行財政改革基本問題特別委員会速記録第三十三号

平成十二年九月十八日(月曜日)
 午後一時七分開議
 出席委員 二十三名
委員長矢部  一君
副委員長森田 安孝君
副委員長山崎 孝明君
副委員長渡辺 康信君
理事中嶋 義雄君
理事田代ひろし君
理事和田 宗春君
理事曽根はじめ君
理事内田  茂君
織田 拓郎君
三宅 茂樹君
浅川 修一君
野村 有信君
大河原雅子君
寺山 智雄君
大山とも子君
石井 義修君
三原 將嗣君
大西 英男君
清原錬太郎君
山崎  泰君
尾崎 正一君
木村 陽治君

 欠席委員 なし

 出席説明員
政策報道室室長安樂  進君
理事赤星 經昭君
政策調整部長岡田 重信君
計画部長関谷 保夫君
調査部長松田 曉史君
総務局局長大関東支夫君
総務部長高橋  功君
行政改革推進室長組織担当部長兼務山内 隆夫君
参事荒川  満君
参事中田 清己君
人事部長三宅 広人君
行政部長松澤 敏夫君
地方分権推進担当部長脇  憲一君
勤労部長尾井 幹男君
財務局局長木内 征司君
経理部長碇山 幸夫君
主計部長成田  浩君

本日の会議に付した事件
 行財政改革の基本的事項についての調査・検討
  報告事項(説明・質疑)
・「東京構想二〇〇〇(仮称)中間のまとめ」について
・「都政改革ビジョン1 都庁改革アクションプラン-中間のまとめ」について

○矢部委員長 ただいまから行財政改革基本問題特別委員会を開会いたします。
 初めに、本委員会の担当書記に交代がありましたので、ご紹介いたします。
 調査部担当書記の岩崎浩子さんでございます。
〔書記あいさつ〕

○矢部委員長 よろしくお願いいたします。

○矢部委員長 次に、今後の委員会日程について申し上げます。
 先ほどの理事会におきまして、お手元配布の会議日程のとおり申し合わせをいたしました。ご了承をお願いいたします。
 次に、先般の人事異動に伴い、政策報道室、総務局及び財務局の幹部職員に交代がありましたので、順次ご紹介をいたします。
 初めに、政策報道室長に安樂進君が就任いたしました。
 安樂進政策報道室長から、あいさつ並びに幹部職員の紹介があります。

○安樂政策報道室長 去る八月一日付で政策報道室長に就任いたしました安樂進でございます。
 微力ではありますが、矢部委員長を初め委員の皆様のご指導、ご鞭撻を賜りながら、全力で職責に当たりたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 ここで、さきの人事異動により交代のありました当室の幹部職員を紹介させていただきます。
 理事の赤星經昭でございます。調査部長の松田曉史でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
〔理事者あいさつ〕

○矢部委員長 次に、総務局長に大関東支夫君が就任いたしました。
 大関東支夫総務局長から、あいさつ並びに幹部職員の紹介があります。

○大関総務局長 ただいま委員長からご紹介いただきました大関東支夫でございます。
 八月一日付をもちまして、総務局長を命ぜられました。大変微力ではございますけれども、全力を尽くして、本委員会の課題でございます行財政改革に取り組んでまいりたいと考えております。
 矢部委員長を初め委員の皆様方には、どうぞよろしくご指導、ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
 続きまして、先般の人事異動によりまして交代のございました当局の幹部職員を、お手元の名簿に従いましてご紹介させていただきます。
 総務部長の高橋功君でございます。行政改革推進室長で組織担当部長兼務の山内隆夫君でございます。次に、行政改革担当参事の荒川満君でございます。行政評価担当参事の中田清己君でございます。人事部長の三宅広人君でございます。次に、地方分権推進担当部長の脇憲一君でございます。それから、勤労部長の尾井幹男君でございます。
 以上で幹部職員の紹介を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
〔理事者あいさつ〕

○矢部委員長 次に、木内財務局長から、交代のあった幹部職員について紹介があります。

○木内財務局長 経理部長に就任いたしました碇山幸夫でございます。
 よろしくお願い申し上げます。
〔理事者あいさつ〕

○矢部委員長 紹介は終わりました。

○矢部委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項、「東京構想二〇〇〇(仮称)中間のまとめ」及び「都政改革ビジョン1 都庁改革アクションプラン-中間のまとめ」について、説明の聴取並びに質疑を行います。
 それでは、報告事項について理事者から報告の申し出がありますので、順次これを聴取いたします。

○関谷政策報道室計画部長 今月八日に東京構想二〇〇〇の中間のまとめを発表いたしましたので、その概要を報告いたします。
 東京構想二〇〇〇は、二十一世紀の東京が目指すべき将来像と、その実現のための施策を明らかにするもので、ことしじゅうに策定すべく作業を進めております。今回、検討段階におけるおおよその内容が固まりましたので、中間のまとめとして公表したものであります。今後は、幅広く意見をいただきながらさらに検討を進め、具体的な施策や事業、三カ年の実施計画などを加えて、最終的にまとめていく予定になっております。
 お手元の資料第1号、「東京構想二〇〇〇(仮称)中間のまとめ」をごらんいただきたいと思います。
 まず、一ページをお開き願います。「はじめに」では、戦後五十年、経済的豊かさの拡大を支えてきた既存の日本型社会システムが変容を迫られていること、そうした中、首都である東京が確かな将来展望を描くとともに、再生に向けた長期戦略を打ち出していくことが必要であることを記述しております。
 次に、五ページをお開き願います。東京をめぐる長期展望と今後十五年の課題と題しております。東京の将来を切り開くには、長期的視点から時代の潮流をとらえ、先行的な取り組みを進めていくことが必要との認識のもとに、人口、経済、時間、空間、情報、環境、年金の切り口から長期展望を行っております。
 そして、二九ページにおきまして、それを踏まえた、今後十五年間に取り組むべき課題を明らかにしているところでございます。
 続きまして、三五ページをお開き願います。ここからが、第2の目指すべき東京の将来像でございます。第1の長期展望を踏まえ、おおよそ十五年後の東京の将来像を、都市像や生活像のみならず、新たな社会システムの構築に当たっての基本理念や、これからの行政像も含めて記述いたしております。
 三五ページの新たな社会システムの構築では、これまでの社会システムでは、今後の社会経済の変化に対応できず、この十五年の間に再構築に取り組んでいく必要があることを述べております。
 その上で、新たな社会システムの構築に当たっては、経済的豊かさに加え、自己責任に基づいた多様な生き方の選択が行えるような新しい豊かさ、結果の平等ではなく、積極的な挑戦を促す機会の平等と、その成果を正当に評価する新しい公正の原理、個人の努力が社会の発展に、また、社会が生み出す成果が人々の生活の充実に生かされる発展的相乗関係の三つを重視していくことが必要であるとし、さらに、そのためには、ルールと責任の明示、新しい合意形成の仕組みづくり、私権と公共の福祉の調整、個人の社会貢献活動の促進などにより、自立した個人と社会との関係を調整していくことが必要であることを示しております。
 三七ページをごらんいただきたいと思います。新しい東京の生活像では、個人の多様な生き方が可能になるよう、社会として備えているべき条件を示した上で、二〇一五年の東京を担う新東京人の姿を提示しております。また、高齢者の概念を見直し、現役世代の延長線上にある円熟したシニアとしてとらえ、年齢にとらわれない社会を築き、円熟シニアが社会の活力となる姿を示しております。
 四三ページをごらんいただきたいと思います。四三ページの求められる都市像では、東京圏の骨格的な都市構造として、環状方向のネットワークの形成を重視した環状メガロポリス構造の実現が必要であることを示しております。そして、環状メガロポリス構造の構成要素として、諸機能が高密度に集積したセンター・コア・エリアとその周辺のミッド・リング、国の内外の交通の結節点としての臨空・臨海都市軸、業務核都市を環状方向に結びつける業務核都市連携軸などを示すとともに、多摩地域の位置づけについても明らかにしております。さらに、こうした都市構造の実現のためには、首都圏三環状道路等の整備が不可欠であることを記述しております。
 このほか、望ましい都市像の実現に向けて、都市づくりの新たなルールや民間事業者等の都市づくりへの参加を促す仕組みをつくっていくことが必要であることについて述べております。
 五三ページをごらんください。エリア・コンセプトでございます。エリア・コンセプトでは、東京を九つのエリアに分け、それぞれの地域の将来像を示し、多様な魅力を持つ東京の将来像を明らかにしております。
 六一ページをごらんいただきたいと思います。六一ページのこれからの行政像では、行政は、民間では対応困難な分野に活動領域を限定し、小さな政府を目指すべきであること、基礎的自治体は、地域の経営主体として規模の見直しが必要であり、住民の意思を十分に踏まえた上で合併についても検討すべきであること、東京圏の広域的課題への対応やその再構築のためには、都道府県制度にかわる、より機能的な新しい広域的自治制度を模索していく必要があることなどを示しております。
 こうした将来像を踏まえまして、六四ページでは、十五年後の東京の望ましい姿を、個人や企業などの各主体が持てる力を発揮し、活力に満ちた活動を展開し、先駆的なメッセージを国の内外に発信している都市、都民が安心して充実した生活ができる都市とし、それを、国際都市にふさわしい活力と魅力に満ち、多くの人々が交流する都市、いわば千客万来の世界都市とあらわしております。そして、その実現に向けた十六の政策の目標を掲げております。
 続きまして、六九ページをお開き願いたいと思います。ここからが、第3の十五年間の政策の目標と取り組みの方向性でございます。
 まず、東京の人口と経済では、今後十五年間の人口と経済の基本的な枠組みを示しております。人口については、都心居住が進み当面増加するものの、高齢化の進展から自然減が社会増を上回り、二〇一〇年ごろをピークとして人口減少が始まること、団塊の世代の加齢とともに急速に高齢化が進むこと、世帯の細分化が進む一方、世帯数は増加していくことなどを示しております。
 また、労働力人口につきましては、高齢化の進展に伴い、生産年齢人口は減少するものの、女性や高齢者の就業促進により、おおむね現在の規模を維持することが可能であり、経済については、技術革新等により、年平均二%程度の経済成長が実現できると見込んでおります。
 このような枠組みを踏まえまして、七七ページからは、さきに掲げた十六の政策の目標ごとに、将来ビジョンとその実現に向けた取り組みの方向性を示しています。取り組みの方向性では、都が実施する事業のみならず、国に対する制度改正要求等も含め、幅広い視野からの都の取り組みについてお示ししました。今後、さまざまなご意見、ご提言をいただいた上で、最終的には、具体的な施策や事業、そして構想の実施計画である三カ年の推進プランも含めましてお示ししていきたいと考えております。
 次に、一七九ページをおめくりください。東京都政策指標についてでございます。構想では、政策の目標をわかりやすい数値目標として示す東京都政策指標を導入することとしておりますが、今回は、政策の目標に沿って六十六個の指標案を記載いたしました。これについても、幅広くご意見を伺った上、最終的には具体的な数値目標を含め、お示ししていきたいと考えております。
 最後に、一八七ページをごらんいただきたいと思います。策定に向けて寄せられた意見でございます。策定に当たって寄せられた都民や有識者等の方々のご意見、ご提言、職員の意見、提案の概要を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、「東京構想二〇〇〇(仮称)中間のまとめ」の説明とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 去る九月八日、「都政改革ビジョン1 都庁改革アクションプラン」の中間のまとめを発表いたしましたので、その概要についてご説明させていただきます。
 お手元の資料第2号、「都政改革ビジョン1 都庁改革アクションプラン-中間のまとめ」をごらんください。
 二枚めくっていただきますと、目次がございます。この中間のまとめは、二部構成になっております。第1部の都政改革の基本的考え方では、改革の視点と柱、これからの進め方を明らかにいたしました。また、第2部の「都政改革ビジョン1 都庁改革アクションプラン-中間のまとめ」では、都庁の行財政システムにどのような課題があるのかを洗い出し、その改革の方向性をお示ししました。
 それでは、まず、第1部からご説明させていただきます。
 三ページをお開きください。各項目とも、四角で囲んだ網かけの中に要約を書かせていただいております。これに沿ってご説明いたします。
 1の社会経済環境の変化と行政では、IT革命の到来や、重視される個人の主体性と個性の発揮など、都政をめぐる社会経済環境の変化について記述しております。
 六ページをお開きください。2の時代の流れに的確に対応する都政-行政改革の視点でございます。社会経済環境の変化に的確に対応する都政を実現するため、新たな行政改革に取り組んでいく上での視点を、スピードの重視、コスト意識の徹底、成果の重視として整理いたしました。
 続きまして、七ページをお開きください。3、行政改革のねらいと取り組むべき改革の柱では、これからの行政改革は、東京の将来像を見据えた都政のあるべき姿を示し、それにふさわしい質の高いサービスを効率的に都民に提供できる都政をつくり上げることをねらいとし、都政の守備範囲の見直し、執行体制の整備、仕事の進め方の見直しと職員の意識改革を改革の柱とすると述べております。
 一〇ページをお開きください。4、行政改革の進め方では、下の本文にありますように、直ちに取り組むべき全庁的改革については、年内に策定する「都政改革ビジョン1 都庁改革アクションプラン」で明らかにいたしまして、その後に、中長期的視点での東京の将来像を踏まえた改革について、自治制度改革も視野に入れた制度改革を提言いたします都政改革ビジョン2、自治体改革東京構想として明らかにすることを述べています。
 次に、一五ページをお開きください。ここからが、第2部「都政改革ビジョン1 都庁改革アクションプラン」の中間のまとめでございます。
 ここではまず、1では、スピードの重視、コスト意識の徹底、成果の重視の視点に立って、二十一世紀の都政を創造するにふさわしい強くしなやかな行政体質を構築していくという行政改革の目標を示すとともに、下段の2で、全庁にわたる行財政システムの改革に的を絞って取り組んでいくという、都庁改革アクションプランの基本的な方針をお示しいたしました。
 続きまして、一六ページをお開きください。3、当面取り組むべき課題以降が、改革すべき事項について、その現状と課題及び改革の基本的方向をお示しした部分でございます。
 まず(1)、行政サービスのあり方を見直し、都の役割を明確にするでは、民間委託やPFIなど、都と民間との役割分担の見直し、都と区市町村との役割分担の見直し、行政評価制度を中心とするPDCAサイクルの再構築について、二三ページまで記述しております。
 次に、二四ページをお開きください。ここからが、(2)、効率的な執行体制を整備するでございます。
 まず、1、組織の見直しでは、右の二五ページの要約にありますように、トップマネジメント補佐機能の強化や、保健、医療、福祉など生活に密着した分野の連携、協働体制の整備などについて述べております。
 次に、二六ページでございますが、2、監理団体の改革では、右ページにありますように、監理団体総点検のための基本指針に基づく各団体の経営改善計画の策定、団体の統廃合や常勤職員の削減等について述べています。
 また、二八ページでございますが、3、人事・給与制度の見直しでは、次の二九ページの下段の要約にありますように、職員一人一人を生かす人事制度の構築や、職員全体の生産性を向上させる方策について述べております。
 三一ページをお開きください。ここからが、(3)、IT化・コスト管理を軸として仕事の進め方を変え、行政サービスを向上させるでございます。
 まず、1、IT化の推進では、次のページにありますように、情報基盤の早急な整備、業務プロセスの改革として、内部事務の簡素化、許認可等の申請、届け出のインターネットでの受け付け、電子都庁推進計画の策定などについて述べています。
 次に、三四ページをお開きください。ここからが、2、コスト管理の徹底でございます。
 まず、ア、予算・財政制度の見直しでは、右ページにありますように、財政再建推進プランの達成に総力を挙げることや、財政運営等へのバランスシートの適切な活用について述べております。
 三六ページでございますが、イ、契約制度の見直しでは、入札時VEや契約後VEなど、コスト縮減に活用できる入札・契約方式の導入や、発注情報等のホームページへの掲載などについて述べております。
 次に、三八ページでございますが、ウ、会計制度の見直しでは、審査事務のあり方の検討やIT社会に対応した公金収納ネットの導入の検討について述べております。
 次に、四〇ページでございますが、エ、資産の利活用では、資産利活用総合計画の策定や既存施設の管理コストの縮減などについて触れ、次の四一ページのオ、建設コストの縮減では、計画段階、工事実施段階、入札、契約段階それぞれに応じた一層の建設コストの縮減について述べております。
 最後に、四四ページをお開きください。都政改革ビジョン1の策定に向けてでは、都民意見の反映と庁内の取り組み体制、これからのスケジュールについて述べています。
 今後、この中間のまとめに対するご意見、議論を踏まえまして、平成十五年度までの実施計画を盛り込み、年内に都政改革ビジョン1の最終のまとめをお示ししていきたいと考えております。
 以上、簡単ではございますが、「都政改革ビジョン1 都庁改革アクションプラン-中間のまとめ」の説明とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
 なお、報告事項に関しての補足資料は、資料3号のとおりでございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○矢部委員長 報告は終わりました。
 報告事項二件及び補足資料について一括して、これより質疑を行います。
 ご発言願います。

○大西委員 東京構想二〇〇〇の中間のまとめについて伺いたいと思いますけれども、この種の構想、ビジョンというものが、鈴木都政時代はマイタウン東京構想、それから青島都政時代は生活都市東京構想でしたか、出てきて、はかない命だったのは生活都市構想で、本当に煙が出たぐらいで終わってしまったわけでございますけれども、それを私どもも率直に感じて、やっぱり役人というか、行政というのはしたたかだなと思うんですよね。
 トップが選挙情勢によって舞いおりてくると、いかにもそのトップを補佐する、中心のようにいろんな構想を打ち出しながら、基本的に都政百年の大計の中で、妥協すべきでないものについてはしっかり守りながら、皆さんもそれぞれの立場でご努力なさっているというのは、これはある意味では頼もしいことだなと。
 我々政治の世界というのは、変幻自在、あすの政治状況というのが読めない、一寸先はやみだともいわれている時代でございますから、そういう意味でも、行政側がこういった構想を作成するについて、やっぱりそういった――もちろんトップの考え方、それは都民の審判を得て、都民の信託を得て、都民の期待を得て出てきているんですから、その意向を体するということは大事ですけれども、しかし一方では、都政永遠である、都政百年の大計を踏まえながら、これからもご努力をいただきたいということをお話をして、具体的な質問に移ってまいりたいと思います。
 そこで、東京構想二〇〇〇は石原都政の初めての基本構想であるわけで、その内容については、私たちも大変注目しているところでございます。今、社会経済状況というのは、本当に大変革の中にあります。これは、どの時代でも同じように変化はあったと思いますけれども、変化のスピードというのが、我々が想像できないようなスピードで進んでいっているわけで、ある意味では、IT革命だとか情報化時代の進展なんていうのは、驚いたことに、もうインターネット、パソコンそのものですら、日進月歩、目まぐるしく変わっているわけでございまして、そういった時代の中で、十五年といわず、五年、三年後でもなかなか、一体どうなるんだということを明確に示せるような方々というのは少ないのではないかと思います。
 こうした中で、構想は、五十年という長期構想、長期展望を踏まえて、おおよそ十五年後の東京のあるべき姿、将来ビジョンを示して、その実現に向けた取り組みを明らかにしているわけでございます。先行きが見通せない中で、この中長期的な視点に立って、十五年間の長期構想を策定するということは、大変な、先ほど申し上げましたように難しい作業だと思われます。
 そこでまず、この時期にあえて長期構想を策定する意義について伺いたいと思います。

○安樂政策報道室長 委員のご指摘にございましたが、現在の社会は、変化のスピードが非常に早くなっているということと、それに加えまして、この変化の方向性というものが、やはり非常にとらえにくくなってきていると思います。こうした中で、今回の東京構想、五十年先を展望しながら、今後の十五年の東京のあり方を描くという、大変大胆というべきか、そういうものを今回描いたわけでございます。
 今回、あえて長期構想の策定に取り組んだ理由でありますが、今日、私たちが置かれている現状を見るときに、戦後五十年、この繁栄を支えてきた日本型の社会システム、例えば終身雇用であるとか、年功序列とか、こういうものが現状に合わなくなってきたために、さまざまな問題が起こってきている、旧来の社会システムではもうやっていけないと、こういう状況があるんだという認識があります。
 二十一世紀を目前にした今、国にあっても、何か確固としたものが欠けてしまっている、そういう座標軸が見失われている中で、今こそ首都でもある東京が何らかの方向性を打ち出して、将来展望を描き、それから東京の再生ということに向かって長期戦略を打ち出していく、それから新たな時代に適合した社会システムを構築していくという、このことが現在必要であるというふうに考えたわけでございます。
 将来を予測することが難しい中で、今回、あえてこのような長期構想を策定したのは、一つには、今述べましたようなそういう現状をどう変革していくかという、東京都の変革の意思を明確に示したいということがございます。
 それから二つ目には、東京の理想像というものを示して、都民の期待あるいは夢といいますか、そういうものにやはりこたえていく、都民にも夢を持っていただきたい、こういうこともありました。
 それから三つ目には、将来の東京を担う都民の理想の姿、行政の姿というものはいろいろいわれるんですが、じゃあそういう東京の将来を担う都民の姿というものはどういうものなのかという、行政からの注文というものになるかもしれませんけれども、そういうものも描いてみたいと。これは新東京人というような形で今回描いたわけでございますが、このようなおおよそ三つの観点から、今回、あえて長期構想に取り組んだわけでございます。

○大西委員 バブル経済が崩壊した後に、不況がずっと続いているわけで、政府や一部では、景気が回復したのではないかというようないい方がなされているようですけれども、あるいは、さまざまな景気指数や何かも、成長率を初め上昇傾向に転じているといわれていますけれども、しかし、実感としては、大企業、一部の先端企業は別にして、ほとんどの中小零細企業は、景気が回復どころか、さらに落ち込んでいるのではないかという厳しい認識をしているわけですね。
 こういった中で、もう右肩上がりの坂の上の雲の時代は終わった、本当に厳しい経済状況が続いていくという認識が必要なんだと思います。あるいは、高齢化社会の進展によって、成熟社会の到来ということも明らかになっているわけで、六十五歳以上人口が一七%を超えてきているわけですね。ですから、そういう意味では、こうした時代背景を受けて、都政の緊急かつ最大の課題は、何といっても財政再建をなし遂げていくということではないかと思います。こうした状況にあって、この構想を絵にかいたもちとしないためには、一方で、財政再建や行政改革というのを徹底して進めていく必要があると思います。
 そこで、この構想と財政再建プラン、都政改革ビジョンとの関係はどうなっているのか、伺いたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 東京の活力を再生していくためには、都庁においても、時代の状況の変化に対応して、新たな政策展開を行い得る強固で弾力的な財政体質を確立していくことは不可欠であります。また、構想の取り組みを着実に実行していくためには、スピードの重視やコスト意識の徹底、成果の重視など、全庁的な行政改革を直ちに進めていくことが必要であると考えております。
 このような観点から、東京構想の具体化を図っていく上での前提といたしまして、財政再建推進プランや都政改革ビジョンに基づいて、財政構造改革や行政改革を着実に推進していくこと、そのことが東京構想の具体化にもつながっていくものと認識しております。

○大西委員 この中間のまとめでは、人口や経済からの切り口で長期展望を行っているわけですね。今後十五年間の課題を抽出するとともに、それを踏まえて、東京の目指すべき将来像を描いているわけです。
 その中で、人口については先ほどもちょっと触れましたけれども、二〇五〇年、日本人口は二割減の約一億人になり、三人に一人が六十五歳以上になると予測しているわけで、やがて人口減少社会が訪れると展望しているわけです。
 人口減少社会の問題としては、生産年齢人口の減少に伴って、労働力不足による経済的活力の低下などが指摘されますし、住宅の総量、あるいは鉄道だとかさまざまな公共施設のミニマムの問題や何かも、これは需要がどんどん減少していくわけでございまして、大きな変化が予測されるわけです。
 これまで経験したことのない急速な高齢化の進展と人口減少社会の到来という中で、東京の活力をどのように維持していくかということが、二十一世紀の主要な課題ではないかと思うわけですね。二〇五〇年になると、大体ここら辺にいる人はみんないないと思います、一部後ろの方に残っている人がいるかもしれませんけれども。しかし、その道筋を今、しっかりと我々の世代が全力でつくり上げていかなきゃならないと思うわけですけれども、中間のまとめでは、こういった問題についてどのように考えておられるのか、伺いたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 今回の中間のまとめにおきましては、人口の推移を展望しておりますけれども、構想の期間であります今後十五年間につきましては、二〇一〇年ごろをピークにいたしまして、人口がやや減少していくということは先ほど申し上げましたが、女性や高齢者の就業の促進を図っていくことによりまして、労働力人口の減少については何とか補っていくことが可能ではないかというふうに考えております。ただ、さらに長期的に考えますと、労働力人口の大幅な減少は避けがたいものと認識しております。
 この十五年間につきましても、いわば労働力人口の減少はある程度補い得るにいたしましても、労働者の男女構成ですとか、年齢構成の変化ですとか、さらには就業形態の多様化等が進んでまいると思います。加えて、先ほど申し上げましたように、長期的な労働力人口の大幅な減少ということが起こってまいりますので、それに対応していくためには、IT革命を初めとする技術革新等によりまして、生産性の一層の向上を図っていくことが必要であろうというふうに認識しております。
 また、高齢化が急速に進展していく中で、今後は、高齢者が有している豊富な経験や能力、さらには豊富な可処分時間を積極的に生かすことによって、個人の生きがいという点では当然でございますが、それに加えて、社会の活力の維持発展という観点からも、そうした高齢者の活躍ということが重要になってくるであろうというふうに認識しております。

