず、学業のおくれも加わって、いじめに遭って不登校となりました。足も、内反足のために手術をしています。お母さんが亡くなったために、成東児童保健院に入所しました。最初は頭痛や倦怠感などで、学校へ行っても保健室で休むことが多かったんですけれども、だんだん落ちついてきて、元気に小学校は卒業して、そして養護学校の中等部に進みました。この子は、お母さんと同じ膠原病です。お母さんがそうであったように、自分も歩けなくなったら死ぬんだというふうに思っています。ですから、精神的な負担もとても大きいんです。
 この病気は、よくなったり悪くなったりを繰り返して進行していく病気です。ですから、お父さんは、現在は一番安定している時期、だからいろいろなことを体験させてやりたい、この子はいずれ病気が進行して、目も見えなくなり、腎臓も悪くなっていくのだから、この子に今の日々、今の時間を大切にして、できるだけのことを体験させてやりたいと思うと話されています。病院に入院していたら、友達と一緒に学校で過ごすことはできません。この子は普通の養護施設には行けません。
 私は、衛生局から話を聞いているときには、ぜんそくの子が多いのかというふうに思っていましたが、行ってみて、実態は大きく違っていました。超未熟児で生まれたり、それから心疾患があったり、それから重いアトピーであったり、ネフローゼであったり、さまざまな難しい病気、慢性の疾患があって、その上、虐待だとか、家庭のさまざまな問題を持つ子が多いわけです。そうした子どもたちが、施設の皆さんや関係者の皆さんの懸命な努力で、入院している子も、寮に住んでいる子も、一人残らず成東町の普通の学校に通っているわけです。
 そこで伺いますけれども、成東のこの児童保健院を廃止した場合、全員が一人残らず、今と同じように、医療と福祉のケアを受けながら普通に学校に通うことが保障できるのでしょうか。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 細かいお話なんで、私の方は、局の方から聞いているということでお答えさせていただきます。
 今のご質問に対しては、入所がえに当たっては、入所児童の処遇を低下させないよう、一人一人の児童の家庭の状況に応じて最大限の配慮を払うことに留意するというふうに局からは聞いております。

○大山(と)委員 衛生局と福祉局で、この成東保健院を廃止するというふうに財務局からいわれて、そのことで、どうやったら今の子どもたちをどこに措置がえができるだろうかということで検討して、一〇%の子どもたちは、児童養護施設にも措置がえできない、受け入れられない。その人たちは、一〇%は病院に行かざるを得ないというふうな検討の結果だったんですね。例えば、病院に行かざるを得ないという子どもたちに教育の保障はどうするわけですか。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 長期の入院が必要となる児童につきましては、通常は、病院内での訪問教育や分教室などを利用するということになっております。

○大山(と)委員 今は、入院している子どももきちんと町の学校に通えているわけですね。院内教育にしても、町の学校に通えるわけではありません。成東児童保健院では重大な病気を持ちながらも町の学校に通えている、普通の生活ができているという子どもたちを、このアクションプランを出して、総務局がきちんと責任を持って--今アクションプランの話をしているわけですから、病院に押し込めると、そういうつもりなんでしょうか。
 例えば、人工肛門をつけて、B型肝炎もあって、この子は虐待を受けていました。その男の子が入所してきたわけです。気に入らないことがあると乱暴なことをいったり、無視したり、さらには、人工肛門からうんちをばらまいていた子です。心理セラピーやスタッフの働きかけなどで、徐々に学校にも行けるようになりました。学校の友達ができて、毎日楽しく登校できるようになって、高校生になったら、好きな女の子もできたんです。下着も自分でちゃんと洗って、学校に毎日楽しく行けているわけなんですね。この子たちにとって、学校に行くこと、友達がいること、勉強すること、これが大きな喜びであって、病気を持っていても町の学校に通うことができる、それが生きる力になっているわけです。この子たちの生きる喜びを奪おうというわけなんでしょうか。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 成東児童保健院の廃止に当たりましては、ほとんどの児童は児童養護施設等で対応が可能だというふうに考えております。今後、退所時点での児童の身体状況や、保護者及び児童の意向等を踏まえて対応していくというふうに考えております。
 なお、退所時に入院を必要とする場合には、都立小児病院等との連絡を図りながら、適切な対応を図っていくというふうに考えております。

○大山(と)委員 今、病院に入院せざるを得ない子どもたち、この子どもたちの喜びを奪うことになるんです、生きる力を奪うことになるんですという話をしているんです。
 そして、今、児童養護施設で受け入れるというふうにご答弁されましたけれども、児童養護施設、今どういう状況になっているか、ご存じでしょうか。今、どこもいっぱいなんです。一月三十一日付の入所率をいただきましたけれども、民間は九七・六%、都立は、何と一〇三・四%です。定員以上に押し込められているんです。福祉局は、来年度も今年度並みに推移すると、今年度よりもさらに来年度は入所児は多くなると予測して、受け入れ枠拡大の対策を一生懸命考えているらしいんです。
 最近、どうしてこのように児童養護施設が込んでいるのかといえば、それは被虐待児がふえているからです。児童虐待防止法ができて、通告義務があるということになりましたけれども、この通告義務があるということがもっともっと広く知られましたら、さらに多くの、児童養護施設に入所するべき子どもたちはふえるであろうということは、もう想像にかたくないといえます。そんなときに、虐待で困っている子を含めて、重要な受け皿の成東保健院をつぶして、どうするんですか。
 しかも、先ほどの答弁では、成東児童保健院、入所児童数が減ってきているということですけれども、それも誤った認識です。これは、成東児童保健院の一日の平均在所児数です。昭和五十五年から平成十年までありますけれども、これを見ていただいても、ほとんど平均的になっています。さらに、平成十年などは、九年から、もうがくっと上がっているわけですね。ぐんと上がっているわけです。このように、入所児数も、成東も減っていないということです。
 成東保健院に私たちも行きまして、それで、子どもたちが手紙を後でくれました。それは、行ったときすぐ、初対面の人に自分の背負っている重荷、なかなか口には出せませんけれども、手紙で書きますということで、お手紙をもらっています。
 これは五年生の子です。保健院はいいとこだ、つぶすなというふうに書いてあります。絵つきです。で、理由というふうに書いてあって、助け合う仲間がいるから、病気になっても心配ないから、違う施設が嫌だから、保健院は僕たちには大切な場所、東京に行ったらいじめに遭うかもしれない、だからここがいいと、こういうふうに理由をきちんと書いてあります。成東保健院の大切なあり方の理由の、これは象徴的な話じゃないでしょうか。
 それから、これは六年生の女の子です。先日は来てくださってどうもありがとうございました。私たちの意見を聞いてくれる人が少しでもいて、うれしかったです。--本当に聞いてもらえてないということですよね。ここの保健院は確かにお金をいっぱい使っているかもしれないけれど、もうみんなほかのところには行きたくないので、お願いします、どうか保健院をつぶさないでください。私はここに来てまだ日は浅いけれど、まだここにいてやりたいことがあるし、ここに来てできた友達とも離れたくないから、私たちもなるべくやれることはやるので、お願いします、保健院をつぶさないでください。
 こういう子どもたちが、本当に重荷を背負って、やっと安心できる居場所が見つかったわけですよね。この子たちの願いに、皆さん、どうやってこたえるんですか。総務局の皆さんの中で、現地に調査に行った方、いるんですか。子どもたちの話を聞いた方がいるんですか。答えてください。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 今回の都庁改革アクションプランを発表するに当たりまして、これらの施設の廃止方針を打ち出すに当たっては、総務局行政改革推進室としては現地調査には行っておりません。しかし、事業の内容や各施設の状況などを詳細に把握している原局における検討内容を踏まえまして、判断したものでございます。

○大山(と)委員 これは、東京都として責任を持って、総務局が責任を持って出したものですよね。そして、この中に何て書いてあるかと。二〇九ページ、ちゃんと書いてあります。行政としての現場主義ということで、都政の現場に出て、都民と接し語らい、都民の思いを肌で感じていくことが求められています。二一二ページには、政策形成力ということで、企画部門の職員は現場の実情把握が弱い傾向にあり、事業実施部門の職員は事業に追われ世の中の大きな流れを見失いがち、こういうふうに書いてあるんですよね。
 事業を廃止する。そして、子どもたちが現に生活している、そういうところを廃止するときに、都民がどうなっているのか、子どもたちがどうなっているのか、現地にも行かないで、それで、声も聞かないで、つぶしてしまう。とんでもないことです。
 先ほども述べましたけれども、成東と同様の、唯一の施設であるみちのくみどり学園がある岩手県、みちのくみどり学園の機能をきちんと継続できるようにということで、国に対して、児童養護施設に移行した旧虚弱児施設に係る虚弱児加算の創設を行うこと、このように予算要望を出しています。これが地方自治体としての姿勢ではないでしょうか。
 法改正を契機に、全国にただ二つしかない施設を持つ自治体の対応が、正反対の方向を向いたんです。岩手県はこれを存続させようということで追求をし、東京は、それを口実につぶしてしまうわけです。周産期医療が東京都の重点事業であること、こういうことも含めますと、今後、成東児童保健院の役割はますます重要になってきます。ですから、成東保健院は、廃止どころか、むしろ拡充する、それこそが時代の先端だというふうにいえるのではないでしょうか。
 もう一つ伺います。伊豆山の老人ホーム、これも廃止の対象になっています。ここは養護老人ホームですから、体が弱いとか経済的な理由で、居宅では福祉サービスを受けることが困難な高齢者が入所するところです。
 アクションプランを読みますと、廃止の理由に老朽化があるということなんで、どんな老朽化なんだろうと思いまして、先日、伊豆山老人ホームを訪問しました。南側の山の斜面に建って、海を見おろして、裏山はすばらしい木が根づいているわけですね。で、伊豆山の神社に続いているわけです。しかも、温泉がついている。本当にすてきなところなんですね。しかも、その一帯、山の斜面には、有料老人ホームがあちらこちらにつくってあるわけですよ。ですから、まさに多くの方たちが老後住みたくなるというところなんです。しかも、老朽化どころか、建物は全くしっかりしていました。廃止の理由になるような老朽化ではないというふうに思いますが、どう考えていらっしゃいますか。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 養護老人ホームなどの運営につきましては、今回の都庁改革アクションプランにおきまして、より良質な福祉サービスの提供と効率的な運営の実現を図るために、民営方式の導入等を念頭に、施設のあり方を検討するとしております。
 お尋ねの伊豆山老人ホームにつきましては、昭和五十年に現在の建物となっております。老朽化が進み、また、山の急傾斜地にあることから、施設の維持管理費がかさむということとともに、落石等の防災上の問題点も抱えているということでございます。また、平成十三年度には新たな、都内に潮見老人ホームが開設され、伊豆山老人ホームの利用者を移転することが可能になるということから、平成十四年度に廃止することとしたものでございます。
 なお、十二年度には新規入所者はおりません。
〔「現地に行っていないから全然わからない」と呼び、その他発言する者あり〕

○大山(と)委員 より良質なというのはいいんですけれども、本当に今おっしゃるように、行っていないからわからないんじゃないかというのは本心で、その裏山といっても、本当にうっそうとした、原生林のような山なんですよね。どこに石があるんだろうという状況なんですけれども、(笑声)地盤はかたいといって、その上に火山灰でしっかりとこうなっていますから、どこから石が落っこってくるんだろうかと思うんですけれども、まあ、そういうことですよ。
 しかも、私、大きな問題だなというふうに思っているのは、これが養護老人ホームだということなんです。厚生省は、養護老人ホームは定員枠をこれ以上ふやさないということにしてしまったんですよ。この伊豆山老人ホームの百人をなくしてしまったら、もう、一度なくしてしまったら、ふやせないんですよ。
 現在、養護老人ホームの定員は、全都で四千四百三十人です。ほぼいっぱいに入所している上に、待機者は、昨年末で二千三百四十六人もいます。こんなに待っている人がいるわけですよ。入所定員の半分も待っている方がいるわけですから、その上に百人もなくしてしまったら、待機者はますます展望がなくなってしまうといえるのではないでしょうか。待機者を一日も早く入所できるようにすることこそ、東京都の役割なんじゃないでしょうか。また、さっきの曽根さんの表の、がくっと矢印が下がってしまうということだと思うんですけれども、一日も早く入所できるようにすることこそ東京都の役割なんじゃないですか。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 具体的な老人ホームの建設等、あるいは定員の確保の問題につきましては、所管局である福祉局の方とやはりきちっと調整した上でないと、ちょっと具体的な話はお答えできませんので、よろしくお願いします。

