Jアラート発出時の避難先確保
都の農業振興にデジタル技術を

災害対策

質問1
 質問に先立ち、元日に発災いたしました能登半島地震により亡くなられた方々に衷心よりお悔やみ申し上げますとともに、被災された方々にお見舞い申し上げます。被災地域の皆様の安全確保と一日も早い復旧、復興を心よりお祈り申し上げます。

 初めに、TOKYO強靱化プロジェクトに関して伺います。

 昨今、北朝鮮によるミサイル技術の高度化やミサイルの量的整備が進んでおり、衛星と称する弾道ミサイルの多数の発射まで予定しているとの報道がされています。都は、国際情勢の緊迫感が高まる中、ミサイル攻撃への備えとして、Jアラートが発出された際の一時的な避難先の確保を進めています。

 一方で、諸外国に目を向けると、一定期間滞在が可能な避難施設の整備が進んでいます。

 小池知事は、昨年八月にフィンランドのヘルシンキ市の避難施設を視察し、その成果を踏まえ、今回、地下鉄や地下駐車場を活用した避難施設整備のモデル事業に着手することを表明しました。我が党としては、評価するとともに、しっかり検討しながら進めるべきと考えております。

 そこで、今後、来年度予算案に計上した、より安全に避難できる施設の整備について、どのように取り組んでいくのか、知事の所見を伺います。

答弁1
知事
 弾道ミサイルに備えた避難施設の整備についてのお尋ねがございました。

 北朝鮮により繰り返されるミサイルの発射など、国際情勢が緊迫する中、武力攻撃等の脅威から都民の生命を守ることが都の責務でございます。

 都はこれまで、ミサイル攻撃による被害を軽減するための緊急一時避難施設の確保を進めるとともに、都民に対し、リーフレットや動画を活用し、適切な避難行動を分かりやすく周知してまいりました。

 また、今年度は、関係機関等と連携いたしまして、住民参加型の避難訓練や救出救助訓練を実施いたしました。

 来年度は、都営地下鉄麻布十番駅に併設する防災倉庫につきましては、必要な装備や機能など、設計に向けた準備を進めてまいります。

 また、地下駐車場につきましては、対象となる施設の選定に向けまして技術的調査を実施いたします。

 こうした取組により、より安全に避難できる施設の整備を着実に進めてまいります。

質問2
 次に、震災による出火防止について伺います。

 今年度、都内において延焼が懸念される木密地域で、出火防止対策の喫緊の課題への対応として、出火防止対策促進事業を実施しました。

 阪神・淡路大震災や東日本大震災において、停電から電気が復旧するときに起こる通電火災が頻発しました。こうした火災発生を防止するため、木密地域に感震ブレーカーを配布するとのことです。

 感震ブレーカーにも種類があり、今回配布するものは、コンセントタイプのものですが、ブレーカーを遮断する効果の高い分電盤タイプのものもあります。

 都は、今回の事業をきっかけに、都民一人一人が各家庭に合った出火防止対策を考え、実践してもらうために取り組んだとのことです。

 そのために、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

答弁2
総務局長
 出火防止対策の促進についてでございますが、地震発生時に被害を最小限に抑えるためには、出火防止対策により火災の発生を未然に防ぐことが重要でございます。

 都は、感震ブレーカーの種類や特徴、設置により期待される効果などについて記載したリーフレットを防災ブックとともに、都内全世帯に配布してございます。

 また、木造住宅密集地域の対象世帯に対し、感震ブレーカーの具体的な使い方や電気火災防止に有効であることなど、出火防止対策に関する普及啓発を行うとともに、希望する世帯全てに感震ブレーカーを配布しております。

 こうした取組により、都民の出火防止対策への意識を高め、具体的な行動につなげてまいります。

質問3
 次に、都営地下鉄の震災対策について伺います。

 交通局では、都営地下鉄の耐震対策工事を進める一方、震災発災時への備えも行っていると承知しています。各駅では、利用者を安全に避難誘導するための経路を設定していますが、駅構内では、エスカレーターの更新や新設、出入口などの改修工事により、歩行空間などの状況に変化が生じるケースがあります。

 また、地震発生時に帰宅することが困難になった利用者のために準備している備蓄品も、定期的に状況の確認が必要となっています。

 そこで、いつ発生してもおかしくない震災対策は、ソフト面での備えが有効に機能することが重要でありますが、見解を伺います。

答弁3
交通局長
 都営地下鉄の震災発生時への備えについてでございますが、都営地下鉄では、震災等の発生時にお客様が安全に避難できるよう、避難誘導経路を駅ごとに設定しており、お客様の避難誘導訓練を定期的に実施しております。

