築地市場跡地のまちづくりは
晴海地域の交通環境の整備を

都市づくり

質問1
 初めに、築地市場跡地のまちづくりについてお伺いします。

 同地区まちづくり事業の提案書の公募は、八月三十一日に締め切られました。今後、外部有識者による審査委員会を経て、令和六年三月には事業者が決定される予定です。そして、その提案を踏まえて、まちづくりが具体化されていきますが、引き続き、地元区と連携を深めていく必要があります。

 築地市場跡地のまちづくりについて、令和三年十月に中央区長並びに区議会議長の連名による要望書が知事宛てに提出されています。同地区の地域資源や立地特性を生かしたまちづくり、築地場外市場と築地市場跡地との連携について、中央区築地まちづくりの考え方に対する特段の配慮など、地元区と緊密な連携と協議を重ねていくことなどを東京都に対して要望しています。

 まちづくりを進めていくためには、地元区の理解と協力はもとより、事業者、東京都、中央区がそれぞれの役割分担に応じた事業を有機的に結びつけていかなくてはなりません。

 そこで、築地市場跡地の再開発については、中央区との連携を一層深め、まちづくりを進めていくべきと考えますが、見解をお伺いします。

答弁1
都市整備局長
 築地まちづくりについてでございます。

 当地区では、浜離宮、隅田川、食文化など、地域のポテンシャルを生かして、東京の持続的成長につながるまちづくりを進めていくことが重要でございます。

 この実現に向け、築地まちづくりの事業者募集では、築地場外市場とのつながりにも配慮しながら、周辺地域などとの相乗効果をもたらす開発により、築地にふさわしいにぎわいを創出していくことなどを求めており、先般事業提案を受け付けました。

 今後は、外部有識者による審査を行い、優れた提案を選定し、地元区とも連携しながらまちづくりの具体化を図り、新しい文化を創造、発信する築地ならではの拠点を形成してまいります。

質問2
 次に、晴海五丁目西地区、晴海フラッグの交通環境の整備についてお伺いします。

 二○二○東京大会で選手の宿泊施設として使用された住宅棟は、分譲、賃貸マンションなどに改装され、加えて新たに二棟のタワーマンションの建設が進められています。

 竣工後は、二十三棟、五千六百三十二戸の住宅に約一万二千人が居住することから、区役所出張所、小中学校、商業施設など、行政、教育、生活関連施設などの整備が急ピッチで進められており、臨海部に間もなく新しいまちが誕生します。

 こうした中、来年春のまち開きに向けて、いよいよ一月より段階的に入居がスタートしますが、その状況に応じた適切な交通環境の整備を進めていかなくてはなりません。

 晴海フラッグから最寄りの都営大江戸線勝どき駅までは徒歩約二十分。中央区では、都心と臨海部を結ぶ地下鉄新線の早期実現に向けて取組を行っており、これを受けて、東京都では昨年十一月に地下鉄新線事業計画案を公表しました。

 一方、検討段階であることから、主要な輸送機関となるのは、本格運行を予定している東京BRT、都営バスになります。

 そこで、選手村跡地のまち開きを来年に控える中、晴海地域の交通環境を含めたまちづくりについて、知事の見解をお伺いします。

答弁2
知事
 晴海地域のまちづくりについてのお尋ねです。

 晴海地域は、都心から近く海に開かれた立地で、東京の顔となる高いポテンシャルを有し、都心部と臨海部をつなぐ地下鉄が計画されるなど、今後の発展が期待されています。

 来年春のまち開きを控える選手村跡地では、人々の足を支える交通基盤といたしまして、交通広場となるマルチモビリティーステーションや船着場を整備いたしまして、BRT、路線バス、舟運など、様々な交通手段の提供につなげてまいります。

 多様な世代や文化が交流する水と緑に囲まれた環境先進都市を目指しまして、大会のレガシーとなるまちづくりを進めてまいります。

質問3
 また、来年一月から始まる入居に対し、交通事業者とどのように連携して取り組んでいくのか、併せてお伺いします。

答弁3
都市整備局長
 晴海選手村跡地における交通事業者との連携についてでございます。

 当地区では、来年一月から、分譲住宅の一部で約二千七百戸と賃貸住宅約千五百戸の入居が順次開始されます。

 都は、今後の入居見込みなどの情報を、住民の主要な交通手段となるBRTや路線バス等の運行事業者と共有し、交通需要に適切に対応できるよう、連携して取り組んでまいります。

