知事の基本姿勢
質問1
私は、都議会立憲民主党・民主クラブを代表して、都政の諸課題について、知事並びに警視総監、関係局長に質問いたします。
初めに、知事の基本姿勢について伺います。
現在、小池知事は、二〇三〇年までの政策目標及び政策展開を定める新たな長期計画の策定に取り組んでいるところであり、私も、その動向について大変注目しているところであります。
一方、現行の二〇二〇年に向けた実行プランでは、都内GDPを百二十兆円にする、訪都外国人旅行者数を二千五百万人にするなどの数字が掲げられていますが、これらの数字は目標ではなく、あくまでも挑戦だということです。
私は、新たな長期計画の策定に当たっては、挑戦としてではなく、あくまでも目標としての数字を掲げることは当然として、その目標も、都民の生活満足度七〇%などのように、もっと人に着目した目標、すなわち雇用や子育て、教育、医療、福祉などの分野において、より高い目標を掲げ、その実現に向けて果敢に取り組んでいくべきだと考えます。
長期計画の策定では、働く人たちや生活者など、もっと人に着目した取り組みを期待するものですが、知事の見解を伺います。
答弁1
知事
新たな長期計画についてのお尋ねでございました。
私が目指す都政の要諦は、まさに人に焦点を当てた政策で、大義と共感のもとに展開していくことにございます。人の持つ活力、これこそが東京の課題を克服して持続的な成長をもたらす全ての基礎となるものと考えております。
こうした考えに基づきまして、二〇二〇年に向けた実行プランや、子育て、医療、福祉などの各分野の計画におきまして目指すべき政策目標を定めて、東京で働き暮らす誰もが生き生きと輝ける社会を目指し、さまざまな取り組みを進めているところでございます。
例えば、実行プランで定めました二〇一九年度末までの待機児童の解消という目標は、区市町村と連携した多面的な対策によりまして、二年間で約五千人減少する見込みとなるなど、取り組みが実を結びつつございます。
新たに策定いたします長期計画におきましても、引き続き、人を大切にするという視点に立ちまして、具体的な政策目標を定めて、誰もが安心して暮らし、活躍できます成熟都市東京の姿を示していきたいと考えております。
質問2
また、長期計画の策定に当たっては、昨年十二月の代表質問でも求めてきた都財政の収支見通しをぜひとも打ち出していただきたいと考えますが、見解を伺います。
答弁2
財務局長
都財政の収支見通しについてでありますが、都財政は、歳出面では、少子高齢、人口減少社会の到来や社会資本ストックの老朽化への対応など、膨大な財政需要を抱えております。
一方、歳入面におきましては、その歳入の根幹をなす都税収入がもともと景気の荒波に翻弄されやすい不安定な構造にあり、また、先般の不合理な税制度の見直しに伴う減収も見込まれるなど、厳しい状況に置かれております。
こうした中にありましても、東京の将来を見据えた施策を揺るぎなく進めていくためには、中長期的な財政見通しを持ち、計画的かつ戦略的な財政運営を行っていくことが重要であります。
そのため、今後、新たな長期計画の策定に合わせまして、財政収支の長期的な推計を明らかにしてまいります。
質問3
人に着目した取り組みで、都政の最重要課題は高齢化対応です。
認知症対策には、認知症になっても住みなれた地域で暮らし続けられる共生社会、すなわち人手不足が続く医療、介護に加え、見守り、移動手段、買い物、金銭管理や消費者被害防止など、制度や分野が異なる支援を組み合わせてサポートする体制が不可欠です。
特に東京では、単身高齢者が七十四万世帯、全世帯の一一・四%を占めており、今後も大幅に増加すると予測されています。
しかし、現行の長期計画でも、三つのシティー実現に向けた実行計画でも、世界のモデルとなるような超高齢社会への具体策は示されてきませんでした。
六十五歳以上人口が二一%以上を占めると超高齢社会とされていますが、東京の高齢化率は二三・三%で、既に超高齢社会に突入しています。新たな長期計画の策定に当たっては最重要課題として捉え、二〇四〇年問題への対処、超超高齢社会対策と今度こそ正面から向き合い、取り組みを明らかにすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
