高校授業料の所得制限撤廃へ
小中学校給食費無償化も支援

補正予算

質問1
 去る十月二日、都議会自民党の高島なおき議員が逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表します。

 都議会公明党を代表して質問いたします。

 昨年来続く戦禍が拡大する国際情勢の中で、エネルギー価格や物価の高騰が続き、都民生活や都内中小零細企業の経営への影響が続いております。

 都議会公明党は、この間、補正予算を編成し、都民生活や事業者への支援を早急に実施するよう緊急要望を行ってきました。

 小池知事に要望した医療施設や保育所、高齢者、障害者施設などの光熱費高騰分の支援やLPガスを利用する方々への支援、また、消費を喚起するポイント還元などが今回の補正予算に盛り込まれたことを評価します。

 ただし、六月補正予算の執行率は六〇%に及ばず、残額が今回の補正予算に活用されています。

 そこで、ポイント還元事業について、早急な事業の実施と効果的な予算執行によって措置した経費がしっかり都民や事業者に行き渡るため、身近な地域の店舗で利用が進む取組とともに、積極的な周知を行い、円滑な利用ができるよう丁寧なサポートをすべきです。知事の見解を求めます。

答弁1
知事
 暮らし向きの向上への支援についてのお尋ねがございました。

 日々の暮らしで買い求める品物の価格は、原材料価格の高騰や円安などにより上昇が続き、都民の家計はこれまでになく厳しさを増しております。安心して日用品を購入しサービスを受ける新たな支援を速やかに行いまして、商業活動の下支えにも結びつける取組は不可欠でございます。

 日常の買物などでQRコードによる決済を行った場合、支払いの一〇%を一人当たり三千円相当までのポイントで還元する取組を国の交付金を活用して開始をいたします。

 都民の消費の力を底上げし、ふだんから訪れる店舗での利用を増やすため、サポート内容に関し、地域の方に確実に伝えるPRを店先で進めるほか、コールセンターによるきめ細かい案内を行います。

 これらによりまして、都民の生活を守り、安心して暮らせる東京をつくり上げてまいります。

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子育て・若者・教育施策

質問1
 次に、子育て、教育支援について伺います。

 まず、都立、私立高校授業料の実質無償化並びに学校給食費の無償化への支援について質問します。

 都議会公明党は、小池知事が就任直後の二〇一六年の第三回定例会の代表質問において、高校授業料の公私間格差の解消に取り組むべきと提案しました。

 知事は、公私間格差の是正の観点から、保護者の教育費負担の軽減にしっかりと取り組むと答弁をしました。

 以後、都は、二〇一七年度には年収七百六十万円未満まで、そして二〇二〇年度には年収九百十万円未満まで授業料の実質無償化を拡充してきました。

 そして今回、知事は、所信表明において高校授業料の実質無償化に踏み込みました。

 この都立、私立高校授業料の所得制限がない実質無償化は、都議会公明党が毎定例会ごとに一貫して提案してきたものであり、高く評価します。この実質無償化は、知事がスピード感を持ってと述べられているとおり、都立大学も含め、来年四月から実施すべきであります。

 さらに、従来の私立高校の年収九百十万円未満の場合には年収を把握する作業があるため、授業料を一旦納付し、七か月後に返還されるという保護者に経済的な負担を強いていました。

 そこで、今回の所得制限の撤廃により、当初より平均授業料までは納付しなくて済む仕組みに改めるべきであります。併せて知事の見解を求めます。

答弁1
知事
 授業料の負担軽減についてであります。

 教育は、子供の健全な育ちを支える重要な基盤であり、教育費の家計負担の軽減は、本来、国が責任を持って行うべきものでございます。そのため、国に対し緊急要望を行っております。

 同時に、都が独自でなし得る対策といたしまして、国に先行して都立、私立高校の授業料実質無償化に踏み出します。

 今後、ワイズスペンディングの視点を持ちまして、来年度予算編成の中で具体化を図るとともに、区市町村や関係機関と丁寧に調整しながら進めてまいります。

 都立大学の授業料につきましては、予算編成の中で検討してまいります。

 なお、都といたしまして、私立学校の授業料負担軽減補助金につきまして、本年度より、手続の電子化等により支給の早期化を実施することで、生徒保護者の負担軽減を図っております。授業料の納付の仕組みにつきましては、関係者との調整等、整理すべき課題があると考えております。

 スピード感を持って子育て世帯をサポートし、将来にわたって安心して子育てできる社会をつくり上げてまいります。

質問2
 また、学校給食費の負担軽減のうち、都立高校の給食費の無償化については都が全額負担することになると思いますが、区市町村の小中学校の給食費の無償化については、財政の厳しい市町村から、国において無償化の制度が実現するまでの間、都において財政支援をお願いしたいという強い要望があります。

 したがって、都立、私立高校授業料の実質無償化と同様に、来年四月から実施するとともに、区市町村に対しては最低でも二分の一の助成を実施すべきであります。知事の見解を求めます。

答弁2
知事
 学校給食費についてでございます。

 今日、子育て世帯は、将来への不安などから様々な悩みを抱えています。中でも、学校給食費は大きな負担となっており、その無償化につきましては、国の責任と財源において実施、実現していくべきものでございます。この考えから、今般、国に対し強く働きかけたところでございます。

 同時に、都といたしまして、国に先行し、学校給食費に関し、都立学校の負担軽減とともに、負担軽減に取り組む区市町村に対する支援について実施に踏み出すことといたしました。

 現在、要保護世帯の給食費の免除に対しましては、国がその二分の一を負担しております。こういったことも参考にいたしまして、今後、予算編成の中で具体的に検討を行ってまいります。

質問3
 次に、子供、若者施策について質問します。

 都議会公明党は本年七月、都に対し、若者団体が実施する社会的課題解決に向けた活動等について、行政との連携強化につながる取組を行うことや子供やZ世代と呼ばれる若者の意見を継続的に聞き、都政に取り入れるための取組の推進を要望しました。

 子供や若者が、今と未来を担う存在として活躍できる社会の実現が重要だと考えます。

 都は、子供施策については、子供政策連携室の設置から全庁を挙げてチルドレンファースト社会実現へと取組を行っており、評価するものですが、一方で、若者施策については、若者の居場所づくりや住宅支援、就労支援、医療福祉支援など、全庁一丸となって取組を進める必要があると思います。

 各局連携のプロジェクトチームを立ち上げ、施策展開をすべきと考えます。見解を求めます。

答弁3
政策企画局長
 若者に対する施策の展開についてでございますが、時代が加速度的に変化し社会情勢が混迷を極める中、将来を担う若者と共に未来の東京をつくり上げることが重要でございます。

 そのため、施策の立案に当たっては、若者の意見を取り入れる取組なども行っているほか、とりわけ困難を抱える若者に対しては、学業や就職、犯罪被害など検討課題が多岐にわたることから局横断で検討し、相談体制の充実や居場所づくりなど様々な支援を講じております。

 今後は、こうした若者に対する支援など都が直面する政策課題に対し、さらなるスピード感を持って対応するため、政策企画局が中心となり、庁内横串を刺して各局横断で施策の強化を図ってまいります。

質問4
 行政による多くの若者支援では対応できる時間が日中に限られていますが、社会的孤立に悩む若者にとって、夕方から夜間にかけての居場所づくりが重要です。

 公明党は、立川市でNPO団体が主体となって行っている夜のユースセンターを先日視察いたしました。近隣に住んでおられる若者だけでなく、二十三区からも若者が集っており、中には歌舞伎町のトー横に行っていた若者が、夜のユースセンターがあるならと訪れたとの話も伺いました。

 自宅に居場所がない、自宅にいても一人で孤独であるなど、居場所を必要とする若者が、夜の時間を安心して過ごせる場が都内各所にあることが必要であります。また、適切な支援につなげられるよう、様々な支援を行っているNPOなど民間団体と連携することも検討すべきです。

