エネルギー施策
質問1
都議会生活者ネットワークの岩永やす代です。
都はゼロエミッションを掲げ、HTTを進めています。省エネによりエネルギー消費量を減らし、再生可能エネルギーをつくり、蓄電池にためて効率的に使っていくものです。
そのために、再エネの拡大と断熱などの省エネを積極的に進めており、二〇五〇年脱炭素化を目指しています。最近は、薄くて軽いペロブスカイトなどの次世代型ソーラーセルのような新たな技術開発を広げることによって発電量の拡大が期待され、将来はエネルギー自立都市を目指すことができるのではないかという希望を持っています。
長期的な視野に立った知事の所見を伺います。
答弁1
知事
脱炭素社会の実現についてのお尋ねがございました。
気候危機への対応は一刻の猶予もなく、都は、二〇三〇年カーボンハーフ、二〇五〇年ゼロエミッションの目標を掲げております。
この実現に向けまして、来年度から施行する太陽光パネルの設置義務化をはじめとした条例制度に加えまして、各種施策を拡充しております。
今後も次世代型ソーラーセルの都施設等への設置など、新たな技術の実装に果敢に取り組み、発電する未来都市へとつなげてまいります。
質問2
再エネ電気を使うことも重要です。東京都環境公社が作成した再エネ新電力虎の巻では、自治体出資の新電力に助言しています。しかし、都内自治体では地域での発電量が少なく、さらには国が再エネよりも原発にかじを切り、制度変化が激しいため、立ち上げには課題が多いのが実情です。
民間の新電力事業者が地域に根差して活動しており、こうした小売事業者を支援することが再エネ需要を増やすことにつながります。見解を伺います。
答弁2
環境局長
小売電気事業者への支援についてでございますが、都は、小売電気事業者の再エネ導入に向けた計画や実績を公表し、意欲ある事業者の電気を都民が選択しやすい環境を整備しております。
また、再エネ割合が低い事業者等を対象に、都内需要家に供給する再エネ発電設備を新規開発する事業に補助を実施しております。
これらにより、需要と供給の両面から再エネの利用拡大を推進しております。
人口減少時代の都市計画
質問1
都内では大規模な再開発がめじろ押しで、タワーマンションやホテル、巨大オフィスビルなどが建てられ、床面積は拡大を続けています。都はこれまで、都市開発諸制度の活用を進め、容積率や高さなどの規制を緩和し、空中権の売買や公園まちづくり制度の創設なども駆使して、巨大ビルの建設を後押ししてきました。
しかし、東京でも今後確実に人口が減少します。住宅の数は既に世帯数を大きく上回っており、量的には充足していると都も認識しています。空き家は九十万戸に及んでおり、住宅数はもはや過剰になっています。
神戸市はタワマン規制を始めました。過剰な住宅供給をコントロールする取組です。東京都が策定した都市づくりのグランドデザインでは、めり張りのある市街地を形成するとして、都市機能、居住機能を再編、集約する方針を示しています。
現状の様々な制度は規制緩和による床面積の拡大に資するものですが、今後は、高さや大きさを制限する規制強化や、減築などが成り立つダウンサイジングに資するような都市計画の制度を設けるべきと考えますが、見解を伺います。
答弁1
東京都技監
都市計画についてでございます。
都民の誰もが安全で快適に暮らすことができる都市を実現するためには、将来的な人口減少も見据え、都市の活力やにぎわいの創出、地域の防災性の向上、緑あふれる都市空間の形成などを進めていく必要がございます。
都は、人口減少など将来の社会情勢の変化等を踏まえた都市づくりグランドデザインで示しております将来像の実現に向け、都市計画により、地域特性に応じた土地利用の規制や誘導等を行っており、引き続き適切に対応してまいります。
質問2
ダウンサイジングは過剰な床面積を減らすだけではなく、環境への配慮という点でも重要です。神宮外苑の問題でも、市民にとって緑が失われることが最も大きな反対理由です。まちづくりには市民合意が重要であり、市民の参加と議論が欠かせません。
民間事業であっても、大規模な計画については、市民との合意に向けた話合いの機会を設ける制度が必要と考えますが、見解を伺います。
答弁2
まちづくりへの市民参加についてでございます。
都はこれまでも、まちづくりの方針の策定等に際しては、地権者や地元区、有識者等で構成する検討会で議論を行うとともに、パブリックコメントなどを実施しております。