○大山(と)委員 減らすというふうに出てきているから、問題ですねというふうにいっているわけですよ。
 今回は、時間の関係もありますから、成東保健院と伊豆山の老人ホームに限って質問しましたけれども、効率性だとか、スピードの重視だとか、コスト意識の徹底だとか、そういう中で、結局一番弱いところ、それから声が出せないところ、そういうところを切り捨てていくということでしかないではないですか。これが自治体のやることでないということは明らかですし、廃止は中止するべきであるということを改めていっておきます。
 最後に、ビジョンの第3部に示されています中長期的視点から取り組む改革についてですが、これは、都が仕事のスリム化を進めるだけではなくて、その延長線上に、広域自治体とその具体化である道州制を打ち出したり、区市町村についても、土足で人の家の中を荒らし回るように勝手に合併を押しつけようとしていることは、重大だというふうに思っています。また、全中小企業法人への外形標準課税や住民税のフラット化、それから課税最低限の引き下げの提案など、庶民増税を打ち出した都税調への無批判な追随など、どれも都民に犠牲をしわ寄せするものばかりです。これらについては、予算議会で引き続き取り上げていくことを表明いたしまして、質問を終わります。

○大山(均)委員長 この際、十五分程度休憩をいたします。
   午後二時五十四分休憩

   午後三時十五分開議

○大山(均)委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○中嶋委員 八度近い熱を薬で抑えておりまして、ぼおっとしております。極力脱線しないように質問をいたしますが、万が一脱線したら、それは風邪のウイルスが悪いので、私が悪いわけではないということでご容赦をお願いしたいと思います。(「風邪の菌をばらまかないでくれ」と呼ぶ者あり)わかりました。では、ウイルスをばらまかないように、穏やかに質問いたします。
 このところ、さまざまなプランが矢継ぎ早に発表されまして、追いつくのに大変苦労をしております。そこで、まず最初に、今回発表された東京構想二〇〇〇と、さきに発表された中間まとめ、この相違点ですね、どこがどう変わったのか、その辺具体的にお教え願いたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 中間のまとめで、中間段階の検討案ということで、いわば総論に当たります部分と、それから今後の施策取り組みについての方向性についてご紹介いたしまして、内外ご意見を賜って、内容的には、最終の報告では、そのご意見等をいただく中で、総論ですとか施策の方向等について、書き足らない部分について加筆するとともに、今後の具体的な取り組みということで、取り組みの具体的な記述を行うとともに、十六の政策目標に対して三十五の戦略的な取り組みということで、具体的な取り組みの方向をお示しいたしました。
 それから、六十六個の政策指標の案ということを掲げてあったわけですが、その段階ではまだ数値はご提案してございませんでしたので、そのご意見をいただく中で、政策指標を精査するとともに、数値目標を設定したこと、それから、十三年度から始まります三カ年の具体的な推進プランをあわせて掲げたところでございます。

○中嶋委員 それでは、中間まとめの前に、危機突破・戦略プランが発表されました。この危機突破・戦略プランと今回の東京構想二〇〇〇の関係性ですね、位置づけはどうなりますか。

○関谷政策報道室計画部長 危機突破・戦略プランは、石原都知事就任後、当面緊急に取り組むべき内容ということで、当面の取り組み内容を幾つかの戦略としてご提示したわけでございます。また、政策指標についても、いわば案みたいな形で幾つかの例示をさせていただきました。その成果を踏まえまして、東京構想については、より総合的、体系的に東京の将来像を描き、総合的、体系的な取り組み内容を明らかにするとともに、政策指標を本格的に導入したところでございます。

○中嶋委員 いってみればこれは基本構想みたいなものですから、抽象的になるのは仕方がないんでしょうけれども、どうも理解が難しいところがあります。それは後で聞きます。
 中間まとめに比べて、東京構想二〇〇〇の方ではさまざまな追加点があると思います。とりわけ、千客万来の世界都市に触れた前後の部分というのは、中間まとめよりも、かなり踏み込んで書き込んでいるという気がしたんですね。いってみれば、そこはかとない不安感がそれらを覆っていて、東京を含めて時代の閉塞感が高まっている、そういう中で、半世紀、五十年もの先を見通した東京構想二〇〇〇を策定したと。そのこと自体の皆様方の意欲は高い評価を受けるものであると私は思っております。五十年先をよく見通して構想を書けたものだと、素直に感心をいたしております。
 中でも、少子高齢社会を展望した上で、我が党がかねてから主張してまいりました障害者や高齢者の施設の整備、あるいは保育サービスの充実等を明記されたこと、これは大変に歓迎いたしております。また、行政評価制度をはっきりと打ち出して、それとあわせて東京政策指標、いわば東京版のベンチマークス、これを導入したことも大変に評価したいというふうに思っています。
 そこで具体的な質問ですけれども、本構想では、中間まとめより一歩踏み込んだ記述がたくさんある中で、とりわけ、本格的な人口減少社会、少子高齢化から一歩先に行った人口減少社会の到来を明確に予測したと。それでも東京の未来を切り開くんだということで、活力と魅力のある千客万来の世界都市東京を実現する、こう高々に宣言をしているわけです。
 確かに、中長期的には人口減少は避けられません。既に生産年齢人口は減少しつつある、こういっても決して過言ではないと思います。その結果として、千客万来の世界都市どころか、社会の基本的な活力が衰退してしまうおそれが多分にある。そういうおそれが多分にあると思います。
 そこで、人口減少社会の到来を予測したと。既に生産年齢人口の減少が始まっている、もっと露骨にいえば、労働力の減少がもうついそこまで見えてきている、そうした客観的な情勢にありながら、なおかつ、千客万来の世界都市をつくると。では、人口減少社会にどう対応するのか、近い将来の労働力の不足に、今から東京都はどんな準備をしようとしているのか、その辺、構想ではどう述べているか、あるいはお考えをお聞かせ願いたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 ただいま理事からご指摘のとおり、生産年齢人口については既に減少に入っている段階になっております。
 本構想では、労働力についてどう見ているかと申しますと、この構想期間であります二〇一五年、これはいわゆる団塊の世代がちょうど六十五歳以上に既になって、従来でいえば、大量に職場からリタイアといいますか、退く時期になっておりまして、そういう点から見れば、中長期的に非常に労働力の不足が懸念される時期でございますが、この構想の十五年間について展望いたしますと、女性や高齢者など、働く意欲と能力があるにもかかわらず、何らかの阻害要因で働くことができない人に対しまして、年齢にとらわれないリカレント型のライフスタイルの選択が円滑に行えるような社会の実現ですとか、働きながら安心して出産、育児のできる環境の整備、さらには都心居住の促進や、多摩地域の産業集積による職住近接の実現などを通じて、希望と能力に応じた多様な働き方ができるような社会をつくっていくことによりまして、高齢者、女性などの労働力率が高まってまいりますれば、この構想期間である二〇一五年程度においては、労働力人口はおおむね現在の水準を維持できるものと見込んでおります。それには、ただいま申し上げたようなさまざまな取り組み、努力が必要であるということでございます。
 しかしながら、さらにより長期的に見てまいりますと、労働力人口の大幅な減少は避けられず、二十一世紀は本格的人口減少社会に突入することになるわけでございますけれども、これを基本的に補っていくためには、生産性の向上、いわば技術進歩等をより進めまして、経済等の活性化を図るとか、あとは、人、物、情報等の交流でございますけれども、交流人口を高めていくとか、そういう取り組みをしていく必要があるというふうに考えております。

○中嶋委員 希望と能力に応じた職業を確保することができると、いうのは簡単ですが、大変難しい話で、これがミスマッチだから、世の中というのは不幸の種が絶えない。よくわかるんですが、どっちにしろ今、さまざまな環境整備が不可欠なわけですね。
 女性の潜在的な労働力を掘り起こすと、いうのは簡単ですが、そのためには相当幅広い社会システム、ハード、ソフトにわたるシステムの再整備が不可欠でありまして、それをやろうと思ったならば、今から具体的にメニューをそろえて、タイムスケジュールを明らかにしながら取り組んでいかないととても間に合わない、そんな気がいたします。
 東京構想二〇〇〇を発表したら、次の段階は、三カ年の実施計画はありますけれども、もうちょっと中期的な、具体性のある中期計画をいずれ提示する必要があるだろうという気がいたします。その中の一つとして、円熟シニアという概念を出されました。
 我が党の織田委員も過日、円熟シニアについて質問したと思ったんだけど、それはいいですけれども、その円熟シニアを活用して、東京の発展、活力の維持に大いに働いてもらおうということだと思います。簡単にいってしまえば、高齢者層の社会における役割を拡大しよう、その自覚をも求めたい、こんなことだと思うんです。そのためには、さっきもいいましたさまざまな環境整備、雇用、定年の問題、年金の問題、それから、そういうソフトのシステム以外にもバリアフリーとかユニバーサルデザイン、いろいろありますけれども、高齢者が活動しやすいハード、ソフトにわたるシステム整備が、これは絶対に必要だと思います。
 円熟シニアという、ある意味で刺激的な概念を持ち出しまして、議論も呼び起こしました。あえて円熟シニアという概念を出して、この円熟シニアに東京の活力を支える基盤的な力を担ってもらおうというんであるならば、それら円熟シニアが働ける、活動できる基盤整備も当然考えていると思いますけれども、今のところ具体的な計画はございますか。

○関谷政策報道室計画部長 円熟シニアが社会で活躍できるよう、基本的には六十五歳以上の高齢者を一律に弱者というふうにとらえる考え方を改めまして、六十五歳以上の人々を現役世代と区別しない、年齢にとらわれない社会の実現を目指していくということが基本でございます。
 高齢者にとって再就職や転職する際の障害となっている、求人時の年齢制限の撤廃に向けて企業を指導していくなど、国と連携した取り組みを強化するとともに、パート労働ですとか、短時間労働など、いわば体力、能力、意欲等に応じて、多様な働き方が可能となるような仕組みをつくっていく必要があるというふうに考えております。
 それとともに、円熟シニアが蓄積した知識、経験、技術を生かして働き続けられるように、例えば職業紹介から、NPOですとか、ボランティアなどのいわゆる一般的にいう社会参加、さまざまな形で社会にかかわっていく、そうした情報提供をワンストップで提供していくなど、円熟シニアがさまざまな形で社会の担い手となることが可能となるように取り組んでまいりたいと考えております。

○中嶋委員 六十五歳以上を現役世代にと。あと男女間、それから現役世代、高齢者間のワークシェアリングもやる、こういうお話で、それはそれでいいんですが、特に六十五歳以上が弱者であるという概念を転換して、現役だと、こう仕向けたいと。であるならば、もう少しドラスチックというか、象徴的な提言があってしかるべきだろうという気がいたします。
 かつて、やはり織田議員が、七十歳定年制を東京都が音頭をとって打ち出したらどうかという提案をしたことがございます。もちろん七十歳定年なんていいますと、さまざまなメリット、デメリットがありますから、皆様方の立場では簡単には口にできないでしょうが、しかし、六十五歳以上も現役で頑張ってもらいたいというんであるならば、六十五歳以上の方々が、おれは現役だと思えるような、何かやっぱり僕はアプローチが必要だろうという気がするんですね。(「そうだ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。これは答弁を求めませんが、いずれ再度、質問で取り上げたいと思います。
 いずれにしても、高齢者、女性、障害者の方、すべての人間存在が生き生きと活動できる東京が望ましいわけです。バリアフリーとかユニバーサルデザインとか、さまざまな概念、手法が提示されているわけですから、頑張っていただきたいという気がいたします。
 次に、政策指標、ベンチマークスですね、東京版ベンチマークスについて、後ほどアクションプランでも触れますけれども、質問したいと思います。
 我々公明党は、この政策指標に強い関心を持っております。決して公費ではなくて自腹でオレゴン州まで行きまして、いまだに赤字穴埋めで苦労しておりますが、見てまいりました。都民にわかりやすく都政の目標を提示する、これはベンチマークスは大変有効だと、しみじみ思います。
 今回なくなっちゃいましたけれども、政策指標の原案段階で、一年三百六十五日のうち富士山が見える日数というのがあったんですね。確かに厳密に検証すると、これは指標にならないのですね。ビルがあって--でも、これはわかりやすいのです。きれいな大気をつくろうとか、何かいうのに非常にわかりやすい。東京都の行政目標を都民にわかりやすく提示するという意味で、大変に効果がある。
 もう一つは住民満足度、行政マンだけしか通じない仲間うちの言葉じゃない言葉で、住民の皆さんの満足をきちんとはかる、あるいは住民の皆さんの満足度を重視する。さらに結果主義、何をインプットしたかということよりも、結果としてどうなったかという行政評価、それを追求する上で、このベンチマークスは大変意味がある。
 そこで、先ほども説明がございました、今回は六十の政策指標を出した。中間まとめでは六十六。オレゴン州はもうちょっと多かったんですね。この六十六を六十に絞った理由ですね、これをちょっとお聞きしたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 中間のまとめでお示しした六十六の指標案について、目標値の設定等を行う過程におきまして精査した結果、最終的には六十の指標となってございます。六十六から六十に減りましたのは、具体的には、内容的に類似した指標同士を一つの政策指標として統合したというケースがございます。これは実質的には変わってないのでございますけれども、例えば、生活時間における社会的活動時間と学習研究活動時間といったものを、一本の指標という形で整理をしてございます。
 それから、内容的に類似した指標同士のうち、一方の指標で代表させたということで、例えば、一般廃棄物の排出量と一般廃棄物の最終処分量というのがあったわけでございますが、これは一般廃棄物の最終処分量ということで整理をさせていただいております。
 それ以外に、目標数値の的確な設定が現状では困難であるということで整理したものがございまして、例えば、都立病院の自己収支比率ということでございますけれども、現在、これは都立病院改革会議等で議論中のテーマでございまして、今後、都立病院のあり方等が定まった中でどういうふうに指標を立てていくかということで、現状の都立病院を前提にした形では余り適当ではないだろうということで、今回は見送った等のことでございます。

