孤独・孤立に関する施策展開を
日本版DBS導入への認識は

孤独・孤立

質問1
 政府の調査により、国民の四割が孤独、孤立を感じているということが分かってきました。

 国は、孤独・孤立対策担当室を設置し、重点計画も策定。その中で、推進体制の整備や実態把握、予防と早期発見、民間団体との連携などを都道府県が進める施策としています。五月には孤独・孤立対策推進法が制定されました。

 都として、民間団体とも連携し、孤独、孤立に関する施策展開を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 孤独、孤立対策についてであります。

 価値観の多様化やコロナ禍の長期化によりまして、孤独、孤立の問題が顕在化、深刻化しております。ポストコロナの転換点を迎える今、希薄化する人と人とのつながりを結び直し、孤独、孤立を生まない社会の実現が重要です。

 「未来の東京」戦略で掲げました、みんなの居場所創出プロジェクトにおきましては、民間団体と連携した女性や若者の居場所づくりなど、区市町村の先駆的、分野横断的な取組を強力に支援をしておりまして、事業開始から三年で十七区市町村に拡大をいたしております。

 今後、こうした多様な主体の創意工夫によります先駆的な事例等を都内全域に広げるとともに、孤独・孤立対策推進法の施行に向けました国の検討情報も見極めながら、誰一人取り残さない包摂的な社会の実現に向け、取り組んでまいります。

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教育施策

質問1
 生徒指導提要が十二年ぶりに改定されました。改定された生徒指導提要では、理不尽な校則は見直す努力が必要として、校則を学校のホームページなどで公開して、制定の背景や見直しの手続を示すことが適切で、児童生徒が校則の見直しに参加することに意義があるとしています。

 都教育委員会は、都立学校に対し、校則をホームページで公開するように促し、実際に公開されていることは評価いたします。

 こども基本条例を持つ都として、校則に子供の権利を明記し、子供の意見表明権などに触れることも検討すべきではないかと考えます。

 子供の権利を尊重した学校の校則について、都教育委員会の見解と取組を伺います。

答弁1
教育長
 学校の校則についてでございますが、校則は、子供がよりよく成長、発達していくために、校長の権限と責任で策定するものであり、その際、子供が主体的に意見を表明することは、校則の意義を理解し、自ら校則を守ろうとする意識を醸成する上で重要でございます。

 そのため、都教育委員会は全ての都立高校に対して、学校の実情や生徒の意見等を踏まえ、自校の校則等を点検し、必要な見直しを行うよう通知してまいりました。

 また、管理職等を対象にした連絡会において、こども基本条例の趣旨を踏まえ、子供の権利と校則の在り方について理解を深められるようにしています。

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こども施策

質問1
 子供の貧困には三つの要素があるといわれています。一つは経済の貧困、二つ目は社会関係性の貧困、そして三つ目は文化の貧困です。厳しい生活環境でも、これらの一つでも満たされていることが重要です。

 子供たちの学びは学校が基本ですが、学校だけが学びの場ではないとして、文部科学省も、これからの教職員を学びの伴走者と表現し、地域連携で学びを進めるとしています。

 個別最適な学びや探求的な学びのためには、子供たちが求めれば、教職員が応援し、特別な休暇を認める制度を創設すべきと考えます。例えば、学びと休日を組み合せたラーケーションは愛知県、そして別府市が導入決定、熊本県などで検討されています。

 産労総合研究所の調査によると、国内の労働者の三割が平日が休みです。サービス産業の多い東京は、さらに平日休暇の割合が高いと思います。保護者と子供が一緒に過ごしたいという声に応える制度です。昨日の代表質問にて、教育長からは前向きな答弁をいただきました。多様な学びの議論に期待をいたします。

 その上で、子供たちの様々な活動を後押しするため、都の公共施設を無料にするなどの多様な体験の機会の創出が必要と考えますが、見解を伺います。

答弁1
子供政策連携室長
 多様な体験の機会の創出についてでございますが、子供たちが多様な経験や体験を通じて、将来必要な力を身につけていくことは重要です。

 現在、都内の全公立学校を対象としております笑顔と学びの体験活動プロジェクトに取り組むとともに、十八歳以下の若者を対象として、都立美術館、博物館において無料でアートに触れられる機会を設けるほか、子供が多様な遊びを身近に経験できる体験イベントを実施する取組などを行っております。

 今後も関係各局と連携しながら、子供たちが様々な体験に触れることができる機会を創出してまいります。

質問2
 こども家庭庁は、日本版DBS制度の創設を目指しています。DBS制度は、教員や保育士などの性犯罪歴をチェックする制度で、子供の生命と健康を守る仕組みとして、大きな期待があります。

