働く女性の処遇改善に取り組め
神宮外苑は都民を交えて議論を

ジェンダー平等

質問1
 都議会生活者ネットワークの岩永やす代です。

 日本のジェンダーギャップ指数は今年百二十五位になり、昨年の百十六位からさらに後退、これまでで最低です。

 小池知事は就任以来、女性活躍に取り組み、様々な場面で女性の登用を積極的に進めています。知事は、今年のジェンダーギャップ指数について、どのように受け止めているのか伺います。

答弁1
知事
 ジェンダーギャップ指数についてのお尋ねがございました。この件については、日本が世界から大きく遅れを取っているということに強い危機感を持っております。

 都は、女性活躍の推進を都政の重要課題と位置づけまして、男性の家事、育児の参画に対しての促進など、幅広い施策を進めておりまして、都の審議会等におけます女性委員の割合、約四六%まで増加をいたしております。

 男女が共に能力を十分に発揮でき、多様な生き方を選択できる社会を実現するため、引き続き様々な施策に取り組んでまいります。

質問2
 今年のノーベル経済学賞受賞で、改めて男女の賃金格差が問い直されています。日本では、パート労働の年収の壁が問題になっていますが、男性が働いて家計を支えるための制度が幾重にもつくられ複雑になっていること、統計データ自体にジェンダーバイアスがかかっていることからひもとき、新たな制度設計に取り組んでいかなければなりません。

 生活者ネットワークは、二十年前に年金の第三号被保険者問題について、世帯単位から個人単位へと提起し、男女役割分業の見直しなど、ジェンダー平等への提案をしてきました。

 男女の賃金格差は、女性の非正規雇用の多さが大きな要因となっています。

 都は、民間企業に向けて、正規雇用化や処遇改善を促していますが、これまでの事業の成果と今後の取組について伺います。

答弁2
産業労働局長
 働く女性の処遇改善に向けた取組についてでございますが、働く女性の活躍を推進する上で、職場環境の整備を進めることは必要でございます。

 都は、労働者の処遇改善に向け、中小企業が非正規雇用の方の正社員化に取り組み、職場環境の整備を図る場合の支援等を行っております。

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神宮外苑

質問1
 神宮外苑は、多くの人々が愛する景観であり、公共性が高いため、所有者である宗教法人明治神宮は、これを守る責任があることを決算委員会で指摘しました。かつて国有地だった外苑は、戦後、明治神宮の境内地として半額で払い下げられましたが、内苑を財政的に支える収益施設の機能は含まれていません。

 今回の再開発は、都が日本第一号の風致地区をはじめ、都市計画上の様々な規制を恣意的に緩和し、ルールを変えることによって、実現可能にしたともいわれています。

 こうした都市計画決定を通じて、宗教法人への便宜供与を図る憲法違反のおそれがあると指摘されていますが、都の見解を伺います。

答弁1
都市整備局長
 神宮外苑における都市計画についてでございます。

 都は、法令等に基づき適切に対応しており、都市計画の規制を恣意的に緩和したなどのご指摘は当たりません。

質問2
 公共的な場所での樹木の伐採や超高層ビルの建設、市民になじみ深い明治神宮やラグビー場について、都民不在のまま事業が進められることは問題です。

 改めて、神宮外苑の将来像を都と事業者、都民を交えて議論すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁2
都市整備局長
 神宮外苑まちづくりへの都民の参加についてでございます。

 都市計画や環境アセスにおいては、法令等に基づく手続の中で都民からの意見書を受け付け見解を示すなど、適切に対応しております。

 また、事業者は、法令等に基づいた説明会に加え、さらに住民の理解を深めるための説明会を複数回開催し、併せてホームページでの質問の受付及び回答などの対応を行っております。

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循環型農業

質問1
 ウクライナの戦争や円安の影響で食品が高騰し、さらには気候変動による影響で、日本の食料安全保障への不安が高まっています。肥料の急激な不足、値上がりに対して、国内産に切り替える動きや各地で進む地産地消の取組など、このピンチを自給力向上のチャンスと捉えて進めていくべきです。