○中嶋委員 わかりました。オレゴン州でオレゴン・プログレスボードの事務局長と会って聞きましたら、数は少ない方がいいという話がありましたから、決して減らしたことを悪くいうつもりはございません。ただ、減らしますと、やはり抜け落ちる部分が出てきますので、その辺の精査は常にやっていただきたいというふうに思います。
 関連して、今おっしゃいました目標値の設定をされているわけですね。例えば、「職と住のバランスのとれた、ゆとりある都市を実現する」というところで、都心三区への通勤通学時間が片道一時間未満の人の割合、これは現在三三・一%を三八・五%にする、こうなっているわけですね。この目標値はどんな根拠で設定されたんですか。

○関谷政策報道室計画部長 過去及び現状の数値を踏まえながら、東京構想に示す望ましい将来像として達成すべきレベルについて検討を加え、設定したわけでございますけれども、ただいま理事からお話があったものでまいりますれば、今後の人口動向ですとか、それから職住近接等の施策等を反映させた中で、通勤率等の割合を抽出して、目標値として掲げているところでございます。

○中嶋委員 だから、何を政策目標の項目として挙げたか、そして、その政策指標の数値目標をどう設定するか、これで東京都政のスタンスが、はっきりと具体的に都民にわかるわけですね。したがって、この目標値についても絶えざる見直しが必要だと思うんですが、この目標値の定期的な見直しについてはお考えになっているのかどうか。

○関谷政策報道室計画部長 政策指標の目的といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、都政に関して都民との共通認識の土台をつくり、都庁内外での政策論議を高めていくということがございますから、今後、行政評価等で政策指標をモニタリングしながら政策を見直すということも当然ございますけれども、そういう行政評価の過程、さらには、政策指標が本来期待しております都庁内外での政策論議等を高める中で、指標の精緻化を図ってまいりたいというふうに考えております。

○中嶋委員 わかりました。何はともあれ、これは都民にはわかりやすいと思います。これこれこれに関しては東京都が何年後にはこうしたい、こう考えていますよということを六十項目出したわけですから、今後は、これを広く都民に提示できるような広報の方法を考えてほしいと思うんですね。
 実は、これは結構しんどい話だと思います。オレゴン州でもいわれました。具体的なベンチマークをつくっちゃって、これを何年後にこうしますと数を出しちゃうと、できなかった場合は非常にしんどい、公表するのを渋る向きも一部にあったなんていう話も聞いたことがあります。それはそうですね、何年後にこうしますと発表しちゃうと、できたかできなかったかがはっきりわかっちゃうわけですけれども、しかし、これはやっぱり都民参加ということを考えると、このベンチマークスとその目標値、広く都民に知っていただけるような努力をぜひともお願いしたいと思います。
 それから、三カ年推進プランが書かれています。何で三カ年なのかと思うんですね。石原知事の任期は、あと三年でなくて二年--三年あるのかな、(「ないです」と呼ぶ者あり)ないですね。なぜ三カ年なのかと思うんですね。これはどうなんですか。もうちょっと長いやつも必要なんじゃないですか、五年とか十年というのは、どうなんでしょう。

○関谷政策報道室計画部長 今回の東京構想は、五十年後を見据えながら構想期間十五年ということで、構想の展望としては、かなり長い展望として大きく見ながら掲げているわけでございます。
 ただ、足元を見た場合に、経済状況、さらには財政状況等さまざまな変化がありますし、二十一世紀になる中で、そうした変化をきちんと見詰めながら、やっぱり構想実現については、ある意味では構想の目指す姿をきちんと見据えながらも、柔軟に対応していく必要があるだろう。そういうことになりますと、推進プランはいわば実施計画でございますので、実施計画について余り長い形で設定することによって、硬直的になるということはやはり避けるべきではないか。そういうことから考えますと、三カ年というのは、期間としてはぎりぎりの期間なのではないかというふうに受けとめております。

○中嶋委員 わかりました。おっしゃるとおりで、実施計画は大変大事です。壮大な構想だけに、さっきも進行管理という質問がございましたけれども、実施計画をしっかりと、その都度その都度見直しながら提示を願いたいというふうに思っております。これは期待しているがゆえにお願いしたいと思います。
 どっちにしろ東京構想二〇〇〇、大変評価しています。立派なものをつくってくださいました。要はどう実現するか、それは全力で頑張っていただきたいと思います。
 アクションプランについて聞きたいと思います。
 これも最初の質問と同様で、今回のアクションプランと中間まとめの相違点、追加点をお教え願いたいと思います。

○荒川総務局参事 基本的には、今回のアクションプランは、中間のまとめで示した方向に沿いまして、できるだけ具体的にわかりやすくなるように内容を充実したものでございます。充実いたしました点として、五つ挙げさせていただきたいと思います。
 一つは、都政改革の視点として、地方主権の確立、それから都民・企業との協働の二つを加えたこと、二つ目は、都の主たる役割を明らかにしたことでございます。都民の暮らしを守り、活動を支えるなど、四つを挙げさせていただいております。それから三つ目は、具体的な改革策を二百十五項目取り上げまして、平成十二年度から十五年度までの実施計画を示したこと、四つ目は、都政改革ビジョンⅢの検討の方向性を明らかにしたこと、五つ目が、職員の意識改革についてのメッセージを掲載しまして、求められる意識、力、自己改革に向けた十の取り組み事例を盛り込んだことでございます。

○中嶋委員 中間まとめでの改革の視点では、三つ挙げられていたと思うんです。一つがスピード重視、これは石原さんがいつもいっていたことですね。二つ目がコスト意識の徹底、三つ目が成果の重視、どれも正しいことと思うんですが、それに今おっしゃった地方主権の確立と都民・企業との協働をここへ加えたということですよね。地方主権の確立も、都民・企業との協働も、いってみれば極めて当然なことで、いわば前提条件みたいなものだと僕は思っていたわけですけれども、あえてこの二つを文言として追加した理由ですね、その辺説明を願いたいと思うんですが。

○荒川総務局参事 中間のまとめでは、今お話しございましたように、スピード、コスト、成果、この三つの視点を掲げてございまして、これは、主として都庁の行政体質を転換する、いわば経営改革のための視点というふうな位置づけをしてございます。
 今回のアクションプランでは、中間まとめに対する都議会でのご議論や、都民からのご意見を踏まえまして、地方分権の進展、それから都民・企業が活躍の場を広げているという現状に対応するため、自治を拡充し、都の役割を見直していくための新たな視点として、地方主権の確立、都民・企業との協働を加えたものでございます。

○中嶋委員 直接つながるかどうかわからないんですが、あえて都民との協働、地方主権の確立をつけ加えたわけですね。
 僕の乏しい体験からいいますと、都民・企業との協働とか、住民自治の確立という言葉は、いってみると、行政の守備範囲を縮小することの隠れみのに使われてきた嫌いがなきにしもあらずなんですね。これは都民と企業と協働してやることなんだ、いや、これは住民自治だから、住民の皆さん方が自覚と責任を持ってやるべきことなんだといういい方で、行政の守備範囲を縮小する隠れみのに使われた嫌いがなくはない。すべてそうとはいいませんけれども、なくはない。そうはならないように、せっかくのアクションプランなんですから、本当の意味で、都民・企業との協働ということは都民参加ということですよね。事業者にも、法人であっても、都の住民の一員としての自覚と責任を持って都政に参画してもらいたいということだと思うんです。
 いい意味で、本当の意味で参加型、あるいは地方主権、住民自治の確立の方向に持っていけるように、ぜひとも努力してもらいたいと思うんですが、お考えはいかがでしょう。

○荒川総務局参事 今、先生ご指摘のお話はそのとおりでございまして、私どもの方も、従来は公共といいますと、行政が中心となっていたところがございますけれども、最近は都民の自主的な活動がございまして、それらのエネルギーを活用した行政、公共サービスを提供していくべきである。そうすることによって、公共が取り扱う分野がむしろ広がるのではないか。そして、多様な主体が活動する、その人たちを総合調整していく。今回の東京都の役割として四つ掲げさせていただいてございますけれども、その中に総合調整というのを一つ挙げております。
 これは、任せたから知らないということではなくて、都庁が目指している、あるいは都民が目指している方向に、みんなで活動の方向を調整といいますか、そろえていこうと、こういうような意味でございまして、むしろ、今までと比べると東京都の活動の領域は広がるのではないか、こういうふうに考えております。

○中嶋委員 ぜひそうしてもらいたいと思います。
 これもちょっと角度が違うのかもしれませんが、行政というのは、申告主義とかなんとかいいまして、向こうからいってこないと、なかなか積極的に動かなかった部分が、かつてはあったわけですね。皆さん方の部門はそういう部門じゃないと思いますけれども、積極的に出ていって、今、答弁があったような方向でぜひとも進めていただきたい。よく注目させていただきたいと思っております。
 それから、もう一点、組織の見直し、トップマネジメント補佐機能の強化とございます。何にしても、政策の立案能力の強化というのは不可欠ですね。ところが、今回の組織の再編の中で、政策報道室を改めて知事本部にする、こういう話です。これは、言葉の響きの問題かもしれませんが、知事本部といいますと、政策立案能力の強化ということよりも、知事の補佐機関的な響きの方が強い感じがするんですね。
 そうじゃないというんであるならば、知事本部が長期にわたる政策立案能力の向上をどのように担保するのか、知事本部というのはどういう組織なのか、ちょっとお教え願いたいと思います。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 地方分権の進展によりまして、今後、各自治体は地域の実情に応じた創造的な行政運営が一層求められるということになろうかと思います。そのため、自治体の政策立案機能を強化することは重要な課題であるというふうに認識しております。その点につきましては、まことにご指摘のとおりだと思います。
 平成十三年度に設置する予定の知事本部は、現在の政策報道室が所管している重要施策の企画や総合調整、総合的な計画づくりといった機能を引き継ぐこととしております。その上で、現在の政策調整部、計画部、調査部といった機能別の部立てを改めまして、政策立案、調整、計画策定、調査の各機能が一体となって弾力的に対応できる体制を整備するとともに、新たに政策部を設置することによりまして、政策立案機能の強化を図っていきたいというふうに考えております。

○中嶋委員 名称はどうでもいいという意見もあるかもしれませんが、ぜひ政策立案能力の強化、経営能力、経営戦略の強化ということで、組織の再編を今後も進めてもらいたいというふうに思います。
 乱暴にいえば、知事が行政のすべてを統括する存在で、それ以外の皆さんはすべて補助機関だといっても過言じゃないわけで、そうなると、知事本部という言葉にもそれなりの意味があるんです。しかし、名は体をあらわすということもありますから、知事本部で果たしていいのかどうか、今後もそれでいくのかどうか、よく検討していただきたいと思いますし、先ほども質問がありましたから繰り返しませんけれども、知事がかわるたびに基本的な構想がくるくる変わってきて、一体東京はどこへどう向かっているのかということがわからないというようなことにならないように、ぜひお願いしたいと思います。
 あと行政評価について、また関連して質問いたします。
 現在総務局にある行政評価事務が、今いった知事本部に移行して、行政評価と東京政策指標、つまりベンチマークスですね、これが同一の組織の所管となる、これは歓迎すべきことです。東京政策指標を行政評価に活用するという意味でいえば、歓迎すべきことです。
 改めて、同一組織で所管するわけですから、東京政策指標をどう行政評価に生かすのか。もっと具体的にいうと、東京政策指標、そして行政評価をどう組織の改編を含めた行革に反映していくのか。前にも質問したことがありますけれども、再度お答え願いたいと思います。これがないと、画竜点睛を欠くという話になりますから。

○中田総務局参事 行政評価制度は、時代の変化を踏まえまして、より質の高い行政サービスを効率的に提供していくため、成果重視の観点から、施策、事業を不断に見直していくことをねらいとしております。
 このうち、都の重要課題を取り上げます政策評価、これは政策の達成度をはかることを中心としておりますが、先ほどご議論がありました、この中で、東京構想二〇〇〇で示されました東京都政策指標を活用いたします。その結果を政策立案へ反映させていくつもりでございます。