 トー横をはじめ、都内各所に、子供、若者の居場所の設置を進めるべきと考えます。見解を求めます。

答弁4
生活文化スポーツ局生活安全担当局長
 子供、若者の居場所についてのご質問にお答えをいたします。

 不安や困難を抱える子供、若者が将来への希望を持ち、健やかに成長するためには、安心して過ごせる環境の整備等適切な支援を講じていくことが重要であります。

 このため、都では、若者に対する相談や居場所事業等を推進する区市町村を支援しております。また、新たに立ち上げる予定のトー横の相談窓口において、居場所も提供しているNPO等とも連携し、青少年が安心して立ち寄れる場を提供してまいります。

 こうした取組を通じまして、困難を抱える若者を一人でも多く支援できるよう、さらなる居場所の確保に向けて取り組んでまいります。

質問5
 次に、都営住宅の子育て世帯に対する住宅変更基準について質問します。

 都営住宅の部屋の広さや間取りの基準については、型別供給基準、あっせん基準、住宅変更基準と三つに分かれています。

 公募によって使用許可を受けて入居する際のあっせん基準は、都営住宅の建て替え時に住棟ごとに適用した型別供給基準と同じものとなっていますが、多摩地域では建て替え継続中の三団地を除いて、応募が一倍を切る広い住戸で平成二十年度以前のものについては型別供給基準を緩和しています。

 こうした中、子育て世帯などが入居後、世帯人数が増えた場合などに住宅を変更する際の基準は、居室の一人当たり面積が二・四畳未満であり、その結果、多摩地域では同じ住棟でありながら、四人家族でも三DKの住戸に住宅変更できないのに、公募によって二人世帯の家族が四DKの住戸に入居してくるという不公平な状況が生まれています。

 そもそも、住宅変更の際の基準を一人当たり面積二・四畳未満としていることに大きな時代ギャップが生じており、都議会公明党はこれまで改善すべきと指摘してきました。住宅変更基準を型別供給基準やあっせん基準と見合うものとすべきであります。見解を求めます。

答弁5
住宅政策本部長
 都営住宅の住宅変更基準についてでございますが、都営住宅への入居は公平性の観点から公募を原則としておりますが、入居後に子供の出生等により世帯人数が増加し、一人当たりの居室面積が二・四畳未満となった場合などに公募の例外として別の住戸への変更を認めております。

 今後は、住宅ストックの状況を踏まえまして、住宅変更基準を建て替え時の型別供給基準や新規入居時の通常のあっせん基準と合わせてまいります。これにより、建て替えに伴う移転や公募により新規入居する世帯と同じ広さや間取りに住宅変更できるようにいたします。

 こうした取組によりまして、居住者がより安心して都営住宅に住み続けられるよう支援してまいります。

質問6
 次に、特別支援学校における胃瘻からの初期食注入について質問します。

 都立特別支援学校の医療的ケアについては、これまで都議会公明党の要望を踏まえ、人工呼吸器の管理や胃瘻からの初期食注入など、着実に取組が進められてきました。

 初期食の注入について、都議会公明党は、都立特別支援学校においても必要とする児童生徒に対しては給食に初期食の導入を検討すべきと求め、都教育委員会は、モデル事業を経たガイドラインの策定により、令和三年度以降、準備の整った都立肢体不自由特別支援学校から順次、初期食の注入による給食の提供を開始しました。

 この胃瘻からの初期食注入による給食の提供開始から三年目となり、新たなニーズもあると伺っております。

 初期食の胃瘻からの注入について、食育の観点から、メニュー別の注入も検討すべきと考えます。見解を求めます。

答弁6
教育長
 都立特別支援学校の医療的ケアについてでございますが、都教育委員会は令和三年度から、児童生徒の健康の保持や食育の観点から、初期食の胃瘻からの注入による給食の提供を開始いたしました。

 令和五年度からは、初期食を一品ずつ注入することや、初期食の経口摂取と胃瘻からの注入の併用等について、モデル事業として肢体不自由特別支援学校十校で実施しております。

 今後、一品注入や経口摂取の併用等について、医療的ケア運営協議会の専門家や実施校の意見を踏まえ、安全かつ適切に実施するための条件等を検証し、実施に向けた検討を進めてまいります。

質問7
 次に、保育職の賃金増について質問します。

 都は、都議会公明党の推進により、親の就労の有無にかかわらず、適切な集団保育の効果を希望に応じて選択できる仕組みへの転換を国に先駆け進めており、保育職の確保と育成がますます重要な課題となっています。

 現在、国では技能や経験に応じて加算する処遇改善の仕組みはありますが、補助金算定の範囲が限られ、園長と主任を除く十五人の標準園の事例では八人分しか支給の対象とされていません。全ての残る従事者を対象に、都独自でも補助金を給付し、賃金増を図るべきです。

 加えて、国の補助金は、質の向上を目的として研修の受講等を前提条件としております。リモート研修の拡大や対面での研修受講の場合でも、代替要員の確保に要する費用を都が積極的に補助するなど、各園が質の向上に取り組みやすくなるように支援するべきです。併せて見解を求めます。

答弁7
福祉局長
 保育人材対策についてのご質問でございます。

 国は、保育士等の確保及び資質向上を図るため、キャリアアップ研修の受講などを要件に技能、経験を積んだ職員に対する処遇改善の加算を設けております。

 都は、職員が研修を受講しやすいよう、オンライン研修を行う研修実施機関も指定するほか、実施機関に対して受講料の免除を要件に研修経費を支援しております。

 今後、さらなる保育の質の向上に向け、職員が研修に参加できる機会を増やすとともに、国の処遇改善の加算対象人数には上限があり十分な改善につながっていない状況を踏まえ、技能、経験に応じた処遇改善が実現できるよう必要な支援策を検討してまいります。

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医療・福祉施策

質問1
 次に、医療、福祉、健康施策について伺います。

 初めに、粒子線治療について質問します。

 先般発表された保健医療局の令和六年度予算要求概要に、都議会公明党の度重なる要望に応え、粒子線施設の整備に関する基本設計の概算費用一億円が計上されました。

 都議会公明党はこれまで、都立病院への粒子線治療の導入に向け、都との議論をリードし、さきの第三回定例会では、がん患者の診療実績が豊富で集学的治療を提供できる都立病院への早期導入について答弁がありました。

 現在、日本国内には二十五の粒子線治療施設があり、都内の潜在患者数も約千人と推計されていますが、都内には粒子線治療施設がありません。

 がんの治療法には、主に外科手術、薬物療法、放射線治療があり、それぞれ適応疾患や副作用が異なります。

 例えば、抗がん剤治療と粒子線治療を併用するなど、がんの種類や進行度に応じて最適な治療法を選択できることが望ましく、小児がんにも有効で、整備費用が抑えられる陽子線治療装置を、集学的治療基盤が整った診療実績が豊富な駒込病院や、小児総合医療センターと併設する多摩総合医療センターに導入すべきと考えます。知事の見解を求めます。

答弁1
知事
 粒子線治療についてのお尋ねでございます。

 都は、がん対策推進計画におきまして、医療提供体制の充実やライフステージに応じたきめ細かな支援などの施策を総合的に展開をいたしております。

 粒子線治療は、体への負担が少なく、仕事や学業、日常生活との両立も可能な治療法でございます。有識者からは、粒子線治療の中でも、小児がんを含め幅広く様々ながんを治療できる陽子線治療装置が望ましい、診療実績が豊富でアクセスがよく、他の医療機関と連携しやすい拠点病院へ導入すべきなどの意見をいただいております。

