出産・子ども・子育て政策
質問1
初めに、三笠宮崇仁親王妃百合子殿下におかれましては、去る十一月十五日、薨去されました。ここに衷心より哀悼の意を表します。
また、十一月二十四日にご逝去された名誉都民の堀田力さんのご冥福を心よりお祈りいたします。
先日の報道によれば、今年の日本の出生数は過去最低を記録し、史上初の七十万人を割る見込みとなっています。二〇一六年に百万人を割ってから、出生数は加速度的に減っており、次々と少子化担当大臣は生まれても、子供は減り続けるという皮肉な現象が起きています。
また、人口減少による慢性的な労働力不足も課題です。中小企業の人手不足倒産なども発生しており、分野を超えた総合的な対策と雇用就業政策の構造的な見直しが求められています。
また、首都東京の最大のリスクである災害対策、つまり首都防衛にも一層力を入れていかなければなりません。元日に発生した能登半島地震を教訓に、都の防災施策を総点検し、来年度予算に向けたバージョンアップが必要です。
危機的状況の中、今、東京富裕論をはじめとした地方と都市の関係が大きく議論をされています。しかし、本当の意味での共存共栄とは、それぞれの地域が厳しい現実から目を背けることなく創意工夫を実行し、切磋琢磨していくことにほかなりません。
これまで当たり前とされてきた働き方や価値観、行政サービスの在り方も大きく変え、東京から新たなモデルをつくり、日本を牽引していく、こうした未来の実現に向けて、私たち都民ファーストの会東京都議団は、東京発の地域政党として、都民のニーズに耳を澄まし、変化を恐れずに改革を実行することをお誓いし、質問に入ります。
まず、チルドレンファースト社会の実現についてです。
少子化が進む理由の一つが子育て、教育の経済的負担です。賃金は上がらないのに物価は上がる、不安定な時代の中、これから結婚、出産を控える若者たちにとって、子育てはリスクという認識も広がっています。この流れを変えるために、小池知事と私たちが進めてきたのは、子育て、教育にお金のかからない東京の実現です。所得制限のない十万円の出産支援や保育料第二子無償化、月五千円の〇一八サポートなど、真に異次元の少子化対策の充実によって、子育て、教育施策はこの八年間で大きく前に進みました。
このたび、小池知事が三期目の公約に保育料第一子の無償化を掲げ、さきの定例会で、私たちも知事の早期公約実現に向けた取組を求めました。
所得制限なく全ての家庭をこの対象にすることに加え、都独自の制度である認証保育所や企業主導型保育施設など認可外保育施設も含め、来年度から実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
なお、保育料第一子無償化によるニーズの増大で待機児童が発生することのないよう、区市町村の需給状況に応じた対策を適宜講じるとともに、保育の質の維持にも取り組むことを求めます。
答弁1
知事
保育料の無償化についてのご質問がございました。
私は、未来の担い手を大切に育むチルドレンファーストの社会の実現を目指しまして、子育て支援の充実に全力で取り組んでまいりました。
所得にかかわらず全ての子供を対象とした〇一八サポートを国に先駆け実施するとともに、認可保育所や認証保育所等を対象に、都独自に第二子の保育料を無償化しております。
こうした施策を一歩先に進めて、保育料の第一子無償化について、保育料の改定時期に合わせまして、令和七年九月からの開始を目指し、検討を加速してまいります。
事業内容につきましては、認証保育所等の取扱いも含めまして、第二子無償化と同様の内容を念頭に、検討してまいります。
質問2
また、子育て世代の都民からの歓迎の声が多いのは出産応援事業です。十万円分の様々な子育て用品をカタログから選べる事業となっており、こうした支援は国にも広がりました。その後、拡充を重ね、現在は産前産後、国と都合わせて二十二万円分の支援となっておりますが、来年度から国の出産・子育て応援交付金が現金を原則とする妊婦のための支援給付となる見込みとなっています。
東京都出産応援事業については、今後も子育て支援サービスや育児用品などをこれまでと同じように提供していくべきと考えますが、見解を伺います。
答弁2
福祉局長
東京都出産・子育て応援事業についてでございますが、都は、子供を産み育てる家庭を社会全体で後押しするため、東京都出産・子育て応援事業を実施しております。
本事業では、国の出産・子育て応援交付金も活用し、妊娠時五万円分、出産後十万円分の育児用品などを提供しておりまして、千点超の品物から選択する仕組みとなっております。
利用した都民へのアンケートでは、九六%が本事業に満足しており、子供に必要なものを選べた、都からの後押しを実感したなどの声が寄せられております。
都は、こうした都民の声も踏まえまして、これまでの仕組みを生かし、子育て家庭への支援のさらなる充実に向け、事業スキームを具体的に検討してまいります。
質問3
小池知事の下、子育て支援が充実し、今や東京で暮らす子育て世代の六割が子育て環境に満足をしていると答えるようになりました。こうした流れを、子供を持つことにちゅうちょする若者世代にポジティブに伝え、自らも東京で子育てができるという安心感に変えることが重要です。
私自身、結婚や出産、子育てを通じて人生が豊かになったという声をしばしば伺います。よって、私たちの求めに応じ、今年度、大学生を対象に、職場見学に加え、実際に子育て家庭を訪問する事業が実施されていることを評価いたします。
一方で、SNSなどでは子供を育てることの大変さばかりが発信、拡散される傾向にあることから、こうした情報の偏りへの対策も必要です。
都民が結婚、出産、子育てに対してポジティブな気持ちが持てるよう、情報を正しく伝えていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
答弁3
知事
少子化対策についてでございます。
少子化の要因は複合的でございますため、私は、結婚や妊娠、出産、子育てといったライフステージごとに、都民が真に必要とする施策をスピード感を持ってシームレスに展開してまいりました。
一方で、ネガティブな情報により、結婚や子育てをリスクと捉える若年層が存在しており、都の充実した支援策を知ってもらうことで、安心感を醸成していくことは重要でございます。
このため、若年層が抱える悩みや困り事などのリアルな声を丁寧に把握しまして、SNSを戦略的に活用するなど当事者目線を徹底しまして、若年層に必要な情報が届く広報を強化してまいります。
今後とも、都民一人一人の思いに寄り添って、都民の共感を得られる施策を幅広く展開し、望む人の結婚、出産、子育てを後押ししてまいります。
質問4
国内には、早産や極低出生体重児により、ドナーミルクを必要としている赤ちゃんが年間約五千人います。そんな赤ちゃんたちは、母乳よりも粉ミルクで育てたときの方が壊死性腸炎になる確率が高いことが分かっています。そのため、母乳バンクが精力的な活動を行っていますが、十分な供給量が確保されているとはいえません。私たちは、母乳バンク施設を二回視察し、政策提言も行ってきました。
今年八月には、私たちの求めに応じ、都は、都内の産婦人科などに母乳バンク団体が作成した啓発チラシを配置し、メルマガで紹介したところ、母乳ドナーが急増したとのことです。先日、都がドナーミルクの利用料補助に乗り出す報道がされた際にも、私たちのもとには関係者から喜びの声が届いています。
極低出生体重児の命をつなぐ母乳バンクにおいて必要となるドナーを確保するとともに、医療機関におけるドナーミルクの使用が進むよう、都として支援すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
答弁4
知事
母乳バンクについてでございます。
早産児などにとりまして、母乳は命と成長のために必要なものであり、母親の母乳を得られない場合には、ドナーミルクの活用が推奨されています。
都は今年度、出産・子育て応援事業のメールマガジンなどを活用しまして、母乳バンクの普及啓発を実施しておりますが、ドナー登録やドナーミルクの使用に当たりまして、医療機関の負担が大きいため、都内で対応できる施設が限られております。
今後、さらなる普及啓発に取り組むとともに、ドナーの登録やドナーミルクの使用ができる施設を一層確保するための方策について検討してまいります。
