先を見据えた政策展開が重要
多摩地域の給食費無償化支援を

「未来の東京」戦略

質問1
 「未来の東京」戦略について伺います。

 新型コロナの感染症法上の分類が変更されてから半年が経過し、インバウンドの回復などから、東京は活力を取り戻してきており、成長に向けて着実に歩みを進めています。一方で、物価高をはじめとした都民や事業者が直面する課題を先送りすることなく、東京の成長を阻む足元の課題を確実に解決していかなければなりません。もとより、将来を担う子供たちが未来へ明るい希望が持てる東京を築き上げていくことが我々の責務であります。そのためには、先を見据えた中長期的な政策展開を行うことが重要であります。

 そこで、東京の発展に向けてどのように政策の強化を図っていくのか、知事のスタンスを伺います。

答弁1
知事
 東京の発展に向けた政策の強化についてお尋ねがございました。

 激甚化する自然災害や激動の国際情勢に加えまして、円安の長期化、また、エネルギー価格の高騰など、構造的課題が浮き彫りとなっておりまして、先行きは不透明でございます。こうした不確実性が増す時代だからこそ、先を見据えた未来への投資を大胆に展開し、変革を起こさなければなりません。

 「未来の東京」戦略におきましては、目指す二〇四〇年代の姿から、バックキャストの視点で政策を構築いたしまして、社会経済情勢の変化を的確に捉え、弾力的にバージョンアップすることといたしております。

 政策の強化に当たりましては、変化する社会情勢や構造的課題に対しまして、東京がなすべきことを徹底的に考え、前例にとらわれない新たな発想で練り上げた政策をスピード感を持って進めてまいります。

 ポストコロナの転換点を迎えた今こそ、社会経済の明るい兆しを力強い成長のうねりへと育て、子供たちが将来に希望を持てる明るい未来の東京を実現してまいります。

ページの先頭へ


スポーツ政策

質問1
 今年は、三月の野球のWBCをはじめ、世界陸上ブダペスト大会、バスケットボールやラグビーのワールドカップなどが開催され、日本国中がスポーツで大いに盛り上がりました。

 また、私の地元町田市をホームタウンとするJリーグクラブで、私もOBのFC町田ゼルビアはJ2リーグ優勝、J1昇格、また、東京ヴェルディも昇格プレーオフで劇的な勝利を収め、都内のJ1クラブが三つとなりました。

 この高まったスポーツ機運を、二〇二五年開催の世界陸上に向けて、さらに高めていかなくてはならないと考えます。

 世界陸上は世界最高峰の競技大会であり、このような機会を捉えて、都民、とりわけ子供たちがトップアスリートの姿を見て、スポーツを始めたい、自分の夢や目標に向かって努力するきっかけとすることが重要であります。

 今般、世界陸上について、大会の基本となる計画を発表しましたが、都では今後、子供たちが世界陸上から多くを学べるよう、大会に関わる機会を設けていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁1
生活文化スポーツ局長
 世界陸上における子供たちの参画についてでございますが、次代を担う子供たちがスポーツから多くを学び、多様な価値観を育むことができるよう、世界陸上への様々な参画機会を設けることは重要でございます。

 そこで、大会を象徴するロゴの募集コンセプトに、ジュニアアスリートの思いを反映いたします。また、スポーツの魅力やすばらしさを知ってもらうため、アスリートが子供たちに競技を教え、体験談を直接伝える交流会を実施いたします。さらに、大会時には観戦機会を提供することとしておりまして、その手法については幅広く検討してまいります。

 都は、関係者と連携し、大会を通じて子供たちが夢と希望を育み、その成長をサポートする取組を展開してまいります。

ページの先頭へ


部活動

質問1
 中学校における休日の部活動の地域連携、地域移行について、地域のスポーツ、文化芸術団体との連携が必要であると主張してきました。これを受け、都教育委員会は今年度から、生活文化スポーツ局とも連携して関係団体との連絡会を開催するなど、市区町村の取組を支援しています。

 そこで、これまでに明らかになった課題と今後の方向性について伺います。

答弁1
教育長
 中学校における部活動の地域連携、地域移行についてでございますが、都教育委員会は、本年度、全ての区市町村と個別に情報交換を行い、各地区の進捗状況を具体的に把握するとともに、教育長会等を通じて各地区の取組を促してまいりました。

 こうした中、外部人材の確保に地域差があることや、各地区で大学やスポーツ、文化芸術団体との協力体制の構築が難しいことなどが課題として明らかになりました。

 これらの課題を踏まえ、今後関係局と連携し、各地区の実態に応じて助言を行うとともに、大学や関係団体と個別に調整を図り、協定を締結するなど、区市町村における部活動の地域連携、地域移行を後押ししてまいります。

