都政運営
質問1
十月に発足した石破内閣の下、新しい地方経済・生活環境創生本部が設置されました。今後、新たな地方創生の議論が活発に展開されるものと考えます。
日本のみならず、世界をリードする大都市東京、その社会経済活動は、地方で生産された食料やエネルギーなどに支えられていることを忘れてはなりません。東京と地方とが連携し、共に支え合うことで、日本全体の持続的発展につながります。
我が会派はこれまでも、東京が汗をかき、地方の発展に貢献することが重要と訴えてきました。能登や東北など被災地への復興支援はもちろん、広く地方に対して、産業やデジタルの分野で支援を行い、相互理解を深めることで、共存共栄を図っていくことが必要であると考えますが、知事の見解を伺います。
答弁1
知事
地方との連携についてのお尋ねでございました。
東京は、日本経済の牽引役を担っている一方で、食料やエネルギーなどの地方の資源に支えられております。日本全体の持続的な発展を実現するためには、東京と地方が共に栄え、成長する共存共栄こそが重要でございます。
都はこれまで、輪島塗など伝統工芸品の販売による被災地支援や全国の中小企業の販路拡大、国産木材の需要創出などに取り組んでまいりました。これによりまして、様々な分野で、地方の豊かな資源と東京の購買力や発信力を結びつけ、地方のポテンシャルを引き出し、活性化につなげてまいりました。
さらには、今後の日本全体の成長を支えるスタートアップやデジタルの分野におきまして、東京と地方を結び、また世界との結節点となるTokyo Innovation Baseの活用などによりまして、全国各地との連携を進めてまいります。
今後とも、地方との対話を進め、相互理解を深めることで、東京、ひいては日本全体の発展につなげてまいります。
質問2
東京は、コロナ禍を乗り越え、多くの外国人観光客でにぎわい、今年は過去最高だった二〇一九年を上回ることが見込まれ、インバウンド需要は極めて好調です。
イギリスの市場調査会社ユーロモニターインターナショナルが今月五日に発表した二〇二四年世界の観光都市ランキングで、東京はニューヨークやローマを抑え、初めてトップスリーにランクされました。
江戸の歴史を今に伝える神社仏閣、浮世絵や歌舞伎などは、東京が誇る貴重な財産であり、都は、江戸の歴史、文化の世界遺産登録を目指すとしていますが、これらの魅力を積極的に観光に生かすべきです。
江戸の歴史、文化を生かしたインバウンド誘致を一層進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
ところで、来年は、知事が環境大臣時代に提唱されたノーネクタイ、ジャケットなしの軽装で過ごすクールビズが始まって二十年の節目に当たります。令和の時代に入って以来、毎年夏は驚異的な暑さが続いています。
東京においても、沖縄のかりゆしのような生活文化を象徴し、かつ江戸の風情を踏まえた夏服、例えば江戸小紋の技術を用いたシャツの着用などを検討してはいかがでしょうか。
日常はもちろん、ビジネスなど公的な場面でも、江戸東京の伝統文化を象徴する服を着て臨むことで、東京の魅力を発信することができると考えます。ぜひご検討をお願いしたいと思います
答弁2
産業労働局長
江戸の歴史、文化を生かした観光振興についてでございます。
外国人旅行者のさらなる誘致を図るためには、江戸の歴史、文化の魅力を効果的に活用することが重要でございます。
都では、江戸の風情を生かした集客に取り組む地域に対しまして、のれんやちょうちんなどを用いた景観の創出を支援してございます。また、旅行商品の開発を促すため、江戸時代の史跡や寺院を巡る新たな観光モデルコースづくりや伝統芸能を鑑賞するモニターツアーの実施などに取り組んでおります。
今後は、外国人旅行者への魅力発信とともに、地域や観光関連事業者の取組に対するさらなる後押しを検討し、江戸の歴史、文化を生かした誘客の促進を図ってまいります。
特別区消防団
質問1
元日に発生した能登半島地震では、消防団員が消火活動、救助活動に大きな役割を果たしました。活動を献身的に支えておられる団員の皆様に改めて敬意と感謝を申し上げます。
現在、特別区消防団では、管轄区域外への転居等があると在団資格を失うことから、これまで培った技術や経験が蓄積、継承できないことが懸念されています。
消防団の活動力の維持向上のための環境づくりが必要と考えますが、消防総監の見解を伺います。
答弁1
消防総監
特別区消防団の活動力の維持向上についてでございますが、震災等の大規模災害時における被害を軽減するためには、地域の実情に精通した消防団の活動が必要でございます。
このため、募集広報を強力に推進し、消防団員を確保するとともに、活動が継続しやすくなるよう、任務を限定して活動できる機能別団員制度や大規模災害時のみ活動する大規模災害団員制度を創設いたしました。
