地域公共交通
質問1
最初に、地域公共交通についてお伺いします。
今年十月十日、小池知事との意見交換で、日野市の大坪市長は、バス路線については、これまで赤字路線を中心に減便されてきましたが、運転手不足によって、黒字路線なのに廃止、減便と、これまでは考えられなかったような現象が起きておりますと運転手不足の深刻さを訴えています。
また、国分寺市、府中市、小金井市、多摩市などでは、運転手不足を理由としたコミュニティバス路線の廃止、事業者の撤退の動きが相次いでいます。
今年十一月、バス路線を守る三多摩ネットワーク主催の学習会で、交通権学会理事の近藤宏一立命館大学教授は、バス運転手は人の命を預かり、早朝、深夜にわたる勤務、様々な利用者への対応、高度な操作技術が求められるため多少給料が上がっても魅力的な職場とはいえない、しかも、バス事業者は労働条件改善の原資に乏しく給料は上がらないので人手不足になる、人手不足のために運転手の労働時間が延びるという悪循環に陥っており、もはや収益事業としては成り立たない現実があると、バス運転手不足の構造的な問題について述べています。
さらに、観光地や都心への交通流入の抑制など、気候危機対策や環境対策の面からも、地域公共交通の役割が重要になっています。
最初に、運転手不足をはじめ、東京の路線バスや地域公共交通における課題、都が果たすべき役割、施策の方向について知事の見解を求めます。
答弁1
東京都技監
地域公共交通についてでございます。
バス交通につきましては、二〇二四年問題などに起因して運転士不足が深刻化し、事業を取り巻く環境が厳しさを増しております。
都は、地域公共交通に関わる区市町村の主体的な取組を支援するとともに、バス交通に関わる課題につきましても、事業者等と連携するなど、引き続き、広域的な立場から総合的に取り組んでまいります。
質問2
バス事業者も、運転手確保のため、あらゆる努力をしています。短時間勤務でも、二種免許を持っていない人でも、五十代でも採用していますが、それでも、物流やより処遇のよい都バスに移ってしまい、運転手確保は進んでいません。
運転手不足の解消には、仕事に見合った大幅な賃上げと労働条件改善に取り組む事業者への支援、両方が必要です。
既存の公共交通維持に対する補助事業の創設、民間バス路線の運転手の給与を都バスと同水準に引き上げるための補助金制度の創設、運転手の養成や新規採用者への特別手当などへの支援、女性運転手が働きやすい職場環境整備への支援などを都として行うべきと考えますが、いかがですか。
答弁2
東京都技監
運転士不足の解消についてでございます。
都は、バス運転士の確保等につきまして、支援の充実を国に要求するとともに、事業者が参画する連絡会議においても、運転士への支援について意見交換を行っております。
引き続き、国や事業者と連携し、運転士確保に向けた対策の検討などに取り組んでまいります。
質問3
コミュニティバスなどへの財政的な負担は増加傾向にあり、特に市町村部でその傾向が著しく、さらに増加するおそれがあると都の調査でも出ています。
昨年度、日野市が約一億五千万円補助金を出しているのに対して、東京都が全体で約二億七千万円というのはあまりに少な過ぎます。
市長会は、来年度予算要望書で、コミュニティバスをはじめとした地域交通バスについては、公共交通事業者の経営環境や人手不足などの影響を受け、安定的なサービスに支障を来している一方で、高齢者をはじめとする地域住民のインフラとして必要不可欠なものとなっていると、支援の充実を求めています。
都の運行経費に対する補助制度について、立ち上げから三年間という補助期間の上限をなくし、補助率や補助額の引上げ、補助対象を拡大するなど、抜本的な見直しを行うべきではありませんか。
答弁3
東京都技監
コミュニティバス等への都の補助についてでございます。
地域公共交通は、区市町村による主体的、自立的な運営を前提とし、区市町村自らが需要や持続可能性、財政負担の見通し等を十分に検討することが必要でございます。
都は、事業の立ち上げを支援し、運営の安定化を図るため、補助率を二分の一として、運行開始後三年間の運行経費の一部を区市町村に補助しており、令和四年度からはデマンド交通等にも補助対象を拡大しております。
介護への支援
質問1
次に、訪問介護についてです。
東京は、一人暮らし高齢者の割合が高く、また、地域のつながりも強いとはいえない状況であり、高齢者の孤独、孤立の問題も深刻化してきており、訪問介護サービスはとりわけ重要な役割を果たしていますが、知事は、訪問介護の重要性についてどう認識していますか。
答弁1
知事
訪問介護についてでございます。
訪問介護は、高齢者が地域で安心して暮らすためのサービスであり、その担い手の確保が重要でございます。