質問5
私たちは、障害がある子もない子も、共に学び育つインクルーシブ社会の実現に向けた取組を進めています。障害の中でも近年特に増えているのは、発達障害の子供たちです。発達障害と診断される子供の数は、平成二十三年度からの十年間で倍以上に増加しているというデータもあり、私たちは昨年の第四回定例会で、発達障害の早期診断や支援の整備を都へ提案し、それを受け、都は今年、緊急対策事業が創設をされました。さらに、今月、こども家庭庁は、発達障害の可能性を見極めるのに有効な五歳児健診の実施一〇〇%を目指すと表明しています。
都は、今年度始めた区市町村における発達検査に関する実態把握と検査体制の充実に向けた緊急支援を強化するとともに、五歳児健診の取組も進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
答弁5
福祉局長
発達障害の検査体制と五歳児健診についてでございますが、都が今年度実施した実態調査では、支援を要する児童の増加に伴い、発達障害の検査までの待機期間の長期化や検査に携わる心理士等の専門人材の不足などの課題が確認されました。
また、検査体制の充実に向けた都の緊急支援事業を活用する区市町村からは、専門人材の配置を増やすことで、より多くのニーズに対応できたなどの報告を受けております。
一方、子供の個々の発達特性を早期に把握するには、五歳児健診の取組も重要でございまして、国は本年一月から、区市町村への補助を開始しております。
今後、都は、区市町村の発達検査の体制を強化するほか、五歳児健診の普及やフォローアップ体制の構築に向けた取組を推進してまいります。
質問6
発達障害と診断されても、適切な療育を行うことで、子供たちは大きく成長します。特に、早い段階から適切な療育につながることが重要であり、現在、認可保育所に児童発達支援事業所を併設し、保育と一体的に療育するいわゆるインクルーシブ保育が制度化されました。
しかしながら一方、認証保育所については、制度の制約があり保育所と児童発達支援事業所の併設は認められていません。認証保育所は、少人数できめ細かな保育を実施しており、当事者の受入れや保護者の対応などにも適しているはずです。
発達障害を含む障害児への支援が効果的に実施されるよう、認証保育所においてもインクルーシブ保育の取組を支援すべきと考えますが、見解を伺います。
答弁6
福祉局長
認証保育所におけるインクルーシブ保育についてでございますが、障害のある子とない子が共に学び、体験しながら、お互いに理解し合う機会を創出することは重要でございます。
国は、令和五年度から、児童発達支援事業所等と一体的な支援を行うインクルーシブ保育の実施を可能といたしましたが、対象施設は認可保育所等に限られております。
認証保育所に対しましては、都はこれまで、医療的ケア児の受入れや障害児保育の取組を支援しておりまして、今年度からは、発達障害など特別な配慮や支援を必要とする児童の受入れが一層進むよう、新たな補助も開始しております。
今後、認可保育所等と同様、認証保育所においてもインクルーシブ保育に取り組めるよう、環境整備に早急に取り組んでまいります。
教育政策
質問1
次に、次世代の東京を担う子供たちのための教育施策について伺います。
今年度から始まった高校授業料実質無償化によって、私立高校も含め、進路選択の幅が広がりました。
一方で、都立高校への入試の影響も想定されます。こうした状況を踏まえ、中学生や保護者が都立高校の特色や魅力を知ってもらえるよう、都としてもPRを強化する必要があります。
都教育委員会は、私たちの提案により、工科高校の魅力を伝えるPRイベント、工科高校ドリームフェスタを夏休みに開催しました。フェスタでは、ものづくりを体験するコーナーの設置や、在校生による自校の特色を紹介するステージイベントなどを実施し、多くの来場者があったと聞いています。
こうした取組も参考に、都立高校全体の多様な魅力を効果的に発信するための新たな取組を検討していくべきと考えますが、見解を伺います。
答弁1
教育長
都立高校の魅力を発信する取組についてでございますが、中学生が早い時期から進路について考え、希望に応じ都立高校を進学先として選択できるよう、様々な高校の特色や魅力を効果的に伝える取組は重要でございます。
都教育委員会は、全ての都立高校を紹介し進学につなげる合同説明会を秋口以降に開催をしてまいりました。これに加え、工科高校の魅力を紹介するイベントを七月に開催し、ものづくりを体験し、卒業生の話を聞き、著名人から製造業でのやりがいを学ぶ等の機会を提供しております。
今後は、こうした工科高校に係る発信の工夫等を踏まえまして、全ての都立高校の魅力を中学生に早くから、より幅広く紹介する取組を検討してまいります。
質問2
国の調査では、不登校児童生徒の数は過去最多となり、都も三万人を超えるなど、依然として歯止めがかかっていません。私たちは、不登校の子供たちの新たな学びの場として、フリースクールの支援拡充を提案、実現してきました。
一方、不登校の問題を考えるに当たっては、生きづらさを抱える子供はもちろんのこと、その背後で、日々不安や悩みを抱えながら、それでも必死に子供の育ちを支える保護者の存在を忘れてはなりません。保護者がフリースクールなどの不登校支援にアクセスしようとしても、まとまった情報がなく、支援につながらないという課題もあります。
困難に直面する子供たちに対する支援にとどまることなく、不安や悩みを抱える保護者にしっかりと目を向けていくべきと考えますが、見解を伺います。
答弁2
子供政策連携室長
不登校児童生徒の保護者への支援についてでございますが、学校生活になじめず、生きづらさを抱える子供はもとより、その保護者もまた不安や悩みを抱え苦しんでおられます。
利用者支援の際に実施しましたアンケートでは、約四割の保護者から、フリースクール等を探す際に十分に情報を収集できなかったとの回答があったほか、フリースクール等の情報以外にも、公的支援や相談窓口、進学に関することなど、様々な情報を求める保護者の実情が明らかになりました。
今後、こうした不安や悩みを抱える保護者が学校内外の不登校支援等に関する様々な情報を入手できる仕組みの構築に向けまして、リアルとバーチャルの両面から検討を進め、一人一人に寄り添った支援の充実を図ってまいります。
質問3
教育に関わる人材の確保と質の向上のため、教職の魅力を高める必要があります。その課題の一つが、長時間労働と給与体系です。
国では、給特法の見直しが行われている一方で、長時間労働については、私たちの求めに応じ、都は今年度より、民間コンサルを学校に派遣し、業務改革と意識改革を進めてきました。
在校時間を把握しつつ、この取組によって得られた課題と解決策について展開することで、全都立校、さらには都内学校の働き方改革を実現すべきと考えますが、見解を伺います。
答弁3
教育長
学校の働き方改革についてでございますが、学校の現場での働き方改革を実現する上で、様々な業務の内容を正確に把握し、教職員の負担を減らす効率的な仕事の進め方を確立することは重要でございます。
都教育委員会は、現在、四つの公立学校にコンサルタントを派遣し、業務の内容を分析し、教員が主体的に仕事の効率化を図るサポートを行っております。
今後、公立学校におきまして、コンサルタントを活用し、教職員の業務の改善に向けて、事務作業を学校外で集約する効率化の後押しをモデル的に行うことを検討いたします。
また、勤務時間の見える化を進め、教員が仕事を効率的に進める意識の向上にも力を入れてまいります。
質問4
特別支援大学の創設についてです。日本では、高校卒業後、八割以上が大学や専門学校などに進学し、その学び場の選択肢も多くあります。
一方、障害児にとっての進学は大きな壁があります。障害児は、学びのスピードがゆっくりなことから、高校卒業時点でもっと学びを継続したいと願う当事者や保護者は少なくありません。
しかし、現状では、高校卒業以降の進学の選択肢は極めて限られています。例えば、特別支援大学などを創設することで、障害のある人とない人が共に働き暮らすことができるインクルーシブな社会の実現に向けた大きな前進になります。
そのためにも、まずは特別支援学校を卒業した後の進路に関し、卒業生や保護者などのニーズや様々な仕組みをしっかりと把握すべきと考えますが、見解を伺います。
