カスハラ防止条例で働く人守れ
江戸・東京の文化を世界遺産に

都政運営

質問1
 都議会自由民主党を代表して質問をいたします。

 去る六月十六日、石川良一議員がご逝去されました。謹んで哀悼の意を表し、ご冥福を心よりお祈りいたします。

 石川県の能登半島北部を襲った記録的な大雨は、今年一月の震災からの復興を目指す被災地に追い打ちをかけるように、甚大な被害を与えました。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

 都議会自民党は、平成二十五年の都議選以来、東京を世界で一番の都市にを公約に掲げ、その実現に向けて邁進をしてきました。

 知事もまた、さきの所信表明において、東京を世界で一番の都市にしていくとの固い決意を表明されました。

 この目標を達成するためには、ソフト、ハード両面で実効性のある対策を総合的に展開していくことが求められます。

 また、本年は、都区制度改革から二十年の節目の年です。これまで、首都東京の在り方について様々な議論を交わしてきましたが、将来を見据えた都の行財政制度の在り方を都民に示すことは重要です。

 こうした観点からも本日の質疑を行ってまいります。

 世界は今、混迷の時期にあります。不安定な国際情勢、国内でも為替変動や株価の乱高下、物価高など、足元の生活にも不安が募っています。

 我が国の成長には、首都東京がエンジンとなり、全国を牽引することが不可欠です。また、都市外交や地方連携など、東京が首都として果たすべき役割を強力に推し進めていくことも求められています。

 足元を見れば、深刻さを増す少子高齢化、AIの活用、大規模化、激甚化する災害など、課題は山積しています。これまでの常識や制度にとらわれることなく、山積する課題の解決に向け、果敢に挑戦する必要があると考えます。

 そこで、東京が世界一の都市へと成長、変貌を遂げるために、今後どのように都政に取り組まれるのか、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 政策の強化についてのご質問でございます。

 国際紛争や深刻化する自然災害、予想を超える速度で進む人口減少、AI技術の爆発的な進化など、世界はこれまでになく目まぐるしく変化をし、従来の知識や常識はもはや通用しません。

 この先の未来を大胆に予測し、都市のあるべき姿を明確に示すとともに、世界をリードしていく東京を迅速果敢に築き上げなければなりません。首都防衛をキーワードとし、危険と災害に備えるのはもとより、都民の命と暮らしを守り、経済を盛り立て成長を実現することで、東京はもっとよくなる。そこで、「未来の東京」戦略を発展させ、新たな戦略を策定いたします。

 今後の社会と経済を支える基盤となりますAIなどの技術も駆使をしつつ、二〇五〇年代の東京のビジョンを描くとともに、あらゆる政策分野でDXを進めるなど、都民の期待と負託に応えるべく、副知事を筆頭とした体制によりまして政策を練り上げてまいります。

 世界で一番の都市東京を実現し、百年先も全ての人が輝く、明るい未来を切り開いてまいります。

質問2
 本定例会には、物価高騰など喫緊の課題に対処するための補正予算案が提出されました。我が会派の要望を踏まえた的確な対応と認識をしていますが、こうした直面する目下の課題のみならず、日本全体の成長と発展を牽引するべく、スタートアップや新規産業の育成、インフラ整備など、将来に向けて多岐にわたる投資も必要です。

 同時に、都民の生命と暮らしを守るための東京の強靱化には、二〇四〇年代までに十七兆円を見込むなど、東京ならではの財政需要への対応も欠かせません。

 政府・与党とも連携を密にして、東京、そして日本のため、政策をグレードアップし、前に進めていくために、来年度予算に向け、どのようなかじ取りを行っていくのか、知事の見解を伺います。

答弁2
知事
 来年度予算の編成についてのお尋ねでございます。

 深刻さを増す少子化、国際競争力の低下など、我が国は待ったなしの課題に直面しております。

 これらの難題に正面から挑み、首都東京が都民の幸せと日本の成長を実現していくためには、時代の先を見据えた積極的な施策展開と、それを支える強靱な財政基盤の堅持が不可欠でございます。

 こうした考えの下、令和七年度予算に向けましては、東京のポテンシャルを最大限に生かし、希望あふれる未来を切り開くため、大胆かつ着実な施策を構築してまいります。

 同時に、評価制度のさらなる深化を図りまして、事業の無駄をなくす取組を徹底することで、効率性、実効性の高い施策につなげてまいります。

 こうした取組を通じて、国とも連携しながら、都政のダイナミックな動きを加速させ、東京、ひいては日本の輝かしい未来をつくり上げてまいります。

質問3
 知事は、三期目の公約に首都防衛を掲げました。

 都は、地震や風水害、火山噴火の危機に対し、強靱で持続可能な都市を実現するために、TOKYO強靱化プロジェクトを立ち上げるとともに、昨年十二月にはアップグレードを行い、約十七兆円という総事業規模を明らかにしています。これらは、首都東京の強靱化を確実に進めていく上で重要です。

 一方で、昨今の国際情勢などを背景とした原材料費の高騰や、建設人材の不足により、建設コストが膨らむ蓋然性が極めて高い状況ともいえます。

 また、インフラ整備には長期的な視点が不可欠なのはもちろんのこと、状況変化に機敏に応じるためには、短期、中期といった視点も持ち、着実な執行をモニタリングすることが必要です。

 さらには、その進捗状況を関係者に示し、見える化することで、事業への理解と協力を得ていくことも重要です。

 今後、首都東京の強靱化をどのように進めるのか、都の見解を伺います。

答弁3
政策企画局長
 首都東京の強靱化についてでございますが、都民の生命と暮らしを首都直下地震や風水害から守る上で、経済や社会の変化を踏まえた適切な対応は必要でございます。

 都は昨年度、強靱化プロジェクトを見直し、気候変動により激しさを増す自然災害に備え、豪雨対策等の事業規模の充実を図るほか、多くの都民が暮らすマンションの防災対策の強化を図ったところでございます。

 今後、建設に係る資材価格の上昇や、現場で働く人材の確保が困難となることが見込まれる中、二〇五〇年代の東京の姿と二〇三五年の将来像を見据えつつ、事業の進捗を分かりやすく発信し、計画的で着実な取組を進めてまいります。

質問4
 本年四月より、労働基準法の改正による時間外労働の罰則付上限規制が、建設業にも適用されました。建設業における働き方改革を推進するためには、都は、公共事業の発注者として様々な取組を実施していくことが重要です。

 働き方改革の大きな流れや過去に例のない猛暑による熱中症対策など、建設業を取り巻く厳しい状況を踏まえ、工事受注者の負担軽減に向けて積極的に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁4
財務局長
 工事受注者の負担軽減に関するご質問にお答えいたします。

 建設業の働き方改革を推進していくためには、工事現場における生産性を高めることが重要でございます。

 このため、都は、工事着手届をはじめとした提出書類の削減を進めてまいりました。さらに、土木工事につきましては、十一月以降の発注工事等におきまして、完了検査時における出来形数量に関する根拠資料の一部を省略してまいります。

 また、熱中症対策におきましても、工期延伸の協議に必要な書類の削減に加え、猛暑日を考慮した工期設定を営繕工事にも導入いたします。

 引き続きこうした取組を推進し、公共工事の発注者として、建設業の働き方改革を後押ししてまいります。

質問5
 TOKYO強靱化プロジェクトを着実に推進する上で重要となるのは、実際に現場を担う建設業界の力です。

 第一回定例会では、業界全体の働き方改革の実現や人材確保に対する取組について質疑をいたしましたが、都の職員も同様に、技術人材を確保し、育成し、技術力を継承する必要があります。

 しかし、労働力人口の減少に伴い、官民問わず人材獲得競争が激化する中、都の技術職採用試験の申込者は減少傾向にあるなど、厳しい状況が続いています。都の人材不足が、強靱化プロジェクトのボトルネックになりかねません。

 都が、技術人材の確保に向け、これまでに様々な取組を実施していることは承知をしていますが、例えば、専門的な知見や経験を有する任期付職員を引き続き都で活用することも、有効かつ即効性の高い打ち手だと考えます。

 プロジェクトの着実な推進を図るため、さらに取組を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

 なお、専門能力を有する若手人材の確保策として、都立工科高校との連携なども視野に、選考方法の研究を求めておきます。

答弁5
総務局長
 都庁の技術職員の育成、確保についての質問でございます。

 安全・安心な都市東京を実現するためには、技術職員のさらなる育成を図るとともに、多くの志ある人材を着実に確保していくことが必要でございます。

 そのため、研修や業務を通じて職員の能力向上や技術力の継承を図るとともに、今年度から土木職等において経験者採用選考を導入し、民間企業等での多様な職務経験や専門性を有する人材の確保を進めております。

 今後は、民間企業等との人事交流や最先端技術の習得機会拡充など、職員の成長環境も一層充実させるほか、経験者採用選考を建築職にも拡大し、強靱で持続可能な都市の実現を支える人材の育成、確保を加速してまいります。

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地方との連携

質問1
 先般の全国知事会において、あたかも東京一極集中が我が国の人口減少の要因であるかのような誤った主張が展開されました。

 本来、人口減少は国全体で、一致結束して取り組むべき課題です。経済を活性化させ、雇用を生み出し、地域の活力を向上させるなど、好循環をつくることこそが、本質的な解決に寄与するものだと考えます。

 首都東京は、国全体を成長させる原動力としての役割が期待されています。都が地方の発展に貢献するためには、地方自治体の声に丁寧に耳を傾け、きめ細かく対応することが必要です。

 例えば、都の強みであるデジタルやスタートアップ等の分野に期待する声が、各地から我が会派にも届いています。共存共栄に向けた知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 地方連携の進め方についてでございます。