○大西委員 東京は、今日まで集積のメリットというんでしょうか、生かしながら、東京圏三千三百万人がいるわけですけれども、この牽引車として、日本そのものをリードしてきたといってもいい過ぎではないわけですね。そうした中で、今、首都機能移転問題というのが、国会でもう余命幾ばくもないというか、そろそろ全国の国会議員たちも、自己の利益だけを追求するんじゃなくて、国家全体を考えていかなきゃいかぬ、そのためには東京の再生が大切だということが、だんだんわかり始めてきたのではないかと思うんですね。そういった意味でも、これからさらに東京から、東京の再生、東京の活性化のメッセージを送っていかなければいけないと思うわけでございます。
 そして、三千三百万のこの東京圏全体の活力を高めていくことが、東京のみならず日本の国際競争力を高めていくことであると思うわけでございます。そのためには、東京圏に必要な都市機能を適切に配置することで、東京圏全体で首都機能を担っていくことが必要だと思います。
 中間のまとめにおいて、東京圏レベルの骨格的都市構造として示している、環状メガロポリス構造の特色、ねらいについてお聞かせいただきたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 東京都の区域だけでなく、東京圏全体で首都機能を担い、東京圏全体の活力を高め、我が国の国際競争力を強化するために、環状メガロポリス構造を新たにお示ししたところでございます。
 東京圏に無秩序に広がっている市街地を再編整備し、東京圏に必要な都市機能を適切に配置するとともに、環状方向の都市と都市との結びつきを重視して、交通網の整備を進め、東京圏全体の発展を図ることが重要である、そうした認識のもとに、東京圏全体を対象とした望ましい都市構造として、環状メガロポリス構造をお示ししたものであります。
 その特色といたしましては、東京圏の中心にあるセンター・コア・エリアの集積のメリットを最大限に生かし、日本の政治、経済、文化をリードする中心核として位置づけたこと、より自立性の高い都市をつくっていくため、センター・コア・エリアとミッド・リングにおいて都心居住を進めていくこと、国際空港や港湾間の連携を生かし、国際広域交流の結節点として、臨空・臨海都市軸を位置づけたこと、環状方向の連携、交流を促進する軸として、業務核都市環状連携軸を位置づけたこと、加えまして、東京圏の骨格的なそうした都市構造を形づくっていくため、東京外郭環状道路など首都圏三環状道路の整備が重要であるとしていることなどでございます。

○大西委員 今、本当に経済のグローバル化が進んでいて、その一つの例というんでしょうか、インターネットで、世界じゅうのどこでも品物が買えて、そして、指定金融機関さえインターナショナル的な金融機関を指定していれば、決裁も自動的にできる。金も買えれば、ダイヤモンドも、それから株だってもちろんそうですし、全部買えるような、そういった時代になってきているわけですね。で、国境を超えた都市と都市との競争、これも激化してきているわけですね。
 東京が、この世界の経済のグローバル化や都市間競争に打ち勝っていくために、東京が持つ潜在能力を最大限に生かして、高度な都市機能を備えた、経済的な活力にあふれた都市にしていかなければ、二十一世紀、東京はアジアの田舎になってしまいかねないわけでございます。
 そこで、本当に世界都市として誇ることができるような施策をこれから進めていかなければいけないと思います。今回の中間のまとめでは、望ましい東京の姿を、千客万来の世界都市と表現しているわけですけれども、この言葉では、国内外との交流など、視線が外に向いているんですね。都民生活に関する、あるいは経済の活力を高めるという視点が弱いような印象を受けないでもないわけでございます。この点についてどのように考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 国際都市にふさわしい、活力と魅力に満ち、国の内外の人々を引きつけ、多くの人が交流する、いわば千客万来の世界都市となるためには、高度な都市機能を備え、活発な経済活動が行われているだけでは不十分であろうというふうに考えております。快適な居住環境や良好な治安、さらには災害への備えなどもあわせ持つ、生活の場としても魅力的な都市となることが不可欠であります。
 そのような視点も含めたものとして、今回は、東京の望ましい姿を、千客万来の世界都市と表現したものでございます。

○大西委員 この中間のまとめは、検討段階ですから、性格上、具体性に乏しく、総論の域を出ないということは、やむを得ない面も理解できます。しかし、構想は、ことしじゅうをめどに策定していくと聞いているわけで、時間も余りないわけですね。そして、そういった中で、今後、年内の発表に向けて、実施計画である推進計画や政策指標の目標値も示していくということでありますが、都民を失望させないように最善を尽くしていただきたいと思いますし、変革の意欲満々の石原慎太郎都知事が出した東京構想二〇〇〇が、また相も変わらず、お役人さんの夢物語のつづり方教室であったということのないように、ひとつぜひこれからもご努力をお願いいたしたいと思います。
 次に、都政改革ビジョン1中間のまとめについて伺いたいと思います。
 従来、行政改革というと、すぐ組織改革に走ってしまい、単に局の数を幾つにする、幾つ減らした、そういうことに目が奪われがちでございます。国がやった行政改革なんていうのは、まさしくそれの典型的な例で、あれだけ省庁再編をしながらも、公務員の数はほとんど減らないといってもいい過ぎではない。思い切った削減もなければ、哲学もないような面もあるのではないかと、私たち考えています。
 しかし、都民からすれば、都庁内の組織がどのようになったかということは、そんな関心はないんですよね。やはり、そうした組織改革によって、自分たちが安心して暮らせるまちであるとか、あるいは将来に対して希望が持てるとか、あるいは行政サービスが目に見えて、このように都庁内でよくなった、そういう具体的な改革を都民は望んでいるのではないかと思います。
 我が党はかねてから、行政改革とは、都政のあるべき姿、都政の果たすべき役割といった、二十一世紀のグランドデザインがまず描けなければだめだ、そのためには、拙速に陥らず、東京の将来像をしっかりと描いて、その後に行政改革大綱というものをつくってもらいたいと、再三にわたり、この行特委でも主張してきたところです。
 そこで、まず、今回の都政改革ビジョン1の中間のまとめは、こうした我が党の主張をどのように受けとめているのかについて伺いたいと思います。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 今回の中間のまとめでは、行政改革のねらいといたしまして、東京の将来像を見据えた都政のあるべき姿を示し、それにふさわしい質の高いサービスを効率的に提供できる都政をつくり上げるということだと考えております。
 年内を目途に策定する都政改革ビジョン1では、こうした改革を行うためにも欠かせない、当面取り組むべき行財政システムの改革の内容を示すものでございます。
 そして、中長期的視点での東京の将来像を踏まえた改革については、東京をめぐる自治制度そのものの抜本的な改革も視野に入れた「都政改革ビジョン2 自治体改革東京構想」として明らかにしていきたいというふうに考えております。

○大西委員 東京の将来像といっても、今日、東京都だけで解決できる問題ではないですね。環境や災害対策、空港、物流など、東京圏の自治体が連携して取り組んでいかなければならない課題が山積しているわけです。
 したがって、東京の将来像を踏まえた改革はビジョン2でという答弁が今ありましたが、こういう広域的な問題も視野に入れて取り組んでいくべきだと考えます。そのビジョン2は、いつから、どのように取り組んでいこうとしているのか、また、その内容についてどのように考えているのか、伺いたいと思います。

○荒川総務局参事 都政改革ビジョン2についてでございますけれども、年内にビジョン1を作成した後に直ちに準備に入りまして、庁内の体制を整えまして、十三年度から具体的な検討を開始していきたいというふうに思っております。
 また、都議会を初め、各界各層とも十分議論を重ねてまいりたいと考えております。
 その内容といたしましては、現時点での考えですが、大都市行政のあり方や、ただいまお話のあった東京圏の広域連携、その他国との関係や税財政制度のあり方などにつきまして、中長期の東京の将来像を踏まえて検討してまいりたいというふうに考えております。

○大西委員 ビジョン2の策定に当たっては、ぜひとも我々も議論に参加したいと思っています。今の答弁にもありますように、都議会、区市町村あるいは都庁内の各局だけでなく、都民初め各界各層の理解を得て進めていかなければならないと思います。単なる知事のトップダウンだとか、知事周辺の思いつきだけで検討し、策定できるものではないということを指摘しておきます。
 次に、都政改革ビジョン1の中間のまとめによると、機動的、戦略的な行政運営を行うことのできる執行体制の整備を目指し、トップマネジメント補佐機能を強化するとあります。緊急に対応すべき重要課題が山積する状況においては、都政の重要施策について基本的な方向を迅速に決定し、具体的な各局事業につなげていくための機能を強化していくことは大変重要なことだと思います。しかし、このことについては、私なりに少々危惧している点もありますので、何点か質問をしたいと思います。
 組織については、これまでさまざまな見直しが行われてきましたが、そのうちトップマネジメントにかかわるものについても、いろいろ変遷があったと聞いています。この中で、実現には至らなかったものの、大きな議論を呼んだものとして、ちょうど私なんかも区議会にいた時代でございましたけれども、美濃部都政下における経営局構想があります。私は、トップマネジメントについて考える際には、この辺も、この構想について振り返る必要があるのではないかと思っています。
 経営局構想の内容はどのようなものであったのか、また、都議会との関係では、どういう議論があり、その結果どのような取り扱いになったのかについて、お聞かせいただきたいと思います。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 いわゆる経営局構想は、昭和四十三年二月に設置されました東京都行財政臨時調査会からの助言に基づきまして、同年第三回都議会定例会に提案された組織改正案でございます。
 その内容といたしましては、都庁の中枢的管理機構と位置づけられた経営局に、重要施策の立案、長期計画の策定、予算、定数、組織に関する諸機能を集中させるというものでございました。
 これに対して、都議会においては、非常に中央集権的で、かつ権限が強大過ぎる、事業局の自主性が確保できないという議論がなされまして、この結果、第三回都議会定例会では継続審議となり、次の第四回都議会定例会において、審議未了のため廃案となったものでございます。

○大西委員 今の答弁にもありますように、経営局構想については、非常に中央集権的で、かつ権限が強大過ぎるというような批判があったということですね。
 トップマネジメント機能というと、通常、秘書機能や政策立案・調整機能と並んで、組織、人事、予算といった機能も含まれると思います。こうした機能は、都庁の中では、それぞれの都政の方向を決める重要な権限といってよいと思います。
 今回の見直しは、トップマネジメント補佐機能の強化ということですから、経営局構想と同じように、これらの機能を一つの局に集中する方向で検討されているとしたら、大変危険なことではないかと思いますが、どのような方向で現時点で検討されているのか、伺いたいと思います。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 政策立案・調整、それから組織、人事、予算などのトップマネジメント補佐機能につきましては、現在、政策報道室、総務局、財務局で分担しておりまして、お互いにチェックするとともに、連携協力し合う体制となっております。
 二十一世紀は、これまで以上に変化の厳しい時代になるというふうに考えられます。こうした中で、都政のかじ取りを誤りなく進めていくためには、今後とも、こうした機能がお互いにチェックし、連携協力し合っていくことが重要だと考えております。
 したがいまして、政策立案・調整、組織、人事、予算などの諸機能について一つの局に集中させるという、かつての経営局構想のようなことは、なかなか難しいのではないかというふうに考えております。

○大西委員 ただいまの答弁は、非常に重要なことで、トップマネジメント補佐機能を強化していくといっても、経営局構想のように、一つの局に権限を集中させるということではないということを確認させていただきたいと思います。
 さて、この一年間の都政を振り返ってみると、外形標準課税の導入やディーゼル車の排ガス規制など、知事から新たな施策が次々提案され、知事のモットーであるスピードを重視した行政運営を行っていくためには、いわゆるトップマネジメント補佐機能を充実させ、しっかりと機能させることが重要だと思います。
 例えば、現在、政策報道室には、政策調整部、計画部、調査部がありますが、今回の見直しでは、これらの部についてはどのように考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 山積する行政課題に的確に対応し、東京を取り巻く危機を突破するためには、行政課題に対して機動的に対応できる体制が必要だというふうに考えております。
 政策報道室の政策調整部、計画部、調査部の各組織は、相互に連絡をとって、その時々の課題に対応することによりまして、トップマネジメントを補佐するということが求められております。このため、今後は、より機動的、弾力的な組織とすることによりまして、政策立案・調整、計画策定、調査の各機能が一体となって、それぞれの課題に応じて弾力的に対応できるような体制を検討していきたいというふうに考えております。

○大西委員 確かに、知事の姿勢に合わせてトップマネジメント補佐機能を見直すことは重要なことだとは思います。しかし、ますます複雑化する社会状況の中で誤りなく都政を運営していくためには、一つの局に権限を集中させるべきではないと私は考えています。
 民主主義の制度というのは非効率であるとよく指摘されますけれども、しかし、一つの方向性を見出す意味では、歴史的な教訓を踏まえて、よりベターな制度であるともいわれているわけで、独裁制と対峙されているわけでございます。別に、トップマネジメントを強化するのが、石原独裁体制を強化するなんて、そんなことを私はいいたいわけではありませんけれども、しかし、こうした民主主義の長い歴史の教訓から、適切に機能分散を図って、チェック・アンド・バランスを機能させていくことが大事なことだと思います。
 先ほど、行政改革推進室長からは、一つの局に集中させることは考えていないと答弁をいただきましたが、この点も含め、トップマネジメント補佐機能のあり方について、再度、大関会長の生きのいいご答弁をお願いしたいと思います。

○大関総務局長 東京を取り巻く動きの速い課題あるいは危機に的確に対応していくためには、都政の基本的な方向を決定いたしまして、具体的な各局事業に速やかに導いていく体制、これが必要だと思っております。そういう意味で、トップマネジメントの補佐機能の強化ということを図る必要があるだろうと考えます。
 一方で、お話のように、政策立案・調整あるいは組織、人事、予算といった諸機能、これはある意味では、お互いの緊張関係の中で牽制し合い、あるときには必要な協力をしていくということが大変重要なことであろうと考えております。
 今後、都政改革ビジョン1を取りまとめることになりますけれども、トップマネジメント補佐機能を構成する諸機能につきましては、先生お話しのように、チェック・アンド・バランスを図りまして、都庁全体の組織として有効に機能することで、適切にトップを支えられるような体制にしていきたい、このように考えております。

○大西委員 質問は以上で終わりたいと思いますけれども、冒頭に触れましたように、こうした行政改革に関する計画書、鈴木都政時代には二回、青島都政時代にも二回策定されていますね。そして、最近は、あたかも知事がかわるたびごとに大綱だ、プランだ、ビジョンだ、何だかんだと、いろいろと頻繁に改革案が出てきているんですね。我々議会側だって、それを全部熟知していませんよ。ましてや都民が、そういうことを知っている人なんていうのは、恐らく都政のプロでない限りあり得ない。ここにいるマスコミの皆さんだって、大体二年に一度ぐらいで、サイクルでいなくなっちゃうんだから、マスコミの人たちだってそれを熟知している人たちがいない。
 そういった中で、知事がだれになろうと、都政の実態というか、都民サービスのあり方という本質的なものは、あるいは都民が都政に何を期待しているかという本質的なものは変わっていないはずですね。そして、うちなんか、大事にずっと偉そうにこれ本棚にしまってあるんですけれども、いやすごいですねと、だあっと重々しく、こういった小雑誌が我が本棚を飾っていますよ。しかし、これは膨大なエネルギーを要していますよ、膨大な費用を要していますよ。
 そして、こうしたものをつくっていくために――大体この辺の人たちがやるんでしょう。そうすると、ある意味では、我がオール都庁の中でも最もすぐれた方々がここに結集していて、その人たちの知恵が、まさにその策定作業に奪われてしまう。今生きている、今助けを求めている、今施策の推進を求めているそうしたことがおろそかになったら、これは都民サービスの低下につながっていくのではないかと思うわけですね。
 ですから、もちろんこういったビジョンを、都政百年の大計的なビジョンをここでつくっていくことは大切なことですけれども、それはやはり実行が伴って初めて都民の期待にこたえられるのではないかと思います。
 今後とも、鋭意ご努力を心から期待をしまして、私の質問を終わります。

○渡辺委員 それでは、質問をさせていただきます。
 この基本構想をつくる上で大事なことは、都民の生活実態がどうなっているのか、こういう問題を、この構想の中にいかに反映させるかということが、私は欠かせない問題だというふうに思うんです。ところが、今度発表された構想を見ますと、未曾有の不況ということで苦しんでいる都民、あるいはまた年金や医療、そういうもので本当に苦しんでおられる都民、そういう都民の生活実態というものが本当に反映されていないという点では、欠落しているという問題を指摘せざるを得ないということであります。
 そこで、私は、介護保険の問題が大きな問題になっておりますから、これだけ一つ例にとって申し上げますけれども、例えば、多くのお年寄りが介護サービスを使いたくても利用料が高くて辞退する、こういうケースが非常にふえているわけですね。何のための介護か、あるいは長生きしてばかみたいだ、こういうことがいわれるような深刻な状況が生まれているということにもかかわらず、これらの現状というものが構想の中に一言も反映されてないという問題が、私は重大だというふうに思うんです。
 今後どうするのかという点におきましても、その解決方向や支援策、こういうものも全く示されていない。もちろん都民の生活実態が反映されていないんですから、そういうものの解決方向が示されないのは当たり前だと私は思うわけであります。
 お聞きしますけれども、この構想をつくるに当たって、介護保険などの実態を調査したのか、把握したのかということでお尋ねしたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 このたびの東京構想策定に当たりましては、構想策定のための特別の調査ということは特に実施してございません。
 基本的には、各行政分野における実態把握というのは所管の局において十分なされているものと認識しておりますので、十分に所管の局と協議をする中で、この中間のまとめを策定してきたものでございます。

○渡辺委員 高齢推進室が六月ごろ、十二の区市町村を対象に行った調査ですけれども、介護サービスは、介護保険限度額の四九・五%しか利用していない。また、私の足立ですが、足立の介護保険事業所の八月の調査ですけれども、やはり四九・七%しか利用していない。この足立区の状況ですけれども、在宅介護の利用が、介護保険導入前よりも一四・四%も下がってしまっているということが結果として出ているわけですね。
 東京における年金受給者の平均月収というのも、四万九千円というふうにいわれております。多くの高齢者が国民年金で約三万五千円前後、こういう状況だと思います。これらの人は、ことしの三月までは福祉サービスがほとんど無料で受けられていたんですけれども、介護保険が始まると同時に、これらの人が――介護度が三とか四とか五とかということで、みずからそういう高い介護度を望んでいた、だれもが安心して介護サービスが受けられる、こういうふうに思っていたことですから、そういう希望をするというか、望んでいたのは当然のことだと思うんです。
 ところが、ふたをあけて見ると、保険料ということで一割の自己負担ということになってしまって、重い負担になってしまった、こういうことですね。そのために、サービスを受けたくても、支払い能力がなくて辞退する人が続出しているというのが今日の実態ですね。
 私、一つだけ例を申し上げたいと思います。八十八歳の要介護度二で単身の女性です。収入が、国民年金、月三万八千円、そして、そのほかに収入というと老人福祉手当、これが一万三千七百五十円削減されましたから、今度八月から四万一千二百五十円もらえる、これを合計いたしますと七万九千二百五十円なんですね。支出の方はどうかというと、訪問介護月四回、四千九百十円、家事援助月八回、七千三百二十円、そして月四回の往診、二千五百二十円、それから施設入浴ということで月四回、四千五百四十六円、そしてそのほかに公団の家賃ということで三万三千円、差し引きますと二万六千九百五十四円、これでは生活はできない。
 こういうことから、この人も、八月から訪問介護を辞退するということにしたわけですね。それでも月三万円という状況ですから、本当に老人福祉手当が全面廃止ということになったらどうなんだろうか、もう生きてはいけないと、こういうような事態に立たされているんです。これは全国でも、都の平均でも、六十五歳以上の高齢者ということになりますと、その約七割が住民税非課税ということになっています。ですから、当面の利用料を三%に引き下げることだとか、保険料そのものを免除するとか、こういうものが急がれているんだというふうに思います。
 少なくとも構想の取りまとめに当たっては、このような実態調査を行って、改善のための手だて、こういうものを講ずるということが必要ではないかと思うんですけれども、その辺はどうでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 今回、中間のまとめを公表いたした結果、また、各方面から種々ご意見、ご提言等をいただいた上で、先ほどの繰り返しになりますけれども、各行政分野における実態を十分把握している所管の局と十分協議する中で、具体的な取り組み内容等を固めてまいりたいというふうに考えております。

○渡辺委員 強く要求しておきます。
 それから、多摩の市長会から、介護保険の改善と支援に関する要望書が東京都知事あてに出されているわけです。要望の中で、都においても市町村を支援するという観点から見ると、必ずしも十分な対応がなされているとはいいがたい面もある、こういうふうにいいながら、都自身の責任と負担を明確にした上で、今まで以上の積極的な支援策を講じられたい、また、低所得者に対して、都独自の保険料減免措置を講じることを要望するとしているわけですが、多摩市長会のこういう切実な要望に積極的にこたえるべきだと思いますけれども、この点どうでしょうか。

○松澤総務局行政部長 ご指摘のとおり、市長会の方からは、十三年度の多摩地域に対する都政の取り組みに関する要望の中で、介護保険制度について、制度の改善などの要望が出されているところでございます。
 これらにつきましては、直接的には高齢者施策推進室の方で要望を受けておりますが、低所得者対策に要する経費負担の財政措置につきましては、全国レベルでの問題もございまして、国に対しまして要望しているところでございます。

○渡辺委員 都民の福祉、介護サービスの拡充を切実に求める声にこたえるというのが、東京都の責務だと思います。民間の市場原理にゆだねて、東京都が福祉行政から手を引くことは絶対に許されないというふうに私は思っておるところでございます。
 そこで、行革問題の内容についてちょっと伺いますが、これは構想の中に出ておるわけですが、一四二ページのところに出ている図です、見えにくいということもあるかもしれませんが、これは、一つは、都民の自立、自助ということを基本にしながら、民間がとにかくサービスを提供するということですね。そして、ボランティアも、きめ細かな心のケア、こういうものを含めて支援する、提供するということ。そして、東京都は何をやるかということで、ここには、こちらの方に地方自治体ということで小さく書かれておりますけれども、実際に東京都が民間に全体をやらせる、ボランティアについても積極的に協力をしてもらう、そして市場原理にすべて任せて、民間やあるいはボランティア、こういうところでもできない、そういうものに限定して行政が受け持つ、こういうような方向を打ち出しておるわけですね。
 それで、いずれにしても、地方自治体の役割としては、今申し上げたように、小さく、小さな行政があるだけと。サービスは、自立、自助を基本としながら、まず企業が中心となって利用者志向のサービスを提供させる。その上に今度は、行政内部でも役割分担というものをして、区市町村のそれぞれの任務分担を明確にして、これを東京都が、その仕事というのは区市町村に押しつける、東京都はあくまでもコーディネートに限って、仕事を少なくするということですね。
 例えば、いろいろコーディネートをやっていく。いわゆるサービスの仕組み、こういうものをつくるということだとか、先ほどもちょっといいましたけれども、民間やボランティアができないような、そういうものに限って行政がこれに関与するというようなことですね。こういう方向では、これまで都が実施してきた都民サービス、こういうものは民間かボランティアにゆだねられて、残る仕事も区市町村に押しつけられていくということは明らかだというふうに私は思います。
 また一方で、東京圏全体の広域的課題に対応するためだといって、広域的な自治体制度などもハード中心の都政に変えていくということにしようとしている内容であります。
 介護保険の実態に見られるように、行政が手を抜けば、福祉は大変な事態になるということだけははっきりしていると思います。まさに私は、今度打ち出した行政改革という、こういう中身というのは、その行革そのものも、逆立ちした行革だというふうにいわざるを得ないと思います。
 また、今回の行政改革の柱の一つとされている、都政の守備範囲の見直しということが強調されているわけですけれども、このことについても一言申し上げておきたいと思います。
 まず、この守備範囲の見直しですけれども、一つは、都が果たすべき役割を重点化する、そして、区市町村や民間企業あるいはNPO、こういうところでの役割分担を明確にする。二つ目は、仕組みを構築するということで、東京都はあくまでも総合調整機能ということに絞るということですね。それから三つ目が、広域自治体としての都の守備範囲を常に見直し、そして四つ目は、外部の経営資源を最大限かつ柔軟に活用していく、こういうものを打ち出しているわけであります。
 いいかえれば、特別区との間の大都市行政を除いて、都民サービスは基礎自治体にすべて押しつける、都は仕組みづくりと総合調整機能に特化する、都が直接やらなければならない仕事であっても極力民間活力に依存する、こういうことだというふうに思います。
 これでは、一体東京都は何をやるのかということになるわけですけれども、そういう点では、改革ビジョンで際立っているのが民間との役割分担の積極的な見直し、これはこれから論議するにしても、それをやる前に、やるべき仕事というものがあるのではないかというふうに私は思っております。
 そこで、質問いたしますが、第三セクターの経営状況、財政の状況の資料がありますけれども、もう少し詳しく説明をいただきたいと思います。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 資料要求がありました中で、第三セクターの経営状況、平成十一年度決算というのが載っているかと思うのですが、それに基づきまして簡単に説明させていただきます。
 平成十一年度決算で、株式会社形態の監理団体など二十四団体のうち、当期利益を出している団体は十四団体、それから当期損失を出している団体は十団体で、合計約百四十六億円の損失となっております。また、当期未処分利益を出している団体は十団体、累積損失を抱えている団体は十四団体、その合計は一千二百八十八億円の損失となっております。このうち、債務超過にある団体は五団体で、債務超過額の合計額は三百十七億円となっております。一方、配当を実施している団体は六団体でありまして、配当額の合計は四億円でございます。

