医療・介護等現場の処遇改善を
東京大会を総括し、公表せよ

知事の基本姿勢

質問1
 私は、東京都議会立憲民主党を代表して、都政の諸課題について質問いたします。

 初めに、知事の基本姿勢について伺います。

 十月三日、知事が特別顧問を務める都民ファーストの会が国政新党の設立を発表し、党名は小池百合子特別顧問と共に決めたとの発言もありました。一方で、知事は、都民ファーストの会の皆さんが何やら動いておられることについて、関与、関知しておりませんと述べていました。

 立場のあるお二人の発言が食い違っているようにも聞こえ、都政を進める上でも好ましくありません。

 そこで、新党設立について事前に協議した事実は本当にないのか、知事に伺います。

質問2
 また、国政進出については、さきの第二回都議会臨時会において私たちが、この秋に任期途中で都政を投げ出す可能性はないのかと質問したのに対して、知事は、なすべき対策に全力で取り組んでいくと答えるにとどまりました。

 この間、記者団に対しても、知事自身が立候補することはない旨は述べていますが、改めて、今月公示される予定の総選挙に出馬する意思も意図もないのか、知事に見解を伺います。

答弁1・答弁2
知事
 西沢けいた議員の代表質問にお答えする前に一言お祝いを申し上げたいと思います。

 先ほど、ノーベル物理学賞に、東京大学大学院で学ばれ、現在、プリンストン大学の上席研究員でいらっしゃいます真鍋淑郎さんが選ばれたとのニュースが伝えられました。誠におめでとうございます。

 国政に関するご質問がありました。

 これまで国政に関する勉強会の設立についてや、国政についての熱い思いについては伺っておりますが、私自身が出馬をするということはございません。

質問3
 さて、前期最後の定例会の討論において、私は、無駄をなくし、命、暮らしに直接関わる人の分野を手厚くする都政の実現に取り組んでいきたいとの決意を述べました。

 コロナ禍においても、富める人はますます富む一方で、非正規やひとり親など、苦しい人はますます苦しくなっています。

 知事は、この間、一貫して人に焦点を当てた施策を展開してきたと胸を張っていますが、その言葉に説得力はありません。

 コロナ禍において、ますます拡大する格差などの問題こそが人に焦点を当てた施策にほかならないと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁3
知事
 人に焦点を当てた政策についてのお尋ねがございました。

 東京の持続的な発展を支えるのは人であります。私はこれまでも、人が輝く東京の実現を目指した施策の推進に邁進をしてまいりました。

 本年三月に策定した未来の東京戦略では、子供の貧困対策や、ひとり親家庭への支援、離職者向けの雇用対策、人が集う居場所づくりなど、悩みや不安を抱える人に対する政策を幅広く展開し、誰もが安心して暮らせる東京の実現を目指して取り組んでおります。

 新型コロナウイルスとの闘いの中での人々の暮らしや働き方への影響を踏まえ、八月に策定した重点政策方針におきまして、望まない孤独、孤立や女性をめぐる課題など、困難を抱える方への政策強化の方向性を提示しております。

 今後、人に寄り添った政策をバージョンアップし、誰一人取り残さず、自分らしく活躍できる環境整備を進めてまいります。

質問4
 岸田文雄新総理は総裁選前に、医療や介護、保育などの分野で働く人の賃金を引き上げるため、公的価格の抜本的な見直しを行う検討委員会の設置などを主張していましたが、それが現実のものになるのか疑問です。

 医療や介護、保育などの現場では、以前から処遇改善が課題となっていましたが、コロナ禍を踏まえ、その対応は急務です。私も、命、暮らしに直接関わる人の分野を手厚くすることは当然のことだと考えています。

 医療や介護、保育などの現場の人たちの処遇改善に向けて、知事の見解を伺います。

答弁4
知事
 医療、福祉分野の人材についてのお尋ねであります。

 これまでコロナ禍においても、医療、介護、保育などの現場で日々、人を支える業務に従事されている皆様に敬意を表するとともに、心からの感謝を申し上げます。

 こうした方々に安心して働いていただけますよう、都はこれまで独自に、宿舎の借り上げに取り組む事業者の支援や、キャリアアップの仕組みの導入、就職から定着までの相談支援など、様々な施策に取り組んでまいりました。

