大学連携でウクライナ支援を
パーキングエリアに充電器を

ダイバーシティ

質問1
 一九五六年、今から六十六年前、当時、外務大臣であった重光葵氏は国連総会において、国連加盟受託演説で次の言葉を残しました。

 いずれの国家も自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は普遍的なものであり、この法則に従うことは自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務である。

 ロシアがウクライナに侵攻した僅か半月後、三月十二日にポーランドが施行したウクライナ難民支援法は、重光大臣の表明した各国の責務を文字どおり体現するものでありました。

 この法律の根幹は、ウクライナ人避難民に対し、隣国ポーランドがパスポートを所持していない避難民でも受け入れ、ポーランド人同様の医療、育児、教育をウクライナ避難民に保障するといったものであります。

 法が避難民を導き、法が避難民を守り、法が避難民に人権を約束したものであり、難民にとっては法律の人道回廊、ポーランド人にとっては支援の行動規範となりました。

 国際情勢は不安定です。今後いつ日本の周辺国でも大量の難民が発生するとも知れません。そうした事態に対処できるように、都は国と共に難民受入れの想定をしておくべきであります。

 先日、私は、港区にあるウクライナ大使館を訪れ、公使と意見交換を交わしてまいりました。公使からは、今後、復興に向けた交流が重要との言葉を預かりました。日本への難民支援に加えて、日本人とウクライナにとどまるウクライナ人との交流は、現地で必要な物資、支援を知ることになるばかりか、雨天の友として両国友好の礎になるものと確信をいたします。大学交流もその一つです。

 現在、東京都立大学では、日本に避難している学生一名を受け入れ、支援していると聞いていますが、より一層の現地と連携した取組が重要です。

 例えば、都立大学がウクライナ国内の大学と連携すれば、文化交流を通じて学生相互の理解が深まり、必要な支援の輪が広がるものと考えます。都立大学とウクライナ国内の大学連携の在り方について、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 ウクライナの大学と都立大学との連携についてのお尋ねであります。

 世界を舞台に活躍できる人材の育成を図る上で、学生が異なる文化や価値観に触れ、その多様性について理解を深めることは重要です。このため、都立大学では、世界各地の大学と連携しまして、交換留学など学生同士の国際交流を進めてまいりました。

 現在の連携先にウクライナの大学は入っておりませんが、現地との交流などを通じまして、大学同士の関係をつくることは、学生の異文化理解を促すほか、国際情勢に対するアンテナを広げるなどのメリットがございます。

 ウクライナ情勢は依然として緊迫しております。まずは、大学の置かれた状況や支援のニーズを把握する必要があります。このため、在日ウクライナ大使館の協力をいただきながら、現地大学とのチャネルを開設してまいります。

 都としましても、こうした国際的な連携を目指す都立大学の取組を後押ししてまいります。

質問2
 都は、ウクライナ人避難民に対する積極的な支援を行ってまいりました。私たち都民ファーストの会の要望を受け止め、都営住宅における光熱水費の無償化、Wi-Fiの提供、都営地下鉄線の無料化などを進めてきたことに敬意を表します。

 一方で、日本語を聞き取れないウクライナ人の子供たちは、日本の学校での学習などについていけず、孤立してしまう傾向にあります。

 国は、こうした避難民に対し、地域の日本語教育機関などを利用した際の費用を補助すると表明していますが、支援情報が周知されておらず、利用件数が限られているのが実態であります。避難民と日本語教育機関の連携強化のためにも、都の役割が不可欠です。

 都内にある約二百五十校の日本語学校は、これまで国が所管する教育施設であり、都との連携はほとんどありませんでした。しかし、避難民に限らず、外国人就労者の子供の数が増加している今、都と日本語学校の連携は欠かせません。

 都は、こうした状況を踏まえ、地域の日本語学校などと連携し、生活や学習に支障を来す外国人の子供への日本語習得支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。

答弁2
生活文化スポーツ局長
 外国人の子供への日本語習得支援についてでございますが、東京に在住する外国人の子供が安心して暮らすためには、日本語を学べる環境が重要でございます。

 都は今年度、区市町村や区市の国際交流協会などと、地域における日本語教育の在り方について検討を始めたところでございます。

 検討会におきましては、初めて日本語を学ぶ方への支援体制が、地域によっては整っていないなどの課題が指摘されております。

 そこで、日本語教育のスキルやノウハウを持っている日本語学校の関係者に新たに検討会に参加をいただき、地域における、より実効的な体制構築を目指してまいります。

質問3
 また、国や基礎自治体との連携窓口を担うために、都に日本語学校を所管する担当課を設けるべきことを要望いたします。

 労働市場においても外国人の存在は重要です。特に、二〇二五年には三万一千人の介護人材不足が見込まれる東京において、日本人同様の語学力と国家資格である介護福祉士資格を有する外国人介護福祉士の存在は、介護業界から注目をされています。

 国は既に介護福祉士資格の取得を目指す外国人留学生に対して、留学費用などを負担する介護施設などを対象に、留学費用など三分の一を助成する仕組みを設けており、都もこの助成事業を実施しています。

