信頼されるリーダーとなるため
顧問偏重・職員軽視を改めよ

都政運営

質問1
 平成三十年第一回定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。

 名誉都民三橋國民様におかれましては、去る二月四日、ご逝去なされました。生前のご功績に対し、ここに謹んで哀悼の意をあらわし、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

 小池知事、私は今、大きな危惧を抱いています。このままではそう遠くないうちに、知事は東京都をいたずらに混乱に陥れ、莫大な財源を奪われただけの知事だったということになると思います。

 しかし、知事がどう評価されるかというのは、都民の皆さんにとってはどうでもいいことなのかもしれません。都民にとって、東京都にとって重要なのは、知事や議会がどれだけ東京のためになる成果を残してくれたかどうか、ただその一点のみであります。

 小池知事が就任以来、都民ファーストの会の立ち上げ、希望の党の立ち上げなど、まさに都民置き去りの政局優先の都政が続いているとよく耳にします。そして、オリンピック準備も豊洲移転ももとのもくあみ、後始末のために多額の税金が投入され、税制改正では国に相手にもされずに一方的に押し切られ、唐突な入札契約制度改正では都内中小企業を混乱に陥れる。こんな都政を都民は望んではいません。

 そして、政治は結果です。これまで知事が主導してきた数々の取り組みは、当初はマスコミなどで派手に取り上げられても、実務の段階になると全て途中で頓挫し、時間と税金を無駄にしただけというありようです。都民も都議会も、知事の場当たり的な提案、そしてたび重なる前言撤回に振り回されています。

 都政に専念すると宣言されてからも、相変わらず小池知事が、具体的にどのような手順でどのような成果を目指しているのか見えてきません。

 知事は、理念は言葉巧みに語られますが、理念ではなく、何が何でも結果を出すという姿勢が決定的に欠けていると強く感じております。質問の冒頭に当たり、まず一言申し上げさせていただきました。

 知事、民主主義とは何なのでしょうか。民主主義とは手続だと私は思います。手続があるからこそ民主主義は時間もお金もコストもかかる。けれど、そのコストは民主主義に必要な対価です。なぜなら、この手続をはしょってしまえば、独裁であり、専制政治となってしまうからです。そして、地方行政における民主主義は、二元代表制のもとで知事と議会がしっかりと議論することで初めて担保されるのです。

 ところが、小池知事就任以来、顧問の意見を偏重し、都議会の頭越しに各種施策を記者会見などで発表し、既成事実化する手法が横行しています。つまり、民主主義的手続を踏むことなく、顧問とともに都政を恣意的に動かしているのがこれまでの小池知事の手法です。

 このような都政運営は、東京の地方自治における民主主義を大きく傷つけるものであり、到底看過できるものではありません。知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 都政運営についてのご質問がございました。

 私は知事就任以来、都民ファーストの視点に立って、情報公開により透明性を高め、職員はもとより、外部の専門家などからのさまざまな意見も参考にしながら、東京大改革を旗印に、都政運営を進めてきたところでございます。

 その中で浮かび上がりました都政のさまざまな課題への対応につきましては、適切な機会を捉えながら、みずから直接都民の皆様にお伝えするとともに、都民の代表である都議会の皆様には、しっかりとご説明もし、また、皆様のご質問にも真摯にお答えしてきたところでございます。

 引き続き、東京の明るい未来に向け、都議会の皆様と建設的な議論を積み重ねて、セーフシティー、ダイバーシティー、スマートシティー、この三つのシティーの実現に向け、しっかりと取り組んでまいる所存でございます。

質問2
 都政が直面する大きな課題の一つに、国による税制改正があります。そして、国による東京を狙った税制改正は今回が初めてではありません。

 かつて都道府県税である法人事業税が国税化された際には、東京都は税収を奪われる一方で、国に対して、三環状道路の整備、羽田空港の国際化、オリンピック・パラリンピックの招致への協力などの三つを約束させました。

 そして、最終的には、当時の石原知事に対して与謝野財務大臣が頭を下げてお願いに来られました。それを可能にしたのは、小池知事が選挙中、そして知事就任後も目のかたきにし続けた私たち都議会自民党の先輩方であり、石原知事でありました。

 当時、私は、まさにここに政治の姿をかいま見た気がいたしました。そして、都議会の議場の中だけではなく、都民のために、国や政府と時には対峙することも第一党の重要な役割なのだと実感をしました。

 今や当たり前のように皆さんが思っていらっしゃるオリンピック・パラリンピックの開催も、羽田空港の国際化も、三環状道路の整備も、こうした石原知事と当時の都議会第一党、我が自民党の政治力がもたらしたものです。

 知事は当時、東京都選出の自民党の国会議員だったわけですから、当然そういった過程も事実もご存じのはずです。

 他方、現在の小池知事はどうでしょうか。一方的に地方消費税を一千億円も取られたにもかかわらず、残念ながら何の成果もありませんでした。知事みずからが代表となって創設した希望の党は、そのとき何か役に立ったのでしょうか。知事がみずから代表を務めた都民ファーストの会は、都議会第一党としての役割を果たしてきたのでしょうか。

 そして、この法人事業税の国税化は、そもそも三年間の暫定措置でしたが、三年で終わらず継続されてしまったのも事実です。それがなぜ継続されたのかといえば、民主党政権時代に、都議会でも民主党が第一党となった時代にこの暫定措置を放置したからなのです。都知事の政治力と都議会の行動力が都と国との交渉に大きく影響するのです。

 私たち都議会自民党は、国と時に緊張関係にありながら、時に仲よくしながら、ひたすら都政を前に進めるために努力をしてまいりました。そして、結果も出してきたつもりです。いたずらに対立するのではなく、いたずらになれ合うのでもなく、議会の内外においてさまざまなチャンネルを使って、ひたすら都民サービスの向上に努めてまいりました。

 ことしは本丸の法人税の改正で、さらに恒久的に国から財源を奪われてしまうかもしれません。

 小池知事は、一千億円が奪われた後になって、唐突に都民の税金が奪われると題するパンフレットを作成しました。そこには平成三十一年度税制改正に向けてと書いてありますが、国との交渉に向けたプランはお持ちなのでしょうか。

 私が昨年の地方消費税をめぐる攻防のとき、知事と一緒に国にお願いに行かなかったのは、小池知事との日程調整が難しかったのではなく、小池知事と一緒に行くことが東京都にとってマイナスになると考えたからです。ほんの一、二カ月前に選挙で戦った相手の大将に協力するはずはない、ならば同じ党に属する同根のよしみにすがるしかない、そう考えたからです。

 そもそも地方消費税の論議は、はるか前からスケジュールの中にあったはずです。知事にはスケジュール感がなかったのでしょうか。消費税増税で都知事として国と相対することになる、そのことを全く念頭に置かず、みずからが代表となって衆議院選に打って出て、しかも、東京には消費税増税は不要であるといい放つことがマイナスにしか働かないとなぜ気づかなかったのでしょうか。選挙戦に都合がよければ、東京都のことなどどうでもよかったのでしょうか。

 せめて知事ご自身が衆議院議員選挙に打って出て、知事の職を辞していれば、東京都にとってはこのような事態は避けられたのかもしれません。

 知事は、国の自民党だけでなく、恐らく民進党も敵に回してしまったのだと思います。万が一、今後、野党が仮に再編されて政権をとったとしても、知事に協力することは考えにくい状況なのではないのでしょうか。

 知事は、これまでのご自身の行動や発言を踏まえた上で、一体どのようにこの課題に取り組んでいくことができるとお考えなのでしょうか。お伺いします。

答弁2
知事
 平成三十一年度の税制改正についてのご指摘がございました。

 東京の財源を不当に収奪し、都民生活を脅かす不合理な税制度の見直しに対しましては、これまで歴代知事も一貫して反対してきたのは、お述べになったとおりでございます。平成三十一年度の税制改正におきましては、既に決着済みであるはずの地方法人課税の不合理な偏在是正措置について拡大する動きを見せておることから、断じて看過することはできないと考えております。

 こうした国の動きに関しましては、都民の代表であられる都議会の皆様のご協力をいただきながら、オール東京で一丸となって、他の自治体ともしっかり連携しながら、あらゆる機会を捉えて、都民の貴重な財源を守るための主張を戦略的かつ強力に展開していく必要があると考えております。

質問3
 この税制改正の問題や特別区の大学の定員抑制の問題の解決には、地方との連携が欠かせません。

 小池知事は施政方針表明において、国による地方消費税の清算基準の見直しや二十三区の大学の定員抑制は、まさに内向き、国内のパイの取り合い以外の何物でもないと糾弾し、東京対その他の地方の構図に押し込める国の目先の対症療法的な手法には、強い懸念を抱かざるを得ないと発言をされました。そして、東京を強力なエンジンとし、各地方それぞれの強みも生かすことで、オールジャパンの力を最大限に引き出すとの姿勢を表明しました。

 では、現在、小池知事は本当に東京を強力なエンジンとし、各地方それぞれの強みを生かそうとされているのでしょうか。残念なことに、地方消費税や大学の定員抑制などの動きを見ると、現実には、東京都対四十六道府県プラス国の構図になっています。

 そして、小池知事は、知事会や記者会見などで主張を展開することはあっても、他の道府県としっかりとした連携を築くために、例えば各自治体に直接出向くとか、都を代表して知事みずから国や関係省庁と粘り強く交渉するとか、そういった知事の姿を見ることはありませんでした。

 また、知事はよく復興五輪といわれていますが、被災自治体との明確かつ具体的な連携も見えてきていません。

 この本会議場や委員会で理路整然と弁舌爽やかに何かを訴えても、現実に何かが変わるわけではありません。

 知事みずからが汗をかき、他の地域とのつながりを実質的に強めていく地道な活動を展開することが、本当の意味での東京と地方の共存共栄につながると思いますが、知事の見解を伺います。

答弁3
知事
 地方との連携強化についてのお尋ねがございました。

 施政方針表明でも申し上げてきたとおり、今、我が国に必要なのは、東京対その他の地方の構図をいたずらにあおるのではなく、東京を強力なエンジンとして、各地方それぞれの強みも生かすことで、オールジャパンで国際競争に打ち勝つという発想でございます。

 そうした観点のもとで、今般の地方消費税の清算基準の見直しや、二十三区の大学の定員抑制の動きに際しましては、私みずから、総務大臣や文部科学大臣を初め、東京選出の国会議員等を訪問いたしまして、直接の要望を行ってきたところでございます。

 また、全国知事会や九都県市首脳会議などの機会を捉えまして、これらの課題について各首長に説明、そして理解を求めてまいりました。

 さらに、オリンピック・パラリンピックフラッグツアーで、被災地、そして鹿児島、沖縄を訪問した際は、大会成功に向けました各知事との連携も確認してまいりました。

 東京二〇二〇大会を一つの契機に、各道府県と一丸となり、それぞれの強みを発揮していきたいと考えております。

 今後とも、人口減少、超高齢化の中で我が国が成長を続けるためには、東京を含めた地方が持てる力を存分に発揮することこそが不可欠との思いのもと、共存共栄に向けた各道府県との連携強化には努めてまいりたいと考えております。

質問4
 世界の三大イベントの二つであるラグビーのワールドカップとオリンピック・パラリンピックが二年連続で同一都市で初めて開催されるという絶好のチャンスにもかかわらず、東京都はそのチャンスを十分に生かし切れていません。

 そして、小池知事は、役割がないとして平昌オリンピックに足を運ぶことすらしませんでした。隣国で開催されるオリンピックは、現場を視察できる最後の機会です。都議会も議会日程を調整してまで視察を行い、我が党はさらに別途視察団を派遣しました。当然のことだと思っています。役割がないどころか、せっかくのチャンスだったのです。

 ところが、議会が開会した今になって、知事は突然、パラリンピックは視察すると発表しました。視察に行っておかないとまずいと感じたのでしょうが、オリンピックは既に終わっているので、せめてパラリンピックは視察しようということなのでしょうか。

 それとも、オリンピックには行かないといったけれども、パラリンピックには行かないとはいっていないと詭弁を弄するのでしょうか。余りに場当たり的な対応であり、開催都市の長としての自覚が欠如しているといわざるを得ません。東京大会を成功させようという意気込みが感じられません。