質問4
 次に、まちづくりと連動した水辺の再生についてお伺いします。

 現在、再開発が進められている日本橋では、首都高の地下化工事により、部分的ではありますが、日本橋川から青空を眺めることができるようになりました。二○四○年には同区間の高架部分が全て撤去され、親水護岸や船着場など、水辺に近づける魅力ある都市景観が形成されますが、そのためには、日本橋川の水質浄化が重要です。

 水質の改善は、上流にある神田川や外堀などと一体的に取組を進めていく必要があります。外堀ではアオコの発生による景観の悪化や異臭などの問題が生じていることから、東京都では各局が横断的に連携を図り、外堀の水質改善に向けて取組を進めています。

 昨年公表された「未来の東京」戦略 version up 二○二二には、外堀でのプロジェクトの進捗に伴い、下流の日本橋川等の水質改善にも一定の効果が見込まれると記されています。

 そこで、現在、外堀の水質改善に向け、導水の検討が進められていますが、外堀の水辺再生について取組状況をお伺いします。

答弁4
都市整備局長
 外堀の水辺再生事業についてでございます。

 水と緑を一層豊かにし、ゆとりと潤いのある東京を実現するには、水辺空間を生かした魅力あるまちづくりを進めることが重要でございます。

 都は、外堀の水質改善に向け、下水再生水と荒川河川水を玉川上水路等を経由して導水する概略ルートなどを定めた、基本計画を昨年度公表いたしました。現在、この計画に基づき、関係局が連携の上、早期完成を目指して、既存施設等を最大限活用する検討や導水路などの基本設計を進めております。

 二○三○年代半ばの整備完了に向け、国や地元区とも連携し、人々が憩う外堀の水辺再生を着実に進めてまいります。

質問5
 一方、合流式下水道から大雨時には汚水混じりの雨水が放流されることも水質悪化の一因となっています。下水道局では、水質改善を図るため、地下深くに貯留施設の整備を進めていると聞いています。

 そこで、外堀における貯留施設の整備状況及びその効果について、併せてお伺いします。

答弁5
下水道局長
 外堀における合流式下水道の改善についてでございますが、下水道局では、雨天時に合流式下水道から放流される汚濁負荷量を削減するため、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設などの整備を進めております。

 外堀では一万六千六百立方メートルに及ぶ貯留施設の整備を進めており、そのうち一部を先行的に稼働し、効果を発現しております。残りの貯留管本体は、工事が完了し、現在この貯留管へ取り込む取水管の整備を進めており、今年度末には貯留を開始する予定でございます。

 この取組を推進することにより、汚濁負荷量を大幅に削減する効果を見込んでおり、外堀における良質な水環境の創出に貢献してまいります。

質問6
 次に、建設関係車両の待機駐車問題についてお伺いします。

 都内各地において大規模再開発事業が進行する中、建設現場への資機材搬入車両の現場周辺での待機駐車は、駐車車両を原因とする交通渋滞の発生や死亡事故の発生、駐車車両、渋滞車両の排出ガスによる周辺地域の環境悪化など、長年にわたり深刻な社会問題になっています。

 警視庁では、路上待機の防止に向けた対策を事業者に要請しているほか、路上待機駐車が認められた場合には、現場責任者に対して、現場入場時間を考慮した出発時間の見直しなど、具体的な申入れを行っています。

 一方、待機駐車の具体的な解決のためには、工事関係車両が一時的に待機可能な駐車ヤードの確保や、低未利用地等を活用した待機スペースの整備を行うなど、事業者、工事業者、関係業者が連携を図り、具体的な取組を進めていかなくてはなりません。

