飲食店の不安の声に応えよ
大江戸線の延伸に向けた検討を

感染拡大防止策

質問1
 まず、感染防止対策について伺います。

 リバウンド防止措置という新たな感染拡大防止措置が始まりました。酒類を提供する施設事業者にとっては大きな変化です。この間、飲食店には、感染拡大防止対策にとりわけご協力をいただいてまいりました。お酒の提供ができないことで経営が成り立たないという声や、酒の卸売業の方々は、売れないのに補償がないという声などがあり、都は国の月次支援金への上乗せなど行ってきましたが、事業規模によっては十分な支援とはいえない状況でした。

 こうした中、我が会派には、これまで事業者から、感染対策について認証を受けている店と認証を受けていない店で、要請内容を分けてほしいという要望を多数いただいておりました。

 今回、認証を受けている店舗は二十一時までの営業が認められ、酒類の提供も認める内容であり、感染拡大状況を確認していく必要がありますが、感染対策を十分にしていると確認した店舗と、そうでない店舗で、要請内容を変えるという考え方に賛同をしております。

 一方で、十月一日から、認証を受けている飲食店に限定して酒類提供が可能となる措置について、認証を受けていない飲食店の中には戸惑いを感じている店舗もあります。

 都は、徹底点検TOKYOサポートプロジェクトとして、感染対策徹底点検済証を交付し、認証を受けるには基本的に申込制でありますが、申込みがなくても、都の担当にご努力をいただいて、点検に回っていただいております。

 ところが、認証を受けていない店舗の中には、緊急事態措置の間、休業していたので不在が続き、認証を受けられなかったという声もあります。点検を受けられなかった店舗は、これから申請して、いつ認証を得られるんだという不安の声が上がっています。

 こうした声に応えるために、点検するための職員を増やし、即座に対応する体制をつくるべきと考えますが、見解を伺います。

答弁1
総務局長
 飲食店等に対する点検、認証体制についてでございますが、都はこれまで、認証済店を早期に拡大するため、ホームページやメール等による受検の働きかけを繰り返し行ってまいりました。

 また、事前予約による訪問点検の際、周辺の飲食店等にも勧奨を行うなど、様々な取組を進めてまいりました。

 現在、約九万五千店が点検、認証済みとなっておりますが、非認証済店のうち、お話のように、休業で点検を受けられなかった申込店につきましては優先して対応するとともに、点検の翌日にはウェブ上で点検済証を交付し、認証済店として速やかに営業を可能とするなど、認証を加速する取組を強化しており、これを推進するチームの人員を倍増しております。

 こうした体制の下で迅速な点検、認証を推進し、より多くの飲食店等の適切な感染対策を確保することで、感染のリバウンドを防止してまいります。

ページの先頭へ


地球温暖化対策

質問1
 次に、地球温暖化対策について伺います。

 パリ協定では、世界の温室効果ガス排出量の約八六%、百五十九か国、地域をカバーするものとなっており、温暖化対策は世界各国で取組が進められています。

 東京都の目標は、二〇三〇年までに五〇%削減、二〇五〇年までに実質ゼロを達成するという目標でありますが、CO2排出量は二十年前とほとんど変わっておりません。これは、発電が火力中心に変わったことが大きな要因で、省エネ化の取組自体は進んでいるものと理解をしています。

 しかしながら、二〇三〇年に二〇〇〇年比五〇%削減という目標を達成するためには、再生可能エネルギーの利用拡大、リデュース、リユース、リサイクルの3Rの促進、フードロス削減など、取組を加速させなければなりません。

 知事の所信表明では、一定規模以上の新築建築物に太陽光発電設備を義務づける都独自の制度の導入に向けた検討を開始するとの方針を明らかにされました。再生可能エネルギー比率を高め、目標を達成するための取組を促進する覚悟を感じたところです。

 ソフト対策では限界があり、技術革新が必要な分野は多いと考えます。十年後、世界に先駆けてCO2排出量を五〇%以下に抑えることで、その技術、ノウハウを世界に広め、地球温暖化対策に貢献するとともに、大きな経済効果が見込めると考えます。

 再生可能エネルギーの利用拡大を図るためには、技術開発支援をさらに積極的に行うべきと考えますが、見解を伺います。

答弁1
産業労働局長
 温室効果ガス削減に係る技術開発についてですが、再生可能エネルギーの利用拡大に向けては、中小企業の技術力を生かした最先端機器が、ビジネスや社会生活等の様々な面で利用されていくことが必要でございます。

 このため、都は、再生可能エネルギーによる発電が一時的に不安定になっても、速やかに給電できる蓄電池の開発を行う中小企業に対して、経費の助成や専門家による実用化のための支援を実施しているところでございます。

