働き方改革で都は国をリード
都庁内でのテレワークの推進を

働き方改革

質問1
 私はこれまで、民間企業でITの営業や経済誌の記者として働いてまいりました。一都民として生活してきた目線から、そして三十代の現役サラリーマンとして働いてきたその経験から、閉塞感を打ち破り、未来に希望を持てる東京をつくることが、今、一番必要だと考えております。明るい未来を次の世代へ残していく必要があります。

 そのために政治ができることは何でしょうか。政策で人々の不安を払拭すること、そういった観点から質問をさせていただきます。

 本第三定例会冒頭の知事所信表明では、東京に人口減少と超高齢化、かつてない二つの大きなうねりが押し寄せているということが述べられました。

 東京の人口は、全ての団塊世代が七十五歳を迎える二〇二五年にピークを迎え、減少に転じる予測がされております。目下の経済状況を見ても、回復基調にあるものの、経済全体では足踏みが続いているように思われます。人口減少という構造的な問題を乗り越えて労働生産性を高めるには、働き方の改革を進める必要があります。

 東京都は、働き方の改革について国をリードしていく必要があります。今後、働き方の改革をどのように進めていくのか、知事の見解をお伺いいたします。

答弁1
知事
 働き方改革の推進について、誰もが生き生きと活躍できるダイバーシティー東京の実現に向けては、働き方改革は不可欠でございます。

 長時間労働を改めて、個人のライフスタイルに合った働き方を進めることによって、従業員のライフワークバランスの実現や企業の人材確保、経営力の向上、ひいては社会全体の生産性を高めることにもつながると、このように考えております。

 そこで、まず都庁では、まさに隗より始めよという認識のもとにおきまして、二十時の完全退庁を突破口とした仕事の改革、テレワークや柔軟な勤務時間制度の導入など、職員の働き方改革に全庁を挙げて取り組んでいるところでございます。

 また、民間企業に対しましては、長時間労働の削減など、働き方を見直す企業を支援するとともに、働き方改革の起爆剤として、ご指摘のテレワークの普及に向けた取り組みを推進しているところでございます。

 それから、七月には時差ビズを行いました。三百二十社もの企業に共感をいただいて、時差出勤、テレワーク、これが一斉に実施をされたところでございます。引き続き、生産性を高めるための時差ビズを、新たな常識として定着をさせていきたいと考えています。

 こうした取り組みを通じまして、社会全体に働き方改革の輪を広げて、東京から大きなムーブメントを先導していきたいと考えております。

質問2
 働き方改革を進める起爆剤として、テレワークがあります。多様なワークスタイルが広がることで、育児や介護をしながら働き続けることができる。企業においても、人材の確保、活用に選択の幅が広がります。

 実は私も、IT企業で働いていたころ、家族を看病しながら、テレワークを活用して柔軟な働き方をしていた経験があります。フレックスタイムを活用して、朝は家族が入院する病室へ行き、近くのカフェからウエブ会議のシステムを使って会社の会議に参加する。そして、時にはそのまま直接お客様を訪問したりすることもありました。

 その経験から、制度とITの仕組みを整えることで、テレワークは実現可能だと確信をしております。

 小池知事は、オリンピック・パラリンピック二〇二〇大会のソフト面でのレガシーとして、テレワークを定着させるという発言をしております。

 しかし、国内のテレワークの普及率は、総務省の平成二十八年通信利用動向調査によると、一三・三%にとどまっています。そもそもテレワークの認知度がまだまだ低く、調査対象の半数を超える人々が、テレワークについてほとんど聞いたことがないという状態です。

 テレワークの普及に向けて、現在の低い認知度を上げるためには、企業や働く人々に広く関心を持ってもらえるようなプロモーションが必要になります。東京都ではどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。

答弁2
産業労働局長
 テレワークの普及に向けた取り組みについてでございますが、テレワークへの関心を広く喚起するため、都は七月に多くの人が集まる丸の内において、国のテレワークデーと連携した機運醸成のイベントを実施いたしました。

 また、同月に開設いたしましたテレワーク推進センターでは、企業の経営者や人事担当者向けに、情報提供や相談、先進機器の体験等のサービスをワンストップで提供しており、既に千人を超える方々が来場しているところでございます。