 首都である東京に集まった様々な力を効果的に使い、我が国の各地域の発展に結びつける視点は大切でございます。

 東京の持つ集積を取り崩して、国内で分け合うパイの奪い合いでは、問題の本当の解決にはつながりません。各地域の持つ意欲と創意工夫に応じまして、都として役立つサポートを的確に進めてまいります。

 都では、これまでも地方に出向きまして、おのおのの地域の活性化に結びつく要望について着実に耳を傾けてまいりました。それらを通じ、東京を訪れるインバウンドを地方へ送り出すほか、都内の中小企業が各地域の会社と取引を始めるきっかけづくりなども実現をいたしております。

 これからは、各地のDXが効果的に進みますよう、GovTech東京を通じたデジタル化のサポートや、地域の新しい産業の担い手となるスタートアップを増やすため、Tokyo Innovation Baseの活用の働きかけなどに力を入れてまいります。

 これによりまして、東京と地方が共に支え合い発展する、共存共栄を実現してまいります。

質問2
 先日、我が会派では福島県を訪れ、福島第一原子力発電所を視察するとともに、県庁、県議の方々と意見交換を行ってまいりました。

 福島県では、震災後の産業の回復や新たな産業構築を目指して、ロボットテストフィールドを設置し、多くのスタートアップ企業も集い、様々な分野でロボット開発が進んでいるとのことでありました。

 今後の課題は、福島発イノベーションを全国、そして世界に売り出し、地域の成長につなげる、いわば次なる復興だということです。

 大きな市場や企業の集積を持つ東京と各地方の強みを掛け合わせる仕組みを、TIBを活用し、福島をはじめとする全国の自治体と連携することも、共存共栄に資する取組だと考えますが、見解を伺います。

答弁2
スタートアップ・国際金融都市戦略室長
 イノベーション創出に向けた全国連携のご質問にお答えいたします。

 TIB、Tokyo Innovation Baseでは、日本各地のスタートアップやその支援者、行政などの地域を超えた交流の場を提供しており、これまでに約十の自治体が、製品のPRなどのマッチングイベントを実施しております。

 こうした取組を全国に広げるべく、十一月には、国や業界団体と連携し、スタートアップ支援に取り組む全国の自治体関係者が一堂に会し、活動内容の共有や交流を図るイベントを新たに開催いたします。

 つながりをさらに深め、各地のスタートアップによる投資家向けのピッチや、福島県の実証フィールドをはじめとする地域資源を生かした協働の取組など、具体的な連携をさらに充実させてまいります。

質問3
 都は、GovTech東京を設立し、都内区市町村と協働しながら、オール東京のDX化に取り組み、首都東京らしい先進事例として全国から注目を集めています。

 他の道府県がDXを進める際にも、デジタル人材の育成や基礎自治体との連携スキームなど、都がこれまで蓄積してきたノウハウが存分に生かされるものと考えます。

 東京と地方の共存共栄に向けて、都内での取組にとどまらず、全国的な展開やサポートなど、視野を拡張することで、DX分野でも貢献が果たせるものと考えます。都の見解を伺います。

答弁3
デジタルサービス局長
 共存共栄に向けたDX推進への貢献についてでございますが、自治体の共通課題について、都と地方が解決策を共有し合い、取組を加速させていくことが重要でございます。

 このため、都は、ニーズの高い保活ワンストップサービスの先行実施など、全国での活用を見据えた取組を進めております。また、文章生成AIガイドラインやデジタル人材育成方針などの全国共通で役立つナレッジを広く共有しております。

 さらに、多様なデジタル人材を有するGovTech東京では、能登半島地震の際に石川県にエンジニアを派遣し、サポートを行いました。今後、さらに全国自治体職員等との交流を進めてまいります。

 引き続き、GovTech東京と共に、都内のみならず、全国の自治体DXのレベルアップに貢献してまいります。

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中小企業支援・産業政策

質問1
 今定例会に、知事はカスタマー・ハラスメント防止条例案を提出いたしました。現場の努力で防ぐことが難しい外部からのハラスメントに、条例が有効に機能し、働く人が守られ、事業活動の安定にも寄与することを期待するものであります。

 実施に当たり、条例案に盛り込まれた財政上の措置や相談をはじめ、事業者や業界の支援にもきめ細かく対応することは不可欠です。

 この間、大企業においては、過剰な要求には対応しないなどの方針を発表する動きも見られ、全国初の条例は、社会的な機運の後押しにもなっています。

 一方で、過剰な要求は、商品やサービスを提供する現場で起きるとは限りません。例えば工事現場では、近隣住民など、顧客ではない方から、騒音や振動を理由に法外な金銭の補償を求められるケースもあるようです。

 都は、どのような行為がカスタマーハラスメントに当たるのか、その対応策も含めて分かりやすく示し、迷惑行為や度を越えた要求に悩む事業者が迷いなく条例を活用できるよう後押しすべきですが、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 カスタマー・ハラスメント防止条例についてのお尋ねがございました。

 働く人が職場の外の相手方からの悪質な行為により傷つけられる状況をなくしていくため、現場のよりどころとなる分かりやすいルールが不可欠であります。今般の条例案では、カスタマーハラスメントを、顧客等からの著しい迷惑行為であり、就業環境を害するものと定義づけまして、全ての人を対象に、その禁止を明示することといたしました。

 現場で生じる様々なハラスメントを防ぐには、禁止行為の範囲を狭く捉えず、サービスを提供する側と受ける側が互いに尊重し、双方の言動に注意を払う視点が重要であります。

 こうした考え方を、現在作成を進めている指針等で丁寧に解説するとともに、著しい迷惑行為に該当する行為の例や効果的な対応策を幅広く提示してまいります。

 これによりまして、都内事業者が条例に基づく対応を効果的に進められるよう後押しをしてまいります。

質問2
 地元密着の店舗にとって、お客様への毅然とした対応は、条例があっても勇気が要ることであり、抑止効果のある録音や録画など、環境整備を期待する声が寄せられています。中小企業にとっては、企業単独ではなく、業界全体のルールとして取り組むことも大きな後ろ盾になります。

 都は、業種ごとの実情に詳しい業界団体の意見を丁寧に聞き取り、こうした団体を通じた事業者支援も進めるべきと考えますが、見解を伺います。

 都が発注する工事現場において、受注者である事業者が、都や委託先の外郭団体の職員から理不尽な指導を受けるケースもあると聞き及んでおります。

 国交省の建設業法令遵守ガイドラインには記載されているように、当事者は対等な立場であります。カスハラ条例をつくる東京都が万が一にも加害者とならないように、改めて現場マネジメントの再点検を求め、ここで苦言を呈しておきます。

答弁2
産業労働局長
 カスタマーハラスメントの防止についてのご質問にお答えいたします。

 働く方を守る上で、防止に取り組む事業者や業界団体を都がサポートしていくことは必要でございます。

 今般提出した条例案では、都の責務として、事業者への情報提供や相談、助言などを定めますとともに、事業者の措置として、防止手引を作成することを求めております。

 この手引作成に当たりまして、カスタマーハラスメント防止に関し重要な役割を担う業界団体が、事業者のよりどころとなるマニュアルを作成することを促してまいります。

 今後、都は、業界の実情を踏まえながら、マニュアルづくりの参考となるひな形を作成いたしまして、事業者や業界団体への支援を進めてまいります。

質問3
 女性活躍について伺います。

 女性の経済的自立を促していくことは、企業の持続的な成長にもつながり、その先には、東京の経済成長にもつながっていくものと考えます。

 国や都の支援を受けながら、女性登用や女性のキャリアアップなど、先進的な取組を進める企業が増えていますが、女性の働きやすい職場環境づくりは道半ばというのが、多くの中小企業の実情です。

 都の取組もあり、男性の育業取得率は高まっているものの、女性と比べ、いまだ大きな差があります。また、経産省のデータによれば、女性特有の健康課題による経済損失が約三・四兆円と推計される中、約七割の女性従業員が、職場の支援は十分ではないと感じています。

 一方で、企業側も具体的に何をすればいいのか分からないと回答する割合が高い状況です。

 本定例会の開会に当たり、小池知事から、女性活躍基本条例を制定したいとの発言がありましたが、こうした企業の実態も踏まえ、女性活躍の取組を後押しするべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁3
知事
 女性活躍に取り組む企業への後押しについてでございます。

 持続可能な社会をつくり上げていくためには、多様性が不可欠であります。その実現を握る大きな鍵は女性の活躍です。企業におきましても、働きやすい環境を整備し、女性も男性も持てる力を存分に発揮していくことが、新しい価値を生み出す原動力になります。

 都では、各中小企業が行う女性の採用や育成等に関する行動計画の策定支援や、経営者を対象とする女性の健康課題への理解を促す研修の実施、男性社員による育業経験を社内に広める取組の後押し等に取り組んでまいりました。

 女性の活躍をさらに進めるため、今月新たに立ち上げた検討部会に経済団体や労働団体等に参画いただき、企業の実態を踏まえつつ、条例の制定を含め、基本的な考え方を議論してまいります。

 いつの時代も未来を切り開くのは人であります。誰もが生き生きと活躍できる社会を実現してまいります。

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世界遺産登録

質問1
 今年七月、ユネスコの世界遺産委員会で、新潟県の佐渡島の金山が全会一致で世界文化遺産として登録することが大きく取り上げられました。

 世界遺産は、文化的価値が世界へ広がることはもちろんのこと、文化や自然の保護、地域経済の活性化、国際的な認知度向上など、都市としてのプレゼンス向上やシビックプライドの醸成につながるものです。

 世界遺産については、三月の予算特別委員会において、我が会派の松田議員が質疑をいたしました。知事も公約で、江戸東京の文化を世界遺産にと掲げ、東京に残る江戸の歴史、文化の世界遺産登録を目指すとしています。

