行財政改革基本問題特別委員会速記録第三十号

平成十二年二月十五日(火曜日)
 午後一時六分開議
 出席委員 二十二名
委員長矢部  一君
副委員長森田 安孝君
副委員長山崎 孝明君
副委員長渡辺 康信君
理事中嶋 義雄君
理事田代ひろし君
理事和田 宗春君
理事曽根はじめ君
理事内田  茂君
織田 拓郎君
三宅 茂樹君
浅川 修一君
町田てるよし君
大河原雅子君
寺山 智雄君
大山とも子君
石井 義修君
三原 將嗣君
大西 英男君
清原錬太郎君
山崎  泰君
木村 陽治君

 欠席委員 一名

 出席説明員
政策報道室室長柿沼 伸二君
政策調整部長岡田 重信君
計画部長関谷 保夫君
調査部長鳥飼 源宏君
総務局局長横山 洋吉君
理事行政改革推進室長事務取扱南  靖武君
理事人事部長事務取扱前川 燿男君
総務部長三宅 広人君
行政改革推進室行政改革担当部長飯山 幸雄君
行政改革推進室組織担当部長山内 隆夫君
行政部長松澤 敏夫君
地方分権推進担当部長尾井 幹男君
勤労部長高橋  功君
財務局局長木内 征司君
経理部長立花 壯介君
主計部長成田  浩君

本日の会議に付した事件
 行財政改革の基本的事項についての調査・検討
  報告事項
  ・危機突破・戦略プランについて(質疑)
  ・平成十一年度行政評価制度の試行における評価結果について(説明・質疑)

○矢部委員長 ただいまから行財政改革基本問題特別委員会を開会いたします。
 初めに、委員の辞任及び選任について申し上げます。
 議長から、去る一月二十一日付をもって、野村有信委員の辞任を許可し、新たに大河原雅子委員を選任した旨の通知がありましたので、ご報告を申し上げます。

○矢部委員長 次に、ただいまの委員の辞任及び選任に伴いまして、議席を変更いたしました。
 お諮りいたします。
 議席は、ただいまご着席のとおりといたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○矢部委員長 異議なしと認め、さよう決定いたします。

○矢部委員長 次に、理事者の欠席について申し上げます。
 政策報道室高橋理事は、公務出張中のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承をお願いいたします。
 本日は、お手元ご配布の会議日程のとおり、報告事項、危機突破・戦略プラン及び本日聴取をいたします報告事項、平成十一年度行政評価制度の試行における評価結果に対する質疑を行います。
 初めに、報告事項、危機突破・戦略プランにつきましては、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求をいたしました資料は、お手元にご配布をしてございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○岡田政策報道室政策調整部長 平成十一年十二月十五日の当委員会において要求のありました資料につきましてご説明させていただきます。
 お手元の資料第1号、行財政改革基本問題特別委員会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんいただきたいと思います。
 要求がございました資料は、三環状及び都市計画路線について、都心再生プロジェクトについて、及び各知事の構想、長期計画、実施計画についての三件でございます。
 もう一枚おめくりいただき、一ページをお開き願います。一つ目の資料、三環状及び都市計画路線についてでございます。
 それぞれの路線につきまして、現状の交通量と予測交通量及び実施計画をまとめてございます。
 次に、三ページをお開き願います。都心再生プロジェクトについてでございます。
 初めに、東京駅舎の復元及び周辺整備の概要についてまとめてございます。四ページにその地図を、また、五ページ、六ページに完成イメージ図をお示ししてございます。
 続きまして、七ページが大手町・丸の内・有楽町地区の開発動向の概要でございます。
 一枚おめくりいただいた八ページに、開発動向をお示しした地図を添付してございます。
 次に、九ページから一二ページにかけまして、各知事の構想、長期計画、実施計画についてお示ししてございます。
 計画の名称、策定年月、構成、概要、財政計画について一覧表にまとめてございます。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明とさせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○矢部委員長 説明は終わりました。
 次に、報告事項、平成十一年度行政評価制度の試行における評価結果について、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
それでは平成十一年度行政評価制度の試行における評価結果につきまして、お手元配布の資料第2号、平成十一年度行政評価制度の試行における評価結果報告書によりご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと存じます。次の二ページにかけまして、今回の行政評価制度の試行について、制度導入のねらいと試行の実施概要を取りまとめてございます。
 まず、(1)の行政評価制度導入のねらいでございます。
 行政評価制度は、政策や事務事業の目標と成果をわかりやすい形で都民に示し、達成状況を検証、評価して、結果を都民に公表するとともに、予算編成や事務事業の見直しに反映させていくというものでございます。
 評価に当たりましては、行政活動により都民生活にどのような効果がもたらされるかを示す指標、いわゆるアウトカム指標の使用を基本とし、客観的データを用いながら検証してまいります。そのことにより、都庁の内外で政策や事務事業に対する論議が活発になり、よりよい判断のもとに都民サービスの向上を図っていくことをねらいとしております。
 また、政策や事務事業の達成状況を検証、評価する過程を、職員一人一人が、みずからの仕事を原点に立ち返って見詰め直す契機とすることにより、都庁全体の意識改革も進めてまいります。
 次に、(2)の試行の実施でございます。
 今回の試行は、制度導入に当たっての課題を整理することを主な目的とし、政策評価と事務事業評価を実施いたしました。
 ア、評価対象でございますが、政策評価は、東京の危機を克服するための政策方針に対応する課題から二テーマ、環境優先の自動車交通対策と、いつまでも安心して住み続けることのできる住宅の整備を取り上げました。
 事務事業評価は、政策評価に関連する事務事業を十、各局の課題に関する事務事業を二十七、合わせて三十七事業を評価対象といたしました。具体的には、次の二ページの表1に記載してございますので、ごらんいただきたいと存じます。
 ただいまの二ページ下段をごらんください。イ、評価のプロセスですが、事業所管局が自己点検の観点から第一次評価を、総務局が行政評価所管局として事業所管を離れた立場から第二次評価を実施いたしました。なお、第二次評価の際、制度構築に向けて、外部専門家の意見も聴取いたしました。
 続いて、三ページをごらんいただきたいと存じます。今回の試行における評価結果でございます。
 (1)、政策評価につきましては、政策を実現するための施策の目標と実績を示した上で、政策の達成度を総合的に評価いたしました。
 五ページをお開きください。環境優先の自動車交通対策の政策評価票でございます。
 Ⅲの評価欄の目標のところに、平成十七年度までに、すべての測定局で二酸化窒素の環境基準の達成を目指すという目標を示しております。これに対しましては、平成九年度に三三%の達成度であったものが、平成十年度は四〇・五%となっております。しかし、十年度単年度の達成度は、目標に対し八五・七%にとどまっていたことをあらわしております。
 以下、二つの目標に対する達成度を記載し、次の六ページにかけまして、第一次、第二次の総合評価を記述いたしております。内容につきましては、お読み取りいただければと存じます。
 次に、九ページをお開きください。ここから二〇ページにかけまして、事務事業評価結果の概要を記載してございます。
 中段の都営住宅スーパーリフォーム事業欄をごらんください。事務事業評価は、評価項目の欄にありますように、達成度、経済性・効率性、必要性、代替性、妥当性の五項目の視点別評価を踏まえ、評価結果にございますような総合評価を行い、各事務事業の今後の方向を示しました。
 今後の方向における第一次評価と第二次評価を対比したものが、九ページの一番上の表でございます。第二次評価の結果、維持または拡大のAが一事業、内容見直しのBが十八事業、再構築または統合のCが十一事業、廃止または休止のDが六事業、総合評価を保留したものが一事業となっております。
 二二ページをお開きください。このページ以降に、三十七事業の評価票を記載してございます。このページの刊行物による都政広報を例に、評価票の内容をご説明申し上げます。
 まず、1では事務事業の概要を概括的に示しております。
 次に、二三ページ中段からが評価でございます。評価は、(1)の評価指標、(2)の団体、都民からの主な意見、二四ページに参りまして、(3)の視点別評価を踏まえ、(4)の総合評価を記述し、今後の方向を示しております。視点別評価、総合評価は、第一次評価、第二次評価を併記いたしております。
 二五ページから二六ページにかけては、評価付表でございまして、各項目ごとに、第一次評価、第二次評価をともに記載してございます。
 二六ページをごらんください。4として事務事業所管局部のコメントを掲げ、所管の考えをまとめて明らかにしております。
 以上の試行の結果、幾つかの課題が明らかとなっております。
 恐れ入りますが、前に戻って三ページをお開きください。
 (3)に主な課題を整理してございます。第一は、都民にわかりやすく、かつ施策や事務事業を的確に評価できる指標の設定、第二は、事務事業執行当初からの目標値の設定、第三は、事業の特性に応じた評価方法の開発、第四は、費用対効果などについての定量的分析を充実するための手法研究、第五は、評価対象とする施策や事業の範囲の整理、第六は、制度の意義の庁内への浸透でございます。
 また、(4)にございますとおり、二名の外部専門家から評価方法の妥当性など制度構築に向けた意見を聴取いたしましたところ、政策評価と事務事業評価の同時実施、第一次評価と第二次評価とのセットの実施は評価できるなどとの意見をいただいております。
 四ページをお開きください。(5)、評価結果の活用についてでございます。
 まず、今年度の試行結果を踏まえ、先ほど申し上げました事項も含め課題を整理し、評価の手法を改善した上で、来年度さらに試行を拡大実施してまいります。
 また、評価結果につきましては、事務事業の見直し等にできる限り反映してまいります。
 行政評価制度のねらいの一つは、さきに申し上げましたように、都庁内外における政策論議を高めることにあります。このため、個別の評価票を含め、この報告書の全文を都民情報ルームでの閲覧やホームページ掲載等により都民の皆様に公表し、広く意見、感想を求めてまいります。
 今後、このような取り組みを通じて、都にふさわしい行政評価制度へと改善しながら、平成十三年度以降の導入を目指してまいります。
 以上で資料のご説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○矢部委員長 報告は終わりました。
 報告事項二件及び要求資料を一括して、これより質疑を行います。
 ご発言をお願いいたします。

○三宅委員 久々の本委員会で、質問させていただきます。今回は危機突破・戦略プランの策定について、私は、これに絞り込んで質問をしたいと思います。
 前回の本委員会におきまして、我が党の内田委員は石原知事に対しまして、東京は三千万人という人口を有する東京圏の中心の大都市としての特性を有している、こういったことを強く説いて、なおかつ、地方分権の流れというものをきちっととらまえながら行財政改革に取り組んでいくべきではないかとしたところでございます。
 それに対して石原知事は、ご答弁の中で、内田委員の質問に対し一定の理解を示したという認識を持っておりますが、行財政改革基本問題特別委員会であるという、その基本問題は何かということを論じるのが、本委員会が設置された大きな意味を持つものだということをまず冒頭に申し上げて、質問に入ります。
 この危機突破・戦略プランをこの時点で策定した理由、また、行財政改革という大きな目的の中でのこのプランの位置づけ、そして、今までの従来型のいわゆる計画との違いをお伺いいたします。

○関谷政策報道室計画部長 危機突破・戦略プランは、東京構想二〇〇〇の策定に向けた都政のまず第一ステップとして、現段階での政策展開の方向を明らかにするとともに、東京が直面いたします危機に対して、当面、緊急かつ戦略的に取り組むべき施策、事業の方向性と内容を示したものでございます。
 本プランでは、政策のターゲットをできるだけ絞り込み、新しい時代に対応する仕組みづくりを示すなどとともに、政策指標の例示を施策体系とともに掲げるなど、都政を前進させるための取り組みを明らかにしたところでございます。

○三宅委員 今のご答弁ですと、このプランというのは、東京構想二〇〇〇と命名されるものの策定に向けた第一ステップだ、こういうお話でございました。我が党ももちろんそうですが、これが発表された時点において、具体性がないじゃないか、事業量ですとか、タイムスケジュールだとか、事業費等の明示がないという批判がありました。私は、これは言葉、用語の使い方に問題があったんではないかなと思っております。戦略という用語、これはストラテジーという英語から来た使い方を今日本でされているようでございますし、プランというのは、計画ととってしまう。いわゆる計画と言葉をあらわした場合には、当然のことながら具体的な数値や、またボリュームやタイムスケジュールが示されなければ、これは何だと、こんな批判が出るところではないかというふうな認識を持っております。
 ですから、今のご答弁で、事業の方向性や内容を示したメッセージだと、こんなふうに理解をしておりますが、いかがですか。

○関谷政策報道室計画部長 危機突破・戦略プランは、危機を突破するために早急に植えるべき政策の苗を示すことに主眼を置いたものでございまして、計画期間を定めておらず、取り組みごとの事業量や事業費を明らかにしたものではございませんが、厳しい財政状況にあっても、都政を前進させていく上で着実に推進していくべきものと認識しております。このため、プランの策定に当たりましては、財政再建推進プランとも十分整合を図りつつ、施策の重点化や見直しを行い、新しい仕組みづくりなどを提示したところであり、プランの施策の実効性は十分確保できるものと考えております。
 なお、平成十二年度予算案においても、的確な対応が図られたものと認識しております。

○三宅委員 そのようなことでしたら、今後、東京都民に対して実に大きな影響を与える事業なり、いわゆるプランニングですとか、メッセージの用語の使い方には十分お気をつけくださるよう、お願いを申し上げておきます。
 次に、この危機突破・戦略プランと、それから都市構想といいますか、東京構想二〇〇〇というようなものが用意されていると聞いておりますが、その関係について、いま一度ご説明願いたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 先ほども申し上げましたとおり、危機突破・戦略プランは、東京構想二〇〇〇策定のための、いわば中間の書としての位置づけをも持っているものでございます。東京構想二〇〇〇は、五十年後をも視野に入れつつ、おおむね十五年後を目標時期といたしまして、東京が目指すべき中長期的な都市像、生活像を明らかにするとともに、その実現に向けた施策展開の道筋を総合的、体系的に示してまいりたいと考えてございます。

○三宅委員 中長期的なものが東京構想二〇〇〇であるということなんですが、前回の本委員会で内田委員の質問の中に、行革大綱をきちんとつくるべきだ、本委員会は行革大綱の作成に向けて進むべきであるという質問がなされました。それで横山局長が答弁の中で、この東京構想二〇〇〇の内容を踏まえた上でつくりますとご答弁をされておりますが、その辺のところの関係を、いま一度確認したいと思いますが、いかがでしょうか。

○横山総務局長 私ども、現在、都政改革ビジョンという形で、行政改革の今後の方向性を示す取りまとめを行っております。
 これは、当然、今後東京がどうあるべきかという像を描いた上で策定するもの、それから、不断の行政改革を進めるわけですから、直ちに取り組まなきゃならないもの、その辺を整理した上で、ある意味では構想以降に立案するもの、その辺を分けた形で現在、行政改革ビジョンを考えております。

○三宅委員 今のご答弁は、大変にわかりやすいと私は思います。当面取り組まなければいけない、いわゆる改革の意も含んだやり方と、それから中長期的に、きちっとみんなで議論をし合いながら、理解を深めながらつくり上げていくものと分けておられるというふうに理解をいたします。
 そこで、さらに内田委員から指摘がありました、いわゆる東京圏の中での東京の将来ビジョンだ、東京圏の中の中心としての東京がどうあるべきかという提言の中で、東京圏にある七都県市で協議の場をつくったらどうか、こういう提言がありましたが、今現在、その提言に対してはいかがでしょうか。

○横山総務局長 七都県市の関係では、例えば七都県市の首脳会議はセットされておりまして、その時々の七都県市に共通の課題については協議を行っております。
 今お話がございましたような、ある種、首都圏というものを、石原知事についても一体で物を見ていますので、その辺の協議を今後進めていく必要があると考えております。

○三宅委員 それと、もう一つ大事な点だと私は理解しているんですけれども、今現在、この行財政改革にお取り組みになっているのが官房の三局であられる。それに事業局も加えてはどうだというのが前回の委員会で質問されましたけれども、この件については、今どうでしょうか。

○横山総務局長 現段階では、都政がいろいろ抱える課題を整理している段階でございまして、当然、行政改革そのものは三局でやるものではございませんから、全庁一丸となってやるものですから、今後、実際の行政改革遂行に当たっては全庁一丸でやっていく、こういう決意でおります。

○三宅委員 全庁一丸というお言葉を、もちろん信じてやっていくわけでございますが、より具体的なプロジェクトチームみたいなものが、ある段階でできればいいなと、これは私の意見としておきます。
 そして、今また、このプランについて、ややハード事業に重点が置かれて、福祉などのソフト事業が軽視されているのではないかというような声が聞こえるんですが、この辺についてはいかがでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 戦略プランにつきましては、ハード、ソフトのバランスということよりも、テーマごとにねらいを絞り込みまして、当面、早急に取り組むべき施策、事業を提示することを主眼としたものでございます。
 なお、プランの中では、五つの区分のもとに緊急に取り組むべき課題を提示しておりますけれども、経済活力の向上や都市づくりのほか、健康で快適な都市環境の創出や福祉施策の再構築、さらには教育改革など、都民生活に直結する、いわゆるソフト事業にも重点を置いており、ソフト事業軽視との指摘は当たらないと考えております。

