多摩地域の医療提供体制の確保
稲城市の土地区画整理事業支援

医療政策

質問1
 今年七月の都議補選にて当選しました南多摩選出、都民ファーストの遠藤ちひろです。故石川良一先輩の思いと政策を引き継ぎ、稲城市、多摩市、そして東京の未来に向けて全力を尽くしてまいります。よろしくお願いいたします。

 初めに、多摩地域の医療体制確保、支援策についてを伺います。

 救急医療の最後のよりどころが三次救急病院です。特殊医療を主とする三次救急は一刻を争って提供しなくてはならないため、適切な圏域で医療が提供されることが必要不可欠であります。

 しかし、都内ではその偏在が顕著であり、例えば八王子、町田、日野、稲城、そして多摩の約百五十万人が住む南多摩医療圏には、二つしか三次救急病院が存在しません。

 建築価格が急騰する中、多くの医療機関は老朽化による改修時期を迎えております。耳目を集めました順天堂大学医療センターは、建設費が当初の二・六倍に膨らんだために建設を断念、武蔵野市におきましても、吉祥寺南病院が建て替え不能から撤退するなど、都内でも閉院を余儀なくされる病院が出始めております。

 日本医科大学多摩永山病院は三次救急医療機関であり、地域の基幹病院でありますが、老朽化による移転建て替えに向けた多摩市との協議が今年の五月に終了しました。地域の医療提供体制が確保されるよう、都が積極的に関与すべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁1
保険医療局長
 日本医科大学多摩永山病院についてでございますが、病院と地元自治体である多摩市が 病院の移転建て替えに向けた協議を行ってきたことは承知しております。

 都民の安全・安心の確保に向けて、入院医療や救命治療を必要とする方に一刻も早く適切な医療を提供するための救急医療体制は重要でございます。

 都はこれまで、病院や市との意見交換を適宜行っており、今後も地域における医療提供体制の確保に向け、関係者との意見交換を進めてまいります。

質問2
 また、多摩地域の三次救急医療をはじめ、都民が適切な圏域で必要な医療を受けられるようしっかりと取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁2
保険医療局長
 地域における医療体制の確保についてでございますが、都はこれまで、がん対策や救急医療、災害医療など、疾病、事業ごとに切れ目のない保健医療体制の整備に取り組んでまいりました。

 一方、医療施設の老朽化が進む中、建築価格が高騰するなど状況が変化しているほか、都内におきましても、多摩地域などに医師少数区域が存在しております。

 地域における医療体制の確保に当たりましては、地元自治体の果たす役割は重要であり、都といたしましても、圏域における医療資源やニーズなどの状況も踏まえながら、こうした自治体と連携を図ってまいります。

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福祉政策

質問1
 里親委託の推進についてです。

 私たち夫婦自身が当事者でもあります里親及び特別養子縁組について質問をいたします。

 不妊治療などを経ましても子供に恵まれなかった中で、私たちは児童相談所の門をたたきました。里親認定研修を受け、委託された子供を実子として育てる特別養子縁組に取り組んでおります。

 全国で、事情があって実親と暮らせない子供は約三万五千人、そのうち八割が、いわゆる児童養護施設で育ちます。この中の例外的な二割程度、約八千人が里親委託され、もっと例外的な六百人が特別養子縁組、つまり実子として家庭に引き取られていきます。

 意外かもしれませんが、里親や養親になりたい夫婦は多く、一方で、預けられる、委託される子供たちの方が少ないというのが日本の現状であります。

 東京都は、令和十一年までに里親委託率三七・四%を目標としていますが、令和五年現在、里親委託率は一七%と大幅に目標を下回っております。あと五年で二〇%委託率を高めるために何を行うのか伺います。

答弁1
福祉局長
 里親委託の推進についてでございますが、都は、社会的養育推進計画に基づきまして、 家庭における養育が困難な場合でも家庭と同様の環境で養育できるよう、里親等への委託 を推進しており、きめ細かなケースワークを行うため、児童福祉司の増員や人材育成の充 実などに取り組んでまいりました。

 現在、新たな計画の策定を進めておりまして、児童相談所のさらなる体制強化のほか、家庭復帰が見込めない児童について、個々の状況を勘案しつつ、児童相談所長が特別養子の適格性に係る確認の申立てを積極的に行うことなどを検討しております。

 こうした取組によりまして、家庭養育優先の原則に基づき、里親等への委託を一層推進してまいります。

質問2
 都は、里親制度の普及啓発や里親の募集、研修、マッチングなどを行うフォスタリング機関を積極的に児相内に導入をしています。これは高く評価をするものでありますが、フォスタリングの担当者は、新たな養子候補者が登録されるたびに、所管に十数名います里親ら養親希望者全員に電話をかけて、子供の特徴や親の属性などを二十分から三十分電話で説明をしております。フォスタリングの人数を増員しましても、この電話連絡でかなりの時間が取られているのが実情です。

