散骨に関するルールの検討を
豪雨を踏まえた浸水対策が必要

環境保全

質問1
 初めに、都内における散骨のルールづくりについてお伺いをいたします。

 平成六年に、葬送の自由をすすめる会が山梨県小菅村にある東京都水道局の水源林で散骨を行いました。当時の報道では、同会は水道局にあらかじめ散骨を行うことを連絡していましたが、これに対して水道局は肯定も否定もせず、成り行きを見守るとしたとあります。

 この事態に対し、山梨県小菅村を初め、同県丹波山村、塩山市、東京都奥多摩町の四市町村が、今後散骨を認めないよう求める要請書を水道局に提出したとのことです。

 その後、同会は地元に十分理解されていなかったことを理由に、水道水源林での自然葬を当分見合わせることを表明したとのことです。

 水源林に降った雨は、小河内貯水池を経由して都民の水道水となることから、散骨については、都民の理解が必要であるとともに、山林は地域の生活に密着したものであることから、地元自治体や住民の理解が必要となります。

 平成六年以降、水道水源林での散骨は行われていないようです。

 そこで、以前の経緯を踏まえ、水道水源林での散骨について、都の認識をお伺いいたします。

答弁1
水道局長
 水道水源林における散骨についてでございますが、水源林は奥多摩町と山梨県の一市二村にまたがっております。  平成六年に行われました水源林での散骨は、水道水を使用する都民に加え、こうした地元自治体の方々の感情や観光産業等への影響なども考慮し、それ以降行われていないものと承知しております。

 水源林には、水源涵養機能、土砂流出防止機能及び水質浄化機能といった水道水をつくる上で重要な役割がございます。

 水道局は、こうした機能が十分に発揮できますよう、日々きめ細かな維持管理に努めており、また、散策路の整備など都民や地元の協力と事業への理解促進のための取り組みを積極的に行っております。

 今後とも、こうした考え方に立って、都民等の理解を得ながら水源林の機能を維持し、安定給水を果たすことを第一に管理を行ってまいります。

質問2
 この水源林での事例のように、人骨に対する感情は人によりさまざまであり、海や川での散骨では、水産物などへの風評被害が生じるなどおそれがあります。また、山での散骨では、土地の所有者や近隣の人とのトラブル、まかれた骨を目にした人からの苦情や、農産物への風評被害のおそれがあります。

 家族形態の変化や葬送に関する価値観の多様化に伴い、散骨について近年社会的に関心が高まっております。

 先ほどの葬送の自由をすすめる会は、二〇一七年九月に、この会の設立から二十七年間で四千人の散骨を実施したと発表しています。一つの団体だけでもこれだけの数となっております。

 一方、ある週刊誌では、漁師が副業として、散骨をする家族を遊漁船に乗せ、沖合で海洋散骨を行っている様子を見ることがあるが、その多くは、法律に基づく不定期航路事業の許可、登録を受けずに行っている、いわば違法操業、白タク業者のようなものだという記事が掲載されました。

 散骨に伴うトラブルも発生しており、行政としてもっと危機感を持ってもらいたいとも思います。

 散骨に関して、広域的な視点からルールを検討すべきと考えますが、都の所見をお伺いいたします。

答弁2
福祉保健局長
 散骨に関するご質問にお答えいたします。

 現在、散骨を規制する法律はなく、相当の節度を持って行う場合は、これを処罰の対象とすることはできないものと解されております。

 一方で、国の報告書では、散骨の方法によっては紛争が生ずる可能性もあり、まち中や水源地などで散骨を行うべきではないと考える方が大多数であるとされております。

 都では、散骨に関する留意事項等をホームページに掲載するとともに、他自治体とも連携して、国に対し、散骨の取り扱いに関するガイドラインを作成するよう要望しているところでございます。

 引き続き、散骨について周囲の人々の心情に配慮し、節度を持って行われるよう啓発を行うとともに、国に対してその取り扱いの考え方を示すよう求めてまいります。

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都県境の道路ネットワークの強化

質問1
 次に、道路ネットワークの整備について伺います。

 この秋、台風十五号、十九号が相次いで上陸し、関東、東北を中心に甚大な被害を受けました。台風十九号では、都内でも死者一名、負傷者十一名の人的被害や、床上八百十六棟、床下七百六棟の浸水被害などの大きな被害がありました。

 改めて、亡くなられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

 東部低地帯に位置する江東五区は、水害に対して非常に脆弱な地域であるため、昨年八月、大規模水害ハザードマップが公表され、荒川と江戸川が氾濫するおそれがある場合の避難行動について呼びかけを行いました。猛烈な台風により、高潮と洪水が同時に発生した場合、江東五区のほぼ全域が浸水するおそれがあります。

 首都圏における大規模水害広域避難検討会の推計によると、この場合には、およそ二百五十五万人が浸水のおそれのない地域へ広域的に避難する必要があります。

 台風十五号や十九号の際には、鉄道の計画運休が実施されたほか、バスにも遅延、運休が生じるなど、都民の足に大きな影響が発生し、広域避難のための手段に不安が広がっています。

 しかし、江戸川を葛飾から千葉方面へ渡る橋梁は、水戸街道から江戸川区にある蔵前橋通りまでの四キロ以上の間にはなく、大変離れております。

 大規模水害時に都県境を越えた避難の可能性があるにもかかわらず、都県境の道路や橋が不足していることは大きな課題です。

 大規模な水害に対する緊急的な対策として、例えば、現実的には難しいかもしれませんが、今ある首都高速道路を一時的に閉鎖して、避難に使用するぐらいの斬新な発想で、避難の手段を考えなければなりません。

