都民税
質問1
まず、都民税減税についてお伺いいたします。
国では、いわゆる百三万円の壁の撤廃、所得税の減税に向け大きく動き出したわけであります。賃金は伸び悩み、物価高が進む、また税や社会保険料など国民負担が増え続けるなど、国民生活は厳しさを増しています。そんな中、国民の可処分所得、いわゆる手取りを増やす所得減税は極めてシンプルな所得対策であり、かつ最大の消費喚起策であると認識をしております。
国同様、都でも都民税減税、まずは均等割千円の定額減税を提案するものでありますが、おおむね八十億円の財源を要すると試算できます。
まず、都にはそれだけの財源があるのかについてでありますが、都は、四十七都道府県唯一の地方交付税の不交付団体であり、もとより極めて強固な財政基盤を有しております。さらに、直近二年間は法人関連の税収が極めて好調であり、過去最高の都税収入を更新し続けていることからも、都民税減税は十分実行可能と確信しております。
また、昨今、都が実施する物価高対策は、給付金や一万円のデジタル商品券、二十五キロのおこめクーポンなど、その対象は住民税非課税世帯の方々に限定されております。生活が苦しいと感じるのは住民税課税世帯の方々も例外のはずはなく、特に現役世代の方々からは、税金や保険料等の負担を強いられるばかりで恩恵がない、全く不公平だとの声も少なくありません。そのような意味からも、現役世代に対して恩恵が行き渡る都民税減税を今こそ進めていくべきだと考えます。
また、都民税減税による副次的な効果も考えられます。
私はこれまで、都は潤沢な税収に甘え、他の自治体であれば当然ともいえる行政改革を怠ってもやってこられた側面があると感じております。都民税減税により、いわば強制的に収入を減らすことで、行政改革しなければ都財政が立ち行かない状態をつくり出すこととなります。プロジェクションマッピング、ODAIBAファウンテン等、都が行う必然性の乏しい事業にまで手を出す、まさに税の浪費を未然に防ぐことにも資すると考えております。
必要は発明の母という言葉がありますけれども、減税は行政改革の原動力を生み出します。都が事業を行う上で、必要以上の財源を都民から集めない、集め過ぎたら都民に返すという新たな行政の文化、風土を発信することになると確信しているところであります。
今回の私の提案は、都民税均等割千円の定額減税です。これは逆進性にも配慮し、より生活が厳しい方ほど恩恵が行き渡る減税案です。財源については、おおむね八十億円程度、給付金のように配るためのコスト、手間は省略できますので、簡便でもあります。
ぜひ、知事には、都民税減税によって、都民、とりわけ現役世代の手取りを増やすという単純明快なメッセージを発信していただきたいと思いますけれども、知事の見解をお伺いいたします。
答弁1
主税局長
個人都民税に関するご質問にお答えをいたします。
個人都民税均等割は、地域社会の会費として定額の負担を住民に広く求める性格の税であり、負担を求めないことは税の趣旨にそぐわないと考えます。
なお、非課税の方に対して効果が及ばないほか、都内の全ての区市町村において税務システムの改修が必要になることに加え、財政運営上の課題があると認識しております。
子供・子育て施策
質問1
次に、第一子保育料無償化についてお伺いいたします。
昨日の本会議において、知事は第一子かつゼロ歳から二歳の保育料無償化を来年九月より開始する旨、答弁されました。もし実現すれば、都内では全ての子供たちの保育所の保育料が無償化されることとなります。
私の地元練馬区では、保育料の最大月額料金は七万二千五百円です。ゼロ歳児の受入れ時期は園によって異なりますけれども、三歳児保育を迎えるまでの期間、仮に二年六か月預けるとすると、二百十七万五千円というかなり大きな額の保育料が軽減されることとなります。
練馬区は、和光市、新座市と埼玉県と隣接しております。これから保育所に預けたいと希望する子育て世帯にとっては、仮に埼玉県から都内に移り住むことで家賃が一万円から二万円程度高くなるとしても、都内の保育所に預けることで約二百万円程度保育料が減免されるとするならば、十分経済合理性にかなうため、保育所入所希望者が都外から殺到することも想定されます。
無論、都内で子育て世帯が増えることはうれしいことでありますが、このことで待機児童問題が再燃し、結果として保育所に預けられず、公費投入の恩恵を受けられないご家庭が増えるという皮肉な結果ともなりかねません。
ゼロ歳、一歳、二歳は、これまで待機児童の大半を占めてきましたので、さらにその影響を慎重に見極める必要があるのではないでしょうか。
以上の懸念に対する都の見解をお伺いいたします。
答弁1
福祉局長
保育所等の待機児童対策についてでございますが、都は、待機児童を解消するため、こ
れまで様々な取組を進めてまいりました。
保育サービスは、保育の実施主体である区市町村が地域の実情に応じて様々な資源を活用して提供するものでありまして、引き続き、多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援してまいります。
質問2
また、保育士確保も課題となります。
保育サービスの利用者が激増する一方で、保育士確保が十分進まず、保育の質低下を招くことも懸念されます。
