保育料無償化第1子まで広げよ
全都民を対象に物価高騰対策を

物価高騰対策

質問1
 去る十一月十五日、三笠宮崇仁親王妃百合子様が薨去されました。謹んで哀悼の意を表します。

 去る十一月二十四日、名誉都民、堀田力氏がご逝去されました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 都議会公明党を代表して質問します。

 初めに、物価高騰対策について質問します。

 都は、都議会公明党の緊急要望を受け、第三回定例会において、三百七十七億円の補正予算を組み、医療施設、介護施設などに対し、電気代等の物価高騰への支援を実施しています。しかし、都民生活は長引く物価高騰の影響を強く受け続けています。

 こうした状況を踏まえ、都議会公明党は、先日行われた各会計決算特別委員会の全局質疑で、令和五年度からの繰越金など、あらゆる財源を活用し、さらなる物価高騰対策の実施を改めて求めたところです。

 今や低所得者に限らず、多くの都民が疲弊しており、全ての都民を対象にした物価高騰対策を実施すべきと考えます。見解を求めます。

答弁1
財務局長
 物価高騰対策に関するご質問にお答えいたします。

 都は、当初予算において、セーフティーネット支援や賃上げに向けた取組など、重層的な対策を講じております。

 さらに、さきの定例会における補正予算におきましても、LPガスを利用する家庭等の負担軽減に加え、消費を下支えし、経済の好循環につなげるキャンペーンの実施など、都民生活等の支援に向けて対策の強化を図ってまいりました。

 今後も国の経済対策等の動向などを踏まえながら、物価高騰対策を検討してまいります。

質問2
 次に、中小企業制度融資における物価高騰対策について質問します。

 国は物価高騰対策として、融資のための信用保証制度を十二月に改正し、制度融資の対象を拡大したと聞いています。

 具体的には、売上高が増加しても原価が高騰しているために、営業利益率が前年同期より二〇%以上減少している事業者を対象に追加するとのことです。ただし、対象事業は、全体で約千百五十業種あるうちの五百十五業種に限定されています。国の制度では、資材が高騰しても請負金額の変更を認めてもらえない民間工事を請け負っている建設業は、対象になりません。

 そこで、都の制度においてはこれらの事業者も対象にし、かつ融資金額も拡大させるなど、物価高騰に対応した中小企業融資制度にしていくべきだと考えます。見解を求めます。

答弁2
産業労働局長
 中小企業への資金繰り支援についてでございます。

 物価高騰などで事業活動に影響を受けている中小企業が経営の状況に応じて円滑に資金調達できる環境づくりは不可欠でございます。都はこれまで、原油や石油製品の仕入価格の上昇により、経費負担が増加している事業者に対し、制度融資により資金繰りを支援しております。

 今般、国は資材価格の高騰などに直面する事業者を支援するため制度改正をしておりまして、都もこうした動きにしっかりと対応するとともに、多くの資金を必要とするそれ以外の業種の事業者につきましても活用できるよう検討してまいります。

 これらにより、中小企業の経営の安定を支援してまいります。

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子ども・子育て支援

質問1
 次に、子育て施策について伺います。

 まず、子供政策のさらなる推進について質問します。

 本年三月、子供政策連携室が実施する中高生海外派遣事業において、東京の子供たちがアイルランドを訪問しました。五月に開かれた東京都こども未来会議での発表では、アイルランドでは、不登校を問題として意識されていなかった、不登校の場合の受皿が用意されておりネガティブなイメージがないなど、日本での不登校問題とは異なった状況に対する率直な感想が述べられました。

 文化や制度の違いはあるものの、子供を取り巻く政策課題は、発想を変えれば全く違った見方になり、これまでの常識にとらわれることなく、新たな取組にチャレンジしていくことが重要であると考えます。

 そこで、チルドレンファースト社会実現に向け、海外の先進事例や知見を積極的に取り入れ、子供政策をさらに充実強化していくべきと考えます。見解を求めます。

答弁1
子供政策連携室長
 子供政策のさらなる充実についてでございますが、子供目線の取組を徹底し、世界の潮流を捉えながら、政策をバージョンアップするため、従来の枠組みにとらわれない幅広い視点で、先進的な子供政策を展開しております。

 幼保共通のすくわくプログラムや今年度立ち上げた学校の居心地向上検証プロジェクトなどは、海外事例の調査研究を端緒にスタートした取組でございます。

 また、年明けには、十五程度の海外都市の子供政策の実務責任者を招聘し、国際会議を初開催するとともに、来年夏には、海外の子供政策先進都市の子供と都内の子供が一堂に会するシンポジウムを開催いたします。

 今後とも、海外の先進事例の知見を積極的に取り入れ、子供政策の強化を図ってまいります。

質問2
 次に、第一子の保育料無償化と東京都版こども誰でも通園制度による多様な他者との関わりの機会創出事業について質問します。

 この事業は、親の就労の有無にかかわらず、子供を保育所などで受け入れ、集団保育により子供の育ちを支えるものです。多様な他者との関わり創出事業について、都議会公明党の提案で、都は今年度から、第二子以降の利用料の無償化を開始しました。

 保育料の第一子の無償化については、さきの第三回定例会の都議会公明党の代表質問において、都は具体的に検討していくと答弁しましたが、その検討状況を明らかにするとともに、東京都版こども誰でも通園制度である多様な他者との関わりの機会創出事業についても無償化を第一子まで広げて、来年度から実施すべきと考えます。知事の見解を求めます。

答弁2
知事
 保育料等の無償化についてのご質問です。

 子供たちの健やかな育ちのためには、発達の早い段階から同年齢や異年齢の子供など、多様な他者と関わる中で、様々な学びや経験ができる環境を整えることが必要でございます。

 このため、都は、保護者の就労等の有無にかかわらず、多様な他者との関わりの機会を創出するため、保育所等で児童を定期的に預かる取組を実施しておりまして、保育料と同様、第二子以降の負担額を無償化いたしております。

 保育料無償化の第一子への対象拡大につきましては、保育料の改定時期に合わせまして、令和七年九月からの開始を目指し、検討を加速してまいります。

 事業内容につきましては、多様な他者との関わりの機会創出事業の利用者負担も含めまして、第二子無償化と同様の内容を念頭に検討してまいります。

質問3
 第二回定例会の代表質問において、都議会公明党は、集団での生活が難しく、保育所などに通うことができない医療的ケア児や障害児などの育ちの支援について質問しました。その際、当事者の声を聞くなどにより、実情を把握していくとの答弁がありました。

 保育所などに通うことが難しい子供たちのための育ちを支援すべきと考えます。見解を求めます。

答弁3
福祉局長
 医療的ケア児等の育ちの支援についてでございますが、都は、集団での生活が難しく、保育所などに通うことが困難な医療的ケア児等の実情を把握するため、今年度、区市町村に対してアンケート調査を実施いたしました。三十自治体で、保育所などに入園できなかった事例があることを把握いたしました。

 また、医療的ケア児の相談機関や支援を行う事業者にヒアリングを実施いたしまして、看護師に加え、保育士などとの関わりが子供の育ちを豊かにするなどの意見をお聞きいたしました。

