学習障害の子供達が輝く環境を
仮想空間で不登校対策の支援を

福祉・医療政策

質問1
 ニューロダイバーシティは、発達障害の特性を生かし、雇用につなげていくために重要な概念です。知事からも、ニューロダイバーシティと呼ばれるこのうねりを大きなものにし、トライアル雇用などを通じて障害者の活躍の場を広げてまいりますなど、本年第一回、第三回定例会で強い決意が重ねて示されました。

 先日、トライアル雇用に参加した企業に赴き、直接話を伺ってきました。スキルに応じた仕事で成果を上げてもらった、ひたむきに仕事に打ち込む姿勢からこちらが初心を思い出させてもらった、本人が満足してくれるか分からないが会社の業務サポートとしてずっといてほしいなどのご意見をいただきました。

 私は、ニューロダイバーシティの取組を足がかりに、企業など社会における発達障害への理解が深まることが、雇用促進に向けて大きな効果を生むことを確信いたしました。そして、いずれはデジタル分野に限らず、全ての分野において発達障害の特性に合わせた仕事内容、働き方等を自由に選択できる企業風土を構築することが、イノベーションの創出に大きく寄与していくものと考えております。

 そこで、都は今後、トライアル雇用の成果と課題について検証し、ニューロダイバーシティの取組を一層促進することが必要と考えますが、見解を伺います。

答弁1
産業労働局長
 発達障害者の雇用の促進についてでございますが、発達障害者の中には高い集中力や分析力を持つ方がおり、そうした特性等を生かし、IT関連をはじめ様々な業種の会社での就業を推進することは重要でございます。

 これまで都は、そうした障害を持つ方が中小企業で働く機会を設け、これにより、採用や職場定着に関わる知識やノウハウの確保を進めております。

 この取組によりまして、発達障害の方に合った業務を取り決めることや仕事の進め方のほか、体調の変化への対応などが課題として明らかとなったところでございます。

 こうした課題に関し、国内外の先進的な取組を集め対応の方法を検討し、採用や職場定着のモデル事例をつくり、来年二月の障害者雇用のイベント等で幅広く紹介いたします。

質問2
 重度の障害をお持ちの方は、通勤等が困難なため、働く機会が限られていましたが、働き方をめぐる状況は大きく変わりつつあります。

 日本橋に分身ロボットが接客を行ってくれるカフェがあります。ロボットを操作するのは、障害などで外出が困難なパイロットと呼ばれるスタッフさんです。自宅から分身ロボットを遠隔操作し、接客を行っています。

 昨年、私もカフェを利用させてもらい、接客をされるパイロットの方々と話をしましたが、もともと人と話をするのが好きだったから、今の仕事にすごく満足、遠く離れた人を接客することができ楽しかった、ありがとうといわれるとうれしくやりがいを感じているなど、分身ロボットには、仕事を通じ、新たな人と出会い、つながっていくという、働くことの原点が凝縮されていると思います。

 こうしたロボットの活用を含め、都は、重度の障害をお持ちの方が、その能力を生かした仕事の選択肢を広げていけるよう、新しい働き方での雇用機会の創出に向けて支援すべきだと考えますが、都の見解を伺います。

答弁2
産業労働局長
 重度の障害を持つ方の雇用促進についてでございますが、重度の障害により、職場に出かけ仕事を行うことのできない方について、そのサポートに工夫を加え、就業を実現する取組は重要でございます。

 これまで都は、障害者の採用や職場への定着に取り組む会社を増やすため、障害の程度に応じた仕事場での配慮や行政によるサポートに関し情報提供を行ってまいりました。

 また、障害者のための就職面接会に合わせイベントを開き、重度の障害を持つ方が、IT技術を活用し、自宅からリモートにより店舗の接客を行う仕事の実例等の紹介を行ったところです。

 今後、こうした最新のデジタル技術の活用を図りながら、重度障害者の就業支援により力を入れてまいります。

質問3
 学習障害の中でも、読むことに困難があるディスレクシア、書くことに困難があるディスグラフィアについて伺います。

 今回の質問に際し、書くことに困難がある児童の話を伺いましたが、書くのは読むより三十倍大変、板書は先生の声を聞き取って書いている、平仮名のとの向きが、見えてはいるんだけど、書くときにどっち向きか迷うなど、読み書きに尋常ならざる労力をかけており、とてつもない負担を抱えていることを知りました。