 東京都内でも、多摩地域を中心に農産物の軒先販売をはじめ、地産地消に取り組んでおり、学校給食に地場産農産物を使っているところも増えています。知事が表明した給食費は、財政支援だけでなく、東京産農産物の提供も検討していただきたいと思います。

 また、都内では畜産業も営まれています。牛ふんや鶏ふんなどは堆肥化して農地にすき込むと、作物の養分となります。地域でこうした循環の仕組みをつくっていくことは、環境保全の観点からも重要です。

 都内の酪農、畜産農家に対して、どのような支援を実施しているのか伺います。

答弁1
産業労働局長
 畜産農家への支援についてでございますが、都は、乳牛等を飼育する農家が、飼料となる国産の牧草の購入やその栽培に必要となる経費への支援等を行っております。

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児童相談所

質問1
 児童相談所の区設置が進み、現在八区で事業が始まっています。身近な自治体が児童相談所を設置することで、子供に関する問題をその子が育つ地域で解決していくことになります。

 区が設置する児童相談所への都の支援は準備段階で、人材育成などを実施しています。区が開設した後は、それぞれの児童相談所が独立した機関となります。各区の独立性は重要ですが、東京都が広域的な観点から支援する必要があると考えます。

 広域連携で協力しているということですが、連携して実施している事業について伺います。

答弁1
福祉局長
 区立児童相談所への支援についてのご質問でございます。

 特別区が児童福祉法等に基づく児童相談所設置市等として政令で指定を受けた場合には、設置区は、法令に定める児童相談所業務等を実施することとなります。

 児童相談所の開設後は、広域的観点から一時保護所等の都と区の相互利用を可能にするほか、専門的観点から、区の児童相談所が担当する家庭にも、都の児童相談センターの医師や児童心理司等が支援を行っております。

質問2
 二〇二〇年四月から今年十月に児童相談所を開設した八区の一時保護所の定員は百六十七人となりました。東京都の定員は二百五十人ですから、合わせて四百十七人になります。東京都全体の定員数は増えていますが、都の一時保護は依然として増加傾向であり、満杯状態も続いています。まだまだ足りないということです。

 一時保護の施設もマンパワーも充実させ、救われる子供が増えることを願うものです。知事も、児童相談体制の強化を述べていますが、一時保護についても、体制強化を図る必要があると考えます。見解を伺います。

答弁2
福祉局長
 一時保護所についてのご質問でございます。

 都は、児童虐待の増加に伴う一時保護需要に対応するため、立川児童相談所跡地での保護所の開設に向け準備を進めているほか、児童養護施設や里親、婦人保護施設への一時保護委託など様々な受皿を確保しております。

 今年度は、児童福祉分野の知識や経験を有する事業者に委託し、足立児童相談所の仮設一時保護所や民間の物件等を活用して保護児童の受入れを行うなど、体制を強化しております。

質問3
 毎年、児童相談所が対応する児童虐待件数が過去最高を記録しています。二〇二二年度に東京都内の児童相談所が受理した虐待相談対応件数は二万七千七百九十八件で、十年前に比べ、約四倍に増加しています。

 二〇二一年度は、都内で虐待などに関連して十四人の子供が亡くなりました。他県では保護された子供が家庭に戻った直後に再び虐待が繰り返されて、命を落とすという悲しい事件も起きています。

 こうした事件を防ぐためには、虐待をした保護者が虐待を繰り返さないように、保護された子供が家庭に戻る前に、虐待防止プログラムを義務づける必要があると考えます。子供の命を守るためには、踏み込んだ取組が必要ですが、見解を伺います。

答弁3
福祉局長
 児童相談所における保護者への支援についてでございます。

 児童相談所は、児童虐待を行った保護者に対して、家族機能の回復を図ることを目的に、児童福祉司や児童心理司等による家庭訪問や面接指導のほか、精神科医によるカウンセリングなどを実施しております。

 また、保護者の養育力の向上等を図るため、家族合同でのグループ心理療法やペアレントトレーニングなど様々な援助を行っており、今後とも、こうした取組により、子供と保護者を支援してまいります。

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精神障がい者の地域移行

質問1
 今年の二月に滝山病院の暴行虐待事件、不適切医療の問題が発覚してから十か月がたちます。この問題で、改めて、精神科病院の長期入院患者の地域移行の重要性が確認されているところですが、なかなか進まない現状もあります。

