都民税
質問1
都民税について伺います。
六年度予算案での個人都民税の税収見込みは約一兆九百億円に上ります。納税額は、納税者のそれぞれ納める金額は課税所得の金額に連動いたします。仮に、税務署に対して所得隠し、過少申告をしていれば、都民税も本来課税されるべき額より少なくなります。
所得隠しの疑いが濃厚になった場合、主税局は何らかのアクションを取るのでしょうか。税負担の公平性の確保の観点を踏まえてお答えください。
答弁1
主税局長
個人都民税についてでございます。
地方税法において、都道府県民税の賦課徴収は、区市町村が区市町村民税と併せて行うこととされております。
所得税が課税された場合は、その情報に基づき、区市町村が区市町村民税と併せて個人都民税の賦課徴収を行うこととなります。
質問2
現在、国会では、大勢の国会議員が複数年にわたって裏金をつくり、申告、納税をしていないことが、その金額も含めて指摘をされております。
先週二十一日の衆議院予算委員会では、立憲民主党の山岸一生議員が、一年間四百万円、五年間で二千万円を修正申告した場合の所得税額を質問し、国税庁は約八百万円になるとの試算を示しました。
この場合の都民税のおおむねの金額を国税庁に倣ってお答えください。
答弁2
主税局長
個人都民税の税額の試算についてでございます。
個人都民税所得割の税額は、各種控除の適用など個々の状況により決まるものであるため、具体的な金額についてはお示しいたしかねます。
質問3
住民税は控除が複雑ですが、常識的に考えて、この場合の納税額はゼロにはならないでしょう。不申告の国会議員の中には都内在住者も含まれており、本来納められるはずの都民税が納められておらず、税の公平性が損なわれているといえます。
課税権利者として納税を促すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
答弁3
主税局長
個人都民税の納税の働きかけについてでございます。
個人都民税は重要な基幹税の一つであり、引き続き、適正、公平な税務行政の執行に努めてまいります。
航空機並びに空港の安全
質問1
次に、空港の安全について伺います。
一月二日、羽田空港の滑走路上で航空機同士が衝突する事故が起きました。滑走路上での航空機同士の衝突、炎上は世界でも極めて異例の重大事故です。
羽田空港の滑走路は井桁状で、高速道路上に交差点があるようなもの。一般の滑走路よりはるかに慎重な運用が必要です。にもかかわらず、都心ルートなど、数々の禁じ手で一分の隙もなく便数を詰め込んで、一方で、地上要員の人手不足は深刻です。国全体で見ても、発着便数はこの十年間で二割増加。この間、航空管制官を含む定員は二割も削減されています。
アメリカでは昨年、管制官不足を受けて、安全確保のため、航空機の発着回数を一〇%削減する措置を取りましたが、日本にこの発想はあるでしょうか。
炎上事故から僅か四週間後に東京都が発表した「未来の東京」戦略では、羽田空港の需要予測を基に、さらなる機能強化が掲げられています。さらなる機能強化とは何を指すのでしょうか。さらなる増便でしょうか。そこに安全の視点はあるのでしょうか。
答弁1
都市整備局長
まず、羽田空港の機能強化についてでございます。
世界の旺盛な航空需要に的確に応え、東京、ひいては日本の国際競争力を向上させていくため、空港の容量拡大等による羽田空港のさらなる機能強化が必要不可欠でございます。
質問2
東京都は、羽田で直接、間接に稼げるだけ稼いで、安全対策は国の仕事、事故が起きれば現場のせいとお考えでしょうか。
一極集中が加速し、事故後の数日間、滑走路を一本閉鎖するだけで千二百便以上も欠航せざるを得なかった羽田のレジリエンスの低さを東京都は直視すべきです。
羽田空港のセーフティーマネジメントに対する東京都の役割と責任をどう考えておられるのか、知事の見解を伺います。
答弁2
都市整備局長
羽田空港の安全管理についてでございます。
羽田空港の運用は国の責任と判断で行われており、都はこれまでも、国に対して着実な安全対策を求めてまいりました。
今回の事故については、現在、国の運輸安全委員会において事故原因の調査が行われております。
都といたしましては、事故発生後、国に対して、直ちに原因究明と再発防止等について要請をしております。
質問3
航空機事故調査について伺います。
複雑な要因が絡み合う航空機事故においては、捜査による責任追及ではなく、再発防止のための調査を行うことが、日本も批准する国際民間航空条約で明言されております。しかるに日本では、捜査が調査に優先する状態が長年続いています。これは条約違反であり、再発防止からも遠のいてしまうとの指摘が専門家からなされてきました。都としても国にぜひ見直しを求めていただきたい。空の安全について、都が主体的に知見を重ね、国に具体的な提言ができる力をつけることを強く求めます。