 また、今年度から、ゼロエミッション東京戦略をテーマに取り組む中小企業が、資金、人材、販路等を持つ大企業等と協働して行うオープンイノベーションを後押ししてまいります。

 こうした取組により、都内中小企業における脱炭素化技術の開発を加速化させ、東京の持続的な成長につなげてまいります。

質問2
 次に、再生可能エネルギーについて伺います。

 ZEVの利用拡大についても促進されておりますが、元となる電力が再生可能エネルギーでなければ、本当の意味でのCO2削減にはつながりません。

 再生可能エネルギーの割合は、環境エネルギー政策研究所の推計によると、二〇二〇年は二〇・八%で、火力発電は七五%とされています。再生可能エネルギーで一番発電量が大きいものは、現在、太陽光発電で八・五%、初めて水力発電七・九%を上回ったということであります。

 太陽光発電は、当たり前のことですが、暗くなれば発電しません。その発電しない間の電力は火力発電で調整をしています。発電量の調整に火力発電は必要以上のエネルギーを消費しているわけですから、安定した再生可能エネルギーによる発電と、そのエネルギーを効率的にためて使えるようにすることが重要と考えます。

 先日視察した新たな発電技術は、海の波の力を使った波力発電でした。安定的に発電されることが特徴的でありました。島しょ部の沿岸にこの発電装置をつければ、電力の地産地消につながると考えます。風力も太陽光もどんどん新しいものが発明されています。

 しかし、普及促進のためには、民間利用が不可欠です。民間利用促進のために、都としても新しい技術の普及等を支援していくことで、設置拡大にもつながると考えますが、見解を伺います。

答弁2
環境局長
 再生可能エネルギーの普及促進についてでございますが、ゼロエミッション東京の実現に向けては、再エネ設備の大幅な導入拡大が必要でございます。

 このため、都は、これまで再エネの地産地消を進める民間事業者等に対し、太陽光発電、風力発電、地熱発電、蓄電池など、幅広い設備を対象に補助事業を実施してまいりました。

 また、普及の初期段階にある再エネ技術については、例えば、路面に設置する舗装型太陽光発電を東京ビッグサイトにおいて設置するなど、都有施設での見える化を行うことで認知度向上を図ってございます。

 今後とも、こうした取組を新たな再エネ技術の開発動向や普及状況を注視しながら進め、民間事業者への普及を後押しし、再エネ設備の導入拡大につなげてまいります。

質問3
 また、再生可能エネルギー電力の利用促進も重要です。例えば、事業活動で利用する電気の再生可能エネルギー一〇〇%化に取り組む事業者も増えていますが、環境局の調査によれば、再生可能エネルギー電力への契約変更は、都内大規模事業所が九%程度という状況で、まだまだ多くありません。

 再生可能エネルギー電力の供給を増やすとともに、都民、事業者に再エネ電力の購入を促すことで、再エネの利用拡大をさらに加速していく必要があると考えますが、見解を伺います。

答弁3
環境局長
 再生可能エネルギー電力の利用促進についてでございますが、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けては、省エネ対策や再エネ設備の設置に加え、再エネ電力の利用拡大を進めることが重要でございます。

 このため、都は、エネルギー環境計画書制度により、電気事業者ごとの再エネ利用割合等を公表することで、再エネ電力の供給拡大を促してございます。

 さらに、都民、事業者が公表内容を参考にして再エネ電力をより選択しやすくするため、今年度末からは電力販売メニューごとの再エネ利用割合等の公表を予定してございます。

 今後、再エネ電力の利用拡大をさらに進めるため、電気事業者が販売する電気の環境情報の公表内容を広げるなどの検討を進めてまいります。

ページの先頭へ


公共交通の充実

質問1
 次に、鉄道ネットワークの充実について伺います。

 東京には、世界でもトップレベルの高密な鉄道ネットワークが発達し、通勤通学をはじめとする多くの人々が利用する主要な公共交通として、東京の都市活動を支えています。

 平成二十八年四月の交通政策審議会から、東京圏における今後の都市鉄道の在り方について答申されました。答申を受けて、都は平成三十年に、鉄道新線建設等準備基金を創設するなど、鉄道新線の実現に向けて力強い取組を進めていると認識しています。

 こうした中、本年七月、国の交通政策審議会から、東京圏における今後の地下鉄ネットワークの在り方等について答申され、この中で、地下鉄八号線の延伸、品川地下鉄、臨海地下鉄の三路線について、今後の取組の方向性が示されたところです。

 国際競争力の強化や交通不便地域の解消等の観点から、鉄道ネットワークのさらなる充実を図っていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 鉄道ネットワークの充実についてのお尋ねがございました。

