より実効性ある東京大改革を
推進する体制を構築すべき

都政運営

質問1
 平成三十年第一回東京都議会定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表して、小池知事、警視総監、消防総監及び関係局長に質問いたします。

 質問に先立ち、二月四日、名誉都民である造形美術家三橋國民さんが逝去されました。謹んで哀悼の意を表し、心からご冥福をお祈りいたします。

 また、世界的にも地震が多発する中、二月六日には台湾の花蓮で地震がありました。亡くなられた方々へのご冥福を心からお祈りするとともに、被害に遭われた方に対し、心からお見舞いを申し上げます。

 では、質問に入ります。

 二〇一八年は、一六〇三年に徳川家康が江戸幕府を開いてから四百十五年、一八六八年に江戸を東京と改名する詔書が発せられてから百五十年の節目の年です。この百五十年の間、明治十二年には東京府議会が開設され、大正の関東大震災、昭和の太平洋戦争での東京大空襲、戦後の経済成長や、オイルショックなどの幾多の経済危機を経て、現在では世界最大級の経済力を持つ大都市圏となり、最近では、世界の都市ランキングで、ロンドン、ニューヨークに次いで第三位になるなど、発展してまいりました。

 都は、百五十周年記念事業を予定していますが、百五十年の歴史を振り返り、未来を見据えて、どのような基本方針のもとで行うのか、知事に伺います。

答弁1
知事
 東京百五十年事業についてのご質問でございます。

 本年、平成三十年は、江戸が東京と改められまして、近代から現代へと続く道を歩み始めて以来、百五十年の節目の年に当たります。この間、幾多の苦難に直面しながらも、多くの人々の努力と創造力によって、東京は、伝統と革新が共存する魅力的な都市として発展を遂げてまいりました。

 このことを都民の皆様とお祝いをするとともに、五十年、百年後の未来に向けまして、先人たちが築き上げてきた東京の魅力を再発見、再認識していただくため、東京百五十年事業を実施するところでございます。

 具体的には、多くの方々に楽しみながら東京百五十年の歴史、文化、技術などを実感していただくため、江戸東京博物館等で企画展を行うとともに、本年秋には、浜離宮恩賜庭園におきまして記念イベントを開催いたします。

 また、かつて広く親しまれましたかっぱバッジの復刻や、地域におけるさまざまなイベントとの連携などによりまして、東京百五十年を幅広くPRするとともに、次世代の小学生たちを対象にした絵画コンテストなど、未来にも目を向けた取り組みも行ってまいります。

 今後、国、区市町村、民間団体等の協力も得ながら多彩な取り組みを展開いたしまして、東京への愛着を高めるとともに、東京二〇二〇大会への機運盛り上げや、その先の未来へとつなげてまいりたいと考えております。

質問2
 また、小笠原諸島は、昭和四十三年六月に二十三年ぶりに日本に返還されてから、ことし六月で返還五十周年の節目を迎えます。小笠原諸島は、日本が海洋国家として発展するための重要な位置にあり、平成二十三年には、ユネスコの自然遺産に登録されるなど、魅力がいっぱいです。都としてどのような基本方針のもとで返還五十周年にかかわっていくのか、知事の見解を伺います。

答弁2
知事
 小笠原諸島返還五十周年についてのお尋ねでございます。

 昭和四十三年の小笠原諸島の返還につきましては、元島民の皆さんを初め、当時の関係者の方々の大変なご努力のたまものであると認識をいたしております。

 私は、知事就任直後の平成二十八年十月、小笠原諸島父島を訪問いたしまして、本土と約一千キロ離れた国境離島であることを実感するとともに、その歴史に思いをはせ、また小笠原の有するすばらしい自然を直接見て肌で感じることができました。

 返還五十周年は、このような小笠原諸島の歴史や国境離島としての重要性、その自然のすばらしさなどにつきまして、多くの方に知っていただける大切な機会でございます。

 この絶好の機会を最大限に生かしまして、都は、街頭ビジョンなどを活用したさまざまなPR事業、返還当時の貴重な映像、これらをデジタル化いたしまして公開するなどの取り組みを通じて、小笠原の魅力を一人でも多くの方に幅広く伝えてまいります。

 村とも連携をしながら返還五十周年事業を盛り上げるとともに、今後の小笠原諸島の振興には、一層力強く取り組んでまいる所存でございます。

質問3
 次に、国と地方のあるべき姿について質問します。

 国は、平成三十年度の税制改正における地方消費税の清算基準の見直しによる影響で一千四十億円、平成元年以降の累積で六兆円もの財源を都から奪っています。来年の消費税一〇%段階においても、さらに都の財源からの収奪が懸念されています。これでは、日本全体の成長の芽を摘んでしまいます。国が行うべきは、地方自治を拡大し、自治体間競争を促して日本を発展させていくことであり、地方自治体への抜本的な財源移譲です。

 今、日本に必要なのは、東京と他の地域がそれぞれの持つ力を発揮して、互いに支え、高め合うことにより、日本全体の発展と持続的成長を実現することです。

 このためにも、国から地方自治体への大幅な税源移譲を進め、地方自治体の自立的な財政運営に結びつけていくことこそ目指すべき方向だと考えます。知事の見解を伺います。

答弁3
知事
 地方税財源の拡充についてのご質問でございます。

 日本が明るい未来への活路を切り開いていくためには、東京を強力なエンジンとしまして、それぞれの地方自治体も個性や強みを生かし、地域を活性化させて、日本全体の活力を底上げしていく必要がございます。

 こうした観点から、今、目指すべき方向は、地方自治体がみずからの権限と財源で主体的に行財政運営を行う真の地方自治を実現していくことであります。そして、そのためには、国から地方への税源移譲などによって地方の役割に見合う税財源を拡充していくこと、これが不可欠であると認識をいたしております。

 しかしながら、国は、地方が抱える財源不足という本質的な問題に向き合わないで、東京対その他の地方の構図をいたずらにあおりながら、東京から財源を吸い上げるということで地方の財源不足を穴埋めする不合理な措置を繰り返しております。

 さらに、平成三十一年度税制改正におきまして、こうした地方分権の理念に逆行する措置の拡大を検討する動きを見せておりまして、到底それは看過することはできません。

 このような地方税財政に関する問題につきましては、広くご理解をいただくために、先般、都の主張をまとめたPR冊子を公表したところでございます。

 今後とも、この問題につきまして都民の皆様の一層のご理解をいただきますよう努めていくとともに、都議会の皆様を初めオール東京で一丸となって、他の自治体ともしっかり連携をしながら、あらゆる機会を捉えて、都の主張を強力かつ戦略的に展開をしてまいります。

質問4
 資源がない日本が経済発展をしてきた力の源泉は人です。明治の近代化をなし遂げたのも、江戸時代に培われた志の高い塾の存在、庶民の識字率の高さ、職人の高い技術力、経済を動かしていく人々の存在でした。学問は自由な競争環境や積極的な投資の中で育ちます。

 しかし、政府は、二月六日、東京二十三区内の大学の学部新設、定員増を認めないとする法律案を予算関連法案として国会に提出し、年度内の成立を狙っています。

 この法律案は、地方活性化の効果も明確でなく、いたずらに大学受験の子供を持つ都民や受験生本人にとっての学びの機会や大学の自由な競争を損ない、ただでさえ低下している日本の大学の競争力を弱体化させる不合理なものです。何一つよいことはありません。

 東京二十三区内の大学に対する国の不合理な措置を許さないため、関係者と連携して運動を生み出していくことが必要だと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁4
知事
 東京二十三区の大学におけます定員増の抑制への対応でございます。

 国が今国会で成立を目指しております東京二十三区の大学の定員増を抑制する法案でございますが、場所だけを理由に学生の選択や大学経営の自由を縛る理不尽かつ不合理な規制でありまして、到底納得できるものではございません。

 地方の大学を振興すること、このことには異論はございませんが、地方創生の実現と大学教育のあり方という、本来別の問題を混在させて、東京対その他の地方の構図に押し込める国の対症療法的な手法には強い懸念を抱いているところでございます。

 大学ランキングにおきまして、東京大学が世界で四十六位、アジアでも八位へと低下する中、我が国がとるべき道は、国内の限られたパイの奪い合いではございません。高齢者の学び直しなど新たな需要を広げるとともに、世界に向かって高等教育の質を高めるため、フェアに競い合うことが必要でありまして、こうした主張を広く発信していくことが重要と考えております。

 これまでも都は、国の動きに応じまして緊急要望やコメント発表を実施してまいりましたが、ことし二月には法案の閣議決定に反対する緊急声明を発表いたしまして、特別区長会のほか、教育関係団体からもご賛同いただく意見を頂戴いたしております。

 また、この問題に関しますシンポジウムを開催いたしまして、有識者の方々と多面的な議論を交わしたところでございます。その内容はマスコミでも広く報道されまして、多くの方々に問題点を明らかにすることができたと存じます。

 これからも教育関係者や各団体、他の道府県などと課題の共有に努めまして、連携を深めることで、真の地方創生、そして国際社会に勝ち抜ける高等教育の実現に向けて賛同の輪を広げてまいります。

質問5
 次に、平成三十年度予算案の全体像などについて質問します。

 平成三十年度予算案は、安全・安心なセーフシティー、誰もが輝くダイバーシティー、世界をリードする持続可能な都市スマートシティーの三つのシティーの実現に向けた各分野の施策に我々の提言や要望が随所に反映されています。

 また、予算編成に当たっては、事業評価を徹底し、スクラップ・アンド・ビルドが行われ、平成三十年度だけでなく、高齢化対応や社会資本の更新など、将来増加する需要に備えた予算となっていること、都民や職員のアイデアを募集するなど、予算編成過程が都民に開かれ、都民が参加できるものになったことなど、我々が掲げる都民ファースト、情報公開、ワイズスペンディングの取り組みの一層の推進が図られており、高く評価するものです。

 こうした平成三十年度予算案にかけた知事の思いや工夫、特徴について伺います。

答弁5
知事
 平成三十年度の予算案についてのご質問がございました。

 人口減少や超高齢化を初め、東京を取り巻く環境が激動する時代にありましても、都政をしっかりと前へ進め、二〇二〇年のその先に、誰もが生き生きと輝く持続可能な都市東京を実現していくことが、知事としての使命と認識をいたしております。

 この使命を完遂するための具体的な道筋を示すものが、まさに平成三十年度予算案であり、持続的な都市経営に欠かせない賢い支出を徹底するために、これまで以上にめり張りをきかせることに重点を置いたものとなっております。

 具体的には、まず、東京の活力、成長を支える人に焦点を当てまして、待機児童対策と超高齢社会対策の二本を大きな柱に据えたところでございます。

 加えて、ICTやIoT、AIといった最先端技術を駆使した取り組みを積極的に盛り込むなど、三つのシティーの実現に向けた施策に積極的に財源を配分いたしまして、過去最高となる四百七件の新規事業を立ち上げております。

 一方、終期を迎える事業に対しましての事後検証を徹底するとともに、客観的な指標、エビデンスベースによる評価を新たに導入するなど、事業評価の取り組みを強化いたしまして、こちらも過去最高となる八百七十億円の財源確保につなげたものでございます。

 また、予算編成プロセスにおきましては、都議会各会派の皆様や区市町村のご代表、各種団体の皆様からのご意見、ご要望に加えまして、都民の皆様から、生活や現場に根差した発想を直接ご提案いただきまして、施策の形成に生かす取り組みを新たに導入したところでございます。

 こうした取り組みによりまして、東京の今を生きる都民の目線に立った、真に都民の利益にかなう予算案を練り上げたものでございます。

 この予算案をてことして、都民の皆様の理解、協力をいただいて、そして都議会の皆様と手を携えながら、東京の明るい未来に向けまして、確かな歩みを進めてまいりたいと考えております。

質問6
 財政の健全化のためには、歳出の適正化が不可欠です。東京都が発注する工事は、中小企業の育成にも役立っていますが、財源は税金であり、適正な価格で発注することは、東京都の都民に対する責任です。

 入札契約適正化法では、公共事業の入札及び契約について五つの目的を掲げています。それらは、入札及び契約の過程、契約の内容の透明性の確保、公正な競争の促進、談合その他の不正行為の排除の徹底、ダンピング契約の防止、契約された公共工事の適正な施工の確保です。法律の要請として、入札制度改革はこの目的に即して進められなければなりません。

 その上で、柔軟かつ適切な改革を行うため、都民ファーストの会東京都議団としても、入札に参加する業界団体の意見のヒアリングを求めました。入札契約制度改革の試行の状況と今後どのように改革を進めていくのかについて見解を伺います。

答弁6
財務局長
 入札契約制度改革についてでございますが、入札契約制度改革は、昨年六月下旬から財務局案件を対象に、十月末からは各局案件に対象を拡大して試行を実施しております。

 この間、一者入札の中止により契約締結がおくれる事例が一部生じている一方、一者入札や九九%落札の減少、入札参加者数の増加という効果が得られております。

 現在、入札監視委員会で試行の検証を進めておりまして、本年一月には業界団体との意見交換も実施し、制度改革に対する賛成、反対、改善案等、さまざまな意見をちょうだいしてございます。

 今後、今月中に出される予定の入札監視委員会の検証報告を踏まえまして、改めて業界団体からのヒアリングを行いながら、よりよい制度構築を目指してまいります。

質問7
 また、都の入札には大企業も中小企業も参加できますが、今後の入札契約制度の検討に当たって、特に都内産業や雇用を支える中小企業に対する配慮という視点も必要ではないかと考えますが、見解を伺います。

答弁7
財務局長
 入札契約制度のあり方についてでございますが、入札契約に当たりましては、地方自治法や入札契約適正化法が求める競争性、公平性、透明性を基本といたしまして、公共工事品質確保促進法、または官公需法が求めるダンピングの排除、品質の確保、担い手の育成、中小企業の育成などにも配慮していく必要がございます。

 特に、中小企業は、地元の雇用や産業を支え、災害時の緊急対応を担う存在でありまして、公共工事の中長期的な担い手といたしまして、育成、確保していくことが重要でございます。

 都は、こうした中小企業に配慮をいたしまして、適切に分離分割発注を行ってまいりましたが、今後も分離分割発注を徹底してまいります。

 入札監視委員会におきましても、中小企業への配慮という視点で議論がなされておりまして、その検証を踏まえながら、中小企業が十分に力を発揮できるような環境づくりに取り組んでまいります。

質問8
 平成三十年度予算案に、市町村総合交付金の増額、医療的ケア児の看護師配置などが盛り込まれたことは、都民ファーストの会東京都議団としても要望がかない、評価したいと思います。

 また、都における庁有車の運行については、過去にも平成十九年度に、当時の国の行政効率化計画に合わせた取り組みとして一部の局長級の庁有車を廃止するなど、見直しに取り組んでこられました。そうした中、先日、都は来年度から、庁有車の運行体制を変更することとされましたが、より効率的な運行体制を目指した不断の見直しとして評価いたします。

 旧来の慣行にとらわれない、時代と世界の動きに対応した予算編成を継続していくには、知事のリーダーシップだけでなく、都庁職員の計画的な育成が必要です。

 東京都のさらなる発展を日本全体の成長につなげるなど、首都として担うべき使命を果たしていくには、国際感覚を持った都職員の育成が不可欠と考えますが、海外への派遣実績など、現在の状況と今後の方針について、知事に伺います。

答弁8
知事
 国際感覚を持った都職員の育成についてのお尋ねでございます。

 東京が世界をリードする成熟都市としてさらなる飛躍を遂げるためには、多くの職員が変動する世界情勢や先進事例を現地で直接肌で感じ、まさに鳥の目を養うことは重要であります。

 都はこれまでも、国際的な視野を持って大都市経営を担い得る職員の育成に向けて、管理職候補など一定の選抜を経た職員を、アメリカの大学院や在外公館などへ年間二十五名程度派遣をいたしてまいりました。

 一方で、若手や専門分野の中堅職員には派遣期間が少ないなどの課題もございます。そこで、先般公表いたしました二〇二〇改革プラン素案の中で、組織全体の活性化を目的とした人事交流指針を新たに策定することといたしまして、今後の都職員の人事交流における基本的な方向性を明らかにしたところでございます。

 具体的には、留学先や赴任先の多様化に加えまして、世界の先進事例を学ぶ事例調査研修を拡大する一方、外国人材の受け入れも積極的に行うなど、派遣、受け入れの両面から人事交流の拡大を進めてまいります。

 今後は、より多くの職員に国際的な視野を広げる機会を提供して、世界にアンテナを広げ、新たな発想で政策立案できる職員を着実に育成をしてまいります。

質問9
 小池知事が進める東京大改革は、平成二十八年九月に設置された都政改革本部での議論、取り組みを重ね、今年度末の二〇二〇改革プランの完成で、次は、実行、実践段階に入るものと承知しています。職員や各局それぞれが主体的に、より実効性ある改革を推進する体制構築が必要かと思います。