 一方、次の推薦候補として、飛鳥・藤原が決まったとの報道もありました。国内にもライバルがいる中、東京はまずその俎上にのることが重要であり、江戸の歴史や文化の魅力、価値を磨き上げ、世界に示す取組が不可欠です。

 この機を逃すことなく、国との連携の下、世界遺産登録を目指した動きを加速するべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 世界遺産についてであります。

 江戸は当時、世界最大の人口を誇り、人々が平和と繁栄を享受する時代の中心地でありました。そこで生み出した様々な文化や生活様式、建物などを後世に引き継ぐことは、現代を生きる我々の大切な役割であります。

 優れた存在感を発揮する江戸の伝統に関し、観光資源としての活用の面で有識者による検討を進めてまいりました。今後は江戸の象徴となるものを選び、海外での理解を広げるため、検討の場を立ち上げます。江戸の有する貴重な価値を将来に向け守り伝えるため、世界遺産登録を目指します。

 登録にふさわしい江戸の文化財等をめぐりまして、専門家による幅広い検討を行う中で、将来の保存の進め方も含め、国際的な理解を得てまいります。その進捗に合わせて、国や関係機関と連携を図って、登録に向けた協議を進めてまいります。

 こうした取組を通じ、江戸の傑出した伝統を着実に後世へとつなげてまいります。

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次世代モビリティ

質問1
 世界では、次世代モビリティーの実装が加速をしています。中国の武漢やサンフランシスコにおいては、自動運転タクシーがまちじゅうを走行しています。また、空飛ぶクルマがパリ五輪期間中にベルサイユ宮殿を飛行したとの報道もありました。

 最先端技術の社会実装など、東京の未来を構築する東京べイeSGプロジェクトは、こうした世界の動きに先駆けた取組です。このプロジェクトの肝でもある空飛ぶクルマや自動運転など、次世代モビリティーについては、昨年度それぞれロードマップが示され、取組の加速化が明示をされました。

 空飛ぶクルマが都内で初飛行を行い、自動運転は推進区域の設定がなされるなど、取組は前進しています。一方、技術革新の流れは極めて速く、国際競争を勝ち抜くためには、実装を一層加速していかなくてはなりません。

 次世代モビリティーの社会実装に向けた道筋をさらに具体化していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁1
政策企画局長
 次世代モビリティーについてでございますが、都市における利便性の高い新たな移動手段として、自動運転や空飛ぶクルマの技術を早期に社会実装することは重要でございます。

 これまで都は、SusHi Tech等を通じまして、これら最先端の技術を身近に触れる機会を提供するほか、国や民間と協力し、具体的な導入に向けた後押しを進めてまいりました。

 自動運転では、社会実装に係る様々な取組を効果的に行うための推進区域を既に定めておりまして、今後はその拡大を図ります。また、空飛ぶクルマに関し、民間の機体開発の状況を見据え、離着陸のためのスポットの整備や運航ルートについて国や民間と連携し、今後の進め方等を協議してまいります。

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福祉・医療政策

質問1
 知事は、無痛分娩費用も新たに助成を公約の一つに掲げています。無痛分娩は妊婦にとってより安心して出産に臨むための選択肢の一つです。しかし、海外と比べ、かなり少ないのが現状です。費用面だけではなく、その対応できる施設が少ない。このことも要因の一つです。安全に無痛分娩を実施できる環境整備も重要です。知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 無痛分娩についてのお尋ねがございました。

 無痛分娩は、麻酔により痛みを和らげる出産の方法であり、日本産婦人科医会の調査におきましては、全分娩に占める無痛分娩の割合は近年増加しており、都内では令和五年時点で約三割となっております。

 こうした状況を踏まえまして、都民が安心して子供を産むことができるよう、無痛分娩の安全な提供体制の充実に取り組んでいく必要がございます。

 今後、医療機関におけます医師や助産師の体制や機材の配備状況などの実態も把握しながら、希望する方が安心して無痛分娩を選択できる環境整備に取り組んでまいります。

質問2
 厚労省によれば、認知症は、二〇二五年には約七百万人、六十五歳以上の約五人に一人に達するともいわれています。認知症は、誰もが関わる可能性のある身近な病気といえます。

 先日、国がまとめた認知症施策の基本計画(案)では、認知症になっても希望を持って自分らしく暮らし続けることができるといった新たな考え方が盛り込まれ、その浸透を進めることを重点目標としています。

 知事は、認知症になっても安心な都独自の認知症専門病院創設を公約に掲げていますが、今後、認知症専門病院の創設に向けてどのように進めるのか、知事の見解を伺います。

 加えて、高齢者に対し、認知症のスクリーニング検査を推奨することで、例えば、認知症の早期発見や生活習慣の改善による予防、運転免許返納の際の判断、また、将来的にはビッグデータとして都政に生かすことも期待されます。認知症のスクリーニング検査導入の検討を求め、次の質問に移ります。

答弁2
知事
 認知症医療についてでございます。

 都内で要介護認定を受けている高齢者のうち、認知症の症状を有する方は、二〇四〇年には約五十七万人と推計されております。

 都では、認知症の早期診断、早期支援などに向けまして、身近な地域で認知症検診や認知症抗体医薬の治療を受けられる体制の確保などを進めております。

 今後、認知症高齢者の増加が見込まれる中、都内の認知症医療の実態を把握しながら、認知症専門病院について検討してまいります。

質問3
 少子化もまた喫緊の課題です。

 小池知事は保育料の第一子無償化を掲げ当選し、都民の期待も大きな施策です。しかし、事業費には大きな財源が必要となりますので、事業継続性の観点からも、これまで取り組まれた少子化対策の効果検証は不可欠です。

 また、事業の検討に向けて、あらかじめ区市町村や関係団体等の理解や協力を得ながら、丁寧に取り組むことも求めておきます。

 第一子無償化にどのように取り組まれるのか、知事の見解を伺います。

 なお、在宅での子育てを選択する家庭との公平性にも配慮を求めておきます。

答弁3
知事
 保育料の無償化についてのお尋ねがございました。

 我が国は、歯止めのかからない少子化という危機に直面しております。この困難に対し、都は区市町村との連携のもと、とうきょうママパパ応援事業や第二子の保育料の無償化などを実施してまいりました。

 少子化対策は一刻の猶予もないことから、この手を緩めることなく、取組を加速していくことが必要であります。

 こうした観点から、保育の実施主体であります区市町村等と連携しながら、第一子の保育料無償化につきまして、具体的に検討してまいります。

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防災対策

質問1
 八月八日、日向灘を震源とするマグニチュード七・一の地震が発生しました。都も直ちに災害対策本部を設置し、適切に対応を行ったと理解をしていますが、今後検証を行い、次に備えていただくことを改めて要望しておきます。

 折しも、昨日、鳥島近海を震源とする地震が発生し、八丈島八重根で五十センチ、神津島で二十センチなど、伊豆諸島で津波を観測しました。伊豆諸島、小笠原諸島では津波対策は極めて重要な課題です。

 これまで、南海トラフ沿いでは、おおむね百年から百五十年間隔で多様なケースの大規模地震が繰り返し発生しており、発災の形態に応じた対応が求められています。

 現在、前回の南海トラフ地震から七十年以上が経過し、次の地震の発生の切迫性は高まっており、東京でも伊豆・小笠原諸島には最大約二十八メートルの津波が最短十四分で到達するなど、甚大な被害発生が見込まれます。こうしたことからも、特に島しょ地域での対応力をさらに強化する必要があると考えますが、見解を伺います。

答弁1
総務局長
 島しょ地域での南海トラフ地震への対応についてのご質問にお答えいたします。

 島しょ地域では、南海トラフ地震に伴う津波発生により、甚大な被害が想定されております。

 このため、都は、対処要領の策定や島しょ町村の避難計画の策定支援、発災時の情報伝達訓練などを実施してまいりました。

 先月、南海トラフ地震臨時情報が初めて発表された際には、町村に対して迅速に情報提供したほか、直ちに災害対策本部を設置し、町村と連携して島民等への注意喚起の呼びかけや避難施設の受入れ準備などを行いました。

 時間差での発生も想定される南海トラフ地震の特徴を踏まえ、今後、救出救助と後発地震への備えを両立させる訓練を取り入れるなど、災害対応力を一層高めてまいります。

質問2
 島しょ地域にお住まいの方はもとより、外国人を含む観光客に対しても、南海トラフ地震に関する普及啓発や災害時の避難指示など、必要な情報発信を適切に行っていく必要があります。見解を伺います。

答弁2
総務局長
 南海トラフ地震発生時の迅速な避難についてのご質問でございます。

 島しょ地域では、津波発生時に島民や観光客が迅速に避難できるよう、日頃から普及啓発を行うとともに、発災時に必要な情報を確実に提供することが不可欠でございます。

 都は、町村と連携して浸水想定地域等に看板を設置し、緊急時の避難経路等を周知しております。先月の臨時情報発表時には、都の防災情報を発信するSNSや町村の防災行政無線で、津波発生時の適切な避難行動等について注意喚起を行いました。

 今後、津波の到達や浸水状況をイメージできる動画を活用した避難意識の向上や、観光客向けには、防災行政無線等で英語による避難の呼びかけを始めるなど、取組を強化してまいります。

質問3
 大規模水害が発生したときに住民が適切な避難行動を取るためには、住民一人一人が水害リスクを前もって正しく理解していくことが不可欠です。

 昨年度、都は江東五区の約四十七万世帯に、居住地ごとの浸水状況等をまとめた診断書を配布したと聞いています。今後は、他の区市町村でも自発的に取組が進むようにすることが大切です。近年だけでも、台風の影響で練馬区や世田谷区、大田区などでは越水が生じています。

 そこで、江東五区以外においても住民の適切な避難行動を促進するため、水害リスク診断書の取組を都内全域に広げるべく、区市町村を支援すべきと考えます。都の見解を伺います。

