マスキングについて

(1)マスキングを誰がいつ行うか

  • マスキングを誰が行うか:議会局とすべきである。
  • マスキングをいつ行うか:領収書などの公表時とすべきである。

 領収書などには、個人の氏名、収入などの個人情報のほか、企業の金融機関口座情報などの情報が含まれている場合があり、公表することにより個人のプライバシーや円滑な企業活動を損なうおそれがある。したがって、領収書などに記載された、このような公にしてはならない情報に対しては、黒塗りを行って情報を非開示とする「マスキング」が必要となる。

 マスキングを誰がいつ行うかについては、
  • 議会局が収支報告書などの公表時に行う。
  • 会派が議会局へ収支報告書などを提出する時に行う。
  • 会派及び議会局の両方が提出時及び公表時に行う。

という3つの方法が考えられる。

 議会局がマスキングを行えば、客観性のある処理が可能であり、会派によるばらつきを出さず統一的な処理ができる。一方、会派がマスキングを行うと、あらかじめマスキングされるため情報が限られ、議会局や第三者機関による検査を適切かつ効率的に行えないおそれがある。

 これらを踏まえ、マスキングは議会局が行うべきである。

 また、マスキングを行う時期は、議会局や第三者機関が検査を適切かつ効率的に行うため、検査終了後公表時とすべきである。

 なお、マスキングを適切に行うためには、会派の活動にとって著しい支障が生じるおそれがあるような会派情報をはじめ、議会局において判断が困難である場合などは、会派と十分な調整を行う必要がある。

(2)マスキングの基準

  • 都議会情報公開条例の非開示事項を基準とすべきである。

 都議会議員は、政務調査活動として、調査研究、情報収集、政策立案、広報・広聴活動など都政全般に関する幅広い活動を行っており、このような活動を行う中で、政務調査費を支出した際に徴した領収書などには、多種多様な情報が含まれることとなる。この領収書などを公表するには、マスキングを行いプライバシーなどの保護を図る必要がある。

 マスキングを行う際には、政務調査費の透明性の向上を図る一方で、個人情報など保護すべき情報を保護するために、適切な基準を設ける必要がある。

 東京都議会情報公開条例においては、公文書開示請求が行われた場合には、特定の情報(以下「非開示事項」という。)を除いて開示することとしている。同条例第7条で定める非開示事項は、
  • 個人情報(個人に関する情報で特定の個人を識別することができるもの又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの)
  • 人情報(法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人など又は当該事業を営む個人の競争上又は事業運営上の地位その他社会的な地位が損なわれると認められるもの)
  • 会派活動情報(会派の活動に関する情報であって、公にすることにより、会派の活動に著しい支障が生ずると認められるもの)

などの情報である。

 政務調査費の透明性の向上を図り、説明責任を果たす観点からは、マスキングの部分は最小限とすべきである。したがって、公表される領収書などに対するマスキングの基準については、東京都議会情報公開条例第7条の非開示事項によるべきである。