 そこで、今後の都政改革の進め方について、知事の見解を伺います。

答弁9
知事
 今後の都政改革の進め方についてお尋ねがございました。

 都政改革につきましては、平成二十八年の九月、私を本部長とする都政改革本部を設置いたしまして、都民ファースト、賢い支出、情報公開、この三原則のもとで、さまざまな改革を進めてまいりました。

 今年度からは、仕事改革、見える化改革、仕組み改革の三つの改革から成る二〇二〇改革に取り組んで、先般、これまでの都政改革の成果と今後の方向性をまとめました二〇二〇改革プランの素案を発表したところでございます。

 この間の議論、取り組みを通じまして、職員や各局に改革のノウハウを共有することができただけでなく、期待以上に改革マインドが浸透するなど、都政改革の土台が築かれたものと認識いたしております。

 今後は、これまでの計画段階から、実践的に都政改革に取り組む段階、新しいフェーズに入ることから、二〇二〇改革プランの実効性を高めるため、顧問の活用のあり方、職員の主体的な参画の観点から、新たな推進体制を構築するよう、私から指示をしたところでございます。

質問10
 次に、東京都の長期的な都市整備について質問します。

 鉄道ネットワークの充実等を図るため、東京都鉄道新線建設等準備基金の設置条例案が本定例会に提案されています。新空港線や有楽町線豊洲─住吉間、多摩都市モノレールの二路線など、事業化を望む地元にとって期待は大きいものがあります。

 そこで、鉄道ネットワークの充実に向けた知事の決意を伺います。

答弁10
知事
 鉄道ネットワークについてのお尋ねがございました。

 東京が持続的に成長し、全ての世代が生き生きと活躍していくためには、誰もが快適に移動できるよう、都民の足となる鉄道ネットワークのさらなる充実は重要でございます。

 都はこれまで、国の答申におきまして、事業化に向けて検討などを進めるべきとされました六路線を中心として、鉄道事業者などの関係者と連携をいたしまして、事業費の精査、採算性などの課題について検討を行ってまいりました。

 六路線が整備されることによりまして、空港へのアクセス機能の向上、鉄道の混雑緩和、鉄道空白地帯の解消などが図られまして、国際競争力の強化や豊かな都民生活が実現するものと考えます。

 今回新たに基金を設置することで、事業の裏づけとなる財源をあらかじめ確保して、都の取り組み姿勢を明確に示すことといたしました。これによりまして、関係者との協議、調整を加速して、鉄道ネットワークの充実に向けてしっかりと取り組んでまいります。

質問11
 臨海エリアの開発は都の重要課題ですが、臨海副都心の開発が進めば、交通需要がさらに高まります。こうした交通需要の増加に速やかに対応するため、都では、都心と臨海副都心を結ぶBRTを計画していますが、あわせて都営バスの路線の充実も必要です。

 都は、バス輸送の強化に取り組んでいますが、そのための車両基地をどこに整備するかを含め、臨海副都心の交通需要の増加への今後の都の取り組みについて伺います。

答弁11
交通局長
 臨海地域における都営バスの今後の取り組みについてでございますが、交通局ではこれまでも、臨海地域の大規模開発によって増加する輸送需要に対応するため、都心部と結ぶ路線を増強するなど、バス路線の拡充を図ってまいりました。

 臨海地域は、大規模マンション等の建設が続いており、東京二〇二〇大会後におきましても、選手村のまちづくりなどによりまして、バスの利用者がさらに増加することが見込まれます。こうした需要に効率的に対応するため、新たな営業所を有明地区に設置することといたしまして、平成三十一年度末の開設を目指し、工事に着手をいたしました。

 今後とも、新たな営業所も有効に活用しながら、需要の変化に柔軟かつ迅速に対応できるバスの特性を最大限に発揮し、路線の拡充やダイヤの見直しを適切に行いまして、臨海地域の開発、発展に貢献をしてまいります。

質問12
 無電柱化は、都市景観、災害時の安全の確保など多くの効用がある施策です。課題であった区道の無電柱化を推進するチャレンジ支援制度も二年目を迎えます。国でも無電柱化推進計画の概要により三年間の目標値が掲げられ、パブリックコメントを募ることとしています。このような中で、都には、都道、区市町村道まで広げた大きな目標を持って取り組んでいただきたいと考えます。

 そこで、東京都無電柱化計画の素案が発表されましたが、無電柱化を推進するに当たって、目標設定はどうなっているのか伺います。

答弁12
建設局長
 無電柱化の目標設定についてでございますが、都は、東京都無電柱化推進条例に基づきまして、今後十年間の方針や目標を定めました無電柱化計画の素案を作成し、都民からの意見を募集しました。

 本素案では、都道の重点整備地域をセンター・コア・エリアから環状七号線の内側エリアまで拡大し、対象路線全線での事業着手や、重点整備路線として第一次緊急輸送道路と災害拠点病院等を結ぶ都道を新たに位置づけまして、防災性の一層の向上を図ることを目標としております。

 さらに、面的な広がりを持った無電柱化の推進に向けまして、区市町村を財政的、技術的に支援いたしますとともに、再開発等のまちづくりにおける無電柱化の面的な展開についても強化してまいります。

 今後、都民からの意見を踏まえまして計画を策定いたしまして、さまざまな施策を総合的に展開しながら、東京の無電柱化を強力に推し進めてまいります。

質問13
 また、区市町村道での無電柱化の推進に当たり、狭隘な道路も多い区市町村道での推進に際し、区市町村との連携をどのように進めていくのか伺います。

答弁13
建設局長
 区市町村道での無電柱化についてでございますが、都内全域で無電柱化を進めるには、都道のみならず区市町村道の事業を一層促進することが重要でございまして、都はこれまで、区市町村に対する財政的、技術的支援等を行ってまいりました。

 加えまして、今年度より新たに無電柱化チャレンジ支援事業を開始いたしまして、計画策定に必要な調査や道幅の狭い道路に低コスト手法を導入する事業等に対し、事業費を全額補助いたしますとともに、区市町村が開催する技術検討会に直接都の職員が参加するなど、技術支援も強化しております。

 さらに、区市町村や関係事業者等と連絡会議を設置し、最新の動向や取り組みにつきまして情報共有を図りますとともに、課題解決に向けた意見交換を行うなど、一層の連携を図ってまいります。

 引き続き、区市町村との連携を図りながら、都内全域での無電柱化の推進に積極的に取り組んでまいります。

質問14
 さらに、無電柱化のコストを下げるための技術について、十年後は三分の一カットするとされていますが、これまでどのように取り組んできたのかも伺います。

答弁14
建設局長
 無電柱化のコスト縮減に向けた取り組みについてでございますが、都内全域で無電柱化を進めるためには、技術開発を一層推進し、コスト縮減を図ることが重要でございます。

 都は、道幅の狭い道路等における無電柱化の推進のため、昨年、東京電力やNTTなどと無電柱化低コスト技術検討会を設置いたしました。この検討会では、電線共同溝の材料の見直しや、電線等の埋設深さを浅くする手法の導入等、低コスト化の検討を進め、現時点で一定の成果が得られております。

 これを踏まえまして、技術基準であります東京都電線共同溝整備マニュアルを改定いたしまして、都道だけでなく、区市町村道での整備にも活用を図ってまいります。

 引き続き、十年後の整備コスト三分の一カットを目指し、さらなるコスト縮減に積極的に取り組んでまいります。

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がん対策、受動喫煙対策

質問1
 次に、東京大改革の一つの柱である、ダイバーシティー東京の実現について質問します。

 これからの東京を築いていくには、まず担い手となる人が大切です。私たちは、人が健康で生き生きと働き、異なった考え方を持った人々が互いに相手を尊重し合って生きることができる環境をつくること、そんなダイバーシティー、多様性に富んだ寛容な社会をつくるため、都民の皆さんとともに努力していきたいと考えています。

 まず、がん対策、たばこ対策について伺います。

 この問題は、オリンピック・パラリンピックのホストシティーである東京の国際性が問われる課題であるとともに、世界で繰り広げられてきた歴史的なたばこと人の健康との闘いに東京がどう取り組んでいくか、大変注目度の高い課題であると考えています。

 昨年十月に閣議決定された、国のがん対策の指針となる第三期がん対策推進基本計画によると、我が国では、能動喫煙によって年間約十三万人が死亡、肺がんのリスクが男性では約四倍、女性では約三倍に上昇すること、また、受動喫煙によって年間一万五千人を超える人が死亡しているという統計が示されています。ただし、受動喫煙対策の目標数値については調整が難航したため、空白のまま先送りされてきました。

 基本計画の二期計画では、飲食店での受動喫煙にさらされる人の割合を二十二年度までに一五%にするなどの目標が示され、三期計画を議論する有識者会議では、受動喫煙ゼロを掲げるよう求めていました。しかし、厚労省がことし一月に新たに示した受動喫煙対策は、公共の場の全面禁煙ではなく、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けての受動喫煙対策を徹底し、計画期間中に望まない受動喫煙のない社会をできるだけ早期に実現するとの記載にとどめる内容となっています。

 東京都では、現在、東京都がん対策推進計画の作業を行っており、一次予防には、喫煙率減少に向けた啓発や環境整備及び受動喫煙防止が明記され、二次予防には、がん検診受診率五〇%の達成や、科学的根拠に基づくがん検診の実施や精密検査受診率九〇%の達成という目標も掲げられています。

 そこで、喫煙率減少に向けた取り組み、がん検診五〇%の達成、精密検査受診率九〇%という目標の達成に向け、都はどのように取り組んでいくのか伺います。

答弁1
福祉保健局長
 次期東京都がん対策推進計画の目標達成に向けた取り組みについてでありますが、都は、計画に基づきまして、喫煙率の減少に向け、関係機関と連携しながら、喫煙による健康影響の普及啓発や禁煙外来に関する情報提供などを行ってまいります。

 また、がん検診の受診率向上に向けましては、個別通知、再勧奨等の区市町村の取り組みを支援し、来年度は区市町村や企業と連携して、がん検診の重要性を年間を通じて広く情報発信してまいります。

 精密検査の受診率の向上のためには、医療機関から検査結果が確実に区市町村に報告されるよう、区市町村、医師会等と検討会を設置し、統一様式の作成や四区市でモデル事業を実施するとともに、医療機関に対し、報告の必要性を実務者研修において周知してまいります。

質問2
 私たちは、たばこ対策の原点は、受動喫煙、能動喫煙、いずれも減らしていくことにあると考えます。

 WHOのたばこ規制枠組み条約の趣旨は、たばこの使用及びたばこの煙にさらされることの広がりを継続的かつ実質的に減少させることであり、IOCとWHOの合意も受動喫煙だけではなく、たばこのないオリンピックであり、たばこのないパラリンピックの実現です。そのためには、たばこの害から都民を守るため、区市町村や関係団体と協力して、たばこの害キャンペーンを強力に進めていくことが効果的であると考えます。

 能動喫煙、受動喫煙を含め、たばこの害を減少させ、予防するための取り組みの基本方針について、知事の見解を伺います。

答弁2
知事
 たばこによる健康影響を防止するための取り組みについてのご質問がございました。

 喫煙は、肺がんを初めさまざまながんの要因となる生活習慣の一つでございます。また、脳卒中やCOPDなどの病気の原因でもあり、健康に悪影響を与えることは科学的にも明らかでございます。

 都は、がんによる死亡者を減少させるため、東京都がん対策推進計画に基づきまして、喫煙率の減少と受動喫煙防止に向けた取り組みを推進しているところでございます。

 また、たばこの健康影響に関するリーフレットや禁煙ステッカーの作成などに取り組む区市町村を支援いたしております。

 現在改定中のがん対策推進計画におきましては、受動喫煙防止条例の制定、新制度の施行に向けた新たな取り組みも盛り込みまして、たばこの健康影響の防止に向けた取り組みを一層推進してまいります。

質問3
 区市町村で制定されている路上喫煙防止条例は、たばこの吸い殻の散乱及びやけど等の被害の防止を目的とするものが多く、たばこの煙を吸い込むことによる健康被害を目的とするものではありません。しかし、路上での喫煙を禁止する法令は外国では珍しく、外国人観光客に対しては必ずしも徹底されておらず、多言語での周知も必要であるとの指摘があります。路上喫煙防止条例もたばこの減少に役立つ政策です。

 そこで、外国人観光客の理解が進むよう、都としても路上喫煙対策について情報発信すべきと考えますが、見解を伺います。

答弁3
福祉保健局長
 路上喫煙防止対策についてでありますが、区市町村では、住民の健康保持や喫煙マナーの向上だけでなく、環境美化などの総合的な観点から、地域の特性を踏まえ、路上喫煙や歩きたばこに関する条例を制定しております。

 また、東京を訪れる外国人向けに、路上喫煙や歩きたばこの禁止に関する情報を多言語で案内表示している区市町村もございます。

 都は、こうした各区市町村の路上喫煙防止条例の取り組みを取りまとめ、都のホームページに掲載し、広く情報発信してまいります。

質問4
 都民ファーストの会東京都議団らが提案、可決、成立した子どもを受動喫煙から守る条例は、この四月に施行されます。この条例の施行に向け、条例の趣旨を都民に普及啓発するため、どのような取り組みをしてこられたのか、また、今後どのような取り組みを行う予定か伺います。

 また、学校や子供関連施設及び小児科の医院や病院の周辺などでは、条例に合わせた啓発の取り組みが急務ですが、都の取り組みを伺います。

答弁4
福祉保健局長
 子どもを受動喫煙から守る条例及び子供関連施設等への啓発の取り組みの二点についてでありますが、都は、平成三十年四月の条例施行に向け、条例の趣旨や目的などをわかりやすく示したポスターやチラシを作成し、保育所や幼稚園、小中学校等を初め、区市町村の窓口など約八千カ所に配布をしております。

 加えて、地域の診療所、病院や薬局に対しても、医師会等を通じてチラシを配布するほか、広報誌やSNSを活用した普及啓発にも取り組んでおります。

 また、子供連れなどが訪れる機会の多い飲食店に対しては、受動喫煙防止対策研修会や店内の禁煙、分煙等の取り組み状況を店頭に表示するステッカーの配布とあわせて、条例の周知を図っております。

 今後とも、禁煙週間などのさまざまな機会を捉えまして、広く都民に情報発信してまいります。

教育長
 子どもを受動喫煙から守る条例の施行に向けた公立学校での取り組みについてでございますが、都教育委員会では、公立学校における受動喫煙防止対策について、健康増進法が施行された平成十五年度から取り組みを開始し、都立学校では、平成十六年度末までに敷地内を全面禁煙とし、区市町村立学校では、平成二十八年度末までに九割以上で敷地内を全面禁煙としております。

 今回の条例制定を受け、区市町村教育委員会に対し、学校における敷地内全面禁煙を一層推進するよう、本年二月に依頼を行いました。

 また、福祉保健局と連携し、全公立学校に対して、教職員、保護者、近隣住民等への条例内容の周知を行うよう求めたところでございます。

 今後とも、児童生徒が安心して健康に学校生活を送ることができるよう取り組んでまいります。

質問5
 子どもを受動喫煙から守る条例の施行に伴い、特に公園の多くは子供たちが遊ぶ場でもあり、子供がたばこの害を受けない取り組みが必要であると考えます。

 都には各種の公園がありますが、どのように取り組んでいくのか伺います。

答弁5
環境局長
 自然公園における受動喫煙対策についてでありますが、自然公園は、良好な自然環境の中で、健康の増進や休養を図ることを目的に訪れる人が多いことから、受動喫煙対策の取り組みを進めることは重要でございます。

 自然公園ではこれまで、ビジターセンター等の施設については屋内禁煙としており、利用者の理解と協力を得てまいりました。また、特に多摩部の自然公園では、平成二十七年三月に自然公園利用ルールを定め、この中で、利用者が多い場所での喫煙を避ける等、他の利用者への配慮が必要であることを明示しております。

 今後とも、子どもを受動喫煙から守る条例の趣旨を踏まえ、自然公園利用ルールの普及啓発等の取り組みを通じて、受動喫煙防止の徹底や喫煙マナーの向上を図り、誰もが快適に過ごせる自然公園を目指してまいります。

建設局長
 都立公園における受動喫煙対策についてでございますが、公園は都民の憩いの場であり、子供も多く利用する施設であるため、受動喫煙対策の取り組みを進めることは重要でございます。

 都立公園では、喫煙に関するルールを定めまして、歩行喫煙を禁止するとともに、妊娠中の女性や子供の周囲では喫煙しないよう呼びかけております。また、公園利用者の声や園内の利用状況に応じまして、主要な園路沿いや子供が使用する遊具の周辺にある吸い殻入れを撤去しております。