質問です。今回のような事故が再び起きないようにするために、あらゆる人たちが一丸となって再発防止の取組を行うことが何よりも重要と考えますが、見解を伺います。
答弁3
都市整備局長
羽田空港の事故についてでございます。
事故原因については、国の運輸安全委員会において調査中でございます。
都といたしましては、国に対して、直ちに原因究明と再発防止等について要請しております。
国からは、一月中旬に、省内で羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会を立ち上げ、さらなる安全・安心対策について検討を進めていると聞いております。
質問4
東京都は、調布飛行場並びに伊豆大島、八丈島、新島、神津島、三宅島の空港を管理しています。羽田と同様、海に隣接する東京都の離島空港では、航空機が海上に着水、墜落したときに迅速な救難救急を行える体制を整える必要があります。
海上航空事故に備えて、空港近隣の船舶関係者と密な連絡体制を構築するとともに、海上航空事故を想定した訓練を定期的に実施する必要があると考えますが、都の見解を伺います。
答弁4
港湾局長
都営空港周辺の海上での航空機事故対応についてでございます。
都は、航空法に基づき策定している緊急時対応計画におきまして、海上保安庁、警察、消防等と連携し、救難活動を実施する体制を定めております。
各空港におきましては、常時各関係機関と連絡を取れるようにしているとともに、事故を想定した搬送訓練等を定期的に実施しております。
災害対策
質問1
災害対策です。
災害時のトイレ問題は深刻であり、様々な対応が必要です。能登半島地震の被災地には、他の自治体が所有するトイレカーが応援に駆けつけました。しかし、トイレカーを所有する自治体はまだ少数です。
トイレの問題は災害時、被災者の健康や生命、被災地の衛生状態に直結をするため、東京都もトイレカーの所有をするとともに、都内自治体の所有を促す仕組みを検討すべきではないでしょうか。
答弁1
総務局長
災害時のトイレ対策についてでございますが、都は、昨年修正いたしました地域防災計画において、衛生、快適性などの多様な視点から総合的なトイレ対策を推進することで、災害用トイレを確保することとしてございます。
質問2
近年は、民間のトレーラーハウスも被災地の応急仮設住宅等として活用をされています。能登半島地震はじめ数々の被災地にトレーラーハウス提供の取りまとめを行っている日本RV・トレーラーハウス協会の稲吉啓代表にお話を伺ったところ、インフラの復旧や仮設住宅の設置には一定期間を要し、それまでの対策としてトレーラーハウスは有効。復旧工事の作業員の休憩所や福祉避難所などにも活用ができるとのことでした。
応急仮設住宅へのトレーラーハウスの活用について、まずは関係団体との防災協定の締結等を検討すべきと考えますが、併せて見解を伺います。
答弁2
住宅政策本部長
応急仮設住宅についてでございますが、都では、迅速に提供するため、公的住宅や民間賃貸住宅のストック活用に加え、建設型の応急仮設住宅を提供することとしております。
トレーラーハウスに関しましては、事業者団体へのヒアリング等を行い、設営上の課題などを整理し、対応について検討しております。
質問3
災害時の乳幼児の栄養について伺います。
乳児への人工栄養による授乳は、清潔な水や熱源、消毒のための器材や薬剤が必要となります。これらを安定的に入手しづらい災害時には、特段の器材を必要としない母乳が有利です。災害大国日本において、母乳はフェーズフリーの備えといえます。赤ちゃん防災の視点から自治体などでも再認識されており、東京都も所管の違いを超えて取り組むべきと考えます。
東京都として、防災の観点から、母乳育児のメリットをより積極的に情報提供するとともに、授乳室の設置促進など、必要な環境整備のさらなる促進に努めるべきと考えますが、見解を伺います。
答弁3
福祉局長
乳児の栄養についてでございますが、都は、母乳が乳児の栄養の基本であることや免疫物質を含むことなどを母子健康手帳を通じて周知するほか、乳幼児期の栄養を含む育児のポイントを記した育児のしおりをホームページに掲載するなど、啓発をしております。
また、児童館や大型スーパーなど、多数の方が利用する施設の協力を得まして、授乳やおむつ替えなどができるスペース、赤ちゃん・ふらっとの設置を推進しております。
女性や子どもを支える施策
質問1
次に、女性と子供を支える施策についてです。