答弁3
総務局長
 水害リスク診断書の都内への展開についてのご質問でございます。

 都民が地域の水害リスクをあらかじめ正確に把握できるよう分かりやすく周知することは重要でございます。

 都は昨年度、江東五区で水害リスク診断書を配布しアンケートを実施した結果、自ら取るべき避難行動への意識の向上などが確認できました。これを踏まえ、診断書の作成、配布、効果検証等のノウハウをガイドラインとして取りまとめ、全区市町村に周知するとともに、六月の説明会では、十団体に対して詳細な説明を行いました。

 今後、都は、個別の自治体へガイドラインを活用した技術的支援や助言などを行い、全ての区市町村が実情に応じた診断書を作成できるよう、積極的に支援してまいります。

質問4
 都は、能登半島地震の災害廃棄物について、国及び石川県からの依頼に基づき、都内自治体等と連携をし、清掃工場での処理受入れに向けて準備を進めるとともに、補正予算の計上によって鉄道コンテナを新造するなど、被災地の早期復興を支援するとしています。

 また、発災後の現地への職員派遣に加え、今般、災害廃棄物の都内での受入れに際し、区市町村と共に廃棄物の性状確認等の現地調査を行うなど、被災地の災害廃棄物処理能力の向上に向けた継続的な取組を実施していくと聞いています。

 首都直下地震が発生した場合、能登半島地震の十倍近い災害廃棄物が見込まれており、大規模水害への対応も含め、平時から万全な備えが必要です。

 都は、区市町村とも連携を緊密にして事前の準備を進め、災害廃棄物処理能力の向上を図るべきですが、見解を伺います。

答弁4
環境局長
 東京強靱化に資する災害廃棄物処理についてでございますが、大規模な震災や水害に備え、膨大な災害廃棄物を迅速に処理するためには、災害対応力の強化が重要でございます。

 都は今年度、区市町村職員を対象に、能登支援の経験を踏まえた災害廃棄物の仮置場の運営など、より実践的な訓練を業界団体と連携して実施いたします。

 また、首都直下地震で想定される倒壊家屋の迅速な解体、撤去など、専門性が求められる人材の育成、確保を進めてまいります。さらに、被災地へ派遣した職員の知見も生かすため、人材活用の在り方を検討し、平時からの備えを万全にいたします。

 これらにより、自治体や業界団体と共に、災害廃棄物処理能力の向上に向けた取組を着実に推進してまいります。

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救急活動

質問1
 コロナ禍を経て、救急出動件数は増加をしており、昨年は約九十一万件を超え、過去最多を更新しています。今年についても、昨年同時期と比較して約一・五万件も増加しており、過去最多を更新するペースです。また、活動時間も、コロナ前と比較すると約三十分も延伸しています。

 救命活動においては、医療機関へ迅速に搬送し、早期に医師の管理下へ置くことが重要です。救急活動の効率化をさらに図る必要があると考えますが、都の取組について伺います。

答弁1
消防総監
 救急活動の効率化についてでございますが、一人でも多くの命を救うためには、救急車を傷病者の下にいち早く到着させるとともに、医療機関へ迅速に搬送することが重要であると認識しております。

 これまで、救急隊の計画的な増隊を進めるとともに、救急隊の端末を改修し、医療機関の傷病者受入れ状況をリアルタイムで確認可能とするなど、迅速な医療機関への搬送に努めてまいりました。

 今年度は、さらなる救急活動の効率化に向け、AIによる音声認識機能を活用した実証実験を実施いたします。

 今後とも、医療機関や関係局と連携し、一人でも多くの命を救えるよう取組を推進してまいります。

質問2
 救急医療の需要が増加する中で救急医療体制を確保するためには、東京ルール事案を受け入れる地域救急医療センターの役割が重要です。センターの負担を軽減し、東京ルール事案を受け入れやすくするためにも、一旦患者を受け入れた後の転院先を確保する取組も不可欠です。

 都は、現在、転院先の選定を担う救急患者受入れコーディネーターを配置していますが、より迅速に転院先を決定できるよう取組を進めていくべきと考えます。都の見解を伺います。

答弁2
保健医療局長
 救急医療における転院先の選定についてでございますが、都では、救急患者を迅速に搬送するため、搬送先の選定が困難な東京ルール事案の患者を地域救急医療センターが受け入れるとともに、転院が必要な場合は、東京消防庁に配置しているコーディネーターが受入先の調整を行っております。

 コロナ禍以降、東京ルール事案数の高止まりに伴い、転院調整件数も増加しております。このため、より迅速に転院先を決定する方策を救急医療対策協議会で検討し、コーディネーターと医療機関相互のデジタル技術を活用した効率的な情報共有が望まれるなどの意見をいただきました。

 こうした意見も踏まえながら、迅速な転院先の選定に取り組んでまいります。

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安全・安心なまちづくり

質問1
 ゲリラ豪雨対策について伺います。

 都内でも本年七月から度重なる集中豪雨が発生し、七月三十一日には板橋区や北区で一時間に百ミリを超える大雨で、白子川から溢水が発生しました。一方で、石神井川の南町調節池などでは、洪水を取水して河川の水位を低下させるなど、これまで整備した調節池等が機能を発揮し、ほかの河川では氾濫がなかったと聞いています。

 我が会派は、かねてより、豪雨に効果を発揮する中小河川の整備を強く主張してきました。今後の整備に向けて、都の見解を伺います。

答弁1
建設局長
 中小河川の整備についてでございますが、激甚化、頻発化する水害から都民の命と暮らしを守るためには、護岸とともに調節池の整備が重要でございます。

 都はこれまで、中小河川の約七割の護岸と二十七か所の調節池、八か所の分水路を整備してまいりました。本年七月末の時間百ミリを超える豪雨では、十か所の調節池で洪水を取水し、河川水位を低下させる効果を発揮いたしました。

 現在、八か所の調節池と谷沢川分水路で工事を実施しておりまして、このうち、分水路ではトンネルの掘削が完了し、今月より本川と接続する水路の工事に着手いたします。加えまして、神田川などで新たな調節池の事業化に向けた検討を進めてまいります。

 こうした取組を推進し、水害に強い都市東京を実現してまいります。

質問2
 また、下水道では、内水氾濫を防ぐ浸水対策を推進する一方、日常生活で発生する排水を適切に処理し、東京の水環境を守る重要な役割も担っています。

 ゲリラ豪雨、台風、将来人口等、下水道を取り巻く環境が大きく変化する中、現行の下水道の整備計画期間が今年度末に満了すると聞いています。

 また、水再生センターの在り方を変更することも考えられますが、それに伴う課題整理にも関係自治体との調整を要します。

 そこで、次期下水道整備計画の策定をどのように進めていくのか、都の見解を伺います。

答弁2
東京都技監
 下水道の整備計画についてでございます。

 下水道は、都民の生活排水を適切に処理するとともに、豪雨時には内水氾濫を防ぐなど、重要な役割を担っております。現在、国の基本方針に基づき次期計画の検討を進めており、関係自治体とも意見交換を行っております。

 多摩地域では、将来的に下水量の減少が見込まれることから、野川処理区に予定していた水再生センターを廃止し、既設の水再生センターの増強などを検討しております。

 区部では、中央防波堤の土地の市街化区域変更に伴う公共下水道区域への編入を予定しております。

 これらの検討を踏まえ、関係自治体と十分に連携を図りながら、次期計画の策定を進めてまいります。

質問3
 近年の台風や集中豪雨等により、水管橋や添架管の損傷など甚大な被害が発生していることから、都では、河川を横断する水管橋等のうち、被災した場合に影響の大きい七十七か所を計画的に地中化しています。

 能登半島地震や本年七月の東北地方での豪雨においても多数の水管橋等が破損し、復旧まで多大な日数を要しており、改めて河川横断管路対策の重要性を認識しました。

 河川の下に水道管を配置することは、技術や施工環境など様々な課題があり、時間のかかることは承知をしていますが、災害等による長期断水リスクを早期に低減させるためには、事業のスピードアップが欠かせません。

 そこで、河川横断管路の対策を着実かつ速やかに実施するための取組について伺います。

答弁3
水道局長
 河川横断管路の対策強化についてでございますが、水道局では、損傷時に断水などの影響が大きい水管橋などのうち、区部及び多摩地区それぞれ七か所、計十四か所を令和十二年度までに地中化する計画であり、現在三か所で取組を進めてございます。

 地中化に当たりましては、関係機関との調整や技術的な検討に時間を要することから、設計を前倒しするなど、事業の迅速化を図ってございます。

 今後とも、地中化を推進するとともに、河川横断管のみで給水している地域へ隣接地域からの新設管を整備するなど、断水リスクを低減させる取組を進めてまいります。

 これらによりまして、事業効果を早期に発現し、災害時の給水安定性をさらに向上してまいります。

質問4
 都は昨年度より、分譲マンションを対象に、専門講習を受講したマンション管理士を派遣し、防災マニュアルの作成などの支援を行ってきました。一方、賃貸マンションは分譲マンションより多くの世帯が住んでおり、都の防災力を強化する上で、賃貸マンションの防災力向上は欠かせません。

 分譲マンションに比べ、賃貸マンションは、居住者の流動性が高いなど特有の課題があり、オーナーが離れて住んでいる場合は防災への関心が低いともいわれています。

 東京全体の安全性を高めるためには、賃貸オーナーの関心や意欲を引き出し、防災活動に取り組んでもらう必要があると考えます。都の見解を伺います。

答弁4
住宅政策本部長
 賃貸マンションの防災対策についてでございますが、賃貸マンションの防災力向上を促進していくためには、オーナーの理解と実行が不可欠でございます。