○三宅委員 今の答弁を、私はそのとおりだと思っておりますが、いずれにしましても、前にも申し上げましたけれども、こういうプランというような言葉でおやりになると、どうしても金額、事業費のことやら事業量のことだとかイメージされてまいりますから、この辺もあえて、さらに気をつけていただきたい、こんなふうに思います。
 東京構想二〇〇〇は、戦略プランと異なって、単にメッセージを示すだけではない、そして、この戦略プランに掲げられた課題の展開をも含めて今後の都政がどのようになっていくのか、そういった展開のあり方を具体的に示されていくものでなければいけないと思いますが、いかがでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 東京構想二〇〇〇につきましては、先ほども若干申し上げましたが、五十年後をも視野に入れつつ、おおむね十五年後を目標時期といたしまして、東京が目指すべき中長期的な都市像、生活像を明らかにするとともに、その実現に向けた施策展開の道筋を総合的、体系的にお示ししていくものであります。
 構想の策定に当たりましては、政策指標を全般的に導入いたすとともに、この実現を支える施策、事業をお示しいたします。
 また、そのうちでも特に重点的に取り組むべき施策、事業につきましては、三カ年程度の推進プランをあわせてお示ししていく予定としておりまして、都政展開の姿をできるだけ具体的にお示ししていきたいと考えております。

○三宅委員 政策指標という言葉が出てまいりましたけれども、この政策指標をどのようなものとして活用していくのか、もうちょっとわかりやすくご説明ください。

○関谷政策報道室計画部長 東京構想二〇〇〇に当たりましては、ただいま申し上げましたとおり、政策指標を全般的に導入していく予定にしております。
 政策指標の設定に当たりましては、都民が生活の質的な向上を実感できるような、できるだけわかりやすい指標の設定に努めていくとともに、その実現を支える施策、事業を明らかにしていく予定でございます。
 政策指標は、都政の目指す方向や、その成果をわかりやすく説明し、都民に対する説明責任を果たしていくとともに、都民生活をいかに改善できたかという観点から、施策、事業の見直し等を図るなど成果重視の都政運営の流れをつくってまいる、こうしたことをねらいといたしまして、いわゆるプラン・ドゥー・シーのサイクルを通じまして、多様な活用を図ってまいりたいと考えております。

○三宅委員 ぜひ、そのようになるように願います。
 今、都民にわかりやすいというお話がございましたが、ここ両日、大変に都民に関心を持たれております、石原知事が表明しております外形標準課税の導入に対する対応、都の説明、それと私ども都議会の行動、こういったことが日夜、テレビ、新聞を通じて報道されているようでございます。
 ですから、これから先、この政策指標というようなものだけを頼りにしないで、その場面その場面で、きちっと都民に対して説明ができるような仕事ぶりを、もちろん我々都議会も含めてやっていかなければならない。そういった意識の改革こそ、私は、この東京都政の改革にとって一番欠くことのできないものではないかと考えております。
 最後に、私の今の言葉をとらえて、各局長さんに一言ずつ決意のほどをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。政策報道室長さんからお願いします。

○柿沼政策報道室長 政策報道室といたしまして今考えておりますのは、今の時代状況の中で、とにかく社会全体が閉塞感に覆われ、将来に対する不透明感だとか不安感、こういうものが都民の間にも根強くある、これにこたえるということが、まず都政に非常に重要な要素としてあるだろうと。
 そういう意味では、政策報道室としても、まず第一には、将来の東京のあるべき姿、あるいは望ましい都民の生活像というものを盛り込んだ中長期的なビジョンを、都政としてつくらなければならぬということを一つ考えております。
 二つ目には、今、先生からもお話がございましたが、ビジョンを実現するためには多くの都民の参加が必要であって、そのためには、わかりやすい都政ということが非常に重要だろうという意味で、先ほど部長もご説明しましたが、政策指標の活用というようなことが出ているわけです。
 三番目には、私どもの一つ一つの仕事というのが、都民の生活の向上にどのように役立っているのか、その結果の成果が都民にわかるような都政をつくらなくちゃならぬだろうと。そういうような意味で、我々は、二十一世紀の東京づくりの羅針盤になるような東京構想二〇〇〇というものをぜひつくりたいと思いますし、その東京構想二〇〇〇が、大変厳しい行財政改革を進める中でつくり上げるということでございますけれども、東京の未来に明るい展望が切り開けるような、また、都民の生活に希望の明かりがともせるような、そういうものになるよう全庁を挙げて頑張っていきたい、このように思います。

○横山総務局長 私ども、行政改革を所管する局としまして、東京が直面しますさまざまな危機を克服して都民に信頼される都政を実現していくためには、何よりもまず、限られた財源や人材を機動的かつ有効に活用しまして、都民福祉の向上に向けて最大の成果を上げるよう行財政運営を行っていく必要があると考えております。
 そのため、人事制度であるとか、あるいは予算会計制度、執行体制なども含めまして、行財政システム全般にわたって問題点や課題を洗い出しして、それを踏まえた改革を進めていかなければならないと考えております。
 この改革を進めるに当たりましては、ご指摘がありましたように、職員一人一人がみずからの課題として受けとめることが重要でございますことから、危機突破・戦略プランでお示ししました都庁改革への基本的な方向の具体化に向けまして、全庁一丸となって取り組んでまいる所存でございます。

○木内財務局長 今日の都財政の状況は、申すまでもないようなこうした状況にあるわけでございます。都政としては、いわば足踏みせざるを得ないような状況にあるわけでして、そうしたときに当たりまして、その足踏みの中で足腰を鍛えていくことが、将来にわたって都民の期待にこたえていく道であろうというふうに私どもは考えているところでございます。
 そうした意味で、財政の構造改革を行うことが、今都政にとって大きな課題であり、目指すべき道だというのが私どもの考え方でございます。
 十二年度の予算の編成に当たりましても、そうした考え方を基本に据えながら、全庁を挙げて財政再建に向けての取り組みを行ったところでございまして、今後も、都民の期待にこたえるべく、関係局あるいは議会の協力を得ながら、財政の構造改革に全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。

○曽根委員 私からも、危機突破・戦略プランの問題点に絞って質問したいと思います。
 それに入る前に、先日、知事が提案した銀行に対する外形標準課税について、ちょっと触れておきたいと思います。
 我が党はこれまで、東京に本社が集中する大銀行が、庶民泣かせの低金利政策で莫大な利益を上げながら、それを不良債権処理や内部留保に回し、都の法人事業税をほとんど納めない問題、また、大手十七行だけでも八兆七千億円以上の公的資金の投入を受けながら、中小企業への貸し渋りを続け、さらには、臨海開発の第三セクタービルや土地信託ビルでは、都に経営破綻を穴埋めさせながら貸付利息や信託配当金でちゃっかりもうけている問題など、繰り返し厳しく指摘して、適切な負担を求めるべきだと要求してまいりました。
 外形標準課税についても、九八年三月の財政委員会などで、中小企業も含めた一律課税のやり方ではなく、銀行やゼネコンなど大企業に的を絞ったやり方を検討すべきだと主張してきたところであります。その点で、今回の知事の提案は大企業優遇税制の事実上の是正措置であり、大歓迎するものです。
 政府や銀行協会の不当な圧力による自治体の課税自主権への干渉に対しては、都議会としても、断固、これと戦っても応援しようという申し入れも行ったところです。
 それで、きょう三局お集まりですので、今回の課税方式の導入というのは、政府や財界の妨害に屈することなく、何としても実施できるように全力を挙げるべきだというふうに思いますが、ぜひ見解をお聞きしておきたいと思います。

○成田財務局主計部長 今回の銀行業等に対します外形標準課税の導入でございますが、現在の厳しい財政状況の中にありまして、臨時的とはいえ、一千億円もの財源の確保が図られることでございまして、財政再建にとって大きな助けになると考えているところでございます。また、真の地方自治の確立のためには、自主的な税財源の拡充が不可欠であることはいうまでもございません。
 今回の議論が、国と地方を通じた税財政制度の抜本的な改善に向けての突破口になることを期待しているところでございます。

○曽根委員 財務局らしいお答えなんですけれども、既に、政府や、また銀行協会などからも、激しい事実上の干渉や圧力がかかっているというふうに聞いております。そういう意味では、これはもう財政戦争です。全庁一丸となって実現させなければならないということを申し上げておきたい。
 我が党は、石原知事が国政の場でとってきた政治的な立場や、国政問題での考え方に問題があったからといって、それを理由に知事の都政施策を一律に批判する態度はとってこなかったし、今後も、こういう姿勢を貫くつもりだということも表明しておきたいと思います。
 次に、戦略プランについて質問いたします。
 都民が求めているのは、二十一世紀への第一ステップと銘打つからには、これまでの都政の大きなガンであった大型開発を最優先するという逆立ちした都政を転換させてほしい、投資的経費が膨らみ過ぎているんだから、そこに浪費にメスを入れて、都民に犠牲を負わせないで財政再建を推進してほしいということであります。
 この戦略プランは、残念ながら、相変わらず従来型の大型開発がふんだんに盛り込まれている一方で、都民福祉に対しては軒並み切り捨てを迫るというものになっております。そこで初めに、戦略プランの戦略Ⅳ、福祉の見直しについて質問させていただきます。
 戦略プランは、シルバーパスや各種の医療費助成、手当など経済給付的福祉事業の抜本的な見直しを表明しておりますが、その後、現在の時点では、既に具体的な条例案、予算案が出されております。
 そこで伺いますが、シルバーパス、老人医療費助成、老人福祉手当、障害者医療費助成、重度福祉手当、障害者福祉手当、ひとり親家庭医療費助成、乳幼児医療費助成、児童育成手当、昨年来問題になっております、この福祉の九事業の見直しによる特別区の財調分を含めた平年度の影響額をお示しいただきたい。

○成田財務局主計部長 福祉施策の見直しに伴います影響額についてでございますが、初年度につきましては、平成十二年度予算で百三十二億円程度でございます。また、特別区の財政調整上の措置額は、計算上では八十六億円程度でございます。
 また、今、特に強調されました平年度でございますが、これにつきましては、将来の規模の推計等が難しいことなどから正確な算定は困難でございます。しかしながら、一定の前提のもとに機械的に試算をすれば、影響額は五百億円程度と見込まれるところでございます。
 なお、今回の見直しでございますが、これは福祉施策の再構築を行うことを目的としたものでございまして、単に削減しただけではなくて、二百二十八億円の包括補助金の創設を初め、福祉改革ビジョンに基づきまして、例えば子ども家庭サービスの新たな展開、あるいは障害者の自立支援の新たな展開などで百八億円を、また、二十一世紀高齢社会ビジョン等に基づき、介護基盤の緊急整備や多様な社会参加の場の創出などで三百三十三億円を増額するなど、施策の充実が図られているところでございます。

○曽根委員 福祉施策について、来年度予算については予算の審議でも大いにやりたいと思います。しかし、これは戦略プランに基づいて、長期にわたって福祉の再構築を図るということが示されているわけで、それで今回見直しを出している。その影響が最終的にどれぐらいになるのかが出ないとなれば、このプランの福祉見直しの影響自体がわからないということになるわけです。そんなことをはっきりさせないで、まともな検討ができるはずがありません。
 お答えいただいた五百億円程度というのは、これはどういうものでしょうか。特別区の財調分は入っているんですか。

○成田財務局主計部長 ただいま申し上げましたように、財調分は入っておりません。

○曽根委員 財調分は幾らなんですか。

○成田財務局主計部長 そもそも財調算定分につきましては、特別区の財調で基準財政需要額ということで算定するものでございまして、個々の区がそういう政策をとるかどうかについては、その団体の長に文字どおりゆだねられている問題でございます。その分について都の方で、幾ら削減されるとか、そういうことを申し上げるのは僣越かと思います。

○曽根委員 もちろん私は、各特別区がそれぞれの条例でやっていることについて、独自に支えようとか、いろいろなことが起きている問題は知っていますよ。しかし、これは東京都が削減したものを、そっくりそれが区市町村に及んだ場合のことをあえて仮定して聞いているわけですから、それについてちゃんとお答えいただきたい。

○成田財務局主計部長 ただいま曽根理事の方からおっしゃっていただきましたように、財調算入については、都の一般歳出と金額の意味合いが違うという前提のもとに、それと、先ほど申し上げましたような一定の機械的な算定といいますか、そういうのを踏まえた上で申し上げれば、約三百億円でございます。

○曽根委員 いろいろいわないで、注釈つけないで、ちゃんとすぱっと答えていただきたいんですよ、資料としてはもう出していただいているんですから。
 それで、合計すると約八百億円ということでした。さらに、昨年来検討されておりました特別養護老人ホームの都の加算事業、これは全体として福祉プランの十一事業ということで、これも見直しの対象になっていた。この影響額は既にはっきりしていて、二百三十五億円になります。したがって、これらを含めると、削減、廃止など今の見直しの具体化が、今の計画どおり、方針どおり実行された場合、最終的には都民負担、一千三十億円を超える規模になるということになります。文字どおり、都政史上空前の見直しであります。削減、切り捨てであります。で、その影響を受ける都民も、これは、各局の出されている資料を集めますと、延べ百五十万人を超える影響になるということになるわけであります。
 それで、その主な事業について少し具体的にただしておきたいんですが、やはりシルバーパスの問題から一つ聞いておきたいと思うんです。戦略プランでは、シルバーパスについて見直しの方向が、こういうふうに書いてあります。可処分所得が若年、中高年を上回る三百二十万円までの高齢者にまで無料パスが交付されているから世代間の不公平だ、こういう指摘がされ、それを理由に見直しが提起されております。
 それで、じゃあ見直しはどういうふうにするかというと、住民税の課税基準を超える人は二万五百十円の高額の有料パス、さらに、非課税の人にも千円の料金というのが今回の内容で、まさに全面有料化というものであります。シルバーパスは二年前にも、局の段階でしたが、削減が計画されました。その内容は、無料パスを住民税非課税世帯のみに限定するというものでした。今回は、住民税非課税の人にも千円という内容になっている。
 何人が、一体この無料パスから高額の有料パスの方に移行させられるのか、残ったとしてもこれは千円になるわけですが、そういう方々は何人になるということなのか、人数についてお聞かせいただきたい。

○成田財務局主計部長 ただいまのお話は、来年度の予算の具体的な施策に係る問題でございまして、私としては、基本問題を検討するこの特別委員会で答弁申し上げる事柄としては適切ではないと思いますが、一度だけその部分についてお答えいたします。以降のものにつきましては、基本的な政策の問題で、具体的な予算の問題につきましては、この二十三日に、例えばシルバーパスにつきましても、条例案また予算案が議会の方に提案されますので、その第一回定例会の本会議、あるいは常任委員会等でご意見をいただきたいと思います。
 ただ、一度だけは申し上げますが、今回のシルバーパスでございますが、ただいまご質問の負担増となる経過措置の対象者でございますが、八万五千人でございます。
〔発言する者あり〕

○曽根委員 見直しが提起されていて、それの具体化がもう進んでいて、条例案まで出ているんですよ。それを、じゃあ見直しという一般論でもってどうなるのかということを、この戦略プランが出された昨年の十一月末の時点までさかのぼって議論しなければならないという時点じゃないでしょう。はっきりいって、もう方針が出ているんですから。しかも、これは各局からの予算案じゃなくて、知事の方針が昨年暮れに、二十一日に、知事原案、予算原案を出すに先立って全都民に向けて、それから自治体が準備も大変だろうからということや、都議会の各会派から要請があったということを理由にして、知事自身みずから出しているわけですよ。つまり戦略プランの具体化じゃないですか、もうこれは。
 それを聞いちゃいけないというんだったら、戦略プラン自体が議論できないじゃないですか、はっきりいって。ここに掲げてあるこの文言だけしか聞いちゃいけないというんですか。それは、明らかに議会の我々の質問権に対する侵害ですよ。そうじゃないですか。だって知事自身が出しているんですから、数字も、影響も。
 そういう意味で、これからも質問をさせていただきたいと思うんですが、千円というのも手数料だというふうにいわれていますが、条例案を私見ましたら、二万五百十円も千円も、条例案の第四条で、どちらも同じ扱いで費用の負担とされています。そして今後は規則となります。規則ですから、もしなれば、千円になった後は、知事の裁量で議会にかけずに値上げができるわけです。私は、非常に危険な道が開かれることになると思います。
 そこで、住民税の課税基準のところで、この高額の二万五百十円と千円を分けるわけですけれども、これはどういう所得水準かということであります。私は、住民税非課税というのは、やはり低所得層で、その基準を少し超えた人というのはかなり厳しい所得水準だというふうに思うんですが、財務局はどうお考えになりますか。
〔発言する者あり〕