 DX化などを駆使して、増員の本来の目的である里親と子供のマッチングに力を注ぐべきであると考えますが、いかがでしょうか。

答弁2
福祉局長
 フォスタリング機関についてでございますが、都は、里親のリクルートや研修、委託後のフォローなどを包括的に行うフォスタリング機関事業を、各児童相談所の所管区域で順次開始しておりまして、現在八つの区域で実施をしております。

 児童と養子縁組里親のマッチングに当たりましては、フォスタリング機関の職員が児童を養子縁組里親に紹介する業務を担っておりまして、養子縁組里親の多い区域では業務が増大をしております。

 今後、個人情報の取扱いに配慮しつつ、児童と養子縁組里親のマッチングに係る情報共有のDXを進めるなど、業務の効率化を図りながら、フォスタリング機関による里親支援の充実に取り組んでまいります。

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財政政策

質問1
 次に、都の歳入確保策についてです。

 歳出のみならず、歳入にもしっかり目を向けて、日本最大の都市東京の経営を行うべきという観点から、収入の増加策について質問をしてまいります。

 今年十月に、ふるさと納税廃止を含む抜本的見直しの提案が都の税制調査会から提案されました。ふるさと納税制度は、受益者負担の原則に反し、地元自治体が都民のために使うはずの税金が流出をしております。減収分を取り戻すためのやむを得ない対応としまして、返礼品提供に力を入れる都内の自治体が増えておりますが、本制度に問題があるという点については、共通の理解があるものと認識をしております。

 制度の見直しに向けた国に対する働きかけに加え、本来、都民の行政サービスに使われるべき税金が、都内自治体から約一千九百億円も流出をしているという、ふるさと納税の問題点を都民に理解していただくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。

 また、昨年度の都税調からは、宿泊税の在り方について提案がなされています。

 現在の都の宿泊税は百円と二百円の二通り、全国初の条例であるがゆえに、インバウンド四千万人時代に合わせたアップデートが必要です。

 例えば、京都市の宿泊税条例では、五万円の宿に泊まると一人一泊千円と規定し、その用途も寺社仏閣の修復や電柱の地中化など、幅広に活用できるとしております。都においても適切な税率への見直しに加えまして、観光振興という法定外目的税としての趣旨を踏まえた上で、その使途について柔軟な対応を検討することも要望しておきます。

答弁1
知事
 ふるさと納税についてのお尋ねがございました。

 ふるさと納税は、受益と負担という地方税の原則をゆがめるものであり、また、返礼品競争が続き、寄附本来の趣旨とはかけ離れました、いわば官製通販のような制度となっているなど、本質的な課題がございます。

 今後、大手EC事業者の参入などによりまして、都民のために使われるべき税のさらなる流出など、事態は一層深刻になる懸念がございます。

 都といたしましては、制度の問題点などをより多くの方にご理解いただくための広報を戦略的に実施するとともに、東京都税制調査会の報告も参考にしつつ、問題意識を同じくする他の自治体とも連携しながら、国に対して制度の抜本的な見直しを求めてまいります。

質問2
 歳入増加のラスト、最後になります。基金運用方針の見直しについてです。

 全国の自治体基金の総額は約三十兆円、令和五年度末で都の基金残高は約三兆六千億円ありますが、この運用収入は二十億円にとどまっております。近隣の政令市では、減債基金の長期運用によって都の数倍の利回りを上げているところもあります。

 運用益を教育や福祉、産業振興など、未来に向けた投資的経費に充てることで、より持続可能な東京の実現が可能になるはずであります。

 基金の運用方針について、都は、外部有識者らと連携の上で、積極運用にかじを切ってもらいたいが、いかがでしょうか。

答弁2
会計管理局長
 基金の運用方針に関するご質問にお答えいたします。

 基金は、将来の財政需要への備えとしての役割を担っておりまして、運用に当たっては、安全性と流動性を確保した上で効率性を高めていくことが重要でございます。

 都はこれまで、マイナス金利政策の解除等の金融情勢の変化を捉え、安定性と収益性の両立に努めておりまして、今年度上半期の収入は、前年同期比二倍を超えております。

 今後、一層効果的な運用が可能となるよう、運用方針や運用対象のさらなる多様化について、東京都公金管理アドバイザリー会議委員など、専門家の意見を聞いてまいります。

 安全性等を引き続き確保した上で、金利上昇の動きなどを的確に捉えながら、運用収益の最大化を図ってまいります。

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稲城市施行の土地区画整理事業

質問1
 稲城市施行の土地区画整理事業についてです。

 依然として人口増が続く東京都稲城市では、南武線沿線の矢野口駅周辺をはじめとしまして、市が主体となった土地区画整理事業によるまちづくりが四地区で進められております。