都は、訪問介護員等の確保に向けまして、未経験者を雇用する事業者に対する支援や居住支援特別手当を支給する事業者への補助を行っております。
質問2
介護職員の中でも、訪問介護職員の人手不足はとりわけ深刻です。
日本共産党の清水とし子事務所と日野市議団が行った日野市内の介護事業所へのアンケートに寄せられた声をご紹介します。
ヘルパーの確保が非常に難しい、訪問介護員は大部分非常勤でかつ七十歳以上の高齢者が占める、支援需要は多いがヘルパーを見つけられずサービスを提供できないことが多いなどです。
深刻な人手不足とヘルパーの高齢化により、サービスにも支障を来している、訪問介護が崩壊寸前になっているという切実な訴えです。
答弁2
福祉局長
訪問介護員の確保についてでございますが、都が令和四年度に実施した調査では、訪問介護員は、非常勤や高齢の職員の割合が高くなっております。
都は、訪問介護員の確保に向けまして、これまでの取組に加え、今年度から未経験者を雇用する事業者に対し、雇用経費や資格取得経費などの補助を行っております。
質問3
都は、訪問介護のとりわけ深刻な実態を認識していますか。また、都の調査では、どのような結果が出ているのですか。
アンケートには、他職種に比べると年収が百万円くらい低いです、長期休みも取りにくいです、改善しないと若い人が希望を持てる職種になれないと思いますという声も寄せられました。
介護職の賃金引上げや処遇改善は、人材不足解決の鍵だと考えますが、都の認識と対応について伺います。
答弁3
福祉局長
訪問介護員の処遇改善についてでございますが、介護サービス事業は、介護報酬等により運営されることが基本でありまして、都は、国に対して、事業者が人材の確保、育成、定着を図り、事業運営を安定的に行うことができる報酬とするよう、繰り返し要望をしております。
また、居住支援特別手当を支給する事業者への補助や未経験者を雇用する事業者に対する支援を行っております。
質問4
都の居住支援特別手当は重要であり、歓迎されていますが、週二十時間以上勤務という条件があるため、ヘルパーの中心である登録ヘルパーはほとんどもらえていません。とりわけ確保が困難な訪問ヘルパーの確保を進めるためには、登録ヘルパーにも手当が届くことが重要です。支給の実態を把握して、週二十時間未満でも段階的に手当をつけるなど、制度を見直すべきと考えますが、いかがですか。
答弁4
福祉局長
居住支援特別手当についてでございますが、訪問介護事業所等では、非常勤職員の割合が高いという実態も踏まえ、非常勤職員も含めて週二十時間以上勤務する介護職員、介護支援専門員を対象としておりまして、訪問介護事業所からも多くの申請をいただいております。
質問5
今後、知事が公約した介護職員の昇給制度の検討に当たっては、現場の実態をよく聞いて、登録ヘルパーや事務職員なども含めて、介護事業を支えている全ての人の報酬が上がるような制度にすることを求めますが、都の見解を求めます。
答弁5
福祉局長
介護職員の報酬についてでございますが、関係団体の意見を聞きながら、訪問介護も含め、都内事業者の実態を把握することとしております。
質問6
介護事業所からは、訪問介護の介護報酬引下げによって昨年度なら黒字になった利用状況でも、今年度は赤字になってしまい、ずっと赤字経営です、事業所の経営が苦しいと職員の処遇改善に予算を回せないと伺いました。
都は、国に介護報酬の見直しを求めていますが、介護事業所の閉鎖も相次いでおり、三年後の改定時まで待つ余裕はありません。直ちに改定するよう、国に求めるべきではありませんか。
答弁6
福祉局長
介護報酬に関する国への要望についてでございますが、都は、国に対して、緊急提言を含め、繰り返し要望しております。
質問7
世田谷区では、報酬改定による影響を緩和するために、訪問介護事業所一か所当たり八十八万円などというように、介護事業所への財政的支援を行いました。都としても、事業所への直接的な支援を行うべきではありませんか。
答弁7
福祉局長
訪問介護事業所への支援についてでございますが、訪問介護をはじめとした介護サービス事業は、介護報酬等により運営されることが基本でありまして、都は、国に対して、緊急提言を含め、繰り返し要望しております。
国が介護報酬等の必要な見直しを講じるまでの間、都は、介護職員等を対象に居住支援特別手当を支給する事業者を支援しております。
質問8
この夏は猛暑どころではなく酷暑でした、自転車で外を移動するヘルパーさんたちにとっては本当に大変な時期でもありましたとの声が寄せられています。ヘルパーさんの健康、安全を守るための対策への支援を求めますが、いかがですか。
答弁8
福祉局長