 また、国に対し、事業者が人材の確保、定着を図り、健全な事業運営ができる報酬とするよう繰り返し提案要求をしておりまして、引き続き国の動向を注視してまいります。

質問5
 九月二十二日、都の年次財務報告書が公表されました。都の財政調整基金残高を大きく減らし、都債を増やす中、都の黒字はほとんどなくなりました。

 知事就任以来、予算規模は膨張を続けていましたが、ここに来て、一転して厳しいかじ取りが必要とされる環境になっています。

 第六波への備えが急がれる中、都には俊敏な対応力、中でも財政出動を伴う対策を迅速に実行することが求められておりますが、国からの支出は遅く、不十分です。

 私たちは、外部の目を入れたチェック、不急事業の早期洗い出しを提案してきました。

 今年度予算の不急事業の中止、来年度に向けてのゼロベースでの事業検証など、人に手厚く、コロナ対策など危機に即応できる財政力確保に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁5
知事
 財政対応力の確保についてであります。

 コロナ禍におきまして、都財政は、企業収益の悪化などに伴う税収減に直面したものの、この難局を乗り越えるべく、財源としての国の交付金や、これまで培ってまいりました基金と都債の発行余力を最大限に活用することで、コロナ対策を積極的に講じてまいりました。

 財政環境の先行きを見通すことが困難な中でも、都がコロナ対策などの喫緊の課題に対応しつつ、東京の持続的成長につながる施策を推進していくためには、財政対応力を堅持していくことが不可欠であります。

 そのため、令和四年度予算編成では、見直しが必要な事業に対しマイナスシーリングを導入するとともに、政策評価と事業評価を一体的に実施するなど、施策の新陳代謝を促進し、一層効率的で実効性の高い施策を構築してまいります。

 また、今年度予算の執行に当たりましても、都政が直面する課題に対し、柔軟かつ機動的に対処しつつ、賢い支出を徹底すべく、年度の途中でありましても、必要な事業の見直しを図ってまいります。

 こうした取組を通じまして、必要な施策の展開を支える財政基盤の構築に努めてまいります。

質問6
 私たちは、さきの臨時会において、接種機会が十分に確保されていない状況での若者ワクチン接種キャンペーンの予算を減額する修正案を提案しましたが、都政における不要不急の最たる事業は、いわゆるカジノ誘致、IRです。

 八月二十七日の定例会見で小池知事は、IRの検討作業は依命通達に基づいて休止をしている状況と述べました。しかし、この依命通達は、医療非常事態の間、停止、延期するというものです。

 既にIR整備計画の政府への申請が十月一日より始まり、その期限は二〇二二年四月二十八日までとなっていますが、私は、この際、申請は断念すべきと考えています。知事の見解を伺います。

答弁6
知事
 IRについてであります。

 IRにつきましては、日本の経済成長や国際競争力を高める観光拠点として期待される一方で、ギャンブル依存症等の懸念の声もあると認識しております。

 都はこれまで、IRにつきまして、メリット、デメリットの両面から総合的に検討してきたところであり、このスタンスに変わりはございません。

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新型コロナウイルス感染症対策

質問1
 次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。

 緊急事態措置も解除され、リバウンド防止措置へと移行しました。昨年初めて緊急事態宣言が発出されて以降、約一年半にわたって感染防止の努力が続けられてきており、ワクチン接種も様々な混乱はあったものの、ようやく先進諸国並みに行き渡りつつあります。

 このようなタイミングでこそ、私はこれまでの検証が必要であると考えます。そのことで、この間繰り返されてきた混乱を回避し、失われなくてもいい命が助かるよう、万全の対策を講じていくべきと考えます。

 これまでの検証を行うこと、そして第六波への備えを行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 今後のコロナ対策についてのお尋ねであります。

 一年半の長きにわたるコロナとの闘いの中で、都はこれまで、総力を挙げまして感染拡大の防止対策や医療提供体制の充実に取り組み、そこで得られた知見や経験を次の対策に生かしてまいりました。

 今般、緊急事態宣言が解除されましたが、ここで気を緩めますと、リバウンドによる再度の感染拡大を招きかねません。

 そのため、都は、リバウンド防止措置期間を設定いたしまして、近隣三県ともワンボイスで連携しながら、都民、事業者に対しまして、基本的感染対策の徹底や、営業時間の短縮などの要請を行っております。

