都市部・臨海地域地下鉄構想は
東京BRTプレ運行2次開始は

都市づくり

質問1
 初めに、都心部・臨海地域地下鉄構想についてお伺いします。

 同構想は、東京駅を起点として、有明・ビッグサイトまで、約六キロの区間に七駅、概算事業費約四千二百億円から五千百億円、二〇四〇年代前半の開業を目指す事業計画案が公表されました。

 昨日の都議会自民党の代表質問に対して、計画のブラッシュアップと事業主体の検討に着手するなど、本路線の早期事業化に向けた取組を加速していくとの知事の考えが示されました。

 事業計画案では、今後、常磐新線TX延伸との接続、羽田空港との接続を検討されるとのことですが、この地下鉄の事業性の向上はもとより、ひいては、臨海部と都心部をつなぐ新たなにぎわいの軸が形成されるとともに、都心の魅力と活力の向上に向けて、日本の持続的な成長へと資するものと考えます。

 そのためには、まず、東京駅から仮称有明・東京ビッグサイト駅までの区間について、中央区をはじめとする沿線区との連携を深めて、検討を進めていく必要があります。

 そこで、今後、都はどのように取り組んでいくのか、知事の見解をお伺いします。

答弁1
知事
 都心部・臨海地域地下鉄についてでございます。

 将来にわたり、東京が持続的に発展をし、日本全体の成長を牽引するためには、鉄道網の充実が不可欠であります。

 本路線は、都心部と臨海部とをつなぐ基幹的な交通基盤、いわば背骨としての役割が期待されております。

 昨年九月から、国の参画も得た事業計画検討会におきまして検討を進め、先月、ルートや駅の位置を含めました事業計画案を取りまとめたところでございます。

 この事業計画案を基にいたしまして、今後、都は、中央区などの沿線区と検討の場を設けまして、沿線開発等のまちづくりと連携した検討を深めるなど、計画のブラッシュアップを行いまして、本路線の事業化に向けた取組を加速してまいります。

 この地下鉄の実現によって、都心部と今後の開発が見込まれます臨海部が一体となって、東京や日本を牽引するエリアの発展につなげてまいります。

質問2・質問3・質問4
 次に、東京BRTについてお伺いします。

 東京BRTは、交通アクセスが不便な臨海部と都心を結ぶ交通機関として、従来の路線バスより停留所を少なくすることにより、速達性、定時性と輸送力を備えた新しい輸送システムとして大きな期待が寄せられています。

 現在は、虎ノ門ヒルズから新橋を経て晴海に至るルートでプレ運行一次を行っていますが、当初予定されていたプレ運行二次は、コロナ禍や東京二〇二〇大会延期の影響、さらには、停留所工事の入札不調により大幅な延期になりました。

 こうした状況の中、本年十二月十八日には、臨海部と都心部を結ぶ大動脈、環状第二号線が全線開通します。

 そこで、臨海部における交通需要が増加する中、BRTは主要交通機関として早期運行が強く求められていますが、プレ運行二次の開始に向けた取組について、そして、令和六年春、晴海五丁目まち開きのスケジュールに合わせた本格運行への取組について、さらには、東京駅へ直結する新ルートについて、早急に検討を進めるよう強い要望が寄せられていますが、見解をお伺いします。

答弁2
都市整備局長
 東京BRTのプレ運行二次の開始に向けた取組についてでございます。

 東京BRTは、東京の輸送システムとして、東京ベイエリアの発展を支える重要な公共交通機関であり、令和二年十月にプレ運行一次を開始いたしました。その後はプレ運行二次に必要となる停留所の整備や運行開始に向けた調整を進めてきており、先月、停留所の整備がおおむね完了し、先週、運行事業者が運行に必要な認可申請を行ったところでございます。