質問2
 また、地域のスポーツ団体からは、部活動が今後どうなっていくのか、正確な情報が少なく困っているという声も多く聞きます。

 地域連携、地域移行を進めるに当たっては、受皿の一つとなる地域スポーツ団体や外部指導者になり得る地域の方々の協力というのは必要不可欠であり、そのためにも、まずは、部活動の現状や方向性に関し理解をしていただくことが大切です。

 こうした地域のスポーツ団体や地域の方々、さらには、ふだんからこうした方々と連携している市区町村のスポーツ所管への情報発信を積極的に進めるべきと考えますが、取組を伺います。

答弁2
生活文化スポーツ局長
 部活動の地域連携等に関する情報発信についてでございますが、円滑に連携等を進めるためには、地域のスポーツ団体等の理解と協力が重要でございます。

 そのため、都は、区市町村スポーツ主管課長会議等において、部活動の地域連携等について情報提供してまいりました。

 今年度はこれに加えて、都教育委員会と連携して、地域スポーツクラブやスポーツ推進委員を対象とした研修を実施し、都の推進計画や取組の先行事例を紹介するなど、理解促進に努めております。

 現在、地域の人材など実態面を把握するため、部活動の地域連携、地域移行に関するアンケートを実施しておりまして、今後、この結果等も踏まえ、取組を一層進めてまいります。

ページの先頭へ


子供政策

質問1
 都が本年七月に公表した子供政策強化の方針二〇二三において、子供の声を中心に捉えて、子供との対話を実践しながら子供政策を推進していくこととしています。しかし、都だけが懸命に子供との対話について旗を振っても、政策が前に進むことはありません。

 例えば、私自身も、ボール遊びを楽しめる遊び場や公園が欲しいという子供の声をよく聞きます。こうした声を聞き、施策として形にしていくのは現場を持っている市区町村であります。子供政策の現場を担う市区町村と連携しながら、多様な子供の意見を把握し、具体的に施策につなげていくことこそが重要であると、これまでも提案してきました。

 ともすれば、都が都合よく子供の声を聞き、都が進めたい政策のために子供の声を利用していることになりかねません。真に子供の目線に立つのであれば、市区町村との連携の下、子供の意見を踏まえながら、実効性のある子供政策を推進していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁1
子供政策連携室長
 市区町村と連携した子供政策の推進についてのご質問でございます。

 都はこれまで、子供の意見を踏まえた多様な遊び場を創出する市区町村を後押しするとともに、子供の目線に立った先駆的、分野横断的な取組につきまして、包括補助事業を活用して市区町村を支援するなど、市区町村と連携しながら、子供の声を踏まえた政策を推進してまいりました。こうした市区町村の取組をより一層強力に後押ししてまいります。

 また、子供の居場所ヒアリングなどを通じて培ってきた子供との対話のノウハウを体系的に取りまとめた実践事例集を策定するとともに、子供の意見を反映した市区町村の遊び場創出に係る好事例集を作成し、市区町村や庁内各局と共有してまいります。これらを通じまして、市区町村と協働しながら、子供との対話の質の向上を図ってまいります。

質問2
 都は、児童相談所のきめ細やかな相談体制を構築するため、昨年度、多摩地域児童相談所配置計画を策定し、町田市、西多摩、多摩中部の三か所の児童相談所の新設を含む、多摩地域の管轄区域見直しを行いました。

 深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応するためには、同時に、児童相談所と子供家庭支援センターとの連携体制を一層強化していくことも大切です。多摩地域における児童相談所の新設とともに、一部の区部で進められているサテライトオフィスや子供家庭支援センターの分室などを設置することにより、市町村との連携、きめ細やかな相談体制を築いていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁2
福祉局長
 多摩地域における児童相談体制についてのご質問にお答えをいたします。

 都は、昨年度策定した多摩地域児童相談所配置計画に基づき、今年度は、新たな児童相談所の設置場所や整備工程などの詳細調査を実施しております。

 また、現在、全区市町村が参加をしております児童相談体制等検討会におきまして、サテライトオフィスや子供家庭支援センター分室の設置などを含め、都と区市町村との連携強化策について議論を行っております。

 今後とも、地域の実情に即した、よりきめ細かな児童相談体制を構築してまいります。

質問3
 不登校の子供の状況は様々であり、学校に通えるようにすることのみを目的とせず、多様な遊び場の確保をしていくことが重要であります。一方で、学校として組織的な対応を強化することにより、教室に戻れるようにするなど、不登校の子供への支援を充実させることが重要であると訴えてきました。