 今後、こうした調査結果などを踏まえまして、集団での生活が難しい医療的ケア児等の育ちの支援について検討してまいります。

質問4
 次に、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援について質問します。

 国において、令和四年度から、経済支援と伴走型相談支援を開始しました。都においては、都議会公明党が推進してきた都独自の出産・子育て応援事業と国の経済支援を組み合わせ、専用ウェブサイトを通じて、カタログから育児用品や子育て支援サービスなどを提供する仕組みを広域的に展開し、実施してきました。

 来年度から国は、妊娠時、出産後にそれぞれ五万円の現金支給を考えているとのことですが、都としても国の動きも踏まえつつ、出産、子育て事業をさらに充実させていくべきと考えます。見解を求めます。

答弁4
福祉局長
 東京都出産・子育て応援事業についてでございますが、都は、子供を産み育てる家庭を社会全体で後押しするため、国の出産・子育て応援交付金も活用しまして、妊婦や子供が生まれた家庭に対し、妊娠時五万円分、出産後十万円分の育児用品や子育て支援サービスなどを提供しております。

 本事業では、都独自のスキームにより、区市町村と連携しまして、妊娠時、出産後の各段階で保健師などの面談を受けることを要件として、相談支援と経済的支援を一体的に行っております。来年四月から、国制度は現金給付が原則となる予定でございまして、都は、実施主体となる区市町村と連携しまして、妊産婦などへの支援のさらなる充実に向け、事業スキームを具体的に検討してまいります。

質問5
 とうきょうママパパ応援事業では、産後鬱の早期発見につながる産婦健診事業や産後ケア事業に取り組む区市町村を財政支援してきました。しかし、産後ケア事業は、令和六年度の時限つきとなっています。産後ケアは重要であり、事業の継続はもとより、都議会公明党が求めてきたどの地域でも産後ケアが受けられる体制整備の充実を図っていく必要があります。

 産婦健診事業は実施している自治体が少ないことから、実施が進むよう、補助率のアップや妊婦健診と同様に都内共通受診券が使用できる仕組みづくりを着実に進めていくべきです。

 一方、家事育児サポーター派遣事業では、産後を対象としていますが、妊娠中はつわりなどで体調が優れないときや、上の子供も育てている場合などもあり、妊娠時期のサポーター派遣も必要ではないかと考えます。

 そこで、とうきょうママパパ応援事業をグレードアップさせ、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援のさらなる充実を図っていくべきです。併せて見解を求めます。

答弁5
福祉局長
 とうきょうママパパ応援事業についてでございますが、都は平成二十七年度から、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援体制を整備する区市町村を支援しておりまして、令和二年度からは、とうきょうママパパ応援事業として、子育て家庭に家事育児サポーターを派遣する事業を開始するなど、取組の充実を図っております。

 また、本事業では産後ケアを推進するため、実施主体である区市町村に対しまして、運営費補助の全額、施設等整備費補助の半額を支援するとともに、産婦健康診査の健診費用の半額についても支援しております。

 今後、妊産婦などが必要な支援を妊娠期から着実に受けられるよう、取組をさらに進めてまいります。

質問6
 次に、若者、子育て世代へのアフォーダブル住宅の提供について質問します。

 今や東京の都心部においては、海外からの投資などにより、マンションや戸建ての住宅価格が高騰し、庶民には手の届かないところまで来ています。その結果、所得が低い若者や子供が生まれて少しでも広いスペースを確保したい子育て家庭においては、近隣の埼玉県や千葉県に移住するという傾向にあります。

 こういった状況を解決する一つの手段として、アフォーダブル住宅を提供していくことが有効です。アフォーダブル住宅とは、住宅確保困難者に対して、リーズナブルな家賃、具体的には、住宅家賃が収入の三〇%以下で提供される住宅のことをいいます。

 既に名古屋市において、民間の力で資金を調達し、母子家庭に対して相場より三割安い家賃で提供されています。先日、都議会公明党も視察をし、その有効性を確認してきました。ただ、民間の力だけで実施しているため、資金力に限界があり、提供する数が限られています。

 そこで、東京都と民間が一体となって、若者や子育て世帯に対して、アフォーダブル住宅を提供する仕組みを構築していくべきと考えます。知事の見解を求めます。

答弁6
知事
 若者、子育て世代への住宅の提供についてでございます。

 子供の健やかな成長や笑顔あふれる生活を実現するためには、安心して快適に子育てできる住宅の確保が必要でございます。

 都はこれまで、結婚予定者や若年夫婦、子育て世帯の都営住宅への優先的な入居や、安全が確保され、快適な間取りや設備を備えた東京こどもすくすく住宅の普及促進等の取組を進めてまいりました。

 現在、国内外の様々な事例につきましても調査をするなど、副知事を筆頭とした体制で、民間活力を生かした住みやすいアフォーダブル住宅の検討を進めております。

 今後とも、チルドレンファーストの社会の実現に向けまして、若い方々や子育て世代が住みやすい環境の形成に取り組んでまいります。

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若者施策

質問1
 次に、若者、女性施策について伺います。

 初めに、若者政策について質問します。

 東京都こども基本条例は、十八歳以上を機械的に対象外とするのではなく、必要に応じて施策の対象とする範囲を定めることとしており、都においては、ヤングケアラーへの支援など、様々な施策において既に条例の趣旨を踏まえ、柔軟に対応しています。

 また、子供・若者計画の策定に当たっては、都議会公明党の主張を受け、若者部会を設置し、若者の声を聞く仕組みの検討に向けて、一歩踏み込んだことは前進であると思います。

 令和五年第四回定例会において、都議会公明党の提案を受け、都は、若者に対する支援について、政策企画局が中心となり、庁内横串を刺して各局横断で施策の強化を図っていくとの答弁がありました。今後、この考え方を体制面から具現化すべきと考えます。知事の見解を求めます。

答弁1
知事
 若者政策についてでございます。

 施策の立案に当たりましては、若者が置かれた様々な状況を踏まえながら、若者の参画の後押しや悩み、課題への相談支援など、幅広い施策を連携して展開することが重要でございます。

 そのため、子供から学生など成人への移行期に当たる年代を含めまして、切れ目のない支援を構築していくことが重要です。

 都はこれまで、若者の意見を取り入れる取組や様々な困難を抱える若者に対する支援策につきまして、庁内横断で検討しまして施策を強化してまいりました。

 今後、若者施策を切れ目なく、かつ機動的に推進するため、体制面を含めまして様々な観点から検討を進めてまいります。

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女性活躍

質問1
 次に、女性活躍基本条例について質問します。

 今定例会の所信表明で小池知事から、我が国の女性活躍の転換点となるような条例の制定に向け、検討を進めているとの力強い発言がありました。女性登用の拡大に向け、働きやすい職場づくりに取り組む企業がある一方、女性を受け入れる環境が十分に整っていない企業などが依然として存在している現状があります。

 特に女性が少ない業界では、希望する仕事で働きたいとの強い意思を持って入社しても、施設や制度の整備などが整っておらず、十分な活躍ができない事例もあると聞いています。

 各企業にこうした課題と向き合い、女性が活躍できる環境を整えるよう求めることを条例に盛り込むべきと考えます。知事の見解を求めます。

答弁1
知事
 女性活躍の推進についてでございます。

 社会経済が目まぐるしく変化する中、豊かで持続可能な社会をつくるためには多様性が重要でございまして、女性の力を一層生かすことが不可欠でございます。とりわけ、女性が少ない業種や意思決定層に女性を増やしていくことが必要です。

