下水汚泥の資源化に取り組め
呑川新橋の架け替え早期完了を

循環型社会

質問1
 初めに、下水道資源であるリンを活用した肥料化について質問をいたします。

 化学肥料の原料は、大半を輸入に頼っており、その上、複雑化する国際情勢に伴い、価格が不安定であります。国は、現在、肥料の国産化や安定供給に向けた議論を本格化させております。

 このような中、都議会公明党が注目しているのが、資源の宝庫といわれている下水に含まれる肥料成分リンであり、かねてより下水汚泥の資源化を提言してまいりました。特に、全国の下水道量の約一割を占める東京都の再生リンが全国でも利用いただければ、資源確保としての効果は絶大であります。

 令和三年度公営企業会計特別委員会で都議会公明党が行った質疑に対し、都は、下水汚泥中のリンを農業用肥料などへの有効利用に向け検討していくと前向きな答弁があり、令和五年第二回定例会では、下水から回収したリンを肥料として流通させるために、下水道局だけではなく、農業分野の関係者などとも連携し、成分分析や肥料需要の調査を進めていくと具体的な答弁がありました。

 先日の知事の所信表明で、全国農業協同組合連合会と連携して広域的な肥料利用を進めるとありました。

 そこで、再生リンのポテンシャルが高い東京都と全国農業協同組合連合会が連携し、肥料の広域利用に向け、実効性のある取組を進めていくべきです。知事の見解を求めます。

答弁1
知事
 下水再生リンの広域での肥料利用についてのお尋ねでございました。

 全国の下水処理量の一割を占める都が、多量の下水汚泥からリンを回収しまして、肥料として広域的な利用に全国で初めて取り組み、肥料の国産化に乗り出すということは、食料安全保障の観点からも大きな意義がございます。

 そのため、JA全農と連携しまして、下水再生リンの流通経路の確保や農業者の理解醸成に向けまして、ニーズに合った肥料の開発や市場、流通調査などに取り組んでまいります。

 来月には、下水汚泥から良質なリンを効果的に回収するリン回収肥料化施設を砂町水再生センターで稼働させまして、肥料の開発に着手いたします。

 今後、これらの取組を通じまして、下水再生リンの広域での肥料利用を推進しまして、肥料の国産化と安定的な供給に貢献してまいります。

ページの先頭へ


薬の服用

質問1
 次に、国保加入者の医薬品の適正使用に向けた取組について質問します。

 先日、薬剤師会より、驚きのお話を伺いました。お一人の方が複数の病院から睡眠導入剤を一月に計二十七回処方してもらったことが判明、院外調剤薬局は、処方箋を発行した医師と連携するなどの対応を行ったとのことでした。

 複数の医療機関から同一成分の薬剤を投与される重複投薬や、同じ月に多量の薬剤を投与される多剤投与は、健康上のリスクがあるだけではなく、さらには限りある医療資源の効率的な活用の観点からも問題です。

 医薬品の適正使用に向けた取組を進めるには薬局や薬剤師の力が欠かせないですが、薬局では患者の全ての服薬状況を把握できない場合もあり、レセプトにより服薬状況を把握できる区市町村等の保険者と連携して取り組むことが重要となります。

 私の地元大田区では、都が東京都薬剤師会と連携してモデル事業を実施した重複多剤服薬管理指導事業に令和三年度から参加し、地区薬剤師会との連携の下、医薬品の適正使用の取組を行いました。

 都は、この取組の成果と課題を明らかにし、地域における重複多剤服薬者対策の拡充に向けた取組を行うべきです。見解を求めます。

答弁1
保健医療局長
 国民健康保険加入者の医薬品適正使用についてでございますが、都は令和二年度から、区市町村がレセプトデータを基に把握した重複多剤服薬者に対して、地域の薬剤師が訪問指導を行うモデル事業を実施し、重複多剤服薬の解消や医療費の削減につなげてまいりました。

 今年度からは、モデル事業の成果等を踏まえ、本人の同意が必要な訪問指導に限らず、適正服薬の啓発や薬局での残薬管理の相談など、区市町村が各地域の薬剤師会と連携し、幅広い取組ができますよう支援をしております。

 今後、適正な服薬を推進するため、本事業の活用を区市町村に広く呼びかけるなど、地域での取組が一層進むよう支援してまいります。

質問2
 次に、都の薬物乱用防止への取組について質問をいたします。

 現在、違法薬物使用の低年齢化や市販薬の過剰摂取、オーバードーズが社会問題となっており、薬物使用への正しい知識を啓発する取組は大変重要であります。また、薬物使用者の高い再犯率を考えると、それを防止する取組も重要です。

 現在、都は、薬物乱用対策推進計画令和五年度改定に向けて取り組んでおります。その改定案では、小学生へは学習指導要領に基づく指導を行う、中学生へは自らが薬物問題を考え、問題意識を高めるため薬物乱用防止標語とポスターの募集を行う、高校生へは薬物乱用を身近な問題として捉え、専門家等から学んだ内容を生徒同士で議論、検討し発信する薬物乱用防止高校生会議を開催するとしています。