 子どもを受動喫煙から守る条例では、公園において喫煙しようとする者は、子供の受動喫煙防止に努めなければならないとされております。これを受けまして、喫煙ルールの徹底をさらに呼びかけ、喫煙マナーの向上を図りまして、誰もが快適に過ごせる公園づくりを進めてまいります。

港湾局長
 公園における受動喫煙対策についてでございます。

 海上公園は、多くの子供たちが海辺の自然と触れ合い、楽しめる場となっておりますため、受動喫煙対策の取り組みを進めることは重要でございます。

 このため、海上公園では、来園者の移動動線などを踏まえ、喫煙場所の廃止や適切な場所への移転を行うほか、喫煙場所を植栽プランターで囲むなどの取り組みを行っております。

 四月から施行されます子どもを受動喫煙から守る条例の趣旨を踏まえ、特に子供の多い公園を中心に、受動喫煙防止のさらなる徹底や喫煙マナーの向上を図り、快適な公園づくりを進めてまいります。

質問6
 都が制定を目指している受動喫煙防止条例は、法理論上、WHOの枠組み条約を受けた国の法律の上乗せ、横出し条例と位置づけられます。

 現在、国で検討されている健康増進法の改正では、客席面積百平米以下の飲食店では喫煙を可能とするなど、飲食店に対して大幅な例外措置を設けています。国の受動喫煙防止法は、全国一律に適用される法律であり、これをそのままオリンピック・パラリンピックのホストシティーであり、人が多く集まり、活発な経済活動が行われている東京都に適用することは極めて不十分であり、都独自の条例が必要になると考えます。

 これまで都は、本定例会に条例案の提出を目指すとしていましたが、提案を見送った理由及び今後の東京都受動喫煙防止条例に向けた基本方針について、知事に伺います。

答弁6
知事
 受動喫煙防止条例についてのお尋ねでございます。

 受動喫煙防止条例の策定に当たりましては、都民や東京を訪れる方の混乱を避けるため、また、実効性のある対策とするために、法律と整合を図っていく必要がございます。

 このため、都は、平成二十九年三月に国が示しました、受動喫煙防止対策の強化につきましての基本的な考え方に示された規制対象施設や区分などと整合を図りながら、条例案の検討を進めてきたところでございます。

 しかしながら、本年一月に改めて示された国の考え方でございますが、規制対象となる施設区分を三区分から二区分とするなど、根幹にかかわる部分が大きく変更されております。詳細な内容は、法案や政省令に委ねられたため、本定例会には条例案の提案を行わないこととしたわけでございます。

 都は、都民の健康増進の観点から、また、オリンピック・パラリンピックのホストシティーとして、受動喫煙防止対策を一層推進していく必要がございます。

 今後、法律との整合を図るとともに、区市町村の意見も踏まえながら、実効性ある条例案を検討してまいります。

質問7
 隗より始めよとして、四月から、都庁と出先機関の事業所を全面禁煙にするという報道がなされました。都議会も、議会棟を四月一日より全面禁煙することを決定しておりますが、都庁全面禁煙についての知事の考えを伺います。

答弁7
知事
 都庁の全面禁煙についてでございます。

 東京二〇二〇大会の開催都市といたしまして、都施設の受動喫煙防止対策をみずから徹底することは重要でございます。また、事業主として、働く職員や関係者、さらには施設を利用する人を受動喫煙から守っていくのは当然の責務でございます。

 このために、隗より始めよの認識のもとで、都の全ての職場で四月一日から建物内禁煙を徹底することを基本といたしまして、全庁で準備を進めているところでございます。

 新宿本庁舎におきましては、議会棟の取り組みとも歩調を合わせまして、職員の執務フロアの喫煙所を廃止するとともに、職員食堂、議会棟の地下の食堂も禁煙といたしまして、庁舎屋外の喫煙についても、職員のマナーを徹底してまいります。

 職員の禁煙サポートにつきましても、禁煙講習会や歯と口の健康セミナーなど、職場への出前講座を充実していくとともに、禁煙外来を紹介するなど、取り組みを強化してまいります。

 都内最大級の事業者である東京都が、施設内の受動喫煙対策を一層推進していくことは、都内事業者にも広く波及するなど、施策の前進にもつながるものと期待をいたしております。

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人権、障害者対策

質問1
 オリンピック憲章では、人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会のルーツ、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けないとしています。

 ソチ・オリンピックでは、ロシアのLGBTへの対応により、欧米の首脳がオリンピックの開会式を欠席するなど、LGBTについての理解が進んでいる国も多く、開催都市として性自認や性的指向による差別解消に向けた取り組みが必要です。

 また、二〇一九年ラグビーワールドカップ、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、これまで以上に海外から多くのお客様を東京にお迎えすることになります。特定の民族や国籍の人々を排除する、排斥する差別的言動、いわゆるヘイトスピーチが行われるようなことは、開催都市としてあってはならないことです。

 オリンピック憲章の理念を都民に広める条例をできるだけ早期に制定する必要があると考えますが、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 オリンピック憲章の理念を都民に広める条例の制定についてのご質問でございました。

 東京二〇二〇大会の開催まで九百日を切りました。今後、東京はさまざまな国や地域から、多様な文化、そして生活習慣を持った多くの方々をお迎えすることになります。

 大会を成功させるためには、開催都市である東京が、誰もが希望を持って生き生き生活ができ、活躍できる都市、また、多様性が尊重され、温かく優しさにあふれる都市、そうしたダイバーシティーが実現した都市であることを世界に示していく必要がございます。

 そのためには、あらゆる差別を許さないというオリンピック憲章の精神を広く浸透させることが大切であり、現在、私の指示に基づきまして、条例制定に向けた調査検討に着手しているところでございます。

 今後、有識者などから幅広くご意見を伺いながら、お話のございましたLGBT、ヘイトスピーチへの対応という視点も含めて検討を進め、ラグビーワールドカップ二〇一九の開催も見据えまして、ことしの後半での条例案提出を目指してまいります。

 東京二〇二〇大会を契機に、都民の皆様とともに、人権尊重の理念が隅々まで浸透した国際都市東京を実現してまいります。

質問2
 平成二十五年六月に障害者差別解消法が成立し、この法律の施行を受けて、同じ年の十二月に障害者の権利に関する条約が批准されています。都は、東京都障害者差別解消条例の構成と基本的な考え方について、都民に対して意見募集を行いました。

 今後、都民から寄せられた意見を踏まえての障害者差別解消条例への取り組みの基本方針を知事に伺います。

答弁2
知事
 障害者差別の解消に向けた条例の基本方針についてでございます。

 本条例は、共生社会の実現に向けまして、社会全体で障害のある方々への理解を深めて、差別を解消する取り組みを一層推進することを目的といたしております。

 このため、条例には事業者による合理的な配慮の提供、専門相談の体制や紛争解決の仕組みの整備、障害のある方々への情報保障の推進などを盛り込んでおります。

 さらに、障害者差別解消法では努力義務としております事業者による合理的な配慮の提供につきましては、条例では義務化をいたしまして、より実効性のあるものとしてまいります。

 今後、パブリックコメントでいただきました意見なども踏まえまして、本年十月の施行を目指して、第二回の定例会に条例案を提案する考えでございます。

質問3
 障害者差別解消条例は、ダイバーシティー東京づくりの重要な条例です。私たちとしては、これを契機として、個別の分野ごとの障害者施策を大きく前進させていきたいと考えます。

 まず、ろうあ者の方々に対する対策です。差別解消条例には、手話言語化に関する規定が盛り込まれる方向と聞いています。しかし、他の地方自治体の手話言語条例では、手話の研修の開催や普及などの具体的対策も盛り込まれています。また、ろうあ者にもさまざまな方がおられるため、手話を言語として位置づけるだけでなく、ろうあ者の方々の多様なニーズに対応できるようなコミュニケーション手段について規定することが適切です。私たちは、手話の言語化も含め、別条例とすることが適切ではないかと考えます。

 障害者差別解消条例を一種の基本法的な性格をあわせ持つ条例と考えて、ろうあ者の方々の情報保障、手話の言語化を含む条例を別条例とすることが適切であると考えますが、見解を伺います。

答弁3
福祉保健局長
 障害者差別の解消に向けた条例についてでありますが、社会全体で障害のある方々への理解を深め、差別を解消する取り組みを一層推進するためには、障害者が円滑に情報を取得し、意思疎通できる環境の整備を進めていくことが必要でございます。

 こうした考えに立って、条例では、共生社会実現のための基本的な施策に情報保障の推進を位置づけ、手話、筆談、点字、拡大文字など、障害特性に応じた多様な情報提供の手段が普及するよう、必要な施策を講じること、また、手話は一つの言語であるとの認識に基づき、その利用が普及するよう、必要な施策を講じることを定めていく考えでございます。

質問4
 視覚障害者の方にもさまざまな方がおられます。点字の普及、盲導犬の育成、都民に対する視覚障害者への補助方法の普及などの対策を推進していくべきです。また、知的障害者についても、地域における日中活動の場やグループホームなどの住まいの場の確保が必要です。障害者の状況はさまざまであり、それぞれの方の障害の特性に応じた応援が必要なことはいうまでもありません。

 現在、都は、東京都障害者計画、東京都障害福祉計画、東京都障害児福祉計画の策定を進めていますが、全ての都民がともに暮らす共生社会の実現に向け、障害者施策をどのように進めていくのか伺います。

答弁4
福祉保健局長
 障害者施策の推進についてでありますが、都は、障害者基本法及び障害者総合支援法等に基づき、障害者施策を総合的に推進するための計画を策定しております。

 現在改定中の計画では、全ての都民がともに暮らす共生社会の実現、障害者が地域で安心して暮らせる社会の実現、障害者が生き生きと働ける社会の実現の三つの基本理念のもと、共生社会実現に向けた取り組みの推進、地域における自立生活を支える仕組みづくりなど五つの施策目標を掲げ、情報バリアフリーの充実、グループホームや日中活動の場など地域生活基盤の整備、医療的ケア児等障害児支援の充実など、障害の特性を踏まえた約三百の事業を盛り込む考えでございまして、共生社会の実現に向けた障害者施策を一層推進してまいります。

質問5
 パラリンピックの開催を契機に、東京はユニバーサルデザインのまちに変わろうとしています。駅でのエレベーターの設置や洋式トイレへの変換や誰でもトイレの設置、道路や公園での段差の解消、そしてスポーツの面でも変化が起きています。

 現在策定中の東京都スポーツ推進総合計画では、これまでの東京都スポーツ推進計画と東京都障害者スポーツ振興計画を網羅しており、障害者スポーツを特別なものにしないという観点からも望ましいと考えます。また、スポーツを通じた共生社会実現に向けて、障害の有無や性別にかかわらないスポーツの振興を図っている点でも評価します。

 現在、障害者がスポーツを行うには、都内に専用施設は二カ所しかないため、物理的なハンディもありますが、一般施設であっても、指導者がいれば、障害者が使えるケースも少なくありません。

 障害者スポーツを支える人材のさらなる充実が望まれますが、都の取り組みについて伺います。

答弁5
オリンピック・パラリンピック準備局長
 障害者スポーツを支える人材についてでありますが、障害のある方が身近な地域でスポーツを行うためには、知識や指導力を持つ人材のほか、活動を支援するボランティアの存在が不可欠でございます。

 このため、都は、地域でスポーツを支えるスポーツ推進委員等を対象に、障害者スポーツ指導員養成講習を実施するとともに、活動経験の少ない指導員に研修会等を実施し、最新知識の提供や技能、意欲の向上を図り、活動を促進してまいりました。

 さらに、体験教室を活用したボランティア養成や、障害者スポーツを支える魅力を伝える映像によるPRに加え、来年度は、医療福祉関係者に対しますセミナー開催等により、新たな担い手の発掘に努めてまいります。

 こうした取り組みにより、身近な地域でより多くの障害者がスポーツに参加できる環境整備を着実に進めてまいります。

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子どもの教育環境の整備

質問1
 次に、子供たちの教育環境の整備について伺います。

 未来を担うのは子供たちです。貧困の連鎖から子供が抜け出せるように、また、子供を育てる親への配慮とともに、子供の才能を伸ばし、子供が健やかに育っていくことができるよう、教育環境の改善に積極的に取り組んでいくことが重要です。

 小学校教育の現状と今後の在り方検討委員会の提言では、新学習指導要領の実施を見据えて、特に就学前教育と小学校教育の接続として、五歳児から小学校低学年を一まとまりとした教育課程の研究開発の必要性が指摘されています。

 現状では、小一における子供たちの程度差が大きいので、五歳児から遊びと学びの滑らかな接続が重要と考えますが、提言をどのように生かしていくか伺います。

答弁1
教育長
 就学前教育と小学校教育との接続についてでございますが、小学校への就学に当たっては、いわゆる小一問題などの課題があり、小学校教育の現状と今後のあり方検討委員会の提言では、その解決に向け、五歳児から小学校低学年までを一まとまりとした柔軟な教育課程の研究開発の必要性が指摘されました。

 そのため、都教育委員会は、今後、有識者を交えた委員会を設置し、五歳児から小学校低学年における指導内容や指導方法、指導体制など、新たな教育課程の方向性について検討してまいります。

 また、モデル地区を指定し、就学前教育施設での遊びを通した学びの状況や、小学校入学当初における指導の実態を把握、分析いたします。

 これらの取り組みとあわせ、都教育委員会は、具体的な教育課程や教材、教具などについて、モデル地区と共同で研究開発を進めてまいります。

質問2
 文部科学省の平成二十八年度子供の学習費調査によれば、公立中学校に通う三年生が学習塾などに要する補助学習費は年間平均三十七万円と、他の学年と比べ突出して高くなっています。

 私たちは、家庭の経済状況によって、高校への進学や希望する進路への夢をかなえられなくなることがないよう、都議選の公約でも、放課後の学習支援強化を訴え続けてきており、新たに都が行うスタディーアシスト事業については、意義ある歴史的一歩を踏み出していただいたと高く評価をしています。

 そこで、スタディーアシスト事業の目的と取り組み内容について伺います。

答弁2
教育長
 スタディーアシスト事業についてでございますが、子供たち一人一人が持てる能力を最大限に伸ばし、夢や希望を持ってみずからが望む進路を実現させていく上では、学校での授業の工夫、改善はもとより、授業外での学習の充実も必要であります。

 都教育委員会では、現在、放課後等の学習機会である地域未来塾への支援を区市町村に対して実施しており、学習習慣の定着や意欲等の向上に有効との評価を得ております。

 これに加えて、平成三十年度からは進学を目指す中学生を対象としたスタディーアシスト事業を開始いたします。本事業では進路対策のノウハウを持つ外部人材を活用し、生徒への個別指導にも対応してまいります。

 今後、区市町村と連携し、本事業の着実な実施を図り、放課後における学習支援の取り組みを充実してまいります。

質問3
 文部科学省の調査では、都内小中学校の不登校の児童生徒が平成二十四年から増加傾向にあります。小学校での不登校経験のある子供たちが高校に進学してくることも影響しているとは思いますが、これまで減少傾向にあった高校における不登校を含む長期欠席者は平成二十八年に増加し、中途退学者も定時制では減少していますが、全日制では増加しています。

 そこで、不登校や中途退学を防止する取り組みに加えて、不登校や中途退学に至っても、挫折することなく自立に向けて歩みを進めるための取り組みを社会全体で行っていくことが必要ですが、知事の見解を伺います。

答弁3
知事
 教育環境についてのお尋ね、不登校、中途退学への対応についてでございます。

 不登校や中途退学は、子供たちの学習の機会が失われたり、生活の乱れを招いたりするばかりではございません。社会的、職業的に自立することが困難になるなど、かけがえのない子供たちの将来に影響を及ぼすおそれがございます。

 不登校や中途退学を防止することはもとより、たとえそうした状況に至りましても、子供たちが夢や希望を失うことなく、自信を持って生きていけるような、継続性のある包括的な支援が必要でございます。

 不登校や中途退学の要因や背景は、多様かつ複合的でありますことから、教育のみならず、福祉や就労の視点も含めて、さまざまな関係機関の協力を得まして、総合的な施策を講じていかなければなりません。

 東京で学ぶ全ての子供たちが、生き生きと生活ができて活躍できるように、都として、不登校や中途退学の対策に全力で取り組んでまいります。

質問4
 また、都教育委員会は、平成二十八年度から都立高校の不登校や中途退学の防止のために、福祉や就労などの面から支援を担うユースソーシャルワーカーから構成される都立高校自立支援チームを設置し、さらに平成三十年度は、より専門性の高い主任ユースソーシャルワーカーを新たに設置するなど、体制の強化充実に努めるとしています。