 しかし、この助成金を利用したのは、昨年度、都内留学生など十五名にとどまっています。

 一方で、千葉県は、この国の助成事業に上乗せ補助を行い、留学生などを受け入れる介護施設などの負担を三分の二から二分の一負担へと軽減をしています。千葉県の上乗せ助成は日本の介護事業者から大いに歓迎をされ、深刻な介護人材不足の救世主になるものと期待をされています。

 そこで、東京都は、外国人介護従事者の受入れを行う介護事業者への支援の拡充を図るべきと考えますが、都の所見を伺います。

答弁3
福祉保健局長
 外国人介護従事者の受入れ支援についてでございますが、都は、介護福祉士の資格取得を目指す留学生を雇用し、学費や居住費等を支給する介護施設等に対して、国制度を活用して補助をしております。

 しかし、国の定める補助率は、他の外国人介護従事者向け補助事業と比べて低いため、介護施設等の負担が大きく、活用が進んでいないことから、先般、国に対し、補助率の引上げを提案要求いたしました。

 また、介護施設経営者等に対するセミナーや指導担当者向け研修会、個別相談会を開催し、受入れに必要な知識やノウハウの提供なども行っております。

 今後、外国人介護従事者の円滑な受入れが進むよう、支援策の拡充について検討してまいります。

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保育・教育

質問1
 幼児教育について伺います。

 幼児教育の重要性については、既に小池知事が何度も言及されてきたこともあり、都民の共通認識にもなっています。

 国は、平成二十九年に規制改革として、保育料とは別に料金を徴収できる多様な保育の実施を都道府県に通知しています。

 しかしながら、保育の実施主体である区市町村では、具体的な基準などが明確になっていないことから付加的保育への対応に苦慮しており、国の通達から五年近く経過する中、実施を認めているのは数自治体にとどまっていると聞きます。

 幼児教育の重要性が指摘をされる中、認可保育所における付加的な保育は、今後、積極的に取り入れられていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁1
福祉保健局長
 保育所における付加的保育についてでございますが、人格形成の基礎を培う乳幼児期に、様々な活動や遊びを通して子供の資質、能力を育むことは重要でございます。

 国は、多様なサービスへのニーズに対応できるよう、保育所保育指針に基づく範囲での付加的な保育について、区市町村に協議し、保護者の同意を得た上で、保育料とは別に利用者負担を求めて実施することは可能としてございます。

 本年八月、待機児童対策協議会で、付加的保育について区市町村と意見交換をしたところ、料金設定や保護者の同意の取り方などに関する共通の基準が必要などの意見をいただきました。

 今後、事業者等からも話を伺いながら、区市町村と連携して課題を整理するなど、円滑な運用に向けて取り組んでまいります。

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デジタル化

質問1
 今後十年以内に人口が十億人に達する、数百万人の雇用が生まれるとフェイスブック創始者のザッカーバーグ氏が発言したのは、メタバースのことです。

 京都市は、仮想空間メタバースを立ち上げ、例えば二条城を舞台に、仮想空間上で利用者が花火を打ち上げるなどのイベントを行うと発表をいたしました。

 焼失した本能寺や明治維新の頃の池田屋を復元し、メタバース空間でまち歩きしてからリアルな京都市街を楽しむこともできそうです。

 そこで、東京です。スマートシティを目指す東京こそメタバースを観光施策に取り入れるべきです。江戸のまち歩きをメタバース空間で実現できれば、世界のトラベラーを焼失した江戸城の本丸に立たせることも、歌川広重が描いた浮世絵の世界、日本橋を渡らせることもできます。そのとき、仮想空間はタイムトラベル空間となり、旅行者にとってはリアルな東京へのゲートウエーになるのです。

 また、現状、様々な事業体によりつくられているメタバース空間がつながり、共有されるならば、その魅力と磁力は一気に向上します。都が観光施策としてメタバース空間を創出する際には、世界有数の観光都市と空間を共有するべきです。

 そこで、都としてもメタバースを活用して、魅力ある観光都市としての地位向上に取り組むべきと考えますが、知事に見解を伺います。

 なお、次の五輪開催都市はパリ市です。パリ市に働きかけ、同じメタバース空間で百年前の東京とパリを体験できる先駆け的な取組を要望します。

答弁1
知事
 メタバースを活用した観光振興についてであります。

 デジタルの技術が急速に進歩することによって、バーチャルの空間で現実さながらの体験をし、人と人がつながり交流する機会も数多くつくり出されています。

 メタバースの持つ力を効果的に活用し、デジタル空間の中に東京の都市としての魅力の数々を再現して、リアルの世界での観光振興に結びつけることは、国際的な都市間競争に打ち勝つための重要な取組となります。

 最先端のデジタルの力を使い、アバターを通じて、伝統と革新が共存する東京の様子や、様々な交流と出会いを楽しみ、多彩な魅力を体感できる仮想空間をつくり上げてまいりたい。