 都は、女性リーダーの育成や専門スキルを高めるための支援を行うとともに、企業での女性専用設備の導入や、女性特有の健康課題に対応する環境整備の後押し等に取り組んでまいりました。

 さらに、女性の幅広い分野への参画を加速させるため、女性が従事できる職域の拡大やキャリア形成の強化等につきまして、有識者から成る検討部会において幅広く議論しております。

 今後、検討部会での議論を踏まえまして、女性一人一人が持てる力を最大限発揮できる社会を実現してまいります。

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教育施策

質問1
 次に、教育施策について伺います。

 まず、教員の負担軽減について質問します。

 昨今の学校では、長時間勤務で健康を害し、休職や離職する教員が増えるなど、教員の働き方改革が急務の課題になっています。その中で、学校現場の教職員から上がっている要望の一つが事務の簡素化、合理化です。

 例えば、区市町村によっては、教員の出退勤や休暇の管理がデジタル化されておらず、いまだに紙や印鑑で行われており、デジタル化に合わせた事務の簡素化、合理化が必要です。

 また、デジタル化されていても自治体によってシステムが違い、都教育委員会採用の教職員を管理するには、かえって事務が煩雑になっており、システムの共通化などが必要であります。

 こうした課題の解決に向け、管理のデジタル化やシステムの共通化が必要と考えます。見解を求めます。

答弁1
教育長
 デジタルの活用による教員の働き方改革についてでございますが、学校での働き方改革を進める上で、教員の業務の効率化につながるデジタルの活用を図ることは不可欠でございます。

 都教育委員会は、都立学校の教員の出退勤等の手続の負担を減らすシステムを導入しております。一方で、こうしたシステムに関し、公立の小中学校では導入が進んでいない場合もございます。デジタルの活用を増やすとともに、教員がほかの自治体の学校に異動をしても、共通のシステムを使える環境づくりを進める視点は重要となります。

 このため、中長期的なシステムの共通化を見据えながら、各自治体の状況を正確に把握し、その内容を出退勤等の管理の仕組みのデジタル化の推進に結びつけてまいります。

質問2
 次に、教育現場における歩行訓練士の活用について質問します。

 視覚障害者が日常生活及び社会生活を安全かつ自由に送るためには、この分野唯一の専門職である歩行訓練士による生活歩行訓練が不可欠です。特に、視覚障害のある児童生徒が安全に歩行する力を身につけ、社会参加するには、幼少期からの指導の積み上げが重要であり、歩行訓練士資格のある教員が盲学校などに配置されていれば大きな効果があると確信します。

 一方、歩行訓練士の養成機関は全国に二か所しかないことに加え、養成プログラムを修了するには原則二年を要することから、視覚障害特別支援学校の教員が本資格を取得することは事実上困難であると聞いています。

 このような背景の下、今年十月、都議会公明党の議員が、全国盲学校PTA連合会による厚生労働大臣への歩行訓練士の養成推進などを求める要望書の提出をサポートし、同行しました。

 都立盲学校においても、歩行訓練士の活用により、教員が専門的な指導や助言をできるようにしていくべきと考えます。教育長の見解を求めます。

答弁2
教育長
 都立盲学校における歩行訓練士の活用についてでございますが、視覚障害のある児童や生徒が安全で安心して学校に通い、日々の暮らしを送ることのできるようサポートを行うことは重要でございます。

 これまで都立の四つの盲学校では、視覚に障害のある中で日常生活を円滑に行うための様々な指導や支援を行ってまいりました。このうち二校には、歩行訓練士の資格を持つ教員もおり、他の教員に対し、様々な知識や技能などを提供し、助言も行っているところでございます。

 今後、都教育委員会は、盲学校における教員へのよりきめ細かな指導を行うため、歩行訓練士の資格を持つ外部の人材の活用について検討をいたします。

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福祉施策

質問1
 次に、福祉、高齢者施策について伺います。

 初めに、シルバーパスの充実について質問します。

 高齢者がいつまでもお元気でご活躍いただくために、シルバーパスの果たす役割は重要です。第三回定例会代表質問で、都議会公明党は、現行制度になって二十五年が経過しており、高齢者の社会参加を促進する観点から、シルバーパス制度を抜本的に見直すべきと提案しました。

 令和七年度予算要求で福祉局は、利便性向上のためにICカード化を要求していますが、こうしたツールも活用しながらシルバーパス制度を改善すべきと考えます。見直しに当たっては、まずは利用者負担額の大幅な引下げを速やかに行い、より多くの高齢者にシルバーパスを利用してもらえるように改善すべきです。知事の見解を求めます。

答弁1
知事
 シルバーパスについてのお尋ねです。

 シルバーパス制度は、現在の制度となりましてから四半世紀が経過し、平均寿命、健康寿命の延伸や交通事情の変化、地域における移動手段の多様化など、本事業をめぐる環境は大きく変化をしております。

 このような状況の変化を踏まえまして、現在、アクティブな長寿社会の実現を目指しまして、高齢者の社会参加に加え、福祉、まちづくりなど高齢者施策全体を総合的に議論しております。

 こうした議論の中で、シルバーパスにつきましても、高齢者の社会参加を支える事業といたしまして、利用者負担も含め、制度の改善につきまして検討を深めてまいります。

質問2
 次に、居住支援特別手当について質問します。

 昨年の第四回定例会で、都議会公明党は、今後の介護職員の不足が見込まれる中、その要因が極端な介護職の低賃金にあるとして、都独自の手当の支給で支援を行うよう提案をしました。都は今年度、居住支援特別手当を創設したことを高く評価するものです。事業者や介護職の方々から、来年度も引き続き実施してもらいたいとの声をいただいています。

 そこで、今年度から開始した介護職員、介護支援専門員や福祉職員の居住支援特別手当について現在の実施状況を伺うとともに、来年度も継続して実施し、より多くの事業者に活用いただけるよう働きかけていくべきと考えます。見解を求めます。

答弁2
福祉局長
 居住支援特別手当についてでございますが、都は今年度から、国が介護報酬等の必要な見直しを講じるまでの間、介護職員や介護支援専門員などを対象に居住支援特別手当を支給する事業者を支援しております。

 事業の実施に当たりましては、説明会やチラシによる周知、専用のコールセンターによるきめ細かな問合せ対応などを行っておりまして、現在、介護分野では千七百五十事業者に対して約百十七億円、障害分野では約千九十事業者に対して約三十五億円を交付しております。

 今後、介護人材等の確保、定着に向けまして、事業者を引き続き支援するとともに、区市町村や事業者団体等と連携しまして、事業の一層の周知を図るなど、取組を進めてまいります。

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医療施策

質問1
 次に、医療施策について質問します。

 初めに、地域医療を存続させるための民間病院に対する財政支援について質問します。

 新型コロナウイルス感染症が感染症法上の五類に移行し、平時の状況に戻るとされた病院経営は、むしろコロナ禍より悪化してきています。背景には、コロナ禍を機に患者の受診行動が変わったことや、賃金の引上げや資機材の高騰があります。

 福祉医療機構の調査によると、特に東京都の一般病院の過半数が赤字になってきています。東京都の場合は、診療報酬が全国一律のため、人件費や資機材がほかの地域よりも割高となり、どうしても経営赤字に陥る病院が増加してきています。

 二〇二五年には、団塊の世代が後期高齢者となっていく中、このままでは地域医療が崩壊する可能性があると医療界からいわれています。後期高齢者の急増が目前に迫っている中、民間病院が高齢者を確実に受け入れる体制を確保するなど、東京の医療提供体制の維持に向け取り組むべきと考えます。見解を求めます。

