若者施策
質問1
初めに、学生や専門学生、高等専門学校生への支援について質問します。
全国大学生活協同組合連合会は、コロナ禍の大学生活アンケートにおいて、無気力、落ち込み、孤独など、長引くコロナ禍が学生の心理に深刻な影響を与えているとの調査結果を公表しました。
約七割の学生が、将来に対する不安、約五割の学生が、意欲が湧かず無気力と答えており、特にコロナ禍で学生生活がスタートした大学二年生では、三割以上の学生が友人数は五人未満であると答えております。
対面授業が少なく、オンライン授業が続き、外出も控えざるを得ず、何かを一緒に楽しむ機会、何かに挑戦する機会も大きく減る中、人間関係を築けず孤独を感じている学生が増えております。
また、収入の激減も学生の大きな不安材料です。飲食店や塾、アパレルなど、学生アルバイトの職場はコロナの影響を大きく受けており、シフトは減り、新しい求人も激減しております。
これまで公明党青年局では、オンラインミーティングやインターネットアンケートなどで、こうした全国の学生の声を丁寧に伺いながら、実態調査をしてまいりました。その結果を踏まえ、奨学金返済の都独自の支援充実や、困窮学生への住宅手当などの創設を盛り込んだ学生政策提言二〇二一を取りまとめ、五月二十八日には小池知事に緊急要望をさせていただきました。
学生が、これまで以上に力強く、自らの夢や希望に向かって前進していける多面的な支援や環境整備が求められている今こそ、未来を見据えながら、コロナ禍における学生等への支援を強化していくべきと考えます。知事の見解を求めます。
答弁1
知事
コロナ禍における学生等への支援についてのお尋ねがございました。
新型コロナという未曽有の危機により、学生たちは、長きにわたりオンラインでの授業を余儀なくされ、孤独や不安を感じるとともに、経済的にも困窮する状況に置かれています。
また、課外活動や留学の制限などによって成長の機会が奪われることは、学生のみならず、日本の未来にとりましても大きな損失でございます。
こうした状況を踏まえて、都はこれまで、各種相談支援や大学と連携したモニタリング検査、ワクチン接種の推進など、コロナ禍で困難を抱える学生等への支援を行ってまいりました。
また、未来の東京戦略に基づき、いかなる場合も学びを止めない取組など、子供、若者に対するプロジェクトを推進しております。
さらに、新たな課題や都民ニーズを的確に捉え、政策を展開していくため、来年度に向けました重点政策方針におきまして、子供の目線に立って総合的な政策を展開すること、誰一人取り残さず、全ての人が輝く東京を実現することをお示ししております。
今後、学生などを含めまして、コロナ禍によります人々への影響などをつぶさに把握、分析をいたしまして、実効性ある政策を練り上げ、未来の東京戦略をバージョンアップしてまいります。
質問2
平成三十年五月、国において、東京二十三区の学生数を抑制する法律が成立した際に、知事は、地方創生のためとして学生の選択の自由を縛ることは、学生の成長の機会を奪うことになり、このような法律が成立してしまったことは誠に遺憾とのコメントを発表し、記者会見では、効果がなかったならばさっさとやめるべきと、東京での学びを求める学生を守る思いを語られました。
東京には、全国からやってきた多くの学生が暮らし、学び、アルバイトをし、消費をし、就職をするなど、都は学生によって支えられてきました。東京全体が学生による学園都市であるといっても過言ではありません。
しかし、その学生を支える都の様々な支援策は目的ごとに各局に点在しており、学生の元までなかなか届いておりません。
必要な学生に支援策が行き届くよう、各局が情報共有を図っていくべきと考えますが、見解を求めます。
答弁2
都民安全推進本部長
学生等若者への支援についてでございますが、都における若者支援は、教育や保健、医療、福祉、雇用など多岐にわたっており、困難を抱える学生に対しても支援を適切に届けることが重要であります。
都は、東京都子供・若者計画に基づく若者全般の支援施策を推進するため、関係部局や民間をはじめとした様々な支援機関で構成する東京都子供・若者支援協議会を設置しております。
当協議会では、その時々の社会情勢をテーマとして取り上げており、今般のコロナ禍による学生を取り巻く環境の変化を踏まえつつ、新たに、学生支援の観点からも浮き彫りになった課題や支援の取組状況等について情報共有を図ってまいります。
