授業料支援の所得制限撤廃を
区市町村の給食費の負担軽減を

行財政政策

質問1
 質問に先立ちまして、去る十月二日、都議会議員である高島なおき議員がご逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。

 令和五年度第四回定例会に当たりまして、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び警視総監、教育長、関係局長に質問します。

 間もなく令和五年も終わりを迎えます。三年以上に及んだコロナとの闘いは共存のステージに移行していますが、この間、少子化は一層加速し、経済再生への取組も道半ばです。

 日本のGDPは、人口が日本の約三分の二であるドイツに抜かれ、世界四位に低下する見込みが示されましたが、物価高騰に賃金上昇が追いついていないことに示される経済の根本的な弱さや、地球沸騰化の時代に突入したといわれる気候危機、そして、もうすぐ二年となるロシア、ウクライナ情勢の長期化、イスラエルとハマスの戦闘勃発など、国内外において危機的な状況が常態化しています。

 このような危機的な状況の中、国では、少子化対策として児童手当を増額する一方で、高校生の扶養控除を縮小する案や、経済対策として定額減税を示しながらも、防衛増税が予定されているなど、一貫性がありません。今求められているのは、減税分を増税で差し引きするような机上の空論ではなく、生活変化が実感できる、大胆で実効性の高い政策が求められています。

 日本全体の危機的状況だからこそ、首都東京は、日本全体をリードする東京大改革を加速させ、新しい社会を切り開いていく一人一人の人の挑戦を後押ししていかなければなりません。このような観点から質問に入ります。

 物価高騰の都民生活に与える悪影響は、長期間かつ広範囲に及んでいます。私たちは、物価高に苦しむ各種施設や中小企業、学校給食への影響などを抑える支援を通じて、都民生活を守り抜く補正予算の編成を求めてきました。

 これまで東京大改革では、既存事業の見直し等を通じて、七年間で約六千九百億円もの新たな財源を確保しており、補正予算の編成に当たっても、賢い支出の徹底が必要です。

 長期化する物価高騰から都民生活を守り抜くため、迅速に対応を進めるべきと考えますが、今般編成された補正予算の考え方について知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 補正予算についてでございます。

 海外紛争や円安に起因する物価の高騰は、依然として都民生活や事業活動に影響を及ぼしています。こうした社会経済情勢の中、都民、事業者を守り、その力を引き出すため、補正予算を編成いたしました。

 具体的には、都民生活を下支えし、消費を喚起する新たなキャンペーンを実施いたします。また、LPガスを利用する家庭への負担軽減のほか、物価高騰に直面する医療機関や運輸事業者等への支援など、これまで講じてまいりました対策を年度末まで実施をいたします。

 こうした取組の実施に当たりましては、今回措置された臨時交付金に加えまして、六月の補正予算で計上した事業の精査により生み出した財源も活用することで、総額二百二十一億円の対策を講じております。

 補正予算に盛り込んだ施策を迅速に実行することで、都民や事業者をしっかりと支え、東京の経済の活性化につなげてまいります。

質問2
 今回の補正予算で、経済活性化支援として、暮らし向き向上緊急サポート事業が盛り込まれたことを高く評価いたします。

 長引く物価高騰で家計の消費が冷え込む中、都民に直接支援が届き、実感できる政策が必要です。さらには、物価高騰が常態化する中、今後も同様の事業が必要となる可能性は高く、可処分所得が減少している若者世代などに対しては、還元率を向上させるといった工夫も必要です。

 また、民間のQR決済システムについては、手数料が高額という指摘もあり、都内自治体が自前で効果的な還元ができる東京ペイともいうべきデジタルの共通基盤の構築も検討すべきと求めておきます。

 都民の生活をしっかりと支えるとともに、デジタルの力も活用しながら、事業者の経営の活性化も図るべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁2
知事
 都民の暮らし向きの向上を図る支援についてでございます。

 日々の暮らしで買い求める品物の価格は、原材料価格の高騰や円安などによりまして上昇が続き、都民の家計を確実に圧迫しております。安心して日用品を購入し、サービスを受ける新たな支援を行い、商業活動の活性化にも結びつける取組は待ったなしでございます。

 日常の買物などでQRコードによる決済を行った場合、支払いの一〇%、一人当たり三千円相当までのポイントで還元する取組を、国の交付金を活用して開始をいたします。

 都民の消費の力を底上げし、身近にある様々な店舗の利用を増やし、暮らし向きの向上に結びつけるとともに、まち中でのデジタル化を進める工夫の一つといたします。

 これにより、都民の暮らしを支え、経済の好循環にもつなげてまいります。

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子ども・教育政策

質問1
 それでは、まず、私たちの最重点政策領域として取り組んできたチルドレンファーストの東京に向けた子供、教育政策について伺います。

 首都東京の関東大震災からの復興を主導した後藤新平は、後世に残すべきものとして、お金や事業ではなく、人の重要性を説いたといわれています。東京を担う人の育成の根幹は教育にあり、教育予算の抜本的な拡充が必要です。

 その中で重要な役割を担うのは教員ですが、先日公表された令和六年度の教員採用試験の倍率は全体で一・六倍、中でも小学校は一・一倍と、いずれも最低を更新しました。教育現場の人手不足、業務過剰の状況を打破するため、都はあらゆる措置を講じるべきです。

 また、私たちはかねてより、教員の残業の適切な管理を強く訴えてきました。例えば足立区では、教員の働き方改革の取組として、毎月最終水曜日を職員会議や部活動を原則行わない、あだちからの日の導入を進めていますが、このように、地域の実情に応じた様々な取組を都としても後押しすべきと考えます。

 教員の負担軽減のため、外部人材の活用は有効であり、とりわけ担任を補佐する外部人材であるエデュケーションアシスタントの抜本的な拡充を進めるべきです。さらに、一部の学校や教育委員会による働き方改革に関する創意工夫の取組をほかの学校にも展開するなど、学校における働き方改革を強力に推進すべきと考えますが、併せて見解を伺います。

答弁1
教育長
 学校における働き方改革の推進についてでございますが、都教育委員会は、小学校低学年で副担任相当の業務を担うエデュケーションアシスタントを配置する事業を、今年度は五地区八十四校に拡大して実施し、教員の負担軽減につながるなど、学校から評価を得ております。

 また、各学校では、ICTを活用した会議の縮減や授業準備の効率化、学校行事の精選、子供の一斉下校日に全教員が個人の仕事に集中して取り組める時間を設定するなど、様々な取組が進められています。

 今後、外部人材の活用を一層進めるとともに、こうした長時間勤務の改善につながる好事例をモデル実施するなど、普及拡大を図り、働き方改革をさらに推進してまいります。

質問2
 学校を魅力ある職場にしていくことは、教員確保のため重要です。特に、都は、中学一年生、二年生を含めたスピーキングテストを実施することとしており、教員の英語指導力や多文化共生に向けた取組なども含め、教員のスキルアップ支援強化をすべきと考えます。

 都は、教員の海外派遣研修を実施していますが、こうした研修は、教員自身が研さんを積むとともに、児童生徒にその成果を還元できるものです。全ての職員が、必ず一回は海外で研修を経験し、その経験を生徒に伝えていくことができるよう、学校全体で取組を進めるべきです。

 都は、こうした教員海外派遣研修事業を実施、充実させていくべきと考えますが、見解を伺います。

答弁2
教育長
 教員の海外派遣研修についてでございますが、都教育委員会は、英語の指導力の向上と異文化理解の促進による授業改善を図ることを目的とし、平成二十六年度から教員の海外派遣研修を実施しております。

 今年度は三年ぶりに海外への渡航を再開し、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドに百二名を派遣しました。現地では、大学で英語教授法や国際交流及び多文化共生について学ぶとともに、学校訪問で授業参加や現地教員との意見交換などを行いました。

 今後、派遣コースや研修内容の充実を図り、多くの教員の指導力等をさらに高め、子供たちがグローバルに活躍するために必要な資質、能力の育成を強力に進めてまいります。

質問3
 不登校の小中学生の数は増え続け、十年連続で過去最多となりました。こうした状況を踏まえ、都としてサポート体制の強化は急務となっています。

 私たちは、フリースクールへの支援など、学校外での体制強化に加え、一人一人の子供に寄り添う人材を配置し、学校内の体制を強化すべきことも訴えてきました。都教育委員会も、不登校の生徒の多い中学校に追加で教員配置を行うなど、個別支援の充実を図ってきましたが、さらなる対応強化が求められています。

 不登校の子供の支援に関し、加配教員の拡大など、学校内の体制整備を進めるべきですが、見解を伺います。

答弁3
教育長
 不登校の子供への学校での支援についてでございますが、学習の遅れや友人関係の不安など、子供一人一人の状況に応じたきめ細かな対応を実現するため、都教育委員会は、不登校対応の核となる教員を、今年度、都内公立中学校百八校に配置し、校内体制の充実を図ってまいりました。