 専門職の力を発揮させるためには、教職員に専門職の役割の理解を促し、連携を密接にしていく必要があると考えますが、見解を伺います。

答弁4
教育長
 都立学校におけるユースソーシャルワーカーと教職員との連携についてでございますが、不登校や中途退学に至る生徒の課題は、さまざまな要因が複雑に絡み合っており、福祉や就労に係る専門知識や技能を持つユースソーシャルワーカーと学校とが支援方針を共有し、それぞれの役割を果たすことが重要でございます。

 そのため、都教育委員会は、ユースソーシャルワーカー派遣校の担当教員を対象に、生徒等への実践的で効果的な支援方法等を習得する連絡会を開催するとともに、生活指導主任等の教員を対象として、専門人材や関係機関との連携に関する研修を実施してまいりました。

 今後、連携を強化するための手引を作成し、全校に配布して校内研修の充実を図るなど、生徒の社会的自立に向けた取り組みをさらに推進してまいります。

質問5
 都教育委員会は、本年二月八日に学校における働き方改革推進プランを策定、公表しました。

 プランの作成は改革の大きな一歩ですが、ゴールではなくスタートです。これらが着実に実行されるためには、スクールサポートスタッフや部活動指導員といった外部人材の確保を計画的に行い、IT投資のための適切な予算を確保していくことが必要です。

 また、働き方改革を進める上で、教員だけでなく、保護者を含む関係者の理解も必要不可欠です。

 このプランを着実に進め、さらなるライフワークバランスを目指して努力していくべきと考えますが、見解を伺います。

答弁5
教育長
 学校における働き方改革の推進についてでございますが、教員の長時間労働の実態は看過できない状況にあることから、今回策定したプランにおいては、過労死ライン相当である在校時間六十時間を超える教員をゼロにすることを当面の目標として掲げ、専門スタッフの活用やICT化の推進など、総合的に対策を講じることといたしました。

 常態化した教員の長時間労働を改善するためには、保護者を含む社会全体の理解を得ながら、全ての関係者が一体となり、継続的に取り組みを進めていく必要がございます。

 都教育委員会は、本プランの取り組みを着実に推進するとともに、目標達成の状況やモデル事業の効果を検証し、必要に応じて見直しをするなど、在校時間六十時間を超える教員のみならず、全ての教員の長時間労働改善に向け、今後とも不断に学校の働き方改革に取り組んでまいります。

質問6
 次に、待機児童対策、産後ケア対策について伺います。

 待機児童解消に向けた取り組みは、小池知事が就任以来、最重点施策として位置づけられ進められています。平成三十年度予算では、新たに、待機児童を抱える保護者の就労支援のため、ベビーシッター利用支援事業五十億円などが計上されるなど、百九十五億円増の千五百七十六億円が計上されています。

 ベビーシッター利用支援の位置づけなど、待機児童の解消に向け、今後どのように取り組んでいくのか、知事の考えを伺います。

答弁6
知事
 待機児童対策についてでございます。

 私は、待機児童の解消を都政の最重要課題の一つに位置づけまして、保育所等の整備促進、人材の確保、定着の支援、利用者支援の充実の三つを柱といたしまして、さまざまな取り組みを進めてまいりました。

 来年度は、区市町村が取り組みます保育所等の整備をさらに後押しするとともに、新たな取り組みといたしまして、待機児童のうち半数を占める一歳児の受け入れに緊急的に対応する施設を支援いたします。

 また、待機児童の保護者の就労のため、安心してベビーシッターを利用できる環境を整えてまいります。

 保育サービスの整備目標につきましても、さらに上積みをいたしまして、二〇一九年度末までの三年間で、六万人分の増加を目指しているところでございます。

 女性の活躍を推進するためには、誰もが働きながら地域で安心して子育てができる環境を整えること、これが重要でございます。

 今後とも、区市町村としっかり連携をしながら、待機児童の解消に向けて、保育サービスの整備をさらに加速をしてまいります。

質問7
 子供を安心して産み育てられる環境を整備するには、結婚から出産、子育てまでの切れ目ない支援が重要です。これについては、全体で十六億円増の二百三億円が計上され、今回、産婦健康診査支援事業や産後ケア支援事業が新規に盛り込まれており、母体の健康に目を向けていただいたことを評価します。

 こうした産後ケア支援事業も含め、妊娠期から出産、子育てにわたる切れ目ない支援について、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

答弁7
福祉保健局長
 妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援についてでありますが、都は、都民が安心して子供を産み育てられるよう、全ての妊婦を対象とした専門職による面接や、産後ケア等を行う区市町村を、ゆりかご・とうきょう事業を通じて支援をしております。

 来年度は、不妊治療費の助成対象を事実婚の方にも拡大するほか、より多くの区市町村が産後ケアを実施できるよう、産後ケアのみを行う場合にも補助を行います。

 また、産後鬱の予防等の観点から、出産後間もない産婦への健康診査を実施する区市町村を支援することとしており、今後とも、地域における妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援体制の整備を進めてまいります。

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高齢者施策

質問1
 次に、高齢者の方々への切れ目ない支援について質問します。

 私たちは、日本の高度経済成長を支え、今も元気で東京の活力を支え続けている高齢者の方々に敬意を払い、引き続き活躍し、東京の発展に尽くしていただけるような対策を求めていきたいと考えています。

 団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年には、東京都も超高齢化社会を迎えます。一口に高齢者といってもさまざまな方がおられます。元気な高齢者、虚弱な高齢者、介護が必要な高齢者、医療が必要な高齢者、遺言や身辺整理をする高齢者など、ニーズに応じて切れ目のない高齢者支援策を講じる必要があります。

 平成三十年度予算案では、元気な高齢者について、シニア就業応援プロジェクトに五億円、人生百年時代セカンドライフ応援事業に四億円などが計上されています。

 そして、生涯現役をキーワードに、高齢者が継続して学び、働くことを実現するために、百歳大学として、首都大学東京プレミアムカレッジの開設及び産業技術大学院大学シニアスタートアッププログラムの実施が計上されています。

 学位の取得を目的とした大学、大学院の課程や教養講座とは異なる百歳大学の意義と狙いについて、知事に伺います。

答弁1
知事
 百歳大学の意義と狙いについてのご質問がございました。

 我が国が人生百年時代を迎えようとしている中で、シニアの方にとって、学びの場は社会の中での居場所となり、新たな社会とのつながりを見つける機会ともなります。こうした学びの場を提供することは、東京に大きな活力をもたらす意義があるものと考えております。

 そのため、百歳大学では、趣味や教養の講座というよりも専門性の高い学びを志向するシニア、時間などの理由から大学入学まではためらうシニアに、一定期間で本格的な学びと実践的なスキルが身につくカリキュラムを提供してまいります。

 具体的には、コンパクトに体系的な学びを求めるシニアには、首都大学東京にプレミアムカレッジを、起業等を目指すシニア向けには、専門職大学院であります産業技術大学院大学にシニアスタートアッププログラムを開講いたします。

 生涯現役を合い言葉に、シニアの方々が名刺のかわりに学生証を持って、若い世代の学生とも同じキャンパスで交流しながら、九十歳でも百歳でも元気に学べる場を提供してまいります。

 長年、経験を培ってこられたシニアの方々に、改めて学び直す機会を提供することによりまして、これを契機にさらに深い学びを探究する道へ進んだり、起業や社会貢献にもチャレンジするなど、学び直しの新しいモデルを東京から発信してまいりたいと考えております。

質問2
 元気な高齢者がいつまでも健康を維持して活躍できるよう、健康維持、回復のための対策も重要です。

 フレイルとは、新しい言葉ですが、加齢とともに体重の減少、疲れやすい、歩く速度が遅くなる、握力や活動量の低下、気力の衰えなど、運動機能や認知機能が低下し心身の脆弱性が見られるようになった状態ですが、適切な支援により、生活機能の維持向上が可能な状態のことをいいます。

 この段階で適切な支援策を講じれば、また元気を取り戻し、介護も必要なくなるため、高齢者対策としては極めて効果的であり、かつ、元気な生活を続けたい高齢者のニーズも高いものがあります。

 都は今後、フレイル対策にどのように取り組んでいくのか伺います。

答弁2
福祉保健局長
 フレイル対策についてでありますが、フレイルを予防するためには、健康なときからの生活習慣病の予防や、衰えを感じてきてからの回復に向けたリハビリテーション、社会とのつながりを保ち続けることなど、保健、医療、介護、生活福祉など、さまざまな分野が連携して取り組むことが重要でございます。

 今回改定する東京都保健医療計画では、新たにフレイル、ロコモティブシンドロームの予防を、生涯を通じた健康づくりの推進策の一つに位置づけ、加齢に伴い低下する運動機能や認知機能を維持するための生活習慣の改善、住民主体の通いの場づくりを推進する区市町村を支援することとしており、関係団体や区市町村と、関連のセクションが分野を超え密接に連携しながら、フレイル予防に取り組んでまいります。

質問3
 これからの十年間は、東京都の超高齢化社会への正念場です。

 東京都では、現時点においても約四五%が単身世帯であり、高齢者の単身世帯は、超高齢化社会を迎えて急増することが予測されています。高齢者が住みなれた地域で暮らせるよう支援するための取り組みが都民提案事業として計上され、平成三十年度予算では、高齢者の住まいの整備や暮らしへの支援も充実されています。

 策定中の平成三十年度から三十二年度を計画期間とする第七期東京都高齢者福祉保健計画では、平成三十七年度までに特別養護老人ホームは六万二千人分、介護老人保健施設は三万人分、認知症高齢者グループホームは二万人分、サービスつき高齢者向け住宅等は二万八千戸と、それぞれ数値目標が設定されています。

 この計画の目標をどのように設定したのか、また、今後、目標達成に向けどのように取り組んでいくのか伺います。

答弁3
福祉保健局長
 第七期高齢者保健福祉計画の整備目標についてでありますが、計画では、介護サービス基盤の整備や、高齢者の住まいの確保などの七つの重点分野を定め、高齢者施策を推進することとしており、特別養護老人ホーム等の整備目標については、高齢者人口の将来推計や、区市町村のサービス見込み量等を踏まえて設定をしております。

 都は、介護サービス基盤の整備を進めるため、都有地の減額貸付、土地賃借料の負担軽減、整備率が低い地域の整備費補助への加算など、さまざまな独自の支援策を講じております。

 今後、単身や夫婦のみの高齢者世帯が増加している東京の状況を踏まえ、住みなれた地域で安心して暮らし続けられるよう、介護サービス基盤の整備や高齢者の住まいの確保に積極的に取り組んでまいります。

質問4
 また、高齢者の生活を守るための方策として、オレオレ詐欺を初め特殊詐欺対策は欠かせません。手口も巧妙化して、現金を詐取する手口から、警官やデパートをかたってキャッシュカードなどを詐取する手口もふえています。

 被害防止対策としては、金融機関との連携はもとより、コンビニとの連携、無人ATM対策、犯人からの電話に出ないための対策を強化する必要がありますが、被害者となりやすい高齢者などに周知を図るための広報啓発活動強化や被害防止に向けた取り組みについて、警視総監の見解を伺います。

答弁4
警視総監
 特殊詐欺の被害防止対策についてでありますが、昨年の特殊詐欺認知件数は、九年ぶりに三千件を超え、被害額は約七十九億八千万円に達してしまいました。

 特に、オレレオレ詐欺のうち、警察官や百貨店店員等を装ってキャッシュカードをだまし取る手口や還付金等詐欺が大幅に増加をいたしました。

 警視庁では、こうした特殊詐欺被害の危機的状況を踏まえまして、副総監を本部長とする特殊詐欺対策プロジェクトを立ち上げ、犯行グループの背後に見え隠れいたします暴力団や準暴力団、非行集団等の取り締まりを含めまして、部門横断の体制によりまして、検挙、抑止体制の強化を図っております。

 また、犯人からの電話に出ないための対策、無人ATM対策及び電子マネー対策を推進いたしますとともに、自治体を初めとする関係機関等との連携を強化し、自動通話録音機の設置のさらなる促進のほか、被害者となりやすい高齢者世帯に対する戸別訪問などによりまして、被害防止に関する一層の周知を図ってまいります。

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人材育成、働き方改革

質問1
 少子高齢化社会を支え、東京を活力ある都市としていくには、人材育成が必要です。産業別雇用の動向を見ると、医療、福祉での雇用が大幅に増加し、建設業、製造業での雇用が減少しており、少子高齢化に対応する人材の育成、定着対策が急務となっています。

 大学、短期大学、高等専門学校及び専修学校の新卒の就職率は九七%前後となっていますが、大学卒の就職者は、一年目、二年目、三年目それぞれ一割ずつ、三年間で三割が離職するというデータもあります。離職後の職業教育の場の充実は重要で、平成三十年度予算では、専修学校の職業実践専門課程への支援二億円の予算が計上されています。

 そこで、専門学校の教育資源や企業のノウハウを活用してのスキルアップ向上にさらに注力していくべきであると考えますが、見解を伺います。

答弁1
生活文化局長
 専門学校の教育資源や企業のノウハウを活用したスキルアップについてでございます。

 専門学校は、みずから培った職業教育に関する技術や知識といった教育資源を活用し、さまざまな分野の専門人材の育成に大きな役割を果たしていると認識しております。

 都は、福祉やものづくりなどの現場で、学生が卒業後、即戦力として活躍できるように、企業などと密接に連携し、より実践的な職業教育を実施する職業実践専門課程を設置する専門学校に対しまして、新たに補助を行うことといたしました。

 この補助制度によりまして、職業教育の質を高めることで、学生のスキルアップを図り、東京の産業を支える人材の質の向上に結びつけてまいります。

質問2
 次に、働き方改革について質問します。

 東京で働くサラリーマンの体力消耗の原因として、満員電車による通勤があります。

 このため、今年度の時差ビズでは、時差通勤やオフピーク通勤者への特典付与などの取り組みが一斉に実施されました。

 例えば、都営の日暮里・舎人ライナー、大江戸線などで、ラッシュアワー前後の乗客にポイントを付与し、景品をつけるという企画が行われました。

 今後、さらに多くの人に参加していただくには、地下鉄の回数券のように、ICT技術を活用した通勤時間帯ごとの運賃設定など、新たな工夫も必要だと考えますが、相互乗り入れにより全ての鉄道事業者で実施することが必要であるなど、実現するには課題もあります。

 そこで、まずは今年度から始めた時差ビズを推進し、さらなる拡大と定着に向けて取り組むべきであると考えますが、見解を伺います。

答弁2
東京都技監
 時差ビズについてでございます。昨年夏に実施した時差ビズでは約三百二十社の企業に賛同いただき、オフピーク通勤を促進する取り組みを一斉に行いました。民間のインターネット調査では、認知率が七割を超えたとの結果が得られてございます。

 この機運をさらに醸成させるため、来年度は経済団体や業界団体との連携を強化し、より幅広く企業に対して参加を呼びかけるとともに、夏と冬の二回実施して、日数もふやしてまいります。また、鉄道事業者には、オフピーク通勤者に対する特典の付与や早朝における臨時列車の運行など、取り組みの拡大を働きかけてまいります。

 時差ビズが新たな常識となるよう、企業や鉄道事業者などと連携して、さまざまな創意工夫を取り入れながら、ムーブメントの輪をさらに広げてまいります。

質問3
 また、働き方改革の基本は、労働が正当に評価されることです。この観点から、東京都における同一労働同一賃金への取り組み及び非正規雇用を正規雇用へと転換するための取り組みについて伺います。

答弁3
産業労働局長
 非正規雇用対策についてでございますが、働き方の選択肢を広げ、誰もが意欲を持って働くためには、非正規労働者の処遇改善や雇用の安定を図ることが重要でございます。

 都はこれまで、企業に対する普及啓発や専門家派遣等を通じて、公正な待遇確保に向けた雇用環境の整備を推進するほか、都独自の助成事業により社内での正社員転換を促進してまいりました。

 来年度は、非正規労働者を多く雇用する企業に対して、経営者への個別コンサルティングや従業員向けのスキルアップセミナーを実施し、企業の実情に応じた処遇改善を後押しいたします。また、正規雇用に転換した従業員が安心して働き続けられるよう、計画的な育成に取り組む企業への助成制度も創設をいたします。

 こうした取り組みにより、非正規労働者が、希望や能力に応じて活躍できる雇用環境整備を支援してまいります。

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文化振興、商店街振興、観光振興等

質問1
 次に、Old meets New東京キャンペーンなどの東京都の魅力発掘、発信について質問します。

 二〇二〇年東京大会に向けて、多くの文化プログラムの展開や各種事業が実施されます。

 これらの事業においては、東京の伝統的な文化や、現代の東京が持つ先進的かつ近代的な文化を観光的資源としても国内外に発信しつつ、多摩や島しょ、全国各地と連携したプロモーションを展開すべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 文化プログラムの展開についてでございます。

