中小建設関連事業者の猛暑対策
発達障害の多摩地域での対応は

中小企業

質問1
 まずは、中小建設関連事業者の猛暑対策について伺います。

 この夏、東京都では、真夏日は合計で八十六日、気温三十五度以上の猛暑日は過去最多となる二十三日となり、熱中症警戒アラートも頻繁に発令されました。こうした酷暑の中でも、建設関連事業者は都民のインフラ整備に従事しています。

 都では、各局での工事に関して、熱中症予防対策を呼びかけるほか、共通仮設費の現場環境改善費にスポットクーラーの設置などの対策を講じていますが、異常な高温日が長期間にわたり続く中で、その対応は十分とはいえないと感じます。

 例えば、地元中小建設事業者からも、熱中症警戒アラート発表時には、発注者側から工事の中止やその費用の精算を制度化することなどの要望も届いています。よって、今後も猛暑が増えることを考慮し、暑さも災害との認識で対応する必要があります。

 中小建設関連事業者の働き方改革や高齢化などの現状も踏まえ、事業者に今年の猛暑の実態をヒアリングし、来年以降の対策につなげるべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁1
財務局長
 工事における暑さ対策のご質問にお答えいたします。

 毎年受注者に対し、計画的な予防対策等の徹底を求めるとともに、工期に影響する場合、延伸の協議が可能である旨を周知しております。

 対策費用につきましては、当初工事費への計上に加えまして、追加対策及び工期延伸に伴う経費につきましても、設計変更により対応をしております。

 これらの対策につきまして、各局と連携しながら、事業者団体との意見交換等の機会を通じ、実態の把握に努めてまいります。

 引き続き、熱中症対策につきましては、大手のみならず、中小の事業者の実態も踏まえた必要な対策の実施に最大限努めるとともに、手続におきましても、働き方改革に逆行することのないよう取り組んでまいります。

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環境政策

質問1
 次に、中小事業者の省エネ促進について伺います。

 東京都は、二〇五〇年までに、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするゼロエミッション東京の実現、二〇三〇年までに五〇%削減するカーボンハーフという目標を掲げています。

 中小事業者の省エネ促進は、地球温暖化対策だけではなく、燃料高騰対策としても重要です。すなわち、事務所、工場などへの省エネ機器の導入に向けては、省エネセミナーの開催や設備導入の補助、専門家による助言など、中小企業を後押しする支援の強化が求められています。

 これらの支援内容も拡充されてはいますが、補助制度の活用に利用される省エネ診断の申込みが殺到し、実際の診断まで多くの日数がかかっているとも聞いています。よって、省エネ改修等の円滑な補助申請の診断体制の整備とともに、補助を活用しない場合も、効果的な省エネ対策につなげることが重要です。

 そこで、省エネ診断の効果や現在の申請状況、円滑な実施に向けた対応について伺います。

答弁1
産業労働局長
 省エネ診断の実施についてでございますが、中小企業が電気等のエネルギーを効率的に使えるよう、都として省エネ診断を円滑に実施をすることは重要でございます。

 これまで都は、中小企業に専門家が出向き、現場の状況を把握し、効果の高い省エネの方法を提案することで、平均で二割程度のエネルギー使用量の削減につなげてきたところです。

 中小企業の省エネ対策ニーズの高まる中、診断の申込みも増加をしており、今年度から体制を拡充するほか、新たに民間事業者が現場で調査や提案を行う取組を開始したところでございます。

 これらによりまして、省エネ診断を確実に進め、その提案に基づく設備導入の後押しも図り、中小企業の省エネを促進いたします。

質問2
 次に、水素ステーションの整備について伺います。

 水素エネルギー普及に向けては、燃料電池自動車の導入促進が必要です。しかし、配送業者やバス事業者などからは、補助金を活用して導入したくても、多摩西部など地域によっては水素ステーションが不足しているため、導入に踏み切れない事業者もいるそうです。

 都では、二〇三〇年の目標として、乗用車新車販売一〇〇%非ガソリン化を目指すとともに、水素ステーションも百五十か所を整備するとのことですが、現在設置済みの水素ステーションは僅か二十二か所にとどまっています。

