子供の事故防止に取り組め
舟運の航路を更に拡大せよ

事故防止対策

質問1
 私は、都議会初当選以来、一貫して子供の目線から子供の命を守るための事故防止対策を訴えてきました。それは、成長過程の子供の死因は、転倒、転落、溺死、交通事故などの不慮の事故が常に上位にあり、私自身も前職の児童センター指導員時代に、子供が痛ましい事故に遭ったり、かけがえのない子供を思いもよらない事故で失った家族の悲しみにも出会ってきたからです。

 私のこうした要請に応え、都は、大人が子供の目線を体験する幼児視野体験眼鏡、東京都版チャイルドビジョンをはじめ、乳幼児の事故防止学習ソフト、見つけて防ごう子供にとっての身近な危険などの情報を都民に発信をしてきました。

 この学習ソフトは今年度中に更新が行われますけれども、つかまり立ちや一人歩きができるようになった時期に起こる転倒によって頭を打つ事故など、従来の学習ソフトでは取り上げていなかった事故事例も盛り込むとともに、完成したこの学習ソフトを積極的に周知、活用していくべきです。見解を求めます。

答弁1
福祉局長
 乳幼児期の事故防止学習ソフトについてのご質問でございます。

 都は現在、平成十九年度に作成した乳幼児期の事故防止学習ソフトの更新に向け、脳神経外科医や子供の事故防止の専門家から意見を聞きながら、掲載する事故事例の充実やデザインの見直しに取り組んでおります。

 事例については、現在掲載しているベビーベッドでの窒息や浴槽での溺水などに加えまして、ボタン電池やアルコール消毒液の誤飲、転倒により頭を打つ事故などを新たに盛り込む予定でございます。

 今後、更新したソフトを保育所や幼稚園、区市町村の保健センター、子育て広場、児童館などを通じまして、都民に広く周知をし、活用されるよう取り組んでまいります。

質問2
 また、東京消防庁もこのたび、これまでの救急搬送事例を基に、日常生活事故防止動画、子供編を完成、公表しました。

 日常生活で起きる事故防止へ向けた今後の取組について、消防総監の見解を伺います。

答弁2
消防総監
 日常生活で生じる事故の防止についてでございますが、東京消防庁管内では、令和四年中に日常生活で生じた事故により、十八歳未満の子供が約一万六千名救急搬送され、そのうち四名の方がお亡くなりになられております。

 これまで、リーフレットの配布、立川防災館でのARを活用した事故の疑似体験等を通じた注意喚起により、日常生活で生じる事故を防ぐ取組を推進してまいりました。

 これらの取組に加え、本年度は、子供の発達段階に応じた事故事例や対策を啓発するためのアニメーション動画を制作し、ユーチューブで配信するとともに、防火防災訓練等で活用してまいります。

 今後、関係機関と連携して普及啓発をさらに推進し、日常生活で生じる事故の防止に努めてまいります。

質問3
 私は、子供の事故防止対策が、福祉局や生活文化スポーツ局、東京消防庁などをはじめ、各局で取り組まれていること、そして、都議会公明党の提案で子供政策連携室が設置され、取組が推進されていることを高く評価します。

 そこで、今後は、子育て中の家族や子供に関わる方々、そして、子供の目線から安全対策を講じるべく、様々な分野の方たちが必要な情報にすぐにたどり着けるように、オール都庁で連携して取組を進めていくべきと考えます。見解を求めます。

答弁3
子供政策連携室長
 各局連携による子供の事故情報の発信についてでございますが、現在、製品事故や日常生活における事故など、様々な子供の事故情報が行政分野ごとに個別に存在しております。

 しかし、子供の年齢や成長、発達段階に応じて、事故の種類やリスクは変化することから、子供の成長に合った予防策等を分野横断的にユーザー目線で分かりやすく伝えることが重要でございます。このため、子供を事故から守る環境づくりをテーマとした組織横断の推進チームにおきまして、各局の普及啓発に横串を刺し、乳幼児、小中高校生等の各年齢層に生じやすい具体的な事故事例や予防策を体系的にまとめたハンドブックを作成、発信いたします。

 こうした取組を通じまして、各局と連携した事故情報の発信に取り組んでまいります。

質問4
 一方、都においては、毎年十一月を児童虐待防止推進月間としてオレンジリボンキャンペーンを展開し、児童虐待を防止するための様々な情報を発信するとともに、都庁第一庁舎をオレンジ色にライトアップし、広く都民に取組をアピールしています。