都市計画決定に際しましては、法令に基づく説明会の開催や意見書の受付等に加え、事業者による開発計画の説明会を実施させるなど、広く都民等の参加の機会を設けております。
質問3
参加の仕組みが必要なのは、再開発事業だけではありません。東京都が実施する調節池などの公共事業についても、事業の必要性や大きさの問題など、最初から情報を開示し、合意を得る努力が必要です。地下調節池は環境アセスメントの対象にもなっておらず、都が進める事業としてプロセスが足りないと思います。
例えば、善福寺川上流地下調節池においては、住民の間で、計画の情報が届いていなかったことを発端に反発が強まっています。住民への周知について、都の取組を伺います。
答弁3
建設局長
善福寺川上流地下調節池における地域住民への周知の取組についてでございますが、都は、河川法に基づき、広く都民の意見を聴取した上で、本調節池を河川整備計画に位置づけております。また、都市計画法に基づき、都市計画素案説明会や都市計画案の縦覧などを行い、地域住民へ計画等を周知してまいりました。加えまして、オープンハウスなどの開催や、都のホームページで資料等の公開を行っております。
空き家の利活用
質問1
空き家が増えている一方で、地域では活動の拠点を求める市民や市民団体の声も多く、空き家の有効活用に期待が寄せられています。
私の地元の国分寺市では、この二、三年間で個人所有の空き家を活用して地域の居場所が幾つかできました。様々なアイデアを寄せ合い、参加する市民や団体のスキルを生かしながら運営されており、子供から高齢者まで多世代が集う居場所となっています。空き家を貸してもいい人と、それを活用して活動したい市民がうまくつながることで市民力を生かした居場所ができ、地域課題の解決にもつながるのだと感じました。
空き家の所有者にとって、自分の個人情報が公表される心配や、借りる相手がどのような人や団体か分からない不安が貸出しに踏み切れない一因となっています。
空き家の利活用を進めるためには、こうした所有者の不安を解消しながら、空き家を活用したい人の活動内容や、希望する物件の広さ、エリアなどを聞き取りながら、マッチングが進むようにコーディネートすることが有効と考えますが、見解を伺います。
答弁1
住宅政策本部長
空き家の利活用についてでございますが、都は、東京都空き家ワンストップ相談窓口を設置し、空き家の利活用や相続等、様々な相談に対応しております。空き家所有者や活用希望者のニーズ等を把握するとともに、マッチングも実施しており、引き続き空き家の利活用に取り組んでまいります。
高齢者の社会参加
質問1
人生百年時代を反映し、地域で元気に活動している高齢者が増えています。趣味やボランティアなど多彩な活動が展開されています。働く高齢者も多く、働き方も様々です。ご近所就労は、日数や金額が少なくても、住まいの近くで働くことができる労働です。高齢者が身近な地域でちょこっと働ける就労の場づくりが求められています。
地域で社会参加することが元気で長寿を迎える一助にもなると考えます。高齢者の社会参加に関する都の取組と今後について伺います。
答弁1
福祉局長
高齢者の社会参加についてでございますが、都はシニア、プレシニアの社会参加を促進する事業を令和四年度から実施しておりまして、参加希望者の相談業務などを行う区市町村を支援するとともに、来年度には社会参加活動との広域的なマッチングを行うプラットフォームを本格稼働させることとしております。
この本格稼働に先行して、昨年九月に趣味や地域活動の情報を掲載するサイトを開設しまして、本年六月、そのサイト内で介護現場でのボランティアとのマッチングを行うChot介護も開始いたしました。
子どもの権利
質問1
東京都こども基本条例ができてから間もなく四年になります。この間、都内自治体でも子供の権利条例の制定が進み、子供オンブズなどの権利救済の仕組みづくりも広がってきています。広域自治体である東京都にも、子供に寄り添い、子供をエンパワーする公的な第三者機関、子供オンブズやコミッショナーの設置を強く望むものです。
子供の意識変化を継続的に見る、とうきょうこどもアンケートも始まりました。質問をつくるに当たり、子供の意見を聞き、子供に分かる言葉や聞き方に修正したと聞いています。また、学校を通さずに直接回答することで、周囲の目を気にせずに子供の本音が聞けてよかったです。結果を子供たちに伝えるために、年齢別の報告書もつくられました。
