インクルーシブ支援員の配置を
「わかさぽ」のユースへの周知

インクルーシブ社会

質問1
 つい先日、ダウン症がある我が子と公園で遊んでいたときに起きたことをお話しします。

 ダウン症のある子の多くは、人が大好きで、そして距離感が一般よりやや近過ぎるという特徴があります。息子は公園にいた四人組の小学生と一緒に遊びたかったようで、満面の笑顔で近づいて、手で頭をなでたところ、大きな声で、何この子、気持ち悪いと逃げ出されてしまいました。意味が分からない息子は鬼ごっこと勘違いしたようで、ついていこうとしたのですが、無理、来ないでという険しい声がけがありました。そこでようやく理解してついていくのをやめたのですが、寂しそうな表情からすると息子なりに傷ついたようでありました。その後も、たまたまその小学生たちが遊んでいる遊具に近づいてしまうと、きもーいと四人から笑いながら逃げられるというのが繰り返されました。

 こういう体験をこれまで何度も経験してまいりました。この経験をこちら側から見える景色としましては、そのまま放っておけばスペシャルニーズのある子への差別やいじめにつながる可能性のある行動のように見えます。しかし、相手の子たち側から見れば、公園で気持ち悪い子が近づいてきたから身を守るために逃げたという記憶になっているはずです。ここにある認識の隔たりは、どうやって埋めていけばいいのでしょうか。

 東京都では、知的、身体、盲、ろう、病弱の五つの障害があるお子さんの九割以上が、特別支援学校や特別支援学級の分離された場所で学んでいます。

 身近に違いがあるお子さんがいない環境で学んでいる通常学級の児童生徒たちに対して、公園や児童館などで障害のある子に会ったら、自分とは違っていて、意味の分からないことを話したり行動することがあると思うけど、それに対して怖がることなく仲よくしてください、障害者への差別はしてはいけませんといって、はい、そうですかといって、そう振る舞えるようになるなんてことは決してありません。日常的に多様な子供たちが一緒に過ごしながら育っていかなければ、インクルーシブな心は育ちません。

 私は、誰もが自分らしく輝きながら参加しているという実感が持て、誰もが居場所があるインクルーシブな社会を目指して活動を続けております。その実現には、子供時代からインクルーシブに変えていくことが最も重要だと考えています。

 去年の一般質問では、スペシャルニーズのある子供が都立特別支援学校に行くと区市町村の予算負担がゼロになり、一方で、地元の学校で受け入れるとなると合理的配慮や支援員等の予算は区市町村が全て負担する必要があることから、教育的な観点とは別に、予算上の理由で特別支援学校へと子供を押し出す見えない力が働いていることをお話ししました。インクルーシブな教育を推進するには様々な複合的な取組が必要ですが、ボトルネックはこの予算上の理由にあります。

 昨年度から、特別支援学校判定のお子さんが地域の学校で学ぶことを希望した場合、それがかなうよう、インクルーシブ支援員のような人を配置できる制度の創設を求めてまいりました。

 地域の小中学校でのインクルーシブな教育を進め、支援が必要な子供たちが可能な限り希望する環境で学ぶことができるようにするためにも、都として区市町村による支援員の配置を支援することが重要だと考えますが、見解をお伺いいたします。

答弁1
教育長
 特別支援教育に関する支援員についてでございますが、教育上特別な支援を必要とする児童生徒の就学については、可能な限り本人や保護者の意向を尊重することが重要でございます。

 特別支援学校への就学が適当な児童生徒について、本人や保護者が地域の小中学校で学ぶことを希望する場合には、支援員による日常的なサポートが必要となります。

 今後、都教育委員会は、こうした支援員の活用等によるインクルーシブな教育をより一層推進するため、区市町村への新たな支援策を検討してまいります。

質問2
 都立砧公園みんなのひろばがインクルーシブ公園として整備されて以来、今や全国にその動きが広がりつつあります。インクルーシブ公園では、多様な子たちが自然に一緒に楽しく遊び交流することで、インクルーシブな心が育ち、その地域にインクルーシブコミュニティが広がっていくことが期待されています。

 しかし、インクルーシブ遊具をぽんと置いただけでは理想とする交流が生まれるわけではありません。実は、先ほどの我が子の経験は、ある基礎自治体がインクルーシブ公園として再整備した遊具広場で起きた出来事でありました。