 さらに、八月からは、都内二十カ所で出張型の体験セミナーの実施を始めたところでございます。

 今後は、経済誌やトレインチャンネルといった媒体も積極的に活用しながら、民間での導入事例や成果等を多面的に発信してまいります。

 こうした取り組みにより、働き方改革の起爆剤となるテレワークの認知度を高め、普及を促進してまいります。

質問3
 テレワークに関して、都庁がモデルケースとなることで、東京都内に広げていくことができると考えております。都庁は、まず隗より始めよで取り組むべきであります。

 東京都の仕事はさまざまな業務があり、さらには窓口サービスも多く、多数の重要な情報、例えば個人情報を扱います。そのため、テレワークの導入のハードルは非常に高い、導入に向けた悩みもとても大きいものと考えられます。

 しかし最近では、同じように窓口業務が多く、高いセキュリティーが求められる銀行でも、テレワークの導入、活用が広がってきております。都内でも、最大規模の事業者である都庁でのテレワークを浸透させるには、職員の理解、そして業務の改革、ICT環境の整備など、取り組みが必要となります。

 今後の都庁内でのテレワークの推進にどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたします。

 一意見ではありますが、都議会、議員とのやりとりも、テレワークやペーパーレスを進めることができるのではないかと考えております。ぜひ試行の際には、私に協力をさせてください。まず、私から始めさせていただきたいと考えております。

答弁3
総務局長
 都庁でのテレワークの推進についてですが、テレワークは、育児や介護と仕事の両立はもとより、災害や突発事態への対応にも寄与するなど、働き方改革に極めて有効な手段です。その円滑な導入に向け、制度や環境の整備とともに、管理職を初め多くの職員が実際に体験し、仕事の改革もあわせて進めていくことが重要でございます。

 そこで、四月から約三十の職場で試行し、七月二十四日の都庁テレワークデーには、遠隔会議やサテライトオフィスを実施するなど、約千人の職員が体験をいたしました。

 今月から、活用条件や方法の拡大、モデル職場の指定、さらに毎月テレワークデーの設定などにより、意識改革を一層進め、テレワークを活用した誰もが活躍できる柔軟な働き方を全庁で加速させてまいります。

質問4
 続きまして、労働参加率の向上についてお伺いいたします。

 東京都では、ダイバーシティーの取り組みとして、誰もが生き生きと生活できる、活躍できる都市東京を目指しています。女性も、若者も、高齢者も、障害を持った方も、LGBTの方々も、誰もが活躍できる東京都を築くのは、我々の責務であります。

 労働参加率の向上という点では、特に出産、育児で一旦仕事をやめた女性の再就職が重要になります。子育てが一段落し、再就職を希望する際に、着実に就職活動を進められる支援が必要になります。

 加えて、再就職を志望しながらも、まだ就職に向けて動き出せていない女性、こちらの支援も重要であると考えます。

 都の就労支援対策として、女性の再就職の促進に向けた取り組みについてお伺いをいたします。

答弁4
産業労働局長
 女性の再就職支援についてでございますが、都は、出産や育児などで一旦退職した女性が再び社会で活躍できるよう、しごとセンターの女性しごと応援テラスにおいて、再就職に向けた支援を行っております。

 このテラスでは、専任のアドバイザーを配置し、相談から就職までワンストップでサービスを提供しております。

 具体的には、家庭と仕事の両立に理解のある企業からの求人を個別に紹介いたしますとともに、就職面接会や女性就業拡大のためのイベントを開催し、再就職を後押ししております。

 また、長期間離職し、職場復帰に不安がある方に対しましては、就職活動の進め方や就業に必要なスキルを学び直すセミナーを実施しているところでございます。

 今後とも、こうした取り組みにより、女性の再就職活動をきめ細かく支援してまいります。

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ICT施策

質問1
 次に、東京都庁内でのICT、データの取り扱いについてお伺いをいたします。

 ICTの発達は目覚ましく、最近では、IoT、ビッグデータ、そしてAI、人工知能など技術革新が起きております。行政においても、そういった技術革新を取り込んでいくことが重要です。

 効率的な行政運営のためには、システムの最適化が必要になります。それには、都庁にある個々のシステムをばらばらに開発、運用するのではなく、中長期の視点を持って計画を定めた上で、統一的に取り組むことが必要であると考えます。都の見解をお伺いいたします。

