受診や検査体制強化の取組を
高齢者施設のコロナ対策強化を

財政運営

質問1
 去る二月一日、石原慎太郎元東京都知事が逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、ご冥福を心よりお祈りいたします。

 石原慎太郎知事は、四期十三年半の長きにわたり、その深い見識に基づいた政策判断と並々ならぬ存在感によって、首都東京を力強く牽引してこられました。

 就任前、今日とは全く違う破綻寸前にあった都財政を再建し、その後、東京の空をよみがえらせた排ガス規制を実現しました。また、今でこそ注目されるようになった大都市の課題である待機児童対策には、東京独自の基準を設けて認証保育所を創設しました。そして、オリンピック・パラリンピック大会の招致に取り組むなど、その功績は数知れません。

 真に都民と東京の将来を考え、時に痛みを伴う決断をもいとわず、国に先んじて数々の政策を打ち立ててこられた石原慎太郎知事の実績は、いずれも現在の都政を大きく形づくるものでした。

 我々都議会自民党は、石原慎太郎知事の東京から日本を変えるという強い意思を胸に刻み、未来の子供たちが誇りに思える東京をつくるべく、全力をささげていくことをお誓い申し上げ、質問に入ります。

 最初に、来年度予算案編成の考え方について伺います。

 今回の大型予算の編成を可能としたのは、予想外ともいえる大幅な税収増が要因の一つです。しかしながら、いつ何どき、経済が下振れをし、再び税収減に転じるとも限りません。

 歳出に目を向ければ、コロナ禍で山積する都政の諸課題への対応にとどまらず、社会保障関係経費など、今後確実に増大していく財政需要への対応も必要です。税収増の恩恵により、目先の財政危機は乗り切れるかもしれませんが、冷静に見れば、都財政は安心できる状況にはありません。

 来年度予算を編成した今、都財政を取り巻く現状をどう捉え、今後どのような考え方を基本として財政運営に臨んでいくのか、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 財政運営についてのお尋ねがございました。

 足元の税収は回復したものの、感染症による影響や原材料価格の上昇、国際情勢の緊張など、我が国の景気は様々な下振れリスクがあって、今後の税収動向は楽観できない状況にございます。

 一方で、都は、激甚化する自然災害への備えや、熾烈な世界の都市間競争に勝ち抜くための取組など、将来にわたり多くの財政需要を抱えております。

 こうした中、令和四年度予算におきまして、危機管理体制の強化に加え、グリーンやデジタルなど、東京の持続的成長につながる分野に重点的に投資を行うなど、積極的な施策展開を図っております。

 同時に、事業の無駄をなくすため、見直しが必要な事業にマイナスシーリングを導入したほか、新たに政策評価と事業評価を一体的に実施するなど、施策の新陳代謝を一層強化いたしまして、めり張りのついた予算としております。

 また、将来の財政環境の変化にも対応し得るよう、財政調整基金など、基金全体で約一兆円の残高を確保するとともに、都債の発行を抑制し、将来に向け発行余力を培うことで財政対応力を強化いたしました。

 今後も持続可能な財政基盤を堅持すべく、不断の見直しなど、無駄をなくす取組を徹底した上で、基金や都債を活用し、実効性の高い施策展開を図るなど、中長期を見据えた戦略的な財政運営を行ってまいります。

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新型コロナウイルス感染症対策

質問1
 次に、コロナ感染症対策について伺います。

 今回の第六波は、感染力の強いオミクロン株により、新規感染者数が初めて二万人を超える日があるなど、感染が急拡大しました。医療現場では、検査キットの不足が深刻化し、現場の医師からも必要な検査ができないという声が上がりました。

 都では、無症状者への無料PCR検査など、様々な検査が実施できるようになりましたが、感染が急拡大する中にあっては、発熱など症状のある方を検査する医療機関にキットを優先して配分するなど、検査体制の転換が必要です。

 平時はともかく、感染拡大時には、優先度の高い検査が確実に実施できる体制を確保しなければなりません。見解を伺います。

答弁1
福祉保健局健康危機管理担当局長
 感染拡大時における検査キットの確保についてでございますが、感染急拡大に伴う検査需要の増加によりまして、医療現場におきまして検査キットが不足しているとの声を踏まえまして、都は、検査キット等の安定的な確保と医療機関への優先供給を国や卸売業協会に対し要請するとともに、医師会に情報提供をいたしました。国がメーカーに増産を要請するとともに、医療機関への優先供給が行われた結果、検査キットの不足は解消されつつあります。

 今後とも、検査キットの確保を国に求めるとともに、キットが不足するおそれがある場合には、行政検査の実施に支障が生じないよう、あらかじめ都の様々な検査事業につきまして、優先度に応じた調達を検討するなど、感染拡大時におきましても、行政検査などの必要性の高い検査が確実に実施できるよう、体制確保に取り組んでまいります。

質問2
 また、発熱外来を行っていることを公表している医療機関が一部にとどまっているため、発熱外来を受診する人が集中をして、検査や診察の予約が取りづらいという状況が発生しましたが、過日、厚生労働大臣は、日本医師会会長に対して、発熱外来の積極的な公表に向けた協力を求めています。

 都内においては、発熱外来の実に半数が公表されていませんが、今般のオミクロン株による感染急拡大を受けて、医療機関における受診や検査体制の強化に取り組むべきと考えます。都の見解を伺います。

答弁2
福祉保健局健康危機管理担当局長
 医療機関における診療、検査体制についてでありますが、感染拡大時には、発熱等の症状のある方が確実に受診し、必要な検査を受けられる体制の確保が重要でございます。

 都はこれまでも、診療・検査医療機関の拡充に努めるとともに、第五波の経験を踏まえまして、昨年九月、同意した医療機関を都のホームページに公表をいたしました。

 今般の感染急拡大に伴いまして、公表している一部の医療機関に患者が集中し、有症状の方が速やかに検査を受けられない状況が発生したため、緊急的な混雑緩和策として、無症状の濃厚接触者が自宅で受診前に検査を行うことができるよう、検査キットの個別配布を始めております。

 今後、医療機関における診療、検査体制をさらに拡充するため、全ての診療・検査医療機関の原則公表に向けまして、都医師会の協力の下、働きかけを強化してまいります。

質問3
 高齢者の施設においては、デルタ株に比べて感染力の強いオミクロン株により、施設内での集団感染も多く発生しています。重症化リスクが高い感染者向けの経口薬も高齢のため飲み込めず、治療もままならないといったケースが多く見られます。また、感染だけでなく、職員の就業制限により、事業継続そのものが困難となる事例が多く発生しています。

 そこで、感染リスク、重症化リスクの高い方が入所する高齢者施設への取組を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

答弁3
福祉保健局健康危機管理担当局長
 高齢者施設の新型コロナ対策についてでありますが、重症患者のうち、六十歳以上の方が八割を占めるなど、重症化リスクの高い高齢者への対策が重要であります。

 そのため、高齢者施設で複数の陽性者が発生した場合に、嘱託医等による診療を促進するほか、広域的に往診する医療機関や医師会と連携した体制を整備しております。

 さらに、施設職員の感染により運営に支障が生じる場合に備え、人材派遣を活用した応援体制を構築しております。

 また、都の大規模接種会場で、施設職員へのワクチンの追加接種を行うとともに、入所者に対し、ワクチンバスによる接種を今後増強し、加速化してまいります。

 さらに、国との協働により、高齢者等医療支援型の臨時の医療施設を開設し、高齢者施設からの受入れや転退院の拠点とするなど、高齢者への支援を強化してまいります。

質問4
 国は、新型コロナウイルス感染症の影響により保育所等が休園となった場合に、一時預かり事業を活用して、受皿を確保することとしました。

 都は、区市町村が迅速に事業を活用できるよう支援すべきと考えますが、見解を伺います。

答弁4
福祉保健局長
 保育所が休園した場合の受皿についてでありますが、臨時休園する保育所が増加する中で保育所の果たす社会的機能の維持を図るため、国は、一時預かり事業に新型コロナウイルス感染症特例型を新たに設け、公民館等で代替保育を実施する区市町村に対し、財政支援をすることといたしました。

 都は、直ちに区市町村に対して事業内容を周知するとともに、一時預かりで代替保育を行う場合の実施場所や保育従事者の確保方法などについて調査をいたしました。

 今後、調査結果を早急に取りまとめ、事業実施の参考となるよう区市町村に提供するなど、代替保育の確保に取り組む区市町村を支援してまいります。

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子育て支援

質問1
 コロナ禍においても、東京の未来を担う子供たちの学びを継続することは重要です。

 昨年十二月の予算編成では、我が党の重点項目の一つに、コロナ禍で多くの学生が希望する進路を目指せるよう、学習塾の費用や受験料など、家計負担軽減に向けた支援に取り組むよう要望したところです。

 家庭の経済的な理由で子供たちの学びが左右されることのないよう、受験生チャレンジ支援貸付事業の強化がこのコロナ禍において必要ですが、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 受験生チャレンジ支援貸付についてのお尋ねでございます。

 新たな時代を担う子供たちが、家庭の経済状況等によることなく、自らが伸び、育つことができるよう支援していくことは重要であります。

 都は、自立に向けまして進学に取り組む子供たちを支援するため、一定所得以下の世帯の中学三年生、高校三年生等を対象に、受験料と学習塾受講料の無利子貸付を行っております。

 コロナ禍が長期化し、社会経済状況等に影響を及ぼす中、子供たちの挑戦をより一層後押しするため、来年度から貸付対象世帯の収入要件を引き上げまして、対象の拡大を図るとともに、申請窓口となる区市町村への補助を拡充いたします。

 引き続き、どのような環境におきましても、子供たちが自らの手で希望する将来を切り開いていけますよう、その学びを支援してまいります。

質問2
 また、今回急遽、高校生等への医療費助成について関連予算が提案をされました。本来、この事業は区市町村が実施の主体となるものですが、区市町村との調整が全くないままシステム改修費が提案されたということもあり、区市町村からは様々な困惑の声が届いています。

 最も重要な事業内容に関して、区市町村との事前調整を全く行わず、都が一方的に、中身も決まっていない事業を実施するための事務費として、このシステム改修経費七億円を計上するというのは余りに拙速です。

 こうしたやり方で予算化をするのであれば、その後の制度設計や財源について、東京都として責任を持って対応すべきと考えます。都の見解を伺います。

 このような予算要求の在り方は、日頃、区市町村との連携を重視する都政として誠にふさわしくないものであり、執行機関には、都議会に対する説明責任が著しく欠如していることを強く抗議をしておきます。

 都の予算は都民のものです。長引くコロナ禍で子供や家庭への支援は大切ですが、必要な検討や調整を全て後回しにして、制度ありきといった今回のような強引な予算計上は、小池知事が掲げてこられた都政の見える化に反し、また、いわゆるブラックボックスを排するといった東京大改革に逆らうものです。

 東京の未来を、強引にごく一部の都民と決めてはなりません。それこそ都政の私物化につながります。東京都には改めて予算審議にふさわしい、都民や都議会に説明のつく予算案の計上をするよう強く求めておきます。

答弁2
福祉保健局長
 高校生等への医療費助成についてでありますが、高校生の世代は、生涯にわたる健康づくりの基礎を培う大切な時期であり、自らの健康をコントロールし、改善できるよう支援することは重要であります。