 改めて、知事の東京大会に向けた決意と、平昌オリンピックを視察せず、パラリンピックのみ議会中に視察する理由を伺います。

答弁4
知事
 東京大会に向けた決意についてのお尋ねにお答えいたします。

 平昌大会が終わりますと、いよいよ東京の番でございます。大会開催まで九百日を切り、準備は実務を加速させるフェーズに入っております。施設整備のほか、輸送、セキュリティー、ボランティアなど、ハード、ソフト、その両面で開催の準備をスピードアップさせてまいります。

 大会の開催に当たりましては、成熟都市であり、世界の最先端都市でもあるこの東京を国内外にアピールするとともに、世界中の誰もが記憶に残る大会としてまいります。また、大会を契機といたしまして、あらゆる分野で東京を進化させ、都民生活の質の向上、そして持続的な成長を実現するレガシーを残してまいります。

 これによりまして、東京の活力の源である都民一人一人を輝かせ、持続可能な都市東京の礎を築いてまいりたいと考えております。

 そしてまた、かねてから申し上げておりますように、パラリンピックの成功なくして大会の成功はない、パラリンピックを成功に導くことで、東京を真の共生社会として都市の成熟度をさらに高めていく所存でございます。

 今後も開催都市の長といたしまして、組織委員会を初め、国や被災地を含む関係自治体等の関係者と一層強力に連携をいたしまして開催準備を進め、大会を成功に導いてまいりたいと思います。

 平昌パラリンピック大会の視察に関してのお尋ねがございました。

 平昌大会の視察につきましては、冬季大会であることや、リオ大会のときのような特別な役割がないということから、猪熊副知事を初めとした職員をかわりに出張させ、現地の状況の把握に努めてきたところでございますが、先般帰国した職員などから、これに関して報告を受けたところでございます。

 アクセシビリティーへの対応や輸送など、現地にみずから赴くことによりまして、肌で感じられる部分も多いことを改めて認識した次第でございます。

 さらに、オリンピックの開会式等を視察した東京都議会二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを成功させる議員連盟に所属する議員の皆様方から、現地のお話も伺いました。そして、じかに現地を見るべきとの熱心なアドバイスも頂戴したところでございます。

 それらを踏まえまして、議会日程等さまざまな状況を総合的に検討いたしました結果、改めて現地を訪れる判断をいたしたものでございます。大変駆け足の日程にはなりますけれども、私自身の目で、しっかり平昌パラリンピック大会を見てまいりたいと考えております。

質問5
 知事は、十六万を超える都職員のリーダーです。これだけの組織を円滑に動かしていくには、知事個人ではなく、都のいわゆる組織力を上手に活用していく必要があります。そして、この組織力の源は、知事とともに力を合わせて都民の負託に応えようという職員の使命感と信頼関係にあると考えます。

 では、現在の都政はどうなのでしょうか。知事は、目安箱や職員提案といった小手先の仕掛けは用意したようですが、肝心な決定は顧問偏重、つまり、職員軽視です。知事が重要な発表を記者会見で行っても、所管の職員が知らなかった、そんなことが起きているのです。

 その結果が、都政新報が行った職員へのアンケートの調査結果に反映されているのです。

 どんな組織であれ、それを構成するメンバーによって支持を得られないようなトップがまともな仕事ができるはずはありません。これは組織論の原理原則です。東京都の知事を支えているのは職員であり、数名の顧問ではないはずです。

 東京都職員から信頼されるリーダーとなるため、顧問偏重、職員軽視を改めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁5
知事
 今後の都政運営についてでございます。

 知事である私は、みずからの判断と責任において都政を運営する責務を負っていることはいうまでもございません。そして、その具体的な担い手は、各局長を初めとする職員の皆さんであります。そのため、就任直後より、自律改革、みずからを律する自律改革を柱に据えて都政改革に取り組んできたところでございます。

 先般、これまでの成果と今後の方向性をまとめました二〇二〇改革プランの素案を発表させていただきました。この間の議論、そして取り組みを通じまして、職員、そして各局に改革のノウハウを共有することができただけでなく、期待以上に改革マインドが浸透するなど、都政改革の土台が築かれたこと、大変うれしく思うところでございます。

 今後は、これまでの計画の段階から、実践的に都政改革に取り組む段階に入るわけでございまして、本プランの実効性を高めるために、顧問の活用のあり方、職員の主体的な参画の観点から、新たな推進体制を構築するように指示をいたしたところでございます。

質問6
 今回、知事は、予算編成に当たり、都議会に報告する前に特定の各種団体を都庁に呼びつけ、査定内容を事前リークしました。これは昨年に続き二回目です。

 その際、各団体に対し、予算案を公表するまで資料の取り扱いには留意するようにと依頼しています。つまり、予算審議の公平性を確保する観点から問題があることを十分に認識していたといえます。

 都知事として知り得た情報を、ご自身の力の誇示に、あるいは特別顧問を務める都民ファーストの人気取りのために使ったのです。これこそ知事が批判をされてきた古い議会、まさにしがらみ政治そのものです。

 都知事と都民ファーストの特別顧問の立場は峻別すべきであり、都政の私物化は厳に慎むべきです。まさに、李下に冠を正さず。このような振る舞いは二度と行うべきではありません。知事のお考えをお伺いします。

答弁6
知事
 平成三十年度の予算編成における各種団体との面会についてのご指摘がございました。

 昨年度の予算編成から、都民ファーストの都政を実現するために、いわゆる政党復活予算の廃止、査定状況の途中経過の公表など、さまざまな予算編成のプロセスの見直しを進めてきたところでございます。

 その一環といたしまして、政策現場の最前線で活躍する各種団体とのヒアリングや意見交換を行いました。現場の声、都民の声をしっかりと受けとめて、よりよい予算づくりに役立てているところでございます。

 平成三十年度の予算編成におきましても、昨年の十月から十一月にかけまして五十九団体との間でヒアリングを行い、さまざまなご意見、ご要望をいただいたところでございます。

 そして、昨年度と同様に実施をいたしました予算案発表前の各種団体との意見交換は、いただいたご意見、ご要望、それぞれの個別事項に関しまして、知事査定の場で一つ一つ議論し、判断した内容についてお伝えしたもので、予算案発表に至るまでの予算編成プロセスの一つでございます。

 都民を代表する都議会各会派の皆様に対しましては、予算案の発表前日、その全体像を一番初めに説明させていただいております。それをもとにいたしまして、本定例会において議会の皆様と真摯に議論を重ねていく、そのことこそが二元代表制の趣旨にのっとった対応であると、このように認識をいたしております。

質問7
 中小企業育成は、都の産業施策の大きな柱の一つです。技術承継、人材育成、そして事業承継などを後押しすべきであることに異論はないと考えます。

 六月から試行が開始された入札契約制度変更は、中小企業育成どころか、大きな負担増を強いられているとの声が上がっています。積算時の負担増やダンピング傾向の助長、中期的経営計画の困難増など、多くの悪影響を与えているのです。制度変更の結果、積算段階でも施行段階でも休日返上を強いられ、働き方改革の障害をつくっているのです。

 低入札価格調査の拡大は、契約担当者の事務負担につながるため、手続上は基準の厳格化が行われています。厳しい基準を設けた結果、経営努力によって下げられた価格が失格というペナルティーにつながるなど、あってはならないことです。

 ライフワークバランスや賢い支出を標榜している知事は、こうしたことに自己矛盾を感じないのでしょうか。伺います。

答弁7
知事
 入札契約制度の改革とライフワークバランスや賢い支出との関係についてでございます。

 予定価格の事後公表につきましては、積算の負担が増しているとのご意見がございます。事業者の入札参加に当たりまして、積算は、工事内容を把握して工事の品質を確保するための重要な作業でありまして、中長期的には優良な公共工事の担い手の育成に資するものと考えております。

 一方で、一月に実施をいたしました意見交換では、中小企業の積算負担の軽減、適正な工期の設定に関する意見があり、ライフワークバランスや担い手確保の観点から、こうした意見もしっかり受けとめていく必要があると認識をいたしております。

 また、低入札価格調査の厳格化につきましては、ダンピングの防止や、下請として工事に携わる中小企業を不当なしわ寄せから保護することに加えて、工事品質に見合いました適正な契約、すなわち、私が進めているワイズスペンディング、賢い支出を実現するために資するというものでございます。

 今回の意見交換におきましても、厳格化に対する反対意見はなく、事業者の皆様方から一定の理解が得られているものと認識をいたしております。

 入札契約制度の改革につきましては、現在、入札監視委員会で検討を進めておりまして、現場の声をしっかり伺いながら、よりよい制度の構築に向けて取り組んでまいる所存でございます。

質問8
 一者入札中止によってもたらした影響も少なくありません。公共事業のおくれは、都民の不利益、都民サービスの低下に直結するとの認識はないのでしょうか。豊洲の追加工事のおくれの責任は、どこに、誰にあるとお考えなのか、知事にお尋ねします。

答弁8
知事
 一者入札の中止による豊洲市場の追加対策工事への影響についてもご質問がございました。

 これまでの制度改革の試行においては、入札参加者の増加で、契約の透明性や競争性が大きく向上しております。

 一者入札の中止につきましては、業界団体との意見交換会で、一者でも参加を希望した事業者の準備が無に、ゼロになってしまうことや、都の事業執行のおくれを懸念する声が多く寄せられたところでございます。

 こうしました現場の状況も踏まえまして、今後の取り扱いを検討していく必要があるとの認識を抱いているところでございます。

 一方、豊洲市場の追加対策工事でございますが、結果といたしまして、契約手続には時間を要しましたものの、市場移転に支障のない七月末までに工事が完了するように契約は締結いたしておりまして、契約手続による開場日への影響は生じていないものと考えております。

 なお、都事業の実施につきましての最終的な責任は、都知事である私に帰するものということはいうまでもございません。

質問9
 一月に行われた入札監視委員会による業界との意見交換の内容は、当然知事に報告されているはずです。多くの悲痛な声を聞き、特に中小企業の危機感を耳にして、知事はどう受けとめたのか伺います。

答弁9
知事
 業界団体からの意見についてでございます。

 意見交換におきましては、制度改革の取り組みに対しまして、反対意見だけではなく、改革の取り組みに賛成するご意見や現行制度の継続を前提とした改善提案など、さまざまなご意見を頂戴したとの報告を受けております。

 いただいた意見の中でも、中小企業の積算に係ります負担が増加しているというご意見、これまでJVが貴重な技術研さんの機会であったという意見については重く受けとめているところでございます。

 事業者の業種や規模は多岐にわたっております。全ての事業者が満足する完璧な制度はないものと思いますが、今後も、こうした意見交換を重ねながら、よりよい制度の構築に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

質問10
 当日出席した委員からは、平準化や工期の設定など、東京都は丁寧な対応をすべきことや、新しい制度設計実現のためには意見交換が大切といった意見が出されました。裏返せば、丁寧な対応が不足している、意見交換もせずに制度設計をしたということであり、制度設計に不備があったといわざるを得ません。

 試行という名のもとに、このまま放置することはせず、現場の声と有識者の声に真摯に耳を傾け、制度の見直しを早急に行うべきです。知事の見解を伺います。

答弁10
知事
 入札契約制度の見直しについてでございます。

 現在、制度改革の試行状況については、第三者機関であります入札監視委員会において検証をしていただいているところであります。

 開札結果などの客観的データだけではなく、業界団体などからも現場の声を伺って検証を進めております。

 今月提出される予定の検証報告を踏まえまして、改めて都として業界団体からヒアリングを行いながら、よりよい制度の構築に向けて取り組んでまいります。

質問11
 東京は世界で一番の都市を目指して、これまで取り組んでまいりました。しかし、陸海空のうち、海の部分は世界に伍せるレベルではありません。

 陸、すなわち鉄道については、世界トップレベルの高密なネットワークが構築されており、今後さらなる充実に向けて、新規の路線に取り組んでいます。

 空、すなわち空港については、羽田空港の四本目の滑走路、国際線ターミナルなどにより国際化が進展し、さらなる機能強化により、国際競争に対応していきます。

 しかし、海、港湾については、ふ頭機能の拡充など、東京港の国際物流機能を強化してきましたが、世界標準にはなっていません。さらなる東京港の物流機能強化のため、港湾物流の円滑化を図ることが必要なのです。