 都は今後、こうした意見等も踏まえまして、今年度改定予定のがん対策推進計画と併せまして、粒子線治療施設整備計画を策定いたします。

 こうした最先端治療を導入することで、都民のがん治療の選択肢を広げ、がんの克服を目指す社会を実現してまいります。

質問2
 次に、若い世代、いわゆるAYA世代のがん患者への在宅療養支援について質問します。

 都議会公明党はこれまで、AYA世代のがん患者への支援の必要性を訴え、都は、AYA世代がん相談情報センター設置や生殖機能温存治療費助成事業などに加え、今年度からアピアランスケア支援事業を開始したことを高く評価します。

 しかし、四十歳未満のAYA世代のがん患者は介護保険が適用されず、在宅サービスを利用する際の経済的な負担や介護する家族の負担が大きいという問題があります。

 都議会公明党は、平成二十九年の定例会でこのことを初めて取り上げ、さらに令和四年第一回定例会で都として支援すべきと求めてきました。

 現在、都内では三区一市で、独自にAYA世代のがん患者への在宅療養に係る費用の一部を助成しています。

 そこで、各自治体で在宅療養支援が進むよう、都としても区市町村の取組を支援すべきと考えます。見解を求めます。

答弁2
保健医療局長
 AYA世代がん患者の在宅療養支援に関するご質問にお答えいたします。

 がん患者が住み慣れた地域で安心して療養生活を送るためには、在宅療養環境の充実が重要でございます。

 このため、都は、AYA世代がん患者が介護保険制度と同様の支援が受けられる仕組みを構築するよう国に提案要求するとともに、AYA世代がん患者の現状やニーズを調査し、がん対策推進協議会やAYA世代がんワーキンググループで、患者や家族に必要な支援に関し議論してまいりました。

 こうしたことを踏まえまして、区市町村において、AYA世代がん患者の在宅療養環境の充実に向けた取組が進みますよう、都としての支援策について検討を進めてまいります。

質問3
 次に、盲ろう者支援について質問します。

 盲とろうの二重の障害者でありながら、都立大学を卒業し、現在、東京大学先端科学技術研究センターの教授を務める福島智先生、その福島先生から、盲ろう者を支援するために、ニューヨークのヘレン・ケラー・センターのような施設が日本にも必要だという強い要請を受け、都議会公明党は、東京版ヘレン・ケラー・センターともいうべき施設の創設を強く主張し、都は二〇〇九年三月に全国初の東京都盲ろう者支援センターを開設しました。

 外部とのコミュニケーション手段を失った盲ろう者にとって、指点字などの習得や通訳など様々な介助を受けることができるこの支援センターは、極めて貴重な存在です。

 その支援センター開設から十五年がたち、支援を受ける施設利用者は、例えば、社会参加促進事業では当初の延べ千九百五十四人から三千百五十八人と増え、提供する支援サービスのメニューも増えました。現在の施設規模では、十分な支援を提供することが困難になっています。

 さらに、今後は、先天性の盲ろう者、児童の支援も検討課題となっており、ますます施設の拡充、整備が必要と考えます。

 また、現在の支援センターは都心部にありますが、多摩地域にも支援を必要とする盲ろう者が少なくありません。移動の困難さを考慮し、将来的な多摩地域への支援センターの展開も含め、併せて見解を求めます。

答弁3
福祉局長
 盲ろう者、盲ろう児への支援についてのご質問でございます。

 東京都盲ろう者支援センターでは、成人である盲ろう者を主な支援の対象として様々な相談や自立に向けた訓練、社会参加のための交流会などを実施しております。

 一方で、生まれながら重複した障害を有する盲ろう児は、情報入手やコミュニケーション手段の獲得など盲ろう者とは異なる困難を抱えており、医療、福祉、教育などの関係機関が連携した専門的な対応が必要でございます。

 都は今後、センターにおいて、新たに盲ろう児とその家族のニーズにも対応し、乳幼児期から成人まで切れ目なく支援していけるよう、センターの機能の充実と環境整備について検討してまいります。

 また、センターでは、多摩地域に相談員が出張して、盲ろう者やその家族、通訳、介助者、支援関係者などからの相談を受けつけているほか、社会参加を促すための交流会や点字の読み書きの学習等のコミュニケーション訓練などを行っております。

 今後、多摩地域で多くの盲ろう者、盲ろう児やその家族のニーズに対応できますよう、移動の困難さも考慮して、出張相談等の実施場所や開催時期を工夫するなど、より効果的な支援に取り組んでまいります。

質問4
 次に、加齢性難聴について質問します。

 都議会公明党は、本年の第一回定例会の代表質問で加齢性難聴に言及し、補聴器の適切な使用は、日常での事故や社会的な孤立の防止、抑鬱や認知症リスクの軽減や、社会参加が進むことによる健康寿命の増進につながると指摘しました。

 そして、現在は包括補助に組み込まれている区市町村が実施主体となる補聴器補助について、さらなる支援の強化を求めました。都からは、早期発見と早期対応に向け、区市町村や専門家などの関係者の意見も聞きながら、効果的な施策を検討していくとの前向きな答弁を得たところです。

 高齢者の健康の増進は大きな社会的課題であり、都は単独補助化に踏み切るべきです。

 また、補助基準額の設定においては、ある程度の機能の高さを有する補聴器の購入を想定した金額に設定すべきです。

 さらに、加齢性難聴の早期発見に必要な聴覚検診では、補聴器相談医が在籍する医療機関が不十分な自治体について、特に手厚く補助を実施するべきと考えます。併せて見解を求めます。

答弁4
福祉局長
 加齢性難聴に対する支援についてのご質問でございます。

 加齢性難聴は、早期発見、早期対応が重要であることから、都は、区市町村が高齢者への補聴器支給等の事業を地域の実情に応じて柔軟に実施できますよう包括補助により支援を行っております。昨年度の補助実績は十五自治体であり、事業内容は自治体によって様々であります。

 現在、区市町村や専門家など関係者の意見も聞きながら、補聴器の適切な利用につなげるために必要な支援など、効果的な施策の実施に向けた検討を行っております。

 今後、補聴器の利用を希望する方が、お住まいの地域にかかわらず、加齢性難聴の状態に応じた性能の補聴器への支援や利用に際しての必要な支援を受けられるよう補助の仕組みを検討するなど、施策の充実を図ってまいります。

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高齢者施策

質問1
 次に、介護、高齢者施策について伺います。

 初めに、介護職の賃金増について質問します。

 介護人材の不足や早期の離職が深刻です。解決の決め手としては、賃金増に勝るものはありません。そのため、国は平成二十一年から、数度にわたり処遇改善の報酬加算を重ね、実際の賃金への押し上げ効果は最大で八万五千円と推定されています。

 しかし、全産業の平均賃金と比較しても介護の平均賃金は七万円近くも低く、賃金の不足感が続いています。国は、今また都議会公明党などの要望に応え、補正予算で月額六千円の報酬加算を実施しようとしています。

 しかし、問題は都市部での介護賃金の低さが特に著しく、全産業で見た全国平均と都内平均の賃金の差額が六万三千七百円であるのに対し、介護賃金だけでの比較では一万八千二百円の差と極めて低い状態にとどまっており、家賃など都市部での生活コストの高さを反映できていません。

 都はこれまでも、国に大都市加算の強化を求めてきましたが、物価高などを踏まえ、介護職場で働く全ての職員を対象に緊急の補助金を都独自でも支給していくべきです。

 加えて、宿舎借り上げ補助金の使い勝手の改善を進め、四年間の適用制限などを撤廃し、緩和を図るべきです。併せて見解を求めます。

答弁1
福祉局長
 介護職員の処遇改善についてのご質問でございます。

 人件費や物件費が高い傾向にある大都市特有の課題が介護報酬に反映されていないことから、都は本年十月、国に対し、事業者が介護人材の確保、育成、定着を図ることができる報酬とすることを緊急提言しております。