 オリンピック・パラリンピックは、スポーツの祭典であるとともに、文化の祭典でもございます。都では、リオ大会以降、東京二〇二〇大会までの間、東京キャラバン、TURNなどのさまざまな文化プログラムを展開しております。

 しかし、こうした取り組みが多くの人から認知をされ、注目を集めるには、斬新な発想を取り入れた事業の充実や、訴求力の高いブランディング戦略が必要でございます。

 そこで、国内外から最も注目が集まる二〇二〇年大会の期間を含む約半年間に実施する東京文化プログラムをTokyo Tokyo FESTIVALと銘打ちまして、展開することといたしております。

 今後、これまで伝統文化や音楽、美術などさまざまな分野で展開してきたプログラムに加えまして、幅広い方々からのアイデアをいただいて、耳目を集める新たなイベントを企画するなど、都内を初め全国の自治体とも連携を図りながら、伝統と革新が融合した東京の文化の魅力を、より力強く発信をしてまいります。

 さらに、来年度からは、Tokyo Tokyo FESTIVALの認知度を高めるため、国内外から注目されますPRイベントの開催などを通じて、ブランドの強化にも取り組んでまいります。

質問2
 銭湯は江戸時代から庶民の生活に浸透した日本文化です。しかし、銭湯の数は平成三十年一月現在五百六十一軒と、最盛期の昭和四十三年の二千六百八十七軒から減少の一途をたどっています。これまでの都の支援が効果的に働いているとまではいえない状態であり、新しい支援策が必要であるということについて、これまで委員会等でも指摘させていただいております。

 今後は、単なる補助ではなく、事業継承を念頭に置いた具体的で確実なアプローチが必要と考えます。

 銭湯を江戸の文化として応援してこられた知事の見解を伺います。

答弁2
知事
 公衆浴場についてでございます。

 銭湯は、衣類を包んだ風呂敷の由来となるなど、江戸時代から引き続く伝統的な生活文化であります。また、今日では、地域交流や高齢者の見守りの場だけでなく、東京を訪れる外国人が日本の歴史、文化を体験する場ともなっております。

 都はこれまでも、施設整備や利用促進などへの補助を通じ、経営の安定化などを図ってまいりましたが、依然として後継者不足等の切実な課題に直面しています。

 そこで、私は、江戸以来の東京の伝統ある銭湯を守るため、今年度、有識者によります会議体を設けまして、事業承継に関する取り組みを含めた幅広い公衆浴場の活性化策をまとめたところでございます。

 まずは来年度から、浴場の後継者、参入希望者などに向けまして、経営ノウハウを実践的に学ぶ場や、転廃業を考えている経営者とのマッチングの機会を提供するなど、円滑に事業が承継されますよう、支援に取り組んでまいります。

 こうした公衆浴場への支援を通じまして、都民が活力あふれる毎日を送れるように、まちの元気を創出してまいります。

質問3
 また、魅力ある商店街も東京の魅力です。商店街の活性化は都にとっても重要な課題であり、時代の変化に応じた効果的な支援を行うことが必要です。大型ショッピングモールや主要な街道沿いに展開されるナショナルチェーン店の出店が続く中、こうした商業施設にない地域性、商店街固有の文化や特徴を生かし、顧客の購買意欲に合致する品ぞろえをするなど、商店街の強みを踏まえた、地に足のついた取り組みの上に商店街の維持発展があります。

 昨今では、空き店舗を活用して女性や若者が起業するなど、個性あふれる店を開く人も出てきています。

 都として、空き店舗の解消とともに、商店街の戦略的な取り組みへの支援に力を注ぐべきと考えますが、見解を伺います。

答弁3
産業労働局長
 商店街の振興についてでございますが、都内の商店街が買い物客でにぎわい、商業活動の拠点として発展を続けられるよう、各商店街の戦略的な取り組みを着実にサポートすることは重要でございます。

 このため、都は、空き店舗を活用し、意欲的に商売に取り組む人材の確保を支援するとともに、新しい発想を持ち、将来のリーダーとなり得る若者や女性の出店を積極的に後押ししております。

 来年度は、商店街での起業や事業の承継に必要となる経費への支援のほか、女性等が商店街で新たな発想により開業する場合の補助制度の充実を図ります。

 また、若者や女性が商店街で販売や経営の経験を積むことのできるチャレンジショップを増設いたします。

 これらにより、商店街への効果的な支援を展開してまいります。

質問4
 さらに、町会や自治会といった地域のつながりも、祭りなどの東京の魅力を支えています。都内における在住外国人の数は、平成二十九年十二月現在で五十二万二千十九人を数え、東京都の人口動態は、少子高齢化や共働き率増加に加え、多文化共生という新たな課題を示しています。

 町会、自治会といった地域の底力を高める予算は増大傾向にあるものの、都民がお互いに支え合うNPO法人などの共助の活動をワンストップで支援する体制が、いまだ東京都には構築されていません。

 二〇二〇年東京大会を契機に活躍を期待される大会関連ボランティアの、大会後の活動継続支援なども含む機関が新しく必要であると考えますが、見解を伺います。

答弁4
生活文化局長
 都民活動の新たな支援についてでございます。

 超高齢化の進展や在住外国人の増加等を受けまして、高齢者の活躍の場づくりや外国人支援を行うNPO等の活動の強化が必要となっております。

 これまでも、町会、自治会やNPOなどへの支援に取り組んでまいりましたが、大会を契機としたボランティア機運の高まりを継続し、共助、多文化共生社会を支える活動への都民の参加を促進することが重要でございます。

 具体的には、より多くの都民が主体的に活動できるよう、都内に集積する企業や大学、NPO等への働きかけや、活動に必要な情報の集約、提供などを総合的に行う体制の強化が必要でございます。

 そのため、都は来年度から、新たな支援の仕組みやその実施体制について検討を進め、人が人を支える共助、多文化共生社会を実現してまいります。

質問5
 新しい消費のスタイル、エシカル消費も、国際都市東京が取り組むべき課題です。

 本年三月に改定される東京都消費生活基本計画は、仮想通貨を初め、新たな消費生活トラブルに対応するため、消費生活相談の充実、SNSや動画を活用した都民へのタイムリーな情報発信、悪質事業者の取り締まりを強化すること、消費者の持続可能な社会の形成に貢献する消費行動を促進するため、エシカル消費の理念を広く都民に普及啓発し、理解の促進を図るとしています。

 しかし、都民の消費生活に関する意識調査における若者のエシカル調査の認知度は、知っているが六・一%と低い状況となっています。

 エシカル消費の認知度を高めるだけでなく、具体的な行動につなげるため、都はどのように取り組みを実施していくのかを伺います。

答弁5
生活文化局長
 エシカル消費に係る取り組みについてでございます。

 人や社会、環境に配慮した消費行動であるエシカル消費は、持続可能な社会の形成に貢献するものでございます。これを社会に普及させるためには、まずは、消費者が社会の一員として、その意義を理解して行動することが重要でございます。

 そのため、都は、来年度を初年度とする東京都消費生活基本計画におきまして、エシカル消費を都民にわかりやすく紹介する動画の作成や、ホームページ上に誰もが身近に感じて実践できる事例を掲載した特設ページを設けるなど、情報発信を行うことを明記いたしました。

 さらに、若者が集まるイベントや都民向けの消費生活講座における普及啓発も活用いたしまして、できるところから、無理のない範囲でエシカル消費を選択する行動につなげてまいります。

質問6
 東京を訪れる外国の方々に東京を安全・安心に楽しんでいただくためには、タクシーのICT化、多言語対応は急務です。

 私たちも、さきの定例会で、タクシーの多言語対応端末導入補助を提案し、タクシーの多言語化、ICT化を進めてきました。

 一方、現在、世界では、配車アプリの利用が一般的になっています。日本のタクシー会社もそれぞれ独自の配車アプリを提供していますが、多言語対応していないなど、日本を訪れる外国人には普及していません。

 二〇二〇年東京大会に向けて、グローバル都市東京として、外国人観光客も利用しやすい配車アプリの普及や多言語対応の充実は、世界の他都市と同様、円滑な交通サービスを提供するために必要だと考えますが、都の取り組みについて伺います。

答弁6
産業労働局長
 外国人旅行者のタクシー利用についてでございますが、タクシーは、観光スポットを自由に、時間帯等を選ばずにめぐることができる有効な交通手段であり、東京二〇二〇大会に向けて、多言語対応等を図っていく必要がございます。

 このため、都は、タクシー運転手と外国人利用者の会話を手助けする多言語コールセンターサービスを提供しているところでございます。

 来年度からは、さらなる利便性の向上を図るため、より多くの言語での通訳や、決済手段としても活用できるタブレット端末の導入に向けた調査を行い、その結果を踏まえ、都内タクシー事業者への支援を実施いたします。

 また、外国人旅行者の配車アプリのニーズ等についても調査項目に加え、事業者への情報提供を行うことといたしております。

 これらを通じまして、外国人旅行者の受け入れ環境の向上を図る取り組みを促進してまいります。

質問7
 東京の魅力を拡大するにはナイトライフの充実が必要ですが、足の確保が課題です。ICTを活用し、ナイトライフを楽しむ人の傾向を予測し、タクシーのさらなる活用やコミニティバスを運行するなどの経済合理性に合致した方法もあります。

 そこで、二〇二〇年東京大会期間中、深夜時間帯の都営地下鉄の輸送対応の可能性について、交通局の見解を伺います。

答弁7
交通局長
 大会期間中の深夜輸送対応の可能性についてでございますが、都営地下鉄では、通常、終電から始発までの限られた時間帯に、安全で安定的な輸送を確保するためのさまざまな保守点検作業を実施するとともに、ホームドアやエレベーターの設置工事等も行ってございます。

 一方、立候補ファイルにおきましては、大会期間中は、一部の競技において競技終了時間が深夜時間帯に及ぶものとされておりますことから、深夜時間帯の観客輸送を想定し、夜間の作業を大会期間の前後に振り分けて実施することなどにつきまして、局内で検討を進めてございます。

 今後明らかとなります競技日程や輸送運営計画等を踏まえつつ、終電時刻の繰り下げを含む大会期間中の運行につきまして、組織委員会や他の鉄道事業者と緊密に連携をして具体化を図り、輸送需要に的確に対応してまいります。

質問8
 また、タクシーなどの移動手段を含めたナイトライフ観光の振興に向けた検討をすべきであると考えますが、都の見解を伺います。

答弁8
産業労働局長
 ナイトライフ観光の振興についてでございますが、夜間における外国人旅行者の観光の満足度を高めるためには、多様な観光資源の充実と効率的に移動ができる交通手段の確保が必要でございます。

 このため、都は、夜間のすぐれた景観をつくり出すため、観光協会等がライトアップを活用して集客効果を高める取り組みを後押ししております。また、鉄道やタクシーを利用して夜景や観光施設をめぐることができるモデルルートを作成し、海外に向けて発信をしているところでございます。

 来年度は、こうした取り組みを充実いたしますとともに、外国人旅行者に人気のスポットや深夜のタクシーの活用などを含めた交通面での課題等について調査し、ナイトライフ観光のさらなる推進につなげてまいります。

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安全対策、防災対策

質問1
 次に、もう一つの政策の柱、セーフシティー東京の実現について質問します。

 まず、安全対策について質問します。

 都民の安全な生活を脅かす犯罪も、高度な盗撮機器によるプライバシーの侵害や、つきまとい等の迷惑行為などへの変化が著しく、現行の迷惑防止条例では十分対処ができておらず、今定例会に条例改正案が提案されています。

 本条例の改正により、どのような行為が新たに取り締まりの対象となり、また、都民の安全を図るに当たり、本条例を施行する上での効果について、警視総監の見解を伺います。

答弁1
警視総監
 迷惑防止条例の改正により、新たに取り締まりの対象となる行為と本条例を施行する上での効果についてでありますが、盗撮行為の規制につきましては、学校や会社等のトイレ、更衣室のほか、プライベート空間であります住居、ホテル客室等での盗撮行為が新たに取り締まりの対象となります。

 また、つきまとい行為等の規制につきましては、SNSの連続送信やうろつき行為等、広く都民等に不安を覚えさせるような行為が新たに取り締まりの対象となります。

 首都東京の治安課題の一つであります人身安全関連事案に対する迅速かつ的確な対応を図っておりますところでありますが、本改正によりまして、前兆となる事案の段階における取り締まりが可能となることから、さらなる都民生活の安全につながるものと考えております。

質問2
 また、近年、都内の河川や運河などにおける一部の水上オートバイ等利用者による危険、迷惑航行が問題となっております。現行の東京都水上取締条例では、そのような航行の規制が困難として、条例の全部改正案が提案されています。

 本条例の改正により、どのような行為が新たに取り締まりの対象となり、また、都民の安全で静穏な生活を実現するために本条例をどのように運用していくのか、マリーナ事業者に係る規定を含めて警視総監の見解を伺います。

答弁2
警視総監
 東京都水上安全条例の運用等についてでありますが、当庁が実施をいたしました航行実態の調査や都民からのご要望を踏まえまして、条例案には、小型船舶の操縦者に対し、騒音や引き波に対応する遵守義務を規定するとともに、酒気帯び操縦、他の船舶と衝突の危険を生じさせるような方法で接近する等の危険な操縦、これを取り締まりの対象といたします。

 さらに、安全かつ快適な水上及び水辺の環境を実現するため、必要があると認めるときは、水域等を指定した航行制限等を検討いたします。

 また、マリーナ事業を届け出制といたしました上で、利用者の安全航行に関する遵守義務を定め、安全指導の面からも本条例案の適正な運用に努めてまいります。

質問3
 自転車は、観光、環境、健康などの多角的な観点から有効に活用すべき乗り物です。

 しかし、他方で、都心でも自転車が放置され、また、歩行者に危険な走行や車道の逆走、飲酒走行などもあり、都民の迷惑や交通事故の原因になっています。東京都も、平成二十九年には十七年ぶりに都内の交通事故が増加した大きな原因は、自転車事故であるとしています。

 そこで、自転車安全対策として、法規範の浸透を図るため、平成二十八年度から、自転車安全利用指導員制度により、限定された地域で指導の実績を積み重ねているものと理解していますが、これまでの実績と費用対効果を考えた都内全域に拡大する方法について伺います。

答弁3
青少年・治安対策本部長
 自転車安全利用指導員制度についてであります。

 昨年、自転車のいわゆるながらスマホ運転による死亡事故が発生し、過去には賠償額が一億円近い重大事故が起きた例もあることから、自転車事故を減らすには、安全利用に向けたルール、マナーの浸透が重要と考えております。

 本制度は、道路上に安全利用指導員を配置し指導等を実施するもので、平成二十八年度に江東区で試行的な取り組みを開始いたしました。

 本年度は、世田谷区、八王子市に拡大し、十二の交差点で実施しており、実施箇所及びその周辺では、違反や事故について一定の減少効果が見られたところであります。

 今後は、指導の効果をより広く波及させるため、実施地域の特性を踏まえ、指導員の配置場所をきめ細かく変更するなど、さまざまな条件下での実施効果を検証し、その結果を踏まえて、都内での効果的な展開を検討してまいります。

質問4
 また、都民提案を踏まえ、自転車点検整備事業を推進すると聞いていますが、TSマーク取得の目標値とこれがもたらす効果について、都の見解を伺います。

答弁4
青少年・治安対策本部長
 自転車点検整備事業についてであります。

 本事業は、都民からの事業提案を受け、自転車の定期的な点検整備を都民に促すことを目的に、自転車整備の重要性の普及啓発を行い、住民による自転車整備を支援する区市町村への補助事業として実施するものであります。

 自転車の定期的な点検整備は、自転車を安全に利用するために重要であり、自転車安全利用条例においても、点検整備を自転車利用者の努力義務として規定しております。

 本事業においては、点検整備の質を確保するため、自転車安全整備士により整備された自転車に付与されるTSマークの取得等を支援してまいります。

 今後、全ての自転車が適切に点検整備されるよう、都みずからも点検整備に関する啓発に取り組むとともに、区市町村の積極的な取り組みを喚起してまいります。

質問5
 二〇二〇年東京大会に向けて、羽田空港を使う飛行機が増便されます。増便に伴って飛行ルートが変更になり、飛行機の騒音や落下物に対して、都民は不安を抱いています。飛行場の管理や飛行機の管制は国の事業ですが、東京都は、都民の安全と健康、快適な生活環境を維持する責務を負っています。

 東京都としては、国に対し、都民の声を十分に聞いて対策を講じるよう求めるべきであると考えますが、知事の見解を伺います。

答弁5
知事
 羽田空港の機能の強化についてご質問がございました。

 東京の国際競争力の強化に向けまして、東京二〇二〇大会や、その後の航空需要に応え、国際便の就航をふやしていくためにも、羽田空港の容量の拡大は必要不可欠でございます。