○渡辺委員 九九年度決算で二十四社、黒字の会社の分も差し引きして、全体で損失が百四十六億円ふえて、累積損失は千二百八十八億円。ところが、赤字を出した企業だけを見ると、十社で合計二百一億円の赤字と。累積赤字企業は十四社で、千四百三十五億円、臨海関連の三セクでは十社あって、国際貿易センター一社を除いて、残りすべてが累積赤字を抱える。その合計は千二百五十二億円になっている。その国際貿易センターも、当期には赤字です。
 そこで伺いますが、臨海三セクで唯一まだ累積損失が生じていない、臨海副都心にビルを建てた国際貿易センターの九七年度決算での長期借入金、これは幾らで、九八年、九九年決算での金額は幾らなのか、示していただきたい。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 国際貿易センターの平成九年度決算での長期借入金は幾らかということでございますが、長期借入金は、平成九年度においてはゼロでございます。十年度決算では、長期借入金は六十億円、十一年度決算では百五十八億八千万円となっております。

○渡辺委員 国際貿易センターというのは、晴海の国際展示場の土地を売却して、留保資金が潤沢にあるところですね。なぜ、そんな巨額な資金を借り入れなければならなかったのか、これは疑問なんですよ。赤字のタイム二十四、東京ファッションタウンとの合併のために、吸収する側の国際貿易センターが借り入れたもの、しかもまた、資金運用の失敗で莫大な損失を出しているとも聞いているのですけれども、この事実はどうなんでしょうか、ちょっとお答えいただけませんか。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 私どもも正式に局の方から報告を受けているわけではありませんが、そのようなこととすれば、事実関係がどうかということについては確認する必要があるというふうに考えております。

○渡辺委員 国際貿易センターが経営するところの有明パークビルのオフィス棟の入居状況がどうなっているか、ちょっと聞かせてください。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 労働経済局の報告によりますと、株式会社国際貿易センターが所有する有明パークビル、臨海副都心にあるわけですが、その有明パークビルのオフィスゾーンの入居率は、平成十二年九月一日現在、六%と聞いております。

○渡辺委員 国際貿易センターが売却した晴海の土地は、もともと都有地を無償提供したものであります。なぜメスを入れないのか。先ほどもちょっと、全貌がよくわからないという問題がありましたけれども、私はここで、この国際貿易センターの状況の全貌のわかるきちんとした資料を当委員会に提出していただきたい、こういうことを委員長にお願いをさせていただきたいと思います。
 で、こうした問題にメスを入れずして、行政改革といえるのかという問題なんです。一番肝心の足元の問題を棚上げして、そのツケを皆、都民施策の切り捨てに押しつけるという、こういうやり方は許されるはずがありません。改革ビジョンは、第三セクターの改革についての記述はどこにもない。PFIのところで、第三セクターなど、これまでの民間活力の活用において検討が求められている課題も踏まえながら、基本的な取り組み方針を明らかにしていくと、これだけなんです。極めて乏しい。
 そこで、三セク問題をどうするのか、先延ばしするのではなく、メスを入れるべきだというふうに思うのですけれども、どうでしょうか。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 監理団体の改革につきましては、既に十一年七月から監理団体総点検ということで着手しておりまして、十二年の二月には監理団体総点検のための基本指針というものを定めまして、各団体が実効性のある経営改善計画を策定するとともに、都においても、企業経営者の意見を取り入れながら、個別団体の点検を実施しているところでございます。この秋までには、これらの監理団体総点検の結果について取りまとめる予定でございますので、監理団体について何も触れてないということではございません。よろしくお願いいたします。

○渡辺委員 経常経費がふえ続けているなどといって、福祉や医療などの都民サービスには容赦なく切り込みを入れるけれども、都財政を破綻に追い込む臨海開発や第三セクターなどは野放しだと、こういうことでは都民は納得しないのです。これで行政改革だという資格は全くないということで、今申し上げたように、これは厳しく要求しておきたいと思います。
 次に、構想に入りますが、構想はだれが見ても、オフィス建設や幹線道路などの大型事業に大きなウエートがかけられているということは明らかです。その中心は、例えば四四ページになりますけれども、東京圏の骨格的な都市構造(「環状メガロポリス構造」)と書かれているわけです。これもパネルを持ってまいりました。
 これも簡単にしておきますけれども、まず、東京全体ですけれども、その中で中央環状線ですね、この中心をセンター・コア・エリアということにしまして、それと隣接するところをミッド・リング、こういうことで、おおよそ外環に挟まれたところですね。
 そのほかに、第三番目として、臨空・臨海都市を軸にするということで、この黒くなっているところですけれども、これは、ここにも書いてありますけれども、通勤者が多い、居住する後背地として役割を果たす、また同時に、ここは横須賀から木更津に至る東京湾ですね、この地域、成田空港との連携強化を図る上で好位置だということで指定されている。それから、八王子を初めとした業務核都市があるわけですが、これをその周りに連檐させる。
 こういうような、東京圏といっても非常に大きい、しかも、その東京圏の中でセンター・コアを大きくして、再開発を中心とした都市づくりをやろうというのが中身ですね。
 このメガロポリス構造ですけれども、千葉や神奈川も含めて、首都圏レベルでの都市づくりを東京が旗を振って進めようというものなんです。しかし、福祉や暮らし、中小業者の営業など、都民生活への記述というのは冷淡きわまりない。いわゆる社会基盤の整備というハードの課題ですね、これを突き出しているというのが特徴です。
 ちなみに、骨格的な都市構造もしくは環状メガロポリス等の記述が幾らあるかということで数えてみました。この熱の入れ方は大変だというふうに私、思いました。例えば、都市構造もしくは環状メガロポリス、こういう言葉を使ってやるところは十六カ所、環状メガロポリスを支えるという点での三環状、これについては三十カ所、本当によくもまあ出して書いてあるわという感じがいたしました。それだけに、これは力を入れているという証拠だというふうに、私は逆に思いました。
 公共事業の問題ですけれども、あの総選挙で、公共事業の見直しというのが大きな争点になったわけですけれども、選挙後には国レベルでの、いわゆる二百三十三件の公共事業の見直し、これが打ち出されたというのは皆さんご承知のとおりです。この見直し自体は、見直しの規模とか、他の事業での救済、こういう点ではマスコミも指摘しているように、抜本的な見直しにはほど遠いというふうな評価でありますけれども、しかし、それでも世論に押されて、見直しに踏み出したことは重要だと思うのです。吉野川の可動堰、あるいは愛知万博会場の見直し、従来型の景気対策としての公共事業の見直しは時代の流れとなっているのですね。ところが、今回発表された構想は、公共事業の見直しということは一言も入っていません。
 そこで、お尋ねしたいのですけれども、東京構想が示す環状メガロポリス構造や、それを支える三環状などは、公共事業見直しの流れに、あからさまに逆行するのではないかというふうに思うのですけれども、この点ではどうでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 環状メガロポリス構造や、それを支える首都圏三環状道路などは、東京圏の経済の高コスト構造を是正し、東京圏全体の活力を高め、我が国の国際競争力を強化するために、その整備が不可欠であります。
 例えば、東京外郭環状道路、いわゆる外環道でございますけれども、完成いたしますと、環状七号線や環状八号線の道路混雑が緩和され、大気汚染が改善され、または住宅地への通過交通が排除されることにより、生活環境が向上することが見込まれております。このように、環状メガロポリス構造が実現すると、人、物、情報の流れが円滑になり、東京圏における経済活動が効率化し、ひいては日本の活力を高めることができると考えております。
 近年の公共事業の見直しの中で、中止対象等と考えられているものは、経済社会の変化や時代のニーズに適応しなくなった事業でございます。環状メガロポリス構造や首都圏三環状道路はそれとは全く異なり、計画的かつ着実にその整備の推進を図っていかなければならないと考えております。
 なお、ご指摘のありました記述が多いということにつきましては、結局、この環状メガロポリス構造というのは、経済の活性化云々ということだけではなくて、ミッド・リング等の位置づけも含めて、都心居住ですとか、都民の住み方をより改善していくとか、または外環道路ができることによって、現在、環状七号線や環状八号線にかかっている環境的な負荷を低減していくとか、そういう点で、経済の活力を維持すると同時に、環境面等広範な影響があるということで記述が多くなっていると考えております。

○渡辺委員 今のことについては、後でまた質問させてもらいますけれども、いずれにしても、今話が出た内容というのは、今度の構想そのものの中身を答弁されたことですよ。私、ハード面ということでいいましたけれども、この構想をそのままやるということになったら、ハード面だけが突っ走るようなもので、本当にこのままでいったら、都財政そのものは立ち行かなくなるということだけははっきりしている。そう思いませんか。
 そこで、ほかに入りますが、「首都圏計画地図」、あるいは「東京計画地図」、「都心活性化地図」という本が出されているのですね。この本を見ますと、中身は、とにかく今度発表された構想二〇〇〇ですね、この目指す都市像と、それからここに書いてあるのですけれども、ビジネス発想の大ヒントということで、ビジネスチャンスという言葉がありますけれども、こういう本の計画像と、ほぼ重なり合うということなんですね。
 一つ紹介しますと、「首都圏計画地図」、これは青山副知事、それから前の前の佐藤東京都技監の共著ですね。それからもう一つ、「都心活性化地図 ビジネス発想の大ヒント」ということで、これも青山副知事と前技監の成戸さん、それから、これは「東京計画地図」ということで、東京計画研究会というところが出している、そういう内容なんです。これが今、構想とそのものと本当に重なり合っている内容のものだということで、ちょっとご紹介しておきたいと思います。
 それで、お尋ねしたいのですが、現職の副知事と技監がかかわり、公共事業を含めてビジネスチャンス、「首都圏計画地図」、「東京計画地図」、「都心活性化地図」、こういうものは東京都の計画、考え方をまとめたものと理解してもよろしいのかというお尋ねです。

○関谷政策報道室計画部長 ただいまご指摘のあった図書は都の刊行物ではございませんので、東京都の計画、考え方をまとめたものではございません。

○渡辺委員 もう一つ聞きます。最初の「東京計画地図」の前書きには、「本書は、東京都が公式に発表している計画内容に、公式見解とまでは固まっていないものの、東京の政治家や行政官が各種研究会で意見交換をしている中で浮上しつつある将来見通しを加え、これを分析したもの」というふうに書かれているのですね。
 それで、東京の政治家や行政官が意見交換を行った各種研究会というのは、一体どういうものなのか、おわかりだったら教えていただきたいと考えます。

○関谷政策報道室計画部長 お尋ねの研究会については、承知しておりません。

○渡辺委員 いずれにいたしましても、それはそれでまた後で調査するということにいたしますけれども、これらの書籍の売り出し文句ですね、それはどういうことかというと、東京の十年計画、具体的には二〇〇五年以降の東京を浮き彫りにし、どこにどういうビジネスをしかけやすいかを先取りしたビジネスの大ヒントだと、こういうふうな売り出し文句ですね。それからもう一つ、計画中の拠点・道路・鉄道開発プロジェクトを首都圏発展の環状軸マップに重ね合わせると、新たなビジネスチャンスが浮かび上がる、こういうふれ込み。
 この「都心活性化地図」、これがこれに挙げられた拠点開発計画ですね。これは、拠点開発計画や道路計画が数えてみると百カ所以上出ている。その多くが、東京都が直接もしくは間接に関与しているものなんです、その百カ所以上というのは。
 しかも、この帯ですね、この本の帯を見てみればわかりますけれども、これから五年の東京がはっきり見えてくる、そして、本書掲載の超高層、超大型プロジェクトは、三年で六割、五年で九割が完成すると。(「帯は本屋がつくるんだ、そんなのしようがないよ」と呼ぶ者あり)本屋じゃないよ。先ほどいったように、これは青山副知事とか技監が直接書いているんですよ。そういうものからいっても、やはり構想が目指す目標だということははっきりいえると思う。
 構想の中身ですよ、構想の中身から……(「民間の本の帯で東京都の方向は決まらないの」と呼ぶ者あり)黙って聞きなさいよ、大企業の要望からみんなそれぞれ取り込んでここに出されている。そして将来展望を明らかにしている。こういう点では、こういう肩書を書いて、そして発行するということになって、こういうものが構想みたいな形で取り込まれるということになったら、これからの東京はめちゃくちゃにされるんじゃないですか、個人のあれでもって。そういう点で私は重視したい、こういうことで取り上げたわけです。
 それで、公共事業の見直しの問題ですけれども、八月二十九日の朝日新聞の社説、これには、国レベルでの公共事業の見直し作業について、抜本的見直しにはほど遠いとした上で、「国費を乱発しておこなう公共事業で、地方の雇用や所得を確保する、という景気対策が行き詰まってきた現実を直視し、やり方も総額も大きく変える。」「環境への悪影響を軽視して開発を急いできた過去を反省することも必要である。」ということを書いてある。
 朝日新聞の世論調査によれば、回答者の八割が公共事業にはむだが多いと感じている、そして六割が削減を望んでいる。国民の多くは、こういうふうに公共事業についての真摯な見直しを求めているんだということを、ここでは示しているんではないかと思うのです。改めて、そういう点では公共事業の見直しについて強く要求しておきたいと思います。
 次に、構想の進もうとしている道ですね、公共事業見直しの時代の流れにも逆行して、これまで以上の規模とテンポで都市開発を行政の誘導のもとに進めていくというものでありますけれども、都はこれからの事業を進めるに当たって、一体どれだけのお金がかかるのかを明らかにしようとしない。今進められている開発や道路建設を見ても、莫大な数字になることは明らかなんです。
 そこでお尋ねしますけれども、臨海副都心開発事業会計の現状はどうなっているんですか。

○成田財務局主計部長 臨海副都心開発事業会計の十一年度決算でございますが、損益勘定におきまして百八十六億円の赤字となり、その結果、累積欠損金は四千九百九十一億円となっております。また、起債残高は五千百八十五億円となっているところでございます。

○渡辺委員 資料の臨海開発特別会計の財政資料では、公営企業会計であり、しかも臨海建設株式会社との転貸債のやりとりがわかりにくいけれども、総合収支で見ると、毎年三百五十億円近くの赤字状態であるということを示しておるわけです。これは大変なものでありまして、一日一億円の赤字、こういうものをたれ流しているということになるわけです。
 東京ベイエリア21は、開発を臨海部全体に拡大して、開発面積を四百八十一ヘクタールから一気に七千ヘクタールへと拡大する。臨海開発で象徴的にあらわれた破綻の現実に目を向けないで、開発をバラ色の絵を描いて突き進んでいくというのがこの内容であり、本当にこれは無責任きわまりないというふうにいわざるを得ないと思うのです。。
 例えば、都が直接施行している再開発や区画整理でも同じなんです。新橋から虎ノ門地区の環状二号線含めての事業費、これは一千九百億円、北新宿再開発千二百七十七億円、汐留区画整理事業が千四百六十三億円、亀・大・小の再開発では、保留地が処分できずに大赤字になっているということはご存じのとおりです。
 幹線道路でも、調布保谷線が千八百億円、府中所沢鎌倉街道線が千六百億円――ちょっといわせてもらいますが、新滝山街道四百八十億円、環状六号線千二百億円、環状八号線一千億円、首都高速関連街路、今後一千二百億円、首都高速環状線、これは総事業は一兆円、これに出資金あるいは無利子の貸付金、大変な額だと思います。それから首都高速晴海線三千億円、そのほかにも多摩新宿線だとかの構想が三兆円だとかということでいわれている。このほかにまた、一部重複しますけれども、都市計画道路の前期事業化計画、これが区部、多摩合わせて十兆円、進捗状況は約半分であります。
 こういうことを考えたら、本当に大変なものだ。限りない財政投入の道に踏み出すことになる。これだけは厳しく指摘しておきたいと思います。
 これでちょっと財務局にお聞きいたしますけれども、構想の示す集中的な社会基盤整備の方向は、都が取り組んでいる財政再建推進プランの投資的経費の抑制と矛盾するということではないでしょうか。お聞かせください。

○成田財務局主計部長 東京構想二〇〇〇の中で、東京におきます社会基盤の整備をうたっておりますが、社会基盤の整備が重要であることは論をまたないところでございます。私ども財務局といたしましては、今日の危機的な財政状況を踏まえまして、昨年七月の財政再建推進プランの中で、投資的経費につきましては、その重点化、また国庫支出金の確保、こういったことを通じまして、事業量の確保を図りつつ一般財源の削減に努めていく、そういう方向を出したわけでございます。財政再建推進プランの中では、都の財政力で対応可能な範囲に抑制していく、そういう考え方でございます。
 今回の東京構想二〇〇〇の中では、それと同じようなパターンといいますか、考え方の上に立ちつつ、事業の重点化、国庫支出金の確保、そういったものを図るとしております。そうした上に立ちまして、先ほど計画部長からも答弁がありましたけれども、財政再建推進プラン等々と整合性を図りつつ進めていくということでございます。
 それとあと一つは、先ほどの渡辺委員のお話でございますが、財政再建推進プランは、十二年度から十五年度までの四年間の計画でございます。また、東京構想二〇〇〇というのは、二〇一五年、これから十五年先の、それだけ両方の計画のスパンが違うということ、それから計画の性格が違うということでございます。そういうことで、東京都といたしましては、基本的には財政再建推進プランの中で、投資的経費等につきまして、事業量を確保しつつ財源は確保していく、そういった中で、将来の東京の活性化にとって必要な社会基盤の整備についても目指していく、そういうことであろうかと理解しております。

○渡辺委員 推進プランと何か合致しないみたいな話ですけれども、いずれにしたって、ことしの構想のまとめの中では、三カ年の実施計画というものが出されるということですね。それは、この構想とか、そのほかのものの財源的裏づけとして三カ年計画を出されるわけですね。ですから、実際問題としては、財政再建推進プランとそういう点では逆行する。片方は抑制といい、片方は突っ走れ、こういう話ですから。そういうふうに私は理解しておるんです。
 いずれにしても、今お話がありましたけれども、国からお金をもらってくるという話もありました。じゃ、国の金ならば幾ら使ってもいいのかという問題が出てきますよね。それから、この構想を実施していくために借金するということにならざるを得ないですよね。これだって、今でも借金を減らせというふうに全体としていわれている中で、これに本当に取り組んでいこうということになったら、借金はふえるばかりだというふうにいわざるを得ないと思うのです。
 そういう意味で、投資的経費、こういう点ではふやしていくことにならないように、厳しく抑制するということで、財務局はそういう点では踏ん張る必要があると私は思いますね。
 しかも、先ほどいった道路計画なんか、先ほど以外にも、国の金の問題が出たからいいますけれども、圏央道の問題でしょう。圏央道の問題だって三千億かかるわけです、推計ですけれども。それから外郭環状線、練馬線というんですか、この以南、これについては一兆六千億円という膨大な、これも推計ですけれども、費用がかかるというふうにいわれているんです。そういう点だけ見たって大変なことになるんですから、そういう意味では、こういう無謀な、突っ走る、そういう構想そのものについて、厳しく見ていかなきゃならないと思うのです。
 それで、資料にある将来の社会資本の維持更新費の推計ということですけれども、構想が示した、今後建設が予想される施設などは、資料をいただきましたけれども、このような中に入っているのかどうかということをお聞きしたい。

○松田政策報道室調査部長 本日の資料に加えてございます将来の社会資本の維持更新費の推計でございますけれども、これは平成十年七月に政策報道室から発表いたしました調査報告書から抜粋したものでございます。この調査では、道路、橋梁、上下水道、都営住宅等、東京都が管理する社会資本全体について、耐用年数などさまざまな仮定を置いた上で、過去の投資額の決算データ等から、将来の維持更新需要額を大づかみに推計したものでございます。新規の投資は含んでいない、また、今後の建築コストの縮減でございますとか耐用年数等の長期化、そういったことは前提としないで、過去の額から単純に推計をしたものでございまして、いわば今後維持更新経費がふえていくということについての問題提起をした、そういう数字でございます。よろしくお願いします。

○渡辺委員 いずれにしても、これは膨大な数字ですよね。新規事業は入っていないということになったら、なおさらのことですけれども、例えば二〇〇一年から三十年間で毎年平均で一兆四千六百六十億円、合計で四十四兆円、これだけの社会資本の維持更新費がかかる。これは、もう少し具体的にデータをいただきたいとは思いますけれども、きょう出された資料ではそういうことです。
 財界やJAPICなどは、余力のある今のうちに社会資本を整備しておかないと、将来資金がなくなるといっているけれども、今の社会資本自身も維持更新すること自体並大抵のものではない。ここでは内容には踏み込みませんけれども、これらに構想が打ち出した社会資本が加わったら、一体どれぐらいに膨らむのか。そういう点でも私は、構想そのものが将来のことを本当に考えていない、そういう構想ではないかというふうに思わざるを得ないところです。
 資料にもあるように、東京都の財政は、一般会計だけで七兆円を超える借金を抱えているわけです。単純に現在の都税収入の一割を起債の償還に当てたとしても、返し切るには二十年近くかかる。利払いを合わせると三十年かかるかもしれない。ところが、都は投資的経費の削減などといいながら、毎年借金の積み増しをしておるわけです。まず、この借金依存構造からどう脱却するのかが、東京都が都政運営の上で避けて通れない課題だと。開発に浮かれているような状況ではない、まず足元からやるべきことをきちっとやる、それが大事なことではないかということを指摘しておきたいと思います。
 次に、構想が示した環状メガロポリス構造は、さまざまな都市の矛盾を拡大するということです。大型開発によるオフィスの建設、これは自動車交通や上下水道、勤労者の住宅あるいは通勤など、さまざまな影響や環境への負荷、新たなインフラの需要などを呼び起こすということは避けられません。
 例えば、自動車交通の増大ということで、汐留の区画整理開発では、一日三万台の自動車交通需要が発生するとされています。構想が目玉にしている秋葉原地区の再開発の場合を試算すると、八・八ヘクタールの計画区域のうち、都有地とJR部分だけ、これが五・九ヘクタールになりますけれども、同じように計算しますと、ここでも一日三万台の自動車交通が呼び込める。
 危機突破・戦略プランで示された東京臨海地域における主なプロジェクトのうち、面積のわかっている十五地区の試算をしてみただけでも、二十六万台以上の自動車交通量の発生ということが出てくるわけです。これらに環状二号線だ、丸の内、大手町などの再開発が加わったら、一体都内での自動車交通量はどれだけ膨れ上がるか、これまたわからない。東京都は、都心部への自動車交通を抑制するとして、三環状の建設の必要性を説いておりますけれども、これだけでも、この交通量のふえ方は大変なものだ。
 一方でこれだけの自動車交通需要をつくり出していたら、どれだけの道路が必要なのかということを、また逆に計算して、道路の計画というものがまたまたつくられる。こういうようなことはどこかで断ち切らなきゃならないと思うのです。
 そのほかにも、この構想を進めるということについていえば、勤労者の住宅問題あるいは通勤問題、こういう問題は避けられない。そして、都市型の水害、こういう問題もまた避けられない。そして、緑の減少とあわせてヒートアイランド現象、こういうものも避けられない。いろいろな問題が出てくると思います。
 今必要なことは、東京への過度な集中を抑制することだというふうに私は思うのです。そういう意味で、先ほどの環状メガロポリス構造というのは、都心部を開発するだけでなく、東京全体を大きく開発する、そして集中をさらに促進する、そういうことにつながるものですから、こういうものを本当に改めていかなければならない、こういうふうに思います。
 最後になりますけれども、石原知事になってから東京商工会議所から東京都に対して提言が出されておりますけれども、どういう提言が、いつごろ出されたかということについてお聞きいたします。

○関谷政策報道室計画部長 私どもが承知しているものといたしましては、平成十二年三月に、東京臨海地域の再編整備に関する提言、同年七月には、東京の新しい都市づくりに関する提言が送付されてきております。