○成田財務局主計部長 ただいま所得制限、基準を踏まえまして、限度をどこにすべきかというお話があったかと思いますが、この問題につきましては、今回の福祉の見直しで、費用負担のあり方、あるいは所得制限の問題、こういった基本的な問題と、その具体的な基準をどこに置くかという、さらにそれの具体的な基準の問題があるかと思います。これにつきましては、やはりそれぞれの専門の、ただいまのお話でしたら、厚生委員会等々で十分ご議論いただく内容かと思います。
 あと、ちなみに、私ども議会に対しましては、今週の議会運営委員会等を通じまして、来週、条例案、予算案を正式にご提案申し上げますので、それを踏まえて積極的なご議論をお願いしたいと存じます。

○曽根委員 そういうふうに一々いわれると、この戦略プランそのものを、我々何か外からなでるみたいなことしかいえないじゃないですか。これ自身は、それぞれ三局の方々が入って具体に検討されてつくり、それが早いものは来年度予算にもう具体化されようとしているんですから、そういう立場でちゃんとお答えいただきたいんですよ。
 今、シルバーパスにかかわっていないというんだったら、お年寄りの住民税課税ラインというのはどういうものなんですか。わからないということはないでしょう。どういう水準なんですか。

○成田財務局主計部長 住民税の非課税ラインでございますが、年金所得者の場合ですと、年間二百六十六万六千円だったと思います。それはそれぞれ基準に書いてございますので、ご参照いただければと思います。

○曽根委員 とにかく解釈をしたくないようですけれども、住民税非課税基準、課税基準というその下は生活保護の基準しかないわけですよ。ですから、いろいろな福祉施策を考えるときに、一番低い基準なんですよ。所得税の課税基準よりもさらに下なんです。したがって、こういう基準まで下げるということは、お年寄りの非常に多くの方々が低所得で暮らしているという、そのちょうどど真ん中にラインを引くことになるんです。
 先ほど、シルバーパスで八万五千人が高額パスに、有料パスに移行するということは、現在の発行数が八十数万人ですから、その方々が来年度も大体シルバーパスを入手したということにしますと、そのうち、住民税課税ラインを超えて有料に切りかわる方が一割ですよね。残り九割、この年代のお年寄りの大半が非課税ライン、課税ライン以下にいるということになるわけでしょう。
 したがって、東京の高齢者の実態というのは、非常に低所得層にシフトしているという実態は、これからも浮かび上がってくるわけなんです。そこに二万五百十円のパスを買えと。住民税だって、課税ラインちょっと上の方というのは均等割しか払ってないわけですね。税金だって年間四千円ですよ、均等割は。そういう方にまで、二万五百十円のパスを買いに来なければシルバーパスは出さないんだということを、あなた方はやろうとしているわけですよ。これはとんでもない話だというふうにいわざるを得ません。
 それで、私、住民税課税ラインの方々が、福祉の上で、どういう料金を払っているのかなと思って、この「社会福祉の手引」を見てみました。いろいろな所得制限の表がここに載っています。これを見ますと、所得の低い方から上にランクづけになっていて、生活保護世帯がA、当該年度の区市町村民税非課税世帯がBというふうになっています。この料金表を見ると、東京都関係の、例えば母子生活支援施設だとか知的障害児通園施設とか、いろいろな福祉の施設の利用料とか、補装具の料金だとか出てきます。料金は全部ゼロですよ。生活保護世帯と非課税世帯はゼロなんです。それを超えたところで二万円のパスを、それよりラインをちょっとでも下回れば千円の料金をと。恐らく、この表に初めてこのシルバーパス千円というのが入るんじゃないですか。そういう扱いを受けている人たち、これは極めて当然なことですけれども、そこに、千円といえども有料化を入れるということ、しかも、この先値上げが幾らでもできるという道が開かれるということは、私は、高齢者施策、福祉施策の大きな後退につながる一歩だといわざるを得ないと思うんです。
 このほかにも、バス協会の発行になる問題もあります。一体どうなるのか、どこにとりに行けばいいのか。このパスをとりに行くのに今度は非課税証明が要るんでしょうから、北区でいえば三百円の非課税証明書を買わなければならないのですよ。そういう問題も出てきます。
 このシルバーパスについては、二年前に都議会で一致して、これは撤回してもらいたいという要望をしています。この要望書、私ちょっと今探してきたんですけれども、我が党もしましたけれども、我が党以外の四党の方々も、このシルバーパスについては、高齢者の社会参加等で意義ある制度にもかかわらず、一挙に有料化されることになり、まさに高齢者の生きがいを奪うものといわざるを得ない、財源不足を福祉切り捨てによって安易に都民に負担を押しつけることは、行政がみずからの努力を放棄することで、断じて許されることではないというふうに、極めて当然の要望を出しており、これを受けて知事段階で撤回されたわけです。
 さらに、都議会の前回の選挙でも、七割の都議会議員が公約をしているということは申し上げたとおりで、今回の見直し案が、これで現行制度が守られたなどといえるものではないことは明らかだと。この問題は撤回するように強く求めておきたいと思います。また、一定でも徹底的に審議をしたいと思います。
 それから、同じ高齢者福祉で、廃止が提案されておりますマル福について、これも前回、二年前に財政健全化計画の削減案が、所得制限を強化して三分の二の人を切り捨てるというものが出されました。今回は文字どおり廃止ということになります。これもやはり危機突破・戦略プランで、わざわざ事業名を挙げて見直せということが書かれているものですから、私取り上げているんですけれども、厚生委員会の質疑では高齢者施策推進室自身が、このマル福廃止によって医療費が大幅に上がるだろうという試算も出しております。
 それによると、これは高齢者施策推進室の試算ですが、一人当たり平均、一カ月で二千百四十八円から七千七百十円に、三・六倍にはね上がるということを認めております。これでは、低所得者など医療費が払えないための受診抑制という深刻な問題が生まれるのではないかと思いますが、この問題をどう考えますか。

○成田財務局主計部長 ただいま受診抑制等個々の問題についてお話ございましたが、私どもは、そういった個々の問題よりも、この間の福祉の施策の見直し、再構築、さらにこの四月からの介護保険制度の運営等を通じまして、二十一世紀に向けた高齢社会全般の充実に向けて、施策の充実を検討していかなければいけないと考えております。

○曽根委員 その大義名分といいますか、そちらの考えはわかりましたよ。しかし、現実にマル福の見直しによって、今回廃止によって、受診抑制が起きないという保証はあるんですか。その点についてだけ答えてください。

○成田財務局主計部長 申しわけございませんが、ただいまのご質問につきましては、主計部長としての私の知識等々から判断できる問題ではございませんので、答弁は省略させていただきたいと存じます。

○曽根委員 こういう問題の認識がなくて、予算のすり合わせを高齢者施策推進室とやったんですか。本当にそうなんでしょうか。

○木内財務局長 個々の施策によって、適切な私どもの見直し、あるなしにかかわらず、医療については適切な医療水準が確保され、かつまた、必要な医療が常に給付されるものだろうというふうに思っております。
 ただいままで、るるご高説を承ってまいりましたけれども、常にいわれることは、主張に沿った答弁を一つ得て、それをにしきの御旗にして、自己の正当性をうたうという論法でございまして、私どもとして考えていることとは大きく異なり、申しわけはないですけれども、私どもとしては、ただいま主計部長が答弁申し上げましたように、これからの福祉のあり方、いかにあるべきかということを論拠を立てて、今回の再構築案を都政全体としてまとめたものだろうと思っております。個別具体的な所得制限によって、この方がどうなる、ああなるという個別の話を持ち出して全体を議論することについては、なかなか受け入れがたいことでございます。
〔発言する者あり〕

○曽根委員 申し上げておきますが、私は個々の事例をいったのではなくて、高齢者施策推進室が試算した、高齢者一人当たりの平均の医療費の二千百四十八円が七千七百十円になると。これは平均値、平均額ですから、個々の事例じゃないんです。しかも、東京都が試算したものですよ。それでも三・六倍という数字が出ているんです。
 それから、今局長から、私が何か特定の考え方に基づいて質問していて、それはそちらの立場と違うんだと、意見が全く違うんだからというようなお話がありましたが、それでは、東京都は医療保険問題について、私が心配したようなことを考えていないのかどうかということですよ。東京都が医療保険制度改革について国に要望を出していますよね、二〇〇〇年度予算について。医療保険制度の改革について、知事名で出していますね、これの中身を紹介してください。

○成田財務局主計部長 医療制度につきましては、昨年来、国におきまして、平成十二年度に制度の抜本的な改正を行うことを目指し、さまざまな議論がなされていた状況にございます。そうした中にありまして、都といたしまして、平成十二年度の政府予算編成に係る東京都の要望、これは所管は福祉局、衛生局、高齢者施策推進室でございますが、そこに記載されておりますように、医療保険制度の改革に当たっては、国民に信頼され、長期的に安定した医療保険制度を実現するため、一つ、時間的な余裕を持って具体的な改革案の内容を明示し、かつ、国民、地方公共団体等の意見を十分に反映すること、二つ、低所得者に十分配慮すること、三つ、逼迫した地方財政の現状を考慮の上検討するとともに、将来にわたり十分な財政措置を適切に講ずることを要望したところでございます。
 なお、国の方の医療制度に係ります抜本的改正は、結果といたしまして、十四年度以降に先送りされたところでございます。

○曽根委員 国に対しては、時間的な余裕を持って具体的な改革案の内容を明示し、国民、地方公共団体の意見を十分反映されたいとか、低所得者に十分配慮をなどといっておきながら、なぜみずからは、もう半年もないような、まともな議論の期間も持たせずに、しかも、低所得者への配慮も制度的保障もなく、制度そのものを廃止に持っていこうとするのか。これは、だれが考えてもおかしな話です。二年前には、削減案さえ全会一致で否決されているわけですよ。都議会のこのときの意思決定、知事案を否決したんですからね。それすら、全く無視されているわけです。
 高額医療費制度の問題をよくいわれるんですけれども、これは国だって同じなんですよ。しかし、それがあっても、低所得者の対策を打たなければ受診抑制が起きるんじゃないかという心配があるからこそ、こうやって低所得者に特別な配慮をというふうに、東京都自身が国に要望しているわけです。それが全く廃止ですからね、東京都が都民に出しているのは。全くおかしいと思うんです。
 これは、二年前の都議会で全会一致で否決されただけではなくて、昨年、知事選挙、各区市町村の選挙が行われましたが、それを前にして、各党が公約を発表しております。我が党も出しました。
 その中に、私ちょっと紹介したいんですが、九八年十一月に公明党都本部の方からも、当然のことなんですけれども、このマル福については明確な公約が出されております。高齢者に対する医療費助成制度の現行水準を守っていきます、都独自事業である老人医療費助成制度の所得制限の緩和及び一部負担金の軽減に努めますと、改善を公約しているわけです。さらに、発刊に寄せてというところには、当時、浜四津敏子代表代行が、二十一世紀東京改革プランは、公明党東京都本部が二十一世紀の初めの十年間をめどに、東京という都市が直面する諸課題を明らかにし、それらを克服するための政策を提案したものだと。政治に信を回復させるには、政治家、政党が約束した政策を誠実に実行していくこと以外にありませんと、非常に格調高く述べられているんです。(発言する者あり)
 私は、やはりこれは見識だと思うんですよ。都議会でも繰り返し議論がされ、結論が出されている問題です。ですから、我々としては、廃止計画など白紙撤回しかないんですよ。こういうことを申し上げておきたい。
 今、二つの問題を挙げましたが、このほかにも、今回財政健全化計画ではなかった老人福祉手当、障害者の重度手当、障害者福祉手当まで廃止、削減の対象とされております。これらは寝たきりのお年寄りや障害者、その家族にとってかけがえのない、まさに命の綱であり、これを廃止や削減することは、命の支えを奪うことにほかなりません。
 簡潔に幾つか質問しておきたいんですが、老人福祉手当についてであります。
 戦略プランでは、介護保険に必要なサービスを提供する仕組みがつくられるので、この老人福祉手当は見直すというふうに述べられ、具体的に知事が昨年廃止を打ち出しました。老人福祉手当の役割、これが今度行われようとしている介護保険制度の中で、全部カバーされるという具体的保証はどういうところにあるんでしょうか。

○成田財務局主計部長 一般論でございますが、介護保険制度は、必要となるサービスを確実に提供していくための仕組みでございます。したがいまして、当然のことでございますが、高齢者がそれぞれの介護度に応じた施設あるいは在宅等のサービスが受給できるよう、都としても、この介護保険制度が円滑に運用されるよう努力していきたいと考えております。

○曽根委員 今、部長さんも一般論といいましたけれども、まさにそれは一般論ですよ。そういう一般論では解決できない問題が、何万人かの福祉手当を今受けている方々に個々に起きてくるわけなんです。本当に命の支え、暮らしの支えになっているわけです。これを切られたことによって、ただ一人でも路頭に迷わせるようなことがあってはならない、これは都政の責任だと思います。
 この具体的な問題について、いつ行われるかという問題なんですけれども、条例案では、この手当の廃止はいつ施行されるということになるんでしょうか。

○成田財務局主計部長 老人福祉手当でございますが、平成十二年度からの経過措置を設けつつ、平成十五年三月三十一日をもって廃止するよう、来る二十三日に条例案を提案する予定でございます。

○曽根委員 最終的に、何年か経過措置をとって廃止するのが平成十五年、わかりました。その条例はいつから施行されるんですか。

○成田財務局主計部長 先ほども申し上げました二十三日にご提案申し上げます条例案によりますと、東京都老人福祉手当に関する条例の一部を改正する条例の附則で、この条例は平成十二年四月一日から施行する、このように記載してございます。

○曽根委員 つまり、最終的になくなるのは十五年だが、その道が決まるのは、ことしの四月一日ですよね。しかし、この手当を本当に廃止でいいのか。それまでの役割をどう総括し、介護保険に丸ごとのみ込めるのかという問題については、さまざまな意見が出ているんですよ。
 例えば、昨年の十二月二十二日の朝日新聞では、もっとちゃんと議論を公開して、選択肢を示せと。福祉施策のこれだけの大幅な見直しが、何か都民の知らないうちにやられているぞという記事がある中で、この老人福祉手当についても、都内の特別養護老人ホームの施設長が、生活保護ぎりぎりで、介護保険の一割の自己負担が払えず、サービスから締め出される人が少なくないだろう、低所得者向けに、来春以降こそ手当が必要だと訴えているという見解も紹介されています。こういう意見が現にあるわけですよ。低所得の方は、保険料も取られてしまう、さらに一割の利用料が払えなければ、サービスを辞退するという事態が生まれるだろうと、各マスコミで報道されている。そういう中で、この福祉手当の役割とは何なのだろうということを、改めて都民的に議論すべき時間が必要だと思うんです。このことは強調しておきたいと思うんです。
 昨年、集中審議もありました厚生委員会でも、自民党の議員さんも、利用料が払えないという方が出た場合に、この福祉手当、本当に廃止でよかったのかという議論になるという問題も指摘されています。そういう中で、四月一日実施だということになると、これを議決する日程というのは、今のところ、都議会で三月三十日の最終本会議と。そうすると、年度末、区市町村が判断する日というのは、三月三十一日、たった一日なんですよ。区市町村はどうすればいいんですか。

○矢部委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕

○矢部委員長 速記再開。

○曽根委員 質問の角度を変えます。
 四月一日から実施するということで、都議会の議決は三月三十日だと。準備が間に合わないじゃないかという矢のような、ごうごうたる区市町村からの問い合わせがあって、それで東京都側から、いろいろこういうふうに条例をつくったらいいんじゃないかとかいうふうなご指導をしていると聞いているんですが、いかがですか。

○矢部委員長 曽根理事、同じことになるというふうに思います。これは委員長の判断ですが、観点を変えたということではなくて、そもそも答弁にそぐわない質問ではないかと私は思っております。ですから、別のところへ進めていただけませんか。
〔「答弁はできないよ」「あとは所管局しか
ないよ、答えられるのは」と呼び、その他発言する者あり〕