 国が提案した飛行経路の見直しに対しまして、都は、地元への丁寧な情報提供と騒音影響を軽減する方策の検討、徹底した安全管理に取り組むことを国に要請してきたところでございます。

 これを受けまして国は、都内各地で、四期にわたってオープンハウス型の説明会を開催するなど、丁寧な説明と意見の把握に努めてきておりまして、今後も継続していく予定と聞いております。

 また、国は、騒音影響の軽減策といたしまして、低騒音機の導入促進に加えて、都の要請を受け、学校、病院等の防音工事に対します助成制度の拡充に取り組んでおります。安全対策につきましても、航空機のチェック体制の強化に加えて、新たに落下物防止対策の基準を策定するなど、総合的に対策を充実していくとしております。

 都は、引き続き国に対しまして、都民の理解が深まるよう騒音影響の軽減、安全管理の徹底、地元への丁寧な対応を求めまして、二〇二〇年までの機能強化の実現に向けて取り組んでまいります。

質問6
 二〇二〇年東京大会でのテロ対策について伺います。

 ミュンヘン・オリンピックでは選手が人質となり、ボストンマラソンでは沿道爆発により観衆が死亡するなど、大規模テロが発生しました。二〇二〇年東京大会における警戒に万全を期し、万が一、テロ発生時も、安全・安心を確保することが重要です。

 そこで、二〇二〇年東京大会に向け、競技会場を中心とした東京消防庁の警戒体制の強化について伺います。

答弁6
消防総監
 東京二〇二〇大会における警戒体制の強化に向けた取り組みについてでございます。

 大会開催時においては、通常の災害対応力を維持しながら、万全な警戒体制を構築していくことが重要であると認識しております。

 このため、本部庁舎内に東京二〇二〇大会に向けて新たにオペレーションセンターを整備し、各競技会場や選手村等の東京二〇二〇大会関連施設の警戒状況や災害対応などを一括管理する予定でございます。

 また、大会期間中に爆破テロ等の大規模な災害が発生した場合には、創設を計画しております高度な指揮権限を有する統合機動部隊で対応することとしております。

質問7
 また、事件や事故その他の事情により傷ついた人や病気を発症した人に対して、通報を受けてから素早く治療が受けられるよう、患者を救急搬送することが必要です。平成二十九年は一日二千百五十一件、四十秒に一回、救急車が出場し、八年連続過去最高を更新しています。

 そこで、増大する救急需要に対する東京消防庁の取り組みについて伺います。

答弁7
消防総監
 増大する救急需要に対する取り組みについてでございます。

 東京消防庁では、計画的に救急隊を増強してきたほか、不要不急な救急要請を抑制するために、救急相談センター、いわゆるシャープ七一一九の利用促進、医療機関と連携した転院搬送の抑制、救急車の適正利用の広報活動などを行ってまいりました。

 東京二〇二〇大会時に、現場到着時間を七分にすることを目標に、来年度は救急隊の増隊を引き続き計画するとともに、救急需要予測システムの構築、救急活動時間の短縮に向けた分析、シャープ七一一九の認知率の向上、高齢者の日常生活事故防止などに取り組んでいく予定でございます。

 今後とも、救急需要の増加要因を的確に把握し、効果的な対策を実施してまいります。

質問8
 次に、災害対策について質問します。

 本定例会では、セーフシティ東京防災プラン、都政のBCPの改定、東京都の災害時受援応援計画などが新たに報告されています。災害対策は、東京都など供給側による公助としての対策だけでなく、自助、共助の担い手である都民の目線に立って、都民の理解と共感を得ながら、効果的に防災対策を進めていくことが重要と考えますが、知事の見解を伺います。

答弁8
知事
 効果的な防災対策の推進についてのご質問でございます。

 首都直下地震を初め、さまざまな災害に対し、備えを万全なものとするためには、都民と都が一体となって対策を進めていくことは重要でございます。

 そのため、公助の施策内容や効果とともに、自助、共助の取り組みの必要性などについて、都民一人一人に理解と共感していただくことも不可欠でございます。

 こうしたことから、都では、災害対策の内容をわかりやすく説明することを追求いたしましたセーフシティ東京防災プランを新たに策定することといたしました。

 このプランでは、自然災害の脅威や防災施策の体系とその効果を、図表、グラフなどを用いてわかりやすく示すとともに、毎年度、取り組みの進捗を公表することで、達成状況を広く共有するなど、実効性を高める工夫を凝らしております。

 都は、セーフシティ東京防災プランによりまして、公助の取り組みをスピード感を持って進めるとともに、自助、共助の取り組みをさらに促進することで、防災対策を一層効果的に進めて、セーフシティーの実現を加速させてまいります。

質問9
 また、災害に備えての一時滞在施設の確保や、従業員の施設内待機のための備蓄品の確保に向けた取り組みについて伺います。

答弁9
総務局長
 帰宅困難者対策についてですが、大規模災害時に救命救急活動や緊急車両の通行に支障を生じないよう、都は、発災時にはむやみに移動を開始しないことを広く都民、事業者にお願いをしております。

 都はこれまで、発災時に従業員が職場にとどまれるよう、経済団体等と連携し、三日分の備蓄確保について普及啓発に取り組んでいます。また、帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設の確保に向け、備蓄品購入費や施設等の整備費に対する補助を実施するなどの取り組みを進めております。

 今後、従業員向けの備蓄や帰宅困難者の受け入れを呼びかける動画の作成などを通じて、より多くの事業者に協力を呼びかけるとともに、大学などの大規模施設に対して、重点的に施設確保への協力を要請するなど、事業者の協力を得つつ、着実に取り組みを推進してまいります。

質問10
 防災、減災の要諦は、都民の防災意識の向上であります。女性の視点防災ブック「東京くらし防災」の配布が三月一日から開始されました。災害時の女性のニーズにきめ細かく対応するため、女性の視点を防災活動に反映することは大変重要と考えます。

 そこで、女性防災リーダーを育成するため、育成カリキュラムなどの充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。

答弁10
総務局長
 女性防災人材の育成カリキュラムについてですが、災害時の活動に女性の視点を反映するためには、防災分野で活躍する女性人材を育成していく必要がございます。

 そのためには、実践的なノウハウを学ぶことが重要であり、都は、有識者を委員とした検討会議を開催し、被災地の経験や災害医療の知見を生かした、女性防災人材の育成カリキュラムを新たに策定いたしました。

 ここでは、避難所運営など、地域の活動に加え、多くの人が自宅から離れたところで被災する可能性がある東京の特性を踏まえ、職場における安全確保や帰宅困難者となった場合の適切な行動についても学べるものとしております。

 今後とも、防災活動の核となる女性の人材育成を積極的に推進していくため、受講者の意見を聞くなど、カリキュラムの改善、充実を図ってまいります。

質問11
 異常気象の影響により、大都市部でも局地的かつ集中的な豪雨が頻発しており、道路や住宅の冠水などが起きています。

 このような都市型水害に対処するため、新たな整備方針に対応する七つの調節池等の整備を推進していますが、都市型水害対策においても、ハードの対策だけでなく、ハザードマップなどによる住民に対するソフト対策も必要です。都民への情報提供はどうなっているか、伺います。

答弁11
建設局長
 水害に対するソフト対策についてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、河川や下水道施設の整備などハード対策に加えまして、住民の避難等に資するソフト対策を進めることが重要でございます。

 都は、河川と下水道が一体となった浸水シミュレーションによりまして、東海豪雨規模の浸水予想区域図を平成十三年度から公表してまいりました。区市は、これをもとにハザードマップを作成し、住民に周知しております。

 平成二十七年の水防法改正を受けまして、都は、現在想定し得る最大規模の降雨を用いまして区域図の見直し作業を進めております。

 さらに、洪水氾濫による被害の軽減を目的としまして、平成二十九年に東京都管理河川の氾濫に関する減災協議会を設置し、住民の避難に必要な情報の的確な周知等につきまして検討を進めております。

 引き続き、区市町村など関係機関と連携しまして、全力で水害対策を推進してまいります。

質問12
 また、河川の整備に当たっては、洪水対策だけでなく、地域住民の声や河川の特性を踏まえながら、緑や生態系への配慮など、自然を生かしたグリーンインフラとしての整備を推進していくべきと考えますが、見解を伺います。

答弁12
建設局長
 グリーンインフラとしての河川整備についてでございますが、河川は都市に残された貴重な水辺空間でございまして、親水性や生態系にも配慮した川づくりを進めるためには、水害対策に万全を期した上で、自然の多様な機能を生かすグリーンインフラを活用することが重要でございます。

 河川の整備に当たりましては、これまで、緑豊かな緩傾斜型護岸や自然石を用いた石積み護岸の整備、湧水の保全など、自然を生かした取り組みを行ってまいりました。

 これらの取り組みの一層の推進を図るため、平成三十年度は、旧河川敷を活用した緑地の創出や自然環境に配慮した調節池、河川管理用通路の透水性舗装など、グリーンインフラとしての機能を持つ河川整備につきまして、新たに検討いたします。

 今後とも、地域住民の声も聞きながら、環境に配慮した潤いのある水辺空間の保全や創出に積極的に取り組んでまいります。

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環境政策

質問1
 次に、スマートシティー東京の実現について質問します。

 まず、スマートエネルギー都市東京について伺います。

 世界では、再生可能エネルギーはビジネスとして拡大中です。既に、世界最大の再生可能エネルギー大国は中国になっており、日本はその後塵を拝しています。東京都は巨大なエネルギー消費都市であり、再生可能エネルギー電力を使うことにより、需要面から再生可能エネルギーの拡大に寄与することができます。

 そこで、東京都のスマートエネルギー都庁行動計画において、一〇〇%再生可能エネルギーを目指し、短期、中期、長期の工程表を策定すべきと考えますが、都の考えを伺います。

答弁1
環境局長
 スマートエネルギー都庁行動計画についてでありますが、都は、都みずからの温室効果ガスの削減等を率先して推進するため、五年ごとに行動計画を定めております。

 第四期の計画である現行計画においては、二〇一九年度末までに太陽光発電を新たに四千二百キロワット導入するとともに、電力を購入する際には、二〇%以上の再生可能エネルギーを供給する電力会社と契約することを望ましい水準として設定をしております。

 計画の二年目となる昨年度末には、既に約二千六百キロワットまで太陽光発電の導入が進んでおります。また、再生可能エネルギー比率が二〇%以上の電力を購入する施設は、現在、約二百施設まで拡大しているところでございます。

 今後とも、計画の改定に合わせ、目標を高めながら、再生可能エネルギーの普及拡大に努めてまいります。

質問2
 また、都庁最大の排出者は下水道ですが、下水道局の温室効果ガスの排出削減への取り組みについて伺います。

答弁2
下水道局長
 下水道局における温室効果ガス排出削減への取り組みについてでございますが、当局が排出している温室効果ガスの大部分は、水処理と汚泥処理の設備の運転に必要な電力及び燃料の使用に由来しております。

 このため、地球温暖化防止計画であるアースプラン二〇一七に基づき、水処理に必要な送風機を小型化するとともに、汚泥処理では、電力を大幅に削減できる省エネルギー型の濃縮機の導入などを進めてきております。

 これに加え、下水道事業では日本初のシステムとなる、汚泥焼却炉の廃熱を活用して必要な電気を自給できるエネルギー自立型焼却システムを、平成三十二年度から新河岸水再生センターで稼働させる予定でございます。

 これらの取り組みにより、二〇三〇年度までに二〇〇〇年度比で三十二万トンの温室効果ガスを削減することとしております。これは、区部の一・四倍の面積の森林が一年間に吸収する二酸化炭素の量に相当いたします。

 今後とも、スマートシティーの実現に向けた温室効果ガス削減対策に貢献してまいります。

質問3
 自動車では、ガソリン、ディーゼル車から電気自動車への転換が進んでおり、都も電気自動車の普及促進に六億円を計上しています。他方で、二〇二〇年東京大会に向けて、燃料電池自動車や燃料電池船のプロジェクトも、平成三十年度予算では三十三億円を計上して進んでいます。東京都内を走行する自動車の風景が一変する日も、そう遠くない未来に到来すると考えます。

 このような変化の過程にあるビジネスと連携しつつ、都の電気自動車、水素燃料自動車普及に対する基本的姿勢を伺います。

答弁3
知事
 EV、電気自動車や燃料電池自動車の普及についてのご質問でございます。

 昨年、イギリス、フランスが、二〇四〇年までにガソリン車やディーゼル車の販売禁止を表明するなど、世界は、自動車分野においても、脱炭素社会に向けて大きく動き始めております。

 日本におきましても、電気自動車を共同開発する会社の立ち上げや、民間十一社が水素ステーションの本格整備を目的といたしました新会社設立を目指すなど、事業者の取り組みは加速しております。

 都は、このような動きに的確に対応いたしまして、電気自動車や燃料電池自動車など、ゼロエミッションビークルの普及を後押ししてまいります。

 具体的には、来年度、インフラ整備や産業への影響など、普及に向けた課題を整理する調査を行うとともに、都民の約六割が居住する集合住宅、マンションなどにおける電気自動車への充電設備の導入促進を図ってまいります。

 また、都におきましても、率先して都有施設に充電設備を設置するとともに、庁有車の電気自動車への切りかえや、都営バスへの燃料電池バスの導入を拡大してまいります。

 このような取り組みによりまして、都民や事業者へゼロエミッションビークルへの選択を促すことで、CO2を排出しない環境先進都市、スマートシティーを目指してまいります。

質問4
 自動車をめぐるもう一つの大きな変化は、自動走行技術です。二〇二〇年東京大会は、世界に向けて日本の魅力を示すよい機会です。水素燃料自動車とともに、SFやアニメの世界で描かれてきた自動走行は、まさに未来を象徴するテクノロジーであり、例えば、日本の玄関口である羽田空港周辺地域や臨海地域などで自動走行の実証実験を行うことは、最先端の自動走行技術を国の内外に発信する絶好の機会になります。

 都は、昨年九月に東京自動走行ワンストップセンターを設置し、自動走行システムの実用化支援に着手しています。昨年末には、都内で全国初の遠隔型自動走行システムの公道実証が行われ、具体的な成果も出ています。

 海外では、制御技術、センシング技術の高度化の技術実証に加え、IT企業や新興企業が自動走行車による配車サービスの試験を行うと発表するなど、新たな移動サービスの実現に向けた動きが加速しており、まさにモビリティー革命の時代を迎えようとしています。

 そこで、世界の変化におくれることなく、自動走行バスや自動走行タクシーなどの移動サービスを実現させるためには、ビジネスモデル構築に向けた民間の取り組みを強力に後押しする必要がありますが、都の取り組みについて伺います。

答弁4
政策企画局長
 自動走行のビジネスモデルの構築支援についてでございますが、自動走行バスなどの移動サービスの実現は、まちの回遊性の向上や交通弱者の移動手段になるなど、多様な移動ニーズを抱える東京にとって大きな意義がございます。

 このため、来年度から新たに自動走行技術を使ったビジネスモデルとして、例えば、配車アプリを用いた送迎サービスを行う自動走行タクシーや、ロボット等による接客サービスを行う自動走行バスといった提案を民間事業者から募り、事業化に向けた支援を行ってまいります。

 この取り組みにより、移動サービスの事業可能性や技術的な課題等を明らかにし、早期の事業化を後押ししてまいります。

質問5
 自動走行システムの実現を促進するためには、民間の取り組みを支援することに加え、都民に対する目配りも重要になります。ある民間調査によると、自動運転走行の実用化へは、交通事故の減少、高齢者等の移動支援などに期待が集まる一方、自動運転走行システム自体の適切な操作、人通りの多いエリアでの走行、自動運転走行システム故障時の暴走、交通事故など、さまざまな点で不安があると回答しています。

 国においても、社会受容性を高める取り組みを行っていますが、今後多くの実証実験が見込まれる都内で実証実験を円滑に進めるためには、このような都民の不安を取り除き、自動走行について正しい理解をしてもらう必要があります。自動走行の普及啓発や機運醸成について、都の取り組みを伺います。

答弁5
政策企画局長
 自動走行の実証実験を推進するための普及啓発についてでございます。

 このような新しい技術が都民の理解、賛同を得て、地域社会の中で受け入れられることは、自動走行システムの実用化を促進するための不可欠な要素でございます。

 このため、来年度から新たに、一般都民向けに自動走行車の試乗会を行うとともに、国とも連携しながら、最新の技術動向や利便性、安全性などを紹介するシンポジウムを開催してまいります。

 こうした取り組みを通じ、自動走行システムを理解、体感していただくことで、都民の不安をできる限り解消し、自動走行の実証実験を円滑に進めるための環境づくりを行ってまいります。