○中嶋委員 政策立案に反映するだけではなくて、組織の再編、組織の変革、そういうものにまできちんと反映できるような工夫をぜひともお願いしたいと思います。
 最後に、職員意識の変革が最終的な大きな課題だというお話を先ほどの答弁で伺いました。この場で持ち出すのはふさわしいかどうか、いささかちゅうちょするものがありますけれども、第一庁舎の一階の本屋で「東京都庁『お役人さま』生態学」という本がベストセラーの一部に入っているらしいですね。読ませていただきました。皆さん方と議会の我々は、自分も議員としての自覚も含めて、読んで恥ずかしい思いをしてしまいました。ああいう本が世の中に出回ること自体、大変厳しい話がある。東京構想二〇〇〇とかアクションプラン以前の職員意識の問題だ。職員意識の変革こそが、やはり東京構想二〇〇〇においても、あるいはアクションプランの達成においても極めて重要である。これも違う場で再度取り上げますけれども、教研集会で教育長に対して帰れコールが起きた、これもいささか驚いた話でございまして、どっちにしてもいろんな意味で職員意識の問題というのは指摘をされ続けてきました。
 最後に、室長でも局長さん、どなたでも結構です、職員意識の改革に向ける幹部としてのご決意をぜひとも拝聴いたしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 さまざまな課題を解決し、都民サービスを向上させ、二十一世紀の新しい東京を築いていくことが今、都政に求められております。実際に、そういった都政に求められている課題に取り組み、解決していくのは職員自身でございます。その点から、職員が都民生活を支え、元気な東京のまちをつくるという気概を持ちまして、公の幸福追求をみずからの使命として取り組む都庁スピリットを持つこと、それからサービス精神や鋭敏な経営感覚など、行政はサービス産業であるという意識を持つこと、政策形成力や総合調整力、情報活用力など、変化の激しい時代を乗り切る力を持つこと、そういったものが求められております。そのための意識改革が大切でございます。
 今後、職員の意識改革につきましては、職員の意識、能力を高めるための研修の実施、ジョブローテーションの構築、職員が得意な能力を最大限活用できるような適材適所の人事管理の徹底、庁内公募制度の活用、職務に積極的に取り組むとともに、能力を発揮し、成果を出した者は報われる人事・給与制度の構築、また、民間企業や他の自治体との積極的な交流、各職場で自発的に自由な意見交換を行えるような仕組みづくり、それからTPO、時、場所、手法に応じた応対の徹底などの取り組みを通じて意識改革を行っていきたいというふうに考えております。

○和田委員 まず、東京構想二〇〇〇からお伺いをいたしたいと思います。
 私ども都議会民主党は、政治の大きな柱として、命、暮らし、あるいは働きというような、そういう平易なところから政策を積み上げて、そしてそれを都民と一緒に、行政の皆さんと一緒につくり上げていきたいという努力をしているところであります。そういう視点から、この東京構想二〇〇〇を通読させていただきました。まず、端的な疑問から入らせていただきます。
 第1章の「東京の未来を切り拓く」という大きなテーマのもとで、構想の策定というところがあります。そこでは、欧米へのキャッチアップをなし遂げた平和と繁栄の中で、国家にも国民にも危機意識が失われ、責任感は希薄化しているという記載があります。また、首都東京には、我が国の危機の本質が縮図のように顕著にあらわれており、経済活動の低迷や都市としての魅力の喪失は、東京の国際競争力を低下させ、我が国全体に深刻な影響を及ぼしている。これは引き続いた記載ではありませんが、同じページの中に二度ほど、これは知事の言葉だと思うんでありますけれども、危機意識の欠落というようなことが書かれています。
 私どもは、危機というと、横文字は使いませんが、いわゆる攻めたり守ったり、攻撃したり防御したりというような文言として、危機の言葉を、例えば危機管理というような形で使います。あるいは、震災の危機の管理ですとか、不時のいろいろな集団的な暴力行為などの場合にこんな言葉を使うのかなと思いますが、この東京構想二〇〇〇の巻頭の中に、この危機という言葉が数度にわたって出てきているという感覚は、どのように理解したらよろしいでしょうか。

○安樂政策報道室長 危機という言葉を何回か使われております。その意味するところ、いろんな意味で使っているんですが、基本的には、ほとんどの場合、現在の深刻な社会問題、社会状況、この現象的な状況から見て、これが危機的な状況にあるということで、この危機という言葉の使い方をしております。
 部長の説明の中に、いろんな形での危機の本質というんですか、先ほど挙げられたような言葉の使い方もしておりますが、その場合の危機というのも、意味は同じいい方で使っております。

○和田委員 要するに社会の矛盾ですとか、累積してきた行政の滞貨といいましょうか、そういうものとかが、石原知事から見て、危険水域といいましょうか、危機的なところまで来ているんだよということのあらわれが危機だというふうに、今、室長が私に答弁してくださったのかなと思うんですが、それにしても、このような行政の教科書ともいうべきものに使い得る、なじむ言葉かなというようなことを考えましたときに、私はもう少し別な用語があったのではないかなというふうに思うんです。そのことは、今の室長の答弁で了としたいと思いますが、また後ほど、私の同僚議員が別な機会にこの問題については触れたいと思います。
 次なのですが、この東京を構成しているのには、お年寄りも、あるいは若い人も、女の人も、あるいは男の人も、動物も植物も、自然界あらゆるものが東京を構成しています。それは微妙に絡み合って、つながり合っています。そういう意味で、この東京構想二〇〇〇の中で、例えば緑被率のようなものがここに書いてあります、ベンチマークスの中にありますが、今までの緑被率というのは、飛行機から陸を見て、あるいは海を見て、特に平面的に緑がどの程度あるかというのをよく緑被率というようでありますが、もう少し観点を変えるならば、緑体率、すなわち立方体としての緑がどの程度東京の中にあるのか、上から見て平面的な緑ではなくて、立方体としての率のようなものがはかれなかったのかどうなのかというようなこと。
 あるいは、もう一ついえば、樹木のことを語るときに、当然そこに不可欠なトンボですとか、あるいは鳥ですとか、水草ですとか、そういう付随したものがあって、東京のこれからが当然かかわってくるわけでありますから、今、私が申し上げような、そういう息づいている、鼓動を打っているような東京の構想というのは、この構想二〇〇〇のどの部分に入っているんでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 ただいまご指摘のありました緑被率ということにつきましては、今回の構想では、みどり率ということで提案させていただいております。
 今までの、緑がどれだけ覆っているかということだけではなくて、環境という視点からとらえた場合には、樹林地、草地、農地、宅地内緑地、公園、街路樹、さらには河川ですとか、水路等なども含めて、水や緑で覆われた面積が地域全体の面積にどれだけの割合を占めているかということが、環境改善といいますか、豊かな環境をあらわす指標としては適正ではないかということで取り上げたところでございます。

○和田委員 みどり率という新しい用語も拝見しました。その際に、今、私がちょっと触れましたが、平面的なものじゃなく、もっと立方体的なそういう発想で緑を見る、あるいは象徴的にまちづくりを描いたときに、そこに人間の姿があり、あるいは場合によっては犬がいたり、ヒバリが飛んでいたり、あるいはミミズがいたりというような、トータルでの理念構想の中に東京というものが描かれるべきであって、人間や、あるいはそこに所在するビルだけがある東京ではなくて、東京というイメージの中には、自然も含めた、それから都市構造も含めたものが東京なんだよという概念が、ぜひこの構想の中には息づいてほしいというふうに思うんです。
 人工的なものではなく、また、自然発生的なそういう自然の生き物も我々と一緒に共存している、そういうこれからの東京の姿が二〇〇〇のこの構想の中には、十五年を問わずに五十年先まで含め思い描かれていなければならないのかなと。そうしない限り、公害の問題ですとか、ヒートアイランドの問題など、後知恵的に出てきて、それを解決するためにエネルギーとコストがかかるということになるわけでありますから、この計画の中にそれを内包して進めていく、そういう先取りをぜひお願いをいたしたいと思います。(「自然率だな」と呼ぶ者あり)
 そういうことも含めて期待をしたいと思っておりますが、次にハードの面について伺いたいと思うんです。
 我々都議会民主党とすると、環状メガロポリス構造というものを読みまして、このときにつくづく考えたことは、生活圏レベルの都市構造を示して、そして、そこに新しい都市づくりのルールをつくっていかなければならないだろうと思っています。とりわけ、具体的には一定規模の人口、すなわち二万人から三万人、世帯とすると七千世帯から一万世帯ぐらいになるんでしょうか、その方々が自発的にそこに住んで、その中で共同生活をお互いにできるような、そういう住居地域を確保するというところから、私どもの考えている環状メガロポリス構造の中に、先ほど申し上げた人間の鼓動の息づくまちが一つ一つ誕生してくる。
 そういうことで、東京に、機能的だけではない、人間のあらゆる機能が現存できるまちが生まれていくのではないかというふうに思うわけでありますが、地域社会の再生を図るために、私が今申し上げたような人口二、三万程度のそういう住居地域をつくっていくというような構想は、どのようにこの計画の中では受けとめているんでありましょうか。

○関谷政策報道室計画部長 今回の構想の中では、東京圏の骨格的な都市構造ということで、環状メガロポリス構造という大きな構造を提案すると同時に、いわば生活圏レベルの都市構造ということで、職、住、学、遊等がコンパクトにまとまった職住近接が実現されたような、実はそういうコンパクトな都市構造をつくり出していくということが必要であるということを掲げております。
 地域社会の再生という視点からも、特に居住機能ということになると、都心部ということになるわけですが、特に都心部の居住機能を強化し、職住近接を図っていくことは重要であるというふうに認識しております。
 東京構想二〇〇〇では、センター・コア・エリアにおいて都心居住を重点的に推進するため、街区再編プロジェクトを誘導する新たな制度や、個別建てかえを計画的に誘導する日影規制の見直し等の取り組みをお示ししております。この取り組みにより、マスタープランや地区計画に基づき、業務機能の無秩序な拡大を抑え、相当の住宅供給を促進していこうというものでございます。
 その際、住機能のみに着目したまちづくりを行うのではなく、商業、業務、文化などさまざまな機能をあわせ持った複合的な都市空間をつくることにより、都市生活者が都心居住を享受できるようにしていく必要があると考えております。

○和田委員 建築基準法等の絡みからも、政策誘導的にまちをつくっていくという積極性が、これからの環状メガロポリス構造の具体化の中では求められるだろうと思うんです。
 よく見られますが、北側斜線がありまして、のこぎりの刃のように屋根がカットされて、それを見た私どもの外国人の友人ですが、「何だ、あれ、和田」というので、説明するのに随分苦労した覚えがありますけれども、場合によっては、あのような、ちょっと奇異と思われるような建物がなくなるようなエリア、そういう地域というものも当然--今、答弁の中で想像されるわけでありますが、なければ、国際的にも極めて違和感のある建造物が都内のあちらこちらにあるということでありますから、それは当然のごとく、改善されるものはきちっと改善していくべきだ。
 それは、住居だけではなくて、当然住居地域があれば、そこに隣接する方によって、商業なり、あるいは教育、医療、福祉というものが付随してくるわけでありますから、少なくとも衣食住というものの中で、住の尊重されたまちが、この構想の中でもぜひ目標として置かれてほしいなというふうに思います。
 それから、そのようにハードな面がもしもできても、ただそこに住めばいい、そこで買い物をすればいい、病院に入ればいい、学校に行けばいいというだけでなくて、それをつなぐ心情的な、あるいは感情的な一つの連帯のようなものがそこに醸成されなければ、それこそ無意味なまちになってしまうだろうと思うんです。そのことまで踏まえて、この計画の中でメガロポリス構造なり、あるいは新しい法律によるまちづくりを求めていかなければならないと思うんですが、そのソフト面というんでしょうか、感情的、心理的な面にはどのような配慮をされようとしておりますか。

○関谷政策報道室計画部長 本構想では、二〇一五年の東京のライフスタイルという中で、人々の新たなつながりとしまして、学んできたことを地域の中で生かしたり、趣味、特技を人に教えるなど、自分の知識、能力を生かして人々と交流することが、結果として社会貢献につながる、そういう社会性余暇の活動ですとか、NPOやボランティア活動など、個別の目的に応じて、自発的な人のつながりによるコミュニティが形成されていくこととか、さらにはインターネット等を活用した、時間や空間にとらわれない新たなコミュニティ等が形成されていくであろうということについて述べております。
 こうした将来展望を踏まえまして、これを支援する施策といたしまして、NPO、ボランティアとの協働の推進プランを策定、実施していくこと、子どもや高齢者が地域の課題を学び、その解決に取り組んでいく、新しい課題解決型の生涯学習活動を実施する区市町村への支援ですとか、さらには円熟シニアに対するNPO、ボランティア活動の相談、あっせんと、インターネットを活用した社会参加の情報を提供する仕組みづくりなどを取り上げてございます。
 これらの取り組みを通じまして、人と人との主体的交流が盛んになり、人と人とのきずなが深まっていくことを期待しているところでございます。

