災害時に潜在看護師の活用を
江戸東京博物館の工事に工夫を

防災対策

質問1
 初めに、防災対策について質問いたします。

 先月発表された訪日外客数は、一九六四年の統計開始以来、過去最速で累計で三千万人を超えました。米国の大手旅行雑誌の読者投票でも、世界で最も魅力的な大都市のランキングにおいて、東京が第一位に選ばれています。

 こうしたインバウンド需要の高まりで、私の地元墨田区にある東京スカイツリーや浅草などでは、観光や買物などを楽しんでいる姿をよく見かけます。

 外国人旅行者の中には、地震のない国から来ている方も多く、東京で大規模地震に遭遇した場合、言葉の壁もあり、不安や恐怖でパニックに陥ってしまうことも懸念されます。このため、訪日客が使える防災アプリの周知とともに、通信遮断時も想定した対策が必要です。

 そこで、国際都市東京の責務として、大規模地震時でも外国人旅行者が混乱を来さないよう、正確な情報を届け、安全な場所等へ誘導すべきと考えますが、知事の見解を求めます。

答弁1
知事
 災害時における外国人旅行者への対応についてのお尋ねでございました。

 都内を訪れる外国人旅行者は増加しておりまして、昨年は過去最高を記録いたしました。いつ起こるとも知れない首都直下地震等に備えまして、外国人旅行者が災害時にも落ち着いて行動し、安全を確保できるよう対策を講じておくことは重要でございます。

 このため、都は、発災時に外国人旅行者が必要とする情報を東京都防災Xや多言語に対応した防災ホームページ、防災アプリで発信することといたしております。

 今後、空港やターミナル駅等との連携をさらに強化いたしまして、都の災害情報を発信するSNS等の認知度を高めてまいります。また、区市や鉄道事業者等と共同いたしまして、サイネージやAI通訳機による多言語での誘導訓練を実施いたします。

 こうした取組により、災害時における外国人旅行者の安全・安心の確保に努めてまいります。

質問2
 次に、元日に発生した能登半島地震から間もなく一年です。この地震では、多くの住宅が倒壊し、死者は災害関連死も含めて約四百六十人に上るなど、多くの尊い命が奪われました。首都直下地震に備え、私たちは、震災の記憶を受け継ぎ、対策を怠らずに進めることが重要です。

 都内には旧耐震基準の住宅が多く存在し、私の地元もその象徴的なエリアで、墨田区内の木造戸建住宅の耐震化率は、二〇二〇年度末で四四・二%という状況です。これらの住宅所有者は、比較的高齢者が多く、中には介護等が必要な方もおり、こうした方々に対する支援策の充実が必要です。

 それには、耐震化促進の普及啓発に、より一層取り組むとともに、財政的な支援をより充実させることが必要です。

 そこで、様々な事情を抱える高齢者等に耐震化を促していくために、これまで以上に創意工夫をしながら取組を強化すべきと考えます。見解を求めます。

答弁2
東京都技監
 高齢者等に耐震化を促す取組についてでございます。

 高齢者の状況は様々であり、耐震化を促進するには、改修費等の支援とともに、きめ細かい対応が重要でございます。

 このため、区市町村と連携して、個別訪問や相談会を実施し、耐震化の必要性や補助制度等を個々の実情に応じて説明してまいりました。

 今年度は新たに、耐震化を改めて自分事として捉えられるよう、被災者の体験を直接伝える機会を設けるとともに、高齢者が参加しやすくなるよう出前講座を開催し、参加者の疑問に丁寧に答えるなど、工夫を凝らしてまいりました。

 今後、さらなる住宅の耐震化に向け、高齢者等に対する効果的な普及啓発や支援の在り方などを検討してまいります。

質問3
 次に、白鬚東防災拠点の強化について質問いたします。

 同拠点は、都が公表する地域危険度の高い墨田区北部エリアの木造住宅密集地域に隣接しています。

 私は、昨年の第三回定例会一般質問で、総合危険度五が多い一帯に緊急医療救護所が未指定であることを指摘し、同拠点内にある東京都リハビリテーション病院の活用、協力を求めました。

 その後、都は、同病院のあり方検討委員会を設置し、病院の現状と課題、担うべき役割等について検討が開始されたことを評価します。そして、病院も築三十五年が経過し、来年は改修に向けた検討が行われると聞いています。