 重要なのは、整備後のソフト面での運用です。インクルーシブな遊びのプログラムを継続的に実践したり、インクルーシブな遊びのプロフェッショナルであるプレーリーダーを配置することが効果的です。特に、プレーリーダーは、様々な違いによる戸惑いや不安を安心に変えながら相互理解を深め、公園全体にインクルーシブな対話ができる空間を広めていくことができます。

 そこで、東京都のインクルーシブ公園においても、プレーリーダーを配置した豊かな遊び体験を通じて、スペシャルニーズのある子ない子、多様な子たちが一緒に楽しめる公園づくりを進めるとともに、インクルーシブ公園の在り方そのものをさらに牽引してもらいたいと考えますが、見解を伺います。

答弁2
東京都技監
 インクルーシブな公園づくりについてでございますが、都立公園では遊具広場の改修等の機会を捉え、ユニバーサルデザインの遊具の整備や体験会の開催など、誰もが気軽に楽しめる環境づくりを進めております。

 今年度、府中の森公園では、プレーリーダーのサポートの下、遊具の使用が困難な重度の障害のある子供たちが、分身ロボットを活用し、他の子供たちと一緒になって遊具の体験ができるイベントを開催いたしました。また、砧公園では、プレーリーダーが子育て支援団体等に来園を呼びかけ、遊具を使った遊びへの参加につなげてまいります。

 こうした取組の成果を踏まえながら、誰もが楽しめるインクルーシブな公園づくりを推進してまいります。

質問3
 次に、公共空間におけるインクルーシブアートであります。

 異彩を放てをキャッチフレーズに、知的障害のある作家の作品を様々な形で公共空間で展示しているヘラルボニーは、芸術として正当な評価をつくり出し、作家が経済的に自立していくことを支える仕組みをつくっています。

 一方で、去年、渋谷区の都営バス営業所裏の壁に、スペシャルニーズのある人ない人三百人以上で関わって制作したインクルーシブアートは、まちに彩りを生み出し、人通りを増やし、長年の課題だった落書きを防止しています。

 参加者からは、子供の作品が展示されたことで、障害のある人がこのまちにも暮らしているんだと知ってもらえた、いつも福祉に支えられることが多いが、まちの美化に貢献できる側になれたことがうれしいという声をいただきました。公共空間におけるインクルーシブアートは、多くの効果があります。

 東京都では様々な工事を発注していると思いますが、その工事現場の仮囲いにインクルーシブアートを飾った場合、工事成績として評価することで、こういう取組を都としても後押ししていくべきだと考えますが、見解を伺います。

答弁3
財務局長
 工事受注者の社会的貢献に対する評価についてのご質問にお答えいたします。

 都は、受注者の適正な選定及び指導育成を目的として工事成績評定を行っておりまして、具体的には、基本的な技術力及び成果の評価と創意工夫や社会的貢献等への評価によりまして、これを実施しております。

 社会的貢献に関しましては、周辺地域の景観に調和させた仮囲いへの装飾、あるいは清掃などのボランティア活動などにつきまして受注者が関係部署と調整し自発的に行った場合、取組内容に応じて加点できる仕組みとしておりまして、社会福祉施設の工事におきまして、当該施設の利用者の作品を仮囲いに掲示した例がございます。

 今後とも、工事成績評定制度の適切な運用を図ってまいります。

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障害者の相談窓口

質問1
 次に、障害者への虐待がない社会にするための質問です。

 精神障害のある患者が長期入院している病院で虐待が日常的に行われていたことが明るみに出て以降、当事者やその家族には暗い影を落としています。

 障害者は虐待を受けるハイリスク層にあり、日常生活のあらゆる場面で虐待を受ける可能性があります。

 今年七月に厚労省が出した障害者虐待の防止と対応の手引きによりますと、障害者虐待は、いわゆる一般的に誰もが想像する虐待だけではなくて、障害の特性により起きやすい虐待というのもあります。専門家が見れば、これは虐待だとすぐに分かる状況であっても、指摘された側は大げさ過ぎると理解していただけないことから、状況が改善されないことがあります。