○和田委員 この中にも、しきりにNPOとかボランティアという言葉が出てきます。私は、それも決して否定はしません。ただ、今、既存の町内会とか自治会という組織もあるんですね。これを何か古めかしく感じるのかどうか知りませんが、余りこの種の報告書だとかレポートに出てこない言葉でありますが、古い、新しいは別にして、今ある日本の自治組織の中で機能している大きな部分は、町内会とか自治会というところが隣や近所の情報をお互いに共有し合うと。
 あるいは、この前の雪がふったときなどは、随分お互いに転ばないように、危険なところをお互いさまにすっと雪を取ったりしながら、一夜にしてお年寄りが通っても安心な普通の道になりました。これなども一種の、先ほどの言葉ではありませんけれども、小さな危機なんですね。それをだれいうとなく、朝起きてすっと掃いて、子どもが学校へ行くときにも転ばない、あるいはお年寄りが松葉づえで、あるいは車いすで行っても滑らないというのを、見事に東京のあちらこちらで、町内会の、あるいは自治会の有志の方々が実現した実績があると思うんですよ。皆さん方もごらんになったと思う。
 だけど、そういうようなことが、少なくともこういう報告書や構想の中で出てこない。また、評価もされない。しかし、地道に彼らは機能している。機能しているものを評価せずに--NPOはもちろん今、育ち盛りですから、多分これから大きな力になるかもしれない、ボランティアも力になっているかもしれない。しかし、現実の認識として、町内会、自治会の活動や活躍というものが、どうも今の都の、そちらの皆様方の方には希薄のように思えてならないんです。毎回、NPO・ボランティア、ボランティア・NPOというようなことの繰り返しです。これについては、この構想の中でも出てきておりませんけれども、どういうふうにお考えになっているんですか。

○関谷政策報道室計画部長 今回の構想の中では、今後、NPOですとか、そういうものの育成ですとか成長を図っていくというのが、一つの取り組みの方向性として出ておりますし、今後期待されるということで、その辺が大きく取り上げられていることは事実でございます。
 ただ、ご指摘のあった、いってみれば従来型の地縁的な地域コミュニティについても、これは先ほどご紹介いたしましたライフスタイルの中で取り上げてございまして、従来型の地縁による地域コミュニティは、環境美化ですとか育児など、そうした地域の共通課題というんですか、そういう課題解決型へと変わりながら、コミュニティとして育っていくだろうというような展望をしているところでございます。

○和田委員 町内会も自治会も、防災のときなどにも、隣から火が出て、二軒、三軒のところまでみんなで食いとめて、なおかつ、二、三軒先のところに仮住まいを十日、一週間してやるのも、やっぱり日ごろの町内会の連帯意識の中で醸成された気持ちが、「いいよ、少し住んでいろよ」という話で、間借りをしている人も知っているんですね。だから、何か気軽にさわやかに、NPO、ボランティアなどというようなことだけじゃなくて、この言葉が出てくるときには、必ず町内会、自治会も同じ頻度で出てくるような力の入れ方をぜひしてほしいと私は思うんです。
 それは、当然のこととしてそこに置くんじゃなくて--失礼ながら、先ほど申し上げた雪道の問題なんかも含めて、NPOはどれだけ活躍したのか、ボランティアはどれだけやったのか、現に私どもの身近なところだって、全部町内会が、自治会がやっているんですよ。だから、現状認識が、しっかり今あるものでも、いいものはどんどん育成していこう、あるいは、どんどんそういう方々に活躍してもらおうという励ましの姿勢があって初めて、行政全体の協力というか、相互扶助の気持ちが立ち上がってくるのに、新しいものだけを目の前に置いて追い求めるような姿勢に見える、それは極めて残念でありますので、今後、私は、今ある制度、組織でも、いいものはしっかり支えていく、あるいは保存させてもらうということも、この東京構想二〇〇〇の中で、ぜひ意をそこに用いてほしいということを、これは強く要望しておきたいと思います。
 具体的な例だけを町内会と自治会で挙げましたけれども、もっといろいろありますが、一つの例として申し上げておきます。
 それから、都庁改革アクションプランに関して次はお伺いしたいと思います。
 ここに青島知事のときの「生活都市東京の展開 改訂重点計画」なども持ってきましたし、先ほど松本委員の質問にもありましたが、それぞれ読み比べてみました。
 そこで、私どもが感じたことで、間違ったらご指摘をいただきたいんですが、青島知事のときの重点計画は、どちらかというとトップダウンというんでしょうか、がんと上からおろしてきたような感じがこちらにはします。ところが、石原さんの東京構想二〇〇〇は、体質は全く違うんでしょうし、お考えも違うんだろうけれども、どちらかというとボトムアップというんでしょうか、下から積み上げていったように見えます。性格からすると、青島さんの方がゆっくりゆっくり下から上に積み上げていく、それから石原さんの方は上から下にどんとおろすというふうに、一見そう思います。だけど、この計画を立案してくる姿勢そのものは逆でありまして、青島さんの方が上から下におろし、石原さんの方が下から上に積み上げたように私には読み取れたのですが、それについて、室長になるんでしょうか、部長でしょうか、私のこの読み方は間違っているのかどうかということ、あるいは同感いただくのかどうか。

○関谷政策報道室計画部長 ご指摘の点についてどのようにお答えしていいか、ちょっと明確にはわからないんですが、今回の構想策定に当たっては、当然都民の意見、さらには職員からのアンケート調査、さらには知事みずから局長のヒアリングを行う等、さまざまなチャンネルを通じてご意見をいただいております。そういう意味でいえば、下から積み上げていった部分というのは当然相当ございますし、各局からの要求等も踏まえながら取りまとめた側面も持っておりますから、ボトムアップ的な側面も当然持っておりますけれども、同時にこの間、知事が就任されてからさまざまな形で発信されているものを、今回の構想の中では、より体系的、総合的に提示するということにも努めておりますので、トップダウン、ボトムアップ、どちらかということについてのお答えにはならないと思いますが、そのような形で構想は作成させていただいております。

○和田委員 知事の性格とは違う手法で、一方は積み上げ、一方は上からおろすという、性格とは違う作成過程があったかなというので、私は大変興味を持ってこれを読んだ思い入れがあるものですから、今そんな質問をさせていただきました。具体的な事例について比較すれば、もっとおもしろいんでありましょうが、それは次の機会に送らせていただきたいと思います。
 それで、室長か部長になるんですが、じゃ、今度の東京構想二〇〇〇についてはどういう姿勢で臨まれたんでしょうか、立案については。

○安樂政策報道室長 先ほどの質問にもちょっと関連いたしますが、こういう形の構想をつくるときには、これは全庁的な作業になりますので、資料あるいは考え方も含めまして、全庁のいろんな形の考え方をとっております。そういう意味ではトップダウンなのか、ボトムアップなのかという、ちょっと類型にははまらないかもしれませんが、こういうやり方というのは、どの知事のときでも変わっておりません。
 ただ、今回、先ほども私、ちょっと申し上げたんですが、現在我が国を覆っているような閉塞感というもの、これをどういうふうに打破するかということが最初の問題意識にありまして、そこから、やはりこれは知事の非常に強い指導性のもとで、こういう考え方のもとで、体系といいますか、構想全体をくみ上げている、そういう意味ではそれをボトムアップ、ダウンと呼ぶのか、ちょっとわかりませんけれども、そういう点では一つの特徴は今回あるんだというふうに思っております。

○和田委員 組織の見直しに関連してお伺いをしたいと思うんです。
 アクションプランの中の八六ページのところに関連します。これは「効率的・効果的な組織体制の整備」ということで、現状と課題、政策形成機能の強化、社会経済環境等への対応、縦割り的な行政組織の是正、一層の簡素効率化等々がうたわれております。
 組織というと、当然これは、ある具体的な一つのセクションを動かしたり、変えたりするわけであります。例えば、今回のアクションプランの中で、具体的には労働経済局が産業労働局に改編される。それでは、どういうふうに変わるのかというと、労働経済局プラス観光振興事業マイナス職業安定行政マイナス雇用保険行政ということ、イコール産業労働局という仕組みになるんですね。それらを考えたときに、大して変わらないんじゃないか、名前は大きく変わりますけれども、中身はそんなに変わらないだろうというふうに私には思えるんですが、労働経済局から産業労働局に名前を変えるほどの大きな改編になっているんでしょうか。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 労働経済局については、今回の組織改正で産業労働局というふうに変えたいと思っているところでございますが、その名前を変える必要性はあるのかというご質問かと思います。
 現在、東京自身が、産業については非常に危機的な状況、また、雇用についても非常に高いレベルの失業率といった厳しい状況がございます。こういった中で、東京に活力を取り戻すということを目的に、今回は産業労働局という形で組織の見直しを行ったものでございます。
 この結果、平成十三年度に予定しております本庁の組織は、ほとんどの部がこの再編によって変わる予定でございます。こういった大きな見直しによりまして、東京の産業活性化、全体の活性化と雇用の拡大といったことを目指して産業政策を展開するということから、経済を産業という形に改め、あわせて労働相談、職業能力開発といった新しい職場環境、あるいは労働をめぐる環境に対応するということから、労働固有の施策を行うために、産業労働局というふうに名称を改めることにしたものでございます。

○和田委員 よく産業と労働は対峙されて語られます。それは生産者と消費者というぐらいに、産業、労働というふうに対峙されて過去は語られてきました。しかし、この産業と労働を併置しておく考え方というのは、もう古いんだろうと私も思っているんです。いわゆる労働というのは、生活の一部分に入っているんだろう。したがって、産業労働というよりも産業生活というか、そういう形の対峙の仕方の方が今日的な、生活者から見ると理解のいく、産業と生活、あるいは(労働)でもいいんですが、そういう考え方の方がわかりやすいのではないかなというふうに思っています。
 さらに申し上げれば、産業行政というと、もっとダイナミズムがあって、躍動的であって、例えば港湾行政なんかも、それこそ産業的な領域に入れて、わかりやすくした方がいいのではないかなというふうに考えるわけですが、いかがでしょうか。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 東京、それから全国の雇用情勢といったものは、今、非常に危機的な状況にございます。失業率は極めて高い水準で推移しております。東京の活力を取り戻すためには、中小企業の経営革新、それから創業などを通じて、雇用吸収力を拡充することが非常に重要だと考えております。また、企業の人材ニーズに合った能力開発を行うなど、産業行政と労働行政が密接な連携のもとに施策展開することが、こういう時期であるからこそ、特に重要であるというふうに考えております。
 昨年七月に策定いたしました東京都産業振興ビジョンでも、雇用の創出と確保は、東京における産業振興の究極の政策目標であると位置づけたところでございます。このような現下の東京の状況を踏まえますと、産業振興と労働行政を一つの局のもとで実施することが望ましいというふうに考えたところでございます。

○和田委員 あくまで意見は食い違います。しかし、私は近い将来、必ず私どもの考えている方向に動かざるを得ないだろうと思っています。あえてそのことだけ申し上げたいと思います。産業の視点から入るから、あくまでも労働、産業というふうに対峙する形になるんで、そういう入り方では、世の中の現状をくくることはできないだろうというふうに思っております。
 これは最後になりますが、組織の活性化と庁内分権についてお伺いをしたいと思います。
 ここに盛られているとおり、アクションプラン、いろいろ実施に入ってくると思いますが、その際、組織の目標ですとか目的、それに対してそれぞれの立場の人が、共通の理解と分権、集中、これをうまく適切に組み合わせて行っていかなければならないと思うんです。分権だけでもだめだし、集中だけでもだめだ。
 このプランの中には、各局責任による予算見積もりの範囲を広げましょうということが書かれているんでありますが、庁内における分権、すなわち自発的に決断をし、実行し、責任を負うというような庁内分権については、ここに明確にされていないようでありますが、これについてはどのように考えているんでありましょうか。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 都庁改革アクションプラン、今回のアクションプランでございますが、ここには改革の視点といたしまして、スピードの重視、コスト意識の徹底などを挙げているところでございます。庁内における適正な権限配分は、意思決定の迅速化や事業執行の効率化を図る重要な要素の一つでございます。このような観点から、平成十三年度の組織の見直しにおきましては、本庁と出先事業所、監理団体との役割分担の見直しを図るということにして、庁内分権を進めております。

○和田委員 もう少し質疑をしたいところでありますが、今、東京構想二〇〇〇、それから都庁改革アクションプランについて、主要な質疑をさせていただきました。まだこれから予算委員会も含めて、我が党議員がしっかりこの種の目線で質疑をさせていただきたいと思いますが、本日は以上で終わりたいと思います。