 そこで、設立の基本構想時に掲げた災害時の医療センターとしての機能が発揮されるよう、さらなる取組を進めていくべきと考えます。見解を求めます。

答弁3
保健医療局長
 東京都リハビリテーション病院についてでございますが、本病院は、都のリハビリテーション医療の中核を担うとともに、墨田区地域防災計画に定める医療救護活動を行う災害医療支援病院に位置づけられており、事業継続計画を策定するほか、医師や看護師等の宿舎を整備するなど、災害時の医療提供体制の確保に努めております。

 また、都は今年度、中長期的な病院の在り方を検討する委員会を設置し、公的医療機関として担うべき役割や機能など、災害時の対応も含めて議論しております。

 こうした検討も踏まえ、今後の建物改修を見据えまして、災害時の医療救護活動における病院機能の強化に向けて取り組んでまいります。

質問4
 次に、医療人材の応援体制も欠かせません。

 災害の初期段階では、地元医療関係者が地元区との協定に基づき指定救護所に派遣され、医療チームが不足する場合は、都が二次保健医療圏単位で設置する医療拠点にチームの派遣を要請することになっています。

 災害時は、フェーズに応じて様々なニーズが生じ、支援期間が長期化すると多数の看護職員が必要となります。都内には多くの潜在看護師等がいると聞いており、その活用が必要と考えます。

 そこで、災害時、区市町村が設置する医療救護所で潜在看護師等を活用し、医療救護活動に従事できるよう体制を構築すべきと考えます。見解を求めます。

答弁4
保険医療局長
 災害時における潜在看護師等の活用についてでございますが、災害時には、多数の傷病者が発生するとともに、避難生活が長期化すると医療ニーズも変化するため、より多くの看護職員が、それぞれのスキルに応じて医療救護活動に従事することが重要でございます。

 地元医師会の医師や看護師などを中心に運営される医療救護所につきまして、設置者である区市町村から、看護職員の確保が課題との意見を聞いております。

 こうした状況も踏まえ、有事の際に、身近な地域で医療救護活動に従事可能な看護職員の裾野を拡大するため、区市町村と連携しながら、今後、潜在看護師等の活用に向けた方策について検討してまいります。

質問5
 次に、災害時には傷病者や物資等を円滑に運ぶため、輸送路の多重化を図ることが必要であり、水上ルートの確保は重要です。

 また、都は今年度、船着場を円滑に活用するため、未開放の船着場を対象に、舟運関係者による習熟度を高めるための離着岸訓練を十月に試行し、私も同防災拠点に隣接する船着場の訓練を視察いたしました。

 現場で気づいたことは、船着場にアクセスするスロープが歩行者や車椅子用であり、車両が通行できない構造でした。物資輸送等を有効に機能させるためには、車両が通行できるようスロープを改築するべきと考えます。

 そこで、都の防災備蓄倉庫に一番近い船着場でもあることから、早急に改築を行うべきと考えます。見解を求めます。

答弁5
建設局長
 白鬚東防災船着場におけますスロープ改築の取組についてでございますが、災害時に船舶による被災者の避難や緊急物資の輸送などを迅速に行うためには、これまで整備した船着場をより有効に利用できるようにすることが重要でございます。

 そのために、都が管理する船着場におきまして、車両によるアクセスを可能とするスロープの整備などを順次進めております。白鬚東防災船着場におきましては、今年度、既存スロープを改築する設計を進めておりまして、今後、防潮堤の耐震対策に合わせて工事を行っていく予定でございます。

 今後とも、防災船着場の機能向上に取り組み、災害対応力の強化に努めてまいります。

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中小企業支援

質問1
 次に、中小企業のDX支援について質問します。

 先日、世界のGDPランキングでは、日本より人口の少ないドイツに抜かれ、四位に転落したとの報道がありました。その要因は、円安もさることながら、生産性の低迷が指摘されています。人手不足や働き方改革が叫ばれる中、日本の約九割を占める中小企業が生産性を上げていくことが必要です。

 それには、製造現場におけるDXの導入が求められていますが、大企業と違って中小企業では、DX導入を担当する人材と資金が不足しています。これを打開するため、都は、DX推進支援事業を設け、DX推進による企業変革や生産性向上を支援する取組を行っています。

 先日、私は、都のDX推進支援事業を利用した地元の中小企業を視察しました。そこでは、専門のアドバイザーが現地を訪問して調査、診断し、事業者の課題を明確にして支援方針を決め、事業者に適したデジタル機器を導入。社員の勤怠管理や作業状況の把握などを紙ベースから電子化して効率化を図り、生産性の向上をトータルに支援して事業者に喜ばれていました。