○矢部委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕

○矢部委員長 それでは、再開いたします。

○曽根委員 知っていても、こうやって答えないことがいっぱいあり過ぎるので、私も困るんですけれども、現在出されている見直し案、これが戦略プランの具体化であることは明らかであって、それが明確に事実として条例案に四月一日実施というふうに盛り込まれていると。これは行政としてはかつてない、前例のないことだということだけははっきりしています。私も高齢や福祉に聞きましたけれども、前例がないからといっても、必要だからやるんだというんですよ。しかし、ここにいろいろな議論が現にあるし、市町村だって、では、うちで一年間、二年間支えていきましょうというところも出てきている一方で、いや、もう専決処分でやっちゃえと、決めちゃうしかないというふうに考えている方もいるというふうに聞いています。こんな混乱を起こさせること自体が、東京都の二十三区及び市町村を抱えた、本当に都としての役割、自治体としての役割が根本から問われていると私は思うんです。そのことだけは申し上げておきたいと思うんです。
 次に、重度障害者手当と障害者医療費助成、これも情け容赦ない切り捨てが計画されています。これも戦略プランにちゃんと位置づけられておりまして、障害者の重度の手当、福祉手当などについては、生活保障や介護費用などの軽減目的で実施されていたものだが、現在ではホームヘルプサービスの充実などにより、在宅介護などに要する負担の軽減が図られてきているとして、負担の公平性や制度間の整合性の観点から見直しを行うと述べています。
 現に、今提案されているのは、成人の障害者には、本人に所得がある場合に、国の特別障害者手当の所得制限を適用するというものです。国の特別障害者手当には、障害者が扶養されている場合には家族の所得に制限がかかるけれども、東京都は扶養義務者の所得制限は適用しないという措置、つまり本人の所得にのみ所得制限をかけるという措置を行おうとしています。
 ところが、ここに大きな落とし穴がありました。問題は未成年の障害者、障害児の場合です。この場合には、所得制限はだれに対して、どういうふうに基準が適用されるのか。これはもう案としての事実の問題ですから、これだけはお答えいただきたいと思うのですが、いかがですか。

○成田財務局主計部長 十二年度予算の具体的な内容に関連するご質問でございます。また、事柄につきましては、先ほどシルバーパスについて、本来はこういう場ではそういった各論を申し上げる立場にないんですが、一つだけ例外にという形で申し上げました。ただいまのお話につきましても、そういう意味では、こういう問題に一つ一つお答えしていきますと、ここが基本問題ではなくて、そういった施策の一つ一つの議論の場になりますので、そういった点で、ただいまのご質問につきましては、答弁を控えさせていただきたいと考えております。

○曽根委員 これは基本問題なんですよ。重度障害者手当をもらってる人というのは、ごく限られているのです。極めて狭い範囲の方々ですよ。その方々にとって、これは本当に何割かの方が大変なことになる問題なんで、これは基本問題なんです。命の重さにかかっているのですよ。命の重さ以上に基本問題はないですから。金額はいいですから、どういう基準が適用されるか、だれに適用されるのかだけ答えてください。
〔「それを答える立場にないんだから」「障
害者にかかわる基本問題ということで聞いている数字ですよ。その数字が答えられないことはないでしょう、査定してきたんだから。それくらい答えたっていいじゃないですか」と呼び、その他発言する者多し〕

○矢部委員長 静粛にお願いいたします。不規則発言はお慎みください。(「答えないから、代理でいってやっているんだよ。委員長、答えさせなさいよ」「整理して」「委員長、理事会開いてくださいよ」と呼び、その他発言する者多し)
 速記停止、お願いします。
〔速記中止〕

○矢部委員長 それでは、速記再開。
 質疑を続行いたします。

○曽根委員 では、改めて。昨年十二月の暮れに知事が先立って発表した知事の福祉見直し方針、ここには制度の見直しの中身が具体的に書いてありました。その中身として、先ほど私がお聞きした重度障害者手当の基準の見直しは、未成年の障害者についてはどうなっているでしょうか。

○木内財務局長 重度障害者手当につきまして、これからご審議いただきます十二年度予算案の中におきましては、国の特別障害者手当の所得制限に準拠するという考え方をベースにいたしまして、扶養親族ゼロ、すなわち本人一人、ゼロということですけれども、年収換算で四百九十二万四千円というふうに設定してございます。

○曽根委員 未成年の障害者に対しては、どうなっているのでしょうか。

○木内財務局長 同じような考え方で予算上設定していることでございます。条例案も含めまして、これからご審議をいただきたいというふうに考えております。

○曽根委員 はっきりお答えがなかったんですが、障害者本人の所得制限を、未成年については同じように、これは扶養義務者である両親など保護者に対してかけるわけです。保護者に対して所得制限をかける場合、国は、これは資料をお配りしてありますように、特別障害者手当の障害者本人基準ではなく、扶養義務者基準を当然ながら適用しております。東京都は国の基準をかりて数字を設定するのですが、なぜか未成年の障害者の家族の、つまり扶養義務者の所得制限を、障害者本人の特別障害者手当の基準を適用するというやり方をしようとしています。
 そこで、ごらんのように、扶養義務者であれば七百四万二千円――これは上に書いてあるような例の場合なんですが――の基準のものが、二百四十万少ない四百六十一万八千円になってしまうわけで、この四百六十一万八千円自体が、私には非常に低い所得水準ですが、それを超えると切られてしまうんです。
 しかも、問題は、児童育成手当も心身障害者医療費助成も、未成年については家族の、つまり扶養義務者の基準で、全部同じ額で切るということになります。したがって、この四百六十一万八千円をちょっとでも超えると、三つ一遍に切られる。現行制度では、重度障害者手当は所得制限がありません。児童育成手当については六百十一万八千円、心身障害者医療費助成については六百八十七万九千円ですから、家族の方が所得がふえた場合でも、一遍に切れるということはないわけですよ。重度手当は残るわけです、順番に切れていくということはあったとしても。
 ところが、今度は四百六十一万八千円で三つ一遍に切られるわけですよ、今まで受けていた人ももちろん。これは月額を見ていただければわかるように、医療費はそれぞれ人によって違いますが、一人の障害児について月十万円を超える負担がふえるということも出てくるわけですね。四百六十一万八千円ということは、四人家族の場合でも、せいぜいのところ収入が月五十万あるかないかですよ。それで、月十万円の負担増が来る、今まで無料でいったものがですよ。――月四十万、四十万そこそこですよ。そういう方が切られることで大変な問題が起きるということを、当事者が今気がついて、大変心配して、私たちのところに続々と個人から手紙が来るんですよ。
 二十三区内で民間の会社の社宅に入っているある方は、もう既に、国の特別児童扶養手当が今年度から五万一千五百五十円カットされた。しかも、今回の見直しで、この三つの手当が切られてしまう。この方は、医療費助成については、一〇%負担になるんだろうというふうに勘違いされていたんですね、手紙をいただいたら。しかし、これは医療費助成そのものがなくなるわけで、老人保健法適用でも一〇%適用でもないわけで、三割負担ですよね、基準を超えたら。それを私たちが説明しましたら、絶句しましたよ。月々にどれだけかかるのかもいろいろ書いてありますが、時間がないので省略します。
 こういう国の制度を、私にいわせれば悪用して適用することが、この戦略プランに出された見直しの方向、それの具体化として極めて適切な方向だというふうにお考えなんでしょうか。

○木内財務局長 個々の一つのケースを取り上げてお話をいただきました。先ほど来申しているように、個々のケースを取り上げたことによって全体を云々することについては、私どもとして、論議の仕方としては納得してないというふうに先ほど申したところでございます。
 また、今回の施策の再構築、見直しについては、この先の都政としてあるべき姿、あるいは福祉の姿としてどうすべきかということを観点として見直しを行ったものでございまして、一人一人の方がこうであるから、制度全体の見直しは現行どおりにすべきである、給付についてはますますふやすべきであるということについては、なかなか納得できないご主張であるというふうに思っております。

○曽根委員 先々のことは幾らでもいえますよ。我々だって理屈はある。しかし、現に今、切られた瞬間に起きる都民負担に対して、どう責任を持つのかという問題が問われているんですよ。あなた方は、戦略プランだけ私は決めたんだと、これは方向しか書いてないんだというかもしれないけど、現に、それでもって制度は具体に動き出しているわけでしょう。それが本当にこれでいいのかと、戦略プランをつくった政策報道室は。もう条例案が出ているのですから、この見直しの方向はこの条例案でいいんだということになるんですか。
 これは、戦略プランを出した責任の上でちょっとお聞きしますけど、今いったような国の手当の基準をねじ曲げて適用して、障害児については本当にひどい切り下げになってしまう、これでいいんですか。

○関谷政策報道室計画部長 今回の危機突破・戦略プランにおきまして、福祉施策の再構築について触れた基本的な認識でございますけれども、繰り返しになる部分がございますが、東京都の福祉施策は、戦略プランの中でも述べてありますように、国の社会保障制度が十分でなかった昭和四十年代にその骨格を固め、その後の社会経済状況の変化に対応した見直しが行われてきませんでした。これまでの施策のままでは、量的にも質的にも、現在及び将来のニーズに対応できない状況にあると。で、東京都としては、経済給付的事業から在宅サービス等へ施策の重心をシフトするとともに、利用と負担のバランスの適正化を図り、国と都と区市町村の役割分担、経費の負担のあり方を整理し、在宅サービス等を充実させ、都民の増大するニーズにこたえていく。それにより、社会の活力を保ちつつ、だれもが人間としての尊厳を持って安心して暮らせるよう、個人の自立・自助を基本としつつも、自助努力だけでは生活が困難な方々を社会が連帯して支える安心の仕組みをつくっていくと。こうした施策の展開が必要であるということで、今日の福祉の危機を打開していく道筋を示した、そういうものでございます。

○曽根委員 本当にそらぞらしいというか、聞いていて情けない思いがしました。時間がもう過ぎようとしていますので、用意していた質問をちょっと省略せざるを得ませんけれども、本当に情けなくなっちゃったんです、私は。これは第一回定例会も含めて徹底的に議論をして、この中身の――本当に一人の都民でさえ、この問題で命を落とすようなことがあってはならないわけですよ。
 ちょっと紹介しておきたいのですけれども、愛知県で、今回東京都がやろうとしている障害者の医療費助成と全く同じ基準で、今まで所得制限がなかったんですけれども、導入しようという知事案が昨年出されまして、暮れの議会で相当もめたそうなんですよ。我が党はもちろん撤回を求めましたが、私、これは「公明新聞」で知ったんですけど、公明党の県議団が、大型プロジェクトを推進する一方で、教育、福祉予算を削減しようとする県当局の方針を追及し、教育、福祉予算を削減しない財政再建計画を示せと迫ったわけです。今度の障害者、乳児、母子・父子家庭、戦傷病者の四つの医療費助成について、所得制限導入は弱者への影響が大き過ぎると見直しを強く申し入れた。それを受けて知事は、所得制限導入は撤回したというふうに報道されていて、私、うちの県議団に確認しましたら、事実だそうです。(「公明党じゃなきゃだめなんだ」と呼ぶ者あり)我が党も頑張ったんですよ。
 その所得制限導入基準が、東京と全く同じだったんで、私はびっくりしました。これは暮れの議会で、二年前、私、思い出しましたけれども、十日間、障害者の座り込みがあったそうなんです。徹夜で座り込むっていう体制だったんですよ。それで、これは命にかかわるということで、さすがにこれはドクターストップがかかって、夜九時で終わりになったそうですけれども、東京以上に激しくやっていますよ。それくらいの問題だったわけですね。
 なぜ怒りが出たかというと、一方で万博をやろうとしている。万博をやって国際的に批判されている、要するに万博に名をかりた大規模開発じゃないかといわれていることを一方で進めながら、その裏側で何が起きているかということがはっきり県民にわかったわけですよ。だから、もう大騒動になったわけです。
 しかし、東京の戦略プラン、これを見たら、丸の内を中心にした都心の再整備、それから臨海開発は、面積でいえば四十倍、五十倍に広げるプロジェクト案、ビジョン、三つの環状高速道路を東京都も大いに協力して促進すると。東京都が一体幾ら国のこういう事業促進に手をかして負担させられるかもわからない、一個一個が数兆円を軽く超える規模のものが並んでいるわけですよ、戦略プランは。ですから、愛知の万博どころではない、大変な化け物の巨大計画が、この戦略プランの後ろに潜んでいる。そういうものを進める一方で、私たちが今議論している福祉の見直しがやられようとしているんだ。これはやっぱり愛知だけの問題じゃないということを痛感しました。
 そういう点で、残念ながら財政問題はちょっとできないのですけれども、やっぱり開発至上主義というのは、今もう時代おくれなんですよ。愛知の万博だけじゃない。吉野川の可動堰にしたって、もう批判を受けている。国際的にも批判されている。そういう開発が何が何でも優先という姿勢を東京都が本当に改めないと、財政破綻、そして都民の暮らしや福祉も破綻するということを申し上げなければなりません。そこを全く逆の方向に私たちは進みたい、財政再建は都民の犠牲なしにもできるんだということを強く申し上げて、質問を終わります。

○中嶋委員 本日は、戦略プラン、それから行政評価制度、その行政評価制度について質問したいと思います。
 その前に、ザインとゾルレンといいましたか、存在と当為、その矛盾、葛藤の中で一歩一歩前進していく、これが現実の世界のありようだと思います。そういう立場から、引き続き議会は議会として頑張りますので、皆さん方もぜひ頑張っていただきたいと思っております。
 先ほど自民党の三宅委員の質問で、政策指標、答弁として出てまいりました。いつつくるのか、これは都市構想に合わせてつくる、それから何を目指しているのか、答弁がありましたので、重複を避けて、ちょっと角度を変えて質問したいと思います。
 去年八月、政策報道室が、全国初の自治体ベンチマークスの試みと。要するに、政策指標というのはぴんとこないですね。アメリカのオレゴン州でやっているベンチマークス、ベンチマークスをつくる、そういう話だと思うんです。そのベンチマークスって一体何なのか、実は我々、オレゴン州に行ってまいりました。もちろん自腹、自費でございますので、念のために。つぶさに見てまいりました。似たようなものを東京都は考えていらっしゃる。
 例えば、今、ベンチマークスの例として、十万人当たりの成人病による死亡者数とか、あるいは都立病院の外来患者の平均待ち時間とか、さらには国際会議の開催件数の世界の都市の中での順位とか、住宅取得費の年収倍率とか、児童生徒一万人当たりの登校拒否による小中学校長期欠席者数とか、身近に利用できる運動施設がある人の割合とか、これが東京都が考えているベンチマークスの一つの例、これを都市構想までにつくるわけですね。
 じゃ、ベンチマークスというのは一体何なのか、政策指標というのは一体何なのか。オレゴン州でもそうですけれども、読んでみると、東京都が近い将来どんな行政を目指しているのか、東京都が何をしようとしているのか、行政の素人でもよくわかるものでなくちゃならない。したがって、数がたくさんあればいいという話でもなければ、数が少なくてもいいという話でもないわけです。
 ところが、皆様方の話を聞いていると、今のところベンチマークスは皆様方がつくると。だけれども、アメリカのオレゴン州では、実は行政がつくっているわけじゃございません。もうご存じかもしれませんが、プログレスボードという組織をつくって、そこでベンチマークスをつくって、しかも、なおかつそのベンチマークスに基づいて行政評価まで行う、こうなっているわけです。つまり、オレゴン州の将来像は、住民、行政、民間相まってつくるんだと。で、ベンチマークスをつくりました。オレゴン州のベンチマークスを読みますと、素人でも、オレゴン州が近い将来どんな行政を目指しているのか、どんな社会を目指しているのか、こうなるわけです。
 したがって、東京都がもしも政策指標をこれからつくるのであるならば、どういう形で住民のニーズ、都民の皆さんの将来展望をそこに取り込んでいくのか、この辺の見解、方針があったらお示し願いたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 今回の都市構想の策定に当たりましては、都政モニターアンケートですとか、あとインターネットの活用も含めて、種々の媒体を通じまして都民意見の募集を行うとともに、専門家や関係団体など各方面からさまざまなご意見をいただきながら作成を進めていく考えでおります。こうした中でも、政策指標の案を種々いただきながら、案をつくってまいりたいと考えております。
 そして、この政策指標の案につきましては、本年夏ごろまでに公表する東京構想二〇〇〇の中間段階案を発表する際に、あわせて政策指標も案としてお示しいたしまして、それに対する都民意見等も踏まえながら、最終的な政策指標を設定してまいりたいと考えております。

○中嶋委員 今のご説明は、ベンチマークス、政策指標をつくるのはどこかというご答弁。ベンチマークスができた段階で、その達成度を評価するのはどこで行うのですか。どこで行うおつもりでいらっしゃるのですか。これは総務になるのかな。おかしいな、政策報道で主に中心になってやっておいて、評価機関をやはりそちらで考えないと、ちょっと理屈として合わないんじゃないですか。

○関谷政策報道室計画部長 設定いたしました政策指標につきましては、いわゆるプラン・ドゥー・シーと申しまして、計画の設定ですと、計画を立てるに当たっての一つの基本的な指標ですとか、また事業執行上、予算措置上とか、そういう中もございますし、またシーの段階におきましては、東京都で現在試行しております行政評価制度の本格実施に向けた場合には、この政策指標を基本的な指標として活用していく。そういうことで、プラン・ドゥー・シーの全サイクルを通じて活用してまいりたいというふうに考えております。