 しかし、児童や保護者がディスレクシア、ディスグラフィアを知らない場合、児童は書く行為を面倒くさいと表現し、それを聞いた保護者は、怠けていると捉えてしまいます。

 そして、保護者が知人に相談しても、子供に甘いのよとか、塾に通ってみればとアドバイスされることもよくあります。無理解に基づく対応により、さらに子供は苦痛の時間を過ごすことになり、保護者は改善されないことに落胆し、混乱します。

 この悪循環をもたらす悲劇は、児童の自尊感情を大きく傷つけます。寝る前に、児童はこんなことをいったそうです。ママ、僕はばかだからしょうがないよね。

 しかし、特性に合わせて、ICT機器やDAISY図書などのコンテンツを活用することや、テストや入試などにおいて活用機会を拡充するなど、寄り添った支援を適切に行うことで困難を和らげることができます。

 ディスレクシアなどの学習障害がある子供たちも、もともと得意なことや、人と違うすばらしいアイデアを持っている子供たちです。こうした子供たちが社会の中で自然と輝きを放つことができるようになるためには、小さい頃から、子供たちが共に学び、支え合う環境をつくり出していくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。

答弁3
知事
 学習障害等のある子供への支援についてお尋ねがございました。

 人が輝く東京を実現する、そのためには、全ての子供が共に交流し、支え合う環境づくりを推進していくことが重要でございます。

 都では、全ての公立小中学校に特別支援教室を設置いたしまして、学習障害を含む発達障害のある子供への支援を行っております。

 また、発達障害等のある子供の学習や社会参画には、デジタル機器の力を最大限活用していくことも有効でございます。

 誰一人取り残さない教育を実現できますよう、様々な教育環境の整備を進めてまいります。

質問4
 読み書きに著しい困難を示す子供の割合は、推定値で三・五%であり、推定値をベースに計算すると、公立小中学校では二万九千三百四人になります。学校現場において、対象の子供たちを漏れなく把握し、支援につなげることが必要です。

 都では、発達支援員補助事業など各種施策を講じていますが、利用状況は、六十二市区町村中の二十八市区町村で、都内小中学校別に見ると、三三・七%にしか配置されていません。

 そこで、ディスレクシアなどの学習に困難を抱える児童生徒の個々の実態を把握し、発達障害教育支援員の配置を推進していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁4
教育長
 発達障害教育支援員の配置促進についてでございますが、都教育委員会は、各小中学校からの申請に基づき、臨床発達心理士等を派遣し、児童生徒の個々の実態把握を支援しております。

 令和五年度から、発達障害教育支援員の補助率の拡大、配置条件の緩和や大規模校への配置を二名に拡充し、前年度から配置割合が拡大いたしました。また、特別支援教室専門員を各校に一名配置し、特別支援教室を円滑に運営しております。

 都教育委員会は、区市町村教育委員会に対し、支援員の補助制度の活用等をさらに働きかけて、発達障害のある児童生徒への支援を推進してまいります。

質問5
 学習障害のある子供を育てる親の理解や、当事者同士での情報の交換のためには、ペアレントメンター事業は効果的であり、根づかせていくことが必要です。

 小平市では、地域の支援団体が学習支援や当事者同士の交流の場を創出するなど、専門家では対応できない支援を提供していますが、都全体を見渡してみると、地域により取組に濃淡があり、全都的に広がっているとはまだいえません。このような地域の取組を全都的に普及させていくことがより重要と考えますが、都の見解を伺います。

答弁5
福祉局長
 学習障害のある子を持つ親への支援に関するご質問にお答えをいたします。

 学習障害をはじめ、発達障害のある子を育てるご家族の支援には、同じような障害のある子を持つ親からの共感的な支援や情報交換等が有効でございます。

 そのため、都は、発達障害児の養育経験がある親をペアレントメンターとして登録し、区市町村等が実施する保護者交流会や相談会などに派遣をいたしまして、ご自身の経験を基に相談や助言等を行っております。

 より多くの区市町村で、地域における支援ニーズを踏まえたペアレントメンターの活用が進みますよう、説明会の場などを通じ、ペアレントメンターの役割や活用事例などを周知し、取組の普及を図ってまいります。

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教育政策

質問1
 不登校の子供を持つ家庭によっては、環境を変えてやり直すことも効果があります。そのため、遠方に引っ越すことがありますが、家庭の負担も多く、気軽に選択することはできません。不登校の原因は多岐にわたるため、支援のメニューは児童生徒に寄り添って多くの選択肢を提供することが必要であり、都は積極的に支援すべきです。

