拉致問題解決への意思表明せよ
多摩ニュータウン再生を進めよ

北朝鮮による拉致問題

質問1
 初めに、北朝鮮による拉致問題についてから質問をさせていただきたいと思います。

 我が国では、毎年十二月十日から十六日までを北朝鮮人権侵害問題啓発週間と定め、様々な取組を行っています。本日もその一環として、知事はじめ、幹部職員がブルーリボンバッジを着用するなど、都として拉致問題の解決に向けた意思表明がされていますが、この取組は啓発週間にとどまらず、様々な場面で着用を行い、被害者救出の意思を示していくべきではないでしょうか。

 さて、政府が認定した北朝鮮による拉致事件が発生してから、今年で四十六年が経過します。思い起こせば、被害者の一人である横田めぐみさんが拉致されたのも、四十六年前の昭和五十二年十一月のことでした。めぐみさんは、中学校のバドミントン部の練習の後、下校途中に北朝鮮の工作員によって拉致されました。何の罪もない当時十三歳の少女だった横田めぐみさんが、北朝鮮にとらわれのまま、今年で五十九歳を迎えました。

 先月、私は、拉致問題の国民大集会に参加し、横田めぐみさんのお母さんである早紀江さんをはじめ、拉致被害者家族の方々の切実なる訴えを直接聞いてまいりました。今年八十七歳になられた横田早紀江さんは、どうか私が身代わりになれるものならと訴えられ、また、かけがえのない命を早く取り戻していただきたいと悲痛な思いを語っておられました。

 国では、拉致問題を最重要課題に位置づけていますが、具体的な進展がいまだ見られません。

 東京には、四人の拉致被害者をはじめ、拉致された可能性を排除できない特定失踪者が少なくとも四十六人います。

 北朝鮮による日本国民の拉致は、国家的犯罪であるとともに、国家主権の侵害であり、人権、人道問題で断じて許すことはできません。今、こうしているときにも、北朝鮮には一日も早い救出を悲痛な思いで訴えている被害者の方々がおられるのです。

 特に、ご家族の皆さんは、一日千秋の思いを、かけがえのない愛する肉親を、この祖国日本へ一刻も早く取り戻すことを切に望んでおられます。被害者やご家族の皆さんに、これ以上つらい思いをさせておくわけにはいきません。

 国は、今こそ断固たる決意と覚悟を持って、拉致被害者全員の一刻も早い帰国を実現すべきです。

 また、日本の首都である東京が、国民の思いを結集し、先頭に立って強力に国を後押しして、拉致問題に真正面から取り組むべきと考えます。

 都議会超党派による拉致議連の活動再開について、改めて呼びかけたいと思います。

 そこで、北朝鮮による拉致問題の解決に向けた都の一層の取組について伺います。

答弁1
知事
 拉致問題の解決に向けた取組についてのご質問がございました。

 北朝鮮による拉致は、我が国の国家主権の侵害であると同時に、国民の生命と安全を脅かす重大な人権侵害でございます。

 五名の拉致被害者が帰国してから既に二十一年が経過しておりまして、肉親との再会を待ち望むご家族の切なる思いを察すると、もはや一刻の猶予もございません。拉致問題の解決には、都民一人一人が自分自身の問題として考えることが重要でございます。

 このため、都は毎年、拉致問題に関する舞台劇公演、そして映画上映を実施しているほか、本年十月には、都民広場で開催されました全国の被害者家族による集会の実施に協力をいたしております。

 今月の啓発週間におきましては、都庁舎のライトアップに加えまして、オンライン写真展、そして都営地下鉄の車内広告など、集中的な広報活動を実施いたしております。

 今後も、政府や関係団体等と連携をいたしまして、ご家族の思いに寄り添い、一日も早い拉致問題の解決に向けまして、全力で取り組んでまいります。

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尖閣諸島活用基金

質問1
 次に、尖閣諸島活用基金の質問に移ります。

 歴史を振り返りますと、尖閣諸島は、一八九五年、他国の支配が及んでいないことを慎重に検討し、国際法上、正当な手段で日本の領土に編入されました。

 翌年、沖縄県は古賀辰四郎に開拓を許可し、アホウドリの羽毛採取事業が開始され、一九〇八年頃には、かつおぶし製造事業が軌道に乗り、居住者は九十九戸、二百四十八名を数えました。

