第三者機関について

(1)設置の必要性

  • 中立的な立場からチェックに関与する第三者機関を設置すべきである。

 会派では、収支報告書及び領収書などを議長へ提出する前に、政務調査費が使途基準に従って適正に執行されたかどうかチェックを行うこととなる。さらに、これらの書類は、議長へ提出された後、議会局が同様にチェックを行い、必要に応じて修正を会派に依頼することもある。

 このように収支報告書及び領収書などに基づいて、2段階のチェックにより執行の適正性を確認することとなっているが、会派及び議会局も都議会に関係する組織であることから、中立性、公平性の観点から外部の者がチェックなどを行うことは重要である。

 以上のことから、政務調査費について外部有識者などが中立的な立場からチェックに関与する第三者機関を設置すべきである。

(2)委員構成

  • 委員は、外部の有識者のみで構成すべきである。
  • 外部有識者は、弁護士、公認会計士、税理士など専門性を有し、法により守秘義務が課せられた者とすべきである。
  • 必要に応じて会派・議員から意見を聴く機会を設けるべきである。
 第三者機関の委員構成としては、
  • 外部有識者のみとする。
  • 外部有識者に加えて、会派・議員も委員に含める。

という2つの考え方がある。

 委員を外部有識者のみとすることで、純粋な第三者機関としての中立性が確保されることから、委員は外部有識者のみで構成すべきである。

 外部有識者は、専門知識を有し、かつ、法により厳格な守秘義務が課せられている弁護士、公認会計士、税理士などとすべきである。

 ただし、外部の有識者のみでは会派や議員の活動が十分に理解できないことも想定されることから、適切に検査や指導・助言、提言・意見を行っていくためには、必要に応じて会派・議員から意見を聴く機会を設け、第三者機関としての適正な運営の確保を図ることが必要である。

(3)権能

  • 第三者機関の権能は、検査並びに提言・意見及び指導・助言とすべきである。
  • 検査は抽出検査とすべきである。

 第三者機関の権能としては、第一に、政務調査費の中立性及び公平性の向上のため、政務調査費の執行が使途基準に照らして適正かどうか検査を行うことが必要である。

 検査のあり方としては、全件検査と抽出検査の2つが考えられるが、全件検査を行うとすると、議会局が全件検査したものをさらに検査することになり、膨大な業務が重複する。また、全件検査には、膨大な経費も必要となる。さらに、出納閉鎖までに議会局による全件チェックとともに第三者機関による全件チェックを終了するのは、日程的に困難である。これらから、抽出検査によることが適切である。一般の企業の会計監査も抽出検査により行い、必要に応じて検査を深めていく手法が採られている。

 第二に、政務調査費の執行の適正に資するため、会派が議長へ収支状況報告書を提出する際などに、法律や会計、税務などの専門知識を持つ者が、会派や議会局からの疑問点に対して指導や助言を行うことが必要である。

 第三に、政務調査費制度の適切な運用を維持するため、検査や指導・助言の結果も踏まえ、政務調査費の制度全般に関して提言・意見を行うことができることも必要である。