 このため、都は、子育てを支援する福祉施策の充実に向け、来年度予算案に、高校生等への医療費助成事業の準備経費として、区市町村のシステム改修経費等を計上いたしました。

 具体的な制度内容については、年齢的に接続する義務教育就学児の医療費助成を参考にしながら、区市町村と意見交換して整理することとしており、今後、準備経費補助の詳細や、事業実施に向けた制度の考え方や内容、経費を含めた課題等について、都として丁寧に議論を重ね、調整し、検討してまいります。

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中小企業支援・産業政策

質問1
 さて、国の発表によると、新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中、解雇や雇い止め等により離職をされた方は、これまでの累計で全国で十二万人、東京都内でも二万五千人を超える見込みとなっています。

 とりわけ飲食業や宿泊業などのサービス業で非正規雇用として働いた方々の離職が顕著となるなど、雇用情勢は依然として厳しい状況が続いています。一方で、デジタル関連や介護分野などでは深刻な人手不足が継続しています。

 しかし、人手不足の業界と求職者とのマッチングは簡単なものではなく、機会を増やすだけでなく、業務に必要なスキル等を求職者が習得をし、定着できるような支援が必要です。都の見解を伺います。

答弁1
産業労働局長
 コロナ禍における再就職支援についてですが、コロナ禍で再就職が必要な方へのサポートとして、今後の成長が見込まれるIT等の業界で就業できるよう、新たなスキルの習得を支援することは効果的でございます。

 このため、都は、コロナ禍でも採用意欲の高いITや介護等の企業の求人を開拓し、求職者に、派遣就労を通じて業務スキルを身につける機会を提供しております。これにより、派遣先の企業が、求職者を正社員として採用した後に、その定着に向けてスキルアップ研修を実施した場合、助成金を支給しております。

 来年度は、成長産業のITや人材不足の介護分野の業界等と連携し、専門的な知識を学ぶ講習と就職面接会を組み合わせたプログラムを拡充いたします。

 これらの取組により、成長産業等への人材シフトを促し、東京の持続的な発展に結びつけてまいります。

質問2
 令和四年度予算案の都税収入は、企業収益の持ち直しなどにより、前年度比一一・六%増の五兆六千三百八億円となりましたが、地元企業に話を伺っても、景気回復を実感しているという事業者は多くないと感じます。

 中小、小規模事業所の経営状況は大変厳しく、とりわけ国の調査によると、都内で約八十六万人が従事している飲食や宿泊などのサービス業は、長引くコロナの影響で売上げが減少し、経営が圧迫された状況であり、今もなお、生き残りをかけて土俵際で懸命に踏ん張っていることを忘れてはなりません。

 コロナにより深刻な影響が続く業界の状況を踏まえた的確な支援により、中小、小規模事業者の事業継続をしっかりと支援していくべきと考えますが、見解を伺います。

答弁2
産業労働局長
 中小企業の経営の下支えについてですが、コロナ禍にあって厳しい状況に置かれている業界の企業に、きめ細かく即効性のある支援を行うことが重要でございます。

 このため、都では、商工会議所等との連携により、経営状況が厳しい飲食業や観光業をはじめとする様々な中小企業に専門家を派遣して経営計画をつくり、その進み具合に応じた見直しをサポートする新たな取組を開始いたします。

 特に、飲食事業者に対しては、専門家の助言に基づき実施する新たな事業展開への支援を拡充いたします。

 また、観光事業者向けにワンストップで相談できる窓口を新たに設置するほか、旅行代理店等に対し、専門家を派遣してDXを導入する計画をつくり、その実行に必要な経費の助成を行います。

 こうした取組によりまして、経営改善を進める中小企業の事業継続を着実に後押しをしてまいります。

質問3
 日本のGDPの二割を占める基幹産業である製造業は、コロナ禍にあっても投資額が減価償却額を上回るなど、東京の経済を支えています。

 しかし、デジタル化技術が急速に進歩し、社会の在り方が大きく変化する中、製造業においても最先端のデジタル技術を活用した設備を積極的に導入し、生産性向上や高収益化を図っていく必要があります。

 一方で、中小、小規模事業所などにおいては、業種にかかわらず最先端のデジタル技術の導入を担う人材やノウハウがなく、十分な予算がないことにより、進捗は芳しくありません。

 都においては、来年度、生産性の向上に向けて、中小企業のデジタル技術の導入をサポートする取組を行うとしていますが、中小、小規模事業者の課題を踏まえて、導入しやすい方法を提案するなど、きめ細かい支援を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。

答弁3
産業労働局長
 中小企業の生産性向上に向けた支援についてですが、中小企業が事業の発展を図るためには、その生産活動や業務の効率化に向け、設備や機器の充実を行うことが重要でございます。

 このため、都は、中小企業がIoTやロボットなどの先端技術を業種ごとの実態に即して導入ができるよう、専門家を現場に派遣し、生産ラインの改善や環境負荷の軽減等に関し助言を行っております。

 また、それに基づく設備導入の経費に対し助成を行っており、来年度は、その支援規模の拡充を図ります。

 さらに、会計などの事務手続をデジタル化するソフトウエアなどの導入に必要な経費への支援を新たに開始し、業務の効率化を後押ししてまいります。

 こうした取組により、中小零細企業のDX化を促し、生産性向上による継続的な成長をサポートしてまいります。

質問4
 今年に入ってからも、オミクロン株の急速な拡大により再び蔓延防止措置期間となり、依然として観光産業は大きな影響を受けています。

 今後、観光需要が回復した際に、その経済効果を東京都内各地に広く行き渡らせるためには、コロナ前のように、銀座や浅草など人気の観光地だけでなく、身近な地域の歴史や文化などにも光を当てるとともに、東京二〇二〇大会のレガシーも活用して、コロナ後の観光客誘致に結びつけるべきです。

 そのためには、コロナ禍における観光事業者の事業展開を着実に支えるとともに、観光事業を担う観光協会をはじめ、その活動を支える地域の経済団体や地元の町会、自治会などが力を合わせて、都内の観光産業全体を盛り上げていくことが必要です。都の今後の観光振興について伺います。

 十七日に地域観光支援事業について補正予算案が発表されました。ゴールデンウイーク以降、GO TOトラベルの事業主体が国から都に代わるということです。二年余り続くコロナ禍で、観光産業は厳しい経営環境にあります。特に、密を避ける必要から団体での旅行は激減しており、今後、都が観光都市を目指す上でも確実な支援が必要です。

 都は、都内の旅行業者、宿泊業者の立場に立った制度設計となるよう、国と調整を進めるよう強く求めておきます。

答弁4
産業労働局長
 観光産業の活性化に向けた取組についてですが、東京の観光振興を効果的に行うため、地域の観光資源を活用した取組を様々な事業者や団体と協力して進めることが必要でございます。

 このため、都は、来年度創設するワンストップ支援センターにおいて、新たなビジネス展開につながるよう、観光関連事業者間や地域のネットワークづくりを後押しいたします。

 また、旅行事業者が旅館などと協力し、地域の観光資源を周遊するツアーをつくる取組や、観光協会が文化芸術団体と連携し、伝統芸能を活用したイベントを開催する取組等を支援いたします。

 さらに、都が地元と協力して、東京二〇二〇大会のレガシーを生かした観光プロモーションを展開いたします。

 これらによりまして、東京の観光産業の活性化を実現してまいります。

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福祉政策

質問1
 さて、保育の待機児童対策については、この間、ハード整備だけでなく、保育人材の確保策など、年間五百億円以上を予算化するとともに、区市町村や近隣住民の理解を得て推進をしてきました。さらに、今後は小学校低学年の子供の居場所も地域の中につくる必要があります。

 これまで東京都は、子供の居場所づくりのために様々な事業を構築してきましたが、地域によっては、学童クラブで待機児童が発生しているなど十分ではありません。

 子供や親を地域で孤立させないためにも、区市町村の実情に応じた子供の居場所を確保することは重要です。来年度の都の取組を伺います。

答弁1
福祉保健局長
 子供の居場所づくりについてであります。

 都は、民間事業者等のノウハウを活用しながら、子供や親が安心して過ごせる居場所を整備する区市町村を支援しており、来年度は、これまで必須としていました学習支援と食事提供について、いずれかを選択して行えるようにするなど、取り組みやすいものとしてまいります。

 また、学童クラブの待機児童対策の計画を策定する区市町村については、学童クラブに加え、既存の施設を活用するなど、地域の実情に応じた放課後の居場所の確保に係る経費を幅広く支援してまいります。

 さらに、放課後の居場所の選択肢を広げるため、認証保育所において学齢児を受け入れる仕組みを新たに整備するなど、安全・安心な子供の居場所の確保に向け、地域における様々な取組を支援してまいります。

質問2
 東京の私立幼稚園は、建学の精神と独自の教育理念に基づく個性豊かで特色ある教育を展開し、都の幼児教育において重要な役割を担っています。

 各園が質の高い教育を継続して提供していくためには、現場を担う優秀な教員の確保が欠かせませんが、ここ数年、待機児童対策として保育所等の整備が進んだこともあり、幼児教育を担う人材の確保が困難になっており、各園では、処遇改善などに取り組まざるを得ない状況となっています。

 そうした中で、政府の方針に基づき、国は本年二月から、幼稚園教諭等の処遇改善に向けて各園の取組を直接支援する事業を始めますが、東京に多く存在する私学助成を受ける個人立や宗教法人立等の幼稚園が対象外となっており、東京都独自の支援が必要です。

 国の動きとも連携しつつ、都として私立幼稚園の人材確保を含めた支援をしっかりと行っていくことが重要と考えますが、見解を伺います。

答弁2
生活文化局長
 私立幼稚園における処遇改善についてでございますが、約十三万人の園児が通う東京の私立幼稚園は、都の幼児教育において重要な役割を担っており、都はこれまでも、基幹的補助である経常費補助をはじめ、施設整備や預かり保育、教育水準向上の取組への補助など、各園に対する補助の拡充を図ってまいりました。

 各園の処遇改善に向けた取組を国が直接支援するのは、本年二月から九月までとされているため、都は、十月以降、国制度を活用した新たな支援を行います。

 また、国の支援の対象外となる個人立や宗教法人立等の幼稚園に対しても、都独自で国と同様の支援を開始いたします。

 今後とも、現場の声を聞きながら、各園の多様な取組を幅広く支援し、東京の私立幼稚園の振興に努めてまいります。

質問3
 今後、超高齢社会を支える介護ニーズの増加が見込まれる中、東京では介護人材の確保が急務の課題であることを都議会自民党はこれまで継続して主張してまいりました。

 もちろん介護サービスは国の保険制度の中で運営されるものですが、若い人材が介護を継続的に仕事として選択するためには、家賃負担の重いこの東京の実情を踏まえて、介護職員の宿舎借り上げ支援のさらなる充実を図るべきと考えます。都の見解を伺います。

答弁3
福祉保健局長
 介護職員の宿舎借り上げ支援についてであります。

 都は、働きやすい職場環境の確保と地域における災害対応力の強化のため、介護職員宿舎借り上げ支援事業を実施しておりまして、これまでも、一事業所当たりの補助上限戸数を四戸から最大二十戸まで拡大するなど、支援を充実してまいりました。