 そこで、仮想空間を利用することにより、リアルな環境とは異なる新たな環境でコミュニケーションを行うことも有効と考えます。

 都教委が現在取り組んでいる仮想空間を利用した不登校対策の取組について、さらに充実させることが重要と考えますが、見解を伺います。

答弁1
教育長
 仮想空間を活用した不登校の支援についてでございますが、都教育委員会は、仮想空間における居場所、学びの場であるバーチャルラーニングプラットフォームを、八つの自治体の小中学生と都立高校生等に提供しております。

 この仮想空間では、アバターを活用することにより、対面で会話することを苦手とする子供も安心して参加できています。自治体からは、アバターの姿で行う会話をきっかけに、対面でのコミュニケーションを行えるようになったとの報告を受けています。

 今後は、子供たちが絵などを書き込める機能を追加し、交流を活性化するとともに、各自治体の好事例を連絡会で共有するなど、仮想空間における支援を充実してまいります。

質問2
 生成AIの技術が急速に進展しており、最近では、岸田総理大臣のフェイク動画が拡散する事例が報道されています。こうした状況に対し、学校は、子供たちが惑わされないよう指導することが重要です。

 一方、こうした最新の技術は将来ますます発展し、社会に浸透していくことが予想されるため、危険だから使わせないのではなく、効果的に活用できるよう子供たちを育成していくことが重要と考えますが、都の見解を伺います。

答弁2
教育長
 生成AIを適切に使いこなす子供の育成についてでございますが、都教育委員会は、十月に都立学校の教員を対象として、AIリテラシーの指導や授業における活用法について専門家を講師に招き研修を行いました。

 また、都立学校九校を生成AI研究校に指定し、研究校の生徒が使用できる実習環境を整備いたしました。現在、生徒が実際にAIを操作して学習に生かすなど、その活用について研究を進めています。

 今後、研究成果を踏まえ、都内全公立学校に指導事例を周知するとともに、AIの特性等を学ぶ高校生向けリーフレットを作成、展開することなどにより、子供たちのAIリテラシーの育成に向け、学校を支援してまいります。

質問3
 小学校から高等学校まで全ての児童生徒がプログラミングを学ぶこととなっています。プログラミングは論理的思考を育み、これからの情報社会を生きる子供たちにとって重要です。

 プログラミング教育の効果を高めるためには、学校での事業に加え、子供たちが取り組みやすい体験の場を提供することも重要と考えますが、都の見解を伺います。

答弁3
教育長
 プログラミング教育についてでございますが、都教育委員会は、今年度、プログラミングイベント、みんなでアプリ作ろうキャンペーンを実施しています。

 この取組では、希望する都立学校生にアプリ開発のワークショップを実施するとともに、ITで課題解決を図るアイデアや技術を競うハッカソンを行いました。現在はアプリコンテストを実施しており、特別支援学校も含めた多くの学校から、日常生活における様々な課題を高校生らしい視点で解決するアプリが応募されています。

 これらの取組を通じて、全ての子供たちを対象にプログラミングへの関心を高め、デジタルの力で問題解決できる人材を育成してまいります。

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障害者スポーツ

質問1
 これまで、外出困難な障害のある方は、スポーツ参加が難しいとされてきました。しかし、最近では、eスポーツが実施できるようになってきており、スポーツ参加の新たな形として大きな可能性が広がってきています。

 先日、小平市にある障害者支援施設で、都のeパラスポーツ事業を視察いたしました。手先の不自由な方でも操作できる大きなボタン型スイッチを使って、徒競走や玉入れなどのスポーツを、遠く離れた熊本県の高齢者施設の方々とオンラインで対戦していました。

 障害のある方の社会参加の観点からも、eパラスポーツを多くの方に知ってもらうことが重要です。

 そこで、外出困難な障害のある方のスポーツ参加として、eパラスポーツの取組を普及させていくべきだと考えますが、都の見解を伺います。

答弁1
生活文化スポーツ局長
 eパラスポーツの普及についてでございますが、都は今年度から、障害のある方向けに開発された機器を福祉施設に貸し出し、オンラインのスポーツ対戦を日常的に楽しんでいただいております。

 こうした日頃の練習成果を発揮する機会として、今月には、商業施設でeパラスポーツ交流会イベントを開催いたします。交流会では、会場来場者と複数の福祉施設がオンライン対戦で交流を行います。

 加えて、多くの方にeパラスポーツの可能性を理解していただくため、交流会の様子をアーカイブ配信いたします。

 今後も、障害当事者等の意見を聞きながら、一人でも多くの障害のある方にeパラスポーツの参加機会を提供するとともに、広く都民に普及をしてまいります。

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体験農園へのサポート

質問1
 東京が発祥である農業体験農園は、農業者の技術指導のもとで農作業を学ぶことができ、栽培や収穫など、日常では体験できない機会を提供しています。利用者の満足度は高く、農業者にとっても安定した売上げを確保できることから、有効な経営手法の一つです。