答弁1
保健医療局長
 地域医療の確保についてでございますが、都は、医療提供体制の確保や物価高騰対策に取り組みますほか、先般、国に対し、大都市の地域特性や現下の物価高騰を踏まえた診療報酬の改善などの緊急要望を改めて行いました。

 都内の救急告示医療機関が減少傾向にある中、介助などで人手を要する高齢者の救急搬送の増加や東京ルール事案が高止まりしております。救急外来や病棟での高齢者等の確実な受入れや看護師等の離職防止、老朽化した病院の建て替えなど、ソフト、ハード両面から、将来にわたって地域医療を提供できるよう取り組むことが重要でございます。

 今後、都内の地域医療体制の確保に向け、さらなる取組について検討を進めてまいります。

質問2
 次に、都立病院への粒子線治療施設の整備について質問します。

 都議会公明党の政策目標、チャレンジエイトの中で、都立病院への粒子線治療施設導入を掲げました。

 これまで、都議会公明党は、山形大学医学部東日本重粒子センターや筑波大学附属病院陽子線治療センターなどを視察した上で、本会議、予算特別委員会などで質疑を重ねてきました。

 粒子線治療には、重粒子線治療と陽子線治療がありますが、都は、陽子線治療が小児がんに適し、重粒子線治療に比べて症例も多く、エビデンスに基づいた治療がしやすいことから、陽子線治療を都立病院に導入することに至りました。

 都の都立病院粒子線治療施設整備計画を受け、都議会公明党は早期の供用開始を求め、本年の予算特別委員会において、令和十二年度の運用開始を目指していくとの答弁がありました。

 令和十二年度の運用開始に向け、早期かつ着実に施設整備を進めるべきと考えます。見解を求めます。

答弁2
保健医療局長
 都立駒込病院の陽子線治療施設の整備についてでございますが、都立病院機構では、本年十月に入札公告を行い、来年五月の落札者決定に向け事業者選定を進めております。

 施設の設計、建設、治療装置の調達などを一括で発注することで早期の運用開始が期待できるため、デザインビルド方式を採用しております。

 事業者の選定は、総合評価一般競争入札により行い、学識経験者などで構成する審査委員会におきまして、治療装置の性能や安定稼働への工夫などを審査し、品質の確保を図ってまいります。

 多くの患者に対し、早期に陽子線治療を提供できますよう着実に整備を進めてまいります。

質問3
 また、陽子線治療を着実かつ安定的に都民に対し提供していくためには、患者への治療を担う人材の確保や育成など人員体制の整備も併せて進めていく必要があり、小児から高齢者まで幅広くがん患者に医療提供を行うための体制整備について検討を進めていくことが重要です。見解を求めます。

答弁3
保健医療局長
 陽子線治療の提供についてでございますが、施設を安定的に稼働するには、陽子線治療に知見がある放射線治療医や医学物理士、放射線技師、看護師など専門人材の確保、育成が重要でございます。

 また、小児から高齢者まで幅広く陽子線治療を提供するため、入院時の療養環境の整備や、小児がん拠点病院である小児総合医療センターとの連携などの体制づくりも必要でございます。

 このため、今後、都立病院機構におきまして、都や病院などで構成する委員会を立ち上げ、陽子線治療を適切に提供できるよう検討を重ねるなど準備を進めてまいります。

質問4
 次に、都立病院における不妊治療について質問します。

 令和四年度から不妊治療の保険適用が拡大されたことを受け、都議会公明党は、都民に身近な都立病院こそ都民ニーズに対応すべきと繰り返し求めてまいりました。

 その結果、これまで五つの都立病院で相談窓口が開設され、周産期医療や女性医療に強みがある都立大塚病院で、体外受精や顕微受精等の生殖補助医療、地域の医療機関では対応困難な内科疾患等を有する合併症患者にも対応することなどが表明されました。今年度は、培養室等の整備に向けた設計を行うなど、不妊治療に対する取組が着実に進められています。

 知事は、所信表明で、都立病院での不妊治療を令和七年度を目途に開始すると明らかにしました。望む人の誰もが子供を産み育てられる社会の実現に寄与するため、都立病院での具体的な取組について見解を求めます。

答弁4
保健医療局長
 都立大塚病院の不妊治療についてでございますが、大塚病院では、令和七年度を目途に開始する体外受精や顕微授精などの生殖補助医療の準備を進めております。

 具体的には、採卵室や培養室など不妊治療外来エリアの患者のプライバシーに配慮した設計や生殖医療専門医や胚培養士などの確保に向けた調整、職員向けの研修などを実施しております。

 医療開始後は患者の希望に応じ、五か所の都立病院の不妊治療相談窓口から大塚病院の検査、治療につなげるほか、民間医療機関等とも連携しながら分娩や分娩前後のケアなどにも切れ目なく対応することで、望む人誰もが子供を産み育てられる社会の実現に貢献してまいります。

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防災施策

質問1
 次に、防災対策について伺います。

 初めに、地域の防災力向上について質問します。

 都内では、集合住宅に居住している方が多く、都は、地域の防災力向上を見据え、今年度から町会、自治会とマンションが合同で防災訓練を行う際の支援を実施しています。

 しかし、現在の支援は管理組合が組織されている分譲マンションのみが町会の連携先とされており、自治会や管理組合などの組織がない集合住宅や都営住宅などはカバーされていません。

 そこで、それらの集合住宅とも連携を強化し、地域の防災力をさらに高めていくべきと考えます。見解を求めます。

答弁1
生活文化スポーツ局長
 地域の防災に向けた連携の強化についてでございますが、地震や風水害など、いざというときに備えて地域住民が助け合える関係を持つことは重要であり、都は今年度、町会と分譲マンションの合同防災訓練をきっかけに、地域のつながりの構築や強化を進める事業を開始いたしました。

 十八の町会と二十五のマンションから申請があり、防災訓練を実施した町会などからは、ふだん顔を見かけない方とも訓練できて有意義だった、マンションとのつながりができてよかったといった声がございました。

 今後は、町会と分譲マンション以外の集合住宅との連携について検討し、より多くの地域で住民の関係強化が進むよう、事業のさらなる活用を図ってまいります。

質問2
 次に、災害用トイレについて質問します。

 都議会公明党は、第三回定例会の代表質問で、能登地震の被災地ではトイレトレーラーや循環型トイレが活躍した事例を挙げ、都や基礎自治体が災害に備え様々な種類のトイレ対策を計画的に取り組むことの重要性を指摘し、各自治体が地域特性に応じて災害用トイレの確保に取り組んでいけるよう、都の支援を求めました。

 これに対し、都は、計画策定に取り組んでいるとした上で、区市町村が災害用トイレを適切に配備できるよう、地域特性に応じて、必要となるトイレの量や種類などを検討しており、その計画を年度内に取りまとめ、発災時にも衛生的なトイレを安心して利用できるよう、区市町村の取組を支援していくと答弁しました。

 災害用トイレの確保に向けた都の区市町村支援の検討状況について答弁を求めます。

答弁2
総務局長
 災害時のトイレ対策に係る区市町村支援についてのご質問にお答え申し上げます。

 大規模災害時には、ライフラインの被害に伴うトイレの衛生環境の悪化により、健康への影響が懸念されるため、災害用トイレを適切に確保することは重要でございます。

 このため、都は現在、災害時のトイレ環境の向上に向けた計画策定を進めております。本計画は区市町村がトイレ確保を進める指針となるため、地域の実情に応じて必要となるトイレの量や種類について調査を行いました。