 現在も、都内で九千人を超える長期入院者がいます。退院に向けた相談や住まいの確保、自立生活のための生活サポート、就労や日中活動、地域との関わりなど、退院後に安心して地域での暮らしに移行できる様々な支援が必要です。そして、そこにこそ、都の役割が求められています。

 精神科病院に出向き、入院患者との面談や病棟プログラムへの参加を通じて、退院後に安心して生活ができるよう支援活動を行うピアサポーターは、精神障害者の地域移行支援に不可欠であり、都として、ピアサポーターの活動を位置づけるために、活動実績を把握する必要があります。

 都は、ピアサポーター養成のため、障害者ピアサポート研修を行っていますが、今後、地域移行を進めるためにピアサポーターを増やし、活動を支えていく必要があると考えますが、見解を伺います。

答弁1
福祉局長
 精神障害者の地域移行についてのご質問でございます。

 障害者ピアサポーターは、精神科病院の入院患者に対し、面談や病棟プログラムへの参加を通じ、自身の経験を踏まえながら、退院後の生活への不安解消のために様々な助言を行っております。

 都は、ピアサポーターの養成研修を実施するとともに、地域移行コーディネーターを配置して、精神科病院等におけるピアサポーターの活用に向けた働きかけや調整を行っております。

 引き続き、これらの取組により、精神障害者の地域移行を進めてまいります。

質問2
 主に、精神障害者を対象としたグループホームの定員数は、二〇二二年度末で三千七百六十一人とのことです。東京都障害福祉計画における地域移行支援の見込み数は、二〇二三年度は百九十六人で、少しずつではありますが毎年増えてきています。

 今後、地域移行を進めていくに当たり、受け入れられるグループホームを増やす必要があると考えますが、見解を伺います。

答弁2
福祉局長
 障害者グループホームの整備についてでございます。

 精神障害者の地域移行を円滑に進めるためには、受皿となるグループホームの整備が必要でございます。都は、東京都障害者・障害児施策推進計画におきまして、障害者・障害児地域生活支援三か年プランを掲げまして、障害者グループホームなど地域生活基盤の整備を進めており、整備に係る事業者負担を軽減する特別助成や都有地の減額貸付等を行っております。

 引き続き、障害者グループホームの整備を促進してまいります。

質問3
 住まいを借りて一人暮らしをする人の生活を支える仕組みも重要ですが、東京ささエール住宅のうち、要配慮者向けの専用住宅は、より要配慮者の支援として重要であるものの、なかなか増えない現状があるので、増やしていく必要があると考えます。

 また、専用住宅を活用し、居住支援法人から生活支援を受けながら、一人暮らしをする人に対する支援の仕組みづくりの検討を要望しますが、見解を伺います。

答弁3
住宅政策本部長
 住宅確保要配慮者への支援についてでございますが、都は、財政支援等を行うことにより、東京ささエール住宅の専用住宅の供給を促進するとともに、専用住宅等を活用して要配慮者の入居支援や生活支援を行う居住支援法人の指定を行っております。

 こうした取組を促進するため、今年度から、居住支援法人等が住宅を借り上げ、新たに専用住宅に登録し、要配慮者を支援する取組に対し補助する事業を実施しております。

 今後とも、要配慮者の居住の安定の確保に取り組んでまいります。

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成年後見制度の利用促進

質問1
 障害者の地域移行に欠かせない権利擁護の取組として、成年後見制度があります。障害者だけでなく、認知症高齢者にとっても必要です。二〇二二年度末には、都内で成年後見制度の利用者は二万六千人程度おり、毎年五千件ほどの申立てが行われています。

 若い障害者など、長期間後見が必要な人の場合、法人後見が期待されています。法人後見を担う民間団体も増えていますが、財政などの問題で継続できなくなっている状況も聞いています。

 そこで、地域での成年後見制度を進めるために都の取組を伺うとともに、法人後見についての支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。

答弁1
福祉局長
 成年後見制度の利用促進についてのご質問でございます。

 都は、成年後見制度の利用相談や市民後見人の養成、後見人へのサポート等を行う成年後見推進機関を設置する区市町村を包括補助で支援しております。

 今年度からは、区市町村社会福祉協議会等を対象に、法人後見の実務等に関する研修を新たに実施することとしており、引き続きこうした取組により、成年後見制度の活用を促進してまいります。