 また、工事等により経路が変わる際は、代替の経路をご案内しております。

 さらに、帰宅困難者が駅構内にとどまる場合に備えて、飲料水や防寒用ブランケット、携帯用トイレなどを配備しており、保管状況や配布の手順など、平時から確認するとともに、全ての備蓄品を計画的に更新しております。

 こうした取組を通じ、引き続き、震災等の災害への備えに万全を期してまいります。

質問4
 次に、町会、自治会の防災活動について伺います。

 防災面において、ハード対策はもちろんのことですが、住民同士が災害時に助け合う共助は極めて重要であります。各地域で町会、自治会関係者が防災訓練などに取り組み、日頃から災害の発生に備えています。

 このように、各地域において、共助の要となる町会、自治会による災害に備えた活動がさらに進むよう、都として取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

答弁4
生活文化スポーツ局長
 町会、自治会による防災活動についてでございますが、災害への備えを進めていくに当たりましては、地域における共助の力を高めていくことが重要であり、その中核となる町会、自治会の活動を促進していく必要がございます。

 地域の底力発展事業助成におきまして、これまで、地域の外国人や地元の大学、企業が参加する防災訓練などが行われてまいりました。こうした取組がより多くの地域で広がるよう、来年度から、防災活動の助成率を引き上げます。

 好事例の紹介なども行い、いざというときに助け合える地域コミュニティの構築に向けて、町会、自治会の活動を活性化させてまいります。

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上下水道施設の整備

質問1
 次に、水道施設整備について伺います。

 能登半島地震での断水の被害を目の当たりにし、災害時においても水を確保することの重要性を強く認識しました。

 今回の地震における長期かつ広域的な断水の原因として、能登半島北部への送水管が被害を受けたことが一因と聞いています。送水管は、浄水場でつくられた水道水を給水所に送る基幹的な管路であり、震災時等においても、給水を継続するためには送水機能を確保する必要があります。

 現在、水道局では、朝霞浄水場と上井草給水所を結ぶ送水管である朝霞上井草線の二重化に向け、第二朝霞上井草線の整備を進めていますが、本送水管は都内最大の送水能力を有し、間もなく完成を迎えると聞いています。

 そこで、第二朝霞上井草線の現在の取組状況について伺います。

答弁1
水道局長
 第二朝霞上井草線の整備についてでございますが、水道局では、朝霞浄水場と上井草給水所を結ぶ重要な送水管である朝霞上井草線のバックアップ機能の向上を図るため、第二朝霞上井草線の整備を行ってございます。

 本工事は、延長十三キロメートルのトンネルをシールド工法により築造し、トンネル内に直径二千六百ミリメートルの送水管を新設するものであり、現在、管の布設が完了し、管内の洗浄や水質確認等、通水のための最終段階に入ってございます。

 この完成によりまして、上井草給水所から配水している区部中心部から多摩南部に至る広範な地域の給水安定性が一層向上するため、来月末の運用開始に向け、準備を着実に進めてまいります。

質問2
 次に、下水道整備について伺います。

 下水道は、都市活動に欠かすことのできない都市インフラであり、二十四時間三百六十五日、その機能が確保されていることで、都民の生活や都市活動を支えています。

 能登半島地震において、下水道施設に被害が発生し、避難生活や被災地支援活動にも影響を及ぼしていたと聞いています。

 下水道施設の中でも、区部の下水道管は約一万六千キロメートルですから、計画的に再構築を進める必要があります。下水道局は、古くから下水道整備が進められた都心部から枝線再構築を進めています。また、都心部以外でも、下水道が整備されてから長い年数が経過している地域もありますので、区部全体を俯瞰して再構築を進めることも必要だと考えます。

 そこで、下水道管の枝線再構築の今後の取組について伺います。

答弁2
下水道局長
 下水道管の枝線再構築についてでございますが、下水道局では、老朽化対策と併せて、雨水排除能力の増強や耐震性の向上などを図る再構築を推進しております。

 再構築に当たりましては、区部を整備年代により三つのエリアに分け、最も古い都心部の第一期再構築エリアでは約七割が完了しております。

 今後、第一期エリアの完了を見据え、都心部に次いで整備年代が古い区部西部の練馬区などを含む第二期エリアにおいて円滑に事業を進めていくため、地域状況に応じた整備手法の検討が必要なことから、令和六年度より試行工事に着手いたします。