 こうした児童虐待防止と同様、子供の事故防止についても社会全体で取り組まなければならない重要なことです。

 そこで、例えば、子供を取り巻く新しい生活が始まる時期、また、子供の事故の発生が増加傾向になる春頃に子供の事故防止推進月間を都として設定するなど、様々な工夫を凝らし、都民の関心を高める機運醸成を図るべきです。見解を求めます。

 さらに、その際には、例えば、都議会議事堂一階の都政ギャラリーを活用して、子供の目線から日常生活やまち中に潜む危険を大人も子供も体験できる、仮称東京子供安心情報コーナーなどを開設することも併せて提案をいたします。

答弁4
子供政策連携室長
 子供の事故予防の普及啓発についてでございますが、社会全体で子供の事故予防に向けた機運を醸成するためには、訴求力のある媒体を活用しながら、ユーザー目線に立って戦略的に広報を行っていくことが重要でございます。

 このため、都では、新たにウェブサイトを開設し、安全な環境づくりの重要性や各局における事故予防の取組などを発信してまいります。また、子育て家庭に身近なデジタル広告や人気のあるインフルエンサー等も活用し、ウェブサイトと連動した広報を積極的に展開してまいります。

 さらに、事故予防策の提言を公表する二月から三月までを重点啓発期間といたしまして、集中的に広報活動するなど、事故予防に向けた理解促進を図ってまいります。

質問5
 また、都が本年七月に示した子供政策強化の方針二〇二三には、子供の事故実態や行動特性の分析など、子供の事故予防に資する基礎研究に取り組むとあります。

 こうした研究成果を生かし、関係各局が連携しながら、子供の目線で体験できる様々な機会を創出していくべきと考えます。見解を求めます。

答弁5
子供政策連携室長
 子供目線に立った事故予防の取組についてでございます。

 都は、子供の事故予防策を研究開発するため、三か年を上限とした基礎研究を開始したところでございます。

 基礎研究では、子供の事故実態の把握や事故につながる子供の行動特性の科学的な分析を行い、学校現場や子育て家庭で役立つ啓発ツールなどを開発していくこととしております。

 また、東京消防庁防災館などの関係各局の施設で基礎研究の成果を効果的に発信するとともに、子供の安全な商品の見本市であるセーフティーグッズフェア等のイベントなどの機会を捉えまして、子供の事故実態を踏まえた体験型の取組を充実させてまいります。

 これらの取組を通じまして、エビデンスに基づいた事故予防を多角的に展開してまいります。

質問6
 東京、そして我が国の未来を担うかけがえのない子供たちの命を守るため、小池都知事が先頭に立って子供の事故防止に取り組むべきです。知事の見解を伺います。

答弁6
知事
 子供の事故予防についてのご質問でございます。

 次代を担う子供たちは社会の宝でございます。その尊い命を不慮の事故から守ることは、我々大人に課せられた責務でございます。

 しかしながら、転落、転倒、誤飲など、家庭内外での不慮の事故が依然として発生しております。

 大人の注意力や子供への呼びかけだけで事故を減らすことはできません。子供の行動特性を踏まえ、エビデンスベースで変えられるものを変えていくという視点を強化いたしまして、子供を取り巻く環境そのものを変えていくことが重要です。

 こうした考え方に基づきまして、子供が事故から守られ、安心してチャレンジできる社会を実現してまいります。

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福祉・医療施策

質問1
 子供の命を守るためには、母親を社会全体でサポートすることは極めて重要です。

 私は、先日、医療関係者から、妊娠、出産、育児について、行政からの経済的支援も大事であるが、それとともに、精神的ケアがますます重要になってきているとの指摘を伺いました。

 その背景には、産後鬱の問題が深刻であり、児童虐待の死亡事例のうち、ゼロから二歳児の割合が半数を超えている実態があるからです。

 出産後の母親に寄り添い支援する産後ケアについては、これまで心身の不調等がある方が対象とされておりましたけれども、国は、公明党の要請に応え、今年度から、必要とする全ての方を対象に補助ができるようになりました。

 しかし、産後ケア事業は区市町村が実施主体であり、都内においては、地域の人材や施設資源の実情によって、対象者の要件や支援内容が異なっている現状があります。母親が必要なときに、どこの地域においても安心して産後ケアを受けられるよう環境の整備が急務であります。

 そこで、各地域が一層積極的に産後ケアの利用拡充に取り組めるよう、運営、施設整備への支援や、実施場所を増やせるような情報を提供するなどの取組を都が進めることが重要です。また、里帰りの方などが住所地以外の自治体で産後ケアを利用した場合にも対応していくべきです。

 産後ケアによる支援が一層充実するよう、広域自治体である都は、区市町村の取組を後押しすべきであると考えますが、見解を求めます。

答弁1
福祉局長
 産後ケア事業についてのご質問でございます。

 本事業は、出産後の母子等に対して、心身のケアや育児のサポートなどを行う取組でございますが、実施主体である区市町村では、財源の確保や委託先である医療機関や助産所の確保などが課題となってございます。