 また、医療提供体制の改善傾向が見られる今こそ、この間の医療非常事態での取組を踏まえまして、症状に応じた病床の確保や、酸素・医療提供ステーションの増床など、次の感染再拡大への備えを増強しなければなりません。

 引き続き、これまでの対策の課題を検証し、次の取組に生かしていくことで、実効性のある感染拡大防止対策に万全を期してまいります。

質問2
 八月の第五波においては、病床確保に際しての想定を、新規陽性者三千七百二十二人、療養者二万三千四百六人としていましたが、いずれも大きく超えてしまいました。

 今回、これらの想定をどのように考えていたのか。知事は想定外との言葉を使っていましたが、一方で、危機管理の要諦は、初めに大きく構えることだとも述べています。

 これから来るであろう第六波に備えて、最悪の想定をすべきと考えますが、知事の所見を伺います。

答弁2
福祉保健局長
 医療提供体制の確保についてでございますが、国は本年三月、都道府県に対し、第三波の一日当たり最大新規陽性者数の二倍程度になった場合などを例として想定し、今後の感染拡大に備えた医療提供体制を整備するように求めており、都は、最大新規陽性者三千七百二十二人、最大療養者二万三千四百六人を前提に医療提供体制を整備いたしました。

 八月には変異株の影響など、災害レベルの感染状況となり、今般、国は、都道府県に対し、今後も中長期的に感染拡大が反復する可能性があることを念頭に、体制構築することが必要であるとの考えを示しました。

 こうした動きを踏まえ、都として、必要な病床や人材の確保を含め、感染拡大時における総合的な医療提供体制について検討してまいります。

質問3
 次に、医療提供体制の確保について伺います。

 第五波ピーク時のような医療崩壊を二度と起こしてはならず、第六波に備えた医療体制の確保は喫緊の課題です。

 都は今回、医療提供体制の数字を九千二百床と大幅に引き上げました。しかし、この中には回復期病床や施設型のステーションなど、必ずしも重症のコロナ患者を受け入れるわけではない病床等の数も含まれています。

 これらを一括した数字で公表することは、八月末時点で五千九百六十七床であった入院病床を大幅に上積み確保できたかのような誤解を与えかねません。ただでさえ医療が逼迫していたピーク時の病床稼働率が最大でも約七割であったことが様々な議論を呼んだところであり、今回のような情報提供の方法は改善し、都民に正しい情報を伝えるべきです。

 今後のことを想定するならば、酸素ステーションの増強でなく、いわゆる野戦病院の設置など、医療設備の整った病床を確保すべきと考えますが、併せて知事の所見を伺います。

答弁3
福祉保健局長
 都の医療提供体制についてでございますが、今後の感染拡大へ備えるためには、患者を受け入れる病床の確保に加え、これを補完する臨時の医療施設についても着実に整備し、都民が安心して療養できる環境を整えることが重要でございます。

 都は、入院重点医療機関を指定するほか、緊急対応として、入院待機ステーションや、軽症、中等症患者を受け入れる酸素・医療提供ステーションを設置するなど、医療を提供する体制を整備しております。

 今後も、感染の再拡大に備え、医療提供体制を構築してまいります。

質問4
 保健所ごとに家族以外の濃厚接触者等への対応が異なっている現状があります。こうした現状を改善し、それぞれの保健所の対応力を向上させていくことで、市中感染を防止、抑制していくことが必要です。

 私たちは、濃厚接触者等の積極的疫学調査を再び積極的に行うよう、各保健所に再度通知することを求めてきましたが、昨日通知したと聞いています。

 そこで、各保健所体制の強化と併せて、積極的疫学調査の実施について見解を伺います。

答弁4
福祉保健局長
 保健所の体制についてでございますが、都は、各保健所に都職員を派遣して業務支援を行うほか、東京都発熱相談センターや夜間に入院先の調整を行う窓口の設置などにより、保健所と連携して新型コロナ感染症対策に当たる体制強化に取り組んでまいりました。

 また、積極的疫学調査等を担う保健師や看護師等をトレーサーとして採用し、都保健所に配置するほか、保健所設置区市に対しては、保健師、看護師等の雇い上げや業務委託の経費等を支援しております。