答弁3
知事
超高齢社会への、もしくは超超高齢社会への対応についてでございますが、東京は既に超高齢社会を迎えており、団塊ジュニア世代が六十五歳以上となる二〇四〇年には、高齢者が今よりもさらに約五十万人増加すると予測されております。
世界に例を見ない規模とスピードで高齢化が進む中にありましても、高齢者が地域の中で生き生きと暮らし、一人一人が元気に活躍できる、そんな社会を実現していかなければなりません。
都は現在、住みなれた地域で医療、介護、住まいなどが一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みを進めております。
また、認知症の総合的対策や、高齢になりましても健康で自立した生活を送るための介護、フレイル予防などの取り組みも行っております。
加えまして、人生百年時代におきまして、元気な高齢者が、仕事やボランティア、さらには学び直しによりまして、生涯現役として社会で活躍できるよう、さまざまな環境整備も進めております。
こうしたこれまでの取り組みの成果や課題を踏まえた上で、今回の長期計画におきましては、高齢化が一層進む二〇四〇年代を見据えた政策を練り上げまして、成長と成熟とが両立する東京の明るい未来の姿を示していきたいと考えております。
交通事故ゼロ社会の実現
質問1
次に、交通事故ゼロ社会の実現について伺います。
この間、高齢ドライバーによる重大事故が多数報じられており、都民に大きな衝撃を与えています。このような事故を繰り返さないため、まずもって必要なのは、運転機能の低下が疑われる年齢に達したら、みずからが運転免許証の返納を考え、周囲も返納を促し、説得することを常識にすることであり、そして、運転能力が低くなってしまった人は運転できないよう、制度の改善を国に求めることです。
そのため、自主返納について、より効果的に自覚を持ってもらえるような取り組みを都として進めるべきと考えますが、見解を伺います。
答弁1
警視総監
高齢者の運転免許自主返納に係る取り組みについてでありますが、警視庁では、高齢運転者ご自身が、加齢に伴う認知機能の衰えや身体機能の変化を自覚できる取り組みとして、運転時認知障害早期発見チェックリスト三十をホームページに掲載しているほか、認知、判断、操作の俊敏性を体感できる教育資器材を活用した交通安全教育を実施しております。
また、高齢運転者を対象としたシルバードライバーズ安全教室や高齢者講習における実車指導などにより、高齢運転者ご自身の運転技量の確認や加齢に伴う身体機能の変化を自覚されるよう促すとともに、それを踏まえた交通安全指導を実施しております。
今後も、高齢運転者ご自身に加齢に伴う認知機能の変化等を自覚してもらうための取り組みのほか、関係機関と連携して、高齢運転者の運転免許自主返納のさらなる促進を図ってまいります。
質問2
次に、自動車による死亡事故ゼロに向けた取り組みについて伺います。
もちろん、技術は万能ではありませんが、死亡事故をなくしていくため、ADAS、先進運転支援システムが切り札になると考えています。
我が国では歩行者が犠牲となる事故が多く、中でも東京では死亡事故の四二%を占めています。都として、対歩行者の自動ブレーキや、アクセルとブレーキの踏み間違え時加速抑制などの機能を搭載した安全運転サポート車、いわゆるサポカーの普及を加速させる必要があると考えます。
そこで、半年でも一年でも、買いかえを前倒ししていただけるよう、サポカー購入、買いかえを促進するための助成制度を創設するなど、さらなる支援策も早急に実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
答弁2
知事
高齢運転者の交通安全対策についてのお尋ねがございました。
今般、都は、自動車の安全運転を確保するための緊急対策といたしまして、アクセルとブレーキの踏み間違いによる急発進を防ぐなど、事故防止に効果的な装置の取りつけに対する補助の実施をすることといたしました。
また、運転免許の自主返納への理解促進を図るために、休日に家族相談会を新たに実施するほか、返納された方々への特典の拡充に向けて、関係機関への働きかけを強化してまいります。