 都は昨年度から、分譲マンションを対象に専門家派遣を開始し、自主防災組織の立ち上げなどを支援しております。

 今年度は、賃貸マンションにも対象を広げ、居住者の入れ替わりが激しいといった特性を踏まえまして、災害発生時に居合わせた居住者だけで安否確認などの初動対応ができますよう、個々の状況に応じた実践的な提案を行ってまいります。

 今後、賃貸住宅や防災に関する展示会で周知するほか、管理会社等の業界団体を通じてオーナーに利用を働きかけ、賃貸マンションの防災力の向上を図ってまいります。

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都市づくり

質問1
 知事は、所信表明において、現在の都政を取り巻く大きな変化を節目として捉え、歴史や伝統を生かした東京ならではのまちづくりにより、唯一無二の東京の実現に取り組む考えを示しました。

 東京は、都市間競争の激化に直面し、国際競争力などの強化も待ったなしの状況です。首都東京のプレゼンスを一層高め、都民生活を守りながら、将来にわたり夢と希望を抱けるような都市とするため、今後どのように都市づくりに取り組むのか、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 今後の都市づくりについてでございます。

 東京がグローバルな都市間競争を勝ち抜くためには、都市の機能を高め、世界の人々を引きつける都市へと進化させることが必要でございます。

 これまで都は、あらゆる危機に備えまして都市の強靱化に取り組むとともに、都市の活力を支える都市基盤やビジネス拠点の整備などによって、国際競争力の強化を図ってまいりました。

 こうした取組に加えまして、江戸から続く歴史、文化などの世界に誇る魅力や、先端技術がもたらすイノベーションを生かし、東京の国際的なプレゼンスをさらに高めるべく、今後の都市づくりを進めてまいります。

 東京が直面する大きな変化を節目と捉え、世界をリードしていく都市の実現を目指してまいります。

質問2
 その基盤の一つとなるのがインフラ整備です。特に道路は、都市の成長を支え、安全を確保するためには欠かせない都市の血脈ともいえます。我が会派はこれまでも、道路整備の必要性を強く訴えてまいりました。

 しかし、現状では依然としてボトルネックとなる場所で著しい交通渋滞が発生しているほか、震災時には延焼を防ぎ、避難路ともなる道路の完成が進んでいないなど、課題は山積しています。

 このような状況の中、現行の都市計画道路の整備方針は令和七年度に終了すると聞いております。東京の発展と都民生活を守るためにも、一刻も早く今後の道路整備の方針を策定し、都民にも明らかにするべきだと考えます。

 そこで、新たな整備方針の策定に向け、都の取組について伺います。

 都内における令和四年度末の都市計画道路の完成率は、区部で六七%、多摩で六三%です。この三十年間でその差は改善していますが、引き続き多摩地域の道路整備を積極的に進めていく必要があります。特に、北多摩北部エリアに限れば、完成率は四〇%程度と、特に低い状況です。整備促進を求めます。

答弁2
東京都技監
 都市計画道路の整備方針についてでございます。

 安全で快適な都市を実現するためには、首都東京の都市活動を支える道路ネットワークの形成が不可欠でございます。

 都はこれまで、おおむね十年ごとに優先的に整備すべき路線を選定し、計画的、効率的な都市計画道路の整備に取り組んでまいりました。

 現在、平成二十八年に策定した整備方針に基づき道路整備を進めておりますが、計画期間が令和七年度末までであることから、新たな整備方針の検討に着手いたします。

 今後、人や物の交流を支える道路ネットワークを充実するため、区市町と連携し、社会経済情勢の変化や道路に対するニーズの多様化等を踏まえながら検討を進めてまいります。

質問3
 都は、三次にわたり交差点すいすいプランを策定し、主に多摩地域を対象に交差点の渋滞緩和を図っています。その結果、交差点の通過時間が短縮されるなどの整備効果が得られたと聞いています。現行の第三次計画期間は今年度末までとなっていますが、引き続き渋滞緩和を図ることが必要です。

 交差点すいすいプランのこれまでの実績と今後の取組について伺います。

答弁3
建設局長
 交差点すいすいプランについてでございますが、右折レーンや歩道などを設置し、歩行者の安全を確保しつつ、交差点の交通渋滞の緩和を図ることは重要でございます。

 都は、平成六年度から多摩地域を中心に本事業を進め、現在百十八か所で完成または一部完成しておりまして、例えば瑞穂町の栗原新田交差点では、渋滞の長さが百二十メートルから二十メートルに縮小するなど、効果を発揮しております。

 現在の第三次プランの計画期間が令和六年度末であることから、今年度中に次期プランを策定することとし、周辺道路の整備や渋滞の状況を踏まえ、検討を進めてまいります。

 引き続き、地元自治体などと連携し、地域の理解と協力を得ながら事業を積極的に推進してまいります。

質問4
 来年には、東京で世界陸上やデフリンピックが開催されることもあり、選手、関係者をはじめ、世界各国から東京を訪れる方々の受入れ環境を整備する必要があります。中でも公共交通機関には、大会開催時に円滑な移動を提供する役割が求められています。

 両大会の開催を控え、障害のある方や外国人旅行者など、誰もが利用しやすい都営交通となるよう、案内の充実を進めるべきです。見解を伺います。

答弁4
交通局長
 都営交通における案内の充実についてでございますが、都営地下鉄では、運行状況や列車の接近などを駅構内で多言語の文字情報によりお知らせするほか、翻訳アプリや筆談アプリを搭載したタブレット端末を各駅に配備しております。

 また、東京の地下鉄に不慣れな方も安心してご利用いただけるよう、外国人旅行者が多い駅にコンシェルジュを配置しております。

 加えて、本年二月には、聴覚に障害のある方もキーボード入力により多言語で会話が可能な、翻訳対応透明ディスプレーを都庁前駅に設置いたしました。年度内には、国立競技場駅など六駅に追加設置する予定であり、誰もが利用しやすい都営地下鉄の実現に向け、取組を着実に進めてまいります。

質問5
 次に、障害者の外出支援について伺います。

 誰もが安心して外出できる社会を実現するためには、移動に必要な情報を的確かつスピーディーに伝えるなど、訪問先との情報のやり取りを円滑にする支援が有効です。現在、スマートフォンだけではなく、様々なデジタル機器を活用したコミュニケーションサービスが多く生み出されています。

 都は今年度、デジタル技術を活用した障害者の外出時の困り事の解決に向けたスマートサービスの実証を進めていますが、利用者の利便性の高いものとなるよう取組を進めるべきです。見解を伺います。

答弁5
デジタルサービス局長
 障害者の外出支援におけるデジタル活用についてでございますが、障害者が安心してまち中で活動できるよう、様々なデジタル技術の実装に向けて取り組むことが重要であります。

 十一月には西新宿をフィールドに、障害者団体と連携し、都庁と周辺施設で障害者の移動や訪問先でのコミュニケーションを支援する事業を先行実施いたします。

 具体的には、障害者が配慮してほしいことなどを事前に訪問先に伝えることができるアプリや、現地のスマホ映像を基に、オペレーターが音声で道案内をするサービスを実施いたします。利用者の声を踏まえて改善を行い、三月には百施設程度に拡大し、検証いたします。地域の協力を得ながら、デジタルの力で障害者の生活の利便性が向上するよう取組を進めてまいります。

質問6
 築地まちづくりについて伺います。

 我が会派は、築地を食文化の拠点とするのであれば、土壌汚染対策を実施し、都民が安心できるよう万全を期すことを繰り返し求めてきたところであります。また、築地の歴史を踏まえれば、埋蔵文化財についても調査を着実に進める必要があり、これまで都市整備委員会でもその進捗状況を確認してきたところです。

 こうした対策や調査を行った上で、新たな開発計画を都民にとって魅力あるものとする必要があります。四月に事業予定者を選定したとのことでありますが、事業の具体化を事業予定者任せにするのではなく、都も関わりながら、都議会における議論や意見なども踏まえて、計画に反映していくべきだと考えます。

 このたび、東京都は、外部有識者も交えた築地まちづくり事業マネジメント会議を設置しました。マネジメント会議に実効性を持たせ、検討結果を計画に反映していくことが重要ですが、都は、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

答弁6
東京都技監
 築地地区のマネジメント会議についてでございます。

 隅田川や浜離宮など、水と緑に恵まれ、歴史、文化資源など高いポテンシャルを有する貴重な土地を長期間活用する本事業は、東京にとって重要なプロジェクトでございます。

 このため、都は、有識者、都、事業予定者から成るマネジメント会議を設置し、七月に開催いたしました第一回会議では、審査過程で出された附帯意見に関わる意見交換を行うとともに、今後の検討の方向性や進め方等を確認いたしました。

 今後、会議に参加する委員の知見を踏まえ、事業予定者が計画をブラッシュアップしてまいります。その上で、今年度末を目途に、都と事業予定者等で基本協定を締結し、将来にわたって世界に誇れるまちづくりに取り組んでまいります。

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子育て政策

質問1
 不登校の児童生徒数が過去最多を更新した状況を踏まえ、令和六年第一回定例会の代表質問において、学校現場での取組に加え、問題発生を予防する視点も取り入れるべきとの提案を行いました。学校の居心地を向上させ、児童生徒の不安や抑鬱を改善し、不登校やいじめなどの予防につなげていくことは重要です。

 都は、当事者である子供の意見を酌み取りながら、学校の居心地向上のプロジェクトを加速させるとともに、学校現場に過度な負担を強いるものとならないよう配慮すべきですが、見解を伺います。

答弁1
子供政策連携室長
 学校の居心地向上の取組についてでございますが、都は、学校風土を改善し、子供が直面する様々な問題を未然に防ぐ仕組みの構築に向け、居心地向上の取組を組織横断のリーディングプロジェクトに新たに位置づけました。