 このため、都は、本事業の区市町村負担分につきまして、運営費の全額と整備費の二分の一を補助しております。

 今後、委託先の確保につながりますよう、医療機関の取組状況などを広域的に把握いたしまして、区市町村に提供してまいります。

 さらに、里帰り先で産後ケアを利用した場合も助成が受けられますよう、他自治体の実施事例を紹介するなど、産後ケア事業の推進に向けて、区市町村を支援してまいります。

質問2
 子供や母親、家族を社会全体で守る取組の重要性に関連して、子供ホスピスについて質問します。

 私は、令和三年第一回定例会一般質問で、ご自分の子供さんを小児がんで亡くされ、その悲しみの全てを力に変えて、病と闘う子供たちとその家族を支えていこうと立ち上がり、東京子供ホスピスの設立に向けて奔走するNPO法人東京こどもホスピスプロジェクトの佐藤良絵代表理事の活動を紹介しました。

 ホスピスといえば、余命宣告を受けた患者が、終末期医療を受けながら病院で静かに過ごし、みとられながら最期を迎える施設です。

 英国発祥の子供ホスピスは、小児がんなどの重い病気や障害がある子供やその家族が休息を取ったり、短期滞在したり、また、子供に遊びや学びの場を提供し、家族の精神的なサポートも担うなど、自宅と病院の中間的な施設であり、その重要性は増しています。

 しかし、東京にはこうした施設がなく、増加傾向にある小児がんや難病等を患う子供の場合は、治療方法がなくなってしまうと、ほとんどの時間を自宅で静かに過ごすことしか選択肢がなくなってしまうのです。こうした子供たちやその家族が孤立することなく、また、医療、福祉、教育などと連携しながら、安心して学んだり、遊んだり、楽しく過ごすことができる居場所が必要です。

 国は、子供ホスピスを全国に普及させるため、今年度、こども家庭庁が初の実態調査を行っています。また、さきに述べた東京こどもホスピスプロジェクトの方々は、まずは居場所の提供や相談支援事業を自主的に実施をしており、今年度からは、都の委託事業として、長期入院等に伴う学習に遅れが生じている小児慢性特定疾病児童に対し、学習支援を実施しています。

 そこで、都は、法的な位置づけと施設整備のための財政支援などの課題解決へ向けて、国に積極的に働きかけるとともに、施設を運営する意向がある団体からも意見を聞きながら、東京における子供ホスピスが一日も早く実現できるように取り組むべきです。見解を求めます。

答弁2
福祉局長
 小児がんや難病の子供などへの支援についてのご質問でございます。

 完治が難しい小児がんや難病などを抱えながら、在宅で療養する子供やその家族が、孤独にならず暮らすことができる環境づくりは重要でございます。いわゆる子供ホスピスは、こうした子供や家族に居場所を提供する施設でございますが、現在、法令などに基づく位置づけはございません。

 都は、都内で施設を運営する意向のある事業者と、提供予定のサービスの内容や支援対象、執行体制、設置運営に向けた課題などについて、適宜意見交換をしております。

 今年度、国において、子供ホスピスに関する実態調査を実施しておりまして、引き続き、事業者から話を伺いながら、国の動向を注視しつつ、必要な対応を検討してまいります。

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島しょ振興

質問1
 次に、島しょ地域の産業振興について質問します。

 伊豆諸島の海上貨物運賃補助について、都は、都議会公明党の要請に応え、漁業、農業の主に生鮮品に加えて、今年度からは、焼酎やくさや、ジャムなどの加工品の移送や、内地から移入する原材料、梱包材なども補助の対象にしました。

 一方、法的な位置づけの違いから、小笠原諸島の海上輸送補助については、魚介類や野菜、果物などの生鮮品のみが対象となっており、島の業者からは、伊豆諸島と同じく、加工品や原材料、梱包材についても支援の対象としてほしいとの要望が上がっています。

 そこで、都は、地元の声を聞きながら、小笠原諸島の一層の産業振興を図るべきです。見解を求めます。

答弁1
総務局長
 小笠原諸島の生産物貨物運賃補助についてでございますが、本土から一千キロメートル離れ、地理的制約のある小笠原諸島において、島の生産物の運搬に要する経費を軽減することは産業振興を図る上で重要でございます。

