築地再開発の抜本的な見直しを
知事の情報公開に対する姿勢は

市場移転問題

質問1
 初めに、市場移転問題についてお伺いいたします。

 移転問題は、まさに混迷のさなかにあります。

 小池百合子知事が基本方針を発表してから、早くも約半年が経過をいたしました。しかし、江東区、千客万来施設、築地市場関係者全ての理解を得られないことから、移転の展望が描けない状態となっています。

 築地市場を売却せずに、賃料として年間百六十億円以上の収益を生み出す。この基本方針は、発表時点では全く不可能なことではなかったのかもしれません。ですが、今なお肝心な築地再開発の実現可能性が示せず、主要関係者の賛同が一切得られない状態を見れば、残念ながら、一連の知事の移転政策は、政策判断として間違ったものであったと判断せざるを得ません。

 であれば、何より、安全宣言の先送りなども含む知事の市場移転に関する判断をこれまで支持してきた私自身、その過ちを認め、都民、関係者の皆様におわびしなければなりません。まことに申しわけありませんでした。

 そして、改めてその上で、環状二号線の着工も迫る今、この事態を打破する提案をさせていただきたいと思います。

 それは、現在、次年度予算として中央卸売市場から五千七百万円が要求されている築地再開発の検討予算、これをゼロにすることです。すなわち、築地再開発の検討は、有償所管がえを前提としてその条件を検証するにとどめ、年度内の完結を目指すことであります。

 跡地利用を従来の方針に戻せば、千客万来施設の事業者は納得され、地元江東区の了承も得られます。築地市場の関係者のもとには、知事みずからが足しげく通い、誠意を尽くすことで理解を求めるほかありません。

 知事、この市場移転問題については、私たちは明確にその判断を誤りました。しかし、古来より、過ちては改むるにはばかることなかれとも申します。率直に一連の間違いを認め、築地再開発については、次年度予算を含む抜本的な見直し、撤回を行い、関係者のもとに早急に足を運ぶべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。

答弁1
知事
 築地の再開発についてのご意見でございました。

 築地は、将来の東京にとりまして極めて重要な役割を担うエリアであることは、ご存じのとおりであります。さまざまなポテンシャルを最大限に活用して、よりよいまちづくりができるよう、しっかりと検討を重ねてまいります。

 豊洲市場の開場に向けましては、安全性を高めるための追加対策工事などを着実に実施していく、そのために、一つ一つ手続を進めているところでございます。これらを着実に履行することが、私としての役割と心得ております。

質問2
 次に、築地再開発検討会議についてお伺いいたします。

 現在まで二回が開催されたものの、結論が出るのは来年五月と、知事が標榜するスピード感とはかけ離れたスケジュールとなっています。著名な有識者を集めれば集めるほど、会議の開催や意見集約は困難をきわめ、事態の先送りという批判を招きかねません。

 さきに述べたように、議論の内容は、有償所管がえを前提とした条件面など、最小限の議論にとどめる改善を行い、遅くとも今年度末、三月末までには検討会議及びその取りまとめを完結させるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

答弁2
東京都技監
 築地再開発の検討についてでございます。

 将来の東京にとってよりよいまちとなるよう、しっかりと検討を行う必要がございます。したがって、検討には一定程度の時間を要するものと考えてございます。

 会議では、経営、文化、まちづくりなど、幅広い分野で活躍されている委員の方々に、自由な発想で検討を重ねていただき、来年五月を目途に、築地まちづくりの大きな視点を取りまとめていくこととしてございます。

質問3
 また、議論の進め方にも強い疑念があります。検討の前提として、築地の再開発に当たっては、年間百六十億円の賃料を生み出すこと、千客万来施設との整合性を図ること、環状二号線の開通が急務であることなど、絶対に動かすことのできない前提条件が存在します。こうした前提がきちんと共有されていれば、扇形の建物を残すなどの発想は出てこないはずであります。

 自由にも限度があり、前提条件の共有されていない議論には大きな意味が感じられません。各委員の方には、どのように現状が説明され、どのような依頼がされているのか、所見をお伺いいたします。

答弁3
東京都技監
 検討会議の委員への説明や依頼についてでございます。

 検討会議の委員に対しては、会議の目的や設置までの経緯のほか、築地エリアの歴史や特徴などについて説明してございます。その上で、築地の魅力を最大限に生かした再開発に向けて、自由な発想で幅広いご意見をいただくこと、また、まちづくりの大きな視点を整理していただくことなどをお願いしてございます。

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知事の情報公開等に対する姿勢

質問1
 最後に、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。

 かつて都民が知事に寄せた期待は大きくしぼみ、今や不支持率が支持率を上回る状態にあります。その最たる要因は、知事が公約の一丁目一番地として掲げた情報公開が、特に、知事自身について不十分だからではないでしょうか。

 市場移転を例に申し上げれば、小池知事は、石原慎太郎元知事の意思決定について、なぜ豊洲だったのかわからないと強く問題視をされました。その発言は世論を大きく動かし、都議会も百条委員会を設置するに至りました。

 一方で、小池知事自身は、豊洲と築地、双方を生かすという意思決定について、AIだからです、回想録に残すことはできると、最終的には自身の中でのみ政策判断をしたと主張されています。

 それも一つの手法としては認められます。手続上の瑕疵もないのでしょう。しかしながら、片や前任者の情報公開、説明責任の不徹底を責め、片や自分自身にはその厳しい基準を当てはめないという二重基準となる政治姿勢こそが、都民の不信を招いたのではないでしょうか。

 小池都政になって、行政機関の情報公開が飛躍的に進んだことは高く評価をいたします。一方で、小池知事自身の政治判断や、あるいは知事が顧問を務める組織において、新たなブラックボックスが生み出されている。そんな懸念を私は払拭することができません。

 小池知事の情報公開、説明責任に対する姿勢を、この場で改めてお伺いをいたします。

 そして、私たち、かがやけTokyoは、小池知事が都知事選あるいは都議選で掲げた東京大改革、特にその柱となる情報公開やしがらみのない政治、古い議会を新しくという理念に真に基づかれて行動する限り、その改革をともに進め、力強く支援していくことを申し上げまして、私の質問を終わります。

答弁1
知事
 情報公開と説明責任についてのご質問でございました。

 組織のトップである以上、特に政治におきましては、政策判断は常に発生するものでございまして、さまざまな意見を参考にしながら知事として判断するのは、当然のことと考えております。

 これまでの都政における問題として、政策判断に至るまでの情報が全く見えてこなかったことを指摘してまいりました。

 そのため、東京大改革の一丁目一番地として、情報公開に積極的に取り組んできたところでございます。情報公開条例も改正をして、都民の皆様が行政情報にアクセスしやすい環境を整えさせていただいたところでございます。

 そして、私自身につきましても、会議の公開、予算編成過程の透明化、公務日程のホームページの掲載など、都庁組織と一体となりまして、情報公開を進めながら、さまざまな場面で発信を行い、説明責任を果たしているところでございます。

 今後も、都政の透明化をさらに推進いたしまして、説明責任を果たすことで都民の皆様の共感をいただいて、さまざまな課題の解決につなげていきたいと考えております。