答弁4
教育長
特別支援学校を卒業した後の進路についてでございますが、特別支援学校を卒業する生徒が、障害の状態や能力のほか、自身の適性と意向等を踏まえて進路を選択することは重要でございます。
都立特別支援学校の高等部の卒業生は、昨年度、民間企業に就職をするほか、社会福祉施設に入り、就労に必要な技術や技能を学ぶ場合などが大半となっております。
こうした中、進路に関し、卒業生と在校生やその保護者の意向に加え、卒業後の自立と社会参加につながる進路の仕組みにつきまして、関係局と連携し、調査を実施いたします。
これにより把握した内容を踏まえまして、特別支援学校の卒業生の社会生活の充実に結びつけてまいります。
高齢化・高齢者対策
質問1
私たちは、シニアの方々が安心して地域で暮らしていくため、医療や介護の基盤整備を進めてきました。小池知事は、これまで一万一千人を超える介護の受皿を整備してきましたが、医療依存度が高いため受入れができず、入所できない高齢者の課題もあります。都の実態調査では、待機者が入所できない理由の九割超が医療依存度が高いからとなっており、高齢化によってニーズがさらに増大する中、受皿の整備と併せて、個別具体に必要なニーズに対応する体制整備が不可欠です。
医療依存度の高い高齢者に必要なのは、夜間救急時の医療的ニーズに応える体制です。当事者が住み慣れた地域で安心して暮らしていくために、二十四時間看護師が常駐できる体制づくりなどを進めるべきです。
特養などにおいて医療ニーズの高い方を受け入れるための体制を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
答弁1
福祉局長
高齢者施設における医療的ケア対応についてでございますが、介護保険制度では、特別養護老人ホームなどにおいて、医療ニーズの高い方の受入れや看護師の増配置などを行った場合に評価されるほか、令和八年度末までに、常時の相談などに対応する協力医療機関との連携体制の確保が義務づけられております。都は、特別養護老人ホームに対しまして、医師などの配置状況に応じた補助を独自に行うなど、医療対応の強化を支援しております。
今後、高齢化の進展に伴いまして、後期高齢者など、医療ニーズの高い方の増加が見込まれ、さらなる対応が求められます。
このため、高齢者施設の利用者の受入状況や医療機関との連携などの実態を把握しまして、必要な施策を検討してまいります。
質問2
人生百年時代、私たちは、健康寿命の延伸に向け、要介護度の維持改善に係る全国初の報奨金制度や、ヒアリングフレイル防止にもつながる補聴器補助の拡充、歩いた分だけインセンティブを付与する健康ポイント事業などを提案、実現してきました。
加えて重要なのは、オーラルフレイル対策です。口腔内環境の悪化は、認知症の進行につながることも指摘されており、何歳になっても食べる力を維持していくための支援強化が重要です。私たちの要望を受け、都は、デンタルグッズの配布など区市町村への支援を行っていますが、さらなる受診促進策が求められています。
例えば、長崎県では後期高齢者の歯科健診を毎年無料で受けることができます。こうした事例も参考に、後期高齢者のオーラルフレイル対策を推進するため、歯科健診の受診促進に向けたさらなる支援策を講じるべきと考えますが、見解を伺います。
答弁2
保健医療局長
後期高齢者のオーラルフレイル対策についてでございますが、口腔機能の低下は身体機能の低下に関わるとされており、高齢期における口腔機能の維持は重要でございます。
都は、歯科健診の定期的な受診や歯周病予防などの重要性に関する普及啓発を行っております。今年度からは、成人を対象とした歯科健診やその受診率向上に向けた区市町村の取組を支援しております。
後期高齢者につきましては、口腔機能の評価を含め、歯科健診を実施する区市町村へ補助を行う東京都後期高齢者医療広域連合と連携しながら、歯科健診のさらなる受診促進策を検討してまいります。
経済・産業・労働政策
質問1
次に、雇用経済対策について伺います。
民間調査によれば、二〇四〇年には、国内で一千百万人もの労働力が不足すると予想されています。労働力不足に対するあらゆる取組が必要であり、知事は第四回定例会の所信表明で、人が制度に合わせるのではなく、これからは人の生き方に制度を合わせると表明されました。都としても、育児や介護、高齢化など、どんなライフステージにあっても、働く意欲のある都民が活躍できる環境整備をさらに進めていくべきです。
特に、未活用のエネルギーとされているのは女性の力です。我が国の女性活躍は緒に就いたばかりであり、出産などのライフイベントで育児とキャリアの二者択一を迫られたり、家族のケアのために働く時間を削るのは、いまだに多くの場合が女性です。男女間の賃金格差も主要七か国で最も大きく、能力を正しく評価し、女性の手取りを増やす取組が求められています。
私たちは、こうした状況を是正していくことを都に求め、女性のリスキリングやキャリアアップの支援などが進んできており、都の調査では、今月、女性の正社員が二十一年ぶりに非正規社員の数を上回ったことも確認されました。
都は、女性が仕事を通じて力を発揮する流れを確かなものとするため、時短勤務でも管理職になれるなどの先進事例を中小企業に展開していくことによって、手取り収入を増やし、将来の安心にもつなげる取組を一層強力に推し進めていくべきであると考えますが、松本副知事の見解を伺います。
答弁1
松本副知事
女性の手取り収入を増やす取組についてのご質問にお答えいたします。
女性が仕事を通じて持てる力を存分に発揮し、経済的な自立や将来への安心を手に入れることができるよう、積極的に後押しすることは重要でございます。
都は、eラーニングによる訓練と専門家の助言を一体的に提供し、仕事の選択とキャリアの幅を広げる支援などに取り組んでおります。今年度は、パート入社の女性を部長に抜てきした企業などの優良事例の紹介や、短時間勤務者の役職への登用などと併せて男女間の賃金の差異を公表する企業に対し、奨励金を支給する取組も開始いたしました。
今後、様々な状況に応じ一層力を発揮できるよう、多様な正社員制度などの普及を図るとともに、そうした仕組みを取り入れる企業へのインセンティブなどを通じ、未来への原動力である女性の所得向上に力を入れてまいります。
質問2
国の調査では、親の介護を行いながら働くビジネスケアラーについて、男女ともに五十歳から五十四歳の層の割合が最も高くなっており、管理職や責任ある立場にある方も多いことが想定されます。よって、これらの世代の介護離職は、職場や社会にとって大きな損失となります。
来年は、団塊の世代全員が七十五歳以上となり、介護ニーズが増大する、いわゆる二〇二五年問題が現実のものとなります。介護離職を防ぐには介護休業の取得が重要ですが、実際には、職場の理解が得られず、やむなく退職するケースも少なくありません。
私たちは、昨年度、男性の育業促進に向け、代替要員の確保だけでなく、育業を支える同僚に対する支援を行うよう要望し、都は今年度から、育業取得した同僚に報奨金を支給する企業への支援を開始しました。
介護休暇についても、同僚を含めた職場全体で支える環境づくりに向けた後押しが必要と考えますが、知事の見解を伺います。
答弁2
知事
介護休業の取得に向けた支援についてでございます。
超高齢社会が進展する中、介護と仕事の両立は多くの方が直面する課題です。業務の中核を担う社員の方が介護によって離職を余儀なくされることは、企業にとっても重大な損失です。対応は待ったなしでございます。
都は、介護休業制度の充実などに取り組む中小企業等に対しまして、奨励金を支給しております。介護と仕事の両立に取り組む企業や従業員の体験談の紹介なども行っております。
今後、介護休業を取得する人の同僚の負担感を和らげる効果的な取組につきまして、支援を検討いたします。これにより、介護に直面した方も、それを支える側も、互いに気兼ねなく、職場全体で誰もが働き続けられる仕組みづくりを後押ししてまいります。
質問3
労働力不足に加え、経営者の高齢化も課題です。都内経済を支える中小企業の経営者の平均年齢は六十歳を超えており、事業承継を適切に行い、次代に経営のバトンを渡していかなければ、これまで培ってきた技術やノウハウが引き継がれず、東京の活力が失われることにもつながりかねません。