 今後も、下水道管の枝線再構築を着実に推進し、東京の強靱化に貢献してまいります。

質問3
 また、下水道管だけでなく、水再生センターの再構築も重要であると考えます。

 先日、芝浦水再生センターを視察しました。その際、オフィスビルが立ち並ぶ都心部の下水を処理するこの水再生センターは、昭和六年に供用を開始し、九十年以上稼働しているとの説明を受けました。

 現在、水処理施設の再構築を進めていますが、水処理施設の上部を公園として活用しており、作業スペースが限られる厳しい施工環境ですので、非常に難度の高い工事だと感じました。

 そこで、都心部に位置する芝浦水再生センターの再構築の今後の取組について伺います。

答弁3
下水道局長
 芝浦水再生センターの再構築についてでございますが、水処理施設の再構築に当たりましては、狭隘な敷地内で作業スペースを確保しながら段階的に整備しており、水処理機能を安定的に確保しつつ、耐震性や処理水質の向上などを図っております。

 これまで、覆蓋上部の公園を支える柱を補強しながら、老朽化した既存施設の撤去などを実施しておりました。

 令和六年度は、新しい施設の築造に向けて、稼働している施設への影響を最小限に抑えながら、掘削工事を進めてまいります。

 今後も、創意工夫を重ね、着実に再構築を推進し、将来にわたり安定的に下水道機能を確保してまいります。

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都市整備基盤

質問1
 次に、外環道について伺います。

 外環道は、都心部における渋滞を緩和し、災害時における防災力に大きく寄与する効果の高い事業であり、早期整備が必要です。

 令和二年に特殊な地盤等に起因し、陥没、空洞事故が発生しましたが、事業者は陥没の原因調査や家屋補償等を行った上で、陥没箇所周辺の緩んだ地盤を元に戻す地盤補修工事を進めています。

 その地盤補修工事において、近接する入間川から気泡が発生しましたが、調査の結果、周辺環境への影響はなかったと聞いています。

 外環道の一刻も早い完成は、多くの都民が望んでいますが、地域住民を不安にさせることがないよう進めていくべきです。

 昨年から、外環促進議員連盟の会長として、様々な活動に取り組んでまいりました。昨年十一月には、国土交通大臣へ、外環の早期完成と、地元に丁寧な対応をするよう要望いたしました。

 また、本年一月には、議員連盟の有志にて、陥没事故を起こしたシールドマシンを視察し、安全対策などについて確認してきたところです。

 外環道は、都として極めて重要な道路でありますので、地域住民に対して丁寧な説明をしながら、安全に事業を進めていくことが必要と考えますが、都の認識を伺います。

答弁1
東京都技監
 外環事業への認識についてでございますが、外環は、首都圏の交通、物流の根幹をなし、防災力向上にも資する極めて重要な道路であると認識しております。

 陥没、空洞事故を受け、東名側本線シールドは現在停止中であり、事業者は、緩んだ地盤を元に戻すための地盤補修工事を、周辺環境のモニタリングを行いながら進めております。

 また、大泉側本線シールド及び中央側、東名側のランプシールドにおいては、再発防止対策が機能していることを丁寧に確認しつつ、慎重に掘進作業を進めているところでございます。

 都といたしましては、引き続き事業者に対し、安全を最優先に工事を進めるとともに、住民の不安払拭に向けた丁寧な説明やきめ細やかな対応を求めてまいります。

質問2
 次に、デジタル技術導入による都市農業に関して伺います。

 東京農業の振興には、限られた農地を有効活用し、より収益性の高い農業を実践していくことが求められています。地元練馬区では、若手の農業者が最新のトマト栽培技術を学ぼうと養液栽培研究会を開催し、近隣の若手農業者と共に意欲的な活動をしています。

 都においても、農林総合研究センターが、デジタル技術を活用し、農業の省力化や効率化につながる様々なスマート農業技術の開発を行っており、商品化も進んでいると聞いています。こうした技術の普及を進めるために、農業者の声に丁寧に耳を傾け、現場に即した形で改良を重ねることが大切です。