○渡辺委員 そのほかに、さまざまな形でいろんなところから東京都には提言がされておるわけです。そのいろんなところはさておいても、東京商工会議所というところでの提言だけをちょっと今お聞きしたんですが、今、東京の新しい都市づくりに関する提言ということで、ことし七月に出されたという話がありました。東京の交通渋滞に関する提言、これは去年の五月に提言がされています。そして、東京臨海部の再編整備に関する提言、これはことしの三月に提言されています。
 いずれにしても、そのほかに、先ほどいったように、国とかそのほかいろいろ出ています。節目節目にきちっと提言が行われているということを、私は重視したいというふうに思うわけです。
 一つ目は、三環状道路あるいは多摩の南北道路、こういうものについてです。臨海部再編では、今回都が発表した臨海部再整備指針の中間まとめである東京ベイエリア21と、これはほぼ同様の中身の提言です。七月の提言は、先ほどの都市づくりですけど、まさに構想二〇〇〇と都市づくりビジョン、ここにかかわって出されたようなものになっています。
 国際競争、その中身について一つ、二つ紹介しますけど、国際競争を勝ち残るために、日本の牽引車の役割を担うべき東京の役割と位置づけを、国家的、国民的コンセンサスとして再認識する必要があるという提言の中身、いろいろあります。それからもう一つは、東京圏全体を視野に入れた広域的な視点から、七都県市の連携による地域構造を踏まえた実効性ある広域的行政機関の確保、こういうものまで提言されているんですよね。
 皆さんもご存じだと思いますけど、東京商工会議所というのは、会長が今、石川島播磨重工業の稲葉会長、以下副会長は大企業の社長によって占められているというのは、私からいうまでもありません。構想がだれの立場でだれのためにつくられているのか、東京商工会議所の提言、そして現職の副知事、これは先ほどいいましたけれども、二人の技監が監修した三つの計画、こういう文書を重ね合わせると、その内容というのは本当によくわかるということであります。
 私は最後に、今こそ公共事業は徹底して見直すべきだということを申し上げたいというふうに思います。公共事業の見直しといっても、生活関連密着型の公共事業、こういうものを見直しといってどんどん削り込むなどというのは、これはやっぱり許される話ではない。私たちがいっているのは、あくまでも大型公共事業です。こういうものを抜本的に見直しをするということを提案しているわけであります。
 まず、都市づくりは、財政能力を無視した同時多発型を改めて不要不急事業を見直すこと、都市開発は、臨海副都心開発のような都が直接不動産事業に乗り出すというようなことではなく、規制と誘導を中心に財政投入を避けるということが一つ。
 二つ目は、貴重な自然を破壊する圏央道や有明地区の埋め立て、オオタカの営巣地周辺の開発、自動車公害や都市型災害をもたらす大型開発などについては、一時凍結するなどして都民参加で再検討すること。
 三つ目は、都市計画道路は、その多くが戦後の復興期から高度成長期にかけて東京が急速に都市化する中で計画されたものであります。今日では、少なくない道路建設が住宅の追い出しや環境破壊などの元凶になっている。少なくとも、計画後、事業化計画にも至っていない道路計画は直ちに凍結し、見直しを行うこと。事業化計画が入っている路線でも、未着手になっている路線、区間については凍結すること。
 そして、都民が求めている行政改革とは、浪費とむだを徹底してなくす、都民要望に敏感にこたえる仕組みづくり、少子高齢化社会にふさわしいサービスの提供を行うということ。
 構想とビジョンが示した方向は、都政を財界、大企業が喜ぶ都市づくりに奉仕させようというものであります。都民が求めている、二十一世紀の都民が安心して暮らせる都政を進めるために、ぜひ今の構想そのものを都民参加で見直しをするという、そういうような方向で再検討する必要があるというふうに私は思っております。
 以上で私の質問を終わります。

○矢部委員長 先ほど渡辺副委員長の質疑の中で、私、委員長に対して資料要求というお話がありましたが、その取り扱いにつきましては理事会にご一任をいただきたいと思います。
 議事の都合上、おおむね十分間休憩をさせていただきます。
   午後三時九分休憩

   午後三時二十五分開議

○矢部委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 発言を願います。

○織田委員 まず最初に、東京構想二〇〇〇の中間まとめの方について、何点かお伺いをしたいと思います。
 長期構想ですから、ここに書かれている章立てといいますか、そういうものを見ると、この長期構想の発想というものがよくわかると思うんです。まず、現在どういうことが課題になっているのか、それに対してどういう絵をかいていくのか、そして、それに対してどう行政がこたえていくのか、誘導していくのか、施策の展開をしていくのか、こういう章立てになっております。
 私は、この東京構想が出てきたときに、ざっと一読をいたしまして、非常にきれいなものだなというのが第一印象でございました。裏返せば、非常に総花的で、ある意味でいうと癖がない。癖がないということは、メッセージ性に非常に乏しい。あれ、こんなことをやってもらうのかというのが、私は構想のメッセージ性というものだろうというふうに感じるわけでございます。そういった観点から、全体像ということではなくて、むしろそういった面から二、三お伺いをしたいと思います。
 今回の構想に出てきた言葉の中で、円熟シニアという言葉があります。私は、少子高齢社会、まさにそのピークに達するというような時代が十五年後でございますから、そういった面からいうと、そういう世代の方々が、実は社会の中においてどういう役割を果たすのか、そして、それが本当に満足のできる、あるいは希望の持てる、こういう形の像をどう描き、それに対して実現をしていくかというのが、例えば少子高齢社会が本格化しますよという時期においては、構想としては大事なんだろうと思います。
 そういう意味でいうと、例えばこの円熟シニア、これを読ませていただきますと、ほとんど中身というような、そういう方法ではなくて、具体的な施策ではなくて、方向性の一部といいますか、非常に理念的な形になっております。これでは非常にわかりづらいので、この円熟シニア、要するに、どう活用されていこうとするのか、どのように分析をされ、何が必要になっているのか、まずこの辺のところをお伺いしたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 これから高齢化が進んでまいりまして、おおむね十五年後、いわゆる六十五歳以上の高齢者というのは、絶対数でいえば、おおむねピークの時期に差しかかるわけでございます。そういうことで、いわゆる団塊の世代の人たちが六十五歳を超えて大きな層を形成してくるわけでございますので、先ほど来申し上げておりますように、生産年齢人口が減ってくる中で、労働力という意味でも高齢者の位置づけというのは重要でございますし、また、単なる労働ということではなくて、広い意味での社会的な参加とか、社会の活力を維持していく上で、高齢者の方たちがどれだけ社会に対して主体的に取り組んでいただけるかということが、今後の二十一世紀の前半を展望すると、重要な課題になってくるであろうという認識に立っております。
 その上で、円熟シニアが社会の重要な担い手として、知識、経験、技術を生かせる場を今後整えていく必要があるだろうと。そのためには、それぞれの行政目標の中で掲げているわけでございますけれども、知識、経験を生かした雇用継続の推進ですとか、SOHOや短時間勤務等の多様な就業形態を整備していくこととか、定年後の再就職に備える職業訓練の充実を図っていくことですとか、シルバー人材センター等による生きがい就業の機会を拡充していくことですとか、NPOやボランティア活動など、社会参加の機会の整備を図っていく、こういったことが今後必要になってくるであろうという認識に立っております。
 高齢者が能力を生かして社会参加ができるように、就労やボランティア活動などに関する相談、情報提供、あっせんについて、総合的に対応できるような仕組みを本構想の策定に向けて検討してまいりたいというふうに考えております。

○織田委員 まさに、今お答えになっていただきましたことは、この中でも項目的に描かれているということなんです。だけれども、今現在の高齢者の生活実態というようなものや、あるいはごく普通のお年寄りが、その中で自分の位置というものをどう確かめているのか、こういう現状を見ると、どうもそういうことが絵そらごとのように思えてならないわけであります。
 この後、三カ年の実施計画をつくるということでありますけれども、本格的になるということになれば、私は、そういう面が何か一言でぽんと東京都民に打ち出されなければ、これはなかなか皆さん受け取っていただけないんじゃないかと思います。例えば、今おっしゃっていただいたSOHOの問題にしても、定年後の再就職にしても、現実は、そういうことを聞いても都民の方は、果たして――十五年といったら非常に近未来ですよ、その中で果たしてどうなのか。私、今五十一歳ですよ。十五年後というと六十六ですから、まさに団塊の世代で、そういう中で、その人の能力なり何なりというものが果たして十全に生かされるような、そういう社会状況になっているのか、そういう社会が本当につくられるのかといった場合に、今現在の都民の皆様方の受けとめ方は、それはそうだけど結構難しいもんじゃないのかというのが、恐らく一般的な声であろうと思う。
 ですから、私がこういう構想で大事だというのは、そのメッセージ性、本当に都はやってくれるんだな、こういうことを目指しているんだなということが象徴的にぽんと出てこないと、インパクトというのはなかなかないんだろうというふうに思います。
 例えば、定年制というのが今あります。高齢社会になってきて、定年延長というのがもう随分前から、二十年も三十年も前からずっと叫ばれています。少しずつ少しずつ延びてきました。法制度的には、そんなに強制力のあるものではありませんけれども、例えば、そういう定年制を七十に東京都の場合はしますよという、そういうメッセージがぼんと出てきた場合、東京というところは、こういう人たちの能力というものをしっかりと活用してくれるんだなと。これは何も都庁の職員という意味じゃないですよ、東京都にある事業所、そういったところでは定年は六十から七十にしますよというようなメッセージ、仮にそういったものが出てくるのが、僕は構想というもののインパクト性をつくっていく上で大事なことだと思うんです。
 ですから、例えば少子高齢社会ということで、そういうものであるならば、例えば定年を東京の場合はこうしますよ、ほかの県は知りません、だけど、東京ではこういう方々にしっかりと働いていただくんです、また、そういうものをつくり上げていくんですというメッセージが、こういう構想の中に――技術的には難しいことがたくさんあるでしょうし、あるいは整合性を図っていかなきゃならないというようなこともあるでしょうし、畳んだふろしきをどうおさめるんだという問題も出てくるかもわかりません。しかし、そういうインパクトのあるものを一つきちんと各分野に置いて、そういう象徴的なものをぽんと出していけば、都民の皆さんは本当に安心をするし、前向きになるし、活性化するというふうに私は思うわけであります。
 こういうようなインパクト性のある政策、施策というものを打ち出していく、そういうお考えはおありになるのかどうか、ちょっと伺います。

○関谷政策報道室計画部長 若干繰り返しになりますが、今後は、就労機会や社会参加の場を整備するなど、多様な面から円熟シニアが活躍できる施策を充実させていくことが必要である、その上で、いわば年齢にとらわれない社会を実現していく必要があるだろうということが基本的な認識でございます。
 ただいまご指摘がありました定年延長につきましては、先ほど来申し上げておりますように、いわゆる年功序列型の日本型雇用慣行というものがだんだん崩れてくる中で、いわば働き方についても非常に多様な形態が出てくるだろうと。基本的には、単純に定年延長という形での方向性というのは、ここでは志向していないわけでございますが、構想の一五五ページ、雇用の流動化に見合った法の整備などを国へ強く働きかけるという中で、特に中高年労働者が再就職や転職をする際に現在大きな障害となっている、求人時の年齢制限禁止の法制化を提案していこうといった点で、委員ご指摘の定年制とは若干違うわけでございますが、そういった形での、年齢にとらわれない社会を今後実現していくべきだということの取り組み姿勢は明らかにしているところでございます。

○織田委員 確かに定年が七十になれば――能力とかそういった面が衰えた中で、そういうものを保障していくということにくみするわけではありませんけれども、少なくとも、ここにも書いてあるように、元気なお年寄りがほとんどだ、八割近くが元気なお年寄りだというわけでありますから、そういうものをきちんと社会の中で位置づけられる、そういう東京ですよということを強いメッセージで出していただきたいということを要望しておきたいと思います。
 同時に、先ほども論議になりました人口減少時代、生産年齢人口の縮小、こういった事態になったときに、政府なんかでは、いわゆる女性と高齢者の力というものをどう活用していくのか、労働市場に取り込んでいくのかというのが大きな課題と。あるいは、それに伴って外国人労働者というような問題も、それを補完するというような意味で、恐らく早晩問題にならざるを得ないというような社会的な流れというのがあろうかと思います。
 私は、その中に一つ抜け落ちている視点として、今の二十歳前後の方々の、これは変ないい方なんですけども、いわゆる労働力としての役割、これを一体どう考えているのであろうか。ちまたでフリーターという名称といいますか、呼び名というもの、アルバイターというふうにもいっていたり、それがフリーターということになったきた。そういうのが統計であるのかなと思ったら、そういうことはありませんということでございますので、どの程度のパーセンテージを占めているのかちょっとわからないわけなんですけれども、この人たちが将来、不遜ないい方をすれば、どういう道筋をたどっていくのかなと。職業選択の自由なんていわれますけれども、そういう中で、そういう方々がどういう職業を選んでいかれるのか。
 ここに、年金制度、将来的には大変ですよというようなことが書いてある。そういう方々が年金にどういうかかわり方をしているのか。そのまま放置しておかれたら、そういう方々は恐らく、私個人的に思うには、無年金者がどんどんふえていくだろう。今、学生時代ぐらいまでは猶予しまして、後からまとめて払ってもらうというような特例を認めましょうよというようなことが論議をされているようであります。
 そういうことも含めて、何といいますか、若年労働者というふうにいうのか、よくわかりませんけれども、三十代未満、生産年齢人口である、そういう枠組みの中に入っていながら、労働力としてはどういう形になっているか。もちろん、まじめにお考えになって、人生というものに対して前向きに取り組みながら、いろんな移動をしているという人もいるでしょう。
 しかし、それが一割、二割、日本の同世代の中で占めるようになってくると、これは相当いろんな面での予測なり何なり、大きく影響してくるんではなかろうかというふうに思うわけでありますが、こうした世代の新しい生き方をしている人たちに対して、東京都はどういう認識を持たれているのか。その認識の上で、こういう方々に対してどう対応をされているんだろうか。そしてそのことが、この東京構想、十五年先を描いた、五十年先というものを考えたという中で、どうなっていくんだろうかというのが私の率直な疑問であります。この点についてどんなお考えなのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 意識の多様化とともに働き方も多様化しておりまして、フリーターという働き方も、現在では多様な働き方の一つとして、いわば認識されるような状況が出てきております。将来の目的を持って、現在はあえてフリーターを選択しているという人たちもその中にはおりますので、そうした人たちについては、本人の希望に応じた働き方の一つと受けとめざるを得ないと思いますが、一方、無気力、無目的なままフリーターとして生活を続けている人もおり、技術や技能が蓄積されないなど、本人にとっても、社会的にも将来大きな損失となる可能性がございます。
 次の時代を担う人々が、明確なライフビジョンですとかキャリアビジョンを持ち、みずから望む生き方を実現していくことが当然望まれてくるわけでございますので、こうした観点から、中間のまとめにおきましては、教育の分野等におきまして、勤労観や職業観などをはぐくむことを取り上げているところでございます。

○織田委員 私は、今お答えを聞いていて思ったことは、勤労観や職業観をどうはぐくむかという問題ではなくて、やっぱり時代の感性みたいなものがあるのではないかなというふうに思うのです。後から述べますけれども、そういうものを東京都政の中にどう取り込んでいくのか、それも大きな問題であろうと思いますし、そういったものを分析する目というのを、私たちはもう少し養っていかなければいけないのではないかと思います。
 よく出るクイズなんかで、細菌が二倍ずつ二倍ずつ増殖をしていく、これが満杯になる、一〇〇%になる、そういうような状況にある細菌が、いっぱいになるその半分まで来るのはいつかという、そういう問いがあるんです。一カ月でいっぱいになるということであれば、その一日前に半分なんだと。その二日前には二五%なんです。三日前には一二・五%なんです。たった一割でも、それが一日一日倍にふえていくとなると、よく考えてみると、もうほんの少しの兆候が出てきたときに、あと数日でもう限度いっぱいまで来てしまいますよという一つの例え、クイズか何かでよく出るわけですけれども、そういったことと同じように、一つの事象に対して鋭敏な感覚を持って、それをきちんと処理をしていく、そういう体制というものをつくっていかなければならないと思います。
 そういうときに大切なのは、物の見方でございます。ここのところで、新東京人という見なれない、宇宙人か何か来たんじゃないかというような文言が出ております。二〇一五年の東京を担う新東京人という言葉が出てきまして、これはいささかびっくりいたしました。読んでみると、まさにすごい立派なことが書いてある。みずからが選んだ分野において、高い使命感を持って行動し、社会に貢献できる人、これが新東京人の理念形。公共の福祉と個人の利益との調和を常に考え、個人の義務や責任を自覚して行動できる人。ライフビジョン、キャリアビジョンを持って、望む生き方を実現させている人。
 私思うに、レベルが高過ぎる。私、自信ないです。じゃ、私は新東京人じゃないのか、なれないのかと思っちゃう。私にいわせれば、目線が高過ぎます。一般の都民は、こんなことを考えて生きているわけじゃない。その発想から、もしこういうものがつくられたとするならば、これは何というんでしょう、ないものねだりになってしまう。都民はこうあらねばならないと。この高いレベルを、僕自信ありませんよ、自分自身として考えてみたら。公共の福祉と個人の利益との調和を考えますと。だけど、それは自分の利益と公共の福祉との利害が完全にぶつかってどうするかというようなときにこそ考えるんであって、日常そんなこと考えているわけないです。
 そういう形からいうと、この新東京人の概念というのは、私たち都民の側からすると、一つの個体としては十五年たってもそんなに変わるものじゃないです、この年になってくれば。十五年たったからこういう人になってくださいよ、そんなばかな話はないというふうに思うんです。ですから、目線をもう少し下げて、本当の都民という目からこういう構想がきちんととられなければならない。
 そういう視点からいうと、それは、もう一つ裏返せばこういうことになるんだろうと思うんです。行政のサプライサイド、提供者である行政と受け手であるデマンドサイド、どっちに目を向けてこの東京構想をつくったのかということです。東京構想というものは、都民に高い目標を求めることもいいけれども、しかし、行政のサービスの受け手である都民の方の目線に、もう少しシフトをしていく必要があるんだろうなというのが私の印象でございます。
 一体、どういう考えからこの東京人というのを想定をされたのか、その辺の背景についてお伺いをしていきたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 これは中間のまとめで申しますと、生活像の前に、新たな社会システムの構築について触れているわけでございますが、二十一世紀前半の東京ひいては日本を展望しますと、終身雇用制度や中央集権システムなどに代表される既存の日本型社会システムが変容を迫られていて、社会経済の変化に適切に対応した新たな社会システムを構築していくことが求められているということが基本認識にございます。
 こうした新たな社会システムというのは、自己の責任に基づいた多様な選択に基づいて、個人が能力を十分に発揮することにより個人が充実し、また、そのことが社会の発展にも結びついていく、いわば個人と社会との関係がうまく調整されたような、そういう社会を形づくっていこうということを掲げているわけでございますけれども、このような二十一世紀の東京を担う個人の理想像という形で、新東京人を提示したわけでございます。
 もちろん理想像でございますので、非常に理念的なものでございますけれども、こうした理念を実現するため、中間のまとめにおきましては、多様な生き方を可能にする環境整備に取り組むとともに、教育改革や心の東京革命などを通して、二十一世紀を担う人々の育成を図っていくということを明らかにしているところでございます。

○織田委員 そういう感じですから、かなり高い理想像過ぎるなという印象を受けるわけです。例えば、多様な生き方をするということを一つとっても、それを制約する条件というのはさまざまあるわけで、それにぶつかりながら、あっちに回り、こっちに回りしているのが現実の人生なわけですから、そういう理念形というのは、例えば経済人という理念形というのは、非常に単純なものです。そんな複雑な高度なものじゃないと思います。ですから、私は、そういう面ではいささかどうなのかなという考えを抱いております。
 より論議を深めて、もう少し目線の、要するに都民の側に寄ったような、そういう形になるようにひとつお願いをしておきたいというふうに思います。
 都市構想の最後に、一言だけお伺いをしておきたいと思います。
 この都市構想二〇〇〇、これは中間のまとめですから、都市構想二〇〇〇という非常に中立的なネーミングがされているんですね。こういう構想というのは、例えば青島都政の生活都市とか鈴木都政のマイタウンとか、非常に要約的に一つのものをぽんと出して、よくわかるなというのがあるわけです。
 ところが、中間まとめの段階だからというふうにおっしゃるかもわかりませんが、都市構想二〇〇〇、いってみれば非常に無機質なネーミングです。恐らく、そういう名前についても検討はされたことだろうと思うんですけれども、私は今回の都市構想の花になるようなものは、焦点になるようなものは、眼目になるようなものは、やはりネーミングの段階でぼんと出てこないと、インパクトがないというふうに思います。
 そういう意味で、もしそういうことが検討されたというのであれば、どういうような経過でなったのか。また、この都市構想二〇〇〇のままで、今後はそういうようなネーミングをされるのかどうか、その辺の見通しについて、お答えできればで結構ですから、お願いします。

○関谷政策報道室計画部長 従来、東京都でつくられているこういう構想の関係は、最終的な策定時期に正式名称を固めておりまして、それまではずっと仮称でつないでいくというのが、従来からの慣行といいますか、やってきておりますので、今回も仮称ということで中間のまとめはさせていただいております。最終的にどういうネーミングをするかについては、今後検討することになりますけれども、過去には、単に仮称という括弧を取っ払っただけで正式名称にした例も多いわけでございますが、今後検討してまいりたいと思います。
 ただ、この中間のまとめでは、十五年後の東京の望ましい姿ということで、個人、企業等の主体が持てる能力を発揮し、活力に満ちた活動を展開しているとともに、先駆的なメッセージを国の内外に発信している都市であり、都民が安心して充実した生活ができる都市といたしました。そして、それを、高度の都市機能と暮らしやすさを備え、国際都市にふさわしい活力と魅力に満ち、国内外の人々を引きつけ、多くの人が交流する都市、いわば千客万来の世界都市を望ましい姿として提起しているところでございます。

○織田委員 次に、都政改革ビジョンの方で、簡単に一つだけお伺いをしておきたいと思います。
 この都政改革ビジョンの中で、行政改革の視点ということで三つ挙げられております。確かにそのとおりで、スピードの重視とかコスト意識、あるいは成果の重視、大変重要なことでございます。このことはしっかりやってもらいたいと思うんですが、今回の例えばスピード重視、裏返せば、なかなかスピーディーにやっていないということになっちゃう。そうじゃないというふうにおっしゃるかもわかりませんが、確かに昔から、失礼ないい方ですけれども、お役所仕事というのがあって、人口に膾炙しているわけでありますが、なかなかスピーディーに事が運ばないという、その要因というのはどのように自己分析をされているんでしょうか、まずお伺いしたい。

○荒川総務局参事 スピーディーに仕事ができない原因として認識しておりますのは、一つは、都庁の組織が巨大であることに加えまして、業務体制が細分化されておりまして、そのため内部調整に時間がかかり、迅速な意思決定を妨げることもあるという点、それから二つ目に、仕事を進めるに当たりまして、手続を重視する余り先例や現行の制度にとらわれ過ぎて、解決策を見出すのに時間がかかってしまうということが挙げられると思います。その結果、三つ目として、職員の意識も時間、コストに対する配慮が薄れ、敏速に解決に取り組んでいく気風に乏しくなりがちであったということを反省しております。
 そこで、これらを改革していくために、IT化の手法などを活用しながら、効率的な執行体制や仕事の進め方などについて、スピードの重視、コスト意識の徹底などの観点から積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。

○織田委員 確かに組織の特性だとか仕事の進め方、いわゆる手続、それから膨大な組織調整、こういったものは迅速な執行を妨げる要因として指摘をされてきたところであります。それに加えて今、専門性の高い問題が次々に起こってきて、例えばIT化なんかは、その象徴といってはなんですが、代表的なものであろうと思うんです。ゼネラリストとして育ってきた皆さんが、こういう専門的なものに対してどう取り組んでいくかということになった場合に、要するにつぼをきちっと押さえなきゃいけませんから、それなりの時間がかかる。それを役所の仕切りの中でどう仕上げていくか、これは時間がかかると思います。
 そういう面で、人材をどう活用していくのか。庁内の人材をどう活用して、そういったことに取り組むようにやっていくのかということを考えるのと同時に、庁外の、民間の人材をしっかり活用した方がいいんじゃないかという考えを私は持っております。スピード感というのは、確かに、適切な間違いのない行政をやっていこうとするならば、後ろ向きなベクトルが働くことは、これはわかります。しかし、それでは待ってくれないというのが、現代社会の非常につらいところでもあろうと思いますので、このすぐれた民間のノウハウを持った人材というのを都庁の中にきちんと取り込んで、一緒になって働けるような、そういう新たな任用制度みたいなものは考えられないのかというのが私の――スピード重視というようなことを考えていく、そしてそれをどうして実現をしていくのかということを考えていくと、そういうことを思うわけであります。
 それは、全部都庁の役人にしてしまえということじゃなくて、一時的に、例えば半年なら半年、一年なら一年都庁の職員にしてしまう。そうすると、その辺は既存の制度との摩擦等が起こるんだろうと思いますけれども、そういう意味で二つ三つお伺いをしたいんですが、過去に、都や他の地方公共団体の中で、こういう一年とか二年とか、半年とか三カ月とか、期限つきで一般行政職の職員を採用した事例があるんでしょうか。

○三宅総務局人事部長 過去に都や他の地方公共団体において、任期つきで一般行政職を採用した事例があるかということでございますが、都においては、こういった事例はございません。他の地方公共団体については、すべてを把握しているわけではございませんが、このような事例があるとは聞き及んでおりません。

○織田委員 もし東京都で一般行政職の任期つきの採用、任用制度というようなことを実施するとしたら、どんな問題点があるんですか。

○三宅総務局人事部長 任期つき採用の問題点についてでございますが、現行の地方公務員法において、一般行政職の任期つき採用については規定されておりません。それから、ほかの法律においても規定はございません。一般行政職の任期つき採用を実施するためには、関係法令の整備が必要かと存じます。

○織田委員 関係法令の整備が必要ということは、書いてないからできない、こういうことになるんだろうと思うんですけれども、それでは、この任期つき採用等について、国の動向は今どういうような形になっているんですか。