 来年度からは、さらなる人材の確保、定着を促進するため、補助対象をこれまでの福祉避難所の指定を受けた介護施設等に加えまして、区市町村と災害時協力協定を締結した事業所やその他の在宅サービス事業所等にも拡大し、本事業をより多くの事業所で活用できるようにしてまいります。

 今後とも、介護職員の働きやすい職場環境の整備などの取組を一層推進し、介護人材の確保、定着を図ってまいります。

質問4
 住宅確保要配慮者の入居を拒まない東京ささエール住宅について、特に専用住宅の登録促進は、要配慮者の居住の安定を図るために重要な取組です。

 先日公表された次期東京都住宅マスタープラン案や、東京都住宅確保要配慮者賃貸住宅供給促進計画改定案では、東京ささエール住宅の専用住宅の供給目標を、二〇三〇年度までに三千五百戸と定めています。

 この目標に向けて貸主への支援が重要であると考えますが、都はどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

答弁4
住宅政策本部長
 東京ささエール住宅の専用住宅の供給促進についてでございますが、住宅確保要配慮者の居住の安定確保を図るためには、貸主の理解を得ながら、要配慮者のみが入居できる専用住宅の登録を促進することは重要でございます。

 都はこれまで、見守り機器の設置費等への補助や、安心居住パッケージ事業などによるきめ細かい居住支援サービスにより、貸主の不安軽減を図ってまいりました。

 今後は、要配慮者の入居をサポートする区市町村の居住支援協議会への支援を強化するなど、貸主がより安心して専用住宅に登録できる環境を整備してまいります。

 加えて、安全性の向上などに資する住宅設備の改善への新たな補助を実施するなど、貸主の取組を後押しし、専用住宅の供給促進に取り組んでまいります。

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地域公共交通の基本方針

質問1
 昨年十二月、地域公共交通の基本方針に係る中間まとめが公表されました。元気な高齢者が住み慣れた地域に生き生きと暮らし続けるためには、気軽に外出できる環境づくりが欠かせません。高齢者だけでなく、小さい子供やベビーカーを押す家族、障害のある人など、それぞれの住民の移動ニーズを踏まえて、地域公共交通を充実強化することは非常に重要です。

 そこで、今後、基本方針をどう取りまとめ、将来像の実現に向けて取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 地域公共交通についてのお尋ねがございました。

 超高齢社会の到来など、都民生活を取り巻く環境が変化する中、日々の生活の豊かさにも直結する地域公共交通の取組を加速して、誰もが移動しやすく、自由自在な交流が可能な都市を実現することが重要でございます。

 高齢者や子育て世帯等の気軽な外出を支える移動手段の充実や、区市町村の境界を意識することのない移動の実現に向けまして、区市町村への支援を強化し、地域の特徴を踏まえた様々なニーズにきめ細かく対応してまいります。

 都民の皆様からのご意見などを踏まえまして、来月末に基本方針を取りまとめて、地域の公共交通を担う区市町村や事業者など、多様な主体と連携しまして、持続可能な地域公共交通サービスを実現してまいります。

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子ども・女性

質問1
 令和三年度の国の報酬改定により、障害児の居場所となる多くの放課後等デイサービスが打撃を受けており、都議会自民党は、小規模でも熱心に事業に取り組む方々からの声を東京都に伝え、支援策を求めてきました。

 これを受けて東京都は、来年度から新たな支援制度を開始するとしていますが、実施に当たっては、障害児のために真面目に取り組み、質の高いサービスを提供している事業者が報われる制度とすべきです。

 また、事業者からは、放課後デイは人員も少なく、できるだけ事務処理に負担がかからぬようにしてほしいという声も聞きます。

 そこで、放課後等デイサービスにおけるサービス提供の現状と新たな都の支援策について伺います。

答弁1
福祉保健局長
 放課後等デイサービスについてであります。

 放課後等デイサービスは、多様な訓練や創作活動など質の高いサービスを提供する事業者がある一方、特定の活動に偏った事業者も見受けられるなど、事業者によって支援の内容は様々であります。

 このため、来年度、都型放課後等デイサービス事業を開始し、自立した日常生活を営むために必要な訓練や経験豊富なコア人材の配置、学校との連携、地域交流、第三者評価の受審など、都の基準を満たし、サービスの質の向上に取り組む事業者を支援いたします。

 また、事業の実施に当たっては、事業者におけるデジタル機器等の導入も支援しながら、電子申請など手続の効率化についても検討してまいります。

質問2
 本来、大人が担うとされる家事や家族の世話を日常的に行っている、いわゆるヤングケアラーの支援については、関係機関が連携して早期に把握をし、適切な支援につなげることが重要です。

 ヤングケアラーやその家庭の実態は様々であることから、適切な支援につなげるためには、専門家だけでなく、当事者や現場の支援者などの意見を十分に取り入れながら、支援策を検討することが必要です。

 また、実際にヤングケアラーが気軽に悩みを共有できるような支援も必要です。来年度の都の取組について伺います。

答弁2
福祉保健局長
 ヤングケアラーへの支援についてであります。

 都は来年度、ヤングケアラーへの支援策を検討するため、有識者や区市町村、元当事者、介護や医療等に関わる各関係機関などで構成する検討委員会を設置いたします。

 委員会では、具体的なニーズを把握するため、区市町村への調査や支援者団体へのヒアリングなどを実施することとしており、それらを踏まえ、ヤングケアラーを把握するポイントや有効なつなぎ先、関係機関の役割や連携の在り方などをマニュアルとして取りまとめ、区市町村の子供家庭支援センターや学校等に周知いたします。

 また、ヤングケアラーが悩みや経験を共有できるよう、SNSやオンラインサロンなどを活用した交流の場を提供する民間団体を支援してまいります。

質問3
 女性活躍には、働く場だけでなく、女性の生活全般にわたり、その人ごとの生き方を尊重し、希望がかなえられるような取組が必要です。

 しかし、令和二年十一月に東京都が実施した男女平等参画に関する世論調査では、多くの女性が仕事、家庭生活、個人の生活の全てをバランスよく優先したいと希望しているにもかかわらず、現実には多くの女性が、仕事や家庭生活のどちらかを選択しなければならないという調査結果が出ており、希望と現実の間には大きなギャップが存在しています。

 全ての女性が自ら望む生き方ができる社会を実現するためには、社会のあらゆる場面において存在する、女性を取り巻く障壁を取り除いていかなければなりません。

 東京都では、男女平等参画推進総合計画を今年度改定予定ですが、この計画ではどのような女性活躍を目指し、取り組んでいくのか、知事に伺います。

答弁3
知事
 女性の活躍についてのお尋ねでございます。

 自らの希望に応じて生き方、働き方を選択できることは重要であります。その実現のためには、家庭を支えることと社会における自己実現の二者択一というのではなく、双方を両立できる環境を整えていく必要がございます。

 改定計画では、このための仕組みづくりを着実に進めるとともに、仕組みが十分活用されますよう、人々の行動変容を促す意識改革に重点的に取り組む。

 具体的には、テレワークなど、ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方の普及や定着を進めるとともに、働く場に限らず、地域や教育現場など、様々な場で女性が活躍している先進的な取組を表彰し、多様な媒体で広く発信するなど、都民一人一人の意識改革につなげてまいります。

 自らの選択が尊重されまして、誰もが輝ける社会の実現に向け、スピード感を持って、実効力ある施策を強力に推し進めてまいります。

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安全・安心なまちづくり

質問1
 昨年の都内における刑法犯罪認知件数は七万五千二百八十八件で、平成十五年以降十九年連続で減少し、戦後最少を更新しました。しかし、都民の体感治安は必ずしも好転しているとはいい難く、特殊詐欺被害については、昨年一年間で増加に転じています。

 特殊詐欺については、さきの定例会で我が会派からの質問に対し、警視庁は、引き続き水際対策を含めた様々な施策を行っていくとの答弁がありましたが、特殊詐欺を根絶するためには、関与が疑われる暴力団等の犯罪組織の取締りや、組織に流れる資金を遮断することが必要です。

 そこで、組織犯罪取締り強化のため、警視庁は組織犯罪対策部を改編するとのことですが、犯罪組織壊滅に向けた今後の取組について警視総監に伺います。

答弁1
警視総監
 犯罪組織等の壊滅に向けた取組についてでありますが、現在、暴力団をはじめとする犯罪組織等は、実態の不透明化、非定型化、多国籍化の様相を強めておりまして、時代の変化に合わせ、手口を巧妙に変化させながら、違法な資金獲得活動を敢行しております。

 当庁の最重要課題である特殊詐欺につきましても、昨年は約六十六億円もの多額の被害が発生しておりまして、犯行グループの背後には暴力団等が暗躍をしており、犯行により詐取した被害金が組織の資金源となっている実態があります。

 警視庁では、こうした情勢を踏まえまして、犯罪収益対策に特化した全国警察で初となる犯罪収益対策課を設置するなど、組織犯罪対策部門の体制強化を図ることといたしました。

 これにより、犯罪組織の実態解明を加速させ、中枢幹部等の徹底的な検挙につなげるとともに、違法な資金獲得活動による犯罪収益をより強力に遮断、剥奪するなど、犯罪組織にさらなるダメージを与えることが期待されるところでありまして、今後も犯罪組織等の実態を捉えた実効性のある対策を推進し、その壊滅を図ってまいります。

質問2
 小田急線や京王線での傷害事件など、公共交通機関の安全・安心を脅かす車内での事件が続けて発生しており、対策の強化が必要です。とりわけ防犯カメラについては、事件や迷惑行為の抑止並びに事後的な検証の視点から、設置を進めるべきと考えます。

 こうした中、交通局では、新たな経営計画案において、車両更新に合わせて防犯カメラの設置を進めるとしています。

 車内防犯カメラの各社の設置状況は、現状、様々ではありますが、例えば、刺傷事件があった京王線では、二〇二三年度末を目途に全車両へ防犯カメラを設置すると先日発表しました。

 相互直通している都営地下鉄においても、防犯カメラの設置を加速していくべきと考えますが、見解を伺います。

答弁2
交通局長
 都営地下鉄の車内防犯カメラの設置についてでございますが、都営地下鉄では、迷惑行為の未然防止やテロ対策等、セキュリティ強化を図るため、車両更新に合わせまして、車内への防犯カメラの設置を進めております。

 今後、令和六年度までの三か年で十六編成を更新いたしまして、全体で約五割の車両への防犯カメラ設置を完了する予定でございます。

 加えまして、他社線での事件を受け、国において防犯カメラに関する検討が行われており、都営地下鉄におきましても、残る全車両への速やかな設置を目指し、現在、カメラの仕様や設置方法等につきまして技術的検証を進めているところでございます。

 こうした取組を通じまして、引き続き、お客様の安全確保に万全を期してまいります。

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環境政策

質問1
 都内のCO2削減対策について伺います。

 都内のCO2排出量の部門別構成比を見ると、業務、産業部門が五割、家庭部門が三割、運輸部門が二割となっています。

 東京都は、二〇三〇年温室効果ガス半減の達成に向け、各部門における目指すべきCO2排出量の削減目標として、各部門が現状から五〇%程度の削減を目指すという案を提示しており、各部門における削減対策の促進が不可欠です。

 まず、排出量の五割を占める業務、産業部門についてですが、都内ではそのCO2排出量の約六割が中小規模事業所によるものです。二〇三〇年温室効果ガス半減の実現のためには、これらの事業所への対策が重要です。