 学校からは、加配教員が校内の別室で個別に学習指導や相談対応を行ったり、様々な教員が分担して指導を行う体制をコーディネートしたりすることで、生徒が教員や友達と積極的に関われるようになり、教室で授業を受ける時間が増えたなどの報告を受けています。

 こうした成果を踏まえ、今後、加配教員を中心とした校内体制を一層強化できるよう検討を進めてまいります。

質問4
 令和四年度のいじめの認知件数は六万六千件を超え、前年を上回っており、いじめ対策も教育現場の重要な課題です。

 私たちは、学校側ではなく、子供、保護者の立場に立って解決に当たる必要性を訴え、都としても、弁護士などの専門家の活用に関する補助の構築などを進めてきました。都内の自治体でも、子供の最善の利益のために職務を行うスクールロイヤーの配備などを進める自治体が増加をしており、弁護士やソーシャルワーカー等による専門家チームの形成など、地域の実態に即した取組を後押しすべきと考えます。

 自治体において、弁護士やスクールソーシャルワーカーなど専門家の活用が一層促進されるよう取り組むべきと考えますが、見解を伺います。

答弁4
教育長
 いじめ対策における弁護士等の活用促進についてでございますが、学校だけでは解決困難ないじめ等への対応のため、法律や福祉等の専門家の助言を得ることが有効であることから、これまで都教育委員会は、こうした人材を活用している自治体の先進的な取組事例を収集してまいりました。

 例えば、保護者間の主張が異なり苦慮する学校が、弁護士やスクールソーシャルワーカーから対応方針について提案を受けたことで、双方の保護者と円滑なコミュニケーションが図られるようになった事例などがございます。

 今後、スクールソーシャルワーカーの活用に加え、新たに法律面からの支援の在り方についても区市町村の意向を調査するなど、いじめ問題解決に向けた専門家の活用促進を図ってまいります。

質問5
 文部科学省が昨年度行った調査では、発達障害と推定される子供の数は八・八%と発表されました。三十五人学級のクラスに換算すれば、実に一クラスで三人もの子供が発達障害を抱えているということになります。

 課題が明らかになる一方で、発達障害は外見からは分かりにくく、個別の配慮や支援がされないケースも多いと聞いています。子供の自己肯定感低下や不登校につながるケースも多く、対策が急務です。

 療育や学校現場において支援につなげるためには、都では、発達、知能検査が必要になりますが、区市町村によっては三か月以上診断待ちになるなど、検査待ちで支援が遅れる現状があると聞いています。専門家を養成し、検査体制を強化することに加え、現在、高額負担となっている民間検査機関などへの助成なども含めて対応し、速やかに子供たちが支援を受けることができる体制づくりを行うべきです。

 発達障害の検査体制について強化支援すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁5
知事
 発達障害の検査体制についてのお尋ねでございます。

 発達障害が疑われる子供の健やかな成長のためには、早期に発達障害の有無や特性を踏まえました必要な支援につなげることが重要です。

 都は、発達障害児に対する支援を総合的に行う拠点といたしまして、東京都発達障害者支援センターを設置いたしまして、発達障害の子供を持つ家族からの育児や進路など、様々な相談に対しまして助言を行うとともに、検査を実施する医療機関などの情報提供を行っております。

 今後、発達障害の早期発見、早期支援につなげる取組がさらに進みますよう、検査の実施状況等の実態を把握しながら、地域における検査体制の充実について検討してまいります。

質問6
 発達障害の子供たちの支援においては、なるべく早い段階で適切な支援を得るための早期発見が重要です。発達障害の特性は、二、三歳頃から目立ち始めることが多く、子供の最も身近な通いの場である保育園や幼稚園等で適切につなげていく必要があります。

 認証保育所は、少人数できめ細かな保育を実施しており、発達障害の子供の受入れやその保護者への対応などに適性があります。しかし、認証保育所には、加配支援等の仕組みがないため、認証保育所の特性を生かした発達障害の子供への支援が進むよう、都としても体制整備を行うべきと考えます。

 認証保育所で発達障害を含む障害児の受入れが進むよう支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁6
福祉局長
 認証保育所における障害児の受入れについてでございます。

 認証保育所は、保護者と事業者との直接契約により、事業者の創意工夫を生かし、大都市特有の多様な保育ニーズに応えてまいりました。

 都は、障害児に対する保育サービスが適切に提供されるよう、保育力強化事業に障害児保育加算を設け、障害児を受け入れる認証保育所の取組を支援しております。

 現在、発達障害児など、特別な配慮や支援を必要とする児童に対する保育ニーズが増えており、今後、小規模できめ細かい保育が可能な認証保育所におきまして、こうした児童の受入れが一層進むよう支援の充実を検討してまいります。

質問7
 かねてより私たちは、日本語を母語としない子供の教育環境の拡充について訴えてきました。高校入試に関しては、私たちの提案を受け、現行の都立高校入試の応募資格や検査方法等について、必要な検討が行われることになりましたが、都内では、小中学校で日本語教育の対象となる生徒の割合がかなり低いことが、実態に即していないとも指摘されています。

 この点の解消に向けては、現行の学校長による判定ではなく、対話型アセスメントを行うなど、より丁寧な取組が必要です。あわせて、今後、日本語教育が必要な生徒数の増加が見込まれるため、指導体制の拡充も不可欠です。

 都内の全自治体で、日本語指導が必要な児童生徒への適切な体制を構築できるよう、都として取組を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

答弁7
教育長
 日本語指導が必要な児童生徒への指導についてでございますが、児童生徒が必要な日本語能力や学力等を身につけ、充実した学校生活を送るためには、一人一人に応じた指導を適切に行う体制の構築が重要でございます。

 そのため、都教育委員会は、今年七月に外部有識者を含む検討委員会を設置し、日本語能力の把握や校内体制の構築、指導、支援の内容、方法のほか、全国初となる小中高の発達段階を見据えた指導モデルを含む日本語指導のガイドライン作成に向け、検討を行っております。

 このガイドラインを今年度内にまとめ、都内公立学校に周知するとともに、区市町村教育委員会と連携し、日本語指導の充実を図ってまいります。

質問8
 私たちはかねてより、教育予算の抜本的な拡充とともに、家計負担の軽減を求めてきました。特に、所得制限のない支援策を強く訴えており、今回、知事が私立高校授業料の実質無償化を支援する方針を示したことを高く評価するものです。

 他方で、私立学校では、保護者は授業料のほかにも、施設維持費や教材費、寄附金など、様々な名目で費用負担があり、授業料無償化の拡大が、授業料の便乗値上げや費用負担の不合理な拡大につながらないよう、チェックを強化していくべきと考えます。

 都は、高校や都立大学における授業料支援の所得制限を撤廃するとともに、国にも強く働きかけていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁8
知事
 授業料の負担軽減についてであります。

 子供は未来を担う社会の宝であり、全ての子供が今と将来の希望を持って健やかに成長できますよう、その育ちを支えることは社会の責務であります。

 中でも教育は子供の健全な育ちを支える重要な基盤であり、教育費の家計負担の軽減は、本来、国が責任を持って行うべきものであります。そのため、国に対し、子育て世帯への支援の充実強化と早期実現を図るよう緊急要望を行いました。

 同時に、子育て世帯を取り巻く厳しい状況に対しまして、都が独自でなし得る対策といたしまして、国に先行して、都立、私立高校の授業料実質無償化に踏み出します。

 今後、ワイズスペンディングの視点を持ちまして、来年度予算編成の中で具体化を図るとともに、区市町村や関係機関と丁寧に調整しながら進めてまいります。

 都立大学の授業料につきましては、予算編成の中で検討してまいります。

 スピード感を持って子育て世帯をサポートし、将来にわたって安心して子育てできる社会をつくり上げてまいります。

質問9
 あわせて、家計への大きな負担となっているのが、大学など高等教育の学費です。資源が乏しい日本においては、最大の資源である人に対して積極的に投資をしていかなければなりません。特に学費がかさみやすい理系や海外大学を含めた支援を都として検討すべきことを求めておきます。

 高校生の保護者が負担する教育費は、授業料だけではなく、学用品の購入や修学旅行費、模擬試験の受験料など様々あります。これまで都教育委員会は、独自の支援として給付型奨学金を設けており、私たちの要望を受け、校外学習の経費を含めるなど、その対象を拡大してきました。

 しかし、物価高騰の長期化、常態化が家計に与える影響は深刻化しており、英検をはじめ各種検定試験の値上げも見られ、制度創設時と比較をすると、家庭への教育費の負担は大きくなっています。

 こうした状況を踏まえ、給付型奨学金を拡充し、教育費のさらなる負担軽減を図るべきと考えますが、見解を伺います。

答弁9
教育長
 給付型奨学金についてでございますが、家庭の経済状況にかかわらず、都立高校等に通う生徒が多様な教育活動に参加できるよう、保護者負担の軽減を図っていくことは重要でございます。

 都教育委員会はこれまで、模擬試験や各種検定試験の受講料、一人一台端末の購入費、校外学習費等に加え、今年度からは新たに補助教材費を対象経費に追加するなど、低所得者世帯に対するサポートを強化しています。