○三宅総務局人事部長 人事院は国会と内閣に対しまして、民間人材の採用の一層の円滑化を図るために、国家公務員の一般職の任期つき職員の採用及び給与の特例に関する法律の制定について、意見の申し立てを行っております。この申し出を受けて総務庁は、今秋召集される臨時国会に関係法を提出すると聞いております。
 地方公務員については、自治省で現在、地方公共団体が簡素で効率的な組織を維持しつつ、地方行政の高度化、専門化や行政需要の増大に適切に対応するために、職務の内容や性格に応じて任期を限って任用される職員など多様な勤務形態が可能となるよう、任用制度のあり方について、国家公務員に準じて検討することを始めたというふうに聞いております。

○織田委員 国でも、任期つきの採用ということについて検討を始めたと。地方公務員についても、自治省は、それについてどういうふうな形にするのか検討を始めたということでございます。これからの時代というのは、こういう民間のパワーというものを、期間限定、アイテム限定というような形でどんどん使っていく。今の審議会というか、要するにでき上がった方の意見を求めるというようなことではなくて、同じかまの飯を食いながら、一緒になって一つの制度をつくり上げていくんだという、そういう情熱的な、有能な人材をその都度その都度きちんと活用して、それは、ゼネラリストである都庁の職員ががんと引っ張りながら活用してスピーディーに対応していく、大きな問題に対してもスピーディーに対応していく、こういうことは必要であるというふうに思いますが、この任期つき採用については、東京都としては今どういうふうにお考えになっているんでしょうか。

○三宅総務局人事部長 社会情勢や経済情勢の変化に機敏に対応するために、行政運営、都政の運営のスピードや柔軟性といった今日的要請にも十分対応し得るよう、特に職員の人材確保の面では今後、機動的な方策が必要であると考えております。東京都といたしましては、自治省が検討を始めたこともございまして、一つの方法として、一般行政職の任期つき採用について研究してまいりたいと思っております。

○織田委員 終わります。

○石井委員 東京構想二〇〇〇について、まずお尋ねいたします。
 これまでも、それぞれの知事のもとに長期計画ができているわけであります。四十六年、美濃部知事の時代に広場と青空の東京構想、また五十三年、鈴木知事の時代にマイタウン東京構想、そして、平成九年、青島知事の生活都市東京構想、それぞれの構想ができております。また、今回の東京構想二〇〇〇を見てみますと、やはりこうしたこれまでの各時代の長期計画の大きな流れがあって、その流れのもとに、この東京構想二〇〇〇ができているなということを感じるわけであります。
 最初に、安樂室長にお尋ねをしたいんですが、今回の東京構想二〇〇〇が策定される時代的背景、また、ねらいというんですか、先ほど一部説明がありましたけれども、改めてお尋ねいたします。

○安樂政策報道室長 委員のお話にありますが、長期計画あるいは長期構想というものを出されるには、それなりの背景があるというのをつくづく感じます。またその一方、時代背景というものが、それぞれに特色ある知事を都民が生み出して、その知事のもとで行政が計画を次々変えていくという、こういう流れになっていったのかというふうに思っております。
 今回の構想策定の考え方といいますか、時代背景といいますか、先ほども申し上げましたが、この戦後五十年の日本社会を支えてきた終身雇用であるとか、年功序列であるとか、あるいは護送船団方式とか、こういった旧来のシステムというものが現実と乖離してきているというよりは、むしろ機能しなくなって、問題の解決を阻害するような桎梏となってしまっている、こういう現状認識から出発しております。これからの新しい時代に適合した社会システムを東京から構築していこう、こういうことを時代背景の中で私たち考えたところであります。
 こういう観点から、各分野ごとに理念を新しく具体化したり、設定したりしております。ただいま織田委員の方からもちょっと話が出ましたが、例えば、新しい東京の生活像ということで、これからの東京を担う新東京人というような理念をつくっておりますが、こういうようなことが書いてあります。
 高い使命感を持って行動し、社会に貢献できる人、あるいは公共の福祉と個人の利益の調和を考え、個人の義務や責任を自覚して行動できる人、これは時代背景といいますか、現状が必ずしもそのようなものでない、つまり、個人とか属する集団の利益を優先しがちだという、そういうような時代背景への一つのアンチテーゼという形で、あえてこういうような理念を打ち出しているわけでございます。
 それから、我が国や外国の文化、伝統を尊重し、日本人としての誇りとアイデンティティーを持って国際的視野に立ち行動できる人、あえてこういうような理念設定もしておりますが、これも、今の時代の中で多くの人が指摘しているようなことについて、やはり東京から先駆的に新しい方向を打ち出そうと。
 これについては、先ほど織田委員の方からも、水準が高過ぎるではないかというようなご指摘もありました。これについては、これから十分議論すべきことかというふうに思いますが、一つのそういう方向を、この時代背景の中で打ち出しているということでございます。

○石井委員 私は、こう考えます。一つは、美濃部知事の広場と青空の東京構想というのは、高度成長に突き進んでいく中で、忘れられている弱者の命ということで、福祉だとか、また環境だとか、そういうものを重視した長期計画だった。また、マイタウン東京構想というのは、四十九年、五十二年、二回の石油ショックで日本経済が大変なひどい状況になった、そういう中で鈴木知事が誕生してきた、マイタウン東京構想ができた。しかしながら、バブル経済の招来、やがてバブルの終息という中で青島知事が出てきて、生活都市東京構想ですか、こうなってきた。
 この長期不況の中で、もがき苦しんでいるわけでありますが、一つは、やはり国のミスリードで、東京も財政的に非常に苦しい中にあるわけでありまして、このあらゆる機能不全の原因である国に対して、はっきり物をいっていこうということで、知事が出てきたということじゃないかなというふうに思っているわけであります。だから、知事も、医療改革とか、本来国がやらなければならない、その発信をしていこうということがこの中に書き込まれている。
 円熟シニアという考え方は、いつまでも公助、公が金を出すことはできない、公がその制度を維持することができない、お互いの助け合いの中で生きていかなきゃいけないという考え方が、円熟シニアという思想の背景にあるのかなと、こんなふうに思うわけでありますが、今回のこの長期構想の中の目玉政策は何か、石原知事がアピールしたい部分は何か、お尋ねします。

○関谷政策報道室計画部長 今回の中間のまとめにつきましては、いわば基本的な考え方、総論を述べるとともに、今後の政策の方向性を打ち出しておりますので、個々の事業としてということはございませんが、特徴といたしましては、五十年先など、ダイナミックな変化を見据える中で東京を展望すること。また、東京だけでなく日本のあるべき姿も念頭に置いていく。東京圏を強く意識する中で、骨格的な都市構造ですとか、そういうものをいかに形成していくか。また、取り組みの方向性につきましては、都の施策や事業だけではなく、国への制度改正要求なども含めて、東京から日本を変えていく姿勢を打ち出していることなどが特徴として挙げられると考えております。

○石井委員 これが目玉ですというアピールをきちっと出さなきゃいけないのですよね。物を売り込むんだって、これとこれとこれですよと、少なくとも三点か五点ぐらいやっぱりアピールできなきゃ、何が何だかわからないみたいな、確信がない、元気がないようなことじゃいけないんじゃないかと思うんです。
 私は、医療改革だって、できれば大したものだし、これは大きなアピールができる点だし、私がいい続けているディーゼル車対策、粒子状物質対策一つをとってみても、これができれば大したものだし、スリムな政府、これからの行政像というので、小さな政府とはいっているけれども、本気になってそれに取り組めば、これは大きな目玉になり得ることだし、やはりきちんと目玉をつくって、私は計画を推進すべきであるということを申し上げたいと思います。
 そこで、エリア構想が出ておりますが、センター・コア、これが一番大事なんだと。すべての中枢機能が集積している、これを大事にしながら、東京圏全体を視野に入れながら東京を変えていこう、こういうことであります。
 そのセンター・コアに関連してお尋ねしたいんですが、今、三宅島の雄山の噴火以来、やがて東京に大きな地震が来るんじゃないかということは、東京都民の皆さんが非常に危惧しているところであります。この中にも、防災対策ということは書き込まれておりますけれども、従来の延長線上の中での書き込みしかない状況であります。したがって、この災害対策について、もっともっと具体的に書き込む必要がある。今後のローリング計画の中で出てくるのかもしれませんけれども、そのことを非常に強く感じます。いかがですか。

○関谷政策報道室計画部長 繰り返しになりますが、今回の中間のまとめは、全体としての取り組みの方向性を明らかにしているものでございまして、今後、本構想の策定に向けては、先ほど委員からご指摘のありましたように、重点的な取り組みについても、明確に打ち出していくように努めてまいりたいというふうに考えております。
 防災の関係につきましても、この中間のまとめにおきましては、地震国としての宿命を背負う東京を防災に強いまちとするために、まず幹線道路の整備や沿道の不燃化を進め、防災上の骨格となる軸を形成すること、さらに、中小河川の改修等により、都市の構造を震災や水害に強いものとしていくことを掲げております。
 加えて、防火地域の指定を、これまで余り運用されておりませんので、指定の拡大ですとか、また建てかえの支援等を図ることによりまして、都内に広く存在する木造住宅密集地域の整備を進めていくこと。また、災害による被害を最小限とするため、みずからの生命はみずからが守るという自己責任の原則のもと、都民や事業者、地元自治体による地域での防災能力の向上を図っていくということを掲げております。
 本構想策定に向けては、都民が安全に暮らし、日本の首都、経済の中枢としての機能を果たすことができる東京を実現するための具体的な施策を掲げてまいりたいと考えております。

○石井委員 具体的施策を掲げるという話がありましたので、ぜひともそうすべきだと思うんですけれども、今までのところは、今までさんざん述べられているわけですから、どう具体的に進めていくかということです。
 例えば、木造密集地域を更新するための整備手法の開発ですね。現在の整備手法では、柔軟性がないために、特に借地に対してなかなかうまく更新できないということがありまして、整備手法の開発だとか、それから用地の先行取得だとか、それから耐火構造物を誘導する税制上の優遇措置だとか、それから国庫補助の問題、これは従来いっていますけれども、そうした人、物、金を投入しなければ、あってはならないけれども、来るべき震災に備えることはできない。
 今、震災復興計画というので非常に一生懸命やっておられる。もし震災が起こって、その後の復興計画に投入する百分の一、十分の一のお金でもいいから投入すれば、未然に大勢の人の命を救うことができるわけですから、そうした喫緊の課題である防災対策に全力を注ぐべきであるということを申し上げます。
 ところで、これは財務局長にお尋ねしたいんですが、今回の三宅島の噴火災害に関連して、東京都は補正予算、これは当然組まれると思いますが、どうでしょうか。

○木内財務局長 最近、国の場において、さまざまな形でもって補正予算の議論がされていることは、ご承知のとおりでございます。本都としては、今の状況というのは、補正予算を編成できるような状況にないことも、これまた事実ではございます。しかしながら、伊豆諸島における災害というのは、きょうの課題でございまして、そうしたものについて財政的な面で対応していくことは、都政として行うべきことというふうに私どもは考えております。
 ただ、現在は事態が、何といいますか、進行中というといけないんでしょうか、島民の方々の苦労を含めて、災害対策に当たっているというのが今の状況でございまして、具体的な内容を定めることができる状況にはないのも、これまた事実でございます。これから先、事態の状況を見ながら、補正予算の編成に当たって、国等における所要の財源の確保を図りながら、必要な対策をしかるべきところに行う必要があろうというふうに思っております。

○石井委員 総務局長に、もしわかれば今に関連して、先日報道によると、島の件ですけど、神津、式根、それから新島の地震はかなり終息しつつあるというような話がありましたけれども、三宅も含めてどんな状況なのか、現時点でわかる範囲でお願いします。

○大関総務局長 これは、学者によって意見がまちまち出ております。ただ、大まかに申し上げて、そう短期間では終了しないだろう、このようなのが大勢を占めております。三宅島一つとりましても、火山の構造が大分変わってしまったということで、普通でしたら一たん噴火しますと、どんどんエネルギーが消耗しまして終結宣言ができるんですけれども、今回は中の構造そのものが変わってしまいましたので、これを今研究しなきゃならぬということで、一番短くとも半年ぐらいは覚悟しなきゃならないだろう、このような状況が出ております。
 それから、神津、新島につきましても、プレートがちょっと違うんですね。これらの動きを見きわめていかないと、こちらにつきましても終了宣言できないという状況下にありまして、先ほど財務局長が申し上げましたように、現在進行形という部分がございまして、これらを全部確認した後でないと本格的な復興に入れないだろう、このように考えているのが私どもの見解です。

○石井委員 それから、災害対策に関連して、東京の雨水対策についてどう書き込むのかということをお尋ねします。
 先日名古屋で、一日で五〇二ミリという、百年に一度、二百年に一度という集中豪雨がありました。同様のことがもし東京に起こるとということで、今盛んにその対策が求められているわけであります。二年前に建設省が、荒川の土手が、もし五五〇ミリの雨が降ったら崩壊をして、六時間で墨田、台東、荒川全域が水没してしまう。さらに、千住の地下鉄の路線を通って、その流れた水が銀座にまで行って、銀座も水没してしまうという、これは国の建設省が、よくこういうシミュレーションをしたなと思うわけだけれども、そういう今後の災害対策のシミュレーションをしているわけであります。こうした水害対策については、この構想の中でどう書き込んでいくのか、お尋ねします。

○関谷政策報道室計画部長 東海地方を襲いました集中豪雨的な雨は、日本の大都市が雨に対していかにもろさを持っているかということを見せたわけでございますが、こういうことも教訓といたしまして、都市型水害対策に取り組んでいく所存でございます。
 中間のまとめにおきましては、都市型水害に対して、都民の安全を脅かすものとしてとらえ、重要な施策の一つとして位置づけております。
 政策指標の案におきましても、治水安全度達成率を政策指標として掲げることとしておりまして、護岸の改修とか調節池を整備することにより、護岸流域の水害に対する安全性を高めることを目標にしてまいります。
 さらに、近年では一時間当たり一〇〇ミリを超えるような、これまでにない局所的な集中豪雨が起きているわけでございますが、これに対しましては、被害が集中している地域の下水道管に対し、バイパス管を設置するなど緊急的な整備を行っていく所存でございます。
 また、もう少し中長期的な課題といたしましては、この局所的な豪雨の一因として、ヒートアイランド現象があるといわれております。抜本的には、都市のヒートアイランド現象をいかに緩和していくかということが課題になるかと考えております。建築物の屋上緑化ですとか、街路樹等による道路緑化、こういうさまざまな手法を通じて都市の中の緑をふやしまして、ヒートアイランド現象の緩和を図っていく必要があると思います。また、建築物の建設に当たっては、省エネ型など、環境への配慮を行うような取り組みも必要になってくるというふうに考えております。

○石井委員 練馬区でも九一ミリという、明治始まって以来の最高の集中豪雨がありましたし、千代田区でも八二ミリという、これは明治以来二番目の大きな豪雨がありました。特に地下街をたくさん抱えている東京にとっては、大変大きな災害になりかねないわけであります。
 そこで、首都機能移転に投入する金を、知事もよくいっているんだけども、一兆円でも二兆円でもあれば、こうした震災、防災の危険度地域、また、水害で危険と思われる地域の改修で、安全、安心なまちができるわけです。したがって、首都機能移転反対ということはもともとはっきりいっているわけだから、その首都機能移転ほどむだな公共事業はない、まさに公共事業の見直しの第一は、この首都機能移転じゃないかと思うわけだけれども、その首都機能移転に投入する金があるならば、今こそ東京の安全、安心のまちづくりに金を投入すべきだということを本構想の中に明確に書き込むべきだ、このように知事にいってほしいと思うんですが、どうでしょう。

○関谷政策報道室計画部長 基本的には、東京という首都機能を担っている大都市が十全に機能していくということは、日本にとっても重要な課題でございますし、知事も従来から、外環の整備等も含めて東京への集中的な投資が必要であるということで、経済活力が満ちた安全、安心な都市としての東京をつくっていくということは重要な課題でございますし、また、そういう意味で、東京に集中的な投資を国としても取り組んでいくということはいっているわけでございますので、今後、具体論を固めていく中で十分検討してまいりたいと考えております。

○石井委員 安樂室長、知事にそういってくださいよ。本構想の中に、首都機能移転に投入する金があるならば、その金を今こそ――東京を強くすることは日本を強くすることになるわけだから、明確に書き込むべきだといってほしいと思うんですが、どうでしょう。

○安樂政策報道室長 ただいまの件については、若干、この構想の性格とかいろいろなことがありますし、むしろ、これは議会の場で知事が、都民に対しても、議会に対しても、明確にそういう趣旨を述べることが必要だというふうに思います。これまでも何回もいってきておりますが、それを確認する意味でも、今回の定例会等で、そういうこともはっきりさせるような方向を知事には示したいと思います。

○石井委員 都政改革ビジョンについてお尋ねをいたします。
 この中に、民営化ということが書かれているわけであります。当面の取り組むべき課題として、都と民間との役割分担の見直しという中で、民営化ということが書かれております。これはもう青島知事の時代から、その前の鈴木知事の終わりごろから盛んにいわれているわけでありますけれども、具体的にどうされるのか、お尋ねします。

○荒川総務局参事 民営化につきましては、都政の守備範囲の見直しの一つの手法として、視点として掲げているわけでございますけれども、民営化は幾つかの課題がございまして、例えば、一つには、その事業が民営化して採算がとれるかどうか、二つ目は、職員の雇用関係の切りかえが伴う場合がございますので、それが円滑にいくかどうか、三つ目には、都民の利便性確保の観点から実施している不採算部門がある場合には、それをどう扱うかなどの問題が生じることがございまして、何をどのように民営化するかは、よく検討する必要があるというふうに考えております。
 しかし、都がサービスの提供者にふさわしいかどうか、それから現在の運営形態を継続する必要があるかどうかなどの観点から、都の事業を総合的に見直ししていく必要はあるというふうに考えておりますので、現在各局で行われております事業改革、あるいは今回の中間のまとめでお示ししました行政評価制度や自己検証、各局が行います自己検証の仕組みの中に、そういう民営化の検討を含めた役割分担の仕組みを組み込んでまいりたい。そういう中で、事業の点検を進めていきたいというふうに考えてございます。

○石井委員 スピードの重視だとか結果の重視だとか、盛んにきれいごとが書いてあるんだけれども、今のお話を聞いていると、やりませんということをいっているんじゃないかというふうに、こちらとしてはとらえたいと思うんだけれども、もう少し具体的にいってくれませんかね、何をどうしようとしているのか。

○荒川総務局参事 今、委員から改革のスピードが遅いというご指摘を受けましたけれども、今回のビジョン1は、いろいろなものが今まで混在していた都政の行政改革の中を、今まで長期と短期が混在していたり、あるいは全庁的なもの、各局的なものが混在していたものを整理しまして、全庁にわたる行政システムの改革に絞って取り組んでいこうということを示したもので、そのスピードが遅いということも認識しておりまして、年内にまとめます実施計画を含んだビジョン1の本編をまとめますので、その中で、今回の民営化の視点も含めて明らかにしてまいりたいというふうに考えております。

○石井委員 今の話は五年前から聞いているんですよね。五年前から聞いていて、全然変わっていない。今回、そもそも都庁改革アクションプランはなぜつくったのか、お尋ねします。

○荒川総務局参事 先ほど冒頭の説明でもございましたように、経済社会環境が非常に急激に変化していること、あるいは都民の行政に対する意識が非常に高まっていること、あるいは都庁の中の問題点がございまして、スピードあるいはコスト、成果について今まで意識が低かったこと、そういうことを認識しまして、早急に取り組むべきものということでビジョン1をまとめているところでございます。

○石井委員 昨年、財政再建プランをつくり、そして、かれこれ千九百億のさまざまな財源の見直しをし、それから外形標準課税の導入等で約一千四十億ですか、やってみた。しかしながら、なおかつ来年度は三千三百億円足らなくなるという状況、基金も何も崩して、何もないわけです。何もない。本当に本気になって財政構造というものを改革していかなければ、どこからも金は出てこないわけですよ。そういう待ったなしの状況にある。それが、本当はこの都庁改革アクションプランなんじゃないですか。
 そういう基礎の上に立ってということを考えれば、確かに大きな組織だから、ましてや民営化なんて非常に難しい問題ですからね。相手のあることだから、そんなに簡単にできることじゃないということは私たちもよくわかるけれども、もう五年も前から、六年も前から同じことばかりいっているんじゃしようがないのであって、多分知事はその先に意識がいっているんじゃないかと思いますけれども、もっともっと具体的に書き込んでいかないと、実施していかないと、これは間に合わないんじゃないか。今や、お題目だけで旗印を掲げていればいいという時代は終わったというふうに思います。いろいろご苦労されている点はわかりますけれども、やはりしっかりとやっていただきたいと思います。
 そこで、外郭団体のことをいろいろお尋ねしたいと思ったんですけれども、時間がありませんので、外郭団体は今日まで第二の都庁というのですか、失礼ないい方ですけど、東京都の人事制度の受け皿になっていた。したがって、その根っこを変えない限り、幾ら外郭団体をいじってみても、これは効率的な外郭団体になり得ないわけであります。
 しかしながら、今後、公務員の皆さんが六十五歳まで仕事ができる、公務員の再任用制度というのが十四年四月からスタートすると聞いております。その条例化も十三年に行われると。公務員の方々が六十五歳まで安心して働けるという環境ができれば、何も外郭団体を受け皿にして都庁の活性化を図る必要はなくなるわけで、外郭団体は外郭団体なりにきちんとした改革ができるんじゃないか思うわけですが、公務員の再任用制度について、また、その条例化の見通しについてお尋ねします。

○三宅総務局人事部長 地方公務員の再任用制度ということでお尋ねだと思いますが、地方公務員法の改正により導入されることになりました新たな再任用制度というのは、大きく分けて二本、柱がございます。一つは、高齢者の知識、経験の本格的な活用、二つ目は、年金制度改正に合わせた雇用と年金の連携でございます。
 こうした基本的な考え方に即して、都においても、それぞれについて現在検討を進めているところでございますが、本格的な制度の導入に当たりましては、年金制度の動向とか民間企業における定年制、あるいは継続雇用のあり方、賃金の実態、あるいは将来の六十五年定年制も視野に入れまして、都が既に導入しております再雇用制度との整合を図りながら、現在具体的な課題を検討しております。
 再任用職員といいますのは、定年前の職員と同様の本格的な職務に従事するということから、採用から退職、さらには定年後の新しく再任用される期間まで一体の制度として整備し、生涯を通じた任用、給与等の制度全般についてあり方を検討していきたいと考えております。こういった点を十分踏まえまして、新たな再任用制度の導入に向けて、今後職員団体とも十分協議していくつもりでございます。

○石井委員 六十五歳までのきちんとした身分保障ですか、それをしてさしあげた上で、やはり外郭団体についてもきちんとした見直しをしていくことが大事だと思います。そのことを申し上げて終わります。

○和田委員 初めに、東京構想二〇〇〇中間まとめについて関連してお伺いいたします。
 このまとめは、九月の四日に公表されました。それを受けて、当然中間まとめの過程において、石原知事にその都度の報告があって、また、知事もそれなりのコメントがあり、中間のまとめとして四日に公表されたものと思うのでありますが、石原知事は、この公表の結果についてのコメントといいましょうか、感想はどのようにおっしゃっているんでしょうか。

○安樂政策報道室長 知事のコメント、外に発表したものでは、いろいろ過程を経てこの構想ができ上がった、ただ、自分としてはまだ不十分な点もいろいろあると思っているというのが、公式の見解として出ております。
 内部では、いろいろ議論、特に政策会議の中でいろいろな議論が出ました。これは知事だけではなく、各担当しているスタッフの副知事なんかからも、いろいろ意見が出ておりますが、今後具体的な案を出す中で、この構想の本当の真価というのが定まっていくんだというふうに思います。そういう点は、知事の方からも、今後の具体化の中が一番大事だということは、我々も指示を受けております。