 将来にわたり東京が持続的に発展し、日本全体の成長を牽引するためには、活発な都市活動を支える鉄道網のさらなる充実が必要でございます。

 平成二十八年、国の審議会から、東京圏における国際競争力の強化や地域の成長に資する鉄道プロジェクトについて答申され、この中で、事業化に向けて検討などを進めるべきとされました路線等について、都は、事業スキームの構築に向けた検討などを実施してきております。

 中でも、今後の地下鉄ネットワークの在り方などにつきましては、本年七月に答申されたことを踏まえ、私自ら国土交通大臣と面談を行いました。そして、ベイエリアにおける地下鉄ネットワークの充実に向けて、国と都が連携して取り組むことを合意しております。

 引き続き、関係者との協議、調整を加速し、東京における鉄道ネットワークの充実に向けて取り組んでまいります。

質問2
 次に、都営大江戸線について伺います。

 大江戸線の延伸は、平成二十八年四月の交通政策審議会の答申で、地域の成長に応じた鉄道ネットワークの充実に資するプロジェクトと位置づけられています。

 また、本年三月に策定された未来の東京戦略では、鉄道事業者をはじめとする関係者との協議、調整を加速し、調整が整った路線から順次事業に着手する路線と位置づけられています。

 こうした中、都は、地元練馬区とも連携しながら、大江戸線の延伸について検討していくと聞いております。

 令和二年予算特別委員会において、必要な施設の規模等について検討を進めると答弁をいただきました。地下鉄の導入空間である補助二三〇号線の整備に向けた用地取得も進んでおり、地元練馬区における大江戸線延伸に向けた機運が年々高まっています。

 振り返れば、昭和六十年に、運輸政策審議会第七号答申で、新宿を起点に都心部を回り、大泉学園へと整備することが適当とされ、公共交通不便地域の大泉学園町をはじめとした延伸地域付近の方々は、大いに期待を膨らませたわけであります。

 大江戸線延伸に向けて踏み込んだ検討をすべきと考えますが、見解を伺います。

答弁2
交通局長
 大江戸線延伸の検討状況についてでございますが、大江戸線延伸の事業化に当たっては、将来的な旅客需要の見通しや事業の収支採算性の確保につきまして、十分に見定める必要がございます。

 現在、テレワークの定着など、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うお客様の行動変容を踏まえまして、将来の旅客需要の分析を改めて行っているところでございます。

 あわせて、事業費の算定に向け必要となります車両編成数や留置施設、トンネル及び駅施設の構造や規模などにつきまして検討を深めてございます。

 引き続き、地元区や関係局と連携し、大江戸線延伸の事業化の検討を進めてまいります。

質問3
 これまで、我が会派から、鉄道混雑緩和策として、時間差運賃制について提案をしてまいりました。時間差運賃制の導入には、定期利用が多いことや、相互乗り入れをしていることなど課題があり、一事業者単独では導入が進まないと認識をしております。

 大江戸線は乗り入れしているわけではないので、ほかの路線に比べて導入しやすいと考えますので、試験的に取り入れることを提案いたします。

 コロナ禍で乗客数がそもそも減っているわけですが、やはりピーク時間帯は混雑しており、混雑緩和のためのオフピーク通勤の促進をしていく必要があります。

 JRでは、オフピークにポイントを付与する取組をしており、都営交通においても、現在導入しているToKoPoのポイントをオフピーク時に多く付与する取組をスムーズビズの期間限定の取組として行ってまいりましたが、一時的な取組ではなく、継続して行うことで効果が現れると考えます。

 ポイントサービスは、使い方次第で様々な可能性を秘めており、オフピーク通勤の促進を含め、交通局の今後の施策展開において、ToKoPoをさらに活用していくべきと考えますが、見解を伺います。

 以上で質問を終わります。

 ご清聴ありがとうございました。

答弁3
交通局長
 ToKoPoの今後の活用についてでございますが、ToKoPoは都営交通の会員制ポイントサービスであり、地下鉄やバス等の利用を促進し、多様な施策に柔軟に対応できる、営業推進上重要なツールでございます。

 これまで、乗車回数に応じたポイントや土休日のボーナスポイントを付与するとともに、朝のオフピーク利用を促す時差ビズキャンペーンにも活用してまいりました。

 また、今月から都営バス利用時の新たなポイント付与を開始するなど、サービスを拡充してございます。

 お客様の行動変容に伴いまして、旅客需要の構造が大きく変化する中、都営交通の利用者を拡大するとともに、様々な利用機会を創出していく必要がございます。引き続き、他社の取組なども参考に、ToKoPoを活用したより魅力的なサービスを提供できるよう検討してまいります。