 令和六年四月一日施行の改正障害者差別解消法において、事業者による障害のある方への合理的配慮の提供が全国的に義務化されることになりました。こうした社会情勢を踏まえて、都においては、スペシャルニーズのある方が日常生活で障壁に直面した際や、障害者が虐待を受けた、受けたと思われる際、また周りの関係者が障害者虐待を発見した際に、専門的な知識のある人に相談できる体制を確保していくことが必要です。

 また、相談できる窓口へのアクセシビリティーを向上することについても重要になると考えます。都の取組についてお伺いいたします。

答弁1
福祉局長
 障害者の相談窓口についてのご質問でございます。

 都は、東京都障害者権利擁護センターを設置し、障害の種別を問わず、不当な差別的取扱いや合理的配慮の提供に関する相談、障害福祉サービス事業所や企業などでの障害者虐待に関する相談などに対応しております。

 これらの相談は電話やメールなどで受け付けるほか、パソコンやスマートフォンからも入力しやすい受付フォームを作成し、相談者の利便性向上に努めております。

 今後、センターの周知をさらに図るとともに、設置の準備を進めております精神科病院での虐待の通報窓口とも相談内容を共有し、状況に応じ迅速な対応につなげるなど、障害者の権利擁護を一層推進してまいります。

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子ども・若者施策

質問1
 私は、子供、若者、ユースが自分の性の健康に関する正しい知識を得られ、相談ができ、困ったときにはその解決ができるスウェーデンのユースクリニックを参考にして、東京版のユースクリニックの創設を提案してまいりました。

 都のこども未来アクションでは主要プロジェクトにユースヘルスケアが位置づけられて、東京版ユースクリニックに資する取組を各局が連携しながら進めていることを高く評価いたします。

 昨日の代表質問では、私たちの会派で要望してきたとうきょう若者ヘルスサポート、わかさぽにおいて、緊急避妊薬の支援をしていくと小池都知事から答弁がありました。

 困ったときにユースが安心して助けにつながれる場所を都が設けるということは、次世代を大切に育む重要な施策です。最近は、梅毒感染が増加し、性被害に遭う若者も後を絶えず、ユースをめぐる社会課題も増えています。

 ユースの性や健康を取り巻く環境が大きく変化する中で、さらなるユースヘルスケアの推進が求められています。東京都におけるユースヘルスケアの重要性について、まずは都知事の認識をお伺いします。

答弁1
知事
 ユースヘルスケアについてでございます。

 生涯を通じた健康づくりのスタートとなる思春期は、心身の様々な変化に直面し、不安や悩みを抱え込みやすい時期でございます。

 こうした思春期の子供の実情に寄り添い、福祉、教育といった政策分野の垣根にとらわれることなく、ユース目線を徹底して適切な健康管理をサポートしていくことは重要でございます。

 このため、ユースヘルスケアに関する組織横断の推進チームを立ち上げまして、ユースの声を踏まえた情報発信の強化や相談環境の整備に取り組んでおります。

 今後、緊急避妊の支援など喫緊の課題に対しまして真正面から向き合いながら、ユース目線に立った取組を一層充実させていくことによりまして、未来を担う世代の健康増進を強力に後押しをしてまいります。

質問2
 また、わかさぽにおいては、今後さらにユースにとって重要な役割を果たす拠点として進化を続けていただきたいと思います。そのためには、まずはユースが利用しやすい環境整備や運用、周知を図っていく必要があります。

 思春期に様々な悩みや不安を抱えたユースにとって重要な取組であるわかさぽについて、窓口の広報も含めて、現在の取組についてお伺いします。

答弁2
福祉局長
 とうきょう若者ヘルスサポート、わかさぽについてでございます。

 都は、思春期特有の健康上の悩みなどに対応する相談窓口わかさぽにおいて、電話、メール、対面での相談を実施しているほか、中高生等が性や健康を考えるワークショップを定期的に開催しております。先月からは、十代の若者が多く集まる渋谷駅近くに新たに確保した会場で週三回相談を実施しております。

 また、わかさぽを多くの中高生等に知っていただけるよう、都内の中学校や高校を通じまして周知用カードを生徒に配布するほか、十代に人気のインフルエンサーを起用した広報動画を新たに作成し、先月からSNSでの配信を開始するなど広報の充実にも取り組んでおります。

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渋谷のまちづくり

質問1
 次は、私の地元、渋谷区の笹塚、幡ヶ谷、初台をつなぐ都道、水道道路沿道のまちづくりについてです。

 真っすぐな通りの沿道には都営住宅が立ち並び、一階部分が使用されていないピロティーや空き店舗になっていることから、通り全体が薄暗く活気がないのが課題になってまいりました。