○和田委員 中間まとめでありますから、あらゆるこの種の中長期にわたる計画は、中間というのは大きな骨格だけが主でありまして、枝葉といいましょうか、具体的な詳細については、最終の答申がそれを示すものと思います。
 ただ、この種の大きな計画でありますから、途中まで行って、もとに戻ってまた出直すということはできません。したがって、中間までまとめられたものを、それほど大きく変えるというようなことはあり得ないわけでありますから、我々が今議論しているこの中間まとめも、大きくは、おおむねこの路線で多分まとまるだろう、そういうことを前提に今、委員会をしているわけでありますので、どの程度の修正なり肉づけができてくるかということに期待しながらも、知事が都民から信託を受けて出てきたという背景のもたらすものを、より濃密にこのプランの中に、計画の中に入れていくことこそが大事かなと思っておりますので、それについては、会派としても注目をしていきたいというふうに思います。
 まず初めに、具体的な、このまとめに関連をしてお伺いしてまいりたいと思うんです。
 東京をめぐる長期展望と今後十五年の課題という項目があります。この課題の中に、まとめでいいますと六ページから二九ページの今後十五年の課題というところまでありますが、1から7までが具体的な課題だろうと思います。その一つは、いずれ減少に向かう人口、厳しさを増す経済、増大する可処分時間、未来を開く都市空間、急速に進展する情報化、強まる環境面からの制約、どうなる年金制度ということで、このどうなる年金制度まで七つの課題をここに設定しています。
 私どもがこれにしばらく目を通してみますと、奇異なことに気がつくわけであります。それは、7のどうなる年金制度ということです。この二五ページからを見ましても、「東京都」という語句、あるいは「都」という活字は、このどうなる年金制度の中に一つもあらわれておりません。それ以外の六つの課題については、国の情勢はこうだよ、だけど東京都はこうだよと。人口問題については東京独自の問題でないかもしれませんが、全国と東京の比較をこのテーマの中にはきちっと位置づけて、将来構想の展望の一つの材料にしています。ところが、年金制度については、全く東京都の状況が示されておりません。これをどのように我々がかみ砕いたらいいかなという点で戸惑うわけでありますが、どう理解したらよろしいんでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 第1で掲げている人口ですとか経済ですとか、幾つかのいわば要素といいますか、コンポーネントに沿って、それぞれの長期的な課題を見る中で、どういう問題が抽出できるかということで第1はまとめているわけでございますけれども、ここの中で年金を取り上げましたのは、一つは、やはりこれからは都民生活を考えていくときに、基本的な社会保障制度というのはもちろん国の制度であるわけでございますけれども、ただ、東京都やNPO、ボランティア、さまざまな局面で社会の活力ですとか安心、安全ですとか、そういった生活を形づくっていくにしても、いわばその基礎になる、いわゆるセーフティーネットとしての社会保障制度というものは、国の制度とはいえ、基本的に重要なものがある。
 その中で、特に年金という課題を掲げた理由は、東京において、二〇一五年までに六十五歳以上の人口が一九九五年の二倍弱の三百万弱に急増する。老後に対する先行きの不安が増大する中、経済的に老後の生活を支える柱である年金制度の抱える問題を明らかにして、東京都から政府に改革を提案していく必要があるのではないかということが基本にございます。
 また、社会保障制度全般に、高齢化の進展等に伴って現在大きな課題があるわけでございますが、中でも年金制度につきましては、そうしたことに加えて、例えばこれからの雇用が流動化してくるとか、多様な生き方ですとか多様な働き方、そうしたものに現在の年金制度というものがうまく適応できていないのではないか、そういう課題が顕著にあらわれているということで、社会保障制度の中でのリーディングケースとして取り上げたところでございます。

○和田委員 要するに、外形標準課税の全国的な税制の問題に石原さん自身が提言もし、具体的に議会の方もそれに賛同したという経緯があります。このように国の特有の、固有の制度に向かって、変えていきたい、変えるべきだということをうたい上げるのは結構なのでありますが、一方では具体的なものがこれから積み上がってくる中で、このどうなる年金制度を、中間まとめはこれでいいかもしれませんが、具体的に最終に持っていくときには、どういう行動計画なり、政策的な裏打ちをされるんですか。

○関谷政策報道室計画部長 もちろん、一つは、年金制度というものが制度設計として、今後の雇用の流動化等に的確に対応できるような、そういう制度改革を求めていくということでの提言をしていくということがございますし、また東京都としては、社会保障も含めて全体としての二十一世紀における都民が、いわば安全、安心に暮らしていくための、もちろん自助、自力で、自己責任の中で生きていくということが基本でございますけれども、必要な場合には必要な安全ネットが整備されているような社会をつくり上げていくということで、全体として取り組んでいく必要があるかというふうに考えております。

○和田委員 先ほど、提案とか提言ということを、この年金制度については国に向かってしたいということでありますが、これは、さきに読み上げましたほかの六つの課題とは少しく性質、性格を異にしている課題だろうというふうに私は思います。したがって、これを同じようにくくれば、今のように、提言、提案で済ませていいのか、ほかの1から6までは違うだろうという議論の中で、絶対かみ合ってこない。したがって、私はこれをもう一度手直しを、まず要望しておきたいと思うんです。
 それと関連をするのですが、今回のこのまとめを見ますと、目次の中に、福祉という単語が一つも出ておりません。前の、別に青島さんのを見るわけじゃありませんが、青島さんの方は、やはり福祉とかいうことがほどほどに盛り込められた政策になっています。私が申し上げたいのは、平成九年から平成十二年、中身は三年ほどしかたっていませんけれども、これほどまでに、首長がかわると、一方では福祉としっかりうたわれていて、こちらの方では福祉というのがほとんどテーマ、課題になっていません。かつての青島さんが理事者の皆さんと一緒につくった生活都市東京構想、奇態なことに三カ年たったら、この二〇〇〇年の東京構想の中では、目次にさえ福祉は出てこない。この辺はどのように理解したらよろしいんでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 今回の福祉の関係の取り扱い方なんですけれども、福祉の関係はいろんなところに出てくるわけですが、一番多く出てまいりますのは、地域のケア能力を高め、可能な限り自立して生活できる社会を実現するという行政目標でございます。ここの中にある基本的な視点として、個人の自助努力を基本に、病気、障害や介護などにより生活支援が必要なときには、適正な負担により適正なサービスを利用し、都民が住みなれた地域で可能な限り自立して暮らせる社会を実現すると。そのためにも、保健・医療・福祉サービスを必要に応じて利用できる地域ケアシステムを整備していくんだということで、いわば保健と医療と福祉の連携みたいなものを強く出しておりますので、そういう形で、福祉という単独の形では目次に出てこないということでございます。

○和田委員 これも、石原知事の就任されてからの議会答弁なり行動の中で、私どもが見聞きしている範囲でも、福祉という言葉はほとんど使われていないということを受けて、今回のまとめになったのかなという想像をいたします。いたしますが、そう極端に三カ年間の間に急変するという事態もおかしいのでありまして、やはりどのような首長さんにかわっても、基本的なところはきちっと押さえていく、それがまた、住民なり有権者に対する一つの安心感でありまして、首長がかわるたびにこのような冊子ががらがら変わって、同じような資料がどんどんつくられていく。一方では、税収が少ない、三千四百とかという赤字になるよなんてことをいいながら、全く同じような、結果としてなる政策実現に対しながら、うたい上げる教科書だけは、首長がかわるたびに頻繁に、熱心にこのようにつくりかえられていくということの矛盾をぜひお考えいただきながら、最終まとめに入っていただきたいというふうに思います。
 それから、これは最後にこの件での要望でありますけれども、福祉という言葉を使うかどうかわかりません、先ほど医療、保健、介護も含めて、そういうトータルな形での一項を用意しながら、その中で年金制度などもくくっていくというようなことで、都民に安心した形での最終的な東京構想二〇〇〇にしていただきたいということを、これは要望いたしておきます。
 次に、目指すべき東京の将来像という第二章に入りたいと思うんです。
 ここでは、五三ページにエリア・コンセプトが示されています。先ほど申し上げた青島都政の生活都市東京構想の中では七つのエリア分割になっていますが、今回、こちらでは九つに設定をされています。これはどういうことで九つに、七つの理由は要りません、今回の九つの理由をお尋ねいたしたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 今回、エリア・コンセプトをまとめるに当たりまして、将来の都市構造や各地域が持つ産業、文化などを踏まえまして、九つのエリアを設定したものでございます。生活都市東京構想の際は、行政区域に沿ってエリアを設定しておりますけれども、今回は行政区域にとらわれず設定したところでございます。各地域が持つ個性的で独自性のある特色を生かして発展していく姿を、できるだけ端的かつ骨太に描写して、それを基本に都市づくりを展望していくことが、東京の魅力を高めていく上で必要であるという認識に立っております。
 行政区域にとらわれているか、とらわれていないかという違いがあるんですが、それ以外に、七つから九つに数字が変わっておりますのは、もちろん改めてエリアの設定をしておりますので、細かく見るといろいろ差異はございますけれども、一つは、区部においては臨海のエリアを独立させたということ、それから多摩につきましては、生活都市東京構想の際は多摩西部ということで、青梅とか、あの地帯と奥多摩の方、檜原なんかの地域を一つでくくっておりましたけれども、今回は多摩地域を三つのエリアから四つのエリアに分けまして、多摩西部と多摩中央部北ということで分割しているという点が、エリアとしては大きな違いだろうというふうに考えております。

○和田委員 生活都市東京構想では、区部中心部を区部中心部エリアとして十区、それから川の手とか新山の手というエリアに分けて、今おっしゃったとおり、行政区をしっかり守りながら色分けをされています。今回は、全くその地域には頓着をしません。例えば、青梅、日の出、あきる野、八王子は完全に、緑化の理由かわかりませんけれども、行政区に関係なく半円状に切られております。
 それから、センター・コアと称する区部の中心部でありますが、ここを見ましても、足立も北も、それから葛飾も江戸川も、品川もでしょうか、全部円状に、全く行政区に関係なく、コンパスを中心にやったように切り取られてしまっているんです。我々生活している人間は、例えば、北区あるいは足立区、墨田区というところの区レベルで生活圏を結んでおりますから、エリアを行政区を外してやるということによる、例えば青梅市さん、あきる野市さん、あるいは北区とか、首長はもとより住民も議会も、このプランは、どういうところからどういう根拠で我が町を分断するんだというのは必ず出てくると思うんですが、これについてはどういうご説明をされるつもりでいるんですか。

○関谷政策報道室計画部長 今回わざわざエリア・コンセプトという横文字を使っているのは、一つは、端的かつ骨太に大きく地域のイメージというものを提示していくということに主眼を置いたわけでございまして、一個一個のいわば地域計画みたいなことを固定的に積み上げていくという発想を、基本的にはとっておりません。
 これから、できるだけ中長期的、できれば五十年を見据える中で十五年後の構想を考えていくときに、現在、さまざまな地域の中で、産業の集積ですとか、いろんな集積の状況が展開しているわけでございますので、そのことは、必ずしも行政区域によって画然と分かれているわけではございません。その辺の地域の実態、今後その地域がどういうふうになっていくかということのいわばコンセプトを提示するという趣旨から考えると、行政区域にとらわれずに提示することが適当だろうというふうに考えたところでございます。

○和田委員 地方分権一括法も含め、国の流れというのは、中央から都道府県、都道府県から市区町村へというふうに、いろんなものが充実して下部の方に移譲されてきています。もとより権能、権限も、財政もそこをしっかりしなきゃいけないわけですが、そういう一方での動きの中で、今回のように、大都市選挙区のように、がばっと東京都全体のあり方を、上の方から、あなたの町はここのところが境だけれども、ここの商業だとか文化だとか、その種の色合いで切らせてもらいますよということになって、一方では、ふるさとだとか郷土ということを町や区は一生懸命うたい上げて、我が町ふるさと何とかというふうにいっているわけですが、そこのところをぐちゃぐちゃにするようにも受け取れる今回の東京都の施策でありますから、先ほど申し上げたのは、当該市区町村にどう説明していくのかということなんですよ。
 これは、わかりますよ、書けばいいんだから。けれども、そこで生活をして、営んで、学んで、そこでもって介護を受けたりしている人の今回のこの色分けというんでしょうか、それとのギャップをどうするんですかということを聞いているんです。

○関谷政策報道室計画部長 今回のエリア・コンセプトは、行政区域にとらわれず描いておりますけれども、どこにその境界線を置いているかということについて、明確な線を置いているわけではございませんで、読んでいただけるとわかるんですが、例えば立川については、エリア・コンセプト的には、多摩中央部の北と中央部の南いずれにも立川あたりは重なるような形で、それぞれのエリアに対しての圏域とか鉄道のネットワークですとか、さまざまな産業的な分布ですとか、そういう点でさまざまに影響を与えておりますので、両方のエリアに所属しているような形で、いわばそういう意味での地域像のイメージを提示しているわけでございますので、ご理解をいただきたいと存じます。

○和田委員 コンセプトとかエリア・コンセプトとか、あるいはイメージとか、全くわかったようなわからないような横文字を使われますけれども、私が再三申し上げているのは、その町で生活している人は、コンセプトもエリア・コンセプトも、それからイメージも全く関係なく不況の中で今生きているわけですよ。そういう方々がこの計画を知ったときに、待てよ、どうしてうちの町はこうなるのという説明を、今の関谷さんのように、いや、コンセプトだとかイメージだとかいったって、全然受けとめられませんよ、これは。だから、そういうところを踏まえて、どういう説明をお願いしたいというふうにきたときにも、わかりやすく、説得できるような、そういうプランにぜひしていただきたいということを強く申し上げておきます。
 二十三区だけを見ましても、区部の東部と北部、それから西部と南部では、全く歴史的な経過の流れだとか、あるいは住んでいる皆さんの生活実態も違いますし、地場産業など、少なくなっていますけれども、それだって全然受けとめ方が違うわけでありますから、生の生きた鼓動する都民なり地域の、あるいは市区町村といっていいかもしれませんが、そういうところにも、ある場面では事情を聞きながらこの種の計画を進めていきませんと、寝て起きたら、市区町村の皆さん方が、こういう計画を都が立てたんだから従ってほしいというふうに受けとめがちな、そういう高圧的な今回のプランにしていただきたくないために、私は強くこのことを申し上げているのでありまして、細か過ぎて細か過ぎることはない、そういう意識でこの計画をまとめていただきたいということを申し上げておきます。
 次に参ります。
 生活圏レベルの職住近接型のまちづくりというのが、この説明では七九ページにあります。これは、十五年間の政策の目標と取り組みの方向性という第三章の中にうたわれているわけです。私たち都議会民主党といたしましても、二十一世紀の東京を考えるときに、高付加価値を生み出す東京、これを一つのキーワードにしていくべきだと思っています。そのためには、有能な人材、それは国内に限らず、国外からもぜひ来ていただく、そういう魅力をつくっていくことが大事だと思うんです。
 その中で、私たちがそういう有能な人材を国外からも国内からも東京に集めようというときに、一番の問題というのは、良好な住環境、住宅といっていいかもしれませんが、それが大事だろうと思っているんです。この中間まとめの中の七九ページにも、それはセンター・コア・エリアという形で書かれておりますけれども、このセンター・コア・エリアという心臓部分の中に、しっかりとした住居ゾーンを入れていく必要があるのではないだろうか。
 ただ働く場所だけではなくて、職住近接、それも防災などがしっかり保障された、そういう国際的な住居、それを皆さんのおっしゃるセンター・コア・エリアの中に位置づけて、安心して東京で皆さん方の高付加価値を、産業や、あるいは文化や学問に生かしてほしいという保障を用意しておくべきではないのかなと思うのでありますが、この生活圏レベルの職住近接型のまちづくりの中で、センター・コア・エリアの中の住居ゾーンの設定についてはいかがでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 良好な住環境の整備は、東京の魅力と活力を高めていく上で極めて重要でございます。特に都心部においては、都心居住を重点的に推進し、職住が近接した効率的なビジネス空間を形成することにより、国内外の人々を引きつけ、都心部を活性化する必要がございます。
 その際、住機能のみに特化したゾーンを位置づけて、一定の地区の中で住宅だけを提供するということではなくて、商業、業務、文化などさまざまな機能をあわせ持った複合的な都市空間をつくっていくことにより、都市生活者が都心居住を享受できるようにする必要があると考えております。
 そこで、中間のまとめでは、センター・コア・エリアにおいては、土地を有効高度利用する民間事業者による複合的な開発を誘導しながら都心居住を推進し、住機能を含め、さまざまな機能が複合した魅力ある都市空間を積極的に創出していくこととしております。
 ただいまご質問があった居住ゾーンということなんでございますけれども、少なくともこのセンター・コアとか環状メガロポリス構造というのは、いわば都市構造の骨格的な構造を提示しているわけでございますし、センター・コア・エリア全体の中で、いわば東京都のレベルから見て、大きくここは居住ゾーンだというような提示の仕方は、私どもとしては余り適当ではないのではないかというふうに考えております。
 ただ、先ほどの理事からのご指摘にもございますけれども、エリア・コンセプトもそうなんですが、例えば地区計画レベルのような地域の問題になったときに、それをゾーンと呼ぶのかどうかわかりませんけれども、これが居住のエリアだとかなんとかというコンパクトな世界の中で、いろんな色分けが出てくるとか、そういうことは当然あるであろうというふうに認識しています。

○和田委員 地区計画も含めて、将来、東京都はこの中間まとめを含め、最終的な方向づけを出したら、それを市区町村の自治体はしっかり受けとめて、それなりの自分たちの与えられている行政能力の中で処理していくわけですね、町をつくるのに。その中に、地区計画ももちろん入っています。ですから、もとより、この計画を真摯に受けとめて市区町村の計画ができるわけですから、その過程の中で、細かな配慮をし過ぎてし過ぎることはありませんよということは、私も前からいっていることなので、重ねてそのことは要望しておきます。
 それから、これは東京構想二〇〇〇については最後になりますが、労働の問題について触れたいと思います。
 まとめの一〇九ページの取り組みの方向性の中に、2として、労働者のエンプロイアビリティーを高めるというふうに書いてあります。これは、私ども都議会民主党も前々からいっていることでありますが、戦後の労働というのは、生きるため、食べるために働かざるを得ない、働くということでありました。残念ながらこうだったと思うんです。ところが、これからは、よりよく生きるためにどう働くかというふうに重点を移行しなければならないと思っています。
 そのときに、働く場所というのは、従来の企業への就職、そういうふうな企業だけではなくて、NPOやワーカーズコレクティブなど多彩な就業形態があるわけでありますから、ただお金もうけ、そういう営利だけを求めない分野にも広がっていくことになるだろうと思っています。
 企業への就職においても、この中間まとめにおいて、先ほど申し上げた労働者のエンプロイアビリティーということで表現されておりますけれども、こういうことが、これからの二〇〇〇年以降十数年にわたって都政が求める一つの方向であるということに、私どもは大賛意を表するわけでありますけれども、この結果として出てくる具体的な姿勢というのは、従来のように産業に従事した労働行政、産業に依存した労働行政じゃなくて、社会に働きかける労働行政というふうに姿勢を変えていかなければならないと思うんです。
 この中間まとめの中にも、働くことに関する分野が随分出てきておりますけれども、今私が最終的に申し上げた産業に従事、従属した労働行政じゃなくて、社会に働きかける労働行政というふうな、より開かれた、産業に依存しない、あるいは従属しないという姿勢での労働のあり方を、この東京構想二〇〇〇の中でしっかり打ち出していくべきだと思うのでありますが、いかがでありましょうか。

○関谷政策報道室計画部長 これからの時代、働くということについては、さまざまな形態が生まれてくるのではないかというふうに考えております。従来の古典的と申しますか、いわば企業に就職しまして、その労働の対価として報酬を得るというような形での働き方は当然あるわけでございますけれども、その働き方自体も、就業形態等さまざまな形態が生まれてくるだろう。さらには、NPO活動やボランティア活動などの社会貢献や社会参加を含めた、多様性や広がりを持ったものになってくるだろうと受けとめております。
 中間のまとめにおきましても、地域社会の担い手となるNPOの育成ですとか、短時間労働やワーカーズコレクティブなど、ご指摘のあった多様な就業形態について促進していくため、就業モデルの作成などの事業に取り組んでいきたいというふうに考えております。

○和田委員 都庁改革アクションプランに移りたいと思います。
 ここの中の一六ページなのですが、当面取り組むべき課題ということで、行政サービスのあり方を見直し、都の役割を明確にする、こうなっています。都と民間、都と市区町村の役割分担もここに書いてありますけれども、これについては、我々民主党としてもしばしば述べておりますので、きょうは割愛をしますけれども、この中で、PDCA、プラン・ドゥー・チェック・アクションという、珍しいサイクルの再構築というのが出てきております。
 これは、行政評価制度や、あるいはPDCAサイクル、検証システムということで、その一環になっているわけでありますけれども、これらは、後にこの報告の中で出てきます機能するバランスシートとか個別施策別の財務諸表、こういうものと一緒に活用されるべきだと思うのでありますが、独立単独ではなく、あらゆる諸表やデータを組み合わせていくべきだと思うのでありますけれども、どのようにお考えでしょうか。

○中田総務局参事 行政評価などを行う際に、事業の性格によりましては、バランスシートなどの財務諸表が、事業の効率性を判断する上で貴重な判断材料の一つになり得ると考えています。したがいまして、今後、個別施策別の財務諸表が作成された際には、行政評価におけます評価項目であります効率性などの判断に活用することが考えられます。

○和田委員 せっかく皆さん方が工夫してつくり上げられたもろもろの制度でありますから、有機的にそれを結合して生かしていただきたいと思います。
 次は、二四ページの効率的な執行体制を整備するというところについて伺います。
 都議会民主党は、常に事あるたびに、政策報道室あるいは総務局、財務局を再編成して、政策部門と内部管理事務部門とに分けるべきだというふうにいってきたのでありますけれども、今回の効率的な執行体制を整備するという中に出てくる、トップマネジメント補佐機能のあり方を見直していくという表現の中で、我々が申し上げている政策報道、総務、財務局の再編成、これとはどういうふうに関連をしてくるでしょうか。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 二十一世紀においても、都政のかじ取りを誤りなく進めていくためには、政策立案・調整機能、それから組織、人事、予算などの諸機能がお互いにチェックするとともに、連携協力し合っていくことが重要だというふうに考えております。このため、今回の見直しでは、特に政策立案・調整部門について、その時々の課題に弾力的に対応できるよう、簡素で機動的な組織にしたいと考えております。

○和田委員 結果として、都民にスピーディーな結果の持てる行政を表現するといいましょうか、表明することが大事でありますので、従来の仕組みにこだわらずに、積極的に変えるところは変えていただきたいというふうに思います。
 それから、同じく二七ページに参りますと、監理団体の改革があります。総点検のための基本指針の中には、実効性ある制度、経営努力が図られる仕組み、経営責任を明確にする仕組みなどとありますけれども、具体的には、どんな仕組み、制度を想定しているのかということなのです。
 ここにも書かれておりますけれども、各監理団体が策定する平成十二年から十五年までの四カ年の経営改善計画、それとあわせて総点検結果を取りまとめて、ことしの秋、平成十二年の秋には、団体の統廃合、あるいは都派遣職員など常勤職員を削減することなどを公表して、十三年度、来年度から予算の中に反映していく、こういうことを示されているわけでありますが、時間的にも間に合うのかどうなのか。それから、どのような制度、仕組みを想定しているのか、二問について伺います。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 ただいまご指摘の実効性ある制度とは、基本指針でいう経営評価結果が団体の経営改善に確実に反映される実効性ある制度に見直すというものでございまして、具体的には、各団体が設定する経営目標の内容と達成度を評価しまして、その結果を役員報酬へ反映させる仕組みを導入するというものでございます。
 また、経営責任を明確にする仕組みということでございますが、これは基本指針でいいますと、団体役員については、民間の人材を積極的に活用するとともに、業績に応じた報酬とするなど、経営責任を明確にする仕組みを導入するというものでございまして、具体的には、団体の最高責任者は原則として副知事、局長などの充て職を廃止する、それから、必要に応じて民間からの経営役員制度や社外取締役制度などを導入するとともに、役員の業績評価を行いまして、これを反映した役員人事、報酬体系を導入したいというものでございます。
 この秋までに、経営改善計画あるいは総点検結果が間に合うのかということでございますが、我々は、それに間に合わせるために、ただいま関係局、関係方面と鋭意調整中でございます。

○和田委員 何回かもう質問してまいりましたけれども、単なる充て職という平らな言葉を使われますけれども、退任された後、いうなればそちらに天下るというようなことなどが議会からも批判が出ましたし、また都民からも大きな批判が出ているだけに、その禁止ですとか、あるいは民間等のその方々の生かし方などを含め、今おっしゃったように年度内に実現をし、公表するなりし、十三年度の予算から生かしていくということは、強くこれも求めておきたいと思うんです。
 次は、要望であります。
 三〇ページなのですが、人事・給与制度の見直しです。
 これは、これまで財政再建の名前のもとに、経費削減ですとか賃金カットなどが続いて、いうなれば職員のモラール、やる気が損なわれてきているということも聞きます。一方で、この三〇ページには職員一人一人を生かす、こうありますが、職員のやる気を引き出す、能力を引き出す、あるいはそういう前向きな人事・給与制度をぜひとも構築して、モラールの低下のないような人事・給与制度の見直しをしていただきたいということ、これを要望しておきます。
 あと、IT化の推進です。
 これは三一ページに記載されておりますけれども、ここに書いてある電子都庁の具体的なイメージだとか、あるいは、そのために年度内に策定されるといわれている電子都庁の推進計画、これはどういうふうになっているのか。ここに図式ではなっているのでありますけれども、よりわかりやすく短くお願いをしたいと思います。

○高橋総務局総務部長 電子都庁でございますが、IT革命の成果を都の行政に積極的に取り入れまして、行政事務の抜本的な見直しを行うことで、都民サービスの向上と事務の効率化を図るというものでございます。
 具体的には、従来といいますか、現在でも紙と人手を介して行われている納税、収納、あるいは各種の申請、届け出、それから情報公開、物品調達などの業務をインターネットなどを通じて行いまして、あわせて各業務プロセスの簡素効率化を図っていくということを考えているものでございます。
 次の電子都庁推進計画でございますが、電子都庁が目指すものをわかりやすく明らかにしながら、具体的な電子都庁のサービス業務と情報基盤整備の道筋を示してまいります。計画の期間は、平成十三年度から平成十五年度までの三カ年を予定しているところでございます。