 日本版DBSの導入の必要性について、都の認識を伺います。

 なお、この日本版DBSは、義務教育学校や行政が責任を持つ保育園、幼稚園などは対象ですが、フリースクールや放課後デイサービスなどは対象から外れています。関係団体からは、子供に関わる業態全てに日本版DBSの活用を広げてほしいという声があり、既に、こども家庭庁に様々な要望書が届けられています。私も対象を広げるべきだと考えています。

答弁2
子供政策連携室長
 いわゆる日本版DBS制度についてでございます。

 子供に対する性犯罪、性暴力は、被害者の心身に甚大な影響を及ぼし、かつ、その人権を著しく侵害する極めて卑劣で悪質な行為であります。

 子供を犯罪、事故その他の危害から守り、子供の安全と安心を確保することは、都のなすべき責務であり、子供が伸び伸びと健やかに成長できる環境を整備していくことは、極めて重要でございます。

 現在、いわゆる日本版DBS制度が国において検討されておりますが、制度創設に向けた議論を注視し、国や各局とも適切に連携を図りながら、全ての子供の人権が守られる社会の実現に向けて取り組んでまいります。

質問3
 現代社会において、スマホは社会的インフラといえます。高校生の九八%がスマホを持っており、友達との連絡、アルバイトの情報など、スマホを前提としています。しかし、児童養護施設に暮らす高校生は、三割がスマホを持っていません。

 高校生などのスマホ所持に対する認識を踏まえ、児童養護施設の子供たちのスマホについて、必要な子供が持てるような取組を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

答弁3
福祉局長
 児童養護施設の入所児童のスマートフォンの利用についてのご質問でございます。

 スマートフォンは、様々な情報にアクセスする通信手段や緊急連絡手段として、日常生活において有用なものでございます。各施設では、入所児童の状況は様々であることから、スマホの利用につきましては、施設間で利用ルールなどの情報を共有しながら、子供の年齢等に応じて判断をしております。

 また、都は、必要な子供がスマホを活用できるよう、利用料に見合った措置費の増額を国に要望しております。

 現在、国が、社会的養護の下で育つ子供のスマホの利用につきまして、支援の充実を検討するとの方針を示しておりまして、都は、国の動向を注視してまいります。

質問4
 児童記録票とは、児童虐待の通告や相談を受けた際に、児童相談所が作成する書類です。この児童記録票は、原則二十五歳で記録票を廃棄するということが問題になっています。いつか成人した子供が、自分自身の情報開示請求をしたときに資料が廃棄されている可能性があり、これは、子供の知る権利が保障されているとはいえません。

 児童記録票の保存期限は、自治体が決められます。児童記録票の保存は、全ての案件で永久保存とするなど、都としての議論を進めるべきと考えますが、見解を求めます。

答弁4
福祉局長
 児童相談所の児童記録票についてのご質問でございます。

 児童相談所は、指導、援助の経過を残すとともに、子供の知る権利を保障する観点から、必要な情報を児童記録票に記録し、管理をしております。

 記録票の保存期間は、国の運営指針に基づき、施設等に入所した児童の場合は満二十五歳になるまで、将来的に記録票の活用が予想される棄児や置き去り児などの場合には、長期保存としております。

 昨年、国の社会保障審議会におきまして、長期保存する文書の範囲の見直しが提言されておりまして、都は、引き続き国の動向を注視するとともに、当事者である子供の権利を守る観点で、児童相談所や施設退所者などから意見を聴取し、情報開示に当たっての課題などの整理を進めてまいります。

質問5
 児童虐待の相談件数は増加しています。虐待された児童を守るためには、多くの関係機関の連携が重要です。

 埼玉県では、児童相談所と警察署がリアルタイムで情報を共有する児童虐待情報共有システムを全国に先駆けて運用を開始しました。これは、児童相談所が対応した虐待事案を入力して、警察署でもリアルタイムで閲覧できるものです。私は、実際に埼玉県を訪問し、調査をしてまいりました。

 現在の東京都の情報共有は月一度のメールでのやりとりと伺っています。これでは共有とはいえません。

 情報のデジタル化への認識を伺います。さらに、子供の生命と人権を守る立場から、埼玉県などが進める事例を参考にして、デジタル化を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

答弁5
福祉局長
 児童相談所と警視庁との情報共有についてのご質問でございます。

 都は、平成三十年九月に警視庁と協定を締結し、虐待に該当しないケースや児童相談所の助言指導で終了したケースなどを除き、リスクが高いと考えられるケースを全て共有しており、月に一度、ケース一覧のデータを情報提供するとともに、緊急性が高いケースは、その都度提供しております。