 そこで、都内の水素ステーションが不足する地域において、どのように確実に増やしていくのか都の見解を伺います。

答弁2
産業労働局長
 水素ステーションの整備についてでございますが、脱炭素社会の実現につながる燃料電池車の普及に向け、水素供給を担うステーションの整備を図ることは重要でございます。

 これまで都は、事業者が水素ステーションの土地の借り上げや、機器の購入に当たり必要となる経費やその運営に係るコストに対し助成を行ってまいりました。また、用地の確保を円滑に進めるため、都有地の提供なども行っております。

 そうしたステーションの整備を促進する必要のあるエリアについて、今年度、これまでの支援に加え、事務スペースとして利用する建物や屋根なども対象に含め、助成制度の充実を図ったところでございます。これらによりまして、今後の水素の需要拡大に合わせ、水素ステーションの整備を促進いたします。

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多摩振興

質問1
 次に、多摩のまちづくり戦略について伺います。

 本年内に取りまとめる多摩のまちづくり戦略は、「未来の東京」戦略などを上位計画として、地元自治体の都市計画マスタープランへ取組を反映させ、まちづくりを推進するとしています。

 人口約四百三十万人が暮らす多摩地域は、二十六市三町一村で構成される多面性を持ち、緑豊かな自然や魅力ある伝統文化をはじめ、大学や研究機関も立地しています。同時に市街地の再開発やニュータウンの再生、過疎化対策など、区部とは異なる特色や課題、ポテンシャルを有しています。

 都はこれまでも、平成二十一年に多摩の拠点整備基本計画を策定し、多摩地域のまちづくりに取り組んできました。今回、約十五年ぶりに改定し、地元自治体との意見交換を踏まえ、多摩のまちづくり戦略を策定するとのことですが、その目的について改めて知事に伺います。

答弁1
知事
 多摩のまちづくりの戦略についてのお尋ねがございました。多摩地域は、都心へのアクセスのよさ、企業や大学の集積など、多様な魅力やポテンシャルを有しています。

 地域の発展に向けましては、拠点づくりを進めるとともに、交通基盤を生かしましたまちづくりに取り組むということが重要です。

 コロナ禍などの社会状況の変化も踏まえまして、都は、ハード、ソフトの両面から、まちづくりの方針を今年三月に示したところでございます。

 地元自治体と連携を図るとともに、多様な意見も踏まえながら、年内に多摩のまちづくり戦略を取りまとめまして、魅力あふれる多摩の実現に向けて取り組んでまいります。

質問2
 また、本年三月に基本的考え方を公表した中で、新たな支援策として、公民学連携まちづくりプラットフォームを構築し、各自治体が抱えるまちづくりの課題解決を支援するとしています。

 これは使いやすいものとすることが重要ですが、プラットフォーム構築の意義とその運用及び活用方法について都の考えを伺います。

答弁2
都市整備局長
 プラットフォームの意義などについてでございます。

 社会情勢や価値観の変化等により、まちの抱える課題は多様化しており、その解決のためには、大学や企業、NPOなど様々な主体と連携を図ることが重要でございます。

 今回、都が構築する公民学連携プラットフォームは、様々な主体が持つ専門性や強みを組み合わせて、まちづくりを促進する仕組みでございます。

 課題解決に資する技術やノウハウ等を有する団体を地元自治体とマッチングさせるなど、地元自治体のまちづくりを支援してまいります。

質問3
 次に、多摩地域のものづくり産業支援について伺います。

 多摩地域のものづくり企業は、自社の技術を生かして新しい製品を開発、製造し、地域経済を支え続けており、大変重要な役割を担っています。しかし、統計を見ると、多摩地域の製造業事業者数や出荷額も減少傾向となっています。

 その減少要因は、他県と比較し土地代が高く、工場拡張が困難なことや周辺の宅地化が進み、騒音など近隣対策の大変さなどが考えられます。また、工場拡大の意向があっても適地が見つからず、都外へ移転するケースも散見されます。この状況が続けば、地元経済や雇用、自治体の税収などの点から悪影響が出ることは確実です。