 これまで介護職員の確保に向け、都独自に奨学金の支給や介護職員の宿舎借り上げに取り組む事業者を支援するなど、様々な取組を行ってまいりました。

 昨今の物価高騰の影響下で人材の獲得競争が激化しており、介護職員の確保は喫緊の課題であります。

 今後、次期高齢者保健福祉計画の策定に向けた実態把握や議論も踏まえ、介護職員宿舎借り上げ支援事業の要件の緩和を含め、施策の充実を検討してまいります。

質問2
 次に、特に深刻な訪問介護の人材確保と定着、育成について質問します。

 低賃金はもとより、肉体的負担に加え、カスハラなどにより、訪問介護を担うヘルパーの昨年度の有効求人倍率は十五・五三倍であり、施設で働く介護職員の三・七九倍を大きく上回り、人手不足が危機的な状況にあります。

 また、若手職員の離職が多く、昨年度の都の調査では、実に職員の半数近くが六十代以上と高齢化を進行させています。

 事業者からは、資格が必要なので、未経験者を雇用して育成する余裕がないとの声もあり、増え続ける高齢者の在宅生活を支えるために、訪問介護の事業者や職員への支援を一層強化すべきです。見解を求めます。

答弁2
福祉局長
 訪問介護事業者への支援についてのご質問でございます。

 訪問介護は、高齢者が地域で安心して暮らすために必要なサービスであり、その担い手の確保が重要でございます。

 都は、多様な人材の参入促進を目的とし、職場体験や資格取得のほか、働きながら介護職員初任者研修等を受講することなどを支援してまいりました。昨年度からは、未経験の求職者等を対象に、インターンシップから就業、定着までを一貫して支援する取組も実施しております。

 これらの取組は、訪問介護事業所への就業にもつながっており、今後、訪問介護人材のさらなる確保、定着、育成に向けまして、未経験者を雇用する訪問介護事業所への支援など、一層の取組を検討してまいります。

質問3
 次に、人手不足が深刻化する中で、活用が期待されているのが外国人人材です。

 外国人人材を活用して、自宅で一対一で対応する訪問介護サービスでは、意思疎通の面でのトラブルを懸念する声もあり、日本語教育がこれまで以上に重要となってきます。

 また、東京は地方に比べて家賃が高いため、多くの外国人に来てもらうには居住面での支援も必要となります。

 そこで、こうした状況を踏まえ、今後、都内でより多くの外国人が円滑に活躍してもらえるよう、特に、コミュニケーション面や居住面での支援を充実していくべきと考えます。見解を求めます。

答弁3
福祉局長
 外国人介護従事者の受入れ支援についてのご質問でございます。

 都は、外国人介護従事者の円滑なコミュニケーションを支援するため、介護施設等に対し、日本語学習や異文化理解の学習に必要な経費や多言語翻訳機の導入のための経費を補助しております。

 また、介護施設等が留学生を雇用し、居住費を支援する場合に補助を行っているほか、介護職員宿舎借り上げ支援事業により、外国人介護従事者の受入れに取り組む事業者を支援しております。

 今後、介護施設等で外国人介護従事者の円滑な受入れが進みますよう、支援の充実について検討をしてまいります。

質問4
 次に、シルバーパスの充実について質問します。

 都議会公明党は、高齢者の社会参加と福祉の向上において、シルバーパスの果たす役割の大きさを踏まえ、これまで事業の継続と充実を都に要望してきました。コロナ禍においては、一斉更新の際に郵送方式を取ることを求め、実現もしてきました。

 第三回定例会代表質問においても、要支援、要介護の方々への支援に加え、約八割の元気な高齢者の方々に対する施策の充実が重要な課題であることを指摘したところです。

 シルバーパスは、現在、住民税非課税者については費用負担が千円、課税者は二万五百十円となっています。

 高齢者の社会参加を図ることにより、健康寿命を延伸するために、住民税課税者も非課税者と同等の安い費用負担とすべきです。

 「未来の東京」戦略ビジョンにおいて、Chojuが世界共通語になっているとして、健康長寿社会東京モデルをつくり上げるとしていることも踏まえ、シルバーパスの充実を図るべきと考えます。知事の見解を求めます。

答弁4
知事
 シルバーパスについてのお尋ねでございます。

 シルバーパス制度は、高齢者の社会参加を助長し、高齢者の福祉の向上に寄与しており、多くの方に活用されています。

 現在の制度となりましてから二十三年が経過し、交通事情をめぐる環境が変わるとともに、対象となる高齢者は約二倍に増加するなど制度をめぐる状況は変化いたしております。

 こうした社会状況の変化の中、制度の検討に当たりましては、利用実態の把握や事業主体である東京バス協会との調整など整理すべき課題があると認識をいたしております。

質問5
 次に、シルバー人材センターを活用した高齢者の就労支援について質問します。

 都議会公明党は、さきの第三回定例会で、シルバー人材センターにおいて、時代の変化とともに働く意欲のある高齢者のニーズにも対応できるよう、幅広い就労機会の提供に積極的に取り組むべきと質問しました。知事からは、今後はシルバー人材センターが、民間からの仕事の発注の意向等を踏まえ、より多くの就業の機会を確保していくとの答弁があったところです。

 そこで、都は、民間企業での就業をより一層進めていくため、多くの就業機会を確保できるよう、シルバー人材センターの取組を強化すべきと考えます。見解を求めます。

答弁5
産業労働局長
 シルバー人材センターによる就業支援についてでございますが、シルバー人材センターが、働くことに意欲を持つ高齢者に対し、その経験を生かし、活躍できる仕事を適切に提供することは重要でございます。

 都内各地のシルバー人材センターは、高齢者に対し、社会とのつながりや生きがいを持つことができるよう、地域で役立つ短期間の仕事などの提供を進めてまいりました。

 今後、高齢者が現役時代に培った力を発揮し、多くの収入の確保にも役立つ仕事を増やすため、民間企業からの受注の拡大を後押しいたします。

 このため、都は、シルバー人材センターを支援する東京しごと財団と協力し、適切なサポートを進めてまいります。

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産業・労働施策

質問1
 次に、産業労働施策について伺います。

 初めに、カスハラ防止条例の制定について質問します。

 顧客などから理不尽な要求やクレームを突きつけられるカスタマーハラスメント、いわゆるカスハラについては、近年、働く人が悪質なクレームで辞めたり、メンタルヘルスに不調を来すケースが相次いでいます。

 昨今のストレス社会の中にあって、誰もが消費者としてカスハラの加害者になる可能性があるとも指摘されていますが、実際にはどのような行為が該当するのか、線引きが判然としないものもあり、使用者や労働者の双方から、企業単位での対策が難しいという声が上がっています。

 都は、過日、労使と専門家で構成する検討部会を立ち上げましたが、東京商工会議所の小林健会頭は、人手不足で接客の質を維持することが困難になっている、経済界だけでは解決できないと述べ、連合東京の斉藤千秋会長は、条例などの法的な枠組みをつくることが対策として効果的だと指摘したと報じられています。

 全国最多の第三次産業従事者と顧客を抱える東京こそが対策を急がねばなりません。条例の制定に早期に着手すべきです。知事の見解を求めます。

答弁1
知事
 カスタマーハラスメントへの対応についてであります。

 製品を買い求める顧客やサービスの利用者等から過大な要求や不当なクレームを受け、従業員が人格を傷つけられ精神的なダメージを受けるという状況を放置することはできません。このことは、学校や警察など公共サービスを提供する現場でも例外ではございません。

 都では、こうしたハラスメントをテーマに公労使会議を開くとともに、現在、専門家等による検討の場を設けまして、具体的な対応の方法について議論を進めているところでございます。

 こうした問題の解決に当たりまして、顧客満足と働く人の心身の健康が並び立つことが不可欠でございます。今後の議論の内容を踏まえ、適切な対応の在り方について検討してまいります。