 児童虐待に、より迅速に対応するためには、情報共有のシステム化は有効なことから、今後、他自治体の事例も参考にしながら課題を整理するなど、効率的な情報共有の方法について検討をしてまいります。

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自殺対策

質問1
 若年層の自殺リスクが高まっています。長野県は、子どもの自殺危機対応チームを結成しています。例えば、自殺未遂をした子供と向き合う学校や地域の方々からの求めがあれば、危機対応チームは、専門的な見地から情報提供を行うという取組です。私も、実際に長野県で状況を聞いてまいりました。

 政府も、長野県の取組に注目をして、若者の自殺危機対応チーム事業を進めています。

 都として、若者の自殺危機対応の施策を進めるべきと考えますが、見解を伺います。

答弁1
保健医療局長
 自殺リスクの高い子供への対応についてでございますが、都は、区市町村等の地域の支援機関と連携し、自殺未遂者など自殺リスクの高い方を継続的な支援につなげております。

 具体的には、こころといのちのサポートネットにおきまして、精神保健福祉士等が関係機関等からの相談対応や本人への支援を行っており、必要に応じて精神科医等から専門的な助言を受けながら、これまで子供も含め多くの事例に対応しております。

 今後、学校等に対し支援事例の紹介などを行い、サポートネットの活用を一層促すとともに、子供への支援充実に向けた取組を検討してまいります。

質問2
 新しい自殺総合対策計画の重点政策として、残された方への支援を強力に推進することが盛り込まれておりますが、この取組状況を伺います。

答弁2
保健医療局長
 自死遺族等への支援についてでございますが、都は、相談窓口や遺族の集いなどの情報を掲載したリーフレットを区市町村の窓口等で配布するとともに、自死遺族関係団体等が実施する相談事業等を支援しております。

 また、来月一日からは、とうきょう自死遺族総合支援窓口を新たに開設し、相談員が必要時に弁護士や精神保健福祉士等の助言を受け、遺族等の気持ちに寄り添いながら、各種手続への対応に関するアドバイスや、困り事に応じた専門の相談機関へのつなぎなどを行ってまいります。

 こうした取組によりまして、死別の直後から様々な問題に直面する自死遺族等を支援してまいります。

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がん対策

質問1
 がん対策について伺います。

 都は、AYA世代のがん対策、特に妊孕性の温存や医療機関での研修、若年のがん患者向けのセミナー開催などに取り組んできましたし、今年度からは、アピアランスケアの助成制度が始まりました。

 行政のがん対策は、予防と治療に加え、がんとの共生が重要です。がんは多様で、患者が百人いれば百通りの向き合い方があります。

 がん患者への支援の検討は、多くの患者団体からの意見を聞き、連携を深めるべきと考えます。東京都の見解を求めます。

答弁1
保健医療局長
 がんの患者団体からの意見聴取についてでございますが、がん患者やその関係者が集まり、相談支援や情報提供を行うがん患者団体や支援団体は、不安や悩みを抱える患者本人や家族にとって力強い支えとなっております。

 都は、患者団体等の活動内容を聞き取り、がん診療連携拠点病院等に提供することで、拠点病院等と団体の連携強化に努めるとともに、東京都がんポータルサイトにもこれらの情報を掲載し、広く周知しております。

 こうした取組に加えまして、今後、患者団体等へのアンケート調査などにより、がん患者や家族の様々な不安や悩みをきめ細かく把握し、支援の充実につなげてまいります。

質問2
 さらに、若年がん患者に対する在宅療養支援については、区市町村ごとに対応が異なっております。

 都内に住む全てのAYA世代の患者が、安心して在宅療養できる環境を整えるべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁2
保健医療局長
 若年がん患者の在宅療養支援についてでございますが、AYA世代のがん患者は介護保険制度の対象外であるため、介護サービスを利用する際の費用は全額自己負担となっております。

 このため、都は、AYA世代のがん患者における療養環境の充実に向け、国に対し、介護保険制度と同様の支援が受けられる仕組みを構築するよう提案要求しております。

質問3
 都は、がん対策基本法に基づいて、東京都がん対策推進計画を策定し、取り組んでいます。今年度末には第三次改定が予定をされております。

 第三次改定の推進計画では、従来からの予防、医療の充実はもちろんのこと、がんとの共生の観点から、治療と就労の両立などを進めるべきと考えますが、見解を伺います。

答弁3
保健医療局長
 がん対策推進計画についてでございますが、都は現在、がん対策推進計画におきまして、都民ががんになっても自分らしく生きることができるよう、地域共生社会の構築を全体目標の一つとして位置づけ、総合的な取組を進めております。