 この物流機能強化のためには、臨海部と都心部を結ぶ道路ネットワークの構築が不可欠です。そのかなめとなるのがまさに環状二号線であり、七十年前に都市計画をされ、多くの先人が努力を重ねて整備を行ってきたのです。

 そして、二〇二〇年の東京大会を目前に、ようやく完成の目途が立ったそのとき、築地市場移転の延期により、計画が頓挫してしまったのです。

 そこで、環状二号線はどのような役割を担う道路であると知事は認識しておられるのか、見解を伺います。

答弁11
知事
 環状第二号線についてでございますが、環状第二号線は、東京の骨格を形成する幹線道路網の一翼を担い、東京の都市活動、そして都民生活を支える重要な道路でございます。

 このうち都心部と臨海部を結ぶ区間につきましては、広域的な交通、物流ネットワークを強化するとともに、臨海部の新たなまちづくりを支えて、地域の防災性の向上にも寄与するものと認識をいたしております。

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オリンピック・パラリンピック

質問1
 平昌大会では、開会式終了後、大勢の観客がオリンピックプラザのシャトルバス乗り場に滞留し、厳しい寒さの中、シャトルバスに乗車するまで一時間四十五分もかかったと聞いています。

 我が会派は、二〇二〇年東京大会の輸送のあり方が大会を成功させるために重要であることを都議会の場で幾度となく訴えてまいりました。平昌大会の状況を見るに当たり、ますますその思いを強くしたところです。

 知事の政策判断により、環状二号線の整備が見直され、我が会派は、大会時の輸送が円滑に行われるのか大いに憂慮しています。特に開催都市である東京都は、組織委員会と連名で輸送運営計画バージョンワンを策定しましたが、今後、その計画を練り上げていく使命があります。

 その計画では、選手などの輸送に当たり、首都高速道路を主に活用することとしていますが、首都高速道路の利用には、利用料金や渋滞対策など多くの課題があり、また、大会期間中、場外市場が営業している中、築地市場跡地周辺の道路は、大会関係車両と場外市場の関係車両で大変な混雑が予想されます。

 知事は就任して一年半、このような状況をどのように認識し、今後どのようにして大会時の円滑な輸送を実現していかれるのか、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 大会時の円滑な輸送の実現についてのお尋ねがございました。

 大会の成功には円滑な輸送運営が必要であり、さまざまな知見を生かして準備することが重要だと認識をいたしております。

 このため、昨年の六月より、学識経験者や関係機関を交えまして、道路ネットワークの効率的な活用方策や交通マネジメントの具体的な検討を進めて、その方向性を示したところでございます。

 その中では、企業や市民に対しまして、夏休みの計画的な取得やテレワークなどを呼びかけまして、交通に関する行動を変えてもらうとともに、状況に応じまして、首都高速道路等の料金所や入り口で通行できる量の調整を行って、渋滞の発生を抑制していくことといたしております。

 さらに、大会時の車両基地であります築地周辺の道路等についても、組織委員会や警視庁などと連携をいたしまして、着実に混雑対策を進めてまいります。

 今後、これらの施策の詳細につきましては、輸送運営計画バージョンツーとして取りまとめをいたしまして、円滑な大会運営の実現に努めてまいる所存でございます。

質問2
 都は、予算原案の発表に際して、大会経費一兆三千五百億円以外に、大会関連経費として八千百億円が必要であると発表しました。

 今回のタイミングでの発表は、都財政が潤沢であるかのような誤解を招き、今後、大会準備や税財源を含め、国と交渉を進めていくに当たり、都にとって不利に働くことになるのではないのでしょうか。このタイミングで大会関連経費を公表した知事のお考えを伺います。

答弁2
知事
 大会に関連する事業についてのお尋ねがございました。

 いよいよ開催まで二年となったわけでございますが、東京二〇二〇大会につきましては、オールジャパンで実務を加速させるフェーズに入っております。

 都は、昨年五月に、組織委員会、そして国、関係自治体との間で合意いたしました大会の役割、経費分担に関する基本的方向、そして、昨年末に公表されました大会経費バージョンツーに基づいて着実に準備を進めているところでございます。

 今後、開催都市といたしまして、バリアフリー環境の整備、ボランティアの育成、活用、東京、日本の魅力発信など、大会を契機にいたしまして、東京の価値をなお一層高めるための取り組みも加速していかなければなりません。

 大会開催に向けましては、これまで計画的に積み立ててきました基金を積極的に活用することとしておりまして、今回お示ししたように、都にどのような財政需要が発生するのか、都民に説明していくことは、大会の成功に向けて不可欠の要素と考えております。

 引き続き、財政の透明性の確保、そして都民生活に影響を与えない、将来にツケを残さないという考えに基づいて説明責任を果たしながら、大会の成功とレガシーの創出に向け、邁進をしてまいりたいと考えております。

質問3
 大会を都内全域で盛り上げていくためには、都や組織委員会の取り組みだけではなく、町会、自治会、商店街など地域と密着した団体と連携した取り組みが必要です。

 二〇二〇年東京大会に向けて、組織委員会は昨年の夏、花火を模した新たなエンブレムを策定しましたが、露出が少なく、都民、国民に十分認知されているとはいいがたい状況にあります。

 また、地域団体が参加できるものとして参画プログラムなどが用意されていますが、まだまだ制約が多く、十分に活用されているとはいえません。二〇二〇年大会まであと二年余りとなる中、都は、地域における機運醸成にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。

答弁3
オリンピック・パラリンピック準備局長
 地域における大会機運の醸成についてでありますが、大会の盛り上げには、区市町村や町会、自治会、商店街等の地域団体の積極的な参画が極めて重要であります。  このため、都は、組織委員会と調整し、今般、大会エンブレムを活用したフラッグ等の地域での掲出について、区市町村が実施主体となり、周辺の公共施設等も装飾すること等を要件に、商店街でも掲出できることといたしました。  また、昨年夏には、町会、自治会が地域の夏祭りを参画プログラムに位置づけて実施する場合に、一定の要件のもとで、大会スポンサー以外の企業の協力を可能とし、飲食物の販売も可能とするなどの要件緩和を実現しているところでございます。  都は、今後とも、組織委員会と連携し、効果的な事例のPR、共有に努めるなど、区市町村や地域団体の取り組みを支援し、地域の盛り上げを図ってまいります。

質問4
 平昌大会の視察を行った我が党の議員が現地でのボランティアの方々とも触れ合う機会がありました。総じてやる気のある方々でしたが、対応言語が韓国語のみだったり、情報が統一されておらず、目的地への誘導が必ずしも円滑に行われていなかった場面も見受けられたようです。

 二〇二〇年東京大会では、十一万人ものボランティアが活躍することになります。この大勢のボランティアを統率し、情報の共有化を図ることは並大抵のことではありません。都はどのように取り組んでいくのか伺います。

答弁4
オリンピック・パラリンピック準備局長
 ボランティアへの情報の共有化等についてでございます。

 平昌大会では、ボランティアが熱意を持って、訪れた観客の案内を実施しており、競技日程の変更などがあった際には、各ボランティアに電話やSNSを通じて情報が共有されておりましたが、情報が届くまでのタイムラグの発生などの課題も見受けられたと聞いております。

 東京二〇二〇大会におけますボランティアの運営に当たりましては、全ボランティアに正確な情報を同時に発信する機能を備えたアプリを開発し、迅速な情報の共有化を図るための仕組みを検討してまいります。

 また、メンバーを統率するためのリーダーを配置し、さまざまな状況に応じた臨機応変な対応や指示が行えるよう、リーダー研修を通じて育成していくなど、東京二〇二〇大会の円滑なボランティア運営に取り組んでまいります。

質問5
 我が党はかねてより、二〇二〇年東京大会のレガシーとなるよう、障害者スポーツの振興を図るべきだと主張してきました。先ごろの都の調査では、パラリンピック競技の認知度は年々上昇しており、車椅子バスケットボールなど四競技は七割を超えています。

 その一方で、実際に会場で観戦した人はわずか三%にも至っていません。観戦の促進にはまだまだ努力が必要です。同様に、障害者がスポーツを楽しむ場の拡大や、そうした活動を支える人材の確保、育成など、障害者を取り巻く環境の整備は依然として問題が山積しています。

 残された時間はわずか二年余りとなりました。大会成功に向けて、これまで以上にしっかりと準備を進めていかなくてはなりません。都は今後、どのように障害者スポーツを振興していくのか、見解を伺います。

答弁5
オリンピック・パラリンピック準備局長
 障害者スポーツの振興についてであります。

 東京二〇二〇大会のレガシーとなるよう障害者スポーツ振興を図ることは重要であります。

 そのため、都は、会員が百万人を超えました障害者スポーツを応援するプロジェクト、チームビヨンドの取り組みによりまして、観戦、応援する人をさらにふやしてまいります。

 また、身近な地域におけます障害者スポーツの場として、都立特別支援学校の活用を順次拡大するほか、企業や関係団体との連携により、指導者等の支える人材をふやす取り組みを充実いたします。

 さらに、パラリンピック等の国際大会を目指す選手の発掘、育成や、競技団体の基盤強化に向けた支援により、競技力向上も図ってまいります。

 今後も引き続き、障害者スポーツの振興に向け、さまざまな取り組みを積極的に展開してまいります。

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市場移転問題

質問1
 次に、豊洲市場問題について伺います。

 私たち都議会自民党は、豊洲市場の安全宣言を速やかに出すよう知事に求めてきました。豊洲ブランドの確立に意欲を示す市場業者や、屋上庭園などを憩いの場として求める地元住民から、知事の安全宣言を切望する声を知事自身が何度も耳にしたはずです。

 今でも豊洲市場の地上部は、法的にも、科学的にも安全なのです。追加対策工事は、あくまでも安全性をさらに高めていくためのものであり、法的、科学的には、すぐに安全宣言は出せるのです。

 これまでの知事の発言は、安全かどうかの判断を専門家会議や認可権を持つ国に責任転嫁するような他人任せに聞こえてしまいます。

 開場日まで七カ月余りとなる中、安全・安心の豊洲市場が混乱なく開場し、さい先のよいスタートを切りたいと願う市場業者は、その思いを胸に黙々と習熟訓練に励んでいらっしゃいます。

 知事の安全宣言のもとで訓練に専念する環境をどうしてつくってあげられないのでしょうか。豊洲市場の開設者として多くの市場業者や都民が求める安全宣言を直ちに出すべきです。知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 安全宣言についてのお尋ねがございました。

 豊洲市場用地の法的、科学的な安全確保につきましては、専門家会議でも確認されているところでございます。

 現在、地下ピット内の対策工事や地下水管理システムの機能強化といった追加対策工事を進めており、これを着実に実施することで、豊洲市場のさらなる安全性の向上を図るところでございます。

 こうした追加対策工事の完了後は、対策の有効性について専門家会議の確認を経て、農林水産大臣の認可といった手続を進めてまいります。

 食の安全・安心につきまして、都民の理解を得るためには、こうした一連のステップを着実に進めることが重要でございます。手続面も含めた条件が整った段階で、安全・安心な市場であるということについて、私から発信をしてまいります。

質問2
 豊洲市場への移転に当たって、地元江東区は、豊洲市場の隣ににぎわい施設を整備することを求めています。都は、区とのこの約束を守らなければなりません。

 しかし、豊洲からわずか二キロの築地に、競合、類似する食のテーマパークを設置することを都が否定しないことに対し、運営事業者の万葉倶楽部が疑心暗鬼になっています。

 また、千客万来施設の整備の見通しを都が示していないことに、区は不満を募らせています。このことが開場日がなかなか決まらない状況をつくり出してしまったことは記憶に新しいところです。

 このような中で、昨年十二月十八日には、長谷川副知事が区長と区議会議長に約束を果たせていないことを謝罪し、開場日決定後になって、ようやく小池知事は区長を訪れ、今後の協力を仰ぎました。

 そこで、江東区や万葉倶楽部に対し、都はその不信感を払拭する必要がありますが、区との約束でもある千客万来施設の速やかな開業に向け、今後どのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。

答弁2
中央卸売市場長
 千客万来施設についてでございますが、千客万来施設事業は、江東区から豊洲市場を受け入れる際に示された条件の一つでございまして、豊洲ならではの活気やにぎわいを生み出すために必要な事業でございます。