 一方、恒久的な対策としては、二百五十五万人の避難を支える手段の一つとして、新たに千葉県境の橋梁整備が必要と考えています。

 これまでの道路や橋は、大規模災害を想定してつくられたことがあったでしょうか。これからの道路や橋づくりには、広域的な連携強化、渋滞の解消、円滑な物流の確保などとともに、東京の課題を念頭に、災害時の避難も考えてつくる必要があると考えます。

 こうしたことから、都県境のネットワークの強化を図ることが重要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。

答弁1
東京都技監
 都県境の道路ネットワークの強化についてでございますが、現行の都市計画道路の整備方針では、都県間にまたがる十五路線を優先整備路線として選定するとともに、新たな都市計画道路として四カ所について検討することとしております。

 これらについて、隣接県市との協議、調整を進めており、現在までに三路線を事業化するとともに、二カ所について新たな都市計画道路を決定しております。

 今後とも、千葉、埼玉、神奈川など東京圏全体の交流、連携を図り、広域的な防災性の向上にも寄与する都県境の道路ネットワークの充実を図ってまいります。

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設計等委託の品質確保

質問1
 次に、入札契約制度についてお伺いをいたします。

 昨日の我が党の代表質問では、品確法を初めとする担い手三法の改正を踏まえた今後の都の具体的な取り組みについて質問をしました。

 私からは、その中でも、改正品確法において、新たに対象として位置づけられた設計等委託にかかわる品質確保の取り組みについて確認します。

 ことしは、台風十九号を初め、自然災害が頻発した一年となりましたが、こうした自然災害などへの復旧、復興対応、これから想定されている大震災などへの備え、老築化した施設の計画的な更新など、都には、さまざまな社会インフラの整備をしっかりと行っていくことが求められております。

 これらのインフラを将来に向けて適切かつ万全に整備していくためには、工事の施行の品質確保はもちろんのこと、その川上に位置する測量、地質調査、設計といった委託業務を含め、公共事業全体での品質確保の取り組みが重要であります。

 こうした設計等委託事業者の技術力の向上や継承、持続的な経営を促すためにも、適切な価格での契約は重要であり、ダンピング対策にもしっかりと取り組んでいくべきです。

 そこで、都は今後、設計等委託の品質確保に向けてどのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。

答弁1
財務局長
 設計等委託の品質確保の取り組みについてでございますが、都が社会資本の適切な整備を持続的に実施するためには、工事の前段であります設計等委託の品質確保は重要であると認識をしております。

 都は、積算基準に基づく適正な予定価格の設定などに努めるとともに、今年度からは、各局発注案件への総合評価方式の適用拡大、適切な価格での入札を促すための予定価格の事後公表などを開始いたしました。

 今後も引き続き、ダンピング対策を徹底することなどによりまして、設計等委託の品質確保に取り組んでまいります。

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下水道事業

質問1
 最後に、浸水対策についてお伺いをいたします。

 我が国は、国土の地理的、地形的、気象的な特性ゆえに、数多くの災害に繰り返し見舞われてきており、十月の台風十九号では、都内でも浸水災害が出ました。

 これまで下水道局では、区部全体で時間五十ミリ降雨への対応を基本として施設整備を進めるとともに、大規模地下街等を対象に七十五ミリ降雨への対応を実施してきましたが、今後、近年頻発する豪雨や激甚化する災害を踏まえた対応が必要と考えます。

 そこで、浸水対策のより一層の強化に向けた下水道局の取り組みについてお伺いいたします。

答弁1
下水道局長
 下水道による浸水対策についてでございますが、先般の台風でも雨水貯留施設が機能し、浸水被害軽減に効果を発揮するなど、幹線や貯留施設等の整備を強化していくことは重要でございます。

 これまで区部全域で時間五十ミリ降雨への対応を基本とし、早期に被害を軽減するため、対象地区を重点化して整備を進めてきております。

 さらに、最新の流出解析シミュレーション技術を活用し、区部全域で時間七十五ミリ降雨があった場合の検証を進めており、今後シミュレーション結果と浸水実績等を踏まえ、七十五ミリ対策地区等の追加を検討してまいります。

質問2
 一方で、近年の雨の降り方を考慮すると、どのような整備目標にしても、目標を超える規模の雨が降る可能性があります。

 こうした豪雨等から都民の生命、財産を守るには、都民みずからができる浸水への備えの紹介や適切な避難等の行動を呼びかけることも必要です。

 今般の台風を初め、ここ数年の豪雨災害を踏まえ、浸水に対する都民の自助の意識も徐々に高まってきていると感じていますが、この機会を捉え、今後その意識をさらに向上させていくためには、行政のサポートが極めて重要と考えます。

 そこで、情報発信の強化など、都民の自助を支援する取り組みについてお伺いし、質問を終わります。

答弁2
下水道局長
 都民の自助を支援する取り組みについてでございますが、浸水から都民の生命と財産を守るためには、施設整備によるハード対策に加え、都民みずからが浸水に備える取り組みを支援するソフト対策が重要でございます。

 これまで下水道局では、アクセス件数の多い東京アメッシュを活用し、浸水への備え等を周知してまいりました。

 また、関係局等と連携し、想定最大規模の降雨があった場合の浸水予想区域図の公表を順次進めており、地元区等は、これをもとにハザードマップを作成し、都民に周知しているところでございます。

 今後とも、ハード、ソフト両面から浸水対策を推進し、安全・安心に暮らせる都市の実