アンケートの報告書からは、子供が学校で自分の意見をいえているかが居心地のよさと深く関係していることが読み取れました。不登校の子供がこの十年間で三倍以上にも増え、学校自体が大きく変わる必要があると強く感じています。
学校は子供が一日のうち多くの時間を過ごす場です。広く子供たちにもこの結果を知ってもらいたいですし、教職員をはじめとする学校現場や保護者にも共有し、今後の学校運営に反映させていくことが重要です。アンケート結果のフィードバックをどのように行っていくのか伺います。
答弁1
子供政策連携室長
とうきょうこどもアンケートについてでございますが、このアンケートは、子供に関する実態や意識を継続的に把握するため実施する取組でございまして、子供の幸福度や家族との関係、学校の居心地など、幅広く設問を設定しております。
調査結果につきましては、都のホームページ等で広く発信するとともに、子供向けの報告書を作成いたしまして、東京都こどもホームページに掲載しております。
加えまして、出前授業等で子供たちにアンケート結果を直接説明しております。
質問2
十年前に子供の権利条例ができた大阪府泉南市では、教育委員会と連携し、学校で子供たちが子供の権利について学ぶ機会を設けています。
こども基本条例のハンドブックや動画も活用し、教職員が子供の権利を学ぶとともに、学校で子供たちに教え、広めていくことが重要と考えますが、所見を伺います。
答弁2
教育長
子供の権利に関する教育についてでございますが、都教育委員会は、公立小中学校において、子供の権利に関し教員が理解を深め教育活動を行うよう周知をしております。
質問3
また、都内では、十代、二十代ともに死因の一番は自殺と、大変深刻な状況です。いじめや児童虐待、性暴力が増え続ける中で、生きづらさを抱えた子供や若者が増えており、子供の自殺ゼロに向けた施策が必要です。
子供の命を守るためにも、学校現場で子供の権利を教職員が学び、小中学校で教えていく中で、いつでもSOSを出せることを子供たちに繰り返し伝えていくことが大事だと思いますが、現状と今後について伺います。
答弁3
教育長
子供の権利に係る学校での取組についてでございますが、都教育委員会は、公立小中学校において、信頼できる大人に相談することの大切さについて、教員が児童や生徒に伝えるよう促しております。
子ども・若者の居場所
質問1
家庭や地域に居場所がなく、大人を信頼できずに頼ることが難しい子供や若者が居場所を求めて新宿歌舞伎町のトー横など夜の繁華街に集まり、犯罪や事件に巻き込まれています。
東京都では、今年から、歌舞伎町に若者の相談スペース、きみまも@歌舞伎町を開設し、若者への支援をスタートしましたが、想定以上に利用者が増え、安全を確保するために、九月からは受入れ人数の制限や身分証の提示などの対応が取られています。
きみまもにこれだけ多くの若者が居場所を求めてきたことを都はどのように受け止めていますか。若者支援団体とも連携して、きみまもを利用したい若者たちをできるだけ受け止められるよう要望しますが、見解を伺います。
答弁1
生活文化スポーツ局生活安全担当局長
きみまも@歌舞伎町についてでございます。
本年五月三十一日の開設以来、歌舞伎町に集まる青少年、若者に安全・安心な場所として認知され、多くの利用者が訪れており、それぞれの不安や悩みを社会福祉士など専門相談員が丁寧に聞き取り、必要な支援につなげております。
引き続き、民間支援団体等とも連携し、一人一人に寄り添った支援を行ってまいります。
質問2
若者が気軽に行けて、ありのままの自分で安心して過ごせる居場所のニーズが高まっています。夜間も利用できる若者の居場所を身近な地域に増やしていくことを要望しますが、見解を伺います。
答弁2
生活文化スポーツ局生活安全担当局長
若者の居場所づくりについてでございますが、困難を抱えた若者が身近な地域で安心して過ごせる居場所の整備を進めるため、都は、若者に対する相談や居場所事業等に取り組む区市町村を支援しております。
あわせて、新たな居場所の設置や既存施設の夜間延長等を働きかけております。
女性支援
質問1
都は、女性支援新法に基づき女性支援計画を策定し、今年四月から動き始めました。計画の中には関係機関が数多く示されており、関係する局も多岐にわたります。
多くの局にわたる関係機関と連携し、各局の事業を見える化すること、また検証する仕組みはどのようになっているのか伺います。