 また、今年度予定しております計画改定に向け、がん対策推進協議会におきまして、がんとの共生の観点から、治療と仕事の両立支援、小児やAYA世代、高齢者等、ライフステージに応じたがん対策の充実などについて検討しております。

 今後、協議会における議論を踏まえて計画改定を進め、がん患者が尊厳を持って安心して暮らせる地域共生社会を実現してまいります。

質問4
 特に、がん患者が主体的に関わるみとりを進めるべきとも考えます。見解を伺います。

答弁4
保健医療局長
 がん患者が主体的に関わるみとりについてでございますが、患者の希望に応じ、自宅や施設などの住み慣れた暮らしの場でのみとりを実現するには、都民や医療、介護関係者のみとりへの理解を深めるとともに、地域における在宅療養体制の整備を進めることが重要でございます。

 このため、都は、がん対策推進協議会におきまして、自ら望む医療やケアについて、家族や医療、介護関係者等とあらかじめ共有する取組の普及や、在宅緩和ケアの推進などを検討しており、今年度改定予定のがん対策推進計画に反映してまいります。

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感染症対策

質問1
 新型コロナを経て、医療提供体制の崩壊が社会生活の崩壊に直結するということが認識されました。

 東京都医師会は、有事を想定した臨時医療施設として、平時から、やや余裕を持った医療人材の確保と、対応できる施設や病床の確保を提案しています。

 都として、有事の際の医療施設の設置を含め、新たな感染症の発生に備えた医療提供体制の検討を早急に進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁1
保健医療局長
 新たな感染症発生に備えた医療提供体制についてでございますが、感染症の危機から都民の命と健康を守るには、有事の際に通常医療にも対応しながら、医療資源を迅速に感染症医療に重点化していくことが重要でございます。

 都は、新型コロナ対応におきまして、通常医療との両立を図りつつ、状況に応じて確保病床を柔軟に運用するとともに、臨時の医療施設として、高齢者等医療支援型施設などを機動的に確保してまいりました。

 現在、保健所設置区市や医師会等が参画する連携協議会におきまして、感染症予防計画の改定に向けた検討を進めており、これまでの経験や協議会での議論等を踏まえ、新たな感染症危機に対応できる医療提供体制を構築してまいります。

質問2
 コロナ禍を経て、私たちが学んだことの一つは、人獣共通の感染症対策の重要性です。人獣共通感染症とは、動物から人へ、そしてまた、人から動物へ伝播可能な感染症のことで、全ての感染症の半分程度を占めます。人と動物と環境、この三つは一体的に考える必要があるとして、ワンヘルスという考え方が生まれました。

 都として、ワンヘルス条例の制定に向けた検討を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁2
保健医療局長
 ワンヘルスについてでございますが、新興、再興感染症の多くが動物を感染源としていることから、人、動物、生態系の健康を一つと捉え、関係者が連携して課題解決に取り組むべきとするワンヘルスの考え方が広がっております。

 都は、動物由来感染症の発生動向の監視や、動物及び河川等における薬剤耐性菌の調査のほか、都民に対する感染症の正しい知識の啓発、野生動物が生息する自然環境の保全などに取り組んでおります。

 今後とも、人と動物の調和のとれた共生社会の実現に向けて、ワンヘルスの考え方も踏まえ、関係者が互いに連携協力して施策を実施してまいります。

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オーバーツーリズム

質問1
 スマートシティ東京の実現について伺います。

 インバウンドの観光は、我が国の経済活性化に不可欠です。まち中で外国人観光客が増えて、円安でさらに拍車がかかっています。

 一方、特定の地域への過度の旅行者の集中が、地域住民の生活に影響を与えるオーバーツーリズムの問題も注目を集めています。都内でも、路上飲みやごみの放置が顕著となっている地域も見られ、特定のイベント時期の来訪を控えるよう呼びかける事態も生じています。海外では、既にこうしたオーバーツーリズムの対策を講じている都市もあります。

 そこで、オーバーツーリズムの対策を東京都としてどのように速やかに進めていくのか見解を伺い、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

答弁1
産業労働局長
 観光客の著しい増加に係る対応についてのご質問にお答えいたします。

 国内外からの旅行者の来訪が急速に増え、地域社会に混乱などが生ずる状況に対応するため、地元の自治体との連携等による取組を進めることは重要でございます。

 都では、外国人観光客に対し、各地域のサイネージを活用し、旅行先でのマナー等を伝える取組を強化します。

 また、地元自治体がDXの技術を利用して各スポットの混雑の状況を伝え、快適に観光できるよう促す場合や、現地で外国人旅行者に注意を呼びかける多言語の案内板などを設置する取組等に支援を行っているところでございます。

 さらに、地域の魅力を発信して都内各地への周遊を促し、観光客の分散につなげてまいります。

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