 都はこれまでも、事業者に対し、双方で締結した基本協定にのっとって事業が進捗するよう丁寧に対応してまいりました。

 例えば、千客万来施設の最優先の整備に向けて取り組むことや、築地再開発について民間からの提案を募集する際には、先行する千客万来施設事業のコンセプトとの両立や相乗効果が図れるよう十分配慮することなどを説明し、理解を求めてきたところでございます。

 今後も、事業者から事業実施の確約が得られるよう取り組むとともに、江東区への説明をきめ細かく行うなど、誠実に対応してまいります。

質問3
 先月十七日、知事が築地で市場業界団体と意見交換した際に、豊洲移転後の築地に市場はつくらないと発言したとの報道に接しました。

 昨年六月、知事は、築地残留派と豊洲移転派の双方を取り込む、築地を守る、豊洲は生かすとの玉虫色の基本方針を発表しましたが、半年たってようやく現実を直視するに至ったようです。

 そもそも、市場法や市場機能の関係から、築地跡地に卸売市場を設置することは困難なので、ここに来て知事の発言により、築地跡地に卸売市場が設置される可能性が排除されたと市場関係者も安堵していると聞きました。

 同様に我々も、築地市場の跡地に卸売市場をつくらないとの方針を知事は示したと理解しておりますが、今後の築地再開発の方向性について、知事の見解を伺います。

答弁3
知事
 築地再開発についてのご質問でございます。

 豊洲市場を継続的に中央卸売市場として運営をする、そして日本の中核市場として育てていくということは、これはかねてから申し上げてきたことでございます。

 私の発言は、こうした方針を踏まえまして、築地市場の跡地に都が中央卸売市場を改めて設置をすることはないという旨を申し上げたものでございます。

 築地再開発検討会議におきまして、築地のポテンシャルを生かし、東京の魅力をさらに高めて、持続的な成長につなげていく観点から、自由な発想で幅広いご意見をいただいているところでございます。

 これまで、まちづくりにおいて重視すべきこと、考慮すべき条件、進め方などについて、多面的なご意見をいただいているところでございます。

 また、これもかねてより申し上げているところでございますが、まずは豊洲市場への移転を円滑に行い、豊洲市場での事業が軌道に乗るよう、全力で取り組んでいくことでございます。

 そして、築地につきましては、民間の知恵を生かし、将来の東京にとって重要な役割を担う新たなまちづくりにつなげていきたいということを繰り返し申し上げているところでございます。

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都市整備

質問1
 東京の活発な都市活動と豊かで快適な都民生活を支える鉄道は、基幹的で重要な交通インフラです。世界で一番の都市東京を実現するためには、国際競争力の強化や多摩地域の新たな発展など、将来の都市像を見据えて、鉄道ネットワークの整備を戦略的に進めていくことが重要です。

 都は、国の答申において、事業化に向けた検討などを進めるべきとされた六路線について検討を深めるとともに、事業の財源を確保するための基金を創設するとしています。

 こうした取り組みによって、今後どのように鉄道ネットワークの取り組みを加速していくのか、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 鉄道ネットワークについてでございます。

 東京は、これまで世界に類を見ない高密度で安全な鉄道網を構築し、世界有数の大都市へと発展してきたことは、ご指摘のとおりでございます。人や物の交流を活性化し、将来にわたり東京が持続的に発展するためには、東京の強みである鉄道網のさらなる充実は不可欠でございます。

 都はこれまで、国の答申におきまして、事業化に向けて検討などを進めるべきとされました六路線を中心として、鉄道事業者などの関係者と連携をいたしまして、事業費の精査、採算性などの課題などにつきまして検討を行ってまいりました。

 そして来年度は、調査費を増額いたしまして、具体化のための検討を深めてまいります。あわせて、新たに基金を設置することで、鉄道新線整備に対します都の取り組み姿勢を明確に示し、関係者との協議、調整を加速してまいります。

 こうした取り組みで、鉄道ネットワークのさらなる充実を図ってまいります。

質問2
 また、都市計画道路も人や物の円滑な移動を支える重要な都市施設であり、骨格幹線道路や特定整備路線など、高い整備効果が期待される都市計画道路は、早期整備が必須となっています。第四次事業化計画の優先整備路線の整備を推進することにより、二〇四〇年代には都市計画道路の約八割が完成する時代を迎えますが、残る二割の計画は、完成までなお時間を要し、都市計画制限の長期化などが懸念されています。

 都と特別区、二十六市二町は、協働でこうした優先整備路線以外の未着手の都市計画道路のあり方について検討していると聞きますが、検討状況について伺います。

答弁2
東京都技監
 都市計画道路のあり方についてでございます。

 都市計画道路を計画的かつ効率的に整備するため、これまで都は、事業化計画を策定し、優先的に整備に取り組む路線を示す一方で、廃止や縮小など、適宜計画の見直しを行ってまいりました。

 加えて、今年度からは、優先整備路線を除く未着手の都市計画道路のあり方について、区市町と協働で検討を開始しておりまして、必要な交通機能等が既に確保された道路の拡幅や立体交差計画の必要性など、検証の視点について整理を進めてございます。

 その内容を来年度早期に中間のまとめとして公表し、都民の意見を聞いた上で、個々の路線を対象とした検証を実施して、来年度末を目途に計画変更等の対応方針を示してまいります。

質問3
 昨年十月に発表された世界の都市総合力ランキングで、東京は二年連続の三位となり、二位のニューヨークに迫る結果となっています。今後、東京が世界の都市間競争を勝ち抜き、一番の都市となるためには、都市などにおける拠点機能の充実強化を図り、経済活動の活性化を促す取り組みも必要です。

 現在、都内では、品川駅、渋谷駅周辺、虎ノ門地区など都市開発が盛んに行われているほか、メガターミナルである新宿駅や池袋駅周辺でも、都市の再編に向け動き出しています。

 これらの拠点機能の向上を図り、東京の成長を支えていくためには、その整備に合わせ、渋滞の解消や防災性の向上など、さまざまな効果のある道路を整備していくことが重要ですが、今後の取り組みを伺います。

答弁3
建設局長
 東京の成長を支える道路整備についてでございますが、多様な都市機能が高度に集積した首都東京のポテンシャルを最大限に引き出し、国際競争力の強化を図るため、鉄道駅等を中心とした拠点の整備に合わせまして、その効果を一層高める道路整備を進めることは極めて重要でございます。

 このため、池袋、新宿、渋谷をつなぎます環状第五の一号線や国際ビジネス拠点として整備が進みます虎ノ門周辺の放射第二一号線につきましては、自動車交通の円滑化を図りますとともに、ゆとりある歩行者空間を形成してまいります。

 また、品川駅周辺で鉄道に隔てられた東西のまちをつなぐ新たな軸となります環状第四号線につきましては、事業化に向けまして、環境影響評価手続などを着実に進めてまいります。

 今後とも、東京の持続的な発展を支え、活力あるまちづくりに寄与する道路整備を積極的に推進してまいります。

質問4
 現在、大手町や虎ノ門地区、渋谷駅周辺などでは、国際ビジネス拠点としての整備も進んでいます。訪日外国人の約四割が訪れ、世界一の乗降客数を誇る新宿については、高度経済成長期に建設された鉄道各社の駅ビルが更新期を迎えており、名実ともに世界一のターミナルにつくりかえる絶好の機会が訪れています。

 このような状況の中、先月、新宿の拠点再整備方針の案が示されました。この方針案は、駅とその周辺の駅ビルを大幅につくりかえる、まさに新宿駅の大改造計画というべき内容であり、新宿全体の機能更新の契機になるものと期待しています。

 この大改造計画の実現に向けて、今後、都はどのように取り組んでいくのか伺います。

答弁4
東京都技監
 新宿駅周辺の再整備についてでございます。

 新宿は、駅を中心に業務、商業、観光など、多様な機能が集積する中核的な拠点であり、その相乗効果が高まるよう、時代に応じた機能更新を図ることが重要でございます。

 都は先月、新宿区とともに、先行して再整備に取り組む新宿駅直近地区について、整備方針の案を公表してございます。

 具体的には、線路上空に歩行者デッキを新設し、東西のまちをつなぐとともに、駅前広場を歩行者優先につくりかえ、隣接する駅ビルなども、これらの施設と一体的に更新して、新たな観光支援や産業振興などの機能も導入をいたします。

 年度内に都民の意見も踏まえて整備方針を策定し、関係者と事業化に向けた調整を進めてまいります。

 将来を見据え、誰もが利用しやすい機能的なターミナルへの再編に取り組み、その効果を周辺に波及させて、新宿の拠点性を高めてまいります。

質問5
 東京港は、国内最多の外貿コンテナ貨物取扱個数を誇る我が国屈指の国際貿易港として、首都圏、ひいては東日本の生活と産業を支える重要な役割を果たしています。

 しかし、施設能力を超えた貨物の集中によって深刻な交通混雑が発生しているとともに、世界的に進展しているコンテナ船の大型化への対応も求められているなど、東京港の機能強化は喫緊の課題となっています。

 また、これからの東京港には、世界中からのクルーズ客船の受け入れや、水辺の魅力の発信など、国際観光都市東京の発展を支える重要な役割も求められています。

 現在、都は、中央防波堤外側に新たなコンテナふ頭の整備を進めてはいますが、これはコンテナふ頭だけでなく、東京港全体を俯瞰し機能配置を見直す、いわばラストチャンスでもあり、都は長期的な視点からの戦略をしっかりと持って、東京港の機能強化に取り組む必要があります。

 都心に近く、港湾エリアが狭隘である東京港において、東日本を支える物流拠点としての機能と国際観光都市東京の海の玄関口としての機能をそれぞれ両立、強化させるためには、二十年、三十年後を見据えた戦略的な取り組みが不可欠であると考えますが、所見を伺います。

答弁5
港湾局長
 東京港の機能強化についてでございますが、東京港は東日本を支える物流拠点として、また、首都東京の海の玄関口として極めて重要な役割を担っております。

 市街地に近接し、エリアの拡大が極めて困難な東京港におきまして、その機能を最大限に発揮させますためには、新たな港湾施設の整備に加え、道路網の整備や、ふ頭背後地の高度利用、既存施設の移転、再配置等に長期的な視点から取り組んでいく必要がございます。

 今後、現在進めております第八次改訂港湾計画に基づくさまざまな施策に加え、港湾関係事業者等のご意見も踏まえながら、東京港全体における機能配置の見直し等、将来を見据えた施策の検討にも着手し、世界に誇る都市型総合港湾の実現に向け、全力で取り組んでまいります。

質問6
 そして、二〇二〇年東京大会を契機に、水の都の魅力を世界にアピールしていくことも重要です。そのためには舟運の活性化を図り、にぎわいあふれる水辺を創出していくことが必要です。

 そうした中、都は、昨年度から運航に関する社会実験を実施しました。この社会実験で得られた成果と今後の取り組みについて伺います。

答弁6
東京都技監
 舟運の社会実験についてでございます。

 都は、舟運の活性化に向けた社会実験として、共通の予約システムを構築した上で、二年間、民間事業者と連携して、羽田や臨海部、日本橋などを結ぶ複数の航路で運航を実施いたしました。

 その結果、利用者の多い区間が明らかになる一方、認知度の低さや船着き場のわかりにくさなどの課題を把握してございます。来年度は、需要を確認できた航路で、民間による定期的な運航が開始される予定でございます。

 都は、動画によるPRや、イベントと連携した臨時便などによって、舟運のさらなる周知を図るとともに、船着き場への案内サインの試験設置を拡大するなど、利便性を高めてまいります。東京二〇二〇大会、さらにその先に向けて、舟運が身近な観光交通手段として定着するよう取り組みを進めてまいります。

質問7
 都市の重要なインフラの一つである都立公園は、防災性の向上、良好な景観の形成、安らぎやレクリエーションの場の提供、豊かな地域づくりに資する交流空間など、多様な機能を担っています。

 一方、都立公園では、指定管理者制度導入や民間事業者によるレストラン、カフェの設置などが進められ、二十九年度には東京都公園審議会答申や都市公園法の改正などにより、都市公園における民間事業者活用の環境が整いつつあります。民間事業者を活用するにしても、都立公園は公の施設として本来果たすべき役割を果たした上で、サービスのさらなる向上や政策実現を目的とした真に公共福祉の増進に寄与する施設にならなくてはなりません。