 そこで、工事関係車両の待機駐車問題について、どのような現状認識を持たれているのか、また、具体的に今後どのような取組をなされていくのか、併せて見解をお伺いします。

答弁6
都市整備局長
 工事関係車両の待機駐車問題についてでございます。

 路上待機車両は、交通事故や自転車走行の妨げの要因となっており、その対応に当たっては、事業者をはじめ、行政機関や交通管理者との連携が重要でございます。

 都は、総合的な駐車対策の在り方を令和四年に策定し、路上待機車両の削減に向けた方策を示すとともに、区市町村等に周知するなど、その取組を推進しております。

 また、国や交通管理者、建設業の団体等と路上待機車両の実態や対策事例等について情報を共有し、意見交換を実施しております。

 今後とも、関係機関との緊密な連携の下、事業者の主体的な取組も促し、路上待機車両の対策を検討してまいります。

質問7
 次に、復興小公園についてお伺いします。

 今年は関東大震災から百年の節目になり、これを契機として、各地で防災意識の啓発を目的とする様々なイベントが行われています。震災後の復興では、後藤新平が策定した帝都復興計画に位置づけられた復興小学校が、百年たった今でも現役の施設として存在しています。そして、隣接して震災の焼失区域に整備された復興小公園は、防災拠点としての役割のほか、東京市民の憩いの場として、後の都市公園や児童公園のモデルになりました。

 しかし、そのことが都民にあまり知られておらず、防災意識をさらに高める観点からも、復興小公園を管理する関係区と都が連携して、PRなどの取組を進めていく必要があると考えます。

 東京都では、当時の思想などを踏まえ、防災機能の拡充や地域コミュニテイの交流、憩いの場等として再生する取組を進めようとしています。

 そこで、復興小公園の再生に当たっての都の考え方と、関係区との連携など、具体的な取組についてお伺いします。

答弁7
都市整備局長
 復興小公園の再生についてでございます。

 復興小公園は、関東大震災後の帝都復興計画により、震災の焼失区域に防災拠点等として整備され、後に復興のシンボルとなるとともに、都市公園のモデルになりました。

 都は、防災意識の啓発等につなげるため、震災百年の機会を捉え、本年度から小公園を再生する区を支援しております。具体的には、小公園の由来を説明する銘板などを関係区と共同で作成するとともに、パンフレットやイベント等を通じてPRを行っております。

 今後も、地域の防災性や都市の魅力のさらなる向上を図るため、関係区が行う小公園の再生を後押しし、震災百年のレガシーとして、人に優しくゆとりある空間を継承してまいります。

質問8
 次に、昨年十二月に開通した環状第二号線についてお伺いします。

 中央区築地五丁目から港区新橋四丁目までの約一・四キロメートルの区間の開通により、環状第二号線が全線開通しました。臨海部と都心部を結ぶ交通、物流ネットワークの強化、並行する晴海通りの渋滞緩和などが期待され、地元中央区にとっても長年にわたる悲願でありました。

 開通直後、地域からは、移動時間が短縮して便利になった、晴海通りの渋滞が緩和されたなどといった好意的な意見が多数寄せられています。

 東京都が先日公表した、開通から約六か月後の利用状況調査の結果は、築地まちづくり事業や晴海フラッグをはじめとする今後のまちづくりを進める上でも、極めて重要なデータであると考えます。

 そこで、改めて、環状第二号線築地―新橋間の開通により、どのような整備効果が得られたのか、見解をお伺いします。

答弁8
東京都技監
 環状第二号線の整備効果についてでございますが、本路線は、江東区有明から千代田区神田佐久間町に至る、延長約十四キロメートルの都市の骨格を形成する重要な幹線道路でございます。

 築地―新橋間の本線開通後の調査では、溜池交差点と豊洲市場前交差点間の所要時間が最大で三分の一に短縮され、並行する晴海通りの交通量も約二割減少いたしました。その結果、渋滞が大幅に緩和され、臨海部と都心部の連絡が飛躍的に強化されますとともに、避難ルートの多重化により防災性の向上にも大きく寄与しております。

 引き続き、東京の持続的な発展を支える重要な都市基盤である骨格幹線道路の整備を着実に推進してまいります。

ページの先頭へ


被災地支援

質問1
 次に、被災地支援の取組についてお伺いします。

 八月二十四日に東京電力福島第一原子力発電所においてALPS処理水の放出が始まりました。仮に風評被害が発生すれば、福島県をはじめ、着実に復興を遂げつつある東日本大震災の被災地が再びダメージを被ることになります。

 豊洲市場では、被災地の水産品について、取引量や価格などへの影響は、現時点では出ていないと聞いていますが、ALPS処理水の放出は約三十年かかると見込まれており、今後どのような形で風評被害が発生、拡大していくか分かりません。