 一九二〇年、福建省の漁民が尖閣諸島近海で遭難した件に関する中華民国駐長崎領事の感謝状には、日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島との記載があります。

 一九四五年、琉球列島における降伏文書調印により、先島諸島等に軍政が敷かれました。

 一九四八年、米国軍政府が久場島を射爆場としたことからも、米軍が施政権を及ぼしていたことが分かります。この間、尖閣諸島は中国共産党の機関紙や中国の地図で日本の領土とされております。

 また、沖縄返還協定の返還地域には尖閣諸島が含まれております。

 このように尖閣諸島が日本固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も明らかでありますが、一九六九年、国連調査により、台湾と日本の間の大陸棚に油田の存在の可能性が指摘されると、それまで領有を主張してこなかった中国が突如として領有権を主張し始めました。

 二〇〇八年には、中国国家海洋局に所属する船舶が尖閣諸島周辺の日本の領海に侵入し、二〇一〇年、中国漁船が海上保安庁の巡視船に意図的に衝突する事案も発生しました。二〇一二年、東京都が尖閣諸島を守ると表明して寄附を募り、十万件以上、十四億円を超える寄附金が集まりました。この寄附金は浄財として集められたもので、尖閣諸島を守ってほしいという一人一人の寄附者の熱い思いが込められております。

 現在、尖閣諸島活用基金は十年以上にわたり全く動きがありませんが、この十万件を超える寄附者の思いに応えることは極めて重要です。

 この基金を一部でも有効活用するため、例えば地元自治体である石垣市の取組など、広報、普及啓発の取組に活用できないのか、そのために条例改正や国への働きかけをさらに行うべきじゃないかなど、もっと知恵を絞ってあらゆる対策を考えるとともに行動を起こすときが来たと思います。

 東京が基金を設置し、まさに十年以上がたちますが、ここで一歩踏み出して、寄附者の思いに応え、この基金の活用について対応策を検討すべきであると考えますが、都の見解を伺います。

答弁1
総務局長
 尖閣諸島活用基金についてでございますが、本基金は、設置条例において、国による尖閣諸島の活用に関する取組のための資金とすると定められておりまして、都は、国に対して、漁業者のための船だまりなど、権益の確保につながる活用を求めております。

 また、国際社会の一層の理解を図るための情報発信を国が行うことを要望してございます。

 同諸島を公の所有として安定させ、活用してほしいという寄附者の志を生かすため、都は今後も、石垣市が実施する海域実態調査の結果など最新の情報を用い、同諸島の適切な維持保全の必要性を具体的に国に訴えかけることにより、尖閣諸島の活用に向けた国の取組を粘り強く求めてまいりたいと考えてございます。

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多摩ニュータウンの再生

質問1
 次に、多摩ニュータウン再生の質問に移ります。

 多摩ニュータウンは、高度経済成長期の住宅不足解消に対応するため、多摩丘陵を切り開いて建設が進められ、昭和四十六年に多摩市の諏訪、永山地区で第一次入居が始まりました。

 昭和四十九年に京王、小田急永山駅が開業するまで、住民は聖蹟桜ヶ丘駅へバスで通勤通学を余儀なくされ、陸の孤島とやゆされていましたが、今では人口約二十二万を擁する我が国最大のニュータウンであるとともに、多摩地域における複合拠点となっております。

 しかし、初期入居地区は入居から半世紀以上が経過し、人口減少、少子高齢化の進展、道路、交通、公園等のインフラや住宅団地の老朽化、近隣センターの衰退など多くの課題が顕在化しています。

 かつて先進的だったまちの魅力は、時間の経過とともに失われつつあり、何らかの対応をしなければ、五十年後には人口が半減するという衝撃的な試算もあります。このままでは限界集落といわれかねず、こうした現状を看過することはできません。

 一方、近年は多摩ニュータウンと埼玉、神奈川方面を広域的につなぐ南多摩尾根幹線の整備が着実に進められ、リニア中央新幹線の新駅整備、小田急多摩線や多摩都市モノレールの延伸計画など、周辺の交通インフラにも動きが見られます。