○三浦委員 きょうの質疑は、より基本的な質疑でありまして、概念がそのメーンになるような感じがいたしますが、きょうの質問の冒頭、松本副委員長のご質問、感銘を受けながらお聞きいたしておりました。一々ごもっともなご質問であったと思いますし、私も、そのとおりだなというふうに思ったりもいたしております。
 そこで、まず、安樂室長にお伺いをいたしますが、私も初めて都議会に出ましたときには、昭和五十二年、美濃部さんの最後の二年間でございました。きょう松本副委員長の資料要求に基づいて、ここにずっと歴代知事に基づく基本的な課題等についての取り組みの結果が出されてまいりましたが、私は、例えば安樂室長は都庁でお仕事を始めるようになって、もう三十年以上になられると思いますが、歴代の知事、歴代の部長、局長とのおつき合いをしながらやってこられ、時の為政者が、自分の思いで、その主要課題を時々の情勢に合わせて掲げて、選挙で当選をされてきて知事の座に座って、そして政策を打ち立てる。それは当然のことだと思いますし、それはいわゆる市民の意見の発露の場所でもありますから、あれなんですが、よくといいましょうか、時たまといいましょうか、いわれますように、日本の政治を、特に官僚の皆さん方が、優秀な官僚の皆さん方が日本を確立してきたというようなことが、いろんな意味で使われることもあるわけであります。そして、今回のこの二〇〇〇構想につきましても、石原知事がメーンになってこれをつくられて、私どもの二十一世紀の初頭を飾る大きな重要な政策課題として掲げられました。
 そこで、私は、きょうの松本副委員長のご質問の中にも関連いたしますけれども、時の為政者が掲げる政策課題は当然のこととして、しかし、その都度その都度、役所の皆さん方は、時の為政者の思いによって、いろんなことについて指示を受けて政策をつくられる、そしてそれを実行する努力をされてこられる。
 しかし、都政は、よくいわれますように、永遠であります。そして、役所の皆さん方の仕事も、永遠といってもいいぐらいに、為政者がかわろうが何しようが変わっていかないということになりますと、職員の皆さん方が仕事を続けていかれるその基本的な哲学というのは何なんだろうか。ある場合には、振り回されてはならない、時の情勢に振り回されてはならない、我々はこういうことを基本に置いて取り組んでいかなければいけないし、取り組んできたということがあると思うんですね。それは室長、那辺にあるんでしょうか。わかりやすい言葉で、ひとつ哲学を語っていただきたいと思います。

○安樂政策報道室長 私の立場でどこまでお答えできるのか、ちょっと大きな問題過ぎるとは思いますけれども、昔から、行政は政治の侍従なのかどうかという非常に大きな問題があります。我々は、公選によって選ばれた、そういう知事のもとで政策を執行していく、これは命令系統の中で当然なことであります。また、民主主義社会はそれを要請しているというふうに思います。
 しかし、にもかかわらず、今いろいろと問題提起されたように、そのとき、そのときの政治課題の上位にあるような普遍的な概念というものは、いろいろあるんだと思うんですね。これは何も政治、行政だけではなくて、我々の生き方といいますか、法律ではこう規定されているけれども、一見そのときの法律には違反しているように見えるけれども、しかし、もっと上位の人道概念から見たときには、自分はこうすべきではないかという、そういう場合というのは、どこかで問題が提起されることというのは、やっぱりあるんだというふうに思うんです。特に、今みたいな平和と繁栄が続いている時代ではなくて、戦乱の時代であるとか、そういうときには、やはり自分の人生観、価値観によって物事を判断しなければいけないというようなときというのは、必ずあるんではないかと思います。
 我々は、そのためにも、ある意味では政治の当面のことだけではなくて、大きな人生観であるとか、世界観、あるいは教養というものをつけることによって、その時々の、その普遍的な価値観というのは何かというのをやはり常に見ていく、そういう客観的といいますか、冷静な判断というのも必要だと思うんです。
 ただ、これは、何か一つの政治、政策が行われるときに、勝手な行動をするということとはやっぱり違っていると思います。それは、いろんな議論の中で、自分のそういうものを生かす中で、スタッフ的な形として政策決定の中で反映させるべきもの、それから、それが決定されたときには、やはりその中で、この民主主義機構の中で行政の一員としてそれを執行していく。
 これは、理屈でいうほど単純な話ではないと思いますけれども、そういう問題意識というのを常に持っていかないと、我々の行政とか政治のあり方、民主主義というものの根本が何らかのときに問題になる、そういう恐れがあるのではないかというふうに、余りお答えにはなりませんけれども、そんなことを考えております。

○三浦委員 冷静な価値観をいかに持ち続けることができるだろうか。私どもでさえ、その時々の情勢に振り回されてはならないということを冷静に持つことに懸命になることは、折に触れてありますが、実は役所の非常に優秀なスタッフの大勢の皆さん方が、時の為政者の政策に基づいてといいましょうか、今お話しのありましたように、ボトムアップか、トップダウンかわかりませんが、できたものの達成をいかにしていこうかということに努力される過程の中で、今いわれた価値観というものが生まれてくるのかなと思うと同時に、よくいわれますように、職員の意欲というのはどこから生まれてくるんだろうか、達成感というのはどこから生まれてくるんだろうか。今回も、いろんな意味での評価をする制度を設けようとしている。職員の皆さん方も、それぞれの与えられた仕事を達成していく努力をされるでしょうから、その達成感というのは、どこで、どういう形で評価されるんだろうか、非常に関心のあるところだろうと思うんですね。
 ですから、私は、大きなうねりの中で、私でさえ石原知事を含めて四人の知事と、議会と執行機関との間で対峙してやってきているわけですが、それぞれが出される計画は非常に立派なものですし、一つ一つ感銘を受けることもありますし、私どももそういう立場で仕事をしてきたことがたくさんございます。ですから、これからも、皆様方のお仕事というのは後輩にどんどん引き継がれていくわけですけれども、今あった言葉をいえば、やはり上意下達じゃなくて、ボトムアップでいくことをぜひ考えて、その中で職員の皆さん方の達成感が、充実感が感じられるような仕事の進め方を、ぜひぜひやっていっていただきたいなというように思うわけです。
 そこで、財務局長に今度はお伺いするんですが、今お話し申し上げたように、その時々の長期計画、総合実施計画が出されます。その時々の費用といいましょうか、財政計画も立てられます。しかし、私どももよくわからないところがあるんでありますけれども、例えば美濃部さんが立てたときの計画に対する達成率、鈴木さんが掲げたときのマイタウン東京構想の達成率、青島さんが出された、わずか四年間でしたけれども、その達成率というのは--その計画を達成させていくためには、財政運営上非常に左右されることがあるわけですけれども、その計画達成率、いかに達成したのかということが実際に財政運営上、今までの中でされてきているんでしょうか。
 それが、今の財務局長のお立場で--例えば、一番わかりやすいのは鈴木俊一さんのときのマイタウン東京構想の達成なのかもしれません。今回出されているこの東京構想二〇〇〇が、これから実施されていって、最後の方に三カ年の計画がありますけれども、どの程度達成できたのか、だから、次はこういうステップに進んでいくんだということが、なかなか具体的な形で出てきていないというように思うんですが、いかがなものでしょうか。

○木内財務局長 なかなかこれも難しい質問でありまして、私はこういうふうに思っております。行政執行する上においては、やはり基軸というのは、都政がいかにあるべきかということが基軸であるというふうに考えております。そういう中で、その時々における計画というのは、都政のあるべき方向についての、一〇〇%であるかどうかは別として、一定の方向性を示しているものだろうというふうに思っております。そんな意味で、予算的な意味においては、計画についてはそれぞれおおむね盛り込んでくるというのが基本的考え方であった。そういう意味では、おおむね一〇〇%ということがいえるだろうと思っております。
 さはさりながら、そのことによって都政としての方向性が十全に発揮されたか否かということは、これまた後世において判断されるべきものというふうに思っておりますけれども、財政運営の立場においては、その時々において必要な財政的な措置を講じてきたものと考えております。

○三浦委員 ありがとうございました。しかし、局長、予算を編成して、その予算が執行されたから計画は達成されたという見方には、イコールにならないと思うんだね。予算執行はしますよ、これは皆さん方が立てられて、我々と議会でちょうちょうはっしやった予算ですから。しかし、計画がどれほどでき上がって達成できたのかということを考えますと、これは非常に疑問が残るんですよ。
 そこで、マイタウン東京構想のときに、副都心計画をいろいろやってつくって、そして副都心構想もあちこちつくってきました、いろいろつくってきました。そこで、今、国の方ででき上がっている計画は、第四次総合実施計画から第五次に移って、もう既に四年たちました。これは橋本内閣のときに、一九九八年にできました。四全総のときにマイタウン東京構想を始めた、それと一致するような形でね。その四全総も、どの程度でき上がったのか、達成できたのかということは非常に疑問。そこで、それにリンクするような形でつくったマイタウン東京の副都心構想も、じゃ、ここまでできたから、でき上がりました、達成しましたというデータというのはほとんどないんです。今度は第五次になりました。第五次の計画に基づいて、その一年後か二年後にでき上がった首都圏整備計画、これは第五次であります。これは一都七県です。
 そして、今回出されたこの構想二〇〇〇の中でいえば、東京圏メガロポリスと、先ほどからいろいろ言葉として出てきておりますけれども、東京湾を中心にした計画も含めて、こういう構想が出されました。国の第五次全国総合開発計画、いわゆる五全総と首都圏整備計画に基づく首都圏の開発の計画と、今度の東京圏メガロポリスの構想とはどういうふうにリンクしているんでしょうか。
 そして、どのぐらいの時点でその達成ができるのかということをはかるとすれば、今の段階から考えれば、どの時期なんだろうか。きょうはその概念の質疑だということもありますから、そういう聞き方で聞かないと、聞く方も聞けないし、答える方も答えられないだろうと思う。しかし、私が先ほどからいっているように、達成されるというのは、どこの時点でどういうふうに計算するのか、見るのかということについてはなかなかできない。今、財務局長がいわれたように、予算執行したから達成されたと思うという考え方も一つかもしれない。しかし、総合的に立てた計画がどういうふうになっているのかということについては、なかなか読み切れないんですよ。それについてはいかがでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 基本的に計画を立てた場合の計画達成率というお尋ねでございましたけれども、正直に申し上げまして、過去の計画について、集約した、達成率という形でまとめ上げたことはございません。今後、行政評価制度等が導入される中で、また、政策指標ということで具体的な数値目標を掲げていく中で、それが計画の達成率ということに単純に直結するかどうかはともかくとして、一定の達成の度合いということについては、今後明らかにしていくような、そういう成果重視の流れをつくっていけるのではないかというふうに考えてございます。
 また、首都圏整備計画につきましては、今回のメガロポリス構想の中で、例えば核都市連携都市軸ということを提案しているわけでございますが、それは当然、首都圏整備計画における業務核都市等と一定の整合性を持った考え方でございますし、そういう点では首都圏整備計画とも整合を図っている部分も当然ございますが、一方で、メガロポリス構造につきましては、センター・コア・エリアということで、東京圏としてのいわば経済活力、一つの中心核としてのセンター・コア・エリアを再生していく、さらには、その周りに一定のリングを想定すると、首都圏整備計画とは若干異にする部分等もございますけれども、大きな枠組みとして大きく違うということはないのではないかというふうに考えております。
 また、今回の構想は十五年の構想期間を立てているものでございますので、当然メガロポリス構造というものが完全にでき上がるのには、十五年という時間が短いというふうにもいえないことはないわけでございますけれども、今回の構想は十五年をかけて、構想で打ち出した目指すべき姿を実現してまいるというふうに考えてございます。

○三浦委員 ここに首都圏整備計画のいろんな長文のものがあるんですけど、今、部長がいわれましたように、首都圏メガロポリスは首都圏整備計画とリンクさせていくというお話がありました。考え方の上においては当然そうだと思うんです。しかし、これのベースになっているのは、今、私どもがこぞって反対している首都機能移転をするということが大前提になっている計画なんですよ。そういうこととリンクなんかできる部分--全体的にはあるでしょうけれども、そういうことをベースにしたこの計画ができているんですよ。それに合わせてやっていくとなると、国との関係ではかなり違うことが出てくるはずなんです。
 今、扇大臣は石原知事と軌を一にするような発言があちらこちら散見できるんで、そういう方向にはならないのかな、見直しがされるのかなと思ったりもしてはいるんですが、そういう点では、この内容を見てみると、これでいいのかな、これでいいのかな、この東京の二〇〇〇計画は本当にできるのかなと。特にこの東京圏メガロポリスというのは、この構想が大丈夫なのかなということが非常に心配になってくるのです。最近の動きとあわせてどうですか。

○関谷政策報道室計画部長 ただいまご指摘いただきました点は、ちょっと私の方で言葉が足らなくて申しわけなかったんでございますけれども、首都圏整備計画は、委員からも今お話がありましたように、基本的には首都機能の移転を前提にした計画というふうにされております。ただ、そこの中で描かれている業務核都市等の一定の位置づけ等は、現在、東京都がメガロポリス構造等で提案しております東京圏全体で首都機能を担っていこうということと、ある意味では、物理的な存在の仕方としてはかなり共通する部分がありますので、その辺でどこまでそごが出てくるかということについては、今後さらに詰めていく必要があると思います。今後、メガロポリス構想等を策定する中で、そういうことも問われてくるかなというふうには思っております。
 だから、その点では、やはり東京都の構想はあくまでも引き続き東京、さらには東京圏が首都機能を果たしていくと。そういう点では、センター・コア・エリアを中心にして首都心しんとして再生させていくんだ、その強い意思というのは、やっぱり首都圏整備計画とは大きく思想として違うところだというふうに考えております。