 この結果などを踏まえ、被害想定や発災直後、復旧期など、それぞれの段階に応じて、区市町村が実効性のあるトイレ環境の確保に取り組めるよう、さらに検討を進めてまいります。

質問3
 次に、木造密集地域の不燃化対策について質問します。

 都は、防災都市づくり推進計画に基づき、整備地域において不燃化を推進してきました。整備地域の不燃領域率は不燃化特区制度の取組などにより改善されてきましたが、都内には約八千六百ヘクタールもの木密地域があり、震災時における建物の延焼や倒壊などの被害が懸念されることから、さらに不燃化を促進していくことが重要であると考えます。

 そこで、防災都市づくり推進計画基本方針の改定に当たっては、令和七年度に終了予定の不燃化特区制度の継続をはじめ、木密地域における不燃化の取組を強化すべきと考えます。見解を求めます。

答弁3
東京都技監
 木密地域の不燃化の推進についてでございます。

 都は、不燃化特区制度等を活用し、老朽建築物の建て替えや除却を支援することなどにより、木密地域の防災性を着実に向上させてまいりました。首都直下地震の切迫性が指摘される中、都民の生命と財産を守るためには、燃えない、燃え広がらないまちづくりをさらに強化していく必要がございます。

 そのため、不燃化特区制度の活用の在り方や整備地域外の木密地域における支援など、不燃化促進に向けた方策を検討しております。

 この結果を、年度末に改定いたします防災都市づくり推進計画の基本方針に反映し、木密地域の解消を加速してまいります。

質問4
 次に、液状化対策について質問します。

 都が令和四年五月に公表した被害想定では、液状化による建物被害が都内で約一万一千件生じることが示されています。液状化対策を進めるには、こうした既存住宅への取組が重要ですが、現在では既存住宅への有効性が認められる技術認定工法がなく、都民が安心して対策に踏み切ることができない状況です。

 これに対し、都は、第一回定例会での都議会公明党の代表質問で、既存住宅の液状化対策を推進するため、工法認定の取得に向けた事業者などへの支援を実施していくとの答弁がありました。そして、都は先月、技術などを有する業界団体などとコンソーシアムを設立しました。

 そこで、このコンソーシアムを活用しながら、都民が安心して使える工法を確立し、既存住宅の液状化対策を推進すべきと考えます。見解を求めます。

答弁4
東京都技監
 既存住宅の液状化対策についてでございます。

 既存住宅の場合、工事スペースや施工方法に制約があることから、有効な工法を確立し、活用促進を図ることが重要でございます。

 このため、都は、今月から事業者に対して、工法の有効性を検証するための費用や、第三者機関の認定取得に必要な手数料への助成を新たに開始いたしました。

 今後、既存住宅向けの工法を有するコンソーシアムの構成員に対し、認定の取得を促してまいります。

 また、認定された工法をコンソーシアムを通じて広く周知し、工法の普及を図るなど、既存住宅の液状化対策を推進してまいります。

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産業労働政策

質問1
 次に、カスタマー・ハラスメント防止条例について質問します。

 第三回定例会で、全国初となるカスハラ防止条例が制定されました。カスハラ対策は、加害者と被害者の両者を発生させないことが大前提ですが、発生した場合には丁寧に事実確認をすることが必要となります。その際に役立つのが録音、録画による記録の保全です。

 例えば、車載カメラは、交通事故の状況の記録だけでなく、閉ざされた車内でのトラブルを記録するツールとして既に多く活用されており、タクシー事業者のカスハラ防止対策としても認識が高まっています。

 しかし、利用者に一人で対応しなければならない業態はタクシーに限りません。訪問介護や訪問診療、家事支援サービスなどの現場も密室で対応することが多く、ハラスメント防止対策は急務となっており、利用者やご家族との会話を記録し、事後に確認できる体制を取ることは働き手の安心感にもつながります。

 こうしたエッセンシャル事業の担い手は、NPOなど様々な形態があり、対策に十分な経費をかけられない状況も考慮する必要があります。

 都は、介護や訪問看護などカスハラに直面した際に頼る人がいない現場であっても、効果的な対策が進むよう促すとともに、経営体力の乏しい中小の様々な形態の事業者が、録音や録画などによる防止対策を現場に導入する際の支援も講ずるべきです。見解を求めます。

答弁1
産業労働局長
 カスタマーハラスメントの防止についてでございます。

 訪問介護や看護など、複数人で顧客対応することが難しい現場を含め、あらゆる現場で防止対策が進むよう後押しすることは重要でございます。

 都は、条例を解説する指針及び団体向け共通マニュアルにおきまして、現場従事者が一人である場合に効果がある対策を示すとともに、録音や録画の重要性も啓発してまいります。

 また、正しい知識のもとで防止対策が進むよう、条例に基づく適切な対応策と併せて設備等を導入した中小企業へのインセンティブも検討してまいります。

 これらによりまして、規模や経営形態を問わず、様々な現場に広く防止条例が浸透するよう促してまいります。

質問2
 次に、都内の就労困難者に向けた新たな対策について質問します。

 就労の状況に不満や不安を抱えながらも、日々の生活と仕事の両立に追われ、ハローワークなどに出かける余裕を持たないといった声や、長期間の未就労や何度も離職を繰り返している場合などでは、就労あっせん機関に出かける意欲を持てないとの声が聞かれます。

 こうした状況を踏まえ、都は、都議会公明党の要望に応えて、自宅や地域での就労支援を女性に重点を置いて強化し、令和六年度から本格的に実施しています。

 一方、都内では、昨今の物価高を受け、身近な場所での就労相談を必要とする潜在的なニーズが女性に限らず急激に高まっています。

 都は今後、例えば、都営住宅の集会所や団地周辺の施設などを活用して、気軽に利用できる出張型の就労相談事業を幅広く展開し、望ましい就労を通じて生活力の強化を図ろうとする都民を男女を問わず、積極的に応援していくべきと考えます。見解を求めます。

答弁2
産業労働局長
 出張型就労支援についてでございます。

 安定した就労を実現して生活力を向上させたい方が、より負担の少ない方法で就職活動ができるよう支援することは必要でございます。

 都は、再就職を目指す女性などを対象に、自宅でのオンラインによるサポートや、地元企業との交流会などを実施しております。また、今年度、ひとり親などの女性を対象に、生活相談等を組み合わせた出張型の就労支援を都内各所で展開してございます。

 今後、こうした取組を踏まえまして、都営住宅や地域の集会所などで、男女問わず就労に課題を抱えます様々な方が支援を受けられる効果的な方策を検討してまいります。

質問3
 次に、路線バス運転手の確保について質問します。

 近年、運転手不足を背景としたバス路線の廃止や運行回数の削減といった事例が顕在化しています。全国的に大型二種免許保有者の高齢化と新規取得者の減少が進行しています。

 警察庁の運転免許統計二〇二三年版によれば、大型二種免許保有者の八四・二%が五十代以上です。厚生労働省の二〇二三年賃金構造基本統計調査によれば、全労働者の平均年齢が四十三・四歳であるのに対し、バス運転手の平均年齢は五十三・九歳です。