 具体的には、東京都医学総合研究所と連携し、都立小台橋高等学校において、生徒の意見を取り入れた居心地向上に資する活動を実施いたします。

 実施に当たりましては、生徒や学校との円滑な調整を担う外部人材を活用し、現場の負担に配慮してまいります。

 PDCAの視点を取り入れながら、学校の居心地の向上に継続的に取り組み、生徒のメンタルヘルスのさらなる改善にどのように影響したかを科学的に検証し、生徒が安心して学べる環境を整えてまいります。

質問2
 近年、子育て罰という言葉に象徴されるように、子育てをリスクやコストと捉えるような論調が見受けられます。

 少子化や人口減少といった問題は、本来、国策として国が戦略的に取り組むべき課題ですが、時間的猶予もない中、都は国に先駆けて、〇一八サポートや高校授業料の実質無償化、給食費の負担軽減など、子育て世代に対する財政負担の軽減措置を着実に実施をしてきたところであります。

 一方で、施策が充実しているにもかかわらず、これから結婚や出産を控える方の認知は十分とはいえません。今後、これまで積み上げてきた少子化対策の取組や、社会全体で子育てを応援するメッセージを強力に発信していくべきと考えます。知事の見解を伺います。

答弁2
知事
 少子化対策についてでございます。

 我が国で予想をはるかに超えて進行する少子化は、社会の存立基盤を揺るがす重大な危機であります。

 私はこれまで、〇一八サポートなど、国をも先導する取組を通じて、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向けて、矢継ぎ早に対策を講じてまいりました。

 こうした都の取組を、今子育て中の方だけでなく、これから子育て世代となっていく方々とも共有し、子育てに対する不安感を安心感に変えていくことが重要であります。

 いつかは結婚したい、妊娠、出産したいと望む方が安心して一歩を踏み出すことができますよう、都民目線に立って、不断に少子化対策のバージョンアップを図ってまいります。あわせて、幅広い層に対する戦略的な広報を強化しまして、社会全体で子育てを応援する機運を高めてまいります。

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財政運営

質問1
 補正予算案について伺います。

 長期化する物価高騰が都民生活に与える影響は依然として大きく、都民や事業者を取り巻く環境は厳しい状況が続いています。このような状況を踏まえ、我が会派は、八月に物価高騰対策等についての緊急要望を行いました。

 燃料費高騰により窮地に立たされている運輸事業者への支援に当たってはタクシーを、医療機関等への支援に当たっては歯科技工所も対象に拡大して実施することを併せて求めたところです。

 今回、運輸事業者向け燃料費緊急対策支援事業や医療機関等物価高騰緊急対策事業について、補正予算案として計上され、事業化をされるとのことでありますが、それぞれの事業実施における都の考え方について伺います。

 また、我々の要望を踏まえ、今回の補正予算案には、QR決済を行った利用者に対し、最大で一〇%還元をする暮らし向き安心サポート事業や、十月から定期接種が開始される新型コロナワクチンに対し、高齢者の定期接種に係る自己負担の軽減などについても計上されており、評価をするものであります。

答弁1
東京都技監
 燃料費高騰緊急対策事業についてでございます。

 都内の経済活動や都民の日常の移動を支える運輸事業は、都民生活に欠かせない都市機能であり、事業の安定的な維持に向けた取組は重要でございます。

 このため、燃料費の高止まりにより都民生活に大きな影響がある貨物運送事業者、路線定期運行バス事業者を対象として、昨年度に引き続き支援を実施いたします。

 また、燃料価格の高騰の影響を受けているタクシー事業者につきましても、新たに支援対象として追加いたします。

 今後も円滑な人や物の移動の確保に向け、着実に取り組んでまいります。

保健医療局長
 医療機関等物価高騰緊急対策事業についてでございますが、今回の補正予算において、物価高騰に直面する医療機関等の負担軽減を図るため、昨年度に引き続き光熱費等に対する支援を行います。

 具体的には、物価の上昇率を踏まえ、光熱費の高騰分として一施設当たり最大十五万円、一床当たり最大二万六千円を、食材費の高騰分として入院患者一人当たり最大約九千三百円を支援いたします。

 また、歯科技工所は、診療報酬等により運営されている歯科医療機関から委託等を受け業務を実施しておりますことから、支援対象に追加いたします。

 これにより、物価高騰の影響を価格に転嫁できない医療機関等を着実に支援してまいります。

質問2
 次に、学校給食費について伺います。

 当初予算で、負担軽減に取り組む区市町村に対し費用の二分の一を支援する都の後押しもあり、多くの自治体で無償化が実現しました。今回の補正予算で支援拡充が図られたことで、新たに五市で給食費無償化が決まったとの報道がありました。

 今後も安定的に無償化に取り組むためには、区市町村との連携は重要です。知事の見解を伺います。

答弁2
知事
 学校給食費の負担軽減についてのお尋ねでございます。

 学校給食は、子供たちの健全な成長を支える上で重要な役割を果たしております。

 一方で、学校給食費は多くの家庭にとって大きな負担となっており、本来、国の責任と財源において無償化を実現すべきものであります。

 都は今年度から、国に先行しまして、都内の区市町村が行う学校給食費の負担軽減に向けました取組の支援を行っておりまして、現在、五十の区市町村で給食費の無償化を実施しています。

 今後も国に対して強く働きかけていくとともに、区市町村と連携して丁寧に対応してまいります。

質問3
 子供医療費助成について伺います。

 二十三区では、独自の財源を充てて全員が無償化になる一方、多摩・島しょの市町村では所得制限があるなど、自己負担額が生じています。持続性を踏まえつつ、都内で偏りのない子育て支援策を求めます。知事の見解を伺います。

答弁3
知事
 子供の医療費助成についてであります。

 都は、区市町村が実施する子供の医療費助成事業に対しまして、子育てを支援する福祉施策の一環として、一定の基準の下で補助しております。

 少子化が急速に進行する中、全ての子供の健全な育ちと子育て世帯の経済的負担の軽減を進めるため、子供の医療費助成につきまして、来年十月からの所得制限撤廃を目指し、市町村との協議を加速してまいります。

 全ての市町村が持続的に事業を実施できますよう、総合交付金を措置することを念頭に置きまして、早期の合意を目指してまいります。

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安心安全施策

質問1
 さて、都内では、外国人旅行者がカートに乗って観光を楽しむ様子を目にする機会が増えました。関係者に話を伺ったところ、いわゆる公道レンタルカートというアクティビティーとのことで、インバウンド需要の高まりとともに生まれ、安全性を確保するため独自に協会を設立し、ルールを策定するなど、安全運行に努めてきたとのことであります。

 その後、コロナ禍を経て事業者が入れ替わり、信号待ちの際、従業員が道路上で車両から降車し記念撮影をしたり、不適格車両がばっこするなど、コンプライアンス軽視の事業者が増加をしているようです。

 不適正な状態での走行は、交通事故の誘発や、事故を起こした際に利用者である外国人旅行者が罰則を受けるだけではなく、保険金が支払われない可能性もあると聞き、大変危惧をしています。

 こうした状況の改善のために、公道カートに関わる法令を所管する国土交通省や警視庁、交通管理者など、関係機関が連携して取り組む必要があると考えます。

 そこで、円滑な道路交通環境を維持するとともに、外国人旅行者が東京を楽しんでもらうために、事業者がコンプライアンスを遵守するよう、国や警察、そして東京都が連携を進めるべきです。見解を伺います。

答弁1
政策企画局長
 外国人旅行者向けのレンタルカートについてでございますが、海外からの旅行者が運転してまち中を楽しむレンタルカートについて、適切な車両を提供するとともに、道路交通の安全を確保する走行を徹底することは重要でございます。

 こうしたカートに関しまして、国は一部の取扱事業者に対し、車体の安全基準に係る立入調査や指導を行いました。また、これに合わせまして、警視庁は事業者に対し、車両の安全で適切な走行のルールを守るよう指導を行ってまいりました。

 今後、インバウンドの増加が見込まれる中、都は国に対して全ての事業者に立入調査や指導を行うよう要請するとともに、警視庁において走行時のルールに係る指導を継続するなど、連携して取組を進めてまいります。

質問2
 ペダルがついているものの、こがずに進む自転車を目にする機会も増えています。これは、自転車に分類されるアシスト自転車の基準には適合しないもので、現行の道路交通法においては、原動機付自転車または自動車に該当するものになります。

 しかし、ナンバープレートやヘルメットを着用しない方も多く、スピードも出るため、危険な状況にあると多くの方から指摘を受けています。また、国によっては、運転免許を必要としないところもあり、外国の方への周知も課題です。

 ペダル付原動機付自転車の安全利用に向けて、広報啓発や販売店への指導に加え、さらなる対策を取るべきと考えます。警視総監に伺います。

答弁2
警視総監
 ペダル付原動機付自転車の安全な利用に関する対策についてでありますが、警視庁では、当該車両のルールを周知するため、事故や違反の多い若年層や、日本の交通ルールを熟知しているとは限らない外国人に対する交通安全教育、SNS等による情報発信や販売事業者に対する安全指導などを実施しております。

 また、本年十一月には、ペダルのみで走行させる行為が原動機付自転車等の運転として法律上明確に規定されるところであり、無免許運転や歩道通行をはじめとする悪質、危険な交通違反に対する指導取締りを一層強化してまいります。

質問3
 近年、SNS等のサイバー空間で敢行される投資詐欺、ロマンス詐欺、フィッシング詐欺などが、都民に多くの被害を与えております。

 例えば、投資詐欺では、一般的にLINEのグループチャットを使って投資希望者を集め、違法な投資を勧誘する傾向が多く、このような犯罪は、都民の信頼を揺るがし、安全・安心な社会を脅かす重大な問題となっています。