○中嶋委員 後ほど今回の試行についても質問するつもりでいますけれども、しかし、これは内部による内部の評価の色彩が濃いわけでして、ベンチマークスの本来的な意味合いというのは、あくまでも都市構想に合わせてつくられるその政策指標である、こういうことだと思うんです。ぜひともその辺、しっかりとベンチマークスをどうつくるのか、それでどう評価するのか。
 もう一点、これは釈迦に説法かもしれません。しかし、そのそしりを受ける覚悟でいいますけれども、何も行政改革のための行政改革をするために、オレゴン州ではベンチマークスをつくったんじゃないと、これが非常に印象深かったですね。十数年前、非常に経済が停滞した。オレゴン州の経済の活性化をしたいと議論を重ねた。その議論の過程で、どうしても効率的で効果的な行政執行が経済活性化には不可欠だ、したがって行政改革をやろう、そのためにはベンチマークスが必要だ、それでできた、こういう話なんですね。決して内部による内部の評価じゃなくて、東京のあすを開くためのベンチマークスだ、そういうつくり方と評価の仕方ということを、ぜひとも工夫してもらいたいと思います。
 それから、今回の試行の結果についてお聞きいたします。
 これは総務になると思うんですが、一次評価と二次評価、評価が大分乖離がございます。つまり、総務と事業執行部局との間の意識の温度差、これが極めて大きいといわざるを得ないと思います。もしもこうした意識のずれ、温度差があったならば、行政評価はそもそも機能いたしません。この溝を埋めるためには、今後何が必要か、ご見解をお示し願いたいと思います。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
一次評価は、現に事業を実施している事業所管局が、その立場で評価したものでございまして、現状を前提に評価している傾向がございます。これに対しまして、二次評価は、できる限り客観的な評価とするとともに、都の施策全体の中における事業のあり方を検証するために、事業所管から離れた立場で実施したものでございます。
 この結果が、評価の違いにあらわれているのではないかというように考えられますけれども、この行政評価制度を通じまして、都庁内外の政策論議を高めるとともに、職員がみずからの仕事の原点に立ち返って見詰め直すことにより、都庁全体の意識改革を図っていく、これもねらいの一つとしているところでございます。
 今後とも、このような行政評価制度のねらいを広く職員に周知するとともに、試行と検証を通じまして評価の精度を高め、この制度の普及啓発に努めていきたいと考えております。
〔発言する者あり〕

○中嶋委員 今副委員長から、身びいきが評価に入ってきてしまうから乖離があるんじゃないか、そういうふうに――下世話にいっちゃえばそうなんですけど、ただ、この乖離があるのは乖離があっていいと思うんです。問題は、ここの評価が出た、試行ではありますけれども、近い将来本格実施するわけですから、評価をした結果を――先ほどの部長答弁で、プラン・ドゥー・シーの中に組み込むというようなことをおっしゃいましたけれども、まだまだ答弁が抽象的ですね。行政をやるんですから、評価の結果をどこにどう生かすのか、端的にいっちゃえば予算ですよ。予算の編成、組織、人事、人事考課、これに反映しなければ意味ないわけですね。そういう形で、今後はこの結果を活用する方向で検討すると、こう理解してよろしいんですか。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
今回の試行に当たりましても、評価結果を予算編成や事業の見直しにできる限り反映できるように努めたところでございます。今後ともこの制度を都政の、ただいまご指摘のありましたプラン・ドゥー・シーのサイクルの中に位置づけまして、評価結果を事業の見直しや予算編成に活用していけるよう、関連部署と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

○中嶋委員 それから、最初に質問したいわゆる政策指標、ベンチマークス、これは非常にわかりやすい。このベンチマークスを設定しながら、一方で行政評価をやる。それから、事業評価として、今回の試行のような形の行政評価も並行してやっていく。将来の姿として、そういうふうに考えてよろしいんですか。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
東京都政策指標につきましては、これはモニタリングを通じまして、政策動向がどのように動いているかということが把握できるようになるものだと考えております。私どもは、この政策指標を基本的な指標として今後とも行政評価を行いまして、それぞれの事業がどう動いていくかということを把握して、先ほども申し上げましたように、予算編成あるいは事務事業の見直しに反映できるように努力していきたいと考えているところでございます。

○中嶋委員 どっちにしても、まだ試行の段階ですので、これからさまざまに工夫、検討されるんでありましょうが、ぜひともこの行政評価制度、実効性のある、しかもなおかつ評価が具体、現実的な行政執行面に反映できる、そういう行政評価制度にしていただきたいと思います。
 せっかく費用をかけてオレゴン州に行ってきたものですから、オレゴン州のことをもう一度いわしていただきますけれども、オレゴン州のベンチマークス、天然サケの遡上率なんていうベンチマークがあったんですね。それから、十代の女性の妊娠率なんていうのもあったんです。こういうのがベンチマークになっちゃいますと、保健福祉部門だ、非行部門だ、これまでの縦割りにこだわっていられなくなっちゃうわけですね。何はともあれ、その指標を達成しなければ評価されないということですから、従来の行政の縦割り組織を乗り越える一つの契機には十分なり得ると思うんです。
 そのプログレスボードの初代議長というのが、UCLAを卒業した大変優秀な若い研究者で、彼はいってましたけれども、こういう外的な要因によって行政の縦割りを乗り越えさせていきたい、実はねらいはそこにもある、こんな話も聞いてまいりました。都市構想をつくる、あるいはこれから組織の大再編をやっていくんでありましょうから、近い将来の都政の行政組織のあり方にまで直結するような、そういう行政評価制度をぜひともつくっていただきたいことを要望して、質問を終わります。

○織田委員 私は、危機突破プランに関連をして、簡単にご質問をしたいと思います。
 危機突破・戦略プラン、ずっと読ましていただきましたが、戦略が五つ、併記されております。それぞれ、経済活力の問題、あるいは首都の問題、都市環境、福祉、教育というふうにつくられております。
 私は、この中に、少子化という観点がまとまりを持って考えられていないのではないか。探しますと、二十八の政策の苗の福祉分野の中で、二十八の政策の苗の一つの中のもう一つ部分というような形で記述がされております。この危機突破ということ、東京の閉塞感をなくしていくというような観点から見ますと、少子化の進行というのは、これはかなり長期にわたって、実は東京の活力を阻害する大きな要因であろうと思いますし、また少子化という事の性質上、短兵急に何をやったからふえるとかいうようなものではなくて、トレンドとして相当大きなものがあって、そしてその影響というのは持続的に、かつ長期にわたって響いてくる。二〇〇七年には人口が減るというような報告もありましたけれども、そういうトレンドが長いものであればあるほど、早期に手を打ってそれを変えていかなければ、これはまさに手おくれになってしまう、そういうような気がしてならないわけであります。
 そういう意味からいって、この少子化という、私にとっては大きな問題、現況の危機を通底するもう一つの大きな危機だというふうに思っておりますが、これがなぜ今回のこの戦略プランの中にきちんと一まとまりで入ってこなかったのか、その理由は何なのか、まずそれをお伺いしたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 少子化対策につきましては、今後の社会の活力維持にとって、特に中長期的な立場に立ちますと、非常に重要な課題であると認識しております。安心して子どもを産み育てられる環境の整備が必要だというふうに考えているところでございます。
 今回の戦略プランが、危機打開という観点から、当面緊急かつ戦略的に対応すべきものということで、戦略の対象を絞ったという関係もございまして、少子化対策は福祉の問題だけではございませんけれども、例えば福祉で申し上げますと、都の福祉施策が今日の多様化する福祉ニーズに十分対応できないという福祉の危機の認識に基づきまして、少子高齢化の急速な進行と社会状況の大きな変化に対応できる、いわば福祉施策の転換の構図を都民にお示しすることを主眼として置いたという関係がございます。
 ただ、その中で、少子化対策につきましても、地域での自立生活を支える在宅サービス等の充実の観点から、低年齢児保育、延長保育の拡充、子ども家庭支援センターの充実などを取り上げているところでございます。

○織田委員 今ご答弁がございました。緊急に、かつ当面する課題についてまとめた、そのように突破プランの冒頭には掲げられております。私は、それは危機の認識の違いなのかなというふうに思うんです。危機というものを克服するためには、それ相当のきちんとした、系統的に要因なり何なりをきちんと分析して、何を施策として展開していけば、あるいはどこのマインドを動かしていけば、この状況が変化をするのか、そういうところを相対的に考えて、真正面から受けとめて、そして対策を立てなければ変わるものではなかろうと思います。
 物事には、何でもそうですけれども、そのことを誘導していくための一番大きな要因は一体何なのかというようなことが必ず出てきております。したがって、危機をどうとらえるか、少子化をどうとらえるか、そういったところが、まさに一番大事なところであろうというふうに思います。政策を構想する上では、私はそういうことが一番大事であろうと思うんです。
 そこでお伺いをしますけれども、それでは、例えば少子化の要因なり原因なり、そしてまた、どういう点が現在の少子化を招いたのかというようなことに対して、一面的ではなくて、複合的にさまざまの観点から、どういう要因があるのか、また、どういう要因があるからこういう危機が起こってきたんだというふうにお考えになっているか、まず、そのことの認識をお伺いしたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 少子化の要因につきましては、さまざまあるかとは考えますけれども、女性の社会進出が進んできていること、また、仕事と子育てを両立させることの困難さ、さらには子育てにかかわる精神的、経済的な負担、また価値観の多様化など、さまざまな要因が関係していると考えておりますけれども、それが未婚率の上昇ですとか晩婚化を招き、これらにより合計特殊出生率が低下しているというふうに受けとめております。

○織田委員 今、そういうさまざまな要因が指摘をされました。また、アンケート等をとってみると、そういう問題が恐らく上位を占めているのかなというふうに推測をするわけです。先ほど私が申し上げましたように、そういう要因の中から、何を押せば最も効果的に上がってくるのか、その絞り込みというか、優先順位というか、どこを押せば動くのかということに対して、都が見識と、そしてまた実行力を持って対応していかなければ、これは動いてこないんだろうと思うんです。
 あえてお伺いしますけれども、今、例えば価値観の多様化であるとか、あるいは女性の社会進出、そして仕事との両立、またいろんなことがあるでしょう、結婚をなさらない人がふえている、晩婚化になる、そういう要因が全部複雑に絡み合ってこうなっていますよと、こういわれる。どこを政策として打っていけばいいんですかということについての認識、それでプライオリティーを決めていくということ、ある意味でいうと、行政の役割、濃淡をつけていくということが大事なんじゃないでしょうか。
 そういう意味であえてお伺いしますが、今少子化の原因について述べられたもののうち、どれとどれとどれと、みんなざあっと挙げられたんじゃ、それは確かにそうですねといいようもないのですけれども、一体何が一番大きな要因なんだ、どこを打てば大丈夫なんだというふうにお考えになっているんでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 少子化を招いている直接の原因は、晩婚化の進行ですとか、未婚率の上昇が一番寄与度が高いわけでございますけれども、その背景にはさまざまな問題があると考えられます。平成九年十一月に東京都社会福祉基礎調査、東京の子どもと家庭におきまして、出生、育児に必要と思われることは何かということを聞いているわけですが、その一番目に挙げておりますのは、子育てに理解ある職場環境の改善、これが四四・六%なんですが、二番目が保育制度の拡充、これはゼロ歳児保育ですとか時間延長保育等でございます。三番目に、育児休業、育児時間制度の普及、この三点が挙げられております。

○織田委員 今、三点挙げられました。私もいろんな方々とお話をする中で、そういうところが非常に大きなものなんだなというふうに思います。同時に、これからの社会というものを考えていきますと、この少子化、高齢化、ともに進行していきますと、労働力が不足をしてくる、これは政府の見解であります。そうなると、その労働力を一体どこに求めるようになるのか、それは高齢者と女性である、こういう報告でありました。恐らく長期にわたって時代の変化が進んでいきますと、女性の場合は、社会進出をするというより、必ず働くようになってくる。そういうふうになりますと、その辺の手当てを怠りますと、これはまた少子化に輪をかけていくような形になる。そうするとまた、逆に労働力が足らなくなる。この悪循環に入りかねないという危惧を抱くものであります。
 そこで、今お答えになりましたように、例えば女性の職場環境、子どもを産むに産めない。産んで休んでしまう。大体、育児休業自体がとりにくい。保育所が足らないという問題は、これはもう既に都でも着手をして、さまざまな施策を展開しようとしておりますが、それだけではない。女性の心の中には、せめて子どもを産んだら二、三年は子どもと一緒にやってあげたいというような、そういう心持ちの人も恐らく半数近くいる。そういう関係から見ますと、そのことで職場を失ってしまう、収入の道を断たれてしまう。そしてまた、そのことが子育ての負担というものに対して耐えがたい重みになる。予測できるから子どもをつくらないというような方向に行く可能性が一つあります。
 それから、未婚か晩婚かという中で、例えばスウェーデンであれば、嫡出子以外の子どもさんについてもきちんとした手当てがなされているという国民感情というか、国の事情の違いというようなものも恐らくあると思います。私は、そういうことをきちんと正面から見据えて、一番効果的になるものは何なのか、今お伺いをしましたら、職場環境であると。育児休業であるとか、育児時間をとるとか、社会の認識を変えるとか、そういったことをまず動かしていかなければいけない。あるいは育児休業なんかでも、一番いいところで一年、所得保障も一番いいところで四〇%というような形のものを、もう少しまた動かしていかなければならない。そういう形での危機突破の考え方というものを真正面から見据えて対応していかなければ、この少子化の流れというのは、どんどん悪い方向に行ってしまうんではなかろうかと思うわけであります。
 ですから、人間一人生きて、生涯賃金二億五千万くらいで、ほとんど何も残らないとすると、一人の経済効果というのは一人頭二億五千万円くらいあるわけですから、その人間がどんどん減っていくということは、経済的な側面から見たって、これは縮小均衡にいかざるを得ないというようなことも考えられますし、長期にわたって活性化をしていくということであるならば、これは東京都としても少子化の危機ということをもう少し、平板的ではなくて立体的にとらえていただいて、それに対する施策というものを展開しなきゃならないというふうに私は思うわけでございます。
 先ほど来お話が出ております東京構想二〇〇〇、都市構想を今年策定をするという段取りになっておりますけれども、私は、十五年程度の未来像、都市像、生活像というものを織り込んだ形で都市構想をおつくりになられるというのであるならば、都市構想の中に、ぜひこの少子化についてのトータルで立体的な、そういう施策の展開をぜひ盛り込んでいただきたいし、そういう検討をしていただきたいし、その上で、この少子化の持っている危機と、そして少子化に対する対策の展開というものを東京都で取り組んでいただきたいというふうに思っております。いかがでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 ただいまご指摘にありましたように、二十一世紀、いよいよ日本も人口減少期に入ってまいりまして、議員ご指摘のとおり、労働力人口の減少も懸念されるような状況、時代になってきているわけでございます。それだけではございませんが、少子化対策というのは重要な課題であるというふうに考えております。
 子どもを持つ待たないは個人の選択ではありますが、子どもを持ちたくても持てない人や、理想の数だけ子どもを持てないという人が、安心して子どもを産み育てられる環境を整備することが重要かと考えております。とりわけ、子育てをする男女にとって働きやすい職場環境づくりですとか、弾力的で多様な就業形態が可能な社会づくりですとか、また、子育てと仕事との両立等を図る保育サービス事業や、子ども家庭在宅サービス事業の充実に取り組む区市町村への支援等を図っていくことが、今後必要になってくるかと考えております。
 少子化対策は社会全体で考え、総合的に取り組むべき課題でございますので、東京構想においても十分検討してまいりたいと考えております。

○織田委員 今お答えになりました中には、東京都の行政としては手に余るということも多々あろうかと思います。しかしながら、東京都がこういう施策に取り組んで、できないものは国なり民間なり、さまざまなところに働きかけていくという、そういう努力の中で真の施策展開というのができてくるというふうに思うので、ぜひその辺のところをお願いをしたい。要望をして質問を終わります。

○石井委員 危機突破・戦略プランに関連をいたしまして、外形標準課税の導入について、一点だけお尋ねをしたいと思います。
 本来、これは主税局の所管かもしれませんが、危機的な財政状況の補完策として、また、東京都の政策遂行という立場からお尋ねをしたいと思います。
 先ほどからお話のありました政策評価、プラン・ドゥー・シー、計画をつくる、それを実行する、さまざまな都民を初めとする反応、評価が出る。その反応を評価して、また次のプランを練るという、まさに政策評価が身近で重要なテーマでもありますので、手短に、限られた時間の中でお尋ねをいたします。
 今回、石原知事が外形標準課税の導入を発表いたしました。大勢の都民の方々から政策報道室に、ファクスを初めとする反応が出ていると思いますけれども、どんな反応が出ているか、お尋ねします。

○岡田政策報道室政策調整部長 銀行業等に対する外形標準課税の導入に関する都民の声についてでございますけれども、知事が記者会見で発表したのは二月七日でございます。それ以降、二月八日から十四日までの一週間に寄せられた都民の声でございますが、全体で、これは政策報道室都民の声部と主税局と両方に寄せられた声の合計でございますが、件数で九百三十九件です。そのうち、賛成が八百三十二件、八八・六%、反対が五十七件、六・一%というふうになっております。
 主な論点でございますが、賛成の声ですけれども、これは、バブル発生の責任をとらず、莫大な公的資金を受け、貸し渋りを行い、預金金利をゼロにして高齢者の生活を狂わせた責任は重い、課税は当然という声。もう一つ、外形標準課税の導入はさすが石原知事だ、大賛成だ、頑張って実施してほしい。主なものだけ挙げさせていただきますが、もう一点、銀行業界は甘え過ぎである、都議会も都民や都財政を思いやった審議をしてほしい。反対の声でございますけれども、景気の回復に水を差すことになるのではないか。また、都だけ実施すると、銀行が支店などを引き揚げ、都民に迷惑がかからないか。もう一点、銀行だけというのは不公平ではないかというような内容になっております。