 こうしたメタバースでの経験を持つ方に、リアルの東京の活気をしっかり伝えるハイブリッドの発信にも力を入れまして、国内外にファンを増やし、効果の高い旅行者誘致に結びつけてまいります。

 これらの取組を通じて、東京の優れた魅力を幅広く紹介して、世界から選ばれる観光都市としての地位の確立を目指してまいります。

質問2
 東京都のDXについて伺います。

 小池知事の誕生によって、電柱の電線は地下に消え、庁内のLAN回線は電波となって、都庁のオフィスから消えつつあります。

 しかし、真のDX化を図るためには、集積したデータを活用して行政コストを格段に落とす戦略的デジタル設計が必要です。

 そのため、都は、民間人材を登用しやすく、各局、あるいは都内自治体にも派遣できる政策連携団体、GovTech東京の設立を表明しました。

 この組織に不可欠なのは、まずは人です。デジタルの建築家ともいえる創造的思考の持ち主を採用した上で、新たな人材を都庁に送り出し、デジタル分野の再開発を担ってもらわなければなりません。

 既に木造が密集し、既存の秩序がある地域の再開発に係る建築家、ディベロッパーの労力は並大抵のものではなく、そこには強い信念と住民を納得させる強い指導力が必要です。

 今回、GovTech東京は、政策連携団体の一つになると聞いていますが、GovTech東京には、従来の政策連携団体の概念を覆すほどの都庁に対する強い指導力、権限がなければなりません。

 一方で、都には、小池知事のスマートシティにかける熱意、宮坂副知事のデジタル人材を引きつける磁力があります。

 そこで、都は、新組織、GovTech東京を都の下請組織とすることなく、真の意味で都と協働し、都に指導力を発揮する組織に位置づけていくべきと考えます。宮坂副知事の所見を伺います。

答弁2
宮坂副知事
 GovTech東京についてでございますが、これまで推進してきたデジタル化の歩みをさらに加速し、区市町村を含めた東京全体のDX実現へとステージを引き上げるため、官と民がフラットに協働し、政策イノベーションを起こす新たな仕掛けとして、新団体、GovTech東京を設立する構想を打ち出しました。

 シンガポールでは、僅か数年の間に多様な専門人材約三千名を確保し、国の各省庁の使いやすいサービスを実現、高い成果を上げています。

 こうした先行事例に学び、新団体では、大規模プロジェクトのプロジェクトマネジャーやシステムアーキテクトなど、高い専門性を有する人材を積極的に登用します。

 また、ユーザー起点のサービスデザインを描き、行政サービスをデジタルの視点でグローバルに俯瞰できる人材も登用してまいります。

 公共への志があり、技術的にも優秀な人材が新団体に魅力を感じ活躍できるよう、行政の枠組みでは難しい、民間を踏まえた給与水準や兼業、副業の仕組みなども用意していきます。

 また、DX戦略の策定と推進にも積極的に参画し、志のある人がやりがいを持って、十分に能力を発揮してもらえる組織をつくっていきます。そして、公共部門に広く人材を輩出していくことを目指していきたいと考えています。

 今後、東京のデジタルトランスフォーメーションを牽引する経営管理体制の具体化を図るなど、新団体と都が一体となって効果的に機能するよう、GovTech東京の設立に向け、全力で取り組んでまいります。

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環境対策

質問1
 最後に、環境対策です。

 今年六月の我が会派の代表質問で、ZEVの普及のため、道路上のパーキングメーター設置エリアに充電器を設置していくべきと提案をいたしました。この後、都は、この提案を受けて、早速、国土交通省に対し実証実験の実施を申請しています。このほど採択を受け、本年度中にパーキングメーターなど都内三か所で実証実験を行うと公表しました。

 ドイツでは、街路灯に急速充電器を併設するなど、公道での充電を可能にする取組が進んでいます。日本初となるパーキングメーターを活用した取組は、世界的にも珍しく、先駆的な事例として注目を集めるはずです。

 そこで、今後のZEV普及に向けて、パーキングメーター設置エリアなどの公道への急速充電器の設置について早期に取り組むべきと考えます。所見を伺い、一般質問を終わらせていただきます。

 ご清聴ありがとうございました。

答弁1
産業労働局長
 公道への急速充電器の設置についてでございますが、ZEVの普及に向けては、車両購入に対する支援に合わせて、様々な場所で充電のできる仕組みをつくることが重要でございます。

 これまで都は、住宅や商業施設のほか、駐車場に充電設備を導入する場合の補助を行ってまいりました。

 また、公道への設置についても、貴重な充電スポットとなる可能性があるため、パーキングメーターのある都道などにおいて、今年度末までに急速充電器を設置し、試験的な運用を行います。

 これによりまして、運用開始から一年間、利用の度合いのほか、歩行者や他の車両への影響などに関し課題を調べ、本格運用に向けて検討を行ってまいります。

 こうした取組によりまして、利便性の高い公共的な場所での設置の可能性を検証し、ZEVの普及に結びつけてまいります。

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