 小平市でも五つの農業体験農園があり、中には、農業を体験できる場にとどまらず、地域コミュニティの中核的な存在となっているところもあります。

 一方で、人に教え、利用者の満足度を高めるといったスキルを独学で獲得するのは困難、また、地域によっては応募倍率が一倍を下回るなど、人集めに苦労しているといった課題も伺っています。

 都はこれまでも、農業体験農園を開設する場合などの支援を行ってきましたが、農業者の経営安定化に向けて、運営面でのサポートにも力を入れるべきだと考えますが、見解を伺います。

答弁1
産業労働局長
 農業を体験できる農園についてでございますが、農作業を体験する場を都民に提供し、農業への理解につなげ、農業経営の安定にも役立てることは必要でございます。

 このため、都は、農業者が体験農園を開いて農作業のスキルやノウハウを住民に提供する場合、その整備や宣伝に必要な経費等へ助成を行っております。

 今後は、体験農園を運営する農業者の集まる機会を活用し、農園に関する意見交換を行うほか、利用者の増やし方や作業に関する説明方法を学ぶ場を提供いたします。

 こうした取組によりまして、体験農園の普及を着実に後押しをしてまいります。

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交差点すいすいプラン

質問1
 都の都市計画道路の完成率は、最新のデータで六五%、多摩地域は六三%、小平市は四〇%で、未着手の路線も多く存在しています。交通渋滞を解消し、快適で利便性の高い都市を実現するため、道路整備を着実に進めていくべきです。

 さらに、既存の交差点で局所的な渋滞緩和を図る交差点すいすいプランを同時に進めていくことも極めて重要です。計画期間が令和六年度末までと迫っており、整備を一層推進していくべきと考えます。

 そこで、第三次交差点すいすいプランの取組状況と、小平市内の整備箇所の取組状況について伺います。

答弁1
東京都技監
 第三次交差点すいすいプランについてでございますが、右折レーンや歩道などを設置し、歩行者の安全を確保しつつ交差点の交通渋滞の緩和を図ることは重要でございます。

 都は、このプランに基づき、平成二十七年度から多摩地域を中心に事業を進めておりまして、対象箇所七十六か所のうち、現在二十六か所で完成または一部完成しております。

 小平市内では三交差点が対象となっておりまして、このうち、北野中交差点では右折レーンが完成し、喜平橋交差点では歩道整備を進めますとともに、玉川上水を渡る人道橋について検討しているところでございます。

 今後とも、地域住民の方の理解と協力を得ながら、事業を積極的に推進してまいります。

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ファンド運営

質問1
 渋沢栄一公は、事業家としての成功だけでなく、社会奉仕にも功績を残されてきました。企業の投資は、単に利潤だけを目的とするのではなく、社会へのポジティブな影響を同時に生み出すことを目指していくべきであります。

 こうした観点から、環境など持続可能な社会の形成のために、経済活動の形を変えていくといった理念を提唱しているESG投資の活性化は、重要な課題です。

 都はこれまで、ファンドという手法でESG投資の拡大に取り組んできました。

 ファンドは、単年度事業の補助金と異なり、長期にわたり投資案件と関わりを持てるというメリットがある一方、出資は一定のリスクが伴うことから、ファンドという手法を取った理由について、都民に対する説明責任を果たしていくことは必要不可欠です。

 先週、都は、系統用蓄電池を投資対象とするファンドの運営事業者を決定したとの発表を行いました。

 今回のファンドの狙いと政策目的の実現に向けて、ファンド運営にどのように関与していくのかについて伺い、私の一般質問を終わります。

答弁1
スタートアップ・国際金融都市戦略室長
 創エネ・蓄エネ推進ファンドについてのご質問にお答えいたします。

 再生可能エネルギーの導入を拡大するためには、電力系統の安定化に資する蓄電池設備への投資を加速させることが不可欠でございます。

 このため、都は今年度、黎明期にあります蓄電池ビジネスのファイナンスモデルの確立を目指し、都の出資を呼び水として民間の資金やノウハウを引き出すファンドを創設いたします。ファンドの運営は専門性を有する事業者に委ねつつ、都は政策目的の達成に向け、定期監査の実施など、専門家の助言を得ながら適切にモニタリングしてまいります。

 こうした官民ファンドの仕組みを有効に活用しながら、金融の力で脱炭素社会への移行を加速させてまいります。

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