 また、中国による水産物の全面輸入停止により、国内水産業は大きな打撃を受け始めています。

 東京都は、東日本大震災の発災直後から、被災地への様々な復興支援を行ってきました。

 そこで、今般の状況を踏まえ、水産物など、被災地産品の風評被害の抑制、払拭に一層取り組んでいくべきであると考えますが、見解をお伺いします。

答弁1
総務局長
 被災地産品の風評払拭の取組についてでございますが、被災地の復興を進めるため、大消費地である都が風評払拭に取り組むことは重要でありまして、これまでも様々な機会を捉え、被災地産品の魅力発信等を行ってまいりました。

 今年度、豊洲市場では、都と市場業界、被災地が連携し、被災地の水産物を販売する取組を行っております。

 また、現下の被災地の水産物を取り巻く状況を踏まえ、八月以降、都庁の職員食堂において、継続的に被災地の水産物などを取り入れたメニューを提供してございます。

 今後とも、こうした取組を通じて、被災地の復興を支援してまいります。

ページの先頭へ


教員の任用

質問1
 次に、産休、育業代替教員の前倒し任用制度についてお伺いします。

 都教育委員会は、全ての公立学校を対象に、産休等の開始時期にかかわらず、最大四か月前から代替教員の前倒し任用を可能とする新たな制度をスタートさせました。

 代替教員は、都教委が管理する代替教員の候補者リストから、各校が個別に人選、採用していましたが、着任のタイミングが合わず、人材確保が円滑に進められないケースが見受けられました。こうした状況を改善するために、これまで、産休、育業の最大二日前からとされていた採用時期のルールの見直しが行われました。

 今回、産休、育業の最大四か月前から前倒し任用をできるようにしたことで、人材の確保に加えて、十分な引継ぎ期間を設けることにより、前任と後任のスムーズな引継ぎ、児童の安心、安定的な教育環境を整えるなど、学校現場からは好意的な声が多数寄せられていると聞いています。

 そこで、産休、育業代替教員の前倒し任用の現在までの実績と、この制度を進めていく上で、安定的な人材確保が求められますが、その取組について見解をお伺いします。

答弁1
教育長
 産休、育業代替教員の前倒し任用についてでございますが、都教育委員会では、本年四月から国の制度を都独自に拡充し、全公立学校において産休等の開始時期によらず、最大四か月前から代替教員を前倒しで任用できることとしています。学校現場から高く評価する声が寄せられており、八月末時点での任用数は約六百四十名でございます。

 前倒し任用を安定的に行えるよう、TOKYO教育フェスタや転職フェアでの相談会の開催や、地方を含む電車広告、転職サイトへの募集案内の掲載などPRを推進し、代替教員の確保に努めております。

 こうした取組により、教員が安心して出産、育児に専念できる環境を整えてまいります。

ページの先頭へ


交通政策

質問1
 最後に、都心部における路上の荷さばきスペースの確保についてお伺いします。

 駐車場を持たない小規模店舗への集配送やタワーマンションへの配送など、都心部では、物流事業者の円滑な集配送業務に支障を来しています。

 東京都では、総合的な駐車対策の在り方を策定し、共同荷さばきのスペースの設置、貨物車用パーキングメーターの設置、路肩側の車道空間であるカーブサイドを多目的に活用するなど、一般の交通に影響を及ぼさないように対策を進めていますが、特に需要の高い都心部においては、警視庁と連携を深め、総合的な取組を加速させていく必要があります。

 一方、本年二月に警察庁交通局長より、貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しに向けた継続的な取組の推進について通達が発出され、貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直しの実施要領が示されました。

 そこで、都心部の荷さばきスペースの確保について、警視庁としてどのような認識を持たれているのか、見解をお伺いします。

 あわせて、都心部に多く設置されているパーキングメーターの貨物用スペースへの転用は有効であると考えますが、見解をお伺いいたしまして、質問を終わります。

答弁1
警視総監
 都心部における荷さばきスペースの確保についてでありますが、警視庁においても重要な施策であると認識をしており、商業地区を中心にパーキングメーター等に関する貨物車用駐車枠の設置を進めているほか、集合住宅の付近や中低層の小規模ビル等が密集する市街地等、貨物集配中の車両に係る駐車需要が高い場所について、駐車規制の緩和を進めております。

 引き続き、地域の物流実態や駐車需要、交通状況等を総合的に判断し、荷さばきスペースの確保に努めてまいります。

ページの先頭へ


ページ先頭に戻る