 こうした取組によって、駅周辺がにぎわい拠点として発展しつつあるなど効果が見られるわけですが、その一方で、事業が長期化していることに対する声も耳にするところであります。

 稲城市が主体となって進めております土地区画整理事業について着実な推進が図られるよう、都はどのようにして支援していくのか伺います。

答弁1
東京都技監
 稲城市施行の土地区画整理事業についてでございます。 南武線連続立体交差事業と一体となって、駅周辺整備等を行っております稲城長沼駅周辺地区など四地区、約六十五ヘクタールで事業を進めております。

 都はこれまで、土地区画整理事業区域内の公共施設整備等への財政的支援を行うとともに、面的な無電柱化の推進に向けて補助制度を拡充してまいりました。

 あわせて、国費確保に向けた国への働きかけや、事業規模が大きいことなどに起因する課題解決への技術面からの助言を行っております。

 引き続き、事業の着実な推進に向けて、市が進めるまちづくりを支援してまいります。

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2020東京大会のレガシー活用

質問1
 GRAND CYCLE TOKYOについてです。

 去る十二月一日、臨海地域におきまして、三回目となるサイクルイベントGRAND CYCLE TOKYOのレインボーライド二〇二四が開催されました。晴天の下、小池知事がスターターを務め、多くの参加者がすばらしい景色とともにサイクリングを楽しみました。

 フィニッシュ地点の会場で開催しましたマルチスポーツイベントでは、自転車のマナー啓発や様々なスポーツ体験など、自転車の安全性向上や都民の健康増進と一体となった取組が行われ、二万人以上の方が来場されたと聞いております。

 また、来年、多摩地域で開催されますTHE ROAD RACE TOKYO TAMA 二〇二五は、国際自転車競技連合、UCIの国際公認レースを取得したとのことであります。

 東京大会二〇二〇大会のレガシーを継承し、都市の魅力向上にもつながるGRAND CYCLE TOKYOをより価値の高いものにしていくために、今後、都はどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

答弁1
生活文化スポーツ局長
 自転車に関する総合的な取組であるGRAND CYCLE TOKYOについてお答えいたします。

 レインボーブリッジなどを走るファンライドは、東京の新たなイベントとして定着しております。今後は、多くの自転車ファンや家族連れも楽しめる関連イベントのほか、フォトスポットの充実など、一層の工夫を図ってまいります。

 また、国際公認レースとなった多摩のロードレースは、来年七月十三日に開催予定でありまして、多くの海外エリート選手も参加するハイレベルで見応えのある大会へと進化させてまいります。

 都は、自転車の先駆的な取組を行う都市として、東アジアで初めてバイクシティラベルを取得いたしました。これを機にGRAND CYCLE TOKYOをより多くの都民が親しみ、世界にも誇れるものとしてまいります。

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農業の新たな担い手

質問1
 最後の質問になります。農業の新たな担い手の育成についてです。

 農業者の高齢化が進展し、担い手不足が懸念される中、東京の農業、農地を守るためには、農業人材の確保、育成を図ることが大変に重要であります。当会派の有志でも、昨日、調布市の若い事業者の取組を視察してきたところであります。

 近年では、農業法人に就職するなど、安定した雇用形態での就農を希望する方が増えています。また、テレワークの普及などで働き方が多様化する中、副業やボランティアとして農業に携わりたいという方も出てきておられます。

 少子化による労働力不足が懸念される中、こうした農業以外の業種から参入したい方を、新たな担い手として育成していくことは重要ではないでしょうか。このため、我が会派はこれまでも新しい農業への関わり方を進めるための環境づくりの重要性を主張してまいりました。

 都は、こうした多様な人材を農業の担い手として育成していくべきと考えますが、見解を伺います。

 以上で質問を終わります。

 ありがとうございました。

答弁1
産業労働局長
 農業の新たな担い手の育成についてのご質問にお答えいたします。

 農外からの就農を進めるに当たっては、自ら農業を経営したい方への支援のほか、農業法人への就職や副業など、多様な形態での就農を後押しすることが重要でございます。

 このため、都は、就農段階に応じて農業を学べる様々な研修を行うとともに、企業に対し、農作業に従事する人材を雇用し育成するサポートを実施してございます。また、副業による就農を目指す人材が、栽培技術を学び農家と交流する拠点の整備を地域や大学等と連携して進めております。

 今後は、農業法人で働きたい方向けの研修のほか、拠点における支援内容や施設の機能について検討するなど、東京農業の担い手の育成の取組を推進してまいります。

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