 これを受け、都教育委員会は、今年度、不登校の子供への効果的な対応事例をデータベース化し、全ての学校で共有することとしています。取組状況と今後について伺います。

答弁3
教育長
 不登校対応事例のデータベース化についてでございますが、不登校の子供には学校がチームで対応することが重要であることから、都教育委員会は、先進的な取組を学校間で共有できるよう、教員が交代制で校内の別室にて個別指導を行った事例や、大学生の支援員の付添いで教室の授業に参加できた事例などを収集いたしました。

 今年度、これらを都内公立学校教員専用ウェブサイトに公開し、学習の遅れや友人関係など、キーワードを入力すれば効果的な取組を閲覧でき、すぐに自校の取組に生かせるようにいたします。さらに、毎年度当初、教員の異動に合わせてこのデータベースを周知する電子リーフレットを配信するなど、学校の対応力を高めてまいります。

ページの先頭へ


給食費無償化

質問1
 昨日、我が会派の代表質問でも取り上げましたが、学校給食の無償化について伺います。

 東京都の市区町村の財政力は様々であり、特別区の二十三区は給食費無償化施策に踏み出す一方で、多摩地域においても、給食費無償化の取組が財源的に厳しく、実施できない現状があります。どの市区町村に暮らしていても、皆同じ東京都に住む子供たちであり、地域により有償と無償が分かれるのは不公平です。

 私の地元町田市でも約十二億円の財源が必要とされており、国や都の支援がなければ、給食費の無償化は厳しい状況にあります。多摩地域の市長会の声を丁寧に聞くことを要望するとともに、国の制度が整うまでの間、財政的に厳しい多摩地域の給食費の無償化をどのように支援していくのか、知事にお伺いいたします。

答弁1
知事
 学校給食費についてのお尋ねでございます。

 子供たちの健全な成長を支える上で、教育は重要な基盤であります。中でも、学校給食費の在り方につきましては、全国共通の課題でありまして、国の責任と財源におきまして、無償化を実現すべきものでございます。この考えから、今般、国に対しまして強く働きかけを行ったところでございます。

 同時に、都として、国に先行し、学校給食費の負担軽減に取り組む区市町村に対する支援につきまして、実施に踏み出すことといたしました。区市町村の声を丁寧に聞き、具体的には、今後、予算編成の中で検討を行ってまいります。

ページの先頭へ


デジタル政策

質問1
 次に、東京データプラットフォームについて伺います。

 都は、DXを強力に推進し、世界で最も生活の質の高いスマート東京の実現を目指しています。そのためには、行政が保有するデータだけでなく、民間事業者が持つ様々なデータも活用できるデータ連携基盤が不可欠です。

 我が会派は、東京データプラットフォームを通じて、官民の様々なデータを活用し、都民生活の質の向上に資する新たなサービスを生み出していくべきと主張してきました。

 都は今年度、官民のデータ連携基盤となる東京データプラットフォームを稼働させますが、データの提供者として、また、データを活用したサービス創出の担い手として、いかに民間事業者を巻き込んでいくのかが成功の鍵であると考えます。今後の取組について伺います。

答弁1
デジタルサービス局長
 データ利活用に向けた民間との連携強化に関するご質問にお答えいたします。

 官民連携による新たなサービス創出には多様な分野の事業者の参画が重要でございます。これを支えるデータ連携基盤、東京データプラットフォームが来年一月に稼働いたします。

 データの提供や利用に意欲的な事業者に参画を呼びかけるため、十一月から経済団体を通じたPRや説明会を実施しているほか、人流、交通等の広域的なデータ保有者への個別の働きかけを行っております。

 また、サービス創出の促進に向け、GovTech東京と協働し、分野横断的なデータ活用のアドバイスや企業間のマッチングなどのサポートを伴走型で行います。官民連携でデータを効果的に活用することで、都民生活の質の向上につなげてまいります。

ページの先頭へ


観光事業

質問1
 アクセシブル・ツーリズムについて伺います。

 旅行需要は急回復する中、まち中では多くの観光バスを目にするようになりました。障害者や高齢者の方が車椅子で観光する際、車椅子のまま乗れるリフト付観光バスの利用が便利ですが、こうした整備を備えたバスの導入には相当なコストを要するため、車両の導入やツアーでの活用を進めるには、関係する事業者の取組をしっかりと後押しすることが重要です。

 また、到着したバスの乗降場所から観光目的地までスムーズに車椅子で移動できる環境の整備には、地元の自治体の取組も欠かせません。車椅子を利用する方が安心して観光を楽しめるよう、総合的に支援していくべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁1
産業労働局長
 車椅子を利用する方への観光支援についてのご質問にお答えをいたします。