 こうしたことを踏まえて、都立公園の魅力向上に向け、民間事業者の活用に当たっての都の見解と、今後の具体的な取り組みについて伺います。

答弁7
建設局長
 都立公園の魅力向上に向けた民間の活用についてでございますが、東京都公園審議会の答申におきまして、公園における民間事業者の活用に当たりましては、防災性の向上や緑の保全など、公園の機能を確保して進めることが重要であるとされております。

 こうした機能を確保した上で、平成二十九年三月に、駒沢オリンピック公園で民間のアイデアやノウハウを活用したレストランを設置し、にぎわいを創出いたしました。

 また、来年度、事業者公募を予定しております木場公園では、飲食店を中心に周辺の広場の一部も活用いたしまして、多様な人々を引きつける場を創出することで、公園が本来持つ憩いやレクリエーションなどの機能をさらに高めてまいります。

 引き続き、公園の本来機能を確保した上で、民間を活用した、その魅力向上に取り組んでまいります。

質問8
 次に、水道事業について伺います。

 現在、国では水道法の改正を検討していますが、施設の老朽化、災害による被害の多発など、水道事業は多くの課題に直面し、地方の小規模な自治体ほど状況が深刻であることから、法改正により事業基盤の強化を図ることとしており、その具体的方策として、広域連携やコンセッション、PFIを初めとした官民連携の推進などが掲げられています。

 都営水道は早くから広域化を進めており、水源から浄水場、送水管などのネットワークで構成され、その運営については、民間企業や監理団体を積極的に活用するなど、以前から水道の基盤を強化しているところです。

 一方、海外に目を転じれば、既にコンセッションを導入している都市で再び公営事業に戻す事例も数多く発生しています。水道は生命にかかわる重要なライフラインであり、水道事業を民間に任せることに住民の根強い不安がある上、日本の首都たる東京の水道のかじ取りを民間に委ねることは、国家の安全保障の面からも疑問があります。

 そこで、コンセッションを含めた官民連携について見解を伺います。

答弁8
水道局長
 水道事業における官民連携についてでございますが、これまで当局では、公営企業の効率的経営の観点から、民間委託の積極的な拡大や監理団体との連携強化、PFI導入といった取り組みを先駆的に実施してまいりました。

 一方、東京の水道は、二十四時間三百六十五日の安定供給を通じて、都民生活と首都機能を支える極めて重要な基幹ライフラインでございます。

 お話のコンセッションは水道法で改正を予定している官民連携手法の一つで、事業の全部または一部の運営権を民間に譲渡する仕組みであり、現在、水道事業において国内で導入した例はございません。

 今後、法改正の動向を注視するとともに、都の水道の官民連携につきましても、その事業の性格や都市機能としての役割を十分に踏まえ、適切に対応してまいります。

質問9
 一般的にコンセッションは、二十年から三十年間という期間を設定して契約が結ばれます。しかし、浄水場の更新サイクルは半世紀を優に超える大事業であり、事業運営において見据えるべき期間は、一般的なコンセッションの期間をはるかに超えたものです。

 さらに、水道システムは、浄水場や管路が有機的に連携することで災害時の耐性を高めており、現在進めている耐震継ぎ手化に着実に取り組むことを初め、水道の基盤強化の取り組みは、公の責務として災害への備えなどを含め、計画的に進めることが肝要です。

 そこで、都市のマネジメントに直結する施設整備の今後の取り組みについて伺います。

答弁9
水道局長
 水道施設整備の今後の取り組みについてでございますが、首都を支える東京の水道におきましては、切迫性が指摘される首都直下地震や施設の老朽化への対応など、取り組むべき重要課題が山積しております。

 このため、現在、管路の耐震継ぎ手化につきましては、首都中枢機関など重要施設への供給ルートを優先に取り組んでおりますが、その後は、震災時に被害が大きいと想定される地域に重点を置いて着実に推進してまいります。

 一方、浄水場等の基幹施設につきましては、予防保全型管理を進め、施設の長寿命化を図るなど、人口動向等も踏まえながら適切に更新を進めてまいります。

 こうした総合的な取り組みを通じて、水道システム全体の強靱性を高め、今後とも将来を見据え、首都東京の安定給水の確保に努めてまいります。

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防災

質問1
 首都直下地震などの大規模災害発生時には、全国から進出する自衛隊などの応援部隊の効率的な応急対策活動の展開が必要となります。

 都はこれまで、首都直下地震など、対処要領の改定や緊急輸送ルート確保の取り組みを通じ、救出救助機関の受け入れ体制などを整備してきました。

 そして、熊本地震では、全国の自治体から延べ十万人を超える職員等が応援に駆けつけ、被災地支援活動が展開されました。

 この熊本地震などの被災地支援活動の経験から、東京が被災地となったときに、全国の自治体や関係機関などから応援を円滑に受け入れるためには、あらかじめ受援応援体制を構築しておくことの重要性が再認識され、都は本年一月、東京都災害時受援応援計画を策定しました。

 そして、熊本地震の被災市町村では初動調整が混乱し、応援要請におくれが生じるなど、市町村における受援体制に課題があったのも事実です。

 そこで、都内区市町村も含め、受援応援計画の実効性を高めていくための取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。

答弁1
総務局長
 災害時の受援応援計画の策定についてですが、首都直下地震等の大規模災害発生時の膨大な行政ニーズに対処するためには、都のみならず、区市町村も含めた受援応援体制を有効に機能させていくことが重要でございます。

 このため、都は、熊本地震の教訓等を踏まえ、全国の自治体からの応援受け入れに関する具体的な手順やルール等を整備した受援応援計画を本年一月に策定いたしました。

 一方、避難所運営や物資の仕分け等、多くの災害対応業務を有する区市町村では、応援職員の受け入れや応援団体との役割分担などの整理が十分に進んでいないなど、受援体制の整備が課題となっております。

 今後、訓練等を通じて本計画の検証を行い、その実効性を高めるとともに、区市町村の計画策定を支援していくことで、都全体の受援応援体制を一層強化してまいります。

質問2
 東京を初めとする首都圏の災害時における安全性を高めるためには、広域的な道路ネットワーク形成が重要であり、都県境の道路や橋梁の整備は、大規模災害時に避難や救援活動などを行うために必要不可欠です。

 中でも千葉県境の江戸川では、約八キロメートルも橋梁間隔が離れている区間があり、東日本大震災のときには、都内から千葉県に歩いて帰ろうとする人たちが市川橋や浦安橋などの限られた都県境の橋に集中し、大混乱を来したのです。

 また、国土交通省が平成二十八年五月に公表した荒川の洪水浸水想定区域図では、東部低地帯において甚大な被害が予測されており、平成二十九年七月の九州北部豪雨の発生なども踏まえ、この地域における避難経路の確保は喫緊の課題となっています。

 都県を超えた人や物の流れを確保し、大規模災害から都民の命を救うため、千葉県境の江戸川の橋梁整備は大変重要です。

 都では現在、橋梁間隔の離れている区間に補助第一四三号及び補助第二八六号の二路線を優先整備路線として計画していますが、これらの路線の今後の取り組みについて伺います。

答弁2
建設局長
 千葉県境の江戸川の橋梁整備についてでございますが、約三百万人の都民が生活する東部低地帯では、洪水等の災害時のリダンダンシーを確保し、避難や緊急物資輸送等を確実に行うため、新たな橋梁整備が不可欠でございます。

 このうち、用地取得が比較的少なく、早期着手が可能な補助第一四三号線につきましては、来年度から橋梁構造等の検討を進めるなど、早期の事業化を目指してまいります。

 また、防災拠点の篠崎公園と千葉県の大洲防災公園とを結びます補助第二八六号線につきましては、スーパー堤防等、他事業との整合性につきまして、関係機関との調整を進めてまいります。

 引き続き、共同事業者として千葉県の協力が得られますよう地元区と働きかけますとともに、県との調整会議等におきまして協議を加速し、広域的な防災性の向上に寄与いたします橋梁の整備に向けまして、全力で取り組んでまいります。

質問3
 無人航空機、いわゆるドローンは、空の産業革命ともいわれる新たな可能性を有する技術であり、その技術は日々進歩し、農業や物流など多様な分野におけるビジネスにも急速に展開しつつあります。

 また、技術が成熟し、実用化が進むことで汎用機が生産されるようになり、販売価格が下がってきた結果、一般的にも導入しやすい環境が生まれてきています。今や少なくない数の都民、国民の皆さんがドローンを保有するようになっています。

 一方で、都心部などの人口密集地域や特定の地域の飛行を許可制にしているにもかかわらず、一部の方のルールを無視した運用により事故なども生じ、無人航空機は危険物のような捉え方をされています。

 しかし、平時はともかく、大規模災害時などにこれほど有用な道具はありません。私たちの目線、すなわち平面だけではなく、上空から近隣の被害状況がわかればどうでしょうか。ヘリコプターを待たずに、ヘリコプターより詳細に、より詳しい被害状況がわかるようになります。例えば、高層マンションの被害状況もわかるようになるんだと思います。結果として、より多くの人の命を救えることになります。

 そこで、大規模地震などの災害発生時における防災力向上に向けて、ドローンを活用していくべきと考えますが、所見を伺います。

答弁3
総務局長
 災害時における無人航空機、いわゆるドローンの活用についてですが、無人航空機は、ヘリコプター等の有人航空機に比べ、航続時間や距離に限りがあるなど、広域的な災害対応には課題もございますが、離着陸のためのスペースが小さく、狭隘な場所での飛行が可能であるなどの特性がございます。

 この特性を生かし、一部の区市町村において、地域内の被災状況の収集等を目的に、防災訓練での活用を進めるとともに、無人航空機を所有する民間事業者との間で、災害時支援協定を締結するなどの取り組みが行われております。

 都においては、本年度から、市や町と合同総合防災訓練において、無人航空機を活用し、地域での情報収集を行ったところですが、来年度以降、区市町村との合同により、多様な訓練を実施していくことで、地域の災害対応力の向上を促進してまいります。

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産業施策

質問1
 第四回定例会における我が党の代表質問では、政策企画局に対して、全国との共存共栄の取り組みについて有言実行を果たしてほしいと質問しました。

 局長からは、全庁的な視点で政策を推進する立場から、残された道府県を訪問し、東京と地方がともに栄える真の地方創生につながる関係を深化させていくとの答弁をいただいたところです。

 二〇二〇年東京大会が近づく中、全国の二万四千社が登録しているビジネスチャンス・ナビは、地方創生の観点からも極めて有効なツールです。

 地方創生を推進し、地方との共存共栄を図るという観点から、全庁の取りまとめを行う政策企画局においても、このビジネスチャンス・ナビの活用を一層進めていくべきと考えますが、所見を伺います。

答弁1
政策企画局長
 ビジネスチャンス・ナビの推進についてでございますが、全国との共存共栄に向け、他の道府県との関係を深めていくため、昨年末から、副知事や私も含めた理事級により、各道府県への訪問を再開いたしました。

 訪問先では、地方創生に資する都の取り組みについて改めて紹介するとともに、東京二〇二〇大会に向けた機運の醸成、税財源や大学の定員抑制をめぐる問題などにつきまして、率直な意見交換を実施しております。

 とりわけ、ビジネスチャンス・ナビについては、その有用性について積極的に説明を行い、訪問先の道府県内中小企業等への再度の周知をお願いしているところでございます。

 また、庁内横断的な立場から、産業労働局とも連携し、改めてその活用について各局に周知を図ってまいります。

 こうした取り組みを継続することで、東京も地方もともに栄える真の地方創生をさらに推進してまいります。

質問2
 あわせて、東京の経済活動を支える都内中小企業の経済活動を支援する観点からも、東京大会の先も見据え、中小企業による利用促進を加速していく必要があると考えています。

 今後も、より多くの受注を確保できるよう、その機能を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

答弁2
産業労働局長
 ビジネスチャンス・ナビの機能強化についてでございますが、都内の中小企業が東京二〇二〇大会関連の案件を含め、数多くのビジネスの機会を確保するためには、本サイトの持つ受発注の機能を高めていく必要がございます。

 これまで都は、東京二〇二〇大会組織委員会からの発注に関し、本サイトを通じ、電子入札の仕組み等も整えるとともに、中小企業の利用の促進を図ってまいりました。

 来年度は、中小企業同士による受発注の機能について充実を図り、ビジネスをより効果的に支援いたします。

 具体的には、サイトに登録した中小企業の商品を確認しながら、会社間で取引の交渉をシステム上で可能とする仕組みを導入いたしますほか、中小企業の発注内容をサイトからSNSを用い、幅広く発信できるようにいたします。

