育業
質問1
私ごとながら、昨年十月に第一子が誕生いたしました。今月で八か月になるところなんですが、子育ての経験を都政に生かしたい、また、議員として、男性の育児参画を率先垂範したいとの思いから、先月、育児休業、いわゆる育業を取ることにいたしました。
しかし、正直に申し上げると、しっかりと育業することはできませんでした。
都議会議員という立場で仕事から離れることはやはり容易ではなく、課題を自ら痛感しつつ、妻にも息子にも本当に申し訳なく思っていますが、しかし、女性活躍をはじめ日本の社会課題を解決していくためにも、男性こそ育業を取るべきという考えは変わっておりません。
都では、男性育業の普及に向け様々な取組を行っており、令和五年度には取得率が約四割まで上昇するなど高い成果を上げています。しかし、課題、ハードルはまだまだ多いです。
都が行う男女雇用平等参画状況調査によると、育業取得に当たっての課題の一位は代替要員の確保が困難、二位は休業中の賃金保障、三位は職場がそのような雰囲気でないとなっています。つまり、職場に穴を空けることによる同僚への影響、同僚からの捉えられ方を気にして取得できない傾向があります。
社会環境として、育業取得を迷惑がられるものから、ありがたがられるものに転換をする必要があります。
妻の勤務する民間企業では、昨年から産休、育休を取得した社員の職場の同僚全員に一時金を支給する制度を導入いたしました。妻もこの恩恵を受けまして、産休、育休に入るに当たっては、むしろ口々に、ありがとうといってもらって、心が楽になったとのことでした。
私はこの話からヒントを得て、我が会派から育業する本人の同僚に対する応援手当の創設を提案し、今年度予算で実現されたことには、一父親としても感謝申し上げます。
こうした民間の先進モデルも踏まえて、職場全体の育業への理解を深め、応援する環境づくりを支援していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
なお、本日、先ほど、厚労省が最新の合計特殊出生率を発表しましたが、東京は〇・九九となり、初めて一を切ってしまいました。まさに国難ともいえる状況ですが、国に先駆けて打ち出してきた小池知事の少子化対策がなければ、もっと歯止めがかからなかった可能性も高く、引き続きの取組に心から期待いたします。
答弁1
知事
育業の促進についてのお尋ねでございます。
育児か仕事かの二者択一ではなく、誰もが育児と仕事の両方で輝ける社会を実現していくことが重要です。そのために周囲が育業を理解し、組織を挙げてサポートする意識を根づかせてまいります。
こうした思いの下、育業する人の同僚の負担感を和らげる取組に力を入れます。民間の先進的な事例も参考にしながら、育業を支える社員に対しまして表彰や手当の支給を行う企業に、インセンティブを付与してまいります。
男性育業を応援する取組も加速をいたします。男性が自らの育児経験を職場に広める仕組みや先輩社員に相談できるメンター制度など、男性が育業しやすい組織づくりを促してまいります。
これらによりまして、誰もがためらうことなく育業ができ、仕事にも家庭にも存分に力を発揮できる東京をつくり上げてまいります。
セーフ シティ
質問1
能登半島地震の発生から約五か月が経過いたしました。今もなお被災地では懸命な復興が行われています。
都は様々な支援のため、多くの職員を被災地に派遣するとともに、都営住宅での被災者受入れも行ってきたところです。
五月末で輪島市における避難所運営等の対口支援は終了しました。
今後、被災地は応急復旧期から復興期へとフェーズが移行していきますが、都としてどのように支援に取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
答弁1
知事
災害についてであります。
能登半島地震による被災地への支援についてのお尋ね、被災地に安心を届けるため、発災直後に指示を出しまして、避難所の運営や水道、下水道の応急復旧等にこれまで都から延べ約一千七百人の職員を派遣するなど、被災地の支援に積極的に取り組んでまいりました。
応急復旧は進んだものの、道路や漁港などの被害は大きく、農業、漁業、伝統工芸などの特色ある産業や、被災者の暮らしとコミュニティの再建など、本格的な復興はいまだ道半ばでございます。先日も最大震度五強の地震があるなど、被災者の方々の不安は続いております。
都は、これからも被災地を支えていくため、インフラの復旧や仮設住宅の建設などに中長期の職員派遣を開始いたしました。さらに、今月一日、二日に都民広場で行いました石川県の特産品販売などの応援イベントの開催や、住民同士の交流などを支えるボランティア派遣など、被災地に寄り添った取組を進めているところでございます。本日もこれ、輪島塗でございます。