 これらの空間を活用するために取り組んできましたが、去年の一般質問で小池都知事から、都営住宅の空き店舗を活用して、アーティストの活動、交流、発信の場を提供していく旨の答弁があり、その後、START Box ササハタハツが誕生しました。入居しているアーティストからも大変好評をいただいております。今後、アートがまちに染み出ていくような地域との交流がより活発になることを期待しています。

 START Box ササハタハツを活用したアーティストの支援を充実させるとともに、地元地域との交流を一層推進するべきだと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

答弁1
生活文化スポーツ局長
 START Box ササハタハツについてでございますが、若手アーティストの創作環境を向上させるとともに、地域でアート活動を支援することは重要でございます。

 そこで、住宅政策本部と連携し、本年四月から空き店舗を活用したアトリエの貸出しを開始し、アートイベントにおける作品発表の場の提供などと併せ活動を支援しております。

 また、オープンアトリエやワークショップ等のイベントを地元区の協力を得ながら定期的に展開し、地域住民との新たな交流が生まれております。

 こうした取組を通じて、若手アーティストの活躍を後押しするとともに、地域住民が気軽にアートに触れる機会も積極的に提供してまいります。

質問2
 さらに、START Box ササハタハツの並びの空き店舗には、渋谷区と連携した地域交流の場として「あつまると」が開設され、地域住民の念願が一つかないました。

 「あつまると」は、もともとアート活動に力を入れている団体が運用していることから、今後はSTART Boxとの連携や都営住宅におけるインクルーシブアートの実現にも期待をしています。

 また、幡ヶ谷地域には都営住宅の跡地が長年そのままになっている場所があります。この敷地に面している商店街からは、自転車問題を解決するための駐輪スペースの整備やイベント利用を求められているほか、地域の親子からは空き地で遊びたいという声もいただいております。

 そこで、水道道路沿道の都営住宅の空きスペースの一部を地域の課題解決の場として活用する取組について、現在の状況と今後の予定をお伺いいたします。

 水道道路は住宅街の中を通り抜けている道であることから、渋谷で暮らす方々にとってとても重要な通りとなっています。今後も地元の意見を踏まえながらまちづくりを進めていただけますようお願いいたします。

答弁2
住宅政策本部長
 都営住宅の空きスペースの活用についてでございますが、都営住宅の建物や敷地は都民共有の貴重な財産であり、その空きスペース等を都の政策目的の実現や地域課題の解決のために活用することは重要でございます。

 渋谷区の水道道路沿道の都営住宅におきましては、店舗の空き区画を地域交流スペースとして、本年八月から区が活用しております。

 また、幡ヶ谷原町アパート跡地は、現在、建て替え用地としての活用を検討しておりますが、一部を地域の方などが利用する駐輪場として、暫定的に区が活用する予定でございます。

 今後も、地域の活性化等に資するよう、区の取組に協力をしてまいります。

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新興感染症への対応

質問1
 最後は、次なる感染症への備えです。

 感染症法の改正を踏まえて、都では東京都感染症予防計画の改定作業を進めています。

 急速に感染拡大する新型コロナとの闘いは、広域自治体である東京が中心になって都域全体で対応していくことが重要となりました。こうした経験を計画に反映させまして、新興感染症が発生した場合に必要な取組を迅速に実施できるようにするべきだと思いますが、都の見解をお伺いいたします。

 以上で一般質問を終えます。

 ありがとうございました。

答弁1
保健医療局長
 新興感染症への対応に関するご質問にお答えいたします。

 都は、区市町村域を越えて急速に広がる新型コロナに統一的かつ機動的に対応するため、都全域を対象とする入院調整や自宅療養者の支援などを実施してまいりました。

 今後、新興感染症が発生した際にも、こうした取組を迅速的確に実施できますよう、専門家の助言等を踏まえ、都が広域的な視点から速やかに対応方針を決定し、総合調整を行うことを感染症予防計画で明確にしてまいります。

 あわせまして、保健所設置区市や東京都医師会等が参画する連携協議会を活用し、平時から関係機関と情報共有を密に行うなど連携体制の強化を図り、東京全体の感染症への対応力を一層向上させてまいります。

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