質問2
 次に、都の公共工事契約の対応について質問します。

 働き方改革関連法による時間外労働の上限規制が、来年四月から、いよいよ建設や物流事業者においても適用されます。

 都議会公明党が重ねて指摘してきたように、働き方改革に伴い、公共工事発注では週休二日制や、実作業時間の厳格化に応じた作業単価や工期の割増しなどに対し、民業への模範を示すためにも、これまで以上に積極的な対応が必要であります。

 そこで、具体的に課題を三点指摘させていただきます。

 一点目は、工期の適正化、単価増、契約変更への対応増などの想定を踏まえた余裕のある予算編成とすべきです。

 二点目は、受注者からの契約変更への適切な対応です。現状、現場の都職員に口頭で契約変更を申し出ても、その場で断られ、書面化さえできないとの声を聞きます。契約変更への判断を的確に行えるよう、事後に判断の妥当性を検証できる仕組みをつくるべきです。

 三点目は、分離分割発注の推進です。本来、作業工程が別で専門性が高く、元請事業者も施工管理しにくい工事では、分離分割発注が原則です。しかし、実際には一体発注が多く、前半工事の遅れを押しつけられ、残り少ない工期での突貫工事が続き、疲弊しているとの声が聞かれます。

 これでは働き方改革に対応できません。これまで以上に分離分割発注の徹底を図るとともに、それを可能とする都側の工事監督員等の技術者の養成を急ぐべきです。

 以上、三点への対応を含め、都として働き方改革に積極的に対応するべきと考えます。見解を求めます。

答弁2
財務局長
 働き方改革に関する契約上の対応についてのご質問にお答えいたします。

 都は、来年度予算の見積方針におきまして、物価高騰分を予算に反映するため、物価上昇による所要額はシーリングの枠外とし、そして個別の工事予算の見積りに当たりましては、スライド条項による契約変更や働き方改革に資する週休二日工事対応費を見込んだ額を見積もるよう、各局に指示をいたしました。

 また、今後契約に係る受注者とのやり取りにつきましては、書面で行うことを徹底するよう改めて庁内各部署に周知するとともに、分離分割発注の重要性を踏まえ、契約実務者を対象とした研修を通じ、具体的事例を共有するなど、さらなる意識の浸透を図り、取組を一層徹底してまいります。

 建設業の働き方改革の実現に向けて、業務効率化や民間との協働を通じた執行力の強化を図りながら、今後とも発注者としての責務を果たしてまいります。

質問3
 次に、都庁の技術系職員の人材確保について質問します。

 都庁の一般職の申込者数は、平成二十四年度の九千三百五十九人と比べて、令和五年度では三千三百九人と、この十一年間で三五%に下落しました。

 特に、技術系職員の土木や電気では、令和四年度から二年続けて、合格者数は採用予定者数を下回っており、今、定数割れを補充するための採用試験も行われています。しかし、土木で募集の七一%、電気で募集の四一%の応募しかありませんでした。これは致命的な数値です。

 建設局の出先機関の現場では、たとえ予算がついたとしても、実際には予算が執行されないケースや契約不調となるケースも多く、その理由の一つに、技術系職員の不足が挙げられています。

 都政の諸課題解決に向けた都市インフラ整備を現場で推進する都庁の技術系職員の人材確保には早急に取り組むべきです。知事の見解を求めます。

答弁3
知事
 技術系職員の人材確保についてでございます。

 複雑高度化する都政課題に対応するには、激化する人材獲得競争の中でも、多くの志ある技術人材を着実に確保していくことが不可欠であります。そのためには、魅力ある都庁の実現に向けた働き方改革の推進や人事給与制度の見直しはもとより、効果的な採用手法を取り入れていくことが重要でございます。

 今年度は、技術系職員の受験機会を拡充いたしましたほか、試験合格後に多様なキャリアの選択を可能とする採用制度を導入いたしました。また、さらなる受験者拡大のため、民間希望の学生が受験しやすい適性検査の導入に向けて準備を進めております。

 早期化する学生の就職活動状況や活発化する民間転職市場の動向に対応いたしました採用制度を構築するなど、常に柔軟な発想とスピード感を持ちまして、未来の都政を担う技術人材の確保に取り組んでまいります。

質問4
 次に、人手不足や働き方改革を踏まえた中小企業経営者や就労希望者への支援について質問します。

 働き方改革の本格実施に際しては、企業側の労働集約、生産効率の向上を可能とする取組が重要です。中小企業にとっても労働時間の短縮は大きな魅力ですが、大企業と異なり、費用面で折り合いがつかず、導入が遅れがちです。

 とりわけ都内では中小企業が多く、働き方改革への対応の遅れが倒産や経営危機の増加につながりかねません。

 そのため、都は、建設や物流等の中小企業が賃金増への社会的要請や物価高への対応を図りながら、労働時間の削減などを図る場合には、それに要する設備改善や機器導入を、通常よりも補助の強化を図り、力強く支援していくべきです。見解を求めます。

答弁4
産業労働局長
 建設や物流等の事業者の働き方改革についてでございますが、中小の建設や物流等の分野で、来年度より時間外労働に上限規制が適用されるため、職場での働き方を見直す上で生産性を高める取組が必要となります。

 これまで都は、こうした業種の中小企業に対し、職場の働き方の見直しや法令改正の内容などの知識を提供するセミナーを実施しております。また、中小企業に専門家を派遣し、働き方改革に役立つ助言も行っております。

 時間外労働に係る規制導入に対応するため、今後、倉庫内の品物を自動でトラックに積む機械の導入など、業務効率の向上と省力化に役立つ取組への支援に力を入れてまいります。

 これによりまして、中小企業の支援を着実に進めてまいります。

質問5
 また、社会における少子化傾向に加え、産業構造の急変も相まって、様々な職種や業種で人手不足が一層深刻化する雇用のミスマッチが課題となっています。

 ミスマッチの解消には、スキル、経験の乏しい分野へのキャリアチェンジを後押しする都の支援が重要となります。トライアル雇用などに中小企業が取り組みやすくするためには、支援を強化するべきです。

 加えて、有効求人倍率の改善傾向に伴って、スキルを十分に身につけずに就職する事例が増えています。

 しかし、中小企業では、仕事に必要な技能や資格の修得者が不足し、受注減など経営の危機に直結します。

 資格の修得を通じたキャリアアップによる安定雇用の推進のためにも、職業能力開発センターの活用をさらに推進すべきです。併せて見解を求めます。

答弁5
産業労働局長
 求職者や従業員のスキルを高める支援についてでございますが、求職活動をする方が希望する仕事のスキルを学び、新しいキャリアを築けるよう支援をすることは必要でございます。

 これまで都は、人手不足が続く会社などに求職者が派遣で働き正社員を目指す取組を支援してまいりました。今後は、これまでより幅広い分野での就職をきめ細かく支援する取組に力を入れてまいります。

 また、ものづくりの中小企業において、社員の技術や技能の力を高める取組は重要でございます。このため、職業能力開発センターが地域の町工場等と連携し、ものづくりの作業に従事し間もない社員のスキルアップを後押しいたします。

 これらによりまして、中小企業の人材の確保と育成を支援いたします。

質問6
 また、女性活躍の推進のためには、キャリアチェンジやキャリアアップが重要です。

 能開センターでは、電気工事の資格を修得した卒業生がハローワークの求人に応募した際に、面接先の工場側で女性を雇用した経験がなく、また工場内に女性用のトイレや更衣室がないとの理由で不採用との事例がありました。

 こうした場合に備え、都は都議会公明党の要望に応え、女性の就労に必要な施設整備への補助金を用意していますが、工場にも適用可能であることなどをしっかりとPRし、普及を図るべきです。

 加えて、女性の管理職への登用は、女性の就労希望者の拡大につながる大事な取組であり、都による支援が必要です。併せて見解を求めます。

答弁6
産業労働局長
 女性が活躍できる職場づくりについてでございますが、中小企業で女性の社員が増え、マネジメントの担い手として力を発揮できるよう職場の環境を整えるとともに、その活躍に向けた機運を高めることは重要でございます。