 しかし、多くの中小企業は資金繰りや事業継続といった足元の課題の対応に追われており、資金や人材等の面からも省エネ化に取り組む余裕がなく、取り組むメリットを感じていない事業者も多いと聞きます。

 こうした状況を踏まえ、中小規模事業所、とりわけ中小企業のCO2削減への取組機運を醸成し、積極的な対策につなげるための施策が必要と考えますが、都の見解を伺います。

答弁1
環境局長
 中小企業の省エネ対策についてでございますが、資金や人材面等で対策が進みにくい中小企業に対しては、ノウハウ提供等、様々な面での後押しが必要でございます。

 このため、都は、無料の省エネ診断や、地域金融機関と連携した無料の省エネコンサルティング事業を実施しており、今年度は合わせて四百件以上を受け付けてございます。

 また、今年度開始した省エネ型の換気や空調設備の導入支援につきましては、先般の補正予算で補助率の引上げ等を行い、来年度も継続実施してまいります。

 さらに、簡単にCO2排出量を把握し、削減に取り組むことができる地球温暖化対策報告書制度について、事業者の削減努力をより効果的に評価、公表する方策等の検討を進めてまいります。

 こうした多面的な取組を通じまして、中小企業のCO2削減に向けた機運を高め、二〇三〇年カーボンハーフを目指してまいります。

質問2
 次に、排出量の三割を占める家庭部門におけるCO2削減対策について伺います。

 知事は昨年、住宅等の新築の建築物への太陽光発電設備の設置義務化に向けた検討を開始することを表明し、十一月の環境審議会の分科会において、個別の建物ごとではなく、都内に一定以上の新築住宅等を供給する住宅供給事業者に対して設置を義務づけるという新たな制度を提案しました。

 現在、分科会において議論が進められておりまして、先日も、制度対象となる事業者等が制度の在り方に関する意見を表明する場が設けられましたが、その中では、住宅関連団体から、太陽光発電設備の設置困難な住居に対する設置回避や例外規定、さらには、規制的措置を取った場合、都がサポートする体制や措置の必要性について、丁寧な検討を求める意見が提出をされています。

 新たな負担を伴う制度の検討に当たっては、義務対象となる建物や義務量等の考え方を明確にするとともに、実現可能な制度となるよう、事業者等の声に耳を傾けて丁寧な検討を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

答弁2
環境局長
 新築住宅等への太陽光発電設備の設置義務化の検討についてでございますが、新たな制度構築に当たっては、事業者等の実態の把握に努め、建物のゼロエミッション化に資する実効性のある制度とすることが重要でございます。

 都は、東京ソーラー屋根台帳での設置ポテンシャルを踏まえつつ、狭小な用地が多い都内の住宅事情等も考慮し、事業者の弾力的な対応が可能となる仕組み等の提案を行うなど、実態に即した検討を進めてございます。

 また、これまで七団体から意見表明をいただいており、今後も事業者等の意見を丁寧に伺いながら、都の地域特性等を踏まえたより具体的な制度の在り方について、検討を深めるとともに、都民等への理解促進を図ってまいります。

 こうした取組を通じまして、建物のゼロエミッション化に資する制度構築を進めてまいります。

質問3
 また、都内では、年間約四万三千棟の新築住宅が建てられている一方で、既存住宅のストック数は約二百万棟、住宅の九八%が既存住宅ということになります。

 そのため、家庭部門の対策を進める上では、新築住宅だけでなく、このように圧倒的に棟数の多い既存住宅における取組が重要であることを、これまで都議会自民党としても求めてまいりました。

 こうした既存住宅では、都内に限ったデータではないものの、省エネ基準に適合しているものが一割程度しかないという国の推計もあります。

 二〇三〇年カーボンハーフの達成に向けては、こうした既存住宅において、省エネや再エネ導入の取組を強力に進めていくことが必要不可欠だと考えますが、都の見解を伺います。

答弁3
環境局長
 既存住宅におけるCO2削減の取組についてでございますが、既存住宅におきましては、冷暖房時の熱の出入りの六、七割を占める窓やドアの開口部の断熱化が重要でございます。

 このため、都は、窓等の断熱化への補助について、先般の補正予算において補助率を二倍の三分の一に引き上げたところ、申請が大幅に増加してございまして、来年度も規模を拡大し、支援を継続してまいります。

 こうした断熱住宅で太陽光発電設備を設置すると、CO2削減効果が高まるとともに災害時のレジリエンス向上にもつながる一方、既存住宅では設置費が割高となるため、断熱改修の際等に太陽光発電設備を設置する場合は、新築時の補助額より割増しした支援を新たに実施してまいります。

 これらの取組により、既存住宅におけるCO2削減を促進し、二〇三〇年カーボンハーフを目指してまいります。

質問4
 都内CO2排出量の二割を占める運輸部門対策は、エネルギーごとの特性を生かした施策の推進が重要です。水素は、利用時にCO2を排出せず、温暖化対策の切り札となるだけでなく、エネルギー安全保障と国際競争力の向上にも貢献する、将来性の高いエネルギーです。

 現在、都は、燃料電池自動車やバスの導入を進めていますが、自動車メーカーではトラックの開発が進められており、小規模ながら実証走行も始まっています。商用車両での水素活用は、大量の水素需要を創出し、水素ステーションなどのサプライチェーンの構築にも寄与することから、早期の社会実装化が重要です。

 東京都は、燃料電池商用車両の実装化を進め、並行して水素ステーションの整備を加速するとともに、都民や事業者に対して来るべき水素社会の展望を示すべきと考えますが、見解を伺います。

答弁4
環境局長
 水素社会実現に向けた取組についてでございますが、都はこれまでも、燃料電池自動車やバスの普及、水素ステーションの整備に向けて取り組んでまいりました。今後、一層の水素利用拡大には、台数もエネルギー消費量も多い商用車両における水素活用の早期実装とそれを支えるインフラ整備を同時に進めることが重要でございます。

 このため、都は、来年度新たに、動脈物流を担う運送事業者への車両導入補助を開始するとともに、水素ステーションの整備に係る支援を大幅に拡充してまいります。

 あわせて、都民の理解や事業者の投資を促すため、二〇五〇年の水素エネルギー活用の絵姿を分かりやすく描く東京水素ビジョンを年度内に策定、公表してまいります。

 こうした取組によりまして、都民、事業者の共感を得て、将来の水素社会を実現してまいります。

質問5
 また、水素と酸素により発電する燃料電池バスの導入を推進するために、民間バス事業者へは実質自己負担なしで購入できるよう補助金を拡大することが来年度予算に計上されているとともに、バス事業者が自らの営業所等に水素ステーションを整備、誘致する場合にも大幅な補助を上乗せすることとしています。

 小池知事は日頃より、まず隗より始めよと標榜されておりますが、民間事業者だけでなく、東京都交通局のバス営業所に水素ステーションを整備するべきではないでしょうか。今後の取組について伺います。

答弁5
交通局長
 営業所内への水素ステーション整備についてでございますが、交通局では、燃料電池バスを順次導入いたしまして、現在、全国で最大の七十一両を運用してございます。

 今後、大幅に導入を拡大していくためには、バスに対応した水素ステーションの拡充が不可欠でございまして、とりわけ営業所内へのステーション整備が効果的と認識してございます。

 整備に当たりましては、大型設備のための十分なスペースが必要となるなど課題はございますが、国や都における補助制度の充実など、近年、燃料電池バス普及促進のための環境整備が進められております。この機を捉えまして、交通局といたしましても、補助制度を活用した営業所内への水素ステーション整備に向けまして検討してまいります。

 今後とも、環境に優しい車両を積極的に導入し、ゼロエミッション東京の実現に貢献してまいります。

質問6
 気候危機が一層深刻化する中、世界は二〇五〇年CO2排出実質ゼロという共通のゴールに向けて、急速に歩みを進めています。とりわけ脱炭素社会の核となる再生可能エネルギー等の環境エネルギーに関する産業分野は、将来にわたり高い成長性が見込まれるため、国際的にも技術開発競争が激しくなっています。

 優れた技術力を持つ都内の中小企業やベンチャー企業にとっては、参入の可能性が高い分野であり、ビジネスチャンスである一方、大企業と比べて多額の研究開発費や人材の不足等の固有の課題を抱えており、中小企業が一歩踏み出すためには一定のサポートが必要です。

 そこで、東京都は、脱炭素社会の実現に向けて、積極的に技術や製品の開発に取り組もうとする中小企業やベンチャー企業を支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁6
産業労働局長
 脱炭素社会の実現に向けた技術開発についてですが、ゼロエミッションを実現する上で、中小企業の技術力を生かして、環境に配慮した製品やサービスを生み出し、その普及を進めていくことが重要でございます。

 このため、都は、環境分野で高い技術力を持つベンチャー企業が、大企業と連携して革新的な製品やサービスの開発を行う取組を支援しております。

 来年度は、環境分野で活用のできる技術を持つ中小企業に対して、専門家が技術の転用について助言を行うほか、大企業とのマッチングを働きかけるなど、きめ細かい支援を行います。

 また、環境負荷の低減につながる技術を用いた新製品の開発と販路開拓に対し、助成を開始いたします。

 こうしたゼロエミッションの推進に役立つ取組を総合的に支援し、中小企業の成長を促してまいります。

質問7
 建物の解体などによって発生するコンクリートをリサイクルして活用するということも重要な環境対策であるとともに、これからの都市の更新に欠かせません。現在、コンクリートの塊を砕いたものは、再生砕石として道路の路盤材などに利用され、それが全体の九九%を占めています。その再生砕石をさらに砕いて、骨材、使える石を取り出しまして、生コンクリートに利用しているというものは全体の一%程度であります。

 九九%のこの再生砕石が、昨今の相次ぐ都市更新と、また道路建設需要の低迷から利用が進んでいない中で、コンクリートに使える再生骨材の普及に力を入れて、コンクリート塊のリサイクルの推進と活用を民間事業者と連携して取り組む必要があります。

 今後、建設副産物のリサイクル推進をさらに進めるための再生骨材コンクリートの活用について、都の見解を伺います。

答弁7
東京都技監
 再生骨材コンクリートの活用についてでございます。

 建設資材としての利用も重要でございまして、都は、環境物品等調達方針におきまして、再生骨材コンクリートなどを環境負荷の少ない建設資材として位置づけまして、公共工事での使用を推進しております。

 一方、その活用を図る上で、運搬距離や供給能力などが制約となっております。そこで、製造者へのヒアリング等によりまして、今後整備予定のプラントの情報等を収集し、まずはこれを庁内において共有しながら、都の発注工事における使用実績を積み重ねてまいります。

 こうした取組により、再生骨材コンクリートの利用拡大を図り、建設副産物のリサイクルを推進してまいります。

質問8
 多摩地域においては、多くの人工林が植栽後五十年以上経過しており、これらを木材として積極的に利用すべき時期を迎えています。

 しかし、木材需要の多くを占める民間住宅では、建築に用いられる木材の多くを輸入材に依存している状況です。

 一方で、近年の輸入木材の価格上昇などの影響から、住宅メーカーはこれまでの体制を転換し、国産木材を積極的に活用しようとする動きも見られるなど、国産木材の需要が拡大する好機が到来しています。

