都内の出生数、出生率の減少
質問1
まず最初に、都内の出生率について伺います。
昨年の東京都の合計特殊出生率は、公表数値としては初めて一を切る〇・九九と過去最低を更新し、晩婚化との要因を踏まえても、都内の出産、子育て環境には大きな問題を抱えていることは明白です。
例えば出産費用についても、東京都は、全国対比最も高く、六十万円を超えており、国の出産一時金は五十万円に増額されましたが、それでも自己負担は十万円を超える状況です。
また、学校教育においては、授業料や給食費以外でも、学用品等にも出費がかさみ、学校外でも習い事や塾にも出費が必要な中、都内の子供たちを取り巻く環境の改善は急務です。
小池都知事は、就任後、卵子凍結を含む不妊治療の拡充や〇一八サポート、令和六年度から高校授業料の実質無償化や学校給食費の助成等、様々な子育て施策を進めてきましたが、都として、さらなる支援としてはどのような施策展開が必要と認識をしているのか伺います。
答弁1
子供政策連携室長
少子化対策の推進についてのご質問についてでございますが、少子化の要因は複合的で多岐にわたることから、都はこれまで、結婚支援や子育てサービスの充実、就労支援の充実、職場環境整備の推進など、ライフステージを通じた幅広い対策を展開してまいりました。
今後とも、少子化を取り巻く課題や都民ニーズを踏まえた多面的な取組を積み重ねてまいります。
コロナワクチン接種の救済制度
質問1
次に、ワクチン接種の副反応について伺います。
昨年の五月、コロナウイルスの感染症の分類が二類から五類に変更され、はや一年が経過をいたしました。コロナ感染者は、都内の一医療機関当たりの平均患者数を見ても、今年五月四週目で二・九七人、二月には平均患者数が十人を超える週もありました。
都立病院のコロナ後遺症相談窓口では、コロナの後遺症に悩む相談が累計一万五千八百三十七件、令和六年の一月から三月だけでも二百七十三件寄せられています。相談窓口は、都立病院から後遺症対応医療機関へと三月末に移行されましたが、都として、後遺症を患っている都民に対しての情報提供と必要な支援を引き続き要望いたします。
また、忘れてはいけないのは、これまでコロナとの闘いにおいてワクチンは大きな役割を果たしてきた一方、ワクチンの副反応による健康被害も数多く報告されています。
ワクチン接種の副反応における健康被害においては、医療費や死亡一時金が支給される救済制度は設けられておりますが、厚労省の発表を見ると、昭和五十二年からの累計で、全ワクチンの健康被害を大きく超えるワクチン被害となっている状況です。
予防接種健康被害救済制度において、これまで東京都から厚生労働省に送付した件数、医療費、死亡一時金、障害年金の認定件数、否認された件数を伺います。
国において救済制度はありますが、ワクチンの副反応に今もなお苦しんでいる都民の方もおり、東京都としても必要な支援をお願いできればと要望しておきます。
答弁1
保健医療局長
コロナワクチン接種の救済制度に関するご質問にお答えいたします。
コロナワクチン接種を受け、健康被害が生じた場合、医療費等の給付が受けられます。申請は区市町村に行い、国の審査会で因果関係が審査されます。
都内区市町村から国への申請件数は、本年五月末までに千九十二件であり、そのうち認定が医療費等六百十一件、死亡一時金等五十三件、障害年金等四件であり、否認が百六十六件、その他は審査中となっております。
表現の自由
質問1
次に、不健全図書について伺います。
不健全図書指定制度は、昭和三十九年から約六十年間続く制度であり、時代に合わせて、不健全の呼称を含め条例の見直しが必要だと多くの声が寄せられ、昨日の代表質問では、不健全の呼称の変更について前向きな答弁が都からあり、大きな前進の一歩となった日でした。東京維新の会としても、いち早く不健全との呼称の見直しを行っていくよう要望をしておきます。
私自身も令和三年から一年間、青少年健全育成審議会の委員を務めてきましたが、審議会の公正性、透明性については疑問を感じました。諮問される図書の選定方法の基準が明確ではなく、また、諮問される図書がほぼそのまま審議会では不健全図書と指定をされている現状は、不健全図書の指定を恐れ、作家の表現活動を萎縮させてしまっています。
審議会は非公開、発言者についても氏名は非公開の審議会で、不健全図書として烙印を押されたことが、結果的には、通信販売を行う事業者においても流通の自主規制のきっかけとなり、東京都の指定が全国に波及する事態となっています。
現在、青少年健全育成審議会の議事録の発言者氏名は、行政職員以外は非公開になっていますが、少なくとも都民から負託を受けた都議会議員の委員の発言については、議事録に氏名を記載すべきと考えますが、見解を伺います。
答弁1
生活文化スポーツ局生活安全担当局長
青少年健全育成審議会の議事録についてのお尋ねでございます。