 また、これらの詐欺によって集められた被害金は、暗号資産に変えられるなどして、現行法による取締りが困難な状況にあります。

 そこで、このような詐欺の被害防止に向け、さらなる広報啓発による犯罪の未然防止やサイバーに強い人材育成にも力を注ぐべきと考えますが、警視総監の見解を伺います。

答弁3
警視総監
 サイバー空間で敢行されるSNS型投資詐欺等の被害防止対策についてでありますが、警視庁では、詐欺の具体的な犯行手口や被害防止対策について、SNS等を活用した情報発信はもとより、高齢者向けのスマホ防犯教室や各種イベント等あらゆる機会を通じて広報啓発活動を推進しております。

 また、全職員がサイバーセキュリティに関する部内資格を取得するほか、サイバーセキュリティに関する技術を有する企業等への職員派遣や、暗号資産に関する捜査手法等の教養などを通じて、対処能力の強化に努めております。

 今後も効果的な広報啓発活動に努めるとともに、人的基盤を強化してまいります。

質問4
 東京は現在、商店街をはじめ町会、自治会、通学路などに設置する際の防犯カメラ購入費補助事業を行っています。累計で約三万三千台に上り、都民生活を見守っています。また、ゲリラ豪雨の激増で河川監視カメラも増設が進んでいます。

 昨年、国土交通省が管理する河川監視カメラ数百台が海外サーバーからの不正アクセスを受け、数か月にわたり稼働を停止した事件がありました。IoT化が進む中、こうした事案を踏まえれば、サイバー攻撃やバックドアへのリスク対策は安全保障上不可欠です。

 例えば、事故が起きた製品は補助対象から除外するなど、規定をより厳格にする取組は必要です。見解を伺います。

答弁4
生活文化スポーツ局生活安全担当局長
 防犯カメラのセキュリティについてのお尋ねでございますが、防犯カメラの運用に際しましては、情報管理に十分留意することが必要でございます。

 町会、自治会等の防犯カメラの設置費用を補助するに当たっては、区市町村で運用に係る基準を定め、適正に運用することを原則とし、映像等の記録を容易に他者が傍受できないようにするなど、厳正な管理を行うこととしております。

 今後、情報セキュリティに関する事故事例等の収集を図り、適宜周知するなど、区市町村の協力を得て、防犯カメラのより適切な運用を徹底してまいります。

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行政手続のデジタル化

質問1
 都は、今年、東京デジタルファースト推進計画を改定し、三年後のデジタル化一〇〇%を達成することや、便利になったと実感のできる質の向上に向けた取組を進めています。

 昨年の都の調査によれば、デジタル化により、行政サービスが便利になったと実感している住民の割合は、約六割にとどまり、利用者目線のさらなる取組が求められています。

 例えば、都営住宅の申込みだけではなく、入居後の各種手続も便利にしてほしい、都民利用の多い税関係の手続にも、さらにオンライン化を進めてほしいという声がよく聞かれます。

 そこで、行政手続のデジタル化推進に当たり、利用者の実感を伴う利便性向上にどのように取り組むのか、見解を伺います。

答弁1
デジタルサービス局長
 利用者目線に立った手続のデジタル化についてでございますが、各局の手続の利便性向上に加え、多くのサービスを担う政策連携団体に対象を広げて取り組むことが重要であります。

 このため、各手続がより簡便に行えるよう新たにガイドラインを定め、年間申請総件数の九割を占める重点手続について、添付資料の削減、審査プロセスの見直しなど、徹底したBPRを各局と行っております。今後はユーザーレビューも活用しながら、改善をフォローアップいたします。

 さらに今年度、全ての政策連携団体について、施設予約や助成金など、利用件数が多い手続の調査を実施しており、優先度を踏まえ、業務改善に着手いたします。

 今後とも、都民の声を伺いながら、利便性を実感できる手続の実現に取り組んでまいります。

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スポーツ振興

質問1
 スポーツ政策について伺います。

 東京は、世界陸上とデフリンピックの開催を来年に控えています。両大会の開催に向けては、スポーツに対する機運をさらに高め、都民、国民が一体となって応援できる魅力ある大会の実現を願っています。特に、大会のレガシーを残すという観点から、未来を担う子供たちにこそ、大会のすばらしさを体感してもらうことが重要です。

 世界陸上の開催に向けては、都は、子供の参画機会を積極的につくるべきと考えますが、見解を伺います。

答弁1
生活文化スポーツ局長
 世界陸上における子供の参画についてでございますが、次代を担う子供たちが夢や希望を育めるよう、大会への参画機会を設けることは重要でございます。

 都は先月、小中学生が参加するワークショップを開催しまして、選手への応援メッセージの送付や競技体験など、大会で実現したい取組について提案をいただきました。今後、大会を運営する世界陸上財団と連携しながら、提案の具体化に向け、検討してまいります。

 また、会場での観戦機会の提供や、大会を支える人々に触れられるバックヤードツアーの企画など、引き続きより多くの子供たちが世界陸上を体感できるよう、多様な参画機会の創出に向けて取り組んでまいります。

質問2
 次に、デフリンピックにおける子供の参画についても伺います。

 デフリンピックは、スポーツのすばらしさはもとより、障害の有無にかかわらず互いに尊重し合うことの大切さ、多様性などを学ぶ機会となります。子供たちが参画することを通じ、多くのことを学び、成長できるよう、都はどのような取組を行うのか伺います。

答弁2
生活文化スポーツ局長
 デフリンピックにおける子供の参画についてでございますが、子供たちが大会を通じて、ろう者の文化を学び、共生社会への理解を深めることは重要でございます。

 大会の象徴となるエンブレムは、ろうの学生たちがデザインし、デザインに込めた思いを聞いた子供たちが決定をいたしました。さらに現在、大会をより身近に感じてもらえるよう、全国の小中高生にメダルのデザインの投票を呼びかけております。

 大会時には、競技観戦や選手入場時のエスコートキッズなど、子供たちが間近でデフスポーツに触れ、その魅力を感じることができる経験を届けてまいります。

 こうした取組を通じて、障害のあるなしにかかわらず、次世代を担う子供たちに貴重な学びの場を提供してまいります。

質問3
 近年、eスポーツは交流ツールとして絶大な人気を誇るとともに、産業においても日本を代表するコンテンツです。また、子供のみならず、障害者や高齢者も楽しめる特性を生かし、交流ツールとして幅を広げています。

 昨今では、不登校対策としてeスポーツを取り入れる学校や、都立高校の部活動で取り組むなど、教育現場においても積極的に活用されています。

 IOCも世界大会を開催することを発表し、国内でも、国体に合わせたeスポーツイベントや、民間主催による高校生の全国大会が開催されるなどの広がりを見せています。我が会派も、中学生の世界大会や教育分野での活用支援を行うことを提言してきたところです。

 以上の観点から、東京都スポーツ推進総合計画の改定に向けて、eスポーツの位置づけを明確にし、議論を深めていくべきと考えます。見解を伺います。

答弁3
生活文化スポーツ局長
 スポーツ推進総合計画についてでございますが、スポーツには健康増進や共生社会の実現などにつながる価値があり、少子高齢化やeスポーツなどの新たな動向、スポーツの現場の実態を捉えながら、政策を展開することが重要でございます。

 都は、計画の改定を昨年末にスポーツ振興審議会に諮問いたしました。審議会では、子供の体力低下や高齢化に伴う担い手の減少、障害者のスポーツ参加に向けたデジタル技術の活用や、国内外のeスポーツに関わる動きなど、スポーツを取り巻く状況を踏まえ、多様な議論が交わされております。

 来年二月には答申をいただく予定でございまして、それを踏まえ、年度内に次期計画を策定いたします。

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環境政策

質問1
 次に、住宅の省エネ化の推進について伺います。

 約七百万戸の住宅ストックがある東京においては、各家庭の省エネ化を促すことで大きなCO2削減効果が期待されます。特に、住宅の断熱化は、冬場のヒートショック抑制に有効なだけではなく、熱中症の多くが住宅で発生している現状を踏まえれば、酷暑対策としても重要であり、我が会派は、既存住宅の断熱化を加速するべきと繰り返し主張をしてきました。

 中でも、都内住宅の約半数を占める賃貸住宅における対策は、より大きな効果が見込まれますが、改修費用を家主が負担する一方、光熱費削減等のメリットは居住者が享受することとなり、取組が進みにくい特徴があります。

 都は、暑さ対策など、都民の健康を守る観点からも様々な工夫を凝らし、賃貸住宅の断熱改修を抜本的に強化するべきと考えます。見解を伺います。

答弁1
環境局長
 賃貸住宅の断熱改修についてでございます。

 カーボンハーフの実現には、約五割の都民が住む賃貸集合住宅特有の事情を踏まえた対策の強化が重要でございます。

 このため、都は今年度、賃貸住宅向けに新たに事業を開始し、窓やドアなどの断熱改修と併せ、改修後の光熱費の目安等が分かる省エネ性能診断を支援しております。

 今後は、断熱性の高い賃貸住宅が選ばれるよう、健康面のメリットや快適性を入居者層に合わせた媒体で発信するほか、業界団体と連携し、賃貸オーナーが円滑に改修に取り組める新たな仕組みを検討いたします。

 これらにより、安心、快適な住まいの確保と家庭部門の省エネ対策を両輪で加速してまいります。

質問2
 次世代型ソーラーセルは、軽量、柔軟という特徴があり、従来の太陽光パネルが設置困難な耐荷重の低い屋根や壁面などにも導入が可能です。主な原材料のヨウ素は、日本が世界第二位の産出量を持ち、特定国に依存しないため、経済安全保障や人権上の観点からも普及を進めるべきです。

 我が会派が次世代型ソーラーセルの重要性を繰り返し述べてきたことを踏まえ、都施設における実証事業や開発企業向けの支援事業も始まりました。民間企業における開発も進み、来年には商用化もスタートしますが、技術的、制度的な課題もあり、量産化にはもう少し時間がかかるのではないかとの懸念の声もあります。