新たに設置いたしました緊急プロジェクトチームでは、今後、自動車の安全運転への支援、運転免許の自主返納の促進、自主返納後の移動手段の確保など、実効性のある対策を包括的に検討してまいります。
質問3
一方で、七十五歳以上のドライバーによる死亡事故は、全死亡事故の一三%と突出しているわけではなく、多くの年代で死亡事故が起きています。自動車事故で亡くなる方を減らすため、一つでも多くの事故を防がなければなりません。
交通事故、急ブレーキ、急ハンドルなどのインシデントを含めたビッグデータの活用を進めることで、交通事故発生のホットスポットや要注意箇所、時間帯などが予測でき、交通規制や道路形状等の改良、ドライバーへの注意喚起など、事故減少に役立てる取り組みを高度化させていかなければなりません。
このようなビッグデータを活用した事故減少対策の一層の推進について見解を伺います。
答弁3
警視総監
ビッグデータを活用した交通事故減少対策の推進についてのご質問でありますが、警視庁といたしましても、ビッグデータやAIなどの新たなICTを活用し、さらなる高度な分析を行うことにより、交通事故や交通渋滞の発生を予測し、効果的な交通安全対策を実施することは、安全で円滑な交通社会の実現につながるものと考えております。
現在、警視庁では、有識者等の協力を得て、交通事故の予測等のために、AIの活用を検討しているほか、関係機関等から提供されたプローブ情報を交通安全対策に活用しております。
今後も、最先端技術の活用を検討しながら、より効果的な交通安全対策を推進し、交通事故の減少に努めてまいります。
質問4
次に、通学路の交通事故防止について伺います。
警視庁はこの間、通学路の危険箇所の点検を進めてきましたが、先般、大津市で保育園児が死亡した事故を受け、保育園等における園外活動の移動経路等の安全点検を緊急に実施すると聞いています。
保育園の園外活動も含めた危険箇所の一斉点検を早急に実施し、子供の命を守る視点からの安全対策へとつなげる必要があります。
さらに、一斉点検、対策実施で終わるのではなく、定期的な点検、対策と効果の把握及び一層の改善充実をPDCAサイクルとし、継続的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
答弁4
警視総監
保育施設等における園外活動に伴う移動経路等の安全点検やその継続的な取り組みについてでありますが、警視庁では、既に緊急的な取り組みとして、幼稚園及び保育施設の散歩ルートや通園ルート等について実態を把握し、危険箇所があった場合及び幼稚園などから危険箇所や交通安全対策について相談があった場合には、道路管理者等との合同点検を行い、改善が必要な箇所につきましては、関係機関と調整の上、可能なものから速やかに道路交通環境の改善を図っているところであります。
今後、改善した箇所について、十分な効果が得られているか確認するなど、子供を交通事故から守るための対策を継続的に推進してまいります。
交通政策
質問1
次に、交通政策について伺います。
ことしの夏には、東京二〇二〇大会に向けて、交通混雑緩和に向けた大規模なTDM試行が予定されています。時差出勤などの人流、時差配送などの物流対策について、社内での対応はもちろんですが、自社のみでは対応困難な事柄も多く、一年後の大会本番を想定して、取引先との相談を行う契機としても極めて重要です。
夏の試行を通じて具体的な規制の影響を把握して、企業が事前の対策を徹底し、東京二〇二〇大会成功に向けた積極的な取り組みが可能となるよう、都としても、企業と連携して取り組んでいくべきと考えます。都の取り組みについて見解を伺います。
答弁1
オリンピック・パラリンピック準備局長
大会時の交通混雑緩和に向けた取り組みについてでありますが、この夏の試行は、大会輸送の検証に加え、自社の企業活動への影響等を検証するなど、大会に向けた対策を確実に進めるための重要なステップでございます。
現在、都は、大会時の交通影響や各企業に取り組んでいただきたい事項について、説明会や相談会等を通じて具体的に示し、その取り組みの検討や実践を働きかけているところでございます。