 今後、継続的な物価上昇に伴う教育費負担への影響等を注視しながら、給付型奨学金の在り方について検討を行ってまいります。

質問10
 チルドレンファーストの実現に向けては、時間に追われる子育て世代への負担の軽減が欠かせません。そのためにも、デジタルを活用し、必要なサービスを確実に届けるこどもDXをスピード感を持って実行すべきです。

 都は、デジタル変革の第一歩を子育て分野から踏み出すことを表明していますが、子育て当事者のニーズや声をしっかり受け止め、取組を進めることが重要です。例えば、こどもDXの代表である〇一八サポートについても、今後、入力の二度手間を防ぐいわゆるワンスオンリーを実現するなど、より便利に使いやすくすべきです。

 こどもDXに精力的に取り組み、都民が利便性を実感できるよう、成果を早期に出していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁10
知事
 こどもDXについてのお尋ねでございます。

 デジタルの力で多様な担い手による子育てサービスをつなげ、切れ目なく届けるために、東京こどもDX二〇二五つながる子育て推進会議を立ち上げます。国、区市町村、子育てのDXを推進する団体と、都民の実感を伴うサービスの変革に挑みます。

 子育て分野を変革の突破口とし、二〇二五年度までに利用者の声を反映させまして、サービスを実装いたします。

 例えば、保育園探しから入園までの手続がオンラインで完結する保活ワンストップに向けまして、自治体が利用できる共通システムを都が中心となりまして開発し、来年度の先行実施を踏まえ、都内に展開をいたします。

 子供の成長を支える都の給付金等につきましても、この会議の枠組み等を生かしまして、国、自治体の連携の下、ワンスオンリーの徹底や簡単便利な手続を実現してまいります。

 子供と子育て世帯を社会全体で応援するこどもDXを東京から推し進め、一人一人が輝く未来を切り開いてまいります。

質問11
 小池知事の就任以降、保育の待機児童は実に九七%も減少するなど、大きな前進がありました。他方で、喫緊の課題となっているのは、小一の壁、いわゆる待機学童の問題です。待機学童数は、平成二十七年度から現在まで、三千人台から大きな減少は見られず、抜本的な対策の強化が求められています。

 小池都政のもとで開始されたベビーシッター支援では、導入自治体、利用者が年々増加しており、私たちはシッター支援を学童でも積極的に活用することを訴えてきました。しかし現在、学童に関してシッター支援を実施している自治体は、都内で三自治体にとどまっています。待機学童の解消に向けて、都として、基礎自治体任せではなく、シッターの活用を含め、今まで以上に主体的に取り組むべきです。

 保護者や子供たちの待ったなしの切実なニーズに応えるため、都内全区市町村での本事業の活用を促すとともに、未就学児のみならず、待機学童対策としてもより一層の活用を促し、併せてベビーシッターの人材の育成も強化すべきと考えますが、見解を伺います。

答弁11
福祉局長
 ベビーシッター利用支援事業についてでございます。

 都は、保育所の待機児童対策として、平成三十年度に本事業を開始し、その後、一時預かりの利用も可能としたほか、昨年度からは、学童クラブの待機児童対策として、対象児童を小学校三年生までに拡大をいたしました。また、必要となるベビーシッターを確保するため、養成研修の定員を順次拡大してまいりました。

 今後、待機児童対策協議会や区市町村の児童福祉主管課長会などを通じて、事業の活用を積極的に働きかけるとともに、ベビーシッター養成研修を受講しやすい休日や夜間にも開催するなど、担い手となる人材の確保に取り組んでまいります。

質問12
 こども未来アクションに掲げるファミリーアテンダント事業は、区市町村対象の補助事業を創設し、地域において子育て家庭に対して訪問型の支援を行うとしており、重要な取組です。

 一方、各地域では対象となる子育て世帯数に幅があり、さらには、世帯数の多い自治体にとっては、各家庭への訪問型の支援を行うハードルが、財政面からも、担い手の面からも高い状況となっています。各地域のニーズや実態を把握しながら取組を進めていくべきです。

 今後、より多くの自治体がファミリーアテンダント事業に取り組めるよう、各地域の実情を踏まえ、事業の仕組みづくりを行うべきと考えますが、見解を伺います。

答弁12
子供政策連携室長
 ファミリーアテンダント事業についての質問でございます。

 子育て家庭の感じる孤独や不安が増す中、各地域の実情を踏まえながら、子育て家庭とつながり、日常的な不安や悩みに寄り添い、支援していくことは重要でございます。

 このため、今年度は、先進事例の創出等を目的として補助制度を創設し、本事業に意欲を示す区市町村を募集の上、四区市を先行実施の自治体として決定いたしました。

 現在は、先行実施に当たり明らかとなった具体的な課題を分析するとともに、全区市町村を対象としたアンケート調査を実施いたしまして、本事業に参画する上での課題を把握することにより、補助制度の改善に向けた検討に取り組んでおります。

 これらを通じまして、各地域の特徴を生かした多様な事業展開を後押ししてまいります。

質問13
 子供たちがより豊かな体験ができるよう、親子でお出かけしやすい環境を整えることは重要です。多摩都市モノレールにおいては、私たちの求めに応じて、ゴールデンウイークや夏休みなどに、たまモノこどもワンデーパスとして子供の運賃割引が実施されており、多くの喜びのお声をいただいています。この流れを東京全体でも広げていくべきです。

 都営地下鉄ワンデーパス等に関して、ゴールデンウイークや夏休みなどの長期休暇などの場面を活用し、子供向け割引を実施すべきと考えますが、見解を伺います。

答弁13
交通局長
 子供向けワンデーパスの割引についてでございますが、都営地下鉄では、令和元年度から車両に子育て応援スペースを導入し、昨年度からは全路線で展開するなど、お子様連れのお客様に安心して気兼ねなくご利用いただける環境づくりを推進しております。

 本年夏には、都営交通のポイントサービス、ToKoPoを活用し、小学生を対象に、地下鉄の初乗り運賃が実質半額以下となるキャンペーンを実施し、多くのご利用をいただきました。

 今後、他の鉄道事業者の事例も参考に、長期休暇などにお子様連れで都営地下鉄をより利用いただきやすい方策について検討してまいります。

質問14
 国は、先月末から全国の百四十五の薬局で緊急避妊薬の試験販売を開始しました。歓迎すべき動きですが、この試験販売では、自己負担額があるほか、十六歳以下は販売制限があるなど、特に悩みを抱えやすい未成年者への支援が十分ではありません。

 都は、私たちの提案を受け、妊娠の心配などの悩みを抱えた若者の求めに応じて、医療機関等に同行する仕組みをとうきょう若者ヘルスサポート、いわゆるわかさぽで進めており、このわかさぽを起点とした支援も進めていくべきと考えます。

 わかさぽでは、緊急避妊を必要とする未成年者に適切な支援ができるように検討し、早期に取組を開始すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁14
知事
 緊急避妊に関する未成年者等への支援についてでございます。

 予期せぬ妊娠への不安や悩みを抱えている若者に対しましては、一人で抱え込むことがないよう、丁寧に寄り添い、支援していくことが重要でございます。

 国は、薬局での緊急避妊薬の試験販売を開始いたしましたが、費用は全額自己負担でございまして、十六歳から十八歳未満の方は保護者の同伴が必要であるほか、緊急避妊が必要な十六歳未満の方には販売しないと、このようにされています。

 都は、未来ある若者を大切にするという考え方に立ちまして、今後、国の試験販売で対象とならない十六歳未満の方も含む若者に対するセーフティーネットといたしまして、わかさぽにおきまして、医療機関への同行による緊急避妊の支援ができますよう、取組を進めてまいります。

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若年層への支援

質問1
 若い女性客に対して、支払い能力がないことを知りながら高額のサービスを提供する悪質なホストクラブが大きな社会問題になっています。

 ホストクラブの一部に見られる、恋愛感情を利用したマインドコントロールともいえる手法を交えて、多額の借金を負わせた上で強制的に性的サービス業に従事させるなど、若い女性を搾取の対象と捉える悪質な手法は許すことができません。

 これらの課題に対して、私たちはプロジェクトチームを立ち上げ、ヒアリングや調査を重ね、先日、小池知事に要望書を提出いたしました。

 悪質なホストクラブの背後には、犯罪集団が存在する可能性も指摘されており、首都東京の治安を守る警視庁としても対策の強化が必要です。売春防止法違反、風俗営業法に基づく店への立入りなど、既存の法制度に基づき徹底的な対応が求められています。

 悪質なホストクラブによる売掛金の回収に伴い、若い女性が搾取の対象となっていることについての現状認識を伺うとともに、これらの悪質ホストクラブに対する取締りを強化すべきと考えますが、本年における取締り事例と今後の取締り方針について警視総監に伺います。

答弁1
警視総監
 悪質なホストクラブによる女性に対する搾取についての現状認識等についてでありますが、いわゆるホストクラブの利用客が高額な利用料金の売り掛けによる借金を背負わされ、その返済のため売春をさせられるなどの事案が発生しており、極めて深刻な問題であると受け止めております。

