防災都市づくり
質問1
昨年六月の大阪北部地震では、ブロック塀の倒壊により、通学途中の女子児童が亡くなるという痛ましい事故が発生しました。
この状況を踏まえ、我が会派は、昨年十月にブロック塀対策にかかわる財政支援策として、補正予算編成に関する緊急要望を知事に行ったところです。
その結果、昨年の十二月議会で補正予算案が提案され、都は、可決後速やかに民間の危険なブロック塀の撤去等に対する補助制度を開始しており、この点について高く評価するものです。
一方で、この補助制度では、ブロック塀を撤去し、そのかわりに木塀を設置する場合に高額な補助金を上乗せするとしております。国産木材の利活用促進そのものを否定しませんが、国産木材の需要を喚起するという点において、この政策がどこまで寄与するのか、甚だ疑問であります。
そこでお伺いいたします。
この木塀設置に対する補助制度について、窓口となる区市町村からの問い合わせはどの程度来ているのか、また、既に補助申請がなされた例があるのかをお答えください。
答弁1
都市整備局長
木塀設置に対する補助制度の活用についてでございますが、木塀の設置支援は、国産木材の利活用促進による市場の拡大に加え、軽量化に伴う地震時の安全性向上や、良好な景観形成への寄与などの効果も期待されております。
昨年十一月には、区市町村に対する説明会を開催し、国産木材の活用推進の状況や補助制度の案について説明するなど、木塀設置への理解と協力を求めております。
都の補助は、木塀を設置する都民に対して、区市町村を通じて行う仕組みとなっており、現在、複数の区市において、補助制度の活用に向けた要綱の整備などが進められている段階でございます。今のところ申請はなされておりませんが、関心を持つ都民から問い合わせが寄せられております。
都は、引き続き区市町村に対する技術的支援や情報提供などを行い、木塀設置を促進してまいります。
質問2
ブロック塀撤去はともかく、これとセットに木塀設置にまで補助をするというのはいかがなものでしょうか。ましてや、不燃化の取り組みを進めている木造住宅密集地域にまで木塀設置を推進するとすれば、政策的にも問題があるといわざるを得ません。
木造地域における木塀の設置は、可燃物をふやし、火災延焼の危険性を増大させることにつながりかねませんが、都の見解を伺います。
答弁2
都市整備局長
木造住宅密集地域における木塀設置についてでございますが、木密地域において木塀を設置する場合には、燃え広がらないまちづくりの推進という都の方針との整合性を確保する必要がございます。
このため、防災都市づくり推進計画に定める整備地域においては、市街地の安全性確保の観点から、建築基準法の延焼防止の考え方を踏まえ、幅員六メートル以上の道路に面し、かつ同法の防火規定に適合する木塀を対象に補助することといたします。
木密地域の安全性にも配慮しながら、木塀設置が円滑に進むよう、区市町村と連携して取り組んでまいります。
花と緑による都市緑化
質問1
東京二〇二〇大会を控え、世界中の注目が東京に集まる中、多くの来訪者に東京の魅力を伝えていくためには、人々を魅了する快適な都市空間を創出することが重要であります。
この取り組みの一つとして、花と緑による都市緑化があります。とりわけ、美しい花は人々に潤いや癒やしを与え、都市に風格をもたらすなど、都市の魅力を向上する重要な要素であると考えております。
しかし、二〇二〇大会が開催される真夏の時期に花を美しく維持し続けるためには、水やりなどに大変な苦労を要します。東京を訪れる方々に花でおもてなしをするためには、地域の協力を得ながら、花の維持管理に取り組んでいくことが肝要であります。
また、地域が一体となって緑を育て、咲いた花をめでることで、子供や高齢者、地域企業などの地域参画が進み、新たなコミュニティの形成につながるなど、さまざまな相乗効果が生み出されることも期待されます。
こうした点から、私は、都が昨年度から実施している花の都プロジェクトに大いに注目しております。このプロジェクトでは、花による緑化に取り組む区市町村を都が支援し、夏における花の維持管理方法や、地域連携のあり方をまち中で検証するとのことですが、こうした検証で得られた知見やノウハウを整理し、他の自治体に普及していくことが都全体でのおもてなしにつながっていくと思います。
そこで、この二年間の成果を真夏に開催される二〇二〇大会のおもてなしでどのように生かしていくのか、また、大会後のレガシーとして、都市緑化の普及に向け、今後どのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。
答弁1
環境局長