 都の薬物乱用防止への取組の一つとして、都内四十八地区協議会で構成される東京都薬物乱用防止推進協議会を設置しています。私の地元大田区にも協議会があり、私は大田地区協議会指導員として活動させていただいておりますが、この大田地区では、中学生の標語とポスター募集に加え、小学生にも標語の募集を行っております。

 都の薬物乱用対策推進計画令和五年度改定では、小学生への意識啓発をさらに強化する取組を行うとともに、社会問題化している市販薬の過剰摂取、オーバードーズ対策や違法薬物使用者への再犯防止への取組も計画に盛り込むべきです。見解を求めます。

答弁2
保健医療局長
 薬物乱用防止対策についてでございますが、都は、薬物乱用対策推進計画に基づき、関係機関や地域団体と連携した啓発活動、規制や取締り、相談支援体制の充実など、総合的な対策に取り組んでおります。

 今年度予定しております計画の改定に当たりまして、若者等による市販薬のオーバードーズが社会問題化していることを受け、薬局等への監視指導の強化や、医薬品の適正使用に関する小学生向け教材の作成、配布など、若年層を対象とした普及啓発の推進のほか、薬物乱用者への再乱用防止に向けた継続的な支援の充実などについて検討しております。

 今後、関係機関との連携をより密にし、薬物乱用防止対策の取組を一層推進してまいります。

ページの先頭へ


環境施策

質問1
 次に、区市町村立学校施設のLED化推進について質問いたします。

 知事は、今定例会初日、気候危機へ都市の責任を果たすと題し、二〇三〇年のカーボンハーフ、その先のゼロエミッション東京の実現を確かなものにしなければなりませんと所信表明がありました。

 脱炭素化は東京の喫緊の課題であります。照明のLED化は脱炭素化に資する取組ですが、学校照明のLED化も有効な方策です。

 国は、学校施設環境改善交付金の大規模改造事業で、四百万円以上の工事の原則三分の一を補助しています。この制度は、あくまでも本格工事のみを対象にし、リース契約は対象外となっています。リース契約によるLED化は迅速に取り組める方策であり、国が補助の対象外としているのであれば、都が積極的に取り組むべきと考えます。

 リース契約による整備について、補助を受けられない区市町村の学校照明のLED化が進むよう、都として取り組むべきです。見解を求めます。

答弁1
教育長
 区市町村立学校施設のLED化推進についてでございますが、都教育委員会は、区市町村に対し、国の補助制度を活用し、学校施設の整備が進められるよう支援するとともに、国に対し、補助率の引上げや補助対象の拡大等を要望しております。

 リース契約による学校施設のLED整備については、今後、学校施設における整備手法や導入効果などに関する情報収集を進めてまいります。あわせて、国に対して、リース契約を活用した施設整備について補助の対象とすることを要望してまいります。

ページの先頭へ


島しょ地域の防災対策

質問1
 次に、小笠原父島防災避難道路、都道二四〇号、行文線について質問します。

 行文線は、昭和六十一年に防災避難道路として路線認定後、都道二四〇号の一部として整備が進められてきましたが、未整備区間において自然環境に与える影響等により合意形成が整わず、平成七年に事業保留となりました。

 しかし、東日本大震災が発生し、南海トラフ巨大地震による東京の被害想定を基に村が作成した父島津波浸水ハザードマップ基本図において浸水エリアが提示され、都道である湾岸通りが浸水すると想定されたため、浸水エリア外で島を周回できる防災避難道路の必要性が再認識され、整備が再開に向け動き出しました。

 行文線は、命をつなぐ大変重要な防災避難道路であります。自然環境に配慮しながら、早急に、そして着実に事業を進めるべきです。見解を求めます。

答弁1
東京都技監
 小笠原村の都道行文線の取組状況についてでございますが、父島では、一たび津波が発生すると、島内の生命線である都道湾岸通りが寸断され、集落や避難所が孤立し、救助、救援活動の大きな支障となるおそれがございます。

 このため、湾岸通りの代替路となる行文線で未開通となっております約七百メートルの区間を整備することといたしました。

 本区間につきましては、世界自然遺産である小笠原の景観や動植物の生態系等を考慮し、自然環境の専門家を交えた会議において環境保全対策を検討してまいりました。その助言を踏まえ、本年十月に準備工事に着手いたしました。

 引き続き、自然環境の保全に配慮しながら、防災力向上に資する本区間の早期整備に取り組んでまいります。

ページの先頭へ


瑞江葬儀所

質問1
 次に、瑞江葬儀所について質問します。

 都内の死亡者は、令和四年まで十六年連続で増加し、二〇四〇年にはピークを迎えます。この多死社会の到来で重要となってくるのが、需要に見合う火葬件数の確保です。

 私の地元大田区には、臨海部広域火葬組合が運営する臨海斎場があり、火葬件数は年々増加し、令和四年度は前年度から千件近く増加し、火葬の時間帯によっては一週間程度も火葬が待たされる場合があり、令和十二年に増炉を計画しています。