今後もニーズを的確に把握しながら、全力で支援に取り組んでまいります。同時に、被災地支援の経験を東京の災害対応力の向上に生かしてまいります。
質問2
また、我が会派は、能登半島地震の経験から、罹災証明の迅速化について指摘をしてきました。この件については、小池知事から国に緊急要望を行うなど、素早い対応をされています。いつ首都直下地震が起こるか分からない東京にとっても、決して他人ごとではありません。
大規模地震の発災時における罹災証明のスピードアップについて、都における進捗状況を伺います。
答弁2
総務局長
罹災証明書交付の迅速化についてのご質問にお答えをいたします。
罹災証明書を円滑に交付するためには、その前提となります住家被害認定を速やかに行う必要がございます。
本年三月、都は、住家被害認定に関しまして、他自治体からの応援職員の権限拡大、実施手順や基準などの見直しにつきまして国へ緊急要望し、応援職員も認定業務を行えるとの見解が新たに示されました。引き続き、実施手順の徹底した簡素化や、六段階ある認定基準の見直しを要望してまいります。
今後、都は、首都直下地震などに備えまして、住家被害認定の迅速化等に向け、独自に開発した業務支援ツールのAIの解析精度を高めるなど、被災者に寄り添った生活再建の実現につなげてまいります。
スマート シティ
質問1
また、能登半島地震では、基幹ライフラインである水道に深刻な被害が生じ、地中漏水など目視できない漏水も多く発生いたしました。漏水は、道路陥没や建物への浸水など二次被害をもたらす危険があり、早期の発見、速やかな修理が重要です。
水道局では、多くのマンパワーをかけた漏水調査に取り組むことで、三十年前には一〇%を超えていた漏水率を、近年は三%台まで低減させていますが、今後、労働力人口の減少に伴い、担い手が不足をすることも予想されます。
我が会派では、これまでもサービスの向上や業務の効率化に向け、水道事業におけるデジタル技術の活用を求めてきました。
漏水調査においてもデジタル技術を活用し、より効率的に実施すべきと考えますが、都の見解を伺います。
答弁1
水道局長
漏水調査へのデジタル技術の活用についてでございますが、安定的な給水確保や漏水事故の未然防止のためには、漏水調査を計画的、継続的に行うことが重要でございます。
今後、労働力人口が減少していく中でも、二万七千キロメートルに及ぶ管路を調査するためには、デジタル技術を活用した漏水リスクの高い箇所の特定が有効でございます。
このため、今年度から、人工衛星から得られる地盤情報や交通量等のオープンデータ、局の有する管路情報などを基に、AIが漏水リスクを評価する技術等の実証を行い、より効果的な調査方法の確立に取り組んでまいります。
今後ともデジタル技術を積極的に活用し、業務の一層の効率化を図り、持続可能な水道システムを構築してまいります。
質問2
関連して、スマートメーターについても伺います。
水道施設整備の基本となる配水量の予測は、適切な見通しの下、設定していく必要があります。この配水量予測を精緻化することは、配水施設の維持コストはもちろん、年間約八億キロワットアワー、都内電力需要の約一%を消費する水道における電力使用の適正化にもつながります。
都は、令和二年度に水道スマートメータトライアルプロジェクトを開始、令和六年度までに十三万個のスマートメーターを設置することとしており、ここから年間を通じたデータ取得が可能となります。より精緻なデータを得ることで予測精度の大幅な改善につながると考えます。
そこで、将来の適切な施設整備に向け、スマートメーターからのデータを使用し、最大配水量予測の精度を高めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
答弁2
水道局長
水道需要の見通しへのスマートメーターの活用についてでございますが、スマートメーターから得られるデータにより、日々の使用水量やピーク時間帯等の動向把握が可能となります。
一方、今後の水需要の見通しの精度向上に役立てるためには、継続的なデータの蓄積、天候や気温など、ほかのデータとの相関の確認とともに、社会経済状況等も総合的に勘案していくことが必要でございます。
このため、今年度から民間等と共同して、水使用に関する実態や傾向を解析する技術の調査研究を行うなど、蓄積したデータを活用する環境を整備し、詳細な水使用の動向の分析に取り組んでまいります。
東京港周辺の交通
質問1
東京港の交通混雑解消に向けた取組について伺います。