 また、本年における売掛金回収に伴う検挙事例といたしましては、女性をいわゆる性風俗店で働かせていたホストを売春防止法及び職業安定法を適用して検挙したほか、女性に売春の客待ちをさせていたホストを売春防止法違反の教唆として検挙しております。

 警視庁では、健全で魅力ある繁華街を実現させるため、社会経験や知識の乏しい若者からの搾取という観点も踏まえ、卑劣で悪質な営業手法を用いるホストクラブに対しては、あらゆる法令を駆使した取締りを徹底してまいります。

質問2
 悪質ホストの被害に遭っている女性は、マインドコントロールといえる状態の事例も多く、ご両親など、ご家族も大変苦悩されています。支援機関や弁護士等と連携した相談支援体制の強化が急務です。

 トー横に集まる子供たちのための相談窓口の設置について、都としての取組が必要と考えますが、見解を伺います。

答弁2
生活文化スポーツ局生活安全担当局長
 トー横におきます臨時相談窓口についてのお尋ねでございます。

 トー横の青少年の犯罪被害等の防止は喫緊の課題であり、取組を迅速に推進すべきと認識しております。

 特に、青少年が気軽に来ることができる相談窓口の整備は重要であり、準備を進めておりますが、その間も青少年を支援するため、年明けにトー横の青少年が集結するシネシティ広場近辺に臨時の相談窓口を設けることといたしました。

 この窓口では、青少年に寄り添った相談対応、身を守るために必要な情報の提供等を行い、警視庁等の関係機関、民間団体等と連携しつつ、一人でも多くの青少年を支援してまいります。

質問3
 悪質ホストがターゲットにしているのは、若い女性です。被害を防止するため、若い女性に対し、ホストクラブの中には悪質な手法が用いられるケースがあるという危険性を周知徹底すべきです。

 都内の高校生や大学生に対し、悪質ホストの手法、危険性を周知徹底すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁3
知事
 悪質ホストクラブ等の危険性の周知に関してでございます。

 悪質なホストクラブ等の被害に遭う可能性の高い若年女性に対しまして、危険性等を周知することは重要です。

 都では、トラブル事例の紹介や相談窓口を案内するリーフレットを作成いたしまして、ホームページやSNS等で発信をしているほか、今週から消費生活総合センターにおきまして特別相談も開始をいたしました。

 今後、さらなる注意喚起を図るため、警視庁や新宿区と協力いたしまして、繁華街でリーフレットを配布いたします。また、大学との定例懇談会等を活用いたしました大学生への周知や、成年年齢に達する高校生への学校を通じた啓発も行ってまいります。

 悪質なホストクラブでの被害やトラブルから若年女性を守るため、関係者等と緊密に連携をいたしまして、普及啓発を強力に推し進めてまいります。

質問4
 本年七月、面会要求罪が改正刑法施行により導入されました。これは、わいせつ目的などで十六歳未満の子供に対して面会を要求することを処罰規定としたもので、実際の性犯罪に至る前の準備段階であっても処罰規定となります。先日も、都内において、わいせつ目的の面会要求の事案に対し、加害者を書類送検した事例が発生をいたしました。

 昨今の歌舞伎町トー横かいわいの状況を鑑み、面会要求罪の適用を進めるべきと考えますが、警視総監の見解を伺います。

答弁4
警視総監
 少年少女を犯罪被害のリスクから守るための対策についてでありますが、少年少女がSNSを介し、性被害に遭う事件等が発生していることから、警視庁では、街頭補導活動を通じた注意、助言や、SNS上での援助交際に係る書き込みに対する警告文の送信などを行っております。

 そのほか、本年八月には、先般の刑法改正において新設された十六歳未満の者に対する面会要求等の罪を全国警察で初めて適用し、被疑者を検挙するなど、あらゆる法令を駆使した取締りを徹底しており、当庁では犯罪被害のリスクから少年少女を守るため、こうした対策を強力に推進してまいります。

質問5
 若者が市販薬等を過剰に摂取してしまう、いわゆるオーバードーズも大きな課題となっています。トー横に集まる少年少女だけではありませんが、市販薬などの過剰摂取により、時には意識を失ったり、呼吸困難や心肺停止、または死に至る場合もあります。

 都内の薬局やドラッグストア等に対して、販売個数の制限や、実物の薬は陳列棚に置くのではなく、購入時に渡すようにして対面販売を徹底し、販売時には危険性の注意喚起を行うなどのオーバードーズ防止対策の徹底を要請すべきと考えますが、見解を伺います。

答弁5
保健医療局長
 市販薬の乱用防止対策に関するご質問にお答えいたします。

 近年、総合感冒薬などの不適正な使用を目的とした複数購入等の実態が報告されておりますことから、都は保健所設置区市と連携し、薬局等への監視指導を実施しております。

 また、都独自の取組として、関係団体やネット取引の場を提供するモール運営企業に、適切な販売の徹底を改めて要請するとともに、新たに、フリマサイト運営企業へ医薬品が許可なく販売されないよう要請いたしました。

 さらに、医薬品の陳列方法の規制強化を国の検討会で強く求めるとともに、先月実施いたしました繁華街にある薬局等に対する緊急の監視指導につきましても、今後一層充実するなど、市販薬の乱用防止対策を強化してまいります。

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女性・シニア活躍

質問1
 次に、経済対策について伺います。

 森記念財団による世界の都市総合力ランキングでは、東京は今年も三位を維持しましたが、経済分野が過去最低の十位となりました。日本企業全体の国際競争力が低下する中、女性や若者、シニアがよりその力を発揮できる環境の整備、スタートアップなどチャレンジする人への応援が求められています。

 今年のノーベル経済学賞を受賞したクラウディア・ゴールディン氏は、男女間の賃金格差等の研究で評価をされました。そのゴールディン氏は、日本の状況について、日本の女性の労働参加率は上がったが、男性のようにフルタイムで昇進がある仕事についておらず、パートタイムが多いと指摘しています。

 日本の現状として、女性が結婚、出産後も働き続けるケースはかなり増えてきているものの、今後は管理職昇進など女性のキャリアアップに向けた支援が必要です。マミートラックという形で女性のキャリアアップを閉じるのではなく、時短勤務でも管理職になるのが当たり前となる環境整備を進めることは、女性に限らず、育業を取ることでキャリア上マイナスになるのではないかと悩む男性の後押しにもなるはずです。

 女性管理職を増やす取組や短時間勤務の労働者のキャリアアップに向けた支援など、働く女性が活躍できる職場環境づくりの支援を強力に推進していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 働く女性の活躍の推進についてであります。

 我が国でいまだ生かし切れていない女性の力を経済の分野で十分に発揮する取組は待ったなしです。会社経営の一部を担い、管理職として腕を振るう女性を増やす取組を進めることは不可欠であります。

 働く女性は、出産等によりまして、仕事に打ち込む時間や、その実力を高める機会を確保できない場合も多うございます。都は、男性の育業により女性が職場で活躍する環境づくりを支援し、そのスキルアップも後押しをしてまいりました。一方、東京くらし方会議では、限られた時間で重要な仕事をこなしキャリアを高める女性のルートづくりの大切さが議論されております。

 今後、女性が出産や育児による時間の制約を乗り越え、職場でマネジメントの担い手となりますよう、企業に対し、意識や文化の変革を呼びかけてまいります。非正規の勤務で短い時間の中でも優れた成果を出す女性につきまして、管理職への登用を促していくため、会社に対するインセンティブの仕組みをつくり上げてまいります。

 これにより、女性が仕事で輝ける社会を実現してまいります。

質問2
 超高齢社会を迎える中、シニアの方々が意欲や能力に応じて社会の中で活躍できる仕組みや環境を整えていくことは重要です。定年を過ぎても働きたいと希望するシニアは多い一方で、実際に働く人は三割未満にとどまっており、シニアのニーズと企業の求人の間でミスマッチが生じています。

 その大きな理由になっているのが、シニアのニーズと企業側の求人間の勤務内容や時間、職種のミスマッチです。フルタイムでは難しいけれども、一日の中でたまたま空いた時間をうまく使い働いてみたいというニーズに応える求人開拓を都は積極的に行うべきです。こうした取組が進めば、高齢者の活躍が求められる地域の人手不足解消にもつながることが期待できます。

 第三回定例会では、私たちの求めに応じ、都は、今後シルバー人材センターをリニューアルする方向性を示しましたが、短い時間を効果的に使い仕事をしたいと考える高齢者が企業や地域で一層活躍できるよう後押しを進めるべきと考えますが、見解を伺います。

答弁2
産業労働局長
 高齢者の就業の効果的な後押しについてでございますが、高齢者の就業の促進に向け、その希望する時間に応じ、地域の仕事や会社の業務を担うことができるよう後押しすることは効果的でございます。