知事は、このたびの三期目の公約において、事業承継をより一層進めていくための新たな施策を打ち出しており、多くの経営者が期待しています。
中小企業の事業承継を支援し、東京の産業のさらなる発展に向けて取組を加速させるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
答弁3
知事
中小企業の事業承継についてのお尋ねがございました。
中小企業は、都内経済を牽引する原動力でございますが、その多くは後継者の確保などに悩み、事業承継に迫られています。
これまで相談窓口の設置やアウトリーチでの支援を展開いたしまして、円滑な承継を後押ししてまいりましたが、さらなる重層的な取組が必要です。
そこで、経営者が安心して事業の承継ができるTOKYO白馬の騎士ファンドを年明けに民間の出資も受けてつくり上げてまいります。
また、創業希望者と後継者が決まっていない企業をマッチングする仕組みづくりや、承継に必要な自社の価値を評価する際の負担の軽減、M&Aにより統合された企業が新たな事業を展開できるようなサポートにも力を入れてまいります。
これらにより、中小企業の事業承継を加速させ、持続可能な成長を実現させてまいります。
質問4
さらに、東京の経済を成長させるためには、中小企業が価格転嫁を促進し、従業員の賃金を引き上げ、消費行動を促す成長と分配の好循環をつくり出すことが重要です。
都はこれまで、中小企業の価格転嫁を後押しするため、アドバイザーを派遣し、原価管理の体制づくりを支援していますが、さらなる取組が必要です。
例えば、スタートアップが提供するオンライン指導やオンデマンド教材などの、時間や場所を選ばない方法で活用することで、中小企業のデジタル人材育成において大いに成果が上がっていると聞いています。加えて、給与や原価が将来的な経営に与える影響を試算できるAI等の技術を提供するスタートアップもあると聞いています。
こうしたスタートアップが持つ価格転嫁や賃上げに必要なコスト管理を、デジタル技術を活用して容易に行えるツールなど、中小企業にも使えるよう後押しするべきと考えますが、都の見解を伺います。
答弁4
産業労働局長
中小企業の価格転嫁等におけますスタートアップの活用についてでございます。
中小企業が適正な価格で取引を行い、賃上げにつなげていくためには、自社の経営に必要なコストを適切に把握することが重要でございます。
このため、都は、原価管理の手法を学べるセミナーを開催するとともに、アドバイザーが企業を訪問し、製品やサービスごとの原材料費や労務費などの計算をサポートしております。
今後は、都内中小企業が価格交渉などを効率的に行えるよう、AI等の革新的な技術を持つスタートアップ等と連携した支援策の拡充を検討してまいります。
質問5
私たちはこれまで、働く意欲を損なうカスタマーハラスメントに対する毅然とした対応を求めてきました。第三回定例会で全国初となる条例が成立して以来、カスタマーハラスメントへの関心は一層高まっています。
カスタマーハラスメントを未然に防止する対策の一つとして、録音や録画による記録の保全が挙げられます。一部自治体では、SNSへの投稿などから職員を守るため、施設内での録音、録画を禁止する対応も見られますが、録音、録画は、正しく運用されれば証拠として役立つのみならず、サービスを提供する側も受ける側も、冷静な態度を維持できるという効果も期待できます。
都は、カスハラの未然防止や事実確認に役立つ録音や録画などの対策が、自治体を含めた広い現場で導入されるよう取り組むとともに、こうした防止対策について、住民やお客様との良好なコミュニケーションを促すツールとして理解が得られるよう啓発していくべきと考えますが、見解を伺います。
答弁5
産業労働局長
カスタマーハラスメントの防止についてでございます。
条例により、自治体を含む幅広い現場で取組が浸透するよう後押しするとともに、条例の正しい運用を通じ、顧客等との良好な関係づくりを促すことは重要でございます。
都は、自治体や民間事業者が条例に基づき防止措置を講ずるための指針を作成することとしており、その中で事実を記録することを推奨してまいります。
今後、団体などに向けて年度内に作成する共通マニュアルにおきまして、未然防止策として、録音や録画の効果的な活用方法や、傾聴などの接客対応の重要性も伝えてまいります。また、録音などに必要な機器を導入する事業者の支援も検討するとともに、現場での正しい運用を促してまいります。
スタートアップ関連施策
質問1
東京の成長を牽引し、イノベーションの起爆剤となるのがスタートアップです。都は、スタートアップ支援の拠点としてTokyo Innovation Baseを整備していますが、かねてより私たちは、施策の精度を高めるため、利用者のステージや属性について明らかにすることを求めてきました。
例えば、北欧や東アジアでは、スタートアップがどこまで資金調達を受けているかが分かるキュレーションサイトを設置したり、国内民営のスタートアップ支援拠点では、スタートアップの成長段階やステータスに応じたフロアを設け、投資家やパートナー企業の交流や知識共有を活発化しています。
Tokyo Innovation Baseにおいても利用者のステータスを把握する仕組みを導入し、効果を確認しながら、利用者が求める事業を展開すべきと考えますが、見解を伺います。
答弁1
スタートアップ・国際金融都市戦略室長
スタートアップの成長段階に応じた支援についてでございますが、世界で活躍するスタートアップを生み出すには、シード期、レイター期など成長段階や直面する課題に応じた適切な対応が求められます。
現在、TIBでは二万人を超える方がアプリの利用者登録をしておりますが、こうした課題に応えるため、今後機能を強化し、事業領域や成長段階、それぞれが抱える課題などを登録できる仕組みを導入いたします。これにより把握したスタートアップの情報を活用して、個々のニーズに応じた支援を提供できるようにするとともに、成長の状況を継続的に把握し、特に有望な企業への支援を展開することで、世界に羽ばたくユニコーンの輩出につなげてまいります。
国際金融都市
質問1
不安定化する世界情勢や各国の税制変更などがあり、東京に拠点を構えたい世界の投資家や起業家が増える一方で、ハードルとなるのがインターナショナルスクールの不足です。
これに対し、都はこれまで、国家戦略特区を活用したインターナショナルスクールの整備を進めてきました。私たちの要望を受けて実施した誘致拡充の候補となるインターナショナルスクールの実態調査を踏まえ、具体的な支援スキームを検討し、整備につなげていくべきと考えますが、見解を伺います。
答弁1
スタートアップ・国際金融都市戦略室長
インターナショナルスクールについてでございますが、高度外国人材を呼び込むには、インターナショナルスクールなどの教育環境の充実が重要でございます。
これに向けた実態把握のため、都は先般、学校運営者や関係事業者、日本在住の外国人の方やそのご家族、外国企業、行政も交えたラウンドテーブルを開催いたしました。関係者からは、適地や事業協力者の確保などの課題が寄せられたほか、子供たちの長期休暇中の居場所づくりや地域との交流など、生活環境を含めた様々な課題について議論が交わされました。
今後、こうしたネットワークの強化を図るとともに、課題解決に向けた学校などへの効果的な支援方策を検討し、関係自治体や事業者などと連携した取組を進めてまいります。
デジタル化関連施策
質問1
労働力不足の救世主となり得るのが、AIなどの新たなテクノロジーの活用です。私たちは、生成AIなどの活用について、議会などで度々活用を提案し、それに応え、都は、職員の勉強会やアイデアソン、ガイドラインの整備をし、生成AIの活用を進めてきました。
十二月五日には、AIの第一人者である東京大学の松尾豊教授を座長に、世界から注目されるスタートアップ企業、Sakana AI共同創業者の伊藤錬氏などをメンバーとした東京都AI戦略会議を開催されました。
生成AIの技術は日進月歩で進んでおり、職員が生成AIを駆使するだけでなく、さらなる活用促進を進めていくことが重要です。専門家の英知も踏まえ、都は、将来を見据えてAIを活用した都民サービスの向上に取り組んでいくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