○石井委員 今の政策報道室に寄せられた声でも、八八%が賛成である。また、マスコミ報道等の調査でも、約八〇%が賛成だと。ここにいる大勢の方々が都民の皆さんに接して、同様の意見を寄せられていると思いますけれども、今回の知事の提案については、広範の都民の方々は、知事の決断を拍手喝采で非常に高く評価をしている。さすが石原さんだと、前の知事だったらできなかっただろうというような話もあるわけであります。銀行に対するさまざまな感情論があることも、これはもう当然であります。
 しかしながら、それ以前に、これは地方分権、地方主権の立場から、そこに大きな風穴をあけたということで、非常に大きく評価されるべきだろうと思います。私たち公明党も、昨日の総会で賛成を表明いたしましたし、自民党の皆さんも賛成いたしましたし、すべての方々が賛成しているわけであります。
 財務局長にまず感想をお尋ねしたいんですけれども、これによって千百億円税収が入るといわれているわけであります。財政再建の中にあって、これは大変貴重な財源だと思いますけれども、それを含めてどんな感想をお持ちか、お尋ねします。

○木内財務局長 今、主税局が中心になって汗をかいているような重い課題でございます。私どもとしては、一千百億というのはとても魅力的な数字でございます。ただ、まだこれはこれから議会のご審議を経ていく問題でございますし、かつまた具体的な納税の期限というのは、来年、十三年の六月であるわけでございまして、それをこいねがっているところでございます。(笑声)

○石井委員 地方分権を進める立場の政策報道室長にお尋ねしたいんですが、政府税調の答申でも、昨年、外形標準課税の導入ということを答申しておりますし、また今回、各道府県知事の反応を見ても、三重県の北川知事は、まさに課税自主権が論じられるそのきっかけをつくったということは大変評価するということで、二十五県の知事が高く評価している。その反面、十九県の知事が、税負担の不公平の面が出てくるのではないかというような、評価しない面も実はあるわけであります。
 また、政府の中でも、加藤税調会長は、銀行だけをなぜ対象にするのかという議論とか、また越智金融再生委員長は、銀行経営に悪影響を及ぼすということもいっておりますし、また保利自治大臣は、景気回復の足を引っ張ると。青木官房長官、また総理も、最終的にはこれは都が判断して決めることだ等々、さまざまな議論が国、自治体にあるわけであります。これをただ単に感情論としてではなくて、より実効あるものにしていくためには、国、そして他の自治体の共感を得られるようなものに仕上げていかなければいけないのではないかと思いますけれども、室長の所感をお尋ねいたします。

○柿沼政策報道室長 いうまでもなく、今、既存の戦後五十年続いたような社会経済システムだとか行政システムというのが制度疲労を起こして、あちこちでほころびが出て、我が国全体が非常に速いスピードで変化の時代に入っている。こういう中で、私どもも、二十一世紀、今石井委員お話しのように、地方分権、地方主権の世紀にしていかなくちゃならないんじゃないかというふうに考えているわけで、そのために現行の中央集権的な税財政制度を改めて、住民に身近な自治体が、国からさまざまな関与を受けずに、住民の意思に基づいて自主的、自立的な財政運営を行えるような仕組みを、これからつくっていかなくちゃならぬ、このように思っております。
 このため、従来より東京都は国に対しまして、地方への税源移譲について強く申し入れを続けてきているわけでございます。自治体が自主財源による財政運営を実現するためには、国と地方の税源配分を見直すなど、制度の抜本的な解決がどうしても不可欠でございます。今回の措置で、お話のように、いろんな県知事さんもお話がありましたし、政府の閣僚もお話がありましたし、霞が関のそれぞれ所管官庁からもお話があった。非常に大きな議論の輪が今起きているという意味では、今回打ち出した問題というのは、今後の地方分権、地方主権の確立に向けては、大きな石を投げて第一歩になるか、このように認識をいたしているところでございまして、今回の議会に提案を予定しております議案につきましても、ぜひとも都民や都議会の皆様のご理解とご支援をいただけたらと、このように思っているところでございます。

○石井委員 もう一点、室長に重ねてお尋ねしたいのですが、これは国が地方分権ということで、昨年さまざまな地方分権の関係の法律が通って、昨年の四定、この一定でも、いよいよ関係の条例案が議論されるわけだけれども、最終的にはどんなに許認可権限がおりても、財源がおりてこない、それに対する地方の怒り、その一つの象徴的な事例が東京都の外形標準課税ではないかと思うのですね。
 これは、少なくとも四十七都道府県、三千二百の地方自治体は、まさに同じ側に立つのではないかと思うんですけれども、知事の構想したこの案を、本当に地方自治の先端を開く運動としていくためには、特に他の自治体の協力、共感が非常に必要ですから、室長も突然この構想を聞かれて戸惑っておられるのかもしれないけれども、知事を支えるブレーンとして、他の自治体とよく話し合いをしながら、この案が見事に成就するように努力すべきではないかと思いますが、重ねてお尋ねします。

○柿沼政策報道室長 お話のとおり、四十七都道府県、基本的には私どもと同じ二十一世紀に向かっての志といいましょうか、地方分権の時代をつくり上げようということでは全く同じでございますし、外形標準課税の問題も、全国知事会でかねてより主張している問題でもあります。そういう意味で、共通の土俵に立てるというふうに私どもは考えておりますが、いずれにしましても、全国知事会あるいは関東知事会、私ども首都圏では七都県市のサミットと、首脳同士が自由に意見交換する場もございますし、事務的にもいろいろ協議する場を持っておりますので、十分理解と協力を得てやっていく必要があるだろう。特に、そういう強調と連帯が自治体の間になければ、二十一世紀は輝かしい世紀にならない、このように思いますので、よのように頑張りたいと思います。

○石井委員 同じく知事を支える政策会議のメンバーの一人である財務局長にお尋ねしたいのですが、今回、この外形標準課税の発表について、全国の銀行協会が大変な反発をしている。十分な議論もなく、なぜ銀行だけなのかとか、問答無用のやり方は民主主義のルールに反するとか、いろんなことをいっている。
 バブルを招来させ、また崩壊し、十年に及ぶ長期不況は、私たちにいわせれば、銀行と大蔵省の二人三脚がその大きな原因ではないか、そういうことは思うわけでありますが、しかし、それはそれとして、やはり銀行から法人事業税を徴収するわけですから、十分に銀行の方とも話し合いをし、なぜ三%なのか、なぜ五年なのか、なぜ五十億なのか、大いにそういう話し合いをしていく必要があるのではないか。そうしないと、それがめぐりめぐって中小企業の方々の貸し渋りにはね返ってきたのではしようがないわけでありますし、けさの新聞を見れば、多摩都市モノレールの出資金が云々、影響が出てくるなんて話もありますし、マイナス影響になってしまったのでは、せっかくのいい計画も台なしになるわけであります。
 また、けさの新聞を見れば、国は特例交付金を削るということはしないとをいっておりますけれども、国も、余り唐突にやれば、また変な仕返しをされかねないわけであります。したがって、十分に合意と理解を得ながらやる必要があるんじゃないか。
 私たち都議会としても、内田会長を中心とする都議会の税財政の委員会もありますし、また都議会の議論の中でも、できれば関係者の方々もお呼びして公聴会など開いて、十分関係者の合意と理解を得ながら、都議会としても努力していくわけですが、やはり行政の方としても、知事をサポートする立場として、知事は知事の考えでやったこと、これはいいわけでありますから、それを支えて、そして真珠湾の奇襲攻撃で、奇襲攻撃はよかったけれども後は野となれ山となれじゃしようがないわけでありますから、この計画が見事に地方分権の風穴をあける壮挙になるかどうかは、それを支える方々の努力でもあるのではないかと思います。政策会議のメンバーとしての財務局長に、その辺の所感を最後に伺いたいと思います。

○木内財務局長 お話しいただきましたように、この新たな仕組みが実りあるものとなりますよう、今後とも、東京都全体として説明をし、理解を得るよう努めていく必要があるということは、ご指摘のとおりでございまして、私どもも、そうした方向で努めていきたいというふうに思っております。

○矢部委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたします。
   午後三時三十五分休憩

   午後三時五十一分開議

○矢部委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 発言を願います。

○和田委員 初めに、危機突破・戦略プランに関連し、一部外形標準課税にかかわることかもしれませんが、お尋ねいたしたいと思います。
 この危機突破・戦略プラン、五つの戦略がここに書いてありますが、ここで欠落していることが一つあります。それは、財政的な裏づけが全くここにはないということでございます。これについては、どのように当局は理解されていますか。

○関谷政策報道室計画部長 今回の危機突破・戦略プランは、危機を突破するために早急に植えるべき政策の苗を示すことに主眼を置いたものでございまして、計画期間を定めておらず、取り組みごとの事業量や事業費について明らかにするものではございませんので、従前の事業計画のように、所定の期間の所要事業費を示すということはしていないところでございますが、戦略プランは、財政再建推進プランとも十分整合を図りつつ、施策の重点化や見直しを行いまして、新しい仕組みづくりなどを提示したところでありまして、プランの施策の実効性は十分確保できているものと認識しております。

○和田委員 車でいうと、戦略プランが外側で、エンジンとかガソリンの部分というのは財政再建推進プランだろうと私は位置づけています。というのも、今日まで直近の財政にかかわる再建なり、あるいは財政を語った公のプランはこれしかないからであります。したがって、この危機突破・戦略プラン、それから財政再建プランというもの、車の外身と中身というものを合体させることによって、おぼろげながらでありますけれども、石原さんの目指されている危機突破・戦略プランの漠然とした姿が見えてくると思っています。
 この昨年の七月に出された財政再建推進プランの五ページを見ますと、財政再建の基本的な考え方の内容の中に、税財政制度の改善、税源の移譲等、財源調整措置の廃止、法人事業税への外形標準課税の導入、ここにもそうやって書かれているわけです。
 私たちは、ここに書かれていても、行うはかたしかなと一見思っていたかもしれません。しかし、これらのことの目標を達成することによって、財源確保の目標の中に、もう申すまでもありませんが、税財政制度の改善ということで、税源の移譲で一千五百億、それから財源調整措置の廃止によって二百五十億、都合一千七百五十億というのがこのプランの中に練られていたわけです。
 私たちは、この外形標準課税というのを、私ども民主党も推進することを国も地方もやってきたわけでありますけれども、このように石原さんが突発的に実行しようと発表されたというのに驚きを禁じ得ないところでございます。
 そこで、この推進プランと、それから石原知事が出されている今の計画と、それから危機突破・戦略プラン、この三つを何か共通のビーズのようなものでつなげたとしたら、何によってこれをつなぐことができるんでしょうか。

○成田財務局主計部長 主計部サイドといたしましては、ただいま先生ご質問の三つをつなぐ一つの棒といいますか、これは、私どもの財政再建推進プランの中で安定した税収、財源を確保して、それを踏まえながら政策の苗を危機突破・戦略プランで植えていくことかなと思っております。
 そして、最初にご質問の、今回の知事の提案の銀行業等に対する外形標準課税とこの推進プランの関係でございますが、率直に申し上げまして、昨年の七月の時点、推進プランの時点では私ども、ここに書いてございますように、税財政制度改善の三番目の柱として、法人事業税への外形標準課税の導入ということをうたわせていただいたわけですけれども、その段階では、外形標準課税の課税対象等についての具体的な案は持ち合わせていなかったわけでございます。一応、法人事業税への外形標準課税の導入という総論で考えておりました。
 しかしながら、今回の知事の提案されました外形標準課税導入によりまして、安定的な行政サービスを行うためには税収の安定化を図るということが今回の提案の中で説明されておりますが、そういう意味合いにおいては、今回の課税案と、再建推進プランの中でうたっておりました外形標準課税の法人事業税への導入ということは、基本的に同じスタンスで、そういった安定的な行政サービスを行っていく中で、施策の苗を一つ一つ着実に植え育てていくことかなと、主計部、私たちとしてはそのように理解させていただきたいと思います。

○和田委員 そういうお答えだろうと想像はしておりましたけれども、一点、この七月のときと違うのは、法人事業税への外形標準課税の導入というのは、普通名詞で使っているんですね。ところが、今石原知事のお考えになっているのは、銀行、それも大手銀行に照準を合わせて、そこに導入しようということなわけです。したがって、一般世間では公平性が少し保たれていないだろうとか、銀行の今一般庶民から受けている怨嗟というか、そういう気持ちをうまく生かして特定業種に集約して、それも大手に集約したのかというような、やゆした意見も出てくるわけでございます。
 ただ、私たちは基本的に、課税自主権を各自治体が自由に行使できるようなこれからの自治体運営というのが好ましいというふうに思っておりますから、今回の石原提案というのは大変評価をしているところなんです。問題は、これを一般普通名詞用に広く理解していただくためには、相当知事自身も努力しなければならないだろうし、我々議会としても、知事、そうじゃなくて、こういうふうにしたらもっといいんじゃないかということの代案も含め出していくことによって、石原知事個人のというとあれですが、東京都の議会を外れたところでのひとり立ちした議論ではなくて、議会も都民も理事者もひっくるめてこの議論を進めていくためには、相当これから、打ち上げた旗印を確保するためには努力が必要になってくるだろうなと思っております。
 したがいまして、議会サイドで何ができるのか、あるいは理事者サイドは何ができるのかというようなことも含めて、私たちは推進の方向でこれを確認していき、お互いに協力していくということが大事だなというふうに思うんでありますが、これは財務局長になるんでしょうか、どなたか、その姿勢についてだけ一点お答えいただきたいと思います。

○木内財務局長 前段の方で三つをつなぐビーズの話がありましたけれども、私は一つとして、幾つかの意図があるんでしょうけれども、地方分権という一つの言葉もキーワードといいますか、意図であるんだろうというふうに思っております。そんな意味で、普通名詞化という言葉を先生いわれましたけれども、大きく日本全体としては、税制のあり方を議論する中にあって、地方にあっての安定的な財源を確保するために、いわば外形課税の普通名詞化といいますか、全業種に広げていく、あるいは全体として外形課税を導入していくということが、地方団体挙げて、東京都も含めての要望事項でございますので、そうした方向で社会的な理解が得られるよう努めていくことが役割だろうというふうに思っております。

○和田委員 まだ議論は緒についたばかりでありますので、これから、公の予算委員会とか本会議等で我々はさらに深めてまいりたいと思いますので、そういう姿勢だけを表明させていただきたいと思います。
 次に、行政評価の点について触れたいと思います。
 このいただきました報告書の九ページに、事務事業評価の結果というのが表になっています。そこに二次評価と一次評価、三十七事業が入枠されているわけでありますが、これを解説していただきたいと思うんです。すなわち、一次評価で評価が低かった、けれども二次評価で評価が上がったケース。もう一つは、今度は逆に回転してしまった場合、この三十七事業の中で、一次のときには悪かったけれども、二次でよくなった、その逆のケース。その二様について、数字を挙げてご説明いただきたいと思います。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
よかったか悪かったということを数字だけであらわしているものはございませんで、今後の方向ということで、A、B、C、Dの四つの評価をつけたところでございます。これは総合評価の一部として実施したものでございまして、その対比表が九ページの一番上の表でございます。
 この表の見方でございますけれども、括弧内が、第一次評価がAだったものが二十四、横軸に見てまいります、Bだったものが八、Cだったものが二、Dだったものが三。これに対しまして、二次評価がAになったものが一、Bになったものが十八、Cになったものが十一、Dになったものが六ということでございまして、縦にそれぞれ見てまてまいりますと、AであったものがそのままAで残ったのが一ということになりまして、残りは先生のご指摘と逆でございますけれども、Aだったものが、残りの二十三はB、C、D、それからその他ということで評価保留ということになったものでございます。
 逆に、一次評価がDだったもので、これが三ございますけれども、評価が上がったものがあるかと申しますと、Dのままで残っておりまして、この表全体の傾向からいきますと、低かった評価が上に上がったというものは、斜めに見ていきますとございません。