質問6
 次に、省エネルギーのためのLED照明の導入について伺います。

 LED省エネムーブメント促進事業は、ことし七月で一年が経過しますが、協力いただいている関係団体、機関や地域の電気事業者との連携を深め、課題を整理しながら進めていくべきではないかと考えます。

 また、都有地や都の施設のLED照明の導入を加速するとともに、LED省エネムーブメント促進事業については、都民への周知の徹底に努めるとともに、区市町村と協力するなど、新しい発想での取り組みを進めるべきであると考えますが、都の見解を伺います。

答弁6
環境局長
 LED照明の導入促進についてでございますが、都有施設については、都の率先行動として、使用時間の長いものや都民の目に触れる機会の多い照明器具を、二〇二〇年度までにおおむね一〇〇%LED化することを目標として、計画的に導入しております。

 昨年七月に開始した家庭における省エネムーブメント促進事業につきましては、都民への周知を図るため、新聞折り込み情報誌への掲載や区市町村広報紙を活用したPRなどを行ってまいりました。また、ワイドコラボ協定締結企業等の協力を得て、顧客に対する周知も行っているところでございます。

 今後、都民のさらなる利便性の向上を図るため、新たに家電量販店での交換や区市町村等が開催するイベントにおける出張店舗の開設などを行い、省エネ効果の高いLED照明の普及につなげてまいります。

質問7
 次に、ことし九月に日本で初めて東京で開催される、国際水協会、IWA世界会議・展示会について伺います。

 国連では、持続可能な開発目標、いわゆるSDGsとして、二〇三〇年までに全ての人々に安全な水と衛生施設の確保が目標となっています。こうした状況の中で、東京都がこれまで培ってきた上下水道のすぐれた技術やノウハウを広く世界に発信することにより、世界の水事情改善に寄与することは大きな意義があります。

 今回の世界会議では、世界を取り巻く水問題解決に向けて、都の先進的な取り組みを積極的に発信していくとともに、都民の節水努力などの需要側の取り組みを紹介することが求められます。

 IWA世界会議を通じて世界の水問題の解決につなげていくために、開催都市としてどのような発信をすべきか、都知事の見解を伺います。

答弁7
知事
 二〇一八年、IWA世界会議における開催都市からの世界に向けた配信についてのご指摘がございました。

 水は、生活や都市活動に必要不可欠な資源でございますが、地震などの自然災害、地球温暖化に伴う気候変動、人口の増減や都市化による社会の状況変化など、さまざまな課題に直面しております。

 こうした課題を克服するため、今回の東京会議におきましては、将来にわたる持続可能な上下水道の実現と、幅広いリスクを予防する強さや、被害などから速やかに回復するしなやかさを備えた強靱性、いわゆるレジリエンスが主要なテーマとなっております。

 都におきましてはこれまでも、上下水道施設の耐震化、再生可能エネルギーの活用などによる環境負荷の低減、効率的な事業運営によります経営基盤の確立に努めまして、都市マネジメントを支える基幹ライフラインであります上下水道の安定的な運営に取り組んでまいりました。

 また、渇水時におけます節水PRや継続的な広報を通じまして、都民の節水意識の向上を図って、水の大切さを訴えてまいりました。

 世界会議の開会式におきましては、私みずから、開催都市のメッセージといたしまして、これらの取り組みをアピールするとともに、東京の将来を見据えた長期的な展望に立って、持続可能で強靱な上下水道システム、そして、それを支える都が誇るすぐれた技術等を発信いたしまして、世界の水問題の解決に貢献をしてまいります。

 そして、その成果を、東京二〇二〇大会の成功と将来にわたる東京の持続的な発展につなげてまいります。

質問8
 また、二〇一八年IWA開催に当たっては、技術の展示会だけでなく、商談スペースなどを設けてビジネスマッチングへつなげる工夫も行い、国内企業のPR活動を支援すべきだと考えますが、準備はどうなっているか伺います。

答弁8
水道局長
 IWA世界会議を通じた国内における水関係企業のPR活動の支援に関する準備状況についてでございますが、九月に東京ビッグサイトで開催される今回の会議では、国内外から約六千人が参加し、約二百の企業等が製品等をPRする大規模な展示会も同時に行われます。

 そこで、展示会場に八十を超える国内企業等が一体となって出展するジャパン・パビリオンを設け、日本のプレゼンス向上を図るとともに、ビジネスマッチングの機会を提供するための商談用スペースを充実させます。

 また、ビジネスフォーラムやセミナーの開催などを通じて、国内企業の製品や技術のPRを支援いたします。

 このような取り組みを通じて、企業のPR活動を積極的に支援する準備を着実に進め、日本の先進的な技術による世界の水問題解決につなげてまいります。

質問9
 次に、東京の緑や生き物の保護について伺います。

 生産緑地に対する三十年間の固定資産税や相続税の特例措置の期限が二〇二二年に到来します。所有者は、区市に買い取りを求めることができますが、区市に財政的な余裕がなければ、大量の土地が市場に放出され、地価の急激な下落や乱開発が行われるおそれがあります。

 生産緑地からの大量の宅地の供給という事態を緩和するため、また、少子高齢化を迎えて子供や高齢者のためにも用地を確保するため、区市が都市計画公園区域内の生産緑地を買い取る費用を都が補助する、生産緑地の買い取り支援の予算が計上されていますが、この狙いや期待する効果について、都の見解を伺います。

答弁9
東京都技監
 生産緑地の買い取り支援についてでございます。

 都市づくりのグランドデザインに掲げた、東京の緑の総量をこれ以上減らさないという目標の達成には、生産緑地の保全、活用が重要でございます。

 二〇二二年に指定から三十年が経過する生産緑地は、所有者から区市への買い取り申し出が可能となることから、宅地化等による大幅な減少が懸念されてございます。

 都は、二〇二二年に向け、区市が買い取り申し出に柔軟に対応するためのルールや体制を構築できるよう、来年度から、都市計画公園区域内の生産緑地を取得する区市に対し、助成を行うことといたしました。

 これにより、生産緑地を公園として整備する区市の意欲を引き出すとともに、農作業の体験の場や子供たちの遊び場など、地域に親しまれるオープンスペースとして次世代に継承してまいります。

質問10
 二〇二〇年東京大会において、都立葛西臨海公園に隣接するエリアは、カヌースラローム会場として整備され、特に内外から多くの注目を集めることになります。これと同時に、東京の豊かな水辺環境への注目度も高まるものと考えますが、現在準備を進めている葛西海浜公園のラムサール条約湿地登録に向けた取り組み状況について伺います。

答弁10
港湾局長
 葛西海浜公園のラムサール条約湿地への登録についてでございます。

 この公園は、冬には多くの渡り鳥が訪れ、最近の調査でも、条約の登録基準となります約二万羽のカモ類の飛来が確認できるなど、豊かな自然環境を有しております。

 こうした環境を次世代に引き継ぐためにも、ラムサール条約湿地への登録を実現し、東京の自然を世界にアピールすることにつなげていきたいと考えております。

 引き続き、国や地元区と連携し、必要な調査や関係者への調整を着実に進め、本年中の登録を目指してまいります。

 あわせて、条約では、ワイズユース、賢い利用との考え方がうたわれており、潮干狩りや海水浴体験など、都民が身近に海と親しみ、楽しめる利用をさらに進めてまいります。

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オリンピック・パラリンピック等

質問1
 次に、オリンピック・パラリンピックについて質問します。

 東京都では、二〇二〇年東京大会開催期間に当たる七月二十四日から九月六日までを重点期間として、みんなでラジオ体操プロジェクトを始めています。先日の市町村長との意見交換会でも、知事はラジオ体操への協力を要請されておられました。ラジオ体操は第一と第二があり、いつでもどこでも誰でもができる体操として、立って行うラジオ体操だけでなく、障害者や高齢者向けの座って行うラジオ体操も普及しています。

 この座ったラジオ体操を拡充すべきと考えますが、知事の考えを伺います。

答弁1
知事
 高齢者や障害者も参加できる座ったラジオ体操の普及、そしてラジオ体操そのものを全国に広げていく取り組みについてのご指摘がございました。

 東京二〇二〇大会の成功のためには、大会期間中の交通輸送の円滑化、都民、国民の理解と協力は、まさしく不可欠でございます。

 そこで、大会開催期間の周知を図るために、七月二十四日から九月六日までを重点期間と位置づけまして、みんなでラジオ体操プロジェクトを実施しているところでございます。

 来年度は、障害者や高齢者のさらなる参画を促すため、区市町村などにも幅広く声をかけまして、ご提案の座ったラジオ体操につきましても、重点期間のキックオフイベントやスポーツイベントなどで実施をしてまいります。

 また、ラジオ体操をさらに全国的に広げていくために、来年度新たに、国内外を問わず、ラジオ体操動画の応募を受け付けるサイトを立ち上げることといたしております。

 ラジオ体操の動画は、これまで二十二の自治体、六つの民間企業などから寄せられておりまして、今後、個人やグループ、海外などからの投稿も募って、公開していくことで、より多くの方が身近に東京二〇二〇大会を感じてくれること、これを期待いたしております。

 今後も、ラジオ体操を活用しまして、大会開催期間を広く都民、国民の間に浸透させて、みんなが気持ちを一つにして、東京二〇二〇大会を迎えられるように取り組んでまいります。

質問2
 また、オリ・パラの機運醸成のため、ラジオ体操をさらに全国に広げていく上でのアイデアについてもお伺いをいたします。

 オリンピック・パラリンピック大会が成功であるかどうかは、レガシーの構築に大きく関係します。二〇二〇年東京大会後、都民がどのような投資効果やレガシーを享受できると考えているか、知事の見解を伺います。

答弁2
知事
 東京二〇二〇大会のレガシーや投資効果についてのご質問がございました。

 東京二〇二〇大会を一過性のものとして終わらせるというのではなく、大会を契機といたしまして、あらゆる分野で東京を進化させ、都民生活の質の向上と持続的な成長を実現するレガシーを残すことは重要でございます。

 世界で初めて二度目の夏季パラリンピックを開催する都市といたしまして、真の共生社会の実現に向けて、高齢者や障害者、外国人旅行者など、誰もが優しさを感じられるバリアフリーのまちづくりを推進してまいります。

 また、スポーツを通じた健康づくりや、世界をリードする環境先進都市の実現、東京の芸術文化の世界への発信など、二〇二〇年に向けた実行プランに掲げましたハードとソフトのさまざまな分野で取り組みを推進してまいります。

 こうした取り組みによりまして発生する経済波及効果でございますが、大会開催に直接関係する投資や支出による効果を含めまして、二〇三〇年までに、都内では約二十兆円、全国で約三十二兆円が見込まれているところでございます。

 引き続き、大会後のレガシーを見据えた取り組みを推進いたしまして、都民一人一人をもっと輝かせ、持続的に成長する東京の礎を築いてまいります。

質問3
 また、大会開催に当たって都も多くの予算を負担する中、都民が開催してよかったと実感できるような大会にするためには、大会開催によるメリットを都民に実感していただくことが重要だと考えます。

 大会のレガシーや投資効果について、広く都民に説明する必要があると考えますが、都の見解を伺います。

答弁3
オリンピック・パラリンピック準備局長
 レガシーや投資効果の都民への説明についてでございます。

 大会を契機として東京にもたらされるレガシーや投資効果を多くの都民の方に知っていただくことは重要でございます。

 そのため、都は平成二十七年に、二〇二〇年に向けた東京都の取組を策定し、大会後のレガシーを見据えたハード、ソフト両面の取り組みを明らかにしております。加えて、昨年十二月には、本取り組みのPR冊子について、新たな動向を加え、わかりやすいポケットサイズの増刷版を発行し、機運醸成イベントで配布するなど、広く都民にPRをしております。

 また、投資効果につきましては、大会開催に伴う経済波及効果を講演会の場などを活用し、幅広く説明に努めております。

 こうしたPRをさまざまな機会を捉えて行うことによりまして、大会開催が東京にもたらす効果を都民にご理解いただけますように、取り組みを推進してまいります。

質問4
 さらに、少子高齢化時代でのパラリンピックは時宜を得たものであり、パラリンピックを契機として、東京のまちをユニバーサルデザイン化するだけでなく、都民の心のユニバーサルデザイン化を促進するべきであると考えますが、どのような施策を予定しているか伺います。

答弁4
福祉保健局長
 心のバリアフリーの推進についてでありますが、誰もが年齢や性別、障害の有無等にかかわらず、相互に尊重し、思いやることができる社会を実現するためには、心のバリアフリーの推進が必要でございます。

 そのため、都は、地域住民向けワークショップの開催や、まちづくりサポーターの養成等に取り組む区市町村を包括補助で支援しており、年度内には心のバリアフリーの理解促進や実践につなげるための具体的な事例を掲載したハンドブックを作成し、区市町村等に配布をいたします。

 来年度は、心のバリアフリーの普及啓発に取り組む企業等を登録し公表する、心のバリアフリーサポート企業連携事業を開始し、社会的機運の醸成を図ることとしており、パラリンピックの開催も見据え、心のバリアフリーに向けた取り組みを、より一層推進してまいります。

質問5
 大会後、施設をどのように管理し、活用していくかも大きな課題です。大会後のオリンピック・パラリンピック施設の運営については、他の開催都市の例も踏まえ、大会後の都民の満足度が高くなるような活用策を検討していく必要があると考えます。

 二〇二〇年東京大会が終われば、大会組織委員会はその役割を終えますが、東京都はその後の施設の管理や活用をしていかなければなりません。

 二〇二〇年東京大会後の国際大会の開催予定、施設の管理運営計画、経営計画など、その後の活用、維持管理について伺います。

答弁5
オリンピック・パラリンピック準備局長
 大会後の競技施設の運営についてでありますが、都はこれまで、外部有識者や民間事業者、競技団体など、幅広く意見を聞きながら、後利用の検討を進め、昨年四月、大会後の施設運営の指針となる新規恒久施設の施設運営計画を策定いたしました。その中で、新規恒久施設は、東京の新たなスポーツの拠点とするとともに、周辺施設とも連携して、地域の魅力やにぎわいを創出していくこととしております。

 この施設運営計画を踏まえ、来年度、各施設の運営事業者の選定に当たりまして、民間事業者等のノウハウや創意工夫を生かした具体的な事業計画を求めるなど、後利用の取り組みを一層充実させてまいります。

 早期に運営事業者を決定し、大会前の早い段階から国際大会や大規模イベントの開催に向けて取り組みを進めるなど、大会後の施設運営に万全を期してまいります。

質問6
 オリ・パラ施設の建設工事における安全確保も必要です。先日、オリンピック・パラリンピック選手村建設現場において、作業員の死亡事故が発生しました。昨年三月には、新国立競技場の建設工事に従事していた男性がみずから命を絶ち、過労が原因の労働災害と認定されています。こうしたことを二度と起こさないため、徹底した再発防止策を講じる必要があります。

 オリ・パラ工事に当たっては、安全対策の強化はもちろんのこと、作業環境の改善を図るべきだと考えますが、都の見解を伺います。

答弁6
オリンピック・パラリンピック準備局長
 オリンピック・パラリンピック関連工事におけます安全対策と作業環境の改善についてであります。

 工事に当たって、安全管理や適切な労働環境の確保に努めることは極めて重要であり、これまでも関係局を通じまして、違法行為等や不適切な労働環境がないことを確認し、受注者に対して法令遵守の徹底を指示してまいりました。

 今般、都が行う競技会場等の整備でこのような事故が発生することがないよう、改めて現場の安全点検を行うことや各作業員への周知を行うことなど、安全管理の一層の徹底を求めたところでございます。

 今後とも、都が行う会場整備を初めとしたオリンピック・パラリンピック関連工事における、さらなる安全管理の徹底と適正な労働環境の確保に関係局とともに努め、大会準備をしっかりと行ってまいります。

質問7
 平昌大会を視察して、開会式を初め、交通量が極端に多くなる開催期間中の交通マネジメントの重要性を実感しました。競技に向かう選手にとって、会場への円滑なアクセスは、ストレスを減らすばかりか、大会そのものへの印象を大きく変えるものとなります。

 そこで、築地の車両基地の運用について伺います。

 現在、築地に予定されている車両基地にはバス八百五十台が待機し、選手村の晴海から競技施設へ選手を送迎する計画で、環状二号線を使用することになっています。円滑な選手の送迎に向けての築地の車両基地からの交通計画、マネジメントの取り組みについて伺います。

答弁7
オリンピック・パラリンピック準備局長
 選手輸送の取り組みについてでございます。

 大会時に円滑に選手を会場まで送迎することは、大会成功の鍵となる重要な事項であると認識しております。築地に予定する車両基地は、選手村に近接しており、最大規模の送迎車両数を配置する予定でございます。