 こうした状況の中で、大型二種免許保有者の確保、増加に向けては、賃金増加や労働時間の短縮など、労働条件の改善、多様な勤務体系や女性専用の休憩施設などの整備、スキルアップによるメリットなど、キャリア形成の見える化などが重要です。

 都としても、運転手確保に向けた運輸業界の取組を積極的に支援する施策について、迅速に取り組むべきと考えます。見解を求めます。

答弁3
東京都技監
 バスの運転士不足への対応についてでございます。

 バス事業におきましては、運転士不足が深刻化しており、多角的な対策を早急に検討していくことが重要でございます。

 都はこれまで、事業を取り巻く様々な課題や対策の方向性につきまして、国との意見交換を重ねてきており、さきの政府提案要求では、バス運転士の労働力確保や負担軽減に向けた支援の充実を新たに要求いたしました。

 事業者が参画する連絡会議等においても、パートタイムの運転士の活用拡大やキャッシュレス化などDXを活用した運転士への支援について意見交換を実施いたしました。

 引き続き、国や事業者と緊密に連携し、運転士確保に向けた対策を検討するなど、積極的に取り組んでまいります。

質問4
 都営バスの運転手は五十代以上の職員が約半数に及び、今後十年余りで退職してしまう見込みであり、採用についても、今年の選考において応募者数が二年前と比べて四割ほど落ち込んでいると聞いており、今後、都営バスにおいても大幅な減便に直面することが懸念されます。

 都営バスは、多くの都民が身近に利用できる社会インフラであり、運転手の確保に努め、東京の公営交通としてできる限りの輸送サービスを提供していくことが重要です。

 そこで、都営バスにおいても、運転手確保の取組をさらに強化していくべきと考えます。見解を求めます。

答弁4
交通局長
 バス乗務員確保の取組についてでございます。

 都営バスは地域の身近な公共交通機関であり、今後も重要な役割を担っていく必要があると認識しております。

 交通局ではこれまで、大型二種免許の未取得者を対象とした養成型選考の導入や、採用時の年齢要件の緩和などに取り組んでまいりましたが、近年、応募者が大幅に減少しており、乗務員の確保が急速に困難となっております。

 このため、養成型選考による採用者数の拡大や短時間勤務の導入による交通局OBなどの活用、働きやすい職場環境の整備など、応募者の裾野拡大や離職防止に向けて人材確保策を強化していくとともに、関係局や業界団体などと連携して、国にさらなる支援を働きかけてまいります。

質問5
 次に、貸切バスの燃料費支援についてです。

 都においては、都議会公明党の強い要望を受けて、中小貨物運送事業者、乗合バス事業者及び中小タクシー事業者に対する燃料費の支援を行っています。

 一方で、貸切バス事業者については依然として対象外ですが、貸切バスは、観光、児童生徒や企業従業員の送迎など、多くの役割を担っています。

 都民生活や都内経済と密接に関わっている貸切バスについても、燃料費の支援が必要であると考えます。見解を求めます。

答弁5
東京都技監
 貸切バスに対する燃料費支援についてでございます。

 貸切バスは、福祉施設、病院への送迎や、観光やイベント等の経済活動など、都民生活の様々な場面において利用されております。現在取り組んでいる燃料支援につきましては、都民生活において果たす役割や価格転嫁の困難性等を踏まえ、貨物運送事業者、路線定期運行バス事業者及びタクシー事業者を対象として実施しているところでございます。

 今後の運輸事業者への支援に当たりましては、燃料価格の動向や都民生活との関わり等を踏まえ、貸切バスについても必要な対応を検討してまいります。

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都市機能の向上

質問1
 次に、快適なまちづくりについて伺います。

 初めに、エスカレーターの安全利用について質問します。

 エスカレーターの安全利用は大変重要な取組ですが、エスカレーター上を歩くことが習慣化されているのが現状です。エスカレーター上を駆け上がった人が、エスカレーター上で止まっている人への接触により転倒事故に発展することもあります。

 都内では、左側に立ち、右側を歩くという習慣がありますが、けがや障害などにより、左側に立つことができず、右側に立つことでエスカレーターを安全に利用できる方がいます。

 愛知県名古屋市では、二〇二三年十月一日に、エスカレーターの安全な利用の促進に関する条例が施行され、エスカレーターの利用者は、右側か左側かを問わず、エスカレーターのステップに立ち止まらなければならないとしています。また、エスカレーターの管理者等は、利用者に対して立ち止まった状態でエスカレーターを利用するよう周知しなければならないとしています。

 都議会公明党は、先日名古屋市で、この条例の下、AIを活用し、エスカレーター上の歩行者を検知し、注意喚起の声かけを行い、成果を上げている取組の視察を行いました。

 都としても、安全・安心な東京の実現に向け、エスカレーター利用に関する条例の策定を検討するとともに、安全で安心な対策を講じるべきと考えます。見解を求めます。

答弁1
生活文化スポーツ局長
 エスカレーターの安全利用についてでございますが、靴ひもがステップの隙間に挟まれたり、ベルトの引込み口にキャリーバッグが巻き込まれたりする事故の情報が寄せられたため、都は消費者注意情報として、ホームページなどで事例紹介や注意喚起を行ってまいりました。

 また、エスカレーターの上を歩行するとバランスを崩しやすく、他の利用者と接触するおそれもあり、エスカレーターの安全利用について一層呼びかけることが必要でございます。

 今後、東京都商品等安全対策協議会の場などにおいて、有識者や事業者、都民の意見などを聞き、実効性のある対策について関係各局とも連携しながら検討してまいります。

質問2
 次に、都議会公明党の政策目標、チャレンジエイトの一つであるホームドアの整備について質問します。

 ホームドアやエレベーターの整備など、鉄道駅のバリアフリー化は、高齢者や障害者だけでなく、全ての利用者にとって安全・安心の観点から重要です。

 特に、都立盲学校の最寄り駅について、都議会公明党は、生徒の安全確保と保護者の不安解消に向け、繰り返しホームドアの早期整備を求めてきました。

 小池知事も、ホームドアは都民の命を守る重要な設備であるとして、八月に整備の加速に向けた官民連携の協議会を設置し、検討を開始しました。

 ホームドアの整備には、国との連携や技術的な課題はもとより、財源の確保が重要です。

 都は、ホームドア設置に向けて、より踏み込んだ支援をすべきと考えます。見解を求めます。

答弁2
東京都技監
 ホームドア整備の加速についてでございます。

 ホームドアは、駅利用者の転落を防止し、かけがえのない人の命を守る重要な施設でございます。その整備には、官民が連携し、課題の解決に取り組むことが不可欠でございます。

 協議会では、通路幅の基準の運用等に対する国の考え方や対応事例を共有し、公有地の施工ヤードの活用について、区市への協力依頼、事業者への情報提供の開始を報告いたしました。補助制度につきましては、計画の見通しが立てやすくなることから、都による直接補助の要望がございました。

 引き続き、優先整備の考え方を踏まえた補助の重点化や工期とコストの縮減につながる対策などを検討し、ホームドア整備のさらなる加速を実現してまいります。

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安全対策

質問1
 次に、地域の安全対策について伺います。

 初めに、防犯対策について質問します。

 現在、ヤミバイトによる事件が相次いで発生し、社会に大きな不安と衝撃を与えています。昨年一月に発生した狛江市での九十歳女性の強盗殺人事件は、フィリピンから指示が出され、ヤミバイトによる犯罪であることが明らかになりました。