 また、監理団体からの仕事を受注できる機能の充実も図り、中小企業の事業の展開を後押ししてまいります。

質問3
 来るべき本格的な人口減社会において、百二十兆円の都内GDPを稼ぎ出すためには、産業の基盤たる中小企業の生産性を抜本的に高めることが不可欠です。特に省力化や品質向上につながる設備の導入は、人手不足への対応や収益力の強化に威力を発揮します。

 我が国の成長を牽引すべきここ東京において、設備投資の活性化を図ることは、経済の好循環を実現する上でも極めて重要であり、業種を問わず積極的にこれを進めていかなければなりません。

 しかし、経営資源の乏しい中小企業は、例えば先端技術を活用した設備を導入するにしても、資金も、また使いこなすためのノウハウも不足しているのが実情であります。

 企業一社一社が最も効率的に設備を導入できるよう、一層の後押しが必要と考えますが、都の新年度の取り組みについて伺います。

答弁3
産業労働局長
 都内中小企業の生産性向上の支援についてでございますが、東京の産業の基盤を支える個々の中小企業が設備の導入等により、生産活動やサービス提供の力を高めることは重要でございます。

 これまで都は、中小企業が競争力の確保や成長分野での事業展開を目指し、設備を導入する経費への助成を行ってまいりました。来年度には、生産性の向上のためのロボット等の設備を導入する場合の支援も開始いたします。

 また、生産性向上の具体的な行動につなげるセミナーを開きますほか、経営者等から設備投資による効率化の成功事例を個々の中小企業が直接聞く機会を提供してまいります。

 さらに、サービス業で利用客のニーズに関するデータを事業者自身が分析し、機器等の導入を的確に判断できるよう助言し、生産性の向上を後押ししてまいります。

質問4
 中小企業経営者の高齢化が進み、二〇二〇年には多くが七十代に達するといわれています。経営を次の世代にどう引き継ぐかは、もはや企業個別の問題ではなく、我が国経済の持続可能性にかかわる問題というべきであります。

 国も株式贈与などに伴う税負担を実質ゼロとするなど、事業承継を促す大胆な税制優遇を行う予定としています。

 一方で、円滑な世代交代には後進の育成や経営の再構築など数多くの課題があり、これらを入念な準備をもって一つずつ克服することが不可欠です。

 今般の税制改正を実効あらしめるためにも、事業承継を目指す企業の取り組みを具体的に進めることが重要であります。

 都は、こうした中小企業の実態を踏まえ、さまざまな角度から質、量両面にわたり施策を強化すべきと考えますが、見解を伺います。

答弁4
産業労働局長
 中小企業の事業承継に向けた支援についてでございますが、事業承継を円滑に実施する必要性が高まります中、すぐれた技術やサービス提供の力のある中小企業を新たな世代に引き継ぐ支援をより効果的に展開することが重要となっております。

 このため、都は、会社を巡回し、事業承継のノウハウを提供するに当たり、民間の企業情報を活用し、承継が必要な会社を見きわめ、相談対応をより的確に行ってまいります。

 また、専門家が計画づくりや、その実現をサポートする取り組みを充実いたしますほか、会社の合併による事業の承継への支援も開始いたします。

 さらに、多摩エリアでは、地域の商工団体と協力し、相談拠点をふやすとともに、将来の承継に向け、早期に準備を始める企業の取り組みへの助成を実施いたします。

 加えて、制度融資の充実や、新たにファンドの手法を活用することなどにより、金融面からも着実に後押ししてまいります。

質問5
 都市の中で農業生産の場となっている生産緑地の多くが、二〇二二年には指定後三十年を迎え、農業者からの農地買い取りの申し出が急増することが懸念されています。

 このような状況の中、都議会自民党の強い働きかけにより、国は昨年、生産緑地法を改正し、買い取り申し出の開始時期を十年延長する特定生産緑地制度の創設や、指定下限面積の緩和などを実現しました。

 また、今通常国会においては、農業者が安心して生産緑地を貸し付けできる新法の制定が予定されており、貸し付けされた生産緑地については、相続税納税猶予の適用が平成三十年度税制改正大綱に明記されています。

 今後は、小規模な都市農地のさらなる活用や、農地の借り入れによる経営規模の拡大など、意欲ある農業者の新たな事業展開が見込まれます。

 農地は、農業者が耕して農産物を生産して初めて機能が発揮されるものです。都市計画の中でただ単に緑地として位置づけ、維持すればよいのではなく、農業者が耕作する農地としてどう残し、どう活用していくのかが重要になってきます。

 都は、こうした農地保全の意義や都市農地をめぐる制度改正の内容を農業者にしっかりと周知するとともに、東京農業の持続的発展に向けた振興施策のさらなる充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。

答弁5
産業労働局長
 国の制度改正を踏まえた農業振興についてでございますが、都市農地に関する制度改正を機に、経営規模の拡大や収益力の向上など、農業者の意欲的な取り組みを引き出し支援していくことは、農業振興を図る上で重要でございます。

 このため、都は、制度改正の説明会を区市町やJAと協力して開催し、税制度や農地の具体的な活用事例等もあわせてきめ細かく周知してまいります。

 また、規模の拡大等を図る意欲ある農業者に対し、生産施設等の整備への支援を強化いたしますとともに、所有する宅地を農地に転換する取り組みへの支援を新たに開始いたします。

 加えて、ICTの活用により、栽培環境を自動制御し、生産性を高める施設の現地実証を行い、その普及を促すなど、収益力の向上を図ってまいります。

 これらにより、農業者の経営力強化を図り、農地の活用を活性化させ、持続可能な東京農業を実現してまいります。

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子育て、医療

質問1
 待機児童対策は、大都市東京の課題として、これまで我が党も施設の整備だけでなく、人材確保や区市町村支援など、率先して取り組んできたところですが、今回知事が打ち出したベビーシッター利用支援事業について、都民の中にはさまざまな疑問を感じている方々もいます。

 また、子育て中の女性の中には、ベビーシッターを利用したいのだけれど、不安があって踏みとどまってしまう方も大勢いらっしゃると聞きます。

 そういったお母さんとしての声は、私もわかるような気がいたします。ほんの数年前、同じような悩みを持ったからです。

 お金は一体幾らかかるのだろうから始まって、どういう人が来るのだろう、長時間子供と二人きりになって大丈夫なのだろうか、子育ての考え方の違いが子供に影響することはないのか、誰もいない家の中に招き入れるのは少し抵抗がある、そもそも狭くて汚いおうちに招き入れていいのか等々、我が子がかわいいがゆえに、不安は枚挙にいとまがありませんでした。

 もちろん、ベビーシッターの皆さんは、子供好きのよい方ばかりだとは思いますが、そもそもベビーシッターという文化が他国と比べて日本には根づいていませんし、不安に思うのは当然だと思います。

 この事業を待機児童対策の新たな受け皿とするには、まず、ベビーシッターのあり方や制度について、しっかりと議論をする必要があるのではないのでしょうか。

 また、ベビーシッターの人材を確保するために無理をすれば、当然、保育の質の低下につながる懸念もあります。

 保育の現場を預かる自治体からも、モデル事業で検証することもせず、保育の質が担保されたベビーシッターの供給も定かでない状況で、五十億円もの新規予算が提案されたことに違和感を覚えるとの声が届いています。

 保育の考え方が福祉からサービスへと拡大する中で、大都市における待機児童対策については、施設整備や人材確保だけでなく、企業に協力を求める働き方改革など、さまざまな観点からの支援策を総合的に展開することが重要です。

 ただ単に数字の上で待機児童数が解消できれば、どのような方法でもよいというものでもないと思います。

 都はどのようにしてベビーシッターの質と保育の安全を確保し、予算額として算定した五十億円という事業規模に見合うベビーシッターを確保していく計画なのか、所見を伺います。

答弁1
福祉保健局長
 ベビーシッターの活用についてでありますが、平成二十九年四月現在、都内十四の区市が事業者を認可し、ベビーシッターを活用した保育を実施しており、都や区市は保育計画の策定や実践、発達、成長過程に応じた子供とのかかわり方などを盛り込んだ研修を実施しております。

 都が来年度から開始する認可外のベビーシッター利用支援事業では、保護者が安心して利用できるよう、認可型に準じた研修を実施いたしますとともに、事業者に対して、サービス内容の情報公開、苦情相談窓口の設置など、一定の要件を満たすことを求める予定でございます。

 また、都内の潜在保育士や、ベビーシッター事業者に登録している保育者を中心に、必要な人材の確保に取り組んでまいります。

質問2
 次に、在宅医療について伺います。

 高齢化の進展に伴い、疾病構造が変化し、治す医療から治し支える医療への転換が求められています。

 在宅医療は、高齢になっても、病気になっても、障害があっても、住みなれた地域で自分らしい生活を続けられるよう、入院医療や外来医療、介護、福祉サービスと相互に補完しながら患者の日常生活を支える医療であり、地域包括ケアシステムにとって不可欠な構成要素であると考えています。

 そして、高齢化に伴うがん患者の増加も含め、増大する在宅医療ニーズに対応するためには、在宅医療を担う在宅医を育成、確保し、在宅医療提供体制を整備することが喫緊の課題です。

 また、在宅医療の現場では、入院医療機関と連携した退院支援、患者の生活を支えるケアマネジャーなど、多職種との連携、急変時の対応、みとりの実施など、求められる医療機能は多岐にわたり、こうしたハードルの高さから、在宅医療への参入をためらう医師も多いと聞いています。

 在宅医療推進の実施体制は、一義的には住民に身近な区市町村ですが、医療資源の確保を初めとする在宅医療基盤の整備に当たっては、都が果たすべき役割も大きいのです。

 そこで、地域包括ケアシステムを支える在宅医療を担う医師の育成、確保について、都としても積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います

答弁2
福祉保健局長
 在宅医療を担う医師の育成、確保についてでありますが、都は現在、地域における在宅療養体制を確保するため、在宅療養患者を支える医療、介護にかかわる多職種の連携や、在宅でのみとりに関する研修等を実施しております。

 来年度からは、現在、訪問診療を行っていない医師を対象に在宅医療で求められる医師の役割や多職種との連携方法、訪問診療の実績がある医師の具体的な取り組み事例などについて、グループワーク等による研修を新たに実施し、医師の在宅医療への参入を促進してまいります。

 また、在宅医療における二十四時間対応の負担を軽減するため、複数の医師による主治医、副主治医制の導入などに取り組む区市町村を地域医療介護総合確保基金を活用して支援するなど、在宅医療を担う医師の育成、確保を進めてまいります。

質問3
 世界に類を見ないスピードで超高齢社会を迎える東京において、都民が住みなれた地域で安心して暮らせる医療提供体制の整備が急務となっています。

 都立病院は、引き続き民間医療機関のみでは対応が困難な医療など、行政的医療の提供を基本的役割とするとともに、二〇二五年の医療の姿を示す東京都地域医療構想の実現に向け、先導的な役割を果たしていくべきです。

 今後も、都民の生命と健康を守るためには、各病院が有する高度専門医療の強みに磨きをかけ、都民が真に求める医療を確実に、かつ効果的に提供していかなければなりません。

 こうした中、先般、外部の有識者から成る都立病院経営委員会の報告において、行政的医療の安定的な提供に加え、新たに地域医療の充実への貢献が求められています。また、経営形態として、地方独立行政法人がふさわしいとの提言もなされています。

 そこで、都としてこうした報告をどう受けとめているのか伺います。

答弁3
病院経営本部長
 都立病院経営委員会報告についてでございますが、今回の報告では、都立病院が周産期医療や救急医療など、行政的医療の中核を担うことが高く評価される一方で、新たな役割として、地域医療の充実への貢献が求められております。

 また、こうした役割を果たすため、より柔軟な経営形態である地方独立行政法人への移行に関する検討にも言及されているところでございます。

 高齢化の進展による医療需要の増加を見据え、地域医療構想が策定され、病院完結型から地域完結型への転換など、地域医療のあり方が変化する中、誰もが安心して医療を受けられる環境を確保していくための提言と受けとめております。