 都内各地のシルバー人材センターは、地域の公園を管理する仕事や会社の事務の手伝いを半日や一日の単位で行う求人などを集め、高齢者に提供しているところでございます。

 今後、同センターでは、地域や民間から、より限られた時間の中で従事できる仕事を数多く掘り起こし、高齢者に提供いたします。その際、DXを活用し、仕事の内容や時間を迅速に伝える工夫も行います。この取組に向け、都は、同センターを支援するしごと財団と協力し、的確なサポートを進めてまいります。

質問3
 また、シニアの社会活躍に向けては、仕事以外にも、例えばボランティアや生涯学習、趣味活動等の社会活動を後押しすることも重要です。

 元気な高齢者の方がこれまでの経験を生かして、様々な地域活動への参加や活動の担い手になっていただく環境を整えていくことが必要だと考えますが、見解を伺います。

答弁3
福祉局長
 高齢者の社会参加の促進についてのご質問でございます。

 都は、シニア、プレシニアと社会参加活動との広域的なマッチングを図るため、オンラインプラットフォームを構築することとし、令和七年度からの本格稼働に先駆けて、情報提供などの一部機能を持たせた地域参加のトビラを本年九月からホームページに公開しております。

 今後、本格稼働に向けて、都民のニーズに合った情報を一元化し、個々の希望に応じて、仕事や学び、趣味、地域活動、介護現場での有償ボランティア等の情報を速やかに提供できる新たな仕組みを検討するなど、シニア、プレシニアの社会参加をより一層促進してまいります。

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若者への住宅支援

質問1
 これまで、二十代から三十代の若者世代は、働き盛りであり、将来的に賃金が伸びていく見込みがあったことなどから、行政の支援対象として捉えられてきませんでした。しかし、長期にわたる日本経済の停滞や重い社会保険料負担などにより、今や多くの若者は経済的な不安定さをはじめとする厳しい現状に置かれています。彼らが夢や希望を持って活躍するためにも、行政がその課題解決に正面から向き合い、サポートしていくべき時期が来ています。

 特に、都内は居住費の負担が大きく、JKKが実施している三十五歳以下への家賃割引制度であるステップ三十五割を抜本的に拡充するなど、若者全般に対する住まいへの支援、家賃負担の軽減を進めるべきです。

 東京ささエール住宅の専用住宅の供給促進や若年層利用拡大に向けた条件の緩和、民間シェアハウスとの連携や都営、公社住宅の提供など、若年層の住まい確保への支援を抜本的に強化すべきと考えますが、見解を伺います。

答弁1
住宅政策本部長
 若者への住宅支援についてでございますが、若年層には、所得が低いなど、住宅の確保が困難な方がおり、そうした方を含む住宅確保要配慮者の居住の安定には、重層的な住宅セーフティーネット機能が重要でございます。

 都では、国の補助制度を活用する区市町村への財政支援に加えまして、都独自の支援などを通じ、東京ささエール住宅の専用住宅の供給促進を図っております。

 また、都営住宅におけるTOKYOチャレンジネット事業への住戸の提供や東京都住宅供給公社の一部住戸での若年層を対象にした一定期間の家賃割引、結婚予定者への都営住宅及び公社住宅の提供などを行っております。

 こうした取組を含めまして、社会経済状況の変化に応じ、若年層を含む要配慮者のさらなる居住の安定を図ってまいります。

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産業政策

質問1
 先日、Tokyo Innovation Base、いわゆるTIBがプレオープンし、数多くのスタートアップ支援関係者が集まり、キックオフイベントが盛大に開催されました。今後、国内外のエコシステムをつなぐ結節点として、TIBは民間のスタートアップ支援施設とも連携し、そのネットワークを拡大していきながら、クライメートテックや宇宙産業、ソーシャルビジネスなど、首都東京の課題解決と成長を後押ししていかなければなりません。

 人と人をつなぎ、イノベーションを生み出すため、私たちはこれまで、スタートアップをはじめ東京商工会議所やスタートアップと連携する地域の企業と意見交換を行ってきました。そこで示唆されたのは、中小企業や町工場がスタートアップと連携することの重要性です。例えば、スタートアップが考案した製品について、技術力のある中小企業がプロトタイプの作成に協力をしたり、改良をアドバイスすることにより、共同開発や量産化の実現に近づくことができます。

 都は、TIBにおいて、こうしたハードウエアなどに関する中小企業が持つ優れたノウハウを活用し、スタートアップとの協働を加速していくべきと考えますが、見解を伺います。

答弁1
スタートアップ・国際金融都市戦略室長
 Tokyo Innovation Base、TIBにおけるものづくり企業との連携についてのご質問にお答えいたします。

 Tokyo Innovation Baseでは、多様なプレーヤーが自らの技術やノウハウを持ち寄り、みんなでスタートアップを応援することを基本的な考えとしております。ものづくり分野でも、大企業によるオープンイノベーションに加え、優れた技術を持つ中小企業との連携により、製品の実用化に向けたきめ細かな支援を実施してまいります。

 TIBにファブスペースを新設し、プロトタイプの製作ができる機器を導入いたします。専門の技術者が、素材や設計の改良、製品の機能検証などをサポートする環境を整備し、量産化に向けた適切な協業先をアレンジすることで、スタートアップの成長を強力に後押ししてまいります。

質問2
 さきの定例会における私たちの一般質問において、空飛ぶ車の実装化に向けたロードマップの策定について強く訴えたところですが、今回の小池知事の所信表明において、戦略的なロードマップの策定が示されたことは大いに期待するものです。

 空飛ぶ車の飛行に向けては、垂直離着陸用の飛行場であるバーティポートの整備など様々な課題もあり、官民を挙げた取組が求められています。

 空飛ぶ車のロードマップの策定に当たっては、空飛ぶ車を取り巻く課題に対し、民間と連携しながら解決していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁2
知事
 空飛ぶ車についてのご質問でございます。

 空飛ぶ車は、新たな次世代モビリティーとして世界各地で熾烈な開発競争が繰り広げられております。交通渋滞の緩和や交通空白地域の解消など、様々な社会課題に解決をもたらすこの新技術を、一刻も早く実装していかなければなりません。

 一方で、空飛ぶ車の認知度、機体の開発や離着陸場の整備に関する規制など、乗り越えなければならない課題も存在しております。都はこれまでも、中央防波堤における巨大実装フィールドの活用、ビジネスモデルの検証など、都心部での社会実装に向けた取組を進めてまいりました。

 これをさらに加速させるためには、官民で目標を共有するロードマップを描くことが重要です。実装に向けた行程を示し、拠点飛行に必要な離着陸場の検討を加速するとともに、空飛ぶ車を実際に飛行させることで社会受容性を高めてまいります。

 今後、国や民間事業者との連携を一層強化しまして、東京から世界に向けて大きな変革を生み出してまいります。

質問3
 先日、小池知事は、ドバイで開催されたCOP28に出席され、ドイツ政府などが設立した財団であるH2グローバルと連携し、東京にグリーン水素の売買を仲介する水素取引所を立ち上げる取組を進めることを表明しました。

 製造段階からCO2を排出しないグリーン水素は、持続可能な社会を実現する切り札として、その普及拡大に向けた取組が世界的に進んでおり、都も意欲的に取り組むべきです。

 都が水素取引所の立ち上げに取り組む意義と今後の展望について、知事の見解を伺います。

答弁3
知事
 グリーン水素の普及拡大についてでございます。

 地球規模の気候変動への対策を進めるため、脱炭素に効果の高い水素の活用は待ったなしです。COP28で、世界の都市のリーダーの一人といたしまして、私は水素の利活用の活性化を推し進めるため、東京にその取引所をつくり上げる構想を明らかにいたしました。

 再生可能エネルギーで生み出したグリーン水素を需要家に着実に渡す仕組みの確立を目指してまいります。これにより、グリーン水素の安定した取引を増やし、将来の国や海外でのマーケットづくりに結びつけてまいります。構想の実現に向けまして、取引に参加する水素の生産者や利用者の意欲を高める働きかけを行ってまいります。

 海外で水素取引に優れた知見を持つ普及機関、H2グローバルと連携をいたしまして、ノウハウの共有を図ってまいります。いまだ価格の高いグリーン水素の取引の円滑な成立も後押しをしてまいります。さらに、海外都市との連携によりまして供給ルートを確保し、都も率先し、利用の加速を図ってまいります。

 水素社会の実現に向け、スピード感を持った取組を進め、脱炭素化で国や世界をリードしてまいります。

質問4
 新しい産業の支援はもちろんですが、私たちは、既存産業の次の時代に向けた挑戦についても力強く支援をしていきます。

 物価高が都民生活を直撃していますが、最も重要なのは、物価上昇を上回る賃上げです。都も、生産性の向上や従業員のエンゲージメント強化に取り組み、賃上げにつなげようとする企業への支援を実施していますが、さらなる後押しが必要です。

 賃上げの促進に向けて、都として強力な対応を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

答弁4
産業労働局長
 従業員の賃金引上げに向けた支援についてでございますが、中小企業が生産効率の向上を図るとともに、職場環境の改善により、社員の働く意欲を高めて、賃金引上げを実現する経営を進めることは重要でございます。