 普及拡大に向け、率先的な需要創出のための都施設への導入など、さらに積極的な取組を展開するべきです。都の見解を伺います。

答弁2
環境局長
 次世代型ソーラーセルの普及拡大についてでございます。

 屋根や壁面などに設置可能な次世代型ソーラーセルは、再エネのさらなる導入拡大につながることから、実装に向けた取組の加速は重要でございます。

 このため、都は、都有施設等での実装検証に加えまして、今年度、事業者の開発等の経費を助成し、早期実用化を促す支援を開始いたしました。また、行政やメーカー、業界団体や専門家等から成る協議会に参画し、需要創出の仕組みや制度面等の課題の解決に向けた議論を行っております。

 今後、実装に必要な法令の整備や施工方法の確立等に向け、関係機関と連携するほか、都有施設等への先行導入など、需要拡大に向けた方策を積極的に検討してまいります。

質問3
 太陽光設置義務化制度を開始するに当たり、我が会派は、都が責任を持ってパネルのリサイクルに取り組むことを強く求めてまいりました。これを踏まえ、都は国に先駆けて、首都圏におけるリサイクルルートの構築に取り組んでいるものと認識をしています。

 八月に閣議決定した第五次循環型社会形成推進基本計画において、太陽光パネルの義務的リサイクル制度の活用を含め、新たな仕組みの構築に向けた検討も開始されています。

 しかし、都内にはリサイクル施設が臨海部の一か所にしかありません。将来の廃棄量の増加に備え、効率的な収集運搬から処理の流れを構築するためには、都内での施設整備に向けた事業者の取組を後押しするべきです。

 事業者の声を丹念に酌み上げ、意欲のある都内事業者を支援するなど、実効性を高めていく必要があると考えます。都の見解を伺います。

答弁3
環境局長
 太陽光パネルのリサイクルについてでございます。

 将来の廃棄量の増加を見据え、環境負荷が少なく、効率的に処理できる体制を着実に整備することが重要でございます。

 都は昨年度、パネルの総重量の八割以上を再生利用できる首都圏の施設を六か所指定し、リサイクル費用の補助を開始いたしました。今年度は、施設を追加公募するとともに、補助の対象も拡大し、一層の活用を促しております。

 今後、国には引き続き家庭用も含めたパネルリサイクルの制度化を強く求めるとともに、高度リサイクルの推進に意欲的な都内の事業者を後押しする方策を検討いたします。

 こうした取組を通じて、パネルに含まれる資源の再利用を促進し、資源循環の質と量の高度化を図ってまいります。

質問4
 我が国において、港湾は、輸出入貨物の約九九%が経由をする国際サプライチェーンの拠点です。近年、世界各国で国を挙げて脱炭素化に向けた取組を推進しており、港湾の分野においても、荷主や船会社が港を選ぶ際の基準として重要視をされています。

 国際的な情勢を踏まえ、国内最多のコンテナを取り扱う東京港も、港湾に係る様々な関係者が緊密に連携し、脱炭素化の取組を強力に進めていくことが必要です。

 都では、昨年三月、東京港カーボンニュートラルポート形成計画を策定するなど、関係者と共に具体的な取組を進めています。一方、民間事業者が脱炭素化を進めようとしても、例えば港湾エリア内に水素ステーションを設置する場合に、現状では港湾法等の規制で設置ができないなどの課題もあります。

 今後、二〇三〇年のカーボンハーフ、さらには二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けて東京港の脱炭素化を推進するためには、排出量の多くを占める民間事業者の脱炭素化に向けた取組も加速させる必要があると考えますが、都の見解を伺います。

答弁4
港湾局長
 東京港における脱炭素化の取組についてでございます。

 都はこれまで、民間事業者と連携し、水素を燃料とした荷役機械の実装に向けた準備など、先駆的な取組を展開しておりますが、カーボンニュートラルの実現に向け、民間事業者の主体的な取組を一層加速させることが必要でございます。

 このため、都は、国の制度も活用して、個別事業者の脱炭素化の具体的な取組やスケジュールを見える化することで、事業者全体の取組をさらに促すとともに、港湾関係者等の意見を聞きながら、臨港地区内での水素ステーションの設置を可能とするなどの規制緩和を検討してまいります。

 今後とも、都は、民間事業者と共に脱炭素化を加速することで、世界から選ばれ続ける東京港を実現してまいります。

質問5
 ツキノワグマ対策について伺います。

 本年二月に都が公開したクマ目撃情報サイトに関し、我が会派の主張を受け、都がTOKYOくまっぷという愛称を採用したことや、市町村と共に機動的に防除対策を展開していることを評価しますが、全国的には熊による人的被害が多発しています。

 幸い、都内では人身被害は出ていませんが、先日もあきる野市で目撃情報が寄せられるなど、確実に市街地での被害は間近に迫っています。

 関係市町村では、全国初の獣害議連が設立され、九月定例会でも、五市町村の一般質問で獣害問題が取り上げられました。

 そこで、熊による人身被害を未然に防止するために、今後も様々な関係者と連携し、対策を展開していくことが重要と考えます。都の見解を伺います。

答弁5
環境局長
 ツキノワグマ対策についてでございます。

 熊の出没が増える時期に向け、人身被害を防ぐため、地元自治体等と連携して対策の充実を図り、熊との予期せぬ遭遇を減らしていくことが重要でございます。

 都は今年度、人と熊とのすみ分けを図る対策等の対象となる市町村を拡大しており、先月の連携会議において活用を促すほか、専門家から効果的な防除対策を学ぶ機会を設けました。

 また、目撃情報を可視化したTOKYOくまっぷにつきまして、利用者アンケートや民間アプリ会社、市町村からいただいた意見などを踏まえ、順次改善いたします。

 今後とも、地元自治体をはじめとする関係者と連携を一層強め、対策の実効性を高めてまいります。

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子育て支援

質問1
 共働き世帯の増加により、学童クラブの利用ニーズが高まっています。昨年五月時点で待機児童数は三千五百二十四人となっており、量的な拡充が求められています。また、保護者の働き方が多様化する中で、時間延長や食事提供など、利便性の向上等も求める声もあります。

 こうした中、東京都は、学童クラブの充実を図るため、新たな認証制度の創設に向け検討を開始しており、八月に第一回の専門委員会を開催したと聞いています。

 今後、具体的な仕組みの構築に当たっては、学童クラブの実施主体である区市町村が抱える課題を踏まえるとともに、先進的な取組を参考にして効果的な制度を検討していくべきです。都の見解を伺います。

答弁1
福祉局長
 認証学童クラブ制度についてでございますが、都は、子供や保護者のニーズに応じた多様なサービスを提供できる認証制度の構築に向け、今年度、学童クラブの運営実態を把握するため、区市町村に対し調査等を実施しておりまして、運営を支える人材の確保、定着や実施場所の確保等が課題との意見がございました。

 また、先月には、創意工夫を凝らした多様なプログラム提供を行うなど、特色のある運営に取り組み、認証制度の検討に協力していただく区市町村の募集を開始いたしました。

 今後、こうした先行事例を検証し、新たに立ち上げた専門委員会での意見や区市町村の実情も踏まえまして、認証制度の創設に向け、検討してまいります。

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高齢者対策・医療政策

質問1
 介護ニーズがますます増大していく中で、介護人材対策は喫緊の課題です。

 国の推計では、介護が必要な高齢者を支える介護職員の数は、団塊ジュニアの世代が高齢者となる二〇四〇年度には二百七十二万人となり、これは現在の約二百十五万人から、実に五十七万人もの人材を増やすことが必要であることを意味します。

 都が実施した介護人材の需給推計でも、二〇三〇年度には四万七千人の人材不足が見込まれています。昨今、あらゆる業界で人手不足や賃金の上昇により人材獲得競争が激化する中、今後どのように介護人材確保に取り組むのか、都の見解を伺います。

答弁1
福祉局長
 介護人材の確保についてでございますが、都は今年度から、多様な人材の参入を促進するため、介護の仕事のイメージアップを図る事業を実施するほか、国が報酬等について必要な見直しを講じるまでの間、介護職員等に居住支援特別手当を支給する事業者への支援を開始いたしました。

 また、海外からの介護人材の獲得に向け、事業者団体等と連携して、海外の就職イベントに出展し、現地で東京の介護現場の魅力を発信するほか、特定技能外国人の受入れ施設等が登録支援機関などに支払う紹介料を補助する事業を開始いたします。

 今後、都民に必要な介護サービスが確実に提供されるよう、介護人材の確保に取り組んでまいります。

質問2
 先日、武蔵野市の民間病院が、建築資材の高騰などから建て替えが困難となり、病院を休止するとの報道がありました。こうした建て替えによる問題は、今後も都内の他の地域でも起こり得る事態だと考えます。

 食材費や光熱水費などの物価高騰が続く中、病院の経営は一層厳しさを増しています。また、人手不足を背景に、紹介手数料が高騰していることも病院経営を圧迫する要因となっており、国とも協議するべき課題です。

 物価高騰対策をはじめ、建て替え支援や医療人材の確保など、東京の地域医療が安定的に確保できるよう、取組を推進するべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁2
保健医療局長
 地域医療の確保についてでございますが、都は、地域における安全・安心な医療提供体制を確保するため、医療機関に対し、ハード、ソフトの両面から必要に応じた財政支援を実施しております。

 具体的には、施設の改築や耐震化の整備などへの補助を行いますとともに、がん対策や救急医療など、疾病、事業ごとに医療提供体制の整備や医療人材の確保などへの支援を行っております。

 また、今回の補正予算案では、物価高騰に直面する医療機関の負担軽減を図るため、光熱費等の支援策を計上しており、地域医療の確保に向けた取組を推進してまいります。


 引き続き、都政を取り巻くあまたの課題に真正面から全力で取り組むことをお誓い申し上げ、都議会自民党の代表質問を終わります。

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