 引き続き、プレ運行二次の開始に向けて、運行事業者等と連携して着実に取り組んでまいります。

答弁3
都市整備局長
 本格運行に向けた取組についてでございます。

 本格運行では、運行本数や系統数を増やして利便性を高め、選手村跡地である晴海五丁目西地区の再開発等にも対応することとしております。

 現在、晴海五丁目西地区では、BRTの停留所が設置される道路やマルチモビリティーステーションの整備を行っております。

 今後、国道一五号新橋駅前交差点におきましても、運行の拡大への対応や速達性の向上を目的とした道路の改良工事を進めてまいります。

 令和六年春の晴海五丁目西地区のまち開きに向け、こうした取組を着実に進め、本格運行を実施してまいります。

答弁4
都市整備局長
 東京駅方面へのルート延伸についてでございます。

 東京BRTは、開発が進む臨海地域での交通需要に速やかに対応していくこととしております。

 都といたしましては、まずは今後、事業計画に位置づけたプレ運行二次及び本格運行を実施し、その後、事業計画において検討路線と位置づけられた東京駅、銀座方面等へのルート延伸について検討を進めてまいります。

質問5
 次に、環状第二号線の開通についてお伺いします。

 今月十八日に開通を控える、環状第二号線の築地—新橋間をつなぐ本線トンネルは、当初、二〇二〇年夏には開通し、都民の活発な都市活動を支えるとともに、オリンピック・パラリンピック東京大会の輸送を担う主動線になる予定でした。

 市場移転等の影響により、開通が二年以上も遅れたことは極めて残念ですが、今月十日に開催されるウオーキングイベントには定員を大きく上回る参加希望が寄せられるなど、開通に向けた機運が高まっています。

 今回区間の開通は、私の地元である中央区にとっての悲願であり、港区、江東区など関係する自治体からも大きな期待が寄せられています。今後の東京の都市づくりを見据える上でも非常に重要な意味を持っています。

 そこで、環状第二号線の築地—新橋間の本線が開通することにより、どのような効果があるのか、都の見解をお伺いします。

答弁5
東京都技監
 環状第二号線の開通に伴う効果についてでございますが、環状第二号線は、江東区有明から千代田区神田佐久間町に至る約十四キロメートルの骨格幹線道路でございまして、今月十八日の築地—新橋間の本線開通により、路線全線での開通が実現いたします。

 本区間の開通により、災害時における避難路の多重化や晴海通り等の混雑緩和が図られるとともに、今後の築地地区まちづくり事業の推進にもつながります。

 また、本路線は、臨海部と都心部の連絡を強化し、晴海地区などにおいて見込まれる人口増加への対応や東京ベイeSGプロジェクト等、臨海部のまちづくりを支える都市基盤として重要な役割を果たします。

 引き続き、東京の持続的な発展を支える骨格幹線道路の整備を積極的に推進してまいります。

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高次脳機能障害者の支援

質問1
 次に、高次脳機能障害者の支援についてお伺いします。

 東京都では、心身障害者福祉センターを拠点として、専用電話による相談、人材育成、支援ネットワークの構築など、高次脳機能障害者に対する支援事業を展開しています。

 一方、区市町村においても、専門相談、交流会の開催など、独自の取組を行っていますが、その内容は様々であり、東京都が実施している制度への職員の習熟度も必ずしも十分ではないといわれています。

 こうした中、東京都では、心身障害者福祉センターや区市町村、地域の医療機関、就労支援機関などで構成する検討会、定期的に行う実態調査などにより、諸課題の把握に努め、地域支援ネットワークの構築を進めています。加えて、当事者である患者や家族がどんな悩みを持ち、何を困り、どのような支援を望んでいるのかという視点に立ち、支援策の充実を図っていくことが肝要です。

 そこで、支援事業を、患者、家族の立場に寄り添い、より充実させていくために、地区ごとに構成された当事者、家族会等との連携を深めていく必要があると考えますが、見解をお伺いします。

答弁1
福祉保健局長
 高次脳機能障害者への支援体制についてでございますが、高次脳機能障害者やその家族が抱えるニーズは、福祉、医療、就労など多岐にわたるため、関係機関が連携し、当事者に寄り添いながら支援することが重要でございます。

 このため、都は、高次脳機能障害者支援促進事業により、身近な地域で様々な相談に応じ、医療機関や就労支援センター等と連携し、適切な支援につなげる体制整備に取り組む区市町村を支援してございます。

 今後、区市町村との連絡会などで、当事者と関係機関とのネットワークづくりや家族会の立ち上げ支援などの先行事例を紹介することにより、区市町村に対し、支援促進事業を活用した効果的な取組を促し、地域における支援体制を充実してまいります。