 よって、市町村によるものづくり産業の活性化に向けた取組を支援するとともに、企業の事業基盤である土地や立地に関するサポートが重要と考えますが、見解を伺います。

答弁3
産業労働局長
 多摩地域のものづくり産業への支援についてでございますが、多摩地域の経済と雇用を支える上で、ものづくり産業の集積の維持と発展を図ることは重要でございます。

 このため、都は、地域の産業の実情に詳しい市町村と連携し、工場の立地を促進する取組のほか、地域社会との共存に向けた企業による騒音や振動を抑える環境整備等に支援をしております。また、都内での開業や事業の拡大などに向け、土地や建物の確保を希望する企業に対し、物件情報を紹介するなど、立地に関する相談をワンストップで対応をしているところです。

 これらによりまして、多摩地域のものづくり産業の振興を図ってまいります。

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下水道施策

質問1
 次に、流域下水道への単独処理区の編入について伺います。

 高度経済成長期には、下水道の普及が追いつかず、多摩川の水質が悪化しましたが、その後、流域の水再生センターにより、順次下水処理が開始され、今では子供や大人が親しめる憩いの場となるほど水質が大きく改善されました。

 一方で、流域下水道ができる以前に市が単独で整備した処理場は、敷地が狭く、施設の更新が困難などの理由から、都の水再生センターへの編入を進めています。

 今年度は、立川市の単独処理区の編入に向けて施設整備が進んでいるとのことですが、その進捗状況と効果について伺います。

答弁1
下水道局長
 立川市単独処理区編入の進捗と効果についてでございますが、単独処理区の下水を受け入れるため、都は北多摩二号水再生センター内の施設整備を着実に進め、現在、下水の受入れに向けた運転調整を行っており、市は流入幹線の整備を進め、仕上げ工事を行っております。

 この編入によりまして、市の処理場を更新した場合に比べ、整備費が大幅に縮減されるほか、高度処理による多摩川の水質改善など、水環境のさらなる向上を図ることができます。また、強靱化の観点においても、施設の耐震性の向上や多摩川対岸の浅川水再生センターとの連絡管による震災時のバックアップ機能が確保されます。

 今後も、地元市と緊密に連携し、今年度中の編入完了を目指してまいります。

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障害者支援施策

質問1
 次に、大人の発達障害への対応について伺います。

 小中高校の通常学級に通う発達障害を持つ児童生徒は、年々増加している一方で、大人になって発達障害であったことが判明するケースが増えています。社会人になっても、単純なミスを繰り返す、人間関係がうまくいかないなど、生きづらさや悩みを抱える方も多いそうです。

 昨年の第四回定例会で、大人の発達障害に対して、悩みを抱える当事者への支援や相談窓口の充実について知事へ質問したところ、今年一月から、医療面でのサポートも含めて、成人期向けの専門相談に対応するとの答弁がありました。

 その結果、大人向けの相談窓口、都発達障害者支援センター、おとなTOSCAを開設し、約八か月が経過しましたが、相談や支援の状況はどうなっているのか伺います。

答弁1
福祉局長
 発達障害のある方への支援についてでございます。

 都は、東京都発達障害者支援センター、TOSCAを運営し、発達障害のある方やその家族等からの相談を受けるほか、地域の関係機関等への助言などを行ってまいりました。

 近年、成人期の方からの相談も増加しているため、本年一月、これまでのTOSCAを乳幼児期や学齢期等向けのこどもTOSCAとし、医療面でのサポートを充実した成人期向けのおとなTOSCAを新たに開設いたしました。

 おとなTOSCAには、これまで千五百件を超える相談が寄せられ、地域の医療機関の紹介などを行っておりまして、引き続き、発達障害のある方が、安心して地域で暮らせるよう、切れ目のない支援に取り組んでまいります。

質問2
 また、十八歳未満に対するこどもTOSCAは世田谷区に、そして、このおとなTOSCAは文京区に設置されています。子供も大人も発達障害に関する相談の増加や支援の必要が増す中で、多摩地域の対応はどうするのか伺います。