さらに、転居等があっても、現に所属する消防団での活動を継続できるよう、在団要件の見直しを検討しております。
こうした取組により、今後とも、消防団の活動力の維持向上に努めてまいります。
災害政策
質問1
地震の際、障害者の安全・安心を確保するために、障害者世帯の耐震化を促すべきと我が会派は繰り返し主張してきました。
今年の第二回定例会における我が会派の代表質問では、障害者世帯等に対し、国や区市町村とも連携を図りながら、耐震化を促す取組について検討していくとの答弁がありました。この結果、先般発表された都市整備局の令和七年度予算要求概要に、住宅耐震化に関する障害者等居住住宅への取組が計上されたことは高く評価するものであります。
これまでも、区市町村独自で障害者世帯へ支援を行っている自治体もあり、こうした区市町村の取組を後押しし、都として障害者世帯の耐震化への補助を手厚くできるよう取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
答弁1
東京都技監
障害者世帯への耐震化支援についてでございます。
障害者など災害時に特に配慮が必要な方は、大規模な地震発生時に直ちに避難行動を取ることが困難であり、また、避難生活の長期化による影響も懸念されることから、こうした方々に対する取組が不可欠でございます。
現在、都内の九区市が、耐震改修等における障害者世帯への上乗せ補助を独自に行っていると聞いており、こうした区市の意見を踏まえながら、他の区市町村においても取組が進むよう、都は、障害者世帯等の安全・安心の確保に向けた支援の在り方を検討しております。
今後とも、区市町村や関係団体と連携しながら、障害者世帯等の耐震化が進むよう、検討を深度化してまいります。
質問2
都が四月から、区市町村に対して、液状化対策の調査や工事に係る費用助成を開始したことは高く評価するものです。
しかし、現状では、都民向けに補助を行っている都内自治体は葛飾区だけにとどまっています。都民の液状化対策への意識が必ずしも十分とはいえないことや、液状化対策が必要と判明した場合、費用や工事などの負担を依頼者へ求めなければならないことから、事業者側からはいい出しづらいなどの課題があり、結果として区市町村の制度創設に結びついていないと聞いています。
一方、ハウスメーカーでは、震災後、建て主等に対して、必ずリスクの説明と対策の提案を行うようにしたと聞いています。こうした意欲的な事業者等の協力も得ながら、取り組んでいくことが重要と考えます。
都は先月、液状化対策という共通の目的を持つ官民の共同体としてコンソーシアムを設立しました。このコンソーシアムを最大限活用しながら、都民の機運醸成を図るべきと考えますが、見解を伺います。
答弁2
東京都技監
事業者と連携した液状化対策の推進についてでございます。
戸建て住宅等の液状化対策を推進するためには、先進的な技術や知見を持つ多様な主体と連携しながら、都民の理解を深めていくことが重要でございます。
このため、都は、ハウスメーカーや地盤調査会社、金融機関等とコンソーシアムを立ち上げました。先月の第一回会議では、設計時等における建て主への液状化リスクの説明や支店ネットワークを生かした普及啓発についての提案があり、一体となって取り組むことを確認いたしました。
今後、コンソーシアムを通じて、対策の必要性等を都民に広く周知し、機運醸成につなげ、液状化対策を推進してまいります。
空き家の地域資源としての活用
質問1
昨年の第二回定例会における我が会派の代表質問では、空き家活用の先導的な取組を行う事業者に対する都の支援や連携をどのように広げていくかについて、都からは、シンポジウムの開催などを通じて伝えていくことで、不動産取引や住宅リフォームに携わる事業者の参入を促すとの答弁がありました。
近年、事業者のご協力によって、空き家を地域の居場所や住宅確保要配慮者向けの東京ささエール住宅に改修するなど、地域の資源として活用する動きが広がっています。
空き家の様々な用途への利活用を促進し、数を減らしていくためには、有意義な取組を行う事業者の裾野を広げていくとともに、事業者と空き家を所有している人とのマッチングを強化していくことが不可欠と考えますが、見解を伺います。
答弁1
住宅政策本部長
空き家の地域資源としての利活用についてでございますが、空き家活用の推進のためには、空き家を活用したい事業者と所有者を効果的に結びつけることが重要でございます。
これまで都は、空き家活用シンポジウムの開催や賃貸住宅関連の展示会への出展などを通じて、先導的な活用事例を紹介し、事業者の参入を促してまいりました。
今後、不動産業をはじめ関係団体との連携により、事業者の参入を一層促進するとともに、所有者と事業者を結びつける地域別空き家活用セミナーを都内四か所で新たに実施し、利活用の好事例の紹介や参加者同士の交流会等によりマッチングを後押ししてまいります。