 車椅子を利用する方が観光バスを使い快適な旅行をできるよう、きめ細かい支援を行うことは重要でございます。

 このため、都は、車椅子のまま乗り降りのできるリフトつきの観光バスについて、その導入を行う事業者のほか、そうした車両を使うツアーを実施する旅行業者へ経費の助成を行っております。

 また、リフトつきのバスの駐車場所と観光スポットとの間のルートにある段差等の解消に取り組む地元自治体への支援も行っているところでございます。

 これらの取組により実現した優れた事例に関し、今後、バス事業者や旅行業者のほか、自治体に幅広く紹介いたします。

ページの先頭へ


都市政策

質問1
 人、物の移動のしやすさは、都市力を測る上で重要な指標の一つであります。道路は移動の利便性を高める重要な都市基盤であり、中でも効果を発揮する骨格幹線道路は、首都東京における高度な社会経済活動を支える上で重要な役割を果たしています。

 一方、私の地元町田市の主要な道路である町田街道などにおいても、慢性的に渋滞が生じる箇所がいまだ解消されず、道路ネットワークのミッシングリンクが社会的損失を生んでいます。環状第五の一号線では、並行する明治通りの交通量が半減し、新宿駅周辺における慢性的な渋滞の緩和に大きく寄与しました。

 社会経済の明るい兆しを力強い成長へとつなげていくためには、骨格幹線道路網を充実させ、移動の利便性をさらに高めていくことが不可欠です。

 そこで、首都東京の成長を支える骨格幹線道路ネットワークの形成に向けた都の取組について伺います。

答弁1
東京都技監
 骨格幹線道路ネットワークの形成についてでございますが、道路は、都市活動や都民生活を支える重要な都市基盤であり、都は、交通渋滞の解消や拠点間の連携強化等に資する骨格幹線道路の整備に重点的に取り組んでおります。

 例えば、町田街道のバイパスとしても機能し、混雑の緩和等に寄与する町田三・三・三六号線の整備を推進しておりまして、来年春に旭町区間を交通開放する予定でございます。

 また、練馬区内の放射第三五号線も今年度内に本線トンネルの暫定開通を予定しておりまして、環八通りとの立体交差化により交通の円滑化が期待されます。

 今後とも、東京の持続的な発展を支える道路ネットワークの形成に着実に取り組んでまいります。

質問2
 十月に八丈島で行われた自動運転バスの検証走行の視察に行ってまいりました。島しょ地域における人口減少など地域特有の課題に対し、自動運転技術を活用した交通課題解決の可能性を検証するためであり、私も実際に乗車し、自動運転サービスが地域の交通課題解決に寄与する可能性を感じたことから、公共交通への自動運転サービスの導入を進めていくべきと考えます。今後の都の取組について伺います。

答弁2
都市整備局長
 自動運転サービスの導入推進についてでございます。

 自動運転技術は、深刻化する運転手不足への対応など多くの社会的課題を解決できる可能性を有しております。

 都は、令和四年三月に自動運転社会を見据えた都市づくりの在り方を策定し、こうした技術をまちづくりに活用することとしております。

 今年度から区市町村等による自動運転サービスの導入を推進するための方策を検討しており、例えば、運転手不足が顕在化している八丈島において、安全性や地域社会の受容性等を検証するための実証走行を実施いたしました。

 こうした取組から得られた知見を生かしながら、今後、区市町村等に対する支援方策を取りまとめてまいります。

質問3
 多摩都市モノレールの町田方面延伸について伺います。

 多摩都市モノレール町田方面延伸は、需要創出に向けて、町田市、多摩市が令和四年八月にまちづくり検討会を設立し、全六回の開催を踏まえて、先日、モノレール沿線まちづくり構想を作成しました。また、これから市民意見募集を行い、年度末には市民の意見を反映したまちづくり構想が策定される予定です。

 そこで、多摩都市モノレール町田方面延伸について、まちづくり構想が策定された後、東京都はどのように取り組むのか伺い、私の一般質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

答弁3
都市整備局長
 多摩都市モノレールの町田方面延伸についてでございます。

 延伸により、開業区間と一体となり、南北方向の拠点が結ばれ、多摩地域の活力や魅力がさらに向上いたします。年度末に地元市が策定予定のまちづくり構想や、そこに位置づけられた取組の実現により創出される需要を踏まえ、今後、都は事業性の検証を行います。

 検証に当たっては、運行計画のほか、駅や車両基地といった施設、運営会社の経営状況などについて、関係者と協議の上、精査する必要がございます。

 都は、引き続き地元市によるまちづくりの進捗状況等を勘案しながら、関係者と事業化について協議、調整を進めてまいります。

ページの先頭へ


ページ先頭に戻る