審議会では、委員が自由に発言できる環境を担保する必要があることから、氏名については一部非公開とすることとしております。
質問2
次に、広告宣伝車、いわゆるアドトラックについてお伺いいたします。
東京都屋外広告物条例施行規則を一部改正し、六月の三十日には、都外ナンバーの広告宣伝車に対し、規制の強化がスタートいたします。
アドトラックのデザインが景観を損なう理由での規制強化により、内照式等のアドトラックにはデザイン審査の義務づけ、そしてLEDを搭載しているアドトラックについてはデザイン審査を受けることも許されず、一律禁止となっております。
デザイン審査においても、どのようなデザインが規制をされるのかは今後注視をしていく必要がありますが、一番の問題点は、LEDを搭載しているアドトラックの一律禁止です。
LED車をデザインや明度にかかわらず全てを禁止することは、新しい広告技術の発展に大きな影を落とすものと考えます。規制強化後に検証を実施し、見直しを進める必要があると考えますが、都の見解を伺います。
これだけ多様なアドトラックが走っている東京の新しい景色を、不快だからという理由で規制をするという考えでは、新しい表現文化を育てることはできません。LEDを搭載しているアドトラックの一律規制は過度な規制といわざるを得ず、民間企業の創意工夫を阻害する規制になっており、改めて見直しを求めます。
答弁2
東京都技監
広告宣伝車に対する規制についてでございます。
東京都屋外広告物条例施行規則では、交通安全確保の観点から、LEDビジョンなどにより映像を映し出す広告物の自動車の外面への表示を禁止しており、本年六月三十日から都外ナンバーの広告宣伝車にも適用されます。
今後、関係機関と連携し、事業者への継続的な周知や走行状況調査、取締り等を行い、規制の実効性確保に取り組んでまいります。
国内で実施される大規模イベント
質問1
次に、今後、国内で実施をされる国際大会及びイベントについて伺います。
二〇二五年、二つの国際スポーツの祭典が東京で開催されます。世界陸上、そしてデフリンピックが予定されており、デフリンピックは、日本では初の開催になります。
デフリンピックを契機として、デフスポーツの振興やユニバーサルコミュニケーション技術の普及に向けた取組など推進はもちろんのことながら、実際に多くの子供たちが現場で見れるような体制づくりが必要だと思いますが、どのように計画をしているのか、お伺いいたします。
答弁1
生活文化スポーツ局長
デフリンピックでの子供の観戦についてでございますが、昨年度公表したビジョン二〇二五アクションブックにおきまして、大会を通じてスポーツのすばらしさや互いに尊重し合うことの大切さを学んでもらうため、子供たちに観戦機会を提供することとしております。
質問2
二〇二五年の大阪・関西万博では、教育旅行パンフレットを作成し、全国の学生、子供たちに門戸を開いています。日本で初めてとなるデフリンピックを多くの子供たちに体験してもらえるような機会の提供について、都としても取り組んでいただくよう要望しておきます。
平成三十一年第一回東京・大阪連携会議が東京都庁で開催をされました。小池都知事、当時の松井大阪府知事、吉村大阪市長が出席をし、東京都、大阪府、大阪市が、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会から二〇二五年の大阪・関西万博への成功のバトンを着実につなぎ、都市としてさらなる進化や日本全体の持続的な成長を実現していくことが目的とされていました。
取組を進める際の方針として、東京・大阪宣言が行われ、その中では、日本で今後開催される東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会、二〇二五年の大阪・関西万博といった世界的なメガイベントを成功に導き、価値あるレガシーを次世代に継承するため、東京二〇二〇大会から大阪・関西万博を一連のものとして捉え、東京と大阪が連携し、成功のバトンをつないでいくと記載がされています。
そして、令和元年第二回東京・大阪連携会議では、大阪・関西万博に向けてとして、機運醸成の相互連携や東京二〇二〇大会のレガシーの共有と挙げられておりましたが、実際に東京都ではどのような施策を展開しているのか、お伺いいたします。
答弁2
政策企画局長
万博に関わる施策についてでございますが、万博は、食や文化のほか、地域の魅力など日本の強みを世界にアピールする機会でございます。
都では、都庁舎等でのPRに加え、教育やスポーツなどの分野で機運醸成を行っております。
都内の観光振興
質問1
次に、宿泊税についてお伺いいたします。
宿泊税は、観光施策に要する費用に充てられる目的税ですが、都の観光産業振興費と宿泊税収入に大きな乖離が生じており、東京都税制調査会からは、引上げが妥当という報告がありました。