 今後も、こうした様々な取組を実施し、保健所の一層の体制強化を図るとともに、昨日、都内全保健所に対し、感染再拡大の防止に向け、クラスター等の早期探知を目的とした効果的かつ効率的な積極的疫学調査を実施するよう通知しております。

質問5
 国からは、行動緩和のためのワクチン・検査パッケージの活用等の指針が出ていますが、検査費用などは自己負担となっています。これは体質的にワクチン接種ができない人などにとっては不公平です。ワクチン接種の有無で行動制限されるのであれば、社会の分断にもなりかねません。

 都としてどのように行動緩和に対応していき、格差や分断を生まない方策を取るのか、知事の見解を伺います。

答弁5
総務局長
 今後の行動制限の在り方についてでございます。

 ワクチン接種が進捗し、医療提供体制が強化される中、感染が再拡大した場合に備え、感染対策と社会経済活動の両立に向けて検討していくことは重要でございます。

 今般、国は、ワクチン・検査パッケージ等を活用した行動制限の緩和の方策を示したところでございます。

 一方、ワクチン接種証明の本人確認や検査の実施方法、当事者負担など、このパッケージの活用や定着には様々な課題がございます。また、東京には飲食店等が多数集積し、大小様々なイベントが開催されるなど、大都市ならではの特性もございます。

 今後、こうした課題等を踏まえ、現場実態に即した実効性のある方策について、国等と意見交換を行ってまいります。

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オリンピック・パラリンピック大会

質問1
 次に、オリンピック・パラリンピックについて伺います。

 東京二〇二〇大会は、史上初めての延期、そしてコロナ禍という困難な状況での開催となりました。大会が終わった今、まずは開催に尽力された関係者の皆様の労を心から多としたいと思います。

 一方で、大会では、コロナへの不安や多様性への不十分な理解、経費の無駄遣い、弁当やマスクの廃棄など様々な問題も指摘されました。都民、国民の関心の高い事項も含め、将来に向けて明らかにしていくことが必要です。

 東京大会に対する知事の評価と、大会を今後どのように総括し公表していくのか、見解を伺います。

答弁1
知事
 東京二〇二〇大会についてであります。

 史上初の一年延期、そしてコロナ禍という状況の中、安全・安心な大会に向け、感染防止対策を徹底しました。その結果、訪日関係者の陽性率や入院者数も低く抑えられ、コロナ対策の専門家からも大会は安全に行われたとの評価をいただきました。

 そして、世界中から多くのアスリートにお越しいただき、コロナによって分断された世界をスポーツの力で一つにして、世界中の人々に勇気と感動を届けることができました。

 大会につきましては、都と組織委員会が相互に協力しつつ、大会運営などの様々な取組や成果を報告書として取りまとめ、公表することといたしております。

質問2
 とりわけ大会経費については、無観客開催に伴い、九百億円のチケット収入が見込めなくなるなど、組織委員会の赤字が懸念されています。この赤字によって、都民に負担が押しつけられるようなことはあってはなりません。

 また、大会経費については、都庁の直接的な経費であっても、大会経費に含まれていないものもあるなど、全体像が分かりにくくなっています。そのため、私たちは、都民、国民への説明責任を果たすためにも、丁寧な説明と情報公開を求めてきました。

 大会経費について徹底して赤字幅を圧縮するとともに、その全体像や詳細を明らかにすべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁2
オリンピック・パラリンピック準備局長
 大会に係る経費についてでございますが、大会経費につきましては、現在、組織委員会において、収入及び支出両面における精査を進めているところでありまして、今後とも、都民、国民の理解が得られるよう取り組んでまいります。

 なお、大会経費につきましては、その総額や経費負担の内訳を毎年度公表しております。

 また、大会に密接に関わります事業などの大会関連経費につきましても、毎年度の予算、決算を通じて、その内容や実績を明らかにしているところであります。

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子ども施策

質問1
 次に、子供施策について伺います。

 今年五月三十一日、立憲民主党は、子どもの権利条約に基づき、子ども子育て予算を大幅に増やすことなどを盛り込んだ子ども総合基本法案を提出しました。かねてより立憲民主党が提案していた子ども家庭省に対して、自民党でもこども庁創設の動きを見せるなど、子供施策の重要性が改めて認識されています。