 また、日本の木造住宅では、古くから木材以外にも土壁や畳などの内装が施されてきました。高い吸湿性など、様々な効能を持つこうした伝統的な技能を用いた内装についても、国産木材の利用促進と併せて後押ししていくことが重要です。

 こうした視点を持って、多摩産材をはじめとする国産木材の利用拡大を図っていくべきと考えますが、見解を伺います。

答弁8
産業労働局長
 国産木材の利用拡大についてですが、森林を適切に維持するためには、木材の利用を増やし、樹木を植え替え、育てる循環を進めることが重要でございます。

 このため、都は、都有施設の整備などを行う際に、積極的に多摩産材を活用するほか、区市町村の公共施設や集客力のある商業ビル等における木材利用の促進を図っているところです。

 来年度は、多摩産材を利用した、断熱性など省エネ性能の高い住宅の新築を後押しするため、木材の利用量に応じ、ポイントを提供する事業を開始いたします。ポイントは、東京の農林水産物や伝統工芸品などとの交換のほか、しっくいの壁や畳など伝統技能による内装等への活用を可能とし、住宅での木材需要の増加に結びつけてまいります。

 こうした取組によりまして、国産木材の利用をより一層拡大し、持続可能な森林循環につなげてまいります。

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都市づくり

質問1
 都はこれまで、無電柱化加速化戦略を策定し、計画的に進めてきました。東京都の無電柱化は、第一次緊急輸送道路や災害時の復旧拠点となる施設を結ぶ路線等を優先して、重点的に取り組んでいることは承知しています。

 一方、無電柱化の目的には、歩道の快適性の確保やまちの美しい景観の創出もあります。多くの人が集まる駅周辺など、都民が無電柱化の効果をより実感できる道路でも整備を進めるべきです。

 利用する人の多い駅周辺道路の無電柱化をどのように進めていくのか伺います。

答弁1
建設局長
 駅周辺の道路の無電柱化についてでございますが、駅は、多くの人が集う場であり、駅周辺の無電柱化を推進することで、防災性の向上はもとより、美しい景観の創出や快適な歩行空間の確保を図ることは重要でございます。

 都は、昨年六月に改定した無電柱化計画で、第一次緊急輸送道路や環状七号線の内側のエリアに加えまして、主要八十駅周辺で都道の無電柱化に取り組むこととしており、二〇三五年度の完了を目指しております。

 このうち、荻窪駅や八王子駅などでは、区市道においても無電柱化チャレンジ支援事業等を活用し、面的な無電柱化を推進してまいります。また、道幅の狭い道路の整備に当たりましては、変圧器と一体型の街路灯や既存の地上機器を活用して、その数を減らす技術的な検討を進めてまいります。

 引き続き、都内全域で無電柱化を推進してまいります。

質問2
 また、施政方針では、木密地域における私道の無電柱化について新たな取組を始めるとの知事の発言がありました。

 木密地域の面的な無電柱化は防災性の向上に資する重要な意義があると思いますが、どのような私道を支援の対象とするのか見解を伺います。

答弁2
東京都技監
 木密地域における私道の無電柱化についてでございます。

 木密地域では、各区において防災生活道路等の無電柱化に取り組まれている中で、震災時における避難や消火救援活動をより効果的に進めるためには、特に区道等に連なる私道の無電柱化を推進する必要がございます。

 このため、特に重点的、集中的に改善を図るべき重点整備地域におきまして、区道等に接続する私道の無電柱化を対象に、新たに来年度から、都が区に対しまして経費を支援いたします。

 区や電線管理者とも連携しながら、無電柱化の面的展開を図り、木密地域における防災性を向上させてまいります。

質問3
 また、無電柱化事業は、その完成に際して、道路や歩道のバリアフリー化を同時に進める好機となります。

 無電柱化に合わせた道路のバリアフリー化を一体的に進めることが重要と考えますが、見解を伺います。

答弁3
建設局長
 無電柱化に合わせた道路のバリアフリー化についてでございますが、道路のバリアフリー化を効果的、効率的に進める上で、安全で快適な歩行空間を確保する無電柱化事業と一体的に実施することは有効でございます。

 このため、都は、無電柱化の舗装復旧工事に併せまして、段差の解消や勾配の改善、視覚障害者誘導用ブロックの設置など、道路のバリアフリー化を進めております。

 来年度は、中杉通りのうち阿佐ケ谷駅から杉並区役所までの区間や、尾竹橋通りのうち三河島駅周辺の区間など、約四十か所で工事を実施してまいります。

 今後とも、無電柱化事業をはじめ、あらゆる機会を捉えてバリアフリー化を進め、誰もが利用しやすい、質の高い道路空間を創出してまいります。

質問4
 知事は、施政方針演説において、いわゆる生産緑地の二〇二二年問題を乗り越えるべく、緑地を維持する区市を積極的に支えると表明しました。また、将来にわたり農地を脈々と引き継ぐためには、担い手たる農業者の育成が欠かせないとも述べられ、都市農業の発展につながる方向性を表明いただいたことを評価するものです。

 そうした方向性に合わせて、今回、農地の保全等と併せた防災性向上まちづくり支援事業が新たに提案されましたが、施策の概要を伺うと、農地を有する地域において、農地の保全を促すとともに、将来、無秩序な宅地開発が行われたとしても、防火規制などを地区計画としてあらかじめかけておくことで、市街地の安全性を高めるというものです。

 しかしながら、知事がお示しになられた方針のように、防災性の確保だけでなく、貴重な都市の農地を残す取組を考えるべきであり、そのためには所有者へのインセンティブが不可欠です。

 今後、区市への働きかけに当たっては、防災性の確保だけでなく、農地を残すという視点を持って臨むことが重要です。見解を伺います。

答弁4
東京都技監
 農地保全等と併せた防災まちづくりについてでございます。

 農地は、防災の機能を持った貴重な緑の空間でございまして、まちづくりにおいて、最大限その保全活用を図っていくことが重要でございます。

 そこで、農地を有する地域におきまして、来年度から、新たに、地区計画の策定など農地の保全に効果的な手法等を検討する区市の取組を支援いたします。

 また、やむを得ず宅地化される場合に、延焼の危険性が増大する可能性があることから、防火規制による市街地の耐火性能の向上などを行う区市の取組につきましても、支援をいたします。

 地域の特性を十分に踏まえながら、農地の保全等と併せた木密地域の拡大の未然防止を図ってまいります。

質問5
 昨年の第四回定例会において知事が表明された高台まちづくりについてお尋ねします。

 東京都は、災害に強い首都「東京」形成ビジョンに基づき、高台まちづくりを推進するため、地域ごとの水害リスク等を踏まえた高台まちづくりの在り方や、モデル地区等における課題に対する具体的な推進方法について検討を行うことを目的としたワーキンググループを国と共に設置しました。

 本年一月にも、江東五区など関係する七区が加わり、ワーキンググループが開かれまして、地域における課題の共有と、流域治水関連法の改正に基づいた新たな対策について議論が交わされたと聞いています。

 今後、国土交通省とも連携をさらに深め、モデル地区における事業推進に向けて、より実効性のある支援を行っていくとともに、各地区における取組が進展するよう国に一層の制度拡大を求めるべきと考えます。知事の高台まちづくりに対する所見を伺います。

答弁5
知事
 高台まちづくりについてのお尋ねでございます。

 大規模な水害によって深刻な被害が想定される東部低地帯への備えは、喫緊の課題であり、水害に対して安全性の高い、高台まちづくりを加速させなければなりません。

 国との連絡会議で、私も参加して取りまとめましたビジョンの方策につきまして、地区特性を踏まえた適用を図るため、都は、国や荒川、江戸川沿川七区と共に検討を進めております。

 先行する船堀地区におきましては、地元区におきまして、国が創設した支援スキームを全国で初めて活用して、将来的に浸水区域外への避難用通路にもなる建築物の連絡デッキの整備などの検討を行っております。

 都は、こうした取組を後押しするため、来年度から、計画を策定する区に対しまして、新たに支援を行います。

 検討を進める中で、必要となる制度の拡充を国に働きかけながら事業推進を図って、災害の脅威から都民を守る強靭な東京を実現してまいります。

質問6
 高台まちづくりに当たっては、その周辺の様々なインフラ整備を行うことが重要であり、緊急的な避難場所や救出救助等の活動拠点となる高台の整備とともに、より安全に、そしてスムーズに移動できる避難経路が確保されてこそ、その機能が発揮されることとなります。

 都内を流れる多くの大河川では、堤防の高規格化が進行し、堤防自体が命を守る高台としての役割を果たすことが期待されるとともに、河川沿いのオープンスペースも災害時には活用されることになります。

 河川空間を活用した高台まちづくり、避難経路の確保についての取組を伺います。

答弁6
建設局長
 河川空間を活用した高台まちづくりについてでございますが、現在、高台まちづくりにおいては、モデル地区を設定し、国や区等と連携して避難拠点や避難ルートの確保などについて検討を進めております。その中で、地盤が高い堤防やその周辺の空間を活用していくことは有効でございます。

 堤防を活用したモデル地区である中川左岸地区では、こうした観点に立った整備等に取り組んでいくこととしております。具体的には、西新小岩の緩傾斜型堤防を隣接する区立公園の再整備と併せまして、高台ゾーンとして一体的に整備いたします。

 また、堤防上部の通路を使って地盤が高い地域へ避難できるよう、横断する橋梁などにより分断されている通路の連続化に向けて取り組んでまいります。

 引き続き、高台まちづくりを推進し、首都東京の安全性を高めてまいります。

質問7
 下水道は、ふだんは目に触れませんが、都民生活を支える重要なインフラです。

 多摩地域では、都の管理する流域下水道と市町村の管理する公共下水道が一体となって機能しており、その八割は汚水と雨水を別々の下水道管で集める分流式下水道で整備されています。

 近年、豪雨時などに市町村の管理する分流式下水道の汚水管に大量の雨水が入り込む雨天時浸入水により、マンホールからの溢水など浸水被害が発生しています。雨天時浸入水は、汚水管の老朽化や民地からの雨水排水の誤接続が主な原因と聞いています。

 雨天時浸入水対策は、発生源となる公共下水道での対策が基本ですが、対策を行う市町村の下水道の技術系職員は、建設から維持管理の時代に移行する中で大幅に減少しており、都の技術的な支援が不可欠となっています。

 そこで、東京都と市町村の連携した雨天時浸入水対策の取組を伺います。

答弁7
下水道局長
 多摩地域の雨天時浸入水対策についてでございますが、対策を効果的に進めるためには、市町村への技術支援が重要でございます。

 これまでも都では、雨天時浸入水調査などを実施いたしまして、水量が多い地域を絞り込んでまいりました。今回、民間企業と共同開発した、浸入水量をリアルタイムで把握できる多機能型のマンホールの蓋を三十七か所設置いたしました。これにより収集いたしました多くのデータを基に、降雨とともに浸入水量が増加する地域と発生要因などを分析いたします。

 これらの結果を活用して、市町村が浸入水量の多い地域での汚水管の調査や対策を優先して行えるよう、技術支援を実施してまいります。

 加えて、発生源特定のため、都と市町村による現地合同調査を実施いたしましてノウハウを継承してまいります。

 引き続き、市町村と連携し、雨天時浸入水対策を推進してまいります。

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東京二〇二〇大会

質問1
 一昨日閉幕をした北京冬季オリンピック大会では、過去最高数のメダルを獲得するなど、多くの日本人選手が活躍をしました。

 昨夏に開催された東京二〇二〇大会においても、コロナ禍の中で人類が英知を結集し、世界中のアスリートが東京に集い、活躍し、私たちに夢と希望、そしてチャレンジする勇気を与えてくれました。コロナ終息の際には、そうした選手団のパレードを実施するなど、改めて感動と感謝、喜びの機会の創出を要望しておきます。