 昔と違って、今では、低額で汎用性の高いローコード、ノーコードのデジタルツールもあると聞いています。

 そこで都は、より多くの中小企業がDXを継続的に使いこなせるよう、アドバイザーの体制も拡充していくべきと考えます。見解を求めます。

答弁1
産業労働局長
 中小企業のDXに向けた支援についてのご質問にお答えいたします。

 中小企業が生産性を高め、競争力を向上させるためには、デジタル技術を活用し、業務の改善や生産体制の効率化を進めることが重要でございます。

 このため、都は、DXに向けた取組への着手を促すため、その必要性を広く周知するほか、専門家が中小企業を巡回し、現場の事業活動の状況を把握するとともに、事務作業の効率化に必要なデジタルツールの提案を行っております。また、この提案などに基づき、汎用性の高いクラウドサービスを利用する際の経費等を助成しております。

 今後も多くの中小企業がデジタル化に取り組めるよう、支援体制の拡充を検討し、さらなる利用の促進を図ってまいります。

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都立学校

質問1
 次に、チャレンジサポートプランに関して質問します。

 私の地元には夜間中学が開設されており、年齢や言語の違いなど多様な生徒が通い、異文化理解と支え合いで勉学等に励み、晴れて卒業や進学していく姿を多く見てまいりました。それゆえ、初当選以来、一貫して多文化共生の推進や日本語指導の充実に取り組んできました。

 今回のサポートプランには、夜間定時制高校の閉課程も記載され、募集停止校の中には小山台の定時制高校も対象です。この高校では、外国籍など多様な生徒に対して、大学教員や弁護士、NPO団体、地域住民、家庭が連携して生徒の学びを支援し、多文化共生の伝統を築いてきたと聞いています。

 都は、先日の予算要求において、新設する在京外国人枠等設置校をダイバーシティ推進校にするとしました。この推進校をはじめとして日本語指導を行う学校では、小山台高校等で積み重ねられてきた理念を引き継ぎ、日本語指導が必要な生徒の支援を中心的に担うとともに、国籍を問わず多様な生徒が共に学ぶ環境の特徴を生かして多文化共生の学校づくりを推進すべきと考えます。

 そこで、都立高校における多文化共生の推進について、都教育委員会の今後の取組について見解を求めます。

答弁1
教育長
 都立高校における多文化共生の推進についてのご質問にお答えをいたします。

 グローバル社会が進展する中で、将来の東京を担う人材が、異なる文化や価値観を理解することは重要でございます。

 都教育委員会は、来年度の在京外国人等の生徒の受入れ枠を設ける都立高校を現在の八校からさらに四校増やします。新たな四校では、多様な生徒が共に学ぶ環境をつくり、語学力の育成に加え、異文化や多様性への理解を深める指導を先進的に行うことを検討いたします。また、これによる成果と様々な都立高校での優れた実績を全校で共有する取組に力を入れてまいります。

 これらによりまして、日本と外国とのかけ橋となる人材の育成を進めてまいります。

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文化芸術振興

質問1
 次に、芸術文化施策について質問いたします。

 私は、昨年の第三回定例会一般質問等で、若手芸術家が舞台の稽古場探しで困っている問題を取り上げ、芸術活動の場を増やすよう訴えてきました。

 これに対し、都は、都営住宅の空き施設を創作活動のアトリエに活用したことは評価いたします。

 そこで、今後は、これまでも指摘してきたように、支援対象をさらに広げ、稽古場等を整備すべきです。見解を求めます。

答弁1
生活文化スポーツ局長
 劇団が使用する稽古場などの確保についてでございますが、都は、アトリエを持つことが難しい若手のアーティストを支援するため、手の届きやすい料金で創作場所を提供するSTART Box事業を昨年度から開始しております。

 これまで約四十名が作品の制作や活動リサーチのために利用しており、アーティスト同士、また、地域の住民との交流も生まれております。

 舞台芸術分野におきましても、小規模な劇団を中心に創作や練習を行う場所への高いニーズがあり、今後、都の遊休施設を活用するなど、アトリエに加え、稽古場の整備も検討してまいります。

質問2
 次に、都の文化施設の中でも集客効果の高い江戸東京博物館が現在リニューアル工事を行っており、二〇二六年の春にオープン予定と伺っています。

 以前の同博物館は、江戸時代当時の木製の日本橋北側半分を実物大で再現して渡ることもでき、また、盛り場であった両国近辺のにぎわいを再現したジオラマ模型等を配置し、江戸時代にタイムスリップしたような感覚になる工夫がありました。