答弁1
知事
将来を見据えたAIの戦略的な活用についてであります。
都庁のDXを次のステージへと押し上げるためには、進化を続けるAIの徹底活用が不可欠でございます。
都は、まず、職員の業務効率化を加速させるため、GovTech東京の技術力で、全庁で活用できる生成AIプラットフォームを開発しております。来年度には、会計事務等から利用を開始し、職員の生産性向上を実現いたします。
次なる挑戦は、都民サービスの変革です。その実現に向けまして、このたび、日本のAI界を牽引する専門家から成る東京都AI戦略会議を設けたところでございます。
会議におきましては、効果的な行政分野でのAI活用やデジタル広聴の高度化、AIガバナンスなどに加えまして、都民サービスの革新につながるAI開発や人材育成についても多角的にご議論いただきます。
最先端の知見を基にいたしましてAI戦略を策定し、行政サービスのゲームチェンジャーとなり得るAI技術で、都民サービスを飛躍的に向上させてまいります。
質問2
都はこれまでも、こどもDXやユニバーサルコミュニケーションなど、人に寄り添うテクノロジーの活用を進めてきました。特にこどもDXについては、昨年十二月よりこどもDXプロジェクトを開始し、子育て世代の負担を軽減する様々なサービスを実現してきました。とりわけ十月三十一日にサービスを開始した保活ワンストップは、保護者の反響も多く、さらなる拡充を望む声があります。
さらに、子育て世代からは、出産に伴う様々な行政手続をデジタルで一元化してほしいという声も届いています。こどもDXを保活以外の様々なサービスで進め、子育て世代が便利になったと、実感につなげていくべきです。
そこで、保活ワンストップサービスのさらなる推進をはじめ、子供分野でワンストップの取組を広げていくべきと考えますが、見解を伺います。
答弁2
デジタルサービス局長
こどもDXのさらなる推進に関するご質問にお答えいたします。
子育てに係る様々な手続のワンストップ化を進め、子育て世代の利便性を飛躍的に高めることが重要でございます。
保活ワンストップにつきましては、十月に施設検索や見学予約などがオンラインで完結するサービスを三自治体で開始いたしました。約二百件の予約があり、情報収集が簡単、いつでも申し込めて便利などの声が寄せられております。今後は、保活開始前の相談や、保育園選びの参考となる指数シミュレーション機能の実装など、サービスの拡充を目指してまいります。
さらに、出産後に行う医療費助成や児童手当等各種手続の一元化に向けて取り組みます。
こうした取組を通じまして、便利になったと都民が実感できるサービスをオール東京で展開してまいります。
災害・防災対策
質問1
次に、防災対策について伺います。
今年は、能登半島地震を契機に、都の防災施策を総点検する一年となりました。私たちも地震発生直後より、能登半島地震PTを設置し、様々な提案を行ってきたところです。
能登半島地震では、輪島市の朝市通り周辺で大規模火災が発生しました。改めて、燃えないまちづくり、いわゆる延焼遮断や防災拠点などの機能を担う道路や公園などのインフラ整備を加速する必要があります。特に、都内には多数の木造密集地域が存在しており、首都直下地震などから都民の命を守るためのインフラ整備は待ったなしです。
防災都市づくり推進計画の基本方針の改定に当たっては、不燃化対策など防災上重要となるインフラ整備の推進に向け、取組を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
答弁1
東京都技監
防災都市づくりの推進についてでございます。
都は、木密地域において、特定整備路線の整備等による延焼遮断帯の形成や老朽建築物の除却、建て替え、建物の共同化など、市街地の不燃化を推進してまいりました。
輪島市の大規模火災は、国の報告書では、狭隘道路の閉塞や消火栓の断水等が延焼拡大の要因とされております。
こうした教訓などを踏まえて、震災時において緊急車両の通行路となる生活道路や、防災機能を備えた公園等の整備に対する助成制度の拡充を検討しております。
この検討結果を、今年度内に改定する防災都市づくり推進計画の基本方針に反映させ、東京の強靱化を進めてまいります。
質問2
九百万人が集合住宅に住む東京の特性に合わせ、私たちが進めてきたのがマンション防災です。都内にはマンションを含めて約十六万六千台ものエレベーターがあり、大規模地震発生時には、これらのエレベーターが止まり、中に閉じ込められる可能性もあります。万が一、閉じ込めが発生した場合に備え、十一月二十四日には災害時エレベーター対処訓練が行われ、小池知事も参加されました。
こうした訓練も踏まえ、マンションのエレベーター閉じ込め対策を一層強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
答弁2
知事
エレベーターの閉じ込めへの対策についてでございます。
東京には、約九百万人の都民がマンションなどで生活しておられ、大規模地震発生時のエレベーターの安全対策は極めて重要です。
先日、港区、江東区、品川区の区長と、エレベーターに閉じ込められた際の対処を実際に経験いたしまして、備えの重要性を改めて認識いたしました。
都はこれまで、マンション防災の普及啓発に加えまして、東京とどまるマンションの登録マンションを対象として、水や携帯トイレなどを収納する防災キャビネットの設置を支援してまいりました。
今後、東京とどまるマンションのさらなる登録促進を図るとともに、業界団体と連携いたしまして、地震時のリスク軽減に向け、閉じ込め防止装置の設置促進に一層取り組んでまいります。
エレベーターの閉じ込めへの対策を加速させて、都民の安全・安心を確保してまいります。
質問3
さらに、発災時に共助の要となるコミュニティづくりについては、私たちの要望に応え、都は、町会、自治会とマンション住民との合同訓練を支援する取組を今年度から始めてきました。今後は、町会、自治会の方々が積極的に参加ができるようなインセンティブを設けるなど、さらなる支援が求められています。
一人でも多くの住民がこの合同防災訓練に参加するよう支援を拡充すべきと考えますが、見解を伺います。
答弁3
生活文化スポーツ局長
町会とマンションが行う防災訓練への参加の促進についてでございますが、多くの都民がマンションなどの共同住宅に住んでいる実態があることから、都は、地域の防災力強化に向けて、町会とマンションによる合同防災訓練を支援しております。
この事業では、町会や管理組合が共同で訓練の計画を立て、チラシなどにより住民に参加を呼びかけております。地域の学校の協力を得て、参加者が百名を超える訓練もございましたが、中には数十人にとどまった事例もございました。
今後、より多くの方に参加いただけるよう、好事例集を作成し丁寧に周知を図るとともに、新たに都民へのインセンティブなども検討し、地域における助け合いの輪が広がるよう取り組んでまいります。
質問4
発災後の状況把握を目的に、都においてもICTを活用した災害情報システムの整備が進む中、私たちはこれまで、災害時における通信環境の確保が重要であると主張してきました。
能登半島の地震では、通信網が寸断され、携帯をはじめ通信サービスが使えない状況となり、都や通信事業者などが衛星通信であるスターリンクを提供するなどして支援しました。
私たちの求めもあり、都は、役所や災害拠点病院については電源の七十二時間化を進めており、通信環境についてもこれらと整合させるべきです。
災害時にもつながる東京の実現に向け、被災地内外との連絡や情報共有の手段として通信環境が確保できるよう、携帯電話基地局の強靱化を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
答弁4
知事
携帯電話基地局の強靱化についてでございます。
能登半島地震では、多くの携帯基地局が停電や通信回線の断線により停波し、初動対応に支障が生じました。モバイル通信は、様々な被災情報の収集、活用に不可欠なインフラです。
都は、通信各社のトップが集まるTOKYO Data Highwayサミットを毎年開催し、これまで通信の強靱化に取り組んでまいりました。五回目となる来週の会議には私も出席いたしまして、首都防衛に向けた通信環境につきまして官民で課題を共有し、連携強化を図ってまいります。