 この事件を受けて狛江市では、空き巣などの犯罪を未然に防止するために、狛江市内の住宅、店舗、事業所などにおいて、防犯カメラやモニター付インターホンの取付けなどの防犯対策を実施する住宅の所有者や管理組合などに、市が設置費用の一部を補助する制度を創設しました。現在、このような防犯対策補助金事業は、現在八自治体で実施しています。

 都は、地域の防犯力を高めるために、町会、自治会や商店会などの地域団体への防犯カメラ等の設置及び管理費用の補助事業を実施していますが、地域の安全・安心を向上させるためにも、個人住宅などへの防犯カメラやモニター付インターホンなどの防犯設備の補助を実施すべきと考えます。見解を求めます。

答弁1
生活文化スポーツ局生活安全担当局長
 いわゆるヤミバイトへの対策についてでございますが、若者がヤミバイトに巻き込まれないよう、都は、特設サイト等で危険性を呼びかけてまいりました。また、最近の加害者の低年齢化を踏まえ、十月からは新たに中学、高校を通じて啓発を行っており、今月には保護者層へも働きかけることとしております。

 一方で、被害を未然に防ぐため、一部の区市では、住まいへの防犯カメラの設置などを支援しております。都におきましても、自宅でできる防犯対策として、相手を確認できるカメラ付インターホンの設置などをホームページで紹介しております。

 今後、区市町村とも連携し、住民による防犯対策を支援する方策を検討してまいります。

質問2
 次に、公道の安全対策について質問します。

 外国人観光客の増加とともに公道カートの利用者が増加し、渋谷のスクランブル交差点やスカイツリーなどを巡るツアーが人気を博しています。

 一方で、信号無視などの交通ルール違反や衝突事故、複数台が隊列を組むことによって生じる騒音や、一般ドライバーへの走行への影響もあって、多くの苦情が上がっています。

 警視庁によると、昨年は通報や苦情が百件以上、事故が十二件、今年は五月までに既に十四件の事故が発生しています。

 カート事業者は、乗車前講習でビデオと口頭により交通ルールや運転操作を教えているとのことですが、一般社団法人国際免許情報センターによると、国が定めたルールを守っているのは六割ほどと聞いています。

 また、公道走行における規制緩和が行われた特定小型原動機付自転車、いわゆる電動キックボードについては、交通ルールを無視した無謀な運転や歩道走行における安全対策を守れない事例が多く見受けられ、規制強化や安全対策を求める声が多数寄せられています。

 そこで、公道カート及び電動キックボードの安全対策について、警視庁としての取締りや安全対策を強化すべきと考えます。警視総監の見解を求めます。

答弁2
警視総監
 いわゆる公道カート及び特定小型原動機付自転車についてでありますが、警視庁では、関係事業者に対し、安全指導や利用者の安全な利用に向けた申入れを行うとともに、いわゆる公道カートについては、関係機関が行う事業者に対する立入調査への協力、特定小型原動機付自転車については、利用者に対する安全教育やSNSを活用した情報発信を行うなど安全対策に取り組んでおります。

 また、これらの車両を含め、悪質、危険な違反行為に対しては厳正な取締りを実施しており、引き続き、交通ルールを守って安全に利用されるよう、これらの取組を推進してまいります。

 今後も安全で円滑な道路交通環境を確保するため、各種対策を一層推進してまいります。

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都営住宅における移動販売

質問1
 次に、都政の諸課題について質問します。

 初めに、都営住宅内の移動販売について質問します。

 都議会公明党が提案し、充実を求めてきた移動販売が好評であり、現在では十一区十一市一町、八十九団地で百十六の移動販売が実施されています。

 規模や頻度は様々でありますが、中には移動販売車に合わせて、団地自治会が敷地内にテントを設置し、居住者同士で会話を楽しんだりするほか、販売事業者がイベントを実施する事例も見受けられています。

 移動販売事業者の選定では、地元自治体が一定の役割を果たしています。高齢化や孤独化が進む都営団地であっても、その状況をよく理解する移動販売事業者が定期的に団地を訪れることによって、交流の機会が生まれ、コミュニティの活性化が始まっています。

 その意味で、移動販売事業は、買物難民対策の枠組みを超えた大きな成果につながっています。

 今後、都は、都営団地内の移動販売事業について、取組の好事例を様々な自治会に積極的に周知するとともに、より多くの区市町村と事業連携を進めて、移動販売事業のさらなる拡大を図るべきと考えます。見解を求めます。

答弁1
住宅政策本部長
 都営住宅における移動販売についてでございますが、移動販売サービスは、居住者の日常生活の利便性向上や地域コミュニティの活性化を図る上で重要でございます。

 都は今年度、移動販売を実施している団地自治会や事業者を対象として、区市町を通じたアンケート調査や三つの団地での現地取材を初めて行いました。

 今後、居住者や地域の方の交流の場となっている好事例や利用者の声を取りまとめ、年内にホームページなどで広く発信するとともに、区市町村の関係者会議等で周知をいたします。

 また、地元自治体と連携して、団地自治会や事業者にこれらの情報を提供し、取組の工夫、改善につなげてまいります。こうした取組によりまして、さらなる充実を図ってまいります。

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共生社会

質問1
 次に、共生社会の構築について質問します。

 東京二〇二〇パラリンピックや、来年のデフリンピック開催の機を捉え、都では障害者理解を進める取組を推進しています。

 しかし、聴覚に障害のある方から、筆談支援を依頼してもスムーズに対応してもらえない、聴覚障害者理解のため、耳マークがあるが、あまり周知されていないとの声を伺い、障害のある方々が安心して生活できる社会の構築に向けてはまだまだ課題が残ります。

 そこで、来年開催されるデフリンピックの機を捉え、全ての障害者のさらなる理解促進や、障害のある方々の生活に役立つ環境づくりなど、共生社会構築に向けた取組をさらに進めるべきと考えます。見解を求めます。

答弁1
福祉局長
 共生社会の実現に向けた取組についてでございますが、都は今年度、障害への理解促進を図るため、ファミリー層や若者が集まる商業施設で、デフアスリートを招いた啓発イベントを開催いたしまして、多くの方にご来場いただきました。

 また、視覚や聴覚に障害のある方にとって役立つ行政サービスの情報や、日常生活の困り事を解決する工夫を紹介するAIチャットボットを先月開設いたしました。

 今後、今年度開催したイベントの効果を検証いたしまして、会場やプログラムを工夫するほか、チャットボットに寄せられた利用者の投稿を随時反映させるなど、来年開催されるデフリンピックに向けまして、障害への理解促進と障害者に必要な情報発信が一層進むよう、積極的に取り組んでまいります。

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スポーツ施策

質問1
 次に、スポーツ観戦支援について質問します。

 来年、都内で実施される世界陸上とデフリンピックは、スポーツを通じて世界の平和を願い、多様性を認め合う社会への機運を高める意味で、青少年の健全育成につながる効果などが大きく期待されています。

 そのためにも、両大会については、次世代を担う子供たちへの観戦機会の提供が重要な課題であります。

 世界陸上の試合は、土日や夜間の開催が中心であり、学校教育を通じた推進が図りにくいことが予測されます。

 また、デフリンピックは、平日の昼間を通じた試合が多く、学校教育を通じた推進を図りやすいものの、試合会場への子供たちの安全な移動などが課題であります。

 都は、子供たちに対し、適切に両大会の競技観戦への環境を整え、安全に効果的な推進を図るべきです。加えて、都は、能登半島地震などの被災地の子供たちに対しても、両大会への観戦機会を積極的に提供していくべきと考えます。併せて知事の見解を求めます。