答弁1
総務局長
 都庁のシステムに関する計画についてですが、都民サービス、利便性、費用対効果などの向上の観点から、システム最適化を図ることは重要でございます。

 一方、各行政分野で必要なシステムやその役割はさまざまで、きめ細かい方針の一律的な適用は、かえって不合理となる面もございます。

 そこで、都では、業務・情報システム最適化計画を定め、基本的な方針と各分野ごとの計画のもと、機器更新などの時期を捉え、システムの見直しを図っております。

 これにより、例えば知事部局と水道局の文書総合管理システムの統合や、平成三十一年度の中央コンピューター室の改修にあわせた情報システム基盤の最適化を進めております。

 今後は、IoTやAIの導入などにより、都庁のシステムのあり方の大きな変化も想定されます。それらも見据えつつ、システムの最適化の検討を進めてまいります。

質問2
 東京都のオープンデータへの取り組みについてお伺いします。

 東京都では、平成二十九年三月より、東京都オープンデータカタログサイトを公開しております。行政が保有する公共データを公開し、地域課題の解決や住民生活の向上を目指して、東京都及び都内区市町村のデータを横断的に検索、取得できるサイトになっております。東京都が統一的なフォーマットで情報公開することで、新たなサービスが登場するきっかけになると、大いに期待をしております。

 東京都の保有するデータ量を考えると、カタログサイトに掲載される都庁のデータは膨大なものになると予想されます。計画的なデータの登録が必要になりますが、データの登録に関する都の見解をお伺いいたします。

 加えて、区市町村のデータを充実させることも重要でございます。東京都内のオープンデータのワンストップサービス化を進めていくべきです。あわせて都の見解をお伺いいたします。

答弁2
総務局長
 オープンデータの計画的な取り組みについてですが、都では、都のデータは、個人情報などを除き、機械判読、二次利用可能な形式で公開することを原則として、ことし三月に開設したカタログサイトに順次掲載しております。  新規データは直ちに、過去のデータについては優先順位を付し、特に重要な約四万件のデータについて、二〇二〇年までに掲載すべく計画的に取り組んでおります。  また、都内の地域に密着した行政情報の一元化に向け、区市町村に都のカタログサイトへの参画を促しております。  オープンデータへの理解やノウハウの不足等から、現在、参画団体は一部でありますが、これを拡大するため、区市町村との検討部会の設置や職員研修を実施しております。  これらにより、都民や企業等が、都内の行政データを利用しやすい環境をオール東京で実現してまいります。

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二〇二〇大会中の熱中症への対応

質問1
 オリンピック・パラリンピック二〇二〇大会では、真夏に大会が行われるため、さまざまな暑さの対策が既にとられております。

 一方、熱中症が起きた後の対策も必要となってまいります。熱中症は起きるという前提で準備、対策をしていなければ、安全配慮義務を果たしていないということになり、訴訟のリスクも伴います。

 例えば、選手に対する熱中症対策では、競技によっては、十分な量の氷と、全身を浸すことのできる簡易なバスタブか、それにかわるものを競技場に用意することが国際基準になっており、こういった選手への対策は、競技特性を熟知した競技団体と調整するなど、十分に準備されていると思っております。

 この一方で、観客への対策も重要です。観客の中には、北欧など比較的涼しい地域から来る人や、高齢者、障害を持った方々、そして時にはアルコールを摂取している人もいる可能性があります。さまざまな状況を想定する必要があります。

 熱中症の中で一番重症な命にかかわる熱射病の対策は特に重要です。熱射病の症状が出た際は全身冷却が一番効果的であり、三十分以内に深部の温度を三十八度まで下げる必要があります。一一九番通報を受けてから病院に収容するまでに要する平均時間は三十九・四分とされておりまして、これでは間に合いません。現場での迅速な対応や病院収容までの時間短縮のための準備が必要になります。

 オリンピック・パラリンピック大会中に会場で観客が熱中症になった場合の対策、準備について、東京都の見解をお伺いいたします。

答弁1
オリンピック・パラリンピック準備局長
 会場における熱中症患者への対応についてでございますが、熱中症に対しましては、ミストエリアの設置や水分補給の呼びかけなど予防対策に力を入れるとともに、発症した場合には、患者を重症化させないための適切な対応が重要であります。

 そのため、都は、会場内の医療サービスを担う組織委員会とともに、熱中症の救護体制について、有識者の意見も踏まえながら検討を進めているところでございます。

 具体的には、応急手当の訓練を受けたボランティアの声かけによる早期発見や観客規模に応じた医務室の設置、症状に応じた医師の救急対応、救急車の会場待機による速やかな搬送体制の確保などでございます。