 こうした中で、長期的な視点に立ち、現状の課題やライフスタイルの変化に対応した新たな働き方や暮らし方に向けたまちづくりを積極的に進めていくことが、東京の未来にとっても極めて重要ではないでしょうか。

 特に、京王線、小田急線の特急などが停車し、多くの乗降客が利用する永山駅は、市役所や南多摩尾根幹線からのアクセスもいい交通の要衝であり、歴史的にも多摩ニュータウンのゲートウエーといっても過言でありません。

 駅周辺ではブリリア多摩の建て替えの成功事例に加えて、都営住宅の建て替えも進められている中、駅を中心としたまちの機能再生を図ることで、新たな魅力を創出することが可能です。

 これを踏まえ、多摩ニュータウンの再生に都はより積極的に取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。

答弁1
都市整備局長
 多摩ニュータウンの再生についてでございます。

 多摩ニュータウンは、都や国などによる大量の住宅の供給、道路や公園など都市施設の計画的な配置により新しいまちとして誕生し、首都東京の成長に大きな役割を果たしてまいりました。

 しかし、現在では、少子高齢化や住宅、施設の老朽化等の様々な課題が顕在化してきております。

 このため、都は、有識者を含む委員会を本年十月に立ち上げ、社会変化や課題等に応じた多摩ニュータウンの今後のまちづくり方針や取組について検討を進めております。

 初期入居地区で再構築の検討を開始している永山駅周辺の取組も含め、年度内に新たな再生方針を作成し、多摩ニュータウン再生への道筋を明らかにしてまいります。

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環境政策

質問1
 次に、気候変動対策についてであります。

 まず、ペロブスカイト太陽電池について伺います。

 都は、二〇三〇年カーボンハーフの実現を掲げ、太陽光発電等の導入拡大を進めています。都の太陽光パネルの主要原料であるポリシリコンの大半は、人権問題が懸念されている新疆ウイグル自治区で生産されています。都は、この問題に向き合って、実効性のある対応策を進めていくべきです。

 ペロブスカイト太陽電池は日本で生まれ、主な原料の国内調達が可能なために、最も有望な次世代太陽電池です。早期実用化には開発企業への一層の支援が必要と考えますが、見解を伺います。

答弁1
環境局長
 ペロブスカイト太陽電池の開発支援についてでございます。

 再エネの社会実装を加速するためには、新たな技術への後押しを通じ、早期実用化につなげることが重要でございます。

 そのため、都は、国産の技術であるペロブスカイト太陽電池を開発する企業に対しまして、下水道施設における共同研究等を通じ、発電性能や耐久性等の検証など実用化に向けた取組を支援してございます。

 引き続き、都有施設の積極的な活用により、企業の取組をサポートしてまいります。

 現在、様々な企業がペロブスカイト太陽電池の開発にしのぎを削っておりまして、今後、検証フィールドとしての都有施設の提供のほか、多くの企業の早期実用化を加速する支援策を検討してまいります。

質問2
 次に、持続可能な航空燃料SAFについて伺います。

 現在、航空業界では、SAFの導入に向けた取組が進んでおり、国は、二〇三〇年までに航空燃料の一〇%をSAFに置き換える方針を示しておりますが、こうしたことを背景に、都は、市区町村や企業と連携して廃食用油の国産SAF製造を後押ししています。

 しかし、百七十万キロリットルと推計される二〇三〇年のSAF必要量からすると、廃食用油以外の原料からの製造も進めていくべきと考えますが、都の取組について伺います。

 以上で私の質問を終わります。

答弁2
環境局長
 持続可能な航空燃料、SAFの推進についてでございます。

 多くのCO2を排出する航空分野の脱炭素化に有効なSAFの国内製造に向け、原料の確保は重要でございます。

 都は今年度、廃食用油によるSAF製造につなげるため、回収拡大に取り組む自治体への財政支援を開始いたしました。また、企業と連携し、家庭系の店頭回収や事業系の一括回収等の取組を支援してございます。

 今後、市区町村や企業と連携し、廃食用油の回収ルートの多様化等によりまして、さらなる回収量拡大に取り組んでまいります。

 加えて、SAF必要量の安定確保に向け、再エネ実装専門家ボードで議論がございました、原料としてのポテンシャルが高い一般廃棄物による国産SAF製造の支援策等について検討してまいります。

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