答弁1
福祉局長
女性支援に関する関係機関との連携等についてでございますが、都は、学識経験者、区市町村職員などのほか、関係局が参画する委員会を設置しておりまして、女性支援計画に定めた指標の達成状況などを評価し公表することとしております。
また、支援調整会議において、福祉、医療、就労、教育など各分野の関係者が連携しまして、支援の事例や課題等について情報共有や協議を行っております。
質問2
計画には、具体的な課題が多く示されています。例えば、母親が中学生以上の男子と一緒に一時保護所に入ることができません。また、障害のある女性への支援についても、地域から問合せが来ているところです。こうした様々な課題に応じた一時保護について取組を伺います。
答弁2
福祉局長
女性の一時保護についてでございますが、都は、本人の意向を尊重しながら関係機関と連携しまして、様々な状況に応じた多様な一時保護先の確保に向けて取り組んでおります。
学校給食と都市農業
質問1
都市の農地は新鮮な野菜を提供するだけでなく、防災や緑の保全、雨水をしみ込ませるなど多面的な機能を持っています。しかし、農地が残っている多摩地域でも、相続などにより貴重な農地が売られ、あっという間に宅地や駐車場になってしまいます。
生産緑地が貸借できる仕組みを有効活用し、子供や高齢者、障害者などが集い、コミュニティの拠点として、わくわく都民農園小金井がスタートして二年、都市農地を核とした交流拠点をつくり出しています。この事業がほかの自治体でも展開されていくことが期待されます。成果をどのように捉え、課題を何と捉えているのか伺います。
答弁1
産業労働局長
体験農園についてでございます。
都は、都市農地の保全に向けまして、生産緑地を借り上げてモデル農園を整備し、都民が栽培技術を学ぶ機会等を提供しております。
また、こうした農園がほかの地域へ広がるよう、この取組を情報発信しております。
質問2
東京都では、三学期から、都内全自治体で学校給食が無償化される予定です。無償化と併せて、都内の農畜産物をできるだけ学校給食に取り入れることで地産地消を進め、東京都の農畜産業を支えていけないでしょうか。
例えば、都内の農畜産物を学校給食で使う場合に、割合に応じて都が補助する仕組みや、学校給食用に作付された農産物を全量買い取り、農業者を支える仕組み、多摩地域で取れた農産物を農地が少ない区部でも使えるような配送の仕組みを支援するなど、都内の自給率を上げ、地産地消を進める取組を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
答弁2
産業労働局長
東京産農産物の学校給食での利用についてでございます。
地産地消を推進する上で、学校において東京産農産物の活用を進めることも重要です。
都は、学校給食に納入する農業者が出荷品目の拡大などを計画する場合、出荷用機械の導入を助成しております。また、多摩地域で収穫した野菜を区部の学校に提供するなど、区域を越えて集荷や配送を行う団体を支援してございます。
質問3
さらに、市区町村立学校において、地産地消を進めるための都教育委員会の取組について伺います。
答弁3
教育長
学校給食についてでございますが、都教育委員会では、学校栄養職員に対する研修等を通じ、学校給食における地場産物の活用を促しております。
質問4
東京都エコ農産物認証制度が始まって十年。エコ一〇〇は農薬や化学肥料を使っていない農産物です。有機農業やオーガニックという言葉は普及していますが、エコ農産物が有機に近いことが都民には知られていません。都民が進んで買い求めるようになることが必要です。また、農業者にとっても、エコ一〇〇を取得しているメリットが感じられることが重要です。
子育て中の保護者からオーガニック給食を望む声が多い現状を踏まえ、東京から有機農業を進め、子供たちの食や環境を守り支える取組を進めていただきたいと思います。
見解を伺い、質問を終わります。
答弁4
産業労働局長
有機農業の推進についてでございます。
環境に配慮した農業を進めるためには、環境負荷の軽減や消費者の信頼向上につながる取組が重要です。
このため、都は、有機質肥料を使う農業者を支援しております。また、化学肥料等の使用を減らした農産物を認証し、その生産者へPR用ポスター等を提供するほか、飲食店などに生産者や販売場所を冊子で紹介しております。
これらにより、東京農業を振興してまいります。