 今後、これらの検討結果も踏まえ、組織委員会を初め関係機関と連携し、会場における熱中症の早期発見、早期治療が適切に行えるよう取り組んでまいります。

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北朝鮮のミサイル対応

質問1
 続きまして、北朝鮮のミサイルへの対応についてお伺いいたします。

 政府は、北朝鮮から発射された弾道ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合には、二十四時間いつでもJアラートを使用して緊急情報を国民に伝達します。

 しかし、日ごろから避難訓練等を行っている地震などの災害に比べて、ミサイルに関しては、実際にどのように行動すべきか、どこに避難すべきかわからないというのが、率直な都民の感想ではないでしょうか。

 ことし四月に内閣官房は、国民の不安に対応するため、総務省消防庁を通じて、各都道府県宛てに、ミサイル避難訓練を実施するように通知がなされています。

 全国においては、ことし三月、秋田で初めて、そういった避難訓練が行われ、各地に広がっております。

 東京都内でも、町田市のように、住民避難訓練について、国や東京都、他自治体の動向を注視しているところがございます。

 都においても、各自治体と連携して、弾道ミサイルの落下時に住民がとるべき行動について、一層理解を促進していくことが急務と考えますが、都の取り組みをお伺いいたします。

答弁1
総務局長
 ミサイル落下時のとるべき行動の理解促進についてです。

 弾道ミサイル発射に関する緊急情報が伝達された場合、都民が直ちに避難行動をとることが重要であり、区市町村とも連携し、避難行動について都民の理解を深めていくことが必要でございます。

 都においては、「広報東京都」や「東京防災」、さらにはホームページやツイッターなども活用し、弾道ミサイルが飛来した場合の対応をわかりやすく情報発信して、幅広く都民に周知しております。また、区市町村とともに広報活動を実施するなど、きめ細かに情報発信を行っております。

 引き続き、地域の実情に精通した区市町村とも緊密に連携し、都民が迅速に適切な避難行動がとれるよう、さまざまな取り組みを進めてまいりたいと考えております。

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「障害者差別解消法」への対応

質問1
 最後に、障害者差別解消法に関してお伺いをいたします。

 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、いわゆる障害者差別解消法は、平成二十五年六月に制定され、昨年四月から施行されております。

 この法律の制定を待って、国は平成二十六年一月二十日に、国連の障害者の権利に関する条約を批准いたしました。この条約では、障害の原因を個人に求める個人モデルから、社会の仕組みに求める社会モデルへと、考え方の大転換が行われております。

 キーワードの一つに、合理的配慮があります。合理的配慮は、例えば建物の入り口に階段がある場合に、携帯用スロープを渡して車椅子で入れるようにすることや、病院内の放送を文字化して説明することが挙げられます。障害の特性や個別具体的な場面によって異なる対応が必要になるため、多様で個別性の高いものです。

 そのため、理解や浸透がなかなか進んでいない状況にあります。国の制度だけでは、実効性のある仕組みができていない状況だといわざるを得ません。

 現在、東京都が制定に向けて取り組んでいる障害者差別解消のための条例を実効性あるものにする必要があります。行政だけではなく、民間事業者も含めて、合理的配慮に関する事例を広く共有することが必要です。

 障害者差別の解消に向けた都の普及啓発の取り組みについて見解をお伺いいたします。

 以上をもちまして、私の質疑を終了させていただきます。

 ご清聴どうもありがとうございました。

答弁1
福祉保健局長
 障害者差別の解消に向けた普及啓発についてお答えをいたします。

 都は、行政機関や民間事業者における障害者差別解消の取り組みを進めるため、法の施行に合わせまして、さまざまな障害特性や配慮すべき事項等をまとめたハンドブックを作成し、周知をしてまいりました。

 また、障害当事者を初め、行政や事業者、福祉、教育等の関係機関から成る障害者差別解消支援地域協議会を設置し、その中で、差別に関する相談事例や合理的配慮の事例などに関する調査の実施方法等について検討し、その調査結果も報告をしております。

 今後、これらの好事例を事例集として取りまとめ、広く事業者などに配布するほか、シンポジウムの開催や、トレインチャンネルでの動画の放映など、障害者差別の解消に向けまして、さらなる普及啓発に取り組んでまいります。