 都立病院が行政的医療の安定的かつ継続的な提供や、地域医療への新たな貢献など、その使命を将来にわたり果たすことが重要であり、これまで以上に効果的、効率的な運営を実現する必要があると認識しております。

 こうした委員会報告や都民の意見を踏まえ、すぐに反映できる取り組みは、年度内に策定する次期中期計画に盛り込むとともに、経営形態のあり方につきましては、病院現場の運営実態も踏まえ、今後、丁寧に検討してまいります。

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環境施策

質問1
 都は、環境確保条例に基づく土壌汚染対策制度を平成十三年に開始しました。その後、土壌汚染対策法が施行されたことで、都内では条例と法律の両方に基づく規制が行われています。条例と法律が両方該当する案件では、同じような書類をそれぞれ用意し、提出しなければならず、規制を受ける事業者にとっては二重の負担となっています。

 一方、法では、対策が不要となる土地でも、条例で封じ込めるなどの対策が必要となる場合があるなど、わかりづらい制度となっています。

 昨年五月、土壌汚染に関するリスク管理の推進を目的として、土壌汚染対策法が改正されました。

 この機会を捉えて、都においても適切に土壌汚染対策を行いながら、事業者の負担も軽減できるよう、関係者の意見を聞きながら、環境確保条例の見直しを進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

答弁1
環境局長
 土壌汚染対策制度の見直しについてでございますが、都は、環境確保条例に基づき、土壌汚染対策制度を国に先行して平成十三年に施行いたしましたが、その後、土壌汚染対策法が施行され、数次にわたり改正されてきており、法との関係を改めて整理する必要が生じております。

 このため、昨年十一月から、学識経験者等による検討委員会において、専門的見地から検討を進めております。

 具体的には、健康リスクの捉え方について、法と整合を図りつつ、地下水汚染の拡大を防ぐ対策の導入や、法と条例の両方が対象となる案件の手続の簡素化、都内の活発な土地取引を踏まえた土壌汚染情報の積極的な公開などが主な論点となっております。

 今後、検討会での議論と並行して、業界団体等の意見も聞きながら、条例改正に向けて取り組んでまいります。

質問2
 平成三十年は、江戸から東京への改称、東京府開設から百五十年の節目の年となります。

 江戸城の名残を残すお堀は、我が国最大規模の城郭を示す歴史遺産であり、都心の豊かな緑地や水辺空間、桜の名所として多くの人々に親しまれています。

 しかし、閉鎖性の公共用水域であるお堀は、土砂や腐敗した落ち葉の堆積、水量不足などにより、アオコや臭気が発生するなど水質が悪化しやすいのです。

 そして、合流式下水道からは、強い雨が降ると、まちを浸水から守るため、汚水まじりの雨水が公共用水域に放流されるのです。

 下水道局は、内堀から隅田川への放流先の切りかえによる水質改善と、首都中枢部の浸水被害の軽減を図るため、平成三年度から四半世紀もの建設期間と約四百億円もの総事業費をかけた大事業を完了させ、平成二十八年度より内堀への下水の流入を完全になくすことで、水質改善に大きく寄与しています。

 世界で一番の都市を目指す東京は、二〇二〇年東京大会開催都市として、世界中からお客様をお迎えするとともに、次世代に良好な都市環境を引き継ぐため、内堀だけでなく、外堀の水質改善も早急に進める必要があります。

 そこで、下水道事業における外堀の水質改善に向けた取り組みについて伺います。

答弁2
下水道局長
 下水道事業における外堀の水質改善に向けた取り組みについてでございますが、これまで、外堀にある十二カ所全てのはけ口に、ごみなどの流出を抑制するための水面制御装置を設置するとともに、降雨初期の特に汚れた下水の貯留を目的とした外堀の水質改善に必要な貯留量のうち、既に一千八百立方メートルの貯留管を稼働させております。

 現在、残りの一万四千八百立方メートルの貯留管を外堀通りの地下に新設する工事を進めております。

 事業効果を早期に発現させるため、外堀への放流量が最大であるはけ口から先行して取水することで、雨天時に下水道から外堀へ放流される汚濁負荷量を東京二〇二〇大会までに半減させてまいります。

 今後とも、外堀の水質改善に積極的に取り組んでまいります。

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治安対策、安全対策等

質問1
 高齢者を狙ったオレオレ詐欺などの特殊詐欺については、都、警視庁などの取り組みの効果もあり、被害額は減少傾向にありましたが、新たな手口が急増するなど、被害が多発しており、昨年は認知件数が九年ぶりに三千件を超え、被害額は七十九億円を超えています。

 都は、特殊詐欺の抑止に効果が期待できる自動通話録音機について、我が党の提案により、区市町村への補助事業を創設し、支援を実施しています。補助制度の開始当初は、区市町村の取り組みにも差があったと聞きますが、高齢者やその家族に大きな不安を与える特殊詐欺を根絶していくには、都が継続的に積極的な支援を行い、老人クラブなどの地域団体とも効果的に連携しながら、自動通話録音機を一層普及していくことが不可欠であると考えています。

 そこで、高齢者を特殊詐欺から守るため、自動通話録音機の設置促進に、より積極的に取り組んでいくべきと考えますが、今後の取り組みについて伺います。

答弁1
青少年・治安対策本部長
 自動通話録音機の設置促進についてでありますが、自動通話録音機は、使用している世帯での被害がほとんどなく、特殊詐欺の抑止効果は極めて高いことから、都民への普及拡大を図ることが重要と認識しております。

 都では、平成二十八年度に区市町村への自動通話録音機設置促進補助事業を開始し、今年度までに三十六区市町へ約一万九千台の設置補助を進めてまいりました。

 地域から自動通話録音機の設置要望がふえてきたことから、来年度は、補助台数を年間二万台に拡大し、自動通話録音機の設置をさらに推進するとともに、特殊詐欺根絶イベントなどの普及啓発にも効果的に取り組むことで、ハード、ソフト両面から特殊詐欺への対策を講じたいと考えております。

 今後とも、警視庁や区市町村、地域団体等と連携し、特殊詐欺から高齢者等を守る取り組みに全力を尽くしてまいります。

質問2
 まち中を大きなトラックで宣伝する、いわゆる広告宣伝車をご存じでしょうか。バスよりも長い車体を有し、ミュージシャンや水商売などのど派手な広告を掲げ、大音量で都内繁華街を中心に同じような箇所を何度も何度もゆっくりと走行するあの車です。

 歩行者や近隣の方にとって、あの移動する大音量は騒音でしかありません。車の運転手にとっては、いたずらに渋滞を招く元凶でしかありません。多くの都民が迷惑であると受けとめています。

 しかし、登録車であれば、都の屋外広告物条例に基づき、許可を得て走行することができます。都外登録車も、県や市の条例に基づいて手続をしていれば都内を走行できることになっています。

 今後、東京には海外からのお客様がますますふえると予想されています。都内中心部は、車両混雑も増加すると思われます。

 二〇二〇年東京大会を控え、このような広告宣伝車に対し、都はどのように対応していくのか伺います。

答弁2
東京都技監
 広告宣伝車についてでございます。

 自動車の車体広告物については、自動車登録された都道府県等の屋外広告物条例に、お話のように従うことになります。

 都内ナンバーの車については、都条例によって、運転者を幻惑させるおそれがある、発光し、または反射効果を有する広告物等を禁止してございます。

 また、デザインの質の確保を図るため、表示内容などに関して、公益社団法人東京屋外広告協会による自主審査を受けることを求めてございます。

 都内に数多く走行している都外ナンバーの広告宣伝車についても、同協会による自主審査を受けられる体制を整備しており、その活用に向け、リーフレットの作成、近隣県や関係事業者への協力要請などを行ってございます。

 今後も、良好な景観形成に向け、東京屋外広告協会とも連携し、事業者への普及啓発などに取り組んでまいります。

質問3
 駅のホームからの転落事故は依然として後を絶たず、ホームの安全対策は急務となっています。

 都営地下鉄において、ホームドアが整備された駅では転落事故がゼロとなっており、ホームドアの安全面での効果は非常に高いことは論をまちません。

 都営地下鉄では現在、三田線、大江戸線の六十五の駅でホームドアの整備が完了しており、新宿線についても、平成三十一年秋には全二十一駅でホームドアの整備が完了する予定と聞いております。

 残る浅草線については整備に向けた課題が多く、QRコードを用いた新技術も活用しながら、先行的に四駅のホームドアを整備することとしているとのことですが、都営地下鉄においてホーム事故をゼロとするためには、浅草線全駅へのホームドアの整備が不可欠であると考えます。

 そこで、浅草線のホームドア整備について、交通局の見解を伺います。

答弁3
交通局長
 浅草線のホームドア整備についてでございますが、浅草線では、他の路線とは異なり、お話のように、QRコードを活用し、車両の大規模改修を伴わない方式で、従来より幅が広いホームドアを整備することとしておりまして、東京二〇二〇大会までに、新橋、大門、三田及び泉岳寺の四駅に先行的に整備をしてまいります。

 この方式で全駅に整備を行うに当たりましては、乗務員が車両をホームドアの開く位置に正確に停止させること、また、幅広のホームドアの開閉に時間を要することにより所要時間が延びるなど、輸送面の課題がございます。また、ホームドアの重量を支えられるよう、ホームの補強もそれぞれ必要となってまいります。

 このため、先行四駅でのホームドア整備後の状況を踏まえつつ、これらの課題への対応を進め、平成三十五年度までに交通局が管理いたします全ての駅でのホームドア整備完了を目指してまいります。

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教育

質問1
 次に、都立高校改革について伺います。

 これまで都教育委員会は、チャレンジスクールなどの多様な学校づくりとともに、国際バカロレアのディプロマプログラムの実施など、さまざまな先進的な取り組みを進めています。

 一方で、第四次産業革命と称される飛躍的な情報技術の革新により、人工知能、いわゆるAIがみずから判断したり、あらゆるものの動きがインターネットにより最適化される時代の到来が見込まれており、今の子供たちが活躍する未来は、現在社会とは大きく異なることと考えられます。

 しかし、未来がどのようになるとしても、子供たちに社会を生き抜く力を身につけさせることが学校教育の目的であり、責任であることに変わりはありません。

 AI時代の到来ともいわれる現在において、都立高校がその責任を果たすためには、教員を含めて、都立高校がこれまでの枠組みにとらわれることなく、社会の変化に対応していくことが重要と考えますが、今後、都立高校改革にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

答弁1
教育長
 都立高校改革についてでございますが、これからの情報社会では、変化を柔軟に受けとめ、主体的に社会に参画し、新しい価値を創造する力を子供たちに育成することが重要でございます。そのためには、都立高校が社会の変化を前向きに捉え、新しい時代に速やかに対応していく必要がございます。

 このため、都教育委員会は、生徒や教員が使いやすく、日常的に活用できるICT環境を整備し、個別学習を含めた授業改善や、効果的、効率的な成績処理等を行う先駆的な学校運営の実現に向けた検討を行ってまいります。

 今後、来年度策定する都立高校改革推進計画の次期実施計画においては、こうしたことも含めて新しい時代の学校のあり方を追求し、都民の期待に応える、魅力ある都立高校づくりに、引き続き取り組んでまいります。

質問2
 次に、オリンピック・パラリンピック教育について伺います。

 世界をリードするグローバル都市として発展している東京では、海外から多くの人が日本を訪れ、また居住しており、外国人を身近に感じることが日常化しています。

 そのため、我が党はこれまで、子供たちに他国を尊重し、世界の多様性を受け入れる態度を育成する重要性を提言してまいりました。

 これを受け、都教育委員会では、現在、都内全公立学校で実施されているオリンピック・パラリンピック教育の中で豊かな国際感覚を醸成することを目的とした、世界ともだちプロジェクトを推進しています。

 このプロジェクトは、一九九八年、長野大会の一校一国運動を発展させ、大会に参加する国や地域のうちから五カ国を学校が選び、歴史や文化などについて学ぶという取り組みと聞いています。

 こうした学習では、単に知識を広げるだけではなく、さまざまな価値観を尊重する態度などを育成するために、外国人の方とじかに交流を図ることが極めて効果的であると考えます。