○和田委員 さきに中嶋理事の方から類似のご質問をされましたが、私ども民主党も、この行政評価そのものはまず評価するわけでありますけれども、ただ、評価をだれがするのかという問題が残ってくると思うんですね。こういう評価点をつけることはいいと思うんですが、つける過程でだれがつけるのかということは、今ご説明いただいた一次、二次を問わず、都の職員サイドでおやりになる。それで、最終的には上山先生などのような民間の方もご意見をいただくようでありますけれども、身内のことを身内でやっていらっしゃるんですね。これの作業をしている間に、実際現場では、何か不都合といいましょうか、身内のことは身内でやっぱりやらない方がいいかななんていうような事例でもなかったでしょうか。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
この評価を行う過程で、私どもの中から、評価をもう一度行うことがいいのか悪いのかというようなことは特に議論になりませんで、第一次評価は、それぞれ事業所管が、自己の仕事を足元から見詰め直すという観点から自己点検を行ったところでございまして、その結果を受けまして、私ども二次評価を行ったというところでございます。

○和田委員 一次、二次それぞれ当然理由があって、こういう形でやっているのはわかっているんです。ただ、身内の査定というか、身内の考量というのを身内がやることになじむのかなということがあると思うんです。ですから、もしもこれを別な第三者機関、民間というか、先ほどは市民とおっしゃったか知りませんけれども、そういう方たちが見た場合には、全く違った評価点がつけられるんではないかなと思うんです。
 我々が一番気にしなきゃならぬことは、納税者や都民から見て、この事業がどう受けとめられているのかということが問われるべきでありまして、都庁内の常識で各事業を見てどうするかというんじゃなくて、都民の常識でこの事業を一件一件評価したらどうなるのかなというところがやっぱり大事なんだろうと思うんですね。いかがでしょうか。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
行政評価制度に関しましていろいろの議論がございまして、その中にも、第三者が行った方がいいのではないかというような議論も確かにございます。私ども今回の試行を通じましては、この評価のねらいとして、都の行政活動の目標と結果を私どもが都民にわかりやすい形で示しまして、それを評価することを通じて、都庁の内外の政策論議を高めることをねらいとしておりました。この評価の過程で専門家のご意見もいただきまして、評価に対する一定の制度の構築に役立てていきたいと考えているところでございますし、今後とも、評価に当たりましては、客観的な評価を確保することができますように、外部の意見が反映される仕組みを検討してまいりたいと考えているところでございます。

○和田委員 今、最後におっしゃった外部の意見をできるだけ取り入れて、自分では、どうしても自分の身内なり自分には甘い評価点をつけがちなのが人情でありますので、そういう意味では、この種の制度導入を毎回毎回新しくリニューアルするわけにいきませんから、導入時に、きちっと将来を見据えた形で、都民の納得のいく行政評価の結果が出るような工夫をぜひお願いいたしたいと思うんです。
 それから、具体的には十二年度、これは継続するというふうにおっしゃっておりましたが、どういう程度、規模でお考えになっているんでしょうか。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
行政評価制度につきましては、我が国内では特にこれといった確立された手法がまだございません。私ども、今回十一年度の試行の結果で明らかになりました課題を改善いたしまして、さらに来年度試行を拡大していく方向でおりますけれども、まだ具体的にどの程度の規模で行うかというところまでは検討が進んでおりません。
 また、ここらのところにつきましては、明らかにできる時期になりましたら、ご報告を申し上げていきたいというふうに考えております。

○和田委員 大変漠然としたお答えで、もう十二年度が目の前に来ているのに、そんなことでいいのかなというふうに思いますが、できるだけ早く次の、拡大と書いてありますから、拡大した施策の運用を議会の方にお見せいただきたいと思うのです。
 この四ページには、平成十三年度以降の本格導入を目指していく、こう書いてあります。平成十三年度以降ですから、これは十四になるのか、十五になるかわかりませんけれども、今のご答弁だと、十二年度がまだはっきりしないとなると、十三年度に導入というのは断言できませんね。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
私どもといたしましては、本格導入に向けて試行を行っているわけでございまして、今後、制度実施後におきましても、評価を実施する中で常に新たな問題点の発見に努めますとともに、課題の検証を重ねまして、都にふさわしいものとなるように努めていく必要があると考えているところでございます。

○和田委員 ちょっと理解しがたい。十三年度の導入は不可能ですか。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
私どもといたしましては、可能な限り早期に導入ということを考えて努力をしているところでございますけれども、現時点では、まだ断言できるところではございません。

○和田委員 これ以上余り詰めても申しわけないと思いますが、ただ、都民も期待し、議会も期待をして、この報告書を早く出して、早く出してというふうに私もせっついた一員でございますから、出た以上、これも精読させていただいて、さらにこれの洗練されたものを十二年度に実施してもらいたいし、その最終的な導入もできるだけ早く確実にしてほしいと思っているわけでございます。
 したがって、仏つくって魂入れないとかというような例えもありますけれども、ただ報告書ができたからもうおしまいというんじゃなくて、実際に現場にこれをいかに定着させるかということが問題でもありますし、それをまた都民がどう評価するかという問題でもございますので、次から次への要求で申しわけありませんけれども、十二年度の拡大プランをしっかりつくっていただく。それから、本格導入に向けて遺漏のない形での準備を重ねてお願い申し上げて、私の質問を終わります。

○山崎(泰)委員 私は、今のお話にもございました行政評価制度の今回の試行に関して、何点か簡潔にお尋ね申し上げたいと思っています。
 そもそも行政評価とは何ぞや、意義といいましょうか、定義というか、それから何ゆえに行政評価を試行したのか、今までの議論にもあったところの総括になるかと思いますが、その二点、ご答弁いただけますか。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
私どもがこのたびの試行を通じて行政評価制度を導入するに当たりまして、そのねらいの第一といたしましては、都の行政活動の目標と結果を都民にわかりやすい形で示し、それらを客観的に評価し、都庁内外の政策論議を高めますとともに、職員がみずからの仕事の原点に立ち返って見詰め直すことにより、都庁全体に意識改革を進めることにございます。
 第二には、これらのことによりまして、時代とともに変化する都民ニーズに的確に対応した行政運営を行い、都民サービスの向上を図ることをねらいとしております。

○山崎(泰)委員 飯山さん、今のご指摘は決して否定するものではありませんが、ただ、今の話を聞くと、先ほど来から議論に出ていますけれども、やっぱり役所の中の視点を抜け切っていないような気がするんですね。今メモしますと、都庁内の政策論議を高めると。それは勝手に高めてくれという話になるかもしれません。それから、意識の改革、もちろん必要です。都民ニーズに対応するということも必要です。
 私、もちろんそれをお考えいただいていると思うんですけれども、その中で大事なのは、視点の転換だというふうに思っているんです。どちらかというと、今までの答弁は、きょう一時からやっておりますのは、行政のサービスとして提供する方の中からの答弁ですね。だから、それを逆にいうと、今回政策評価、行政評価システムを入れるということは、最終的に、その行政サービスを提供する側の視点だけではなくて、行政サービスを受ける側、だから、先ほど納税者から都民とか住民とか、多分そういう話を皆さんされたんだと思いますけれども、その視点をどうやって入れて、それをどう予算に反映させていくかということが今の根幹に流れていないと、なかなかこの議論、それから、より効率的な改革にはつながらないだろうというふうに思うんです。
 たまたま今、最初にそれをお尋ねしましたのも、今までの答弁の話ですと、まだ都庁の中の域を出ないな、こんなふうに思ったもんですから、申し上げた次第です。
 私が思う行政評価の意義というのは、それぞれの自治体が、これは私が勝手に考えたんですけれども、その自治体の置かれている状況とともに、どういう行政サービスをどういうふうに提供するのか。時には、廃止するものも縮小するものもあるでしょう。そういった行政サービスをえり分けていく、より分けていく理由を住民も含めて検討していくこと、その中には、当然住民に対する説明も理解も協力も必要だ、こういうふうに私なりに理解をして、今回の試行の報告書を読ませていただきました。
 であるからこそ、より住民参加とか、それから、例の三重県でやったようなケースで、県民に公開するとか、前からいっていますけれども、今回の外部の皆さん方の、専門家の皆さん方の意見をどういうふうに取り入れた、もしくは取り入れるという仕組み上の担保が必要だと思うんですね。まだ試行ですから、そこでどこまでやっていますかという詰める話はしませんが、であればこそ、なおのこと住民参加とか外部意見の担保というのが必要だろうという今の私の意見に関してはどう思われますか。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
都の行います行政サービスは、当然都民のために行っているわけでございますから、この内容につきまして、都民の皆様方のご意見が十分反映されるということは非常に大事なことだと考えております。
 先ほど議論もございましたように、東京都政策指標におきましては、一番上位の概念になると存じますけれども、こちらについて、まず大もとのところで、いろいろ住民の皆様のご意見も聞いて策定していこうという手はずになっておると理解しておりますけれども、行政評価を行うに当たりましては、東京都政策指標を一番基本的な指標として行っているわけでございますので、それから順番に体系的になるものだというように考えております。
 それから、公開の問題、専門家の意見の取り入れの問題、ご指摘のとおりだと存じますし、今回の評価結果につきましても、この報告書の形をそのまま都民の方にごらんいただけますように公開をしているところでございます。

○山崎(泰)委員 限られた時間ですので、余りきょうのところは繰り返しませんが、例えば、これは国で論争していることですけれども、例の長良川の河口堰の問題にしても、諫早の問題にしても、いろいろ賛否両論随分ありました。今も公共事業でいろいろもめているところがあるそうですが、やっぱり従来の行政サービスですと、主に評価をするに当たって、どれだけそこに金が入ったか、税金が投入されて、どれだけの事業投資ができたか、それから、でき上がったものの規模とか、どちらかというと、何となくこういったようなところで費用対効果、果たして効果があったのかなかったのか、それに対する事業規模として、予算としてふさわしかったのかどうかということの視点のウエートが強かったと思うんですね。特に公金を投入しているものに関しては。
 それで、どちらかというとこれまでは、当該事業の目的そのものが果たしてふさわしかったのかとか、それから、その事業がなされたことによって、住民にとってどういう成果があったかとかいう視点を、何となく第二義的になおざりにしてきたような気がするんです。違うのであるならば、修正が必要であれば教えていただきたいですが、私自身は、住民サイドから見ると、この行政評価システムというのは、何を期待するかというと、行政サービスによって都民生活がどれだけ改善されたかという成果が、最もこれに求めている重要なポイントの一つだろうというふうに思うんですが、ちょっと繰り返しになって恐縮ですけれども、その点はどう思われますか。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
今ご指摘の点は、行政評価制度自体に限らず、行政サービスはそのようなものであるというような観点だと存じます。その結果を評価していきますのが行政評価という制度で、先ほど議論もございましたプラン・ドゥー・シーのサイクルの中で活用していければというように考えているところでございます。

○山崎(泰)委員 ちょっと今までは総論っぽい質問だったので恐縮ですが、例えば、今回外部の専門家なる方、上山先生は前も行特委に来ていただきましたけれども、お二方が意見を聴取した外部専門家として浮かびます。
 先ほど来、一次評価と二次評価、随分開きがある。その理由いかんも承りましたが、現実的にその外部専門家の皆さん方からは、今回の事務事業評価、それから政策評価の部分で、具体的に何についてどういうコメントがなされたりとか、そういうことがわかりやすい、適する例があったら教えてもらえないでしょうか。どちらの先生からでも結構です。恐らく上山先生は、いわゆるそういった経済、また行政の効率的な観点からいろいろいわれたんでしょうけれども、何かそんな中で具体的なコメントがあるんだったら教えていただけないですか。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
概要的には、報告書に記載しましたようなところが大どころでございますけれども、そのほか若干細かい点で申し上げれば、例えば、数値による評価ができればよいけれども、記述による評価も重要だ、それから、都の仕事は区市町村の仕事に比べて指標化が難しいのではないか、そういった意味で、いわゆるソフトの部門が指標化がしにくいので、いろいろ工夫が必要なんじゃないかというようなご意見もいただいております。
 それから、外部の専門家の意見を聴取するには、事務事業に合った、それぞれの分野の方を選んだ方がいいんじゃないかというようなこともコメントいただいております。

○山崎(泰)委員 大変見識あるお二方に、私はあえて異を唱えるつもりは毛頭ありませんけれども、もし外部の専門家の方のこの分厚い報告書に対する意見が、その程度の意見であるならば、部長が最後に図らずも申されましたけれども、具体的に事務事業とか政策の部分が絡むものですから、各論できちっと精通をされているというか、そういう皆さん方を、それぞれ外部の皆さん方の意見として聞くことの方が、よりふさわしいものが出てくるなというふうに思います。もちろん、そのレベルでそのお二方に関して否定するものではありませんけれども、今の具体的な意見として、その程度の意見しかもし出ていないのであるならば、もう少し外部からの意見の取り入れと関しては、考えていただきたいと思います。
 それから、重ねないようにお尋ねしますけれども、私は金額の問題ではないと思っています。先ほど来、一次評価、二次評価はなぜこんなに違うのかということの話がありましたが、特にホームビジット、それから緑の公園フェスティバル、一次評価がAで二次評価がD、この中身を見てみますと、事業局と総務局との見解、意識が随分違うなというふうに思うんですが、なぜここまで違う評価になるのか。何か見る視点が違うのか、その事の本質はどうなのか。
 先ほど答弁いただきました。第一次評価は、いわゆる現状を前提としての評価だ、それから、二次評価は客観的な評価だという答弁はもう聞きましたので、ちょっとそれより踏み込んで、なぜこのような結果が出るのかということに対してどう思われますか。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
今のご答弁を申し上げる前に、上山先生、山谷先生からは相当たくさんのご意見をいただいておりまして、本当にその一部をかいつまんで申し上げましたので、その点はご理解をいただきたいと存じます。
 それから、一次評価、二次評価の違いでございますけれども、私ども二次評価を行うに当たりましては、事業の根本から、例えば、この事業はどうして東京都が行っているのかというところまでさかのぼりまして評価いたしましたので、そこら辺の姿勢の差というのが出ているんじゃないかというように考えているところでございます。

○山崎(泰)委員 私も、今お話のあるとおり、政策評価、事務事業評価というのは、どこまでが東京都の仕事であるのか、本当にこれは東京都が持っていなければいけないものなのか、むしろ東京都がなさなければいけない事業なのかどうかということの原点に立ち返らなければ、何のための政策評価、事務事業評価なのかわからないと思いますから、ぜひともそこまで立ち戻った中でやり続けていただきたいと思います。
 それから、今回の報告書を見ると、予算編成等にできる限り反映というふうに書いてありますが、今回の試行によって、具体的に平成十二年度予算編成に参考にしている、または具体的に、ここはこういう部分で反映をしましたというものがあったら、なかなか試行の段階ですから明確には答弁していただけないかもしれませんけれども、そこら辺の部分が各論であったら、少し教えていただけないですか。何とかを廃止したでもいいし、何とかを改善したでもいいです。細かいことでも結構です。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
今年度の試行でございますが、その評価結果で、総合評価の今後の方向がDとなった六事業につきましては、既に事業を休止しているもの、あるいは十一年度末で事業廃止とするものが合わせて三事業ございます。その他の三事業につきましても、所管局におきましては、今後の事業のあり方を根本的に見直していくこととしております。
 今後とも、試行と検証を通じまして評価の制度を高めて、関連部署と連携し、評価結果を予算編成や事務事業の見直しに活用していきたいと考えているところでございます。

○山崎(泰)委員 限られた時間なので、最後に一、二点ほどお尋ねしたいと思います。
 政策評価について教えていただきたいと思うんですが、前からおっしゃられてまいりましたが、事務事業評価というのは何となく評価ができる。ただ、この政策の評価というのは、数値であらわしにくいところもありますし、そもそもその当該政策がいいのか悪いのかという、突き詰めていくと、これは都民投票でもしなければわからぬな、選挙でもやってみなければわからぬなという部分もあると思うので、非常に政策評価に関しては難しい部分があろうと思うんです。
 その中で、今回政策評価に関しては、二つほど試行を試みておられます。一つは、環境優先の自動車交通対策、これはどちらかというと、それぞれの地点を決めて、何%以下に抑えるということが数値的にも示されているな、こういう感じがします。
 ただ、もう一つの方は、やっていただいたことの努力は多といたしますけれども、政策の概要として、いつまでも安心して住み続けることのできる住宅の整備、その中身は人口空洞化への対応、それから都心居住の推進を図る云々かんぬんある中で、では、達成度の目標値をどういうふうにとっているかというと、平成十七年度までに環七の内側で六十二万戸建設云々というふうに書いてあるんですね。確かにこれは数値目標であると思いますけれども、本来的にはもう少し別の指標の立て方というか、その結果、例えば居住人口の割合がどうなるかとか、定住率がどうなるかとか、政策目標というのは私は本来そういうものなのかなと。これは、事務事業に対する評価とどう違うのかなというのがどうしても納得できないんですが、前段はよしとして、後段の住宅の整備等々の部分に関しての総括と反省と改善点を教えてもらえますか。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
今例示されました、いつまでも安心して住み続けることができる住宅の整備につきましては、都心居住の推進、バリアフリー化や災害対策などにつきましての成果を評価しようとしたものでございましたけれども、アウトカム指標として十分なものとならなかったと認識しております。
 今後、東京都政策指標を行政評価の基本指標と位置づけることとしておりまして、その設定に当たりまして、ご指摘の点も踏まえ、施策の効果がわかりやすく都民に示されるよう努めていきたいと考えているところでございます。