○和田委員 その三カ年の間に、より充実した形での導入をぜひ期待しておきたいと思います。
 同じくなのですが、情報基盤の整備を急ぐというふうになっています。私ども民主党は、六千になろうとする事務事業、これを抱えて各局がそれぞれ一生懸命頑張っているわけでありますけれども、業務プロセスの抜本的な見直しというふうに書いてありますが、このためには相当抵抗もあり、障壁もあると思うのでありますけれども、この具体的なリーダーシップ、これをどういう意気込みでおやりになるのかということを伺いたいと思います。

○高橋総務局総務部長 お話の電子都庁を実現するための推進体制は、非常に重要な検討事項というふうに認識をしております。大変数多くのシステムの整備を図るとともに、また、多種多様な業務プロセスの抜本的な見直しが必要ということでございまして、このため、電子都庁に向けまして全庁をリードし、また各局を支援していける、そういう総合的かつ一体的な推進体制を、今後、この計画の検討の中で整備をしていきたいというふうに考えているところでございます。

○和田委員 これから先端的に取り組んでいただく事業でありますので、あらゆる情報をとりながら、より確実に進めていただきたいと要望しておきます。
 最後になりますが、東京都は平成十年度の一般会計決算で、十八年ぶりに千六十八億円の実質収支赤字を計上いたしました。また、十一年度の普通会計の決算においても、経常収支比率が一〇〇%を超えたということで、財政の弾力性がいわれています。そのようなやさき、このアクションプランが出るわけでありますが、それに関連して、三四ページの予算・財政制度の見直しについて伺いたいと思うんです。
 そこの中には、予算編成過程において各局の責任で見積もる経費の範囲を拡大していきますというふうに書いてあったりもいたしますけれども、確かに、この間のたびたびにわたる財政再建路線によって事務事業見直しが進んできていますけれども、実のあるものかなというと、どうも我々はそうは思っていないんです。
 今後の新しい予算・財政システムの構築に当たっては、機能するバランスシート、先ほど申し上げました、それから行政評価制度を整備して、それらをもとにした評価が適切に行われるようにならなければならないと思うんです。その結果、予算編成過程も簡略化され、透明化されてくるということであります。
 そういうことになると、各局各部門において自発的な事務事業の見直しが十分に行われる結果をもたらすことになると思うのでありますが、これについての意気込み、姿勢についてお伺いいたします。

○成田財務局主計部長 改めて申し上げるまでもなく、予算編成に当たりましては、まず、各局各部門が予算要求や事業実施の過程を通じまして、事務事業の不断の見直しを行っていくことが必要でございまして、その際には、ただいま委員ご指摘のバランスシートや行政評価の適切な活用は有効な手段になると考えております。
 しかしながら、それぞれの事務事業を適切に評価することは、いうにやすく行うはかたしでございまして、自発的な見直しに期待しつつも、それを待っていては必要な見直しが進まないのではないかと考えております。
 いずれにいたしましても、現下の緊急課題である都財政の再建に向けまして、財務局といたしましても、各局と連携を深め、引き続き事務事業の徹底した見直しを行い、財源の効率的な配分を図ってまいりたい、かように考えております。

○和田委員 最後になりますけれども、私、今質疑をさせていただいてまいりましたが、この都政改革ビジョン1に引き続いて2が出てくるわけでありますけれども、これに向けて局長がどのような決意をお持ちなのか、お伺いいたしたいと思います。

○大関総務局長 東京都の行政改革のねらいでございますけれども、まず、時代の変化を踏まえて、東京の将来像を見据えながら、効率的で質の高い都民サービスを提供できる都政をつくり上げようということで進めているわけでございます。
 ビジョン1、これは、こうした改革を行うためにも欠かせない当面取り組むべき行財政システム、この改革を重点に内容として示すものでございまして、まず、やれるものをやってみようということで、一つは、各局でやっております仕事の中で、まず直せるもの、これをすぐにでも取り組んでくれということで、効率的な事務処理システムの構築を考えてほしいということで取り組んでいただいているわけでございます。
 そういう中で、全庁的な、例えばIT革命の成果、こういうものを最大限取り入れた電子都庁化の実現の道筋もつくっていく、あるいは監理団体の統廃合計画などで具体的に取り組んでいく、こういうものを進めてビジョン1の具体化を図ろうというものが、まず当面の課題でございます。
 そういう中で、職員の意識改革といいますか、これが一番大事だと思っております。ご案内のとおり、先ほど来再三議論になっておりますけれども、やはり公務員に今まで一番欠けていたのが、何といいますか、時間とお金だと思います。そういうことも考えまして、スピードが一、それから二つ目はコスト、そういう中でどういう成果、いわば民間でいいますと、どういう商品ができ上がるかということになろうかと思います。そういう中で、安く、効率のいい、そしていい商品をつくっていくということの意識改革を進めていくということが、まず基本になるんじゃないだろうかと思っております。
 しかし、こうした中で進めていきましても、やはり限界が出てくるわけでございます。それは、例えば区市町村との役割分担ということで、理想論をつくったといたしましても、受け皿が大変違うわけです。基礎体力が区によって大変違う。これらは、自治体の再編成まで踏まえた中で取り組んでいかないと解決しない。
 それから、電子都庁化を図ったにいたしましても、いろんな規則その他がございまして、法律等もございまして、例えば簡単な手続をとろうとしても、ワープロがパソコンに変わっただけという状況があるかもしれません。これらは、法律改正、条例改正、様式の改正、こういうものをして次の改革につなげていかなければならないだろうと思っております。
 そういう点では、自治制度あるいは自治体の再編成、こういうものを見据えた中でのビジョン2に取り組むということが必要だと思っておりますので、そのためには、まずビジョン1をぜひ成功させていきたい、このように考えております。

○山崎(泰)委員 この「東京構想二〇〇〇(仮称)中間のまとめ」から、何点か伺います。
 余り質問通告をしていなくて大変恐縮なんですが、先ほど冒頭の質疑の中で、長期にわたるものを、今なぜこの時期につくったのかというやりとりがありました。私、五番目なものですから、ずっとやりとりを聞いていたんですけれども、いま一つわからないのは、なぜ十五年後なのか。余り細かいことを申し上げるつもりはありませんけれども、一つの区切りでいくと、普通は予測可能な範囲の中で五年後とか十年後ということがよくあるわけですけれども、これは前段の、五十年を見通していただくのは非常に結構なことだと思うんですが、ただ、十五という数字に特段の意味があるのかなと。
 もしかすると、数字的な、統計的な裏づけが十五年になっている、それなら、それはそれでもよし、また、知事が強い思い入れで二〇一五という指示をされたんなら、それはそれでもよし、また、局の皆さんの中で上がった場合は、それはそれでよしという中で、先ほど来の話の中で、どうしても、何ゆえ二〇一五年かというのがいま一つわからぬものですから、まずそこら辺から教えていただけますか。

○関谷政策報道室計画部長 今回東京構想をまとめるに当たりましては、基本的に五十年後をも見据える中で、できるだけ中長期的な展望を描いていきたいと。ただ、東京構想はやはり行政計画といいますか、行政がつくる構想でございますので、現在全くネガを出していない、動きも見えないものについてビジョンを描くというのは、なかなか難しいところがございます。そうしますと、できるだけ中長期的なレンジで物事を考えるとしても、できるだけ長くしても十五年が限度なのかなということは基本的にございました。
 それから、もう一つは、現在高齢化が進んでいく中で、二〇一五年ごろが、ちょうど高齢者の絶対数の伸びの、ある意味ではピークに届くわけでございます。一五年から二〇二〇年あたりまでは、若干増加しますけれども、大体横ばい状態でいって、それ以降につきましては、もう余り高齢者の絶対数は伸びません。ただ、二〇五〇年に向けて、少子化等の影響で高齢者の比率はふえていくというふうに大体見ているわけでございますので、これからの高齢化に対応して、ある意味での高齢化のピークというんですか、そういうことを視野に入れるという意味でも、二〇一五年というのが適当ではないかというようなことも含めて、二〇一五年を設定させていただいたわけでございます。

○山崎(泰)委員 大体わかりました。
 先ほどの質問に出ていて、なるべく重複しないようにと思いますが、この三七ページ、いわゆる新東京人というものの像があります。今の二〇一五年のイメージは、何となくわかりました。なぜ一五年を目指したのかは、よくわかりました。これは、二〇一五年の東京を担う新東京人像というふうに書いてある。今の具体的な、十五年後をなぜ目途としてこれを定められたのかというお話と、ここに書いてある新東京人像というのは、先ほども重ねてお話にも出ていましたが、どうも余り合わないなという感じがいたしてなりません。
 理想なら理想で徹すればいいですし、今のように具体的に、十五年はこういうことでぎりぎりなら示せるだろうということのベースでつくったのであるならば、どうもここの域まではなかなか行かないんじゃないか。先ほど、もうちょっと目線を落としたらどうかという話もありましたが私も全くそういうふうに思います。
 例えば、ざっくばらんにこれを見られた方がどう思うかというと、確かにこうなりたいけれども、どちらかというと、例えば、三八ページに可処分時間の拡大というのがあります。年間労働時間千八百時間が達成され――私が印刷屋だからいうわけじゃありませんけれども、これは大企業の話だろう、何となくこういうふうに思われても、一生懸命つくった皆さん方にとっては、いや、それは違いますよと。なるべくなら、そう思われたくないんじゃないですかね。だから、そういうようなことを含めて、ちょっとここら辺のことがいま一つ十二分に理解できないなというのがあります。
 それで、重ねて恐縮ですが、理想はわかります。あえて、なぜこの中にこういった新東京人像というのを十五年後の姿として入れられたのか、それから、これがどういう裏づけがある、裏打ちがあるということなのか、局の中でどう思われたのか、外からどう意見を聴取されたのかということも、いま一度ご答弁いただけませんか。

○関谷政策報道室計画部長 新東京人という、いわば高い理想像を掲げたということの理由につきましては、先ほど一度ご答弁させていただいておりますけれども、繰り返しになりますが、新たな社会システムは、自己の責任に基づいた多様な選択に基づき、個人が能力を十分に発揮することにより個人が充実するとともに、そのことが社会の発展にも結びついていくものにしていく必要がある、そういう社会システムを形づくっていく必要があるであろうというのが基本的な認識でございます。
 これは、自己の責任に基づいて多様な選択に基づきというのは、いい方として非常に前向きな、当然個人として主体的な取り組みが期待されるわけですから、構想としては前向きな表現になっているわけですけれども、逆に、1のところで述べておりますように、例えば、これからは嫌でも今までの、終身雇用ですとか年功序列型賃金ですとか、また会社自体、企業自体もだんだん寿命が短くなってくるという中で、転職ですとか、求める求めないにかかわらず、そういうものに遭遇するような人生を送っていかなきゃいけないとか、また、情報についても、革命的に情報量がふえてきて、さまざまな人が、例えばインターネットなどがそうでございますけれども、今までは大量の情報というのは、ほとんど一般の都民の方たちは受け手の立場にあったわけですけれども、これからはさまざまな人たちが供給側にも回ることができる。そういう中で、情報が多量になってくる。当然その中では、自己の責任に基づいて選択をしていくということ、それは一つの望ましい姿であると同時に、そのことが強いられてくるというんですか、そうせざるを得なくなってくる。
 そういう人たちが、今後そういう中で行動していく中で、個人として充実し、しかも、そのことが社会の発展に結びついていく、そういうものを一つの理想像として提示すると。そういうことで、新東京人というものを提示したわけでございます。

○山崎(泰)委員 総論レベルでの話で、余りやりとりする時間もありませんが、確かに理想を示すことはわかりますが、やっぱり十五年というと、結構遠いようでも、あっという間に来るかもしれません。そこら辺のきちっと生活実態をつかむということとあわせて、どういう経緯かということに関しては今お話がありませんでしたが、時間の限りがありますので、あえて問いませんけれども、やっぱりこういうことこそ、決して都庁の中だけでもんではいかぬレベルの問題である。
 ですから、いろんな皆さんにインタビューされたということが後ろに載りましたから、もちろんこういったことも踏まえて入っているんだというふうに信じていますけれども、逆にいうと、今、都議会の中でのあり方の検討委員会をやっていますが、こういうことこそ、もう少しラフな議論のレベルで、議会サイドとも少しは意見のやりとりがあってもいいんじゃないかなと。今後も、もちろんそれはそういうふうに思います。それ以上申しません。
 それから、この二九ページに、いわゆる今後の十五年の課題が出て、さっきから何度となく議論になっているところでございます。二つほどコメントというか、要望をして、一つだけどうしてもわからぬところがあるものですから、質問を申し上げます。
 前後になりますが、ちょっとわからないところはどこかというと、東京の都市構造の転換という三一ページのところで、市街地が無秩序に広がったことで云々かんぬん、そこに「職住の近接、渋滞の解消等を進め、人びとの活動を阻害する、さまざまな障害」云々かんぬん、都市構造に関して、その障害というのは一体何なのか、東京都として考えた障害とは一体何なのかということが答えてほしい一つ。
 それから、あと聞いておいてください、答弁考えながら。二つばかり、あえて文言に入れなくてもいいですけれども、私の問題意識を申し上げます。
 一つは、今、それぞれ局で朝から晩まで仕事をされる皆さん方もそうかもしれませんが、最近、昔からいわれた勤労者、サラリーマンに限りませんが、勤労者の定年後、特に職住が離れている場合、もちろん男性のみじゃない、女性もそういうケースがあるかもしれませんが、特に男性のサラリーマンの定年後というのが、随分前から、これは近い将来社会問題になるかもしれぬといわれつつ、もっと顕著になってきたような気がします。特にその年齢が非常に早くなってきたというようなことを含めて、そういう皆さん方をその地域の中でどう取り込んでいくか。
 先ほど来、いろんな言葉が出てきましたけれども、このことの部分に関しては、まさにこれは東京のみならずの問題ですけれども、やっぱり問題意識として強く持っておいていただき、次の案を作成する、フィックスする際にはしんしゃくをしていただきたい。
 それから、住宅の整備等の部分に関して、私は端的に申し上げて、公共住宅で整備をするのはベストかもしれませんけれども、こういうような財政状況、それから土地の取得の状況等々を含めて、やっぱりおのずから公営住宅というのは、今の段階でいうと、整備の速度を上げるという意味では、なかなか限界があるのかなというような気がしてなりません。
 そういったときに、民間ディベロッパー等と開発をした、例えば、再開発区域でそういった形での民ディベを活用した民間資本に頼っていくことによって、従前、金がないからといって、例えば私ども北新宿なんかもそうですけれども、とまりがちだった再開発事業をもう一歩先に進める速度を速めるとか、恐らく皆さんもおいでのところですけれども、そういうようなことを含めた部分での、ここにさまざまな重点的な投資という話、それから事業手法の工夫なんてことがありますので、ぜひともそういうことも視野に入っているとは信じていますが、最終版というときには、そのことも含んでおいていただきたいというふうに思います。
 そこで、済みません、先ほどの障害のことに関してお願いします。

○関谷政策報道室計画部長 ここで、「各種の歪みを是正し、職住の近接、渋滞の解消等を進め、人びとの活動を阻害する、さまざまな障害を除去しなければならない。」ということを述べておりますけれども、幾つか例を申し上げます。
 一つは、当然通勤時間がえらくかかることによって、いわば可処分時間が制約される。そのことによって、さまざまな活動ですとか、例えばボランティア活動をやりたいだとか、地域でのいろんな参加をしたいだとか、そういう仮に欲求を持っていたとしても、なかなかそれを満たせない。
 また、職住近接が実現していれば、子育てをしながら働きたいだとか、さまざまな生き方だとか働き方の選択というのが、そういう混雑みたいなものを解消していくことが生き方の選択を拡大していくというんですか、そういうことを念頭に入れて、人々の活動を阻害するといういい方をしているところでございます。

○山崎(泰)委員 具体例があったので、その件はわかりました。
 それから、先ほど来、センター・コア、センター・コアという話が出ておりますので、私もちょっとその件に関して、都心部の議員ですから、お教え願いたいと思います。
 特に、これは具体的に四三、四、五ページにかかわるのかと思うんですが、センター・コアの位置づけは何となくわかりました。別に、どこの行政区域がどうこうだということに関しては、私は細かいことを申し上げるつもりはありません。
 それで、何をお聞きしたいかというのをまず冒頭申し上げておくと、今までの都心と副都心計画との関連がどうなっているのかというのを聞きたいんです。
 従来、丸の内、大手町にあった都心を、それぞれ業務等々分散をさせるために、こういってはあれですけれども、例えば中央線に行く、そのエリアの中に新宿というものを置いた新宿の副都心エリアがあった。当時、埼京線があるならば――赤羽線でもいいですけれども、そこのエリアのちょうど真ん中に池袋駅をつくった。東海道線は、東海道線の沿線のところに、必ずしも都心まで勤めに来なくても、必ずしも都心まで買い物に来なくても、品川にそういう場所をつくっておけば、品川に業務・商業地区が分散されるだろう、こういうことですよね。
 千葉方面から東京に来られる皆さん方には、東京の丸の内、東京駅でおりなくても、いわゆる亀戸、錦糸町あたりに都心にかわり得るそういったような業務的な副都心があれば、そこでいいだろうというような、今まではこうやってぶつかっているところ、放射方向で入ってくる部分に関しての分散という意味で、いわゆる一から七までの副都心計画をつくった。
 最後にできたのは、そこまでつくってもどうしても業務機能がいっぱいになってしまうから、当時、バブルのはじける直前、東京都心部から四、五キロしか離れていなかったあの臨海副都心に、外側から入ってくる人はいなかったけれども、今度は中から分散するという意味で七番目をつくったというのが、違ったらいってください、これまでの東京都の副都心構想だと思うんです。
 そうした今までの副都心構想をつくってきて、最後、都庁が新宿に移ってきたというようなことと、今回のセンター・コア・エリアということがどう絡んでいるのか。これによって、また物事を集中させようというつもりは別にないだろうということは、ニュアンスとしてわかりますけれども、従前の、もう長い間にわたって進めてこられた副都心の計画と、今回いきなりとはいいませんけれども、このセンター・コアって、初めて見た言葉なので、その構想がどう絡んでいるのか絡んでいないのか。

○関谷政策報道室計画部長 従来の多心型都市構造は、業務機能の効率的な配置を主眼に置いたものでございまして、副都心や多摩の心(しん)の育成などに一定の成果を上げてきております。
 しかし、これからは業務機能だけではなく、住宅や商業、文化など、さまざまな機能を複合させて都市の活性化を図ることや、東京圏を視野に入れて都市間の連携を強化することなど、今日的な課題にこたえるためには、業務機能に特化した多心型都市構造だけでは対応できないであろうと。そういうことで、新たな課題に対応するために、従来の多心型都市構造を発展させ、環状メガロポリス構造を望ましい都市構造として新たに提示したわけでございます。
 お尋ねのセンター・コア・エリアでございますけれども、環状メガロポリス構造の構成要素の中で、一つの首都の中心核を構成するということで、その意味では一つの大きなブロックでございますけれども、ただ、そのセンター・コア・エリア自体にも、当然内部構造というものがあるわけでございまして、センター・コア・エリアの中には、都心、副都心などの拠点が鉄道や道路によって密接に結びつけられることによって、都心、副都心のネットワークができている。このネットワークは、これまでやってきた区部における多心型都市構造の一つの成果だということになるのではないかと思います。
 そういうことでは、従来の多心型都市構造は、環状メガロポリス構造という東京圏の骨格的な都市構造の、そのうちのセンター・コア・エリアの内部にある構造のいわば原型となるものであるというふうに認識しておりまして、そういう意識から、中間のまとめの四五ページにおきましては、4でセンター・コア・エリアの内部構造ということで、センター・コア・エリアについては、内部構造についてもご説明を加えているということでございます。

○山崎(泰)委員 整理をすると、これまでの都心、副都心の構図像の延長と申しましょうか、その一つの上がった形を今回のセンター・コア・エリアとして位置づけて、余りこういうところの発言にはふさわしくないかもしれませんが、確かに、これから首都移転云々かんぬんの問題に関して強力な理論武装をしていくには、こういうふうにして示すことは大事かなという気が個人的にはしないでもありませんが、そこの件に関しては、また後日議論をさせてください。
 それと、あとはこれからの行政像、基本的には小さな政府を目指すということに関しては賛意を示します。私、もう従前から申し上げてきていますけれども、東京都としてどこまでが自分の持つべき仕事なのかな、東京都としてどこまでが自分の持つべき資産なのかな、当然こういうことがもっと早く考えられてよかったというふうに強く思っています。
 そういった意味で、二つばかりお尋ねをしたいんですが、当然だと思いますけれども、小さな政府という話がこの文言の中に出てくるのであるならば、この中間のまとめが最終の報告になった場合には、東京都が持つべき資産の話、仕事じゃなくて、持つべき資産の話も当然盛り込まれるんでしょうねという確認が一つ。
 それから、ちょっと答えに窮するかもしれませんが、東京都の役割が減っていく、それで小さな政府ということを目指すというのであるならば、当然、この目標値であります二〇一五年に目指すべき都庁の適正規模というものがあるわけですよね。今の段階では計画途中だとお答えになるのかもしれませんが、職員の規模とか人数とか、局の数とかまではいかなくてもいいかもしれませんけれども、いわゆる都庁の持つべき適正規模というものが、ここで小さな政府ということをいわれる以上は、これが最終の報告の段階になって出てくるものなのかどうか。

○関谷政策報道室計画部長 都庁が持つべき資産、それから都庁の適正規模という非常に難しい課題をいただきましたけれども、いずれにしても中間のまとめでございますので、種々のご議論をいただく中で、できるだけ一五年を見据える中で、ビジョンとしての明確さというものを、より強く出していけるように最大限努力をしたいというふうには考えておりますが、今お尋ねの二点について、今の段階でどこまでできるかということについては、ちょっとお答えできる用意はございませんので、今後さらに内容を高めていくということでお答えとさせていただきます。

○山崎(泰)委員 今の段階で、ここまでするというふうに答えられないのはよく承っていますが、どうせまとめられるなら、また、トップダウンとはいいませんけれども、ある程度決断ができるタイプの知事がいるのであるならば、ここまで明確に文言として出される以上は、そういうことに関しても、当然、でき得る限り明確に視野に入れておいてしかるべきじゃないかというふうには私は思います。だから、できるぎりぎりまで、どうぞ政策報道室なりを中心にして詰めていただきたい。また、そういう中での議論も我々議会としていただきたい。でも、最後はここに詰まる話だと思うんですよ、東京都の役割とすると。そこは十分に検討を願いたい。
 それから、この件に関して、先ほど基礎的自治体の合併云々かんぬんの話がございました。ページでいうと六二ページ、たしか住民の意思を十分尊重した上でという話がございます。その章は、ちょうど先ほど来議論にありましたが、九つのエリアのエリアゾーンというんですか、エリア・コンセプトというんですか、これが九つに分かれたところと、そのすぐ直後に基礎的自治体の合併という文言が出てまいります。それは事実ですよね。
 それで、こういう質問は多分想定をされておられたと思いますけれども、これは何となく関連性を想像してもいいものなのかどうか。どうなんですか。

○関谷政策報道室計画部長 今回のエリア・コンセプトにつきましては、将来の東京の都市構造ですとか、地域における産業の分布などの集積に着目して、地域の将来像を端的かつ骨太に描いていこうと。そういう意味で、中長期的な展望に立った将来の姿を描くということで、区市町村の区域とは必ずしも一致しない形で提示しているわけでございます。
 これが合併を想起させるのかどうかということについては、基本的には、そのことを念頭に置いてこのエリア・コンセプトをつくったものでは全くございません。
 ただ、この基礎的自治体のあり方のところで述べておりますように、これからは基礎的自治体が、いわば直接的な行政の、総合的な行政の担い手になっていくと。そうすると、その総合的な行政の担い手になっていくというときに、エリアの問題をどういうふうに考えていくかという場合に、当然区域を超える広域的な課題というのは常にありますので、広域的な課題があればどんどん大きくしていこうといったら、最後は日本と同じ、一致しちゃうというぐらい拡大していってしまいますので、それだけでは論じることはできないわけですけれども、ただ、一つの自治体が地域の総合的な行政を担っていけるのかどうか。それは、今後の産業の集積ですとか、地域としての地域の形成というものがどうできているかというときに、その実態と行政区域とが余りにもかけ離れていると、総合的な行政を担うといっても、なかなか難しくなる。
 そういう意味では、地域の将来のイメージと、今後基礎的自治体としてどれだけのスケールを持っていくかということについては、密接に関連してくるのだろうというふうに考えております。

○山崎(泰)委員 そうとしかいえませんよね。ちょっと意地悪だったかもしれませんが、お許しください。わかりました。
 そうであるならば、誤解される人がいるのが一つ。確かにゾーニングを兼ねて、この地区はこういう特色を持っているということは、総論的にはちゃんとしています。ただ、これは区長さんの中でも、市長の中でも、内々にどうなんだいとか、今度西東京市ができるけれども、区の中でもという話をしたりとか、しないとかということが、公私問わず議論があるのは、正直いって私も聞いています。
 ただ、最終的には、ここにありますとおり、それぞれ区市の独自性のものがかなり大きいですし、そのときに東京都はどうなんだと聞かれれば、こういうゾーンの話をしてもいいかもしれませんが、そういうようなことも含めて、それぞれ基礎的自治体の独自性というものも十分に大切にしつつ、こういうことに関しては進めていただきたいというふうに思います。
 それから、この件に関して最後ですが、政策指標の具体的な数値が実は出るのかなと思っていましたけれども、今回出なかったんですね。これから政策指標そのものの数もふえるのかもしれませんが、今後政策指標が、ここに書いてあるのみならずふえていくんだろうと思いますが、それがどういう検討経緯で、どういう手法で、およそいつぐらいまでにその作業を進めていかれるのか、教えてください。