いわゆる物流の二〇二四年問題に関連したトラックの輸送力不足により、物流の停滞が懸念をされていますが、その対策の一つとして、ドライバーを拘束する荷待ちの時間をいかに短縮するかがあります。
我が国の物流の要衝でもある東京港でも、トラックの集中を分散させるため、コンテナ搬出入のためターミナルに来場する時間を事業者があらかじめ選択する予約制など、様々な取組を進めてきています。
都は、二〇二四年問題が顕在化する中で、トラックの待ち時間の短縮に向け、コンテナターミナル周辺の混雑解消の取組を強化していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
答弁1
港湾局長
東京港の交通混雑解消に向けた取組についてでございます。
ターミナル周辺におけるトラックの待機時間を短縮するためには、荷主やトラック事業者等の皆様に対しまして、混雑する時間帯を避けたご利用を促すことが重要でございます。
このため、都は、コンテナ搬出入の予約制を一層普及させるため、これまで実施してまいりました大井ふ頭に加えまして、今年度は新たに青海ふ頭のターミナルで予約制を実施いたします。
また、荷主の皆様等に対しまして、配送時間の見直しを促すため、リアルタイムの混雑情報に加えまして、新たにターミナルごとの混雑傾向を分析し、時間帯別や曜日別に整理して情報を発信いたします。
こうした取組によりまして、夕方に集中するトラックの分散化を図り、ターミナル周辺の交通混雑を解消してまいります。
学校外における学び
質問1
次に、フリースクール支援についてです。
昨日の我が会派の代表質問で、フリースクール支援に関する制度の詳細や今後の周知、広報など、具体的な答弁がありました。
こうした支援制度の創設は極めて重要な一歩ですが、同時に、子供一人一人が持つ無限の可能性を引き出す環境づくりにも取り組んでいくべきです。
学校外における新たな学びの創出にもチャレンジしていくべきと考えますが、見解を伺います。
答弁1
子供政策連携室長
学校外における多様な学びについてでございますが、フリースクール等に通う子供一人一人の特徴、特性を伸ばし、成長をサポートするため、知的好奇心を最大化するメソッドについての調査研究事業を開始いたします。
具体的には、科学や芸術、ものづくりなど、様々な分野の知見を有する大学等が研究チームを組成し、フリースクール等に通う子供が研究活動に参加することを通じまして、子供の興味、関心を掘り下げてまいります。
取組を通じて得られた成果は、事例集として取りまとめまして、フリースクールや不登校の子供を支援する団体等に幅広く提供し、実践につなげていくことで、学校外における学びの充実を図ってまいります。
ユニバーサルコミュニケーションの促進
質問1
いよいよ来年、東京でデフリンピックが開催されます。我が会派はこれに向け、最新のデジタル技術の活用で、物理的、心理的なバリアを取り除き、障害のあるなしにかかわらず、誰もが輝ける社会の実現に取り組むよう求めてきました。
これに応じて都は、聴覚障害の方と円滑なコミュニケーションを図ることができる、みるカフェなど、技術の実証やPRに努めてきました。
大会を契機に、こうした取組をより加速をしていくとともに、世界中の注目が集まる大会においても技術を活用することで、社会における認知を飛躍的に高め、ユニバーサルコミュニケーションを促進していくことが重要ですが、今後の都の取組を伺います。
答弁1
生活文化スポーツ局長
デフリンピックを契機としたユニバーサルコミュニケーション促進への取組についてお答えいたします。
ユニバーサルコミュニケーションを促進するには、様々な場面でデジタル技術を活用し、その有用性をPRすることで、社会への普及へとつなげていくことが重要でございます。
そこで、今月から、都庁舎など三十八の都有施設に音声を多言語で表示するディスプレーを設置し、多くの方に実際に触れ、ご利用いただきます。
また、大会時は競技会場でのユニバーサルコミュニケーション技術の活用に加えまして、新たに選手の交流拠点となるデフリンピックスクエアでの先端技術の活用も検討いたします。
これらの取組を広く発信することによりまして、ユニバーサルコミュニケーションの社会への浸透を図ってまいります。
ソーシャルファーム
質問1
一人一人がその個性を生かして輝く共生社会の実現に向け、重要な取組の一つがソーシャルファームであります。
国会議員時代から日本での創設を目指してきた知事は、令和元年、我が会派の提案に応え、全国初の条例による認証制度をスタートさせました。令和三年に初めての認証事業所が誕生して以来、その数は順調に増加しています。