さらに、発災時に拠点となります施設周辺の基地局強靱化に向けまして、通信事業者の電源確保や衛星活用に対しまして、国とも連携し、支援策を検討してまいります。
災害時に命綱となる通信の確保を迅速に進め、都民の命と安全を守ってまいります。
環境政策
質問1
災害時にもつながる東京をはじめ、安心・安全な生活の基盤となるのがデータセンターの整備です。研究機関等の調査では、今後、国内のデータセンターの消費電力は増加するものの、省エネ技術の発展により、その増加には大きな幅があると報告されています。データセンターには、省エネだけではなく、再エネ導入を促していくことが重要です。
都はこれまで、国に先駆けて先進的な制度を導入するなど脱炭素化を進めてきましたが、さらなるデータセンターの脱炭素化を後押ししていく取組が求められています。
都内のデータセンターの省エネ、再エネ利用を一層促進し、脱炭素化を図っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
答弁1
環境局長
データセンターの脱炭素化についてでございますが、デジタル社会に不可欠なデータセンターについて、脱炭素化を制度と支援の両面で促進することが重要でございます。
都は条例により、データセンターを含め、建築物の計画から設計、運用に至る各段階において、省エネのさらなる徹底に加え、再エネ設置義務化や再エネ利用割合の向上などの強化を図り、実効性ある対策を求めております。
今後は、その対策の効果を一層高めるため、少ないエネルギーで高い冷却効果を実現する新技術などの実装化や、大規模な電力需要に対応できるよう、再エネ設備導入支援の拡充などを検討いたします。半導体技術などの開発動向も見極めながら、データセンターの脱炭素化を進めてまいります。
質問2
脱炭素化の取組として、都内のEV充電施設の設置促進も重要です。都内のCO2排出量の約二割は運輸部門が占め、そのうち約八割は自動車部門に起因します。二〇三〇年のカーボンハーフ達成に向け、都民が安心してEVを利用できる充電インフラの整備が求められています。
とりわけユーザーの利便性の観点からは、自宅での充電環境の充実が必要です。都内に多い集合住宅では、充電設備の設置に住民の合意形成が必要なため、その導入は簡単ではないとも伺っています。また、都内によく見られる機械式駐車場では、EVの規格に合わないなどによって、駐車場の台座交換が必要な場合もあります。
都内の充電環境の充実に向けて、機械式駐車場への対応も含め、集合住宅へのEV充電設備の設置促進を進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
答弁2
環境局長
EV充電設備の設置促進についてでございますが、EVの普及拡大には、都内に多い集合住宅での充電設備設置に加え、機械式駐車場のEV対応が重要でございます。
都はこれまで、集合住宅の管理組合などに対して、充電サービス事業者とのマッチング会を開催するとともに、充電設備設置に係る調査費の助成を行ってまいりました。
また、機械式駐車場に設置する際の補助上限額の引上げや、ランニングコストの助成対象への追加支援を実施するなど、検討から導入、運用まで幅広くサポートをしております。
今後はさらに、機械式駐車場設備の更新時に、EVの重量などに対応した規格となるよう支援策を検討し、集合住宅でのEV対応を促進してまいります。
治安・安全対策
質問1
あらゆる危機から都民の命と暮らしを守る首都防衛という観点から、喫緊の対応が迫られているのは、全国で相次ぐヤミバイト強盗、いわゆるトクリュウへの対策です。事件ごとに実行犯らが入れ替わるトクリュウでは、SNSなどを通じてヤミバイトに応募し犯行に及ぶケースが多く、望まない若者たちの犯行を防ぐためにも、SNS対策が急務です。
ヤミバイト対策を推進し、匿名・流動型犯罪グループによる犯罪を防止するため、SNS上での投稿への対策を含めた警視庁の取組について伺います。
答弁1
警視総監
匿名・流動型犯罪グループによる犯罪を防止する対策についてでありますが、警視庁では、犯行に加担させないための対策として、SNS上のいわゆるヤミバイト情報に対するリプライ警告やユーチューブ等を通じた啓発動画の配信、大学、高校等における防犯講話を行っているところです。
また、脅迫されていることなどを理由に、いわゆるヤミバイトに加担しようとする者に対して、シャープ九一一〇への相談を呼びかけるなど、保護対策等を強化しております。
当庁では、引き続き、こうした対策を強力に推進するとともに、情報収集、分析による犯罪グループの実態解明及び被疑者の検挙を徹底するなど、匿名・流動型犯罪グループの壊滅に向け、組織の総合力を発揮した対策を推進してまいります。
質問2
強盗被害に不安を感じる都民への防災対策の強化も重要です。例えば足立区では、個人宅への防犯カメラや防犯フィルムなど、侵入盗対策に特化した補助金事業を緊急特別対策事業として実施しています。こうした取組を参考に、都としても支援を強化すべきです。
被害を防ぐための啓発を強化するとともに、都民が適切な防犯対策を講じられるよう支援していくことが必要と考えますが、都の見解を伺います。
答弁2
生活文化スポーツ局生活安全担当局長
いわゆるヤミバイトへの対策についてのご質問でございます。
各地でヤミバイトが関係する強盗が発生しており、地域の防犯力の強化は喫緊の課題でございます。
そこで都は、都民に防犯対策のさらなる強化を訴えるため、在宅時にも鍵をかける、防犯フィルムや補助錠の設置など、被害を防ぐためのポイントを示したポスターを今月新たに作成し、区市町村等に提供しております。また、防犯にも資する住宅設備について、活用可能な都の支援制度を周知してまいります。
地域の防犯力の強化には、都民一人一人の具体的な行動が重要であり、今後、都民の防犯対策を後押しするための方策を検討してまいります。
交通政策
質問1
次に、交通政策について伺います。
先日の決算特別委員会総括質疑において、国の公共交通政策では、都市交通政策をカバーできていないことを述べ、首都東京の交通政策において、都が果たすべき役割について認識を伺いました。知事からは、都自らがバス事業者と緊密に連携し、広域的な立場から持続可能な公共交通を実現していくことをご答弁いただきました。
これを受けて、本年十一月に設置されたワーキンググループにおいて、バス運転士の確保やDX技術の活用など、対策の方向性について意見交換を実施したと聞いています。持続可能な公共交通の実現のためには、自動運転技術の導入だけでなく、人口減少社会に向けた計画的な取組が必要です。
自動運転やオンデマンドなどの交通空白地域対策に取り組む場合は、拠点間を結ぶ鉄道や幹線道路を走る路線バスによる基幹交通網を十分に活用しつつ、それを補う策として、ほかの交通モードとの連携なども進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
答弁1
東京都技監
鉄道やバスと他の交通モードの連携についてでございます。
交通政策の推進に当たっては、利用者本位で使いやすい総合的な交通体系を実現することが重要でございます。
都はこれまで、高密な鉄道網とバス等を組み合わせ、利便性の高い交通ネットワークを充実するとともに、地域公共交通では、区市町村の取組を後押ししてまいりました。
今後は、基幹交通としての鉄道やバスを補完するための交通モードとの連携強化に向け、事業者や地元自治体と地域特性や環境変化に応じたサービス水準等を共有した上で、交通ネットワークの再構築に取り組んでまいります。
こうした取組を関係者と連携して推進し、利用者目線に立ち、公共交通のさらなる充実を図ってまいります。
質問2
都市交通を検討するための基盤として、都内公共交通の運行状況や利用状況の把握は不可欠です。
シルバーパスについては、値段や利用範囲、事業者への支払いなど様々なご意見が寄せられる中で、まずは利用状況の見える化が必要です。シルバーパスが高齢者のQOL向上を目的にいかに安価で提供されても、自宅前のバスが廃止された都民にとっては意味がなく、網羅的な取組が求められています。
都として、シルバーパスの利用状況把握に向けて、ICカード化に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