 これまで都は、中小企業が生産性向上を目的に、デジタル技術を活用した機器等を導入する際の支援について、その成果を従業員の収入増加に結びつける場合、手厚い助成を行っております。また、専門家の助言によりまして、勤務のルールなどを見直し、賃金の引上げも行う事業者に奨励金を支給する仕組みを設けております。

 今後、生産性を高める、より規模の大きい設備の導入支援や賃金制度の見直しに役立つ情報提供に力を入れてまいります。

質問5
 日本のコンテンツに関しては、ゲームやアニメや漫画の根強い人気に加え、XRやメタバース等のデジタル空間での様々な活動が広がっており、新たに市場を拡大するチャンスが訪れています。他方で、世界を見渡せば、日本国内の成長を上回るスピードで市場の拡大が続いており、日本、東京の相対的な競争力の低下も懸念されます。

 こうした中、コンテンツ関連の企業やクリエーターが集積する東京において、ビジネスを拡大するための場を提供するとともに、先端分野で活躍できるコンテンツ事業者のさらなる拡大に向け、デジタル技術を駆使してビジネスを展開する事業者をサポートする場や機能の充実など、支援内容の強化を図っていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁5
知事
 コンテンツ産業の振興についてでございます。

 国際的に競争力のあるコンテンツ産業の一層の発展に向けまして、最先端のブロックチェーンなどの技術を習得し、経営や資金調達の力を持ち、海外市場にも進出できる事業者を増やす支援の場をつくり上げることは重要です。

 都は、若手の才能あるクリエーターに拠点を提供し、事業を立ち上げ進めていくノウハウを取得するサポートを行っております。そうしたクリエーターが、この拠点の支援を通じまして、事業を大きく伸ばしたスタートアップと交流し、販路づくりや資金調達を進めるきっかけを提供しております。

 今後は、クリエーターの拠点とその機能を更新いたしまして、最新のデジタルの知識を学び、コンテンツを磨き上げ、新たな事業展開に向け、ピッチなどを通じてビジネスの有力なパートナーと取引を始め、投資家からも資金を確保できるよう支援を進めてまいります。

 これによりまして、東京のコンテンツ産業の発展を戦略的に後押しをしてまいります。

質問6
 コロナ後の都営交通における利用者減への対策も重要です。

 民間交通機関が実施しているウオーキングイベントでは、駅を起点とした様々なコースが設定され、施設利用料や商店街の食べ歩きの割引が組み合わされたものもあり、初めて行った場所でも充実した一日を過ごすことができます。このような取組は、都営交通の利用者の回復と地域振興の両立につながるものであり、スタートアップの力も生かしたデジタルチケットの活用も有効です。

 デジタルチケットを活用し、都営交通における利用者増と地域振興の両立を推し進めるべきと考えますが、見解を伺います。

答弁6
交通局長
 都営交通の需要創出と沿線活性化についてでございますが、交通局では、イベントや地域の魅力発信等を通じ、旅客誘致や沿線のにぎわい創出に取り組んでおります。

 今月中旬からは、東京さくらトラムにおいて、スタートアップとの協働により、都営交通初となるデジタル一日乗車券を販売することとしており、併せて沿線店舗のクーポン提供やSNSを活用した情報発信などにより、沿線の名所やグルメなどを楽しめるまち歩きを促進いたします。

 また、アンケート結果や利用実績のデータを分析、活用し、より利便性の高い企画乗車券の開発につなげてまいります。

 多様な主体と連携し、デジタル技術も活用しながら、さらなる旅客需要の創出や沿線地域活性化に取り組んでまいります。

質問7
 都内農業においては、私たちはかねてより、自然にも環境にも優しい有機農業の振興と学校給食のオーガニック化を求めてきました。

 フランスなど海外では学校給食のオーガニック化が進んでおり、日本国内でもオーガニック給食の実施例は増加しています。子供たちの食の質の向上に向け、私たちが求めてきた立川国際小学校における取組に加え、都立高校の学食での提供も検討を求めておきます。

 オーガニック農業に関しては、給食における導入など供給先の拡大と併せて、有機農業を積極的に行っていく農業者を育成していくことが重要です。

 都では、化学的に合成した農薬や肥料を削減して生産した農産物を東京都エコ農産物として認証し、PRする取組を行っていますが、これに加えて、農業生産における有機質肥料の利用を一層促進すべきと考えますが、見解を伺います。

答弁7
産業労働局長
 化学肥料を減らす農業の推進についてでございますが、化学的に合成した肥料を減らす農業の推進は、環境負荷を軽減し、消費者からの信頼を高める重要な取組でございます。

 これまで都は、化学肥料等を削減し、生産した農産物を東京都エコ農産物として認証し、PRや販売先を増やす取組を行ってまいりました。また、土壌診断の結果を踏まえ、化学肥料に代わり、堆肥を使用する農業者に対し、その購入に必要となる経費の一部に助成を行っております。

 今後は、堆肥を畑に効率的にまくための機器の導入や植物を肥料として使う緑肥の活用への支援を検討いたします。こうした取組によりまして、東京農業の振興を着実に進めてまいります。

質問8
 令和六年四月から、いよいよ建設業についても時間外労働の上限規制について罰則適用が始まります。建設業界では、一日の時間外労働は減少傾向にあるものの、休日が取れないケースが多いと聞いており、働き方改革の推進には、都も発注者側として協力をしていかなければなりません。

 都では、各局担当が集まる技術会議において、書類の削減や各局の契約資料や確認書類の共通化について検討し、事業者の負担軽減を行っていると聞いていますが、現場監督員によっては不要な書類の提出を求められることもあるという話もあり、さらなる徹底が必要です。

 現場監督員の理解促進を求めるとともに、さらなる書類の削減や事務の効率化、DXを進めるべきと考えますが、見解を伺います。

答弁8
財務局長
 都の発注工事における書類の削減等に関するご質問にお答えいたします。

 受注者の負担軽減につながり、現場の生産性を高めることから、工事関係書類の削減等に取り組むことは重要でございます。

 このため、工事関係書類につきましては、令和三年二月に関係局が連携して、削減、簡素化が可能な様式を抽出した上で、基準類を改正し、これを令和三年度から運用してございます。

 また、デジタル技術を導入し、インターネット上で書類の提出を行う情報共有システムやリモートで施工状況の確認を行います遠隔臨場の活用を進めております。

 提出書類の適切な運用につきまして、改めて全庁で共有を図るとともに、受注者にヒアリング等を実施し、各局と連携して書類のさらなる削減、簡素化や遠隔臨場等の対象工事の拡大を進めまして、建設業の働き方改革を後押ししてまいります。

質問9
 私たちはかねてより、市場会計の収支改善に向けて積極的な取組を求めてきました。その方策の一つとして、市場業者の稼ぐ力の向上を後押ししていくことが効果的です。

 昨今、豊洲市場かいわいでは、バーベキュー施設ができ、新鮮な食材を屋外で楽しみながらコミュニケーションが図れると評判となっていますが、これは、隣接する豊洲市場の市場業者にとって、新鮮な魚介類を提供する新たな販路にもなっているとのことです。

 市場振興策として、豊洲市場と同様に水産物を取り扱っている大田市場や足立市場においても取り組めないか、検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁9
中央卸売市場長
 市場振興策についてでございますが、中央卸売市場が都民に対して安定的に生鮮食料品等を供給する役割を将来にわたって果たしていくためには、市場業者の販売力を高めることが重要でございます。

 このため、都では、市場業者に対して、新たな販路の開拓や新商品の開発等に要する経費の一部を支援する取組を実施しております。

 お話にございましたバーベキューの事例や都の支援を通じて得られた新たなビジネスモデルの成功事例につきましては、専門家による経営相談の機会や市場業者向けの広報誌などを活用して広く共有することにより、市場業者による販路拡大や市場の魅力向上を後押ししてまいります。

質問10
 さきの第三回定例会において、カスハラ防止条例を求める私たちの質問に対し、公労使会議の場を活用し、適切な対応の在り方を検討していくとの答弁がありました。既に専門の検討会議も立ち上がり、検討が進んでいると理解しています。

 カスハラによる被害を防止するためには、社会全体の共通認識が重要であり、首都である東京都がカスハラ防止を掲げた条例を制定することは非常に有効です。カスハラ対策の効果を民間も役所も含めて全ての職場や多くの消費者に広げていくためには、ルールをつくり上げるとともに、業界団体と連携し、商業施設のある地元の自治体を含めた地域の理解や協力が必要です。

 都は、条例などカスハラ防止対策の検討を進めるに当たって、民間や役所等全ての職場と消費者に幅広く効果が及ぶよう、地域の状況を十分に理解する自治体との協力関係をつくり上げる取組も必要と考えますが、見解を伺います。

答弁10
産業労働局長
 カスタマーハラスメントへの対応についてでございますが、製品を購入する顧客やサービスの利用者から過大な要求や不当なクレームを受け、従業員が人格を傷つけられ、精神的なダメージを受ける状況を防ぐことは重要でございます。

 都では、こうしたハラスメントをテーマに公労使会議を開くとともに、現在、専門家等による検討の場を設け、具体的な対応の方法について議論を進めているところでございます。