今後は、スムーズビズの戦略的な広報展開や、大規模なアンケートの実施などにより、夏に向けてより多くの企業の皆様に取り組みをお願いしてまいります。
夏の試行後は、その検証結果を踏まえ、より効果的な取り組みを実践できるよう、都としてもさらに企業との連携を深め、支援を行うなど、大会時の円滑な輸送の実現と企業活動の維持との両立を目指してまいります。
質問2
交通対策として駐車違反取り締まりを行っていますが、物流に与えている影響は大きく、社会全体での費用便益をどう分析しているのか疑問を感じる部分もあります。
例えば、個店への配送、生協や宅配業者は、決まった場所、時間の駐停車が多いため、ごく短時間の駐車でも取り締まりに遭いやすいと聞きます。
ネット通販利用世帯は、二〇〇二年の五・三%から、二〇一六年には二七・八%へと激増。消費構造が変化し、物流も激変しました。高齢化の進展などに伴い、宅配は今後ますます生活に欠かせないものとなり、駐車違反取り締まり対策も変化に応じた対応が必要です。また、働き方改革の観点から、集配の効率化、ドライバーのストレス解消なども必要です。
警視庁は、港区や品川区、渋谷区に、貨物車専用の荷さばきスペースを設置していますが、交通渋滞が激しくない箇所におけるさらなる増設や、集配中の駐車は除くといった駐車禁止の補助標識などの要望も多く寄せられています。
実情に応じた駐車規制の緩和をより一層進めるべきと考えますが、見解を伺います。
答弁2
警視総監
貨物専用車両に対する駐車規制の緩和についてでありますが、警視庁では、平成三十年度から令和二年度にかけて、貨物集配中の車両に係る駐車規制の緩和を推進することとしています。
これまで、港区を初め都内三カ所において、集配中の貨物車両を対象とした駐車規制の緩和を実施しており、今年度中には、さらなる拡充を検討しております。
引き続き、運送事業者等の要望を踏まえ、道路管理者と連携しながら、地域住民の理解が得られたところから、順次、駐車規制の緩和を図ってまいります。
子育て支援
質問1
次に、子育て支援策について伺います。
東京都は、希望出生率一・七六の実現を掲げています。一方で、現実の出生率は一・二にすぎません。都民の希望がかなう東京を、いつまでにどのような方法で実現しようとされているのか、具体的なプランを示すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
子供を持たない、あるいは二人目を諦める要因については、経済的困窮や教育費の高さなどが挙げられます。日本で最も出生率が低い東京においては、果たして経済的な事情によるものだけなのか、それとも結婚や出産に対する価値観の変化によるものなのか、東京に特有の何かがあるのか、原因をさらに究明する必要があると考えます。
この間、都が私立高校の授業料無償化などを実施してきたことは評価します。
しかし、それだけでは出生率の改善には結びついていないのも事実です。都の英知を結集して子育て支援策を考案するべきであり、多くの、子供を持ちたいと願う方々への希望を実現できるよう、環境整備を進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
答弁1
知事
希望出生率の実現に向けた取り組みについてのお尋ねでございました。
東京が持続的な発展を続けていくためには、社会の活力低下を初め、さまざまな面で将来に大きな影響を及ぼします人口減少、少子高齢化の問題に正面から向き合う必要がございます。
こうした観点から、二〇二〇年に向けた実行プランにおきましては、都民の希望出生率一・七六の実現を将来的な展望といたしまして、結婚、出産、子育ての希望をかなえることを目標といたしております。
もとより、結婚や出産は、一人一人の価値観や人生観に基づくものでございます。今、行政に求められているのは、社会全体で子育てを支援するという考え方に立ちまして、安心して子供を産み育てられる環境を整えていくことであります。
都は、結婚、妊娠から子育てまでの切れ目のない支援の充実、保育サービスの拡充、ライフワークバランスの推進など、さまざまな施策を多面的に展開をしております。