答弁2
福祉局長
 多摩地域における発達障害の相談機能についてのご質問でございます。

 現在、区部に設置しております東京都発達障害者支援センター、こどもTOSCAとおとなTOSCAでは、都内全域からの相談を受け付け、身近な地域の医療機関や福祉サービスの紹介などを行っております。

 今後は、相談の状況などを踏まえながら、多摩地域にお住まいの方が、より気軽に相談できる機会の提供についても検討してまいります。

 引き続き、発達障害のある方やその家族が、身近な地域で適切な支援が受けられるよう取り組んでまいります。

質問3
 次に、強度行動障害への支援について伺います。

 強度行動障害とは、強い自傷、他傷、物壊し、異食などが、通常考えられない頻度や形で起こり、本人や周囲の人の暮らしに大きな影響が生じる著しく処遇困難な状態像を指すそうです。

 国の検討会の資料では、強度行動障害として何らかの支援の対象と考えられる方は、全国で延べ六万九千人となっており、都内では延べ約七千人が存在するそうです。専門医によりますと、強度行動障害児者への対応は、今の考え方では入院や施設に入れればよいということではなく、入院、入所はあくまでも短期が前提です。つまり、自宅、地元で過ごすことを第一に、一時的な入院、入所を考えることです。

 国では、十年ほど前から、現場スタッフの研修会開催を呼びかけており、福祉、医療、教育などの連携が不可欠ですとのことでした。そして、強度行動障害の状態にある人に対しては、個々の特性に応じた関わり方や環境調整などの適切な支援を継続的に提供することが必要とのことです。

 また、家族団体からは、生来の障害ではない強度行動障害は学齢期に発現することが多いとされており、強度行動障害を生まない教育環境や指導方法が求められているとの声も寄せられています。よって、強度行動障害については、東京都での実態把握や福祉、医療、教育との連携、特にスタッフのスキルアップなどの課題が存在しています。

 現在、障害者施策に関する基本計画となる東京都障害者・障害児施策推進計画の改定作業が行われています。改定に当たり、強度行動障害を有する方への今後の支援について都の見解を伺います。

答弁3
福祉局長
 強度行動障害を有する方への支援についてのご質問でございます。

 都は、障害福祉サービス事業所等の職員を対象に、強度行動障害に関する研修を行うなど、支援力向上に資する取組を進めております。

 次期障害福祉計画の策定に向けた国の基本指針では、自治体に対し、強度行動障害に関する支援ニーズを把握するとともに、支援体制の整備を行うよう求めております。

 このため、都は、区市町村を通じ、地域における支援の取組状況等を把握するとともに、学識経験者や当事者のほか、福祉、医療、教育関係者も参加する東京都障害者施策推進協議会での議論も踏まえまして、支援の充実について検討してまいります。

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東京ささエール住宅の専用住宅

質問1
 最後に、セーフティーネット住宅について伺います。

 住宅にお困りの高齢者や障害者などの居住の安定を図るため、都は、住宅確保要配慮者の入居を拒まない、いわゆる東京ささエール住宅のうち、要配慮者のみ入居できる専用住宅の登録促進に向けて、貸主等への補助制度を設けています。

 しかし、不動産関係団体からは、登録が十分に進まないため、住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会の国の議論を踏まえ、居住支援のさらなる充実に取り組むべきとの声も上がっています。

 よって、国の制度改善の状況も踏まえながら、専用住宅のさらなる登録促進に向けて、都としても必要な取組を一層進めるべきと考えますが、見解を伺います。

 以上で私の一般質問を終わります。

答弁1
住宅政策本部長
 東京ささエール住宅の専用住宅についてでございますが、貸主が高齢者等を受け入れる際の不安を軽減し、専用住宅の登録を促進するには、居住支援の充実が必要でございます。

 都は、不動産関係団体の要望も受けまして、今年度から、居住支援法人等応援事業を開始し、サブリース方式による専用住宅の提供等を行う法人を支援しております。

 今後、個々の法人への働きかけを強化し、本事業の利用を促すとともに、現場の実態を踏まえ、居住支援の一層の充実を図ってまいります。あわせて、国に対し、貸主が活用しやすい制度に改善するよう要望してまいります。

 こうした取組によりまして、専用住宅のさらなる登録促進を図ってまいります。

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