 私たちは都議選において、学校給食の無償化や給付型奨学金の拡充など、子育て世帯の家計を支えることを選挙公約として掲げており、子育て世帯への経済的な支援策の拡充についても粘り強く取り組んでいく覚悟です。

 都議会では、子供の最善の利益などを盛り込んだ議員提案の東京都こども基本条例が今年三月に可決成立しており、都としても、より積極的に子供施策を展開していくことが求められています。知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 子供政策についてであります。

 子供は、無限の可能性を秘めたかけがえのない存在であり、まさに社会の宝であります。その宝を社会全体で大切に育み、子供の笑顔であふれる東京を実現したい。

 こうした思いから、未来の東京戦略では、子供政策を戦略の中核に位置づけまして、妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援など、多様な取組を展開しております。本年三月には東京都こども基本条例が成立をし、子供政策を総合的に推進することなどが規定されました。

 来年度に向けました重点政策方針におきましては、基本条例やコロナ禍の影響などを踏まえ、子供が抱える課題を改めて整理、分析し、政策をバージョンアップすることを提示いたしました。

 今後、ハードとソフトの様々な分野において、子供目線に立った政策を練り上げ、全ての子供が学び、健やかに成長できる環境を整えてまいります。

質問2
 次に、高校生の一人一端末について伺います。

 教育のICT化は、授業や課題をデジタルに置き換えるだけでなく、ICTを活用した指導や学習の最適化、ビッグデータの活用など、子供の学習環境を向上させる上で非常に重要かつ喫緊の課題です。そのため、一人一端末への支援を行っていく上では、家庭の経済状況にかかわらず、東京の高校生全てに平等な支援を行う必要があると考えます。

 知事の所信表明では、都立高校の生徒全員が所有できるよう、保護者負担軽減の補助制度を創設する旨の発言がありました。

 私は、全ての保護者に対して負担軽減を行うとともに、低所得世帯などに対して、より手厚く補助を行うべきと考えますが、見解を伺います。

答弁2
教育長
 都立高校の一人一台端末の整備についてでございますが、高校では、義務教育段階より学習内容が高度かつ複雑となり、進路実現に向けた資格取得など、生徒の興味、関心に応じた多様な学びを可能とする必要がございます。

 そのため、端末にはマルチタスクに対応できる性能とともに、自在に活用できる使い勝手のよさが求められるところでございます。これらのことから、生徒の持ち物として保護者負担により購入してもらうこととし、令和四年度新入生から整備を行ってまいります。

 端末の購入に当たりましては、生徒全員が端末を所有できるよう、給付型奨学金の活用に加え、全世帯を対象に負担額が一定となる補助制度の創設について検討を進めてまいります。

質問3
 また、都内の高校生の六割は私立高校に通っており、私立高校生への支援も必要です。

 私立高校の端末整備方法は都立高校とは異なり、様々な方法があるようですが、私立高校についても支援に向けて取り組むべきと考えます。見解を伺います。

答弁3
生活文化局長
 私立高校の一人一台端末の整備についてでございますが、学校現場におけるデジタル教育環境の整備は、これからの時代に求められる多様な学びを提供する上で重要でございます。

 私立高校では、独自の教育方針に基づき、それぞれの方法で教育環境の整備を行ってきており、教育用端末の整備についても、各学校で様々に取り組んでいるところでございます。

 そのため、都として、各学校の整備方法に応じて、保護者負担の軽減に配慮しながら、生徒一人一台端末の整備が確実に進むよう、検討を進めてまいります。

質問4
 こうした子供、子育てに関わる政策を一元的、総合的に推進するためには、組織体制の抜本的強化が必要です。

 オリンピック・パラリンピック大会が終了したことで、組織委員会から多くの優秀な東京都職員が戻ってきています。オリンピック・パラリンピック準備局も既に大きな役割を終えました。

 そこで、私は東京都に子ども家庭局を創設すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁4
総務局長
 子供政策を実行できる体制についてでございます。

 現在、都は、未来の東京戦略に掲げた感染症に打ちかつ戦略や、子供の笑顔があふれる東京の実現、オリンピック・パラリンピックレガシー戦略などについて、政策のバージョンアップを図っております。

 子供政策につきましては、東京都こども基本条例に掲げられた、未来を担う子供をあらゆる場面において権利の主体として尊重するという理念を踏まえ、子供目線に立ったまちづくりや、子供の安全・安心などの施策を総合的に進めていかなければなりません。