 これまで都は、中小企業の事業所で、女性のための更衣室やトイレなどの施設を整備し、その採用を進める取組を支援してまいりました。こうした支援について、今後、企業とのつながりを持つ職業能力開発センター等においても内容の周知に力を入れてまいります。

 また、都では、女性の社員や管理職を増やすためのセミナーや相談を行っているところです。今後、これに加えまして、女性活躍への経営者の理解を広げる取組のほか、女性の昇任のプランをつくる会社への支援を推進いたします。

質問7
 次に、東京農業の振興について質問します。

 都議会公明党は、本年九月、都市農業政策推進議員連盟を発足させ、先月、多摩地域における意欲的な都市農業の取組を視察しました。都内では、毎年百ヘクタールもの農地が消失しておりますが、近年では都市部を中心に、身近な場所でプロの農業者による指導が受けられる農業体験農園への期待が高まっています。

 平成三十年に生産緑地での貸借による営農が可能となったことから増え始め、今年の三月末現在で百四十一か所が開設され、さらなる増加も期待できます。

 新たな農業の担い手を確保し、生産緑地の保全にもつなげるためにも、生産緑地を貸借して、農業体験農園を開設する自治体や民間事業者に対し、農地の造成費や農業用機械の購入費などを都として支援すべきと考えます。見解を求めます。

答弁7
産業労働局長
 農業を体験できる農園を増やす取組についてでございますが、東京の農業振興に向け、生産緑地を借り上げ、多くの方に作業を体験する場を提供し、新たな担い手の確保などに結びつける取組を広げることは重要でございます。

 これまで都は、生産緑地を借り上げ、農園をつくり、都民に対し農業を体験し、作業の方法を学ぶ機会等を提供してまいりました。

 今後は、地元の自治体や民間の事業者が生産緑地を借りて農園を開設し、地域の住民の利用につなげる取組に係る整備等へのサポートに力を入れてまいります。

質問8
 東京農業の振興には、限られた農地を有効活用し、収益の増進を図るDX等を用いた作業効率の向上が効果的です。最近では、都の農林総合研究センターなどで、必要最低限の肥料と水でトマトの栽培が可能なシステムや、自宅から離れたハウスや農地の状況を確認できる機器など、収益や効率の向上につながる様々な技術の開発が進んでいます。

 しかし、農業者からは、関心はあるが詳細が分からない、資金的に手が出せない等の声を聞きます。

 農作業の効率化は、女性や若者の農業での活躍を後押しすることにもつながります。都は、スマート農業と総称される最新技術を活用した収益力の向上などの取組の普及が進むよう支援すべきです。見解を求めます。

答弁8
産業労働局長
 デジタル技術を活用した農業の推進についてでございますが、東京の農業者が最新のデジタル技術を使い、生産性を高め、経営力の向上を実現できるよう後押しすることは重要でございます。

 これまで都は、民間企業等と連携し、DXを活用し、ビニールハウス内の室温などの環境を調整するシステムのほか、数多くの品目の栽培を効率的に管理するアプリの開発等を行ってまいりました。

 こうしたDXを用いたシステムなどについて、今後、農業者の現場の状況に応じた効果的な導入を支援する仕組みづくりを進めてまいります。

 これによりまして、東京農業の振興を図ってまいります。

質問9
 次に、アニメ制作に携わっている方の賃金アップについて質問します。

 日本のアニメは世界に誇れるコンテンツ産業ですが、それに携わるアニメーターの収入は海外の平均収入より低いだけでなく、日本の会社員の平均収入より低いというのが現状です。

 賃金が低い理由として、アニメ制作の場合、実行委員会方式を取っており、スポンサーにお金を拠出してもらわなければ制作ができないという構造的な問題があります。スポンサーも、アニメ制作においてはヒット作とそうでないものがあるため、興行収入に応じて手数料が入る契約をせざるを得ないというのが実情です。そのため、ヒット作が出ない場合には、どうしてもアニメーターの賃金が低くなるという構造になっています。

 業界関係者の話によると、ヒット作を出す上で、アニメーターの優れたスキルが重要である一方、アニメーターの中にはスキルアップの機会がないままの方もおり、結果として低賃金のままでいるということです。

 そこで、都として、こういった低賃金のアニメーターのスキルアップを支援し、賃金アップにつなげていくべきと考えます。

 また、業界の裾野の拡大に向け、アニメーターとして力を伸ばすことを目指す若者を増やしていくことも重要との声も聞かれます。

 十月三十一日にグランドオープンしたアニメ東京ステーションで、アニメーターを確保するような取組を実施してはどうかと考えます。併せて見解を求めます。

答弁9
産業労働局長
 アニメ産業における人材の育成等についてでございますが、アニメを制作する会社で働く方のスキルを高め、賃金引上げ等の処遇改善に結びつける取組は重要でございます。

 このため、都は、アニメの画像を最新のデジタルの技術を用いつくり上げる様々なノウハウを学ぶためのプログラムを実施しております。今後は、この課程を修了した方に定期的なフォローアップを行い、職場への定着を支援いたします。

 また、将来の担い手を増やすため、アニメへの関心を幅広く紹介し広げることは必要でございます。都は、新たなアニメの拠点でセル画をつくる様子に触れるほか、ワークショップで画像をつくる機会を提供し、仕事の魅力を伝える工夫を行っており、こうした取組に力を入れてまいります。

質問10
 さらに、アニメーターの賃金アップのためには、フリーランスや中小零細のアニメ制作会社など、下請業者の取引適正化が重要と考えます。見解を求めます。

答弁10
産業労働局長
 アニメ関連の事業者の取引の適正化についてでございますが、中小の事業者が適正な取引を通じて業務を安定して継続するための下支えは重要でございます。

 このため、都は、中小企業振興公社に専門組織を設け、企業同士の受発注に係る相談への対応を行うほか、専門家が現場を巡回し、取引の適切なルールなどを伝えているところです。

 また、フリーランスの方が適切な条件で仕事を受けることができるよう、相談窓口によりまして、契約等に関する正確な知識を入手する後押しを行っております。

 今後は、こうした支援内容につきまして、アニメの制作を行う中小零細事業者に対し、関連団体を通じ確実に伝え、利用を促してまいります。

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環境施策

質問1
 次に、環境施策について伺います。

 初めに、水素社会の実現について質問します。

 IPCCの報告書によると、各国が二〇三〇年までの温室効果ガスの削減目標を全て達成したとしても、今世紀末までの温度上昇は、産業革命前と比較して、二・五度から二・九度になる見込みであり、パリ協定の一・五度を達成するためには、全ての国が対策を加速させる必要があるとの認識を示しました。

 こうした課題解決への一つの方策として、エネルギーの脱炭素化を目指し、様々な分野で水素の活用が模索されています。

 現状では、自動車等のモビリティー分野で水素の活用が先行していますが、あらゆる分野で水素の活用を推進し、化石燃料の使用量を世界全体で削減しなければなりません。

 一方、こうした世界の産業構造の大転換には膨大なコストが必要であり、水素の活用についても、的確に政策誘導を進めなければ、十分な温室効果ガスの削減効果が得られない可能性もあります。

 各業界で水素の活用が模索され始めた今こそ、都は民間の後押しに戦略的に取り組むべきです。持続可能な水素社会の実現に向けた都の取組について、知事の見解を求めます。

答弁1
知事
 水素の利活用の推進についてのお尋ねがございました。

 東京でのゼロエミッションの実現に向けまして、脱炭素の新たなエネルギーである水素の活用を広げることは不可欠でございます。水素利用が見込まれ、優先した対応が必要な分野での戦略的な取組が必要です。