訪問介護員の健康、安全の管理についてでございますが、都は、訪問介護事業所等の新規指定や更新の際に、事業者が遵守すべき労働基準や労働安全衛生、職員の健康、安全管理などの内容を含む独自の研修を実施しております。
質問9
ヘルパーや職員に対するハラスメントと思われる事例が増えているとの声も寄せられました。ヘルパーの複数派遣への支援をはじめ、ハラスメント対策を求めますが、都の見解を求めます。
答弁9
福祉局長
訪問介護員等へのハラスメント対策についてでございますが、都は、リーフレットや説明会の開催による普及啓発に加えまして、介護現場におけるハラスメント相談窓口の設置など、訪問介護員をはじめとした介護職員の働きやすい職場環境づくりを支援しております。
データセンター計画
質問1
最後に、データセンター問題について伺います。
二〇二四年五月、三井不動産は、日野自動車工場跡地にデータセンター三棟を建設する構想を日野市に届け出ました。データセンターの高さは、屋上施設を含めて最高七十二メートル。近隣住民からは、今までスカイツリーが見えたり花火も見えてとてもよい環境だった、そのような当たり前の生活が奪われてしまうという声が上がっています。住宅地に 隣接した地域にデータセンターをつくるべきではありません。
さらに、昭島市に計画されているデータセンターの数値から推計すると、日野のデータセンターの電力消費量、CO2排出量は、日野市の総量の数倍に上り、市民の省エネ、再エネの努力は、簡単に無に帰してしまいます。自治体の総量を上回る規模の電力使用量、CO2排出量等の建物は、これまでのまちづくりでは想定されていなかった新たな問題です。このようなデータセンターが次々と建設されれば、地元自治体や東京都の気候対策は破綻する事態になりかねません。
データセンターは、再エネ利用だけでなく、消費エネルギーそのものを減らすことが不可欠だと思いますが、いかがですか。
答弁1
産業労働局長
データセンターの省エネについてでございます。
データセンターの省エネは必要であり、少ないエネルギーで運用できる技術等の実装化の支援を検討するなど、引き続き、事業者の取組を後押しいたします。
質問2
また、エネルギー消費量を減らす技術の開発、普及に対する支援をすべきと考えますが、都の認識と対応についてお伺いします。
日野市のデータセンターは、都のアセスの対象になっていないため、事業者は、電力使用量、CO2排出量等の情報を市民に明らかにしていません。電力使用量やCO2排出量、排熱量などの情報は、計画段階から公表されるべきと考えますが、いかがですか。
答弁2
環境局長
データセンターに係る情報の公表についてでございますが、都は、環境確保条例に基づき、データセンターを含む建物の計画段階から省エネ性能向上や再エネ導入などを誘導し、事業者の取組内容についても公表することで脱炭素化を促しております。
質問3
都は、地域における脱炭素化に関する計画制度、東京都建築物環境計画書制度、キャップ・アンド・トレード制度の三つでデータセンター問題に対応しているとしています。
しかし、地域における脱炭素化に関する計画制度や東京都建築物環境計画書では、予想されている消費電力量等の報告義務があるのみです。キャップ・アンド・トレード制度も、建物の稼働後の排出量削減の制度です。
いずれの制度も、データセンターの計画の早い段階から情報を公表し、消費電力量やCO2排出量を規制するものではありません。
次々とデータセンターをつくらせて、都の気候危機対策計画が破綻することにならないよう、東京都がデータセンターの事業者と消費電力やCO2排出を抑制するための協定を結ぶことが必要ではありませんか。
答弁3
環境局長
データセンターへの対応についてでございますが、都は、条例に基づく義務制度である地域における脱炭素化に関する計画制度、建築物環境計画書制度、キャップ・アンド・トレード制度を大幅に強化しております。
これらの制度を通じて、データセンターを含む建物の計画段階から、省エネ性能向上や再エネ導入などを誘導し、事業者の取組内容についても公表することで、脱炭素化を促しております。
質問4
データセンターをアセスの対象事業に加えて、建物の高さや電力量、CO2などの影響を評価し、市民や関係自治体の意見も反映できるようにすべきではありませんか。
現在の都の制度では、データセンターが東京都の気候変動対策に重大な影響を与えることを止めることはできません。
都が断固とした姿勢でデータセンター問題に取り組むことを強く求めて、私の質問を終わります。
答弁4
環境局長
環境影響評価についてでございますが、本制度の対象事業は、環境影響評価条例別表に掲げる事業で、その事業が環境に著しい影響を及ぼすおそれのあるものとして、その内容及び規模が規則で定める要件に該当するものとしております。