これらによりまして、空き家の活用を地域の活性化につなげてまいります。
就労支援施策としてのバスの運転手の確保
質問1
路線バスは、社会の重要インフラであり、今後も維持していくことが必要不可欠ですが、都内各地で休止や減便が進んでいます。特にこの四月からは、ドライバーの時間外労働の上限規制に伴う二〇二四年問題の影響もあり、状況はより一層深刻になっています。
私の地元葛飾区では、今年度に限っても、三つのバス路線が休止。減便は、昨年から今年にかけ、区内バス路線の三分の一に当たる二十三路線に及び、区民生活に支障を来しています。多摩地域においても、十一月に関東バスが乗務員不足を理由に、吉祥寺、三鷹エリアの路線で大幅な減便、運休を行うと発表。小平市や国分寺市でも、コミュニティバス路線の減便や廃止の検討に至るなど、地域公共交通の根幹が揺らいでいます。
葛飾区では、バス運転手の処遇改善や担い手不足解消のため、二万円の家賃補助を行うなど、独自の支援を始めました。
都としても、就労支援施策としてバス運転手の確保が進むよう、地域や業界を支援することが重要と考えますが、見解を伺います。
答弁1
産業労働局長
就労支援施策としてのバスの運転手の確保についてでございます。
地域の公共交通が減便や廃止などに直面する中、バス事業者のドライバーの確保を支援することは重要でございます。
都は、業界団体による中小企業の人材確保に向けまして、業界の魅力を伝える動画作成の支援や免許取得に係る経費の助成を実施するとともに、区市町村などが地元事業者の人材確保や定着に向けた取組を行う場合にも支援を行ってございます。また、運転手の時間外労働規制への緊急対応として、効果的な人材確保の方法や生産性向上などのアドバイスを強化してございます。
今後、こうした取組を丁寧に周知するとともに、関係団体とも連携を深めまして、運転手不足の解消につなげてまいります。
区部周辺部環状公共交通
質問1
東京の鉄道は、世界に誇るトップレベルの高密なネットワークが発達し、東京の社会経済活動を支え、成長の牽引役になっています。
一方で、郊外から都心へ向かう放射方向の移動はスムーズであるのに対し、郊外の拠点間を結節する環状方向のアクセスは便利とはいえない状況にあります。
国の交通政策審議会においては、環状方向のアクセスとして、葛西臨海公園から赤羽を通り、田園調布までを結ぶ区部周辺部環状公共交通が位置づけられています。
本路線については、江戸川区、葛飾区、足立区が参画するメトロセブン促進協議会でも、平成六年以来、様々な検討がなされてきました。しかし、莫大な事業費や事業主体の整理などの課題もあり、いまだ実現に至っていません。定時性に優れる鉄道による整備が望ましいことはいうまでもありませんが、一方で、平成六年の頃には考えられなかった自動運転などの技術革新や中量軌道の車両の導入なども含めた様々な交通モードを検討する必要があると考えます。
そこで、郊外拠点間を結ぶ区部周辺部環状公共交通について、あらゆる可能性について検討を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
答弁1
東京都技監
区部周辺部環状公共交通についてでございます。
本路線は、国の交通政策審議会の答申におきまして、環状七号線及び八号線沿線地域間のアクセス利便性の向上が期待されております。
一方、同答申では、高額な事業費や事業性などに課題があり、需要等も見極めつつ、中量軌道等の導入の検討が行われることを期待などとされております。
このため、都及び関係九区で構成する連絡会におきまして、事業費や輸送力、コスト縮減策などについて、概略的な検討を行っております。
引き続き、本路線に関わる様々な課題につきまして、社会情勢の変化も踏まえながら、関係区と議論を重ねてまいります。
特別目的寄附金
質問1
都教育委員会は、応募倍率に課題を抱える進路多様校や工科高校に対する支援、進学指導に力を入れる高校の情報発信など、都立高校の魅力向上に取り組んできました。
都立学校の魅力を一層高めるためには、各校それぞれの主体的な取組を後押しすることが重要です。その一つの方策として、卒業生をはじめとして、都立高校を応援してくれる方々から様々な形で協力を得ることも考えられるのではないでしょうか。
昨年、千葉県では、県立学校チャレンジ応援基金が創設され、寄附した人の意向に従って、各学校の運営に充てられています。
都立学校の魅力を高めていくために、希望する都民の方などから支援を得られる仕組みを構築することも有効と考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
答弁1
教育長
都立学校に対する都民等からの支援についてのご質問にお答えをいたします。
都立学校がそれぞれの魅力を高めていく上で、地域の住民や卒業生などからの協力や支援を確保する視点は重要でございます。