 ハラスメントへの対応では、民間や行政の関係者と消費者に加え、地域を含む社会全体の理解と協力が必要となります。

 このため、経済団体や労働団体のほか、地域社会の実情に詳しい区市町村等にも理解が広がるよう、検討の状況を幅広く発信いたします。

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医療・福祉政策

質問1
 次の重点領域は、医療、介護分野です。

 少子高齢化が進む中で、国の一般歳出における社会保障関連費の割合は五〇%を超え、制度の持続性に赤信号がともりつつあります。

 私たちはこれまでも、デジタル化による連携強化や効率化、そして介護職員の宿舎借り上げ支援の拡充など、介護人材の待遇改善に取り組んできました。

 しかしながら、介護分野はいまだ深刻な人材不足の状況にあり、特に、在宅訪問介護のヘルパー有効求人倍率は十五倍を超えるなど危機的な状況です。

 加えて、在宅で生活する高齢者を支えるために中核的な役割を担っている介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーも、職員の高齢化と人材不足が深刻であり、私たちは、第二回定例会で支援策の検討を要望しました。

 それに応える形で、都は十月にケアマネを含めた介護職員の処遇改善について、国に対して緊急提言を行いました。しかし、いまだ国の対応が見通せない中で、ケアマネ不足は待ったなしの状況であり、都としても具体的な支援を検討すべきです。

 こうした大変厳しい状況を踏まえ、今後の介護需要の急増に対応できるよう、介護人材対策を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

答弁1
福祉局長
 介護人材対策についてのご質問でございます。

 都は、介護職員の確保、定着、育成に向けまして、職場体験や資格取得支援のほか、介護職員の宿舎借り上げに取り組む事業者を支援するなど、様々な取組を実施してまいりました。

 また、介護支援専門員の確保、定着を図るため、宿舎借り上げ支援事業の補助対象を居宅介護支援事業所にも拡大するほか、業務負担を軽減するデジタル機器の導入経費への補助を行うなど、支援を強化してまいりました。

 今後、宿舎借り上げ支援事業の要件の緩和のほか、未経験者を雇用する訪問介護事業所への支援や介護支援専門員の更新研修等の負担軽減など、介護人材対策の充実について検討してまいります。

質問2
 二〇二〇オリ・パラ大会を経て、二〇二五年にはデフリンピックが開催されるこのタイミングで、共生社会、多様性に関する関心をより高める取組が求められています。

 私たちは先日、デジタル技術を活用した新しいコミュニケーションを体験できる、みるカフェを視察し、音声翻訳表示ディスプレーなど、新たなテクノロジーに大きな可能性を感じました。

 一方で、障害をサポートするテクノロジーは、市場規模が小さいなどの理由などにより、技術開発に踏み込める企業が限られるなどの課題があります。そのため、社会的な意義を伝えるとともに、海外を含め市場開拓を支援するなど、行政の側面支援は欠かせません。

 デフリンピック、世界陸上の両大会まで残り二年を切る中、都は、ユニバーサルコミュニケーションを社会に浸透させていくための取組を具体的に進めるべきと考えますが、見解を伺います。

答弁2
生活文化スポーツ局長
 ユニバーサルコミュニケーションの促進についてでございますが、世界陸上及びデフリンピックの両大会を契機として社会への技術実装を進めていくため、民間企業の開発を促進するとともに、様々な場面で積極的に活用し、発信していくことが重要でございます。

 そのため、二〇二五年に向け、都は、スタートアップ企業等との連携により、誰もが大会を楽しめる技術の開発に取り組みます。また、まち中における活用機会拡大のため、様々な都立施設や区市町村施設等で、音声をテキストに変換するなど、障害の有無にかかわらず円滑な交流を実現する技術の活用促進を検討してまいります。

 さらに、多様な技術を各種展示会等で国内外に発信することなどを通じまして、技術の社会への浸透を図ってまいります。

質問3
 都のヘルプマークは、外見から分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要とすることを知らせる手段として広く普及しており、都が私たちの求めに応じ実施した調査でも、特に電車、バスなどの公共機関で役に立つと感じていただいていることが分かりました。

 一方で、健常者の方々からは、支援をしたくても声をかけてよいかちゅうちょする、具体的な支援の方法が分からないといったお声もいただいており、共生社会の実現のため、支援をしたいと思う方々が一歩踏み出すことができるような環境の整備にも取り組むべきと考えます。

 どのような仕組みがあれば、都民が援助を求める人に支援を行いやすくなるか、様々な角度から調査研究を行い、都民の行動変容につながる施策につなげていくべきと考えますが、見解を伺います。

答弁3
福祉局長
 共生社会の実現に向けた取組についてでございます。

 共生社会を実現するためには、一人一人が障害や障害の特性を理解した上で、障害者が日常生活や社会生活を営む上での困難さにつきまして、自らの身近な問題として考え、行動に移すことが重要でございます。

 都は、外見からは分からないが、支援や配慮が必要であることを知らせるヘルプマークを作成し、マークを見かけた際の行動例などをホームページやポスターで紹介するなど、普及啓発を行っております。

 今後、都民が困っている方を見かけたときに行動に移すことができるよう、具体策を検討するため、都立大学と連携して意識調査を行うなど、共生社会の実現に向け、取組を進めてまいります。

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都市づくり

質問1
 最後に、成熟都市東京の持続性向上に向けて伺います。

 都は、私たちが提案した自然の持つ力をまちづくりに生かすグリーンインフラも取り入れ、新たな緑のプロジェクト、東京グリーンビズを始動させました。

 気候変動により自然災害が激甚化し、また、COP15で新たな生物多様性に関する世界目標が採択される中、人の暮らしとの共存を目的として、人が手を入れ、管理をしてきた東京の緑についても、防災力や美しさの向上、生物多様性の維持、心のゆとりなど、都民の求めと都市の成長に応じてレベルアップを図る必要があります。

 特に、都市化が進んだ都内では、地表がアスファルトなどで覆われた結果、雨水が浸透できる土壌が減少しています。排水施設の処理能力を超えることによる内水氾濫が浸水被害額の七割を占めており、グリーンインフラは豪雨対策としても期待されています。

 今後、レインガーデン等のグリーンインフラの導入を進めるに当たっては、先行実施を行うエリアを選定するとともに、これまで課題といわれてきた性能の評価にもチャレンジするべきです。

 豪雨対策基本方針に当たっては、豪雨対策に役立つグリーンインフラを導入促進すべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁1
都市整備局長
 グリーンインフラの導入についてでございます。

 グリーンインフラは、自然環境が有する機能を社会における様々な課題解決に活用しようとする考え方でございます。

 河川や下水道への負荷を軽減し、豪雨対策に有効であることから、都では、東京都豪雨対策基本方針の改定に当たり、雨水流出抑制に資するグリーンインフラの導入を位置づけました。

 今後、基本方針に基づき、公共用地においてレインガーデン等を先行的に設置する箇所を選定し、取組効果を検証するとともに、個人住宅や公共施設におけるグリーンインフラ設置への支援等具体的な取組方策を検討し、導入促進を図ってまいります。

質問2
 私たちは、障害がある子もない子も共に遊べるインクルーシブ遊具の設置、自立的な遊びを育むプレーパーク、民間との連携など、都立公園改革を進めてきました。

 都は今般、パークマネジメントマスタープランを改定しますが、本計画においては、これまで私たちが進めてきた取組を盛り込むことに加えて、動物との共生社会に向けたドッグランの整備など、広く都民のニーズを反映させたものにすべきです。

 子供や高齢者、障害のある方のほか、犬などのペット連れの来園者など、様々な利用者に親しまれる公園づくりを進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁2
東京都技監
 都民に親しまれる公園づくりについてでございますが、都立公園は、都市における身近な憩いの場として大きな役割を果たしており、都民のニーズを踏まえ、親しまれ、快適に利用できる公園としていくことが重要でございます。

 都はこれまで、障害者団体の協力を得たインクルーシブな遊具広場の整備、民間と連携したカフェの導入などを進めてまいりました。

 今後は、聴覚障害者や外国人向けの情報保障機器の導入、地域の方向けにドッグランを設置する区市への協力など、多様な主体と連携し、幅広いニーズに応えるきめ細やかなサービスを提供してまいります。

 こうした取組を今年度策定するパークマネジメントマスタープランに位置づけ、誰もが楽しめる公園を実現してまいります。

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環境政策

質問1
 先進的な環境政策の推進は、都市の魅力向上に欠かすことができません。光熱費の高騰が継続する中、エネルギー効率のよい家電の導入は家計負担の軽減にも効果的であり、私たちはこれまでも、都の省エネ家電の買換えを支援する東京ゼロエミポイント事業の継続と拡充を要望し、都は、対象機器の拡充やポイントの引上げを行ってきましたが、さらなる強化が必要です。

 東京ゼロエミポイント事業に関し、新規世帯や高齢世帯が増加している都内の現状を見ると、一人暮らしを始めるなどの世帯構成が変化するタイミングを捉えた取組や、手軽に支援が受けられる工夫など、省エネ家電の買換え支援の充実を図るべきですが、見解を伺います。