女性支援新法が今年四月から施行されます。この法律は戦後日本の女性の歴史にとって大きな一歩です。東京都でも推進計画のパブリックコメント中であり、取組の加速に期待をするものです。
家族や他者、社会からの身体的、精神的、性的、あるいは制度的な暴力を受けて、困難な状況にある人たちへの支援は、これまであまりにも脆弱でした。
これを児童福祉や障害者福祉、高齢者福祉などと並ぶ福祉分野へ育て上げていただきたいと思います。知事の決意を伺います。
答弁1
福祉局長
困難な問題を抱える女性への支援についてのご質問でございます。
都は、現在策定を進めております困難な問題を抱える女性への支援のための基本計画案に、対象者の把握から地域での自立まで、多様な支援を切れ目なく提供していくことや、若年女性への支援を推進していくこと、女性への相談支援体制を強化することなどを盛り込んでおります。
また、家庭生活に困難を抱える特定妊婦と出産後の母子への支援を強化するため、来年度、一時的な住まいや食事の提供などを行う民間団体を支援することとしております。
策定した計画に基づき、女性への支援に取り組んでまいります。
質問2
都内の医療機関において、内密出産や、様々な事情で親が育てられない子供を受け入れる、いわゆる赤ちゃんポストが計画されています。予期せぬ妊娠などで赤ちゃんを遺棄する事件を防ぐ機能として大きな期待を寄せております。ただ、事業を実施するには行政との連携が不可欠です。
都として前向きに取り組んでいくべきと考えますが、都の見解を伺います。
答弁2
福祉局長
医療機関での新生児の預かりについてでございます。
先般、都内の医療機関が新生児を匿名の親などから預かる取組などを実施する意向を示しました。
都は、現在、内容につきまして説明を受けているところでございます。
質問3
新年度予算案で、望まない妊娠が疑われる女性が、わかさぽを通して緊急避妊薬にアクセスする仕組みが盛り込まれたことを評価したいと思います。
しかし、望まない妊娠への対応だけではなく、予期しない妊娠を事前に防ぐことも大切です。科学的な避妊の知識と手段の普及を十代のうちから図っていくべきと考えます。見解を伺います。
答弁3
子供政策連携室長
十代への避妊の知識等の普及啓発についてでございます。
都は今年度、思春期に知っておきたい健康情報を発信するホームページ、TOKYO YOUTH HEALTHCAREを立ち上げております。
ホームページでは、医師等の専門家監修の下、性や健康等に関する様々な記事コンテンツを掲載しており、予期しない妊娠の予防もテーマの一つとして取り上げております。引き続き、普及啓発に取り組んでまいります。
質問4
子供や家庭の深刻な悩みに寄り添う心理の専門家として、スクールカウンセラーは重要な役割を担っております。しかし、来月、ベテランを中心に大勢のスクールカウンセラーが雇い止めになります。
生徒の安全が心配される現場も少なくありません。東京都の不登校児童生徒数は過去十年で最多で、教員不足も深刻です。子供に寄り添う学校づくりを進めるためには、むしろ、さらなる専門職の力が必要です。
スクールカウンセラーを更新上限のある会計年度任用職員とする今の制度を見直し、安定した雇用形態とするとともに、週二回体制や、ベテランが現場で新人を育成する仕組みをつくるなど、専門性を生かし、経験を継承する制度を構築すべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
答弁4
教育長
スクールカウンセラーについてでございますが、東京都公立学校スクールカウンセラーは、会計年度任用職員として、四回までは公募によらない再度任用とし、五回目は雇用機会の公平性の確保の趣旨から公募による任用としています。
また、既に令和二年度から、不登校の子供の人数が多い学校の勤務日数を増やしています。
さらに、シニアスクールカウンセラーがスクールカウンセラーへの指導助言を行うなど、資質向上を図っております。
質問5
通信制高校です。
通信制高校の在籍者は、私立高を中心に全国的に急拡大しています。高校生全体の十二人に一人が通信制に在籍し、文科省の調査では不登校経験がある生徒が約半数を占めるだけでなく、多様な特性を持った生徒、世界を舞台に活躍する生徒にも選ばれるなど、多様化する高校教育のニーズの一端を担っています。
通信制高校へのニーズの高まり、生徒像の変化を真摯に受け止め、生徒へのきめ細かなサポートを可能にする教員体制や心理的ケア、カリキュラムの見直しなど、都立高校通信制課程の抜本的な拡充へかじを切るべきと考えますが、教育長の見解を伺います。
答弁5
教育長