 今後は、都が直面する様々な課題に対応できる組織の在り方の検討を進め、なすべき取組を実施する体制を構築してまいります。

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多様性の尊重

質問1
 次に、多様性の尊重について伺います。

 立憲民主党は東京都議会議員選挙において、多様性を尊重する社会の推進を掲げました。その一つはジェンダー平等です。まず、東京都が自ら行うべきことは、都政におけるジェンダー不平等をなくすことです。

 私たちは、審議会などの女性比率はもちろん、東京都予算の全てをジェンダー平等の視点から総点検するジェンダー予算への取組を提案しています。全事業の一斉点検に向けて、まずは、分野を絞って試験的に実施したり、事業評価の視点に含めるなどして取り入れ、今後の施策に生かすべきと思います。見解を伺います。

答弁1
財務局長
 お話のジェンダーに関わる予算についてでございますが、様々な人が共に暮らし、多様性に富んだ東京を築き上げていくためには、誰もが自分らしい生き方を選択し、生き生きと活躍できる社会を実現していくことが重要であり、これまでも都は、例えば女性の活躍推進や、男性の家事、育児参画の推進などに取り組んでまいりました。

 令和四年度予算の見積りに当たりましては、女性をはじめ、誰もが輝ける社会を築くための施策を推進することとしており、実効性の高い事業の構築に向け、各局とも議論を重ねてまいります。

 今後とも、ジェンダー平等の視点も踏まえながら、性別にかかわらず、誰もが活躍できる東京の実現に向けて取り組んでまいります。

質問2
 また、生理の貧困や緊急避妊薬の認可などの問題に象徴されるように、日本では、SRHR、すなわち性と生殖に関わる健康と権利が十分に守られていない現実があります。

 生理、妊娠、出産、避妊、性暴力、性的搾取等に関わる幅広い施策の充実とともに、誰もが性に関する自己決定と性的同意に関する意識と行動を育むためには、ユネスコによる国際セクシュアリティ教育ガイダンスにのっとった包括的な教育が不可欠です。

 これを全ての子供たちに必要なものであるという観点から、まずは各学校段階において着実に性教育を進めていくために、養護教諭のみならず、産婦人科医や助産師など外部の専門家と連携し、教科等横断的な取組をより積極的に進めるべきと考えますが、東京都教育委員会の見解を伺います。

答弁2
教育長
 学校における性教育についてでございますが、性教育は、児童生徒の人格の完成を目指す教育の一環であり、人間尊重の精神に基づいて進める必要がございます。

 都教育委員会は、平成三十年度に学習指導要領の内容を踏まえ、性情報の氾濫等の現代的な課題に対応できるよう、性教育の手引を改定し、全ての学校に配布いたしました。

 手引には、保健の授業はもとより、道徳などの各教科等で相互に関連づけながら、養護教諭の専門性も生かし、教育活動全体を通じて指導することの重要性を示しております。

 また、生命の尊さについて、発達段階に応じた指導事例や、産婦人科医等と連携した授業の進め方を掲載しております。

 今後とも、学習指導要領や手引に基づく性教育を通して、児童生徒が性に関する正しい知識を身につけ、相手を尊重し、適切な行動を選択できるよう、学校の取組を支援してまいります。

質問3
 知事の所信表明で、同性パートナーシップ制度に関して触れられていたことを評価します。

 今、当事者の抱えている困り事の一つに、手術の同意が挙げられます。都立病院では、患者の権利章典で同性パートナーが認められていますが、民間の病院では個別の対応となっています。

 また、都営住宅への入居、事実婚や夫婦別姓などのパートナー同士、さらに子供たちも含めた家族としてのファミリーシップ制度など様々なニーズがあり、具体的な課題が山積しています。

 さらに、自治労の行った調査では、LGBTQプラスはジェンダーハラスメント、セクシュアルハラスメント、SOGIハラスメントを経験している割合が、そうでない人に比べて圧倒的に高いという結果になっています。ハラスメントや差別をなくしていく必要があります。

 当事者の皆さんの抱える課題を迅速に解決し、また、これらのハラスメントをなくすために必要な都民の理解を深めるためにも、当事者も参加した検討会を早期に設置し、権利、義務を明記した条例化を進め、東京都として現状の差別的な扱いを解消していく必要があると考えますが、知事の見解を伺います。