 そこで、各学校が海外の学校や大使館などと直接的な交流をより一層推進できるよう、都教育委員会として支援するべきと考えますが、見解を伺います。

答弁2
教育長
 学校における国際交流の一層の推進についてでございますが、子供たちが外国人と直接交流することは、その国の言語や文化等を体感でき、多様な価値観を尊重する態度等を育む絶好の機会であります。

 その一方で、学校が独自に交流先を開拓し、連絡調整することには大きな負担がございます。

 このため、都教育委員会は、これまで六つの国や地域と教育に関する覚書を締結するとともに、四十三カ国の在京大使館等から協力を得るなどして、学校における国際交流を支援してまいりました。

 今後、都教育委員会は、さらに多くの子供たちが外国人と直接交流できるよう、在京大使館との連絡調整や海外の学校との交流の場の設定などといった業務を専門的に運営する仕組みを新たに構築することにより、学校における国際交流をさらに積極的に推進してまいります。

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多摩・島しょ振興

質問1
 小笠原諸島は、太平洋戦争による米軍統治から昭和四十三年に日本に返還され、ことし六月で返還から五十周年を迎えます。

 返還以来、都は特別措置法に基づき、振興開発計画を策定し、社会資本の整備や産業振興を図ってまいりました。特に近年では、海底光ファイバーケーブルが敷設され、小笠原諸島と本土とを結ぶ唯一の交通手段である「おがさわら丸」が更新されています。

 現在の小笠原諸島振興開発特別措置法は、平成三十年度末で失効しますが、返還以来の課題である航空路の開設を初め、依然として問題は山積しています。

 また、前回の法改正では、定住環境の改善に向け、生活環境などの整備や保健医療、高齢者の居住施設の整備などへの配慮規定が盛り込まれましたが、引き続き推進していく必要があります。

 さらに、今般、我が国周辺海域を取り巻く情勢が一層厳しさを増す中、日本の排他的経済水域の約三割を占める小笠原諸島の、有人国境離島としての重要性も再認識されています。

 都として、改めて航空路の開設を初め、小笠原諸島に残された課題に対応するため、国に対し、小笠原諸島振興開発特別措置法の延長を求めるとともに、さらなる振興への取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。

答弁1
知事
 小笠原諸島の振興についてのご質問がございました。

 小笠原諸島は、関係者の方々の大変な努力の結果として、昭和四十三年に返還されて以降、特別措置法に基づいて生活基盤や産業基盤などの整備を行って、相応の成果を上げてきたところでございます。

 しかしながら、村民の切なる願いである航空路を初めとする交通アクセスの改善や住民の定住化を促進するための生活利便性の向上など、課題はございます。

 また、世界自然遺産である貴重な自然環境を有しております。我が国の排他的経済水域の確保の観点からも、国益を維持する上でも重要な地域であるわけでございます。

 小笠原諸島の自立的な発展に向けて、自然環境と調和した航空路案の検討を初め、農林水産業や商工業等の産業振興、社会資本の整備、更新など、小笠原諸島を取り巻く課題を整理いたしまして、村の意向を踏まえながら、国に特別措置法の延長を強く働きかけるとともに、この諸島の振興を積極的に図っていく所存でございます。

質問2
 市町村総合交付金は、それぞれの努力と創意工夫により地域の実態に即して課題解決に取り組む市町村に対する総合的な財政支援制度として創設され、これまで五百億円もの予算を積み上げてきました。

 三十年度予算案では、交付金額を五十億円増額するとともに、都と市町村が連携して取り組む、待機児童対策などの取り組みを支援する政策連携枠が新たに設けられました。

 これまで、市町村は総合交付金について、対象範囲の拡大や個別事情を反映した柔軟な交付など、各団体の自主性や特殊性を尊重した取り扱いを都に要望していました。

 現時点で、政策連携枠の詳細は明らかではありませんが、この連携枠による支援が、市町村が進める取り組みと合致する仕組みとなるのかが懸念されます。

 また、今後、交付金総額に占める連携枠の割合が高まった場合、市町村に対して交付金の使途が限定されていくという印象を与えてしまうことも懸念されています。

 つまり、今回の政策連携枠の導入によって、市町村が行う各種施策の財源補完という総合交付金の性格が変わってしまう、もしくはそのように捉えられてしまうことを危惧しています。

 これまで同様、一般財源の補完という性格を変えることなく、市町村が使いやすい総合交付金制度であり続けるためにも、今回導入された政策連携枠の取り扱いも含め、適正な運用に努めていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。

答弁2
知事
 市町村総合交付金についてのご質問がございました。

 市町村総合交付金は、地域の発展に向けて、市町村が取り組みます各種の施策に要する一般財源の補完としての役割を果たしているものと認識をいたしております。

 平成三十年度は、予算を大幅に増額するとともに、新たに政策連携枠を設けて、都と市町村が連携して取り組むべき待機児童対策などの政策課題に重点的に対応できるようにしたものでございます。

 先般、昨年に引き続きまして、全ての市町村長の皆様と意見交換を行いました。待機児童の解消、ゼロエミッション化の実現などに創意工夫を凝らして取り組まれている市町村の状況であるとか、今後の行財政運営上の課題、要望などをお伺いしたところでございます。

 こうした各市町村の課題解決に向けまして、総合交付金を柔軟に活用していただくことが重要であると改めて認識をしたところでございます。

 今後、政策連携枠につきましても、市町村の一般財源の補完という性格を変えることなく支援メニューを検討するなど、各市町村が進める自立的、主体的な取り組みを適切に支援できるように努めてまいる所存でございます。


 知事、最後にあえて申し上げます。

 私たちは、知事が憎いわけでも、嫌いなわけでもありません。私たちが苦言を呈し続けるのは、よい東京都をつくりたい、都政を前に進めたい、その一念からです。

 都民にとって重要なのは、誰が都知事かではなく、冒頭でも申し上げたとおり、都知事の発言や判断、行動した結果が都民にとって有益かどうか、その一点に尽きます。結果が全てです。

 今や世界ではIT化もグローバリゼーションも当たり前です。IoTや人工知能の発展など、第三次産業革命、あるいは第四次産業革命ともうたわれる時代に突入しています。

 五十年前、一体誰が、地図なしで目的地に着けるドライブを想像できたでしょう。三十年前、一体誰が、誰もが携帯電話を持つ社会を想像できたでしょう。二十年前、一体誰が、スマホで好きな商品を注文したら翌日に届く世界を想像できたでしょう。私たちは、有史以来、誰も想像できない未曽有の世界に生きているのです。

 一方で、この国の高度成長期は、はるか昔に終わり、成熟社会を迎え、日本も東京も人類史上かつてないスピードで進む少子高齢化が既に始まっています。

 今、この瞬間のかじ取りを間違えてしまったら、日本も東京も衰退の道をたどるしかなくなってしまう、私はそういう危機感を抱いています。二〇二〇年までの数年間は、後から振り返ったら、あのときが転換期だった、そんなふうに呼ばれると思います。

 幸いにして、バブル崩壊から二十年にわたり低迷してきたこの国が、ようやく企業業績は回復し、株価も上昇し、有効求人倍率もバブル期を超える水準に復活してきました。加えて、来年にはラグビーのワールドカップ、再来年には私を含め今や多くの人にとって初めての夏のオリンピック・パラリンピックが開催されます。

 日本が、東京が、もう一度飛躍するために、これほどのチャンスはこの先百年、二度と来ないかもしれない。だからこそ、今の都政の状況が、歯がゆくてたまらないのです。

 小池知事は、環境大臣、防衛大臣、自民党三役、そして都知事に就任され、功成り名を遂げられました。活躍する女性としての先鞭もつけられた。それは誰もが認めるところです。

 だからこそ、最後に申し上げたい。

 この千載一遇のチャンスをご自身のためではなく、都民のために、日本のために生かしていただきたい。政局ではなく、都知事として政治をやっていただきたい。そして、何より未来のために、子供たちのために、捨て石となる覚悟で臨んでいただきたい。そのことを申し上げて、再質問を留保して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

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再質問

質問1
 知事、言語明瞭、意味不明です。形式的には丁寧にお答えいただきましたが、実質的にはほとんどの質問にお答えいただいていない。何より東京に対する愛情が感じられないのがとても残念です。

 オリンピック輸送計画について伺います。

 知事が豊洲移転を延期したために、東京大会の輸送計画の生命線ともいうべき環状二号線が機能しないという非常事態が発生しています。

 開催都市の責任者として、輸送計画が抱える多くの課題を具体的にどのように解決していくのか、知事ご自身のお考えをお話しください。

答弁1
知事
 環状二号線について一体どうするのかというご質問でございました。

 いうまでもなく、大会の成功には円滑な輸送運営が必要でございます。そして、大会時におけます環状二号線を含めました東京の道路ネットワークを最大限生かすことは重要でございます。

 現在、首都高速道路のほか、練習会場へのルートや混雑回避などに使用する代替ルートなどにつきましては、環状二号線やその他の一般道路を含めまして、大会時に使用するルートを検討しているところでございまして、今後、これらの詳細につきましては、輸送運営計画バージョンツーとして取りまとめて、円滑な大会運営の実現に努めてまいります。

 しっかり都民の皆様方に今後の交通運営のあり方、そして都民の皆様方、国民の皆様方にもご協力を賜りながら、大会を成功に導いていくように努めてまいります。

質問2
 豊洲市場の安全宣言について伺います。

 十月の豊洲移転に向けて汗を流している方々に胸を張って作業に取り組んでいただくためにも、豊洲市場の安全宣言を早急に行うべきです。その知事の宣言が東京の卸売市場への信頼につながるのです。

 一体何をちゅうちょされているのかわかりませんが、都の事業の最高責任者として安全宣言をするのかしないのか、はっきりお答えいただければと思います。

答弁2
知事
 豊洲市場の安全宣言についての再質問でございました。

 いうまでもなく、食の安全や安心につきましては、都民の理解を得るために検証、そして対策、確認など一連のステップを一つずつ着実に進めることは重要でございます。

 だからこそ、私は、専門家会議の方々に豊洲市場の用地の法的、そして科学的な安全性について検証していただき、また、将来のリスクに備えた対策についてもご提言をいただいたところでございます。

 そして、そのご提言にのっとって、追加対策工事が進んでいることはご承知のとおりでございます。工事を進めることによりまして、今後、対策の有効性について専門家会議にご確認いただき、農林水産大臣の認可手続を一つずつ着実に進めてまいります。

 こうした手続面も含めました条件を整えて、安全・安心な市場であると、この旨を発信していくことこそが重要であると認識をしているところでございます。

質問3
 国による税制改正に向けた取り組みについて伺います。

 重要なことは、大臣と面会することでも、知事会で発言することでも、要望書を手渡す姿を写真に撮ることでもありません。私が申し上げたのは、政治家としての政治力、結果を出す力です。必要なのは、しっかりとした結果を出していただくことです。都民のためになりふり構わず努力をする気持ちと、したたかな戦略です。

 東京の将来を左右しかねない、この大きな課題に対して、改めて知事の具体的なプランをお尋ねします。

 以上です。

答弁3
 税制改正についてでございます。

 都はこれまでも、地方法人課税の偏在是正の措置を初めとして、皆さんもご承知のように、都市と地方の財政力格差の是正を名目として、これまでも不合理な税制の見直しと称して、平成元年度以降、合わせますと五兆二千億円もの財源を収奪されているわけでございます。

 今回の地方消費税の清算基準の見直しは、こうした一連の流れの一つと認識をいたしております。

 平成二十九年度の与党税制改正大綱で抜本的な方策を検討するという旨が記載されたことを踏まえまして、昨年の四月に、総務省の有識者検討会で検討が開始されております。

 その内容は、制度の本旨をゆがめるものであり、清算基準に占める統計の比率を引き下げるという一方で、代替指標にすぎない人口の比率を大幅に引き上げるといったものでございました。

 そこで、都として、七月の全国知事会議初め、愛知、大阪、特別区長会、市長会、町村会と連携を図りながら、反論を行ったところでございますが、昨年十二月の税制改正大綱において見直しが決定されたものでございます。

 三十一年度の税制改正に向けましては、まさしくこういった国の動きに関して、オール東京で、都民のまさしく代表である都議会の皆様のご協力を仰ぎながら、オール東京で一丸となって、他の自治体ともしっかりと連携をしながら、あらゆる機会を捉えて、都民の貴重な財源を守るための主張を戦略的かつ強力に展開をしていく所存でございます。


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