監査結果報告(要旨)

東京都監査委員 野田和男(自民党)

 定例会初日の2月5日、東京都監査委員から過去1年間の監査結果について報告がありました。

監査結果概評

 都財政が依然厳しい状況にある中、事務事業の適正性や経済性、効率性の観点に加え、事務事業が所期の目的を達成しているかという有効性の観点からも積極的に評価・検証を行った。その結果、全体としては適正に執行されているが、一部に是正・改善すべき事項が見受けられたので、これらについて指摘、意見などを表明した。

各種監査の実施状況

定例監査
重点的に監査する事項として「内部検証システム」を取り上げ、事務の管理体制が十全に機能しているかなどを検証した。主な結果として、現金の取扱いには担当者以外の者による定期的な諸帳簿照合や照合結果の記録など管理体制の整備を求めた。この他、不動産取得税に係る減額処理を誤っているものなど57件を指摘した。
随時監査
特別養護老人ホームの補助金不正受給事件を契機に、国庫補助金の交付申請が適正に行われているかを検証するため、所管局と社会福祉法人を対象に行った監査である。調査の結果、補助金交付手続の透明性を確保するため、所管局は社会福祉法人が留意すべきことを明確にするとともに、設計業者の関与のあり方に検討を求めたものなど5項目に意見を付した。
事業評価手法による行政監査
今年度は効率性・有効性の観点から11事業について検証した。主なものとして「リフト付タクシーなど整備事業」は14年7月末現在122両と整備予定数を大幅に下回っているため、事業者への積極的な働きかけなど整備計画達成に向けて特段の努力を求めた。
決算審査
各会計決算については17件の誤りが認められ、是正を求めた。総括的意見として、いち早く自主的な財政再建を成し遂げ、都民の負託に応えるよう更なる努力を求め、5件の意見を付した。公営企業会計決算については適正な表示を確認した。また、事業の有効性の観点から、中央卸売市場会計について、場内運搬用小型自動車の全車電動車化が低調であることから、場内環境改善に実効性ある措置を求めた。
財政援助団体など監査
私立高校への就学補助について都内在住生徒数の算定に誤りがあったとして補助金の返還を求めたものなど補助金など交付団体に18件の指摘、出資団体に16件の指摘と7件の意見を付した。
工事監査
都営住宅の圧力タンク給水装置の設計で給水ポンプの設定を誤ったもの、コンクリート構造物取壊しの積算で、より経済的な大型機械を使わなかったものなど8件を指摘するとともに4件の意見を付した。
住民監査請求
この1年間に、公金の支出に関するもの28件、そのほか8件、合計36件の請求があった。この内訳は、請求の要件を欠いているため却下したもの21件、監査を行い措置すべき事項を執行機関に勧告したもの3件、棄却したもの11件、請求人が請求を取り下げたもの1件となっている。

 監査で指摘した事項は、各局に対して早急に適切な措置を講じるよう求めており、執行部局には今後一層の努力を望みます。

 私ども監査委員は、その使命を重く受け止め、今後とも都民の信頼と期待に応えるべく監査業務に万全を期して参ります。

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