○山崎(泰)委員 最後に一つだけ、今の政策評価の設定の部分が大事だと思うんです。もうちょっというならば、この政策指標をどういうふうに設定するかによって、きちっと結果が見えるような、今の言葉をかりるならば、アウトカム的な指標を設定できるかどうかによって、政策評価そのものの意義づけがもう決まってきちゃうと思うんですね。
 今のことの若干繰り返しになるかと思いますが、いわゆる政策評価、政策指標の設定について、どういう点に留意して、具体的にどういうように取り組まれ、今回の試行の改善点を生かそうとしているのか。最後に、もう一回その点だけお尋ねして、質問を終わらせていただきます。

○関谷政策報道室計画部長 ただいまご指摘をいただきましたように、東京都政策指標は、政策の目標と実績を住民にわかりやすく示す指標として、いわば政策目標を数値化したものでございます。政策の成果は、住民から見た満足度等の成果によって、要するに、実際の都民生活にどのような変化をもたらしたものかをできるだけ的確にあらわすような指標にしてまいりたい。したがいまして、最終的な政策目標とその達成状況を示す指標は、できるだけ、ただいまご発言にもありましたアウトカム指標として策定していく必要があろうかと考えております。
 危機突破・戦略プランでは、東京の交通渋滞の解消を目的とした指標として、混雑時平均旅行速度を示すなど、都民生活に与える質的な効果に着目した四つの政策指標を掲げ、それの実現に向けた施策の体系をお示ししております。
 現在策定中の東京構想二〇〇〇におきましては、政策全般にわたりまして政策指標を設定する予定でございますが、その際にも、都民生活への質的な効果を的確にあらわし、都民の生活実感に即したわかりやすい指標の設定に努め、成果重視の行政活動の流れをつくってまいりたいと考えております。

○大河原委員 私は危機突破・戦略プラン、そして行政評価制度について伺いたいと思います。
 八月の委員会に出席をさせていただきまして、きょう復帰をしたという状況ですけれども、この危機突破プランがどのような形で出てくるのか、大変期待と、ちょっとした不安も持って見ておりました。危機突破・戦略プランというまがまがしい名前の割には、中に苗を植えたり、親しみやすくなさっているのかなというようなところもあるんですけれども、知事が、都民に対しては危機意識の徹底だということを挙げられまして、市民に対しての危機感の共有、これを求めているわけなんですけれども、共有認識するというためには、現状の分析と点検にこそ、市民とのパートナーシップが欠かせないというふうに私は思うわけなんです。
 この危機突破・戦略プランにおいては、その策定過程でどのような対応をなさったのか、その点についてまず伺います。

○関谷政策報道室計画部長 危機突破・戦略プランは、その策定方針にございますとおり、東京が直面する危機的状況に対しまして、都民との認識の共有化を図るということを一つの目的としております。また、新たな都政運営を進めるに当たっての施策展開の姿を明らかにいたしまして、直面する危機を打開し、東京の変革を推し進める基点の書であり、また、総合的、体系的な都市構想を策定するための中間の書として位置づけて策定したものでございます。
 今後は、このプランに対する都民意見等も踏まえまして、都民や各関係方面から種々ご意見、ご提言をいただき、それらを十分に踏まえつつ東京構想二〇〇〇を策定してまいりたいと考えております。

○大河原委員 戦略プランで示されている危機というのは、都市東京、首都東京としての危機というのが前面に出ているというふうに思うんですね。生活都市構想では、もともと都市は人々の豊かな生活の実現を目指してつくられたものであって、人々の暮らしと都市の機能がバランスよく調和し、一人一人の生活にゆとりと豊かさを実現できる都市として東京像を描いてきたと思っております。
 その生活都市東京で示された危機あるいは課題と、このプランの中で示されている危機との違いというのは何でしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 生活都市東京構想は、生活者の視点の重視と開かれた都政を基本理念に置きまして、平成八年度を初年度とする十カ年の基本構想として策定されたものでございます。
 一方、危機突破・戦略プランは、東京が直面する厳しい状況を危機としてとらえ、この危機を打開する上で当面必要不可欠な施策、事業を重点的に提示するために策定したものでございます。

○大河原委員 このプランを読ませていただくと、東京が直面している危機は、根本的には雇用や健康、老後に対する不安が高まるなど、都民が総じて閉塞感に覆われていることに起因し、そして、そこに産業活動を初めとする日本全体を牽引してきた東京の危機が重なっている、要は二重構造だといっているわけなんですね、このプランの中で。
 そして、先ほど答弁の中にもあったと思うんですけれども、ソフト事業を軽視しているんじゃないか、福祉やそういったものに対する配慮が足りない、そういう指摘があるんだけれどもどうかといったときに、そういう指摘は当たらないというふうな答弁があったんですけれども、制度を時代とともに変えていく、新しい仕組みをつくっていくことに対しては私たちも進めていきたいと思うんですが、変わったときに大きな変化が起きる、そういう人たちに対するフォローがまだまだ足りない、そういうふうにいわざるを得ないかと思います。
 これから先の東京像を具体的に描いていく、その道筋を示すことが求められているわけですけれども、ここに示されている経済活力の掘り起こし、首都東京の創造、これらは最終的な目標ではなくて、途上の手段というか、手法というか、そういったものだというふうに思います。将来を見据えた中長期、また短期の計画というのがそれぞれに必要なわけですけれども、長期ビジョンが示される中で、それに照らした優先項目というのを具体的にお答えいただきたいと思います。

○関谷政策報道室計画部長 危機突破・戦略プランでお示ししました五つの戦略は、繰り返しになりますが、東京が直面する危機に対する当面の取り組みとして明らかにしたものでございます。現在、東京構想二〇〇〇を本年末を目途に策定中でありますけれども、本構想の策定に当たりましては、地域における生活の質的な向上を確かなものにしていくこと、また、努力した者が正当に報われる社会を実現すること、さらには、二十一世紀においても東京を我が国の首都として、また、アジアを代表するグローバルプレーヤーとしていくこと、以上三つの観点を踏まえまして東京の将来像を明らかにするとともに、これを実現するための施策展開の道筋を総合的、体系的に示してまいりたいと考えております。

○大河原委員 今伺った本構想の策定の三ポイントという中には、地域の生活の質を大変向上させる、それから、努力する個人に報いる社会を実現すると。大変個性が伸ばせる、それぞれが持っている方たちの能力が生かせる、そういう社会としてはわかってきていますけれども、グローバルプレーヤーというのは、都市や国が代表するんじゃなくて、新しい時代には、それぞれの個人がグローバルプレーヤーになってしかるべきだというふうに私たちは思っているんですが、そういったことも今後の議論の中でしていきたいと思っています。
 旧来型の公共事業偏重が、現在の東京都の危機的状況をもたらしたというふうに認識しているわけなんですけれども、このプラン策定に当たっては、この課題についてはどのように認識されていたんでしょうか。

○関谷政策報道室計画部長 危機突破・戦略プランでは、空港機能の拡充などの産業インフラの整備ですとか、交通渋滞解消に向けた道路の整備、さらには東京の再構築に向けた取り組みなどを戦略として位置づけております。これは、そうしたハード面の施策を展開することを通じて、東京の経済活力を掘り起こし、東京の魅力を高めることにより、東京全体の活性化を図ることができ、そういう点で重要であるとの認識に立っているからであります。
 プラン策定に当たりましては、こうした東京が直面する危機を打開するため、選択と集中により事業を厳選する一方、既存インフラを有効活用することや民間活力を導入する仕組みをつくることを、より重視して取りまとめたものであります。

○大河原委員 さっきの危機の二重構造の話でいうと、やはり外側のインフラ部分が強く出ているというふうに思うんです。ちょっと例は違いますけれども、神戸の震災のときに、復興というところでは、そこに住んでいる人たちの復興がまず第一に目指されなければ、なかなかその町全体の活性化というのには届かなかったという現実も見ているわけなんで、私たちがこの東京をどういうふうにつくっていくかというところでは、ぜひともそういう個人、そこの都民、そこに働く、暮らす、子どもを育てる、そういう生活者の姿をリアルに描いていただきたいと思っております。
 次に、地方分権という大きな流れを受けた自治体として、東京都もふさわしい政策の視点が必要だというふうに思うわけなんですけれども、この地方分権の視点、それについてはどのように盛り込まれたんでしょうか、具体的にお答えください。

○関谷政策報道室計画部長 これからの都政運営に当たりましては、地方分権の流れに即して、都政の役割を根本から見直していくことが重要であると認識しております。今後は、区市町村の自主性、自立性を尊重するとともに、東京都におきましては、大都市行政ですとか、広域行政などの分野に重心を移していく必要があるかと受けとめております。
 戦略プランにおいては、こうした視点に立って、東京が直面する危機に対し、都として主体的に取り組むことを明らかにするとともに、そのねらいを絞って危機打開のための戦略をお示ししたところです。

○大河原委員 危機突破・戦略プランの中には、都庁を改革するという最後のページになりますけれども、この行政評価制度を長らく待ち望んでいたものです。東京の大きなお役所ということで、なかなか市民が近づきがたい、中身がどんなものかわからないということがあります。
 八月の委員会の中では、政策指標、ベンチマークスのこともお尋ねをいたしましたけれども、政策報道室を事務局としてベンチマークの政策指標を開発され、また、総務局を事務局として行政評価を行い、建設局を事務局として公共事業評価を行ってきています。どこが違い、またどのように連携し合っているのか、そして、今後どのようなタイムチャートで進んでいくのか、その点についてお尋ねいたします。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
東京都政策指標は、行政評価の基本的な指標として位置づけるものでございまして、政策報道室が関連部署と協力して設定いたしまして、それをもとに総務局が中心となって行政評価を行うこととしております。
 また、公共事業評価は、今回の試行以前から、事業化後五年間未着工の事業、あるいは事業化後十年間を経過した継続中の事業等を対象に、その必要性や効果等の視点から評価を行っているものでございまして、行政評価の一部を構成するものと考えております。
 今後、試行を重ねる中で、この公共事業評価も含めた東京都としての総合的な行政評価制度を確立していきたいと考えているところでございます。

○大河原委員 公共事業評価も含めた総合的な行政評価制度を確立するということは、大変大きなことだと思います。ぜひ積極的に果敢につくり上げていっていただきたいと思います。
 評価結果の活用ということは、予算編成の反映がなされなくては意味がないと思います。評価システムと予算編成プロセスとをどのように具体的にリンクさせていくのか、十二年度の試行の中ではどのようになさるんでしょうか。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
今回の試行に当たりましても、評価結果を予算の編成や事務事業の見直しに反映するよう努めたところでございます。十二年度の試行におきましては、評価結果を今年度より早期にまとめ、関連部署と連携いたしまして、予算編成や事務事業の見直しに一層活用していきたいと考えております。

○大河原委員 今回、三十七事業試行ということで、こういうふうに紙になってしまいましたけれども、その中でもいろいろ異論がまた出てくるかと思います。評価を継続するという中では、業績別の効果がわかるような予算に変わらざるを得ないというふうにも考えるわけですけれども、行政評価の定着する中では、財務会計のシステム、それから予算編成など、こういったところにも変革が必要です。このような変革の可能性についてはどのようにお考えでしょうか。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
行政評価制度は、政策や事務事業の目標と結果を都民にわかりやすい形で示し、達成状況を検証、評価するものでございます。この制度を都のプラン・ドゥー・シーのサイクルの中に位置づけまして、時代とともに変化する都民ニーズに的確に対応した行政運営が行えるよう努めていく必要があると考えております。

○大河原委員 ほかの委員からも、評価はだれがするのかというようなことがありましたけれども、ちょっと視点を変えてといいますか、行政評価というのは決算と密接な結びつきがありますね。行政評価が情報公開、行政のアカウンタビリティーだということもありますので、私は、現在インターネットに載っている決算の状況に加えて、さらに情報提供を図ったらいいというふうに思っているんですが、財務局としては今後、予算、決算に係る情報提供をどのように拡大していくのか、その点についてお答えください。

○成田財務局主計部長 財務局といたしましては、これまでも予算概要、財政のあらまし、主要施策の成果、決算の状況などさまざまな印刷物を通じて、都民に財政に関します詳細な情報を提供してきたところでございます。財政につきましては、詳細かつ専門的な情報が多いため、これまで、その提供の手法としては印刷物が中心となっていることは事実でございますが、この間も、危機に直面した東京の財政であるとか、あるいは財政再建推進プランであるとか、あるいは決算の状況につきましても、その概要につきましてインターネットで掲載してきたところでございます。
 ただし、インターネットの活用を考えるに当たりましては、費用対効果であるとか、あるいはアクセスの容易さ、そういった観点から、登載します情報量などをどうするのかといった解決すべき課題があると考えております。
 いずれにいたしましても、必要な情報を都民にわかりやすい形で、また、かつ速やかに提供していくことの重要性を踏まえまして、今後とも適切な情報提供を行えるよう工夫してまいりたいと考えております。

○大河原委員 都民にわかりやすい形で、ぜひお願いしたいと思います。
 私も決算の委員会に今入っているわけですけれども、本当にさまざま資料はいただくんですけれども、組み合わせても、なかなかよくわからなかったりいたします。
 こういう行政評価の制度というのが、情報公開という意味では一番武器になるといいますか、一番威力を発揮するものだというふうに考えておりますので、行政評価制度も、財政再建計画などの策定のプロセスの中でも、今後は不可欠な要素として位置づけていかなくてはならないと思うわけなんですが、その点についてはどうでしょうか。再びお願いします。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
先ほども申し上げましたように、この行政評価制度を都政のプラン・ドゥー・シーのサイクルの中に位置づけまして、時代とともに変化する都民サービスに的確に対応した行政運営が行えるよう努めていく必要があると考えているところでございます。

○大河原委員 学者の中でも、政策評価のルーチンがかえって評価の固定化とか、固定的な政策の正当化とか、新しい事業を機械的に抑制してしまうような、そういう力を持ってしまうというような意見もあるわけなんですが、既に始めている県でも、ちょっとマンネリ化してきたかというようなことも聞かれます。どのようにマンネリ化などを予防し、どういうふうに生きたものにしていくのか、その点についてはどうでしょう。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
評価を実施していく中で、私どもといたしましては、常に新たな問題点の発見に努めますとともに、この評価の実施に当たって、外部専門家の意見を取り入れまして、さらに、結果を公表して広く都民の意見をいただき、常に評価が客観的で公正なものとなるように努めてまいりたいと考えています。

○大河原委員 結果を公表して、広く都民の意見を聞くというのは、実際に事業を所管する局、同じ現場を見ている普通の都民、あるいはプロの現場の人たちもいるわけなので、大変大きなことだと思います。
 さて、石原知事は、担当の方たちから施策についての意見や見解を上げるときに、少数意見、また違う意見、異論についても一緒に上げてくるようにという指示を何回も出していると聞いておりますけれども、これは、論点を鮮明にしてわかりやすくするという効果が大変あるというふうに思います。
 一次評価にしても、二次評価にしても異論があったというふうに思うわけですけれども、評価についての少数意見、異論については、試行の中で、報告としてもっと外に出すべきだったんじゃないか、そのように思いますが、その点についてはどうでしょうか。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
今回の試行におきまして、事業所管局が行いました一次評価と、評価所管局である総務局が行いました二次評価を併記いたしまして、それこそ評価票のすべての内容を公表したところでございます。ご理解をいただきたいと思います。

○大河原委員 一次評価と二次評価が併記されるのは、評価する人が違うので当たり前のことだと思うんですけれども、異論を載せていくということで、都民の論議を巻き起こしたいというふうに思います。制度の見直しをするためにも、外部の専門家だけではなくて、都民公募の委員も入れて見直しを行うべきだと思いますけれども、その点についてはどうでしょうか。

○飯山総務局行政改革推進室行政改革担当部長
今回の試行におきましても、評価指標や評価票の内容の妥当性などにつきまして、外部専門家に意見を聞いたところでございます。
 また、評価結果につきましては、広く都民に公表し、試行内容及び評価結果、並びに平成十二年度の試行の拡大実施に向けてのご意見やご提案を寄せていただくよう働きかけているところでございます。

○大河原委員 ベンチマークスについても、計画において何を目標にするのかというのが一番問題になってくると思います。ことしの秋に策定される都市構想の中に、こうした総合的な評価制度も生かされた指標が出てくるというふうに思うわけなんですけれども、指標の設定、それから評価の手法、これは制度が導入された後も時代に合わせてどんどん充実を図り、時代にマッチさせていかなくてはならないと思っております。
 東京でどういう指標ができるのか、多くの自治体から期待をされています。ぜひ積極的にこの取り組みを行っていただきたいと要請をいたしまして、質問を終わります。

○矢部委員長 ほかに発言はありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○矢部委員長 お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○矢部委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時五十三分散会