 大会は、スポーツの力で世界を一つにした象徴として歴史に新たなページを残しました。

 一方で、招致のときから指摘してきましたが、大会の開催自体がゴールではありません。その成功を通じて、都民、国民が自らの自信と誇りを新たにするとともに、ハード、ソフト両面から、東京を世界で一番の都市へと飛躍させることこそ最終的な目標です。

 大会は東京を、そして日本をさらに発展させるための跳躍台であり、長期的な視点に立って、レガシーをつくり上げていくことが肝要です。

 大会の成果を今後の都政運営にどのように生かしていくのか、開催都市の長として、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 大会のレガシーについてのご質問がございました。

 コロナ禍や一年の延期、そして無観客という前例のない状況の下、多くの方々の協力を得て、東京二〇二〇大会を成功裏に開催することができました。世界から寄せられました信頼は、東京が誇るべき、かけがえのない財産であります。

 大会を通じて得られた様々な取組の成果や、サステーナブルや共生社会など、都民と共有した大切な価値を東京全体に広げることで、都市のレガシーへと発展させてまいりたい。

 徹底した感染対策などの危機管理の取組をさらに推し進め、安全・安心な都市を実現するとともに、ハード、ソフトのバリアフリーを都内全域に広げて、段差のない社会を創出してまいります。

 加えまして、大会施設の戦略的な活用や芸術文化の振興、被災地や全国との絆を継承した共存共栄の展開など、あらゆる政策分野で大会の成果を未来へとつないでまいります。

 開催都市の長として、レガシーを大切に育て上げ、世界を魅了する未来の都市東京をつくり上げてまいります。

質問2
 東京二〇二〇大会は、大会史上初の一年の延期を経て、コロナ禍という困難な状況下での開催となりました。このような中、大会を成功させることができたのは、二〇一六年招致から始まり、約二十年にわたり関係者が大会の開催と成功を固く信じ、ワンチームとなって取り組んできたからにほかなりません。

 懸案だった大会経費についても、昨年末に、都民、国民に新たな負担が生じない見込みであることが示されました。これは、東京都、国、組織委員会がそれぞれの責務を果たしつつ、連携して取り組んだ成果です。

 大会経費の見通しの公表に至るまで、どのように関係者と取り組んできたのか伺います。

答弁2
オリンピック・パラリンピック準備局長
 大会経費についてでございます。

 組織委員会、東京都、国の三者は、平成二十九年の大枠の合意や、大会延期後の追加経費負担の合意に基づいて、開催準備を進めてまいりました。IOC等の関係者と協力して、大会の簡素化や経費の削減を図るとともに、コロナ対策の検討を重ね、その対策経費については、国と都が全額を負担するなど、大会を成功させるため、それぞれの役割を果たしながら、一体となって取り組んでまいりました。

 今回、三者は、こうしたこれまでの経緯と観客数の取扱いなど、V5予算以降の後発事象を共有した上で、役割分担を踏まえた対応を図ることに合意いたしました。これにより、新たな予算措置を講ずることなく対応できる見通しとなりました。大会の決算に向けまして、引き続き三者で連携して取り組んでまいります。

質問3
 スポーツの観点では、大会を通じて都内のスポーツ環境は大きく向上しました。また、パラスポーツも含め、スポーツへの興味、関心が高まっています。

 オリンピック・パラリンピック準備局は他局に統合されるとのことですが、スポーツ行政を停滞させることなく、この機を捉えて、大会の様々な取組をスポーツレガシーとして発展させていかなければなりません。

 大会を契機に整備拡充されるスポーツ施設の活用や国際大会を直接観戦できる機会の拡充など、大会の成果を生かし、スポーツ施策を積極的に展開していくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。

答弁3
知事
 スポーツ施策の積極的な展開についてのお尋ねでございます。

 東京二〇二〇大会を通じまして、人々のスポーツに対する関心は大いに高まりました。この機を捉えてスポーツを東京に一層根づかせるため、先般、スポーツレガシービジョンを公表いたしました。

 大会を契機に、最新の国際水準の設備を有する新規恒久施設を整備するとともに、既存施設のバリアフリー化などの機能強化を進めるなど、東京のスポーツインフラはバージョンアップをいたしました。

 さらに、スケートボード、スポーツクライミング、3x3バスケットボールの三つのレガシーを生かした有明アーバンスポーツパークなども新たに誕生いたします。

 これらの施設を戦略的に活用しまして、全部で十八施設のネットワークでポテンシャルを最大限発揮するとともに、各施設の特性を生かした多様な活用を進めてまいります。

 また、国際スポーツ大会の誘致、開催を促進することで、より多くの都民に対しましてトップアスリートの活躍に触れる場を提供するなど、スポーツへの関心をさらに高めてまいります。

 こうした取組を強力に進めまして、大会で得た成果をスポーツフィールド東京の実現につなげてまいります。

質問4
 大会の成功は、多くの関係者、そして都民、国民の協力によるものです。これまでの定例会でも繰り返し指摘してきましたが、感謝の思いを伝えるとともに、大会の感動を改めて共有し、未来に伝えていくことが重要です。

 大会本番時は、コロナの影響で、残念ながら世界のトップアスリートが最高峰の競技を繰り広げる姿を直接見る機会はなく、大会に出場した日本人選手を会場で応援することはできませんでした。

 また、文化の祭典という面でも、イベントがウェブ発信に切り替わるなど、大きな変更を余儀なくされました。

 そのため、来年度、大会一周年記念行事を実施するに当たっては、アスリートとの交流や文化事業との連携など、大会時に十分実施できなかった様々な取組も行うべきと考えますが、見解を伺います。

答弁4
オリンピック・パラリンピック準備局長
 東京二〇二〇大会一周年記念行事についてでございます。

 大会一周年の機会を捉え、都民、国民への感謝を伝え、大会開催の意義、感動や記憶を共有し、大会の数々のレガシーを未来に引き継いでいくことは重要でございます。

 このため、令和四年七月から十月までを大会一周年記念期間といたしまして、大会のレガシー発信と併せ、スポーツの価値を伝え、関心を高める様々な取組を推進してまいります。

 主な取組として、オリンピック開会式から一年目に当たる七月二十三日の大会記念セレモニーをはじめ、八月にはパラリンピック記念イベント、十月十六日は東京レガシーハーフマラソンを実施する予定であります。

 記念期間中は、子供たちを含む都民の催しへの参画やアスリートとの交流のほか、文化、観光事業等との連携を行えるよう、検討を進めてまいります。

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文化政策

質問1
 東京オリンピック・パラリンピックの文化レガシーを生かすため、都議会自民党は、都民が芸術文化を気軽に楽しむ機会をさらに増やしていくべきと主張してきました。東京大会が終わり、芸術文化へと向かう民間の活力を東京都はさらに支援していくべきと考えます。

 今回策定される文化戦略二〇三〇において、それをどのように反映し、施策を展開していくのか、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 芸術文化に触れる機会の創出についてのお尋ねでございました。

 今年度末に策定する文化戦略におきましては、東京二〇二〇大会のレガシーを発展させ、誰もが芸術文化に身近に触れられる環境を整え、人々の幸せに寄与する戦略を掲げて、芸術文化の敷居を低くする取組を展開することといたしております。

 そこで来年度は、東京で活動する多くのアーティストや団体がそれぞれの力を発揮するとともに、都民が芸術文化に触れる機会の拡大につながるイベントへの助成を新たに開始をいたします。

 この助成におきましては、東京のまち中を舞台として展開される事業や、伝統芸能や祭りなどの地域の文化資源を活用した事業などを重点的に支援をいたします。

 また、手話通訳や子供の一時預かりなどの鑑賞サポートや、新たなテクノロジーを使ったプログラムなどを実施する場合には、その費用を一定の範囲で上乗せをいたします。

 こうした取組を通じまして、芸術文化で躍動する都市東京の実現を目指してまいります。

質問2
 東京都はこれまで、地域の文化資源を活用した助成制度を創設し、世界に発信していく創造活動や地域の文化の振興のため、せたがや梅まつりや阿佐谷ジャズストリートなど、地域における活動も支援してまいりました。

 今後も、都内の様々な地域において、特徴のある魅力的な芸術文化活動がより活発に行われるよう、地域の実情やニーズを丁寧に聞き取り、次世代へとつないでいく必要があります。

 そのためにもさらなる地域の芸術文化施策の充実を図っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁2
生活文化局長
 地域の芸術文化活動の振興についてでございますが、都はこれまで、地域で活動する芸術文化団体等の協力を得て事業を実施するほか、東京地域芸術文化助成などにより、地域における芸術文化活動も支援してまいりました。

 今後さらにその活動を活発化させていくため、都民に身近な区市町村との連携を強化し、意見交換をしながら、地域の文化資源の活用や、地元の方々の活躍の場が広がるよう、助成制度をはじめとした施策を推進してまいります。

 また、区市町村との足並みをそろえた事業展開に向けまして、新たに戦略パートナーシップ会議を設置いたします。

 こうした取組を通じ、芸術文化と地域社会とを結びつけ、地域振興にも寄与する魅力的な芸術文化活動を強力に支援してまいります。

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教育施策

質問1
 さて、石原都政の功績の一つが東京の教育再生です。

 学校教育の現場でも、知、徳、体をバランスよく習得することの重要性を訴え、中でも道徳教育には熱心に取り組まれてきました。現在でも、道徳授業地区公開講座が継続されています。都のこうした取組実績から、国においても道徳は教科化されました。

 もう一つの教育再生の実績は、都立高校改革です。

 社会のニーズ、子供の特性が生かせる多様なタイプの学校の設置や学区制の廃止など、改革を強力に進め、進学実績の向上や中途退学率の改善など、着実な成果が出始めています。

 現行計画は今年度末で終了となりますが、こうした節目を迎えるに当たり、今後の社会環境の変化等も踏まえ、都立高校の役割や人材育成についてどう考えるのか、見解を伺います。

答弁1
教育長
 今後の都立高校の役割と人材育成についてでございますが、都教育委員会は、知、徳、体のバランスの取れた生徒の育成はもとより、スマートスクールの実現に向けた取組やグローバル人材の育成、専門高校の充実など、社会の変化や生徒の多様なニーズに応える取組を推進しているところでございます。

 Society五・〇時代の到来など、社会の変革がさらに加速する中、生徒が個性や能力を最大限に伸ばし、新たな価値の創造に向け、自ら考え行動できるよう、時代の流れを機敏に捉え、施策を展開していく必要がございます。

 都立高校では今後、デジタル技術や外部の人材を活用し、個別最適な学びや探求学習を充実するとともに、学校の個性化、特色化を一層推進するなど、未来を担う人材の育成に引き続き取り組んでまいります。

質問2
 東京都は、来年度より、中学校英語スピーキングテストを全ての中三生を対象に実施し、そのテスト結果を、都立高入試の際、内申書の点数同様に加点するという仕組みとしています。小中高等学校で一貫した英語教育を推進していく上で重要な事業であり、昨年のプレテストを受験した生徒からも、英語を話すよい機会となったなどの声もあるようです。