答弁2
知事
シルバーパスについてのお尋ねがございました。
人生百年時代です。高齢者がいつまでも活躍できるアクティブな長寿社会の実現を目指し、現在、シルバーパスも含め、高齢者の社会参画を促すための移動支援の在り方など、高齢者施策全体を総合的に議論しております。
シルバーパスにつきましては、現行制度導入以降の高齢者像や交通事情の変化を踏まえるとともに、高齢者の移動の実態も把握しながら検討を進める必要がございます。
今後、実施主体であります東京バス協会や関係機関とも連携いたしまして、ICカードの導入を検討し、利用実態の把握や利便性の向上に向け、取組を進めてまいります。
質問3
都市交通基盤を支えるバス業界は、深刻化する人手不足に加えて、燃料費の高騰が経営を圧迫しています。都は、第三回定例会において運輸事業者に向けた燃料費の支援を実施しましたが、その中に含まれていないのが貸切バスです。貸切バスは、学校行事や観光など様々な目的で使用されています。
都として、既に支援が実施されている乗合バスなどと同様に貸切りバスへの支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。
答弁3
東京都技監
貸切バス事業者への支援についてでございます。
都が実施している燃料費支援において、バス事業者については、燃料価格の高騰による都民生活への影響を踏まえ、路線定期運行バス事業者への支援を実施しているところでございます。
観光バスなどの貸切バスは、一度に多数の利用者を特定の目的地まで運ぶものであり、公共交通を補完する役割も一部担っていると認識しております。
今後の運輸事業者への支援に当たりましては、燃料価格の動向や都民生活への影響等を踏まえ、貸切バス事業者も含め、必要な対応を検討してまいります。
地域医療の体制確保
質問1
公共交通と同様に、コロナ禍を経て傷んだ都民の安全・安心な暮らしを支える重要なインフラが医療ネットワークです。医療機関は、コロナ禍以降、患者数や病床利用数の減少に加え、物価高騰や人件費の上昇により、全国的に医療機関の経営は厳しさを増しています。救急医療や周産期医療に代表される行政医療については東京都立病院機構が担っていますが、民間病院も同様に地域医療を守っています。都立であっても、民間であっても、東京の行政的医療は、都が責任を持って守るための支援策の強化が必要です。
小児科、産科などの小児、周産期医療や救急医療の体制確保など、東京の医療を守るさらなる取組が必要と考えますが、見解を伺います。
答弁1
保健医療局長
地域医療の確保についてでございますが、都内では、小児科や産科、産婦人科を標榜する病院、救急告示医療機関が減少傾向にあります。
都は、地域医療の確保や人材確保対策に取り組みますとともに、先般、国に対し、地域医療の確保に向けた必要な財源措置を講じるよう緊急要望を実施いたしました。
都民が安心して出産、子育てができ、住み慣れた地域で暮らし続けられる環境を整備するには、小児、周産期医療の確保や在宅療養者が急変した際の確実な受入れ、看護人材の定着、老朽化した病院の改築などに取り組むことが重要でございます。
今後、都内の地域医療体制の確保に向け、さらなる取組について検討を進めてまいります。
空飛ぶクルマ
質問1
都は、二〇五〇年代の東京を見据え、新たなまちづくりの長期戦略検討を進めています。ここでは、AIエンジニアの安野貴博氏参画の下、ブロードリスニングを用いて幅広い都民の意見集約がされています。「#百合子に言っといて」が生まれるなど、全く新しい形の都民参画、都民ファーストの計画策定がなされようとしています。
新たなまちづくりに重要な視点の一つが、空飛ぶクルマに代表される次世代モビリティーの社会実装です。空飛ぶクルマについては、これまで私たちからの質問を踏まえ、官民協議会での検討など実装に向けた取組が推進されてきました。
一方、海外に目を向けると、空飛ぶクルマの離発着場の建設やデモフライトの実施など、空飛ぶクルマは世界で熾烈な開発、誘致競争の中にあります。東京でも、離島間での飛行や空港アクセス、さらには空港から観光地への移動などの活用につなげることで、より都市の利便性が高まっていくのではないでしょうか。
こうした活用につなげていくため、民間事業者等と連携した具体的なプロジェクトを早期に実施していくべきと考えますが、見解を伺います。
答弁1
政策企画局長
空飛ぶクルマについてのご質問にお答えします。
空飛ぶクルマは、交通渋滞等の回避、迅速な物資輸送など都民生活の質を高めるとともに、都市の魅力向上につながる技術であり、早期の実装が重要でございます。
都では、社会実装に向けたロードマップを定め、国や事業者との協議会で、二〇三〇年の市街地への展開を目指し、課題の洗い出しなど、具体的な議論を重ねてまいりました。
今後、協議会での議論を継続し、ロードマップの精緻化を図るとともに、官民連携の下、実機による周回飛行、都市内移動などの活用事例や、離発着場及び管制などの運航環境の検証、都民の利便性、安全性への理解促進を一体的に実施し、社会実装に向け取組を加速してまいります。
アフォーダブル住宅の推進
質問1
これからのまちづくりについては、居住費の高い東京の実態に即した取組も重要です。世界の大都市圏で居住費用が高額化する中、手に取りやすい居住費で住むことができるアフォーダブル住宅の取組が進んでおり、小池知事の三期目の公約にも盛り込まれました。ニューヨークなど海外の諸都市では、収入のほとんどが住宅ローンや家賃で占めるのではなく、余裕のある生活が送れるアフォーダブル住宅を積極的に供給する取組が進められています。
住宅価格が上昇しているという現在の東京の状況を踏まえると、生活が苦しい方だけではなく、子育て世代など、より幅広い層に届く、東京の特性に合ったアフォーダブル住宅が推進されるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
答弁1
知事
アフォーダブル住宅の推進についてであります。
望む人誰もが安心して子供を産み育てることができる社会の実現には、子育て世帯等に対しまして、安心した暮らしの基盤となる住まいを確保することが重要です。
都はこれまで、都営住宅への優先的な入居や東京ささエール住宅の推進のほか、東京こどもすくすく住宅普及促進等の取組を推進してまいりました。
現在、副知事を筆頭とした体制で、子育て世帯に係る住まいや手頃な価格で住める住宅につきまして幅広く調査するなど、アフォーダブル住宅の検討を進めております。
今後とも、子育て世帯等が住みやすい環境の形成に取り組んでまいります。
港湾施策
質問1
さらに、物流機能の強化も重要です。東京港では、国内最多のコンテナ貨物を取り扱う国際物流拠点があり、首都圏四千万人の生活と産業を支える重要な役割を果たしています。脱炭素化への社会的な要請の高まりなど、東京港を取り巻く環境は大きく変化しています。
東京港が将来にわたり都民生活や産業活動を支えていくためには、中長期的な視点を持って、DXや脱炭素化などを戦略的に推進していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
答弁1
知事
東京港におけるDXや脱炭素化の戦略的な推進についてでございます。
世界と日本をつなぐ物流の要である東京港は、東日本の約六割のコンテナ貨物を取り扱い、国内最大の貿易額を誇る港として、重要な役割を果たしております。
人口減少社会の到来や急速に進む気候変動など、東京港に大きな変化の波が押し寄せる中、今後も東京港がその役割を果たし続けるためには、AIや最先端技術なども活用しながら、戦略的に施策を展開していくことが必要でございます。
このため、都は、東京港の目指すべき姿とその実現に向けました具体策を盛り込んだ経営戦略を年度内に策定をいたしまして、DXや脱炭素化をダイナミックに推進することで、世界トップクラスの効率性を備え、持続可能な港へと発展をさせてまいります。
文化・芸術施策
質問1
都市の成熟度を測る一つのバロメーターが文化資源です。私たちはかねてより、世界のアート市場規模が約九兆円であるにもかかわらず、日本のシェアはその一%程度であることなど、今後のアートビジネスの成長可能性や、人を引きつける観光資源としての魅力、障害者アートなど、アートを生かした東京の魅力向上を訴えてきました。