都教育委員会では、地域の住民や学校に係る団体から寄附を受け入れ、教育に関する事業の実施に活用を図っております。
また、各都立学校では、同窓会や卒業生から記念となる芸術作品などを受け、校内で展示をしております。
今後、学校の魅力をより一層高め、生徒の学びやその様々な活動の環境を充実させるための取組を地域や卒業生等と協力して進める方法について研究をいたします。
悪質商法対策
質問1
家庭を訪問し、屋根などの点検を申し出て、不必要もしくは法外な価格の工事で費用をだまし取るという悪質商法に関連した相談が、都内の消費生活センターに年間七百件程度寄せられています。悪質な手口が次から次へと現れ、誰もが消費者トラブルに巻き込まれる状況です。
私の地元葛飾区では、悪質商法にだまされないよう、地元在住の漫画家平松伸二先生に描いていただいたイラストを使って、注意、啓発を展開しています。
都民の安全・安心な暮らしの実現のために、消費者トラブルの未然防止に向けた的確な情報発信が必要だと考えますが、都の取組について伺います。
答弁1
生活文化スポーツ局長
消費者被害の防止に向けた情報発信についてお答えいたします。
社会の急速なデジタル化や消費者の生活スタイルの多様化を背景に、悪質事業者の手口が巧妙化する中、都内の消費生活センターに寄せられる相談は、年間約十三万件と高い水準で推移しております。
都は、ホームページ、SNS、情報誌での注意喚起のほか、電車内や繁華街等、人の集まる場所での動画放映やイベント、講座の開催など、様々な方法によりまして情報を発信しております。
消費者被害防止のためには、必要な情報を的確に届けることが重要であり、トラブルの内容や若者、高齢者など消費者の属性等に応じて、学校や地域とも連携し、より効果的な発信を行ってまいります。
ギャンブル依存症対策
質問1
依存症は、進行性の疾患であり、アルコールや薬物といった依存性のある物質の摂取を繰り返すことで、自分でコントロールが利かなくなってしまう物質依存と、特定の行為や過程に必要以上に熱中し、のめり込むプロセス依存とがあります。どちらも適切に治療しなければ、本人だけではなく、家族や周りの人を巻き込む結果にもなりかねません。
今年の第二回定例会における我が会派の代表質問に対し、依存症専門医療機関の拡充に向けて取り組んでいくとの答弁がありました。
都は、依存症の医療提供体制の整備に向け、どのような取組を行っているのか伺います。
答弁1
福祉局長
依存症の医療提供体制に関するご質問にお答えいたします。
都はこれまで、アルコール、ギャンブル、薬物それぞれの依存症について、継続的な治療に取り組む専門医療機関と、治療に加え医療従事者向けの研修や、症例検討を通じて地域の医療機関とノウハウの共有などを行う治療拠点機関を選定しまして、適切な医療を受けられる体制の整備を進めてまいりました。
今月一日には、薬物及びギャンブル依存症の専門医療機関を新たに一か所ずつ選定しまして、体制の拡充を図りました。
今後、専門医療機関等と一般診療科や精神保健福祉センターとの連携や関係機関とのネットワーク構築をさらに進めまして、依存症患者への切れ目ない支援につなげてまいります。
小笠原航空路
質問1
小笠原諸島は、延宝三年に長崎の嶋谷市左衛門という人物が、江戸幕府の命を受け、父島、母島を調査、探検したことが根拠の一つとなり、日本の領土と認められることにつながりました。
来年はこの嶋谷市左衛門の調査から三百五十年の節目の年に当たり、小笠原村では、その功績をたたえ、後世に残す事業を検討していると聞いています。小笠原村だけでなく、都や国にとっても重要な意義があり、都も村と連携して取り組んでいただきたいと要望するものであります。
国境離島を有し、日本の排他的経済水域の約三割という広大な海域をカバーする小笠原諸島に人が住み続け、生活を営み続けることは、日本の領土、領海を守ることに直結します。島民生活の安定や安心・安全という観点からも、小笠原航空路の開設は最重要課題です。
このたび、小笠原航空路の候補機材の一つであるATR42-600Sについて、製造メーカーより開発中止の発表がありましたが、航空路の開設に向けて、都はどのように検討を前に進めていくのか見解を伺って、私の質問を終わります。
答弁1
総務局長
小笠原航空路についてのご質問にお答えをいたします。
航空路の開設は、島民生活の安定と国境離島である小笠原諸島の自立的発展、さらに住民の安心・安全を守るという観点からも極めて重要でございます。
このたび、候補となる航空機の一つであるATR42-600Sについて、メーカーより開発中止の発表がありました。世界自然遺産である小笠原では、貴重な自然環境の保全との両立が不可欠であります。このため、一千メートル以下の滑走路で運用可能な機体であるAW609の詳細な機体性能の情報収集や技術開発の進展も踏まえた他の機体に関する調査を引き続き進め、貴重な自然環境と調和した実現可能な航空路案につなげてまいります。