 一方で、吃音症の生徒にとっては、本来の英語能力を過小評価されるのではないかとの懸念の声が届いています。都の英語スピーキングテストの取組は、全国の自治体が注目をしています。全国に先駆けて取り組むからこそ、実施に当たっては、障害等により不公平にならないような受験上の合理的配慮が不可欠です。

 こうした観点を踏まえ、今後、世界を舞台に活躍する人材の育成にどのように取り組むのか、知事の見解を伺います。

答弁2
知事
 世界を舞台に活躍する人材の育成についてのお尋ねがございました。

 地球規模の課題解決が求められる社会におきまして、子供たちが豊かな国際感覚を持ち、多様な人々と協働していくためには、英語をツールとして使いこなす力を身につけることが大切であります。

 中学校英語スピーキングテストは、中学校における成果を高校での学習につなぎ、学ぶ意欲を高めることを目的としております。

 実施に当たりましては、一人一人の子供が自らの力を存分に発揮できますよう、子供や保護者の意見を丁寧に聞きながら、個々の状況に応じたきめ細やかな支援を行っていくことが重要であります。

 全ての子供が将来への希望を持って、英語を学び続け、世界を視野に入れ、新たな時代を切り開く人材を育成してまいります。

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パートナーシップ宣誓制度

質問1
 真の共生社会を目指す中で、多様性を尊重することは重要です。

 知事は、パートナーシップ制度を来年度導入すると表明していますが、制度の検討に当たっては、当事者だけでなく、広く都民に理解されるよう、丁寧な議論と検討が必要です。

 制度化に当たっては、受理証明書の適用範囲や婚姻制度との整合性、先行基礎自治体との適切な協議など、様々な課題があります。

 このような点を踏まえながら、知事はどのような考えの下で制度素案を構築したのか、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 パートナーシップ宣誓制度についてのお尋ねでございます。

 性的マイノリティーの方々をはじめとする全ての都民が自分らしく生活し、多様性が尊重され、誰もが認め合う共生社会を実現することは重要です。

 都はこれまで、都民等へのアンケート調査や様々な有識者などへのヒアリングを行いまして、関係法令との整合性を踏まえ、婚姻制度とは異なるものとして、当事者の困り事の軽減と多様な性に関する都民理解を促進する目的で素案を策定いたしました。

 都が発行する受理証明書につきましては、当事者のニーズ等を踏まえまして、都において住宅や医療サービス等で活用できるよう検討するほか、民間での活用も進みますように協力を呼びかけてまいります。

 また、制度導入済みの都内自治体とは、証明書の相互活用などについて丁寧に協議をして、連携を図ってまいります。

 今後、パブリックコメントなどの意見も踏まえまして、制度を構築し、本年秋の運用開始を目指して取り組んでまいります。

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国際金融都市構想

質問1
 国際金融都市の構想は、小池知事就任以来、公約に掲げてこられた最重要政策の一つです。

 しかし、これまでのところ、シンクタンクによるランキングを含め、成果や都民理解は十分とはいえません。今後、東京経済を牽引し、都民生活の向上につなげていかなくてはなりません。

 東京都は、国際金融都市東京の実現に向け、金融系外国企業の誘致をはじめとする幅広い分野の外国企業の東京への誘致を推進してきていますが、こうした取組は都民の理解を得ながら進めていくことが重要です。

 改めて、外国企業誘致の意義と今後の方向性について、知事に伺います。

答弁1
知事
 外国企業の誘致に関してであります。

 脱炭素化、デジタライゼーションの進展など、世界の激しい変化に的確かつ迅速に対応し、激化する都市間競争を勝ち抜き、東京の持続的成長を実現していかなければなりません。

 金融系企業を含む外国企業の誘致は、雇用創出などの直接的な経済効果のみならず、技術、人材、情報などの集積を通じ、都内企業の事業機会の拡大につながります。

 これにより、経済の発展や都民の豊かな生活の実現に貢献するものであります。

 都はこれまで、東京進出を検討する外国企業に対するビジネスコスト軽減を図る施策や、誘致企業の定着に向けた支援を実施してまいりました。

 また、国際金融都市を目指す取組に関するプロモーション映像の活用などによりまして、国内外への発信も行ってまいります。

 今後とも、外国企業の誘致を積極的に進めまして、東京の持続的な成長と都民生活の向上につなげてまいります。

質問2
 また、外国企業誘致を進めるに当たっては、租税回避などの懸念もある中、都内経済への還元を確実にし、経済の成長につなげることが重要ですが、このための取組について伺います。

答弁2
政策企画局国際金融都市戦略担当局長
 外国企業誘致の都内経済への還元についてでございますが、誘致対象企業の選定に当たり、例えばAIなどの第四次産業革命関連分野においては、技術の先進性だけではなく、都内でのサービス実装の可能性なども見定めております。

 また、都内企業との協業の意思や都内産業の課題解決につながる技術等を有する企業であることなどを考慮しております。

 さらに、誘致後においても、外国企業と都内企業との取引拡大に向けた支援を行うなど、継続的なフォローも実施しております。

 引き続き、このような取組により、外国企業誘致による都内経済への還元を着実に図り、さらなる経済成長へとつなげてまいります。

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デジタル化

質問1
 行政のデジタル化を推進していく上で、デジタルサービスを支える人材の育成は極めて重要です。

 東京都だけでなく、住民に身近な行政サービスを展開する区市町村においても、デジタル化の推進に向けて、区市町村職員のデジタルに関する能力向上などの課題を抱えています。

 先般、都は、デジタル人材の確保、育成に関する基本方針を公表し、その中で、東京都職員の人材育成の取組だけでなく、区市町村との連携も一つの軸とする東京デジタルアカデミーを新たに展開していくことを示しています。

 今後、区市町村のデジタル化の取組が本格化していく中で、個々の区市町村の取組状況を踏まえ、よりきめ細かな支援を実施していくことが必要です。

 区市町村のデジタル人材の育成に向けて、都がこれまで以上に支援を充実させていくべきと考えますが、宮坂副知事の見解を伺います。

答弁1
宮坂副知事
 区市町村のデジタル人材の育成支援についてお答えいたします。

 クオリティー・オブ・サービスの高いデジタルサービスの実現の鍵になるのは人であり、その育成の重要性は区市町村も同様です。

 昨年八月から、二十四自治体のCIO等との個別の座談会を実施し、デジタル人材育成について生の声を伺い、都の積極的な支援が不可欠だと改めて認識しました。

 都はこれまで、区市町村のデジタル化の中核人材向けの勉強会を開催し、八十六名が参加するほか、都庁職員向けのセミナーにも区市町村職員が受講できる環境を提供してきました。

 来年度は新たに、住民と接する窓口などの最前線の職員を対象に、最新のデジタルツール等をテーマにした研修会を六回程度開催します。

 また、区市町村が行政手続のデジタル化を進める中で、都の専門人材がBPR等の取組を支援することで、職員が実践的な知見を得られる機会を確保してまいります。

 さらに、東京デジタルアカデミーを新設し、都と区市町村が共同で海外等の先進事例の調査、分析を行うことで、区市町村職員の知識と能力の向上を図ってまいります。

 こうした取組を通じて、オール東京で、デジタルを理解し、使いこなし、つくり上げる職員を育成し、東京全体のデジタルトランスフォーメーションを推進してまいります。

質問2
 島しょ地域においても、デジタルの力によって遠隔診療が可能となるなど、距離や時間の制約を解消するだけでなく、魅力あるサービスの創出によって、島民生活の利便性向上や安心の確保につなげていくことができます。

 一方で、これらのサービスを支える通信基盤については、そもそも電波が届かない地域の存在や、いまだ3Gしか利用できない地域があるのが実情であり、通信困難地域の解消や5G通信網の整備について、島民からの切実な願いが寄せられています。

 都はこれまでも、つながる東京の実現に向けて様々な施策を実施していますが、新たに島しょ地域の通信環境整備の加速を打ち出したことは、我が会派として評価をしています。そして何よりも島民の期待が大きい取組です。

 そこで、来年度における島しょ地域の通信環境の向上に向けた取組について伺います。

答弁2
デジタルサービス局長
 島しょ地域の通信環境の向上に向けた取組についてでございますが、デジタル通信基盤は、サービスの利便性や効率性を高め、住民生活の質の向上に資する基幹的インフラでございます。

 都はこれまで、島しょ各島を結ぶ海底ケーブルの整備、強靱化や、インターネット接続環境の調査、通信事業者への整備促進の働きかけなどに取り組んでまいりました。

 来年度は、これらの取組の充実に加えまして、新たに通信困難地域の解消に向け、町村への計画策定や基盤整備に対する財政支援を行うほか、小笠原の通信設備を大容量化し、5Gの導入に対応することといたします。また、町立八丈病院での医療DX推進のためのインフラ整備など、総合的に取組を進めてまいります。

 今後とも、関係町村や通信事業者と一層連携し、島民の皆様が安心して利用できる通信環境を早期に構築してまいります。

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最低制限価格制度

質問1
 都議会自民党入札契約制度改革プロジェクトチームでは、よりよい入札制度構築を目指し、様々な問題提起と課題解決に向けた新たな提案をしてまいりました。

 そうした中、東京都は、我々の要請を受ける形で、最低制限価格制度を請負においては初めて印刷業に導入し、試行を続けてきました。改正担い手三法においても、ダンピング防止は発注者の責務とされ、労賃確保の観点からも、また、印刷業界の発展にも寄与する制度として機能してきたと考えています。

 昨年の第三回定例会の代表質問においても、しっかりと業界の意見を踏まえ、本格実施に向けて取り組むべきことを申し上げました。

 試行の結果を集約し、見直しを行い、速やかに本格実施に移行すべきときだと考えますが、都の見解を伺います。

答弁1
財務局長
 最低制限価格制度について、ご質問にお答えいたします。

 低価格入札を防止し、品質確保や担い手の中長期的な育成、確保を図っていくことは重要でございまして、こうした認識のもと、印刷請負においては、最低制限価格制度を平成二十八年度から六年間にわたり試行を続けてまいりました。

 この間、積算手法の確立など、庁内における統一的な運用に向けて創意工夫を重ねるとともに、事業者の意見を聞きながら適用範囲などを確定し、令和四年度、速やかに本格的に実施してまいります。

 今後とも、庁内はもとより、事業者の声にも丁寧に耳を傾けながら、制度を適切に運用してまいります。

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インフラ整備

質問1
 昨年の第三回定例会において、我が会派からの質問に対し、都は、地下鉄八号線と品川地下鉄の二路線について、早期の事業化を図っていくことを表明し、事業化に向けた大きな一歩を踏み出しました。

 これらの二路線は、開発が目覚ましい豊洲、あるいはリニア中央新幹線の始発駅となる品川へのアクセス利便性を向上させ、東京の国際競争力の強化に資する重要なインフラであり、早期の事業化に向け、さらに歩みを進める必要があります。

 国など関係者と緊密に連携をし、スピード感を持って具体的な取組を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 地下鉄八号線及び品川地下鉄についてのお尋ねがございました。