花と緑による都市緑化についてでございますが、都の財政支援のもと、花の都プロジェクトに参画する葛飾区、台東区、江東区では、暑さに強い花を選定して植栽やプランターを設置し、地域住民と協働した水やりや自動散水装置の活用など、管理方法を工夫した結果、夏を通じて花を維持できることがまち中で実証されております。
また、花の維持管理以外についても、近接する飲食店の協力のもと、店先を活用して緑化エリアを広げたほか、地域で共同開発した自動散水機能を有する立体花壇が他の自治体で採用されるなど、プロジェクトで生み出された成果が地域、自治体を超えて波及しております。
こうした成果をシンポジウムや区市町村との会議等で広く共有し、二〇二〇大会時はもとより、大会後も花と緑あふれる都市東京の実現に向けた取り組みを進めてまいります。
おもてなしの取組
質問1
東京二〇二〇大会まであと一年となり、さまざまな準備が行われておりますが、東京は世界の皆様におもてなしということを約束して、この大会を招致しました。
東京二〇二〇大会に向けて、開催時、そしてその後を含め、海外から多くの旅行者が東京を訪れます。
私の地元葛飾区を舞台にした映画やアニメでは、寅さんやこち亀、キャプテン翼がありますが、公園などのモニュメントを目当てに、年中外国人旅行者が来ています。
こうした下町などの地域の魅力を知っていただき、足を運んでいただくためには、外国人も楽しめるイベントをしたり、そうしたイベントにおいて多言語で案内していただける観光ボランティアなどが必要です。
最近は、翻訳アプリなど便利なものもいろいろふえてきましたが、私たちも海外に行ったときに、まちで日本語を目にしたり、ガイドの方に日本語で案内をしてもらうと大変うれしく思い、安心感があります。
東京二〇二〇大会で終わりではなく、大会後も継続的な観光地づくりを目指して、地域としっかり連携して、おもてなしの取り組みを都内で広げていただきたいのですが、都は、そうした取り組みへの支援を今後どのように進めていくのかお伺いいたします。
答弁1
産業労働局長
外国人旅行者を呼び込む地域の観光振興についてでございますが、東京二〇二〇大会を契機として、海外からの旅行者を呼び込むためには、地域が一体となって体験型の観光資源の開発とあわせて、多言語対応などによるおもてなしの強化が必要でございます。
このため、都は、歴史や文化、アニメ等を活用した地域の観光振興の取り組みに対して、ソフト、ハードの両面から支援を行っているところでございます。
来年度は、新たに観光協会や企業、団体等が幅広く連携し、東京二〇二〇大会の期間中や、その前後に訪れる旅行者を対象に実施する地域の伝統や文化等を体験できるイベントの開催経費への助成を行ってまいります。
また、こうしたイベントにおきまして、多言語で案内する都の観光ボランティアを現地に派遣する制度の利用を一層促進いたしまして、大会のレガシーとして地域の持続的な観光振興につなげてまいります。
水道事業
質問1
次に、水道管路の更新について伺います。
我が党はこれまでも、首都直下地震に備えた水道管の耐震継ぎ手化を初め、漏水の発生リスクが高い老朽化した管路の解消にも早急に取り組んでいくべきと主張してきました。
水道管は、生活をする上で必要不可欠である水を都民へ配る重要な施設であることから、より一層、管路の整備を推進し、断水被害を効果的に低減することが重要です。
一方、都が管理する水道管の延長は膨大であり、将来的な環境の変化も見据えて更新を進めることが不可欠です。
そこで、より長期的な視点を踏まえて計画的に水道管路の更新に取り組むべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
答弁1
水道局長
水道管路の更新計画についてでございますが、水道局では、災害や漏水事故等の発生に万全を期すため、更新する管路につきましては、今後、優先順位を明確にし、重点的かつ効率的に整備をしてまいります。
まず、現在進めております重要施設への供給ルートの耐震継ぎ手化につきましては、完了年度を三年前倒しするとともに、これまで取りかえ困難でありました箇所に点在する老朽管を集中的に更新し、いずれも二〇二二年度までに完了させます。
また、地震被害想定が大きい地域の耐震継ぎ手化を推進し、断水率五〇%を超える地域を二〇二八年度までに解消させます。その後は、水道管の耐久性の分析により設定した供用年数に基づき、順次管路を更新してまいります。
こうした方針に基づき、長期的な視点に立った計画的な管路の更新を進めてまいります。
質問2
水道管路の更新を計画的に進めるには、工事事業者との連携や協力が不可欠です。その工事事業者に目を向けると、都内の水道工事の多くは中小事業者が担っている状況にあります。