答弁3
総務局長
 同性パートナーシップ制度の検討でございます。

 制度の導入により、性的マイノリティー当事者の困り事の解消につながるなど、人権の尊重が図られ、多様な性に関する都民の理解も進むことが期待できます。

 都はこれまで、他自治体における制度の導入事例について情報収集するなど、制度の検討を行ってきております。

 今月からは、性的マイノリティー当事者の方も参画している支援団体や学識経験者を対象としまして、忌憚のない意見を聴取するため、個別にヒアリングを実施いたします。こうした様々な意見等を踏まえまして、制度の在り方の検討を進めてまいります。

質問4
 知事は所信表明で、十月から実態調査を開始すると述べましたが、今後どのように進めていくのか、ロードマップを迅速に示すべきだと考えます。調査の具体的な内容、また調査結果をどのように制度化に生かしていくのか、知事の見解を伺います。

答弁4
総務局長
 都民や当事者に対する実態調査についてでございます。

 今月から実施する実態調査では、二十歳以上の都内在住者等を対象に、インターネットを利用した無記名式のアンケートを実施し、性的指向や性自認といった多様な性に関する認識等について把握をしてまいります。

 また、回答者のうち、性的マイノリティー当事者に対しては、生活上の困り事や行政に求める支援策、他自治体の制度に関する意見等についても聞いてまいります。

 この調査を通じて、都民の意識や当事者のニーズ等を幅広く把握し、制度の検討に生かしてまいります。

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環境施策

質問1
 次に、環境施策について伺います。

 気候変動は危機的状況にあり、脱炭素、そしてCO2などの温室効果ガスゼロの東京に向けては、一刻の猶予も残されていません。中でも東京の排出量の三割を占める家庭部門の省エネ、低炭素化を推進するためには、知事の所信表明でも触れていた、新築住宅における太陽光発電の導入義務化などの促進策だけでは到底足りません。

 知事はバックキャスティングの手法を導入するとしていますが、この手法を用いた二〇五〇年のゼロエミッション実現への本気度はどうでしょうか。

 環境基本計画の改定に向けては、断熱性能のアップも含めた環境性能レベルの高いZEH、既存住宅の断熱リフォーム助成、またソフト対策として、ゼロエミッション行動の推進など、総合的な取組を抜本的に強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 家庭部門におけるCO2の削減対策についてであります。

 ゼロエミッション東京の実現に向けましては、都内エネルギー消費量の約三割を占め、CO2の削減が進みにくい家庭部門の対策が非常に重要です。

 そのため、都は現在、新築住宅に対しまして、都独自の省エネ住宅の基準であります東京ゼロエミ住宅の普及拡大を図るための助成を行っております。

 また、既存住宅に対する窓などの断熱改修のための助成のほか、太陽光パネルや蓄電池などの設置に向けた支援など、住宅におけるCO2削減の取組を幅広く進めております。

 加えまして、省エネ性能の高い家電等への買換えや、よりお得に再エネ電力への切替えができる電気のグループ購入など、ゼロエミッションに向けました都民の行動を後押ししております。

 今後、環境審議会におきまして、太陽光発電の設置義務化など様々な施策の強化に向けた検討を行うことといたしておりまして、家庭部門のCO2削減を着実に進めてまいります。

質問2
 気候変動対策は、持続可能な社会にすること、目標や政策決定に際して、関係当事者と積極的な対話を行うなど、丁寧に合意形成を図ること、さらには、新しい産業をつくるとともに、急激な変革で働く人にしわ寄せが起きないよう、公平な移行を実現することが必要です。

 そこで、気候変動対策を都民と協働で推進するため、ICTなども活用して、仮称気候変動都民会議を開催するなど、広く都民が参加する場を設けるべきだと考えますが、見解を伺います。

答弁2
環境局長
 気候変動対策への都民の参加、協働についてでございますが、気候変動対策の推進には、都民一人一人の行動が不可欠であり、都はこれまでも、自治体や環境団体等が実施する市民参加型のシンポジウムや勉強会等に参加することで、都民の生の声を聞きながら、都の取組についても発信し、共感と協働を呼びかけてまいりました。