以上の点につきましても、都の見解をお伺いいたします。
答弁2
福祉局長
保育人材の確保についてでございますが、都は、保育人材の確保、定着を図るため、キャリアアップ補助や宿舎借り上げ支援、保育人材コーディネーターによる就職相談、定着支援などを行っておりまして、引き続き保育の実施主体である区市町村と連携しながら、保育人材の確保、定着に取り組んでまいります。
質問3
この項の最後に、保育料を含め、学校給食費、子供医療費、私立高等学校実質無償化など、この間知事が進められてこられた教育無償化の、保育の無償化の効果検証についてお伺いいたします。
知事は出生率の低下を静かなる有事と表現し、総合的な少子化対策の必要性に様々な場面で言及されてこられました。
私も少子化の進行は我が国最大の危機との認識であり、知事の問題意識に対しては大いに共鳴するものです。
他方で、他府県の追随を許さない、まさに異次元の対策がこの間実施されておりますけれども、都内では〇・九九という出生率に表れているように、まさに坂を転がり落ちるように少子化は進行しております。あえていえば、子育て支援であるものの、少子化対策としての効果は不確かで、必ずしも出生意欲の向上には寄与しているとはいい難い現実を直視すべきではないでしょうか。
都は、子育て施策全般について、EBPMの観点より効果検証する旨表明されておられますが、どのような検証結果が得られているのか、都の見解を伺います。
答弁3
子供政策連携室長
少子化対策についてでございますが、少子化の要因は複合的であり、何か一つ手だてを講じれば解決するものではございません。実効性の高い施策の構築に向けまして、長期的な視点に立った効果検証によりまして、多面的な考察を深めていくため、現在、検証の仕組みの構築につきまして検討しているところでございます。
オンライン授業の推進
質問1
最後に、オンライン学習、ビデオ授業の推進で習熟度に沿ったオーダーメードの教育の実現についてお伺いいたします。
オンライン学習、ビデオ授業は、コロナ禍において必然的にほぼ全ての公立小中、都立高校で行われるようになりましたが、コロナウイルスが終息に向かうにつれ減少の一途をたどり、今では対面による授業中心、かつての公立学校の姿に後戻りをしております。
私がオンライン学習、ビデオ授業推進の必要性を訴える理由は、学力の二極化など、学校を取り巻く環境の変化に柔軟に対応するための手段を確保することにあります。
今や都内の中学生の通塾率は五割を超えるとされ、塾に通える経済力のある家庭の子供と通えない子供の間では学力の格差はますます広がっています。基礎学力が備わっていないため授業についていけず落ちこぼれてしまっている生徒と、塾で先取り学習し、既に学校の授業の答えを知っている、まさにお客さん状態の吹きこぼれた生徒との間では、学力の格差はますます広がっています。落ちこぼれてしまった生徒にとっては、もっと基礎の部分に問題があるはずなのに、カリキュラムは進んでいき、自信を失ってしまいます。
平均的な学力を有する生徒が全体の七割から八割を占めるかつての時代においては、三十人、四十人いる生徒に向かって先生が標準的な授業を行う、いわゆる一斉授業、一斉学習でも落ちこぼれたり、吹きこぼれる生徒は相対的に少なかったわけでありますけれども、現代においては子供たちを取り巻く環境は多様化、複雑化しており、学習の進捗度、習熟度に沿ったカリキュラム、もっといえば個別最適、オーダーメードの教育を提供する必要性はますます高まっております。
区立小中学校、あるいは都立高校において教科ごと、単元ごとに基礎、標準、発展といった習熟度に沿ったビデオ講義を作成し、アーカイブ化することで、個々の状況に応じたビデオ講義を選択し、提供することも可能となります。また、不登校の対策、この点でも重要なツールになります。さらに教職員の働き方改革を促し、昨今の教職員の人手不足を補う可能性を見いだすこともできます。全ての授業を自前で行う、そのための準備に追われるということではなく、例えば苦手な教科、単元はビデオ講義で代替する等、工夫の余地があると考えます。
今後の先生の役割は、全ての授業で教壇に立つことではなく、対面授業とビデオ講義を併用し、カリキュラムをアレンジし、生徒と伴走していくということにあるのではないでしょうか。先生にも得手不得手はあるはずですし、生徒にとっても先生ガチャといわれる授業が分かりづらい、相性が合わないケースを回避することも可能となります。ちなみに、学習指導要領には、オンラインによる授業、ビデオ学習を禁ずるという文言は見当たりません。
ぜひ、そこで質問でありますけれども、全ての都立高校において標準化可能な全ての教科、単元に係るビデオ講義をアーカイブ化し、さらに都立高校間で共有するよう提案するものですが、教育庁の見解を伺います。さらに、都内の公立小中学校における同様の取組を教育庁が支援することを求め、答弁を伺い、私の一般質問を終えます。
ご清聴いただき、ありがとうございました。
答弁1
教育長
ビデオ講義のアーカイブ化についてのご質問でございますが、学校においては児童や生徒の習熟の程度や関心に応じて動画教材を活用するなど、様々な学習形態を工夫しております。