企業のダイバーシティへの意識の高まりとともに、障害者やひとり親、ひきこもりなどの雇用の場として、認知度は確実に高まっていることを実感します。
全国に先駆けてスタートしたソーシャルファームについて、これまでの取組を踏まえ、その普及と自律経営への支援をさらに進め、就労困難者の雇用の場として広く定着させていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
答弁1
知事
ソーシャルファームの取組についてであります。
誰もが輝き、多様性あふれる未来を切り開く。そうした思いを常に胸に刻み、就労に困難を抱える方々の活躍の場を広げる施策を展開してまいりました。その象徴が、我が国初の条例により創設を進めましたソーシャルファームでございまして、今、全国に広く波及をいたしております。
制度の開始以来、ソーシャルファーム創設に意欲ある事業者に向けて、就労困難者の雇用に関する助言や立ち上げへの助成など、伴走型の支援を行ってまいりました。先進的な事業モデルを広く伝える情報発信や、認証事業所と都民や起業家との交流会など、社会の意識を変えるムーブメントも広げてまいりました。
これらを通じ、四年間で七十事業所の認証などを行いまして、障害のある方、ひとり親やひきこもりを経験された方など、約二百七十名の雇用に結びつけております。
今後、幅広い業種や業態での創設を後押しするほか、取引先の開拓など経営力を高める支援にも力を入れてまいります。これによりソーシャルインクルージョンの広がりを確かなものといたしまして、社会に根づかせてまいります。
環境施策
質問1
大手ハウスメーカーに対し、新築住宅等に対し太陽光パネルの設置を義務化する新制度の開始まで一年を切る中、私の地元練馬区でも、これに取り組む事業者を目にする機会が増えてきました。電気料金が高止まりする中、こうした動きと軌を一にし、既存の住宅でも設置が進むような取組を行うことが重要であります。
都は昨年度から、都民が事業者を通じて太陽光パネル等を共同購入できる仕組みを開始しましたが、スケールメリットを生かして、安い価格で各家庭にパネル等を提供できるため、都民のニーズにもマッチをしております。
この取組をより多くの都民に利用してもらえるような積極的なPRと、新制度を踏まえ、太陽光パネル設置の機運をさらに高めるためのアクションを行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
答弁1
環境局長
太陽光パネル等の設置促進についてでございますが、住宅での太陽光パネルの設置拡大には、安価で安心して購入できる仕組みについて、太陽光発電のメリット等とともに広く発信していくことが重要でございます。
都は昨年度、安全かつ確実に設置できる施工業者の選定や共同購入の取りまとめを行う協力事業者と連携し、広く周知をした結果、約六百世帯で設置されました。
今年度は一層の参加を促すため、自治会など地元に身近な団体との連携を広げまして、各世帯へきめ細かくPRしてまいります。
また、様々な媒体やイベントを活用し、太陽光パネル設置義務化の制度とともに、経済性や防災性などのメリットも幅広く周知をし、さらなる機運醸成を図ってまいります。
質問2
最後に、有機フッ素化合物に関する取組について伺います。
都内では、PFOS等が広域に検出をされている状況にあるため、汚染源の特定は難しく、利用している井戸の水質状況をしっかり調査、把握し、利用を控えることが重要であります。
都ではこれまでも、国に先駆けて飲料水や地下水の調査を実施するとともに、飲ませない取組を徹底しております。
それにもかかわらず、一部から不安をあおる声が聞かれますが、都民不安の払拭に向けた都の取組について伺いまして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。
答弁2
環境局長
PFOS等に関する取組についてでございます。
都民の安全・安心を確保するには、飲用水に対する安全対策や正しい情報の迅速な発信が重要でございます。
これまで都は、国に先んじて水道水の安全性を確保するとともに、都内全域二百六十か所の地下水調査等を行ってまいりました。その結果は広く公表し、国の基準の超過が判明した地下水については、飲用しない取組を徹底してまいりました。
今年度は、これまで複数年かけて実施してきた調査を一年間で行うことで、より迅速に都民に情報を発信いたします。併せて、正確に理解していただくため、都全体の取組内容とQ&A集についても分かりやすく提供いたします。
これらにより、飲用水の安全・安心を高めてまいります。