 都は、現在、小笠原諸島の魚介類や農産物等を対象に海上輸送費の支援を行ってございます。近年、農業や漁業の生産物等を加工した商品も多様化し、島の魅力発信、観光振興を図る上で欠かせません。産業の活性化と島民生活の安定につなげていくため、現在は、支援の対象外である加工品や梱包資材等の輸送実態について今年度調査を実施しており、今後、速やかに調査の取りまとめ等を行ってまいります。

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防災対策

質問1
 次に、防災対策について質問します。

 まず、島しょ地域の防災対応力を強化するためには、島民一人一人が自分事として防災意識を高めることが不可欠です。

 都は、都議会公明党の提案に応え、東京都防災アプリには、浸水や土砂災害などの水害リスク情報については、トップ画面から分かりやすく入手することができます。

 しかし、島しょ地域の水害リスクとして最も重要な津波の浸水リスクをはじめとした被害想定については、ホームページ等で見られるものの、防災アプリではなかなかたどり着くことができません。災害に備えることは、自分の身に起こり得るリスクをまずは知ることであります。

 そこで、都は、島しょ地域をはじめとした地域の特性に応じた災害リスクを把握できるよう、東京都防災アプリを改修すべきです。見解を求めます。

答弁1
総務局長
 防災アプリの改修についてでございますが、都民一人一人が災害を自分事として捉え、自宅や勤務先など地域特性に応じ、適切に備えることは重要でございます。

 このため、都は、防災アプリに風水害からの避難行動を整理できる東京マイ・タイムラインや、地域の危険性を分かりやすく確認できる水害リスクマップなど、災害リスクを身近なものとして捉えられる機能を追加してまいりました。

 加えて、島しょ地域における津波の浸水や区部の低地帯における液状化など、より地域特性に応じた情報を簡単に閲覧できるよう検討してございまして、これらを踏まえ、アプリの改修を進めてまいります。

 こうした取組により、都民の速やかな防災行動につなげてまいります。

質問2
 大規模災害が発生した際には、道路や橋梁が寸断されることも想定されます。私の地元品川区の八潮地域は、周りを運河と東京湾に囲まれており、有事の際には、地域が孤立してしまうのではないか、社会活動が止まってしまうのではないかといった心配の声が上がっています。

 こうした懸念を解消する方策の一つが、逆転の発想として水路を活用することです。都は、今年度から、新防災船の造船に着手していますが、こうした防災船等と水路を使い、有事の際に人や物資を運ぶことは大いに期待できることです。

 そこで、都は、災害時に水路を活用した輸送体制の強化を図れるよう、品川区八潮地域における防災船着場を住民生活に身近で有効な場所に整備すべきです。見解を求めます。

答弁2
港湾局長
 東京港における防災船着場についてのご質問でございます。

 東京の沿岸部は、周りを海や運河で囲まれた埋立地が多く存在することから、災害発生時には陸上輸送に加え、船舶による水上輸送を活用することが有効でございます。

 このため、都は、東京港防災船着場整備計画に基づきまして、区や民間事業者と連携し、防災船着場を三十八か所設置することとし、これまでに三十四か所の整備が完了いたしております。

 品川区八潮地域におきましては、備蓄倉庫に近接し、発災時に広域避難場所や大規模救出救助活動の拠点となる大井ふ頭中央海浜公園に防災船着場を整備しております。

 新たな防災船着場につきましては、地元区と共に、その必要性などについて検討してまいります。

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交通施策

質問1
 水路の活用に関連して、舟運の活性化も大事な取組であります。

 都は今年度、観光船を使って日本橋と豊洲の水辺を結び、船を通勤に使う取組を始め、大変な人気を博しています。こうした取組は、水辺のにぎわいを創出し、都民に水辺の魅力をさらに実感していただける絶好の機会です。

 今回の航路以外にも、例えば、多くのオフィスが立ち並び、駅近でもある品川区の五反田の水辺と本社機能や外資系の企業も多く集積する天王洲を結ぶなど、可能性が見込まれる航路があると考えます。

 そこで、今後、都は、舟運の活性化に向け、航路をさらに拡大していくべきと考えます。見解を求め、質問を終わります。

答弁1
都市整備局長
 舟運の活性化についてでございます。

 東京には、川、海、運河などの水辺があり、その資源を生かして、多くの人々でにぎわう水の都を再生していくためには、舟運の活性化が重要でございます。

 都は、本年四月に船旅通勤に対する補助を創設しており、これを活用して、十月の日本橋―豊洲間の運航に続き、来年春には晴海―日の出間が開設される予定でございます。

 また、昨年度、天王洲―五反田間など六つの航路で実施した社会実験では多くの利用があり、さらなる航路の拡大が期待できることから、今後、新たな航路を運航する事業者の募集を行います。

 引き続き、舟運の活性化に取り組み、東京の魅力を高めてまいります。

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