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香害

質問1
 最後に、香害について質問します。

 洗濯洗剤や柔軟剤、芳香剤などの強い香り成分の化学物質による健康被害は、この半年間だけでも多くのメディアに取り上げられ、生活者ネットワークに寄せられる相談も増えてきています。

 二〇二一年に消費者庁、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、環境省の五省庁連名での香害ポスターの掲示を求める通知が出され、各所での掲示と周知の取組が広がってきています。都営地下鉄の全駅での掲示が行われ、前進をしました。

 そのような中、今年の十月三十日には厚生労働省から日本救急医学会をはじめ、医療関係機関に香害ポスターについて周知依頼がありました。

 そこで、都立病院での香りへの配慮に関する取組について伺います。

答弁1
保健医療局長
 都立病院での香りへの配慮についてでございますが、都立病院では職員に対し、香水や柔軟剤等の香りに注意するよう指導しているほか、患者と接する窓口業務や病棟作業等の委託事業者にも同様の協力を求めております。

 また、入院患者用のリネン類の洗濯時には香りのない洗剤を使用するなど、香りが治療へ及ぼす影響を最小限に抑えた療養環境の確保を図っております。

質問2
 次に、学校での香害対策について伺います。

 生活者ネットワークでは、二〇一九年、都内の小中学校に香害についてのアンケート調査を実施、十一の自治体で相談がある学校があったという回答がありました。また、都内の各地で保護者からの相談を受け、学校での対策を求めてきています。

 今年の五月に兵庫県宝塚市教育委員会は、市内小中学校の児童生徒の全保護者を対象に、香害に関するアンケートを実施し、八%の子供が体調不良を起こしたことがあると答えました。その結果を受けて、市教委は、給食当番で柔軟剤の香りが残る共用の白衣を使わずに、自前のエプロンの持参を認める対策や入学時に保護者が提出する保健調査表に、化学物質過敏症に関する記入欄を追加することを決めたとのことです。

 そこで、学校現場での香害対策について、どのような取組を行っているのか伺います。

答弁2
教育長
 学校現場での香害対策についてでございますが、都教育委員会は香りの配慮に関する啓発を行うため、都立学校や区市町村教育委員会に対して、昨年国の科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル等を情報提供したほか、環境衛生検査等の職務に従事する学校薬剤師向けの研修会において、香りの配慮に関する啓発を実施いたしました。

 今年度は、国が作成したポスターの活用を通知するなど、児童生徒及び保護者への周知を図っております。

質問3
 このように、次々とあらわれる新たな化学物質への対応を含めて、東京都化学物質の子どもガイドラインを改定する必要があると考えますが、見解を伺います。

答弁3
保健医療局長
 化学物質の子どもガイドラインについてでございますが、都は保育所等に対し、化学物質について、教材などの身近なものに含まれるだけでなく、子供や職員が所持品とともに屋内に持ち込むこともあるため配慮するよう周知を図っております。

 引き続き、化学物質による健康影響を防ぎ、子供たちが安心して生活できますよう、ガイドラインを活用して普及啓発に取り組んでまいります。

質問4
 しかし、深刻な状況にある当事者は、都に相談したとしても具体的な解決策がないのが現状です。洗濯用合成洗剤や衣料用漂白剤は、家庭用品品質表示法の指定品目となっていますが、柔軟仕上げ剤や消臭除菌剤は指定品目とされていないため、成分表示の義務はないので、消費者が選ぶことができません。

 指定品目に追加し、香料を含めた成分表示を義務づけること、また、成分の規制についての検討を国に求めていただきたいと思いますが、見解を伺い、質問を終わります。

答弁4
生活文化スポーツ局長
 柔軟剤などの香りに関する対応についてでございますが、消費生活センターに寄せられた相談の中には、柔軟剤等の香りで不快感や体調不良を感じたというものもあることから、柔軟剤等の節度ある使用について、都民への普及啓発を行っております。

 今後も引き続き、相談の状況等を踏まえ、普及啓発など必要な対応を行ってまいります。

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