○三浦委員 これで最後にしたいと思っておりますが、したがって、この出された構想二〇〇〇の達成をぜひ願う者の一人して、二つだけ皆さん方にお願いをしておきたいんです。
 マイタウン東京構想のとき、東京都のいわゆる都市づくりのための全都的なものを、いろんな形でゾーニングをいたしました。そのときにつくられた言葉が、いろんな言葉としてございます。今度のこの東京構想二〇〇〇でも、九つのエリアについて、それぞれに名前がつけられました。私ども地域に住んでいて、ましてや私の住まいする多摩地域においても特にそうなんですが、実は非常に迷惑しているんです。以前は、このゾーンはこういうゾーンでもってこういう位置づけでと。今度はまた、ここの同じところをこういうような別の言葉でもって、それは言葉の遊びで、もうそれこそどこの遊びなんでしょうかねと思うぐらいにあれですよ。
 そして、その各ゾーンの中に入っている市は、市は市でもって東京都からのお話をいただくのは、具体的な事業になると、最近というか、ここ一、二年というか--一、二年といえば石原さんの時代になってからです。これが上意下達というようなことで、各市、市長さん方がそれをお受けするというような形、押しつけられるという感覚もあるぐらいに受け取り方の変化があるんですよ。
 ですから、安樂さん、松本副委員長のご質問にありましたけれども、中央の皆さん方が、無為無策というお言葉をお使いになりました。知事がお使いになるのなら結構ですけれども、室長が余りお使いにならない方がいいお言葉だろうというように、私の感覚として思うし、そういう意味では、受ける方と出す方というのは必ずしも一致することはないわけですから、これからも、ぜひそういう点にも配慮して進めていただきたいなというように思っております。
 都心三区で最近のデータでもって調べてみますと、昼間人口と夜間人口の違いが、特に千代田区では二十六倍というぐらいに大きな差がございまして、私どもの東京も、都心回帰という言葉が最近使われるようになったし、都心に人口が戻ってくるような形になってきたなというふうには思うんですが、まだまだこれだけの乖離があるということから考えますと、都市計画、都市づくりについては本当に時間のかかることだし、金のかかることだけれども、大切だなと思うだけに、その思いは非常に強くこれからも持ち続けていかなければいけないなと思うものですから、そんなことについて、何かアバウトなことについてお伺いをいたしました。お答えにくかった点はおわび申し上げながら、質問を終わりたいと思います。

○大河原委員 最後になりましたが、私からも東京構想の方から質問させていただきます。
 中間のまとめでも若干質問いたしましたが、初めに策定のプロセスについて伺います。
 これまで都にあっては、長期構想、長期計画、実施計画などのいわゆる自治体計画を策定するときには、美濃部都知事時代から始まって、鈴木知事はマイタウン構想懇談会、青島知事では生活都市東京を考える会と、開かれ方や参加の方式は多少違いがあるんでしょうが、長期計画を策定する場合に、行政内部だけではつくらないという歴史が三十年以上続いてきたというふうに理解をしております。今回はこうした歴史を中断して、全く行政内部のみで策定をしました。
 とりわけ前回の質問でも指摘しましたように、構想は、東京圏を含めて他の自治体の領分にもかかわるものが含まれております。また、時代としても、市民参加だけではなく、計画策定へNPOなどの団体参加を実施している自治体もあり、無論、形式さえ整っていればいいという立場ではありませんけれども、なぜ今回、参加型の策定方式をとられなかったのか、伺います。

○関谷政策報道室計画部長 本構想の策定に当たりましては、都民からご意見を募集するとともに、有識者に対しアンケートやヒアリングを行い、それらを踏まえ、構想の骨格的な部分についての検討段階での案として中間のまとめを作成し、昨年九月に公表いたしました。
 この中間のまとめに対しましては、「広報東京都」やインターネットを通じて都民等から幅広く意見を求めるとともに、都政モニター会議で意見を聞くなどした上で、最終的に東京構想をまとめたところでございます。このように、本構想は都民等の意見を十分に踏まえながら策定したものと考えております。

○大河原委員 前回の質問のときには中間のまとめで、そのときには余り都民意見が出ていなかったと記憶しておりますが、その後、最終報告に向けてインターネットなどにもたくさんの意見が寄せられて、今ご答弁がありましたように、都民意見の集約について努力はされたというふうには思います。
 ただ、ちょっと参加型のイメージが私たちと違うなというふうに思いまして、それは市民とのパートナーシップというのも、私たちからすれば、片方から一方的に意見を聞くということではなくて、案を持ち合って双方向でコミュニケーションをとる、そういうイメージを持っているわけなんですね。(「時間的な問題があったんだ」と呼ぶ者あり)今、他の委員からも声がありましたけど、時間的な問題があったんじゃないかとか、あるいは知事の意向だったとしても、行政内部の討議過程、その中で出てきた異論とか、それから複数の代替案みたいなものですね、そういった議論が政策策定の過程ではあったはずです。そして、知事は従前、こうした異論、反論、代替案、こういったものを積極的に出せというふうにいってこられたと理解しております。こうした議論を参考資料として出してもいいんじゃないかなと考えるわけなんですが、その点はいかがでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 今回の策定に当たりましては、行政内部での議論の活性化を図るという観点から、職員アンケートの実施、局横断的組織による検討の実施、さらには、知事みずからによる各局長ヒアリング等を実施いたしまして、さまざまな形で構想策定に関する議論を高めていったところでございます。
 また、これは行政内部ではございませんが、東京構想二〇〇〇では、構想策定における説明責任という観点からも、いただきました都民の意見の概要を紹介すると同時に、それに対する都の考え方なども、今回の本構想の中で参考資料としてお示ししているところでございます。

○大河原委員 都民意見に対して、現段階で都がこういうふうに考えているんだということは示されておりましたけれども、役所の体質からいって、討議過程の案をオープンにしていくというつくり方は、なじみがないものだというふうには思います。ただ、知事がそういう一定の考え方を示されていたと私は思っておりますので、今後ぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 この構想と三カ年の実施計画については、できたところで大変恐縮なんですけど、ローリングが不可欠だと考えております。このローリングの時期に、今お話ししましたような、ぜひとも市民参加型の手法をとっていただきたいということを強く申し上げておきます。
 ところで、基本構想と実施計画は、自治体計画として高度成長時代に自治体の規範として定着してきたわけですけれども、これを絵にかいたもちにしないためにも、通常の各施策との連動性や整合性の検証が必要です。行政計画としては、ほかに環境計画や地域福祉計画などの重要な計画がありまして、事業を進めていく上でこれらとの整合性が大変重要になってまいります。こうしたチェックについては、ローリングの時期を含めて、進行管理の内容とともに、これこそ都民にわかりやすく情報提供される必要があると思いますけれども、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 個別の政策や計画との連動性、整合性についてでございますけれども、東京構想二〇〇〇は、都の基本構想として今後の行財政運営の指針を示したものでございますので、本構想に基づき、施策展開や分野別計画の策定を進めていくこととなります。
 なお、個々の施策が、構想で示す政策目標に有効に機能しているかなどについては、来年度から本格実施をいたします行政評価においてチェックしていくことになっており、その結果等につきましては、その都度公表していくものと考えております。

○大河原委員 すぐさま見直しとかローリングについてというのは、答弁しにくいというのはわかりますし、たしか先ほどの大山さんの質疑の中で、福祉の分野で今必要とされていることが、実は片方では反対の方向に進んでしまうというようなこともあって、ぜひとも施策の総合性というところにこだわったチェックをしていただきたいというふうに、改めて思いました。
 そして、今回、この構想に政策指標を導入したこと、このことは大変都民にもわかりやすくということで、評価をしたいと思います。大変苦労されたと思うわけなんですけれども、でも、これはどうなんだろうかというふうなものが少なからずあります。
 例えば、一九三ページ、子どもの倫理観、規範意識を醸成するというところで、いじめられている子の味方になったことがある子どもの割合、これを二〇一〇年までには七〇ポイントに五九・六ポイントから引き上げる、それから、ごみをごみ箱に捨てる子どもの割合を、今の七一・一ポイントから、二〇一〇年には八〇ポイントに引き上げる、こういうのは政策指標というものになじむんでしょうか。例えば、しつけというのは、注意したらその場から完璧にやってほしいわけですね。二〇一〇年にならなければ、八割の子どもがごみ箱にごみを捨てないのかという、とてもここに並べておくような問題じゃないんじゃないかと思います。
 これが心の東京革命の反映だと思えば、我々大人社会が子どもに反映しているということですから、例えば路肩に落ちているごみ、あるいは高速道路の中央分離帯に投げ込まれているごみの量を減らす、そういう指標ならばわかるんですね。あるいは、売られているたばこに対してポイ捨てされるたばこの量を減らすとか、ちょっとこの辺で首をかしげたくなるような指標だというふうに思います。
 ローリングの時期に、こうした政策指標に基づくチェック、それから指標そのものの見直し、こうしたものも、先ほどから申し上げております参加型で行うことが必要だと思っておりますが、いかがでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 政策指標は、わかりやすい数値目標を示すことで、都政に関して都民との共通認識の土台をつくり、都庁内外での政策論議を高めていくということがねらいの一つでございます。そうした政策論議を通じて、また、東京都政策指標を適宜モニタリングを行い、その達成状況ですとか、施策との関連性等を確認しながら、政策指標の精度を今後とも高めてまいりたいというふうに考えております。

○大河原委員 モニタリングをされるということですから、都民からの意見を集約すると、たくさん意見が出てくると思うんですね。それで、早めにモニタリングの詳細を決めてオープンにする。ぜひ適切な指標をもって、大変いい手法ですから、進めていただきたいというふうに思います。
 次に、この計画の財政面からの問題について伺わせていただきます。
 計画は五十年を見通した十五年、推進計画、実施計画は三年ということなんですが、計画期間における財政状況の見通し、とりわけ都債の状況を含めて財務局に伺いたいと思います。

○成田財務局主計部長 今後の財政見通しについてのご質問でございますが、まず、ご質問の中の長期といいますか、十五年間、こういうロングスパンの財政状況を見通すことにつきましては、非常に困難でございます。また、お答えしにくいものであることをご理解いただきたいと存じます。
 次に、向こう三カ年程度の見通しでございますが、これにつきましては、十三年度におきましては、IT関連業種などの企業収益の改善等によりまして、十二年度最終補正後の程度の都税収入が見込まれますが、景気の動向は依然不透明でございまして、十四年度以降の税収を楽観視できる状況にはないところでございます。
 また、今後は、過去に大量に発行いたしました都債が、十四年度以降その償還期を迎えまして、償還経費が大幅に増大するほか、約一兆円程度といわれております、いわゆる隠れ借金の存在など、都財政は今後も引き続き厳しい状況が続いていくものと見込まれているところでございます。
 したがいまして、今後とも財政再建推進プランに基づきまして、財政構造改革を確実に進めていく必要があると考えているところでございます。

○大河原委員 大変厳しい状況というのは変わらないというふうにお答えになりまして、そのとおりだろうと思います。
 ところで、計画部の方では、計画担当者として、この都財政の状況との整合性、そのことはどのようにお考えでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 今後の財政状況がなお非常に厳しいことを踏まえて、策定してまいりました。
 三カ年推進プランを策定するに当たりましては、財政再建推進プランと十分整合性を図り、東京の再生に真に必要な重点事業に限って計画事業費を掲げたところでございます。
 また、十三年度からの三カ年はもとより、おおむね十五年の構想期間を通じましての財政状況の顕著な改善は期待できないということを前提に、真に必要な政策、施策を掲げたところでございます。今後は、財政状況の見通しを適時的確に踏まえつつ、構想の実現に向けての取り組みを進めていく必要があると考えております。

○大河原委員 今回は一定の都税の増収という事態になりましたけれども、景気動向を考えても、また、十五年度に八千億円を超える都債の償還ということを踏み越えていかなければならないわけで、少子高齢社会、また世界的な経済状況を考えても、今回の構想を眺めて、今、本当に必要なものだけというふうにおっしゃっているわけなんですが、こんなに高い投資的経費を予想されるような内容、これで大丈夫なのかなと大変心もとない思いがいたします。
 東京構想は、環状メガロポリス構造のもとに、多心型都市構造を一定総括をしたというふうに理解をいたします。分散から集積へ、そして都心居住ということも進め、また臨海副都心の開発とその拡大に向かっております。この目的は一体何でしょうか。
 東京の再生というふうに総括をしておられるわけですけれども、都市の成長管理や、あるいは都市機能が集中することによって、より大量のエネルギーを消費する、伴って環境負荷が大変高まるわけですから、その低減ということが大変大きな課題になっていくわけです。そのことと、どのようにこの東京構想は整合していくんでしょうか。
 景気浮揚のための公共事業を進める、旧来型の公共事業の量的確保のために、多心型都市構造を捨てたかのように見えるわけなんですけれども、ちょっと失礼ないい方で申しわけありませんが、どのようにお考えでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 東京構想二〇〇〇では、東京圏が引き続き首都機能を担い、二十一世紀の国際競争を勝ち抜ける活力と魅力にあふれた大都市としていくため、長期的な視点も踏まえ、東京圏の望ましい都市像として、都市機能が適切に配置された環状メガロポリス構造をお示ししたところでございます。
 この構造は、経済の活力を維持向上していくということと同時に、都心居住の推進による遠距離通勤の解消、東京外郭環状道路の整備による交通混雑の緩和、交通需要マネジメントの取り組みによる自動車交通の抑制等を通じたヒートアイランド現象の緩和など、混雑や環境面での負荷といった集中の弊害を是正するということも目的としているところでございます。
 従来の多心型都市構造は、業務機能の分散を主眼としていたもので、多様な機能を複合させる視点、環境の視点などが欠けており、混雑現象を回避しながら集積のメリットを十分発揮させることは困難であろうと考えております。
 環状メガロポリス構造は、従来の多心型都市づくりによって形成された副都心や多摩の心しんにおける都市機能の集積、拠点間の交通基盤を生かしながら、多心型都市構造を発展させ、環境負荷を軽減しながら、東京圏全体の機能を最大限に発揮させることを目指しているところでございます。