現在、新たな長期計画の検討も進めておりまして、こうした取り組みにつきまして一層の充実を図ることで、誰もが希望と活力を持って生き生き暮らせる東京の実現を進めてまいりたいと考えております。
質問2
知事は所信表明で、待機児童数が四半世紀ぶりの水準である約三千七百人にまで大きく減少する見込みであると胸を張りました。減ったことは理解できます。しかし、四月一日現在で三千七百人もの子供の保護者が、そして隠れ待機児童も含めるともっと多くの方々が本当に困っていることを直視すべきです。
知事の公約は、来年、待機児童をゼロにすることです。必要でありながら保育所に子供を預けられずに困っている都民一人一人に対しての答えになるように答弁をいただきたいと思いますが、公約実現に向けた見通しについて、知事の見解を伺います。
答弁2
知事
子育て支援についてのお尋ねがございました。
子供を持ちたいと願う全ての人が安心して子供を産み育てることができる環境を整備するためには、行政だけでなく、都民や事業者等、社会全体で取り組んでいかなければなりません。
都は、子供・子育て支援総合計画におきまして、乳幼児期におけます教育・保育の充実、特に支援を必要とする子供や家庭への支援の充実など、五つの目標を掲げまして、福祉、保健、医療、雇用、教育など、多様な分野の施策を、区市町村を初め、住民、地域、企業やNPOと連携協力して、一体となって展開をいたしております。
こうした取り組みをさらに進めるため、現在、学識経験者、子育て支援事業者、区市町村などで構成をいたします東京都子供・子育て会議で、現行計画の検証を行っております。
今後、さまざまな関係者のご意見も伺いながら、今年度末までに新たな総合計画を取りまとめまして、あらゆる分野の施策を総動員し、都における子供、子育て家庭を支援する環境の整備に取り組んでまいります。
質問3
次に、災害対策について伺います。
災害の発災直後は情報空白期と呼ばれ、正確な情報をいち早く入手し、把握することが重要です。しかし、東日本大震災のときには、紙によるやりとりが多く、全体を把握するまでに時間を要したと聞いています。
また、発災時には、被害状況データを各区市町村がそれぞれのシステムに入力し、さらに東京都の情報端末、DISに同じデータを入力するという二度手間となっており、こうした状況を改めるべきと考えますが、所見を伺います。
答弁3
知事
待機児童の解消に向けた取り組みについてでございますが、私は、待機児童の解消を都政の最重要課題の一つと位置づけまして、就任直後の平成二十八年九月には、保育所等の整備の促進、保育人材の確保・定着の支援、利用者支援の充実、この三つを柱として緊急対策を取りまとめて、保育サービスの拡大を図ってまいりました。
具体的には、保育所等の整備費補助の充実、都有地活用の推進、定期利用保育や一時預かりの拡充、待機児童の半数を占めます一歳児を緊急的に受け入れる施設への支援など、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
また、昨年度立ち上げました東京都待機児童対策協議会におきましては、多様な保育の受け皿の整備や人材確保策など、区市町村と協議をするとともに、効果的な待機児童対策の事例につきまして情報共有を図っております。
引き続き、一人でも多くの保護者が保育サービスを利用できますように、区市町村としっかり連携しながら、手綱を緩めることなく、今年度末までの待機児童の解消に向けて全力で取り組んでまいります。
災害対策
質問1
次に、災害対策について伺います。
災害の発災直後は情報空白期と呼ばれ、正確な情報をいち早く入手し、把握することが重要です。しかし、東日本大震災のときには、紙によるやりとりが多く、全体を把握するまでに時間を要したと聞いています。
また、発災時には、被害状況データを各区市町村がそれぞれのシステムに入力し、さらに東京都の情報端末、DISに同じデータを入力するという二度手間となっており、こうした状況を改めるべきと考えますが、所見を伺います。
答弁1
総務局長
災害情報システムの見直しについてでございますが、都では、東京都災害情報システムを構築し、区市町村や警察、消防等との間で情報を共有し、ネットワーク化を図り、災害対応に活用しております。