 そこで、今後は、江戸時代への没入感がさらに味わえるデジタル技術の導入なども検討すべきと考えます。

 また、以前は、建物の三階にある広大な吹き抜け空間があまり活用されていなかったようですが、今後は、より活用していくべきと考えます。併せて見解を求めます。

答弁2
生活文化スポーツ局長
 江戸東京博物館のリニューアルについてでございますが、江戸東京の歴史と文化を国内外に発信するための中心的な拠点として、魅力を高めていくことが重要でございます。

 より一層、来館者を引きつける施設とするため、リニューアルオープンに当たりましては、デジタル技術を活用し、子供や外国人観光客などが江戸の歴史と文化を楽しみながら学べる機会を提供するほか、三階のオープンスペースなどにおいても、にぎわいを創出することとしております。

 再来年春に向け、準備を着実に進め、東京のアイコンとして何度も訪れたくなる博物館を目指してまいります。

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まちづくり

質問1
 次に、ベンチの設置拡大について質問します。

 地域の高齢者の方から、散歩中に一休みするベンチをもっと設置してほしいとの声を多くいただきます。健康で生き生きと暮らすために、身近な散歩は効果的です。

 私は、東京二〇二〇大会における会場へのアクセシブルルートとして、仮設も含め、ベンチの設置基準が定められたことを通じ、二〇二〇年の予算特別委員会で、道路と並行に一人ずつ対面式に座るタイプであれば、狭い歩道でも設置の可能性が広がるとして、都に拡大を求めました。

 そこで、二〇二〇大会のレガシーを受け継ぎ、高齢者や障害者にとって優しいまちづくりを進めていくためにも、まずは都道において積極的にベンチの設置を進めていくべきと考えます。見解を求めます。

答弁1
建設局長
 都道におけますベンチの設置についてでございますが、高齢者や障害者など全ての人が安全で快適に利用できる歩行空間を創出することは重要でございます。

 歩道にベンチを設置する場合、車椅子のすれ違いが可能な有効幅員の確保に加えまして、ごみが捨てられることがないなど、適切な管理が必要でございます。

 これらを踏まえまして、病院等の周辺で休憩スペースを確保する必要がある箇所や歩行者利便増進道路、いわゆるほこみち制度の活用が可能な箇所等で、地元等との合意形成を図ることができる場合に必要に応じて検討してまいります。

 今後とも、誰もが利用しやすい道路空間の整備に取り組んでまいります。

質問2
 また、二十三区では、住宅が密集し、道幅が狭いためか、歩道へのベンチ設置を事業として取り組むのは十区にとどまると聞いています。

 都は、区がベンチを設置するための補助制度を設けており、今後の高齢社会の進展を踏まえ、全ての区がベンチを積極的に設置できるよう働きかけていくべきと考えます。見解を求めます。

答弁2
福祉局長
 道路へのベンチの設置に関するご質問にお答えいたします。

 都は、福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルにおいて、高齢者や障害者等が道路を歩行中に休憩や交流ができるよう、歩行者の通行や交通の支障とならない箇所などに、必要に応じベンチを設けることを整備基準に定めておりまして、設置を推進しております。

 また、こうした基準に適合したベンチの設置に取り組む区市町村を包括補助により支援をしております。

 今後、設置拡大に向けた区市町村の取組が進むよう、連絡会などで整備事例を紹介するなど、一層の周知を図ってまいります。

質問3
 最後に、地元の東武伊勢崎線鐘ケ淵駅周辺地区においては、補助一二〇号線の整備が進むとともに、長年、地元の皆様と取り組んできた東武伊勢崎線が鉄道立体化の事業候補区間に位置づけられ、次へのステップに向け都による調査が進行中です。

 これを機に、墨田区においても、鉄道立体化や木造住宅密集地域の解消等を踏まえたまちづくり計画の改定作業が進められ、来年六月に最終的な報告がなされる予定と聞いております。

 こうした地域のまちづくりとともに、鉄道立体化を一層推進していくべきと考えます。

 そこで、東武伊勢崎線鐘ケ淵踏切の鉄道立体化に向けた今後の取組について見解を求め、質問を終わります。

答弁3
建設局長
 東武伊勢崎線鐘ケ淵駅付近の鉄道立体化に向けた取組についてでございますが、本区間には、都が事業を進めております補助第一二〇号線との交差部に開かずの踏切がございまして、交通渋滞や地域分断の解消等が課題となっております。

 都は、令和四年に鉄道立体化の事業候補区間に位置づけ、現在、事業範囲や構造形式などの検討を進めております。

 また、本区間は荒川に近接していることから、国が進める高規格堤防の整備計画と整合を図る必要がございまして、河川管理者と意見交換を行っているところでございます。

 今後とも、地元区や鉄道事業者等と連携し、鉄道立体化の可能性について着実に検討を進めてまいります。

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