 また、都が立ち上げたチームもったいないには、約千百の都民や企業が参加してございまして、その取組や声をウェブ上で配信するとともに、協働してシンポジウムの開催や、先進事例の共有等を行ってございます。

 環境審議会での議論におきましても、未来を担う若者等からのヒアリングなども実施してございまして、様々な場での多くの主体の参画を得て、カーボンハーフを実現してまいります。

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羽田空港新ルートの見直し

質問1
 次に、羽田空港新ルートの見直しについて伺います。

 羽田空港で昨年三月から運用されている新ルートは、ルート直下の住民に騒音被害や落下物への懸念などをもたらし、地元自治体、区議会からも、固定化回避、ルート見直しを求める要望、意見書が多数提出されています。

 こうした状況を踏まえ、国は、新ルートの固定化回避検討会を設けていますが、現在検討中の方策では、状況は改善しないのではないかという懸念も地元には根強くあります。

 私は、東京都の目指す安全で快適な都市づくりのためにも、羽田空港の都心ルートの見直しを国に強く求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 羽田空港の新飛行経路についてであります。

 将来にわたりまして、東京が国際競争力を持って持続的な発展を続けていくためには、国内外に豊富なネットワークを有する羽田空港の機能強化を図ることが不可欠であります。

 新飛行経路につきましては、国において、地元区の意見等を踏まえ、新経路の固定化回避に係る技術的方策について、現在の滑走路の使い方を前提として検討が進められております。

 先般開催されました検討会の結果といたしまして、騒音軽減や技術的な観点から、飛行方式が二案に絞り込まれたことが公表されております。

 都といたしまして、引き続き国に対し、都民の理解がさらに深まるよう丁寧な情報提供や騒音、安全対策の着実な実施を求めてまいります。

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都立・公社病院の地方独立行政法人化

質問1
 最後に、都立、公社病院の地方独立行政法人化について伺います。

 都立、公社病院の独立行政法人化は、経営の効率化という観点からは大きな意義があるとは考えますが、コロナ患者の多くを担っている都立、公社病院で働く医療従事者は、まさに都民の命を守るために、身を粉にして懸命の努力を続けています。

 このような中、働く人たちの身分や賃金にも影響を与えかねない独立行政法人化の提案は、現場に不要な不安と混乱を招き、ひいては都民サービスの低下につながりかねないと懸念するものであります。

 このような観点から、私は、現時点での独立行政法人化の定款の提案は見送るべきであったと考えますが、なぜ、あえてコロナ禍での提案なのか、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 都立、公社病院の独法化についてのお尋ねでございます。

 都立、公社病院は、専用医療施設の開設などによりまして二千床のコロナ病床を確保し、他の医療機関で対応が困難な患者等の受入れに率先して取り組んでおります。

 一方、地方公務員法など現行制度の下では、迅速、柔軟な人材確保や、地域医療機関等への人材の派遣などにおいて課題が改めて明らかになりました。

 独法化は、こうした現在の制度を改革し、柔軟な病院運営を可能とするための取組であり、法人独自の勤務制度や、より働きがいのある人事給与制度を構築することで、機動的な人材の確保、活用を進めることができます。

 今後、コロナ感染症への対応や、新たな感染症の発生に備えるために、感染症医療提供体制を一層強化することを目指しております。

 感染症医療をはじめ、都民に必要な医療を確実に提供するため、独法化の準備を着実に進めてまいります。

質問2
 今大事なことは、都立、公社病院においても、この年内にも到来が予想される第六波への対応に万全を期すことであると考えます。独立行政法人化を推し進める予算、マンパワーがあるのであれば、その資源は新型コロナウイルス感染症対策に徹底して振り向けるべきだと考えますが、見解を伺います。

 以上で東京都議会立憲民主党を代表しての質問を終わります。

 ご清聴ありがとうございました。

答弁2
病院経営本部長
 都立、公社病院の独法化についてでございますが、独法化の目的は、超高齢社会の本格化や医療の担い手不足など、医療課題がさらに深刻化していく中でも、感染症医療をはじめとする行政的医療の安定的な提供や、都の医療政策への貢献などの役割を将来にわたって果たし続けることであり、独法化の準備を着実に進めてまいります。

 コロナ対応については、専用医療施設の開設等により、二千床を確保して積極的に患者を受け入れており、今後とも全力で取り組んでまいります。


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