質問2
 また、区市町村における支援事業の充実、取組の均質化に向けて、東京都としても積極的に関わりを持つ必要があると考えますが、併せて見解をお伺いします。

答弁2
福祉保健局長
 高次脳機能障害に係る区市町村の取組についてでございますが、現在、都の高次脳機能障害者支援促進事業を四十五区市町が実施しているほか、都の支援拠点である東京都心身障害者福祉センターや、二次保健医療圏ごとのリハビリ中核医療機関では、区市町村職員に対する専門的助言や研修などを行ってございます。

 また、都は、地域で相談支援を担う職員や教職員などを対象とした研修や、支援ポイントをまとめたハンドブックの作成、配布などにより地域での取組を支援してございます。

 今後、支援促進事業を実施していない自治体に積極的に働きかけるほか、都のセンターや、中核医療機関による地域の体制整備に向けた支援をさらに進め、区市町村の取組を推進してまいります。

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安全・安心政策

質問1
 次に、建設関係車両待機駐車問題についてお伺いします。

 都内各地において大規模再開発事業が進行する中、建設現場への資機材搬入車両の現場周辺での待機駐車は、駐車車両を原因とする交通渋滞の発生や死亡事故の発生、駐車車両、渋滞車両の排出ガスによる周辺地域の環境悪化など、長年にわたる深刻な社会問題になっています。

 一方、搬入業者は、工事現場へ指定時刻での搬入が求められることから、その時刻に合わせるために現場周辺での待機駐車を余儀なくされます。

 こうした中、警視庁では、取締りを強化することだけではなく、問題解決に向けて、積極的な取組を進めていると聞いています。

 今後も様々な大規模開発が予定されている中、問題解決のためには、事業者、工事業者、行政機関が連携を図り、解決策を見いだしていかなくてはなりません。

 そこで、工事関係車両待機駐車問題について、どのような現状認識を持たれているのか、また、具体的に今後どのような取組をなされていくのか、警視総監の見解をお伺いします。

答弁1
警視総監
 工事関係車両の路上待機に関する取組についてでありますが、現場入場待ちの路上待機車両は交通事故の原因となるほか、アイドリングによる環境への悪影響も指摘されており、対応に当たっては行政機関や事業者等との連携が不可欠であります。

 警視庁では、工事実施前に事業者が行う安全講習会等において路上待機の防止を要請しているほか、工事中に路上待機車両が認められた場合には、現場責任者等に対して、現場入場時間を考慮した出発時間の見直しなど具体的な申入れを行っております。

 今後も事業者等に対して路上待機の防止を要請するとともに、待機車両の現状や問題点について関係機関と情報を共有するなど、連携を強化してまいります。

質問2
 次に、自転車利用者の交通違反に対する取締りの強化についてお伺いします。

 都内の交通人身事故総件数のうち、自転車事故の占める割合は近年増加傾向で、昨年度では約四割を超えるまでになりました。

 自転車が加害者となる事故が相次ぐ中、自転車の法令違反に向けられる都民の目も厳しくなっており、特に赤信号無視や一時不停止など重大な事故につながりかねないケースも増えており、取締りに対する要望も増えていると聞いています。

 こうした事態を受けて警視庁は、十月末から、信号無視、一時不停止、車道の右側通行、徐行しない歩道通行の四つの違反で悪質な場合は赤切符を交付する措置を始めたとのことですが、自転車利用者には道路交通ルールの認知不足も見られるようです。

 そこで、不幸な自転車交通事故を減らすため、交通安全教育や広報啓発活動のさらなる推進と悪質な取締り活動の強化に向けて、警視庁全体で取り組むべきと考えますが、見解をお伺いします。

答弁2
警視総監
 自転車の交通事故を減らすための取組についてでありますが、都内の交通人身事故総数に占める自転車関与事故の割合は四割を超え、自転車側の法令違反が認められる事故も多いことから、自転車利用者に交通ルール遵守を促すことが重要であります。

 そのため、警視庁では、小中学校やフードデリバリー事業者等と連携した交通安全教育、各種キャンペーンやSNS等を通じた広報啓発などを行っているほか、本年十月末から重大事故に直結する信号無視等の交通違反取締りを強化しております。

 今後も、これらの交通安全教育等を推進するとともに、悪質な交通違反の取締りを徹底するなど、自転車の交通事故を減らすための取組を警視庁全体で一層推進してまいります。

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災害対策

質問1・質問2
 次に、消防活動におけるドローンの活用についてお伺いします。

 大規模災害、常時発生する火災、山岳遭難などの捜索救助活動等に対して、ドローンを活用した俯瞰的視点からの情報収集は、人の近づけない場所や目に見えない場所の状況把握などに非常に有用です。