答弁1
環境局長
 東京ゼロエミポイント事業の充実についてでございます。

 省エネ性能の高い家電への買換えは、快適な暮らしを維持しながら省エネを実現できるため、エネルギー消費量が増加している家庭部門への対策として効果的でございます。

 このため、都は、エアコンや冷蔵庫等消費電力の高い家電を省エネ性能の高い機器に買い換える場合の支援を利用者のニーズ等を踏まえながら段階的に拡充してまいりました。

 これまでの事業を継続するとともに、今後新たに家電を購入する場合、高効率機器を選びやすくする工夫を検討します。また、地域の家電店等との連携を深め、申請手続の利便性を高める取組を検討するなど、支援の充実を図ってまいります。

質問2
 都内CO2排出量の二割弱を運輸部門が占めており、一層の削減対策が求められる中、再配達の抑制は、運輸業界の二〇二四年問題への対応とCO2排出量の削減の双方に寄与します。

 運輸業界でも、配達日の事前指定やコンビニ等での受け取りサービス等の対策を進めていますが、家庭の宅配ボックス設置による再配達の抑制は、ドライバーの働き方改革に加えて、CO2排出量の削減にも寄与する効果が期待され、都としても強力に後押しすべきです。

 ゼロエミッション東京の実現に向け、荷物の受け取り方の工夫などにより、家庭に関わるCO2排出量の削減も進めるべきと考えますが、見解を伺います。

答弁2
環境局長
 家庭に関わるCO2排出量の削減についてでございます。

 住宅でのエネルギー消費の削減には、断熱、省エネ性能を高める取組や再エネの活用が重要でございまして、都はこれまで様々な支援を行ってまいりました。

 二〇三〇年のカーボンハーフの実現をより確かなものにするためには、これらの取組の強化に加えまして、例えば宅配の再配達を減らす工夫など、家庭での対策で物流のCO2削減にもつながる取組が必要でございます。

 このため、住宅の省エネ化に資する様々な支援策の周知に併せまして、宅配ボックス配置の有効性等について関係局と連携してPRするとともに、区市町村等とも連携した再配達の抑制等について検討してまいります。

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防災対策

質問1
 私たちはかねてより、都民のうち約七割が居住するマンション等の防災力向上の必要性を強く訴えてきました。都は、防災ブックと併せたマンション防災に関するリーフレットの配布といったソフト面の整備や、新たに東京とどまるマンション事業を展開し、防災資器材の購入助成を強化しています。

 マンションの防災力向上は、周辺地域の防災力向上にもつながるものであり、とどまるマンションの登録拡大を進めるべきです。地域防災力向上に向け、東京とどまるマンションの周知を強化するとともに、ソフト面での取組を一層強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 東京とどまるマンションの普及促進についてでございます。

 災害時にも都民の生活を守るためには、多くの都民が暮らすマンションにおきまして、備蓄や訓練などの日頃からの備えを促し、その防災力を向上させることを通じて、地域全体の防災力を高めていくことが重要です。

 都はこれまで、業界団体等と連携しました制度周知を行いますとともに、登録マンションに補助いたしました防災備蓄資器材を用いました訓練を促すなど、防災力向上に取り組んでまいりました。

 今後、さらに裾野を広げるため、防災活動を始めるきっかけとなりますようなパンフレットや動画等によりまして効果的な意識啓発を行うとともに、防災備蓄資器材の整備に向けた支援に一層力を入れてまいります。

 こうした取組によりまして、地域の防災活動を活性化し、東京全体の防災力を向上させてまいります。

質問2
 多摩振興について伺います。

 小池知事の下、市町村総合交付金の大幅な増額をはじめ、多摩都市モノレールの延伸推進など、過去の都政にないレベルで多摩振興が進められています。

 一方で、多摩地域では、令和元年台風十五号、十九号による大きな被害が生じたなど、その災害対応力の一層の強化が必要です。

 多摩地域における消防活動力の強化が必要と考えますが、東京消防庁の見解を伺います。

答弁2
消防総監
 多摩地区における消防活動力の強化についてでございますが、平時の災害に加え、震災や火山災害などあらゆる災害に対応するためには、消防活動体制の強化が重要でございます。

 このため、東京消防庁では、様々な災害や地域特性に対応した車両や資器材を計画的に整備し、消防活動体制の強化を図っております。

 また、多摩地区における災害実態の早期把握や効率的な部隊運用を実現するとともに、本部庁舎の作戦室が機能を失うような状況下においても作戦機能を維持できるよう、本部庁舎に配置をしている警防本部直轄の指揮隊を多摩地区にも創設することを検討しております。

 今後も、セーフシティの実現に向け、消防活動体制の強化に努めてまいります。

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多摩地域における給食費無償化

質問1
 都が学校給食費を無償化する区市町村を対象に補助を実施する方向が示されました。現在、二十三区においては、多くの自治体で給食費の無償化の方向が示されていますが、多摩地域においては、財源の問題から取り組むことが難しく、給食費の無償化をめぐり、新たな多摩格差が生まれている現状があります。

 本来、給食費については、国が主導の下、実施すべきと考えますが、こうした状況から鑑みると、国が給食費を無償化する一定の期間の間において、都が区市町村へ財源支援を行うことは重要と考えます。

 都立学校において無償化を図るとともに、区市町村については、多摩地域も含め、広く給食費の負担軽減が図られるよう取り組みやすい制度とすべきと考えますが、知事の見解を伺います。

 給食無償化のほかにも、多摩地域には、高校生までの医療費助成の恒久化対応など様々な課題があり、市町村総合交付金の大幅な増額などの財政支援を改めて求めておきます。

答弁1
知事
 学校給食費についてであります。

 子供たちの健全な成長を支える上で、教育は重要な基盤であります。

 中でも、学校給食費の在り方につきましては全国共通の課題であり、国の責任と財源におきまして無償化を実現すべきものでございます。この考えから、今般、国に対し強く働きかけたところでございます。

 同時に、都として、国に先行し、学校給食費に関しまして、都立学校の負担軽減とともに、負担軽減に取り組む区市町村に対する支援について実施に踏み出すことといたしました。

 具体的には、今後、予算編成の中で検討を行ってまいります。

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有機フッ素化合物

質問1
 私たちはこれまで、有機フッ素化合物の実態把握と都民の不安解消に向けた取組の強化を訴えてきました。都としても、計画を前倒しして、今年度中にその結果を発表としたことは重要な取組と評価しています。

 他方で、指針値を超過した地域では、風評被害に悩む方も出ているという話も聞いており、私たちが求めてきたとおり、都と区市町村が連携し、地域の実態に即して、真に地域の方々の安心・安全に資する対応が必要です。

 都との連携を十分図りながら、区市町村ごとの実態に即した有機フッ素化合物の調査、対策に対して補助を実施すべきと考えますが、見解を伺います。

答弁1
環境局長
 有機フッ素化合物の調査の支援についてでございます。

 区部や多摩の複数の地域でPFOS等が検出されている中、飲用しない取組を徹底し、都民の安心・安全をより高めていくことが重要でございます。

 都は、水道水の安全性を引き続き確保するとともに、今年度、地下水のPFOS等の前倒し調査等を区市町村の意見も踏まえ実施してございます。

 今後、地域住民の不安払拭に向け、比較的高濃度な地点が存する地域の状況を機動的かつ丁寧に把握するための追加調査の充実強化における区市町村との連携の在り方などを検討してまいります。

質問2
 先日、町田市の市営駐車場において、PFOSを含む泡消火薬剤の漏出事故がありました。PFOS等を含有する泡消火薬剤は、現在、製造、輸入等は禁止されているものの、万が一の火災時に使用するという特性から、引き続き保管や使用が認められているため、様々な施設では今でも保管がされています。

 今回の漏出は、いたずらが原因ということですが、泡消火設備が設置された施設では、適切な管理等が行われる必要があります。

 都有施設におけるPFOSを含む泡消火薬剤の適切な管理を進めるべきですが、見解を伺います。

 私たちは引き続き、都民ファーストの視点で、小池知事と車の両輪である都議会の立場から東京大改革を加速させていくことを改めてお誓いし、代表質問を終わります。

答弁2
環境局長
 都有施設のPFOS含有泡消火剤についてでございます。

 PFOS等は既に製造、輸入等が禁止されており、新たな環境中への排出を最大限防ぐことが重要でございます。

 国は、専門家会議において、PFASに関する今後の対応の方向性として、PFOS含有の泡消火薬剤の在庫量の把握と管理の強化を示してございます。

 これを受けて、都有施設のPFOS含有泡消火薬剤の有無や管理状況等の調査を実施し、いずれの施設でも国の技術基準等に従い適正管理されていることを確認いたしました。また、施設管理者に対して、国が定める保管や漏出時の取扱い基準等を改めて周知したところでございます。

 今後、確認されたPFOS含有泡消火薬剤は、早期の交換を検討してまいります。

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