今後、さらなる情報共有の迅速化に向け、来年度末をめどにシステムの再構築を予定しており、具体的には、都内での火災発生情報などを東京消防庁等関係機関とシステム上で共有できるようにするとともに、発災時における区市町村の情報収集力を強化するため、システム連携に向けた機能強化を図ってまいります。
こうした取り組みにより、東京都災害情報システムの利便性の一層の向上を図ってまいります。
質問2
次に、複合災害対策について伺います。
熊本地震では、マグニチュード六・五とマグニチュード七・三の地震が二日間に連続して発生。大阪北部地震と西日本豪雨、そして災害級の猛暑と台風も極めて短い期間に発生しました。
このように、近年、我が国が見舞われた災害を振り返ると、地震、風水害が連動するといった複合災害を繰り返しており、東京においても、被害の激化、広域化、長期化が懸念されます。
そのため、都においても、複合災害を想定し、都民の生命、身体、財産を災害から守り、被害を軽減するため、対応を進めるべきと考えます。見解を伺います。
答弁2
総務局長
複合災害への対応についてでございますが、災害対応においては、可能な限り想定外をなくし、実効性のある対策を講じることが重要でございます。
都は、首都直下地震については、起こり得る最大規模の被害を被害想定報告書で明らかにし、また、水害についても、想定し得る最大規模の降雨、高潮による氾濫の影響を浸水想定区域図で明らかにしております。その上で、セーフシティ東京防災プランなどに基づき、ハード、ソフト両面から具体的取り組みを進めております。
今後、プランに基づく施設の耐震化や、防災、減災に向けたさまざまな啓発を行うとともに、実践的な防災訓練を積み重ねていくことにより、複合災害が発生した場合における被害の軽減に努めてまいります。
SDGs
質問1
最後に、SDGsについて伺います。
二〇一五年の国連、持続可能な開発の二〇三〇アジェンダに掲げられたSDGsは、全ての国々の共通目標であり、生態系や地球規模の環境課題の解決に向けては、とりわけ資源循環における取り組みが注目を集めています。
国は先月、プラスチック資源循環戦略を策定し、プラスチックの資源循環を総合的に推進するための戦略を示したほか、食品ロスの削減の推進に関する法律で、食品ロスの削減の取り組みの方向性が示されました。
都においては、東京都廃棄物審議会で、今後のプラスチックの持続可能な利用に向けた施策のあり方について、中間答申で示され、また、食品ロス削減パートナーシップ会議での議論が進んでいます。
利便性、経済性だけでなく、環境への影響、持続可能性を考慮した生産、消費、廃棄の仕組みを構築するためには、大消費地である東京がSDGsに掲げる目標達成に向け、資源循環分野において先導的役割を果たす責任があると考えますが、知事の見解を伺います。
以上で都議会立憲民主党・民主クラブを代表しての質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
答弁1
知事
SDGsに掲げます目標達成についてでございますが、持続可能な開発目標、いわゆるSDGsは、保健、教育、経済など、十七の分野におけます課題解決に向けた世界共通の目標となっております。
このSDGsの環境分野での目標達成に向けましては、資源エネルギーを大量消費する大都市東京が大きな責務を担っておりまして、特に資源循環分野におきましては、実効性ある施策を展開する必要がございます。
世界的な課題となっております廃プラスチック対策でございますが、国際的な状況や国の動きを踏まえまして、秋に取りまとめられます廃棄物審議会の最終答申をもとに、年内を目途として、プラスチック削減プログラムを策定いたしてまいります。
また、食品ロス削減に関しましては、事業者や消費者団体等から成ります食品ロス削減パートナーシップ会議、こちらにおけます議論を踏まえまして、食品ロス半減の達成に向けて着実に取り組みを進めてまいります。
今後とも、都民、事業者等の共感、そして協力を得ながら、資源循環分野におきましても、環境先進都市としてのイニシアチブを遺憾なく発揮していきたいと考えております。