 本年四月現在、全国にある七百二十四消防本部のうち、約六〇%に当たる四百二十九本部に計五百八十一機のドローンが配備されています。一方、消防団への配備は、昨年十二月時点で全消防団の一・八%、計六十機にとどまっていることから、総務省消防庁は本格的に消防団へ導入する方針を明らかにしました。

 消防団員に対する講習を消防学校にて実施し、基本的な操縦方法、撮影画像を基にした対処方法などを訓練するとともに、ドローンを消防団設備整備費補助金の対象として、普及促進を図るとしています。

 他方、ドローンは航空法上の無人航空機に該当することから、航空法による飛行禁止区域や遵守しなければならないルールが定められています。加えて、都市機能が集積する二十三区では、高い安全性の確保が求められます。

 そこで、東京消防庁におけるドローン運用についての基本的な考え方並びにこれまでのドローンの運用状況と、特別区消防団へのドローンの配備について、消防総監の見解をお伺いします。

答弁1
消防総監
 ドローンの運用の考え方についてでございますが、効果的な消防活動を行うためには、災害の初期段階から的確に情報を収集し、災害実態を把握することが重要でございます。

 ドローンは機動性が高く、迅速かつ継続的に上空から災害状況を把握することができ、市街地火災や林野火災など、被害が広範囲に及ぶと予測される災害や、要救助者の検索が困難な現場等における消防活動の方針決定などに極めて有効でございます。

 今後も、震災等の大規模災害時に備え、ドローンのさらなる有効活用について検討を進めてまいります。

答弁2
消防総監
 ドローンの運用状況等についてでございますが、東京消防庁では、現在、即応対処部隊などに計十五機のドローンを配置し、令和三年二月の青梅市で発生した林野火災における延焼範囲の特定をはじめ、水難救助や山岳救助での人命検索などに活用し、大きな効果を上げております。

 特別区消防団へのドローンの配備につきましては、消防団活動の基本が、消防署隊との連携による消火及び人命救助活動であることから、現時点で想定しておりませんが、消防活動面における有効性について、継続して検討してまいります。

 今後も、セーフシティの実現に向け、消防隊と消防団とのさらなる連携強化を図り、効果的な消防活動の展開に努めてまいります。

質問3
 最後に、機能別団員制度の運用についてお伺いします。

 機能別団員制度は、消防団員の負担軽減や消防団活動に参加しやすい環境を整備するために、特定の任務や活動に従事することを役割として創設され、本年四月一日現在、東京消防庁では四十二団で運用されています。消防団員の定員割れ、高齢化、新規入団者が減少する中、消防団の活動を補完する役割として大きな期待が寄せられています。

 愛媛県松山市消防団では、郵便配達業務により地域の状況にたけた郵便局員との連携を図り、災害情報、被災情報、住民情報などについて災害対策本部へ情報提供を行う郵政消防団員部隊、ファイヤーポストマンチームを設置し、注目を集めています。

 一方、東京地方郵便局長会においても、日頃の郵便業務等を通じて地域事情に精通していることから、災害発生時に自治体の防災活動を支援するため、所属する郵便局長約千名が防災士資格を取得し、特別区六区で防災ボランティアに登録するなど、いざという災害に備えています。

 そこで、こうした防災への取組を行っている事業所に対して、機能別団員としての入団促進を図ることは、制度のより効果的な活用につながると考えますが、見解をお伺いして、質問を終わります。

答弁3
消防総監
 事業所に対する入団促進についてでございますが、特別区消防団の充足率向上には、地域に精通した事業所等への働きかけも重要であると認識しております。

 そのため、一例として、総務省消防庁からの通知を踏まえ、日本郵政株式会社に対する入団への働きかけを行っており、現在では、郵政職員の団員が五十三名、郵便局の消防団協力事業所は四事業所となっております。

 また、機能別団員制度は、入団促進に一定の効果を上げており、五百十七名が応急救護指導や広報など、地域における消防団活動において重要な役割を果たしております。

 引き続き、郵便局や各事業所に対して、機能別団員制度等の周知を図り、消防団と連携したさらなる入団促進に努めてまいります。

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