そもそも宿泊税の課税の根拠としては、受益者負担の考えに基づいて宿泊者に課税していますが、宿泊者は、宿泊だけでなく、宿泊する地域において、宿泊以外の消費活動も併せて行っており、地域の民間の収益にも貢献をしています。自治体に対し一定の税収をもたらしている中で、さらなる税負担を求める税制調査会の報告については、到底賛成できるものではありません。
都議会では、高額な宿泊施設では見直すべきとの声もありますが、高額な宿泊施設の利用者は、それに見合った消費活動を行っており、支払い能力があるからといって、さらなる宿泊税の負担を求めていいという理由にはなり得ません。宿泊税については、今後どのような見直しを行っていくか、都の見解を伺います。
答弁1
主税局長
宿泊税についてでございますが、制度の創設時と比べ、高額な宿泊施設の増加や他の自治体における制度の導入等、宿泊税をめぐる状況は大きく変化しています。
こうした状況を踏まえ、宿泊料金の動向調査等を行い、都の観光振興施策の展開や税への負担感を勘案するなど、引き続き見直しについて検討してまいります。
質問2
次に、特定複合観光施設に関する調査分析について伺います。
港湾局では、平成二十六年度から、カジノをはじめホテルや国際会議場、ショッピングセンターなどを複合的に開発するIR、統合型リゾート施設の誘致を調査していますが、令和二年度から令和四年度では委託調査の実施を見送っており、報告書も提出をされておりません。令和五年度においては調査を実施したのか、また、報告書は提出をされるのか伺います。
令和六年度においては、既に調査費用が計上された予算が都議会において議決をされています。令和六年度においては執行する意思があるのか、また、どのような調査を予定しているのか、報告書を作成する計画があるのか伺います。
議決された予算を何年度にわたって執行しないということは、都議会の議決を軽視しているといわざるを得ません。執行する気のない予算を上程することも同様です。令和二年度から予算組みをしているにもかかわらず、一切の調査を行ってこなかったのは、コロナ禍を加味しても異常事態です。担当部局においては、予算を組んでいるわけであるので、一部の批判を恐れず、本年度については、議会の議決どおり適切な予算の執行を求めます。
答弁2
港湾局長
IRについてでございます。
令和五年度の調査につきましては、新型コロナウイルス感染症の状況などから実施しておりません。
都はこれまで、IRについて、メリット、デメリットの両面から総合的に検討してきたところでございまして、引き続き検討を行ってまいります。
質問3
東京のナイトライフを充実させることは、さらに今後、海外からの観光客が増えてくる中で必要であり、プロジェクションマッピングという技術については、東京のライフを盛り上げる重要なツールです。
都庁のプロジェクションマッピングについては、都は、経済波及効果は十八億円と想定していますが、どのような試算を行っているのか、また、検証は可能なのか伺います。
答弁3
産業労働局長
プロジェクションマッピングの経済波及効果についてでございますが、都庁舎に投影するプロジェクションマッピングの経済波及効果は、東京都産業連関表を用いた分析ツールにより試算しております。
具体的には、公益社団法人日本観光振興協会を通じ、映像の制作や機材の設置工事などのほか、プロジェクションマッピングを見た旅行者の飲食などの観光消費が生み出す効果を推計しております。観覧者数は、開始から三か月で二十万人を超え、東京の新たな観光名所として大きな効果を生み出しております。
質問4
都庁のプロジェクションマッピングは、本来民間企業の経済活動を活性化する動線づくりや、民間企業のプロジェクションマッピングの導入の旗振り役と本来ならなければなりませんが、その道筋は見えません。
プロジェクションマッピングを行政が一〇〇%税金でなぜやるのか。また、都庁のプロジェクションマッピングについては、東京都庁の周辺は高層ビルが林立しており、観覧できる範囲がとても狭い範囲で限定的だという声もあり、どのように考えているのか伺います。
都庁のプロジェクションマッピングがなければ、ほかで使われていたであろう観光消費を下回った場合、観光施策としてはマイナスとの声もあります。早期に、行政が税金を主体に実施をするのではなく、民間でできることは民間にの精神の下、民間主体の事業への道筋となるよう要望して、質問を終わります。
答弁4
産業労働局長
プロジェクションマッピングの実施場所についてのご質問でございます。
海外から数多くの観光客を誘致する上で、東京の代表的なランドマークである都庁舎をはじめ、都内各地でプロジェクションマッピングを投影することは効果的でございます。
東京の観光振興に係る有識者会議の中でも、プロジェクションマッピングを都庁舎に投影するダイナミックな取組は、東京ならではの観光資源になるとの趣旨の意見を頂いております。
なお、プロジェクションマッピングの国際大会では企業からの協賛を受けており、今後もこうした工夫を積み重ねてまいります。