都の水道管は、他のライフラインとふくそうする箇所に埋設されていることや、管の口径が大きいことから、その更新には高い施工能力が必要となります。
このような中、管路の更新計画を着実に進めるには、工事事業者の技術力向上に取り組んでいくことが重要です。
そこで、将来にわたる首都東京の安定給水の確保に欠かせない工事事業者の技術力向上に向けた取り組みが必要と考えますが、見解をお伺いいたします。
答弁2
水道局長
水道工事事業者に対する技術支援についてでございますが、水道局では、今後、重点的、効率的に管路を更新していくに当たり、地下埋設物がふくそうする取りかえ困難な箇所の管路や、管口径の大きい配水本管の取りかえなど、技術的に多くの課題を抱える工事が一層増大してまいります。
そのため、更新計画を着実に実施していくに当たり、局職員の技術継承はもとより、工事事業者においても、より高度な施工能力を確保していただく必要がございます。
水道局はこれまでも、日本水道協会と連携し、当局施設を活用した配水管工事技能者の育成など、工事事業者の技術力の維持向上に取り組んでまいりました。
今後は、さらに関係団体等のニーズも把握し、現場の実情に即した実務研修や最新の施工方法などを解説した講習会など、多様な技術支援策を積極的に検討してまいります。
島しょ振興
質問1
次に、伊豆諸島における交通手段について質問いたします。
最初に、離島航空路の利便性向上について伺います。
将来にわたり、伊豆諸島における住民の生活と産業を支え、地域の活性化を図っていくには、伊豆諸島と本土とを結ぶ離島航空路の利便性を向上させていくことが重要であり、とりわけ島で生活する住民にとっては、短時間で本土と島を移動できる航空機の運賃負担の軽減が必要です。
既に都は、普通航空運賃を大幅に割り引く島民割引制度を導入し、一定の効果が上がっていますが、空港が設置されていない利島及び御蔵島の住民については、最も距離の短い空港を利用する際にだけ制度が利用されます。
空港まで船やヘリコプターで乗り継ぐ必要がある利島、御蔵島の住民が安心して島で暮らしていくために、それぞれ複数の空港を選択できるよう、早期に島民割引制度の拡充を図るべきと考えますが、都の具体的な取り組みを伺います。
答弁1
港湾局長
離島航空路の島民割引制度の拡充についてでございますが、伊豆諸島と本土とを結ぶ離島航空路における運賃の低廉化は、島の住民の安全・安心を確保する上で重要であると認識しております。
そのため、普通航空運賃から四割を割り引く島民運賃割引の制度を昨年度から伊豆諸島南部地域に導入し、今年度には伊豆諸島北部地域にも拡大しており、制度開始以降、島の住民の利用が全体で約三割増加しております。
空港を設置していない利島、御蔵島につきましては、利島は大島経由、御蔵島は三宅島経由を対象に島民運賃割引を運用してまいりましたが、さらなる利便性を求める住民の要望を踏まえ、本年四月から、利島については新島経由、御蔵島については八丈島経由をそれぞれ対象路線に加えてまいります。
質問2
次に、伊豆諸島におけるプレジャーボートの受け入れについて伺います。
島しょ地域のさらなる活性化を図っていくためには、島を訪れる観光客を増大させていくことが重要であります。
具体的には、交通手段の観点から、定期航路や航空路を使い来島していた観光客以外の層にも目を向け、例えばプレジャーボートの利用者などを島へ呼び込むことも有効な手段だと考えます。
しかしながら、プレジャーボートの利用者からは、ボートの係留場所や利用可能な施設やサービスがわかりづらいという声もあり、受け入れ環境が十分ではないのではないかといえます。
そこで、プレジャーボートの受け入れのための環境整備について検討を進めるべきと考えます。都の見解をお伺いし、質問を終わります。
答弁2
港湾局長
プレジャーボートの受け入れに向けた検討についてでございますが、島しょ地域の活性化のためには、港湾、漁港施設を観光の観点からも活用していくことが重要でございます。
お話のプレジャーボートにつきましては、各島合わせて、現在、年間約六百隻の利用があり、フィッシングなど一定の観光ニーズに応えるものとなっております。
しかしながら、利用者からは、係留の可否を初めとした情報提供が十分ではないとの声も上がっており、さらなる受け入れの促進には、漁港等地元の利用者との調整や受け入れ体制の整備に努めていく必要がございます。
そのため、今後、プレジャーボートの利用実態の調査、情報提供の手法についての検討など、受け入れ促進につながる取り組みを進めてまいります。