質問3
第二回定例会や緊急要望で、都議会公明党が都独自の奨学金返済制度を提案したことに対し、都は、昨日の我が党の代表質問で、人材不足対策として、都内中小企業に就職した学生に対する奨学金の返済支援制度の開始を表明したことを高く評価します。
都はかねてから、人材不足対策として、保育士や介護福祉士などを目指す学生に対する修学資金貸付を行ってきました。
この制度は、年間六十万円を二年間や四年間の修学期間中に借り入れることができ、卒業後五年間その業務に従事すれば返済不要となる制度です。
しかし、七月と十一月の年二回にまとめての貸付けとなっており、毎月の学費や生活費を稼ぐことに多くの時間をアルバイトに費やさなければならないとの声が寄せられております。
本制度では、これまで申請者のほぼ一〇〇%の方が審査を経て利用できている点を鑑みて、極力、本人が立て替える期間を短くするべきと考えます。
加えて、任意となっている最大二十万円の入学準備金もほとんどの方が同時に利用しており、入学金の納入や新生活の準備に負担感を与えないよう貸付けを実行していくべきと考えますが、併せて都の見解を求めます。
答弁3
福祉保健局長
修学資金貸付制度に関するご質問にお答えいたします。
都は、福祉人材を確保するため、東京都社会福祉協議会を通じ、介護福祉士や保育士等を養成する施設の学生を対象に、資格取得後、一定期間福祉施設等に勤務することで返済が免除される修学資金を貸付けております。
本制度では、養成施設からの推薦を受け、申請を受け付けることや、他の奨学金等との併給調整を行った上で支給額を決定することから、入学後の募集としておりますが、介護分野では、併給調整が不要な方に早期に修学資金を支給できるよう、入学の前年度にも申し込む機会を設けております。
今後、保育分野におきましても、併給調整が不要な方に速やかに支給できるよう、申込み機会の拡大等の検討に着手いたします。
質問4
国では、公明党の長年の推進を受け、令和二年度から、給付型奨学金や入学金、授業料の減免を行う高等教育の修学支援新制度を開始しました。
対象となるのは、年収約三百八十万円未満世帯の学生のほか、新型コロナウイルスの影響で家計が急変した世帯も対象となるなど、意欲のある学生が学び続けることを支える制度であります。
都において、この制度の対象となる学生数は、都が所管する都内の私立専門学校に通う学生では、令和二年度実績で授業料減免が約八千二百人、入学金減免が約四千四百人となっており、経済的に困窮する学生にとって大きな支えとなっております。
一方で、この制度を活用するには、学校が教育機関として一定の要件を満たした上で申請し、制度の対象となる必要があります。この制度を活用している都内私立専門学校は二百三十五校であり、全体の六八%しか対象になっておりません。
今後、より多くの学生に利用機会を広げるために、現在対象となっていない学校が制度を活用することができるよう支援していくべきです。都の見解を求めます。
答弁4
生活文化局長
高等教育の修学支援新制度の利用機会拡大についてでございますが、経済的な理由で学生が学びを諦めないよう支援することは重要でございます。
これまで制度の対象とはなっていない学校には、定員充足率等の要件を満たすことが難しい学校がある一方で、新たに対象校となるための準備を進めている学校も一定数存在いたします。
今年度、都は、都内の私立専門学校に対して、制度対象となるためのポイントを絞った説明を行うなど、制度の活用に関するさらなる働きかけを行っていくとともに、学校を通じた周知のみならず、新たにSNSも活用し、専門学校等の学生や進学予定者に直接周知を行う予定でございます。
これらの取組によりまして、学生の学びの継続を支えてまいります。
都立産技高専における航空技術者育成の取組
質問1
私の地元荒川区にある都立産業技術高等専門学校では、航空技術者の育成に注力しております。平成二十八年度から始まった職業訓練プログラムでは、この三月で一期生と二期生の計十四名の修了生を輩出しました。
コロナ禍で大量リストラや採用者数が激減する航空業界にあって、全員が航空関連企業への就職や航空専攻に進学を決めるなど、優れた成果を上げております。