○大河原委員 東京構想二〇〇〇は、大変大きなまちづくりを提示しているというふうに思いますが、ちょっと視点を変えまして、次の時代を担っていく子どもたちや、あるいは今後期待される労働者像といいますか、働く人の問題についても少しお話しをしたいと思います。
 子どもの虐待防止、あるいは子育て支援、これについては計画化されているんですね。ところが、肝心の子どもを元気に生き生きと、そして子どもが本当に小さいころから一人の人間として尊厳を持って育てる、そのために東京都はこれまでもいろいろ努力して積み上げをしてきましたが、こういう子どもの権利を守るための条例というのは、今回のこの計画事業にはなりませんでした。
 そしてまた、先ほどからも出ておりますけれども、労働における高齢者や女性の役割に大変期待を持っているということがわかりましたけれども、現在でも実際に女性の労働を阻んでいる賃金差別とか、間接差別など、さまざまな課題の解消ということについては大変アプローチが不十分ではないか。だれもが創造力を発揮できる東京というふうにいいながら、実は多くの女性が直面している不合理な社会的制約を取り除く、そういうことにこの新しい東京は積極的な姿勢が見られません。
 そして、個人の意欲と能力に応じて多様な生き方が選択できる社会を実現するというときの個人、ここでのイメージというのは、まだまだ成人男性中心主義というんでしょうか、例えば円熟シニアといっても、団塊世代の高齢者男性というイメージしかわいてこないんですね。私は、こうした水準の中に、今回打ち出されています女性財団の廃止、こういう案も出てきたような気がします。
 東京のまちを、本当にここに住む人が魅力ある、生活をする人にとって魅力あるまちとしてつくっていくというよりは、千客万来の世界都市といったときに、もっとビジネスとか観光とか、生活外のイメージの方が強くついてしまうのは否めないんじゃないでしょうか。そして、ここに暮らす生活者にとっての、例えば食品安全の問題であるとか、環境や生活の価値という点から見ても、この東京の中で振興させなければならない産業育成、こういったものについても、例えば都市農業とか森林政策、こういったものが基本構想の中には欠落しております。
 事業の寄せ集めではないというふうに、もちろん説明されると思いますけれども、生活という視点から見れば、発想の基本的なところに問題があるというふうに感じます。特別な意図はないとは思いますけれども、どういうふうにこの生活ということをお考えになっているのか、お聞かせください。

○関谷政策報道室計画部長 本構想でこれからの東京は、我が国の首都として活発な経済、文化活動が営まれる活力と魅力にあふれた都市であるとともに、千二百万都民が生き生きと暮らせる生活の場でなければならないとし、それを前提に具体的な施策展開をお示ししております。
 基本目標でも「都民が安心して生活できる東京」を掲げており、生活という視点に欠けているということはないと考えております。

○大河原委員 もちろん答弁で、生活を捨てたというふうな答弁はあり得ないと思うんですけれども、やっぱり重心は大幅に変更されたんじゃないかなというふうに思わざるを得ません。
 一方で、この構想の中には、本当に今後ちゃんと育てていきたいというものもあります。戦略の14に、先ほど和田委員からはちょっと違うご意見がありましたけれども、NPOの活動範囲を広げ、また協働推進プランを実施すると書いてあるわけなんですが、昨年の十一月までに都内では六百七十四団体がNPO法人の認証を受けておりますし、一二四ページのトピックを見ても、NPOの経済規模というのが、平成七年、十五兆円ちょっとだったものが、十年には十八兆円、GDPの三・六%にまでいくということが出てきています。こういった中では、このNPOとの協働推進プランが計画事業化された、そのことについては大変評価を高くしております。
 しかし、ここにも問題がありまして、ボランティアとNPOが並列に並べられております。非営利事業といってもボランティアばかりではありませんで、先ほど申し上げましたような経済規模、大きなものに期待がかかっているわけです。この事業の中には、労働の中で生計を維持できる、そのような労働まで存在しておりますし、欧米ではNPOの事業の大きさ、そしてそこで雇用が生まれるということは常識です。ですから、この並列の書きぶりには、東京都のボランティアとNPO、この差の認識、そこがやっぱり薄いんじゃないかなというふうに思います。
 まず、こうした団体への政策決定への参加、こういったことも必要だと思いますし、役所の一定の事業をNPOへ委託をする、この委託目標として、それを数値化するということがぜひ必要じゃないかと思うわけなんです。近い将来として検討すべきだというふうに思いますけれども、こうした協働についての政策指標の数値化についてお答えください。

○関谷政策報道室計画部長 NPO活動は、多様化する都民のニーズにきめ細かく対応することにすぐれており、これからの社会の担い手の一つとして大きな役割を果たすことが期待されております。
 ただいまご指摘がありましたように、戦略14では、行政の活動領域を開放し、行政との協働事業の範囲を拡大することで、NPO活動を活発化させていくことを目指しておりますけれども、現在、強力な推進指針を策定中でございまして、また、NPO等の基礎調査もこれから進めていくという段階でございまして、現時点で政策指標化することは困難であったということでございます。
 しかしながら、今後とも関係局との連携を図りながら、NPOとの協働の拡充に努めてまいりたいというふうに考えております。

○大河原委員 次に、国際政策について伺いたいと思います。
 千客万来の世界都市という言葉の観光的なイメージを先行させるのではなく、真の国際都市をつくり上げていくためには、既に東京に住み、多様な文化を持つ人々との共生の視点が欠かせません。交流から協力へという自治体国際政策の転換を実質的なものにするために、ここでは戦略の35で掲げられておりますアジア大都市ネットワークの構築、このことについてはNGOも含めてともに進める、フェースツーフェースの関係を積み重ねていくことが重要だと思います。千客万来の世界都市は、この二つのことを地道に進めていくことで、実際に実現に近づいていくのではないかというふうに思います。
 このような課題に対しての認識と今後の取り組みについてお尋ねいたします。

○関谷政策報道室計画部長 千客万来の世界都市をつくり上げていくことにつきましては、東京が都民にとって生き生きと暮らす生活の場となり、活発な経済、文化活動が営まれ、世界の人々を魅了し、引きつける都市となるように、本構想全体を通じて取り組んでいく必要があるというふうに認識してございます。
 ご指摘の多様な文化を持つ人々との共生につきましては、本構想において、子どもたちが外国の文化に学び、外国人との交流の機会を持てるよう相互理解教育等を進めていくこと、さらには、案内標識の外国語表記など、外国人が生活する上で障害のない地域づくりを進めることなどを掲げているところでございます。
 また、アジア大都市ネットワーク21につきましては、本年の秋に本会議を開催し、具体的な事業や取り組みを決める予定になってございます。

○大河原委員 次に、都庁改革アクションプランについて伺いたいんですが、まず行政評価制度、これは十三年度から本格実施ということなんですが、総合的な実施をねらうにしても、無論、成果を短期間に追い求めることはよくないというふうに思うわけですが、予算査定への反映、あるいは実効性をどのように確保していくのか。そしてまた、評価についても、第三者機関のチェックが必要だと思うわけなんですが、今後の運用の全体について伺います。

○中田総務局参事 都の行政評価制度におきましては、評価結果を事務事業の見直しや予算編成に特に反映させることに努めまして、制度の実効性を確保していく所存でございます。
 また、第二次評価を行う際に、必要に応じまして外部専門家の意見を聴取し、さらに、評価結果を公表しまして都民の方々の意見をいただくことで、評価の客観性を高めていきたい、そのように思っております。

○大河原委員 第三者機関についてはお答えが違うわけなんですけれども、私は、やっぱり行政においての評価のねらいというのは、行政側の説明責任を全うすること、そしてまた、そのことによって行政を改善していくという点にあると思うんですね。ですから、ここでの第三者機関の設置というのは、非常に大きなことだというふうに思います。
 お役所の内部だけでやる限り、どうしても身内に甘いお手盛りという批判は免れませんし、むしろ事業評価については、専門家による検証という点ももちろんありますけれども、何度も市民と申し上げていますけれども、市民が評価にかかわることによって、行政や政策の正当性をさらに評価する、そういう観点から事業の正当性の審議ということができてくると思います。
 既に欧米や日本における評価制度への市民参加の実例もありますけれども、どのように把握されているんでしょうか。

○中田総務局参事 評価制度への市民参加の実例についてでございますが、米国のオレゴン州では、州政府の長期計画でございますオレゴン・シャインズ及びその計画の達成度を評価します指標でございますオレゴン・ベンチマークス、これらの策定を市民の代表を中心とした知事直属の独立委員会ではございますが、プログレスボードが行っていると聞いております。
 また、国内ですけれども、都道府県レベルでは、行政評価の結果を住民に公表する、あるいは評価に際しまして外部専門家の意見を聴取するなど、評価の客観性を確保するため、それぞれの実情に合わせて工夫がなされているということは承知しております。

○大河原委員 評価については、参加型の方式をとる自治体がふえておりますし、東京都もこうした点では先陣を切っていただきたいというふうに思うわけなんです。特に創意工夫を強く要望しておきます。
 次に、都庁の改革の中心に、私たちの提案として、政策法務機能の強化を提案してきました。このことは、簡単にいえば、東京都が自治体としての法令の解釈力、運用力、そして自治立法を進める能力です。いうまでもなく、この能力は、今回も外形標準課税、そしてディーゼル車規制として組織に問われ、都庁人材がこれに見事にこたえ実現したというふうにいえると思います。私たちの主張も立証されたと思っているわけなんですが、今回の地方分権改革によって、さらにこの能力は、多くの行政領域で必要とされているのではないでしょうか。
 この政策法務の充実に対応する以前の条件として、前回も、東京都の例規集をホームページに載せて、だれでもアクセスできるようにすべきというふうに提案をしてまいりました。今回これが計画されたことを高く評価したいと思いますが、今後は、これを要綱なども含めてもっと範囲を拡大すべきと思いますし、職員の研修や人事の公募制の中で生かしていったらどうかというふうに思います。
 全体として、この政策法務機能の強化についてどのようにお考えでしょうか。

○高橋総務局総務部長 政策法務機能の強化についての認識ということでございますが、地方分権の趣旨を十分に生かしていくためには、法令等を単に執行するという観点にとどまることなく、政策の具体的実現に向け、法的に検討し、条例を立案、運用していく、いわゆる政策法務の機能を強化していくことが重要であるというふうに認識をしております。

○大河原委員 最後になりますが、今回、自治体の合併とか道州制など、自治体をめぐる制度について触れておられますけれども、このビジョンⅢに向けた私たちの提案としては、やはり分権改革の基本的なところが今回は不十分であったというところから出発していただきたいと思うわけなんです。
 今回の改革では、地方自治の本旨の中身として、自治体は市民がつくるもの、そこでのルールも市民が決定するという基本的な点が位置づいていなかった、位置づけられなかったというふうに考えます。その中身においては、自治基本法、そして自治基本条例の制定を中心にすべきだと思います。こうした基本的な視点がなければ、合併にせよ、また広域連携にしても、よそからの押しつけ、上からの押しつけ、そのようにしかとられません。東京圏という広域連携の課題も、ごみや食品の安全というような地道な課題、こうしたものが重要というふうに思いますし、切実な問題だと思います。
 今後の自治体改革構想について基本的なお考えを局長に伺いまして、質問を終わります。

○大関総務局長 ご案内のように今回のビジョンⅠ、これは現行の法律あるいは制度、枠組みの中においても、やれることはやっていこうということでやってきたわけでございます。しかしながら、これは当然限界があるわけでございます。
 そこで、ビジョンⅢにおきましては、人々の生活の広域化に伴って、東京圏で発生しておりますさまざまな問題を解決し、自治体がみずからの責任と判断により、主体的に施策を展開する地方主権を実現するため、現行自治制度の枠にとらわれない抜本的な改革も視野に入れた提言を行うということを目指しているわけでございます。
 今回、策定したビジョンⅠの中におきましても、これからの都政改革の基本的な考え方といたしまして、都民の目線で改革するための五つの視点を掲げたわけでございます。そのうちの一つの中に、都民・企業との協働ということを設けております。この考え方は、中長期的視点での改革ということでありますビジョンⅢを策定していく上で、中でも基本的な認識であろうと受けとめておりまして、住民自治の活性化のための仕組みづくりなどにつきましても、検討してまいりたいと考えております。

○大山(均)委員長 お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大山(均)委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時二十八分散会