 東京では、水素で動く車両が身近となり、燃料を供給するステーションも増えつつあります。こうした水素のモビリティーの普及を加速してまいりたいと思います。

 高温が必要な設備でものづくりを行う工場で、熱を新たに水素で生み出す取組を支援いたします。事業所内で再エネによりつくり出す水素を蓄え、必要に応じて電気に変え、利用する技術も後押しをいたします。

 これらの活用を支えるグリーン水素の確保を海外都市との連携などにより実現するほか、新たにつくり上げる取引所を通じまして、需要家に着実に渡す仕組みの確立を目指してまいります。

 これらによりまして、水素エネルギーを様々な分野で活用する社会をつくり上げてまいります。

質問2
 次に、その水素を活用した次世代のモビリティー社会の在り方について質問します。

 次世代のモビリティーとして期待される燃料電池車やEVなどのいわゆるZEVは、技術開発の途上ですが、市販化も実現し、日本でも少しずつ浸透してきています。

 現段階で、EVは、充電に多くの時間を要する割に航続距離が短い等の課題はありますが、既存のインフラである電気を活用できます。

 一方、燃料電池車は、燃料の水素の供給インフラの整備が必要ですが、航続距離が長く、充填もガソリン車とほぼ変わらない時間で対応できるメリットがあります。

 こうした特徴を踏まえれば、例えば大型のバスやトラック等の長距離走行車は、長時間の充電が必要となるEVよりも、各拠点に水素ステーションを整備し、燃料電池車を活用する方が効果的で利便性も高いと考えます。

 モビリティー分野での水素の活用に当たっては、こうした車両の特徴を踏まえた施策の展開が重要だと考えます。見解を求めます。

答弁2
産業労働局長
 燃料電池で動く車両の普及についてでございますが、脱炭素社会の実現につながる水素エネルギーの普及に向け、様々な種類の車両でその利用を図ることは重要でございます。

 これまで都は、燃料電池を搭載した乗用車やバスのほか、小型のトラックの導入を支援しているところでございます。また、今年度から、水素エネルギーで動くフォークリフトやごみ収集車の導入のサポートも開始いたしました。

 今後、燃料電池を搭載した大型トラックの導入が見込まれる中、こうした動きも踏まえ、多様なモビリティーでの水素の利用の後押しに力を入れてまいります。

 これらの取組によりまして、水素の利活用の円滑な普及を推進いたします。

質問3
 次に、ブルーカーボン生態系について質問します。

 ブルーカーボン生態系は、単に脱酸素に貢献するだけでなく、都が生物多様性戦略で目指すネーチャーポジティブにつながる相乗的便益が期待できます。川が海に淡水を注ぐ河口付近で豊かな魚介類が育つのは、川の上流域の森で何十年もかけて生成されるフルボ酸という栄養分によることが科学的に解明されています。

 このフルボ酸を都内の中小企業が木材を活用して人工的に大量生産する技術開発に成功しました。そして、都立産業技術研究センターでの技術支援で、このフルボ酸と鉄鋼業で発生するごみである鉄鋼スラグとを結合し、フルボ酸鉄になることが確認されました。このフルボ酸鉄は、天然フルボ酸の何千倍もの効果があることが証明されています。

 例えば、こうした新たな技術を東京湾に実装し、ブルーカーボンを拡大させれば、東京湾の環境と生態系を回復し、ひいては温暖化防止にもつながると考えます。

 そこで都は、CO2の新たな吸収源としてのブルーカーボンの意義をゼロエミッション東京に位置づけ、推進するべきと考えます。見解を求めます。

答弁3
環境局長
 ゼロエミッション東京におけるブルーカーボンの位置づけについてでございますが、CO2排出実質ゼロの実現に向け、省エネの深掘りと再エネの基幹エネルギー化により排出量を最小化した上で、なお残る排出量を森林吸収や革新的技術開発などにより相殺していく必要がございます。

 東京は広い海域を有し、沿岸部の藻場等に生息する水生生物は水質浄化に加えて、CO2の新たな吸収源として期待されてございます。現在、国においては、海洋生態系の生物を通じて吸収固定された炭素をブルーカーボンと定義し、吸収量の算定方法の確立等が順次進んでおり、今後国による吸収源対策での活用に向けた動向を注視してまいります。

質問4
 次に、都内中小企業での脱炭素化の進展について質問します。

 都議会公明党は昨年の第三回定例会の代表質問で、室外機などからの排熱抑制を通じたヒートアイランド対策の進展を求め、知事からは、今後、支援策の検討を行い、事業者の取組を促進し、人工排熱対策と脱炭素化を同時に進めていく旨の答弁がありました。

 産業労働局では、既に省エネ効果の高いエアコンへの取替えや太陽光発電装置の設置などで、都内中小企業への支援を進めています。都内には、全国でもトップクラスの数で中小企業が集積しており、そこで排出される熱を有効に活用し省エネに役立てる取組や、企業が高密度に集まっている状況を生かしてサプライチェーンでの対策を進めることが重要であります。都内企業での省エネの進展は、日本全体の省エネ効果の底上げにつながるほか、省エネを通じた物価高対策が進むことで、経営環境の改善にも貢献します。

 中小企業が集積する東京の特性を踏まえ、排熱の有効活用やサプライチェーンの仕組みを活用した脱炭素化の取組を力強く支援していくべきと考えます。見解を求めます。

答弁4
産業労働局長
 中小企業の脱炭素化の推進についてでございますが、東京の脱炭素化を進める上で、都内に数多くの工場が集積する状況に適切に対応することは効果的でございます。

 これまで都は、中小のテナントビルに脱炭素に役立つ高効率の空調設備等を導入する後押しを行ってまいりました。

 今後は、工場の設備で排出する高温の熱を他の工程で再利用し、電気の使用を減らす取組の支援も進めます。

 また、都内で操業する工場の間では、受発注のためのサプライチェーンができております。こうした仕組みに加わる中小企業が協力して設備導入などを進め、一体的に脱炭素化を図る取組の後押しに力を入れてまいります。

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スポーツ施策

質問1
 次に、スポーツ施策について伺います。

 初めに、東京二〇二五世界陸上競技選手権大会について質問します。

 都議会公明党はこれまで、東京二〇二〇大会の経験も踏まえ、役員の適切な選任、リスクアプローチの監査手法の導入、利益相反問題の防止、情報の原則公開など、今後の国際スポーツ大会の改善に必要なガバナンス確保の取組を具体的に提言してきました。

 都は、こうした提言も踏まえ、国際スポーツ大会に係るガイドラインを作成し、世界陸上、デフリンピックの大会運営組織と連携して開催準備を進めています。

 都議会公明党は、国際スポーツ大会が都民、国民の信頼を得るためには、東京二〇二〇大会の運営手法と明確に異なる一線を引くべきだと主張してきました。談合事件等に関わり、指名停止された企業が停止前のように大会に関わるのは、都民の納得が得られません。

 大会の準備、運営を進めていくに当たっては、都民の信頼が得られるような方策を取るべきだと考えます。見解を求めます。

答弁1
生活文化スポーツ局長
 大会準備における都民の信頼を得る方策についてでございます。

 世界陸上及びデフリンピック両大会の運営組織は、都のガイドラインを踏まえ、外部委員を含む契約調達委員会による契約手続のチェックなど、ガバナンス確保に向けた取組をそれぞれ進めております。

 都は先月、有識者会議にその取組状況を報告し、両大会ともガバナンスが適切に確保されているとの意見をいただきました。

 一方、都は、過去に指名停止を受けた事業者に対し、業務委託等における総合評価方式の契約において、当該事業者の評価を減じる仕組みを導入いたします。両運営組織でも、国際大会を取り巻く状況を踏まえ、仕組みをより厳正に構築するよう、ガイドラインに基づき求めてまいります。