一方で、航空業界は厳しい国際競争にさらされており、これを勝ち抜いていくために、一層高い技術力を身につけた技術者の確保が求められております。
産技高専において、こうした需要に応えるために、産業界と連携した人材育成をさらに強化していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
答弁1
総務局長
都立産業技術高等専門学校における航空技術者育成の取組についてでございますが、同校では、学生が就職先で即戦力として活躍できるよう、実践的な知識や技術の習得を重視しており、航空関連企業と連携し、インターンシップや航空機整備場の実習見学など、現場体験型のプログラムを実施しております。
航空技術者に求められるスキルは、高度化、多様化が進んでおり、こうしたニーズの変化に総合的に応えるためには、教育内容をアップデートしていくことが重要でございます。
このため、航空機の設計、製造、整備など、技術全般に精通した人材を育成するための、より実践的なカリキュラムを、今後、関連企業と協同して検討してまいります。
都は、産技高専のこうした取組を支援し、これからの航空産業を支える技術者の養成を図ってまいります。
交通施策
質問1
次に、公共交通における障害者の利便性向上について質問します。
障害者の方が公共交通機関などで割引を受ける場合、窓口で障害者手帳を提示する必要があります。腕や指先が不自由な方にとっては、かばんから取り出し、手帳を開いて、必要な部分を提示する作業は大変な負担であります。
私は、令和元年第二回定例会の一般質問や令和三年の予算特別委員会において、障害者手帳、愛の手帳のカード化の要望と併せて、公共交通のバリアフリー化を促進するため、SuicaやPASMOなどで障害者割引に対応したICカードの発行を繰り返し提案し、推進してまいりました。
また、ICカードの発行を交通事業者に働きかけるよう求め、当事者団体の方々と共に国土交通大臣に要望を重ねた結果、本年六月、障害者割引対応の新たなICカードサービスを二〇二二年度後半に開始させることを盛り込んだ大臣指示を公表しました。
駅員のいない自動改札機でも割引が適用されることで利便性が格段に向上することになります。
しかし、新たなICカードサービスの導入に当たっては、これまでの障害者割引と同様に、障害者の方のみならず、同行する介護者の方も割引を適用できる仕組みにしなければなりません。
障害者割引に対応したICカードサービスの利用開始に向けて、介護者も割引が適用されるよう、都においても積極的に取り組んでいくべきと考えますが、都の見解を求めます。
答弁1
東京都技監
障害者割引に対応したICカードについてでございます。
誰もが生き生きと生活できる都市を実現するには、公共交通のバリアフリー化を促進することが重要でございます。
障害者割引に対応したICカードの導入により、利用の都度、駅係員やバス乗務員に障害者手帳を提示する手続が不要となり、鉄道やバスがさらに利用しやすくなります。
このため、都は、国とも連携して、交通事業者に対し、障害者割引用ICカードの導入を働きかけてきたところ、本年六月、交通事業者で構成する協議会は、来年度後半を目途に導入することを発表いたしました。
具体的な利用内容等につきましては、現在、交通事業者において検討中でございまして、障害者に加え、ICカードによる割引が同行する介護者にも適用されるよう、今後、国や交通事業者に求めてまいります。
質問2
また、都では、都内在住の身体障害者、知的障害者の方などには都営交通無料乗車券を発行しており、既に障害者本人が手帳を提示することなく都営交通を利用できる環境が整っておりますが、今後は新たなICカードサービスと十分に連携していくことが求められます。
障害者向けの新たなICカードサービスが導入される際には、都営交通無料乗車券を所持する障害者本人及び介護者が、都営交通をスムーズに利用できるようにするべきと考えますが、都の見解を求めます。
答弁2
交通局長
都営交通無料乗車券の取扱いに関するご質問にお答えいたします。
障害の有無にかかわらず、誰もが都営交通を利用しやすい環境を整備することが重要であると考えてございます。
現在、都営交通無料乗車券をお持ちの障害者の方が、お一人で都営交通を利用する際には、障害者手帳等を提示することなく、無料で乗車することが可能でございます。