 都は、スマート農業のさらなる推進に向けて取組を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

答弁2
産業労働局長
 農業へのデジタル技術の導入についてのご質問にお答えいたします。

 東京の農業振興を進める上で、最新のデジタル技術の導入に向け、農業者をはじめ様々な主体が現場で協力し、研究開発を進めることは効果的でございます。

 これまで都は、農林総合研究センターの施設において、民間企業や大学等と連携し、デジタル技術により農業生産を効率的に行う研究や技術開発を行ってまいりました。

 来年度は、こうした関係機関と協力し、都内の農業者の土地でデジタル技術により農作業を効率的に行う機器を使い、現場の実情に応じ改良を図る取組等を進めてまいります。

 これによりまして、東京農業の振興を図ってまいります。

質問3
 次に、都立霊園の運営に関して伺います。

 墓地をめぐる大きな動きの一つに、墓地に関する価値観の変化や、一般墓地を管理していく不安から、墓じまいを考える人が増えているようです。

 都内在住で、墓地は地方の出身地に持っているが、墓じまいして一族の遺骨を都内に改葬したいといった声もよく聞きます。

 しかし、都立霊園の一般埋蔵施設で、改葬骨での申込みが可能なのは、区部の四霊園と八柱霊園だけであり、多摩地域の都立霊園では対応できていない状況です。

 多摩地域の都立霊園でも、改葬骨での申込みに対応していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁3
東京都技監
 都立霊園の改葬骨での申込みについてでございますが、都は、社会状況の変化や都民のニーズを踏まえた墓地の供給に努めております。募集に当たりましては、広く都民に墓地を供給する観点から、初めて埋葬する新骨での申込みを原則とし、改葬骨については、倍率が低い八柱霊園などで申込みを受け付けております。

 今般、地方の墓を墓じまいし、都立霊園に改葬したいというニーズが増えていることから、多摩地域の都立霊園においても改葬骨での申込みができるよう、過去の倍率等も踏まえ、来年度の募集に向けて検討してまいります。

 今後とも、都民のニーズに応えながら、着実に墓地の供給を進めてまいります。

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部活動

質問1
 次に、公立中学校における部活動に関して伺います。

 部活動の地域連携、地域移行については、各区市町村で検討していますが、直ちに地域移行へ進めることが困難な地域も多数あります。こうした場合、地域の人材を指導者として活用し、各校内で部活動を継続する、地域連携から取り組むべきです。

 これまで、我が会派は、指導者となる地域の人材を確保するために、スポーツ、文化芸術団体等との連携が不可欠であると主張してきました。

 これを受け、都教育委員会は、今年度、生活文化スポーツ局と協働して、連絡協議会を開催するなど取組を進めていますが、十分に指導者を確保できていない地区も見受けられます。

 そこで、部活動の地域連携、地域移行に向け、都教育委員会が関係団体等への周知を一層進めていくべきです。今後の取組について伺います。

答弁1
教育長
 部活動の地域連携、地域移行についてでございますが、都教育委員会は今年度、地域のスポーツ、文化芸術団体等に対し、部活動の意義や今後の在り方を示したリーフレット等を配布するとともに、連絡協議会での意見交換や情報共有を通して理解の促進に努めてまいりました。

 こうした取組により、様々な団体等との協力関係が築かれ、指導者や受皿となる団体等の確保に向け、区市町村が直接相談できる体制を整備することができました。

 今後、関係団体と区市町村の担当者等が一堂に会するシンポジウムを新たに開催し、先進事例の紹介や、参加者同士による情報交換を設定するなど、地域連携、地域移行に向けた区市町村の取組をリードしてまいります。

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少子化対策

質問1
 最後に、少子化対策について伺います。

 昨日の我が会派の代表質問でも指摘したとおり、少子化の急激な進行は、国民、都民共通の重大な危機であり、この危機を突破する鍵は、最も多くの若者が暮らす東京の動向にあります。

 今がまさに、日本の人口危機を打開するラストチャンスであり、社会全体で取組を強化する必要があります。その際、国や都に加え重要な役割を果たすのが、地域で住民に子育てサービスを提供する区市町村であります。

 地元で生活する若者や子育て世帯等のニーズに合わせて取り組むことが重要であると実感しています。対策の実効性をさらに高めるためには、地域の実情に精通する区市町村との連携が不可欠です。

 そこで、都は、区市町村としっかりと連携し、少子化対策を推進すべきと考えますが、見解を伺いまして、質問を終わります。

答弁1
子供政策連携室長
 少子化対策についてでございますが、実効性のある対策を推進するためには、国との連携に加えまして、住民に身近な自治体である区市町村との連携が重要でございます。

 都は今年度より、区市町村が行います独自の少子化対策への支援を開始いたしまして、結婚支援や男性トイレへのベビーベッド設置、子育て世帯向け住宅の供給など、ソフト、ハードの取組を後押ししております。

 来年度は、区市町村の取組を引き続き積極的に支援するとともに、人口構造や子育て環境、経済雇用環境など、地域ごとの状況分析を行いまして、実情に応じた対策の検討に活用するなど、望む人が子供を産み育てやすい社会の実現に向けて、区市町村と連携して取り組んでまいります。

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