 東京の地下鉄ネットワークは、首都機能や経済活動を支える重要な基盤であり、そのさらなる充実が不可欠でございます。

 昨年七月、国の審議会から、地下鉄八号線及び品川地下鉄につきまして、早期の事業化を図るべきと答申がされました。

 この答申を踏まえまして、国と共に東京メトロへ財政支援を行うこととして、これを受けて、先月、東京メトロは事業主体として両路線の事業許可を国へ申請をいたしました。

 今後、国や地元区、東京メトロなど、関係者と一層連携をいたしまして、早期の事業化に向け、来年度早々にも都市計画や環境影響評価の手続に着手するなど、地下鉄ネットワークのさらなる充実に向けて取り組んでまいります。

質問2
 また、さきの第四回定例会において、我が会派の主張を踏まえ、築地再開発については、民間の自由度を高めていくと、都は答弁しています。

 今年度中に実施方針を取りまとめるとのことですが、このまちづくりを進める上で、地区内外に計画されている道路や鉄道など、日々の都民生活を支える基盤整備との連携が不可欠です。道路でいえば高速晴海線、鉄道でいえば臨海地下鉄、水辺でいえばスーパー堤防や防災船着場などがあります。

 築地まちづくりにおいて、民間からの優良な提案を受けるためにも、こうした交通インフラ整備の計画を示すことが重要と考えますが、都の見解を伺います。

答弁2
東京都技監
 築地まちづくりについてでございます。

 当地区では、海、川、陸が交差する要所を生かし、舟運、バス、地下鉄などのインフラから成る広域交通結節点を形成するため、中長期にわたり調整しながら、民間開発と公共側の整備との連携を図っていくことが重要でございます。

 防災船着場は都が整備いたしまして、舟運ネットワークの要となるよう、民間等が活用してまいります。水辺は魅力的な憩いの場となるよう、民間開発とスーパー堤防の整備を連携して進めてまいります。高速晴海線や臨海地下鉄につきましては、都として検討する中で、民間開発との調整、連携を図ってまいります。

 年度末に公表予定の事業実施方針におきまして、基盤整備などに関する事項を可能な限り示せるよう検討いたしまして、優れた民間提案を引き出しながら、持続的な成長につながるまちづくりを進めてまいります。

質問3
 次に、築地まちづくりの中でも重要な交通インフラとなる臨海地下鉄について伺います。

 臨海地下鉄が計画されている築地や晴海、豊洲、有明などの沿線地域では、民間事業者等による開発が進展しています。

 臨海地下鉄の導入空間を確保するとともに、さらなる民間投資の誘発や新たな需要の創出につなげるためにも、早期に事業計画を具体化すべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁3
東京都技監
 臨海地下鉄についてでございます。

 本路線は、国際競争力の強化に資する路線でございまして、都心部と開発が進む臨海地域とをつなぐ基幹的な交通基盤、いわば背骨としての役割を有してございます。

 昨年七月、国の交通政策審議会から、事業化に向けて関係者による検討の深度化を図るべきと答申されたことを踏まえまして、本路線の実現に向けた都の取組に対し、国は協力することを合意いたしました。

 この合意に基づき、国の参画も得て、昨年九月に検討会を設置いたしまして、概略のルートや駅位置等を含め、事業計画の策定に向けた検討を進めているところでございます。

 引き続き、関係者と連携して検討を積極的に進めるなど、本路線の具体化をさらに加速してまいります。

質問4
 外環道の東京都区間は、昭和四十五年に、地元と話し得る条件の整うまでは強行すべきではないと当時の建設大臣による凍結発言によりまして、事業が凍結された過去があります。

 その後、平成十一年、知事に就任した石原慎太郎氏が、東京の発展のため、効率的な物流ネットワーク構築の必要性や、慢性化した渋滞の緩和を目指して検討を再開し、国の不合理な税制改正に対して石原知事が強く進言をいたしまして、四十年近く凍結をしていた東京外かく環状道路整備が再開されることとなったわけです。

 現在、国や事業者は陥没事故の再発防止に努めておりますが、今後、残された整備区間である東名高速から湾岸道路間については、羽田空港や京浜港へのアクセス強化の面からも整備の必要性は高く、事業化への早期移行が期待されます。

 外環道の整備に向けた知事の見解を伺います。

答弁4
知事
 外環道の整備につきましてであります。

 首都圏におけます交通、物流の根幹をなす外環は、人と物のスムーズな流れの確保や国際競争力の強化を図るとともに、首都直下地震など災害時の避難や救急活動のルートを確保するなど、極めて重要な道路でございます。

 国など事業者は、関越道から東名高速間のうち、陥没箇所周辺では補償や地盤補修などを進めているところであります。

 また、本事業の再発防止対策を取りまとめ、不安払拭などに向けまして、沿線各地で説明会などを進めており、練馬区などでは、安全を最優先に、事業用地内での掘進作業に取り組むことにしております。

 都は、事業者に対しまして、引き続き、再発防止対策等の確実な実施、住民の不安払拭に向けた丁寧な説明やきめ細やかな対応を求めてまいります。

 東名以南の湾岸道路までの区間につきましては、羽田空港などへの広域的なアクセス強化へもつながるものでございまして、計画の具体化に向け、引き続き国や関係機関と共に着実に取り組んでまいります。

質問5
 港湾の物流機能の強化についてですが、世界の海運市場においては、自由貿易協定の進展や国際的な電子商取引の拡大などにより、コンテナ貨物量が今後さらに増加すると予想されています。

 我が国を取り巻くこのような経済構造の変化に適切に対応し、日本経済の成長につなげていくためにも、我が国最大のコンテナ港である東京港の貨物処理能力を抜本的に高めることが必要不可欠です。

 また、東京港では、貨物の搬出入を行うトラックによる交通混雑も発生しており、円滑な物流を確保する上で深刻な課題となっています。

 東京都は、新たなコンテナふ頭の整備はもとより、既存のコンテナふ頭についても再編を進めることに加え、デジタル技術を活用した運営の効率化を図るなど、ハード、ソフト両面から積極的に東京港の機能強化を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁5
港湾局長
 東京港の機能強化についてでございますが、都心に近接し、エリアが狭隘な東京港が、国際分業のさらなる進展等によりまして予想される貨物量の増加に適切に対応するためには、新規ふ頭の整備に加え、既存ふ頭についても、貨物取扱能力の抜本的な強化を図る必要がございます。

 このため、都は来年度、青海ふ頭ではターミナル拡張や荷役機械更新に本格的に着手し、品川ふ頭では船舶大型化に対応するために岸壁改良の基本設計を進めます。

 また、ふ頭運営を一層効率化するため、貨物搬出入手続のデジタル化や荷役機械の遠隔操作化を行う事業者支援等により、ふ頭周辺の交通混雑緩和を図ってまいります。

 今後とも、世界から選ばれる港となりますよう、ハード、ソフト両面で、ふ頭機能の強化を加速させ、国際物流拠点としての役割を引き続き果たしてまいります。

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児童相談所

質問1
 平成二十八年の児童福祉法改正により、特別区においても児童相談所が設置できるようになって五年が経過しました。

 この間、四区が児童相談所を開設しまして、来年度は、中野区が四月に、板橋区が七月に開設を予定しているだけでなく、練馬区を除く二十二区が開設の意向や検討を示しています。

 また、国は昨年、児童相談所の設置基準を定める政令を発出いたしまして、管轄人口が百万人を超える児相は、区域の見直しも求められることとなりました。

 こうした児童相談所の再編ともいえる状況下で、二十三区における管轄区域の見直しや、東京都全体の児童相談の体制づくりを今後どう進めていくのか、東京都の見解を伺います。

答弁1
福祉保健局長
 児童相談体制についてであります。

 昨年七月、児童相談所の設置基準が政令等で新たに設定され、管轄人口が百万人を超える児童相談所は、管轄区域の見直しが求められております。

 都は、これに対応し、区部に所在する児童相談所の管轄区域については、地理的条件や交通事情等を総合的に考慮した上で、特別区の設置計画も確認しながら検討する考えであります。

 また、都内における児童相談体制については、全区市町村が参画する検討会において、人事交流や保有施設の活用、情報共有の方策などを検討してきました。

 今後、この検討会の場を活用しながら、管轄区域の考え方や効果的な連携方策等について、区市町村と意見交換し、東京全体の児童相談の役割分担や相談体制の強化に向けて検討してまいります。

質問2
 一方で、現下の児童虐待の対応件数が増加の一途をたどっておりまして、現場が多忙を極める中、いうまでもなく児童相談所の体制強化をしっかり図るべきです。

 専門職である児童福祉司、児童心理司などの増員はもとより、専門職がその能力を十分に発揮できるよう、人材育成の強化策も併せ、取組をさらに進めていくべきと考えます。都の見解を伺います。

答弁2
福祉保健局長
 児童相談所の人材確保、育成についてであります。

 都はこれまで、深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、児童福祉司及び児童心理司を増員するほか、困難ケースで職員に助言指導等を行う専門課長を配置するなど、児童相談所の体制強化に取り組んでまいりました。

 今年度は、意欲ある人材を継続的に確保するため、専任チームを設置し、大学等への訪問や専門サイトの開設、採用動画の作成等、採用活動を積極的に展開しております。

 また、来年度は、旧世田谷児童相談所を活用してトレーニングセンターを開設し、児童や保護者との面接スキル向上に向けたロールプレーイングやゼミ形式の事例検討など、実践的な研修を実施いたします。

 こうした取組により、児童相談所の体制強化に向け、一層の人材確保、育成を進めてまいります。

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都立病院

質問1
 都立病院は、民間医療機関だけでは対応できない行政的医療など、都民にとって重要な役割を果たしています。だからこそ、その役割を果たし続けられるよう、医療環境が大きく変化する中で、より柔軟で機動的な病院運営を行っていくことが重要です。

 都立病院の独法化は、機動的な病院運営が可能となるメリットを生かして、新たな医療課題など、その時代に求められる医療や、都民が必要とする医療等を着実に提供していくためのものであると考えます。

 独法化後も、都民の生命と健康を守り抜く、都民のための病院としてあり続けるために、各病院が提供する医療の特徴をさらに際立たせることや、機能強化をすることを期待しますが、知事の認識を伺います。

答弁1
知事
 都立、公社病院の独法化についてのお尋ねが最後にございました。

 都立病院は、災害医療や感染症医療など、民間医療機関だけでは対応が困難な行政的医療をはじめ、都民にとって必要な医療を提供しており、独法化後もこうした役割を確実に果たしてまいります。

 独法化は、人、物、予算の面から、機動的な病院運営を可能とするものでありまして、各病院の特徴を明確にしながら、今まで以上に都民や地域のニーズに即した医療機能強化を図ることができます。

 例えば、駒込病院におきましては、移植コーディネーターを新たな職として設定をしまして、専門人材を安定的かつ確実に確保することで、がん移植治療の充実強化を図ってまいります。

 独法化後は、都民のための新たな都立病院として、各病院の強みを発揮しながら、医療環境の変化にも迅速的確に対応して、都民の生命と健康を守ってまいります。


 東京都では、少子化やコロナの影響による転出により、二十五年ぶりに人口が減少しています。そんな中にあっても、引き続き東京の中小企業を支援して、経済の活力を維持しながら、まだまだ先の見えないコロナ禍により、支援が必要となっている子供や女性、働く方々や高齢者にしっかりと光が届く、そういう予算であることを求めて質問を終わります。


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