一方、同行する介護者がいる場合には、割引対象の介護者であることの確認を受けるため、その都度手帳を提示する必要がございます。
新たなICカードサービスの導入に当たりましては、介護者割引を受ける場合にも、手帳を提示することなく自動改札機等を利用することで割引を受けられるよう、現在、関東ICカード相互利用協議会に要請しているところであり、引き続き、関係機関と鋭意調整を進めてまいります。
都民安全施策
質問1
最後に、フードデリバリーサービスについて質問します。
一部の配達員の運転マナーなどについて、これまでメディアで取り上げられることもありましたが、コロナ禍におけるフードデリバリーは、シェアリングエコノミーという新しい日常での働き方の代表的な存在であります。彼らが配達をすることによって、緊急事態宣言中の飲食店を支え、外食ができない都民にお店の味が届けられました。
先日、学生とのオンラインミーティングで配達員をする方々とお話をする機会がありました。コロナ禍で、それまでのアルバイトを失い、フードデリバリーを始めたと一様に語っていました。その学生の皆さんは、交通ルールの遵守に努めながら頑張っていると実感しました。
しかし、一部配達員の悪質行為が繰り返し報道されたことで、SNSで誹謗中傷をされたり、車の運転手から幅寄せをされたりするなど、嫌がらせ行為に悩んでいるとのことでした。
今年の予算特別委員会では、配達員に背番号を義務付けることを主張する委員もおりましたが、一つのバッグで複数事業者の配達を掛け持っているケースもあります。
その上、私が昨年の第四回定例会一般質問でも指摘したとおり、そもそも運送事業者としての認可登録も届出も必要ない上、事業用車両として緑ナンバーや黒ナンバーの取得など、何一つ義務付ける法律や条例がない状況で、配達員へ背番号掲示を義務化するのは拙速であります。
配達員全員がスマートフォンを用いて受注をしており、業界では、配達中の配達員の現在地や移動経路は全てスマートフォンのGPSで確認、記録されていると仄聞しております。
都は、シェアリングエコノミーを規制することから始めるのではなく、こうした技術やデータの活用などの仕組みづくりを事業者団体に求めることから始めるべきであると考えますが、都の見解を求めます。
答弁1
都民安全推進本部長
フードデリバリー配達員の特定についてでございますが、事業者が危険走行を行う配達員を特定し、指導することは、交通安全を推進し、都民の安全を守るために必要な取組であります。
このため、都は、事業者団体に対して、番号表示やGPS技術を活用した配達員の特定方法など具体的な提案を行い、各事業者の実態に応じた検討を促してまいりました。
都の働きかけを踏まえ、一部の事業者ではGPSによる走行記録の活用なども始まっておりますが、一方で、複数事業者を掛け持つ配達員を業界横断的に特定する仕組みづくりなどの課題も残っております。
引き続き、各事業者の一層の連携を求めるとともに、自主的な交通安全の取組を促してまいります。
質問2
残念ながら、社会問題化したような交通ルールを守らない配達員がいることも事実です。現在、本年二月に業界十三社で設立された日本フードデリバリー協議会では、こうした課題解決に向けた交通安全ガイドラインの作成を検討しているとのことです。
都は、交通ルールを守らない配達員を都民が通報できる協議会加盟各社の通報連絡先情報を都民に公開すること、通報が届いた際には各社が誠実に対応すること、配達中の事故などの捜査に対し、警察に協力することをこのガイドラインに盛り込むよう要請するべきです。都の見解を求め、質問を終わります。
答弁2
都民安全推進本部長
フードデリバリーにおける交通安全対策についてでございますが、事業者が、交通安全対策や、万一事故が発生した際の連絡先、対応方針などを周知しておくことは、都民の安心感につながる有効な取組であると認識しております。
このため、都は、事業者団体に対して、配達員の番号表示などによる識別性の向上や交通安全教育の徹底に加え、事業者の相談窓口、対応の充実、相談件数、事例の公表など、情報公開の促進についても提案してまいりました。
現在、事業者団体において、交通安全ガイドラインの検討が進められておりますが、都としては、このガイドラインが、情報公開や警察への協力などを含めた総合的な交通安全対策となるよう強く促してまいります。