また、私たちの求めに応じ、都も、世界陸上、デフリンピックの機会と合わせたアート振興を進めているところですが、それらにとどまらず、国内外から多くの人を引きつけるよう、一層戦略的な取組を進めていくべきです。海外では、大規模なアートフェスティバルを通じて、都市の持つ芸術性を強力に発信し、まちの魅力を高めています。
東京でも数多くの文化イベントが開催される中、それぞれの魅力を掛け合わせることで生まれる先進的で発信力のある新たな文化芸術祭が必要であると考えますが、見解を伺います。
答弁1
生活文化スポーツ局長
東京の新たな文化芸術祭についてでございますが、エディンバラやベネチアなど、海外の都市では、まちを舞台にして芸術祭が開催され、その魅力を求め、世界中から多くの人々が訪れております。
都はこれまで、現代アートや演劇、伝統芸能など多様な文化イベントを行っており、それらのコンテンツをより多くの都民が楽しめるよう磨き上げてまいります。
その上で、民間や区市町村事業とも連携して共同プロモーションを展開するなど、各エリアをつなぎ、一体感のある新たなフェスティバルとして打ち出すことが重要でございます。
点在する個々のイベントを面で捉え、都市として発信する国際的な文化芸術祭について、今後、東京芸術文化評議会の意見を伺いながら検討を深めてまいります。
エネルギー施策
質問1
未来のまちづくりに向け、欠かせない視点が気候変動への対応です。先日の知事の所信表明でも、気候変動に対応した、発電する未来都市を目指すとの表明がありました。
さらに、先日、アゼルバイジャンで開催されたCOP29において、伊豆諸島の海域でギガワット級の浮体式洋上の導入を目指していく旨の発言がありました。このプロジェクトでは、島しょ地域はもとより、東京全体の再エネ利用割合の向上や温室効果ガス削減にも大いに貢献するものと期待しています。
ゼロエミッション東京の実現に向け、再エネの基幹エネルギー化を進める上で、島しょ地域で新たな洋上風力をどのように導入していくのか、知事の見解を伺います。
答弁1
知事
洋上風力についてでございます。
気候危機が全世界で深刻化する中、エネルギーの大消費地である東京には、その地域特性を最大限に生かしながら再エネ導入を進めていく責務がございます。
このため、都は、国内初の新築住宅等への太陽光パネル設置義務化や、日本生まれの再エネ技術であります次世代型ソーラーセルの実装加速化に取り組んできております。
さらに、今後は、風況に恵まれました広大な伊豆諸島の海域におきまして、世界最大クラスのギガワット級浮体式洋上風力の導入に向け、地元自治体や漁業者、国とも連携いたしまして、具体的な海域など事業スキームの検討を進めてまいります。
これによりまして、島しょ地域のゼロエミッション化とともに、首都東京の電力を支える再エネ拠点を構築いたしまして、あらゆるエリアで発電する未来都市を実現することで、世界の脱炭素化に貢献してまいります。
質問2
また、COP29では、先進国から途上国への資金支援も主要なテーマとなりました。気候変動を一・五度以内とするためには、世界各国が協力し、途上国の脱炭素化を進めることが重要です。
知事は、COP29の場において、東京の企業が持つ優れた脱炭素技術をグローバルサウス諸国で役立てるため、都と民間で合わせて二百億円規模で新たな取組を展開すると表明されました。東京が世界の脱炭素化に貢献していくという強いメッセージは高く評価されるべきです。
東京の企業の優れた技術やノウハウをグローバルサウスの国々の脱炭素化にどのように生かしていくのか、知事の見解を伺います。
答弁2
知事
東京の脱炭素技術の世界への展開についてでございます。
気候危機は全世界で深刻化し、経験したことのない豪雨や猛暑に見舞われる中、脱炭素化のさらなる取組は、市民の命を守る最前線に立つ都市の責務でございます。この解決に向けまして、優れた技術を持つ企業が集積する東京こそがリーダーシップを発揮すべきでございます。
私は、COP29で、東京の企業がグローバルサウスと呼ばれます新興、途上国の脱炭素化に貢献していく構想を明らかにいたしました。これらの国の各都市が抱える課題を把握しまして、解決に役立つ脱炭素技術を持つ中堅、中小企業、スタートアップに参加を呼びかけてまいります。
都内企業の海外でのビジネス機会の創出を後押しするとともに、現地企業と協力いたしまして事業を行う仕組みとすることで、グローバルサウス諸国での省エネや再エネ利用など、脱炭素化に向けました自立的な取組につなげてまいります。
東京が培いました技術やノウハウを役立てて、世界のネットゼロ実現に貢献してまいります。
行財政政策
質問1
最後に、ワイズスペンディングの取組について伺います。
都の先進的な事業を支えるのが健全な財政運営です。都は、税収が豊かだから先駆的な取組が可能だとの声も聞かれますが、小池知事は、知事就任後、知事給与を半減し、自ら身を切り、東京大改革に着手しました。
私たちの提案も受け、事業評価の仕組みを多面的に強化することで、年間一千億円以上、八年間で八千百億円の財源を新たに生み出し、人への投資に充てられています。都は、現時点で財政の健全性を維持しながら、様々な課題への対応を展開してきたといえますが、今後も多くの資金需要を抱えていることを踏まえると、ワイズスペンディングの取組のさらなる徹底が必要です。
例えば国では、都の全事業数と同じ約五千の全ての事業において行政事業レビューを毎年実施しており、一事業につき八ページにわたり詳細なレビューシートを作成し、公表しています。また、五年に一度は全ての事業に外部専門家による点検がなされます。
都においても、財務局の事業評価に包括外部監査結果を活用するとともに、評価制度の中身から結果の公表まで、外部専門家を積極的に活用して、都民の理解と共感を得られるよう深化させていくべきと考えますが、見解を伺います。
答弁1
財務局長
評価制度についてでございますが、限られた財源の中、都政の諸課題に的確に対応していくためには、事業の無駄をなくし、実効性、効率性を高めていく取組が重要でございます。
そのため、全ての事業への終期の設定、アウトカム重視の評価の導入、ダッシュボードを活用した評価結果の公表など、様々な創意工夫を積み重ねてまいりました。
今後、事業評価における事後検証の強化に向けまして、包括外部監査結果の視点を他事業の見直しにも活用することを検討してまいります。
さらに、評価制度全体のさらなる深化に向けまして、外部有識者との意見交換を行うなど、評価制度の充実に取り組んでまいります。
質問2
未利用の都有財産の活用も重要です。平成二十四年に閉校した都立芸術高等学校は、建物が残されたまま現在も未利用となっていることが報道などでも取り上げられました。こうした未利用の都有財産は氷山の一角であり、公表された未利用の都有地は百八十四件、合計約六十一ヘクタール、東京ドームに換算すると十三個分以上となっています。民間に比べ、土地の活用に関しては、さらなる取組の余地があるといえます。
保育所などの行政利用に至らないものについては、駐車場などで暫定利用されていると聞いておりますが、民間では土地の活用について積極的に検討を行い、使い道がなければ早期売却を検討します。一定規模の土地については確保しつつも、定期借地権を設定するなどして一層活用するべきです。
都有財産の積極的な活用を促すため、民間の知見を生かす取組が必要と考えますが、都の見解を伺います。
答弁2
財務局長
都有財産の利活用についてでございますが、都はこれまでも、様々な施策の実現や、区市町村と連携した事業に都有財産の利活用を図るほか、本格的な行政利用までの間も暫定利用を行うなどの取組を進めてまいりました。
一方、規模や形状、時間的制約などの条件から、これまで具体的な利活用に至らなかった財産につきまして、新たに民間の知見を取り入れて検討することは有意義でございます。
そのため、最新の各局財産の利活用状況を把握するとともに、様々な条件下での財産の効果的な活用方策につきまして、不動産に関する有識者などの知見を得ながら検証を行い、その成果を各局において生かせますよう、全庁的なガイドラインの策定に向けて検討を行ってまいります。
以上、私たち都民ファーストの会東京都議団は、東京発の地域政党として、誰よりも都民のニーズに耳を済まし、変化を恐れずに改革を実行することをお誓いし、質問を終わります。