答弁1
知事
 世界陸上とデフリンピックの子供観戦についてでございます。

 世界陸上はトップアスリートの熱戦を間近で見ることができる絶好の機会であり、デフリンピックは障害のあるなしにかかわらず、互いに尊重し合う共生社会づくりに貢献するものでございます。両大会を観戦することはまたとない経験であり、子供たちが学び成長する貴重な機会となります。

 世界陸上では、子供たちが保護者と一緒に観戦できるよう検討いたします。また、デフリンピックでは教育関係者と連携しまして、観戦する競技や移動の方法などを調整してまいります。また、被災地の子供たちにも観戦機会を提供してまいります。

 未来を担う子供たちにとりまして、スポーツの魅力や可能性を体感できる大会となるよう着実に準備を進めてまいります。

質問2
 また、二〇二五年度の都予算に対する生活文化スポーツ局による予算要求では、実際の大会の運営経費が含まれていません。

 世界陸上は、チケット収入や協賛金収入をある程度期待できると聞いておりますが、デフリンピックは、チケット収入やスポンサー収入も世界陸上ほど集まらない可能性もあり、都による積極的な収入確保への支援が必要です。

 都はこの点において、開催当事者である全日本ろうあ連盟と、運営主体の一つである東京都スポーツ文化事業団とが安心して円滑に準備を進められるよう万全を期すべきです。

 世界陸上、デフリンピックともに、透明性を担保しつつ、大会後に追加の都負担が発生することのないよう、運営原資の確保に明確な目途を持てる計画的な予算立てを図るべきです。見解を求めます。

答弁2
生活文化スポーツ局長
 世界陸上とデフリンピックの運営についてでございますが、いずれの大会も、多くの方々の理解や協力を得ながら大会をつくり上げていくことが重要でございます。

 世界陸上では、大会の重要なパートナーとなるスポンサー募集について、世界陸上財団が公募、入札による直接販売方式を採用いたしまして、透明性の高い取組を行っております。

 デフリンピックでは、様々な方の参画を得ながら、円滑な大会運営に向けた準備を進めておりまして、個人や企業などから寄附、協賛などを受け付けております。

 都としましても、国に必要な支援を要望するとともに、予算面も含め、大会運営組織の準備が進むようサポートし、適切に管理をしてまいります。

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芸術文化施策

質問1
 次に、芸術文化振興について質問します。

 二〇三〇年度を目指し計画された東京文化戦略二〇三〇が策定されて間もなく三年が経過します。この間、都議会公明党が求めていた芸術文化活動に対するサポート体制の構築について、昨年十月に東京芸術文化相談サポートセンターが開設されました。

 芸術と文化の薫る東京の魅力を高めていくためにも、文化戦略を着実に具現化し、ますます芸術文化振興を推進していかねばなりません。

 そのために、重要な課題の一つが、東京の芸術文化の要となる拠点の整備であり、都議会公明党は一昨年の予算特別委員会でも要望してまいりました。

 首都東京にふさわしい、国内外に向けた東京の芸術文化の発信と創造の拠点整備を加速度を増して検討していくべきと考えます。見解を求めます。

答弁1
生活文化スポーツ局長
 東京の芸術文化の拠点についてでございますが、東京のアートの多様な魅力を国内外に発信するためには、人材や情報が集積し交流による新たな創造を生み出す機能を備えた拠点が必要でございます。

 このため、東京文化戦略二〇三〇では、最先端のアートショーケースやイノベーション創出の場となる交流発信拠点の構築を掲げてございます。拠点形成に向けて、アーティストへの支援やビジネスなどの異分野との連携など、将来導入する機能へとつながる事業を進めてまいります。

 今年度は、有識者等へのヒアリングも行っておりまして、東京芸術文化評議会等での議論も踏まえ、今後の方向性を検討してまいります。

質問2
 公明党は二〇一四年に、我が国の文化芸術を全ての人々のために、世界の文化の発展のためにと題する提言を当時の菅官房長官に提出いたしました。この提言の柱の一つが障害者の文化芸術推進のための基盤整備であります。

 都議会公明党は、本年の予算特別委員会総括質疑で、聴覚障害者が芸術文化を楽しめる取組や芸術文化団体の情報保障の推進について質問しました。東京二〇二五デフリンピック大会の開催まで一年を切り、共生社会の構築に向けてさらなる取組を進めていかねばなりません。

 障害のある方も分け隔てなく芸術文化に親しみ楽しめる環境をつくるために、民間によるアクセシビリティーの向上の取組を一層進め、障害のある方の鑑賞の機会を充実すべきと考えます。知事の見解を求めます。

答弁2
知事
 芸術文化におけるアクセシビリティーの向上についてでございます。

 障害の有無にかかわらず、誰もが芸術文化に親しめる環境を整えることは重要です。

 都はこれまで、都立文化施設等におきまして、手話通訳や音声ガイドなど、鑑賞をサポートするための様々な取組を行ってまいりました。今年度は、この取組を民間に広げるための助成制度を創設いたしまして、多くの公演などで活用されております。

 芸術文化は人々に喜びや感動をもたらすものであり、豊かな生活の源泉でもございます。

 来年はデフリンピック開催の年でございます。ろう者と聴者が協働して制作する舞台などのアートプロジェクトも展開いたします。鑑賞のサポートを実施する公演の情報も発信しまして、より多くの方に東京の芸術文化に触れていただけますよう、アクセシビリティーの向上を推し進めてまいります。

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環境政策

質問1
 最後に、洋上風力発電について質問します。

 都は、二〇五〇年ゼロエミッション東京の実現に向けて、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた取組を推進しています。

 CO2の削減は、エネルギーの源を石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料からいかに脱却するかが重要です。

 知事は先日、アゼルバイジャンで開催されたCOP29において、伊豆諸島の海域でギガワット級の浮体式洋上風力の導入を目指していくと発言されました。

 今回の発表に際し、都は、この海域のポテンシャルの調査や地元関係者への理解促進などを進めていると聞いています。エネルギーの大消費地である東京で、大規模な脱炭素電源を確保することは極めて重要です。

 ギガワット級の浮体式洋上風力を導入する効果について、知事の見解を求め、質問を終わります。

答弁1
知事
 洋上風力を導入する効果についてのお尋ねがございました。

 洋上風力発電は、国におきましても再生可能エネルギーの基幹エネルギー化に向けました切り札と位置づけられておりまして、エネルギーの大消費地である都が導入を進めていくことは重要です。

 現在、国際的には水深が浅い海域での着床式の導入が進んでおりますが、浮体式という新たな技術を活用することで、伊豆諸島のような水深が深い海域での導入が可能となりました。

 伊豆諸島の海域は、日本屈指の好風況でありまして、一ギガワットの洋上風力の導入によって、約九十万世帯の年間使用電力量に値する発電量を見込んでおります。こうした大規模設備の建設や管理に必要な人材の育成に加えまして、新たな雇用の創出にもつなげてまいります。

 今後とも、ゼロエミッション東京の実現に向けまして、地元自治体等と連携しながら、洋上風力の導入に全力で取り組んでまいります。

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