○関谷政策報道室計画部長 今回の中間のまとめに対する各方面からの幅広いご意見を踏まえまして、政策指標についても、さらに検討を進めてまいりたいと考えております。構想策定時には、目標値と、それに合わせた目標年度についてお示ししていきたいというふうに考えております。

○山崎(泰)委員 時間の限りがあるので、最後に、この都政改革のアクションプランに対して、総務局さんにも聞かないと怒られちゃいますから、一、二だけ最後にお尋ねします。
 このアクションプランに関してですが、私は、この特別委員会でも従前から、そろそろ役所というところはイコール管理だけではだめだ、経営ということも加味して経営型行政ということも、ひとつ思い切ってこの際だから柱を立ててしまったらどうかと。
 さっき、図らずも私質問しようと思ったんですけれども、局長からいい答弁がありました。特に時間と金の問題だ、だからスピードとコストだと。極めてわかりやすかった。私も、皆さん大変一生懸命やっていただいているのは十二分に承知していますが、特に人件費を含めたコストの感覚の意識が、従前から一番変えなきゃいかぬコストの感覚のところだと思います。もちろんほかにもあります。事業費等あるでしょうけれども、でも、どちらかというと薄れがちなのは、その人件費の感覚を含めたコストの感覚だろう、費用対効果だろうというふうに思います。
 それで、従前私どもが申し上げてきたこと、余り横文字を使いたくありませんが、いわゆるニュー・パブリック・マネジメントですよね。三重県にしてもしかり、イギリス、ニュージーランドにしてもしかりだったと思いますが、そういったような思想が、この中で具体的にどういったふうに入っておるのか、どういう柱として入っておるのか、ちょっとそこのところだけ最後に聞かせていただいて、私の質問を終わります。

○荒川総務局参事 今、先生お話しのニュー・パブリック・マネジメントといいますか、民間企業の発想でございますけれども、今回の中間のまとめに当たりましても、その視点に立ってまとめたつもりでございます。今回の中間のまとめの中では、具体的には、事業成果を検証する行政評価制度の本格的実施、それから民間の資金や経営ノウハウを活用するPFIの導入を図っていこう、あるいはコスト管理を目指すバランスシートの導入を図るということで、ニュー・パブリック・マネジメントの視点を踏まえた改革の方向を示しております。

○山崎(泰)委員 終わります。

○大河原委員 最後になりましたが、私からも、先に東京構想二〇〇〇の中間のまとめの方から伺っていきたいと思います。
 午後からの長い議論の中で、この中間のまとめが出される背景もわかってきましたけれども、今後十五年の中長期的な将来像ということが、知事の五十年を見通したというところからは、かなり現実的なものになっているというふうに思いますけれども、考えてみれば、二〇一五年は、これまで企画審議室でしたか、二〇一五年の東京プロジェクトなどもありまして、東京都の長期展望を持とうというときに、転換点として目指されてきた年だったと思います。
 今回の中間のまとめですが、この中間のまとめまでの論議の過程というのが、なかなか都民にはわからなかった。そのことがちょっと私としては不満でして、都民からの意見募集が八月の十五日までで、ここに出ていましたけれども、Eメールやファクスを含めて八十三通、それから有識者アンケートが六十四人の方ですか、それも一々ホームページで公表していましたよということなんですけれども、やっぱり議論の中身をもうちょっと広くとっていたら、この中身は一体どういうふうに変わってきたんだろうなというのが、今少し持っている疑問です。
 局横断的な検討組織をつくって検討を進めているということなわけですし、職員のアンケートもとっているわけなんですけれども、実際、基本構想といわれるものがこれまでも鈴木都政、青島都政でつくられてきた中では、やはり過程が見えないというところに、私はすごく――知事のスピードを重視する危機意識の徹底みたいなところでは、少しそこに理由があるのかなとも思うんですけれども、基本構想、都民に選ばれた知事が長期的な将来ビジョンを示す、そのことについてはわかりますが、議会が関与できる範囲が極めて少ないということからも、この議論についてだれが責任を持っていくのか、構想自体にだれが責任を持つのかというところでは、非常に心もとないものがあります。
 これまでの鈴木都政で出されてきた長期構想、あるいは生活都市構想として青島知事が出したものに対して、その継続性はやはりあると思うんですね。その点からいっても、基本構想というものが、市町村では議決をしますけれども、東京都という大きな場面で、ないということの功罪を実感するというのが感想です。
 それで、具体的に中身についてですけれども、これを読んでもなかなかぴんとこないなというのは、これまでつくられてきた長期構想、その中で積み上げられてきた議論というものをあらかじめ知っているから、大して目新しく見えないということもあるのかなとは思いますが、二〇〇〇で東京の将来像を示す、示すといわれて一年たってきたものですから、その点では、この構想の基本理念というものを、もう少しはっきり出していただきたいなというふうに思うんです。
 その点はどうでしょうか。この東京構想二〇〇〇の基本理念ということでお答えください。

○関谷政策報道室計画部長 先ほど来、室長からも申し上げておりますけれども、我が国の今日の現状を見ますと、長引く経済の低迷、深刻な雇用危機、心の荒廃、国際競争力の低下など、種々危機的な状況にございます。戦後五十年、経済的豊かさの拡大を支えてきた終身雇用、年功序列賃金、護送船団方式、中央集権などに代表される既存の日本型社会システムは、今、根底から変容を迫られております。
 そうした中で、二十一世紀を目前にし、国全体がよって立つべき座標軸を失った今こそ、首都である東京が時代の潮流を見通し、確かな将来展望を描くとともに、東京ひいては日本の再生に向けた長期展望を打ち出し、東京からの変革の波をつくり出していくことが重要である、そうした基本認識のもとに本構想を策定したものでございます。

○大河原委員 基本理念を伺っているんですけれども、今、基本認識とおっしゃって、どうしてもそれの説明になっていると思うんですね、これをどうしてつくるかという。これまでの東京の発展が、これから二〇一五年をピークに変わっていく、むしろその停滞とか衰退とか、そういったマイナスの可能性が出てきたから、それに対してどうするか、そういうところから出てきた構想ですよね。
 それで、生活都市東京構想、これは青島知事が出されたものですけれども、この生活都市東京構想は、公募による都民も参加した懇談会、生活都市東京を考える会が設置され、そして、都民の生活を守り、支え、豊かにする活力に満ちた生活都市東京の創造というのを高らかにうたった。その結末はどうあれ、その理念というか、大変わかりやすかったと思います。
 平成七年から約十年を見通す構想とされたわけですけれども、今回の出された構想に、前回の生活都市東京構想、ここから継続されるものは一体ないんでしょうか。私はあると思いますけれども、あることを期待しますけれども、今回の構想に継続されるものは何か、そしてまた、今回の構想の視点の違い、それはどういうふうになっているんでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 生活都市東京構想では、成熟社会を迎え、これまでの蓄積や成果を生かして、人々が暮らしやすく、住み続けることのできる活力に満ちた東京をつくり上げていくことを課題としておりますけれども、このような課題認識は、現在でも変わっていないというふうに受けとめております。
 しかし、今回の構想では、目標時期の二〇一五年ごろには高齢化が急速に、いわばピークに達しまして、社会の活力維持が大きな課題になってくること、さらには、東京をめぐる諸課題を解決するためには、東京都の範囲に限定されることなく、幅広く東京圏を視野に入れ、課題の解決を図る必要があること、小さな政府を目指し、民間の力を最大限生かしていく必要があることなどを視野に入れ、構想を策定しようとしている点に違いがあるのではないかと考えております。

○大河原委員 課題認識は変わっていないんだということがありますし、それ以上に、急速な高齢化とか社会活力の維持について本当にどう変革するかということを、それこそ危機としてとらえたから新しい構想ができるんだと思いますが、今回の中間のまとめでは、骨格的都市構造として環状メガロポリス構造、これが提示されているわけですけれども、先ほどからも話に出ました従来の七つの副都心に五つの多摩の心(しん)、いわゆる多心型都市構造論、これは一体どのように継承されているんでしょうか。
 これは国の四全総のときに、それこそ多核多心型の首都圏構想と一緒に出てきたわけなんで、今回も首都圏構想という形で環状メガロポリス構造が出てきていますけれども、その点についてはどうでしょうか。
 それから、もう一つ続けてお答えいただきたいんですけれども、さっきエリア・コンセプトを改めて出されています。生活都市構想では、それまで使われてきた十三ブロックに分ける地域区分、都内を八ゾーンに分ける二つの区分を使ってきましたよね。それに新たに七つのエリアに地域特性を設定しておりました。今回は、先ほどですと多摩を三つから四つへ、臨海エリアを入れたというふうな形で将来像を提示しているわけなんですけれども、変更した点についてお伺いいたします。

○関谷政策報道室計画部長 お尋ねの多心型都市構造のことでございますけれども、先ほども若干触れましたが、従来の多心型都市構造は業務機能の効率的な配置に主眼を置いたものでございまして、副都心や多摩の心(しん)の育成などに一定の成果を上げてきたと認識しております。
 しかし、これから業務機能だけではなく、住宅、商業、文化などさまざまな機能を複合させて都市の活性化を図ることや、東京圏を視野に入れて都市間の連携を強化することなど、今日的な課題にこたえるためには、業務機能に特化した多心型都市構造だけでは対応できないであろうと。新たな課題に対応するため、従来の多心型都市構造を発展させ、環状メガロポリス構造を望ましい都市構造として新たに提示したわけでございます。
 環状メガロポリス構造の構成要素であるセンター・コア・エリアには、都心、副都心などの拠点が鉄道や道路によって密接に結びついており、都心、副都心のネットワークができております。この都心、副都心のネットワークは、区部における従来の多心型都市構造のことでございます。また、多摩地域においても、例えば、八王子、立川、多摩という従来の多心型都市構造における多摩の心(しん)から成るネットワークが業務核都市に組み込まれているわけでございまして、このように従来の多心型都市構造は、環状メガロポリス構造という東京圏の骨格的な都市構造の内部にある構造の原型となるものであるというふうに認識しております。
 次に、エリア・コンセプトのことでございますけれども、今回設定したエリア・コンセプトの生活都市東京構想からの相違点は、一つは、将来の都市構造や産業分布など地域の特性を踏まえてエリア分けを実施したこと、区市町村という行政区域にこだわらずにエリア分けをしているというような点でございます。

○大河原委員 多心型都市構造は、この環状メガロポリス構造、特にセンター・コア・エリアの内部の基本的な構造になっているんだというお答えなんですけれども、私は、ちょっと正直な感想を申し上げますと、拠点開発みたいなやり方は、東京の実態に合わなかったんじゃないかというふうに思うんですね。特に、このセンター・コア・エリアといわれるところは、もっと均質に良質な開発をするという意思が潜在的にある地域なんだと思います。
 それで、今度の環状メガロポリス構造の観点というのは、東京の地域を超えて、先ほども話にありました地域の自治体をどうするのか、あるいは東京以外の他の県の方たち、こういった広域的な影響があるものですけれども、越権行為じゃないかなというのが率直な感想です。他の自治体との協議、こういったものをどういうふうにこれまで議論をなされたんでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 東京圏全体の活力を高め、我が国の国際競争力を強化するためには、東京圏に必要な都市機能を適切に配置し、東京圏全体としての機能を有効に発揮させる必要がございます。
 そうした東京都における共通課題を解決するに当たっては、東京圏の関係自治体が協力しながら取り組んでいくことが重要でございます。そうした取り組みについて、東京都から積極的に考え方を示していくべきであるとの認識から、今回、東京圏全体で共有できる将来像として望ましい都市構造を提示したわけでございまして、今後、環状メガロポリス構造の実現に向けて、関係自治体と十分連携しながら、総合的に取り組んでいけるように呼びかけてまいりたいと考えております。

○大河原委員 関係自治体自身がそれぞれの基本構想を持っていらっしゃるわけですから、そこのところは非常に難しいんじゃないかと思いますので、丁寧な対応をお願いしたいと思いますが、政策誘導型都市づくりに向けた具体化の中で、先ほどからいっている東京の内なる分権との整合性、それから、基礎自治体の主体性が本当に優先されるべきだと私は思うわけなんですが、分権時代の東京都と自治体の役割分担、東京都の責任、この点をどのように考えているんでしょうか。
 東京都が政策形成を主導して、基礎自治体がそれに従うべきだというふうには思っていらっしゃらないと思いますけれども、確認させてください。

○関谷政策報道室計画部長 政策誘導型都市づくりに向けた都の役割は、東京全体を視野に入れた都市づくりや都市構造に関する理念を策定するところに、基本的にはございます。基礎的自治体は、地域の特性を踏まえた身近なまちづくりの理念を策定することになると思います。分権の時代におきましては、都と基礎的自治体とは対等、協力の関係にありますので、都市づくりを進める上での適切な役割分担のもと、連携協力しながら実施すべきだと考えております。

○大河原委員 この構想以前、前知事時代といってもいいんですけれども、東京は、人口、経済いずれも右肩上がりの時代が終わり、少子高齢化が進行する成熟社会を迎えようとしていると。そして、こうした時代にあってこそ、人々の生活を改めて見詰め、一人一人を大切にした政策の展開が求められるというのが、石原知事登場以前の東京都の新しい時代に向けた認識であったというふうに思います。
 そのとき描かれていた都民像、それは、ゆとりと豊かさを求める都民、自主的、自立的に行動する都民、参加し、提案する都民というふうに描かれていたんですけれども、今回の新構想の中ではどのような都民像を描いているんでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 今回の中間のまとめにおきましては、我が国の現状を踏まえますと、長引く経済の低迷、深刻な雇用危機、心の荒廃、国際競争力の低下など危機的な状況にあり、既存の社会システムが今変容を迫られているという基本認識のもとに、そうした状況を乗り越えていく将来の東京を担うべき都民像ということで、新東京人ということをお示ししたわけでございます。
 そこで掲げております都民像といたしましては、みずから選んだ分野において高い使命感を持って行動し、社会に貢献し、公共の福祉と個人の利益との調和を常に考え、個人の義務や責任を自覚して行動し、どんな生き方をしたいかというライフビジョンと、どんな働き方をしたいかというキャリアビジョンを持ち、みずから望む生き方を実現させており、我が国や外国の文化、伝統を尊重し、日本人としての誇りとアイデンティティーを持って、国際的視野に立ち行動できる人という、理念としての新東京人を提示してございます。

○大河原委員 新東京人の理想がちょっと高過ぎるんじゃないか、目線が。私もティーンズの子どもが三人おりますけれども、これから先を見通す人間として育てるという中でも、もちろん使命感とか社会に貢献できる、それは大切なことだと思うんですけれども、実際に参加ができる、そういうことが確認されることで意欲というのがさらにわくんだと思うんですが、その点では、私はこの構想の中に、今まで東京都が進めてきた都民参加の部分、そのことが少し薄いように思います。
 この構想をつくるに当たって、職員アンケートをとっておられますけれども、重要分野トップスリーというのが、社会福祉、生活環境、つまりごみや水やエネルギー、それから教育という分野でした。これは、局別にいうとボリュームが違うと思いますので、こういう意見が職員の方には多かったというふうな形での、少しバイアスがかかっているかもしれません。
 しかし、このトップスリーは、やはり都民の生活をする場としての東京、そのイメージに非常に近いと思うんですね。私たちが都政に求めるもの、その重要分野だというふうに思います。そして、この点がどのように検討されているのかということ。
 それから、その中で、ここにも書いてありましたけれども、新しい東京の生活像として、多様な生き方が実現できる社会というのが掲げられていました。これについて、私はもっと前面に出せというふうに思うわけなんですけれども、少子高齢化の中で期待されている女性や高齢者の労働を拡大する、そういう施策もさっきのトップスリーと同様に、ぜひ目指されるべきだと思います。
 どのような課題があるのか、二つ一緒に聞かせていただきたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 社会福祉、生活環境、さらには教育についてでございますけれども、いずれの分野も重要な課題だという認識に立ちまして、中間のまとめにおいても取り上げているところでございます。
 例えば、社会福祉につきましては、先ほど福祉という言葉が出てこないということでございましたけれども、地域のケア能力を高め、可能な限り自立して生活できる社会を実現する。さらには、子どもが健やかに育つ社会を実現するなどにおきまして、政策の目標として掲げ、取り組みの方向性を示しております。
 また、生活環境、環境面につきましては、自動車の問題ですとか緑の問題、さらには地球環境への負荷の問題等種々の形で、ごみ、水、エネルギーの課題についても取り上げておりますし、教育改革も今回の構想の中での大きな柱になっているところでございます。
 それから、女性や高齢者の労働の拡大ということでございますけれども、男女がともに意欲と能力に応じて働くことができる社会をつくっていくことが重要であるというふうに認識しております。
 女性の労働を拡大するに当たっては、男女が育児や介護をしながら働き続けることができるように、育児休業制度、介護休暇制度などの整備の促進を図ること、育児や介護を理由にした退職など、円滑に再就職できるリカレント型ライフスタイルの実現、さらには、多様なニーズにこたえる保育サービスの充実などが主な課題になってくると考えております。
 また、高齢者につきましては、高齢者が社会の重要な担い手として、意欲と能力に応じて生きがいを持って働くことができるようにすることにより、年齢にとらわれない社会を実現していくとしております。高齢者の労働を拡大するに当たっては、知識、経験を生かした雇用継続ですとか、SOHOや短時間勤務等多様な就業形態の整備、さらには、定年後の再就職に備える職業訓練の充実などが課題になってくるというふうに考えております。
 また、加えまして、さまざまなライフスタイルの変化ですとか、働き方、就業形態の変化などに対応して、生活圏レベルでの職住近接のまちづくりに取り組んでいくことも重要かと考えております。

○大河原委員 今のように伺えば、東京都が目指しているところも細かくわかってくるわけなんですが、最終報告に向けて、ぜひ複数の考え方、もっと多元的に議論していっていただきたいと思います。最終報告まで時間が余りありませんので、本当にパブリックコメントをどういうふうに確立するのかといったところまでなかなかできないかと思いますけれども、今後の課題としていただきながら、ぜひ丁寧に、都民にわかりやすい議論を進めて最終報告へ向けていただきたいと思います。
 都政改革ビジョンの方に移りますが、時間がなくなってきましたので、少し急いでまいります。
 行財政改革の課題というのは、いわば時代の要請であり、ある意味で首長の選択の幅というのは、実は余り大きくないんじゃないかというふうにも考えられます。平成十年度の改革プランでは、重要な要素として、政策形成機能の強化という点が提起されてきました。今回の分権一括法の成立で、自治体と中央政府、自治体同士の関係が対等になりまして、首長を国のしもべとするような機関委任事務も廃止されております。自治体の自己決定権が格段に前進したわけですが、政策機能の強化、このことはさらに不可欠になってきたと考えます。今回、都政の改革ビジョン、この議論の中にどんなふうな入り方をしてきたんでしょうか。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 ご指摘のように、地方分権一括法が制定されたことから、地方分権の進展によりまして、今後、各自治体は地域の実情に応じた創造的な行政運営が一層求められるということになろうかと思います。地域のことは、みずからの責任と判断で決定していくということが必要になるというふうに考えております。
 都政改革ビジョン1は、簡素で効率的な執行体制を構築するとともに、東京構想二〇〇〇で示す取り組みの内容を最も効果的、効率的に達成するということから、仕事の進め方や必要な当面の組織の見直しを進めるものでございまして、政策形成機能につきましても、トップマネジメント補佐機能のあり方や各局組織の見直しの中で検討してまいりたいというふうに考えております。

○大河原委員 平成十年のプランのときには、ニュアンスとしては、東京都が政策形成、市区町村が具体的な施策というふうに、ちょっと誤解されるような傾向があったんじゃないかと思いますが、私たちがいいたいのは、そういったこととは別に、今回の自治法の改正によって、自治事務ばかりでなくて、法定受託事務でも場合によっては条例制定が可能になります。
 そうした意味で、これまでのような法律の解釈とか運用だけでなくて、自治体での条例化について、自治省とか国の省庁にお伺いを立てるような時代では全くなくなった、地域の政策の課題に合った自治体の法務をもっときちんと能力形成していかなきゃならないというふうに思いますが、政策法務として、その役割の増大をどのように認識していらっしゃるのか。
 それから、自治大学校の研修でも、これまでの起案など技能的な法制執務研修というんでしょうか、それだけではなくて、政策立案に関する政策法務についての研修が位置づけられてきました。東京都で、こうした研修のあり方についてどのように考え、また、どのように改革していこうとしているのか、その点についてはどうでしょうか。

○高橋総務局総務部長 自治体における法務の役割についてでございますが、地方分権一括法の施行に伴い、地方自治法が改正されまして、法定受託事務につきましても、お話のように条例を制定することが可能となりました。
 こうした自治立法権の範囲の拡大がされる中にありまして、地方分権の趣旨を十分に生かしていくためには、法令等を単に執行するという観点にとどまることなく、政策の具体的な実現に向けまして、法的に検討し、条例を立案、運用していく、いわゆる政策法務の活動を充実していくことが重要なことというふうに認識をしております。
 それから、政策法務に関する研修についてでございますが、中央研修では自治体に関する行政法務研修、また、各局では所管事務を中心とした文書あるいは法務研修等の充実を図ってきております。
 今後、これらの研修とともに、日常業務を通じて職員の育成を行う職場内研修の充実にも努めまして、条例の立案や解釈などにより、行政課題を解決していく能力の向上と強化を図っていきたい、このように考えております。

○大河原委員 内部の法務機能の強化とともに、分権が主張するところは、もっと参加型の行政に変えていくことの重要さだというふうに思います。情報公開の制度化というのは、一たん区切りがついてはおりますけれども、さらに、情報公開の充実や拡大というのは継続すべき課題でもあります。
 先ほどの政策法務との関連でいえば、既に他県では、条例や規則のすべてをインターネットでホームページにぶら下げているというふうにも聞いております。実態をどのように把握し、それから、こうした情報提供の課題というのを都としてどのように認識しておられるのか、その点についてはどうでしょうか。

○高橋総務局総務部長 ホームページからの条例や規則などの検索についてでございますが、現在、埼玉県、神奈川県、愛知県など六つの県で行われているところでございます。今後、都民との双方向の都政運営を実現し、より身近で便利な都庁に改革をしていくというIT化の推進に当たりまして、ホームページに条例や規則を掲載することは重要な情報提供の方法であるというふうに認識をしております。
 このように都政の基礎的な情報の提供を充実させていくことは、都民と都との距離を縮めまして、変化に的確に対応する都政の実現に必要である、このように考えているところでございます。

○大河原委員 行政組織の改革と関連するわけですけれども、どういう東京都の看板ですね、生活都市東京なのか、世界都市東京なのか、いろいろあると思いますし、また、各分野でもそういった目指されるべき政策、第一優先、第二優先、そういったことも出てきていると思いますけれども、分野によって、もちろん総合性が問われている分野があると思うんです。時代の要請としては、女性や子ども、そして環境を守るための緑行政、環境行政などがそうだというふうに思うんですけれども、こうした行政の総合化についてはどのようにお考えでしょうか。

○山内総務局行政改革推進室長組織担当部長兼務 行政における組織は、行政目的の効果的、効率的な達成といったことを第一とすべきだというふうに考えております。都は、これまでも施策の動向に合わせまして、組織の見直しを進めてきております。今回の組織の見直しにおいても、都が実施すべき施策の動向に合わせるとともに、いわゆる縦割り行政の弊害が極力生じないよう、都庁組織全般について適切な執行体制の確保に努めてまいりたいと考えております。

○大河原委員 最後になりますけれども、先ほどの都市構想二〇〇〇、東京構想もそうですが、討議の過程をもっとオープンにわかりやすくというのを、基本的な姿勢として持っていていただきたいなというふうに思うんです。
 そこで、知事は、討議の過程で異論や反論があれば、それも一緒に提起しろというふうに指示したと聞いているんですけれども、そういった代替案を含めた討議のプロセスというのは大変重要だと思います。そして、こうした手法こそが市民参加の拡大にもつながりますし、多元的なプロセスによって、庁内の分権という点でも非常に有効だというふうに思います。
 中間のまとめでは、余りこうした傾向を感じないわけなんですけれども、最終報告に向けてどのような討議プロセスをとるのか、最後に伺って質問を終わります。

○荒川総務局参事 今回の中間のまとめでは、これからの都庁の行政改革につきまして、庁内はもとより、都民、議会等に対しまして、議論の素材として提案させていただいたものでございます。
 今後、最終のビジョン1の策定に向けまして、庁内におきましては、各局の部単位で設置いたしました約四百の改革推進ミーティングからの提案を反映させていきますとともに、庁外におきましては、本委員会を初め議会でのご議論や、都政モニター会議における議論、インターネット等を通じた都民の皆様からの意見なども踏まえて取りまとめてまいりたいと存じます。
 なお、中間のまとめの過程でも、改革推進ミーティングでの提案ですとか、あるいは東京構想二〇〇〇の策定過程で寄せられた行政改革についての都民や有識者の意見も踏まえてつくらせていただいております。

○矢部委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○矢部委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時二十八分散会