 一方、都道府県で唯一火葬所を所有する都は、瑞江葬儀所を運営しておりますが、周辺区はもとより、地元の江戸川区民でさえ火葬の予約が取りづらいとのお声をいただいており、都議会公明党は、施設更新に合わせて火葬を増やせるよう一貫して求めてまいりました。

 現在、瑞江葬儀所は老朽化に伴い建て替えを行っており、新施設は令和七年五月に供用を開始します。

 そこで、施設機能が更新するこの機を捉え、地元の理解を得ながら、火葬件数の増加に対応していくべきです。見解を求めます。

答弁1
東京都技監
 瑞江葬儀所についてでございますが、令和七年に供用を開始する予定の新施設は最新の火葬炉を備えておりまして、排煙設備等の環境性能が改善することにより、地元の理解の下、火葬件数を増やすことが可能となります。

 この新施設の機能を十分に生かすことで、現在一日二十五件の火葬可能件数を三十件にするとともに、年間の稼働日数を三百日から三百五十日に増やしてまいります。これにより、年間の火葬可能件数は、七千五百件から約一万件に拡大いたします。

 新たな葬儀所においても、公営葬儀所としての役割を的確に果たしてまいります。

ページの先頭へ


海辺の魅力発信

質問1
 次に、大田区による海辺の散策路整備について質問します。

 大田区の海辺の散策路は、羽田旭町からふるさとの浜辺公園までつながる全長四キロの遊歩道で、海老取川や平和島運河沿いの魅力ある海辺を散策できる都民の憩いの場となっております。

 この散策路は海岸沿いのため、防潮堤の整備や水門の撤去、都の土地を利用しての大田区の橋の建設などが必要であり、都の協力は不可欠です。

 都は、水門撤去等を引き続き着実に進めるとともに、大田区が整備する海辺の散策路について早期の整備が図られるよう、区に対し積極的に協力していくべきです。見解を求めます。

答弁1
港湾局長
 大田区による運河沿いの散策路の整備についてでございます。

 都は、貴船水門等の四つの水門について、背後の河川の大部分が埋められたため、防潮堤を整備した上で撤去することとしておりまして、その後、地元区が散策路の一部となる歩道橋を水門跡地の河口に整備する計画となっております。

 これまでに、貴船水門及び呑川水門の撤去が完了し、水門跡地で地元区による歩道橋の整備事業が進められております。

 残る二か所の水門につきましても、現在、撤去及び防潮堤の整備を進めており、事業の着実な推進を図るとともに、地元区が早期に歩道橋整備に着手できるよう、引き続き工事スケジュールに関する情報提供や、工事を進めるに当たっての連絡調整などを緊密に行ってまいります。

ページの先頭へ


橋梁

質問1
 最後に、放射第一七号の呑川新橋の架け替え工事について質問をいたします。

 先日、ある区民の方より、放射第一七号線呑川新橋の架け替え工事の早期完了を求めるご要望をいただきました。

 この放射第一七号線は別名産業道路と呼ばれ、沿道の多くは準工業地域として、産業のまちの側面を有する大田区を力強く支える道路となっております。この産業道路の一部区間は計画幅員で完成しておらず、交通上のボトルネックとなっております。

 都は、こうした状況を踏まえ、現道を拡幅する工事を順次進めており、このうち呑川に架かる橋について、上流側を一期、下流側を二期、それに挟まれた中間部を三期とした三分割施工により、新しい橋へと架け替える事業を行っていると聞いております。

 この産業道路は、一日当たり約三万台もの自動車が通行すると聞いており、加えて、十分な工事ヤードの確保が厳しい施工条件下にあっても、地道に事業を前に進めている建設局の努力は認めますが、一方で、平成十二年の工事着手以降二十三年が経過し、事業が長期化しております。

 都は、地域住民へさらなるきめ細やかな工事の進捗状況の説明会などを行い、理解と協力をいただきながら、本区間の早期の整備完了を目指し、工事をさらに加速させるべきです。見解を求め、質問を終わります。

答弁1
東京都技監
 放射第一七号線についてでございますが、本路線は大田区大森東二丁目から同区羽田二丁目に至る約三・五キロメートルの骨格幹線道路であり、東京都と神奈川県とを結ぶ重要な路線でございます。

 このうち呑川区間では、拡幅に伴う呑川新橋の架け替えを行っておりまして、現道の交通を確保する必要から三分割で施工しております。これまでに第一期施工として上流側の架設を完了させ、現在、交通を切り替えた上で、第二期施工として下流側左岸の新設橋台の構築等を進めております。年度内には、右岸側の下部工事にも着手する予定でございます。

 引き続き、整備効果の早期発現に向け、地元の理解と協力を得ながら、着実に事業を推進してまいります。

ページの先頭へ


ページ先頭に戻る