 現在、大会時における周辺道路の交通状況の予測を行っておりまして、今後、競技日程の決定に合わせ、大会車両を加えた詳細な車両運用を検討してまいります。

 また、大会時には、道路交通状況の見通しなどの情報を積極的に提供し、移動時間の変更や混雑箇所の回避を促す呼びかけを行い、交通量を抑制する交通需要マネジメントを実施するなど、円滑な大会輸送の実現と都市活動との両立を図ってまいります。

質問8
 また、開会式は特別な対応が求められます。平昌大会では、開会式が終わった後も送迎用のバスがなかなか到着せず、来場客が長時間にわたって会場周辺で待機を余儀なくされるなどの混乱がありました。

 特に開会式においては、世界のVIP車両、大会関係車両の待機場所を確保するとともに、公共交通を利用する来場客の動線を安全に確保する必要があります。

 オリ・パラ局においては、交通管理者である警視庁と緊密に連携をとりながら、綿密な計画を立てる必要があると考えますが、準備状況について伺います。

答弁8
オリンピック・パラリンピック準備局長
 大会時におけます輸送計画についてでございます。

 開会式を初め、大会時の安全で円滑な大会輸送を実施するためには、警察庁や警視庁などの交通管理者と緊密に連携することが重要でございます。

 大会時の関係者輸送等につきましては、警察庁や警視庁、国土交通省等の関係省庁に加え、鉄道事業者、物流事業者などとさまざまな観点から議論を進め、昨年六月には、輸送運営計画バージョンワンで大会輸送の基本的な考え方を取りまとめ、公表いたしました。

 大会の成功に向け、警視庁を初めとした関係機関と綿密に連携し、具体的な輸送計画や安全対策等について、来年度末を目途に輸送運営計画バージョンツー案として取りまとめ、安全で円滑な大会輸送の実現に努めてまいります。

質問9
 感動をより多くの方に、より躍動的に、より印象的に伝えるための取り組みとして、平昌大会で用いられた、会場外にいる観客に感動を伝えるパブリックビューイングがあります。

 東京大会では、世界一の技術力を駆使した最高のライブサイトを設置して、会場に入れない多数の観客に感動を伝えていただきたいと考えますが、ライブサイトの取り組みについて伺います。

答弁9
オリンピック・パラリンピック準備局長
 東京二〇二〇大会のライブサイトについてでございます。

 大会チケットを持つ人も持たない人も、国内外から訪れる多くの人々が集い、大会のすばらしさと感動を分かち合うことができる場を創出することは、大会の成功のために重要でございます。

 このため、都では、リオ及び平昌大会の際に都内各所と被災地でライブサイトを開催し、競技のライブ中継を実施いたしました。あわせて、各種スポーツ体験、大学や地域団体等による文化発信とともに、ボランティアや警備、暑さ対策等のトライアルも行ってまいりました。

 今後、さらに競技のライブ中継以外の要素も充実させ、多様な内容で多くの人々が楽しめるライブサイトを目指すとともに、先端技術の活用も進め、IOCや組織委員会と協議しながら、大会本番の準備に取り組んでまいります。

質問10
 次に、ボランティア募集や大会の機運醸成について伺います。

 二〇二〇年東京大会、二〇一九年ラグビーワールドカップのボランティアの募集が、平成三十年度から開始されます。都市ボランティアには、観客等への案内に加え、事故や火災などが発生した際の対応などが必要です。

 こうした対応について、経験やノウハウがある人を積極的に募集していく必要があると考えますが、都の見解を伺います。

答弁10
オリンピック・パラリンピック準備局長
 都市ボランティアの募集についてでございます。

 都市ボランティアには、競技会場の最寄り駅周辺における観客への案内等を行うことに加え、事故や火災等の不測の事態が発生した際、速やかな通報など、状況に応じた適切な対応を行っていただくことを期待しております。

 そのため、都市ボランティアの募集に当たりましては、おもてなしの心や責任感はもとより、ボランティアの経験に加え、防災、防犯、救命救急等に関する知識など、ボランティア活動に生かすことのできる経験や資質としてお示しをしていくことを予定しております。

 あわせて、ボランティア全員が受講する共通研修におきまして、緊急時の連絡方法やAEDの使用方法を初めとする初動対応などを習得できるよう、研修内容を検討してまいります。

質問11
 聖火リレーは、都民の関心を大いに高めます。聖火リレーのコース設定や二〇二〇年東京大会事前合宿地の誘致について、都と組織委員会は、関係機関との調整など、どのように分担しながら区市町村を支援していくのか伺います。

答弁11
オリンピック・パラリンピック準備局長
 聖火リレーと事前キャンプについてでございます。

 聖火リレーや事前キャンプの実施はそれぞれ自治体が積極的に大会に参画できる貴重な機会でございます。

 このうち聖火リレーは、組織委員会がIOCとの間で全国の巡回日数やルートを調整することとなっておりまして、都は、オリンピック聖火リレーの実行委員会を来年度設置し、区市町村とともに都内ルートの検討を行ってまいります。

 また、事前キャンプは、各国のオリンピック委員会などに対して、区市町村が主体となって誘致に取り組むものでございまして、都としては、各国への施設紹介や視察受け入れ調整などに取り組んでございます。組織委員会においても、各地のキャンプ施設をホームページに掲載しているところでございます。

 今後とも、こうした取り組みを通じて、組織委員会とともに、区市町村をきめ細かく支援をしてまいります。

質問12
 二〇二〇年東京大会に先立って、ラグビーワールドカップが開催されます。

 その機運醸成のため、気軽に楽しめるストリートラグビーなどの体験機会をふやすことや、ラグビーの試合の際、ルールや解説が聞けるサービス、区市町村におけるシティードレッシング、外国人観戦客などを迎える準備として区市町村などが実施するおもてなしセミナーの支援など、さらなる機運醸成の取り組みについて伺います。

答弁12
オリンピック・パラリンピック準備局長
 ラグビーワールドカップの機運醸成についてでございます。

 開幕まで六百日を切り、開催都市住民を対象としたチケット先行抽せん販売を控え、大会本番に向けた一層の機運醸成が必要でございます。

 都はこれまでも、都主催イベントにおけるさまざまなラグビー体験や、元日本代表が解説するパブリックビューイング等、広く都民がラグビーに親しむ機会を提供してまいりました。また、東京駅前や都庁舎内に大型PR看板を設置するなど、大会認知度向上に向けた取り組みも行ってございます。

 今後、大会公式マスコットの活用に加え、東京で行われる試合や対戦するチーム等に関する情報の提供、街灯フラッグ等を多くの人でにぎわう通りに掲出するシティードレッシングの展開など、区市町村や地域と連携した取り組みを拡充し、大会に向けさらなる盛り上げを図ってまいります。

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市場移転

質問1
 最後に、豊洲、築地について質問します。

 昨年十二月、市場関係者のご理解を求めた結果、豊洲新市場の開場が十月十一日に決まり、土壌汚染問題や盛り土がなかった問題で多くの時間を要した市場問題に一つの節目がつき、大きな一歩となりました。

 また、ことし二月十七日には、知事みずから築地に赴き、市場関係者と豊洲移転や築地再開発などについて意見交換されたことは、円滑な市場移転に向けての努力と受けとめています。

 改めて、知事の築地再開発にかける思いを伺います。

答弁1
知事
 築地再開発についてのご質問でございます。

 先日、私は、都として豊洲市場を継続的に中央卸売市場として運営して、日本の中核市場として育てていく方針であって、都が、築地市場の跡地を中央卸売市場として再整備するとは考えていない旨を申し上げたところでございます。

 築地におきましては、銀座など都心に近接した、またとないロケーションでございます。そして、培ってきた長年の伝統がございます。周辺には浜離宮のすばらしい景観、水辺の魅力、築地本願寺など、さまざまな宝物が散りばめられているところでございます。

 築地再開発検討会議におきまして、築地のポテンシャルを生かして、東京の魅力をさらに高め、持続的な成長につなげていく、その観点から自由な発想で、幅広いご意見をいただいているところでございます。

 そして、かねてより申し上げているとおり、まずは豊洲市場への円滑な移転を行って、豊洲市場での事業が軌道に乗るように全力で取り組んでまいる。そして、民間の知恵も生かして、将来の東京にとりまして重要な役割を担う、新たなまちづくりにつなげていきたいと考えております。

質問2
 豊洲市場への移転は昨年末に十月十一日に決定し、円滑な移転に向けての準備が求められています。つつがなく移転できるよう万全を期すようにお願いをいたします。

 豊洲では現在、築地で働く市場関係者が、習熟訓練のためテスト運用を行っていますが、市場関係者からはより多くの習熟訓練時間の確保を望む声が聞かれます。

 また、こうした習熟訓練の結果、水産と青果の売り場の距離に対する懸念や駐車場の距離に対する懸念、茶屋制度の仕組み変更への懸念などが聞かれ、不便さの解消が求められています。

 そこで、市場関係者の習熟度訓練を実施する中で、より多くの声を集めて使いやすい市場にする都の取り組みについて伺います。

答弁2
中央卸売市場長
 習熟訓練を踏まえた対策についてですが、豊洲市場では、昨年十月以降、業界団体が主催いたします大規模な習熟訓練が開催されております。業界団体からは、訓練の結果を踏まえまして、さまざまな意見が寄せられております。

 例えば、案内板の不足や交通標示が見づらいといった意見をいただいており、都ではこれを受けて、場内サインの改修など、施設の改善に向けた取り組みについて、業界と調整しながら進めております。

 また、業界による習熟訓練が実施しやすい体制を整えるため、豊洲市場への入場時間を延長するとともに、入退場ができるゲートの数を順次ふやしてきたところでございます。

 今後とも、業界と連携し、相互に知恵を出し合いながら、より使いやすい豊洲市場の実現を目指してまいります。

質問3
 また、円滑な移転のためには市場業界の協力が必要です。市場業界との今後の協議の進め方について伺います。

答弁3
中央卸売市場長
 市場業界との協議についてでございますが、豊洲市場への移転に当たっては、築地市場で働く市場業者の方々の理解と協力をいただくことが重要でございます。

 このため、都では、新市場建設協議会等におきまして、都の取り組み状況を報告するとともに、業界団体からの意見も踏まえて、街区別に設置いたしました協議体において実務的に調整しつつ、豊洲市場の使い勝手の向上に向けた取り組み等を進めているところでございます。

 また、業界団体から寄せられた要望につきましても、一つ一つの内容をしっかりと検証した上で、必要な予算を計上したところでございます。

 都といたしましては、こうした都の取り組み状況を丁寧に説明し、業界団体の理解を得られるよう努めるとともに、引き続き業界団体と真摯に向き合いながら、移転に向けたさまざまな課題につきまして精力的に調整してまいります。

質問4
 都民ファーストの会東京都議団は、東卸や場外市場の方々から要望を受け、昨年の十二月議会の代表質問でその要望事項を取り上げさせていただきました。

 豊洲新市場でのターレのコンセントが合わない問題を初め、具体的な要望を提言しましたが、今回の平成三十年度予算案においてどのように反映されたのか、その予算措置状況を伺います。

答弁4
中央卸売市場長
 業界要望に関する予算措置についてですが、豊洲市場への移転に向けて、業界団体からはさまざまな要望が寄せられており、開場後の円滑な市場運営を実現するためには、こうした声に真摯に対応する必要がございます。

 このため、都では、業界の意見や要望を踏まえて、ハード、ソフト両面からの取り組みを進めるために必要な予算を計上いたしました。

 具体的には、豊洲市場の安全性をさらに向上するための追加対策工事や、通勤駐車場のトイレ整備といった施設整備に関する費用に加えて、風評被害の払拭に向けた取り組みや、水産、青果の買い回りの支援、ターレの充電コードの購入等に要する費用を計上したところでございます。

 今後とも、業界の声に耳を傾けながら、連携協力して開場に向けた準備を進めてまいります。

質問5
 新しい東京の食の台所となる豊洲市場の安全性のPRは、世界で最もミシュラン評価を受けている東京の、また日本の食文化の発信において欠かせません。都はこれまでにも、一般参加者を募った見学会の実施などを行ってきましたが、世界を含めた国内外に対する発信こそ重要であると考えます。

 豊洲市場の情報発信策として、具体的なメディア戦略について伺います。

答弁5
中央卸売市場長
 豊洲市場の情報発信策についてですが、メディアを通じて、豊洲市場の魅力を発信していくことは、多くの方々に正確な情報を伝える手段として重要でございます。

 都はこれまで、国内メディア向けの見学会を開催するとともに、個別取材の要請にも丁寧に対応し、豊洲市場施設の特徴などの発信に努めてまいりました。

 また、先月には、これまで取材機会のなかったロイター通信を初めとした海外メディア等十五社に対しても市場見学会を開催したところでございます。

 今後とも、海外メディア等に対する情報提供の継続的な取り組みや、国内外のメディアへの情報発信の強化に取り組んでまいります。

質問6
 次に、中央卸売市場に関する多角的な検討の必要性について伺います。

 全国の卸売市場の経営状況の悪化の傾向は、依然として続いております。特に、漁港直送など生産者と小売店の直接取引を初め、ネットの普及拡大により、宅配市場の急速な拡大は流通革命とも呼べる規模まで発展しており、市場を介さない取引は年々増加しています。東京都の中央卸売市場のデータでも、競りは金額ベースで見ても青果で二・一%、水産物で一三・九%となっており、取引のほとんどは相対取引という状況です。

 十一市場の収支状況についていえば、二十八年度決算で合計三十二億円の赤字会計で、豊洲開場後は年間で百四十億円から百五十億円の赤字が見込まれています。十一市場のうち、黒字基調なのは築地と大田市場のみです。豊洲市場だけではなく、大田市場以外の市場についても経営は厳しい状況にあり、時代の変化を捉えた市場のあり方が改めて問われているといわざるを得ません。

 加えて、国においても、民間企業に中央卸売市場の開設、運営を認めることを含む市場法の改正案が議論されており、市場のあり方については多角的に検証されるべきです。

 このような市場を取り巻く厳しい環境下において、時代に即した市場のあり方、市場会計の健全化などについて中長期的な視点で検証していくべきであると考えますが、知事の見解を伺います。

答弁6
知事
 市場のあり方の中長期的な検証についてのお尋ねでございます。

 卸売市場を取り巻く状況は、単独世帯の増加による食の外部化、ICT技術の進展に伴います取引形態の多様化、さらには、物流環境など大きく変化をしているところでございます。

 こうした中で、都の卸売市場が、都民の食生活を支える社会的なインフラとしての責務を果たしていく、そのためには、それぞれの市場が、立地特性や顧客ニーズなどに対応いたしまして、活性化に取り組む必要がございます。

 このため、五年を期間といたします卸売市場整備計画におきまして、市場ごとに経営戦略を策定いたしまして、交通アクセスを生かしました産地との連携や、加工パッケージ対応の強化など、創意工夫の取り組みを推進してまいります。

 さらに、中長期的な視点での市場会計の持続可能性を考慮しながら、国におきまして予定されております市場法改正の影響も踏まえて、時代の変化に対応できる市場運営を目指してまいります。

質問7
 築地解体工事、デポ建設工事は、都心での大規模な工事になります。築地解体工事、デポ建設工事に当たって、地元住民や場外市場への影響を及ぼさないよう、騒音、振動、粉じん、ダンプの通行時間やルート、工事時間等について綿密な計画を練る必要があります。特に、築地の施設には大量のアスベストが含まれることから、丁寧な対応が求められます。

 解体工事及びデポ建設工事に当たっては、東京都は、事業者として場外市場や近隣の方々に対し工事の事前説明を丁寧に行い、理解を得て工事を行う必要があります。

 そこで、近隣の方々に工事の事前説明をどのように行っていくのか、また、工事期間中に東京都としてどのような対策を講じるのか伺います。

 以上で都民ファーストの会東京都議団を代表しての質問を終わります。

 ご清聴ありがとうございました。

答弁7
中央卸売市場長
 解体工事等において講じる対策についてですが、跡地における各種工事に当たり、騒音、振動対策や作業時間などに加え、解体工事についてはアスベスト飛散防止を含め、詳細な施工計画を作成し、近隣の方々への影響が最小限になるよう対策を講じてまいります。

 また、周辺交通への影響に配慮し、工事車両の出入り口を限定するとともに、発生するコンクリートの廃材を場内で再利用するなど、工事車両の抑制に取り組んでまいります。

 その上で、築地地区などのまちづくり協議会や、場外市場など近隣の方々へ、車両基地整備工事等の並行する工事とともに、解体工事の施工計画について、事前に十分な説明を行うこととしております。

 近隣の方々へ丁寧な対応を行うことにより、円滑な工事の実施を図ってまいります。


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