都立高校の通信制課程についてでございますが、通信制課程では、生徒の学びを支援するため、スクールカウンセラーやユースソーシャルワーカーによる相談体制を構築するとともに、インターネットを活用したレポート提出や集中的な面接指導等、多様な学び方に対応した環境整備も進めています。
街づくりと環境
質問1
まちづくりについてです。
都内では各地で再開発が進み、オフィス空室率も上昇しております。私の地元品川区の品川浦の再開発は、都バス事業所や都営住宅を含む広大なものです。品川駅に近い優位性を持つ一方、オフィス空室率は近隣では一〇%を超え、適正な規模を見定めることも大切です。さらに、この地域は、歴史と伝統、独特の水辺の景観を持つ希少なエリアでもあります。
開発を進める場合には、都内に多数出現している単調な高層ビル群ではなく、歴史と文化を視覚的に感じ、体験することができるまちづくりを地域とともに十分議論すべきと考えます。東京の都市づくりを所管する都の立ち位置と今後の方向性について伺います。
答弁1
都市整備局長
品川浦地区のまちづくりについてでございます。
本地区は、都が定めたまちづくりガイドラインにおいて、品川宿の面影や品川浦の水辺など、観光や歴史的資源を生かしたまちづくりを進めることとしております。
今後も、これらの地域特性を生かした地元中心のまちづくりが進められるよう誘導してまいります。
質問2
また、計画が進んだ場合、バス営業所は仮移転の可能性もありますが、工事中、また、工事後においても利用者の不利益がないようにすべきと考えます。都の見解を伺います。
答弁2
交通局長
再開発事業に係る都営バスの利便性確保についてでございますが、これまでも、お客様のご利用や営業所の事業運営に支障を来さないことを前提に、都の行政施策やまちづくりに貢献することなどを基本的な考えとして、再開発事業に協力してまいりました。
品川浦周辺地区の市街地再開発事業への協力に当たりましても、同様の考えで検討することとしております。
質問3
海洋へのマイクロプラスチック流出原因の一つに人工芝があり、その多くは公共のスポーツ施設や教育施設、公園などで使われています。公共セクターは、排出者として主体的に排出抑制のアクションを取る必要があります。人工芝の耐用年数は十年程度であり、張り替えで廃棄されるプラスチックはサッカー場一面分で数十トンにも及びます。
人工芝について、東京都としてもガイドラインの作成並びに将来的な使用の在り方の検討に取り組むべきではないでしょうか。また、人工芝のリサイクル推進に向けた支援を行うべきと考えます。見解を伺います。
以上、再質問を留保して、一般質問を終わります。
答弁3
環境局長
マイクロプラスチック対策についてでございますが、プラスチックによる海洋汚染を防ぐためには、プラスチックごみの流出の抑制が重要でございます。
都は、動画等で対策の必要性を広く啓発するほか、清掃活動への参加等を促す取組を展開してございます。
また、プラスチックの水平リサイクル技術を持つ事業者の社会実装を支援してございます。
人工芝からの流出防止につきましては、国や関係団体が連携し、施設管理者向けのガイドラインやリーフレットを作成、周知してございます。
今後も、海ごみ発生抑制と資源の循環利用を図ってまいります。
再質問
質問1
私は、知事に三つの質問をいたしましたが、いずれも答弁がありませんでした。答弁拒否でした。特に女性支援新法施行、これに対して知事の決意すらお答えがなかったというのは、私はちょっと納得ができません。
女性支援のフェーズが変わるこのタイミングにこそ、トップのメッセージが必要である。そのことが困難を抱える人たちの希望になると私は思います。輝く女性は応援しても、困難を抱える女性には関心が薄いというのでなければ、ぜひ知事のご答弁をいただければと思います。再度よろしくお願いします。
答弁1
福祉局長
困難な問題を抱える女性への支援につきましての再質問にお答えをいたします。
都は、現在策定を進めている困難な問題を抱える女性への支援のための基本計画案に様々な施策を盛り込んでおります。
策定した計画に基づきまして、女性への支援に取り組んでまいります。
質問2
もう一点、都民税についてお伺いをいたします。
先ほどのご答弁だと、都民税が実態よりも少ない額になっていると疑われる事案があっても、東京都は、国や区市町村と情報共有すらしないということになってしまいます。それは、税負担の公平性を求める納税者の思いとかけ離れているのではないでしょうか。都の考え方を再度確認いたします。
以上です。
答弁2
主税局長
個人都民税についてのご質問にお答えいたします。
個人都民税は重要な基幹税の一つであり、引き続き、適正、公平な税務行政の執行に努めてまいります。