 両大会が新たな国際大会のモデルとなるよう、都は引き続き取組状況を確認し、サポートしてまいります。

質問2
 次に、東京二〇二五デフリンピック大会の取組について質問します。

 先般、開催基本計画が公表されましたが、残された日数は僅かであり、都は主体者である全日本ろうあ連盟と共に、ホスト役として積極的に役割を担う必要があることから、三点の課題を提示させていただきます。

 第一は、ホスト国にふさわしい競技参加と運営体制の確保です。

 デフスポーツのトップレベルの選手は極めて高いパフォーマンスを発揮します。そのため、ホスト国としては、どの競技においても最高水準の試合内容に応えられるだけの運営体制を確保する必要があり、健聴者の競技団体との連携が重要です。

 また、公表される競技ごとのエントリー基準を確実にクリアできるよう、選手や競技団体の育成、強化を図るべきです。

 第二は、異なる手話間の通訳の充実です。

 参加国は、国際手話などの通訳者を伴って参加しますが、それだけでは不足します。加えて、競技会場などの配置をよく理解した通訳者が必要であり、ホスト国としての備えが重要です。

 都は、質と量の確保、そして、試合やイベント日程とのマッチングなどの点において、当事者団体との役割分担を図るとともに、さらに全体を支えていくべきです。

 第三は、大会への機運の向上と大会が目指す相互理解の深化です。

 とりわけ若い世代、子供たちにおける手話やデフスポーツ、ろう文化への理解の進展は、デフリンピック東京大会の意義を大いに高めるものであり、力を入れていくべきです。

 以上、三つの視点を踏まえて、尊重し合う共生社会の実現につながる大会とすべきと考えます。見解を求めます。

答弁2
生活文化スポーツ局長
 デフリンピックを通じた共生社会の実現についてでございます。

 今般策定した基本計画では、デフアスリートなどの意見も踏まえ、デフスポーツの価値発信やろう者の文化への理解促進などを掲げております。

 このため、より多くの競技で出場資格を満たし、日本選手の活躍を発信できるよう、選手、競技団体支援の充実を検討いたします。また、円滑な競技運営やコミュニケーションに必要な国際手話人材の配置も検討してまいります。さらに、子供を含めた幅広い世代が手話に親しめる動画を制作、活用するなど、ろう者の文化を広く発信してまいります。

 こうした取組を障害当事者と共に進めることで、誰もが尊重し合う共生社会の実現に貢献してまいります。

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交通安全施策

質問1
 次に、ペダル付原動機付自転車の取締りについて質問します。

 インターネット通販などでは、道路交通法上の電動アシスト自転車の基準に適合せず、原動機付自転車に該当する車両を電動アシスト自転車や、いわゆるモペット等と称し販売されているケースがあります。

 これはフル電動であったり、アシスト比率が道路交通法の基準を超えたりするものであり、ペダルを使い自転車として走る場合でも原付免許が必要で、ナンバープレートを取りつけ、ヘルメットを着用し、かつ車道を走行する必要があります。当然、自賠責保険への加入も必須となります。

 昨今は、ナンバープレート不装着の上、歩道をも通行し、歩行者が非常に危険な状態にさらされています。都内では、本年一月から十月末までにおけるペダル付原動機付自転車の交通違反取締件数は三十七件、交通人身事故件数は十五件です。歩行者の安全を最優先とし、利用者への法令遵守や販売事業者等への働きかけなどとともに、取締りを強化すべきと考えます。

 ペダル付原動機付自転車に対する交通安全施策について、警視総監の見解を求めます。

答弁1
警視総監
 ペダル付原動機付自転車に対する交通安全対策についてでありますが、当該車両が自転車ではなく、運転免許を必要とし、ヘルメットの着用が義務づけられるなど、いわゆるバイクの交通ルールが適用されるべきものであることから、警視庁ではホームページや各種キャンペーン等を通じた情報発信のほか、販売業者への働きかけ等に取り組んでおります。

 また、無免許運転や歩道通行などの悪質、危険な違反行為に対する指導取締りを徹底することとしております。

 引き続き、利用者や販売業者に対する交通ルールの周知をはじめ、歩行者の安全確保に向けた取組を一層推進してまいります。

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小笠原振興

質問1
 最後に、小笠原振興について伺います。

 都議会公明党は先月、小笠原視察団を編成し、小笠原諸島振興開発特別措置法に基づく東京都の取組と島民生活の環境向上に向けた今後の課題を調査しました。

 各種団体の方々と意見交換を行う中で、どの分野の方からも異口同音に出てくる課題が、住宅問題と内地との交通アクセスです。小笠原村の住民のうち、父島の三分の一、母島の二分の一が返還都営の小笠原住宅に住んでいます。この返還小笠原住宅は所得制限がありません。

 返還小笠原住宅は、令和八年度に父島の一部の住宅で建て替えが完了します。しかし、建て替え後の住宅は、地域優良賃貸住宅として月額三十八万七千円の所得制限が設けられ、村は、それを超過する人などのうち、小笠原村に定住しようとする人のために、限られた島の用地の中で造成した土地を販売する予定としています。

 しかし、建設のための資材に運搬費がかかるため、内地の三倍の値段に跳ね上がり、経済的な理由で住宅を建てられないと聞いています。

 都は、所得制限を超過する人を、建て替えが行われていない返還小笠原住宅に入居してもらうことを検討していますが、それを実施すると、島の中での住み替えが進まず、新たに小笠原村に移住しようと考えている若い人を受け入れることができません。

 都は、小笠原で公的住宅の供給に努めているところですが、小笠原村全体の今後の自立的発展を見据えて、総合的に対策を講じていく必要があると考えます。見解を求めます。

答弁1
住宅政策本部長
 小笠原における住宅政策についてでございますが、国境離島で豊かな自然環境などを有する小笠原村の自立的発展のため、定住促進を図ることは重要でございます。

 都は、旧島民の帰島促進などを目的として建設した小笠原住宅につきまして国と協議を行い、定住促進を目的に加え、村と合意の上で建て替えを進めることとしております。

 また、小笠原では民間によるファミリー向け賃貸住宅の建設が進まないことから、都、村及び東京都住宅供給公社が連携の上、先導的事業として、父島において賃貸住宅を建設し、整備や管理面などの検証を行ってまいります。

 今後の小笠原村全体の住宅政策につきましては、こうした公社住宅の取組の検証も踏まえながら、村と緊密に連携し、課題解決に向けて取り組んでまいります。

質問2
 また、国境離島である小笠原諸島と内地とを結ぶ交通アクセスは、小笠原村の最重要課題です。とりわけ、島民の長年の悲願である航空路開設に向けては、小笠原航空路協議会において、関係各機関と協議を図りながら検討を進めるとともに、都による様々な調査も進められてきました。

 引き続き、航空機の開発状況を注視し、自然環境と調和の取れた小笠原空港の早期開港を目指すべきです。知事の見解を求め、質問を終わります。

答弁2
知事
 小笠原航空路についてのお尋ねでございます。

 小笠原航空路の開設は、村民の皆様の切なる願いであると承知をいたしておりまして、島民生活の安定と国境離島である小笠原諸島の自立的発展、さらに住民の安心・安全を守るという観点からも極めて重要でございます。

 都は、より実現性の高い洲崎地区に絞りまして、集中的に調査を実施しております。飛行場の配置や構造などの検討を進めるため、運用可能な開発中の二種類の航空機に関する詳細な情報を収集するとともに、風速等の気象観測データなどを取りまとめております。

 世界自然遺産である小笠原では貴重な自然環境への配慮が必要でございまして、ユネスコ等の発行したガイダンスが求める外来種対策や環境影響評価に向けました準備を行うとともに、世界自然遺産の周辺地域も含め、環境に関する調査を行っております。

 今後とも、国や小笠原村とも緊密に連携をしまして、貴重な自然環境と調和した航空路の早期開設に向けて検討を深めてまいります。

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